JP4753578B2 - 合成抗体ファージライブラリー - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、抗体または抗体可変ドメインのライブラリーに関するものである。このライブラリーは、CDR領域で多様性を創成することによって生成する、複数の異なる抗体可変ドメインを含む。特に、CDR領域の多様性は抗体可変ドメインの多様性を最大にする一方で、構造上の摂動を最小にするようになっている。本発明は、1つまたは複数の抗体可変ドメインと異種タンパク質、例えばウイルスのコートタンパク質との融合ポリペチドにも関するものである。本発明はこの融合ポリペチドをコードしている遺伝子を含む複製可能な発現ベクター、この発現ベクターを含んでいる宿主細胞、ウイルス表面上でこの融合ポリペチドを提示するウイルス、ウイルス表面上で複数の異なる融合ポリペチドを提示するウイルスのライブラリー、およびそれらの組成物を使用する方法にも関する。本発明の方法および組成物は、治療的にまたは試薬として使用することができる新規抗体を同定する上で有用である。
【背景技術】
【0002】
ファージディスプレイ技術は、抗原のようなリガンドと結合する新規タンパク質を生成して選択するための強力な手段となっている。ファージディスプレイの手法を使うことにより、対象の抗原と高親和性で結合する配列を迅速に選別することができる、大きなタンパク質変異体ライブラリーの作製が可能になる。変異体ポリペチドをコードしている核酸を、ウイルスのコートタンパク質、例えば遺伝子IIIタンパク質または遺伝子VIIIタンパク質をコードしている核酸配列に融合する。このタンパク質またはポリペチドをコードする核酸配列が遺伝子IIIタンパク質の一部をコードする核酸配列に融合する一価のファージディスプレイ系が開発された。(Bass,S.、Proteins、8:309頁(1990);LowmanおよびWells、Methods:A Companion to Methods in Enzymology、3:205頁(1991))。一価のファージディスプレイ系では遺伝子融合の発現は低次であり、また野生型遺伝子IIIタンパク質も発現するので、粒子の感染性は保持される。ペプチドライブラリーを作製してそれらのライブラリーをスクリーニングする方法は、多くの特許で開示されている(例えば、米国特許第5,723,286号、米国特許第5,432,018号、米国特許第5,580,717号、米国特許第5,427,908号および米国特許第5,498,530号)。
【0003】
繊維状ファージ表面でのペプチドの発現、および大腸菌のペリプラズムにおける機能性抗体断片の発現の実証が、抗体ファージディスプレイライブラリーの開発で重要であった。(Smith他、Science(1985)、228:1315頁;SkerraおよびPluckthum、Science(1988)、240:1038頁)。抗体または抗原結合ポリペチドのライブラリーはいくつかの方法で調製され、例えばランダムなDNA配列を挿入して単一遺伝子を変えることによって、または関連遺伝子のファミリーをクローニングすることによって調製した。ファージディスプレイを使って抗体または抗原結合断片を提示する方法は、米国特許第5,750,373号、5,733,743号、5,837,242号、5,969,108号、6,172,197号、5,580,717号および5,658,727号で記載されている。このライブラリーは次に、所望の形質を有する抗体または抗原結合タンパク質の発現に関してスクリーニングされる。
【0004】
ファージディスプレイ技術には、所望の形質を有する抗体を調製するための従来のハイブリドーマ法および組換え方法に勝るいくつかの利点がある。この技術により、多様な配列を有する大きな抗体ライブラリーをより少ない時間で動物を使わずに作製することが可能になる。ハイブリドーマの調製またはヒト化抗体の調製には優に数カ月を要する。さらに免疫化が必要でないことから、ファージ抗体ライブラリーは毒性のある抗原または抗原性の低い抗原に対して作製することができる(Hogenboom、Immunotechniques(1988)、4:1〜20頁)。ファージ抗体ライブラリーは、新規ヒト抗体の作製および同定のためにも用いることができる。
【0005】
ヒト抗体は、多種多様な病態のための治療薬として非常に有効になっている。例えば、腫瘍抗原HER−2に対するヒト化抗体は、癌の診断と治療に役立つ。他の抗体、例えば抗INF−γ抗体は、クローン病のような炎症性病態の治療に役立つ。ファージディスプレイライブラリーは、免疫化されたヒト、免疫化されていないヒト、生殖細胞系配列またはナイーヴなB細胞Igレパートリーからヒト抗体を作製するために使われてきた(Barbas & Burton、Trends Biotech(1996)、14:230頁;Griffiths他、EMBO J.(1994)、13:3245頁;Vaughan他、Nat.Biotech.(1996)、14:309頁;Winter欧州特許第0368 684 B1)。様々なリンパ組織を使って、ナイーヴ、または非免疫化の抗原結合ライブラリーが作製された。これらのライブラリーの一部は市販されており、例えばCambridge Antibody Technology and Morphosysが開発したものがある(Vaughan他、Nature Biotech 14:309頁(1996);Knappik他、J.Mol.Biol.296:57頁(1999))。しかし、これらのライブラリーの多くは、多様性が限定的である。
【0006】
高親和性抗体をファージディスプレイライブラリーから同定して分離する能力は、治療用途の新規ヒト抗体を単離する上で重要である。ライブラリーからの高親和性抗体の単離は、ライブラリーの大きさ、細菌細胞内での生産効率およびライブラリーの多様性に依存している。例えば、Knappik他、J.Mol.Biol.(1999)、296:57頁を参照。ライブラリーの大きさは、抗体または抗原結合タンパク質の不適当な折畳みおよび終止コドンの存在による生産の非効率性によって減少する。抗体または抗原結合ドメインがきちんと折り畳まれていなければ、細菌細胞の発現は抑制され得る。可変/定常部の境界面で残基を交互に突然変異させるか、または選択されたCDR残基で突然変異させることによって発現を改善することができる。(Deng他、J.Biol.Chem.(1994)、269:9533頁;Ulrich他、PNAS(1995)、92:11907〜11911頁;Forsberg他、J.Biol.Chem.(1997)、272:12430頁)。フレームワーク領域の配列は、抗体ファージライブラリーを細菌細胞内で生成するときに適当な折畳みを提供する一つの要因である。
【0007】
抗体または抗原結合タンパク質の多様なライブラリーを作製することも、高親和性抗体の単離にとって重要である。様々な手法を使って、限定的なCDRが多様化されたライブラリーが作製された。例えば、Tomlinson、Nature Biotech.(2000)、18:989〜994頁。CDR3領域は抗原結合にしばしば関与していることもあり、興味深い。重鎖のCDR3領域は、大きさ、配列および構造上の高次構造で大きく異なる。
【0008】
各位置で20個すべてのアミノ酸を使って可変部の重鎖および軽鎖のCDR領域をランダム化することによって、多様性を生み出した者もいる。20個すべてのアミノ酸を使うことが変異体抗体の配列に大きな多様性を生み、新規抗体を同定する可能性を高くすると考えられた。(Barbas、PNAS 91:3809頁(1994);Yelton,DE、J.Immunology、155:1994頁(1995);Jackson,J.R.、J.Immunology、154:3310頁(1995)およびHawkins,RE、J.Mol.Biology、226:889頁(1992))。
【0009】
一部のCDRでアミノ酸置換の群を制限し、天然抗体におけるアミノ酸分布を反映することによって多様性を生み出す試みもあった。Garrard & Henner、Gene(1993)、128:103;Knappik他、J.Mol.Biol.(1999)、296:57頁を参照。しかし、これらの試みの成功度はまちまちであり、体系的にまた定量的に適用されたものではなかった。CDR領域で多様性を生み出しつつアミノ酸変化の数を最小にすることが難題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
臨床用途、例えば治療および診断の用途のための新規高親和性抗体を単離する必要がある。この必要に応ずるために、細胞内で高収率で発現され得る抗体可変ドメインの非常に多様なライブラリーを作製する必要がまだある。本明細書で記載される本発明はこの必要を満たすもので、他の恩恵も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、多様化されたCDRを含んでいるポリペチドを体系的に、能率的に生み出す方法を提供する。一実施形態では、本発明は、細胞培養により高収率で容易に生成できる対象抗原に結合する高親和性結合体の迅速な同定法を提供する。対象結合体の十分な多様性は特定のCDRまたはすべてのCDRが多様化された場合にのみ生み出すことができるとする従来の方法と異なり、また、十分な多様性は最も広い範囲のアミノ酸置換(通常、20個のアミノ酸すべてまたは大部分を用いた置換によって)に依存しているという従来の概念と違って、本発明は、参照ポリペチドまたはソース抗体の特定のCDRおよび特定数のCDRの多様化に必ずしも依存しているわけではない、高品質の対象結合体を生み出すことができる方法を提供する。本発明は、少なくともある程度は、高品質の非常に多様なライブラリーを最小数のアミノ酸位置の最小数のアミノ酸残基による体系的、選択的な置換によって作製することができるという驚くべき、予想外の知見に基づく。本発明の方法は、便利で、客観的、体系的基準に基づき、迅速である。本発明によって作製される結合体ポリペチド候補は高品質の対象結合特性を有し、細胞培養で高収率の生産を可能にする構造上の特性を有する。また、本発明は、ライブラリー形質とその中の融合ポリペチド結合体候補の結合特性をさらに強化する、ユニークな二量体化/多量体化手法を提供する。
【0012】
特に、多様化されたCDRおよび異種ポリペチド配列(好ましくはウイルスポリペプチドの少なくとも一部の配列)を含んでいる融合ポリペチドが、個々に、また関心の対象への結合体候補である複数のユニークな個々のポリペチドとして作製される。そのようなポリペチドを含んでいる組成物(例えばライブラリー)は、特に関心の対象と結合する免疫グロブリンポリペチド(特に、抗体および抗体断片)候補の大きく多様なプールとして、様々な用途がある。本発明は様々な態様を含み、例えば本発明の方法によるポリペチド、ならびに本発明の方法の実施のためのかつ/または本発明のポリペチドおよび/または組成物を使うための製造システム、キットおよび物品が含まれる。
【0013】
他の態様において、本発明は変異体CDRの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべて(すなわち、CDRL1、L2、L3、H1およびH2からなる群から選択される)を含んでいる1つまたは複数のポリペプチドを作製する方法を提供し、前記ポリペチドは関心の対象抗原と結合することができ、前記CDRがCDRH3ではなく、前記方法は:(a)CDR中の溶媒に露出した非常に多様な少なくとも1つ(または全数までの任意の数)のアミノ酸位置を同定するステップと;(b)前記溶媒に露出した非常に多様な位置のアミノ酸を、非ランダムコドンセットを使ってCDRの変異体複製物を作製することにより対象アミノ酸(本明細書で定められる)で置換するステップとを含み、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体および/または天然可変ドメインにおけるその位置の対象アミノ酸(本明細書で定められる)である。
【0014】
他の態様において、本発明はH1、H2、H3、L1、L2およびL3からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべての変異体CDRを含んでいるポリペプチドを作製する方法を提供し、前記ポリペチドは関心の対象抗原と結合することができ、前記方法は:(a)L1、L2、L3、H1およびH2に関して、(i)前記変異体CDRと対応する参照CDR中の溶媒に露出した非常に多様な少なくとも1つ(または全数までのいかなる数)のアミノ酸位置を同定するステップと;(ii)前記溶媒に露出した非常に多様な位置のアミノ酸を、非ランダムコドンセットを使ってCDRの変異体複製物を作製することにより対象アミノ酸で置換するステップとを含み、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗原結合断片(例えば、抗体可変ドメイン)におけるその位置の対象アミノ酸であり;(b)H3に関しては、少なくとも1つ(または全数までの任意の数)の位置を変異体アミノ酸で置換するステップを含む。
【0015】
他の態様において、本発明はL1、L2、L3、H1、H2およびH3からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべての変異体CDRを含んでいるポリペプチドを作製する方法を提供し、前記方法は:(a)L1、L2、L3、H1および/またはH2の少なくとも1つ(または全数までの任意の数)の溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置を、非ランダムコドンセットでコードされる変異体アミノ酸で置換するステップであって、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗原結合断片における前記アミノ酸位置の対象アミノ酸であるステップと;(b)H3の少なくとも1つ(または全数までの任意の数)のアミノ酸位置を変異体アミノ酸で置換するステップとを含む。
【0016】
本発明の方法の様々な態様および実施形態は、本発明の複数のポリペチドを含んでいるプールの作製および/または使用に有用であり、特に、関心の対象抗原に対する結合体候補の選択および同定に有用である。例えば、本発明はそれぞれがL1、L2、L3、H1、H2およびH3からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべての変異体CDRを含んでいる複数のポリペプチドを含む組成物を作製する方法を提供し、前記方法は:(a)L1、L2、L3、H1および/またはH2の少なくとも1つ(または全数までの任意の数)の溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置を、非ランダムコドンセットでコードされた変異体アミノ酸で置換するステップであって、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗原結合断片における前記アミノ酸位置の対象アミノ酸であるステップと;および/または(b)H3の少なくとも1つ(または全数までの任意の数)のアミノ酸位置を変異体アミノ酸で置換するステップとを含み;変異体アミノ酸をコードしている配列に縮退を含む一組のオリゴヌクレオチドで鋳型ポリヌクレオチドを増幅することによって複数のポリペチドが作製され、前記縮退は前記非ランダムコドンセットの複数のコドン配列を反映する。
【0017】
他の実施例では、本発明は、CDRL1、L2、L3、H1、H2およびH3からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべてのCDRを含んでいるソース抗体の軽鎖、重鎖若しくはその両方、軽鎖および重鎖の可変ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを構築するステップと、前記ソース抗体のCDRの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべてを非ランダムコドンセットを用いて少なくとも1つ(または全数までの任意の数)の溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置で突然変異させるステップとを含み、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知のかつ/または天然抗体または抗原結合断片(例えば、抗体可変ドメイン)におけるその位置の対象アミノ酸である方法を提供する。
【0018】
他の実施例では、本発明は、本発明の複数のポリペチドを提示しているファージまたはファージミド粒子のライブラリーを構築するステップと、前記粒子と対象抗原との結合に適した条件下で前記対象抗原に前記粒子ライブラリーを接触させるステップと、前記対象抗原と結合する粒子を、結合しない粒子から分離するステップとを含む方法を提供する。
【0019】
本明細書で記載される本発明のいかなる方法においても、溶媒に露出しかつ/または非常に多様なアミノ酸位置は本明細書で記載されている基準に適合するものであればいかなるものでもよく、特に、本明細書で記載されている位置のいかなる組合せでもよく、例えば、本発明のポリペチドに関して記載されている位置のいかなる組合せでもよい(下でさらに詳しく記載されている)。適当な変異体アミノ酸は本明細書で記載されている基準に適合するものであればいかなるものでもよく、例えば、下でさらに詳しく記載されている本発明のポリペプチドの変異体アミノ酸でよい。
【0020】
CDRH3領域の多様性の設計では、CDRH3の長さ(好ましくは7から19個のアミノ酸)および/または配列における多様性を設計する。いくつかの実施形態では、CDRH3の一部は4から14個のアミノ酸長を有し、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZまたはその混合物などの、公知のかつ/または天然抗体可変ドメインのCDRH3領域で見られるアミノ酸をコードするコドンセットでコードされる1つまたは複数の位置の変異体アミノ酸を有し、CDRの他の部分は、好ましくはC末端(例えば、下で示されるX、X、X、XおよびXのアミノ酸位置)では多様性はかなり限定されている。いくつかの実施形態では、C末端のアミノ酸配列はYAMDYまたはFDYである。
【0021】
本発明の1つの態様は、以下のアミノ酸配列を含む変異体CDRH3を含んでいるポリペプチド、例えば抗体可変ドメインを提供し、
(X−X−X−X−X−X
式中、Xは、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、
は、KSG、DVK、DSG、NVT、KSG、NNS、XYZ、NNKのコドンセットでコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、フェニルアラニン、セリン、アラニン、グリシン、ロイシンまたはトリプトファンであり、
はXがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合には、アラニン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンであり、
はXがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合はメチオニンであり、
はアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、
はチロシンまたはバリンである。
上記式の変異体CDRH3を有するポリペプチドまたはポリペプチドライブラリーは、図4および図43で例示されたオリゴヌクレオチドのいずれか1つまたはその組合せを使って作製することができる。
【0022】
一実施形態では、CDRH3はアミノ酸配列(X−X−X−X−X−Xを含み、上式中、Xは、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、Xは、KSG、DVK、DSG、NVT、KSG、NNS、XYZ、NNKのコドンセットでコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、フェニルアラニン、セリン、グリシン、アラニン、ロイシンまたはトリプトファンであり、Xはアラニン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンであり、Xはメチオニンであり、Xはアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、Xはチロシンまたはバリンである。
【0023】
いくつかの実施形態では、nは好ましくは4であり、XはコドンセットNNK、NNSまたはXYZによってコードされ、いずれかの天然アミノ酸であり、Xは、KSG、NNK、XYZによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシンであり、Xはアラニン、グリシンまたはバリンであり、Xはメチオニンであり、Xはアスパラギン酸であり、Xはチロシンである。これらの実施形態で変異体CDRH3領域を含んでいる1つまたは複数のポリペプチドは、オリゴヌクレオチドF66eおよびF66fを少なくとも1つまたは複数個用いて作製することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、nは好ましくは6であり、XはコドンセットDVK、NVT、NNK、NNSまたはXYZによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンまたはグリシンまたはこれらの混合物であり、XはDSG、DVK、KSG、NNK、XYZによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、グリシン、セリン、アラニンまたはトリプトファンであり、Xはアラニンであり、Xはメチオニンであり、Xはアスパラギン酸であり、Xはチロシンである。いくつかの実施形態では、Xは抗体4D5のCDRH3のアミノ酸位置95に対応し、Xはアミノ酸位置100aに対応し、Aは100bの位置、Mは100cの位置、Dは101の位置、およびYは102の位置にある。これらの実施形態で変異体CDRH3領域を含んでいる1つまたは複数のポリペプチドは、オリゴヌクレオチドF63、F64、F65、F66、F165、F134、F135、F163a、F166、F167、F66a、F66b、F66a1、F66b1、F190fおよびF190nを少なくとも1つまたは複数個用いて作製することができる。
【0025】
他の実施形態では、CDRH3はアミノ酸配列(X−X−X−X−X−Xを含み、式中、Xは、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、Xはロイシンまたはフェニルアラニンであり、Xは存在せず、Xは存在せず、Xはアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、Xはチロシンまたはバリンである。いくつかの実施形態では、この変異体CDRH3はアミノ酸配列(X−X−D−Yを含み、式中、Xは、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、Xはロイシンまたはフェニルアラニンであり、Dはアスパラギン酸、Yはチロシンである。他の実施形態では、nは好ましくは6であり、Xは抗体4D5のCDRH3のアミノ酸位置95に対応し、Xはアミノ酸位置100aに対応し、Xは101の位置、Xは102の位置にある。これらの実施形態で変異体CDRH3領域を含んでいる1つまたは複数のポリペプチドは、オリゴヌクレオチドF171c、F171d、F171e、F171、F185、F186、F187、F185a、F185b、F185b1、F187a、F186a、F187bおよびF187cを少なくとも1つまたは複数個用いて作製することができる。
【0026】
本発明の他の態様では、CDRH1、CDRH2およびCDRH3からなる群から選ばれる1つ、2つまたはすべての変異体CDRを含む方法およびポリペプチド、例えば抗体可変ドメインが提供され、前記変異体CDRH3は下記アミノ酸配列を含み、
(X−X−X−X−X−X
式中、Xは、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、
は、KSG、DVK、DSG、NVT、KSG、NNS、XYZ、NNKのコドンセットでコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、フェニルアラニン、グリシン、セリン、アラニン、ロイシンまたはトリプトファンであり、
はXがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合には、アラニン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンであり、
はXがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合はメチオニンであり、
はアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、
はチロシンまたはバリンであり、
前記変異体CDRH1もしくはCDRH2、またはその両方は溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置に少なくとも1つの変異体アミノ酸を有し、前記変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗原結合断片(例えば、抗体可変ドメイン)におけるその位置の対象アミノ酸である。
【0027】
本明細書で記載されるいかなる方法およびポリペプチドのいくつかの実施形態では、H3中の位置は、カバットナンバリング方法に従う抗体(例えば抗体4D5)の95から102のいずれかの位置である。例えば、位置95のアミノ酸は、コドンセットDVK、NVT、NNS、XYZ、NNKによってコードされる変異体アミノ酸でよく、またはトリプトファンであり、位置96は、DVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはグリシンもしくはトリプトファンであり、位置97はDVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはトリプトファンであり、位置98はDVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはトリプトファンであり、位置99はDVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、位置100はDVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはトリプトファンであり、位置100aは、DVK、DSG、KSG、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはチロシン、グリシン、セリン、アラニン、トリプトファン、アスパラギン酸、メチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、バリンでもよく、位置100bは、DSG、KSG、XYZによってコードされてよく、またはアラニン、チロシン、グリシン、バリン、アスパラギン酸、メチオニンもしくはフェニルアラニンでもよく、位置100cは、KSG、XYZによってコードされてよく、またはメチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、アラニン、グリシン、バリン、チロシン、アスパラギン酸であり、位置101は、KSG、XYZによってコードされてよく、またはアスパラギン酸、メチオニン、アラニン、バリン、グリシン、チロシン、フェニルアラニン、ロイシンであり、位置102はKSGもしくはXYZによってコードされてよく、またはチロシン、アスパラギン酸、メチオニン、アラニン、バリン、グリシンである。これらの実施形態で変異体CDRH3領域を含んでいる1つまたは複数のポリペプチドは、図4および図43に例示したオリゴヌクレオチドを少なくとも1つまたは複数個用いて作製することができる。
【0028】
他の実施形態では、変異体CDRL1、CDRL2またはCDRL3の少なくとも1つまたはすべてを含む方法およびポリペプチド、例えば抗体可変ドメインが提供され、前記変異体CDRL1、CDRL2またはCDRL3、またはその混合物は、溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置に少なくとも1つの変異体アミノ酸を有し、前記変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべては周知の抗体または抗原結合断片(例えば、抗体可変ドメイン)におけるその位置の対象アミノ酸である。
【0029】
本発明のポリペプチドは、ポリペプチドの対象結合機能が保持される限り様々な形態をとることができる。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは融合ポリペプチド(すなわち、異種ポリペプチドからの2つ以上の配列の融合)である。本発明による多様化されたCDRを有するポリペプチドは、ウイルスのコートタンパク質の少なくとも一部との融合ポリペプチドとして、ファージディスプレイで用いるために調製することができる。本発明のポリペプチドの提示のために使うことができるウイルスコートタンパク質は、タンパク質pIII、主要コートタンパク質pVIII、Soc(T4ファージ)、Hoc(T4ファージ)、gpD(ラムダファージ)、pVIまたはこれらの変異体を含む。
【0030】
多様化されたCDRを有するポリペプチドが1つまたは複数の抗体可変ドメインであるいくつかの実施形態では、この抗体可変ドメインは、ウイルス表面上でScFv、Fab、ScFv、F(ab’)およびF(ab)を含む様々な形式で提示することができる。二価の方式によるポリペプチドの提示のためには、融合タンパク質は好ましくは二量体化ドメインを含む。この二量体化ドメインは、二量体化配列の少なくとも1つ、および/または1つまたは複数のシステイン残基を含む配列を含んでいてもよい。この二量体化ドメインは、好ましくは重鎖可変ドメインまたは定常ドメインのC末端と連結している。二量体化ドメインは、前記抗体可変ドメインがウイルスのコートタンパク質成分との融合タンパク質成分として作製されている(二量体化ドメインの後にアンバー終止コドンを有さない)かどうかにより、または、前記抗体可変ドメインが主にウイルスコートタンパク質成分を含まずに作製されている(例えば、二量体化ドメインの後にアンバー終止コドンを有す)かどうかにより、様々な構造をとることができる。前記抗体可変ドメインが主にウイルスのコートタンパク質成分との融合タンパク質として作製されるとき、1つまたは複数のジスルフィド結合および/または単一の二量体化配列が二価提示をもたらす。主にウイルスのコートタンパク質成分と融合されずに作製される抗体可変ドメイン(例えば、アンバー終止を有す)の場合、システイン残基と二量体化配列の両方を含んでいる二量体化ドメインを持つことが好ましい。
【0031】
さらに、融合ポリペプチドは、精製、検出およびスクリーニングのときに役立つタグ、例えばFLAG、poly−his、gDタグ、c−myc、蛍光タンパク質またはB−ガラクトシダーゼを含んでいてもよい。一実施形態では、融合ポリペプチドは、ポリペプチドタグと融合した軽鎖可変ドメインまたは定常ドメインを含む。
【0032】
本発明の他の態様では、抗体可変ドメインなどのポリペプチドが単一のソースまたは鋳型分子から得られる。ソースまたは鋳型分子は、好ましくは、原核または真核の細胞培養で生産されるときの好収率と安定性といった特性を考慮して選択または設計され、かつ/または様々な長さのCDRH3領域を受け入れできるように選択または設計される。鋳型分子の配列は、ファージコートタンパク質成分を有する融合タンパク質として現れるときの可変ドメインの折畳みおよび/または提示を改善するために改変することができる。例えば、ソース抗体は、ヒト化抗体4D5の可変ドメインのアミノ酸配列を含んでもよい(軽鎖可変ドメイン、配列番号1;重鎖可変ドメイン、配列番号2)。例えば、重鎖または軽鎖の抗体可変ドメインにおいて、この抗体可変ドメインの折畳み、収率、提示または親和性を改善するために、フレームワーク領域残基はソースまたは鋳型分子から改変または変更することができる。いくつかの実施形態では、ソース分子のフレームワーク位置のアミノ酸が天然抗体またはサブグループコンセンサス配列のその位置で通常見られる1つまたは複数のアミノ酸と異なるときに、フレームワーク残基が選択されてソースまたは鋳型分子から改変される。それらの位置のアミノ酸は、天然抗体またはサブグループ共通配列のその位置で最も一般的に見られるアミノ酸に変えることができる。一実施形態では、重鎖のフレームワーク残基71は、R、VまたはAでよい。他の実施例では、重鎖のフレームワーク残基93は、SまたはAでよい。他の実施例では、フレームワーク残基94は、R、KまたはTでよい。他の実施例では、H鎖のフレームワーク残基49は、アラニンまたはグリシンでよい。軽鎖では、66位置のアミノ酸はアルギニンまたはグリシンでよい。
【0033】
本発明の方法は、CDR配列の多様なセットを含んでいる多種多様なポリペプチドを生み出すことができる。例えば、一実施形態において、本発明はCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2およびCDRH3からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべての変異体CDRを含んでいるポリペプチドを提供し、(i)CDRL1、L2、L3、H1およびH2のそれぞれは、少なくとも1つ(または全数までの任意の数)の溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置に変異体アミノ酸を有し、この変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされ、この非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗原結合断片におけるその位置の対象アミノ酸であり、(ii)変異体CDRH3は、少なくとも1つ(または全数までの任意の数)のアミノ酸位置に変異体アミノ酸を有する。
【0034】
他の実施形態において本発明はポリペプチドを提供し、このポリペプチドは(a)CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1およびCDRH2からなる群から選択される変異体CDRの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべてを含み、CDRL1、L2、L3、H1およびH2のそれぞれは、少なくとも1つ(または全数までの任意の数)の溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置に変異体アミノ酸を有し、この変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされ、この非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗原結合断片におけるその位置の対象アミノ酸であり、また(b)少なくとも1つ(または全数までの任意の数)のアミノ酸位置に変異体アミノ酸を含む変異体CDRH3を含む。
【0035】
一実施形態において、本発明はCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2およびCDRH3からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべてのCDRを含んでいるポリペプチドを提供し、(a)CDRL1は、アミノ酸位置28、29、30、31および32の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、(b)CDRL2は、アミノ酸位置50および53の少なくとも1つまたは両方の位置に変異体アミノ酸を含み、(c)CDRL3は、アミノ酸位置91、92、93、94および96の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、(d)CDRH1は、アミノ酸位置28、30、31、32および33の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、(e)CDRH2は、アミノ酸位置50、52、53、54、56および58の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、(f)CDRH3は、抗体4D5のアミノ酸位置95、96、97、98、99、100および100aに対応するアミノ酸位置の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、前記アミノ酸位置は、カバットナンバリングシステムに対応し、(a)から(e)の変異体アミノ酸のそれぞれは非ランダムコドンセットでコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗体断片におけるその位置の対象アミノ酸である。これらのポリペプチドのいくつかの実施形態では、(f)の少なくとも1つの変異体アミノ酸は、コドンセットNNK、NNS、DVK、XYZまたはNVTによってコードされる。いくつかの実施形態では、前記ポリペプチドは抗体の重鎖および/または軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CDRH3のアミノ酸位置100b、100c、101および102も変化させられる。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明は抗体軽鎖と重鎖可変ドメインを含んでいるポリペプチドを提供し、(a)CDRL1は、アミノ酸位置28、29、30、31および32の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、(b)CDRL2は、アミノ酸位置50および53の少なくとも1つまたは両方の位置に変異体アミノ酸を含み、(c)CDRL3は、アミノ酸位置91、92、93、94および96の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、(d)CDRH1は、アミノ酸位置28、30、31、32および33の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、(e)CDRH2は、アミノ酸位置50、52、53、54、56および58の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、(f)CDRH3は、抗体4D5のアミノ酸位置95、96、97、98、99、100および100aに対応するアミノ酸位置の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、前記アミノ酸位置は、カバットナンバリングシステムに対応し、(a)から(e)の変異体アミノ酸のそれぞれは非ランダムコドンセットでコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗体断片におけるそのアミノ酸位置の対象アミノ酸である。いくつかの実施形態では、(f)の変異体アミノ酸はコドンセットNNK、NNS、DVK、XYZまたはNVTによってコードされるか、またはトリプトファンまたはグリシンまたはそれらの混合物である。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明はCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2およびCDRH3からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべてのCDRを含んでいるポリペプチドを提供し、(a)CDRL1は、アミノ酸位置28、29、30、31および32に変異体アミノ酸を含み、(b)CDRL2は、アミノ酸位置50および53に変異体アミノ酸を含み、(c)CDRL3は、アミノ酸位置91、92、93、94および96に変異体アミノ酸を含み、(d)CDRH1は、アミノ酸位置28、30、31、32および33に変異体アミノ酸を含み、(e)CDRH2は、アミノ酸位置50、52、53、54、56および58に変異体アミノ酸を含み、(f)CDRH3は、抗体4D5のアミノ酸位置95、96、97、98、99、100および100aに対応するアミノ酸位置に変異体アミノ酸を含み、前記アミノ酸位置は、カバットナンバリングシステムに対応し、(a)から(e)の変異体アミノ酸のそれぞれは非ランダムコドンセットでコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗体断片におけるそのアミノ酸位置の対象アミノ酸である。いくつかの実施形態では、(e)の変異体アミノ酸はコドンセットNNK、NNS、DVK、XYZまたはNVTによってコードされるか、またはトリプトファンまたはグリシンまたはそれらの混合物である。
【0038】
他の実施形態において、本発明はCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2およびCDRH3からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべてのCDRを含んでいるポリペプチドを提供し、(a)CDRL1は、アミノ酸位置28、29、30、31および32に変異体アミノ酸を含み、(i)位置28の変異体アミノ酸はコドンセットRDTによってコードされ、(ii)位置29の変異体アミノ酸はコドンセットRKTまたはRTTによってコードされ、(iii)位置30の変異体アミノ酸はコドンセットRVWによってコードされ、(iv)位置31の変異体アミノ酸はコドンセットRVWまたはANWによってコードされ、(v)位置32の変異体アミノ酸はコドンセットDHTまたはTHTによってコードされ、(b)CDRL2は、アミノ酸位置50および53に変異体アミノ酸を含み、(i)位置50の変異体アミノ酸はコドンセットKBGによってコードされ、(ii)位置53の変異体アミノ酸はコドンセットAVCによってコードされ、(c)CDRL3は、アミノ酸位置91、92、93、94および96に変異体アミノ酸を含み、(i)位置91の変異体アミノ酸はコドンセットKMTまたはTMTまたはコドンセットTMTとSRTの組合せによってコードされ、(ii)位置92の変異体アミノ酸はコドンセットDHTまたはDMCによってコードされ、(iii)位置93の変異体アミノ酸はコドンセットRVTまたはDHTによってコードされ、(iv)位置94の変異体アミノ酸はコドンセットNHTまたはWHTによってコードされ、(v)位置96の変異体アミノ酸はコドンセットYHT、HWT、HTTまたはTDKまたはコドンセットYKGとTWTの組合せによってコードされ、(d)CDRH1は、アミノ酸位置28、30、31、32および33に変異体アミノ酸を含み、(i)位置28の変異体アミノ酸はコドンセットAVTまたはWCCによってコードされるか、あるいはトレオニンであり、(ii)位置30の変異体アミノ酸はコドンセットRVMまたはAVTによってコードされ、(iii)位置31の変異体アミノ酸はコドンセットRVM、RVTまたはRRTによってコードされ、(iv)位置32の変異体アミノ酸はコドンセットWMYによってコードされ、(v)位置33の変異体アミノ酸はコドンセットKVK、RNT、DMT、KMT、KGGまたはコドンセットKMTとKGGの組合せによってコードされ、(e)CDRH2は、アミノ酸位置50、52、53、54、56および58に変異体アミノ酸を含み、(i)位置50の変異体アミノ酸はコドンセットKDKまたはDBGまたはコドンセットDGGとDHTの組合せによってコードされ、(ii)位置52の変異体アミノ酸はコドンセットDHTまたはDMTによってコードされ、(iii)位置53の変異体アミノ酸はコドンセットNMTまたはDMTによってコードされ、(iv)位置54の変異体アミノ酸はコドンセットDMK、DMTまたはRRCによってコードされ、(v)位置56の変異体アミノ酸はコドンセットDMKまたはDMTによってコードされ、(vi)位置58の変異体アミノ酸はコドンセットDMTまたはDACによってコードされ、(f)CDRH3は、アミノ酸位置95、96、97、98、99、100および100aに変異体アミノ酸を含み、アミノ酸位置95、96、97、98、99、100および100aの各位置の変異体アミノ酸はコドンセットNNK、NNS、XYZ、DVKまたはNVTによってコードされるか、あるいはトリプトファンまたはグリシンまたはそれらの混合物であり、前記アミノ酸位置は、カバットナンバリングシステムに対応する。いくつかの実施形態では、前記ポリペプチドは抗体の重鎖および/または軽鎖可変ドメインを含む。
【0039】
変異体CDRH3を含むポリペプチドのいくつかの実施形態では、この変異体CDRH3は、抗体4D5の95から100aのアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、アミノ酸位置はカバットナンバリングシステムに対応する。いくつかの実施形態では、変異体CDRH3の変異体アミノ酸は、コドンセットNNK、XYZ、NNS、DVKまたはNVTによってコードされるアミノ酸であるか、またはトリプトファンまたはグリシンまたはそれらの混合物である。本発明のポリペプチドのいくつかの実施形態では、CDRH3の位置100aの変異体アミノ酸は、NNS、NVT、DVK、XYZによってコードされるか、またはチロシン、フェニルアラニン、グリシン、セリン、アラニン、トリプトファン、アスパラギン酸、メチオニンもしくはバリンである。いくつかの実施形態では、CDRH3は、抗体4D5のアミノ酸位置100b、100c、101および102に対応するアミノ酸位置に変異体アミノ酸を有する。
【0040】
本発明のポリペプチドの様々な実施形態では、好ましくは非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸には、公知の抗体または抗原結合断片の好ましくは少なくとも約50%、60%または70%の対応する位置で見られるアミノ酸が含まれる(通常はこれらである)。いくつかの実施形態では、前記公知の抗体または抗原結合断片は、米国国立衛生研究所によって出版された「Sequences of Proteins of Immunological Interest」(第5版)にあるようなものである。いくつかの実施形態では、前記公知の抗体または抗原結合断片は、カバットのデータベース(http:immuno/bme/nwu/edu)にあるようなものである。
【0041】
本発明のポリペプチドのいくつかの実施形態では、非ランダムコドンセットはシステインをコードしない。いくつかの実施形態では、非ランダムコドンセットは終止コドンを含まない。
【0042】
本明細書で記載されているように、変異体CDRは、単一の参照ポリペプチド/ソース抗体の対応するCDRと比較して、配列の変異を有するCDRを指す。したがって、本発明の単一のポリペプチドのCDRは、好ましくは単一の参照ポリペプチドまたはソース抗体のCDRセットに対応する。
【0043】
本発明のポリペプチドは、ポリペプチドの対象結合機能が保持される限り様々な形態をとることができる。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは融合ポリペプチド(すなわち、異種ポリペプチドからの2つ以上の配列の融合)である。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドはウイルスコートタンパク質、例えばpIII、pVIII、Soc、Hoc、gpD、pVIおよびその変異体からなる群から選択されるウイルスコートタンパク質の少なくとも一部と融合する。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは軽鎖および重鎖抗体可変ドメインを含み、この軽鎖可変ドメインはCDRL1、L2およびL3からなる群から選択される少なくとも1つ、2つまたは3つの変異体CDRを含み、重鎖可変ドメインはCDRH1、H2およびH3からなる群から選ばれる少なくとも1つ、2つまたは3つの変異体CDRを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、ScFvである。いくつかの実施形態では、それはFab断片である。いくつかの実施形態では、それはF(ab)またはF(ab’)である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドはさらに二量体化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、前記二量体化ドメインは抗体の重鎖または軽鎖の可変ドメインとウイルスコートタンパク質の少なくとも一部との間に位置する。この二量体化ドメインは、二量体化配列の少なくとも1つ、および/または1つまたは複数のシステイン残基を含む配列を含んでいてもよい。この二量体化ドメインは、好ましくは重鎖可変ドメインまたは定常ドメインのC末端と連結している。二量体化ドメインは、前記抗体可変ドメインがウイルスのコートタンパク質成分との融合タンパク質成分として作製されている(二量体化ドメインの後にアンバー終止コドンを有さない)かどうかにより、または、前記抗体可変ドメインが主にウイルスコートタンパク質成分を含まずに作製されている(例えば、二量体化ドメインの後にアンバー終止コドンを有す)かどうかにより、様々な構造をとることができる。前記抗体可変ドメインが主にウイルスのコートタンパク質成分との融合タンパク質として作製されるとき、1つまたは複数のジスルフィド結合および/または単一の二量体化配列が二価提示をもたらす。主にウイルスのコートタンパク質成分と融合されずに作製される抗体可変ドメイン(例えば、アンバー終止を有す)の場合、システイン残基と二量体化配列の両方を含んでいる二量体化ドメインを持つことが好ましい。いくつかの実施形態では、F(ab)の重鎖は、ヒンジ領域を含まない二量体化ドメインで二量体化する。この二量体化ドメインは、ロイシンジッパー配列(例えば、配列番号3で表されたGCN4配列)を含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは軽鎖可変ドメインに融合した軽鎖定常ドメインをさらに含み、いくつかの実施形態ではこのドメインは少なくとも1つ、2つまたは3つの変異体CDRを含む。本発明のポリペプチドのいくつかの実施形態では、ポリペプチドは重鎖可変ドメインに融合したH鎖定常ドメインを含み、いくつかの実施形態ではこのドメインは少なくとも1つ、2つまたは3つの変異体CDRを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは抗体軽鎖可変ドメインを含み、変異体CDRはCDRL1であり、多様化されたアミノ酸位置はアミノ酸位置28、29、30、31および32に対応する位置である。いくつかの実施形態では、位置28の変異体アミノ酸はコドンセットRDTによってコードされ、位置29の変異体アミノ酸はコドンセットRKTまたはRTTによってコードされ、位置30の変異体アミノ酸はコドンセットRVWによってコードされ、位置31の変異体アミノ酸はコドンセットRVWまたはANWによってコードされ、位置32の変異体アミノ酸はコドンセットDHTまたはTHTによってコードされる。一実施形態では、位置30のアミノ酸はアスパラギンまたはセリンである。
【0048】
他の実施形態では、本発明のポリペプチドは抗体軽鎖可変ドメインを含み、変異体CDRはCDRL2であり、多様化されたアミノ酸位置はアミノ酸位置50および53に対応する位置である。いくつかの実施形態では、位置50の変異体アミノ酸はコドンセットKBGによってコードされ、位置53の変異体アミノ酸はコドンセットAVCによってコードされる。
【0049】
他の実施形態では、本発明のポリペプチドは抗体軽鎖可変ドメインを含み、変異体CDRはCDRL3であり、多様化されたアミノ酸位置はアミノ酸位置91、92、93、94または96に対応する位置から選択される。いくつかの実施形態では、位置91の変異体アミノ酸はコドンセットKMT、TMTまたはコドンセットTMTとSRTの組合せによってコードされ、位置92の変異体アミノ酸はコドンセットDHTまたはDMCによってコードされ、位置93の変異体アミノ酸はコドンセットRVTまたはDHTによってコードされ、位置94の変異体アミノ酸はコドンセットNHTまたはWHTによってコードされ、位置96の変異体アミノ酸はコドンセットYHT、HWT、HTTまたはコドンセットYKGとTWTの組合せによってコードされる。一実施形態では、アミノ酸位置91はヒスチジンまたはセリンである。
【0050】
他の実施形態では、本発明のポリペプチドは重鎖可変ドメインを含み、変異体CDRはCDRH1であり、多様化されたアミノ酸位置はアミノ酸28、30、31、32または33に対応するアミノ酸位置から選択された位置である。いくつかの実施形態では、位置28の変異体アミノ酸はコドンセットAVTまたはWCCによってコードされるか、あるいはトレオニンであり、位置30の変異体アミノ酸はコドンセットRVMまたはAVTによってコードされ、位置31の変異体アミノ酸はコドンセットRVM、RVTまたはRRTによってコードされ、位置32の変異体アミノ酸はコドンセットWMYによってコードされ、位置33の変異体アミノ酸はコドンセットKVK、RNT、DMT、KMT、またはコドンセットKMTとKGGの組合せによってコードされる。
【0051】
他の実施形態では、本発明のポリペプチドは重鎖可変ドメインを含み、変異体CDRはCDRH2であり、多様化されたアミノ酸位置はアミノ酸50、52、53、54、56または58に対応するアミノ酸位置から選択された位置である。いくつかの実施形態では、位置50の変異体アミノ酸はコドンセットKDK、DBGまたはコドンセットDGGとDHTの組合せによってコードされ、位置52の変異体アミノ酸はコドンセットDHTまたはDMTによってコードされ、位置53の変異体アミノ酸はコドンセットNMTまたはDMTによってコードされ、位置54の変異体アミノ酸はコドンセットDMK、DMTまたはRRCによってコードされ、位置56の変異体アミノ酸はコドンセットDMKまたはDMTによってコードされ、位置58の変異体アミノ酸はコドンセットDMTまたはDACによってコードされる。
【0052】
他の実施形態では、本発明のポリペプチドは重鎖可変ドメインを含み、変異体CDRは、アミノ酸位置95から100aの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含んでいるCDRH3であり、この変異体アミノ酸はコドンセットNNK、NNS、XYZ、DVKまたはNVTによってコードされるか、あるいはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物である。
【0053】
いくつかの場合には、参照ポリペプチドまたはソース抗体に関して変異体であるように、フレームワーク残基を突然変異させることが好ましいこともある。例えば、重鎖のフレームワーク残基71は、アミノ酸R、VまたはAでよい。他の実施例では、重鎖のフレームワーク残基93は、アミノ酸SまたはAでよい。他の実施例では、重鎖のフレームワーク残基94は、アミノ酸R、KまたはTでよく、あるいはMRTでコードされてよい。他の実施例では、重鎖のフレームワーク残基49は、アミノ酸AまたはGでよい。軽鎖のフレームワーク残基も突然変異させることができる。例えば、軽鎖のフレームワーク残基66は、アミノ酸RまたはGでよい。
【0054】
本明細書で記載されている変異体CDRは、単一の参照ポリペプチド/ソース抗体の対応するCDRと比較して、配列の変異を有するCDRを指す。したがって、本発明の単一のポリペプチドのCDRは、好ましくは単一の参照ポリペプチドまたはソース抗体のCDRセットに対応する。本発明のポリペプチドは、変異体CDRのいずれか1つまたは組合せを含んでもよい。例えば、本発明のポリペプチドは、変異体CDRH1およびCDRH2を含んでもよい。本発明のポリペプチドは、変異体CDRH1、変異体CDRH2および変異体CDRH3を含んでもよい。他の実施例では、本発明のポリペプチドは、変異体CDRH1、H2、H3およびL3を含んでもよい。他の実施例では、本発明のポリペプチドは、変異体CDRL1、L2およびL3を含む。本発明のいずれのポリペプチドでも、さらに変異体CDRL3を含んでもよい。本発明のいずれのポリペプチドでも、さらに変異体CDRH3を含んでもよい。
【0055】
本発明のポリペプチドは、互いに複合体を形成してもよい。例えば、本発明は2つのポリペプチドを含んでいるポリペプチド複合体を提供し、各ポリペプチドは本発明のポリペプチドであり、前記ポリペプチドの1つは変異体CDRH1、H2およびH3の少なくとも1つ、2つまたはすべてを含み、他のポリペプチドは変異体CDRL3を含む。ポリペプチド複合体は第1および第2のポリペプチドを含み(第1および第2のポリペプチドは本発明のポリペプチドである)、第1のポリペプチドは軽鎖変異体CDRの少なくとも1つ、2つまたは3つを含み、第2のポリペプチドは重鎖変異体CDRの少なくとも1つ、2つまたは3つを含む。本発明は、同じ変異体CDR配列を含むポリペプチド複合体も提供する。複合化はいかなる適当な手法によってでも可能であり、これには本明細書で記載されているような二量体化/多量体化ドメインにおける二量体化/多量体化、または共有結合的相互作用(例えばジスルフィド結合を通して)(ある意味合いでは二量体化ドメインの一部であり、例えば二量体化ドメインはロイシンジッパー配列およびシステインを含んでもよい)が含まれる。
【0056】
他の態様において、本発明は本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを含んでいる組成物を提供する。例えば、本発明は本明細書に記載されている本発明のポリペプチドのいずれかを複数含んでいる組成物を提供する。前記複数のポリペプチドは、変異体アミノ酸をコードしている配列に縮退を含む一組のオリゴヌクレオチドで作製された複数のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドを含むことができ、前記縮退は前記変異体アミノ酸をコードしている非ランダムコドンセットの複数のコドン配列のそれである。
【0057】
一態様では、本発明は本明細書で記載されている本発明のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードしている配列を含んでいる複製可能な発現ベクターでもよい。
【0058】
他の態様において、本発明は本発明の複数のベクターを含んでいるライブラリーを提供し、この複数のベクターは複数のポリペプチドをコードする。
【0059】
本発明は、本明細書で記載されている本発明のポリヌクレオチドおよび/またはベクターのいずれかを含んでいる宿主細胞も提供する。
【0060】
他の態様において、本発明は本発明のポリペプチドをその表面で提示するウイルスまたはウイルス粒子(例えば、ファージまたはファージミド粒子)を提供する。本発明は、本発明のポリペプチドをそれぞれ提示している本発明の複数のウイルスまたはウイルス粒子を含んでいるライブラリーも提供する。本発明のライブラリーは異なったポリペプチド(配列)をいくつでも含むことができ、好ましくは少なくとも約1×10、好ましくは少なくとも約1×10、好ましくは少なくとも約1×1010の異なる配列を含むことができる。
【0061】
本発明は複数のポリペプチドを含んでいるライブラリーも提供し、各種類のポリペプチドは本明細書で記載されている本発明のポリペプチドである。
【0062】
他の態様において、本発明は特異的対象抗原に対する高親和性結合体を選択する方法を提供し、この対象抗原には成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、インスリン様成長因子、n−メチオニルヒト成長ホルモンを含むヒト成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリン、プロインスリン、アミリン、リラキシン、プロリラキシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパクホルモン、造血成長因子、線維芽細胞成長因子、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、腫瘍壊死因子、ミュラー管抑制物質、マウスゴナドトロピン関連のポリペプチド、インヒビン、アクチビン、血管内皮細胞増殖因子、インテグリン、NGF−βのような神経成長因子、インスリン様成長因子−IおよびII、エリスロポイエチン、骨誘導因子、インターフェロン、コロニー刺激因子、インターロイキン、骨形成タンパク質、LIF、SCF、FLT−3リガンドおよびキット−リガンドが含まれる。
【0063】
本発明の方法は、1つまたは複数の多様化されたCDR領域を有するポリペプチド(例えば、抗体可変ドメイン)のライブラリーを提供する。これらのライブラリーは、対象抗原に結合する高親和性結合体を同定するために選別(選択)および/またはスクリーニングが行われる。一態様では、このライブラリーからのポリペプチド結合体は、対象抗原への結合に関し、および親和性に関して選択される。これらの選抜方策の1つまたは複数を使って選択されたポリペプチド結合体は、次に親和性および/または特異性(対象抗原だけに結合して非対象抗原には結合しない性質)に関してスクリーニングしてもよい。
【0064】
一方法では、1つまたは複数の多様化CDR領域を有する複数のポリペプチドを作製し、この複数のポリペプチドを結合にふさわしい条件下で対象抗原と接触させることにより対象抗原に結合する結合体に関してこの複数のポリペプチドを選別し、前記対象抗原に結合する前記結合体を結合しないものから分離し、この結合体を単離し、この高親和性結合体を同定する。対象抗原と結合する結合体の親和性は、本明細書で記載されているような競合ELISAを使って測定できる。任意選択に、ポリペプチドはポリペプチドタグ、例えば対象抗原の選別と組み合わせて結合体を選別するために使用することができるgD、poly hisまたはFLAGと融合させることもできる。
【0065】
他の実施形態は、抗体可変ドメインのライブラリーからの対象抗原に結合する抗体可変ドメインを選択する方法を提供し、a)請求項1から9および17から44のいずれかに記載されている複数のポリペプチドを含んでいる複製可能な発現ベクターのライブラリーを作製するステップと、b)このライブラリーを結合に適した条件下で固定化対象抗原と接触させることによって、このライブラリーから対象抗原に結合するポリペプチド結合体を単離するステップと、c)前記ライブラリーのポリペプチド結合体を非結合体から分離して前記対象抗原から結合体を溶出させるステップと、d)前記ポリペプチド結合体を有する複製可能な発現ベクターを増幅するステップと、e)任意選択でa〜dのステップを少なくとも2回繰り返すステップとを含む。
【0066】
この方法は、さらに、f)ポリペプチド結合体を含んでいる増幅された複製可能な発現ベクターを、結合して混合物を形成するのに適した条件下で、0.1nMから1000nMの濃度の標識された対象抗原とインキュベートするステップと、g)前記混合物を前記対象抗原上の標識と結合する固定化因子と接触させるステップと、h)標識された対象抗原と結合した前記ポリペプチド結合体を分離して、前記標識された対象抗原からこのポリペプチド結合体を溶出させるステップと、i)前記ポリペプチド結合体を含む複製可能な発現ベクターを増幅するステップと、j)任意選択に、各回より低い濃度の標識された対象抗原を用いてf)からi)のステップを少なくとも2回繰り返すステップとを含んでもよい。任意選択に、この方法は、前記混合物に過剰な量の非標識対象抗原を加え、標識された対象抗原から低親和性結合体を溶出させるのに十分な時間インキュベートするステップを含んでもよい。
【0067】
他の実施形態は、対象抗原に結合する高親和性結合体を複製可能な発現ベクターのライブラリーから単離または選択する方法を提供し、この方法は、a)請求項1から9および17から44のいずれかに記載されている複数のポリペプチドを含んでいる複製可能な発現ベクターのライブラリーを作製するステップと、b)このライブラリーを、対象抗原に結合するポリペプチド結合体を単離するために、少なくとも約0.1nMから1000nMの濃度の前記対象抗原と接触させるステップと、c)前記ポリペプチド結合体を前記対象抗原から分離してこのポリペプチド結合体を含んでいる複製可能な発現ベクターを増幅するステップと、d)任意選択に、最も低い濃度の対象抗原と結合するポリペプチド結合体を単離するために、各回、より低い濃度の対象抗原でaからcのステップを少なくとも2回繰り返すステップと、e)前記ポリペプチド結合体をいくつか異なる希釈の前記対象抗原とインキュベートしてこのポリペプチド結合体のIC50を求めることにより、最も低い濃度の対象抗原と結合するポリペプチド結合体から高親和性のものを選択するステップと、f)約0.1nMから200nMの対象抗原に対する親和性を有するポリペプチド結合体を同定するステップとを含む。
【0068】
他の実施形態は、請求項1から9および17から44のいずれかに記載されている複数のポリペプチドを含んでいる複製可能な発現ベクターのライブラリーからポリペプチド結合体を選択するための検定法を提供し、この方法は、a)前記ライブラリーを、結合してポリペプチド結合体と標識された対象抗原の複合体を形成するのに適した条件下で0.1nMから1000nMの濃度のこの標識された対象抗原と接触させるステップと、b)複合体を単離して、前記標識された対象抗原から前記ポリペプチド結合体を分離するステップと、c)前記ポリペプチド結合体を含む複製可能な発現ベクターを増幅するステップと、d)任意選択に、各回、より低い濃度の対象抗原を用いてa)からc)のステップを少なくとも2回繰り返すステップとを含む。任意選択に、この方法はさらに、前記ポリペプチド結合体と対象抗原の複合体に過剰な量の非標識対象抗原を加えるステップを含んでもよい。好ましい一実施形態ではこの方法のステップは2回繰り返され、第1回目の選択における対象の濃度は約100nMから250nMであり、第2回目の選択では約25nMから100nMであり、第3回目の選択では約0.1nMから25nMである。
【0069】
本発明は、請求項1から9および17から44のいずれかに記載されている複数のポリペプチドを含んでいる複製可能な発現ベクターのライブラリーをスクリーニングする方法も提供し、この方法は、a)まず、前記ポリペプチドと対象抗原との結合に適した条件下で前記ライブラリーの試料をある濃度の対象抗原とインキュベートするステップと、b)前記ライブラリーの第2の試料を、対象抗原を加えないでインキュベートするステップと、c)第1と第2の試料のそれぞれを、前記ポリペプチドと固定化対象抗原との結合に適した条件下でこの固定化対象抗原と接触させるステップと、d)各試料について、固定化対象抗原に結合したポリペプチドの量を検出するステップと、e)第1の試料の結合したポリペプチドの量と第2の試料の結合したポリペプチドの量の比率を計算することによって、前記対象抗原に対するポリペプチドの親和性を測定するステップとを含む。
【0070】
本明細書で記載されているように作製されたライブラリーは、特異的対象への結合および非対象抗原への非結合に関してスクリーニングすることもできる。一態様では、他の実施形態は抗体可変ドメインのライブラリーから特異的対象抗原に結合する抗体可変ドメインを選抜する方法を提供し、この方法は、a)請求項1から9および17から44のいずれかに記載されている複数のポリペプチドを含んでいる複製可能な発現ベクターのライブラリーを作製するステップと、b)前記ライブラリーを、結合に適した条件下で対象抗原および少なくとも1つの非対象抗原と接触させるステップと、c)前記ライブラリーのポリペプチド結合体を非結合体から分離するステップと、d)前記対象抗原と結合し、前記非対象抗原とは結合しない結合体を同定するステップと、e)前記結合体を前記対象抗原から溶出するステップと、f)この特異的抗原に結合するポリペプチド結合体を含んでいる複製可能な発現ベクターを増幅するステップとを含む。
【0071】
前記選別/選択法のいずれの組合せを前記スクリーニング法と組み合わせることができる。例えば、一実施形態ではポリペプチド結合体は、まず固定化対象抗原への結合に関して選択される。前記固定化対象抗原と結合するポリペプチド結合体は、次に増幅して、この対象抗原との結合および非対象抗原への非結合に関してスクリーニングすることができる。特異的に対象抗原と結合するポリペプチド結合体を増幅する。これらのポリペプチド結合体は次に、複合体を形成するある濃度の標識された対象抗原と接触させることにより、より高い親和性に関して選択でき、標識された対象抗原の濃度域は約0.1nMから約1000nMであり、この複合体は対象抗原上の標識と結合する因子との接触によって単離される。このポリペプチド結合体は次に、標識された対象抗原から溶出され、また各回、より低い濃度の標識された対象抗原を用いて選択を繰り返すこともできる。この選択方法を使用して単離された高親和性ポリペプチド結合体は、次に、例えば実施例8に記載されている溶相ELISA検定法、または実施例9に記載されている点競合ELISA検定法を用いて高親和性に関してスクリーニングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
本発明は、抗体可変ドメイン配列、および通常多数の多様化された抗体可変ドメイン配列を含むライブラリーを多様化するための、新規で体系的な方法を提供する。そのようなライブラリーは、例えば望ましい活性、例えば結合親和性およびアビディティーのある合成の抗体クローンを選別および/またはスクリーニングするために役立つ、組合せライブラリーを提供する。これらのライブラリーは、多種多様な対象抗原のいずれかと相互作用することのできる免疫グロブリンポリペプチド配列を同定するために有用である。例えば、ファージディスプレイとして発現する本発明の多様化された免疫グロブリンポリペプチドを含んでいるライブラリーは、関心の抗原結合分子の選択および/またはスクリーニングに特に有用であり、またそのための高スループットの、効率的で自動化可能な系を提供する。本発明の方法は、ソースまたは鋳型分子に最小限の変更を加えて対象抗原に結合する高親和性結合体を提供するようになっており、抗体または抗原結合断片が細胞培養で生産されるときに良好な生産効率を可能にする。
【0073】
定義
アミノ酸は本明細書では1文字コードまたは3文字コード、またはその両方で表記されている。
【0074】
用語「親和性精製」は、化学物質または結合パートナーへ分子が特異的に誘引または結合され、その結果パートナーに結合または誘引されたままの状態でその分子が不純物から分離されるような組合せまたは複合体の形成に基づく分子の精製を意味する。
【0075】
用語「抗体」は最も広義で使われており、具体的には、それらが所望の生物学的活性を示す限り、単一のモノクローナル抗体(アゴニストおよびアンタゴニスト抗体を含む)、多エピトープ特異性を有する抗体組成物、親和性成熟抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体ならびに抗原結合断片(例えば、Fab、F(ab’)、scFvおよびFv)をカバーする。
【0076】
本明細書で使われるように、「抗体可変ドメイン」は相補性決定領域(CDR;すなわち、CDR1、CDR2およびCDR3)ならびにフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む、抗体分子の軽鎖および重鎖の部分を指す。Vは重鎖の可変ドメインを指す。Vは軽鎖の可変ドメインを指す。本発明で使用されている方法によると、CDRとFRに割り当てられるアミノ酸位置はカバットに従って規定される(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health、Bethesda、Md.、1987年および1991年)。抗体または抗原結合断片のアミノ酸のナンバリングも、カバットのそれに準じる。
【0077】
本明細書で使われるように、用語「相補性決定領域(CDR;すなわち、CDR1、CDR2およびCDR3)は、抗原結合のために存在している必要がある抗体可変ドメインのアミノ酸残基を指す。各可変ドメインは、一般的にCDR1、CDR2およびCDR3と同定される3つのCDR領域を持つ。各相補性決定領域はカバットが記載しているような「相補性決定領域」からのアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインの残基約24〜34(L1)、50〜56(L2)、および89〜97(L3)ならびに重鎖可変ドメインの31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3);Kabat他、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institute of Health、Bethesda、MD.(1991))、および/または「超可変ループ」からの残基(すなわち、軽鎖可変ドメインの残基約26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)ならびに重鎖可変ドメインの26〜32(H1),53〜55(H2)および96〜101(H3);ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.196:901〜917頁(1987))を含んでもよい。いくつかの場合には、相補性決定領域はカバットの記載により定義されているCDR領域および超可変ループの両方からのアミノ酸を含むことができる。例えば、抗体4D5の重鎖のCDRH1は、アミノ酸26〜35を含む。
【0078】
「フレームワーク領域」(以下FRと称す)は、CDR残基以外の可変ドメイン残基である。各可変ドメインは、一般的にFR1、FR2、FR3およびFR4と同定される4つのFRを持つ。CDRがカバットの定義に従うならば、軽鎖FR残基は残基約1〜23(LCFR1)、35〜49(LCFR2)、57〜88(LCFR3)および98〜107(LCFR4)に位置し、重鎖FR残基は重鎖残基の残基約1〜30(HCFR1)、36〜49(HCFR2)、66〜94(HCFR3)および103〜113(HCFR4)に位置する。CDRが超可変ループからのアミノ酸残基を含むならば、軽鎖FR残基は軽鎖の残基約1〜25(LCFR1)、33〜49(LCFR2)、53〜90(LCFR3)および97〜107(LCFR4)に位置し、重鎖FR残基は重鎖残基の残基約1〜25(HCFR1)、33〜52(HCFR2)、56〜95(HCFR3)および102〜113(HCFR4)に位置する。いくつかの場合には、CDRがカバットの定義によるCDRと超可変ループのそれの両方からのアミノ酸を含む場合、FR残基はそれに応じて調節される。例えば、CDRH1がアミノ酸H26−H35を含むとき、重鎖FR1残基は位置1〜25にあり、FR2残基は位置36〜49にある。
【0079】
本明細書で使われるように、「コドンセット」は所望の変異体アミノ酸をコードするのに用いられる、一組の異なるヌクレオチドトリプレット配列を指す。一組のオリゴヌクレオチドは、コドンセットによって提供されるヌクレオチドトリプレットの可能な組合せのすべてを表す配列であって所望のアミノ酸群をコードする配列を含み、例えば固相法によって合成することができる。標準的なコドン指定形式はIUBコードのそれであり、このコードは当技術分野で公知であり本明細書で記載されている。コドンセットは、一般的に3つのイタリック大文字、例えばNNK、NNS、XYZ、DVKなどで表される。このように、本明細書で使われるように、「非ランダムコドンセット」は、本明細書で記載されているアミノ酸選択のための基準を部分的に、好ましくは完全に満たす選択されたアミノ酸をコードするコドンセットを指す。ある位置の選択されたヌクレオチド「縮退」を有するオリゴヌクレオチドの合成は当技術分野で公知であり、例えば、TRIM手法が知られている(Knappek他、J.Mol.Biol.(1999)、296:57〜86頁);GarrardおよびHenner、Gene(1993)、128:103頁)。そのようなある種のコドンセットを有しているオリゴヌクレオチドのセットは、市販の核酸シンセサイザー(Applied Biosystems、Foster City、CAなどから入手可能)を使って合成することができ、または市販品を入手することができる(例えば、Life Technologies、Rockville、MDから)。したがって、特定のコドンセットを有する合成オリゴヌクレオチドセットは、一般的に異なる配列の複数のオリゴヌクレオチドを含み、この相違は配列全体の中のコドンセットによるものである。本発明で使用されるように、オリゴヌクレオチドは可変ドメイン核酸テンプレートへのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有し、また、そうするとは限らないが、例えばクローニングに役立つ制限酵素部位を含むこともできる。
【0080】
「Fv」断片は、完全な抗原認識および結合部位を含む抗体断片である。この領域は、堅く結合した重鎖可変ドメイン1つと軽鎖可変ドメイン1つの二量体から成り、その結合は自然界では例えばscFvにおけるように共有結合である。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してV−V二量体の表面の抗原結合部位を確定するのはこの構成である。この6つのCDRまたはそのサブセットは、共同して抗体に抗原結合特異性を賦与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的なCDRを3つしか含んでいないFvの半分)でさえ、通常は結合部位全体より親和性は低いものの、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0081】
「Fab」断片は、軽鎖の可変および定常ドメインと重鎖の可変ドメインおよび第1の定常ドメイン(CH1)を含む。F(ab’)抗体断片は一対のFab断片を含み、通常これらはその間にあるヒンジシステインによってそのカルボキシ末端の近くで共有結合により連結される。抗体断片の他の化学的結合も当技術分野で公知である。
【0082】
「単鎖Fv」または「scFv」抗体断片は抗体のVおよびVドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。通常、FvポリペプチドはVおよびVドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、このリンカーはscFvが抗原結合にとって望ましい構造を形成するのを可能にする。scFvのレビューに関しては、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、Vol.113、RosenburgおよびMoore編、Springer−Verlag、New York、269〜315頁(1994)を参照。
【0083】
用語「ダイアボディ(diabody)」は、抗原結合部位を2つ備える小さな抗体断片を指し、この抗体断片は同じポリペプチド鎖(VおよびV)内で軽鎖可変ドメイン(V)に連結した重鎖可変ドメイン(V)を含む。同じ鎖の上の2つのドメインの間で対合させるにはあまりに短いリンカーを用いて、このドメインを他の鎖の相補性ドメインと強制的に対合させ、2つの抗原結合部位をつくる。ダイアボディについては、例えば欧州特許第404097号;WO93/11161号;およびHollinger他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444〜6448頁(1993)でさらに詳しく記載されている。
【0084】
表現「線状抗体」はZapata他、Protein Eng.、8(10):1057〜1062頁(1995)に記載されている抗体を指す。つまり、これらの抗体は相補性の軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合領域を形成する、一対のタンデムFdセグメント(V−C1−V−C1)を含む。線状抗体は二重特異性または単一特異性であり得る。
【0085】
「細胞」、「細胞系」および「細胞培養」は本明細書では同義で使われ、そのような呼称は細胞または細胞系のすべての後代を含む。このように、例えば、「形質転換体」および「形質転換細胞」のような用語は、継代数に関係なくそれらに由来する一次対象細胞および培養物を含む。また、故意または偶発的な突然変異により、すべての後代においてDNAの内容が正確に同一であるというわけではないことが理解される。当初の形質転換細胞でスクリーニングされたような、同じ機能または生物学的活性を有する変異体後代が含まれる。異なった呼称を意図する場合は、前後関係から明白となろう。
【0086】
発現に言及する場合の「制御配列」は、特定の宿主生物で作用可能に連結したコード配列の発現のために必要なDNA塩基配列を意味する。例えば原核生物に好適な制御配列は、プロモーター、場合によってはオペレーター配列、リボソーム結合部位、および恐らくはまだよく理解されていない他の配列を含む。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが公知である。
【0087】
用語「コートタンパク質」はプロテインを意味し、少なくともその一部はウイルス粒子の表面に存在する。機能上の観点からは、コートタンパク質は宿主細胞でのウイルスの構築過程でウイルス粒子と結合する任意のタンパク質であり、ウイルスが他の宿主細胞に感染するまでそれと結合したままである。コートタンパク質は、主要なコートタンパク質であってもよいし、マイナーなコートタンパク質であってもよい。「主要な」コートタンパク質は、通常ウイルスの外殻に存在するコートタンパク質であり、好ましくは少なくとも約5個、より好ましくは少なくとも約7個、より好ましくは少なくとも約10個かそれ以上のタンパク質コピーが存在する。主要なコートタンパク質は、1ビリオンにつき数十、数百または数千のコピーが存在しうる。主要なコートタンパク質の例は、繊維状ファージのp8タンパク質である。
【0088】
特定の検定におけるある化学物体の「検出限界」は、その検定でバックグラウンドレベルより高く検出されるその物体の最小限の濃度である。例えば、ファージELISAでは、特定の抗原結合断片を提示している特定のファージの「検出限界」は、その抗原結合断片を提示していない対照ファージによって生じたものよりも多くのELISAシグナルを特定のファージが生産するファージ濃度である。
【0089】
「融合タンパク質」および「融合ポリペプチド」は、共有結合で互いに結合した2つの部分を持つポリペプチドを指し、各部分は異なる特性を有するポリペプチドである。この特性は、例えばin vitroまたはin vivo活性などの生物学的性質でよい。この特性はまた、単一の化学的または物理的性質、例えば対象抗原との結合、反応の触媒などかもしれない。この2つの部分は単一のペプチド結合によって直接、または1つまたは複数のアミノ酸残基を含んでいるペプチドリンカーを通して結合していてもよい。通常、この2つの部分とリンカーは同じ読み枠に存在する。好ましくは、ポリペプチドの2つの部分は異種または異なるポリペプチドから得られる。
【0090】
「異種DNA」は宿主細胞に導入される任意のDNAである。DNAは、ゲノムDNA、cDNA、合成DNAおよびこれらの融合または組合せを含む様々なソースに由来してもよい。DNAは、宿主または受容細胞と同じ細胞または細胞型からのDNA、あるいは異なる細胞型、例えば哺乳類または植物からのDNAを含むことができる。DNAは任意選択にマーカーまたは選択遺伝子、例えば抗生物質耐性遺伝子、耐熱性遺伝子、その他を含むことができる。
【0091】
本明細書で使われるように、「非常に多様な位置」は、公知のかつ/または天然抗体または抗原結合断片のアミノ酸配列を比較した場合に、その位置で提示されるいくつかの異なるアミノ酸を持つ軽鎖および重鎖可変領域上のアミノ酸位置を指す。非常に多様な位置は一般的にCDR領域にある。一態様では、公知のかつ/または天然抗体の非常に多様な位置を決定する際には、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health、Bethesda、Md.、1987年および1991年)が提供しているデータが有効である。インターネット上のデータベース(http:/immuno/bme/nwu/edu)は収集された多数のヒト軽鎖および重鎖の配列とその配置を提供し、これらの配列の非常に多様な位置の決定に役立つ。本発明によると、アミノ酸がある位置で好ましくは約2から約11、好ましくは約4から約9、好ましくは約5から約7個の可能な異なるアミノ酸残基変異を有する場合は、その位置は非常に多様と言える。いくつかの実施形態では、あるアミノ酸位置は、好ましくは少なくとも約2、好ましくは少なくとも約4、好ましくは少なくとも約6、好ましくは少なくとも約8つの可能な異なるアミノ酸残基変異を有するならば非常に多様である。
【0092】
本明細書で使われるように、「ライブラリー」は複数の抗体もしくは抗体断片配列(例えば本発明のポリペプチド)またはこれらの配列をコードする核酸を指し、これらの配列は、本発明の方法によってこれらの配列に導入される変異体アミノ酸の組合せにおいて異なる。
【0093】
「ライゲーション」は、2つの核酸断片の間でリン酸ジエステル結合を形成する方法である。この2つの断片のライゲーションのために、断片の末端は互いに適合していなければならない。場合によっては、この末端はエンドヌクレアーゼ消化の後に直ちに適合性を持つようになる。しかし、ライゲーションに適合させるためには、まずエンドヌクレアーゼ消化の後に一般的に形成される付着末端を平滑末端に変える必要がある。平滑末端にするためには、DNAを適当な緩衝液中で15℃で少なくとも15分間、4つのデオキシリボヌクレオチド三燐酸の存在下でDNAポリメラーゼIまたはT4DNAポリメラーゼのクレノー断片の約10単位で処理する。次にDNAをフェノールクロロホルム抽出とエタノール沈殿、またはシリカ精製によって精製する。連結すべきDNA断片を溶液に等モル量入れる。この溶液は、ATP、リガーゼ緩衝およびT4DNAリガーゼのようなリガーゼも、DNA0.5μgにつき約10単位含む。DNAをベクターに連結する場合は、ベクターは適当な制限エンドヌクレアーゼによる消化作用によってまず線状にする。線状にされた断片は、次に細菌のアルカリホスファターゼまたは仔ウシ腸管のホスファターゼで処理して、ライゲーションのステップの間のセルフライゲーションを予防する。
【0094】
「突然変異」は、参照ヌクレオチド配列、例えば野生型配列と比較してのヌクレオチドの欠失、挿入または置換である。
【0095】
本明細書で使われるように、「自然」または「天然」抗体は、非合成源、例えば生体外で得られる分化抗原特異的B細胞、またはその対応するハイブリドーマ細胞系、あるいは動物の血清から得られる抗体から特定された抗体を指す。これらの抗体には、天然のものであれ誘発されたものであれいかなる種類の免疫応答で生じた抗体も含まれる。自然抗体には、これらの抗体を構成するかコードするアミノ酸配列およびヌクレオチド配列、例えばカバットデータベースで特定されているようなものが含まれる。本明細書で使われるように、自然抗体は、ソース配列または鋳型配列を、例えばある位置でソース抗体配列と異なる抗体配列を提供する異なるアミノ酸を用いて1つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失または追加により変更した抗体配列を指す「合成抗体」とは異なる。
【0096】
核酸に関して「作用可能に連結した」は、その核酸が他の核酸配列と機能的な関係にあることを意味する。例えば、プレシーケンス(presequence)または分泌リーダーのDNAは、あるポリペプチドの分泌に関わっている前駆体タンパク質として発現する場合は、そのポリペプチドのDNAと作動可能的に結合している。プロモーターまたはエンハンサーは、それがあるコード配列の転写に影響する場合はその配列と作用可能に連結している。または、リボソーム結合部は、それが翻訳を容易にする位置にある場合は作用可能にコード配列と連結している。通常、「作用可能に連結した」は、結合したDNA配列が連続しており、分泌リーダーの場合は連続して読み枠内にあることを意味する。しかし、エンハンサーは連続する必要はない。連結は都合のよい制限部位でライゲーションによって達成される。このような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の慣行に従って使用される。
【0097】
「ファージディスプレイ」は、変異体ポリペプチドをファージ、例えば繊維状ファージの粒子表面でコートタンパク質の少なくとも一部と融合したタンパク質として提示する手法である。ファージディスプレイの有用さは、ランダム化タンパク質変異体の大きなライブラリーから対象抗原と高親和性で結合する配列を迅速に、効率的に選別できることにある。ファージ上のペプチドおよびタンパク質ライブラリーの提示は、何百万ものポリペプチドを特異的結合特性に関してスクリーニングするために利用されてきた。多価ファージディスプレイ方法は、繊維状ファージの遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIとの融合を通して小さなランダムペプチドおよび小タンパク質を提示するために利用されてきた。WellsおよびLowman、Curr.Opin.Struct.Biol.、3:355〜362頁(1992)とその中の引用文献。一価のファージディスプレイでは、タンパク質またはペプチドのライブラリーが遺伝子IIIまたはその一部に融合され、ファージ粒子が融合タンパク質の1個または0個のコピーを提示するように野生型遺伝子IIIタンパク質の存在下で低レベルで発現される。アビディティー効果は多価のファージと比較して低下しているので、選別は内在性のリガンド親和性に基づいておりファージミドベクターが使われるが、このベクターはDNA操作を単純化する。LowmanおよびWells、Methods:A Companion to Methods in Enzymology、3:205〜216頁(1991)。
【0098】
「ファージミド」は、細菌の複製起点、例えばCo1E1およびバクテリオファージの遺伝子間領域のコピーを有するプラスミドベクターである。ファージミドはいかなる公知のバクテリオファージ、例えば繊維状バクテリオファージおよびラムドイドバクテリオファージでも使用できる。プラスミドは、通常、抗生物質耐性の選択マーカーも含む。これらのベクターにクローニングされたDNAセグメントは、プラスミドとして増殖することができる。これらのベクターを備える細胞がファージ粒子の生産のために必要なすべての遺伝子を備えているとき、プラスミドの複製様式はローリングサークル複製に変化し、プラスミドDNAの1つの鎖のコピーとパッケージファージ粒子を生成する。ファージミドは感染性または非感染性ファージ粒子を形成することができる。この用語は、異種ポリペプチドがファージ粒子の表面で提示されるように遺伝子融合としてこの異種ポリペプチドの遺伝子と結合したファージコートタンパク質遺伝子、またはその断片を含むファージミドを含む。
【0099】
用語「ファージベクター」は、異種遺伝子を含んでいて複製ができるバクテリオファージの二本鎖複製型を意味する。ファージベクターは、ファージ複製およびファージ粒子形成を可能にするファージ複製起点を有する。ファージは好ましくは繊維状バクテリオファージ、例えばM13、f1、fd、Pf3ファージもしくはその誘導体、またはラムドイドファージ、例えばラムダ、21、phi80、phi81、82、424、434、その他もしくはその誘導体である。
【0100】
「オリゴヌクレオチド」は、公知の方法(例えば、固相手法、例えば欧州特許第266032号、1988年5月4日公布、に記載されている手法を利用したリン酸トリエステル、亜リン酸塩、またはホスホラミダイト化学、またはFroeshler他、Nucl.Acids.Res.、14:5399〜5407頁(1986)に記載されているデオキシヌクレオチドH−ホスホン酸塩中間体を通した方法)によって化学的に合成される短い、一本鎖または二本鎖のポリデオキシヌクレオチドである。他の方法には、以下に記載のポリメラーゼ連鎖反応および他のオートプライマー法、および固体担体上のオリゴヌクレオチド合成が含まれる。これらの方法のすべては、Engels他、Agnew.Chem.Int.Ed.Engl.、28:716〜734頁(1989)に記載されている。遺伝子のすべての核酸配列が公知ならば、またはコード鎖と相補的な核酸の配列が利用できるならばこれらの方法が使われる。あるいは、対象アミノ酸配列が公知ならば、各アミノ酸残基の公知で好ましいコード残基を使って可能な核酸配列を推測できよう。オリゴヌクレオチドは、ポリアクリルアミドゲルもしくは分子サイジングカラムで、または沈殿法によって精製することができる。
【0101】
DNAが「精製される」のは、DNAが非核酸不純物から分離されるときである。不純物は極性、無極性、イオン性、その他である。
【0102】
本明細書で使われるように、「ソース抗体」は、その抗原結合配列が本明細書で記載される基準に従う多様化が実行される鋳型配列としての役目をする抗体、または抗原結合断片を指す。抗原結合配列は、通常、抗体可変部、好ましくは少なくとも1つの好ましくはフレームワーク領域を含むCDRを含む。
【0103】
本明細書で使われる「溶媒に露出した位置」はソース抗体または抗原結合断片の重鎖および軽鎖の可変部のアミノ酸残基の位置を指し、それは、この抗体または抗原結合断片の構造、構造アンサンブルおよび/またはモデル化された構造に基づき、溶媒露出が可能かつ/または抗体特異性抗原などの分子との接触が可能と判断されるものである。これらの位置は一般的にはCDRで、またタンパク質の外側に見られる。本明細書で定められるように、抗体または抗原結合断片の溶媒に露出した位置は、当技術分野で公知のいくつかのアルゴリズムのいずれかを使って決定できる。好ましくは、溶媒に露出した位置は抗体の三次元モデルからの座標を使い、好ましくはInsightIIプログラム(Accelrys、San Diego、CA)のようなコンピュータプログラムを使って決定される。溶媒に露出した位置は、当技術分野で公知のアルゴリズム(例えば、LeeおよびRichards、J.Mol.Biol.55、379(1971)、および、Connolly、J.Appl.Cryst.16、548(1983))を使用しても決定することができる。溶媒に露出した位置の決定は、タンパク質モデリングに適したソフトウェアおよび抗体から得られる三次元構造情報を使って行うことができる。このような目的のために利用できるソフトウェアには、SYBYL生体高分子モジュールソフトウェア(Tripos Associates)が含まれる。一般に、また好ましくは、アルゴリズム(プログラム)がユーザーの入力サイズパラメータを必要とする場合は、計算において使われるプローブの「サイズ」は半径約1.4オングストローム以下に設定される。さらに、パーソナルコンピュータ用のソフトウェアを使用した溶媒に露出した領域の決定法が、Pacios、(1994)「ARVOMOL/CONTOUR:molecular surface areas and volumes on Personal Computers」Comput.Chem.18(4):377〜386頁;および同(1995)「Variations of Surface Areas and Volumes in Distinct Molecular Surfaces of Biomolecules」J.Mol.Model.1:46〜53頁に記載されている。
【0104】
本明細書で使われる「対象アミノ酸」は、公知のかつ/または天然抗体または抗原結合断片の特定の位置で見られる最も普通のアミノ酸であるアミノ酸の群に属しているアミノ酸を指す。いくつかの実施形態では、「最も普通に見られるアミノ酸」は、公知のかつ/または天然の抗体または抗原結合断片の好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、好ましくはすべての配列において特定の位置に見られるアミノ酸である。いくつかの実施形態では、「最も普通に見られるアミノ酸」は、公知のかつ/または天然の抗体または抗原結合断片の好ましくは約50%から約100%、好ましくは約60%から約90%、好ましくは約70%から約85%、好ましくは約80%から約85%の配列において特定の位置に見られるアミノ酸である。公知の抗体または抗原結合断片とは、その配列が当技術分野で入手可能なもの、例えば一般に開放されているデータベース、例えばKabat(Sequences of Proteins of Immunological Interest、National Institute of Health、Bethesda、Md.、1987年および1991年)のデータベースおよび/またはインターネットサイトhttp:/immuno/bme/nwu/eduで得られるものである。前記アミノ酸位置は、好ましくはCDR領域内の位置である。アミノ酸の対象群は、特定の位置の対象アミノ酸の群を指す。好ましくは、対象アミノ酸はシステイン残基でない。軽鎖CDR1、CDR2、CDR3および重鎖CDR1とCDR2の位置に関しては、一般的に対象アミノ酸群は、ソース配列の非常に多様で溶媒に露出した特定位置に好ましくは約2個から約11個、好ましくは約4個から約9個、好ましくは約5個から約7個、好ましくは約6個のアミノ酸を含むことができる。
【0105】
「転写調節要素」は、以下の構成成分の1つまたは複数を含む:エンハンサー要素、プロモーター、オペレーター配列、リプレッサー遺伝子および転写終結配列。このような構成成分は当技術分野において公知である。米国特許第5,667,780号。
【0106】
「形質転換体」は、そのDNAと関連する表現型(例えば、そのDNAによってコードされるタンパク質によって付与された抗生物質耐性)の発現によって証明されるような、DNAを取り込み、維持している細胞である。
【0107】
「形質転換」は、細胞がDNAを取り込んで「形質転換体」になる過程を意味する。DNA取込みは永久的、または一過性である。
【0108】
出発ポリペプチドまたは参照ポリペプチド(例えば、ソース抗体またはその可変ドメイン/CDR)の「変異体」または「突然変異体」、例えば融合タンパク質(ポリペプチド)または異種ポリペプチド(ファージに対して異種性)は、1)出発ポリペプチドまたは参照ポリペプチドのそれとは異なるアミノ酸配列を有し、また2)自然または人為の(人工)突然変異を通して出発ポリペプチドまたは参照ポリペプチドから導かれたポリペプチドである。そのような変異体は、例えば関心のポリペプチドのアミノ酸配列内の残基の欠失、および/またはそれへの挿入、および/またはその置換を含む。例えば、変異体アミノ酸(ソース抗体/抗原結合断片の対応する位置で見られるアミノ酸と比較して)を有する配列をコードする非ランダムコドンセットを含んでいるオリゴヌクレオチドを使って作製した本発明の融合ポリペプチドは、ソース抗体または抗原結合断片と比較して変異体ポリペプチドとなる。このように、変異体CDRは、出発ポリペプチドまたは参照ポリペプチド配列に対する変異体配列(例えば、ソース抗体または抗原結合断片のそれ)を含んでいるCDRを指す。この意味合いでは、変異体アミノ酸は出発ポリペプチドまたは参照ポリペプチド配列の対応する位置のアミノ酸(例えば、ソース抗体または抗原結合断片のそれ)とは異なるアミノ酸を指す。最終的な変異体または突然変異体構築物に到達するには欠失、挿入および置換をいかように組み合わせてもよいが、最終的な構築物は所望の機能的特性を有するものとする。アミノ酸変化はポリペプチドの翻訳後プロセス、例えばグリコシル化部位の数または位置を変えることもできる。ポリペプチドのアミノ酸配列変異体を作製する方法は、本明細書で参照により取り込まれた米国特許第5,534,615号に記載されている。
【0109】
「野生型」または「参照」配列、あるいは、「野生型」または「参照」タンパク質/ポリペプチド、例えばコートタンパク質またはソース抗体のCDRまたは可変ドメインの配列は、突然変異の導入を通してそこから変異体ポリペプチドが導かれる参照配列かもしれない。一般的に、所与のタンパク質の「野生型」配列は、自然界で最も一般的な配列である。同様に、「野生型」遺伝子配列は、その遺伝子の自然界で最も一般的に見られる配列である。突然変異は、自然過程を通してまたは人為的手段を通して「野生型」遺伝子(したがってそれがコードするタンパク質)に導入することができる。そのようなプロセスの産物は、原「野生型」タンパク質または遺伝子の「変異体」または「突然変異体」形態である。
【0110】
本明細書で使われるように、「複数」の物質、例えば本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、通常、その物質の2つ以上の種類の集合を指す。ある物質の2つ以上が特定の形質に関して互いと異なるならば、その物質には2種類以上が存在し、例としては特定のアミノ酸位置で見られる変異体アミノ酸がある。例えば、変異体CDRの配列以外、または特定の溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置の変異体アミノ酸以外は実質的に同じ、好ましくは同一の配列である本発明の2つ以上のポリペプチドがあるならば、本発明のポリペプチドには複数個存在する。他の実施例では、変異体CDRをコードする配列以外、または特定の溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置の変異体アミノ酸をコードする配列以外は実質的に同じ、好ましくは同一の配列である本発明の2つ以上のポリヌクレオチドがあるならば、本発明のポリヌクレオチドには複数個存在する。
【0111】
本発明は、好ましくは選ばれた抗原に対して高親和性を有する新規抗体または抗原結合断片を作製し、単離する方法を提供する。ソース抗体軽鎖可変ドメインおよび/または重鎖可変ドメインの1つまたは複数の選ばれたアミノ酸位置を突然変異させる(多様化する)ことによって複数の異なる抗体または抗体可変ドメインが調製され、それらの位置で変異体アミノ酸を有する抗体可変ドメインの多様なライブラリーが作製される。このようなアミノ酸位置は溶媒に露出した位置であり、それは例えばソース抗体の構造を分析することで決定され、かつ/または公知のかつ/または天然免疫グロブリンポリペプチドの中で高い多様性を有する位置である。
【0112】
溶媒に露出した非常に多様であるアミノ酸位置は、好ましくは抗体可変ドメインのCDR領域にあるものであり、それらはCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2、CDRH3およびその混合物からなる群から選ばれる。アミノ酸位置は、各位置で一般に見られるアミノ酸をコードしている非ランダムコドンセットを使ってそれぞれ突然変異させる。いくつかの実施形態では、CDR領域の溶媒に露出した非常に多様な位置を突然変異させる場合は、その位置の対象アミノ酸(上で定義されている)の好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、好ましくはすべての対象アミノ酸をコードするコドンセットが選択される。いくつかの実施形態では、CDR領域の溶媒に露出した非常に多様な位置を突然変異させる場合は、その位置のすべての対象アミノ酸(上で定義されている)の好ましくは約50%から約100%、好ましくは約60%から約95%、好ましくは少なくとも約70%から約90%、好ましくは約75%から約90%の対象アミノ酸をコードするコドンセットが選択される。CDRH3に関しては、異なる長さを有しかつ/またはコドンセット、例えばNNK、NNS、NVT、DVK、XYZ、またはトリプトファン、またはグリシン、またはその混合物を使って選ばれた位置でランダム化された変異体CDRH3領域が作製される。
【0113】
抗体可変ドメインのライブラリーの多様性は、高親和性抗体を単離する能力を高めて細胞培養で収率の高い抗体を提供するために抗体可変ドメインの構造上の摂動を最小にする一方で、多様性を最大にするようになっている。抗体可変ドメインで突然変異させる位置の数は最小化され、また各位置の変異体アミノ酸は、好ましくは(可能な限り)一般的ではないアミノ酸を排除しつつ、各位置で一般に見られるアミノ酸を含むように設計されている。好ましくは、少なくとも1つのCDRを含む単一の抗体がソース抗体として使われる。驚くことに、配列および大きさが多様な抗体可変ドメインのライブラリーが、単一のソース抗体を鋳型として使い、特定のアミノ酸置換を使って特定の位置を多様性の対象とすることにより作製できる。
【0114】
抗体可変ドメインの多様性のデザイン
本発明の一態様では、抗体可変ドメインの高品質のライブラリーが作製される。このライブラリーは、ライブラリーの構成メンバー数、ならびに抗体可変ドメインの異なる配列間に多様性がある。このライブラリーは1つまたは複数の抗原、例えば、インスリン様成長因子−1(IGF−1)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)およびHer−2などに対する高親和性結合抗体可変ドメインを含む。このライブラリーの多様性は、単一のソース抗体で溶媒に露出しかつ非常に多様であるアミノ酸位置を選択し、非ランダムコドンセットを使って少なくとも1つのCDRのそれらの位置を突然変異させることによって設計される。非ランダムコドンセットは、好ましくは非対象配列、例えばシステインおよび終止コドンを最小化しつつ、それらの位置で一般的なアミノ酸の少なくとも1つのサブセットをコードする。
【0115】
好ましいソース抗体はヒト化抗体4D5であるが、多様性の設計方法は配列が公知の他のソース抗体にも適用することができる。ソース抗体は、天然抗体、合成抗体、組換え抗体、ヒト化抗体、生殖細胞系派生抗体、キメラ抗体、親和性成熟抗体またはそれらの抗原結合断片でよい。抗体は、ヒト、マウスおよびラットを含む様々な種類の哺乳類から得ることができる。いくつかの実施形態では、ソース抗体は最初の1回または複数回の親和性スクリーニングの後で、親和性成熟段階の前に得られる抗体である。細胞培養において高収率で安定した生産を可能にするために、ソース抗体を選択または修飾することができる。
【0116】
ソース抗体の1つはヒト化抗体4D5である。抗体4D5は、Her−2(erbB2)として知られている癌関連の抗原に特異的なヒト化抗体である。この抗体は、コンセンサスフレームワーク領域を有する可変領域を含む。ヒト化抗体の親和性を高める過程で、2、3の位置がマウス配列に戻されている。ヒト化抗体4D5の配列と結晶構造は、米国特許第6,054,297号、Carter他、PNAS 89:4285頁(1992)に記載され、結晶構造はJ.Mol.Biol.229:969頁(1993)およびインターネットサイトwww/ncbi/nih/gov/structure/mmdb(MMDB#s−990−992)で示されている。
【0117】
抗体可変ドメインで多様性を生み出す基準は、溶媒に露出した(上で定義される)位置で残基に突然変異を起こさせることである。これらの位置は一般的にはCDRで、またタンパク質の外側に見られる。好ましくは、溶媒に露出した位置は、InsightIIプログラム(Accelrys、San Diego、CA)のようなコンピュータプログラムを用いて、抗体の3次元モデルからの座標を使って決定される。溶媒に露出した位置は、当技術分野で公知のアルゴリズム(例えば、LeeおよびRichards、J.Mol.Biol.55、379(1971)、および、Connolly、J.Appl.Cryst.16、548(1983))を使用しても決定することができる。溶媒に露出した位置の決定は、タンパク質モデリングに適したソフトウェアおよび抗体から得られる三次元構造情報を使って行うことができる。このような目的のために利用できるソフトウェアには、SYBYL生体高分子モジュールソフトウェア(Tripos Associates)が含まれる。一般に、また好ましくは、アルゴリズム(プログラム)がユーザーの入力サイズパラメータを必要とする場合は、計算において使われるプローブの「サイズ」は半径約1.4オングストローム以下に設定される。さらに、パーソナルコンピュータ用のソフトウェアを使用した溶媒露出領域およびエリア決定法が、Pacios、(1994)「ARVOMOL/CONTOUR:molecular surface areas and volumes on Personal Computers」Comput.Chem.18(4):377〜386頁;および同、「Variations of Surface Areas and Volumes in Distinct Molecular Surfaces of Biomolecules」J.Mol.Model.(1995)、1:46〜53頁に記載されている。
【0118】
いくつかの場合には、溶媒に露出した残基の選択は、協同で最小限の連続するパッチを形成する溶媒露出残基を選ぶことによってさらに洗練され、例えば参照ポリペプチドまたはソース抗体がその三次元折畳み構造の場合がそうである。例えば、図36で示すように、コンパクト(最小)な連続したパッチは、ヒト化4D5のCDRH1/H2/H3/L1/L2/L3に対して選択された残基によって形成される。コンパクト(最小)な連続したパッチは、CDRの全域の1つのサブセット(例えば2〜5個のCDR)、例えばCDRH1/H2/H3/L3だけを含むことができる。そのようなパッチの形成に貢献しない溶媒に露出した残基は、任意選択に多様化から排除してもよい。この基準による選択の洗練化により、実務者は、希望により多様化する残基数を最小化することができる。例えば、H1の残基28はパッチの端にあるので、多様化において任意選択で排除することができる。しかし、この選択基準は、希望により、必ずしも溶媒に露出しているとは考えられない多様化のための残基を選ぶためにも用いることができる。例えば、溶媒に露出していると考えられなくても、溶媒に露出していると考えられる他の残基と共に三次元折畳み構造で連続するパッチを形成する残基は、多様化の対象に選んでもよい。この例はCDRL1−29である。そのような残基の選択は当業者には明らかとなるもので、その適切さも経験的に、また熟練実務者のニーズと希望に応じて決定することができる。
【0119】
ヒト化抗体4D5の結晶構造から特定された、各CDRの溶媒に露出した位置は次の通りである(残基の位置はカバットに従う):
CDRL1:28、30、31、32
CDRL2:50、53
CDRL3:91、92、93、94、96
CDRH1:28、30、31、32、33
CDRH2:50、52、52A、53、54、55、56、57、58。
さらにまた、CDRL1の残基29は、他の溶媒に露出した残基を含んでいる連続するパッチに含まれているかどうかに基づいて選ばれた。
【0120】
突然変異させる位置を選択するための他の基準は、公知のかつ/または天然抗体の配列と比較したときにアミノ酸配列に変異を示す位置である。非常に多様な位置は、公知のかつ/または天然抗体/抗原結合断片のアミノ酸配列を比較した場合に、その位置で提示されるいくつかの異なるアミノ酸を持つ軽鎖または重鎖可変領域上のアミノ酸位置を指す。非常に多様な位置は好ましくはCDR領域にある。CDRH3の位置はすべて非常に多様であると考えられている。本発明によると、アミノ酸がその位置で好ましくは約2から約11個(本明細書に記載されているようにこの数字には幅があるが)の可能な異なるアミノ酸残基変異を有する場合は、そのアミノ酸残基は非常に多様と言える。
【0121】
一態様では、公知のかつ/または天然抗体の非常に多様な位置を同定する際には、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health、Bethesda、Md.、1987年および1991年)が提供しているデータが有効である。インターネット上のデータベース(http/immuno/bme/nwu/edu)は収集された多数のヒト軽鎖および重鎖の配列とその配置を提供し、これらの配列の非常に多様な位置の決定に役立つ。公知のかつ/または天然の軽鎖および重鎖のヒト化抗体4D5の溶媒露出位置における多様性を、図1および2に示す。
【0122】
本発明の一態様では、CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2およびその混合物からなる群から選ばれた少なくとも1つのCDRの非常に多様で溶媒に露出した残基を突然変異させる(すなわち、本明細書で記載されているコドンセットを用いてランダム化する)。いくつかの実施形態では、この群にはCDRH3も含まれる。例えば、CDRL3およびCDRH3の溶媒に露出しかつ/または非常に多様な残基を突然変異させる。したがって、本発明は変異体アミノ酸でソース抗体可変ドメインの少なくとも1つのCDRの溶媒に露出した非常に多様な位置を置換することによって形成された、多数の新規抗体配列を提供する。
【0123】
対象アミノ酸群とは、公知のかつ/または天然の抗体/抗原結合断片の配列を比較した場合、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%の抗体において、CDRの溶媒に露出した非常に多様な各位置で見られるアミノ酸の群である。変異体アミノ酸は、対象アミノ酸のいくつかまたはすべてを含み、非ランダムコドンセットによってコードされる一群のアミノ酸である。非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸のうち、好ましくはこれらのアミノ酸の少なくとも約70%は対象アミノ酸であり、より好ましくはこれらのアミノ酸の少なくとも約80%は対象アミノ酸である。各位置の非ランダムコドンセットは好ましくは少なくとも2つのアミノ酸をコードし、またシステインをコードしない。各位置の非対象アミノ酸は最小にされ、またシステインと終止コドンは、特にL1、L2、L3、H1およびH2の抗体可変ドメインの構造に悪影響を与える可能性があるので、それらは一般的に、また好ましくは排除される。軽鎖CDR1、CDR2、CDR3および重鎖CDR1とCDR2の位置に関しては、一般的に対象アミノ酸のセットは、ソース配列の非常に多様で溶媒に露出した特定位置に約2個から約11個のアミノ酸を含むことができる。
【0124】
上で示したように、変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされる。コドンセットとは、所望のアミノ酸群をコードするのに用いられる一組のオリゴヌクレオチドを形成するのに用いることができる一組の異なるヌクレオチドトリプレット配列である。一組のオリゴヌクレオチドは、コドンセットによって提供されるヌクレオチドトリプレットの可能な組合せのすべてを表す配列であって所望のアミノ酸群をコードする配列を含み、例えば固相法によって合成することができる。ある位置での選ばれたヌクレオチド「縮退」を有するオリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で公知である。そのようなある種のコドンセットを有しているヌクレオチドのセットは、市販の核酸シンセサイザー(Applied Biosystems、Foster City、CAなどから入手可能)を使って合成することができ、または市販品を入手することができる(例えば、Life Technologies、Rockville、MDから)。したがって、特定のコドンセットを有する合成オリゴヌクレオチドセットは、一般的に異なる配列の複数のオリゴヌクレオチドを含み、この相違は配列全体の中のコドンセットによるものである。本発明で使用されるオリゴヌクレオチドは可変ドメイン核酸テンプレートへのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有し、また、クローニングに役立つ制限酵素部位を含むこともできる。
【0125】
一態様では対象アミノ酸は、ヒト化抗体4D5のCDRの、溶媒に露出し非常に多様な各位置について同定された。対象アミノ酸は、カバットデータベースの公知のかつ/または天然抗体の配列を使い、CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1およびCDRH2の溶媒に露出した非常に多様な各位置における異なるアミノ酸を同定することによって特定された。カバットデータベースからの軽鎖多様性および重鎖多様性をそれぞれ図1および2に示す。図1および2で示す多様性に基づいて、各々の位置で特定された対象アミノ酸を図3に示す。
【0126】
各位置の対象アミノ酸の好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、好ましくはすべての対象アミノ酸を含むアミノ酸群をコードする非ランダムコドンセットも図3に例示する。図3の「良残基率(%)」は、非ランダムコドンセットによってコードされ、その位置の対象アミノ酸であるアミノ酸の割合を表す。最も好ましくは、コドンセットによってコードされる変異体アミノ酸は、公知のかつ/または天然抗体において最も高い頻度で見られるアミノ酸を含む。高いパーセンテージは非対象アミノ酸の割合が非常に低いことを意味し、このことは非ランダムコドンセットの設計においては対象アミノ酸をより多く持つことよりも重要である。すべての計算にはリダンダンシーが含まれている。
【0127】
図3の「再現残基率(%)」は、各位置の設計されたコドンによってコードされる公知のかつ/または天然の抗体配列の割合を表す。例えば、L3−91に関しては、アミノ酸YSA(チロシン、セリンおよびアラニン)は、公知のかつ/または天然の抗体の位置91で見られる対象アミノ酸の群に含まれる。このコドンセットはYSAD(チロシン、セリン、アラニンおよびアスパラギン酸)をコードするように設計され、これは対象アミノ酸の75%をコードする。これら3つのアミノ酸はまた、その部位の自然抗体配列1580中1190で見られ、これは公知のかつ/または天然の抗体の75%である。コドンセットはCDR領域の各位置で、公知のかつ/または天然の抗体の少なくとも約50%、より好ましくは公知のかつ/または天然抗体の少なくとも約60%、最も好ましくは公知のかつ/または天然の抗体の少なくとも約70%においてそれらの位置で見られるアミノ酸を含むように設計することが好ましい。
【0128】
一実施形態では、変異体CDRL1、L2、L3、H1、H2またはその混合物を有するポリペプチドが形成され、少なくとも1つの変異体CDRは少なくとも1つの溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置に変異体アミノ酸を有し、前記変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも70%は周知の抗体可変ドメイン配列におけるその位置の対象アミノ酸である。例えば、抗体可変ドメインは、CDRH1のアミノ酸位置28、30、31、32および/または33の1つまたは複数の位置、および/またはCDRH2のアミノ酸位置50、52、53、54、56および/または58の1つまたは複数の位置、および/またはCDRL1のアミノ酸位置28、29、30および/または31の1つまたは複数の位置、および/またはCDRL2のアミノ酸位置50および/または53の1つまたは複数の位置、および/またはアミノ酸位置91、92、93、94および/または96の1つまたは複数の位置に変異体アミノ酸を含むことができる。これらの位置の変異体アミノ酸は、好ましくは図3、5〜13および24に例示されているコドンセットによってコードされる。
【0129】
公知の抗体の重鎖CDR3(CDRH3)は多様な配列、高次構造および長さを持つ。CDRH3は抗原結合ポケットの中央でしばしば見られ、抗原接触にしばしば関与する。このようにCDRH3の設計は好ましくは他のCDRのそれとは別に構築されるが、それはCDRH3の高次構造を予測することが難しく、またこの領域のアミノ酸の多様性は公知の抗体で特に多様なためである。本発明に従って、CDRH3はCDRH3内の特定の位置で多様性を生み、CDRH3配列のどの位置でも頻繁には見られないアミノ酸を排除するように設計されている。
【0130】
CDRH3で多様性を生み出すために、公知の、一般に自然の抗体のデータベースをガイドラインとして使うことができる。他のCDRと比較して、CDRH3の配列と長さの多様性は最も高いが、配列多様性は完全にはランダムではない(すなわち、一部のアミノ酸の発生頻度は他よりも高い)。一実施形態では、縮退コドンセット、例えば20個すべてのアミノ酸と終止コドンをコードするNNKなどを有するライブラリーが作製される。ファージ上で機能的に提示するクローンは、その配列が分析される。次に、合成ライブラリーにおけるアミノ酸の頻度を公知の抗体におけるアミノ酸の頻度と比較する。アミノ酸頻度の良い一致が予想されるが、若干の例では公知の抗体と比較して、合成ライブラリーにおいてあるクラスのアミノ酸の頻度が高くなるかもしれない。例えば、NNKで作製されたライブラリーは、脂肪族/疎水性アミノ酸をより多く利用する配列を含むことが予想され得る。この方法はCDRH3の多様性の作出において含めるべきアミノ酸、したがってコドンセットの適切な選択に関する有益な情報を得るために実施することができる。他の実施形態では、CDRH3多様性はコドンセットNNSを使って生成される。NNSおよびNNKは同じアミノ酸群をコードする。しかし、当技術分野で公知の様々な因子、例えばオリゴヌクレオチド合成化学における結合効率などに従い、あるコドンセットが他に優先することがある。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明の方法の実践者はコドンセットの個々のヌクレオチド(G、A、T、C)、例えばNNSにおけるようにコドンセット中のNヌクレオチドの量/比率を修正することを望むかもしれない。このようなことは図4で示されるXYZコドンとして例示されている。これは、例えば、コドンセットのNに対して直線的で等しい割合のヌクレオチドを使う代わりに、コドンセット内のヌクレオチドの異なる量をドープすることによって達成することができる。例えば、コドンセットXYZは以下の比率のヌクレオチドを持つ。XはGが38%、Aが19%、Tが26%、Cが17%;YはGが31%、Aが34%、Tが17%、Cが18%、またZはGが24%、Cが76%である。そのような修正は、状況および実践者の希望に従い様々な目的に役立つ。例えば、自然の多様性プロフィール、例えばCDRH3のプロフィールで見られるようなアミノ酸の偏りをより忠実に反映するようにそのような修正を加えることができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、多様化されたCDRH3ライブラリーは、12個のアミノ酸(ACDEGKNRSYW)および1つの終止コドンをコードするDVKのようなコドンセットで作製することができる。ここでは、公知の抗体では稀に見られるアミノ酸は排除される。CDRH3ライブラリーはまた、11個のアミノ酸(ACDGHNPRSTY)をコードするが終止コドンおよびトリプトファン(Trp、W)をコードしないコドンセットNVTを使っても作製することができる。いくつかの実施形態では、NVTなどのコドンセットの設計では、Trpでドープしてもよい。
【0133】
上で議論されたように、CDRH3領域はその長さが非常に多様である。自然抗体では、CDRH3の長さは2個から24個のアミノ酸の範囲であり、最も一般的な長さは11〜13残基である。一実施形態では、CDRH3の多様性はいくつかの異なるライブラリーを調製することによって生成され、各ライブラリーは約7個から19個のアミノ酸の異なる長さのCDRH3領域を有する。次に、異なる長さのCDRH3領域を有するライブラリーがプールされ、高親和性結合抗体可変ドメインを選択および/またはスクリーニングするために用いられる。CDRH3の配列の長さに変化をもたせるために利用することができるオリゴヌクレオチドの具体例としては、図4および図43に示すものが含まれる。
【0134】
いくつかの実施形態では、CDRH3のN末端領域およびC末端領域の多様性は最小化される。C末端では、公知の抗体には2種類の配列が恐らく存在する:Y100aAMD101(Y/V)102またはF100a101(Y/V)102。C末端領域の選択された残基を対象に、限られた多様性を生成することができる。例えば、Y位置100aは、より少ないアミノ酸をコードするコドンセット、例えばDVK、DSG、KSG、DSGを使って変更するか、または20個すべてのアミノ酸をコードするコドンセット、例えばNNK、NVTもしくはXYZを使って変更することができる。
【0135】
本発明の1つの態様は、以下のアミノ酸配列を含む変異体CDRH3を含んでいるポリペプチド、例えば抗体可変ドメインを提供し、
(X−X−X−X−X−X
式中、Xは、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、
は、KSG、DVK、DSG、NVT、KSG、NNS、XYZ、NNKのコドンセットでコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、フェニルアラニン、セリン、アラニン、グリシン、ロイシンもしくはトリプトファンであり、
は、Xがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合には、アラニン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンであり、
は、Xがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合はメチオニンであり、
はアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、
はチロシンまたはバリンである。
上記式の変異体CDRH3を有するポリペプチドまたはポリペプチドライブラリーは、図4および図43で例示されたオリゴヌクレオチドのいずれか1つまたはその組合せを使って作製することができる。
【0136】
一実施形態では、CDRH3はアミノ酸配列(X−X−X−X−X−Xを含み、式中、Xは、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、Xは、KSG、DVK、DSG、NVT、KSG、NNS、XYZ、NNKのコドンセットでコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、フェニルアラニン、セリン、グリシン、アラニン、ロイシンまたはトリプトファンであり、Xはアラニン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンであり、Xはメチオニンであり、Xはアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、Xはチロシンまたはバリンである。
【0137】
いくつかの実施形態では、nは好ましくは4であり、XはコドンセットNNK、NNSまたはXYZによってコードされるいずれかの天然アミノ酸であり、XはKSG、NNK、XYZによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシンであり、Xはアラニン、グリシンまたはバリンであり、Xはメチオニンであり、Xはアスパラギン酸であり、Xはチロシンである。これらの実施形態で変異体CDRH3領域を含んでいる1つまたは複数のポリペプチドは、オリゴヌクレオチドF66eおよびF66fを少なくとも1つまたは複数個用いて作製することができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、nは好ましくは6であり、XはコドンセットDVK、NVT、NNK、NNSまたはXYZによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、あるいはトリプトファンまたはグリシンまたはこれらの混合物であり、XはDSG、DVK、KSG、NNK、XYZによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、グリシン、セリン、アラニンもしくはトリプトファンであり、Xはアラニンであり、Xはメチオニンであり、Xはアスパラギン酸であり、Xはチロシンである。いくつかの実施形態では、Xは抗体4D5のCDRH3のアミノ酸位置95に対応し、Xはアミノ酸位置100aに対応し、Aは100bの位置、Mは100cの位置、Dは101の位置、およびYは102の位置にある。これらの実施形態で変異体CDRH3領域を含んでいる1つまたは複数のポリペプチドは、オリゴヌクレオチドF63、F64、F65、F66、F165、F134、F135、F163a、F166、F167、F66a、F66b、F66a1、F66b1、F190fおよびF190nを少なくとも1つまたは複数個用いて作製することができる。
【0139】
他の実施形態では、CDRH3はアミノ酸配列(X−X−X−X−X−Xを含み、式中、XはNNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、Xはロイシンまたはフェニルアラニンであり、Xは存在せず、Xは存在せず、Xはアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、Xはチロシンまたはバリンである。いくつかの実施形態では、変異体CDRH3はアミノ酸配列(X−X−D−Yを含み、式中、XはNNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、Xはロイシンまたはフェニルアラニンであり、Dはアスパラギン酸、Yはチロシンである。他の実施形態では、nは好ましくは6であり、Xは抗体4D5のCDRH3のアミノ酸位置95に対応し、Xはアミノ酸位置100aに対応し、Xは101の位置、Xは102の位置にある。これらの実施形態で変異体CDRH3領域を含んでいる1つまたは複数のポリペプチドは、オリゴヌクレオチドF171c、F171d、F171e、F171、F185、F186、F187、F185a、F185b、F185b1、F187a、F186a、F187bおよびF187cを少なくとも1つまたは複数個用いて作製することができる。
【0140】
本発明の他の態様では、CDRH1、CDRH2およびCDRH3からなる群から選ばれる1つ、2つまたはすべての変異体CDRを含む方法およびポリペプチド、例えば抗体可変ドメインが提供され、前記変異体CDRH3は下記アミノ酸配列を含み、
(X−X−X−X−X−X
式中、XはNNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、
はKSG、DVK、DSG、NVT、KSG、NNS、XYZ、NNKのコドンセットでコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、フェニルアラニン、グリシン、セリン、アラニン、ロイシンもしくはトリプトファンであり、
は、Xがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合には、アラニン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンであり、
は、Xがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合はメチオニンであり、
はアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、
はチロシンまたはバリンであり、
前記変異体CDRH1もしくはCDRH2、またはその両方は溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置に少なくとも1つの変異体アミノ酸を有し、前記変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%またはすべてが周知の抗体または抗原結合断片(例えば、抗体可変ドメイン)におけるその位置の対象アミノである。
【0141】
本明細書で記載されるいかなる方法およびポリペプチドのいくつかの実施形態では、H3中の位置は、カバットナンバリング方法に従う抗体(例えば抗体4D5)の95から102のいずれかの位置である。例えば、位置95のアミノ酸は、コドンセットDVK、NVT、NNS、XYZ、NNKによってコードされる変異体アミノ酸を持つことができ、またはトリプトファンであり、位置96は、DVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはグリシンもしくはトリプトファンであり、位置97はDVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはトリプトファンであり、位置98はDVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはトリプトファンであり、位置99は、DVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、位置100はDVK、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはトリプトファンであり、位置100aは、DVK、DSG、KSG、NVT、NNS、XYZによってコードされてよく、またはチロシン、グリシン、セリン、アラニン、トリプトファン、アスパラギン酸、メチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、バリンでもよく、位置100bは、DSG、KSG、XYZによってコードされてよく、またはアラニン、チロシン、グリシン、バリン、アスパラギン酸、メチオニンもしくはフェニルアラニンでもよく、位置100cは、KSG、XYZによってコードされてよく、またはメチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、アラニン、グリシン、バリン、チロシン、アスパラギン酸であり、位置101は、KSG、XYZによってコードされてよく、またはアスパラギン酸、メチオニン、アラニン、バリン、グリシン、チロシン、フェニルアラニン、ロイシンであり、位置102はKSGもしくはXYZによってコードされてよく、またはチロシン、アスパラギン酸、メチオニン、アラニン、バリン、グリシンである。これらの実施形態で変異体CDRH3領域を含んでいる1つまたは複数のポリペプチドは、図4および図43に例示したオリゴヌクレオチドを少なくとも1つまたは複数個用いて作製することができる。
【0142】
CDRH3への変異体アミノ酸の導入によってつくられるライブラリーの配列多様性は、これらのCDRH3変異を抗体の他の領域、特に軽鎖または重鎖の可変配列の他のCDRにおける変異と組み合わせることによって高めることができると考える。このセットの構成メンバーをコードする核酸配列は、コドンセットを通して、軽鎖または重鎖の配列のCDRにおける他の変異体アミノ酸の導入によってさらに多様化することができると考える。このように、例えば、一実施形態では、対象抗原と結合する融合ポリペプチドからのCDRH3配列は、多様化されたCDRL3、CDRH1またはCDRH2配列、あるいは多様化されたCDRのいかなる組合せとも組み合わせることができる。
【0143】
いくつかの例では、例えばコンセンサス配列を反映させるため、または安定性を向上させるため、または提示するために、フレームワーク残基をソース抗体または抗原結合断片の配列に対して変化させることができる点に留意する必要がある。例えば、重鎖のフレームワーク残基49、93、94または71は変化させることができる。重鎖フレームワーク残基93は、セリンまたはアラニン(その位置のヒトコンセンサス配列アミノ酸)でもよい。重鎖フレームワーク残基94は、フレームワークコンセンサス配列を反映するためにトレオニンからアルギニンまたはリジンに変更してもよい。変えることができるフレームワーク残基の他の例は重鎖フレームワーク残基71であり、カバットデータベースで見られるようにそれは約1970のポリペプチドではR、約627のポリペプチドではV、約527のポリペプチドではAである。重鎖のフレームワーク残基49は、アラニンまたはグリシンでよい。さらに、任意選択に、H鎖可変ドメインの3つのN末端アミノ酸は取り除くことができる。軽鎖では、任意選択に、アミノ酸位置66のアルギニンはグリシンに変更することができる。
【0144】
一態様では、本発明は潜在的なリガンドに顕著な親和性で結合する融合ポリペプチドを生成するためのベクター構築物を提供する。これらの構築物は、融合ポリペプチドに存在するとき重鎖が二量体化してFabまたはFab’の抗体断片/部分の二量体を形成する傾向を強める二量体化可能なドメインを含む。これらの二量体化ドメインは、例えば、融合ポリペプチドに存在してもよい重鎖ヒンジ配列を含むことができる。融合ファージポリペプチドの二量体化ドメインは2組の融合ポリペプチド(LC/HC−ファージタンパク質/断片(例えばpIII))で構成され、こうして2組の融合ポリペプチド間で適当な結合(例えば重鎖間ジスルフィド架橋)の形成を可能にする。そのような二量体化ドメインを含んでいるベクター構築物を用いて、ファージ上で抗体可変ドメイン、例えば、本明細書で記載される多様化された融合タンパク質の二価提示を達成することができる。好ましくは、各単量体抗体断片(融合ポリペプチド)の内在性親和性は、二量体化ドメインとの融合によって著しく変更されることはない。好ましくは、二量体化は、著しく低下した解離速度でファージ結合のアビディティーを高める二価ファージディスプレイをもたらし、このことは当技術分野で公知の方法により、また本明細書で記載されているように測定することができる。本発明の二量体化ドメイン含有ベクターは、二量体化ドメインの後ろにアンバー終止コドンを含んでもよいし含まなくてもよい。ベクターの具体例を図34に示す。
【0145】
異なる提示特性を達成するために二量体化を変更することができる。二量体化ドメインは、システイン残基、完全長抗体からのヒンジ領域、ロイシンジッパー配列もしくはGCN4ジッパー配列のような二量体化配列またはその混合物を含んでいる配列を含むことができる。二量体化配列は当技術分野で公知であり、例えば、GCN4ジッパー配列(GRMKQLEDKVEELLSKNYHLENEVARLKKLVGERG)(配列番号3)などが含まれる。この二量体化ドメインは、好ましくは重鎖可変ドメインまたは定常ドメインの配列のC末端、および/あるいは重鎖可変ドメインまたは定常ドメインの配列とウイルスコートタンパク質成分の配列との間に位置する。アンバー終止コドンも、二量体化ドメインのC末端またはその後に存在してもよい。アンバー終止コドンが存在する一実施形態では、二量体化ドメインは少なくとも1つのシステインおよびロイシンジッパーなどの二量体化配列をコードする。アンバー終止コドンが存在しない他の実施形態では、二量体化ドメインは単一のシステイン残基を含む。
【0146】
本発明のポリペプチドは、変異体ポリペプチドの提示のために、または前記ポリペプチドの精製、スクリーニングもしくは選別および検出のために他の種類のポリペプチドと融合することもできる。ファージディスプレイを含む実施形態に関しては、本発明のポリペプチドはウイルスコートタンパク質のすべてまたは一部と融合される。ウイルスコートタンパク質の例としては、タンパク質PIII、主コートタンパク質、pVIII、Soc、Hoc、gpD、pVIおよびその変異体が含まれる。さらに、本発明の方法によって生成される変異体ポリペプチドは、ポリペプチドマーカーまたはタグ、例えばFLAG、ポリヒスチジン、gD、c−myc、β−ガラクトシダーゼなどと任意選択に融合することができる。
【0147】
ランダム化可変ドメインライブラリー作製法
鋳型核酸に選択されたアミノ酸を置換する方法は当技術分野で確立されており、その幾つかは本明細書で記載されている。例えば、キュンケル方法を使用し、少なくとも1つのCDR領域の溶媒に露出しかつ/または非常に多様な位置を対象に変異体アミノ酸でアミノ酸を置換することによってライブラリーを作製することができる。例えば、Kunkel他、Methods Enzymol.(1987)、154:367〜382頁を参照。ランダム化された配列の生成は、下の実施例でも後述する。
【0148】
オリゴヌクレオチド配列は、異なる長さのCDRH3のためにまたはCDRの溶媒に露出し非常に多様な位置のために設計されたコドンセットの1つまたは複数を含む。コドンセットは所望の変異体アミノ酸をコードするのに用いられる、一組の異なるヌクレオチドトリプレット配列である。コドンセットは、IUBコードによって下で示すように、特定のヌクレオチドまたはヌクレオチドの等モル混合物を示すために符号を使って表される。コドンセットは、一般的に3つの大文字、例えばNNK、NNS、DVKなどで表される。
【0149】
IUBコード
G グアニン
A アデニン
T チミン
C シトシン
R(AまたはG)
Y(CまたはT)
M(AまたはC)
K(GまたはT)
S(CまたはG)
W(AまたはT)
H(AまたはCまたはT)
B(CまたはGまたはT)
V(AまたはCまたはG)
D(AまたはGまたはT
N(AまたはCまたはGまたはT)
【0150】
例えば、コドンセットDVKでは、DはヌクレオチドAまたはGまたはTであり、VはAまたはGまたはCであり、KはGまたはTである。このコドンセットは18個の異なるコドンを表し、アミノ酸Ala、Trp、TyrThr、Asn、Lys、Ser、Arg、Asp、Glu、GlyおよびCysをコードすることができる。
【0151】
オリゴヌクレオチドまたはプライマーのセットは、標準の方法を使って合成できる。一組のオリゴヌクレオチドは、例えば、コドンセットによって提供されるヌクレオチドトリプレットの可能な組合せのすべてを代表し、所望のアミノ酸群をコードする配列を含む固相法によって合成することができる。ある位置での選ばれたヌクレオチド「縮退」を有するオリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で公知である。そのようなある種のコドンセットを有しているヌクレオチドのセットは、市販の核酸シンセサイザー(Applied Biosystems、Foster City、CAなどから入手可能)を使って合成することができ、または市販品を入手することができる(例えば、Life Technologies、Rockville、MDから)。したがって、特定のコドンセットを有する合成オリゴヌクレオチドセットは、一般的に異なる配列の複数のオリゴヌクレオチドを含み、この相違は配列全体の中のコドンセットによるものである。本発明で使用されるように、オリゴヌクレオチドは可変ドメイン核酸鋳型へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有し、また、クローニングに役立つ制限酵素部位を含むこともできる。
【0152】
1つの方法では、変異体アミノ酸をコードしている核酸配列は、4D5の抗体可変ドメインなどのソースまたは鋳型ポリペプチドをコードしている核酸配列のオリゴヌクレオチドを媒介した突然変異生成によって作製することができる。この手法はZoller他、Nucleic Acids Res.10:6487〜6504頁(1987)が記載しているように、当技術分野で公知である。つまり、変異体アミノ酸をコードしている核酸配列は所望のコドンセットをコードしているオリゴヌクレオチドセットをDNA鋳型とハイブリダイズすることによって作製され、前記鋳型は可変部核酸鋳型配列を含むプラスミドの一本鎖型である。ハイブリダイゼーションの後、DNAポリメラーゼを用いて鋳型の二次相補鎖すべてを合成し、この相補鎖はオリゴヌクレオチドプライマーを取り込み、前記オリゴヌクレオチドセットによって提供されるコドンセットを含むようになる。他のソースまたは鋳型分子をコードしている核酸は公知であるか、または容易に決定することができる。
【0153】
通常、長さが少なくとも25ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドが使われる。最適オリゴヌクレオチドは、突然変異体をコードするヌクレオチドの両側が鋳型と完全に相補性である12から15個のヌクレオチドを持つ。これにより、オリゴヌクレオチドが正しく一本鎖DNA鋳型分子にハイブリダイズするようになる。オリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の手法、例えばCrea他、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA、75:5765頁(1978)に記載の手法を使って容易に合成される。
【0154】
DNA鋳型はバクテリオファージM13ベクター(市販のM13mp18およびM13mp19ベクターが適当)に由来するベクター、またはViera他、Meth.Enzymol.153:3頁(1987)に記載されている一本鎖ファージ複製起点を含むベクターによって生成される。このように、突然変異させるべきDNAは、一本鎖鋳型を生成するためにこれらのベクターの1つに挿入することができる。一本鎖鋳型の生産は、前記Sambrook他のセクション4.21〜4.41で記載されている。
【0155】
未変性のDNA配列を変えるために、オリゴヌクレオチドが適当なハイブリダイゼーション条件の下で一本鎖鋳型にハイブリダイズされる。DNA重合酵素、通常、T7DNAポリメラーゼまたはDNAポリメラーゼIのクレノー断片を次に加え、合成のためのプライマーとしてオリゴヌクレオチドを使って鋳型の相補鎖を合成する。こうしてDNAの1つの鎖は遺伝子1の突然変異した形態をコードし、他の鎖(元の鋳型)は遺伝子1の未変性、未変更の配列をコードするようにヘテロ二本鎖分子が形成される。このヘテロ二本鎖分子は、次に適当な宿主細胞、通常大腸菌JM101のような原核生物に形質転換される。細胞を増殖させた後にアガロースプレートの上へプレートし、突然変異したDNAを含む細菌コロニーを同定するために32リン酸塩で放射性標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを使ってスクリーニングする。
【0156】
この上で記載されている方法は、プラスミドの両方の鎖が突然変異を含むホモ二本鎖分子が作製されるように修正することができる。この修正は以下の通りである。一本鎖オリゴヌクレオチドを先に述べたように一本鎖鋳型にアニールする。3つのデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボアデノシン(dATP)、デオキシリボグアノシン(dGTP)およびデオキシリボチミジン(dTT)の混合物を、dCTP−(aS)と呼ばれる修飾されたチオデオキシリボシトシン(Amershamから入手できる)と合わせる。この混合物を鋳型−オリゴヌクレオチド複合体に加える。DNAポリメラーゼをこの混合物へ追加すると、突然変異した塩基以外は鋳型と同一のDNA鎖が生成する。さらに、この新しいDNA鎖はdCTPの代わりにdCTP−(aS)を含み、これはDNA鎖を制限酵素による消化作用から保護するのに役立つ。二本鎖ヘテロ二本鎖の鋳型鎖に適当な制限酵素でニックを入れた後、突然変異を起こさせる部位を含む領域の後方で鋳型鎖はExoIIIヌクレアーゼまたは適当な他のヌクレアーゼで消化することができる。反応を終了すると、部分的にだけ一本鎖の分子が残る。次に、完全な二本鎖DNAホモ二本鎖が、4つのデオキシリボヌクレオチド三燐酸のすべて、ATPおよびDNAリガーゼの存在下でDNAポリメラーゼを使って形成される。このヘテロ二本鎖分子は、次に適当な宿主細胞に形質転換することができる。
【0157】
前に示したように、オリゴヌクレオチドセットの配列の長さは鋳型核酸にハイブリダイズするために十分な長さであり、また、必須ではないが制限部位を含むこともできる。DNA鋳型はバクテリオファージM13ベクターに由来するベクター、またはViera他((1987)、Meth.Enzymol.153:3頁)に記載されている一本鎖ファージ複製起点を含むベクターによって生成される。このように、突然変異させるべきDNAは、一本鎖鋳型を生成するためにこれらのベクターの1つに挿入する必要がある。一本鎖鋳型の生産は、前記Sambrook他のセクション4.21〜4.41で記載されている。
【0158】
他の方法によると、ライブラリーは上流および下流のオリゴヌクレオチドセットを提供することによって生成することができ、各セットは、オリゴヌクレオチドの配列内で提供されたコドンセットによって確立された異なる配列を有する複数のオリゴヌクレオチドを持つ。上流および下流のオリゴヌクレオチドセットは、可変ドメイン鋳型核酸配列と共に、PCR産物の「ライブラリー」を作製するためにPCR法で使うことができる。PCR産物は確立された分子生物学的手法を使って他の関連した、または無関係な核酸配列、例えばウイルスのコートタンパク質構成成分および二量体化ドメインと融合することができるので、「核酸カセット」と呼ぶこともある。
【0159】
PCRプライマー配列は、CDR領域の溶媒に露出し非常に多様な位置のために設計されたコドンセットの1つまたは複数を含む。前記したように、コドンセットは所望の変異体アミノ酸をコードするのに用いられる、一組の異なるヌクレオチドトリプレット配列である。
【0160】
オリゴヌクレオチドセットは、核酸カセットを作製するための鋳型として可変部核酸鋳型配列を使ってPCR法で使うことができる。可変部核酸鋳型配列は、対象核酸配列(すなわち、置換の対象となるアミノ酸をコードしている核酸配列)を含む免疫グロブリンの軽鎖または重鎖のいかなる部分でもよい。可変部核酸鋳型配列は、第1の核酸鎖および相補性の第2の核酸鎖を有する二本鎖DNA分子の一部である。可変部核酸鋳型配列は、少なくとも可変ドメインの一部を含み、また少なくとも1つのCDRを持つ。場合によっては、可変部核酸鋳型配列は複数のCDRを含む。可変部核酸鋳型配列の上流部および下流部は、上流域のオリゴヌクレオチドセットおよび下流域のオリゴヌクレオチドセットの構成メンバーによるハイブリダイゼーションの対象とすることができる。
【0161】
上流のプライマーセットの第1のオリゴヌクレオチドは第1の核酸鎖にハイブリダイズすることができ、下流のプライマーセットの第2のオリゴヌクレオチドは第2の核酸鎖にハイブリダイズすることができる。オリゴヌクレオチドプライマーは1つまたは複数のコドンセットを含むことができ、可変部核酸鋳型配列の一部にハイブリダイズするように設計することができる。これらのオリゴヌクレオチドの使用により、PCR後に2つ以上のコドンセットをPCR産物(すなわち核酸カセット)に導入することができる。抗体可変ドメインをコードしている核酸配列の領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーは、アミノ酸置換の対象となるCDR残基をコードする部分を含む。
【0162】
上流域および下流域のオリゴヌクレオチドセットは、オリゴヌクレオチド配列内に制限部位を含むように合成することもできる。これらの制限部位は、さらなる抗体配列を有している発現ベクターへの核酸カセット(すなわちPCR反応生成物)の挿入を容易にする。好ましくは、制限部位は外来の核酸配列を導入することなく、または元のCDRまたはフレームワーク核酸配列を取り除くことなく核酸カセットのクローニングを容易にするようになっている。
【0163】
核酸カセットは、作製した対象アミノ酸置換を含む軽鎖または重鎖の配列の一部またはすべての発現のために、いかなる適当なベクターにもクローニングすることができる。本発明で詳述される方法によると、核酸カセットはウイルスコートタンパク質のすべてまたは一部と融合した軽鎖または重鎖配列の一部またはすべて(すなわち、融合タンパク質を形成)の生産を可能にしているベクターにクローニングされるか、あるいは、粒子または細胞の表面で提示される。数種類のベクターが入手でき、それらは本発明の実施に用いることができるが、ファージミドベクターが本明細書での使用には好ましいベクターであり、その訳はそれらが相対的に容易に構築し、また容易に増幅することができるからである。当業者に公知のように、ファージミドベクターは、通常、プロモーター、シグナル配列、表現型選択遺伝子、複製起点部位および他の必要な構成成分を含む様々な構成成分を含む。
【0164】
特定の変異体アミノ酸の組合せが発現される他の実施形態では、核酸カセットは、重鎖または軽鎖の可変ドメインのすべてまたは一部をコードすることができ、また変異体アミノ酸の組合せをコードすることができる配列を含む。ライブラリーの場合のようにこれらの変異体アミノ酸または変異体アミノ酸の組合せを含んでいる抗体の作製のために、核酸カセットは、さらなる抗体配列、例えば軽鎖および重鎖可変部の可変または定常ドメインのすべてまたは一部を含んでいる発現ベクターに挿入することができる。これらのさらなる抗体配列は他の核酸配列、例えばウイルスコートタンパク質構成成分をコードしている配列と融合することができ、したがって融合タンパク質の生産を可能にする。
【0165】
ベクター
本発明の1つの態様は遺伝子融合をコードしている核酸配列を含んでいる複製可能な発現ベクターを含み、前記遺伝子融合は、ウイルスコートタンパク質のすべてまたは一部と融合し、1つの抗体可変ドメイン、または1つの抗体可変ドメインと1つの定常ドメインを含む融合タンパク質をコードする。先に述べたように多様な配列で生成された複数の抗体可変ドメインを含む複数の異なる融合タンパク質をコードする複数の遺伝子融合を含む、多様で複製可能な発現ベクターのライブラリーも含まれる。ベクターは様々な構成成分を含むことができ、好ましくは異なるベクターの間で抗体可変ドメインが移動できるように、かつ/または異なるフォーマットで融合タンパク質が提示されるように構築される。
【0166】
ベクターの例としてはファージベクターが含まれる。ファージベクターは、ファージ複製およびファージ粒子形成を可能にするファージ複製起点を有する。ファージは好ましくは繊維状バクテリオファージ、例えばM13、f1、fd、Pf3ファージもしくはその誘導体、またはラムドイドファージ、例えばラムダ、21、phi80、phi81、82、424、434、その他、もしくはその誘導体である。
【0167】
ウイルスコートタンパク質の例には、感染性タンパク質PIII、主コートタンパク質PVIII、p3、Soc(T4)、Hoc(T4)、gpD(バクテリオファージλ)、マイナーバクテリオファージコートタンパク質6(pVI)(繊維状ファージ;J Immunol Methods.1999年12月10日;231(1〜2):39〜51頁)、M13バクテリオファージ主コートタンパク質変異体(P8)(Protein Sci 2000年4月;9(4):647〜54頁)が含まれる。融合タンパク質はファージの表面で提示されるが、適当なファージ系にはM13KO7ヘルパーファージ、M13R408、M13−VCSおよびPhi X 174、pJuFoファージ系(J Virol.2001年8月;75(15):7107〜13頁.v)、ハイパーファージ(Nat Biotechnol.2001年1月;19(1):75〜8頁)が含まれる。好ましいヘルパーファージはM13KO7であり、好ましいコートタンパク質はM13ファージ遺伝子IIIコートタンパク質である。好ましい宿主は大腸菌、および大腸菌のプロテアーゼ欠損株である。ベクター、例えばfth1ベクター(Nucleic Acids Res.2001年5月15日;29(10):E50−0)は、融合タンパク質の発現に役立つことがある。
【0168】
発現ベクターは、抗体の各サブユニットまたはその断片をコードしているDNAと融合した分泌シグナル配列も持つことができる。この配列は典型的には融合タンパク質をコードしている遺伝子の直ぐ5’側に位置し、したがって融合タンパク質のアミノ末端で転写される。しかし、あるケースでは、シグナル配列は分泌されるべきタンパク質をコードしている遺伝子の5’以外の位置にあることが証明された。この配列は、それが細菌細胞の内膜を横切って結合するタンパク質を対象とする。シグナル配列をコードしているDNAは、シグナル配列を持つタンパク質をコードしている遺伝子のいずれかから、制限エンドヌクレアーゼ断片として得られる。原核生物の適当なシグナル配列は、例えば、LamBまたはOmpF(Wong他、Gene,68:1931頁(1983))、MalE、PhoAをコードしている遺伝子および他の遺伝子から得られるかもしれない。本発明の実施のための好ましい原核生物シグナル配列は、Chang他、Gene 55:189頁(1987)、に記載されている大腸菌耐熱性エンテロトキシンII(STII)シグナル配列およびmalEである。
【0169】
ベクターは、一般的に、融合タンパク質の発現を促進するためにプロモーターを含む。原核生物ベクターで最も一般的に使われるプロモーターには、lac Zプロモーター系、アルカリホスファターゼpho Aプロモーター(Ap)、バクテリオファージλPLプロモーター(温度感受性プロモーター)、tacプロモーター(lacリプレッサーによって制御されるハイブリッドtrp−lacプロモーター)、トリプトファンプロモーターおよびバクテリオファージT7プロモーターが含まれる。プロモーターの総説に関しては、前出Sambrook他のセクション17を参照。これらが最も一般的に使用されるプロモーターであるが、他の適当な微生物プロモーターも同様に使うことができる。
【0170】
ベクターは、また、他の核酸配列、例えば、gDタグ、c−Mycエピトープ、ポリ−ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質(例えば、GFP)またはファージまたは細胞の表面で発現する融合タンパク質の検出または精製に役立つβ−ガラクトシダーゼタンパク質をコードしている配列を含むことができる。例えばgDタグをコードしている核酸配列は、また、融合タンパク質を発現する細胞またはウイルスの正または負の選択を可能にする。いくつかの実施形態では、gDタグは好ましくはウイルスコートタンパク質構成成分に融合していない抗体可変ドメインと融合する。例えば、ポリヒスチジン標識をコードしている核酸配列は、免疫組織化学手法を使って特異的抗原と結合する抗体可変ドメインを含む融合タンパク質を同定するために役立つ。抗原結合の検出に役立つタグは、ウイルスコートタンパク質構成成分に融合していない抗体可変ドメイン、またはウイルスコートタンパク質構成成分に融合した抗体可変ドメインに融合することができる。
【0171】
本発明を実践するのに用いられるベクターの他の有用構成成分は、表現型選択遺伝子である。典型的表現型選択遺伝子は、宿主細胞に抗生物質耐性を与えるタンパク質をコードしている遺伝子である。実例として、アンピシリン耐性遺伝子(ampr)およびテトラサイクリン耐性遺伝子(tetr)はこの目的のために容易に使用される。
【0172】
ベクターは、独特の制限部位および抑制性終止コドンを含んでいる核酸配列も含むことができる。独特の制限部位は異なるベクターおよび発現系の間で抗体可変ドメインを移動させるために役立ち、特に細胞培養による完全長抗体または抗原結合断片の生産に役立つ。抑制性終止コドンは融合タンパク質の発現レベルを調節するのに役立ち、可溶性抗体断片の精製を容易にする。例えば、アンバー終止コドンはファージディスプレイを可能にするsupE宿主ではGlnと解釈することができるが、非supE宿主ではそれはファージコートタンパク質と融合していない可溶性抗体断片を産生する終止コドンと解釈される。これらの合成配列は、ベクター内の1つまたは複数の抗体可変ドメインと融合させることができる。
【0173】
関心の抗体配列、例えば変異体アミノ酸を有するCDRをコードしている核酸がベクター系から容易に取り出されて他のベクター系に入れられるようにするベクター系を使うことが好ましい。例えば、変異体アミノ酸を有する抗体または抗体可変ドメインをコードしている核酸配列の取り出しを容易にするために、適当な制限部位をベクター系に組み込むことができる。制限配列は、通常、効率的な切出しおよび新しいベクターへのライゲーションを容易にするために、ベクター内でユニークなものが選ばれる。抗体または抗体可変ドメインは、その後外来の融合配列、例えばウイルスコートタンパク質または他の配列タグなしでベクターから発現され得る。
【0174】
抗体可変ドメインまたは定常ドメインをコードしている核酸(遺伝子1)とウイルスのコートタンパク質構成成分(遺伝子2)との間に、終結または終止コドンをコードしているDNAを挿入することができ、そのような終結コドンにはUAG(アンバー)、UAA(オーカー)およびUGA(オペル)が含まれる。(Microbiology、Davis他、Harper & Row、New York、1980年、237頁、245〜47頁および374頁)。野生型宿主細胞で発現する終結または終止コドンは、遺伝子2タンパク質が結合しない遺伝子1タンパク質産物の合成をもたらす。しかし、抑制宿主細胞での増殖は検出可能な量の融合タンパク質の合成をもたらす。そのような抑制宿主細胞は公知であり、大腸菌抑制遺伝子株(Bullock他、Bio Techniques 5:376〜379頁(1987))などが記載されている。そのような終結コドンを融合ポリペプチドをコードしているmRNAに入れるために、許容できるいかなる方法でも用いることができる。
【0175】
抑制性コドンは、抗体可変または定常ドメインをコードしている第1の遺伝子とファージコートタンパク質の少なくとも一部をコードしている第2の遺伝子との間に挿入することができる。あるいは、抑制性終結コドンは、抗体可変ドメインの最後のアミノ酸トリプレットまたはファージコートタンパク質の最初のアミノ酸を置換することによって融合部位に隣接して挿入することができる。抑制性終結コドンは、二量体化ドメインのC末端またはその後に位置してもよい。抑制性コドンを含んでいるプラスミドがサプレッサー宿主細胞で増殖された場合、ポリペプチドおよびコートタンパク質を含んでいる融合ポリペプチドの検出可能な量が生産される。プラスミドが非サプレッサー宿主細胞で増殖された場合、抗体可変ドメインは挿入された抑制性トリプレットUAG、UAAまたはUGAにおける終結のために、実質的にファージコートタンパク質と融合せずに合成される。非サプレッサー細胞では、抗体可変ドメインはそれを宿主メンブランに固定する融合ファージコートタンパク質が存在しないために、合成された後に宿主細胞から分泌される。
【0176】
いくつかの実施形態では、多様化される(ランダム化される)CDRは、鋳型配列(本明細書では「終止鋳型」と呼ぶ)に組み込まれた終止コドンを持つことができる。この特徴は、関心の変異体アミノ酸の配列を含むオリゴヌクレオチドの取り込みのために、鋳型配列における終止コドンの修復の成功に基づき、多様化が成功した配列の検出と選択を可能にする。この特徴は、下記の実施例でさらに例示される。
【0177】
軽鎖および/または重鎖抗体可変または定常ドメインはさらなるペプチド配列に融合することもでき、このさらなるペプチド配列はウイルス粒子または細胞の表面での1つまたは複数の融合ポリペプチドの相互作用を可能にする。これらのペプチド配列は、本明細書では「二量体化ドメイン」と称す。二量体化ドメインは、少なくとも1つまたは複数の二量体化配列、またはシステイン残基を含んでいる配列を少なくとも1つ、あるいはこの両方共含むことができる。適当な二量体化配列には、疎水残基が一定の間隔をあけて存在し、各タンパク質の疎水残基の相互作用による二量体の形成を可能にする両親媒性のαヘリックスを有するタンパク質のそれらが含まれる。そのようなタンパク質およびタンパク質部分には、例えばロイシンジッパー領域が含まれる。二量体化ドメインは、また、1つまたは複数のシステイン残基を含むことができる(例えば、二量体化ドメイン内に抗体ヒンジ配列を含むことにより提供される)。システイン残基は、1つまたは複数のジスルフィド結合の形成による二量体化を可能にする。終止コドンが二量体化ドメインの後方に存在する一実施形態では、二量体化ドメインは少なくとも1つのシステイン残基を含む。二量体化ドメインは、好ましくは抗体可変または定常ドメインとウイルスコートタンパク質構成成分との間に位置する。
【0178】
場合によっては、ベクターは、例えばコートタンパク質に融合した重鎖および軽鎖可変部を含んでいる単鎖形態の単一の抗体ファージポリペプチドをコードする。これらのケースでは、ベクターは、ある種のプロモーターの制御下で1つの転写産物を発現する「一シストロン性」と考えられる。そのようなベクターの実例を図34CおよびDに示す。図34Cでは、VLおよびVHドメインの間にリンカーペプチドを有し、VLおよびVHドメインをコードしている一シストロン性配列の発現を促進するためにアルカリホスファターゼ(AP)またはTacプロモーターを利用するベクターを示す。このシストロン配列は、5’末端で大腸菌のmalEまたは耐熱性エンテロトキシンII(STII)シグナル配列に連結し、3’末端でウイルスコートタンパク質(図34ではpIIIタンパク質として示す)のすべてまたは一部に連結する。このベクターによってコードされる融合ポリペプチドは、本明細書では「ScFv−pIII」と称す。いくつかの実施形態では、図34Dで例示するように、ベクターは第2の可変ドメイン配列(図34DのVH)とウイルスコートタンパク質配列との間のその3’末端に、二量体化ドメイン(例えばロイシンジッパー)をコードしている配列をさらに含むことができる。この二量体化ドメインを含んでいる融合ポリペプチドは、二量体化により2つのscFvポリペプチドの複合体(本明細書では「(ScFv)2−pIII」と称す)を形成することができる。
【0179】
その他の場合、重鎖および軽鎖の可変部は別々のポリペプチドとして発現され、このようにベクターは「二シストロン性」であり、別々の転写産物の発現を可能にする。二シストロン性ベクターの例を図34Aおよび4Bに図式的に示す。これらのベクターでは、適当なプロモーター、例えばPtacまたはPhoAプロモーターは二シストロン性メッセージの発現を促すために利用できる。例えば軽鎖可変および定常ドメインをコードしている第1のシストロンは、5’末端で大腸菌のmalEまたは耐熱性エンテロトキシンII(STII)シグナル配列に連結し、3’末端でgDタグをコードしている核酸配列に連結している。例えば重鎖可変および定常ドメインCH1をコードしている第2のシストロンは、5’末端で大腸菌のmalEまたは耐熱性エンテロトキシンII(STII)シグナル配列に連結し、3’末端でウイルスコートタンパク質のすべてまたは一部に連結している。
【0180】
二シストロン性メッセージを提供し、F(ab’)−pIIIの提示のためのベクターを図34Bに示す。このベクターでは、適当なプロモーター、例えばPtacまたはPhoA(AP)プロモーターは、5’末端で大腸菌malEまたは耐熱性エンテロトキシンII(STII)シグナル配列と作用可能に連結し、3’末端でgDタグをコードしている核酸配列と連結した軽鎖可変および定常ドメインをコードしている第1のシストロンの発現を促進する。第2のシストロンは、例えば5’末端で大腸菌のmalEまたは耐熱性エンテロトキシンII(STII)シグナル配列と作用可能に連結した重鎖可変および定常ドメインをコードし、3’末端にはIgGヒンジ配列およびロイシンジッパー配列、さらにその後方に少なくとも一部のウイルスコートタンパク質を含む二量体化ドメインを持つ。
【0181】
融合ポリペプチドの提示
抗体可変ドメインの融合ポリペプチドは、細胞、ウイルスまたはファージミド粒子の表面で様々な形式で提示することができる。これらの形式には、単鎖Fv断片(scFv)、F(ab)断片およびこれらの断片の多価の形態が含まれる。多価の形態は、好ましくはScFv、FabまたはF(ab’)の二量体であり、これらは本明細書では(ScFv)、F(ab)およびF(ab’)とそれぞれ称す。多価の形態の提示が好まれる理由の一部は、それらが、通常低親和性クローンの同定をもたらし、また選択過程で稀なクローンのより効率的な選別を可能にする複数の抗原結合部位を有することによる。
【0182】
バクテリオファージの表面で抗体断片を含んでいる融合ポリペプチドを提示する方法は当技術分野で公知であり、例えばWO92/01047号および本明細書で記載されている。他の公開特許公報WO92/20791号;WO93/06213号;WO93/11236号および国際出願第93/19172号は関連した方法を記載しており、参照によりすべて本明細書に組み込まれている。他の刊行物は、ファージ表面で提示された様々な抗原に対する、人工的に再配置されたV遺伝子レパートリーによる抗体の同定を示した(例えば、H.R.Hoogenboom & G.Winter J.Mol.Biol.227、381〜388頁、1992年;またWO93/06213号およびWO93/11236号で開示されている)。
【0183】
ベクターがscFv形式での提示のために構築される場合、このベクターは抗体可変軽鎖ドメインおよび抗体可変重鎖可変ドメインをコードしている核酸配列を含む。一般的には、抗体重鎖可変ドメインをコードする核酸配列は、ウイルスコートタンパク質構成成分に融合する。抗体可変ドメインの一方または両方は、少なくとも1つのCDR領域に変異体アミノ酸を持つことができる。抗体可変軽鎖をコードしている核酸配列は、ペプチドリンカーをコードしている核酸配列によって抗体可変重鎖ドメインに連結される。ペプチドリンカーは、一般的に約5から15個のアミノ酸を含む。任意選択に、例えば精製または検出に役立つ標識をコードしている他の配列を、抗体可変軽鎖もしくは抗体可変重鎖ドメインのいずれかまたは両方をコードしている核酸配列の3’末端に融合することができる。
【0184】
ベクターがF(ab)提示のために構築される場合、このベクターは抗体可変ドメインおよび抗体定常ドメインをコードしている核酸配列を含む。軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、軽鎖定常ドメインをコードする核酸配列に融合される。抗体重鎖可変ドメインをコードする核酸配列は、重鎖定常CH1ドメインをコードする核酸配列に融合される。一般的には、重鎖可変および定常ドメインをコードしている核酸配列は、ウイルスコートタンパク質のすべてまたは一部をコードしている核酸配列に融合される。抗体軽鎖または重鎖の可変ドメインの一方または両方は、少なくとも1つのCDR領域に変異体アミノ酸を持つことができる。重鎖可変および定常ドメインは好ましくはウイルスコートタンパク質の少なくとも一部との融合体として発現され、軽鎖可変および定常ドメインは重鎖ウイルスコート融合タンパク質とは別々に発現される。重鎖および軽鎖は互いと結合し、その結合は共有結合でも非共有結合でもよい。任意選択に、例えば精製または検出に役立つポリペプチド標識をコードしている他の配列を、抗体軽鎖定常ドメインもしくは抗体重鎖定常ドメインのいずれかまたは両方をコードしている核酸配列の3’末端に融合することができる。
【0185】
好ましくは、二価の成分、例えばF(ab)二量体またはF(ab’)二量体が、粒子表面で変異体アミノ酸置換を有する抗体断片を提示するために使用される。F(ab’)二量体は溶相抗原結合検定でF(ab)二量体と同じ親和性を持つことが分かっているが、F(ab’)の解離速度は高アビディティーのため低下している。したがって、二価の形態(例えばF(ab’))は低親和性クローンの同定を可能にし、また選択過程で稀なクローンのより効率的な選別を可能にするので、特に有用な形態である。
【0186】
宿主細胞へのベクターの導入
本発明に従って記載されているように構築されたベクターは、増幅および/または発現のために宿主細胞に導入される。ベクターは、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿などを含む標準の形質転換法を使って、宿主細胞に導入することができる。ベクターがウイルスのような感染性の粒子であるならば、ベクター自体が宿主細胞に侵入する。遺伝子融合をコードする複製可能な発現ベクターを含んでいる宿主細胞のトランスフェクションおよび標準手法によるファージ粒子の生産は、融合タンパク質がファージ粒子の表面で提示されるファージ粒子を提供する。
【0187】
複製可能な発現ベクターは、様々な方法を使用して宿主細胞に導入される。一実施形態では、ベクターはWO00/106717号で記載されているようにエレクトロポレーション法を使って細胞に導入することができる。細胞は標準の培養液中で任意に約6〜48時間(またはOD600=0.6〜0.8になるまで)、37℃で培養し、次にブロースを遠心分離して上清を取り出す(例えばデカンテーションにより)。初期の精製では、好ましくは緩衝液(例えば1.0mMのHEPES pH7.4)の中に細胞ペレットを再懸濁し、次に再遠心分離を行い、上清を取り出す。得られた細胞ペレットを希釈したグリセリン(例えば5〜20%V/V)の中に再懸濁し、再度再遠心分離をして細胞ペレットを形成し、上清を取り除く。最終的な菌体濃度は、所望の濃度に細胞ペレットを水または希釈したグリセリンの中に再懸濁することによって得られる。
【0188】
特に好ましい受容細胞は本発明のエレクトロポレーション応答能のある大腸菌株SS320である(Sidhu他、Methods Enzymol.(2000)、328:333〜363頁)。大腸菌株SS320は、稔性エピソーム(F’プラスミド)またはXL1−BLUEをMC1061細胞に移転するのに十分な条件の下で、MC1061細胞をXL1−BLUE細胞と交接させて調製した。大腸菌株SS320は、1998年6月18日、アメリカ基準株保存機構(ATCC)、10801 University Boulevard、Manassas、Virginia USAに寄託され、寄託番号98795が割り当てられた。この菌株でのファージ複製を可能にするいかなるF’エピソームでも、本発明で用いることができる。適当なエピソームはATCCに預けられている株から入手可能であるし、または市販品を入手できる(CJ236、CSH18、DHF’、JM101、JM103、JM105、JM107、JM109、JM110、KS1000、XL1−BLUE、71−18、その他)。
【0189】
エレクトロポレーションでより高いDNA濃度(約10倍)を使用すると、形質転換率が向上し、宿主細胞に形質転換されるDNAの量が増加する。高い菌体濃度の使用も効率を高める(約10倍)。移転されたDNA量の増加により、より大きな多様性を有し、複合ライブラリーのより多くの独特なメンバーを示すより大きなライブラリーが生じる。形質転換細胞は、通常、抗生物質を含む培地上の増殖によって選択される。
【0190】
選ばれた対象への結合体の選択(選別)とスクリーニング
方法論に様々な置換および変更を加えた、対象抗原結合体を同定するためのファージディスプレイの使用は、当技術分野で確立されている。一手法では、融合ポリペプチドをコードしている遺伝子融合体と作用可能に連結した転写調節要素を含む複製可能な変異体ベクターのファミリーを構築し、適当な宿主細胞に形質転換し、この形質転換細胞を培養して前記融合ポリペプチドをファージ粒子表面で提示するファージ粒子を形成し、その後選択の過程で結合しない粒子と比較して結合する粒子のサブセットを増加させる目的で、少なくとも粒子集団の一部が対象と結合するように組換え体ファージ粒子を対象抗原と接触させることによる選択または選別を伴うプロセスを行う。選択されたプールは、異なるかまたは同じストリンジェンシーで同じ対象をさらに1回選別するために、宿主細胞、例えば新鮮なXL1−Blue細胞を感染させて増幅することができる。得られた変異体のプールは、次に新規高親和性結合タンパク質を同定するために、対象抗原に対してスクリーニングされる。これらの新規高親和性結合タンパク質は、アンタゴニストまたはアゴニストなどの治療薬として、かつ/または診断薬および研究試薬として有用であり得る。
【0191】
変異体アミノ酸を含んでいる抗体可変ドメインのような融合ポリペプチドは、ファージ、ファージミド粒子または細胞の表面で発現され、次に融合ポリペプチド群の構成メンバーの、一般的に関心の抗原である対象抗原に結合する能力について選択および/またはスクリーニングをすることができる。対象結合体についての選択の方法は、タンパク質Lまたはファージ上で提示される抗体もしくは抗体断片と結合する標識特異抗体のような抗体可変ドメインと親和性を有する一般的なタンパク質上での選別も含み、これは正しくフォールドされた抗体断片(融合ポリペプチド)を提示するライブラリーメンバーを豊富にするために使うことができる。
【0192】
対象タンパク質、例えば受容体は、天然源から単離することができ、または当技術分野で公知の手法による組換え方法により調製することができる。対象抗原としては、治療上関心のある多くの分子が含まれる。
【0193】
図45で図式的に表されているように、親和性のための選択(選別)のために2つの主な方策を使うことができる。第1の方策(図の左)は固体担体方法またはプレート選別または固定化対象選別である。第2の方策は、溶液−結合法(右)である。
【0194】
固体担体方法については、対象タンパク質は当技術分野で公知である適当な固体または半固体マトリックス、例えばアガロースビーズ、アクリルアミドビーズ、ガラスビーズ、セルロース、様々なアクリルコポリマー、メタクリル酸ヒドロキシアルキルゲル、ポリアクリルおよびポリメタクリルコポリマー、ナイロン、中性およびイオン性担体などに結合してもよい。マトリックスへの対象タンパク質の結合は、Methods in Enzymology、44(1976)に記載されている方法、または当技術分野で公知の他の手段で達成することができる。
【0195】
マトリックスへの対象抗原の結合の後、固定化された対象をファージ粒子集団の少なくとも1サブセットと固定化対象抗原との結合に適した条件下で、融合ポリペプチドを発現しているライブラリーと接触させる。通常、pH、イオン強度、温度などを含む条件は、生理学的条件を模倣する。前記固定化対象と結合する粒子(「結合体」)は、水洗により対象と結合しない粒子から分離する。洗浄条件は、高親和性結合体以外のすべてが取り除かれるように調節することができる。結合体は様々な方法によって固定化された対象から解離させることができる。これらの方法には野生型リガンド(例えば過剰な対象抗原)を使う競合的解離、pHおよび/またはイオン強度の変更、ならびに当技術分野で公知の方法が含まれる。結合体の選択は、一般的に0.1MのHClなどの酸またはリガンドのような、適当な溶出材料によるアフィニティーマトリックスからの溶出を含む。リガンドの濃度を上昇させて溶出すると、提示されたより親和性の高い結合分子を溶出させることができた。
【0196】
結合体は単離してから細胞を結合体であるウイルス粒子(および、例えばウイルス粒子がファージミド粒子である場合は必要に応じてヘルパーファージ)に感染させることによって、適当な宿主細胞で再増幅させることができ、この宿主細胞は所望の融合ポリペプチドを提示する粒子の増幅に適した条件下で培養される。次にファージ粒子を採取し、対象抗原の結合体がいくらか豊富になるまで選択工程を1回または複数回繰り返し、選択または選別は何回でも利用できる。選択または選別方法の1つは、タンパク質Lまたは提示されるポリペプチドに存在するポリペプチドタグに対する抗体、例えばgDタンパク質またはポリヒスチジンタグに対する抗体のような一般の親和性タンパク質と結合する結合体を単離することを含むこともできる。
【0197】
本発明の1つの態様は、図45(右パネル)で図示されている「溶液−結合方法」と呼ばれる新規選択法を含む。本発明は、従来の溶液選別方法よりも効率が非常に改善された溶相選別を可能にする。ランダムなライブラリーから元の結合体を見つけるため、あるいは特定の結合クローンまたはクローン群の親和性を改善することを目的としたライブラリーから改善された結合体を見つけるために溶液結合方法が使われた。この方法は、複数のポリペプチド、例えばファージまたはファージミド粒子(ライブラリー)上で提示されるポリペプチドを、タグ分子で標識されたか融合された対象抗原と接触させることを含む。タグはビオチンまたは他の特異的結合体が入手できる部分でよい。溶相のストリンジェンシーは、第1の溶液結合相で濃度を段階的に低くした標識された対象抗原を用いて変化させることができる。さらにストリンジェンシーを高めるために、第1の溶液結合相の後に、第1の溶相での最初の標識された対象との結合の後に高濃度の標識されていない対象抗原を有する第2の溶相が続いてもよい。通常、標識対象の100から1000倍の非標識対象が第2相で使われる(含まれるならば)。第1の溶相のインキュベーション時間は、平衡に達するまで2、3分から1、2時間またはそれ以上の範囲である。結合速度の速い結合体には、この第1相において結合時間を短くする傾向がある、または短くすることが選択されうる。第2相のインキュベーションの時間および温度は、ストリンジェンシーを高めるために変化させることができる。これにより、対象から離れる速度(解離速度)が遅い結合体に対する選択の偏りが生じる。複数のポリペプチド(ファージ/ファージミド粒子上で提示された)を対象抗原と接触させた後に、標識対象と結合したファージまたはファージミド粒子を結合しないファージから分離する。結合の溶相からの粒子−対象混合物は、それを標識対象分子成分と接触させて短時間(例えば2〜5分間)標識対象分子と結合する分子との結合を可能にすることによって単離する。標識対象抗原の初期濃度の範囲は、約0.1nMから約1000nMまでである。結合粒子を溶出して、次回の選別のために増殖させることができる。各回低い濃度の標識対象抗原を用いて選別を複数回繰り返すのが好ましい。
【0198】
例えば、約100から250nMの標識対象抗原を使った最初の選別または選択は広範囲の親和性を捕えるのに十分なはずであるが、この因子は経験的にかつ/または実践者の希望に沿うように決定することができる。2回目の選択では、約25から100nMの標識対象抗原を使える。3回目の選択では、約0.1から25nMの標識対象抗原を使える。例えば、100nMの結合体の親和性を改善するためには、20nMの標識対象から始めて5および1nMへと進め、次にさらに低い濃度、例えば約0.1nMの標識対象抗原へ進めるのが望ましい。
【0199】
従来の溶液選別法ではストレプトアビジンをコーティングしたビーズのようなビーズを使用するが、これは使用するのが非常に厄介であり、またファージ結合体の回収の効率が非常に低いことが多い。ビーズによる従来の溶液選別法は2〜5分よりもかなり長い時間を要し、高スループットの自動操作に適応させるのが上述の本発明より困難である。
【0200】
本明細書で記載されているように、固体担体と溶液選別方法の組合せは、所望の特性を有している結合体を単離するために有利に使うことができる。対象抗原に対して2、3回選択/選別を繰り返した後、所望の性質/特性を有する特異的結合体を同定するために選択されたプールからの個々のクローンのスクリーニングを通常実行する。好ましくは、スクリーニングのプロセスは、ライブラリー候補物質の高スループットスクリーニングを可能にする自動化システムによって実行される。
【0201】
2つの主なスクリーニング方法を以下で記載する。しかし、当技術分野で公知の他の方法も本発明の方法で用いることができる。第1のスクリーニング法は固定化された対象抗原によるファージELISA検定を含み、この方法は非結合クローンからの特異的結合クローンの同定を可能にする。特異性は、対象でコーティングされたウェルおよびBSA、または他の非対象タンパク質でコーティングしたウェル上のクローンの同時検定で測定することができる。この検定は高スループットスクリーニングが自動化可能である。
【0202】
一実施形態は、抗体可変ドメインのライブラリーから特異的対象抗原に結合する抗体可変ドメインを選択する方法を提供し、この方法は複数のポリペプチドを含む複製可能な発現ベクターのライブラリーを作製するステップと、前記ライブラリーを、結合に適した条件下で対象抗原および少なくとも1つの非対象抗原と接触させるステップと、前記ライブラリーのポリペプチド結合体を非結合体から分離するステップと、前記対象抗原と結合し、前記非対象抗原とは結合しない結合体を同定するステップと、この結合体を前記対象抗原から溶出するステップと、特異的抗原に結合する前記ポリペプチド結合体を含んでいる複製可能な発現ベクターを増幅するステップとを含む。
【0203】
第2のスクリーニング検定はこの出願で具現化される発明であり、それは低親和性クローンからの高親和性クローンの高スループット選別を可能にする親和性スクリーニング検定法である。この検定では、各クローンはまずある濃度の対象抗原とある時間(例えば30〜60分)インキュベートするかまたはしないで、その後対象でコーティングしたウェルへ短時間(例えば5〜15分)塗布する。次に結合したファージを通常のファージELISA法、例えば抗M13 HRPコンジュゲートを用いて測定する。1つは対象でプリインキュベーションされ他のウェルは対象抗原でプリインキュベーションされていないが、この2つのウェルの結合シグナルの比率は親和性の指標である。第1のインキュベーションのための対象濃度の選択は、関心の親和性の範囲に依存する。例えば、10nMを超える親和性の結合体が所望であるならば、第1のインキュベーションでは100nMの対象がしばしば使われる。この方法の一実施形態の詳述については、図47および実施例9を参照。一旦結合体が特定の回の選別(選択)で検出されると、より高い親和性の結合体を同定するためにこれらのクローンは親和性スクリーニング検定でスクリーニングすることができる。
【0204】
前記選別/選択法のいずれの組合せをこのスクリーニング法と組み合わせることができる。例えば、一実施形態ではポリペプチド結合体は、まず固定化対象抗原への結合に関して選択される。前記固定化対象抗原と結合するポリペプチド結合体は、次に増幅して、この対象抗原との結合および非対象抗原への非結合に関してスクリーニングすることができる。特異的に対象抗原と結合するポリペプチド結合体を増幅する。これらのポリペプチド結合体は、次に複合体を形成するためにある濃度の標識された対象抗原と接触させることにより、より高い親和性に関して選択でき、この標識された対象抗原の濃度域は約0.1nMから約1000nMであり、この複合体は対象抗原上の標識と結合する因子との接触によって単離される。このポリペプチド結合体は、次に標識された対象抗原から溶出され、また各回より低い濃度の標識された対象抗原を用いて選択を繰り返すこともできる。この選択方法を使用して単離された高親和性ポリペプチド結合体は、次に、例えば実施例8に記載されている溶相ELISA検定法、または実施例9に記載されている点競合ELISA検定法を用いて高親和性に関してスクリーニングすることができる。
【0205】
これらの方法は、多数のクローンに対する長く、複雑な競合親和性検定を必要としないで、高親和性のクローンの検出を容易にする。多くのクローンに対して複雑な検定を行うことは手間が掛かり、選択による最良のクローンの検出に対してしばしば著しい障害となる。この方法は、類似した親和性の複数の結合体が選択プロセスから回収される場合の親和性の改善に特に役立つ。異なるクローンは、ファージまたはファージミド粒子上の発現/提示の効率が非常に異なることがある。より多く発現するクローンは、回収される可能性が高い。つまり、選択は変異体の提示または発現の量によって一方に偏らせることができる。本発明の溶液−結合選別方法は、高親和性結合体を見つけるための選択プロセスを改善することができる。この方法は、最良の結合体を迅速かつ容易にスクリーニングする際に著しく有利な親和性スクリーニング検定法である。
【0206】
結合体が対象抗原への結合により同定された後、核酸を抽出することができる。抽出されたDNAは次に大腸菌宿主細胞を形質転換するのに直接用いることができ、あるいは、コード配列を例えばPCRで適当なプライマーを使って増幅し、典型的シークエンシング方法によって配列決定をすることができる。結合体の可変ドメインDNAは制限酵素で消化し、次にタンパク質発現のためにベクターに挿入することができる。
【0207】
一実施形態では、本発明はmVEGF(マウスの血管内皮細胞増殖因子)と結合する新規抗体および抗体断片の単離手段を提供する。好ましくは、抗体可変ドメインはmVEGFとIC50値10μM未満、より好ましくは1μM未満で結合する。一実施形態では、mVEGFと結合する抗体には、重鎖可変部のCDRL3の残基およびCDRH3領域の残基95〜100aのアミノ酸をDVKコドンセットまたはDVKおよびNNKコドンセットの組合せで置換することにより作製したライブラリーの構成メンバーが含まれる。上で作製されたようなライブラリーの一部のメンバーは、mVEGFに対して特に高い親和性を有することが発見された。
【0208】
特に、重鎖CDR3配列SRNAWAF(配列番号5;アミノ酸位置93〜100c)、SRNLSENSYAM(配列番号6;アミノ酸位置93〜100c)、SRAGWAGWYAM(配列番号7;アミノ酸位置93〜100c)、SRAAKAGWYAM(配列番号8;アミノ酸位置93〜100c)およびSRSDGRDSAYAM(配列番号9;アミノ酸位置93〜100c)を含む抗体は、mVEGFに対する高い親和性結合を示す。L1、L2、L3、H1およびH2のようなCDRの他の位置のアミノ酸を置換することによって作製した、mVEGFと結合する新規抗体可変ドメインも、本明細書で記載される方法によって作製することができる。
【0209】
いくつかのケース、例えば新規CDRH1/H2/H3結合体では、配列は、コドンセットを通して変異体アミノ酸を、例えば2段プロセスにより他のL鎖CDRに導入することによって作製される他の配列と組み合わせることができる。2段プロセスの実施例では、まず1つまたは複数のCDRをランダム化することによって作製された1つまたは複数のライブラリー内の結合体(通常、低親和性結合体)を確定するが、各ライブラリーでランダム化されるCDRは異なるか、あるいは、同じCDRがランダム化される場合はこのCDRがランダム化されて異なる配列を生成する。重鎖ライブラリーからの結合体は、次にキュンケル突然変異生成によりまたは新しい軽鎖ライブラリーを定常軽鎖だけを有する既存の重鎖結合体にクローニングすることによって(カットアンドペースト(例えば、異なるCDR配列をライゲーションすることによって))、軽鎖CDRにおけるCDR多様性でCDRをランダム化することができる。プールは次に親和性の向上した結合体を同定するために、対象に対してさらに選別することができる。例えば、L3/H3ライブラリー、H1/H2/H3ライブラリーまたはL3/H1/H2/H3ライブラリーの選別から得られた結合体(例えば低親和性結合体)は、L1/L2/H1/H2多様性またはL1/L2/L3多様性のライブラリーと融合させて元の定常L1/L2/H1/H2またはL1/L2/L3と置き換えることができ、新しいライブラリーは次に他の結合体セット(例えば高親和性結合体)を得るために関心の対象に対してさらに選別される。IGF1またはmVEGF抗原に対してより高い結合親和性を示す新規抗体配列を同定することができる。
【0210】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドを含んでいるライブラリーは複数回選別され、各選別では前回の選別から得られた結合体を前回の対象抗原とは別の対象抗原と接触させる。望ましくは、しかし必ずしもそうとは限らないが、対象抗原は配列が相同的であり、例えば関連するが異なるポリペプチドのファミリーのメンバーであり、例えばそれには限定されないがサイトカイン(例えばαインターフェロン亜型)が含まれる。
【0211】
抗体可変ドメインライブラリーの作製
抗体可変ドメインの少なくとも1つのCDRの溶媒に露出しかつ/または非常に多様な位置を突然変異させて、抗体ライブラリーを作製することができる。いくつかまたはすべてのCDRは、本発明の方法を使用して突然変異させることができる。いくつかの実施形態では、CDRH1、CDRH2およびCDRH3の位置を突然変異させて単一のライブラリーを形成することにより、またはCDRL3およびCDRH3の位置を突然変異させて単一のライブラリーを形成することにより、またはCDRL3、CDRH1、CDRH2およびCDRH3の位置を突然変異させて単一のライブラリーを形成することにより多様な抗体ライブラリーを作製することが好ましいかもしれない。
【0212】
例えばCDRH1、CDRH2およびCDRH3の溶媒に露出しかつ/または非常に多様な位置に突然変異を有する、抗体可変ドメインのライブラリーを作製することができる。CDRL1、CDRL2およびCDRL3で突然変異を有する他のライブラリーを作製することができる。所望の親和性の結合体を作製するために、これらのライブラリーを互いに一緒に使うこともできる。例えば、対象抗原への結合により重鎖ライブラリーを1回または複数回選択した後、軽鎖ライブラリーは結合体の親和性を増やすために、さらなる選択のために重鎖結合体の集団に戻すことができる。
【0213】
一実施形態では、重鎖配列の可変部のCDRH3領域において、元のアミノ酸を変異体アミノ酸で置換することによってライブラリーは作製される。本発明によると、このライブラリーは複数の抗体配列を含むことができ、その配列多様性は主に重鎖配列のCDRH3領域にある。
【0214】
一態様では、このライブラリーはヒト化抗体4D5配列またはヒト化抗体4D5配列のフレームワークアミノ酸配列に関連して作製される。好ましくは、このライブラリーは少なくとも重鎖の残基95〜100aをDVKコドンセットによってコードされるアミノ酸で置換することによって作製され、DVKコドンセットはこれらの位置のあらゆる位置に対して一組の変異体アミノ酸をコードするために用いられる。これらの置換を形成するために役立つオリゴヌクレオチドセットの例には、配列(DVK)が含まれる。この配列を持つオリゴヌクレオチドセットの例は、オリゴヌクレオチド(F63)(配列番号10)である。いくつかの実施形態では、DVKおよびNNKコドンセットによってコードされるアミノ酸による残基95〜100aの置換によってライブラリーが作製される。これらの置換を形成するために役立つオリゴヌクレオチドセットの例には、配列(DVK)(NNK)が含まれる。この配列を持つオリゴヌクレオチドセットの例は、オリゴヌクレオチド(F65)(配列番号11)である。他の実施形態では、DVKおよびNNKコドンセットによってコードされるアミノ酸による少なくとも残基95〜100aの置換によってライブラリーが作製される。これらの置換を形成するために役立つオリゴヌクレオチドセットの例には、配列(DVK)(NNK)が含まれる。この配列を持つオリゴヌクレオチドセットの例は、オリゴヌクレオチド(F64)(配列番号12)である。これらの置換を形成するために役立つオリゴヌクレオチドセットの他の例には、配列(NNK)が含まれる。この配列を持つオリゴヌクレオチドセットの例は、オリゴヌクレオチド(F66)(配列番号13)である。適当なオリゴヌクレオチド配列の他の例は図4および図43にリストされ、本明細書で記載される基準に従って当業者が決定することができる。
【0215】
他の実施形態では、異なるCDRH3デザインを利用して高親和性結合体を単離し、また様々なエピトープのために結合体を単離する。このライブラリーで生成されるCDRH3の長さの範囲は11から13個のアミノ酸であるが、これとは異なる長さの生成も可能である。H3多様性はコドンセットNNK、DVKおよびNVK、ならびにNおよび/またはC末端のより限られた多様性を用いて拡張することができる。多様性はCDRH1およびCDRH2でも作製することができる。
【0216】
ライブラリーの一実施形態では、H1およびH2の多様性は以下のオリゴヌクレオチドを用いて作製される。
【0217】
H1用オリゴヌクレオチド:
F151(GCA GCT TCT GGC TTC ACC ATT AVT RRT WMY KMT ATA CAC TGG GTG CGT CAG;配列番号14)、F152(GCA GCT TCT GGC TTC ACC ATT AVT RRT WMY KGG ATA CAC TGG GTG CGT CAG;配列番号15)、F175(GCA GCT TCT GGC TTC ACC ATT AVT RVM WMY KMT ATA CAC TGG GTG CGT CAG;配列番号16)およびF176(GCA GCT TCT GGC TTC ACC ATT AVT RVM WMY KGG ATA CAC TGG GTG CGT CAG;配列番号17)をプールし、H2には、オリゴヌクレオチドF153(AAG GGC CTG GAA TGG GTT GST DGG ATT WMT CCT DMT RRC GGC DMT ACT DAC TAT GCC GAT AGC GTC AAG GGC;配列番号18)、F154(AAG GGC CTG GAA TGG GTT GST DHT ATT WMT CCT DMT RRC GGC DMT ACT DAC TAT GCC GAT AGC GTC AAG GGC;配列番号19)、F173(AAG GGC CTG GAA TGG GTT GST DGG ATT DMT CCT NMT RRC GGC DMT ACT DAC TAT GCC GAT AGC GTC AAG GGC;配列番号20)およびF174(AAG GGC CTG GAA TGG GTT GST DHT ATT DMT CCT NMT RRC GGC DMT ACT DAC TAT GCC GAT AGC GTC AAG GGC;配列番号21)をプールした。
【0218】
CDRH3の多様性のために、複数のライブラリーを異なる長さのH3で別々に構築し、次に組み合わせて対象抗原への結合体を選択することができる。任意選択に、1つのライブラリーで、DVKコドンセットがプールされた(すなわち、オリゴヌクレオチドが単一のプールとして使われる)オリゴヌクレオチドF163a、F164a、F1646、F165およびF166(図4を参照)に即して利用される。第2のライブラリーは第1のライブラリーと同じオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドF125(CGR TTC ACT ATA AGC CGT GAC ACA TCC AAA AAC;配列番号22)を使うことができる。第3のライブラリーは、オリゴヌクレオチドF165aおよびF1656を使うことができる。第4のライブラリーの構築は、プール配列F103、F134、F135、F155、F156、F157、F160、F160gおよびF167がトリプトファンでドープされたNVTオリゴヌクレオチドのプールを使って行える。第5のライブラリーは、オリゴヌクレオチドF66aおよびF66bでコドンセットNNSを使って構築することができる。
【0219】
前に記載したようにまた図44および図45で示したように、複数のライブラリーをプールして、固体担体選択および溶液選別方法を使用して選別することができる。複数の選別方策を使用してもよい。例えば、1つの変更は固体に結合した対象に対する選別、続いて融合ポリペプチド(例えば、抗gDタグ)上に存在しているかもしれないタグに対する選別、続いて固体に結合した対象に対する他の選別を含む。別法として、ライブラリーをまず固体表面に結合した対象上で選別し、次に溶相結合法を濃度を段階的に下げた対象抗原を用いて行うことにより溶出した結合体を選別する。異なる選別方法を組み合わせて利用すると、高発現の配列だけが選択されるのを極小化して、いくつかの異なる高親和性クローンの選択を可能にする。
【0220】
対象抗原のための高親和性結合体は、ライブラリーから単離することができる。H1/H2領域の多様性を限定すると変性は約10から10倍減少し、H3の多様性を高めさせると高親和性結合体が多くなる。CDRH3に異なる型の多様性を有するライブラリーを利用すると(例えば、DVKまたはNVTを利用すると)、対象抗原の異なるエピトープと結合することができる結合体の単離がもたらされる。
【0221】
先に述べたようなプールされたライブラリーから単離された結合体では、軽鎖の多様性を制限することにより親和性がさらに改善されることが発見された。軽鎖の多様性は、この実施形態では次のように生成される。CDRL1:アミノ酸位置28はRDTによってコードされ、アミノ酸位置29はRKTによってコードされ、アミノ酸位置30はRVWによってコードされ、アミノ酸位置31はANWによってコードされ、アミノ酸位置32はTHTによってコードされ、任意選択にアミノ酸位置33はCTGによってコードされ、CDRL2では:アミノ酸位置50はKBGによってコードされ、アミノ酸位置53はAVCによってコードされ、任意選択にアミノ酸位置55はGMAによってコードされ、CDRL3では:アミノ酸位置91はTMTまたはSRTまたは両方によってコードされ、アミノ酸位置92はDMCによってコードされ、アミノ酸位置93はRVTによってコードされ、アミノ酸位置94はNHTによってコードされ、アミノ酸位置96はTWTまたはYKGまたは両方によってコードされる。
【0222】
他の実施形態では、CDRH1、CDRH2およびCDRH3領域の多様性を有する1つまたは複数のライブラリーが作製される。CDRH1およびCDRH2の多様性に関しては、以下のオリゴヌクレオチドが用いられる。F151(5’−GCA GCT TCT GGC TTC ACC ATT AVT RRT WMY KMT ATA CAC TGG GTG CGT CAG−3’;配列番号14)およびF152(5’−GCA GCT TCT GGC TTC ACC ATT AVT RRT WMY KGG ATA CAC TGG GTG CGT CAG−3’;配列番号15)をプール、H2には、オリゴヌクレオチド173(5’−AAG GGC CTG GAA TGG GTT GST DGG ATT DMT CCT NMT RRC GGT DMT ACT DAC TAT GCC GAT AGC GTC AAG GGC−3’;配列番号20)およびF174(5’−AAG GGC CTG GAA TGG GTT GST DHT ATT DMT CCT NMT RRC GGC DMT ACT DAC TAT GCC GAT AGC GTC AAG GGC−3’;配列番号21)をプールした。
【0223】
この実施形態では、CDRH3の多様性は様々な長さのH3領域、および主にコドンセットXYZとNNKまたはNNSを使って生成される。使われるオリゴヌクレオチドには、F66b、F66d、F66f、F66a、F66b、F66g、F66h、F66i、F66j、F171c、F171d、F171e、F171、F185、F186、F187、F190、F190a、F190b、F190c、F190dおよびF190eが含まれる。(図4cを参照。)ライブラリーは個々のオリゴヌクレオチドを使って形成し、プールすることができ、またはオリゴヌクレオチドをプールしてライブラリーのサブセットを形成することができる。この実施形態のライブラリーは、固体に結合した対象に対して選別することができる。複数の選別から単離されたクローンは、ELISA検定を使って特異性および親和性についてスクリーニングすることができる。特異性については、クローンは他の非対象抗原と同様に所望の対象抗原に対してスクリーニングすることができる。この所望の対象抗原に対するバインダーは、次に、実施例8に記載されている溶液結合競合ELISA検定法、または実施例9に記載されている点競合検定法で親和性に関してスクリーニングすることができる。対象抗原に対する高親和性結合体は、上で記載したように調製されたXYZコドンセットを用いてライブラリーから単離することができる。これらの結合体は、抗体または抗原結合断片として細胞培養により高収率で容易に生成することができる。
【0224】
いくつかの実施形態では、CDRH3領域の長さの多様性がより大きいライブラリーを生成することが望ましいかもしれない。例えば、約7から19個のアミノ酸までのCDRH3領域を有するライブラリーを生成することが望ましいかもしれない。この目的に役立つオリゴヌクレオチドの具体例を図43に示す。
【0225】
これらの実施形態のライブラリーから単離される高親和性結合体は、細菌および真核の細胞培養により高収率で容易に生成される。ベクターの設計により配列、例えばgDタグ、ウイルスコートタンパク質構成成分配列などの配列を容易に取り除き、かつ/または定常部配列に追加して完全長抗体または抗原結合断片が高収率で生産されるようにすることができる。
【0226】
CDRH3の突然変異を有するライブラリーは、他のCDR、例えばCDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1および/またはCDRH2の変異体版を含んでいるライブラリーと組み合わせることができる。このように、例えば、一実施形態では、CDRH3ライブラリーは、図3に記載したコドンセットを使って、変異体アミノ酸を位置28、29、30、31および/または32に持つヒト化4D5抗体配列に即して作製されたCDRL3ライブラリーと組み合わされる。これらの置換を形成する際に役立つオリゴヌクレオチドの例には、これらのコドンセットを取り込んだものが含まれる。他の実施形態では、CDRH3への突然変異を有するライブラリーを、変異体CDRH1および/またはCDRH2の重鎖可変ドメインを含んでいるライブラリーと組み合わせることができる。一実施形態では、CDRH1ライブラリーは図3に記載したコドンセットを使って、変異体アミノ酸を位置28、30、31、32および33に持つヒト化抗体4D5配列で作製される。これらの置換を形成する際に役立つオリゴヌクレオチドセットの例には、これらのコドンセットを取り込んだものが含まれる。CDRH2ライブラリーは図3に記載したコドンセットを使って、変異体アミノ酸を位置50、52、53、54、56および58に持つヒト化抗体4D5配列で作製することができる。これらの置換を形成する際に役立つオリゴヌクレオチドセットの例には、これらのコドンセットを取り込んだものが含まれる。
【0227】
コドンセットおよびCDRのいかなる組合せも、本明細書で記載されているアミノ酸位置選択基準に従って多様化することができる。様々なCDRの組合せにおける適当なコドンの例は、図5〜13で例示される。図5〜7は、示されているCDRおよびアミノ酸位置で使われるコドンセットの選択に従って作製されたライブラリーの設計多様性値の計算例も含む。
【0228】
以上本発明を一般的に説明したが、本発明は限定的なものではなく例示的なものとして提供されている以下の実施例を参考にするとより容易に理解されよう。
【実施例1】
【0229】
変異CDRを含む融合ポリペプチドをコードするベクターを以下のように構築した。
【0230】
pS1607に基づく抗体ファージディスプレイベクター
抗体ファージディスプレイのためのベクターを、pS1607ベクターを改変して構築した(Sidhu他、J.Mol.Biol.(2000)、296:487〜495頁)。pTacプロモーター配列とmalE分泌シグナル配列を有するpS1607ベクターは、gene−3マイナーコートタンパク質(p3)のC末端ドメインに融合したヒト成長ホルモンの配列を含んでいた。hGHをコードするこの配列を除去し、生成したベクター配列を、抗her2ヒト化抗体4D5の軽鎖および重鎖の可変ドメイン配列を次の形式でコードするDNA断片を含む本発明のベクターを構築するためのベクターバックボーンとして使用した。
【0231】
(i)一本鎖Fv(scFv)(配列番号23;図14)
(ii)ジッパードメインを備えた一本鎖Fv(scFvzip)(配列番号24;図15)
(iii)Fab断片(Fab)(配列番号25;図16)
(iv)ジッパードメインを備えたFab断片(Fabzip)(配列番号26。図17)
【0232】
上記ヒト化抗体4D5は、大部分がヒトのコンセンサス配列である重鎖および軽鎖のフレームワーク領域と、マウスHer−2特異的モノクローナル抗体由来のCDR領域を有する抗体である。上記抗Her−2抗体の作製方法および同定された可変ドメイン配列は、米国特許第5,821,337号および第6,054,297号に記載されている。上記の生成したベクター(図34A〜Dに図式的に示す)は、IPTG誘発Ptacプロモーター(図14〜図17に配列を示す)またはアルカリホスファターゼphoAプロモーター(米国特許第5,750,373号に記載)で制御された、ヒト化抗体4D5可変ドメインを含む。
【0233】
Fab−zip構築体の構築とファージディスプレイにおけるその機能の特徴づけ
あるベクター例の構築を、Fab−zipについて以下にかなり詳細に説明する。ジッパー領域を含めることで、ScFvおよびF(ab)の二量体の形成と提示が容易になり、それぞれscFvおよびF(ab’)を形成する。
【0234】
以下に記述し、また図34Bに示すように、Fab−zipベクターを構築した。
【0235】
方法と材料
抗Her2F(ab’)ベクターの構築:上記のように、バックボーンとしてpS1607を使用し、Ptacプロモーターの制御下で抗Her2ポリペプチドをコードする配列を含むファージミド構築体を生成した。まずmalE分泌シグナル配列を軽鎖(LC)のN末端配列に融合し、細菌細胞のペリプラズムへLCの合成を指令するようにした。gDタグをLCのC末端に加えた。LCの終止コドンに続き、別のリボソーム結合部位とSTIIシグナル配列を重鎖(HC)のN末端配列に融合し、M13ファージのマイナーコートタンパク質であるpIIIのC末端ドメインが後に続いた。
【0236】
ファージ上に提示されるF(ab’)を生成するため、二量体化が可能なロイシンジッパーGCN4の配列を使用した。カセット変異法を行い、まず全長IgG1抗体由来のヒンジ配列(TCPPCPAPELLG(配列番号27))を、続いてGCN4配列(GRMKQLEDKVEELLSKNYHLENEVARLKKLVGERG(配列番号3))を、HCとpIIIの間に挿入した。このGCN4ロイシンジッパーは、2組のLC/HC−pIII融合ポリペプチドを大腸菌ペリプラズム内で組み合わせると予想され、それによりヒンジ領域のジスルフィド結合が形成され、大腸菌ペリプラズムから抜け出る前後の二量体形成を確実にする。
【0237】
図34Bに図式的に示したベクターの2つの型を作製した。1つはGCN4ジッパー配列の後にアンバー終止コドン(TAG)があり、もう1つはそれがないものであった。これら2つの構築体は、図18に示す二価提示するファージの一方または両方を、理論上は産生するであろう。上記のアンバーなしの構築体は、(C)型だけを産生するであろう。(C)型は、ファージ上に5コピーあるpIIIのうち2コピーを、ヒンジ部ジスルフィド結合とGCN4ジッパーの両方で安定化された融合ポリペプチドとして有している。上記のアンバーを有する構築体は、XL−1菌株でのアンバー終止コドンの抑止効率に依存し、ファージの(B)型か(C)型のどちらかを産生可能なはずである。
【0238】
ファージ上でのF(ab’)の形成:ファージ上でのF(ab’)の形成、すなわちF(ab’)の二価提示を実証するため、二価提示の予想される機能を測定した。ファージのリガンド改変固相への結合は、支持固相上のリガンドが二価結合を可能にするに十分な高密度であれば、二価提示のアビディティー効果により、解離速度すなわちファージが固相から解離する速度の著しい低下を示すはずである。二価の相互作用がプレートから解離するには、ファージが離れるよう両方の相互作用が同時に断たれなければならず、このことが起きる頻度はかなり低いと予想される。
【0239】
提示ファージを産生するため、最初にF(ab)またはジッパー結合したF(ab’)ファージ、次にVCSヘルパーファージ(Strategene社、San Diego、CA)を感染させた大腸菌株XL−1ブルー(Strategene社、San Diego、CA)を、2YT培養液にて37℃で20時間培養し、既報(Sidhu他、Methods Enzymol.(2000)、328:333〜363頁)に従いファージを収集した。簡単に説明すると、ポリエチレングリコールを加えた培地でまず一晩沈殿させてファージを精製し、PBSに再懸濁した。分光光度計の268nmでの読み取り値でファージを定量した(1OD=1.13×1013/ml)。まず、ファージELISA結合バッファー(0.5%BSAと0.05%Tween20を含むPBS)でファージを滴定してファージELISA(Sidhu他、上記)を行い、HRP標識(コンジュゲート)抗M13抗体とその後に加えたペルオキシターゼ基質、H202および波長450nmで読み取り可能なTMB(Kirkgaad社)により、96ウェルプレートにコートしたリガンド(Her−2細胞外ドメイン、Her−2ECD)へのファージの結合度を定量した。プレートは2μg/mlのHer−2ECDを含むPBSで、室温で2時間もしくは4℃で一晩コートしたが、これは二価結合を可能にするに十分である。ファージ希釈液をウェルに加える前に、プレートを0.5%BSAそして0.2%Tween20で1時間ブロックした。
【0240】
解離速度プレート結合実験または溶液結合競合ELISAのため、コートされたプレートへの最大結合度の約90%を与えたF(ab)またはジッパー結合したF(ab’)のファージ濃度を使用した。アビディティーの役割が比較的低い場合に、F(ab’)ファージがまだ同程度の結合親和性を維持していることを示すため、溶液中の濃度を段階的に増加させたHer−2ECD(0.1nMから500nM)と共に、F(ab)またはジッパー結合したF(ab’)ファージを37℃で5時間インキュベートし、競合ELISAを行った。結合しなかったファージは、HER−2ECDでコートしたプレートに短時間(15分間)捕獲させ、HRP−抗M13コンジュゲートを用い測定した。F(ab)ファージを50%阻害するHer−2ECD濃度であるIC50は親和性を表す(図19参照)。
【0241】
解離速度実験のために、Her−2ECDでコートしたウェルにF(ab)またはジッパー結合したF(ab’)ファージをまず結合させ、次いで洗浄し過剰なファージを除去した。段階希釈したHer−2ECD(0.1nMから500nM)をウェルに加え、37℃で5時間インキュベートした。その間ファージはプレートから解離することが可能であり、またその再結合は溶液中の上記Her−2ECDにより阻害された。次に、HRP−抗13コンジュゲートを用い、プレート上にまだ残存しているファージを定量した。Her−2ECDのある特定の濃度でのODをHer−2ECD不在時のODで割ることにより残存ファージの相対量を計算し、図20に百分率で示した。
【0242】
F(ab’)ファージの二価性を実証する別の方法は、二価でないものと比較して、リガンドでコートされた支持固相への結合が標準ファージELISA法で検出可能となるために必要なファージ量の違いを示すことであった。低親和性結合体の検知可能性についても調べた。F(ab)およびジッパー結合したF(ab’)両方の形式で、Kunkel(Kunkle他、1985)の部位特異的変異誘発法により重鎖中のアルギニン50をアラニンに変化させた(R50A)ヒト化抗体4D5変異体を生成した。段階希釈したファージに対してHer−2ECDをコートしたプレートへの結合シグナルを調べる標準的ファージELISAを行った(図21および図22)。gDタグへ結合する抗体への結合度から判断して、この2つの形式では変異体の提示レベルは同等であった。
【0243】
結果
結合特性:ジッパー結合したF(ab’)を提示しているファージの溶液中の親和性(1nM)は、F(ab)ファージと本質的に違いがない(図19)。これは、ヒンジとGCN4ジッパーをHCのC末端に挿入したことは、このファージの結合能力に変動を与えなかったことを意味する。しかし、プレート結合実験における一価のF(ab)ファージとの大きく異なる挙動により、ジッパー結合したこの二価F(ab’)のアビディティー効果は明白に実証された(図20および図21)。図20において、ロイシンジッパー後にアンバー終止コドンがある構築体とない構築体のどちらによるジッパー結合したF(ab’)も、リガンドがコートされたプレートからの解離速度がF(ab)ファージよりもはるかに低い。図21において、同レベルの結合シグナルを与えるためには、ファージ濃度に一貫して40〜50倍の違いがあることがわかった。二価のF(ab’)を提示しているファージを用いて、40〜50倍低いファージ濃度で低親和性R50A(650nM)結合体の結合を検出し捕獲することが可能である(図22)。この違いは例えばF(ab)対M(ab)など一価と二価の相互作用を比較するとき一般に見られる。
【0244】
pS0643ベクターに基づくファージディスプレイベクター
抗Her2FabおよびF(ab’)ファージミドの構築:pS0643ファージミドベクター(phGHam−g3としても知られる、例えば米国特許第5,688,666号)は、pBR322およびf1複製起点、アンピシリン耐性遺伝子、大腸菌アルカリホスファターゼ(phoA)プロモーター(Bass他、(1990)Proteins 8:309〜314頁)、そして、ヒト成長ホルモン(hGH)の第1〜第191残基に融合したstII分泌シグナル配列をコードする配列、およびM13ファージ(以下cP3)のタンパク質IIIのC末端の第267〜421残基をコードする配列を含む。このpS0643ファージミドは、hGHの第191残基の後にXbaI部位とアンバー終止コドンも含んでいる。上記stII分泌シグナル配列は、タンパク質を細菌細胞のペリプラズムへ運ぶ出すことが可能である(例えば抗体の軽鎖領域(LC))。上記ヒト成長ホルモン(hGH)をコードする配列をpS0643ベクターから除去し、フレーム内で上記stII分泌シグナルと連結するヒト化抗Her2Fab断片(「h4D5」配列)をコードするNsiI/XbaI核酸断片(humAb4D5−8、配列についてはCarter他、(1992)PNAS 89:4285〜4289頁、同文献中の表1および図1、または米国特許第5,821,337号を参照)で置換した。
【0245】
上記h4D5抗体は既報のように開発されたヒト化抗体で、Her−2(erbB2)として知られる癌関連抗原を特異的に認識する。humAb4D5 8型(「humAb4D5−8」)の配列と、PCR生成物に5’NsiI部位と3’XbaI部位を与えるよう操作作製したプライマーとを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応でh4d5を作製した(Carter他、(1992)PNAS 89:4285〜4289頁)。PCR生成物をNsiIとXbaIを用いて切断し、上記pS0643ファージミドベクター内に連結した。
【0246】
ヒト化4D5(8型)を含むpS0643プラスミドをさらに改変した。LCの第30、第66および第91残基を部位特異的変異誘発法で変異させた。具体的には、第30残基はアスパラギンからセリンへ、第66残基はアルギニンからグリシンへ、そして第91残基はヒスチジンからセリンへ変化させた。これらの変化は、Fabの発現すなわちファージ上への提示を増加させライブラリーの実績を向上させるためと、フレームワーク(第66残基)をヒトのコンセンサスフレームワークに戻すために行った。最後に、重鎖C末端から上記アンバー終止コドンおよびXbaI部位を除去した。
【0247】
1型単純ヘルペスウイルス糖タンパク質Dエピトープタグ(gDタグ)を、部位特異的変異誘発法を用いてフレーム内のLCのC末端に加えた。LCの下流の終止コドンの後で、リボソーム結合部位と、STIIシグナル配列をコードする核酸分子を、HC配列のN末端にライゲーションした。この結果HC配列は、M13ファージのマイナーコートタンパク質であるp3(cP3)のC末端ドメインを含み、フレーム内である。以上のように、ファージ上に提示されるFabを1つの構築体から産生することができる。FabファージミドベクターをpV0350−2bと呼ぶ。このベクターの配列を配列番号28として図37に示す。
【0248】
ファージ上に提示されるF(ab’)を生成するため、上記PV0350−2bベクターをさらに改変し、二量体化が可能なロイシンジッパーGCN4の配列(GRMKQLEDKVEELLSKNYHLENEVARLKKLVGERG)(配列番号3)を上記HCとcP3の間にカセット変異法により挿入した。このGCN4ロイシンジッパーは、2組のLC/HC−cP3融合ポリペプチドを大腸菌ペリプラズム内で組み合わせ、その二量体をファージ表面上に提示する。このF(ab’)ファージミドベクターをpV0350−4と呼ぶ。このベクターの配列を配列番号29として図38に示す。
【0249】
ps1607とps0643のどちらに基づいたベクターも、ウイルス性P3配列、ロイシンジッパー、およびgDタグを除去することを考慮し、制限酵素部位を含めて設計されている。そして、Fab断片または抗体全長として可変領域ドメインを発現することを考慮して、重鎖と軽鎖の可変領域を定常領域の配列と組み合わせることができる。定常領域配列の情報源は分野で知られている。
【実施例2】
【0250】
二量体化ドメインの改変
一連の変異を二量体化ドメインに施した。二量体化ドメインには、例えば実施例1に記したように、Fab−zipなどの構築のためのヒンジ領域およびGCN4ロイシンジッパーが含まれる。F(ab’)またはScFVの提示に、ジスルフィド結合とジッパー領域の両方が重要であるかどうかを判定するため、変異を二量体化ドメインに施した。
【0251】
一連の変異(図39)を二量体化ドメインすなわちヒンジ領域およびGCN4ロイシンジッパーに施し、それらのアビディティーへの影響を調べた(図40)。アルカリホスファターゼ(phoA)プロモーターを備えたファージミドベクターphGHam.g3を既報のように使用したが、それはPtacプロモーターを備えたベクターと比較して、細菌細胞への毒性が低いためと、ファージ収量を増加させるためである(C.V.Lee、未公表観察結果)。まずすべての構築体の溶液中結合を調べ、構築体の改変がFabのフォールディングと機能を損なっていないことを確かめた。すべての変異体のIC50は、室温で測定して0.05nM〜0.07nMであり、これはh4D5のKd(0.1nM)とよく一致した。
【0252】
Fab’−zipファージのヒンジ領域およびロイシンジッパーの二価性としての機能を調べるため、変異を設計した。構築体には以下のような構築体がある。1)ヒンジ領域およびロイシンジッパーを有するもの、Fab’−zip、2)ヒンジ領域のシステインを2つともアラニンに変異させたもの(Fab’(C→A)−zip)、3)ヒンジ領域をすべて除去したもの、Fab−zip、4)最初のシステインを残してヒンジを除去しもの(Fab−C−zip)、または5)システインを1つ残してヒンジおよびジッパーの両方を除去したもの(Fab−C)。以上すべての構築体について、cP3(ウイルスコートタンパク質p3のC末端領域)の前にアンバー終止コドンのあるものとないものを作製した。終止コドンの有無により、2つのFab間の鎖間共有結合に対するアビディティーの依存性を調べることが可能となるからである。アビディティー検定を実施例1に記したように行った。アビディティー指数は、各構築体の機能しているアビディティーの測定値を表し、500nMのerbB2を追い固定化抗原に結合したファージ百分率と定義する。高アビディティーはファージ1個につき2コピーのFabを提示していることが機能している結果である。
【0253】
アンバー終止コドンなしでは、すべての構築体はFabファージよりも著しく高いアビディティーでFabを提示する(図40)。この結果は、ファージコート上に2コピーのcP3融合体を取り入れる確率は、以下のものが存在するとき増加することを示している。ヒンジおよびジッパー(Fab’−zip)、システインのないヒンジ、およびジッパー(Fab’(C→A)−zip)、ジッパーのみ(Fab−zip)、システイン1つおよびジッパー(Fab−C−zip)、またはFabとcP3の間にただ1つのシステイン(Fab−C)。Fab’もしくはFab融合体が2つともcP3に共有結合していると(アンバー終止コドンなし)、二価提示するために上記ヒンジ部ジスルフィド結合によるさらなる共有結合は必要ない。しかし、Fab’(C→A)−zipやFab−zip(終止コドンなし)などシステイン残基を欠く構築体は、Fabファージより著しく高いアビディティーを実際有しているにもかかわらず、Fab’−zipや、リンカー部にジスルフィド結合を有する他の構築体と比較して、アビディティーの減少を示すことから、鎖間共有結合が1つ存在すると、ファージ1個につき2コピーの融合体を組み込む頻度は実際増加するようである。
【0254】
アンバー終止コドンがcP3の前に存在すると、大部分のタンパク質はペリプラズムに発現され、ロイシンジッパーおよび/またはジスルフィド結合を介してcP3融合タンパク質と結合した。アンバー抑止因子株であるXL−1ブルーにおいて、アンバー終止コドンの読み過ごしは約10%の頻度で起こるためである。二量体は図18に示されているように1体のcP3を介してファージに結合し、二価性は鎖間共有結合を1つ形成することにより形成されるものと予想する。なぜなら、細菌培地へしみ出るファージの濃度はナノモル以下の範囲であり、したがってロイシンジッパー相互作用の結合エネルギーは、37℃で一晩の間二量体を維持するには十分ではないだろうからである。実際のところ、ヒンジにジスルフィド結合を有していないか(Fab’(C→A)−zip)ヒンジが除去された(Fab−zip)構築体は、アンバー終止コドンが存在すると二価性依存のアビディティーを失うことが観察された。FabとcP3の間にジスルフィド結合を複数持つ構築体は、アンバー終止コドンが存在しても二価性の高アビディティーを維持した。
【0255】
例外はFab−Cである。FabとcP3の間にただ1つのシステインしかないFab−Cが、ヒンジ部すべてとロイシンジッパーを備えた元のFab’−zipファージと比較して、より高いことはないにしても大変高いアビディティーを示したことは、驚くべきことであった。この結果は、cP3融合体としてのFab−Cは、別のcP3融合体と結合しファージコートに二量体として組み込まれる確率が高いことを示唆している。しかし、Fab−C構築体のシステインとcP3の間にアンバー終止コドンが存在すると、アビディティーはFabファージのレベルにまで低下した。これは大部分のタンパク質は遊離Fab−Cとして発現され、ペリプラズム内の遊離Fab−CがFab−C−cP3融合体と二量体を形成する確率は大変低くなるようだからである。
【0256】
二価提示のための最小要素は、ロイシンジッパーのみ(Fab−zip)またはジスルフィド結合が1つ(Fab−C)のどちらかである。Fab−CとFab−zipを比較した結果は、ある状況ではこのジスルフィド結合はロイシンジッパーのみよりもアビディティーを増加させるために効果的であることを示している。
【0257】
ウェスタンブロット解析
以上の構築体が共有結合した二量体として提示されたかを調べるため、ウェスタンブロットを用いた。Fab、Fab’−zip、Fab’(C→A)−zip、Fab−zip、Fab−C−zipまたはFab−Cのファージ構築体を、アンバー終止コドンがあるものとないもので解析した。ファージ試料(3×1011)を変性し、SDS−PAGEを行い、PVDFフィルターに転写し、次いで軽鎖C末端に融合したgDタグを認識する抗体(図41AおよびC)またはファージコートタンパク質P3に対する抗体(Mobi−Tech社)(図41BおよびD)を用いてプローブした。
【0258】
還元条件下(+DTT)では、軽鎖と重鎖融合体を結合するジスルフィド結合は還元され、抗gDブロット(図41C)は見かけ上の分子量(MW)が約25kDaの一本のバンドを示したが、これは軽鎖とgDタグの計算された分子量(26kDa)とよく一致した。抗P3でブロットしたときは、還元条件でヘルパーファージと重鎖−cP3(構築体によりMW43〜45kDa)融合体が供給された全長P3(MW48kDa)を予想した。図41Dの結果は、K07単体(データ略)との比較に基づくと、P3を表す60kDaの主バンドと、それより低い上記融合体を表す50〜52kDaのバンドを示した。つまり、予想された主な2種について計算されたMWよりも両方とも大きかった。しかし、P3はSDS−PAGE条件下で異常に高いMWを示すことが知られている(Gray他、1981、J.Mol.Biol.146:621〜627頁;Crissman、1984、Virology 132:445〜455頁)。さらに、50〜52kDaバンドの相対位置は、種々の挿入を伴った各構築体の予想される重鎖−cP3融合体のMWと関連しているようである。興味深いことであるが、抗P3を用いブロットした非還元ゲルで同じ50〜52kDaのバンドを観察した(図41B)。これは、重鎖−cP3融合タンパク質で、その軽鎖に共有結合していないものが一部あることを示唆している。共有結合していない軽鎖(25kDa)も抗gD抗体を用いブロットした非還元ゲルで観察した(図41A参照)。還元ゲルでの抗P3ブロットにおける50〜52kDaのバンドと抗gDブロットにおける軽鎖のバンドの強度は、各構築体についてのFab融合体の提示レベルを示している。
【0259】
アンバー抑止因子株ではアンバー終止コドンの読み過ごしは稀であるから、アンバー終止コドンを加えると、予想されるように一般にすべての構築体で提示が減少した。Fab’−zipのように二量体化ドメイン(ヒンジとジッパー)をすべて挿入すると提示が減少するが、その原因はヒンジ領域の2つのジスルフィド結合にあるようである。なぜならFab’(C→A)−zipのようにシステインを変異させるか、またはヒンジをすべて除去(Fab−zip)すると、大部分の提示がFabファージのレベルまで増加したからである。Fab−C−zipやFab−C構築体のように、二量体化ドメインにシステインがただ1つ存在することは十分許容され、提示もよくするようである。以上の結果は、ジスルフィド結合の数を1または0に減少させると、融合タンパク質の発現が増加したことを示す。
【0260】
非還元条件(−DTT)では、鎖間ジスルフィド結合は保存され、各構築体により異なったバンドのパターンが観察された(図41AおよびB)。ファージ調製物のウェスタンブロットでよくあるように(Gray、1981、上記;Crissman、1984、上記)、タンパク質分解が原因で複数のバンドを観察する可能性はある。しかし、各レーンで最もMWが高い主バンドを比較すれば、これらの構築体の上記の異なった生成物は、分解されていない上記cP3融合体であることが示されるはずである。Fabファージは抗gDと抗P3のどちらの抗体でも検出された見かけ上のMWが95kDaのバンドを与えたが、これはFab−cP3融合体の計算されたMWの75kDaとよく一致する。ここでもまたP3融合タンパク質は、SDS−PAGEシステム上での移動に影響を与えているようである。対してFab’−zipファージ(アンバー終止なし)は、見かけ上のMWが約180kDaと約200kDaの一組のバンドを含んでいたが、これは二量体のFab’−zip−cP3融合体の計算されたMW(155kDa)とほぼ一致する。興味深いことであるが、アンバー終止コドンありの同構築体は、180kDaのバンドのみを示した。これは予想された二量体が、図18に示されている一価提示している二量体複合体として、1つのcP3に融合したものを表している可能性がある。いずれにしても、アンバー終止コドンの存在にかかわらず共有結合した二量体は形成される。これは、ファージコートとの共有結合の有無とは独立に、ペリプラズム内でロイシンジッパーが二量体の形成を促進し、また機能面で、この組の構築体ではアビディティーが認められたことから、予想されることである。より低いMWのバンドもいくつか見られたが、これらはタンパク質分解が原因か、あるいはジスルフィド結合した型でありうる。98kDaの位置に強いバンドがあり、Fab−cP3よりは若干高く移動したが、Fab’(C→A)−zip構築体の強いバンドとは同じ移動度であり、これはFab’−zip−cP3融合体の単量体であろう。予想されるように、これは抗gDと抗P3で染色される。このように、Fab’−zip融合体の発現はFabに比べて減少し、またジスルフィド結合を形成しなかったかなりの割合の融合タンパク質が存在する。
【0261】
Fab’(C→A)−zipおよびFab−zipについては、Fab−cP3より若干高く、98kDaもしくは97kDaにそれぞれ移動した1本の強いバンドが観察された。これらのバンドは、2つのFab領域がジスルフィド結合で共有結合される可能性はないため、アンバー終止があるかまたはない構築体の予想された生成物である。ジスルフィド結合を欠くため、Fab’(C→A)−zipおよびFab−zipファージ上の二量体化したFabの存在は、SDS−PAGEゲルで観察され得ない。しかし、機能しているアビディティーにより、2コピーの融合体を含むファージの割合は、ロイシンジッパーが存在するためFabファージより高いことが示唆されている。
【0262】
Fab−C−zipおよびFab−C構築体は1つの鎖間ジスルフィド結合を含み、MW180〜200のバンドで表されるように、ヒンジ連結部に2つのジスルフィド結合を持つFab’−zipよりも、共有結合した二量体を多く発現する。この共有結合した二量体の増加は、97kDaと95kDaのバンドで示される単量体を含む融合体全体の発現の増加と相関関係がある。興味深いことであるが、二量体の割合はFab−C−zipの方がFab−Cより高い。これは、ロイシンジッパーは必要とはされてはいないが、融合体の結合と鎖間ジスルフィド結合の形成を実際に促進させることを示唆している。しかし、Fab−C−cP3融合体の正味の発現量は、Fab−C−zip構築体よりも若干大きい。
【0263】
以上のようにウェスタンブロットは、Fab’−zip、Fab−C−zip、およびFab−Cファージ上に提示された二価部分の存在を示唆し、これはアビディティー検定で機能面について観察されることを反映している。Fab’(C→A)−zipやFab−zipのようにSDS−PAGEでその二量体を観察できない構築体については、その二価性を実証するためには上記アビディティー検定に依存する。このアビディティー検定は、ファージ粒子1つにつき2コピーのFabを提示している結果を示す。これは、すべての構築体は同じ溶液中の結合親和性を示し、またアビディティーは提示レベルにより影響されないからである。Fab’−zipの正味の発現は、二量体化ドメインを最小化することにより著しく向上させることができる。二量体の異なる程度の提示とこれら種々の構築体のアビディティーは、異なる程度の提示とアビディティーを必要とするかもしれない応用への有効な手段を提供する可能性がある。
【実施例3】
【0264】
特定対象抗原への高親和性結合体を単離および単離のためスクリーニングするために、抗体可変ドメインライブラリーを生成した。重鎖および/またはL鎖可変ドメインのCDR領域に、抗体可変ドメインの多様性を好ましく生成した。重鎖CDR領域での多様性の生成を以下に記す。CDR領域に多様性を生成するために、単独の鋳型分子をバックボーンとして使用することが好ましい。なぜならその単独の鋳型は、提示およびフォールディングを向上させるために改変でき、また種々の大きさのH3領域を収容することが可能だからである。
【0265】
ライブラリー設計:H1、H2
抗体可変ドメインライブラリーを、抗体可変ドメイン構造の変動を最小にしつつ重鎖CDR領域の多様性を最大化するよう設計した。抗体可変ドメイン構造の変動は、例えば、細菌細胞内で産生したとき、一般に不適切にフォールドした抗体ドメインと関係し、低収量および不安定な生成物の原因となる。低収量はスクリーニングで検出される結合体の数を減少させる。不適切にフォールドし不安定な抗体構造はまた、培養細胞で抗体がFab断片または抗体全長として産生されたときの、低収量と低親和性の原因となり得る。培養細胞で適切にフォールドした抗体を高収量で産生することは、特に治療上有益な抗体の場合、望ましいことである。
【0266】
鋳型分子のCDRH1およびH2の各CDRにおいて、溶媒に露出し非常に多様な位置を同定することにより、また、少なくとも1つのCDR領域における非常に多様な位置の、少なくとも1つの溶媒露出残基位置に対応するアミノ酸位置の変異アミノ酸をコードする、少なくとも1つの調整した(すなわちランダムでない)コドンセットを含むオリゴヌクレオチドを設計することにより、CDR領域の多様性を生成した。調整したコドンセットとは、既知の自然抗体の溶媒露出残基に対応する位置で最もよく発生するアミノ酸を優先的にコードする、縮重した核酸配列である。
【0267】
抗体可変ドメイン鋳型分子のCDRにおける溶媒露出残基を、鋳型分子の結晶構造を解析することにより同定した。ヒト化抗体4D5は、細菌培養細胞を含む種々の宿主細胞で産生させると、効率よく産生されまた適切に折り畳まれる。ヒト化抗体4D5可変領域の結晶構造は既知であり、www/rcsb/orgで公に利用できる(アクセスコードIFVC)。
【0268】
軽鎖のCDRおよび重鎖のCDRH1とCDRH2における溶媒露出位置は、InsightIIプログラム(Accelrys、San Diego、CA)を使用し同定した。
【0269】
CDRにおいてどの位置の非常に多様かを判定するためにも、CDR残基を解析した。Kabatデータベースにある既知の天然抗体の配列を調べることにより、重鎖のCDR領域において非常に多様な位置を同定した。Kabatデータベースはimmuno/bme/nwe/eduで利用できる。Kabatデータベースには約1540個のヒト軽鎖の配列と3600個のヒト重鎖の配列があった。Kabatによる説明(immuno/bme/nwe/eduを参照)に従い、CDR部位を整列し番号付けした。各CDR残基について、最も頻繁に使用されているものからあまり使用されていないものまでアミノ酸の使用度を並べて順位付けすることにより、非常に多様なアミノ酸位置を同定した。例えば、H1−30(すなわち重鎖CDR1の第30残基)は、Kabatデータベースの3617抗体配列のうち2451配列でS(セリン)と判明した。これはこの位置で最も頻繁に見出されるアミノ酸である。頻度リストで次に来るのはスレオニン(655配列に発生)、次いでアスパラギン(154配列)、アルギニン(70配列)、グリシン(67配列)、そして残りの128配列では上記以外のアミノ酸の1つある。多様な部位の事例を、対応するアミノ酸の多様性リストと共に図2に(重鎖について)示す。
【0270】
ある特定の位置に見出されるいくつかのアミノ酸で、それらが全体として既知の自然抗体配列において最も頻繁に発生するアミノ酸を構成するものを、ライブラリー設計の基盤として選択する。最も頻繁に発生するアミノ酸とは、その位置でのアミノ酸多様性リストの上位90%に入る、最もよく見出されるアミノ酸とした(このアミノ酸群を本明細書では「対象アミノ酸群」と呼ぶ)。しかし本明細書に記すように、ある対象アミノ酸群を選ぶ基準の上記割合は変更可能であり、それは上に述べたように、完成したい多様性ライブラリーの状況と目的に依存する。
【0271】
ヒト化抗体4D5について、溶媒に露出し非常に多様と同定された位置は、
重鎖
CDR1 28、30、31、32
CDR2 50、52、53、54、56、58
であった。
自然(すなわち既知の自然抗体配列での)多様性において高頻度で発生するアミノ酸(図3において「対象グループ」または「自然多様性」と呼ぶ)と、それらの各位置でのDNAコドンによる設計アミノ酸多様性(「多様性<DNAコドン>」)の例を、図3に示す。
【0272】
ある特定のグループのアミノ酸をコードするコドンセットは、既知の自然配列における少なくともある一定の割合(図3において「再現残基率」と呼ぶ)のアミノ酸を含むように設計した。あるコドンセットがコードするアミノ酸のうち、少なくとも約40%のアミノ酸が、溶媒に露出し非常に多様なある特定の位置について同定された対象アミノ酸であり(図3において「良残基率」と呼び、また、あるコドンセットがコードするアミノ酸でそれが対象アミノ酸であるものを、図3第3列に太字で示す)、より好ましくは40%から100%までのいずれかの値であり、さらに好ましくは70%である。しかし、本明細書に記すように、この良残基率値は状況と目的に依存し変更可能である。コドンセットは、ある特定の位置で最も高い発生度のアミノ酸を優先的にコードするように選択した。ある特定の位置でコドンセットがコードする非対象アミノ酸数は最小化した。コドンセットの選択/設計の効率は、部分的には「良残基率」値に基づいて評価した。高割合は大変低い非対象アミノ酸を意味した。ある特定のコドンセットがコードするアミノ酸について、より数多くの対象アミノ酸を含んでいることよりも、「良残基率」が高い値であることをより重要であるとみなした。「良残基率」値の計算には重複度も取り入れた。評価のために、「再現残基率」値も計算した。この値は、ある特定のコドンセットがコードする「良い」すなわち対象アミノ酸が再現する自然多様性の割合を表す。例えばH−30については、コドンセット<RMV>を使用すると、「良い」アミノ酸はSTNRDGであり、これはこのコドンセットがコードするアミノ酸の73%(良残基率)である。STNRDGは、このアミノ酸位置で既知の自然抗体3617配列中3489配列を再現するアミノ酸である。3489/3617は96%であり、これが「再現残基率」値である。このようにH−30で<RMV>を使用する設計では、ライブラリーの73%が、CDRH1の30番目位置での自然多様性の96%を再現する。
【0273】
可能ならば、システインおよび終止コドンを排除するようにも、コドンセットを設計した。システイン残基の存在はフォールディング問題の原因となりやすく、また終止コドンは実効ライブラリーの大きさを減少させる可能性がある。コドンセットの設計においては、非対象アミノ酸数を最小化することも望ましいとみなした。
【0274】
ヒト化抗体4D5において、溶媒に露出し多様性の高い各残基のために設計したコドンセットを図3に示す。どの特定の残基でも、同定された対象アミノ酸に依り、1つまたは複数のコドンセットを使用してもよい。例えば、1つはH1−33残基が<KMT>であり、もう1つはH1−33残基が<KGG>である2つのH1オリゴヌクレオチドを組み合わせることにより、H1−33のために使用される100%のコドンが、H1−位置33での自然多様性の86%(50%+36%)を再現することになる。2つのコドンセットを有益に使用することができる他の例には、H2−50での<DGG>および<DHT>コドンの使用がある。
【0275】
CDRH1およびCDRH2を含む1つまたは複数のCDR領域に多様性を備えた多様なライブラリーを生成するため、種々のコドンセットを使用してもよい。例えば、図5〜図13および図24に、多様性を生成するために使用可能なコドンセット設計の種々の具体的な例を示す。図3Aおよび3Bには、これらの設計におけるアミノ酸の再現状況をまとめて示す。一般に、自然多様性をより多く再現し、また「非対象」アミノ酸を可能な限り排除するよう多様性の幅を狭める設計をすることが、必要ではないが、好ましい。
【0276】
ライブラリー設計:H3
他のCDRと比較して、重鎖CDR3(H3)領域は、配列と長さにおいて最も大きい多様性を示す。もっとも、配列の多様性は完全にはランダムではない。(すなわち、ある特定のアミノ酸位置において、あるアミノ酸は他のアミノ酸よりもより頻繁に発生することがわかった。)配列と配列の長さにおけるこの多様性のため、H3領域に多様性を準備する方策を考案することは困難である。単独の抗体鋳型分子を使用することにより、異なった長さのH3を含む方策が可能になる。ライブラリーを最初に設計するときに、種々の長さのH3領域を収容するように鋳型を選択し設計できるからである。鋳型は、フォールディングおよび安定性に関して良好な構造特性を維持しつつ、異なった長さのH3領域を収容するよう選択する。H3領域の多様性は、好ましくは自然多様性を模倣するように調整するが、対象抗原の種々の異なったエピトープに結合する抗体を開発するため、または独特のH3配列を有するより多くの結合体を単離するため、異なったコドンセットを用いた異なったライブラリーを使用してもよい。
【0277】
H3の各位置でのアミノ酸の傾向を評価する予備解析として、ヒト化抗体4D5のH3領域の第95〜第100a残基について、<NNK>コドンセットを使用して多様なH3を備えたライブラリーを生成した。この<NNK>コドンセットは20アミノ酸すべてと終止コドンをコードする。このライブラリーをFabファージディスプレイ形式で生成し、ファージ上に機能的に提示された400クローンを同定し配列決定した。<NNK>ライブラリーのH3領域に見出されるアミノ酸配列を、Kabatデータベースに見出される配列と比較した。これらのアミノ酸の比較を図23に示す。<NNK>ライブラリーとKabatデータベースのアミノ酸配列を解析したところ、このライブラリー配列とKabatの配列間で、アミノ酸使用状況についてよく一致すると判定した。興味深いことであるが、既知の天然配列より、<NNK>ライブラリーにはアリファティックな/疎水性のアミノ酸が多いようであった。図23を参照のこと。
【0278】
H3の多様性を、<DVK>および<XYZ>コドンセットを使用することによっても判定した。上記のように、<DVK>もしくは<XYZ>を用いてランダム化したH3領域の各アミノ酸のアミノ酸頻度を同定し、Kabatデータベースの天然抗体のアミノ酸頻度と比較した。その結果を図42に示す。この結果は、<DVK>および<XYZ>ライブラリーのどちらも、天然抗体と基本的によく一致したアミノ酸使用状況であったことを示している。<DVK>ライブラリーは実際に、チロシン、ロイシン、バリン、およびイソロイシンの使用減少を示した。<XYZ>ライブラリーもまたチロシンについてより低い使用度を示した。
【0279】
コドンセットを3つの斜体大文字で同定する(例えば<DVT>、<NNK>、<NVT>など)。この文字は一般的なコドン表記と以下のように関係する。Rは50%A/50%G、Mは50%A/50%C、Kは50%G/50%T、Sは50%G/50%C、Wは50%A/50%T、Hは33%A/33%T/33%C、Bは33%G/33%T/33%C、Vは33%G/33%A/33%C、Dは33%G/33%A/33%T、Nはどの核酸でもよい、Xは38%G/19%A/26%T/17%C、Yは31%G/34%A/17%T/18%C、そしてZは24%G/76%Cである。
【0280】
次に、自然多様性と比較してH3において同様なアミノ酸使用状況を生じたコドンセットを、多様化H3を含むライブラリーの設計のために使用した。これらのコドンセットには<NNK>、<NNS>、<NVT>、<DVK>および<XYZ>が含まれる。ある実施形態では、<NNK>または<NNS>など、ある位置で20アミノ酸すべてをコードするコドンセットを図4に示すように利用した。
【0281】
上記コドンセットの1つは<DVK>であった。<DVK>はACDEGKNRSYWと終止コドンをコードする。既知の自然抗体配列に頻繁に発生しないアミノ酸、例えばLPHQFIMVなどは除外した。<DVK>を利用し種々の長さのH3領域をコードするオリゴヌクレオチドを図4に示す。ある実施形態では、F59、F63、F64、F65、F66およびF78を含む一群のオリゴヌクレオチドをプールしたものを利用し、H3に多様性を備えた分子のライブラリーを形成した。
【0282】
使用した別のコドンセットは<NVT>であった。<NVT>はACDNGHPRSTYをコードし、W(トリプトファン)と終止コドンを除外する。トリプトファンはファージディスプレイで多く現れ、大部分を占める傾向がある。終止コドンはライブラリーの多様性を減少させ得る。ある実施例では、アミノ酸残基全体にわたりWを動かすことによりWを<NVT>の設計にドープした。オリゴヌクレオチドのH3領域をコードする、F134、F136、FF137、F138、F142、F155、F156、F157、F158、F160、およびF160gを含むオリゴヌクレオチドを利用し、H3に多様性を備えた分子のライブラリーを形成した。
【0283】
別の実施形態では、図4および図43に表すオリゴヌクレオチドで示すように、コドンセット<XYZ>を使用した。このコドンセット<XYZ>は20個アミノ酸すべてをコードする。
【0284】
H3においてどの残基を多様化するかということに関して、H3のC末端はそれほど多様化しなくてよいと判定した。ある実施形態ではH3のC末端は一定に保たれた。KabatデータベースにはH3のC末端として主に2種類の配列があった。すなわちその配列は
100aAMD101(Y/V)102(Y100aは若干変化することも時々ある)
またはF100a101(Y/V)102
のどちらかであった。ヒト化抗体4D5ではH3のC末端はYAMDYである。このライブラリーは、Y100aを変異させた以外は、この部分を多くの場合一定に保つよう設計した。Y100aは、<DVK>、<DSG>、<KSG>、<NVT>および<XYZ>などの種々のコドンセットを使用して変異させた。別法として、Yをグリシン、セリン、アラニン、トリプトファン、バリンまたはアスパラギン酸と置換して、この残基の単独アミノ酸置換を行ってもよい。
【0285】
H3領域を異なった配列の長さにコードするオリゴヌクレオチドを使用して、ライブラリーを生成した。天然抗体のH3の長さは、約2アミノ酸から約24アミノ酸に渡る。図43に示すように、約7アミノ酸から約19アミノ酸までの種々の長さのH3領域をコードする一連のオリゴヌクレオチドを調製した。これらのオリゴヌクレオチドについても、C末端には限定された変異を準備した。C末端にはより少ない多様性が見出されるが、オリゴヌクレオチドはC末端にYAMD(Y/V)またはFD(Y/V)の変異を準備した。100aおよび/または100bの位置にも変異を入れた。変異させたH3の残基は、コドンセット<NNK>、<NNS>、および<XYZ>、またはそれらの混合物を使用して変異させた。種々の長さのH3領域を含む他の例を、図4に示す。図4において、HC領域は約11残基から13残基に渡り、一部の実施形態は、より一定したC末端、YAMDYを有している。100a(Y)の残基位置には、ある程度の変異を付与する。CDRH3アミノ酸位置は、<DVK>、<NVT>、<NNK>、<XYZ>、および<NNS>などのコドンセット、またはそれらの混合物を使用して変異させた。
【0286】
ある実施形態では、図43に示す各オリゴヌクレオチドを使用して、H3に配列と長さの両方の多様性を備えた複数のライブラリーを調製した。これらのライブラリーはH3領域の配列と長さの多様性を付与する。上記のように、H1/H2領域にも多様性を生成した。ライブラリーをプールし、そして対象抗体であるマウスまたはヒトVEGFについて選別した。高親和性でありまた特異的な結合体を単離し配列決定した。結合体を単離し配列決定することにより、マウスまたはヒトVEGFへの結合体のH3の最適長は、約11アミノ酸から13アミノ酸であると同定することが可能である。(データ略)。
【0287】
一部の設計では、自然のコンセンサスを反映するよう、フレームワークの第93残基をアラニンに変異した(ヒト化抗体4D5はマウスの残基セリンを有する)。フレームワークの第94残基(最初のH3残基の直前)を、自然のコンセンサス配列を反映するよう、アルギニン、あるいは(ARAコドンを用い)アルギニンおよびリシンと設計した。さらに一部の実施形態では、重鎖N末端の3アミノ酸を分泌シグナルの直後で除去した。
【実施例4】
【0288】
ライブラリー設計:L1、L2、L3
抗体可変ドメインのライブラリーを、抗体可変ドメイン構造の変動を最小にしつつ軽鎖CDR領域の多様性を最大化するように設計した。抗体可変ドメイン構造の変動は一般に不適切に折り畳まれた抗体ドメインと関係し、低収量の原因となる。細菌細胞内で産生したときが例である。低収量はスクリーニングで検出される結合体の数を減少させる。CDRL1、L2およびL3の各CDRにおいて、溶媒に露出し非常に多様な位置を同定することにより、また、少なくとも1つのCDR領域における非常に多様な位置の、少なくとも1つの溶媒露出残基位置に対応するアミノ酸位置の変異アミノ酸をコードする、少なくとも1つの調整した(すなわちランダムでない)コドンセットを含むオリゴヌクレオチドを設計することにより、CDR領域の多様性を生成した。調整したコドンセットとは、既知の自然抗体の溶媒露出残基に対応する位置で最もよく発生するアミノ酸を優先的にコードする、縮重した核酸配列である。
【0289】
抗体可変ドメイン鋳型分子のCDRにおける溶媒露出残基を、鋳型分子の結晶構造を解析することにより同定した。ヒト化抗体4D5は、細菌培養細胞を含む種々の宿主細胞で産生させると、効率よく産生されまた適切に折り畳まれる。ヒト化抗体4D5可変領域の結晶構造は既知であり、www/rcsb/orgで公に利用できる(アクセスコードIFVC)。
【0290】
軽鎖のCDRおよび重鎖のCDR1とCDR2における溶媒露出位置は、InsightIIプログラム(Accelrys、San Diego、CA)を使用し同定した。
【0291】
CDRにおいてどの位置の非常に多様かを判定するためにも、CDR残基を解析した。Kabatデータベースにある既知の天然抗体の配列を調べることにより、重鎖および軽鎖のCDR領域において非常に多様な位置を同定した。Kabatデータベースはimmuno/bme/nwe/eduで利用できる。Kabatデータベースには約1540個のヒト軽鎖の配列と3600個のヒト重鎖の配列があった。Kabatによる説明(immuno/bme/nwu/eduを参照)に従い、CDR部位を整列し番号付けした。各CDR残基について、最も頻繁に使用されているものからあまり使用されていないものまでアミノ酸の使用度を並べて順位付けすることにより、非常に多様なアミノ酸位置を同定した。例えば、L3−91(すなわち軽鎖CDR3の第91残基)は、Kabatデータベースの1582抗体配列のうち849配列でY(チロシン)と判明した。これはこの位置で最も頻繁に見出されるアミノ酸である。頻度リストで次に来るのはセリン(196配列に発生)、次いでアルギニン(169配列)、アラニン(118配列)、グリシン(61配列)、ヒスチジン(41配列)、そして残りの35配列では上記以外のアミノ酸の1つである。多様な部位の事例を、対応するアミノ酸の多様性リストと共に図1に(L鎖について)示す。上記の非常に多様な位置またそれらの位置で最も頻出するアミノ酸は、データベースにより多くの配列が登録されるにつれ、時と共に変わる可能性がある。
【0292】
ある特定の位置に見出されるいくつかのアミノ酸残基で、それらが全体として既知の自然抗体配列において最も頻繁に発生するアミノ酸を構成するものを、ライブラリー設計の基盤として選択する。最も頻繁に発生するアミノ酸とは、アミノ酸多様性リストの上位90%に入る、最もよく見出されるアミノ酸とした(このアミノ酸群を本明細書では「対象アミノ酸群」と呼ぶ)。しかし本明細書に記すように、ある対象アミノ酸群を選ぶ基準の上記割合は変更可能であり、それは上に述べたように、完成したい多様性ライブラリーの状況と目的に依存する。
【0293】
ヒト化抗体4D5について、溶媒に露出し非常に多様と同定された位置は、
軽鎖
CDR1 28、29、30、31、32
CDR2 50、53
CDR3 91、92、93、94、96
であった。
自然(すなわち既知の自然抗体配列での)多様性において高頻度で発生するアミノ酸(図3において「対象群」または「自然多様性」と呼ぶ)と、それらの各位置でのDNAコドンによる設計アミノ酸多様性(「多様性<DNAコドン>」)の例を、図3に示す。
【0294】
ある特定の群のアミノ酸(多様性)をコードするコドンセットは、既知の自然配列における少なくともある一定の割合(図3において「再現残基率」と呼ぶ)のアミノ酸を含むように設計した。あるコドンセットがコードするアミノ酸のうち、少なくとも約40%の、好ましくは70%のアミノ酸は、溶媒に露出し非常に多様なある特定の位置で同定される対象アミノ酸である(図3において「良残基率」と呼び、また、あるコドンセットがコードするアミノ酸でそれが対象アミノ酸であるものを、図3第3列に太字で示す)。しかし、本明細書に記すように、この良残基率値は状況と目的に依存し変更可能である。コドンセットは、ある特定の位置で最も高い発生度のアミノ酸を優先的にコードするように選択した。ある特定の位置でコドンセットがコードする非対象アミノ酸数は最小化した。コドンセットの選択/設計の効率は、部分的には「良残基率」値に基づいて評価した。高割合は大変低い非対象アミノ酸を意味した。ある特定のコドンセットがコードするアミノ酸について、より数多くの対象アミノ酸を含んでいることよりも、「良残基率」が高い値であることをより重要であるとみなした。「良残基率」が高い値であることをより重要であるとみなした。「良残基率」値の計算には重複度も取り入れた。評価のために、「再現残基率」値も計算した。この値は、(ある特定のコドンセットがコードするアミノ酸のうちで)「良い」アミノ酸が再現する自然多様性の割合を表す。例えばL3−91については、コドンセットKMTを使用すると、「良い」アミノ酸はYSAであり、これはこのコドンセットがコードするアミノ酸YSADの75%である。YSAは、このアミノ酸位置で既知の自然抗体1580配列中1190配列を再現するアミノ酸である。1190/1580は75%であり、これが「再現残基率」値である。このようにL3−91でKMTを使用する設計では、ライブラリーの75%が、CDRL3の91番目位置での自然多様性の75%を再現する。
【0295】
可能ならば、システインおよび終止コドンを排除するようにも、コドンセットを設計した。システイン残基の存在はフォールディング問題の原因となりやすく、また終止コドンは実効ライブラリーの大きさを減少させる可能性がある。コドンセットの設計においては、非対象アミノ酸数を最小化することも望ましいとみなした。
【0296】
ヒト化抗体4D5において、溶媒に露出し非常に多様な各残基のために設計したコドンセットを図3に示す。どの特定の残基でも、同定された対象アミノ酸に依り、1つまたは複数のコドンセットを使用してもよい。コドンセット<YKG>および<TWT>を、L3−96の多様性を生成するために使用してもよい。
【0297】
CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む1つまたは複数のCDR領域に多様性を備えた多様なライブラリーを生成するため、種々のコドンセットを使用してもよい。例えば、図5〜図13および図24に、多様性を生成するために使用可能なコドンセット設計の種々の具体的な例を示す。図3Aおよび3Bには、これらの設計におけるアミノ酸の再現状況をまとめて示す。一般に、自然多様性をより多く再現し、また「非対象」アミノ酸を可能な限り排除するよう多様性の幅を狭める設計をすることが、必要ではないが、好ましい。
【実施例5】
【0298】
ScFvライブラリーの構築、選別および解析
実施例1に記したように、pS1607ベクターにscFvまたはscFv−zipの形式で4D5可変領域を含むベクターを用いて、多様化したCDRを備えたライブラリーを生成した。合計5つのライブラリーを生成し、ライブラリーの特性は以下のようであった。
Figure 0004753578
【0299】
Kunkel(Kunkel他、Methods Enzymol.(1987)、154、367〜382頁)の方法を既報(Sidhu他、Methods Enzymol.(2000)、328、333〜363頁)の方法と共に用い、ライブラリーを構築した。それぞれのライブラリーには、scFvまたはscFv−zip表示ベクターの「終止鋳型」型を用いた、つまり各々の場合に、TAA終止コドンを備えた終止鋳型をランダム化する各CDR内に使用した。CDRの多様性を導入すると同時に終止コドンを修復するため、多様化する位置に縮重コドンを備えた変異誘発オリゴヌクレオチドを使用した。例えばscFv−1ライブラリーの構築については、CDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3に多様性を導入するため、3つのオリゴヌクレオチドを同時に使用した。すべての変異誘発オリゴヌクレオチドをうまく取り入れることで、各位置に設計した多様性が導入され、また同時に終止コドンが修復され、したがってgene−3マイナーコートタンパク質のC末端ドメインに融合したscFvまたはscFv−zipの一方をコードするオープンリーディングフレームが生成された。(実施例2および3で記したように)自然抗体のKabatデータベースにおける残基の溶媒露出度と多様性の程度に基づき、各CDR内において多様化のための残基を選んだ。CDRH1およびH2について、多様化のために選んだ残基と各位置で導入された多様性を図24に示す。CDR−H3については、等モル濃度の4つの変異誘導オリゴヌクレオチド(図4におけるF59、F63、F64、およびF65)混合物を使用して多様性を導入した。
【0300】
上記変異誘発反応物を電気穿孔法により大腸菌SS320に導入し(Sidhu他、Methods Enzymol.(2000)、328、333〜363頁)、この形質転換した細胞をヘルパーファージM13−VCSの存在下で一晩培養し、ファージミドDNAを含みそしてscFvまたはscFv−zipを表面に提示するファージ粒子を産生した。2×1010を超える独立したメンバーが各ライブラリーに含まれた。
【0301】
1.ナイーブライブラリーからの特異的抗体の選別
上述各ライブラリーのファージについて結合選別操作を繰り返して、目的の対象に結合するクローンを濃縮した。3つの対象タンパク質、Her2、IGF−1およびmVEGFを解析した。この結合選別は既報(Sidhu他、上記)の方法に従い行った。
【0302】
捕獲対象(5ug/mL)でNUNC96ウェルイムノプレートを4℃で一晩コートし、ウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma社)で2時間ブロックした。既報(Sidhu他、上記)に従い、ファージを一晩37℃で培養した後、PEG/NaClで沈殿させて濃縮し、PBS、0.5%BSA、0.1%Tween20(Sigma)に再懸濁した。上記コートしたイムノプレートにファージ溶液(1013ファージ/mL)を加えた。2時間インキュベートしてファージを結合させた後、PBS、0.05%Tween20でプレートを10回洗浄した。0.1MHClで結合したファージを10分間溶出し、1.0M Tris塩基で溶出物を中和した。溶出したファージを大腸菌XL1ブルーで増幅し、さらなる選別操作のために使用した。
【0303】
ライブラリーを各対象タンパク質(Her2、IGF−1またはmVEGF)に対して2回選別操作を行い、続いて抗gDエピトープ抗体に対して1回選別操作を行い(2aラウンド)、scFvまたはscFv−zipを提示しているクローンを濃縮した(scFvの軽鎖と重鎖領域間のリンカーにはgDエピトープが存在する)。この抗gD濃縮に続き、各ライブラリーについて対象タンパク質に対し3回目の選別操作を行った。
【0304】
各選別操作からの独立したクローンを、カルベニシリンとM13−VCSを補った2YT培養液500uLにより96ウェル形式で培養し、そして培養上清をファージELISA(Sidhu他、上記)に直接使用して、ファージに提示され対象タンパク質をコートしたプレートに結合したscFvを検出した。各対象タンパク質に対する各ライブラリーの3回の選別操作の結果を図25に示す。各ライブラリーは各対象タンパク質に対する結合体を産生したことがわかる。
【0305】
上記3つのscFv−zipライブラリー(scFv−1、scFv−2、およびscFv−3)をさらに詳しく解析した。対象への特異的結合について解析するため、IGF−1またはmVEGFに対する3回目の選別操作で得られたファージクローンについて、IGF−1とmVEGF両方に対するファージELISAを行った。自身が選別された対象にだけ結合したクローンを特異的と分類し、両方の対象に結合したものを非特異的と分類した。各選別で得られたクローンで対象に結合したものの割合(合計)と、自身が選別された対象だけに結合したクローンの割合(特異的)を示した結果を、図26に掲げる。ScFv−3ライブラリーはscFv−1およびscFv−2ライブラリーより著しく少ない特異的抗体を産生したものの、3つのライブラリーはすべて対象に対する特異的結合体を産生した。
【0306】
ScFv−1ライブラリーについては、2回目の選別操作で得られたクローンについてもスクリーニングした。IGF−1に対する選別では、スクリーニングした960クローンのうち140クローン(15%)が陽性だった。mVEGFに対する選別では、スクリーニングした1152クローンのうち24クローン(2%)が陽性だった。
【0307】
1つのscFVライブラリー(scFv−4)については、IGF−1またはmVEGFに対する3回目の結合選択から得られた数百のクローンについて、特異的結合体を求めスクリーニングした。この場合、IGF−1に対する選別では35%の特異的結合体が得られ、mVEGFに対する選別では40%の特異的結合体が得られた。
【0308】
scFvおよびscFv−zipライブラリーから得られた陽性結合体の配列と親和性の一部を図29に示す。
【0309】
2.抗原特異的結合体の配列決定
上記のように特徴づけられた特異的結合クローンの代表的なものを、標準的方法を用い配列決定した。その結果を図27に示す。
【0310】
IGF−1特異的結合体については、合計255クローンを配列決定し、その内192配列が独特であった。mVEGF特異的抗体については、202クローンを配列決定し、その内86配列が独特であった。これらの結果により、CDR多様性を生成し抗原特異的結合体を選別する本発明の方法により、異なった配列を持つ抗原特異的抗体の可変ドメインが複数生成したことを確認した。
【0311】
ライブラリー設計において多様化させた重鎖アミノ酸残基の多様性を調べるため、約450の結合クローンの全配列を解析した。その結果は、設計したすべての変異はアミノ酸の種類がよく分布して起こったことを示した(データ略)。
【0312】
CDR−H3領域の配列解析により、図28に示すように、ナイーブライブラリーに含めた4つの異なった設計(図4におけるF59、F63、F64およびF65)は、選別された結合クローンにも存在することが示された。しかしこの4つのCDR設計は、選別された結合体の中で等しい割合ではなかった。これはあるCDRの設計は、特定対象に対する陽性結合クローンを生成するのにより適合している可能性があることを示している。特に、F64の設計は最も多くを占め(52%)、一方F63の設計は最も少なかった(5%)(図28)。
【実施例6】
【0313】
L3/H3の多様性を備えたF(ab’)ライブラリー
Fab−zip4D5ベクターpS1607鋳型を用い、実施例1に記したようにCDRL3およびH3に多様性を備えたライブラリーを生成した。CDRL3については、オリゴヌクレオチドF61(F61:GCA ACT TAT TAC TGT CAG CAA NRT NRT RVM NNK CCT TDK ACG TTC GGA CAG GGT ACC;下線の付いたヌクレオチドは多様化させたアミノ酸残基/位置をコードする;配列番号30)。CDRH3については、使用したヌクレオチドを、F59、F63、F64、F65、F66、およびF78と名付けた(図4参照)。1回のKunkle変異誘発法につきL3およびH3のオリゴヌクレオチド1組を使用し、実施例4に記したようにライブラリーを作製し大腸菌で増幅した。異なったH3の多様性を備えた合計6つのライブラリー(上記のように6つの異なったオリゴヌクレオチドを用い生成された)を作製し、対象について選別するため、増幅後組み合わせた。選別は実施例4のように行ったが、このライブラリーについては2つの選別過程を行った点が異なった。つまり選別前に抗gDに対し予備選別する過程としない過程である。ライブラリーを直接対象について選別(すなわち予備選別なし)するか、または対象について選別する前に、予備選別ライブラリーとしてまず抗gDについて選別した。1回の予備選別の後、ライブラリーを対象について2回選別し、次に抗gDについて1回選別した後、もう1回対象について選別した。予備選別を行わないライブラリーは、対象選別を2回経て、次に抗gDで1回濃縮し、もう1回対象について選別した。
【0314】
mVEGFまたはIGF−1について選別し、予備選別を行ったライブラリーのヒット率は著しくよかった。HER2ECDが対象の場合、予備選別を行った選別も行わなかった選別もうまくいった。2回の対象選別と1回の抗gD選別の後のヒット率は約14%であった。抗gD選別後の最終対象選別により90%を超えるヒット率を得た。ヒット率は、スクリーニングした100クローン当たりの検出された特異的結合体数として計算した。特異的結合体クローンは実施例5で定義した。
【0315】
陽性クローンについて、そのH3の配列を配列決定しIC50(親和性)を既報(Sidhu他、上記)のように解析した。図29に各クローンの解析結果を示す。クローンは種々の配列で得られ、親和性はマイクロモル以下の領域にあった。大部分の結合体はH3で<DVK>設計を用いたライブラリーから得られた。図29第2列で下線の付いた残基は、クローンの元ライブラリーで固定された残基を表す。大部分の結合クローンはY100a位置を固定したライブラリーから得られた。
【0316】
いくつかのクローンの結合エピトープについても、競合的結合ELISAにより解析を行った。対象(マウスVEGF)を96ウェルNUNC−maxisorbプレート上にコートした。mVEGF上のある特定のエピトープに結合したブロック試薬の存在下で、対象に結合するファージクローンを測定した。Flt−D2(Wiesmann他、Cell(1997)、91:695〜704頁)またはKDR1−7−igg(Fuh他、J.Biol.Chem.(1998)、273:11197〜11204頁)の2つのmVEGF受容体断片を使用した。KDR1−7−iggと互いに競合したことから(図30)、解析したすべての結合体はKDR1−7−iggと類似したエピトープに結合したことをその結果は示した。mVEGF上により小さいエピトープを持つFlt−D2(Flt−1のドメイン2)は1つのクローンをブロックしただけであり、他のクローンはブロックしなかった(図31)。
【0317】
上記の結合ファージがFab抗体断片になり得るFabポリペプチド配列を実際に提示したことを実証するため、いくつかの上記クローンからFabタンパク質を生成した。結合クローンから得たファージ構築体を、アンバー終止抑止因子のない大腸菌株27C7に形質転換し、細菌を培養しFabタンパク質を産生させた。図32にこれらのクローンの特性をまとめて示す。Fabタンパク質はV2、V5、およびV8クローンから無事に生成された。
【実施例7】
【0318】
H1/H2/H3の多様性を備えたFabおよびF(ab’)ライブラリー
ライブラリーを上記のように生成した。鋳型構築体はFab用にpV0116b、またはF(ab’)用にpV0116gであった。これらのベクターは、ヒトのコンセンサス配列を反映するため、4D5の第30および第66の位置の残基を変異した(N30S;R66S)軽鎖可変ドメインをコードする。これらのベクターは両方とも、phoAプロモーターとstIIシグナル配列を軽鎖と重鎖の両方について有していた。FabのH1/H2/H3ライブラリーを作製するため、各変異誘発反応にはH1,H2、およびH3の多様性をコードするオリゴヌクレオチドを使用した。このランダム化設計に3つのCDRすべてが取り入れられることを確実にするため、多様化を意図した各CDRに終止コドン(TAA)を取り入れた。3つのCDRオリゴヌクレオチドすべてを取り入れたクローンのみが、上記終止コドンが変異されたわけだから、陽性の提示をするであろう。各CDRを多様化する素材として、異なる多様性を備えたオリゴヌクレオチドをまず組み合わせた。
【0319】
この実験のために、2つのH1オリゴヌクレオチド、F151(GCA GCT TCT GGC TTC ACC ATT AVT RRT WMY KMT ATA CAC TGG GTG CGT CAG;配列番号16)、およびF152(GCA GCT TCT GGC TTC ACC ATT AVT RRT WMY KGG ATA CAC TGG GTG CGT CAG;配列番号14)(図13も参照のこと)をプールし、またH2については、オリゴヌクレオチドF153(AAG GGC CTG GAA TGG GTT GST DGG ATT WMT CCT DMT RRC GGT DMT ACT DAC TAT GCC GAT AGC GTC AAG GGC;配列番号18)およびFl54(AAG GGC CTG GAA TGG GTT GST DHT ATT WMT CCT DMT RRC GGT DMT ACT DAC TAT GCC GAT AGC GTC AAG GGC;配列番号19)(図13も参照のこと)をプールした。
【0320】
H3については、オリゴヌクレオチドの<DVK>プール(F165、F166)および<NVT>プール(F134、F136、F137、F138、F142、F155、F156、F157、F158、F160、F160g)を使用した。図4に多様化させたH3の位置を示す。Fabライブラリーを2つ生成した。1つは<DVK>H3プールを用いてであり、もう1つは<NVT>H3プールを用いてである。対象について選別するため組み合わせる前に、この2つのライブラリーを大腸菌で増幅した。
【0321】
変異誘発したDNAを使い大腸菌株SS320を電気穿孔法で形質転換した。ライブラリーの大きさは10のオーダーであった。形質転換した細菌細胞を、ヘルパーファージKO7の存在下で一晩培養し、実施例4で記したように、まだ他の細菌細胞に感染することが可能な提示ファージを産生した。
【0322】
マウス血管内皮細胞成長因子(mVEGF)およびヒトIgG1−Fc(hFc)についての選別
<DVK>および<NVT>ライブラリーを対象に対する選別のためプールした。選別は他のライブラリーについて上述したように行った。この組み合わせたライブラリーをまず対象について1回選別し、次に非提示クローンを除去可能な抗gD抗体について選別し、そして次に対象(S3、S4)について2回選別した。S3、S4から得た約96クローンをスクリーニングした。陽性クローンとは、バックグラウンド以上に対象に結合したクローン(結合体)であり、また他の無関係なタンパク質に結合しなかったクローン(特異的結合体)である。mVEGFが対象の場合、S4が陽性特異的結合体の最も高いヒット率を与えた。ヒトFcについては、S3およびS4は特異的結合体を高率で与えた。
Figure 0004753578
【0323】
結合体のDNA配列および独特な結合体の結合親和性を解析した。図33に結合体の配列と結合親和性の例を示す。特異的hFc結合体については、多くの独特なFabクローンが得られ、その中にはそれぞれ40nM、2uM、さらに5uMを超えたところで結合するものがあった。F(ab’)ライブラリーからは、親和性が41nM、47nMおよび110nMのクローンを得た。VEGF結合体の追加配列を図35に示す。
【実施例8】
【0324】
溶液結合競合ELISA
選別された抗Her2F(ab)およびF(ab’)ファージの結合親和性を測定するため、下記のように競合ELISAを行った。この溶液結合競合検定法は、図46に示すようにFabタンパク質の親和性Kdと相関関係があることを既に示した。上記ライブラリーからの対象抗原に対するクローンの親和性を同定するための効果的な方法として、この溶液結合検定を使用した。
【0325】
最初に、ファージを増殖し精製した。クローンの1つを感染させた10ulのXL−1細菌を、カルベニシリンプレートで、37℃で30分間培養した。コロニーを1つ採取し、2ml(2YT、および50ug/mlのカルベニシリン)中で、37℃で3〜4時間培養した。KO7またはVCS(VCSはK07の変異体)ヘルパーファージを最終濃度1010pfu/mlの培養液に加え、さらに37℃で1時間培養した。20mlの培地(50ug/mlのカルベニシリンを含む2YT/CRAP 50:50)を上記培養液に加え、37℃で一晩培養した。ファージを既述のように精製した。
【0326】
2番目に、次の競合ELISA検定法での使用に最適となる精製ファージの濃度(すなわち、コートしたプレートでの最大結合能力の約90%)を測定した。Her−2細胞外ドメイン(PBS中に2ug/ml)で、96ウェルNunc Maxisorpプレートを4℃で一晩または室温で2時間コートした。ウェルを65ulの1%BSAを加えて30分間、続いて40ulの1%Tween20でさらに30分間ブロックした。次にウェルをPBS−0.05%Tween20で5回洗浄した。ELISAバッファー(PBS−0.1%BSAおよび0.05%Tween20)で少なくとも0.1O.D./mlまで種々の濃度に希釈したF(ab)またはF(ab’)を、室温で15分間ウェルに加えた。ウェルをPBS−0.05%Tween20で少なくとも3回洗浄した。1ウェルにつき75ulのHRP標識抗M13抗体(Amersham社、ELISAバッファーで1/5000に希釈)を加え、室温で30分間インキュベートした。ウェルをPBS−0.05%Tween20で少なくとも5回再び洗浄した。次に、1:1比の3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)ペルオキシダーゼ基質およびペルオキシダーゼ溶液B(H)(Kirkegaard−Perry Laboratories社(Gaithersburg、MD))100ul/ウェルを、ウェルに加え、室温で5分間インキュベートした。1Mリン酸(HPO)(Kirkegaard−Perry Laboratories社(Gaithersburg、MD))100ulを各ウェルに加えることにより、反応を停止させた。標準ELISAプレート読み取り装置を450nmで使用して、各ウェルの色の光学密度を測定した。O.D.の読み取り値に対し、ファージ希釈度をプロットした。
【0327】
3番目に、競合ELISAを行った。ヒトHer−2ECDで(PBS中に2ug/ml)、96ウェルNunc Maxisorpプレートを4℃で一晩または室温で2時間コートした。ウェルを65ulの1%BSAで30分間、続いて40ulの1%Tween20でさらに30分間ブロックした。ウェルをPBS−0.05%Tween20で5回洗浄した。上記の結合検定に基づき、コートした上記プレートへの結合最大値の約90%を生じたファージ希釈液50ulを、種々の濃度のヒトHer−2ECD(0.1nMから500nM)を含むELISAバッファー溶液50ulと、室温で1時間、ウェル内でインキュベートした。ヒトHer−2ECDであらかじめコートした2枚目の96ウェルプレートに75ulのウェル混合物を移し、室温で15分間インキュベートすることにより、結合しなかったファージを検定した。この2枚目のプレートのウェルをPBS−0.05%Tween20で少なくとも3回洗浄した。1ウェルにつき75ulのHRP標識抗M13抗体(ELISAバッファーで1/5000に希釈)を加え、室温で30分間インキュベートした。ウェルをPBS−0.05%Tween20で少なくとも5回再び洗浄した。次に、1:1比の3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)ペルオキシダーゼ基質およびペルオキシダーゼ溶液B(H)(Kirkegaard−Perry Laboratories社(Gaithersburg、MD))100ul/ウェルを、ウェルに加え、室温で5分間インキュベートした。1Mリン酸(HPO)(Kirkegaard−Perry Laboratories社(Gaithersburg、MD))100ulを各ウェルに加えることにより、反応を停止させた。標準ELISAプレート読み取り装置を450nmで使用して、各ウェルの色の光学密度を測定した。O.D.の読み取り値に対し、競合体の濃度をプロットした。F(ab)ファージもしくはF(ab’)−ファージを50%阻害するHer−2ECDの濃度であるIC50が親和性を表す。図19も参照のこと。
【実施例9】
【0328】
本明細書の記述に従い生成するどのようなライブラリーについても、異なった選別およびスクリーニングの方法を組み合わせて使用できる。固相に結合した対象を利用する検定法および液相検定法は下記のように利用可能である。
【0329】
親和性の選別
選別方法とハイスループット親和性スクリーニング検定法の組合せは、一価(Fab)または多価F(ab’2)ポリペプチドのライブラリーから高親和性の結合体を選択するために効果的であることが示されている。(図45)高親和性のクローンを見つける手段として、いくつかの異なった選別方法をこのスクリーニング検定法と組み合わせて使用できる。以下に述べるのは、溶液選別法と、ハイスループット親和性スクリーニング検定法である。
【0330】
最初の選別操作では、結合クローンを捕獲するのにより効率的であるから、プレートを使う普通の選択/選別法が好ましい。(図44も参照のこと。)1〜3OD(270nM)のファージライブラリーを含むPBS/BSAバッファー100ul/ウェルを、対象をコートしたMaxisorbウェルに室温で1時間加える。PBS/0.05%Tween20でプレートを約5回洗浄する。0.1NHClを用い室温で20分間溶出させる。4ウェルから力価測定し増殖する。幅広い範囲の親和性を持った結合体を大部分捕獲する目的のため、上記洗浄はゆるやかに行う。
【0331】
溶液選別にはビオチン化対象抗原を使うことができる。(図45も参照のこと。)対象タンパク質をビオチン化するには、対象タンパク質は好ましくはアミンの存在しないバッファー(例えば、Trisやグリシンあるいは第一級アミンを含む他のどんなバッファーもしくは遊離アミノ酸を含まない)に含まれ、pHは好ましくは7.0より高く、またタンパク質の濃度は好ましくは0.5mg/mlより高いようにする(例PBS)。必要ならば、バッファー交換をNAP−5(Amersham Pharmacia Biotech)も用いて行ってもよい。貯蔵NHS−ビオチン試薬(Pierce Biotechnology)をPBS(100×)で、好ましくは使用前に新しく調製する。約3:1のモル比で対象タンパク質に加え、室温で30分間から1時間インキュベートする。未反応のNHSをクエンチするため、pH7.5のTrisまたはエチルアミンを100mMに30分間加える。遊離ビオチン試薬を除去するため、NAP−5を用いたバッファー交換を使用してもよい。これは大抵の場合必要ではない。なぜなら、残存ビオチン量は大変少なく、またタンパク質濃度はビオチン化の後、希釈して計算することが出来るからである。ビオチン化が機能を損なわなかったことを確かめるため、可能ならば、自然な結合相手(例えば受容体および/または抗体)への結合能力について、ビオチン化したタンパク質を試験してみるべきである。
【0332】
2〜5ug/mlのneutravidin(Pierce Biotechnology社)を含む100ul/ウェルのPBSで、プレートを4℃でもしくは室温で2時間コートする。Superblock(Pierce社)を含むPBSで30分間プレートをブロックし、次いで0.2%になるまでTween20を加えさらに30分間ブロックする。
【0333】
Superblock0.5%と0.1%Tween20を含むバッファー120〜150ul中の適当な濃度のビオチン化対象タンパク質と、0.5〜1ODのファージを30分間から1時間インキュベートする。結合バッファーで5〜10倍に希釈し、100ul/ウェルをneutravidinでコートしたウェルに加え、穏やかに振盪しながら室温で5分間、ファージと結合したビオチン化対象を捕獲させる。PBS/tween20で何回か、例えば8回、プレートを洗浄する。バックグラウンド結合を測定するために、ビオチン化対象抗原とインキュベートしていないファージも、neutravidinでコートしたプレートで捕獲する。他に可能な対照は、neutravidinでコートしていないウェルで捕獲されたファージと混ぜたビオチン化対象抗原に基づくものである。結合したファージを0.1NHClを用い20分間溶出させ、中和、力価測定し、次の操作のために増殖する。
【0334】
使用するビオチン化試薬の濃度は状況に依存する。ある例では、100〜250nMの対象濃度は厳密さの点でプレート選別に匹敵する。例えば、100nMの結合体の親和性を向上させるためには、最初の溶液選別は20nMで始め、2回目の選別で5および1nMへ進めるのがよい。複数の濃度を含めるべきである。スクリーニング検定には、濃縮に用いた濃度を使用すべきである。3回目の選別には、競合選別(下記)として過剰の非ビオチン化対象を加えることが必要かもしれない。低濃度(例えば2nM未満)のビオチン化対象を使用するときは、捕獲前に10倍でなく5倍に希釈するのが好ましい。投入したファージは後の選別操作で0.1ODにまで減少するかもしれず、これはさらに選択圧を高めることになろう。
【0335】
選択圧を高めるために競合選別を行ってもよい。ファージおよびビオチン化対象の30分間から1時間のインキュベーション(上記)の後、捕獲のため希釈する前に、1000倍の過剰な非ビオチン化対象を加えて異なった温度で異なった時間インキュベートしてもよい。長時間と高温(例えば、室温に対し37℃)は選択圧を高める。例として1nMの抗VEGF結合体の親和性を向上させる場合を挙げる。溶液選別の最初の操作では、1nMのビオチン化対象を選別に使用する。捕獲のため希釈する前に、高解離速度の結合体と競合し切るため1uMの非ビオチン化対象を室温で15分間加える。溶液操作の次の操作では、より強い結合体を選別するため0.1nMのビオチン化対象を使用し、捕獲のため希釈する前に、100nMの非ビオチン化対象を37℃で30分間、あるいはより厳密にするため2時間加え、低解離速度の結合体を選別する。
【0336】
ハイスループット親和性スクリーニング検定法
この検定法を図式的に図47に示す。(新たに培養した)コロニーを採取し、50ug/mlのカルベニシリンと1n/mlのK07を含んだ2YT/CRAP(1:1)を入れた96ウェルプレート(150ul/ウェル)またはラック(300ul/チューブ)で、37℃で一晩培養した。培養後、コロニーを遠心分離しファージ上清を得た。
【0337】
ファージ上清を、プレートでの培養なら1:6〜10倍に、またはラックでの培養なら1:3〜5倍に、対象抗原ありまたはなしの総容量150ulのELISA結合バッファー(PBS、0.5%BSA、0.05%Tween20)で希釈し、室温で1時間インキュベートした。この結合実験での対象の最終濃度は、予想するまたは希望する親和性に依存する。ナノモル以下の親和性の結合体をスクリーニングするには、10〜25nMを使った。1〜100nMの結合体をスクリーニングするには、100〜150nMの対象濃度が好ましい。
【0338】
プレートを5ug/mlの対象抗原で、一晩または室温で2時間コートし、そして上記のようにブロックした。対象抗体ありまたはなしの約70〜100ulのファージを、試料(対象抗体ありまたはなし)を隣り合ったウェルに同時に移しながら、上記のコートしたプレートに移した。プレートを10〜15分間穏やかに振盪して、結合していないファージをプレートに捕獲させた。プレートを洗浄バッファーで素早く6回洗浄した。HRP標識抗M13抗体を含んだ結合バッファー(1:5000)をプレートに加え、30分間インキュベートし、プレートを6回洗浄し、基質であるTMB/Hを5〜10分間加え、450nMで吸光度を測定した。
【0339】
対象なしの試料に対する対象ありの試料のOD比を計算することにより、結合阻害割合を計算した。この割合が低いほど、そのクローンが有している親和性は高い。グラフは約40クローンをスクリーニングしたデータを示す。高親和性(低い比)から低親和性(高い比)に渡る、実に様々な親和性がこの40クローンに存在したことを、この結果は示している。
【0340】
本明細書に引用したすべての公表物(特許および特許申請を含む)を、これによりそれら全体として参照援用する。
【0341】
配列表
Figure 0004753578
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【図面の簡単な説明】
【0342】
【図1】カバットデータベースからのヒト抗体軽鎖CDR配列におけるアミノ酸(1文字コードで同定されている)の頻度を示す図である。特定のアミノ酸位置の各アミノ酸の頻度は、その位置で最も頻度の高いアミノ酸が左に示され、右に行くに従い最も頻度の低いアミノ酸へと続く。アミノ酸の下の番号は、カバットデータベースにおいて、その位置でそのアミノ酸を有する天然配列の数を表す。
【図2】カバットデータベースからのヒト抗体重鎖CDR配列におけるアミノ酸(1文字コードで同定されている)の頻度を示す図である。特定のアミノ酸位置の各アミノ酸の頻度は、その位置で最も頻度の高いアミノ酸が左に示され、右に行くに従い最も頻度の低いアミノ酸へと続く。アミノ酸の下の番号は、カバットデータベースにおいて、その位置でそのアミノ酸を有する天然配列の数を表す。フレームワークアミノ酸位置71、93および94も示す。
【図3】CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1およびCDRH2におけるアミノ酸位置に適当なコドンセット設計の具体例を示す図である。このコドンセットは3つのイタリック大文字で同定され、<>で括られている(例えば<RDT>)。このコドンセットによってコードされるアミノ酸は、「多様性<DNAコドン>」と標識された欄の下に1文字コードによって示される。「自然多様性」と標識された欄は、カバットデータベースにおいて、天然抗体可変ドメインのそれらの位置で最も一般的に見られるアミノ酸を示す。良残基率(%)は、コドンセットによってコードされ、その位置の対象アミノ酸であるアミノ酸の割合(%)である。再現残基率(%)は、その位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸を持つ、カバットデータベースにおける天然抗体の割合(%)である。
【図4A】設計されたCDRH3多様性の具体例を示す図である。異なるオリゴヌクレオチドは、CDRH3のアミノ酸位置の多様性、ならびに配列長の多様性をコードする。これらのオリゴヌクレオチドは、左側の欄にF59、F63およびF64などのように同定される。各オリゴヌクレオチドのCDRH3の各アミノ酸位置におけるアミノ酸配列を示す。ソース抗体4D5のCDRH3配列は上端に示す:S93、R94、W95、G96、G97、D98、G99、F100、Y100a、A100b、M100c、D101およびY102。アミノ酸位置93および94はフレームワーク位置と考えられている。いくつかの実施形態では、ある種の位置は1文字コードで示される固定されたアミノ酸を持つことができ、例えば、位置93はS(セリン)であり;アミノ酸位置94は、R/K/T(アルギニン/リジン/トレオニン)でよく;アミノ酸位置100aはG/S/A/W(グリシン/セリン/アラニン/トリプトファン)でよい。他のアミノ酸位置は、3つのイタリック大文字で同定されたコドンセット、例えばDVK、NVT、DSG、KSGを用いて多様化される。CDRH3の長さは右の欄に示す。CDRH3領域の長さは、7から15の範囲である。各オリゴヌクレオチドに対して示した、この方策で作製されたライブラリーの多様性も右に示す。単一のオリゴヌクレオチドを使うこともでき、または複数のオリゴヌクレオチドをプールしてライブラリーを作製することもできる。(配列番号:10−13、配列番号:31−76及び配列番号:162)
【図4B】引き続き設計されたCDRH3多様性の具体例を示す図である。異なるオリゴヌクレオチドは、CDRH3のアミノ酸位置の多様性、ならびに配列長の多様性をコードする。これらのオリゴヌクレオチドは、左側の欄にF59、F63およびF64などのように同定される。各オリゴヌクレオチドのCDRH3の各アミノ酸位置におけるアミノ酸配列を示す。ソース抗体4D5のCDRH3配列は上端に示す:S93、R94、W95、G96、G97、D98、G99、F100、Y100a、A100b、M100c、D101およびY102。アミノ酸位置93および94はフレームワーク位置と考えられている。いくつかの実施形態では、ある種の位置は1文字コードで示される固定されたアミノ酸を持つことができ、例えば、位置93はS(セリン)であり;アミノ酸位置94は、R/K/T(アルギニン/リジン/トレオニン)でよく;アミノ酸位置100aはG/S/A/W(グリシン/セリン/アラニン/トリプトファン)でよい。他のアミノ酸位置は、3つのイタリック大文字で同定されたコドンセット、例えばDVK、NVT、DSG、KSGを用いて多様化される。CDRH3の長さは右の欄に示す。CDRH3領域の長さは、7から15の範囲である。各オリゴヌクレオチドに対して示した、この方策で作製されたライブラリーの多様性も右に示す。単一のオリゴヌクレオチドを使うこともでき、または複数のオリゴヌクレオチドをプールしてライブラリーを作製することもできる。(配列番号:10−13、配列番号:31−76及び配列番号:162)
【図4C】引き続き設計されたCDRH3多様性の具体例を示す図である。異なるオリゴヌクレオチドは、CDRH3のアミノ酸位置の多様性、ならびに配列長の多様性をコードする。これらのオリゴヌクレオチドは、左側の欄にF59、F63およびF64などのように同定される。各オリゴヌクレオチドのCDRH3の各アミノ酸位置におけるアミノ酸配列を示す。ソース抗体4D5のCDRH3配列は上端に示す:S93、R94、W95、G96、G97、D98、G99、F100、Y100a、A100b、M100c、D101およびY102。アミノ酸位置93および94はフレームワーク位置と考えられている。いくつかの実施形態では、ある種の位置は1文字コードで示される固定されたアミノ酸を持つことができ、例えば、位置93はS(セリン)であり;アミノ酸位置94は、R/K/T(アルギニン/リジン/トレオニン)でよく;アミノ酸位置100aはG/S/A/W(グリシン/セリン/アラニン/トリプトファン)でよい。他のアミノ酸位置は、3つのイタリック大文字で同定されたコドンセット、例えばDVK、NVT、DSG、KSGを用いて多様化される。CDRH3の長さは右の欄に示す。CDRH3領域の長さは、7から15の範囲である。各オリゴヌクレオチドに対して示した、この方策で作製されたライブラリーの多様性も右に示す。単一のオリゴヌクレオチドを使うこともでき、または複数のオリゴヌクレオチドをプールしてライブラリーを作製することもできる。(配列番号:10−13、配列番号:31−76及び配列番号:162)
【図5】CDRL1、L2およびL3の設計された多様性の具体例を示す図である。各位置のコドンセットを示す。各位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。この設計で作製された多様性により、2.9×10配列のライブラリーが生じる。
【図6】CDRL1、L2およびL3のアミノ酸位置の非ランダムコドンセットを使って設計された多様性の具体例を示す図である。各位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。この設計で作製された多様性により、6.1×10個の配列が生じる。
【図7】CDRL3アミノ酸位置の非ランダムコドンセットを使って設計された多様性の具体例を示す図である。各位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。
【図8】CDRL1、L2およびL3の非ランダムコドンセットを使って設計された多様性の具体例を示す図である。いくつかの位置では、コドンセットは1つまたは複数のアミノ酸を多めにコードすることができる。例えば、CDRL3の位置93では、コドンセットRVMはアラニン(A2)、グリシン(G2)およびトレオニン(T2)を多めにコードする。各位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。
【図9】CDRH1、H2およびH3のアミノ酸位置の非ランダムコドンセットを使って設計された多様性の具体例を示す図である。各位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。
【図10】CDRH1、H2およびH3のアミノ酸位置の非ランダムコドンセットを使って設計された多様性の具体例を示す図である。各位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。
【図11】CDRH1、H2、H3およびL3のアミノ酸位置の非ランダムコドンセットを使って設計された多様性の具体例を示す図である。各位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。
【図12】CDRH1、H2、H3およびL3のアミノ酸位置の非ランダムコドンセットを使って設計された多様性の具体例を示す図である。各位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。
【図13】CDRH1、H2、H3およびL3のアミノ酸位置の非ランダムコドンセットを使って設計された多様性の具体例を示す図である。各位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。
【図14A】ScFvの提示のためのPtacプロモータードライバーカセットのヌクレオチド配列を示す図である(配列番号23)。malE分泌シグナル、ヒト化抗体4D5軽鎖可変ドメイン、リンカー、gDタグ、ヒト化4D5重鎖可変ドメインおよびp3(cP3)のC末端ドメインをコードしている配列を示す。
【図14B】引き続きScFvの提示のためのPtacプロモータードライバーカセットのヌクレオチド配列を示す図である(配列番号23)。malE分泌シグナル、ヒト化抗体4D5軽鎖可変ドメイン、リンカー、gDタグ、ヒト化4D5重鎖可変ドメインおよびp3(cP3)のC末端ドメインをコードしている配列を示す。
【図15A】ScFv−zipの提示のためのPtacプロモータードライバーカセットのDNA配列を示す図である(配列番号24)。malE分泌シグナル、ヒト化4D5軽鎖可変ドメイン、リンカー、gDタグ、ヒト化4D5重鎖可変ドメイン、ジッパー配列およびp3(cP3)のC末端ドメインをコードしている配列を示す。
【図15B】引き続きScFv−zipの提示のためのPtacプロモータードライバーカセットのDNA配列を示す図である(配列番号24)。malE分泌シグナル、ヒト化4D5軽鎖可変ドメイン、リンカー、gDタグ、ヒト化4D5重鎖可変ドメイン、ジッパー配列およびp3(cP3)のC末端ドメインをコードしている配列を示す。
【図16A】Fabの提示のためのPtacプロモータードリブンカセットのDNA配列を示す図である(配列番号25)。2つの読取り枠を示す。第1の読取り枠は、malE分泌シグナル、ヒト化4D5軽鎖可変ドメインおよび定常ドメインをコードする。第2の読取り枠は、stII分泌シグナル、ヒト化重鎖可変ドメイン、ヒト化4D5重鎖第1定常領域(CH1)およびp3のC末端ドメインをコードする。
【図16B】引き続きFabの提示のためのPtacプロモータードリブンカセットのDNA配列を示す図である(配列番号25)。2つの読取り枠を示す。第1の読取り枠は、malE分泌シグナル、ヒト化4D5軽鎖可変ドメインおよび定常ドメインをコードする。第2の読取り枠は、stII分泌シグナル、ヒト化重鎖可変ドメイン、ヒト化4D5重鎖第1定常領域(CH1)およびp3のC末端ドメインをコードする。
【図17A】Fab−zipの提示のためのPtacプロモータードリブンカセットのDNA配列を示す図である(配列番号26)。2つの読取り枠を示す。第1の読取り枠は、malE分泌シグナル、ヒト化4D5軽鎖可変ドメインおよび定常ドメインをコードする。第2の読取り枠は、stII分泌シグナル、ヒト化4D5重鎖可変ドメイン、ヒト化4D5重鎖第1定常ドメイン(CH1)、ジッパー配列およびp3(cP3)のC末端をコードする。
【図17B】引き続きFab−zipの提示のためのPtacプロモータードリブンカセットのDNA配列を示す図である(配列番号26)。2つの読取り枠を示す。第1の読取り枠は、malE分泌シグナル、ヒト化4D5軽鎖可変ドメインおよび定常ドメインをコードする。第2の読取り枠は、stII分泌シグナル、ヒト化4D5重鎖可変ドメイン、ヒト化4D5重鎖第1定常ドメイン(CH1)、ジッパー配列およびp3(cP3)のC末端をコードする。
【図18】F(ab)およびF(ab’)を含む異なる構築物の提示の概略を示す図である。(A)は、軽鎖ならびに少なくともウイルスコートタンパク質の一部と融合した重鎖可変およびCH1ドメインを有するFabを示し、(B)は、2つの軽鎖、および少なくともウイルスコートタンパク質の一部と融合した二量体化ドメイン(zip)を有する1つの重鎖を有するF(ab’)を示し、アンバー終止コドンが二量体化ドメインの後に存在し、(C)は、2つの軽鎖、ならびにそれぞれ二量体化ドメインを有しそれぞれ少なくともウイルスコートタンパク質の一部と融合した重鎖可変ドメインとCH1ドメインの両方を有するF(ab’)2を示す。
【図19】HER−2ecd(対象抗原)が増加する中でのFabファージ構築物の結合率(%)を示すグラフである。構築物は、Fabファージ(−○−)またはジッパー結合したF(ab’)ファージ(−●−)である。このF(ab)ファージまたはジッパー結合したF(ab’)ファージのそれぞれは、次第に高くなる濃度のHer−2ECD(0.001〜1000nM)溶液中で、37℃で5時間インキュベートした。結合を解かれたファージはHer−2ECDでコーティングしたプレートで捕獲し、HRP−抗−M13結合体で測定した。
【図20】Fabファージ(−○−)またはジッパー結合したF(ab’)ファージ(−●−)間の解離速度の相違を示す図である。連続希釈のHer−2ECD(0.01nM〜1000nM)を、Her−2ECDでコーティングしたウェルに結合したFabまたはジッパー結合したF(ab’)ファージに加えた。プレートに結合したままになっているファージは、HRP−抗−M13結合体を用いて定量された。百分率で表した残りの結合ファージの相対比率は、特定のHer−2ECD濃度におけるODをHer−2ECDがない場合のODで割ることによって計算した。
【図21】リガンドでコーティングした支持体上の標準ファージELISAにより検出可能な結合を得るのに必要なファージF(ab)(−○−)またはジッパー結合したファージF(ab’)2(−●−)の量の相違を示す図である。異なる濃度にファージを希釈し、Her−2ECDでコーティングされたプレート上の結合シグナルを、O.D.450nMで測定してHRP抗M13で検出した。
【図22】二価提示を使って低親和性結合体を検出する能力を示す図である。ヒト化4D5変異体は、アルギニン50をF(ab)ファージ(−○−)またはジッパー結合したF(ab’)2(−●−)フォーマットのアラニン(R50A)に変えて調製した。ファージを希釈し、Her−2ECDでコーティングされたプレート上の結合を、HRP抗M13で検出した。
【図23】天然抗体のCDRH3領域(べた塗りのバー)およびNNKコドンセットで作製された多様化を有する抗体可変ドメイン(点状のバー)におけるアミノ酸の種類の頻度の比較を示す図である。アミノ酸は以下のように分類される:フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)およびチロシン(Y)は芳香族アミノ酸であり、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、アラニン(A)およびメチオニン(M)は脂肪族アミノ酸、リジン(K)、アルギニン(R)およびヒスチジン(H)は塩基性アミノ酸、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は酸性アミノ酸、セリン(S)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)およびグルタミン(Q)は極性アミノ酸、プロリン(P)、グリシン(G)およびシステイン(C)は配座アミノ酸である。
【図24】CDRH1、H2およびH3のアミノ酸位置の非ランダムコドンセットを使って設計された多様性の具体例を示す図である。その位置のコドンセットによってコードされるアミノ酸(1文字コードで示す)は、下の欄に示す。
【図25】対象抗原Her−2、IGF−2およびmVEGFと結合するかどうかでScFvライブラリーを選別した結果を示す図である。ScFv−1ライブラリーは、ジッパー配列を有しているベクターとCDRH1、H2およびH3の多様性を用いて作製した。ScFv−2は、ジッパー配列を有しているベクターとCDRH1、H2、H3およびL3の多様性を用いて作製した。ScFv−3は、ジッパー配列を有しているベクターとCDRH3およびL3の多様性を用いて作製した。ScFv−4はジッパー領域を持たず、CDR多様性はCDRH1、H2およびH3で作製した。ScFv−5は、ジッパー配列を使用せず、CDRH1、H2、H3およびL3のCDR多様性を用いて作製した。選別を3回繰り返した後の各ライブラリーの結果は、対象抗原と結合したクローンの百分率(%)で示す。
【図26】ScFv−1、ScFv−2およびScFv−3ライブラリーから単離された特異的結合体の結果を示す図である。IGF−1またはmVEGFに対して選択を3回繰り返して得られたファージクローンは、ELISA検定法でIGF−1およびmVEGFを使用して特異的結合を示すか分析した。それに対して選択された対象と結合し、他の抗原とは結合しなかったクローンは特異的と鑑定された。各選択から得られた対象と結合したクローン(全体の)の百分率、およびそれに対して選択された対象だけに結合したクローン(特異的)の百分率を示す。
【図27】配列の総数、またそれらの配列の中で、選別を2、3回繰り返した後にscFv−1およびscFv−4の各ライブラリーから同定された抗VEGFまたは抗IGF抗体可変ドメインの特有な配列の数を示す図である。
【図28】結合体の1セットにおけるCDRH3コドン/アミノ酸利用の分布を示す図である。「X」は図4に示した各オリゴヌクレオチドのコドンセットの利用を表す。ライブラリーから単離された結合体配列におけるオリゴヌクレオチドそれぞれのCDR−H3デザインの百分率を示す。
【図29】F(ab’)L3/H3ライブラリーに由来するいくつかの抗IGF1および抗VEGF結合体のH3配列と親和性を示す図である。下線を引いた残基は、クローンのソースライブラリーで固定された残基を表す。(配列番号:77−79)
【図30】クローンの一部に結合したエピトープの同一性を示す図である。ネズミのVEGFをプレートにコーティングし、KDR−7iggの存在下で競合的に抑制されるファージクローンを同定した。クローンV1(−●−)、V2(−○−)、V4(−◆−)、V5(−▲−)、V6(−+−)、V7(−△−)、V8(− −)、V9(−■−)、V10(−▼−)を試験した。
【図31】クローンの一部に結合したエピトープの同一性を示す図である。ネズミのVEGFをプレートにコーティングし、F1t1−D2の存在下で競合的に抑制されるファージクローンを同定した。クローンV1(−●−)、V2(−○−)、V4(−◆−)、V5(−▲−)、V6(−+−)、V7(−△−)、V8(− −)、V9(−■−)、V10(−▼−)を試験した。
【図32】クローンV1、V2、V3およびV8の細胞培養におけるFabポリペプチドファージCDRH3アミノ酸配列、親和性、エピトープ特異性およびFabの生産を示す図である。
【図33】F(ab)またはF(ab’)ライブラリーに由来する重鎖可変ドメインCDRアミノ酸配列およびmVEGFおよびヒトFc受容体と結合する結合体の親和性を示す図である。重鎖フレームワークアミノ酸位置49、71、93および94のアミノ酸配列も示す。(配列番号:80−115)
【図34A】ファージミド構築物の概略を示す図であり、Fabの提示のために別々の転写産物の発現を可能にする二シストロン性ベクターを示す。適当なプロモーター、例えばPtacまたはPhoAプロモーターは二シストロン性メッセージの発現を促す。第1のシストロンは、軽鎖可変および定常ドメインとgDタグをコードしている配列に連結したmalEまたは耐熱性エンテロトキシンII(stII)分泌シグナルをコードする。第2のシストロンは、分泌シグナル配列、重鎖可変ドメインと定常ドメイン1(CH1)およびウイルスコートタンパク質の少なくとも一部をコードする。
【図34B】ファージミド構築物の概略を示す図であり、F(ab’)の提示のための二シストロン性メッセージを示す。適当なプロモーターは、第1および第2のシストロンの発現を促進する。第1のシストロンは、分泌シグナル配列(malEまたはstII)、軽鎖可変および定常ドメインとgDタグをコードする。第2のシストロンは、分泌シグナル、重鎖可変ドメインと定常ドメイン1(CH1)および二量体化ドメインをコードする配列ならびにウイルスコートタンパク質の少なくとも一部をコードする。
【図34C】ファージミド構築物の概略を示す図であり、ScFvの提示のための一シストロン性ベクターである。適当なプロモーターは、ペプチドリンカーと結合したVおよびVドメインの発現を促進する。シストロン配列は、5’末端で分泌シグナル配列に連結し、3’末端でウイルスコートタンパク質(pIII)の少なくとも一部に連結する。
【図34D】ファージミド構築物の概略を示す図であり、ScFvの提示のためのベクターを示す。このベクターは図34Cと類似しているが、Vとコートタンパク質の間に二量体化ドメインを含む。
【図35】ScFvおよびScFvライブラリーからの重鎖可変CDR配列のアミノ酸配列ならびに抗VEGF結合体の親和性を示す図である。(配列番号:116−143)
【図36】連続するパッチを形成するCDR残基を示しているヒト化4D5の三次元モデル化構造を示す図である。連続するパッチはCDRL1のアミノ酸残基28、29、30、31および32、CDRL2のアミノ酸残基50および53、CDRL3のアミノ酸残基91、92、93、94および96、CDRH1のアミノ酸残基28、30、31、32および33、ならびに、CDRH2のアミノ酸残基50、52、53、54、56および58によって形成される。
【図37A】pV3050−2bベクターのDNA(配列番号28)とアミノ酸配列を示す図である。この配列は、4D5のstII分泌シグナル配列、軽鎖可変と定常ドメイン、およびgDタグ、4D5の他のstII分泌シグナル配列重鎖可変ドメイン配列、CHI重鎖定常ドメインならびにp3のC末端ドメインを示す。
【図37B】引き続きpV3050−2bベクターのDNA(配列番号28)とアミノ酸配列を示す図である。この配列は、4D5のstII分泌シグナル配列、軽鎖可変と定常ドメイン、およびgDタグ、4D5の他のstII分泌シグナル配列重鎖可変ドメイン配列、CHI重鎖定常ドメインならびにp3のC末端ドメインを示す。
【図37C】引き続きpV3050−2bベクターのDNA(配列番号28)とアミノ酸配列を示す図である。この配列は、4D5のstII分泌シグナル配列、軽鎖可変と定常ドメイン、およびgDタグ、4D5の他のstII分泌シグナル配列重鎖可変ドメイン配列、CHI重鎖定常ドメインならびにp3のC末端ドメインを示す。
【図37D】引き続きpV3050−2bベクターのDNA(配列番号28)とアミノ酸配列を示す図である。この配列は、4D5のstII分泌シグナル配列、軽鎖可変と定常ドメイン、およびgDタグ、4D5の他のstII分泌シグナル配列重鎖可変ドメイン配列、CHI重鎖定常ドメインならびにp3のC末端ドメインを示す。
【図37E】引き続きpV3050−2bベクターのDNA(配列番号28)とアミノ酸配列を示す図である。この配列は、4D5のstII分泌シグナル配列、軽鎖可変と定常ドメイン、およびgDタグ、4D5の他のstII分泌シグナル配列重鎖可変ドメイン配列、CHI重鎖定常ドメインならびにp3のC末端ドメインを示す。
【図37F】引き続きpV3050−2bベクターのDNA(配列番号28)とアミノ酸配列を示す図である。この配列は、4D5のstII分泌シグナル配列、軽鎖可変と定常ドメイン、およびgDタグ、4D5の他のstII分泌シグナル配列重鎖可変ドメイン配列、CHI重鎖定常ドメインならびにp3のC末端ドメインを示す。
【図38A】ベクターpV0350−4のDNA(配列番号29)とアミノ酸配列を示す図である。pV0350−2bベクターは、重鎖定常CH1ドメインとp3配列の間に二量体化ドメインを挿入することによって修飾された。
【図38B】引き続きベクターpV0350−4のDNA(配列番号29)とアミノ酸配列を示す図である。pV0350−2bベクターは、重鎖定常CH1ドメインとp3配列の間に二量体化ドメインを挿入することによって修飾された。
【図38C】引き続きベクターpV0350−4のDNA(配列番号29)とアミノ酸配列を示す図である。pV0350−2bベクターは、重鎖定常CH1ドメインとp3配列の間に二量体化ドメインを挿入することによって修飾された。
【図38D】引き続きベクターpV0350−4のDNA(配列番号29)とアミノ酸配列を示す図である。pV0350−2bベクターは、重鎖定常CH1ドメインとp3配列の間に二量体化ドメインを挿入することによって修飾された。
【図38E】引き続きベクターpV0350−4のDNA(配列番号29)とアミノ酸配列を示す図である。pV0350−2bベクターは、重鎖定常CH1ドメインとp3配列の間に二量体化ドメインを挿入することによって修飾された。
【図38F】引き続きベクターpV0350−4のDNA(配列番号29)とアミノ酸配列を示す図である。pV0350−2bベクターは、重鎖定常CH1ドメインとp3配列の間に二量体化ドメインを挿入することによって修飾された。
【図39】異なる二量体化ドメインを有する構築物の概略を示す図である。ヒンジ領域とロイシンジッパーを有するFab’−zip、システインフリーのヒンジプラスジッパー(Fab’(C→A)−zip)、ジッパーのみ(Fab−zip)、システイン1個プラスジッパー(Fab−C−zip)、FabとcP3との間に単独のシステインが1個(Fab−C)。
【図40】二量体化ドメインの後のアンバー終止コドンの存在下(斜線)、またはアンバー終止コドンの非存在下(べた塗りバー)における、二量体化ドメインの変異を有する変異体のアビディティー指数を示す図である。検定は図20のように3反復で行い、アビディティー指数は、ErbB2−ECDなしでインキュベートした試料中の結合したファージと比較した、500nMのErbB2−ECDによるインキュベーションの後にも結合したままのファージの百分率である。相違の有意差は、t検定で分析した。アスタリスク1つ(*)はアンバー終止状態の等しいFabファージと比較した場合の有意差を表す(p値<0.001、但しFab’(C→A)−zipおよびFab−zip(−アンバー)はp値0.001〜0.003を持つ)。アスタリスク2つ(**)は、アンバー終止コドンがある場合とない場合を比較した場合の有意差を表す(p<0.01)。アスタリスク3つ(***)は、Fab’(C→A)−zipおよびFab−zipのアンバーのない構築物をFab’−zipファージと比較した場合の有意差を示す(p=0.003〜0.007)。
【図41】還元条件(パネルCおよびD)と非還元条件(パネルAおよびB)の下での、異なる二量体化ドメインを有する構築物のウェスタンブロットを示す図である。ファージ試料は各レーンの底に表示され、MWマーカーは左に表示されている。すべての構築物は、軽鎖のC末端に融合したgDタグを含む。ウェスタンブロット試料は非還元(−DTT;パネルAおよびB)または還元(+DTT;パネルCおよびD)条件下で用い、タンパク質は抗gD標識抗体(パネルAおよびC)または抗p3抗体(パネルBおよびD)で検出された。ファージ感染したXL−1Blue細胞は2YT培地で30℃で一晩培養し、ファージはPEG/NaClを用いて沈降により2回精製し、1mLの10mM TRIS、1.0mM EDTA、pH8.0で再懸濁した。ファージ試料(3×1011、1OD268=1.3×1013)は、95℃で5分間、SDS−PAGE試料緩衝液(2%SDS、20mMトリスpH6.8、10%グリセリン)中で、2mMのDTTを添加してまたは添加しないでインキュベートした。変性試料は4〜20%のトリス−グリシンゲル上を流し、PVDFフィルターへ電気移動させた。PVDFフィルターは、2%ミルクおよび0.1%Tween20の入ったトリスpH7.5、0.15 MのNaCl(ブロッキング緩衝)で2時間ブロックし、次にブロッキング緩衝中で2nMの抗gDタグ(左)または抗p3(右)抗体と1時間インキュベートした。フィルターはPBS、0.05%Tween20で洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ/ウサギ抗マウスFab複合体と30分間インキュベートし、ECL(商標)ウェスタンブロット法検出試薬(Amersham Life Sciences)で視覚化した。
【図42】天然抗体のCDRH3におけるアミノ酸の頻度の比較を示す図である(べた塗りバー)。コドンセット(A)DVK(斜線バー);(B)XYZ(斜線バー);および(C)NNK(斜線バー)によってコードされたアミノ酸。アミノ酸は以下のように分類される:フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)およびチロシン(Y)は芳香族アミノ酸であり、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、アラニン(A)およびメチオニン(M)は脂肪族アミノ酸、リジン(K)、アルギニン(R)およびヒスチジン(H)は塩基性アミノ酸、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は酸性アミノ酸、セリン(S)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)およびグルタミン(Q)は極性アミノ酸、プロリン(P)、グリシン(G)およびシステイン(C)は配座アミノ酸である。
【図43】CDRH3の配列の多様性および長さの多様性をコードしているオリゴヌクレオチドの実施形態を示す図である。これらのオリゴヌクレオチドは、左側の欄にF171、F185、F185aなどと示されている。各オリゴヌクレオチドを用いたCDRH3の各アミノ酸位置におけるアミノ酸配列を示す。ソース抗体4D5におけるCDRH3配列は、S93、R94、W95、G96、G97、D98、G99、F100、Y100a、A100b、M100c、D101およびY102である。アミノ酸位置93および94はフレームワーク位置と考えられている。いくつかの実施形態では、ある種の位置は1文字コードで示される固定されたアミノ酸を持つことができ、例えば、位置93はA(アラニン)であり;アミノ酸位置94は、R/K(アルギニン/リジン)でよく;アミノ酸位置100aは、A/G/V/D(アラニン/グリシン/バリン/アスパラギン酸)でよい。他のアミノ酸位置は、3つのイタリック大文字で同定されたコドンセット、例えばNNK、XYZ、NNS、KSGを用いて多様化される。CDRH3の長さは右の欄に示す。(配列番号:144−161)
【図44】実施例9で記載されている固体担体結合対象(−−−)または溶相対象結合を使って、高親和性抗VEGF抗体可変ドメインをライブラリーから選択する選別方策の概略を示す図である。
【図45】高親和性抗体可変ドメインを選ぶための2種類の選別方策を図解した図である。選別または選択は、実施例9で記載されているように、固体基質に結合した対象に対して選別すること、および/または溶相対象抗原に対して選別することを含む。
【図46】実施例8に記載されている競合ELISAからのIC50に基づく親和性測定と、同じクローンのKDとの相関を示す図である。
【図47】結合体の単一点競合ELISAの概略を示す図である。グラフは、約40のクローンをスクリーニングした結果を示す。結合阻害率は、試料足す対象と試料引く対象とのOD比率を計算することによって算出した。百分率(%)が低いほど潜在的な親和性は高い。結果は、40のクローンの間で、様々な親和性が観察された。クローンの約10%は非常に高い親和性であった。

Claims (50)

  1. それぞれが以下のアミノ酸配列を含む変異体CDRH3領域を含んでなる重鎖可変ドメインをそれぞれ含む、異なるポリペプチド配列を複数含むライブラリーであって、
    (X−X−X−X−X−X
    式中、Xは、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、
    は、KSG、DVK、DSG、NVT、KSG、NNS、XYZ、NNKのコドンセットでコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、フェニルアラニン、セリン、アラニン、グリシン、ロイシンもしくはトリプトファンであり、
    は、Xがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合には、アラニン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンであり、
    は、Xがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合はメチオニンであり、
    はアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、
    はチロシンまたはバリンであり;
    少なくとも一つの変異体CDRは、CDRH1、CDRH2もしくはその双方から選択され、少なくとも一つの変異体CDRは、少なくとも一つの溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置に変異体アミノ酸を有し、変異体アミノ酸は、非ランダムコドンセットによってコードされ、該非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも70%が既知の抗体可変ドメイン内のその位置の対象アミノ酸である、ライブラリー。
  2. がアラニンであり、Xがメチオニンであり、Xがアスパラギン酸であり、Xがチロシンである請求項1に記載のライブラリー。
  3. がチロシンである請求項1に記載のライブラリー。
  4. がロイシンまたはフェニルアラニンであり、XおよびXが存在せず、Xがアスパラギン酸であり、Xがチロシンである請求項1に記載のライブラリー。
  5. nが6である請求項2に記載のライブラリー。
  6. nが6である請求項4に記載のライブラリー。
  7. nが6、7または8である請求項1ないし6の何れか一項に記載のライブラリー。
  8. 抗体4D5のCDRH3においてXがアミノ酸位置95に対応し、nが6であり、Xがアミノ酸位置100aに対応し、Xがアミノ酸位置100bに対応する、請求項1ないし7の何れか一項に記載のライブラリー。
  9. 前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸が少なくとも50%の公知の抗体可変ドメインの対応する位置で見られるアミノ酸を含む、請求項1ないし8の何れか一項に記載のライブラリー。
  10. 前記変異体CDRがCDRH1およびCDRH2である、請求項1ないし9の何れか一項に記載のライブラリー。
  11. CDRH1がアミノ酸位置28、30、31、32および33の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、CDRH2がアミノ酸位置50、52、53、54、56および58の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含む、請求項10に記載のライブラリー。
  12. CDRH1およびCDRH2の各変異体アミノ酸位置が変異体アミノ酸を有し、
    1)CDRH1において、
    a)位置28の変異体アミノ酸はコドンセットAVTおよびWCCの組み合わせ、もしくはコドンセットWCCによってコードされるか、あるいはトレオニンであり、
    b)位置30の変異体アミノ酸はコドンセットRVMまたはAVTによってコードされ、
    c)位置31の変異体アミノ酸はコドンセットRVM、RVTまたはRRTによってコードされ、
    d)位置32の変異体アミノ酸はコドンセットWMYによってコードされ、
    e)位置33の変異体アミノ酸はコドンセットKVK、RNT、DMT、KMTまたはKGGまたはコドンセットKMTとKGGの組合せによってコードされ、
    また、
    2)CDRH2において、
    a)位置50の変異体アミノ酸はコドンセットKDTまたはDBGまたはコドンセットDGGとDHTの組合せによってコードされ、
    b)位置52の変異体アミノ酸はコドンセットDHTおよびDMTの組み合わせ、もしくはコドンセットDMTによってコードされ、
    c)位置53の変異体アミノ酸はコドンセットNMTまたはDMTによってコードされ、
    d)位置54の変異体アミノ酸はコドンセットRRC、もしくはコドンセットDMKおよびRRCの組み合わせ、もしくはコドンセットDMTおよびRRCの組み合わせ、もしくはコドンセットRRC、DMKおよびDMTの組み合わせによってコードされ、
    e)位置56の変異体アミノ酸はコドンセットDMKまたはDMTによってコードされ、
    f)位置58の変異体アミノ酸はコドンセットDMTまたはDACによってコードされる、請求項11に記載のライブラリー。
  13. 異なるポリペプチドがそれぞれ、
    a)請求項1ないし12のいずれかに記載の重鎖抗体可変ドメイン、および
    b)変異体CDRL1、CDRL2、CDRL3またはその混合物を含む軽鎖抗体可変ドメインを含む、少なくとも2つの抗体可変ドメインを含み、
    i)少なくとも1つの変異体CDRL1、CDRL2またはCDRL3またはその混合物は少なくとも1つの溶媒に露出した非常に多様なアミノ酸位置に変異体アミノ酸を有し、前記変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも70%は既知の抗体可変ドメインにおけるその位置の対象アミノ酸である、請求項1ないし12の何れか一項に記載のライブラリー。
  14. CDRL1がアミノ酸位置28、29、30、31および32の1つまたは複数の位置に変異体アミノ酸を含み、
    CDRL2がアミノ酸位置50および53の1つまたは複数の位置に変異体アミノ酸を含み、
    CDRL3がアミノ酸位置91、92、93、94および96の1つまたは複数の位置に変異体アミノ酸を含む、請求項13に記載のライブラリー。
  15. 各CDRの各変異体アミノ酸位置が変異体アミノ酸を有し、
    1)CDRL1において、
    a)位置28の変異体アミノ酸はRDTによってコードされ、
    b)位置29の変異体アミノ酸はRKTまたはRTTによってコードされ、
    c)位置30の変異体アミノ酸はRVWによってコードされ、
    d)位置31の変異体アミノ酸はコドンセットRVWまたはANWによってコードされ、
    e)位置32の変異体アミノ酸はコドンセットTHT、もしくはコドンDHTおよびTHTの組み合わせによってコードされ、
    2)CDRL2において、
    a)位置50の変異体アミノ酸はコドンセットKBGによってコードされ、
    b)位置53の変異体アミノ酸はコドンセットAVCによってコードされ、
    3)CDRL3において、
    a)位置91の変異体アミノ酸はコドンセットKMTまたはTMTまたはコドンセットTMTとSRTの組合せによってコードされ、
    b)位置92の変異体アミノ酸はコドンセットDMC、もしくはコドンDHTおよびDMCの組み合わせによってコードされ、
    c)位置93の変異体アミノ酸はコドンRVTまたはDHTによってコードされ、
    d)位置94の変異体アミノ酸はNHTまたはWHTによってコードされ、
    e)位置96の変異体アミノ酸はコドンセットHTT、TDK、もしくはコドンセットYKGおよびTWTの組み合わせ、コドンセットYHTと、HTT、YKGおよびTWTのうちの少なくとも一つとの組み合わせ、もしくは、コドンセットHWTと、HTT、YKGおよびTWTのうちの少なくとも一つとの組み合わせ、によってコードされる、請求項14に記載のライブラリー。
  16. それぞれがCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含んでなる重鎖可変ドメインをそれぞれ含む、異なるポリペプチド配列を複数含むライブラリーであって、
    (a)CDRH1は、アミノ酸位置28、30、31、32および33の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、
    (b)CDRH2は、アミノ酸位置50、52、53、54、56および58の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、
    (c)CDRH3は、アミノ酸位置95、96、97、98、99、100、100a、100b、100c、101および102の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはすべての位置に変異体アミノ酸を含み、
    前記アミノ酸位置は、カバットナンバリングシステムに対応し、(a)から(c)の変異体アミノ酸のそれぞれは非ランダムコドンセットでコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも50%から90%、またはすべてが抗体可変ドメインにおけるそのアミノ酸位置の対象アミノ酸であり、(c)の少なくとも1つの変異体アミノ酸は、コドンセットNNK、NNS、DVK、XYZまたはNVTまたはその混合体によってコードされる、ライブラリー。
  17. 異なるポリペプチドがそれぞれ重鎖抗体可変ドメインおよび軽鎖抗体可変ドメインを含む、請求項16に記載のライブラリー。
  18. 異なるポリペプチドがそれぞれウイルスコートタンパク質の少なくとも一部と融合している重鎖可変ドメインを含む、請求項1ないし17の何れか一項に記載のライブラリー。
  19. 前記ウイルスコートタンパク質がタンパク質pIII、主コートタンパク質pVIII、Soc、Hoc、gpD、pv1およびその変異体からなる群から選択される、請求項18に記載のライブラリー。
  20. 前記重鎖可変ドメインとウイルスコートタンパク質との間に二量体化ドメインをさらに含む、請求項18に記載のライブラリー。
  21. ペプチドタグと融合した軽鎖可変ドメインをさらに含む、請求項1ないし20の何れか一項に記載のライブラリー。
  22. 前記ペプチドタグがgD、c−myc、poly−his、蛍光タンパク質およびβ−ガラクトシダーゼからなる群から選択される、請求項21に記載のライブラリー。
  23. 異なるポリペプチドがそれぞれ、さらに重鎖抗体可変ドメインのC末端領域と結合した二量体化ドメインを含む、請求項1ないし22の何れかに記載のライブラリー。
  24. 前記二量体化ドメインがロイシンジッパードメインまたは少なくとも1つのシステイン残基を含む配列を含む、請求項23に記載のライブラリー。
  25. 前記二量体化ドメインが抗体からのヒンジ領域およびロイシンジッパーを含む、請求項24に記載のライブラリー。
  26. 前記二量体化ドメインが単一のシステインである、請求項23に記載のライブラリー。
  27. それぞれの異なるポリペプチドからの重鎖可変ドメインが、さらに単一の抗体鋳型からのFR1、FR2、FR3またはFR4を含む、請求項1ないし26の何れかに記載のライブラリー。
  28. 各FRが抗体4D5の配列(配列番号1)を有する、請求項27に記載のライブラリー。
  29. 抗体4D5の重鎖のアミノ酸位置49、93、94または97の1つ、2つ、3つまたはすべての位置の重鎖FR残基が変更された、請求項28に記載のライブラリー。
  30. 位置49の重鎖FRがアラニンまたはグリシンであり、位置93ではアラニンまたはセリンであり、位置94ではアルギニンまたはリジンまたはトレオニンであり、位置71ではアルギニン、バリンまたはアラニンである、請求項29に記載のライブラリー。
  31. それぞれの核酸が請求項1ないし30の何れか一項に記載のライブラリーの異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を含む、核酸のライブラリー。
  32. それぞれのベクターが、請求項31に記載のライブラリーの核酸を含む、ベクターのライブラリー。
  33. それぞれのベクターが複製可能な発現ベクターである、請求項32に記載のベクターのライブラリー。
  34. 前記複製可能な発現ベクターがM13、f1、fd、Pf3ファージもしくはその誘導体、またはラムドイドファージ、例えばラムダ、21、phi80、phi81、82、424、434など、もしくはその誘導体である、請求項33に記載のベクターのライブラリー。
  35. それぞれのウィルスが、その表面に提示された請求項1ないし30の何れか一項に記載のライブラリーの異なるポリペプチドを含む、ウィルスのライブラリー。
  36. 請求項1ないし30の何れか一項に記載のライブラリーであって、少なくとも1×10の異なる重鎖可変ドメイン配列を有するライブラリー。
  37. 請求項33または請求項34に記載のベクターのライブラリーを含む、単離された宿主細胞。
  38. 複数のポリペチドを含むライブラリーを作製する方法であって、
    a)CDRH1またはCDRH2またはその双方、およびCDRH3、またはそれらの混合物の少なくとも1つの変異体CDRを含む複数のポリペプチドを作製するステップを含み、
    i)変異体CDRH3を含む複数のポリペプチドは、下記アミノ酸配列の1つまたは複数のアミノ酸位置を置換することによって形成され、
    (X−X−X−X−X−X
    式中、Xは、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、
    は、KSG、DVK、DSG、NVT、KSG、NNS、XYZ、NNKのコドンセットでコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、フェニルアラニン、セリン、アラニン、グリシン、ロイシンもしくはトリプトファンであり、
    は、Xがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合には、アラニン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンであり、
    は、Xがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合はメチオニンであり、
    はアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、
    はチロシンまたはバリンであり、
    ii)少なくとも1つの溶媒に露出した非常に多様な位置に少なくとも1つの変異体アミノ酸を含む複数の変異体CDRH1またはCDRH2またはその両方を形成するステップを含み、前記変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも70%は既知の抗体可変ドメインにおけるその位置の対象アミノ酸である方法。
  39. さらに、
    i)変異体CDRL1、CDRL2またはCDRL3またはその混合物を含む複数のポリペプチドを生成するステップを含み、前記変異体CDRは溶媒に露出し非常に多様な位置の少なくとも1つの変異体アミノ酸で形成され、前記変異体アミノ酸は非ランダムコドンセットによってコードされ、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも70%は既知の抗体可変ドメインにおけるその位置の対象アミノ酸である、請求項38に記載の方法。
  40. 対象抗原に結合する抗原結合可変ドメインを選択する方法であって、
    a)請求項1ないし30の何れかに記載の複数のポリペプチドのライブラリーを作製するステップと、
    b)ライブラリーから対象抗原に結合するポリペプチド結合体を選択するステップと、
    c)前記ポリペプチド結合体を非結合体から単離するステップと、
    e)単離されたポリペプチド結合体から高親和性結合体を同定するステップとを含む方法。
  41. 抗体可変ドメインのライブラリーから対象抗原に結合する抗原結合可変ドメインを選択する方法であって、
    a)請求項1ないし30の何れかに記載の抗体可変ドメインのライブラリーを対象抗原と接触させて結合体を形成するステップと、
    b)前記結合体を非結合体から分離し、この結合体を前記対象抗原から溶出させ、この結合体を濃度を段階的に0.1nMから1000nMまで下げた前記対象抗原の溶液でインキュベートするステップと、
    c)最も低い濃度の前記対象抗原と結合することができ、0.1nMから200nMの親和性を有する結合体を選択するステップとを含む方法。
  42. 前記対象抗原がVEGF、IGF−1またはHer−2である、請求項40または41に記載の方法。
  43. 前記対象抗原の濃度が約100から250nMである、請求項41に記載の方法。
  44. 前記対象抗原の濃度が約25から100nMである、請求項41に記載の方法。
  45. 前記混合物に過剰な量の非標識対象抗原を加え、標識された対象抗原から低親和性結合体を溶出させるのに十分な時間インキュベートするステップをさらに含む、請求項40ないし44の何れか一項に記載の方法。
  46. 前記ステップが2回繰り返され、対象の濃度が、第1回目の選択では100nMから250nMであり、第2回目の選択では25nMから100nMであり、第3回目の選択では0.1nMから25nMである、請求項41ないし45の何れか一項に記載の方法。
  47. 請求項1ないし30の何れかに記載の複数のポリペプチドを含んでいるライブラリーをスクリーニングする方法であって、
    a)前記ポリペプチドと対象抗原との結合に適した条件下で、前記ライブラリーの第1の試料をある濃度の前記対象抗原とインキュベートするステップと、
    b)前記ライブラリーの第2の試料を、対象抗原を加えないでインキュベートするステップと、
    c)第1と第2の試料のそれぞれを、前記ポリペプチドと固定化された対象抗原との結合に適した条件下で、この固定化対象抗原と接触させるステップと、
    d)各試料について、固定化された対象抗原に結合したポリペプチドを検出するステップと、
    e)第1の試料の結合したポリペプチドの量と第2の試料の結合したポリペプチドの量の比率を計算することによって、前記対象抗原に対するポリペプチドの親和性を決定するステップとを含む方法。
  48. a)CDRL1、L2、L3、H1、H2およびH3からなる群から選択されるソース抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべてのCDRを含むソース抗体の軽鎖可変ドメイン、重鎖可変ドメインまたはその両方をコードするポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを構築するステップと、
    b)非ランダムコドンセットを用いて前記ソース抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはすべてのCDRを少なくとも1つの溶媒に露出する、非常に多様なアミノ酸位置で突然変異させるステップであって、前記非ランダムコドンセットによってコードされるアミノ酸の少なくとも50%は天然抗体におけるその位置の対象アミノ酸であるステップ;および
    c)アミノ酸配列:
    (X−X−X−X−D−X
    を含み、少なくとも1つのアミノ酸位置で突然変異されたCDRH3に突然変異させるステップであって、
    該突然変異は、
    は、NNK、NNS、DVK、NVT、XYZのコドンセットによってコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはトリプトファンもしくはグリシンもしくはその混合物であり、nは4から14であり、
    は、KSG、DVK、DSG、NVT、KSG、NNS、XYZ、NNKのコドンセットでコードされるいずれかの天然アミノ酸、またはチロシン、フェニルアラニン、セリン、アラニン、グリシン、ロイシンもしくはトリプトファンであり、
    はXがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合には、アラニン、バリン、アスパラギン酸またはグリシンであり、
    はXがフェニルアラニンまたはロイシンのときは存在せず、あるいは存在する場合はメチオニンであり、
    はアスパラギン酸、アラニン、バリンまたはグリシンであり、
    はチロシンまたはバリンである
    からなる群から選択される、ステップを含む、方法。
  49. CDRH1を抗体4D5のアミノ酸28、30、31、32および33に対応するアミノ酸位置で突然変異させ、CDRH2を抗体4D5のアミノ酸位置50、52、53、54、56および58に対応するアミノ酸位置で突然変異させる、請求項48に記載の方法。
  50. が抗体4D5のアミノ酸位置95に対応しnが6であり、Xが抗体4D5のアミノ酸位置100aに対応し、Xが抗体4D5のアミノ酸位置100bに対応し、Xが抗体4D5のアミノ酸位置100cに対応し、Xが抗体4D5のアミノ酸位置102に対応する、請求項49に記載の方法。
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