JP2008540436A - Jakキナーゼインヒビターおよびそれらの使用 - Google Patents

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Abstract

本開示は、Sykキナーゼに比べて選択的にJAKキナーゼを阻害する2,4−ピリミジンジアミン化合物、およびこのJAK選択的化合物を使用する多種の方法を提供する。本開示は、少なくともある程度JAKキナーゼによって媒介される疾患を処置もしくは予防する方法を提供する。この方法は、獣医学的状況における動物、もしくはヒトにおいて実施され得る。この方法は一般的に、JAK媒介疾患を処置もしくは予防するに有効な量のJAK阻害化合物を、動物もしくはヒトに投与する工程を含む。この方法にしたがって処置もしくは予防され得る、少なくともある程度JAKキナーゼによって媒介される疾患の例としては、アレルギー、ぜんそく、自己免疫疾患、中枢神経系の疾患、肺疾患、ならびに原発性高血圧症および原発性肺高血圧症、遅延型もしくは細胞媒介のIV型過敏症、ならびに充実性および血液学的悪性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。

Description

(1.分野)
本開示は概して、JAKキナーゼの選択的インヒビターである化合物、ならびにこの化合物および組成物を多種の状況において使用するための方法に関連する。
(2.背景)
プロテインキナーゼは、細胞内の多種のシグナル伝達プロセスの制御を担う、構造的に関連した酵素の大きなファミリーを構成する(例えば、非特許文献1を参照されたい)。プロテインキナーゼは、これらの構造および触媒機能の保存に起因して、共通の祖先遺伝子から進化したと考えられている。ほとんど全てのキナーゼは、類似した250/300アミノ酸触媒ドメインを有する。キナーゼは、それらがリン酸化する基質によってファミリーに分類され得る(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/トレオニン、脂質など)。概してこれらのファミリーのそれぞれに対応する配列のモチーフが同定されている(例えば、非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6を参照されたい)。
多くの疾患は、プロテインキナーゼ媒介性事象によって誘発される異常な細胞応答に関連している。これらの疾患としては、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝病、神経および神経変性疾患、癌、心臓血管疾患、アレルギー、ぜんそく、アルツハイマー病、ならびにホルモンに関連する疾患が挙げられる。結果として、治療剤として使用するためのプロテインキナーゼのインヒビターを見出すために、医薬品化学において多大な努力がなされてきた。
Janusキナーゼ(JAK)は、JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2を構成するチロシンキナーゼのファミリーである。JAKは、サイトカインのシグナル伝達においてきわめて重大な役割を果たしている。JAKファミリーのキナーゼの下流の基質は、転写のシグナル伝達活性化因子(signal tranducer activator of transcription)(STAT)タンパク質を含む。JAK/STATシグナル伝達は、多種の異常な免疫応答(例えば、アレルギー、ぜんそく、自己免疫疾患(例えば、移植(同種移植片)拒絶)、慢性関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、および多発性硬化症)の介在ならびに充実性および血液学的悪性疾患(例えば、白血病およびリンパ腫)に関係している。JAK/STAT経路の薬学的介入の概説に関しては、非特許文献7および非特許文献8を参照されたい。
JAK1、JAK2およびTYK2は、遍在的に発現される一方で、JAK3は、主に造血細胞中で発現される。JAK3はもっぱら、共通のサイトカインレセプターγ鎖(Fcγ)と結合し、そしてIL−2、IL−4、IL−7、IL−9およびIL−15によって活性化される。
JAK3は、多種の生物学的プロセスに関係している。例えば、IL−4およびIL−9によって誘発されるマウスの肥胖細胞の増殖および生存は、JAK3シグナル伝達およびγ鎖シグナル伝達に依存していることが示された(非特許文献9)。JAK3はまた、IgEレセプター媒介性の肥胖細胞の変性応答(非特許文献10)において極めて重要な役割を果たしており、そしてJAK3キナーゼの阻害は、I型過敏性反応(アナフィラキシーを含む)を予防することが示された(非特許文献11)。JAK3阻害はまた、同種移植片拒絶に対する免疫抑制をもたらす(非特許文献12)。
JAK3キナーゼはまた、慢性関節リウマチ(非特許文献13);家族性筋萎縮性側索硬化症(非特許文献14);白血病(非特許文献15);T細胞リンパ腫の形態である菌状息肉腫(非特許文献16);および異常な細胞増殖(非特許文献17;非特許文献18)の初期段階および後期段階に関連するメカニズムに関係している。
Sykキナーゼはまたチロシンキナーゼであり、これはFcγレセプターのシグナル伝達において、ならびに他のシグナル伝達のカスケード(例えば、B細胞レセプターのシグナル伝達(非特許文献19)、ならびに好中球におけるインテグリンβ(1)、β(2)およびβ(3)(非特許文献20)を含むもの)において極めて重要な役割を果たすことが公知である。例えば、Sykキナーゼは、アレルギー性発作を誘発する複数の化学伝達物質の活性化およびその後の放出を引き起こす肥胖細胞における高親和性IgEレセプターのシグナル伝達において中心的な役割を果たす。しかしながら、遅延型もしくは細胞媒介性のIV型過敏性反応に関連する経路を調節するのを助けるJAKキナーゼとは違って、Sykキナーゼは、即時型のIgE媒介性のI型過敏性反応に関連する経路を調節するのを助ける。
JAKキナーゼの重要な役割を考慮して、これらのキナーゼを阻害する化合物の利用可能性が所望される。さらに、Sykキナーゼと比較してJAKキナーゼを選択的に阻害する化合物の利用可能性もまた所望される。
Hardie and Hanks、The Protein Kinase Facts Book、IおよびII、Academic Press、San Diego、CA、1995 Hanks & Hunter、FASEB J.1995、9:576−596 Knightonら、Science、1991、253:407−414 Hilesら、Cell、1992、70:419−429 Kunzら、Cell、1993、73:585−596 Garcia−Bustosら、EMBO J.1994、13:2352−2361 Frank、MoI.Med.1999、5:432:456 Seidelら、Oncogene、2000、19:2645−2656 Suzukiら、Blood、2000、96:2172−2180 Malaviyaら、Biochem.Biophys.Res.Commun.1999、257:807−813 Malaviyaら、J.Biol.Chem.1999、274:27028−27038 Kirken、Transpl.Proc.2001、33:3268−3270 Muller−Ladnerら、J.Immunal.2000、164:3894−3901 Trieuら、Biochem Biophys.Res.Commun.2000、267:22−25 Sudbeckら、Clin.Cancer Res.1999、5:1569−1582 Nielsenら、Prac.Natl.Acad.Sci. USA、1997、94:6764−6769 Yuら、J.Immunal.1997、159:5206−5210 Catlett−Falconeら、Immunity、1999、10:105−115 Tumerら、Immunology Today、2000、21:148−154 Mocsaviら、Immunity、2002、16:547−558
(3.要旨)
特定の2,4−ピリミジンジアミン(2,4−pyrimdinediamine)化合物は、JAKキナーゼの有効なインヒビターであることが、ここで見出された。この化合物はまた、Sykキナーゼに比べるとJAKキナーゼに選択的である。ゆえに、一つの局面において、本開示は、JAKキナーゼの有効かつ選択的インヒビターである2,4−ピリミジンジアミン(2,4−pyrimdinediamine)化合物を提供する。これらの化合物のいくつかの実施形態もまた、Sykキナーゼのインヒビターであるが、これらの化合物のいくつかの実施形態は、Sykキナーゼを認められる程には阻害しない(すなわち、Syk阻害に関して試験するように設計された細胞アッセイおよび/もしくは生化学的アッセイにおいて、約20μMより大きいIC50を示す)。Sykキナーゼを阻害する実施形態は、以下でより詳しく説明される細胞アッセイおよび/もしくは生化学的アッセイにおいて測定された場合、JAKキナーゼに対して、Sykキナーゼよりも少なくとも10倍高い効力がある。多くの実施形態は、JAKキナーゼに対して、Sykキナーゼよりも少なくとも約100倍高い効力がある。
本明細書中に記載されている全ての化合物は、それがSykキナーゼに対して活性であろうと非活性であろうと、JAKキナーゼの有効なインヒビターであり、JAKキナーゼ阻害に関して試験するように設計された細胞アッセイおよび/もしくは生化学的アッセイにおいて、約5μM未満のIC50を示す。
任意の化合物がSykキナーゼを阻害し得る程度、およびJAKに対して「選択的」となお考えられ得る程度は、変わり得、そしてJAKキナーゼに対する特定の化合物の効力にある程度依存する。化合物は、それらがJAKキナーゼに対して、Sykキナーゼよりも少なくとも約10倍高い効力を有する場合(すなわち、これらのIC50(Syk):IC50(JAK)の比が、少なくとも約10である)、Sykに関してJAK選択的であると考えられる。好ましい実施形態において、JAK選択的化合物は、JAKキナーゼに対して、Sykキナーゼよりも少なくとも約100倍高い効力を有する。Sykキナーゼを認められる程には阻害しない化合物の実施形態(すなわち、実施例の節に記載されているCHMCアッセイ、もしくは別のSyk阻害アッセイにおいて、≧20μMのIC50を有する)は、本明細書中で「高度にJAK選択的な」と呼ばれる。
JAK選択的阻害化合物は一般的に、N2窒素原子において、必要に応じて置換されたアリール基もしくはヘテロアリール基によって置換され、そしてN4窒素原子において、必要に応じて置換されたアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、シクロハロアルキル基、アリール基もしくはヘテロアリール基によって置換された2,4−ピリミジンジアミン(2,4−pyrimdinediamine)化合物である。あるいは、N4窒素原子は、飽和した4〜8員の環中に含まれ得る。このピリミジン環は、5位において非置換であり得るが、これは電気陰性基によって典型的に置換される。一つの特定的実施形態において、この電気陰性基は、アルデヒド、ケトン、カルボン酸およびエステル、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ハロ、ブロモ、クロロならびにフルオロから選択される。別の特定的実施形態において、このピリミジン環は、5位においてフルオロ基で置換される。このピリミジン環の6位は、典型的に非置換である。高度にJAK選択的なJAK阻害化合物の特定の典型的実施形態は、表1に説明されている。JAK選択的な二重(dual)JAK−Sykインヒビターである化合物の特定の典型的実施形態は、表2に説明されている。
この化合物は、JAKキナーゼを調節、および特に阻害するために多種の状況において使用され得る。ゆえに、別の局面において、本開示は、JAKキナーゼ活性を調節、および特に阻害する方法を提供する。この方法は一般的に、JAKキナーゼもしくはJAKキナーゼを含む細胞と、JAKキナーゼ活性を調節もしくは阻害するに有効な量の本明細書中に述べるJAK選択的阻害化合物とを接触させる工程を含む。一つの実施形態において、JAKキナーゼは、単離されたJAKキナーゼもしくは組み換えJAKキナーゼである。別の実施形態において、JAKキナーゼは、細胞(例えば、T細胞)によって発現される内因性JAKキナーゼもしくは組み換えJAKキナーゼである。この方法は、少なくともある程度JAKキナーゼ活性によって媒介される疾患の処置もしくは予防への治療的アプローチとして、インビトロ状況もしくはインビボ状況において実施され得る。
調節もしくは阻害されるJAKキナーゼは、任意のJAKキナーゼであり得るか、もしくはJAKキナーゼの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、JAKキナーゼは、JAK3キナーゼであり、そして阻害化合物は、JAKキナーゼファミリーの他のメンバーに比べて、JAK3キナーゼに対して選択的である(すなわち、IC50(JAK):IC50(JAK3)の比が、少なくとも約10である)。
背景の節で述べたように、JAK3キナーゼは、サイトカイン(cytokinetic)レセプターの共通のγ鎖に結合する。この共通のγ鎖(リガンド結合およびシグナル伝達の両方に関連している)は、サイトカインIL−2、IL−4、IL−7、IL−9、IL−15およびIL−21に対する複数鎖のレセプターの共通サブユニットである。JAK3キナーゼは、これらのレセプターの共通のγ鎖に結合するので、共通のγ鎖を利用するこれらおよび他のサイトカインレセプターのシグナル伝達のカスケードを調節、および特に阻害するために、本明細書中で述べるJAK阻害化合物が使用され得る。ゆえに、別の局面において、本開示は、シグナル伝達のカスケードを調節、および特に阻害する方法を提供し、このシグナル伝達のカスケード(例えば、共通のγ鎖を利用するサイトカインレセプターのシグナル伝達のカスケード(IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、IL−15およびIL−21のシグナル伝達のカスケードが挙げられるが、これらに限定されない))で、JAKキナーゼが役割を果たす。この方法は一般的に、JAK依存性レセプターもしくはJAK依存性レセプターを発現する細胞と、シグナル伝達のカスケードを調節もしくは阻害するに有効な量のJAK阻害化合物とを接触させる工程を含む。この方法はまた、特定のJAK依存性シグナル伝達のカスケードの活性によって誘導される下流のプロセスもしくは細胞応答を調節、および特に阻害するために使用され得る。この方法は、JAKキナーゼが役割を果たすことが現在公知であるか、もしくは後に役割を果たすことが見出される任意のシグナル伝達のカスケードを調節するために実施され得る。この方法は、JAK依存性シグナル伝達のカスケードの活性によって特徴づけられるか、JAK依存性シグナル伝達のカスケードの活性によって引き起こされるか、もしくはJAK依存性シグナル伝達のカスケードの活性に関連する疾患の処置もしくは予防への治療的アプローチとして、インビトロ状況もしくはインビボ状況において実施され得る。このような疾患の非限定的な例は、以下に記載される。
背景の節で述べたように、JAKキナーゼは、多くの疾患経路に関係し、そして/または、多くの疾患経路において重要な役割を果たすことが示されている。JAKキナーゼを阻害するこれらの能力の結果、少なくともある程度JAKキナーゼ活性によって媒介される任意の疾患を実際に処置もしくは予防するために、本明細書中で述べる化合物が使用され得る。ゆえに、なお別の局面において、本開示は、少なくともある程度JAKキナーゼによって媒介される疾患を処置もしくは予防する方法を提供する。この方法は、獣医学的状況における動物、もしくはヒトにおいて実施され得る。この方法は一般的に、JAK媒介疾患を処置もしくは予防するに有効な量のJAK阻害化合物を、動物もしくはヒトに投与する工程を含む。この方法にしたがって処置もしくは予防され得る、少なくともある程度JAKキナーゼによって媒介される疾患の例としては、アレルギー、ぜんそく、自己免疫疾患(例えば、移植拒絶(例えば、腎臓、心臓、肺、肝臓、すい臓、皮膚、対宿主性移植片拒絶反応(HVGR)など、慢性関節リウマチ、および筋萎縮性側索硬化症)、多発性硬化症、乾癬およびシェーグレン病、II型炎症性疾患(例えば、血管炎症(脈管炎、動脈炎(ateritis)、アテローム性動脈硬化症、および冠状動脈疾患を含む))、中枢神経系の疾患(例えば、脳卒中)、肺疾患(例えば、閉塞性気管支炎)、ならびに原発性高血圧症および原発性肺高血圧症、遅延型もしくは細胞媒介のIV型過敏症、ならびに充実性および血液学的悪性疾患(例えば、白血病およびリンパ腫)が挙げられるが、これらに限定されない。
JAK阻害化合物は、SykキナーゼよりもJAKキナーゼに対して選択的であるので、本明細書中で述べるJAK阻害化合物は、Sykキナーゼインヒビターが有効でない場合に、治療的および/もしくは予防的レジメンにおいて使用され得る。例えば、これらは、Sykキナーゼ阻害化合物での処置に反応しない患者もしくはこのような化合物に対して無反応になった患者のいずれかにおいて、少なくともある程度JAKキナーゼおよびSykキナーゼの両方によって媒介される疾患を処置および/もしくは予防するために、治療的および/もしくは予防的レジメンにおいて使用され得る。
他の実施形態において、JAK選択的化合物は、Sykキナーゼではなく、少なくともある程度JAKキナーゼによって媒介される疾患を処置および/もしくは予防するために、治療的および/もしくは予防的レジメンにおいて使用され得る。
なお他の実施形態において、JAK選択的化合物は、SykおよびJAKの両方が役割を果たす疾患を処置および/もしくは予防するために、Syk阻害化合物と合わせてか、もしくは組み合わせて使用され得る。このような疾患の具体的かつ非限定的な例としては、記載したものが挙げられる。JAK阻害化合物およびSyk阻害化合物は、併用療法として一緒にか、もしくは逐次的に次々に投与され得る。例えば、JAK阻害化合物およびSyk阻害化合物は、組み合わせの組成物の形態で一緒に同時に投与され得るか、もしくは異なる時間に投与され得る。
いくつかの実施形態において、JAK阻害化合物は、既存の治療に付属的に使用され得る。例えば、臓器および組織移植患者の同種移植拒絶に関連する初期の超急性拒絶反応は、抗体依存性である。しかしながら、急性拒絶反応は、T細胞によって媒介される。JAKキナーゼは、T細胞を活性化させるので、本明細書中で述べるJAK阻害化合物は、急性拒絶反応を改善もしくは予防するアプローチとして他の同種移植拒絶治療の付属的治療として使用され得る。これらはまた、慢性拒絶反応を処置および/もしくは予防するために使用され得る。特定の実施形態において、急性拒絶反応は、Syk阻害化合物(および/もしくは他の従来の免疫抑制剤)で処置もしくは予防され得、そして慢性拒絶反応は、本明細書中で述べるJAK選択的阻害化合物で処置もしくは予防され得る。この状況において、JAK選択的阻害化合物は、認可されれば、他の治療に付属的に投与され得る。
Sykキナーゼは、B細胞の生成に関連している一方で、JAKキナーゼはT細胞の活性に関連している。その結果、JAK選択的阻害化合物は、B細胞の生成に影響を与えないと予測され、これは、T細胞によって主に媒介される自己免疫疾患の処置もしくは予防において有用であると期待される。ゆえに、なお別の局面において、本開示は、T細胞によって主に媒介される自己免疫疾患を処置もしくは予防する方法を提供する。この方法は、T細胞媒介性の自己免疫疾患を処置および/もしくは予防するに有効な量の本明細書中で述べるJAK選択的阻害化合物を、動物もしくはヒトの被験体に投与する工程を含む。本明細書中で述べるJAK選択的阻害化合物で処置もしくは予防され得るT細胞媒介性の自己免疫疾患としては、多発性硬化症、乾癬およびシェーグレン病が挙げられるが、これらに限定されない。
(4.表の簡単な説明)
表1は、高度にJAK選択的なJAK阻害化合物の例示的実施形態を提供し;そして
表2は、JAK選択的なJAK阻害化合物の例示的実施形態を提供する。
(5.好ましい実施形態の詳細な説明)
5.1 定義
本明細書中で使用される場合、以下の用語は、以下の意味を有すると意図される。
「アルキル」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、飽和もしくは不飽和の分枝状、直鎖状もしくは環状の一価の炭化水素ラジカルをいい、これは指定される数の炭素原子を有し(すなわち、C1−C6は、1〜6個の炭素原子を意味する)、これは、親アルカン、アルケンもしくはアルキンの1つの炭素原子から1つの水素原子を取り除くことによって誘導される。典型的なアルキル基としては、メチル基;エチル基(例えば、エタニル、エテニル、エチニル);プロピル基(例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル;シクロプロパ−2−エン−1−イル、プロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イルなど);ブチル基(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の飽和度が意図されている場合、学術用語の「アルカニル」、「アルケニル」、および/もしくは「アルキニル」が使用され、それらは以下に定義される通りである。好ましい実施形態において、アルキル基は、(C1−C6)アルキルである。
「アルカニル」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、親アルカンの1つの炭素原子から1つの水素原子を取り除くことによって誘導される、飽和の分枝状、直鎖状もしくは環状のアルキルをいう。典型的なアルカニル基としては、メタニル基;エタニル基;プロパニル基(例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなど);ブタニル基(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチルプロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、アルカニル基は、(C1−C6)アルカニルである。
「アルケニル」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、親アルケンの1つの炭素原子から1つの水素原子を取り除くことによって誘導される、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を有する不飽和の分枝状、直鎖状もしくは環状のアルキルをいう。この基は、この二重結合に関してシスもしくはトランスのいずれかの立体配座であり得る。典型的なアルケニル基としては、エテニル基;プロペニル基(例えば、プロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、プロパ−2−エン−2−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル;シクロプロパ−2−エン−1−イル);ブテニル基(例えば、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、アルケニル基は、(C2−C6)アルケニルである。
「アルキニル」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、親アルキンの1つの炭素原子から1つの水素原子を取り除くことによって誘導される、少なくとも1つの炭素炭素三重結合を有する不飽和の分枝状、直鎖状もしくは環状のアルキルをいう。典型的なアルキニル基としては、エチニル基;プロピニル基(例えば、プロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イルなど);ブチニル基(例えば、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、アルキニル基は、(C2−C6)アルキニルである。
「アルキルジイル」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、飽和もしくは不飽和の、分枝状、直鎖状もしくは環状の2価の炭化水素基を示し、これは指定される数の炭素原子を有し(すなわち、C1−C6は、1〜6個の炭素原子を意味する)、これは、親アルカン、アルケンもしくはアルキンの2つの異なる炭素原子からそれぞれ1つの水素原子を取り除くことによって誘導されるか、もしくは、親アルカン、アルケン、もしくはアルキンの1つの炭素原子から2つの水素原子を取り除くことによって誘導される。この2つの1価のラジカルの中心もしくは2価のラジカルの中心のそれぞれの原子価は、同じもしくは別の原子との結合を形成し得る。典型的なアルキルジイル基としては、メタンジイル基;エチルジイル基(例えば、エタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル);プロピルジイル基(例えば、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロパ−1−エン−1,1−ジイル、プロパ−1−エン−1,2−ジイル、プロパ−2−エン−1,2−ジイル、プロパ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロパ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロパ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロパ−2−エン−1,1−ジイル、プロパ−1−イン−1,3−ジイルなど);ブチルジイル基(例えば、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,1−ジイル、ブタ−1−エン−1,2−ジイル、ブタ−1−エン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロパ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,3−ジイル、シクロブタ−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1,4−ジイルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の飽和度が意図されている場合、学術用語のアルカニルジイル、アルケニルジイル、および/もしくはアルキニルジイルが使用される。この2つの原子価が同じ炭素原子上にあると具体的に意図される場合、学術用語の「アルキリデン」が使用される。好ましい実施形態において、アルキルジイル基は、(C1−C6)アルキルジイルである。また、好ましいのは、ラジカル中心が末端の炭素に位置している、飽和した非環状のアルカニルジイル基である(例えば、メタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1,4−ジイル(ブタノ)など)(また、アルキレノ(alkyleno)とも呼び、下に定義する)。
「アルキレノ」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、2つの1価のラジカルの中心を末端に有する直鎖状の飽和もしくは不飽和のアルキルジイル基をいい、これは直鎖状の親アルカン、アルケン、もしくはアルキンの2つの末端の炭素原子からそれぞれ1つの水素原子を取り除くことによって誘導される。二重結合もしくは三重結合の部位識別文字は、もしあった場合、特定のアルキレノにおいては、四角のかっこ内に表される。典型的なアルキレノ基としては、メタノ基;エチレノ基(例えば、エタノ、エテノ、エチノ);プロピレノ基(例えば、プロパノ、プロパ[1]エノ、プロパ[1,2]ジエノ、プロパ[1]イノなど);ブチレノ基(例えば、ブタノ、ブタ[1]エノ、ブタ[2]エノ、ブタ[1,3]ジエノ、ブタ[1]イノ、ブタ[2]イノ、ブタ[1,3]ジイノなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の飽和度が意図されている場合、学術用語のアルカノ、アルケノ、および/もしくはアルキノが使用される。好ましい実施形態において、アルキレノ基は、(C1−C6)もしくは(C1−C3)アルキレノである。また、好ましいのは、直鎖状で飽和のアルカノ基である(例えば、メタノ、エタノ、プロパノ、ブタノなど)。
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルカニル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、「ヘテロアルキルジイル」および「ヘテロアルキレノ」は、それら自体もしくは別の置換基の一部として、アルキル基、アルカニル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルジイル基およびアルキレノ基をそれぞれいい、ここで、1つ以上の炭素原子が、同じもしくは異なるヘテロ原子もしくはヘテロ原子の基でそれぞれ独立して置き換えられる。炭素原子を置き換え得る典型的なヘテロ原子および/もしくはヘテロ原子の基としては、−O−、−S−、−S−O−、−NR’−、−PH−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−、−S(O)NR’−など(これらの組み合わせを含む)が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、それぞれのR’は、独立して水素もしくは(C1−C6)アルキルである。
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それら自体もしくは別の置換基の一部として、それぞれ「アルキル」基および「ヘテロアルキル」基の環状化したものをいう。ヘテロアルキル基に関しては、ヘテロ原子は、分子の残りに結合している位置を占め得る。典型的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル基;シクロブチル基(例えば、シクロブタニルおよびシクロブテニル);シクロペンチル基(例えば、シクロペンタニルおよびシクロペンテニル);シクロヘキシル基(例えば、シクロヘキサニルおよびシクロヘキセニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。典型的なヘテロシクロアルキル基としては、テトラヒドロフラニル基(例えば、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イルなど)、ピペリジニル基(例えば、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イルなど)、モルホリニル基(例えば、モルホリン−3−イル、モルホリン−4−イルなど)、ピペラジニル基(例えば、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イルなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。
「非環状のヘテロ原子架橋」は、骨格原子がもっぱらヘテロ原子および/もしくはヘテロ原子の基である、2価の架橋をいう。典型的な非環状のヘテロ原子架橋としては、−O−、−S−、−S−O−、−NR’−、−PH−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−、−S(O)NR’−など(これらの組み合わせを含む)が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、それぞれのR’は、独立して水素あるいは(C1−C6)アルキルである。
「親芳香族環系」は、共役したπ電子系を有する不飽和の環式もしくは多環式環系をいう。「親芳香族環系」の定義内に具体的に含まれるのは、1つ以上の環が芳香族であり、かつ1つ以上の環が飽和もしくは不飽和である縮合環系(例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレン、テトラヒドロナフタレンなど)である。典型的な親芳香族環系としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、テトラヒドロナフタレン、トリフェニレン、トリナフタレンなど、ならびにこれらの多種の水素異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
「アリール」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、指定される数の炭素原子を有する(すなわち、C5−C15は、5〜15個の炭素原子を意味する)1価の芳香族炭化水素基をいい、これは、親芳香族環系の1つの炭素原子から1つの水素原子を取り除くことによって誘導される。典型的なアリール基としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどから誘導される基ならびにこれらの多種の水素異性体が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、アリール基は、(C5−C15)アリールであり、(C5−C10)はなおより好ましい。特に好ましいアリールは、シクロペンタジエニル、フェニルおよびナフチルである。
「アリールアリール」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、1価の炭化水素基をいい、これは、環系の1つの炭素原子から1つの水素原子を取り除くことによって誘導され、ここで、2つ以上の同一もしくは非同一の親芳香族環系が、単結合によって直接結合されており、ここで、このような直接的な環結合の数は、含まれる親芳香族環系の数より1つ少ない。典型的なアリールアリール基としては、ビフェニル、トリフェニル、フェニル−ナフチル、ビナフチル、ビフェニル−ナフチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アリールアリール基内の炭素原子の数が特定される場合、この数は、それぞれの親芳香族環を構成する炭素原子をいう。例えば、(C5−C15)アリールアリールは、それぞれの芳香族環が、5〜15個の炭素を含むアリールアリール基である(例えば、ビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、フェニルナフチルなど)。好ましくは、アリールアリール基のそれぞれの親芳香族環系は、独立して(C5−C15)芳香族であり、さらに好ましくは、(C5−C10)芳香族である。また、好ましいのは、全ての親芳香族環系が同一であるアリールアリール基である(例えば、ビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、トリナフチルなど)。
「ビアリール」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、単結合によって直接結合されている2つの同一の親芳香族系を有するアリールアリール基をいう。典型的なビアリール基としては、ビフェニル、ビナフチル、ビアントラシル(bianthracyl)などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、芳香族環系は、(C5−C15)芳香族環であり、さらに好ましくは、(C5−C10)芳香族環である。特に好ましいビアリール基は、ビフェニルである。
「アリールアルキル」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、非環式アルキル基をいい、ここで、炭素原子(代表的に、末端のsp炭素原子)に結合している水素原子の1つが、アリール基によって置き換えられる。典型的なアリールアルキル基としては、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定のアルキル部分が意図される場合、学術用語のアリールアルカニル、アリールアルケニルおよび/もしくはアリールアルキニルが使用される。好ましい実施形態において、アリールアルキル基は、(C6−C21)アリールアルキルである(例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルもしくはアルキニル部分は、(C1−C6)であり、アリール部分は、(C5−C15)である)。特に好ましい実施形態において、アリールアルキル基は、(C6−C13)である(例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルもしくはアルキニル部分は、(C1−C3)であり、アリール部分は、(C5−C10)である)。
「親ヘテロ芳香族環系」は、1つ以上の炭素原子がそれぞれ独立して、同じもしくは異なるヘテロ原子もしくはヘテロ原子の基で置き換えられる親芳香族環系をいう。炭素を置き換えるための典型的なヘテロ原子もしくはヘテロ原子の基としては、N、NH、P、O、S、S(O)、S(O)、Siなどが挙げられるが、これらに限定されない。「親へテロ芳香族環系」の定義内に具体的に含まれるのは、1つ以上の環が芳香族であり、そして1つ以上の環が飽和もしくは不飽和である縮合環系である(例えば、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなど)。また、「親へテロ芳香族環系」の定義内に具体的に含まれるのは、一般的な置換基を含む認識された環である(例えば、ベンゾピロンおよび1−メチル−1,2,3,4−テトラゾール)。「親へテロ芳香族環系」の定義から具体的に排除されるのは、環式ポリアルキレングリコール(例えば、環式ポリエチレングリコール)に縮合したベンゼン環である。典型的な親ヘテロ芳香族環系としては、アクリジン、ベンズイミダゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、ベンゾピロン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサキシン(benzoxaxine)、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾリン、カルバゾール、βーカルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
「ヘテロアリール」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、指定される数の環原子(例えば、「5〜14員の」は、5〜14個の環原子を意味する)を有する、1価のヘテロ芳香族基をいい、これは親へテロ芳香族環系の1つの原子から1つの水素原子を取り除くことによって誘導される。典型的なヘテロアリール基としては、アクリジン、ベンズイミダゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール(benzodiaxole)、ベンゾフラン、ベンゾピロン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾリン、カルバゾール、βーカルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから誘導される基、ならびにこれらの多種の水素異性体が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、ヘテロアリール基は、5〜14員のヘテロアリールであり、5〜10員のヘテロアリール基が特に好まれる。
「ヘテロアリール−ヘテロアリール」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、1価のヘテロ芳香族基をいい、これは、環系の1つの原子から1つの水素原子を取り除くことによって誘導され、ここで、2つ以上の同一もしくは非同一の親へテロ芳香族環系が、単結合によって直接結合されており、ここで、このような直接的な環結合の数は、含まれる親ヘテロ芳香族環系の数より1つ少ない。典型的なヘテロアリール−ヘテロアリール基としては、ビピリジル、トリピリジル、ピリジルプリニル、ビプリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。原子の数が特定される場合、この数は、それぞれの親ヘテロ芳香族環系が有する原子の数を示す。例えば、5〜15員のヘテロアリール−ヘテロアリールは、それぞれの親ヘテロ芳香族環系が5〜15個の原子を有するヘテロアリール−ヘテロアリール基である(例えば、ビピリジル、トリプリジルなど)。好ましくは、それぞれの親へテロ芳香族環系は、独立して5〜15員のヘテロ芳香族であり、さらに好ましくは、5〜10員のヘテロ芳香族である。また、好ましいのは、全ての親へテロ芳香族環系が同一であるヘテロアリール−ヘテロアリール基である。
「ビヘテロアリール」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、単結合によって共に直接結合されている2つの同一の親へテロ芳香族環系を有するヘテロアリール−ヘテロアリール基をいう。典型的なビヘテロアリール基としては、ビピリジル、ビプリニル、ビキノリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ヘテロ芳香族環系は、5〜15員のヘテロ芳香族環であり、さらに好ましくは、5〜10員のヘテロ芳香族環である。
「ヘテロアリールアルキル」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、非環式のアルキル基をいい、ここで、炭素原子に結合している水素原子の1つ(典型的に、末端のもしくはsp炭素原子)が、ヘテロアリール基と置き換えられる。特定のアルキル部分が意図される場合、学術用語のヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニル、および/もしくはヘテロアリールアルキニルが使用される。好ましい実施形態において、ヘテロアリールアルキル基は、6〜21員のヘテロアリールアルキルである(例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルもしくはアルキニル部分は、(C1−C6)アルキルであり、そしてヘテロアリール部分は、5〜15員のヘテロアリールである)。特に好ましい実施形態において、ヘテロアリールアルキルは、6〜13員のヘテロアリールアルキルである(例えば、アルカニル、アルケニルもしくはアルキニル部分は、(C1−C3)アルキルであり、そしてヘテロアリール部分は、5〜10員のヘテロアリールである)。
「ハロゲン」もしくは「ハロ」は、それら自体もしくは別の置換基の一部として、別に明示されない限り、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいう。
「ハロアルキル」は、それ自体もしくは別の置換基の一部として、1つ以上の水素原子がハロゲンに置き換えられたアルキル基をいう。ゆえに、「ハロアルキル」という用語は、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルなどからペルハロアルキルまでを含むことを意味する。例えば、「(C1−C2)ハロアルキル」という表現は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチルなどを含む。
上記で定義した基は、さらに十分に認識された置換基を生み出すために当該分野で一般的に使われる接頭辞および/もしくは接尾辞を含み得る。例として、「アルキルオキシ」もしくは「アルコキシ」は式−OR’’の基をいい、「アルキルアミン」は式−NHR’’の基をいい、そして「ジアルキルアミン」は式−NR’’R’’の基をいい、ここではそれぞれのR’’は独立してアルキルである。別の例として、「ハロアルコキシ」もしくは「ハロアルキルオキシ」は式−OR’’’の基をいい、ここではR’’’はハロアルキルである。
「保護基」は、分子内の反応性官能基に結合した場合に、その官能基の反応性を遮蔽するか、低減するか、もしくは妨げる原子の基を示す。典型的に、保護基は、合成の過程の間に所望するように選択的に取り除かれ得る。保護基の例は、Greene and Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、第3版、1999、John Wiley & Sons、NYおよびHarrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods、Vols.1−8、1971−1996、John Wiley & Sons、NY中で見出され得る。代表的なアミノ保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert−ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(「TES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なヒドロキシル保護基としては、ヒドロキシル基がアシル化されたか、もしくはアルキル化されたかのいずれかであるもの(例えば、ベンジルエーテルおよびトリチルエーテルならびにアルキルエーテル)、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMSもしくはTIPPS基)およびアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
「プロドラッグ」は、活性薬剤を放出するために使用の条件下(例えば、体内)で変換を必要とする活性JAK阻害化合物(薬剤)の誘導体を示す。プロドラッグは、活性薬剤に変換されるまでは薬理学的にしばしば不活性であるが、必ずしもそうではない。プロドラッグは典型的に、活性にある程度必要であると考えられている薬剤中の官能基を、プログループ(progroup)(下記に定義する)で遮蔽し、特定の使用条件下で変換(例えば、切断)を受けて、この官能基(したがって活性薬剤)を放出するプロモエティー(promoiety)を形成することによって得られる。プロモエティーの切断は、例えば、加水分解反応によって自発的に進み得るか、あるいはこれは、別の因子(例えば、酵素、光、酸もしくは塩基によってか、または物理的もしくは環境的パラメーターの変化あるいは物理的もしくは環境的パラメーターにさらすこと(例えば、温度の変化)によって触媒され得るか、もしくは誘発され得る。この因子は、使用の条件(例えば、プロドラッグが投与される細胞内の酵素の存在、もしくは胃の中の酸性条件)に内因し得るか、もしくはこれは外因的に供給され得る。
活性JAK選択的阻害化合物中の官能基を遮蔽してプロドラッグを産出するのに適した、広範囲にわたる種類のプログループ、ならびに結果として生じたプロモエティーは、当該分野において周知である。例えば、ヒドロキシル官能基は、スルホネート、エステルもしくはカルボネートのプロモエティーとして遮蔽され得、これは、ヒドロキシル基を提供するためにインビボで加水分解され得る。アミノ官能基は、アミド、カルバメート、イミン、尿素、ホスフェニル、ホスホリルもしくはスルフェニルのプロモエティーとして遮蔽され得、これは、アミノ基を提供するためにインビボで加水分解され得る。カルボキシル基は、エステル(シリルエステルおよびチオエステルを含む)、アミドもしくはヒドラジドのプロモエティーとして遮蔽され得、これは、カルボキシル基を提供するためにインビボで加水分解され得る。適切なプログループおよびこれらの対応するプロモエティーの他の特定的な例は、当業者には明らかである。
「プログループ」は、プロモエティーを形成するために活性薬剤中の官能基を遮蔽するために使用された際に、その薬剤をプロドラッグに変換する保護基のタイプを示す。プログループは典型的に、薬剤の官能基に、使用の特定の条件下で切断可能な結合をとおして結合している。ゆえに、プログループは、使用の特定の条件下で切断し、官能基を放出するプロモエティーの部分である。具体的な例としては、式−NH−C(O)CHのアミドのプロモエティーは、−C(O)CHのプログループを含む。
5.2 JAK選択的阻害化合物
要旨内で述べたように、JAK選択的化合物は一般的に、ピリミジン環のN2窒素、N4窒素および必要に応じて5位に特定の置換基を有する、2,4−ピリミジンジアミンである。具体的な例示的JAK選択的阻害化合物は、表1および表2に説明されている。細胞性の肥胖細胞の脱顆粒アッセイ内で得られたIC50を、細胞性のIL−4活性化アッセイ内で得られたIC50と比べることによって決定された場合、表1および表2内で説明されている全ての化合物は、Sykキナーゼに比べると、JAKキナーゼに対して選択的である(実施例中で提供されるアッセイを参照されたい)。それぞれの化合物のIC50比、およびそれによるSykキナーゼと比較したJAKキナーゼに対する選択性の「程度」は、表中に提供される。
表2に説明される化合物はJAK選択的であるが、これらはまた、Sykキナーゼをある程度阻害する。例えば、肥胖細胞の脱顆粒アッセイ内のIC50値は、おおよそ0.1μM〜20μMの範囲であり、ほとんどは、1μM〜5μMの範囲内である。ゆえに、表2に説明される化合物は、基本的にJAK選択的な「二重」JAK/Sykインヒビターである。
純然たる対比をして、表1に説明される化合物は、Sykキナーゼを認めるほどには阻害しない。これらの化合物の全ては、肥胖細胞の脱顆粒アッセイにおいて少なくとも約50μMのIC50を示す。表1に提供される選択性の比は、特定された化合物の最小比であり、これらは、50μMのSyk阻害のIC50(これは、このアッセイを行うために使用される方法論のおおよその上限であった)を使用して計算されたとおりである。
表1および表2内の全ての化合物は、JAKキナーゼの有効なインヒビターであり、これはIL−4活性アッセイにおいて、5μM未満の範囲のIC50を示し、ほとんどは、ナノモル濃度の範囲、そしていくつかにおいてはサブナノモル濃度の範囲である。
当業者は、本明細書中に記載のJAK選択的阻害化合物は、プロドラッグを生み出すためにプログループで遮蔽され得る官能基を含み得ることを理解する。このようなプロドラッグは一般的に、それらの薬剤の活性形態に変換されるまでは薬理学的に不活性であるが、必ずしもそうではない。実際、表1および表2に記載されているJAK選択的阻害化合物の多くは、使用の条件下で、加水分解可能であるか、そうでなければ切断可能であるプロモエティーを含む。例えば、エステル基は一般的に、胃の酸性条件にさらされた場合、酸触媒される加水分解を受けて、親カルボン酸を生じるか、あるいは腸もしくは血液の塩基性条件にさらされた場合、塩基触媒される加水分解を受ける。ゆえに、被験体に経口で投与された場合、エステル部分を含むJAK選択的阻害化合物は、このエステル形態が薬理学的に活性かどうかにもかかわらず、それらの対応するカルボン酸のプロドラッグであるとみなされ得る。
プロドラッグにおいて、任意の利用可能な官能性の部分は、プロドラッグを産出するためにプログループで遮蔽され得る。JAK選択的阻害化合物中の、プロモエティー中への封入のためのプログループで遮蔽され得る官能基としては、アミン(第一および第二)、ヒドロキシル、スルファニル(チオール)、カルボキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。所望する条件下で分割可能なプロモエティーを産出するためにこのような官能基を遮蔽するのに適した無数のプログループは、当該分野において公知である。これらのプログループの全ては、単独でもしくは組み合わせてプロドラッグ中に含まれ得る。
当業者は、本明細書中に記載の化合物およびプロドラッグ、ならびに本明細書中に具体的に記載および/もしくは説明されている多種の化合物種の多くは、互変異性、配座異性、幾何異性および/もしくは光学異性の現象を示し得ることを理解する。例えば、化合物およびプロドラッグは、1つ以上のキラル中心および/もしくは二重結合を含み得、その結果、これは立体異性体(例えば、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体))、エナンチオマーおよびジアステレオマーならびにこれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)として存在し得る。別の例としては、化合物およびプロドラッグは、いくつかの互変異性の形態(エノール形態、ケト形態およびこれらの混合物を含む)で存在し得る。本明細書および特許請求の範囲内の多種の化合物の名前、式および化合物の図は、可能な互変異性形態、配座異性形態、光学異性形態もしくは幾何異性形態のうちの1つのみを表し得るので、本発明が、本明細書中に記載の1つ以上の有用性を有する化合物もしくはプロドラッグの任意の互変異性形態、配座異性形態、光学異性形態および/もしくは幾何異性形態、ならびにこれらの多種の異なる異性形態の混合物を包含することは理解されるべきである。2,4−ピリミジンジアミンの中心構造のまわりの限定された回転の場合、アトロプ異性体もまた可能であり、そしてこれもまた本発明の化合物に具体的に含まれる。
さらに、当業者は、代案的置換基のリストが、原子価の必要条件および他の理由に起因して、特定の基を置換するために使用され得ないメンバーを含む場合、このリストは、特定の基を置換するのに適したリストのメンバーを含む文脈で読まれることが意図されることを理解する。例えば、当業者は、アルキル基を置換するために事実上任意の置換基が使用され得るが、特定の置換基(例えば、=O)は、フェニル基を置換するために使用され得ないことを理解する。置換基のペアの可能な組み合わせのみが意図されることが理解されるべきである。
化合物および/もしくはプロドラッグは、それらの化学構造もしくはそれらの化学名のいずれかによって同定され得る。化学構造および化学名が矛盾する場合、化学構造が、特定の化合物の正体の決定するものである。
多種の置換基の特性に依存して、JAK選択的阻害化合物およびプロドラッグは、塩の形態であり得る。このような塩としては、薬学的使用に適した塩(「薬学的に受容可能な塩」)、獣医学的使用に適した塩などが挙げられる。このような塩は、当該分野で周知であるように、酸もしくは塩基から誘導され得る。
一つの実施形態において、塩は薬学的に受容可能な塩である。一般的に、薬学的に受容可能な塩は、親化合物の1つ以上の所望する薬理学的活性を実質的に保持する塩であり、これはヒトへの投与に適している。薬学的に受容可能な塩としては、無機酸もしくは有機酸を用いて形成される酸付加塩が挙げられる。薬学的に受容可能な酸付加塩を形成するのに適した無機酸としては、例として、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸(hydriodic)など)、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に受容可能な酸付加塩を形成するのに適した有機酸として、例として、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸など)、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリルスルホン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
薬学的に受容可能な塩としてはまた、親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンもしくはアルミニウムイオン)によって置き換えられる際か、もしくは有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)と配位結合した際のいずれかによって形成される塩が挙げられる。
本明細書中に記載のJAK選択的阻害の化合物およびプロドラッグ、ならびにそれらの塩もまた、当該分野において周知なように、水和物、溶媒和物およびN−酸化物の形態であり得る。
5.3 合成の方法
JAK選択的阻害の化合物およびプロドラッグは、多種の異なる合成経路をとおして、市販されている出発物質および/もしくは従来の合成方法によって調製された出発物質を使用して合成され得る。適切な例示的方法は、米国特許公開第2004/0029902号(2003年1月31日に出願されたSerial No.10/355,543)中に記載されており、この開示は、本明細書中に参考として援用される。
5.4 JAKキナーゼの阻害
JAKキナーゼのインヒビターとしての特定の化合物の活性は、インビトロもしくはインビボで評価され得る。いくつかの実施形態において、特定の化合物の活性は、細胞アッセイ内で試験され得る。適切なアッセイとしては、活性化されたJAKキナーゼのリン酸化活性もしくはATPアーゼ活性のいずれかの阻害を決定するアッセイが挙げられる。ゆえに、化合物は、それが約10μM以下のIC50で活性化JAKキナーゼのリン酸化活性もしくはATPアーゼ活性を阻害した場合、JAKキナーゼの活性を阻害したと言われる。JAKキナーゼ阻害(特にJAK1および/もしくはJAK3キナーゼ阻害)を評価するための特定のアッセイは、実施例の節に記載されている。
Sykキナーゼ阻害活性を評価するために、Sykキナーゼと比較して同様のタイプのアッセイが使用され得、特定の化合物の選択性の程度を決定し得る。Sykキナーゼ阻害を評価するための適切なアッセイ(例えば、IgE媒介性の肥胖細胞の脱顆粒の阻害を評価するアッセイ)は、米国特許公開第2004/0029902号(2003年1月30日に出願されたSerial No.10/355,543)中に記載されており、この開示は、参考として援用される。選択性はまた、単離されたキナーゼを用いた生化学的アッセイ中でも確定され得る。
5.5 使用および組成物
上記で議論したように、本明細書中に記載の化合物は、JAKキナーゼの有効かつ選択的インヒビターである。この活性の結果、この化合物は、JAKキナーゼの活性、JAKキナーゼが役割を果たすシグナル伝達のカスケードおよびこのようなシグナル伝達のカスケードによって影響を受ける生物学的反応を調節もしくは阻害するために、多種のインビトロ、インビボおよびエクスビボの状況において使用され得る。例えば、一つの実施形態において、この化合物は、JAKキナーゼを阻害するために、実質的にはJAKキナーゼを発現する任意の細胞のタイプにおいてインビトロもしくはインビボのいずれかで使用され得る。これらはまた、JAKキナーゼが役割を果たすシグナル伝達のカスケードを調節するために使用され得る。このようなJAK依存性シグナル伝達のカスケードとしては、共通のγ鎖を含むサイトカインレセプターのシグナル伝達のカスケード(例えば、IL−3、IL−4、IL−7、IL−5、IL−9、IL−15およびIL−21レセプターのシグナル伝達のカスケード)が挙げられるが、これらに限定されない。この化合物はまた、このようなJAK依存性のシグナル伝達のカスケードによって影響を受ける細胞性反応もしくは生物学的反応を調節、および特に阻害するためにインビトロもしくはインビボで使用され得る。このような細胞性反応もしくは生物学的反応としては、IL−4/ramos CD23アップレギュレーション、IL−2媒介性のT細胞増殖などが挙げられるが、これらに限定されない。重要なことに、この化合物は、JAKキナーゼ活性によって全体的にかもしくは部分的にかのいずれかで媒介される疾患(本明細書中では、「JAKキナーゼ媒介性疾患」と呼ぶ)の処置もしくは予防への治療的アプローチとして、インビボでJAKキナーゼを阻害するために使用され得る。この化合物で処置もしくは予防され得るJAKキナーゼ媒介性疾患の非限定的な例としては、アレルギー、ぜんそく、自己免疫疾患(例えば、移植拒絶(例えば、腎臓、心臓、肺、肝臓、すい臓、皮膚;対宿主性移植片拒絶反応(HVGR)など)、慢性関節リウマチ、および筋萎縮性側索硬化症、T細胞媒介性自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症、乾癬およびシェーグレン病)、II型炎症性疾患(例えば、血管炎症(脈管炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、および冠状動脈疾患を含む)、中枢神経系の疾患(例えば、脳卒中)、肺疾患(例えば、閉塞性気管支炎および原発性肺高血圧症)、ならびに充実性の遅延型IV型過敏症、ならびに血液学的悪性疾患(例えば、白血病およびリンパ腫)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、この化合物は、臓器および/もしくは組織の移植レシピエントの拒絶反応を処置もしくは予防する(すなわち、同種移植拒絶を処置および/もしくは予防する)ために使用され得る。
同種移植片(alloraft)は、ドナーの細胞の膜上に存在する移植(組織適合性)抗原に対するレシピエントの細胞媒介性反応もしくは体液免疫反応のいずれかをとおして拒絶され得る。最も強い抗原は、ヒト白血球グループA(HLA)抗原という名称の遺伝子座の複合体によって支配される。ABO血液型の抗原と合わせて、これらはヒト内で検出可能な主な移植抗原である。
移植後の拒絶反応は一般的に3つのカテゴリーに分けられ得る:超急性拒絶反応(移植後の数時間〜数日に起こる);急性拒絶反応(移植後の数日〜数ヶ月に起こる);そして慢性拒絶反応(移植後の数ヶ月〜数年に起こる)。
超急性拒絶反応は、移植片組織を攻撃する宿主抗体の生成によって主に引き起こされる。超急性拒絶反応において、移植のすぐ後に、移植血管内で抗体が観察される。そのすぐ後に、血管凝固が起こり、虚血、結果として壊死および死をもたらす。移植片梗塞は、公知の免疫抑制治療に対して反応を示さない。HLA抗原がインビトロで同定され得るので、超急性拒絶反応を大幅に減じるために、移植前のスクリーニングが使用される。このスクリーニングの結果、超急性拒絶反応は、いまや比較的にまれである。
急性拒絶反応は、移植片組織内の抗原特異的な細胞の蓄積によって媒介されていると考えられている。これらの抗原に対するT細胞媒介性免疫反応(すなわち、HVGR)は、急性拒絶反応の原則的メカニズムである。これらの細胞の蓄積は、例えば、標準的反応および/もしくは血管血栓症に関しては無害である宿主CTLをとおして移植片細胞のダメージを引き起こす。CD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞の両方がプロセスに関連していることが考えられており、そして抗原はドナーおよび宿主樹状細胞によって提示されると考えられている。CD4+ヘルパーT細胞は、移植片へ他のエフェクター細胞(例えば、マクロファージおよび好酸球(cosinophil))をリクルート(recruit)する助けをする。T細胞活性化のシグナル伝達のカスケード(例えば、CD28、CD40LおよびCD2カスケード)にアクセスすることもまた含まれる。
移植片細胞は、種々の程度の出血および水腫に罹患し得るが、動脈内皮が、HVGRの急性拒絶反応の主なターゲットであるようでも、血管の完全な状態は通常維持される。
細胞媒介性の急性拒絶反応は、多くの場合、免疫治療を強化することによって反転され得る。成功した反転の後、移植片の重度な損傷を受けた要素は、線維増多によって治癒し、そしてその移植片の残りは、正常に見える。急性拒絶反応の解消の後、免疫抑制剤の投薬量は、極めて低いレベルまで減じられ得る。
慢性拒絶反応は、腎臓移植において特に問題であるが、これはしばしば、増加した免疫抑制治療にもかかわらず、潜行的に進行する。これは、大部分において、細胞媒介性のIV型過敏症によるものであると考えられている。病理学的プロフィールは、急性拒絶反応のプロフィールとは異なる。動脈内皮(arterial andothelium)が、広範囲にわたる増殖に主に関連しており、この増殖は、徐々に脈管の管腔を塞ぎ、虚血、線維症、厚くなった内膜およびアテローム性動脈硬化症の変化を引き起こす。慢性拒絶反応は主に、移植片血管網の進行性閉塞によるものであって、そして、これは遅い血管炎のプロセスに似ている。
IV型過敏症において、CD8細胞障害性T細胞およびCD24ヘルパーT細胞は、それがそれぞれクラスI、クラスII MHC分子のいずれかと複合された際に、細胞内もしくは細胞外の合成された抗原を認識する。マクロファージは、抗原の存在する細胞として機能し、そしてヘルパーT細胞の増殖を促進するIL−1を放出する。ヘルパーT細胞は、インターフェロンγおよびIL−2を放出し、これらは一緒になって、マクロファージ活性化によって媒介される遅延型機能亢進反応およびT細胞によって媒介される免疫性を調節する。臓器移植の場合、細胞障害性T細胞は、接触の際に移植片細胞を破壊する。
JAKキナーゼは、T細胞の活性化において、極めて重要な役割を果たすので、移植拒絶反応の多くの局面の処置および/もしくは予防するために、本明細書中に記載のJAK選択的阻害化合物が使用され得、そして、少なくとも部分的にT細胞によって媒介される拒絶反応(例えば、HVGR)の処置および/もしくは予防において特に有用である。JAK選択的化合物はまた、移植レシピエント(特に腎臓移植レシピエント)の慢性拒絶反応の処置および/もしくは予防するためにも使用され得る。
JAK選択的治療は、単独で適用し得るか、あるいはこれは他の一般的な免疫抑制治療(例えば、メルカプトプリン、コルチコステロイド(Cortisosteroid)(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンおよびプレドニゾロン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド)、カルシニューリンインヒビター(例えば、シクロスポリン、シロリムス(sirolimus)およびタクロリムス)、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)のインヒビター(例えば、ミコフェノレート、ミコフェノレートモフェチル(mycophenolate mofetil)およびアザチオプリン)、およびレシピエントの体液の免疫学的反応をインタクトにしている間、細胞の免疫性を抑制するように設計された因子(多種の抗体(例えば、抗リンパ球グロブリン(ALG)、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、モノクローナル抗T細胞抗体(OKT3))および放射線照射を含む))と組み合わせてもしくは付属的に適用し得る。これらの多種の因子は、薬剤の市販形態に付随する処方情報中に特定されるようにこれらの標準的もしくは一般的な投薬量にしたがって使用され得る(The Physician’s Desk Referenceの2005年版中の処方情報もまた参照されたい、この開示は本明細書中に参考として援用される)。アゾチオプリン(Azothiopurine)は現在、AZASANのブランド名でSalix Pharmaceuticals,Inc.より入手可能であり;メルカプトプリンは現在、PURINETHOLのブランド名でGate Pharmaceuticals,Inc.より入手可能であり;プレドニゾンおよびプレドニゾロンは現在、Roxane Laboratories,Inc.より入手可能であり;メチルプレドニゾロンは現在、Pfizerより入手可能であり;シロリムス(ラパマイシン)は現在、RAPAMUNEのブランド名でWyeth−Ayerstより入手可能であり;タクロリムスは現在、PROGRAFのブランド名でFujisawaより入手可能であり;シクロスポリンは現在、SANDIMMUNEのブランド名でNovartisより入手可能であり、そしてGENGRAFのブランド名でAbbotより入手可能であり;IMPDHインヒビター(例えば、ミコフェノレートモフェチルおよびミコフェノール酸)は現在、CELLCEPTのブランド名でRocheより入手可能であり、そしてMYFORTICのブランド名でNovartisより入手可能であり;アザチオプリンは現在、IMURANのブランド名でGlaxo Smith Klineより入手可能であり;ならびに抗体は現在、ORTHOCLONEのブランド名でOrtho Biotechより入手可能であり、SIMULECT(バシリキシマブ)のブランド名でNovartisより入手可能であり、そしてZENAPAX(ダグリズマブ(daclizumab))のブランド名でRocheより入手可能である。
特定の実施形態において、JAK選択的化合物は、Syk阻害化合物と組み合わせてもしくは付属的のいずれかで投与され得る。適切なSyk阻害化合物は、例えば、2003年1月31日に出願されたSerial No.10/355,543(公開番号2004/0029902);WO03/063794;2003年7月29日に出願されたSerial No.10/631,029;WO2004/014382;2004年7月30日に出願されたSerial No.10/903,263;2004年7月30日に出願されたPCT/US2004/24716;2004年7月30日に出願されたSerial No.10/903,870;2004年7月30日に出願されたPCT/US2004/24920;2004年11月24日に出願されたSerial No.60/630,808;2005年1月19日に出願されたSerial No.60/645,424;および2005年2月18日に出願されたSerial No.60/654,620中に記載されており、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。JAK選択的およびSyk阻害化合物は、単独で使用され得るか、もしくは上記に記載のような1つ以上の従来の移植拒絶反応処置と組み合わせて使用され得る。
特定の実施形態において、JAK選択的化合物は、Syk阻害化合物での処置もしくは特定の疾患に対する他の現在の処置のうちの1つに対して、初期において無反応(耐性がある)である患者か、もしくは無反応になる患者のいずれかにおいてこれらの疾患を処置もしくは予防するために使用され得る。JAK選択的化合物はまた、Syk化合物に対して耐性があるかもしくは無反応である患者にSyk阻害化合物と組み合わせて使用され得る。JAK選択的化合物と一緒に投与され得る適切なSyk阻害化合物は、上記で提供されている。
本明細書中に記載のJAK選択的阻害化合物は、IL−4シグナル伝達およびIL−13シグナル伝達のサイトカイン調節因子である。この結果、JAK選択的化合物は、I型過敏性反応の応答を遅くし得る。ゆえに、特定の実施形態において、JAK選択的化合物は、このような反応、そしてその結果このような過敏性反応(例えば、アレルギー)に関連した疾患、このような過敏性反応(例えば、アレルギー)に媒介される疾患、もしくはこのような過敏性反応(例えば、アレルギー)によって引き起こされる疾患を処置するために予防的に使用され得る。例えば、アレルギーに罹患している者は、予想されるアレルゲンへの暴露の前に、発症もしくは進行を遅らせるために、あるいはアレルギー応答を完全に除去するために本明細書中に記載のJAK選択的化合物を1つ以上服用し得る。
このような疾患を処置もしくは予防するために使用される場合、JAK選択的化合物は単独で投与され得るか、1つ以上のJAK選択的化合物の混合物として投与され得るか、もしくはこのような疾患および/もしくはこのような疾患に関連する症状を処置するのに有用な他の因子と混合もしくは組み合わせて投与され得る。JAK選択的化合物はまた、他の障害もしくは病気を処置するのに有用な因子(例えば、2、3例を挙げると、ステロイド、膜安定剤、5LOインヒビター、ロイトコリエン合成およびレセプターインヒビター、IgEアイソタイプのスイッチングもしくはIgE合成のインヒビター、IgGアイソタイプのスイッチングもしくはIgG合成のインヒビター、β−アゴニスト、トリプターゼインヒビター、アスピリン、COXインヒビター、メトトレキサート、抗TNF剤、レツキシン(retuxin)、PD4インヒビター、p38インヒビター、PDE4インヒビターおよび抗ヒスタミンなど)と混合もしくは組み合わせて投与され得る。JAK選択的化合物は、それ自体でプロドラッグの形態でもしくは活性化合物もしくはプロドラッグを含む薬学的組成物として投与され得る。
本明細書中に記載のJAK選択的化合物(もしくはそのプロドラッグ)を含む薬学的組成物は、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造の均質混合(levigating)、乳化、被包化、包括(entrapping)、もしくは凍結乾燥処理によって製造され得る。組成物は、従来の方法で、活性化合物の薬学的に使用され得る調製物への加工処理を促進する1つ以上の薬理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤もしくは添加剤(auxiliaries)を使用して処方され得る。
JAK選択的化合物もしくはプロドラッグは、上記に述べたように、それ自体で薬学的組成物に、もしくは水和物、溶媒和物、N−酸化物もしくは薬学的に受容可能な塩の形態に処方され得る。典型的に、このような塩は、水性溶液中に、対応する遊離酸および塩基よりも溶解するが、対応する遊離酸および塩基より低い溶解度を有する塩もまた形成され得る。
本発明の薬学的組成物は、任意の投与の仕方(例えば、局所的、目、口、頬、全身、鼻、注入、経皮、直腸、膣などを含む)に実際に適した形態、あるいは吸入もしくはガス注入による投与に適した形態をとり得る。
局所投与では、当該分野において周知なように、JAK選択的化合物もしくはプロドラッグは、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして処方され得る。
全身系の処方物としては、注入(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、鞘内もしくは腹腔内の注入)による投与のために設計された処方物、ならびに経皮、経粘膜、経口、もしくは肺の投与のために設計された処方物が挙げられる。
有用な注入可能な調製物としては、水性ビヒクルもしくは油性ビヒクル中の活性化合物の無菌の懸濁液、溶液もしくはエマルジョンが挙げられる。組成物はまた、処方剤(formulating agent)(例えば、懸濁剤、安定剤および/もしくは分散剤)を含み得る。注入用の処方物は、単位投薬形態中(例えば、アンプル中もしくは複数回用量(multidose)の容器中)に存在し得、そして添加される保存薬を含み得る。
あるいは、注入可能な処方物は、使用の前に、適切なビヒクル(無菌の発熱物質を含まない水、緩衝液、デキストロース溶液などが挙げられるが、これらに限定されない)に用いて再構成のために散剤形態で提供され得る。この目的のために、活性化合物は、当該分野に公知の任意の技術(例えば、凍結乾燥)によって乾燥され得、そして使用の前に再構成され得る。
経粘膜投与では、浸透される障壁に適した浸透剤が、処方物中に使用される。このような浸透剤は、当該分野において公知である。
経口投与では、薬学的組成物は、例えば、従来の手段によって、薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、結合剤(例えば、アルファ化された(pregelatinised)トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース));充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースもしくはリン酸一水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンもしくはデンプングリコール酸ナトリウム);もしくは湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて調製されるロゼンジ、錠剤もしくはカプセルの形態をとり得る。錠剤は、当該分野において公知の方法によって、例えば、糖、膜もしくは腸溶性のコーティングでコーティングされ得る。
経口投与用の液体調製物は、例えば、エリキシル、溶液、シロップもしくは懸濁液の形態をとり得るか、もしくはこれらは、使用の前の水もしくは他の適切なビヒクルでの構成のための乾燥製品として存在し得る。このような液体調製物は、従来の手段で、薬学的に受容可能な添加物(例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体もしくは水素添加された食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンもしくはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコール、cremophoreTMもしくは分画された植物油);および保存薬(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピルもしくはソルビン酸))を用いて調製され得る。この調製物はまた、適切であれば、緩衝塩、保存薬、香味料、着色剤、および甘味料を含む。
経口投与用の調製物は、周知であるように、活性化合物もしくはプロドラッグの制御された放出を付与するために、適切に処方され得る。
頬の投与では、組成物は、従来の方法で処方される錠剤もしくはロゼンジの形態をとり得る。
直腸もしくは膣経路の投与では、活性化合物は、溶液(保有浣腸(retention enema)用)坐剤もしくは従来の坐剤ベース(例えば、ココアバターもしくは他のグリセリド)を含む軟膏として処方され得る。
鼻の投与、あるいは吸入もしくは体内に吹き入れることによる投与では、活性化合物もしくはプロドラッグは、適切なプロペラント(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フルオロカーボン、二酸化炭素もしくは他の適切なガス)を使用することによって加圧パックもしくは噴霧器からエーロゾルスプレーの形態で便利に送達され得る。加圧されたエーロゾルの場合、投薬単位は、定量された量を送達するためにバルブを提供することによって決定され得る。吸入器もしくは体内に吹き入れるための機器で使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンから構成されるカプセルおよびカートリッジ)は、化合物の散剤混合物および適切な散剤ベース(例えば、ラクトースもしくはデンプン)を含むように処方され得る。
目の投与では、JAK選択的化合物もしくはプロドラッグは、目への投与に適した溶液、エマルジョン、懸濁液などとして処方され得る。目へ化合物を投与するために適した多種のビヒクルは、当該分野において公知である。特定の非限定的な例は、米国特許第6,261,547号;米国特許第6,197,934号;米国特許第6,056,950号;米国特許第5,800,807号;米国特許第5,776,445号;米国特許第5,698,219号;米国特許第5,521,222号;米国特許第5,403,841号;米国特許第5,077,033号;米国特許第4,882,150号;および米国特許第4,738,851号中に記載されている。
延長された送達では、JAK選択的化合物もしくはプロドラッグは、移植もしくは筋肉内注入による投与のための蓄積調製物として処方され得る。活性成分は、適切なポリマーもしくは疎水性物質(例えば、受容可能なオイル中のエマルジョンとして)、あるいはイオン交換樹脂を用いて、または可溶性の乏しい誘導体(例えば、可溶性の乏しい塩として)として処方され得る。あるいは、経皮吸収用の活性化合物をゆっくり放出する粘着性のディスク(disc)もしくはパッチとして製造された経皮送達システムが使用され得る。この目的のために、活性化合物の経皮浸透を促進するために浸透増進剤が使用され得る。適切な経皮パッチは、米国特許第5,407,713号;米国特許第5,352,456号;米国特許第5,332,213号;米国特許第5,336,168号;米国特許第5,290,561号;米国特許第5,254,346号;米国特許第5,164,189号;米国特許第5,163,899号;米国特許第5,088,977号;米国特許第5,087,240号;米国特許第5,008,110号;および米国特許第4,921,475号中に記載されている。
あるいは、他の薬学的送達システムが利用され得る。リポソームおよびエマルジョンは、活性化合物もしくはプロドラッグを送達するために使用され得る送達ビヒクルの周知な例である。特定の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO))もまた、一般的には多大な毒性という犠牲を払ってでも、利用され得る。
薬学的組成物は、もし所望であれば、活性化合物を含む1つ以上の単位投薬形態を含み得るパックもしくはディスペンサー(dispenser)デバイス中に存在し得る。このパックは、例えば、金属もしくはプラスチックのホイルを含み得る(例えば、ブリスターパック)。このパックもしくはディスペンサーデバイスは、投与のための説明書が付随され得る。
5.6 有効な投薬
本明細書中に記載のJAK選択的化合物もしくはプロドラッグ、あるいはそれらの組成物は一般的に、意図される結果に到達するに有効な量で(例えば、処置される特定の疾患を処置もしくは予防するに有効な量で)使用される。この化合物は、治療上の利益を達成するために治療学的に投与され得るか、もしくは予防上の利益を達成するために予防的に投与され得る。治療上の利益とは、患者はまだ根底にある障害に罹患しているにもかかわらず、患者が気分もしくは状態においての改善を報告するように、処置される、根底にある障害の根絶もしくは改善、および/あるいは根底にある障害に関連する1つ以上の症状の根絶もしくは改善を意味する。例えば、アレルギーに罹患している患者への化合物の投与は、下のアレルギー反応が根絶もしくは改善される際だけでなく、患者が、アレルゲンにさらされた後のアレルギーに関連する症状の重症度もしくは持続における軽減を報告する際もまた、治療上の利益を提供する。別の例としては、ぜんそくの状況での治療上の利益としては、ぜんそくの発作発症の後の呼吸の改善、あるいはぜんそくのエピソードの頻度もしくは重症度における軽減が挙げられる。別の特定の例としては、移植拒絶反応の状況での治療上の利益としては、急性拒絶反応のエピソード(例えば、HVGR)を緩和する能力、あるいは急性拒絶反応の発症および/もしくは慢性拒絶反応の発症の間の時間を引き延ばす能力が挙げられる。治療上の利益としてはまた、改善が確認されるかどうかにかかわらず、疾患の進行を停止することもしくは遅延させることが挙げられる。
予防的投与では、この化合物は、上記に記載した疾患のうちの1つを発生するリスクを有する患者に投与され得る。例えば、患者が特定の薬剤に対してアレルギーを有するか否かが不明な場合、その薬剤へのアレルギー反応を避けるもしくは改善するために、その薬剤の投与の前に、化合物が投与され得る。あるいは、予防的投与は、下の障害と診断された患者の症状の発症を避けるために適用し得る。例えば、化合物は、アレルゲンへの予想される暴露の前に、アレルギーに罹患している者に投与され得る。化合物はまた、上記に記載した病気のうちの1つを引き起こすことで公知な因子に繰り返しさらされる健康な個人へも、この障害の発症を予防するために予防的に投与され得る。例えば、化合物は、アレルギーを誘発することで公知なアレルゲン(例えば、ラテックス)に繰り返しさらされる健康な個人に、その個人にアレルギーを発生させないように投与され得る。あるいは、化合物は、ぜんそくに罹患している患者に、ぜんそくのエピソードの重症度を減じる、もしくはぜんそくのエピソードを完全に避けるために、ぜんそくの発作を誘発する活性に加わる前に投与され得る。
移植拒絶反応の状況において、化合物は、拒絶反応の開始を避けるために患者が急性拒絶反応を有さない間に、および/もしくは慢性拒絶反応の臨床的兆候が現れる前に投与され得る。
投与される化合物の量は、多種の要因(例えば、処置される特定の徴候、投与のやり方、所望される利益が予防的であるかもしくは治療的であるか、処置される徴候の重症度ならびに患者の年齢および体重、特定の活性化合物のバイオアベイラビリティーなどを含む)に依存する。有効な投与量の決定は、当業者の能力の充分な範囲内である。
有効な投与量は、インビトロアッセイからまず概算され得る。例えば、動物に使用するための最初の投与量は、インビトロアッセイにおいて測定される場合、特定の化合物のIC50以上の活性化合物の循環する血液もしくは血清濃度を達成するように処方され得る。特定の化合物のバイオアベイラビリティーを考慮してこのような循環する血液もしくは血清濃度を達成するように投与量を計算することは、当業者の能力の充分な範囲内である。指導には、読者は、Fingl & Woodbury、「General Principles」In:Goodman and Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics、Chapter 1、pp.1−46、最新版、Pagamonon Pressを参照し、この参考文献は本明細書中に引用される。
最初の投与量もまた、インビボのデータ(例えば、動物モデル)より概算され得る。上記に記載の多種の疾患を処置もしくは予防するための化合物の効能を試験するのに有用な動物モデルは、当該分野において周知である。過敏症もしくはアレルギー反応の適切な動物モデルは、Foster、1995、Allergy 50(21 Suppl):6−9、考察34−38およびTumasら、2001、J.Allergy Clin.Immunol. 107(6):1025−1033中に記載されている。アレルギー性鼻炎の適切な動物モデルは、Szelenyiら、2000、Arzneimittelforschung 50(ll):1037−42;Kawaguchiら、1994、Clin.Exp.Allergy 24(3):238−244およびSugimotoら、2000、Immunopharmacology 48(l):l−7中に記載されている。アレルギー性結膜炎の適切な動物モデルは、Carrerasら、1993、Br.J.Ophthalmol. 77(8):509−514;Saigaら、1992、Ophthalmic Res. 24(l):45−50;およびKunertら、2001、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci. 42(11):2483−2489中に記載されている。全身性肥胖細胞症の適切な動物モデルは、O’Keefeら、1987、J.Vet.Intern.Med. l(2):75−80およびBean−Knudsenら、1989、Vet.Pathol. 26(l):90−92中に記載されている。高IgG症候群の適切な動物モデルは、Clamanら、1990、Clin.Immunol.Immunopathol. 56(l):46−53中に記載されている。B細胞リンパ腫の適切な動物モデルは、Houghら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 95:13853−13858およびHakimら、1996、J.Immunol. 157(12):5503−5511中に記載されている。アトピー性障害(例えば、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹およびアトピー性ぜんそく)の適切な動物モデルは、Chanら、2001、J.Invest.Dermatol. 117(4):977−983およびSutoら、1999、Int.Arch.Allergy Immunol. 120(Suppl l):70−75中に記載されている。移植拒絶反応の適切な動物モデル(例えば、HVGRのモデル)は、O’Sheaら、2004、Nature Reviews Drug Discovery 3:555−564;Cetkovic−Curlje & Tibbles、2004、Current Pharmaceutical Design 10:1767−1784;およびChengelianら、2003、Science 302:875−878中に記載されている。当業者は、ヒト投与に適した投与量を決定するために、このような情報を慣用的に受け入れ得る。さらなる適切な動物モデルは、実施例の節に記載されている。
投薬の量は典型的に、約0.0001mg/kg/dayもしくは0.001mg/kg/dayもしくは0.01mg/kg/day〜約100mg/kg/dayの範囲内であるが、他の要因(化合物の活性、そのアバイオアベイラビリティー、投与のやり方、ならびに上記で議論した多種の要因)に依存して高くもなり得るし、低くもなり得る。投薬の量および間隔は、治療的効果もしくは予防的効果を保つに充分な血漿レベルの化合物を提供するために、個々で調節され得る。例えば、この化合物は、とりわけ投与のやり方、処置される特定の徴候、および処方する医師の判断に依存して、週に1回、1週間に数回(例えば、2日に1回)、1日に1回、もしくは1日に複数回投与され得る。局所投与もしくは選択的摂取(例えば、局所的局部的投与)の場合、活性化合物の有効な局所的濃度は、血漿濃度と関連し得ない。当業者は、過度の実験をせずに、有効な局所投薬を最適化し得る。
好ましくは、化合物は、実質的な毒性を生じずに、治療的利益もしくは予防的利益を提供する。化合物の毒性は、標準的な薬学的手順を使用して決定され得る。毒性効果と治療的(もしくは予防的)効果間の用量の比は、治療的指数である。高い治療的指数を示す化合物が好まれる。
多種の発明が述べられたが、続く実施例は、説明のために示されるのであって、限定するためではない。
(6.実施例)
6.1 2,4−ピリミジンジアミン化合物は、Sykと比較してJAKキナーゼに対して選択的である
表1および表2に説明されている化合物の、Sykキナーゼに比べたJAKキナーゼに対する選択性を、JAK阻害およびSyk阻害を試験するように設計された細胞性アッセイにおいて確認した。簡単に、JAK阻害を、IL−4で活性化されたヒトRamosB細胞中で試験した。刺激の20時間〜24時間後、この細胞を、CD23のアップレギュレーションについて染色し、そしてFACSによって分析する。IL−4でのB細胞の刺激は、JAKキナーゼ(JAK1およびJAK3)のリン酸化をとおして、JAK/STAT経路の活性化を引き起こし、これは次にSTAT−5因子の転写をリン酸化および活性化させる。低い親和性のIgEレセプター(CD23)は、活性化されたSTAT−5によってアップレギュレーションされる。
このアッセイでは、ヒトRamosB細胞(ATCC、カタログ番号CRL−1596)を、細胞と一緒に供給された増殖のプロトコールにしたがって、10%ウシ胎児血清(JRH、カタログ番号12106−500M)を含むRPMI 1640培地(Cellgro、カタログ番号10−040−CM)中に培養し、そしておおよそ3.5×10細胞/mlの密度に保つ。このアッセイの1日前に、この細胞を、これらが対数(logorithmic)増殖期にあることを確実にするために、3.5×10細胞/mlに希釈する。この細胞を遠心沈殿させ、そして、5%ウシ胎児血清を含むRPMI 1640培地に懸濁させて、3.5×10細胞/mlの密度にし、そして、アリコートを96ウェルの組織培養プレート中に分与する。細胞を、試験化合物(DMSO中に溶解)もしくはDMSO(コントロール)とともに、37℃で1時間インキュベートし、そしてその後、IL−4(Pepotech、カタログ番号200−04)で20〜24時間刺激する(最終濃度は、50ユニット/mlである)。その後、細胞を遠心沈殿させ、抗CD23−PE抗体(BD Pharmigen、カタログ番号555711)で染色し、そして、FACSによって分析する。
Syk阻害を、2003年1月31日に出願された米国Serial.No10/355,543(公開番号2004−0029902)(この開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載されているように、IgE抗体で活性化されたCHMC細胞中で試験した。Sykアッセイでは、脱顆粒の際に放出されるトリプターゼの量を測定した。それぞれの化合物の選択性の程度は、IC50(Syk)/IC50(JAK)の比として報告され、それは表1および表2中に提供される。表1に列挙されている化合物では、この比は、このアッセイの適切な上限である50μMのSyk阻害のIC50値を使用して計算された。
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前述の発明は、理解を容易にするためにある程度詳しく述べられたが、特定の変更および改変が、添付する特許請求の範囲の範囲内でなされ得ることは明らかである。したがって、述べられた実施形態は、説明的なものとみなされるべきであって、限定的なものとみなされるべきではなく、そして本発明は、本明細書中に与えられている詳細に限定されるべきではないが、添付される特許請求の範囲の範囲および同等物の範囲内で改変され得る。
本願の全体にわたって引用される全ての文献および特許文献は、全ての目的で本願中に参考として援用される。

Claims (36)

  1. JAKキナーゼの活性を阻害するための方法であって、該方法は、該JAKキナーゼと、該JAKキナーゼの活性を阻害するに有効な量のJAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物とを接触させる工程を包含し、ここで、該JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミンは、少なくとも約50μMのSyk阻害のIC50を有する、方法。
  2. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、表1中に説明されている化合物より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. インビボで実施される、請求項2に記載の方法。
  4. JAKキナーゼの活性を阻害するための方法であって、該方法は、JAK3キナーゼと、該JAKキナーゼの活性を阻害するに有効な量のJAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物とをインビトロで接触させる工程を包含し、ここで、該JAK選択的阻害化合物は、Sykキナーゼに比べてJAKキナーゼに対して少なくとも約10倍選択的である、方法。
  5. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、Sykキナーゼに比べてJAKキナーゼに対して少なくとも約100倍選択的である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、表1および表2中に説明されている化合物より選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記JAKキナーゼが、単離されたJAKキナーゼである、請求項4に記載の方法。
  8. 阻害される前記JAK活性が、活性化JAKによるJAK基質のリン酸化である、請求項1〜7に記載のいずれか1つの方法。
  9. T細胞媒介性の自己免疫疾患を処置するための方法であって、該方法は、このような自己免疫疾患に罹患した患者に、該自己免疫疾患を処置するに有効な量のJAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物を投与する工程を包含する、方法。
  10. 前記自己免疫疾患が、多発性硬化症(MS)、乾癬およびシェーグレン病より選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、表1もしくは表2中に説明されている化合物より選択される、請求項9もしくは10に記載の方法。
  12. 前記JAK選択的阻害化合物が、少なくとも10μMの範囲内のIC50でSykキナーゼを阻害する化合物と組み合わせて、もしくは付属的に投与される、請求項11に記載の方法。
  13. Sykキナーゼのインヒビターでの処置に無反応である患者の免疫に関連する疾患を処置するための方法であって、該方法は、該免疫疾患を処置するためのJAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物の量を該患者に投与する工程を包含する、方法。
  14. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、表1もしくは表2中に説明されている化合物より選択される、請求項13に記載の方法。
  15. 移植レシピエントの同種移植片の移植拒絶反応を処置もしくは予防するための方法であって、該方法は、該拒絶反応を処置もしくは予防するに有効な量のJAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物を該移植レシピエントに投与する工程を包含する、方法。
  16. 前記拒絶反応が、急性拒絶反応である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記拒絶反応が、慢性拒絶反応である、請求項15に記載の方法。
  18. 前記拒絶反応が、HVGRによって媒介される、請求項15に記載の方法。
  19. 前記同種移植片の移植が、腎臓、心臓、肝臓および肺より選択される、請求項15に記載の方法。
  20. 前記JAK選択的2,4−ピリミジンジアミン化合物が、Sykキナーゼに比べてJAKキナーゼに対して少なくとも約10倍選択的である、請求項15〜19のいずれか1つに記載の方法。
  21. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、Sykキナーゼに比べてJAK3キナーゼに対して少なくとも約100倍選択的である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、Sykキナーゼに比べてJAK3キナーゼに対して少なくとも約200倍選択的である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、表1もしくは表2中に説明されている化合物より選択される、請求項15〜19のいずれか1つに記載の方法。
  24. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、別の免疫抑制剤と組み合わせて、もしくは付属的に投与される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記免疫抑制剤が、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、IMPDHのインヒビター、ミコフェノレート、ミコフェノレートモフェチル、抗T細胞抗体およびOKT3より選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記JAK3選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、少なくとも10μMのIC50でSykキナーゼを阻害する化合物と組み合わせて、もしくは付属的に投与される、請求項24に記載の方法。
  27. I型過敏性反応を処置もしくは予防するための方法であって、該方法は、該過敏性反応を処置もしくは予防するに有効な量のJAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物を被験体に投与する工程を包含し、ここで、該JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物は、少なくとも約50μMのSyk阻害のIC50を有する、方法。
  28. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、表1中に説明されている化合物より選択される、請求項27に記載の方法。
  29. 予防に実用的であり、かつ前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、アレルゲンにさらされる前に投与される、請求項27に記載の方法。
  30. JAK3キナーゼが役割を果たすシグナル伝達のカスケードを阻害するための方法であり、該方法は、このようなシグナル伝達のカスケードに関連するレセプターを発現する細胞と、JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物とを接触させる工程を包含し、ここで、該化合物は、少なくとも約50μMのSyk阻害のIC50を有する、方法。
  31. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、表1中に説明されている化合物より選択される、請求項30に記載の方法。
  32. JAKキナーゼ媒介性の疾患を処置もしくは予防するための方法であって、該方法は、少なくとも約50μMのSyk阻害のIC50を有する量のJAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物を被験体に投与する工程を包含する、方法。
  33. 前記JAK選択的阻害性2,4−ピリミジンジアミン化合物が、表1中に説明されている化合物より選択される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記JAK媒介性の疾患が、HVGRである、請求項33に記載の方法。
  35. 前記JAK媒介性の疾患が、急性の同種移植拒絶反応である、請求項33に記載の方法。
  36. 前記JAK媒介性の疾患が、慢性の同種移植拒絶反応である、請求項33に記載の方法。
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