I.定義
本明細書に使用される「約(about)」という用語は、本技術分野の当業者であれば容易に理解している、それぞれの値に対して通例的な誤差範囲を指す。本明細書において「約(about)」ある値またはパラメーターへの参照は、その値またはパラメーター自体を対象とした実施形態を含む(また記載する)。
本明細書における目的では、「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下に定義される、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよく、またはそれはアミノ酸配列変化を含有してもよい。一部の実施形態では、アミノ酸変化の数は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、または2個以下である。一部の実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の、共有結合ではない相互作用の強度の総計を指す。別途示されない限り、本明細書に使用されるとき、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)の間の1:1の相互作用を反映する、本来の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例証的及び例示的な実施形態が、以下に記載される。
「親和性成熟」抗体は、1つ以上のHVR及び/またはフレームワーク領域に1つ以上の変化を有し、これらの変化が、変化(複数可)を有さない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の向上をもたらす。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたは更にはピコモルの親和性を有するであろう。親和性成熟抗体は、当該技術分野で既知の手順によって産生される。例えば、Marks et al.Bio/Technology 10:779−783,1992は、VH及びVLのドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載している。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異生成は、Barbas et al.Proc.Natl.Acad.USA 91:3809−3813,1994、Schier et al.Gene 169:147−155,1995、Yelton et al.J.Immunol.155:1994−2004,1995、Jackson et al.J.Immunol.154(7):3310−3319,1995、及びHawkins et al.J.Mol.Biol.226:889−896,1992によって記載されている。
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、所望される抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、抗IL−33/抗IL−13二重特異性抗体を含む、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメントを含むがこれらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。
本明細書に使用される「インターロイキン−33(IL−33)」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のIL−33を指す。IL−33はまた、当該技術分野において、高内皮細静脈の核内因子(NF−HEV、例えば、Baekkevold et al.Am.J.Pathol.163(1):69−79,2003を参照されたい)、DVS27、C9orf26、及びインターロイキン−1ファミリーメンバー11(IL−1F11)とも称される。この用語は、「全長」のプロセシングされていないIL−33、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるIL−33の任意の形態を包含する。ヒトの全長のプロセシングされていないIL−33は、270個のアミノ酸(a.a.)を含み、IL−331−270と称されることもある。ヒトIL−33のプロセシング形態としては、例えば、IL−3395−270、IL−3399−270、IL−33109−270、IL−33112−270、IL−331−178、及びIL−33179−270が挙げられる(Lefrancais et al.Proc.Natl.Acad.109(5):1673−1678,2012及びMartin,Semin.Immunol.25:449−457,2013)。一部の実施形態では、ヒトIL−33のプロセシング形態、例えば、IL−3395−270、IL−3399−270、IL−33109−270、またはカルパイン、プロテイナーゼ3、好中球エラスターゼ、及びカテプシンGなどのプロテアーゼによってプロセシングされた他の形態は、全長IL−33と比較して向上した生物学的活性を有し得る。この用語はまた、IL−33の天然の変異形、例えば、スプライス変異形(例えば、エクソン3を欠く構成的に活性なスプライス変異形spIL−33、Hong et al.J.Biol.Chem.286(22):20078−20086,2011)またはアレル変異形を包含する。IL−33は、細胞内(例えば、核内)に存在し得るか、または分泌サイトカイン形態として存在し得る。全長IL−33タンパク質は、核局在化配列(ヒトIL−33のアミノ酸1〜75)を含むヘリックスターンヘリックスのDNA結合モチーフを含んでおり、これには、クロマチン結合モチーフ(ヒトIL−33のアミノ酸40〜58)が含まれる。プロセシングされ、分泌されたIL−33の形態には、これらのN末端モチーフが欠けている。例示的なヒトIL−33のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号O95760に見出すことができる。
「IL−33軸」とは、IL−33シグナル伝達に関与する核酸(例えば、遺伝子若しくは遺伝子から転写されたmRNA)またはポリペプチドを意味する。例えば、lL−33軸としては、リガンドIL−33、受容体(例えば、ST2及び/若しくはIL−1RAcP)、アダプター分子(例えば、MyD88)、または受容体分子及び/若しくはアダプター分子と関連するタンパク質(例えば、インターロイキン−1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)及びインターロイキン−1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)などのキナーゼ、またはTNF受容体関連因子6(TRAF6)などのE3ユビキチンリガーゼ)を挙げることができる。
本明細書に互換的に使用される「インターロイキン1受容体様1(IL1RL1)」及び「ST2」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のST2を指す。ST2はまた、当該技術分野において、DER4、T1、及びFIT−1とも称される。この用語は、「全長」のプロセシングされていないST2、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるST2の任意の形態を包含する。ST2には、以下に記載されるように、二重プロモーター系からの差次的mRNA発現により生じる可溶性(sST2、IL1RL1−aとしても知られる)及び膜貫通(ST2L、IL1RL1−bとしても知られる)、ならびに選択的スプライシングから生じるST2V及びST2LVを含む、少なくとも4つのアイソフォームが当該技術分野で知られている。ST2Lのドメイン構造には、3つの細胞外免疫グロブリン様C2ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質Toll/インターロイキン−1受容体(TIR)ドメインが含まれる。sST2は、ST2Lには含まれている膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインが欠けており、固有の9個のアミノ酸(a.a.)C末端配列が含まれる(例えば、Kakkar et al.Nat.Rev.Drug Disc.7:827−840,2008を参照されたい)。sST2は、可溶性IL−33を阻害するデコイ受容体として機能し得る。この用語はまた、ST2の天然の変異形、例えば、スプライス変異形(例えば、3つ目の免疫グロブリンモチーフを欠き、固有の疎水性尾部を有するST2V、及びST2Lの膜貫通ドメインを欠くST2LV)またはアレル変異形(例えば、本明細書に記載されるように、喘息の危険性に対して保護する変異形または喘息の危険性を与える変異形)を包含する。例示的なヒトST2のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q01638に見出すことができる。ST2は、共受容体IL−1RAcPと共に、IL−33受容体の1つである。IL−33がST2と境受容体インターロイキン−1受容体補助タンパク質(IL−1RAcP)に結合することにより、図1Aに示されるように、下流シグナル伝達を促進する1:1:1の三重シグナル伝達複合体が形成される(例えば、Lingel et al.Structure 17(10):1398−1410,2009及びLiu et al.Proc.Natl.Acad.110(37):14918−14924,2013を参照されたい)。
「抗IL−33抗体」、「IL−33に結合する抗体」、及び「IL−33に特異的に結合する抗体」という用語は、抗体が診断剤及び/または治療剤としてIL−33を標的とすることに有用となるような十分な親和性でIL−33に結合することができる抗体を指す。一実施形態では、抗IL−33抗体の無関係の非IL−33タンパク質への結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定した場合に、この抗体のIL−33への結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、IL−33に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば10−9 M〜10−13M)の解離定数(KD)を有する。ある特定の実施形態では、抗IL−33抗体は、異なる種に由来するIL−33の間で保存されているIL−33のエピトープに結合する。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、参照抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する抗体、及び逆に、競合アッセイにおいて、抗体とその抗原との結合を50%以上遮断する参照抗体を指す。例示的な競合アッセイは、本明細書に提供される。
「抗体フラグメント」には、インタクトな抗体の一部分、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域が含まれる。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント;ダイアボディ;直鎖抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapata et al.Protein Eng.8(10):1057−1062,1995を参照されたい);一本鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。
抗体のパパイン分解により、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一な抗原結合フラグメントと、容易に結晶化する能力を反映して表記される残りの「Fc」フラグメントとが得られる。Fabフラグメントは、H鎖の可変領域ドメイン(VH)と共にL鎖全体、ならびに1つの重鎖の第1の定常領域ドメイン(CH1)からなる。抗体のペプシン処理により、2つのFabフラグメントがジスルフィド結合した、二価の抗原結合活性を有するものにほぼ相当し、依然として抗原に架橋することが可能である、単一の大きなF(ab’)2フラグメントが得られる。Fab’フラグメントは、抗体のヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含めCH1ドメインのカルボキシ末端に追加の数個の残基を有することが、Fabフラグメントとは異なっている。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’の本明細書における表記である。F(ab’)2抗体フラグメントは、元々は、間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として産生された。抗体フラグメントの他の化学的結合もまた、既知である。
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部分を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義して使用される。この用語は、天然配列のFc領域及び変異形のFc領域を含む。一実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端にまで及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在することもあれば、しないこともある。本明細書において別途示されない限り、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも称されるEU番号付けシステムに従う。
「Fv」は、1つの重鎖及び1つの軽鎖の可変領域ドメインが緊密な比共有結合で結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みにより、抗原結合のためのアミノ酸に寄与し、抗原結合特異性を抗体に与える、6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が得られる。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHのみを含むFvの半分)ですら、親和性は全結合部位より低い場合があるとはいえ、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
「sFv」または「scFv」と短縮されることもある「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に結合されているVH及びVL抗体ドメインを含む、抗体フラグメントである。好ましくは、sFvポリペプチドは、更に、VH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを含んでおり、このリンカーにより、sFvが抗原結合に望ましい構造を成すことが可能となっている。sFvに関する考察については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315,1994を参照されたい。
「ダイアボディ」という用語は、鎖内ではなく鎖間のVドメイン対合が達成され、二価フラグメント、すなわち、2つの抗原結合部位を有するフラグメントが得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5〜10個の残基)を用いてsFvフラグメント(前の段落を参照されたい)を構築することによって調製された小さな抗体フラグメントを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメイン及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「交差」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第WO93/11161号、及びHollinger et al.Proc.Natl.Acad.USA 90:6444−6448,1993により詳細に記載されている。
「結合ドメイン」は、標的のエピトープ、抗原、リガンド、または受容体に特異的に結合する、化合物または分子の一部を意味する。結合ドメインとしては、抗体(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト化抗体、及びキメラ抗体)、抗体フラグメントまたはその一部分(例えば、Fabフラグメント、Fab’2、scFv抗体、SMIP、ドメイン抗体、ダイアボディ、ミニボディ、scFv−Fc、アフィボディ、ナノボディ、ならびに抗体のVH及び/またはVLドメイン)、受容体、リガンド、アプタマー、ならびに特定された結合パートナーを有する他の分子が挙げられるがこれらに限定されない。
「遮断」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害または低減させるものである。ある特定の遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的にまたは完全に阻害する。
「細胞に基づく遮断アッセイ」は、抗体が、それが結合した抗原の生物学的活性を阻害または低減させる能力を測定することができる、アッセイを指す。例えば、細胞に基づくアッセイを用いて、特定の生物学的または生化学的機能を阻害するのに必要とされる抗体の濃度を測定することができる。一部の実施形態では、細胞に基づく遮断アッセイを用いて、抗体(例えば、本発明の抗IL−33抗体)の半数阻害濃度(IC50)及び/または90%阻害濃度(IC90)が測定される。一部の実施形態では、細胞に基づく遮断アッセイを用いて、抗体がリガンド(例えば、IL−33)とその受容体(例えば、ST2及び/または共受容体IL−1RAcP)との間の相互作用を遮断するかどうかを判定する。IL−33の例示的な細胞に基づく遮断アッセイは、本明細書では実施例2Bに提供される。IL−33の更なる例示的な細胞に基づく遮断アッセイは、本明細書において例えば実施例8に提供され、これには、初代ナチュラルキラー(NK)細胞アッセイ及び初代好塩基球細胞アッセイが含まれる。
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメインまたは定常領域の型を指す。IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つの主要な抗体クラスがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分割され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれている。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列のFc領域またはアミノ酸配列変異形Fc領域)に帰属する生物学的活性を指し、抗体の愛想タイプに応じて多様である。抗体のエフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞毒性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、ファゴサイトーシス、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、ならびにB細胞活性化が挙げられる。
「抗体依存性細胞媒介性細胞毒性」または「ADCC」は、ある特定の細胞毒性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)に存在するFc受容体(FcR)に分泌型Igが結合することにより、これらの細胞毒性エフェクター細胞が抗原保有標的細胞に特異的に結合し、次いで細胞毒により標的細胞を殺滅させることを可能にする、細胞毒性の形態を指す。抗体は細胞毒性細胞を「備え」ており、このような殺滅には絶対に必要である。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、一方で単球はFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457−492,1991の464頁の表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されるものなどのインビトロADCCアッセイを行っても良い。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替または追加として、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.USA 95:652−656,1998に開示されるものといった動物モデルにおいて、評価してもよい。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を示す。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、これらの受容体のアレル変異形及び代替としてはスプライシング形態を含め、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害性受容体」)を含み、これらは、主としてその細胞質ドメインが異なる、類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体であるFcγRIIAは、その細胞質ドメインに、免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害性受容体であるFcγRIIBは、その細胞質ドメインに、免疫受容体チロシンに基づく阻害モチーフ(ITIM)を含む(review M.in Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234,1997を参照されたい)。FcRは、例えば、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457−492,1991、Capel et al.Immunomethods 4:25−34,1994、及びde Haas et al.J.Lab.Clin.Med.126:330−41,1995において考察されている。今後特定されるものを含め、他のFcRは、本明細書において「FcR」という用語に包含される。この用語はまた、母体IgGの胎児への移入を担う胎児性受容体であるFcRnを含む(例えば、Guyer et al.J.Immunol.117:587,1976及びKim et al.J.Immunol.24:249,1994を参照されたい)。
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を行う、白血球である。好ましくは、この細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を行う。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞、及び好中球が挙げられ、PBMC及びNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、天然の源、例えば血液から単離することができる。
「補体依存性細胞毒性」または「CDC」は、補体の存在下における標的細胞の溶解を指す。古典的な補体経路の活性化は、補体系(C1q)の第1の成分が、同種抗原に結合した(適切なサブクラスの)抗体に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano−Santoro et al.J.Immunol.Methods 202:163,1996に記載されるCDCアッセイを行ってもよい。
「エピトープ」は、抗体が選択的に結合する抗原の部分である。ポリペプチド抗原については、エピトープは、通常、約4〜15個のアミノ酸残基のペプチド部分である。
「全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、天然の抗体構造に実質的に類似な構造を有するか、または本明細書に定義されるFc領域を含む重鎖を有する、抗体を指して、本明細書に互換的に使用される。
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のものに対応するアミノ酸配列を有するもの、及び/またはヒト抗体を作成するための技法のうちの任意のものを用いて作製されているものである。ヒト抗体のこの定義は、比ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を代表する、フレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列の下位集団から行われる。一般に、配列の下位集団は、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91−3242,Bethesda MD,vols.1−3,1991にあるような下位集団である。一実施形態では、VLに関して、下位集団は、Kabat et al.(上記)にあるような下位集団カッパIIIまたはカッパIVである。一実施形態では、VHに関して、下位集団は、Kabat et al.(上記)にあるような下位集団IIIである。
非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体由来の配列を最小限に含んだキメラ抗体である。ほとんどの部分に関して、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望される抗体特異性、親和性、及び機能性を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基で置き換えられている。一部の事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体には見られない残基を含んでもよい。これらの修飾を行って、抗体の性能を更に改良してもよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、超可変ループの全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものが含まれるであろう。更に詳しくは、Jones et al.Nature 321:522−525,1986、Riechmann et al.Nature 332:323−329,1988、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596,1992を参照されたい。
「免疫コンジュゲート」は、細胞毒性剤を含むがこれらに限定されない1つ以上の異種分子(複数可)にコンジュゲートされた抗体である。
本明細書に開示される様々な抗体について記載するために用いられる場合、「単離」という用語は、抗体が発現された細胞または細胞培養物から特定され、分離及び/または回収されている、抗体を意味する。その天然環境の混入成分は、典型的に、ポリペプチドの診断上または治療上の使用を妨げる材料であり、これらには、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性若しくは非タンパク質性の溶質を挙げることができる。一部の実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動法(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動法)またはクロマトグラフィー法(例えば、イオン交換若しくは逆相HPLC)の方法によって判定した場合に、95%または99%を超える純度まで精製される。抗体の純度を評価するための方法の概説については、例えば、Flatman et al.J.Chromatogr.B 848:79−87,2007を参照されたい。好ましい実施形態では、抗体は、(1)スピニングカップシーケネータ(spinning cup sequenator)を使用してN末端若しくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、または(2)クーマシーブルー若しくは好ましくは銀染色を用いて非還元若しくは還元条件下でSDS−PAGEによって均質になるまで、精製されるであろう。単離抗体には、組み換え細胞内でインサイツの抗体が含まれるが、これは、ポリペプチドの天然環境の少なくとも1つの構成成分が存在しないためである。しかしながら、通常は、単離ポリペプチドは少なくとも1つの精製ステップによって調製されるであろう。
本明細書に使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は同一であり、かつ/または同じエピトープに結合するが、例えば、天然の変異を含むか、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる、可能性のある変異形抗体は例外であり、このような変異形は、通常少量で存在している。異なる決定基(エピトープ)に指向される異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物中の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に指向されるものである。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示すものであり、いずれかの特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるものではない。例えば、本発明により使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含むトランスジェニック動物を用いる方法を含むがこれらに限定されない様々な技法によって作製することができ、かかる方法及びモノクローナル抗体を作製するための他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
「多重特異性抗体」という用語は、最も広義に使用され、特に、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体を含み、ここで、このVHVL単位は、多重エピトープ特異性(すなわち、1つ生物分子上の2つの異なるエピトープまたは別々の生物分子上のそれぞれのエピトープに結合することができる)を有する。かかる多重特異性抗体としては、全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、抗体フラグメント、例えば、Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ及びトリアボディ、共有結合または非共有結合で連結されている抗体フラグメントなどが挙げられるがこれらに限定されない。「多重エピトープ特異性」とは、同じかまたは異なる標的(複数可)上の2つ以上の異なるエピトープに特異的に結合することができる能力を指す。「二特異性」または「二重特異性」とは、同じかまたは異なる標的(複数可)上の2つの異なるエピトープに特異的に結合することができる能力を指す。しかしながら、二重特異性抗体とは対照的に、二特異性抗体は、アミノ酸配列が同一である2つの抗原結合アームを有し、各Fabアームにより2つの抗原を認識することができる。二特異性は、抗体が、高い親和性で単一のFabまたはIgG分子として2つの異なる抗原と相互作用することを可能にする。一実施形態によると、IgG1の形態の多重特異性抗体は、各エピトープに、5μM〜0.001pM、3μM〜0.001pM、1μM〜0.001pM、0.5μM〜0.001pM、または0.1μM〜0.001pMの親和性で結合する。「単一特異性」とは、1つのエピトープのみに結合する能力を指す。
本明細書に使用される「ノブ・イン・ホール」または「KnH」技術という用語は、2つのポリペプチドを、それらが相互作用する界面において一方のポリペプチドに***(ノブ)を導入し、他方のポリペプチドに空洞(ホール)を導入することにより、インビトロまたはインビボで一緒に対合することを誘導する技術を指す。例えば、KnHは、抗体のFc:Fc結合界面、CL:CH1界面、またはVH/VL界面に導入されている(例えば、米国公開第2011/0287009号、同第US2007/0178552号、国際公開第WO96/027011号、同第WO98/050431号、及びZhu et al.Protein Science 6:781−788,1997を参照されたい)。一部の実施形態では、KnHにより、多重特異性抗体の製造中に2つの異なる重鎖を一緒に対合することが促進される。例えば、Fc領域内にKnHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に連結された単一可変ドメインを更に含むことができるか、または同様の若しくは異なる軽鎖可変ドメインと対合する異なる重鎖可変ドメインを更に含むことができる。KnH技術はまた、2つの異なる受容体の細胞外ドメインを一緒に対合するか、または異なる標的認識配列を含む任意の他のポリペプチド配列(例えば、アフィボディ、ペプチボディ、及び他のFc融合体を含む)を対合するために使用することができる。
本明細書に使用される「ノブ変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面において、ポリペプチドに***(ノブ)を導入する、変異を指す。一部の実施形態では、他のポリペプチドは、ホール変異を有する(例えば、米国特許第5,731,168号、同第5,807,706号、同第5,821,333号、同第7,695,936号、及び同第8,216,805号を参照されたく、これらは、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
本明細書に使用される「ホール変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面において、ポリペプチドに空洞(ホール)を導入する、変異を指す。一部の実施形態では、他のポリペプチドは、ノブ変異を有する(例えば、米国特許第5,731,168号、同第5,807,706号、同第5,821,333号、同第7,695,936号、及び同第8,216,805号を参照されたく、これらは、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
「ネイキッド抗体」とは、異種部分(例えば、細胞毒性部分)または放射標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体が薬学的組成物中に存在してもよい。
抗体と標的分子との結合に関して、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的な結合」または「特異的に結合する」または「特異的である」という用語は、非特異的相互作用とはある程度異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、ある分子の結合を、対照分子の結合と比較して判定することによって測定することができる。例えば、特異的結合は、標的に類似である対照分子、例えば、過剰な非標識標的との競合によって、判定することができる。この事例では、特異的結合は、標識した標的のプローブへの結合が、過剰な非標識標的によって競合的に阻害された場合に、示される。本明細書に使用される、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに「特異的な結合」または「特異的に結合する」または「特異的である」という用語は、例えば、標的に対して10−4M以下、代替として10−5M以下、代替として10−6M以下、代替として10−7M以下、代替として10−8M以下、代替として10−9M以下、代替として10−10M以下、代替として10−11M以下、代替として10−12M以下のKD、または10−4M〜10−6M若しくは10−6M〜10−10M若しくは10−7M〜10−9MのKDを有する分子によって表してもよい。当業者には理解されるように、親和性及びKDの値は、逆相関している。抗原の高い親和性は、低いKD値によって測定される。一実施形態では、「特異的な結合」という用語は、ある分子が、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに、任意の他のポリペプチドまたはポリペプチドのエピトープに実質的に結合することなく結合する、結合を指す。
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定のセグメントが、抗体によって配列が大幅に異なるという事実を指す。可変または「V」ドメインは、抗原結合を媒介し、かつ特定の抗体の特定の抗原に対する特異性を定める。しかしながら、可変性は、110個のアミノ酸の長さの可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。そうではなく、V領域は、15〜30個のアミノ酸の複数のフレームワーク領域(FR)と称される比較的不変の範囲が、それぞれ9〜12個のアミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極めて可変性の高い短い領域によって分離されたものからなる。本明細書に使用されるとき、「超可変領域」または「HVR」という用語は、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、例えば、VLでは大体残基24〜34(L1)、50〜56(L2)、及び89〜97(L3)、ならびにVHでは残基約26〜35(H1)、49〜65(H2)、及び95〜102(H3)(一実施形態では、H1は、残基約31〜35)、Kabatら(上記))からのアミノ酸残基、ならびに/または「超可変ループ」(例えば、VLでは残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、及び91〜96(L3)、ならびにVHでは26〜32(H1)、53〜55(H2)、及び96〜101(H3)、Chothia et al.J.Mol.Biol.196:901−917,1987からの残基を含む。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれが、主としてベータシート構造を取る4つのFRを含み、これが3つの超可変領域によって結合され、それによってベータシート構造を結合するループ、またいくつかの場合にはその一部を形成するループが形成される。各鎖における超可変領域は、FRによって、他方の鎖の超可変領域と近接して保持されており、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabatら(上記)を参照されたい)。したがって、HVR及びFRの配列は、一般に、VH(またはVL)では次の配列で現れる:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4。定常ドメインは、抗体と抗原との結合に直接関与しないが、その抗体の抗体依存性細胞毒性(ADCC)への関与など、様々なエフェクター機能を呈する。
「Kabatにおける可変ドメイン残基の番号付け」または「Kabatにおけるアミノ酸位の番号付け」及びそれらの変化形は、Kabatら(上記)における抗体の集合物の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の直鎖アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮またはそこへの挿入に対応して、より少ないかまたは追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)、ならびに重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82cなど)を含み得る。残基のKabatの番号付けは、抗体の配列と「標準的な」Kabat配列との相同性の領域でアライメントをすることによって、所与の抗体に関して決定され得る。
Kabat番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン内の残基(軽鎖の残基1〜107及び重鎖の残基1〜113)を指すときに用いられる(例えば、Kabatら(上記))。「EU番号付けシステム」または「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基を指すときに用いられる(例えば、Kabatら(上記)に報告されているEUインデックス)。「KabatにおけるEUインデックス」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。本明細書に別途示されない限り、抗体の可変ドメイン内の残基番号の参照は、Kabat番号付けシステムによる残基番号付けを意味する。本明細書に別途示されない限り、抗体の定常ドメイン内の残基番号の参照は、EU番号付けシステムによる残基番号付けを意味する(例えば、米国仮出願第60/640,323号、EU番号付けに関する図を参照されたい)。
本明細書に使用されるとき、「投与する」とは、ある投薬量の化合物(例えば、本発明の抗IL−33抗体若しくは本発明の抗IL−33抗体をコードする核酸)または組成物(例えば、薬学的組成物、例えば、本発明の抗IL−33抗体を含む薬学的組成物)を対象に与える方法を意味する。本明細書に記載される方法に用いられる組成物は、例えば、硝子体内、筋肉内、静脈内、皮内、経皮(percutaneously)、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内(intraprostatically)、胸膜内、気管内、くも膜内(intrathecally)、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹膜内、皮下、結膜下、小胞内、経粘膜、心膜内、臍帯内、眼球内、眼窩内、経口、局所、経皮(transdermally)、眼窩周囲、結膜、テノン嚢下、前房内、網膜下、眼球後、毛細胆管内(intracanalicularly)、吸入、注射、埋め込み、注入、持続注入、標的細胞に直接的に流す局所灌流、カテーテル、洗浄、クリーム、または脂質組成物で投与することができる。本明細書に記載される方法に用いられる組成物はまた、全身または局所に投与することができる。投与方法は、様々な要因(例えば、投与される化合物または組成物、ならびに治療される状態、疾患、または障害の重症度)に応じて多様であり得る。
「喘息」という用語は、本明細書では、多様な再発性の症状、可逆的気流閉塞(例えば、気管支拡張剤による)、気管支過敏を特徴とする障害を指し、これらは、潜在的な炎症を伴うこともあれば、そうでないこともある。喘息は、したがって、炎症性/炎症喘息または非炎症性/非炎症喘息であり得る。喘息の例としては、アレルギー性喘息、運動誘発性喘息、アスピリン感受性/悪化性喘息、アトピー性喘息、重度の喘息、軽度の喘息、中等度〜重度の喘息、コルチコステロイド未投与喘息、慢性喘息、副腎皮質ステロイド耐性喘息、コルチコステロイド不応性喘息、新たに診断された未処置の喘息、喫煙に起因する喘息、コルチコステロイドで制御不良な喘息(asthma uncontrolled on corticosteroid)、及びBousquet et al.J.Allergy Clin.Immunol.126(5):926−938,2010に記載されている他の喘息が挙げられる。
「障害」または「疾患」は、本抗体での処置により利益を得るであろう任意の状態である。例えば、障害は、IL−33媒介性障害であり得る。これには、哺乳動物が問題の障害にかかる素因となる病態を含め、慢性及び急性の障害または疾患が含まれる。本明細書における治療されるべき障害の例としては、IL−33媒介性障害(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び線維症(例えば、肺線維症、例えば、特発性肺線維症))が挙げられる。
「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化学化合物である。化学療法剤の例としては、チオテパ及びシクロスホスファミド(CYTOXAN(登録商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、イムプロスルファン、及びピポスルファン等のスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチロメラミンを含む、エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン;デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)、及び9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドレゼシン、カルゼレシン、及びビセレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチンA;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード等の窒素マスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン等のニトロソ尿素類;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガIl(例えば、Nicolaou et al.Angew.Chem Intl.Ed.Engl.,33:183−186(1994));CDP323、経口アルファ−4インテグリン阻害剤;ダイネミシンAを含む、ダイネミシン;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射(DOXIL(登録商標))、リポソームドキソルビシンTLC D−99(MYOCET(登録商標))、ペグ化(peglylated)リポソームドキソルビシン(CAELYX(登録商標))、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、テガフール(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポチロン、及び5−フルオロウラシル(5−FU);コンブレタスタチン;葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤(anti−adrenal)、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補液(folic acid replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビスアントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エルフォミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシノイド、例えばマイタンシン及びアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド(2−ethylhydrazide);プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products、Eugene,Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(ABRAXANE(商標))、及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhome−Poulene Rorer,Antony,France);クロランブシル(chloranbucil);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金剤、例えばシスプラチン、オキサリプラチン(例えば、ELOXATIN(登録商標))、及びカルボプラチン;チューブリン重合により微小管が形成されるのを防止する、ビンブラスチン(VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標))、及びビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))を含む、ビンカ類;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ロイコボリン;ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標))を含む、レチノイン酸などのレチノイド類;クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE−58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、または、リセドロネート(ACTONEL(登録商標))などのビスホスホネート類;トロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関連するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC−アルファ、Raf、H−Ras、及び上皮成長因子受容体(EGF−R)(例えば、エルロチニブ(Tarceva(商標))など;及び細胞増殖を低減させるVEGF−A;THERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子療法ワクチンなどのワクチン類、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、LURTOTECAN(登録商標));rmRH(例えば、ABARELIX(登録商標));BAY439006(ソラフェニブ、Bayer);SU−11248(スニチニブ、SUTENT(登録商標)、Pfizer);ペリホシン、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブまたはエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標));CCI−779;チピファルニブ(R11577);オラフェニブ(orafenib)、ABT510;オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標))などのBcl−2阻害剤;ピキサントロン;EGFR阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤;ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標))などのセリン−スレオニンキナーゼ阻害剤;ロナファーニブ(SCH 6636、SARASAR(商標))などのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびに上記のうちの2つ以上の組み合わせ、例えばCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの組み合わせ療法の略語);及びFOLFOX(オキサリプラチン(ELOXATIN(商標))と5−FU及びロイコボリンとを組み合わせた治療レジメンの略語)、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびに上記のうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
本明細書に定義される化学療法剤には、「抗ホルモン剤」または「内分泌治療薬」が含まれ、これらは、がんの成長を促進し得るホルモンの作用を制御、低減、遮断、または阻害するように作用する。それらは、ホルモンそのものであってもよく、これには、次のものが挙げられるがこれらに限定されない:タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標))、4−ヒドロキシタモキシフェン、トレミフェン(FARESTON(登録商標))、イドキシフェン、ドロロキシフェン、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))、トリオキシフェン、ケオキシフェン、及び選択性エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えばSERM3を含む、アゴニスト/アンタゴニストが入り混じったプロファイルを有する抗エストロゲン薬;フルベストラント(FASLODEX(登録商標))及びEM800など、アゴニスト特性を有さない純粋な抗エストロゲン薬(かかる薬剤は、エストロゲン受容体(ER)二量体化の遮断、DNA結合の阻害、ERターンオーバーの増加、及び/またはERレベルの抑制を行うことができる);ホルメスタン及びエキセメスタン(AROMASIN(登録商標))などのステロイド性アロマターゼ阻害剤、ならびにアナストラゾール(anastrazole)(ARIMIDEX(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、及びアミノグルテチミドなどの非ステロイド性アロマターゼ阻害剤を含む、アロマターゼ阻害剤、ならびに他のアロマターゼ阻害剤としては、ボロゾール(RIVISOR(登録商標))、酢酸メゲストロール(MEGASE(登録商標))、ファドロゾール、及び4(5)−イミダゾールが挙げられる;ロイプロリド(LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標))、ゴセレリン、ブセレリン、及びトリプテレリン(tripterelin)を含む黄体ホルモン放出ホルモンアゴニスト;酢酸メゲストロール及び酢酸メドロキシプロゲステロンなどのプロゲスチン、ジエチルスチルベストロール及びプレマリンなどのエストロゲン、ならびにフルオキシメステロン、全トランス型レチノイン酸、及びフェンレチニドなどのアンドロゲン/レチノイドを含む、性ステロイド;オナプリストン;抗プロゲステロン薬;エストロゲン受容体下方制御剤(ERD);フルタミド、ニルタミド、及びビカルタミドなどの抗アンドロゲン薬;ならびに上記のうちいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびに上記の2つ以上の組み合わせ。
本明細書に使用される「細胞毒性剤」という用語は、細胞の機能を阻害若しくは阻止する、及び/または細胞の死滅若しくは破壊を引き起こす、物質を指す。細胞毒性剤には、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体);化学療法剤または化学療法薬(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、または他のインターカレート剤);成長阻害剤;核酸分解酵素などの酵素及びそのフラグメント;抗生物質;細菌、真菌、植物、または動物起源の小分子毒素または酵素的に活性な毒素(それらのフラグメント及び/若しくは変異形を含む)などの毒素;ならびに本明細書に開示される様々な抗腫瘍剤または抗がん剤が含まれるがこれらに限定されない。
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」は、必要な投薬量及び期間で、所望される治療的または予防的結果を達成するのに有効な量を指す。
本明細書に使用されるとき「成長阻害剤」は、インビトロまたはインビボのいずれかで細胞の成長を阻害する化合物または組成物を指す。したがって、成長阻害剤は、S期の細胞の割合を大幅に減少させるものであり得る。成長阻害剤の例としては、G1での停止及びM期での停止を誘導する薬剤など、細胞周期進行を(S期以外の場所で)遮断する薬剤が含まれる。古典的なM期遮断薬としては、ビンカ類(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン類、ならびにドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンなどのトポイソメラーゼII阻害剤が挙げられる。G1で停止させるこれらの薬剤はまた、S期での停止、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、及びara−CなどのDNAアルキル化剤にも及ぶ。更なる情報は、Mendelsohn et al.eds.,The Molecular Basis of Cancer,Chapter 1,entitled“Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs”by Murakami et al.(W.B.Saunders,Philadelphia,1995)の例えば13頁に見出すことができる。タキサン類(パクリタキセル及びドセタキセル)は、いずれもイチイに由来する抗がん薬である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体からの微小管の構築を促進し、脱重合を防止することによって微小管を安定させ、それによって、細胞内での有糸***の阻害をもたらす。
「IL−33媒介性障害」という用語は、本明細書に使用されるとき、IL−33軸によって媒介されるか、またはそれと関連する、任意の障害または状態を指す。一部の実施形態では、IL−33媒介性障害は、IL−33のレベルまたは活性に起因して不規則な症状が身体の局所及び/または全身に現れ得る、過剰なIL−33のレベルまたは活性と関連付けられている。例示的なIL−33媒介性障害としては、炎症性状態、免疫障害、線維性障害、好酸球性障害、感染症、疼痛、中枢神経系障害、固形腫瘍、及び眼科障害が挙げられる。IL−33媒介性障害は、例えば、Liew et al.Nature Reviews Immunology 10:103−110,2010に記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
例示的な炎症性状態としては、喘息(例えば、アレルギー性喘息、運動誘発性喘息、アスピリン感受性/悪化性喘息、アトピー性喘息、重度の喘息、軽度の喘息、中等度〜重度の喘息、コルチコステロイド未投与の喘息、慢性喘息、コルチコステロイド耐性喘息、コルチコステロイド不応性喘息、新たに診断され治療されていない喘息、喫煙に起因する喘息、コルチコステロイドで制御不良な喘息など)、気道炎症、気道過反応、気道過敏、副鼻腔炎、ポリープを伴う副鼻腔炎、鼻ポリープ症、関節炎(例えば、骨関節炎、リウマチ性関節炎、コラーゲン誘発性関節炎、外傷の結果としての関節炎など)、好酸球性炎症、肥満細胞媒介性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、血清陰性腱付着部症及び関節症(SEA)症候群、骨粗鬆症、好酸球性食道炎、強皮症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、水疱性類天疱瘡、慢性蕁麻疹、軟骨炎症、リウマチ性多発性筋痛、結節性多発性動脈炎(polyarteritis nodossa)、ウェゲナー肉芽腫症、ベーチェット病、筋炎(myolitis)、多発性筋炎(polymyolitis)、皮膚筋炎(dermatomyolitis)、皮膚筋炎(dermatomyositis)、脈管炎、動脈炎、糖尿病性腎症、間質性膀胱炎、移植片対宿主病(GVHD)、胃腸炎症性状態(例えば、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、大腸炎(例えば、環境障害により生じた大腸炎(colitis caused by environmental insults)(例えば、化学療法、放射線療法などの治療レジメンによって生じたか、またはそれに関連するものなど)、感染性大腸炎、虚血性大腸炎、コラーゲン性またはリンパ球性大腸炎、壊死性腸炎、慢性肉芽腫性疾患またはセリアック病、食物アレルギー、胃炎、感染性胃炎、または全腸炎(例えば、ヘリコバクター・ピロリ菌感染性慢性活動性胃炎)などの状態における大腸炎、及び感染病原体によって引き起こされる胃腸炎症の他の形態)、ならびに感染性肺状態(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好酸球性肺炎症、感染症誘発性肺状態(例えば、ウイルス性(例えば、インフルエンザ、パラインフルエンザ、ロタウイルス、ヒトメタニューモウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルス)、細菌性、真菌性(例えば、アスペルギルス)、寄生虫性、またはプリオン感染症と関連するもの、アレルゲン誘発性肺状態、汚染物質誘発性肺状態(例えば、アスベスト症、ケイ肺症、またはベリリウム症)、胃吸引誘発性肺状態、免疫制御不全、遺伝的素因による炎症性状態、例えば嚢胞性線維症、身体的外傷誘発性肺状態(例えば、呼吸器傷害)、肺気腫、気管支炎、サルコイドーシス、組織球増加症、リンパ管筋腫症、急性肺傷害、急性呼吸促迫症候群、慢性肺疾患、気管支肺異形成症、肺炎(例えば、市中肺炎、院内肺炎、人工呼吸器関連肺炎、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎、及び重度の肺炎)、気道病態悪化(airway exacerbation)、及び急性呼吸促迫症候群(ARDS))が挙げられる。
例示的な免疫障害としては、肥満細胞によって少なくとも部分的に媒介されるもの、例えば、喘息(例えば、アレルギー性喘息)、湿疹、痒み、アレルギー、アトピー性アレルギー、アナフィラキシー、アナフィラキシーショック、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、ならびに自己免疫障害、例えば、リウマチ性関節炎、若年性リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、膵炎、乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬(inverse psoriasis)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、腫瘍随伴性自己免疫疾患、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、シェーグレン症候群、ギラン・バレー疾患、レイノー現象、アジソン病、肝疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、及び非アルコール性脂肪性肝炎)、及び糖尿病(例えば、I型糖尿病)が挙げられる。
本明細書に使用されるとき、「線維性障害」または「線維症」という用語は、器官または組織における過剰な線維性結合組織の形成を伴う状態を指す。例示的な線維性障害としては、肺線維症、肝線維症(例えば、肝硬変と関連する線維症(例えば、アルコール誘発性肝硬変、ウイルス誘発性肝硬変、C型肝炎後肝硬変、及び原発性胆汁性肝硬変)、住血吸虫症、胆管炎(例えば、硬化性胆管炎)、及び自己免疫誘発性肝炎)、腎線維症(例えば、尿細管間質性線維症、強皮症、糖尿病性腎炎、及び糸球体腎炎)、皮膚線維症(例えば、強皮症、肥厚性及びケロイド性瘢痕、腎性線維化性皮膚症、及び熱傷)、骨髄線維症、神経線維腫症、線維腫、腸管線維症、及び外科手術により生じた線維性癒着)、心線維症(例えば、心筋梗塞と関連する線維症)、血管線維症(例えば、血管形成術後の動脈再狭窄及びアテローム性動脈硬化と関連する線維症)、眼球線維症(例えば、白内障手術後に関連する線維症、増殖性硝子体網膜症、及び後眼窩線維症、)、ならびに脊髄線維症(例えば、特発性骨髄線維症及び薬物誘発性骨髄線維症)が挙げられる。線維症は、器官特異的でも全身性でもあり得る(例えば、全身性硬化症及びGVHDと関連する線維症)。
肺線維症の例としては、例えば、特発性肺線維症と関連する肺(lung)または肺(pulmonary)線維症、膠原病性脈管疾患に伴う線維症、ヘルマンスキー・パドラック症候群、成人性呼吸促迫症候群、非特異性間質性肺炎、呼吸細気管支炎(respiratory bronciolitis)、サルコイドーシス、組織球増殖症X、閉塞性細気管支炎、及び特発性器質化肺炎が挙げられる。一実施形態では、肺線維症は、特発性肺線維症である。
本明細書に使用されるとき、「好酸球性障害」は、好酸球のレベルまたは活性に起因して不規則な症状が身体の局所及び/または全身に現れ得る、過剰な好酸球数と関連する障害である。好酸球性障害としては、喘息(アスピリン感受性喘息、アトピー性喘息、及び重度の喘息を含む)、好酸球性炎症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(季節性アレルギー性鼻炎を含む)、非アレルギー性鼻炎、慢性好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群(結節性動脈周囲炎に加えてアトピー)、好酸球性筋痛症候群、好酸球増加症候群、発作性血管浮腫を含む浮腫性反応、蠕虫感染症(好酸球が保護的役割を有し得るもの)、回旋糸状虫性皮膚炎(onchocercal dermatitis)、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性小腸炎及び好酸球性大腸炎、鼻のマイクロポリープ症及びポリープ症、アスピリン不耐性、ならびに閉塞性睡眠時無呼吸を含むがこれらに限定されない好酸球関連胃腸障害(EGID)が挙げられるが、これらに限定されない。好酸球由来の分泌産物もまた、腫瘍における血管新生及び結合組織形成ならびに慢性喘息、クローン病、強皮症、及び心内膜心筋線維症などの状態に見られる線維化応答促進と関連付けられている(Munitz et al.Allergy 59:268−275,2004、Adamko et al.Allergy 60:13−22,2005、Oldhoff et al.Allergy 60:693−696,2005)。他の例としては、がん(例えば、膠芽腫(多型膠芽細胞腫など)及び非ホジキンリンパ腫(NHL))、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患、線維症(例えば、肺線維症(例えば、特発性肺線維症(IPF)及び硬化症に二次的な肺線維症)及び肝線維症)、ならびにCOPDが挙げられる。
感染症の例としては、蠕虫感染症(例えば、ヒト寄生虫である鞭虫による感染症のモデルであるマウスのネズミ鞭虫感染症などの線虫感染症)、原虫感染症(例えば、大形リーシュマニア感染症)、ならびにウイルス感染症(例えば、呼吸器合胞体ウイルス感染症及びインフルエンザウイルス感染症)が挙げられる。
疼痛の例としては、炎症性疼痛、痛覚過敏(例えば、機械的痛覚過敏)、アロディニア、及び侵害受容過敏(例えば、皮膚及び関節の侵害受容過敏(抗原に誘発される場合もそうでない場合もある))が挙げられる。
中枢神経系障害の例としては、クモ膜下出血、中枢神経系の炎症性疾患、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、実験的自己免疫性脳脊髄炎、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病)、双極性障害、及び中枢神経系の感染症(例えば、ウイルス感染症)が挙げられる。
固形腫瘍の例としては、結腸、***、前立腺、肺、腎臓、肝臓、膵臓、卵巣、頭頸部、口腔、胃、十二指腸、小腸、大腸、胃腸管、肛門、胆嚢、***、鼻咽頭、皮膚、子宮、***、泌尿器、膀胱、及び皮膚の腫瘍が挙げられる。非上皮起源の固形腫瘍としては、肉腫、脳腫瘍、及び骨腫瘍が挙げられる。
眼科障害の例としては、加齢性黄斑変性(AMD)(滲出型AMD、萎縮型(dry)AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA)を含む)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症(DR)、未熟児網膜症(ROP)、及び高所DR)、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、網膜剥離、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性のブドウ膜炎)、網膜色素変性、レーバー先天黒内障(レーバーの先天黒内障としても知られる)、シュタルガルト病、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎、非感染性結膜炎、及びアレルギー性結膜炎)が挙げられる。
一部の実施形態では、眼科障害には、AMD(滲出型AMD、萎縮型AMD、及びGAを含む)、網膜症(例えば、DR及びROP)、PCV、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、アレルギー性結膜炎、及び網膜剥離が含まれる。
他の実施形態では、眼科疾患には、中間型AMD、進行型AMD、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性)、網膜色素変性、レーバー先天黒内障(レーバーの先天黒内障としても知られる)、シュタルガルト病、高所糖尿病性網膜症、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性結膜炎)が含まれることを理解されたい。
上述のリストは包括的なものではなく、当業者であれば、疾患または障害が様々な分類に含まれ得ることを理解するであろう。例えば、喘息は、一部の事例では炎症性障害及び免疫障害の両方として分類され得るが、一部の医師によっては自己免疫障害と見なされ得る。
「IL−33軸結合アンタゴニスト」は、IL−33軸結合パートナーとその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用を阻害する分子を指す。本明細書に使用されるとき、IL−33軸結合アンタゴニストには、IL−33結合アンタゴニスト、ST2結合アンタゴニスト、及びIL1RAcP結合アンタゴニストが含まれる。例示的なIL−33軸結合アンタゴニストとしては、抗IL−33抗体及びその抗原結合フラグメント(例えば、ANB−020(AnaptysBio,Inc.)などの抗IL−33抗体、または欧州特許第1725261号、米国特許第8187596号、国際公開第WO2011031600号、同第WO2014164959号、同第WO2015099175号、若しくはWO2015106080号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される抗体のいずれか);IL−33及び/またはその受容体(ST2及び/またはIL−1RAcP)に結合し、リガンド−受容体の相互作用を遮断するポリペプチド(例えば、ST2−Fcタンパク質、例えば国際公開第WO2014/152195号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるもの;イムノアドヘシン、ペプチボディ、及び可溶性ST2、またはそれらの誘導体);抗IL−33受容体抗体(例えば、抗ST2抗体、例えば、AMG−282(Amgen)若しくはSTLM15(Janssen)、または国際公開第WO2013/173761号及び同第WO2013/165894号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される抗ST2抗体のいずれか;あるいはST2−Fcタンパク質、例えば国際公開第WO2013/173761号、同第WO2013/165894号、または同第WO2014/152195号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるもの);ならびに小分子阻害剤などのIL−33受容体アンタゴニスト、IL−33に結合するアプタマー、及びストリンジェントな条件下でIL−33軸の核酸配列とハイブリダイズする核酸(例えば、短い干渉RNA(siRNA)またはクラスター化された等間隔にスペーサーがある短い回文型反復RNA(CRISPR−RNA若しくはcrRNA)、Mali et al.(Science.339:823−26,2013)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるcrRNA及びtracrRNA配列を有する一本鎖ガイドRNA(sgRNA)を含む)が挙げられる。
本明細書に使用されるとき、「Th2細胞に発現される化学誘引物質受容体相同分子(CRTH2)」は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のCRTH2を指す。CRTH2はまた、Gタンパク質結合型受容体44(GPR44)、分化クラスター294(CD294)、DL1R、及びDP2とも称される。この用語は、「全長」のプロセシングされていないCRTH2、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるCRTH2の任意の形態を包含する。例示的なヒトCRTH2のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q9Y5Y4に見出すことができる。
「CRTH2結合アンタゴニスト」という用語は、CRTH2とその結合パートナー(プロスタグランジンD2など)のうちの1つ以上との相互作用により生じるシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する分子を指す。当該技術分野で既知の例示的なCRTH2結合アンタゴニストとしては、AMG−853、AP768、AP−761、MLN6095、及びACT129968が挙げられる。
本明細書に使用される「インターロイキン−5(IL−5)」と言う用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のIL−5を指す。この用語は、「全長」のプロセシングされていないIL−5、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるIL−5の任意の形態を包含する。この用語はまた、IL−5の天然の変異形、例えば、スプライス変異形またはアレル変異形を包含する。例示的なヒトIL−5のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号P05113に見出すことができる。
「IL−5結合アンタゴニスト」という用語は、IL−5とその結合パートナー(IL−5受容体アルファ(IL5RA)など)のうちの1つ以上との相互作用により生じるシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する分子を指す。本発明の方法において使用することができる例示的なIl−5結合アンタゴニストとしては、例えば、抗IL−5抗体(例えば、メポリズマブ及びレスリズマブ)ならびに抗IL−5R抗体が挙げられる。
本明細書に使用されるとき、「インターロイキン−13(IL−13)」は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のIL−13を指す。IL−13は、Tヘルパー2型(Th2)細胞を含む、多数の細胞型により分泌されるサイトカインである。この用語は、「全長」のプロセシングされていないIL−13、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるIL−13の任意の形態を包含する。例示的なヒトIL−13のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号P35225に見出すことができる。
「IL−13結合アンタゴニスト」という用語は、IL−13とその結合パートナー(IL−4受容体アルファ(IL4Rα)、IL−13受容体アルファ1(IL13RA1)、及びIL−13受容体アルファ2(IL13RA2)など)のうちの1つ以上との相互作用により生じるシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する分子を指す。IL−13結合アンタゴニストとしては、抗IL−13抗体、例えば、レブリキズマブ、228B/C−1、228A−4、227−26、及び227−43(例えば、米国特許第7,674,459号、同第8,067,199号、同第8,088,618号、同第8,318,160号、及び同第8,734,797号を参照されたい)が挙げられる。
本明細書に使用されるとき、「インターロイキン−17(IL−17)」は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のIL−17を指し、これには、ファミリーメンバーのIL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E、及びIL−17Fが含まれる。この用語は、「全長」のプロセシングされていないIL−17、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるIL−17の任意の形態を包含する。例示的なヒトIL−17Aのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q16552に見出すことができる。例示的なヒトIL−17Bのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q9UHF5に見出すことができる。例示的なヒトIL−17Cのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q9P0M4に見出すことができる。例示的なヒトIL−17Dのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q8TAD2に見出すことができる。例示的なヒトIL−17Eのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q9H293に見出すことができる。例示的なヒトIL−17Fのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q96PD4に見出すことができる。
「IL−17結合アンタゴニスト」という用語は、IL−17とその結合パートナー(IL−17受容体(IL−17R)ファミリーメンバーのタンパク質インターロイキン17受容体A(IL17RA)、インターロイキン17受容体B(IL17RB)、インターロイキン17受容体C(IL17RC)、インターロイキン17受容体D(IL17RD)、インターロイキン17受容体E(IL17RE)、及びインターロイキン受容体E様(IL17REL)など)のうちの1つ以上との相互作用により生じるシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、またはそれに干渉する分子を指す。例示的なIL−17結合アンタゴニストとしては、例えば、抗IL−17抗体(例えば、イクセキズマブ(LY2439821)及び抗IL−17R抗体(例えば、ブロダルマブ(AMG−827))が挙げられる。
「ヤヌスキナーゼ1(JAK1)」という用語は、本明細書に使用されるとき、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のJAK1を指す。この用語は、「全長」のプロセシングされていないJAK1、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるJAK1の任意の形態を包含する。この用語はまた、JAK1の天然の変異形、例えば、スプライス変異形またはアレル変異形を包含する。例示的なJAK1のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号P23458に見出すことができる。
「JAK1アンタゴニスト」という用語は、本明細書に使用されるとき、JAK1の生物学的活性を阻害または低減させる化合物または薬剤を指す。例示的なJAK1アンタゴニストとしては、小分子阻害剤(例えば、ルキソリチニブ、GLPG0634、及びGSK2586184)が挙げられる。
「ST2結合アンタゴニスト」という用語は、ST2とIL−33、IL1RAcP、及び/または第2のST2分子との相互作用を阻害する分子を指す。ST2結合アンタゴニストは、IL−33結合ドメイン(例えば、ST2またはIL1RAcPタンパク質の全部または一部分)及び多量体形成ドメイン(例えば、免疫グロブリンのFc部分、例えば、アイソタイプlgG1、lgG2、lgG3、及びlgG4、ならびに各アイソタイプ群内の任意のアロタイプから選択されるIgGのFcドメイン)を含む、「ST2−Fcタンパク質」などのタンパク質であり得、これらのドメインは、直接的に、またはリンカー(例えば、セリン−グリシン(SG)リンカー、グリシン−グリシン(GG)リンカー、またはそれらの変異形(例えば、SGG、GGS、SGS、若しくはGSGシンカー))を介してのいずれかで互いに結合しており、ST2結合アンタゴニストとしては、国際公開第WO2013/173761号、同第WO2013/165894号、及び同第WO2014/152195号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるST2−Fcタンパク質及びそれらの変異形が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、ST2結合アンタゴニストは、抗ST2抗体、例えば、AMG−282(Amgen)若しくはSTLM15(Janssen)または国際公開第WO2013/173761号及び同第WO2013/165894号に記載される抗ST2抗体のいずれかであり得る。
本明細書に使用されるとき、「トリプターゼ−ベータ」は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のトリプターゼ−ベータを指す。本明細書に使用されるとき、この用語は、トリプターゼ−ベータ1(トリプターゼ−アルファ1もコードするTPSAB1遺伝子によってコードされる)及びトリプターゼ−ベータ2(TPSB2遺伝子によってコードされる)を包含する。この用語は、「全長」のプロセシングされていないトリプターゼ−ベータ、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるトリプターゼ−ベータの任意の形態を包含する。例示的なヒトトリプターゼ−ベータ2のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号P20231に見出すことができる。
「トリプターゼ−ベータアンタゴニスト」という用語は、本明細書に使用されるとき、トリプターゼ−ベータの生物学的活性を阻害または低減させる化合物または薬剤を指す。
本明細書に使用されるとき、「D因子」は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のD因子を指す。D因子は、C3プロアクティベーター転換酵素、プロパージンD因子エステラーゼ、D因子(補体)、補体D因子、CFD、及びアジプシンとも称される。この用語は、「全長」のプロセシングされていないD因子、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるD因子の任意の形態を包含する。例示的なヒトD因子のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号P00746に見出すことができる。
「D因子結合アンタゴニスト」という用語は、本明細書に使用されるとき、D因子の生物学的活性を阻害または低減させる化合物または薬剤を指す。例示的なD因子結合アンタゴニストとしては、例えば、小分子阻害剤及び抗D因子抗体、例えば、国際公開第WO2007/056227号、同第WO01/70818号、及び/または米国公開第2002/0081293号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される任意の抗D因子抗体が挙げられる。一部の実施形態では、抗D因子抗体は、ATCCに寄託されておりHB 12476と表記されるハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体166−32であるか、またはそれに由来する。
「高温要件Aセリンペプチダーゼ1(High−temperature requirement A serine peptidase 1)」または「HtrA1」という用語は、本明細書に使用されるとき、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のHtrA1を指す。HtrA1はまた、当該技術分野において、HtrAセリンペプチダーゼ1、L56、及びセリンプロテアーゼ11としても知られている。この用語は、「全長」のプロセシングされていないHtrA1、ならびに細胞内でのプロセシングにより得られるHtrA1の任意の形態を包含する。この用語はまた、HtrA1の天然の変異形、例えば、スプライス変異形またはアレル変異形を包含する。例示的なヒトHtrA1のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q92743に見出すことができる。
本明細書に使用される「HtrA1結合アンタゴニスト」という用語は、HtrA1の生物学的活性を阻害または低減させる化合物または薬剤を指す。例示的なHtrA1結合アンタゴニストとしては、例えば、小分子阻害剤及び抗HtrA1抗体、例えば、国際公開第WO2013/055998号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される任意のHtrA1抗体が挙げられる。
「血管内皮成長因子」または「VEGF」という用語は、Swiss Prot受託番号P15692によって例示されるような、血管内皮成長因子タンパク質Aを指す。「VEGF」という用語は、Swiss Prot受託番号P15692によって例示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、ならびにその相同体及びアイソフォームを包含する。「VEGF」という用語はまた、既知のアイソフォーム、例えば、VEGFのスプライスアイソフォーム、例えば、VEGF111、VEGF121、VEGF145、VEGF165、VEGF189、及びVEGF206を、それらの天然のアレル形態及びプロセシング形態と共に包含し、これには、Ferrara Mol.Biol.Cell.21:687(2010),Leung et al.,Science,246:1306(1989)及びHouck et al.,Mol.Endocrin.,5:1806(1991)に記載されるVEGF165のプラスミン切断によって生成された110個のアミノ酸のヒト血管内皮細胞成長因子が含まれる。「VEGF」という用語はまた、マウス、ラット、または霊長類などの非ヒト種に由来するVEGFを指す。特定の種に由来するVEGFは、ヒトVEGFではhVEGF、マウスVEGFではmVEGFなどの用語によって示される。「VEGF」という用語はまた、165個のアミノ酸のヒト血管内皮細胞成長因子のアミノ酸8〜109または1〜109を含む、ポリペプチドの切断形態を指して使用されることもある。VEGFの任意のかかる形態への参照は、本出願では、例えば、「VEGF109」、「VEGF(8〜109)」、「VEGF(1〜109)」、または「VEGF165」によって特定することができる。「切断型」天然VEGFのアミノ酸位は、天然VEGF配列に示される通りに番号付けされる。例えば、切断型天然VEGFでのアミノ酸17位(メチオニン)は、天然VEGFでも17位(メチオニン)である。切断型天然VEGFは、KDR及びFlt−1受容体に対して、天然VEGFに匹敵する結合親和性を有する。本明細書に使用される「VEGF変異形」という用語は、天然VEGF配列に1つ以上のアミノ酸変異を含むVEGFポリペプチドを指す。場合によっては、この1つ以上のアミノ酸変異には、アミノ酸置換(複数可)が含まれる。本明細書に記載されるVEGF変異形を簡潔に表記する目的で、数字は、推定上の天然VEGF(Leung et al.(上記)及びHouck et al.(上記)に提供される)のアミノ酸配列に沿ったアミノ酸残基の位置を指す。別途示されない限り、本明細書に使用される「VEGF」は、VEGF−Aを示す。
「VEGFアンタゴニスト」という用語は、本明細書に使用されるとき、VEGFに結合すること、VEGF発現レベルを低減させること、または1つ以上のVEGF受容体へのVEGFの結合、VEGFのシグナル伝達、ならびにVEGFに媒介される血管新生及び内皮細胞生存若しくは増殖を含むがこれらに限定されないVEGFの生物学的活性を中和する、阻害する、抑止する、低減させる、若しくはそれに干渉することが可能な分子を指す。例えば、VEGFの生物学的活性を中和する、遮断する、阻害する、抑止する、低減させる、またはそれに干渉することができる分子は、1つ以上のVEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、膜結合型VEGF受容体(mbVEGFR)、または可溶性VEGF受容体(sVEGFR))に結合することによって、その作用を発揮することができる。VEGFに特異的に結合するポリペプチド、抗VEGF抗体及びその抗原結合フラグメント、VEGFに特異的に結合し、それによって1つ以上の受容体への結合を封鎖する受容体分子及び誘導体、融合体タンパク質(例えば、VEGF−Trap(Regeneron)及びVEGF121−ゲロニン(Peregrine)が、本発明の方法において有用なVEGFアンタゴニストとして含まれる。VEGFアンタゴニストにはまた、VEGFポリペプチドのアンタゴニスト変異形、VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも1フラグメントに相補的なアンチセンス核酸塩基オリゴマー;VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも1フラグメントに相補的な低分子RNA;VEGFを標的とするリボザイム;VEGFに対するペプチボディ;及びVEGFアプタマーが含まれる。VEGFアンタゴニストにはまた、VEGFRに結合するポリペプチド、抗VEGFR抗体、及びそれらの抗原結合フラグメント、ならびにVEGFRに結合し、それによってVEGFの生物学的活性(例えば、VEGFのシグナル伝達)を遮断する、阻害する、抑止する、低減させる、若しくはそれに干渉する誘導体、または融合体タンパク質が含まれる。VEGFアンタゴニストにはまた、VEGFまたはVEGFRに結合し、VEGFの生物学的活性を遮断する、阻害する、抑止する、低減させる、またはそれに干渉することができる、非ペプチド小分子が含まれる。したがって、「VEGF活性」という用語は、VEGFに媒介される、VEGFの生物学的活性を具体的に含む。ある特定の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、VEGFの発現レベルまたは生物学的活性を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上低減または阻害する。一部の実施形態では、VEGF特異的アンタゴニストによって阻害されるVEGFは、VEGF(8〜109)、VEGF(1〜109)、またはVEGF165である。
本明細書に使用されるとき、VEGFアンタゴニストとしては、抗VEGFR2抗体及び関連分子(例えば、ラムシルマブ、タニビルマブ、アフリベルセプト)、抗VEGFR1抗体及び関連分子(例えば、イクルクマブ、アフリベルセプト(VEGF Trap−Eye、EYLEA(登録商標))、及びジブ−アフリベルセプト(ziv−aflibercept)(VEGF Trap、ZALTRAP(登録商標)))、二重特異性VEGF抗体(例えば、MP−0250、バヌシズマブ(VEGF−ANG2)、及び米国公開第2001/0236388号に開示される二重特異性抗体)、抗VEGF、抗VEGFR1、及び抗VEGFR2アームのうちの2つの組み合わせを含む二重特異性抗体、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ、セバシズマブ、及びラニビズマブ)、ならびに非ペプチド小分子VEGFアンタゴニスト(例えば、パゾパニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、スチバーガ、カボザンチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、テラチニブ、ドビチニグ(dovitinig)、セジラニブ、モテサニブ、スルファチニブ、アパチニブ、フォレチニブ、ファミチニブ、及びチボザニブ)を挙げることができるがこれらに限定されない。
「抗VEGF抗体」、「VEGFに結合する抗体」、及び「VEGFに特異的に結合する抗体」という用語は、抗体が診断剤及び/または治療剤としてVEGFを標的とすることに有用となるような十分な親和性でVEGFに結合することができる抗体を指す。一実施形態では、抗VEGF抗体の無関係の非VEGFタンパク質への結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定した場合に、この抗体のVEGFへの結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、VEGFに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗体は、異なる種に由来するVEGF間で保存されているVEGFのエピトープに結合する。
ある特定の実施形態では、抗VEGF抗体は、治療剤として、VEGF活性が関与する疾患または状態を標的とし、それに干渉するのに使用することができる。また、本抗体は、例えば治療剤の有効性を評価するために、他の生物学的活性アッセイに供してもよい。かかるアッセイは当該技術分野で既知であり、抗体の標的抗原及び意図される使用に依存する。例としては、HUVEC阻害アッセイ;腫瘍細胞成長阻害アッセイ(例えば、国際公開第WO89/06692号に記載される);抗体依存性細胞毒性(ADCC)及び補体媒介性細胞毒性(CDC)アッセイ(米国特許第5,500,362号);ならびにアゴニスト活性または造血性アッセイ(国際公開第WO95/27062号を参照されたい)が挙げられる。抗VEGF抗体は、通常、VEGF−BまたはVEGF−Cなどの他のVEGF相同体に結合することも、PlGF、PDGF、またはbFGFなどの他の成長因子に結合することもない。一実施形態では、抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB 10709によって産生されたモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体である。別の実施形態では、抗VEGF抗体は、Presta et al.(1997)Cancer Res.57:4593−4599に従って生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体であり、ベバシズマブ(BV、AVASTIN(登録商標))として知られる抗体が挙げられるがこれに限定されない。
「rhuMAb VEGF」または「AVASTIN(登録商標)」としても知られる抗VEGF抗体「ベバシズマブ(BV)」は、Presta et al.(1997)Cancer Res.57:4593−4599に従って生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。これは、変異型ヒトIgG1フレームワーク領域及びヒトVEGFがその受容体に結合するのを阻止するマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1由来の抗原結合性の相補性決定領域を含む。フレームワーク領域の大半を含む、ベバシズマブのアミノ酸配列のおよそ93%が、ヒトIgG1に由来し、配列の約7%がマウス抗体A4.6.1に由来する。ベバシズマブは、約149,000ダルトンの分子量を有し、グリコシル化されている。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、更に、2005年2月26日に発行された米国特許第6,884,879号に記載されており、その開示は、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。更なる好ましい抗体としては、PCT出願公開第WO2005/012359号及び同第WO2005/044853号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるG6またはB20系統の抗体(例えば、G6−31、B20−4.1)が挙げられる。更なる好ましい抗体については、米国特許第7,060,269号、同第6,582,959号、同第6,703,020号、同第6,054,297号;国際公開第WO98/45332号、同第WO96/30046号、同第WO94/10202号;欧州特許第0666868B1号;米国特許出願公開第2006009360号、同第20050186208号、同第20030206899号、同第20030190317号、同第20030203409号、及び同第20050112126号;ならびにPopkov et al.,Journal of Immunological Methods 288:149−164(2004)を参照されたい。他の好ましい抗体としては、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、191、K101、E103、及びC104、または代替として、残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、183、及びQ89を含むヒトVEGF上の機能的エピトープに結合するものが挙げられる。更なる抗VEGF抗体としては、PCT出願公開第WO2009/155724号に記載される抗VEGF抗体が挙げられる。
「LUCENTIS(登録商標)」または「rhuFab V2」としても知られる抗VEGF抗体「ラニビズマブ」は、ヒト化された親和性成熟抗ヒトVEGF Fabフラグメントである。ラニビズマブは、大腸菌発現ベクターでの標準的な組み換え技法及び細菌発酵によって産生される。ラニビズマブは、グリコシル化されておらず、約48,000ダルトンの分子量を有する。国際公開第WO98/45331号及び米国公開第2003/0190317号を参照されたい。
「単離核酸」は、核酸分子がその天然環境の構成成分から分離されたものを指す。単離核酸には、核酸分子が、その核酸分子を通常含有する細胞内に含有されたものが含まれるが、この核酸分子は、染色体外に、またはその天然の染色体上の位置とは異なる染色体上の位置に、存在している。
「制御配列」という用語は、特定の宿主生物における、操作可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適した制御配列には、例えば、プロモーター、場合によってはオペレーター配列、及びリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを用いることが知られている。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、互換的に使用され、外来性の核酸が導入された細胞を指し、これにはかかる細胞の子孫が含まれる。宿主細胞には、初代形質転換細胞及び継代の数に関わらずそれに由来する子孫を含む、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれる。子孫は、核酸含量において親細胞と完全に同一でない場合があるが、変異を含有し得る。元々形質転換された細胞においてスクリーニング若しくは選択されたものと同じ機能または生物活性を有する変異体子孫が、本明細書に含まれる。
核酸は、それが別の核酸配列と機能的な関係性に置かれているとき、「操作可能に連結」されている。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合、ポリペプチドのDNAと操作可能に連結している、プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、その配列に操作可能に連結している、あるいはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置されている場合、コード配列に操作可能に連結されている。一般に、「操作可能に連結」されるとは、連結しているDNA配列が連続的であること、及び分泌リーダーの場合では連続的であり、かつリーディング相にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、連続的でなくてもよい。連結は、従来的な制限部位でのライゲーションによって達成される。かかる部位が存在していない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来的な慣例に従って使用される。
本明細書に特定されるポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントが得られるように、配列をアライメントし、必要に応じてギャップを導入した後に、いずれの保存的置換も配列同一性の一部とは見なさずに、候補配列内のアミノ酸残基が、比較されるポリペプチド内のアミノ酸残基と同一である割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを判定する目的のためのアライメントは、当該技術分野における技術の範囲内である様々な手段で、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者であれば、比較されている配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含め、アライメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。本明細書における目的では、しかしながら、アミノ酸配列同一性%の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって記述されたものであり、そのソースコードは、ユーザ文書と共に米国著作権庁(U.S.Copyright Office,Washington D.C.,20559)に提出されており、米国著作権登録番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に利用可能である。ALIGN−2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dで使用する場合はコンパイルすべきである。全ての配列比較パラメーターは、ALIGN−2プログラムによって設定されており、変更はない。
ALIGN−2をアミノ酸配列比較に用いる場合、所与のアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比した、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(代替的に、所与のアミノ酸配列Bに対して、それと、またはそれと対比して、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有する、またはそれを含む、所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、次のように計算される:
100×分数X/Y
式中、Xは、配列アライメントプログラムALIGN−2によって、そのプログラムのAとBとのアライメントにおいて完全一致としてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bに含まれるアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%とは等しくならないことが理解されよう。別途具体的に示されない限り、本明細書に使用される全てのアミノ酸配列同一性%の値は、直前の段落に記載されるように、ALIGN−2コンピュータプログラムを使用して得られたものである。
本明細書に記載されるアミノ酸配列は、別途示されない限り、連続的なアミノ酸配列である。
「添付文書」という用語は、治療用製品の商用パッケーに内に通例含まれている指示書を指して使用され、かかる治療用製品の適応症、試料法、投薬量、投与法、併用療法、禁忌症、及び/またはその使用に関する警告を含んでいる。
「薬学的組成物」という用語は、調製物中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつその製剤が投与されるであろう対象にとって許容できないほどに有毒である追加の構成成分を全く含有しない、調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒である、薬学的製剤中の活性成分以外の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるがこれらに限定されない。
本出願に使用される「プロドラッグ」という用語は、親薬物と比較すると腫瘍細胞に対して細胞毒性が低く、酵素によってより活性な親形態へと活性化または変換され得る、薬学的に活性な物質の前駆体または誘導体形態を指す。例えば、Wilman,“Prodrugs in Cancer Chemotherapy” Biochemical Society Transactions,14,pp.375−382,615th Meeting Belfast(1986)及びStella et al.“Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug Delivery,Borchardt et al.(ed.),pp.247−267,Humana Press(1985)を参照されたい。本発明のプロドラッグとしては、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、Dアミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン及び他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるがこれらに限定されず、これらは、より活性な細胞毒性遊離薬物へと変換され得る。本発明において使用するためのプロドラッグ形態に誘導体化することができる細胞毒性薬の例としては、上述の化学療法剤が挙げられるがこれらに限定されない。
「低減または阻害」とは、20%以上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは75%、85%、90%、95%、またはそれ以上の全体的な減少を引き起こす能力を指す。低減または阻害は、治療されている障害の症状、転移の存在またはサイズ、原発腫瘍のサイズに対して言及し得る。
「対象」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物には、家畜動物(ウシ及びヒツジなど)、競技用動物、愛玩動物(ネコ、イヌ、及びウマなど)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるがこれらに限定されない。
「治療有効量」という用語は、対象における疾患または障害を治療するための抗体または抗体フラグメントの量を指す。IL−33媒介性障害の場合、治療有効量の抗体または抗体フラグメント(例えば、抗IL−33抗体(IL−33に結合する及び第2の生物学的分子、例えばIL−13に結合する二重特異性IL−33抗体、例えば二重特異性抗IL−33/抗IL−13抗体を含む))により、疾患の緩和若しくは治療、または疾患と関連する症状の予防、低減、緩和、若しくは治療を行うことができる。増殖性疾患(例えば、固形腫瘍)の場合、治療有効量の抗体または抗体フラグメントにより、がん細胞の数の低減;原発腫瘍サイズの低減;がん細胞が末梢器官に浸潤することの阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);腫瘍成長のある程度の阻害;ならびに/または障害と関連する症状のうちの1つ以上のある程度の軽減を行うことができる。抗体または抗体フラグメントが既存のがん細胞の成長の防止及び/またはそれらの殺滅を行うことができる限り、それは、細胞増殖抑制性及び/または細胞毒性であり得る。がん療法については、インビボでの有効性は、例えば、生存の期間、疾患進行に対する時間(TTP)、無病生存期間(DFS)、無憎悪生存期間(PFS)、応答率(RR)、応答期間、及び/または生活の質を評価することによって測定することができる。
本明細書に使用されるとき、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」など、その文法上の変化形)は、治療されている個体の自然経過を変化させることを目的として臨床介入を指し、これは、予防目的または臨床病理過程で行われ得る。望ましい治療効果としては、疾患の発生または再発の防止、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減少、転移の防止、疾患進行速度の低減、疾患状態の回復または一時緩和、及び寛解または予後の改善が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるため、または疾患の進行を遅延させるために用いられる。患者は、例えば、喘息治療法を受けた後に、その患者が以下の:繰り返す喘鳴、呼吸困難、胸部絞扼感、夜間に発生または悪化する症状、冷気、運動、またはアレルゲンへの曝露によって誘発される症状のうちの1つ以上において、観測できる及び/または測定できるほどの低減または不在を示した場合に、喘息の「治療」が成功したことになり得る。
「腫瘍」は、本明細書に使用されるとき、悪性または良性に関わらず、あらゆる腫瘍性の細胞成長及び増殖、ならびにあらゆる前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。
「ベクター」という用語は、本明細書に使用されるとき、ある核酸分子が、結合している別の核酸分子を輸送することができるものを指す。ベクターの一種には「プラスミド」があり、これは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る円形の二本鎖DNAループを指す。別の種類のベクターにはファージベクターがある。別の種類のベクターにはウイルスベクターがあり、ここでは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲーションされ得る。ある特定のベクターは、それらが導入された宿主細胞において自律的複製を行うことができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞へ導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それによって宿主細胞と共に複製され得る。更に、ある特定のベクターは、操作可能に連結されている遺伝子の発現を導くことができる。かかるベクターは、本明細書において「組み換え発現ベクター」(または単純に「組み換えベクター」若しくは「発現ベクター」)と称される。一般に、組み換えDNA技法において有用である発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」は、互換的に使用され得る。
II.組成物及び方法
一態様において、本発明は、IL−33に結合する新規な抗体に部分的に基づく。本発明の抗体は、例えば、IL−33媒介性障害の診断及び/または治療に有用である。
A.例示的な抗IL−33抗体
本発明は、IL−33に結合する単離抗体を提供する。ある特定の実施形態において、本発明のIL−33抗体は、ヒト及びカニクイザル(cyno)の両方のIL−33に、100nM以下(例えば、100nM以下、10nM以下、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、0.1pM以下)のKDで特異的に結合する。一部の事例において、本抗体は、ヒトIL−33に、1nM以下(例えば、1nm以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDで特異的に結合する。例えば、一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、100fM〜1nMのKDで特異的に結合する。一部の事例において、本抗体は、カニクイザルIL−33に、1nM以下(例えば、1nm以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDで特異的に結合する。例えば、一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、100fM〜1nMのKDで特異的に結合する。ある特定の事例において、本抗体は、ヒト及びカニクイザル両方のIL−33に、1nM以下(例えば、1nm以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDで特異的に結合する。例えば、一部の事例では、本抗体は、ヒト及びカニクイザルの両方のIL−33に、1pM〜500pMのKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、1pM〜10pMのKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、マウスIL−33には特異的に結合しない。
例えば、一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、約1pM〜約1nM(例えば、約1pM〜約900pM、約1pM〜約800pM、約1pM〜約700pM、約1pM〜約600pM、約1pM〜約500pM、約1pM〜約400pM、約1pM〜約300pM、約1pM〜約200pM、約1pM〜約190pM、約1pM〜約180pM、約1pM〜約170pM、約1pM〜約160pM、約1pM〜約150pM、約1pM〜約140pM、約1pM〜約130pM、約1pM〜約120pM、約1pM〜約110pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約90pM、約1pM〜約80pM、約1pM〜約70pM、約1pM〜約60pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約40pM、約1pM〜約30pM、約1pM〜約20pM、または約1pM〜約10pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、約1pM〜約250pM(例えば、約1pM〜約250pM、約1pM〜約225pM、約1pM〜約200pM、約1pM〜約190pM、約1pM〜約180pM、約1pM〜約170pM、約1pM〜約160pM、約1pM〜約150pM、約1pM〜約140pM、約1pM〜約130pM、約1pM〜約120pM、約1pM〜約110pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約90pM、約1pM〜約80pM、約1pM〜約70pM、約1pM〜約60pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約40pM、約1pM〜約30pM、約1pM〜約20pM、または約1pM〜約10pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、約50pM〜約180pM(例えば、約50pM、約60pM、約70pM、約80pM、約90pM、約100pM、約110pM、約120pM、約130pM、約140pM、約150pM、約160pM、または約180pM)のKDで特異的に結合する。一部の実施形態では、前述のKDの値のいずれも、例えば本明細書に記載されるように(例えば、実施例2の節D及び実施例8の節Eを含む、実施例を参照されたい)、表面プラズモン共鳴によって判定され得る。
一部の事例において、本抗体は、ヒトIL−33に、25℃において約400pMのKDで特異的に結合する。例えば、一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、25℃において、約390pM以下、約380pM以下、約375pM以下、約350pM以下、約325pM以下、約300pM以下、約275pM以下、約250pM以下、約250pM以下、約225pM以下、約200pM以下、約175pM以下、約150pM以下、約130pM以下、約125pM以下、約100pM以下、約75pM以下、約50pM以下、または約25pM以下のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、25℃において、約20pM〜約150pM(例えば、約20pM、約30pM、約40pM、約50pM、約60pM、約70pM、約80pM、約90pM、約100pM、約110pM、約120pM、約130pM、約140pM、または約150pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、25℃において約130pMのKDで特異的に結合する。一部の実施形態では、前述のKDの値のいずれも、例えば本明細書に記載されるように(例えば、実施例2の節D及び実施例8の節Eを含む、実施例を参照されたい)、表面プラズモン共鳴によって判定され得る。
一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、37℃で約200pM以下のKDで特異的に結合する。例えば、一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、37℃において、約190pM以下、約180pM以下、約175pM以下、約150pM以下、約130pM以下、約125pM以下、約100pM以下、約90pM以下、約80pM以下、約75pM以下、約50pM以下、または約25pM以下のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、37℃において、約20pM〜約100pM(例えば、約20pM、約30pM、約40pM、約50pM、約60pM、約70pM、約80pM、約90pM、または約100pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に、37℃において、約90pMのKDで特異的に結合する。一部の実施形態では、前述のKDの値のいずれも、例えば本明細書に記載されるように(例えば、実施例2の節D及び実施例8の節Eを含む、実施例を参照されたい)、表面プラズモン共鳴によって判定され得る。
一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、約1pM〜約1nM(例えば、約1pM〜約900pM、約1pM〜約800pM、約1pM〜約700pM、約1pM〜約600pM、約1pM〜約500pM、約1pM〜約400pM、約1pM〜約300pM、約1pM〜約200pM、約1pM〜約190pM、約1pM〜約180pM、約1pM〜約170pM、約1pM〜約160pM、約1pM〜約150pM、約1pM〜約140pM、約1pM〜約130pM、約1pM〜約120pM、約1pM〜約110pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約90pM、約1pM〜約80pM、約1pM〜約70pM、約1pM〜約60pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約40pM、約1pM〜約30pM、約1pM〜約20pM、または約1pM〜約10pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、約100pM〜約750pM(例えば、約100pM〜約750pM、約200pM〜約750pM、約225pM〜約750pM、約250pM〜約750pM、約265pM〜約750pM、約275pM〜約750pM、約300pM〜約750pM、約325pM〜約750pM、約350pM〜約750pM、約375pM〜約750pM、約400pM〜約750pM、約425pM〜約750pM、約450pM〜約750pM、約475pM〜約750pM、約500pM〜約750pM、約525pM〜約750pM、約550pM〜約750pM、約575pM〜約750pM、約600pM〜約750pM、約650pM〜約750pM、または約250pM〜約650pM)のKDで特異的に結合する。一部の実施形態では、前述のKDの値のいずれも、例えば本明細書に記載されるように(例えば、実施例2の節D及び実施例8の節Eを含む、実施例を参照されたい)、表面プラズモン共鳴によって判定され得る。
例えば、一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、25℃において、約650pM以下のKDで特異的に結合する。例えば、一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、25℃において、約650pM以下、約625pM以下、約600pM以下、約575pM以下、約550pM以下、約525pM以下、約500pM以下、約475pM以下、約450pM以下、約425pM以下、約400pM以下、約375pM以下、約350pM以下、約325pM以下、約300pM以下、約275pM以下、約265pM以下、約250pM以下、約225pM以下、約200pM以下、約175pM以下、約150pM以下、約125pM以下、約100pM以下、約75pM以下、約50pM以下、または約25pM以下のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、25℃において、約150pM〜約500pM(例えば、約150pM、約175pM、約200pM、約225pM、約250pM、約265pM、約275pM、約300pM、約325pM、約350pM、約375pM、約400pM、約425pM、約450pM、約475pM、または約500pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、25℃において、約265pMのKDで特異的に結合する。一部の実施形態では、前述のKDの値のいずれも、例えば本明細書に記載されるように(例えば、実施例2の節D及び実施例8の節Eを含む、実施例を参照されたい)、表面プラズモン共鳴によって判定され得る。
一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、37℃において約1nMのKDで特異的に結合する。例えば、一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、37℃において、約1nM以下、約950pM以下、約900pM以下、約850pM以下、約800pM以下、約750pM以下、約700pM以下、約650pM以下、約600pM以下、約550pM以下、約525pM以下、約500pM以下、約475pM以下、約450pM以下、約425pM以下、約400pM以下、約350pM以下、約300pM以下、約250pM以下、約200pM以下、約150pM以下、約100pM以下、または約50pM以下のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、37℃において、約250pM〜約750pM(例えば、約250pM、約275pM、約300pM、約325pM、約350pM、約375pM、約400pM、約425pM、約450pM、約475pM、約500pM、約525pM、約550pM、約575pM、約600pM、約625pM、約650pM、約675pM、約700pM、約725pM、または約750pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33に、37℃において約475pMのKDで特異的に結合する。一部の実施形態では、前述のKDの値のいずれも、例えば本明細書に記載されるように(例えば、実施例2の節D及び実施例8の節Eを含む、実施例を参照されたい)、表面プラズモン共鳴によって判定され得る。一部の実施形態では、本発明の抗IL−33抗体は、IL−33とIL−33受容体との結合を阻害することができる。一部の実施形態では、阻害は、細胞に基づく遮断アッセイを用いて測定される。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約0.0001μg/ml〜約1μg/ml(例えば、約0.001μg/ml〜約0.5μg/ml)の90%阻害濃度(IC90)で阻害する。一部の実施形態では、IC90は、約0.002μg/ml〜約0.25μg/mlである。一部の実施形態では、IC90は、約0.17μg/mlである。一部の実施形態では、IC90は、約0.004μg/mlである。一部の実施形態では、IC90は、約0.003μg/mlである。一部の実施形態では、IC90は、約0.002μg/mlである。一部の実施形態では、IC90は、約0.001μg/mlである。
一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33とIL−33受容体の結合を、約750fM〜約250pM(例えば、約750fM〜約250pM、約1pM〜約250pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約10pM、または約1pM〜約5pM)の半数阻害濃度(IC50)で阻害する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約10pM以下(例えば、約10pM以下、約9pM以下、約8pM以下、約7pM以下、約6pM以下、約5pM以下、約4pM以下、約3pM以下、約2.5pM以下、約2pM以下、約1pM以下、約900fM以下、約800fM以下、または約750fM以下)のIC50で阻害する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33〜IL−33受容体との結合を、約2.4pMのIC50で阻害する。一部の事例では、阻害は、例えば実施例8の節Bに記載されるように、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイを使用して測定される。
一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1nM〜約10nM(例えば、約1nM〜約10nM、約1nM〜約9nM、約1nM〜約8nM、約1nM〜約7nM、約1nM〜約6nM、約1nM〜約5nM、約1nM〜約4nM、または約1nM〜約3nM)のIC50で阻害する。一部の事例では、本抗体は、カニクイザルIL−33〜IL−33受容体との結合を、約4.2nMのIC50で阻害する。一部の事例では、阻害は、例えば実施例8の節Bに記載されるように、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイを使用して測定される。
一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介される、ヒトナチュラルキラー(NK)細胞からのTNF−αの誘導を阻害する。例えば、一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるヒトNK細胞からのTNF−αの誘導を、約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約200pM、約1pM〜約175pM、約1pM〜約150pM、約1pM〜約125pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約75pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約30pM、または約1pM〜約25pM)のIC50で阻害する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるヒトNK細胞からのTNF−αの誘導を、約100pM以下、例えば、100pM以下、75pM以下、50pM以下、30pM以下、または25pM以下のIC50で阻害する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるヒトNK細胞からのTNF−αの誘導を約30pMのIC50で阻害する。一部の事例では、阻害は、例えば実施例8の節Cに記載されるように、NK初代細胞アッセイを用いて測定される。
一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を阻害する。例えば、一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を、約1pM以下(例えば、1pM以下、0.75pM以下、0.5pM以下、0.25pM以下、0.15pM以下、0.1pM以下、または0.05pM以下)のIC50で阻害する。一部の事例では、本抗体は、ヒトIL−33媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を、約0.15pMのIC50で阻害する。一部の事例では、阻害は、例えば実施例8の節Dに記載されるように、好塩基球初代細胞アッセイを用いて測定される。
一部の事例では、本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を阻害する。一部の事例では、本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約200pM、約1pM〜約175pM、約1pM〜約150pM、約1pM〜約125pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約75pM、約1pM〜約60pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約25pM、約10pM〜約60pM、約10pM〜約50pM、または約20pM〜約50pM)のIC50で阻害する。一部の事例では、本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約21pMのIC50で阻害する。一部の事例では、阻害は、例えば実施例8の節Fに記載されるように、競合的結合ELISAを用いて測定される。
一部の事例では、本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を阻害する。一部の事例では、本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1pM〜約20nM(例えば、約1pM〜約20nM、約1pM〜約15nM、約1pM〜約10nM、約1pM〜約5nM、約1pM〜約1nM、約1pM〜約800pM、約1pM〜約600pM、約1pM〜約500pM、約1nM〜約400pM、約1nM〜約300pM、約200pM〜約1nM、約200pM〜約800pM、約200pM〜約600pM、約200pM〜約500pM、約300pM〜約600pM、または約300pM〜約500pM)のIC50で阻害する。一部の事例では、本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1nM以下、例えば、約1nM以下、約800pM以下、約600pM以下、約500pM以下、約430pM以下、約400pM以下、または約300pM以下のIC50で阻害する。一部の事例では、本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約430pMのIC50で阻害する。一部の事例では、阻害は、例えば実施例8の節Fに記載されるように、競合的結合ELISAを用いて測定される。
一部の事例では、本明細書に記載される(例えば、前述または後述の)抗IL−33抗体はいずれも、以下の特徴のうちの1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8つ)を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に約1pM〜約1nMのKDで特異的に結合する;(ii)本抗体は、カニクイザルIL−33に約1pM〜約1nMのKDで特異的に結合する;(iii)本抗体は、例えばHEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体(例えば、ST2及び/またはIL−1RAcP)との結合を約750fM〜約250pMのIC50で阻害する;(iv)本抗体は、例えばHEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体(例えば、ST2及び/またはIL−1RAcP)との結合を約1nM〜約10nMのIC50で阻害する;(v)本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるヒトNK細胞からのTNF−αの誘導を約1pM〜約200pMのIC50で阻害する;(vi)本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を約1pM以下のIC50で遮断する;(vii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいてヒトIL−33とIL−33受容体(例えば、ST2及び/またはIL−1RAcP)との結合を約1pM〜約200pMのIC50で阻害する;ならびに/あるいは(viii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいてカニクイザルIL−33とIL−33受容体(例えば、ST2及び/またはIL−1RAcP)との結合を約1pM〜約20nMのIC50で阻害する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のいずれかは、前述の特徴のうちの1つを有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のいずれかは、前述の特徴のうちの2つを有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のいずれかは、前述の特徴のうちの3つを有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のいずれかは、前述の特徴のうちの4つを有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のいずれかは、前述の特徴のうちの5つを有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のいずれかは、前述の特徴のうちの6つを有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のいずれかは、前述の特徴のうちの7つを有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のいずれかは、前述の特徴のうちの8つを有し得る。
例えば、一部の事例では、本明細書に記載されるIL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約15pM〜約180pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、カニクイザルIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約100pM〜約500pM)のKDで特異的に結合する。
別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約15pM〜約180pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、例えばHEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約750fM〜約250pM(例えば、約800fM〜約10pM)のIC50で阻害する。
別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約15pM〜約180pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、例えばHEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1nM〜約10nM(例えば、約1nM〜約5nM)のIC50で阻害する。
更に別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約15pM〜約180pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるヒトNK細胞からのTNF−αの誘導を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約80pM)のIC50で阻害する。
更なる例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約15pM〜約180pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を約1pM以下(例えば、約0.05pM〜約0.5pM)のIC50で阻害する。
なおも更なる例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約15pM〜約180pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約50pM)のIC50で阻害する。
別の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約15pM〜約180pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約20nM(例えば、約200pM〜約1nM)のIC50で阻害する。
別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、カニクイザルIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約100pM〜約500pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、例えばHEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約750fM〜約250pM(例えば、約800fM〜約10pM)のIC50で阻害する。
更に別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、カニクイザルIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約100pM〜約500pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、例えばHEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1nM〜約10nM(例えば、約1nM〜約5nM)のIC50で阻害する。別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、カニクイザルIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約100pM〜約500pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるヒトNK細胞からのTNF−αの誘導を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約80pM)のIC50で阻害する。
更なる例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、カニクイザルIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約100pM〜約500pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を約1pM以下(例えば、約0.05pM〜約0.5pM)のIC50で阻害する。
なおも更なる例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、カニクイザルIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約100pM〜約500pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約50pM)のIC50で阻害する。
別の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、カニクイザルIL−33に約1pM〜約1nM(例えば、約100pM〜約500pM)のKDで特異的に結合する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約20nM(例えば、約200pM〜約1nM)のIC50で阻害する。
更なる例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、例えば、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約750fM〜約250pM(例えば、約800fM〜約10pM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、例えばHEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1nM〜約10nM(例えば、約1nM〜約5nM)のIC50で阻害する。
なおも更なる例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、例えば、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約750fM〜約250pM(例えば、約800fM〜約10pM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるヒトNK細胞からのTNF−αの誘導を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約80pM)のIC50で阻害する。
別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、例えば、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約750fM〜約250pM(例えば、約800fM〜約10pM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を約1pM以下(例えば、約0.05pM〜約0.5pM)のIC50で阻害する。
更に別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、例えば、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約750fM〜約250pM(例えば、約800fM〜約10pM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約50pM)のIC50で阻害する。
別の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、例えば、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を、約750fM〜約250pM(例えば、約800fM〜約10pM)のIC50で阻害する);及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約20nM(例えば、約200pM〜約1nM)のIC50で阻害する。
更なる例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、例えば、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1nM〜約10nM(例えば、約1nM〜約5nM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるヒトNK細胞からのTNF−αの誘導を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約80pM)のIC50で阻害する。
なおも更なる例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、例えば、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1nM〜約10nM(例えば、約1nM〜約5nM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を約1pM以下(例えば、約0.05pM〜約0.5pM)のIC50で阻害する。
更に別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、例えば、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1nM〜約10nM(例えば、約1nM〜約5nM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約50pM)のIC50で阻害する。
別の実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、例えば、HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を、約1nM〜約10nM(例えば、約1nM〜約5nM)のIC50で阻害する);及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約20nM(例えば、約200pM〜約1nM)のIC50で阻害する。
更に別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるNK細胞からのTNF−αの誘導を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約80pM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を約1pM以下(例えば、約0.05pM〜約0.5pM)のIC50で阻害する。
別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるNK細胞からのTNF−αの誘導を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約80pM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約50pM)のIC50で阻害する。
別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33及びIL−12に媒介されるNK細胞からのTNF−αの誘導を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約80pM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約20nM(例えば、約200pM〜約1nM)のIC50で阻害する。
別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を約1pM以下(例えば、約0.05pM〜約0.5pM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約50pM)のIC50で阻害する。
別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、ヒトIL−33に媒介されるヒト好塩基球におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化の誘導を約1pM以下(例えば、約0.05pM〜約0.5pM)のIC50で阻害する;及び(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約20nM(例えば、約200pM〜約1nM)のIC50で阻害する。
別の例では、一部の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかは、以下の特徴を有し得る:(i)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、ヒトIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約200pM(例えば、約1pM〜約50pM)のIC50で阻害する;及び/または(ii)本抗体は、競合的結合ELISAアッセイにおいて、カニクイザルIL−33とIL−33受容体との結合を約1pM〜約20nM(例えば、約200pM〜約1nM)のIC50で阻害する。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)SFSX1S(配列番号62)のアミノ酸配列を含むHVR−H1(X1はMet、Leu、若しくはValである)、(b)TISGGKTFTDYVDX1VKG(配列番号63)のアミノ酸配列を含むHVR−H2(X1はSer若しくはAlaである)、(c)ANYGX1X2FFEV(配列番号64)のアミノ酸配列を含むHVR−H3(X1はAsn若しくはAspであり、X2はTrp若しくはPheである)、(d)RASESVAKYGLSLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASNRGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQSKEVPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号4〜6または62〜64のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)SFSMS(配列番号1)、SFSLS(配列番号7)、若しくはSFSVS(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)TISGGKTFTDYVDSVKG(配列番号2)若しくはTISGGKTFTDYVDAVKG(配列番号9)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)ANYGNWFFEV(配列番号3)、ANYGNFFFEV(配列番号10)、若しくはANYGDWFFEV(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASESVAKYGLSLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASNRGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQSKEVPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号1〜11のうちのいずれか1つに対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFS(配列番号12)、DVNLVESGGGSVKPGGSLKLSCVASGFTFS(配列番号16)、またはEVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFS(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVRQAPGKGLEWVA(配列番号13)、WVRQTPEKRLEWVA(配列番号17)、またはWVRQAPGKGLEWVS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RFTISRDDSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTR(配列番号14)、RFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTR(配列番号22)、RFTISRDDAKNTLYLQMSSLESEDTAMYYCTR(配列番号18)、RFTISRDDAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCTR(配列番号23)、RFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCTR(配列番号24)、またはRFTISRDDSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTR(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはWGAGTTVAVSS(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR−H4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号25)またはDIVLTQSPGFLVVSLGQRATISC(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WFQQKPGQPPRLLIF(配列番号26)またはWFQQKPGQPPKLLIF(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC(配列番号27)、GVPARFSGSGSGTDFSLNIHPMEEDDTAMYFC(配列番号31)、GVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYFC(配列番号33)、GVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC(配列番号34)、またはGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYFC(配列番号35)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGQGTKVEIK(配列番号28)またはFGSGTKLEIK(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR−L4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号36、38、若しくは40〜50のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号36、38、若しくは40〜50のうちのいずれか1つの配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号37、39、若しくは51〜61のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号37、39、若しくは51〜61のうちのいずれか1つの配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号38のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号39のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号40のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号51のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号41のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号52のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号42のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号53のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号43のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号54のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号44のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号55のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号45のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号56のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号46のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号57のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号47のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号58のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号60のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号61のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)SFSMS(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)TISGGKTFTDYVDSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)ANYGNWFFEV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASESVAKYGLSLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASNRGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQSKEVPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み得る。一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号36に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号36の配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号37に少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号37の配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFS(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVRQAPGKGLEWVA(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RFTISRDDSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTR(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTLVTVSS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR−H4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WFQQKPGQPPRLLIF(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGQGTKVEIK(配列番号28)のアミノ酸配列を含むFR−L4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。一部の事例では、例示的な抗IL−33抗体は、10C12.38.H6.87Y.58Iである。
他の事例では、抗IL−33抗体は、(a)SSIFYWG(配列番号65)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)SIYYSGRTYYNPX1LKS(配列番号90)のアミノ酸配列を含むHVR−H2(X1はSer若しくはAlaである)、(c)AGGLYNWNDESFSFYMDV(配列番号68)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASQSFSSSYLA(配列番号69)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)GASSRAT(配列番号70)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQYDRSPLT(配列番号71)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号65、68〜71、または90のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)SSIFYWG(配列番号65)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)SIYYSGRTYYNPSLKS(配列番号66)若しくはSIYYSGRTYYNPALKS(配列番号67)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)AGGLYNWNDESFSFYMDV(配列番号68)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASQSFSSSYLA(配列番号69)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)GASSRAT(配列番号70)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQYDRSPLT(配列番号71)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号65〜71のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:ELQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSIR(配列番号72)、QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSIR(配列番号77)、またはQLQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSIR(配列番号76)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号73)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RVTISVDTSKNQFSLMLTSVTAADTAVYYCAR(配列番号74)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTTVTVSS(配列番号75)またはWGNGTTVTVSS(配列番号78)のアミノ酸配列を含むFR−H4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号79)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号80)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号81)またはGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPKDFAVYYC(配列番号83)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGGGTKVEIK(配列番号82)のアミノ酸配列を含むFR−L4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号84、86、88、91、92、若しくは95のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号84、86、88、91、92、若しくは95のうちのいずれか1つの配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号85、87、89、93、94、若しくは96のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号85、87、89、93、94、若しくは96のうちのいずれか1つの配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号84のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号85のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号86のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号87のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号89のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号93のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号94のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号95のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号96のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)SSIFYWG(配列番号65)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)SIYYSGRTYYNPSLKS(配列番号66)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)AGGLYNWNDESFSFYMDV(配列番号68)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASQSFSSSYLA(配列番号69)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)GASSRAT(配列番号70)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQYDRSPLT(配列番号71)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み得る。一部の事例では、本抗体は、(a)配列番号84に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号84の配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号85に少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号85の配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:ELQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSIR(配列番号72)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号73)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RVTISVDTSKNQFSLMLTSVTAADTAVYYCAR(配列番号74)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTTVTVSS(配列番号75)のアミノ酸配列を含むFR−H4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号79)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号80)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号81)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGGGTKVEIK(配列番号82)のアミノ酸配列を含むFR−L4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号84のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号85のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。一部の事例では、例示的な抗IL−33抗体は、4G12.FW4である。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)NYX1MN(配列番号97)のアミノ酸配列を含むHVR−H1(X1は、Trp、Phe、若しくはTyrである)、(b)EITLKFNX1YX2THYAESVKG(配列番号98)のアミノ酸配列を含むHVR−H2(X1は、Asn、Asp、Ser、若しくはAlaであり、X2はSer若しくはAlaである)、(c)RNYGX1X2YINV(配列番号99)のアミノ酸配列を含むHVR−H3(X1はAsp若しくはAsnであり、X2はTrp若しくはTyrである)、(d)RASESVDKFGX1SFLN(配列番号100)のアミノ酸配列を含むHVR−L1(X1は、Met、Val、若しくはLeuである)、(e)VASSQGS(配列番号113)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、(f)QQSKDIPYT(配列番号114)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号97〜100、113、または114のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、上述の抗体のうちのいずれかは、NYWMN(配列番号101)のアミノ酸配列を含むHVR−H1を含まない。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)NYWMN(配列番号101)、NYFMN(配列番号102)、若しくはNYYMN(配列番号103)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)EITLKFNNYSTHYAESVKG(配列番号104)、EITLKFNDYSTHYAESVKG(配列番号105)、EITLKFNSYSTHYAESVKG(配列番号106)、EITLKFNAYSTHYAESVKG(配列番号107)、若しくはEITLKFNNYATHYAESVKG(配列番号108)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)RNYGDWYINV(配列番号109)、RNYGNWYINV(配列番号110)、若しくはRNYGNFYINV(配列番号111)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASESVDKFGMSFLN(配列番号112)、RASESVDKFGVSFLN(配列番号115)、若しくはRASESVDKFGLSFLN(配列番号116)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)VASSQGS(配列番号113)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQSKDIPYT(配列番号114)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号101〜116のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、上述の抗体のうちのいずれかは、NYWMN(配列番号101)のアミノ酸配列を含むHVR−H1を含まない。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVKLEESGGGLVQPGGSMKLSCVASGFTFS(配列番号117)またはEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFS(配列番号118)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVRQSPEKGLEWMA(配列番号119)またはWVRQAPGKGLEWMA(配列番号120)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RFSISRDDSKSTVYLQMNNLRAEDTGIYYCAR(配列番号121)、RFTISRDNSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号122)、またはRFTISRDDSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号123)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGAGTTVTVSS(配列番号124)またはWGQGTLVTVSS(配列番号125)のアミノ酸配列を含むFR−H4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。一部の実施形態において、上述の抗体のうちのいずれかは、NYWMN(配列番号101)のアミノ酸配列を含むHVR−H1を含まない。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIVLTQSPTSLAVSLGQRATISC(配列番号126)またはDIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号127)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WFQQKPGQPPKLLIF(配列番号128)またはWYQQKPGQPPKLLIF(配列番号129)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPARFSGSGSGTDFSLNIHPVEEDDTAMYFC(配列番号130)またはGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号131)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGGGTKLEIK(配列番号132)またはFGQGTKVEIK(配列番号133)のアミノ酸配列を含むFR−L4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。一部の実施形態において、上述の抗体のうちのいずれかは、NYWMN(配列番号101)のアミノ酸配列を含むHVR−H1を含まない。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号134、136、138、若しくは140〜148のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号134、136、138、若しくは140〜148のうちのいずれか1つの配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号135、137、139、若しくは149〜157のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号135、137、139、若しくは149〜157のうちのいずれか1つの配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号134のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号135のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号136のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号137のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号138のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号139のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号140のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号149のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号141のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号150のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号142のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号151のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号143のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号152のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号144のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号153のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号145のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号154のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号146のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号155のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号147のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号156のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号148のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号157のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。一部の実施形態において、上述の抗体のうちのいずれかは、NYWMN(配列番号101)のアミノ酸配列を含むHVR−H1を含まない。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)NYWMN(配列番号101)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)EITLKFNNYSTHYAESVKG(配列番号104)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)RNYGDWYINV(配列番号109)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASESVDKFGMSFLN(配列番号112)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)VASSQGS(配列番号113)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQSKDIPYT(配列番号114)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み得る。一部の事例では、本抗体は、(a)配列番号134に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号134の配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号135に少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号135の配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVKLEESGGGLVQPGGSMKLSCVASGFTFS(配列番号117)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVRQSPEKGLEWMA(配列番号119)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RFSISRDDSKSTVYLQMNNLRAEDTGIYYCAR(配列番号121)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGAGTTVTVSS(配列番号124)のアミノ酸配列を含むFR−H4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIVLTQSPTSLAVSLGQRATISC(配列番号126)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WFQQKPGQPPKLLIF(配列番号128)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPARFSGSGSGTDFSLNIHPVEEDDTAMYFC(配列番号130)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGGGTKLEIK(配列番号132)のアミノ酸配列を含むFR−L4を含み得る。一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号134のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号135のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。一部の事例では、例示的な抗IL−33抗体は、10H2である。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)KFWMN(配列番号158)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)EIRLX1X2INYVKDYAESVKG(配列番号161)のアミノ酸配列を含むHVR−H2(X1はAsn若しくはSerであり、X2はSer若しくはAlaであり、X1はAsn、Asp、Ser、若しくはAlaであり、X2はSer若しくはAlaである)、(c)RNYGNWFFEI(配列番号160)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASESVDRYGISFMN(配列番号164)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASNQGS(配列番号165)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QHSKEVPYT(配列番号166)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号158、160、161、164〜166のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)KFWMN(配列番号158)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)EIRLNSINYVKDYAESVKG(配列番号159)、EIRLSSINYVKDYAESVKG(配列番号162)、若しくはEIRLNAINYVKDYAESVKG(配列番号163)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)RNYGNWFFEI(配列番号160)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASESVDRYGISFMN(配列番号164)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASNQGS(配列番号165)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QHSKEVPYT(配列番号166)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号158〜160または162〜166のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
一部の事例では、IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVKLEESGGGLVQPGGSMKLSCVASGFTFN(配列番号167)またはEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFN(配列番号171)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVRQSPEKGLEWVA(配列番号168)またはWVRQAPGKGLEWVA(配列番号172)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RFTISRDDSKNSVYLQMNNLRAEDTGIYYCIR(配列番号169)またはRFTISRDNAKNSVYLQMNSLRAEDTAVYYCIR(配列番号173)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGAGTTVTVSS(配列番号170)またはWGQGTLVTVSS(配列番号174)のアミノ酸配列を含むFR−H4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIVLTQSPASLAVSLGQRATISC(配列番号175)またはDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号179)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WFQQKPGQSPKLLIY(配列番号176)またはWFQQKPGKAPKLLIY(配列番号180)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPARFSGSGSGTDFSLNIHPLEEDDAAMYFC(配列番号177)またはGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号181)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGGGTKLEIK(配列番号178)またはFGQGTKVEIK(配列番号182)のアミノ酸配列を含むFR−L4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号183、185、187、若しくは189のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号183、185、187、若しくは189のうちのいずれか1つの配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号184、186、188、190のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号184、186、188、190のうちのいずれか1つの配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号183のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号184のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号185のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号186のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号187のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号188のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号189のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号190のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)KFWMN(配列番号158)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)EIRLNSINYVKDYAESVKG(配列番号159)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)RNYGNWFFEI(配列番号160)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASESVDRYGISFMN(配列番号164)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASNQGS(配列番号165)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QHSKEVPYT(配列番号166)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み得る。一部の事例では、本抗体は、(a)配列番号183に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号183の配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号184に少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号184の配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVKLEESGGGLVQPGGSMKLSCVASGFTFN(配列番号167)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVRQSPEKGLEWVA(配列番号168)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RFTISRDDSKNSVYLQMNNLRAEDTGIYYCIR(配列番号169)のアミノ酸配列を含むFR−H3、WGAGTTVTVSS(配列番号170)のアミノ酸配列を含むFR−H4を含む。一部の事例では、IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIVLTQSPASLAVSLGQRATISC(配列番号175)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WFQQKPGQSPKLLIY(配列番号176)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPARFSGSGSGTDFSLNIHPLEEDDAAMYFC(配列番号177)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGGGTKLEIK(配列番号178)のアミノ酸配列を含むFR−L4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号183のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号184のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。一部の事例では、例示的な抗IL−33抗体は、6C11である。
他の事例では、抗IL−33抗体は、(a)DYNMN(配列番号191)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)DINPKX1X2DTFYNQNFKD(配列番号192)のアミノ酸配列を含むHVR−H2(X1はAsn若しくはSerであり、少なくともX2はGly若しくはAlaである)、(c)HYYYGSSYGGFVY(配列番号196)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)HASQNINVWLS(配列番号197)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASKLHT(配列番号198)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQGQSYPLT(配列番号199)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号191、192、または196〜199のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)DYNMN(配列番号191)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)DINPKNGDTFYNQNFKD(配列番号193)、DINPKSGDTFYNQNFKD(配列番号194)、若しくはDINPKNADTFYNQNFKD(配列番号195)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)HYYYGSSYGGFVY(配列番号196)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)HASQNINVWLS(配列番号197)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASKLHT(配列番号198)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQGQSYPLT(配列番号199)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号191または193〜199のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVLLQQSGPELVKPGASVKISCNASGYTFS(配列番号200)またはEVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFS(配列番号204)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVKQSHGKSLESIG(配列番号201)またはWVRQAPGQGLESIG(配列番号205)のアミノ酸配列を含むFR−H1、KATLTIDKSSSTVYMELRSLTSEDTAMYYCAR(配列番号202)またはRATLTIDKSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号206)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTLVTVAA(配列番号203)またはWGQGTLVTVSS(配列番号207)のアミノ酸配列を含むFR−H4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIQMNQSPSSLSASLGDTITITC(配列番号208)またはDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号212)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WYQQKAGNNPKLLIY(配列番号209)またはWYQQKPGKNPKLLIY(配列番号213)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPSRFTGSGSGTLFTLTISSLQPEDIATYYC(配列番号210)またはGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号214)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGSGTNLELK(配列番号211)またはFGQGTKVEIK(配列番号215)のアミノ酸配列を含むFR−L4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号216、218、220、若しくは221のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号216、218、220、若しくは221のうちのいずれか1つの配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号217若しくは配列番号219に少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号217若しくは配列番号219の配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号216のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号217のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号218のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号219のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号220のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号219のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号221のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号219のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)DYNMN(配列番号191)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)DINPKNGDTFYNQNFKD(配列番号193)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)HYYYGSSYGGFVY(配列番号196)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)HASQNINVWLS(配列番号197)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASKLHT(配列番号198)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQGQSYPLT(配列番号199)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み得る。一部の事例では、本抗体は、(a)配列番号216に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号216の配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号217に少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号217の配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVLLQQSGPELVKPGASVKISCNASGYTFS(配列番号200)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVKQSHGKSLESIG(配列番号201)のアミノ酸配列を含むFR−H2、KATLTIDKSSSTVYMELRSLTSEDTAMYYCAR(配列番号202)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTLVTVAA(配列番号203)のアミノ酸配列を含むFR−H4を含む一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIQMNQSPSSLSASLGDTITITC(配列番号208)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WYQQKAGNNPKLLIY(配列番号209)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPSRFTGSGSGTLFTLTISSLQPEDIATYYC(配列番号210)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGSGTNLELK(配列番号211)のアミノ酸配列を含むFR−L4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号216のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号217のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。一部の事例では、例示的な抗IL−33抗体は、2B6である。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)SYWIN(配列番号222)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)RIAPGSGFISYNELFKD(配列番号223)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)EFYYGSFYGGFAY(配列番号224)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)HASQNIHVWLS(配列番号225)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)KASTLHT(配列番号226)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQGQSSPLT(配列番号227)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号222〜227のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:QVQLQQSGNDLVKPGASVKLSCKASGYTFT(配列番号228)またはEVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFT(配列番号238)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WIKQRPGQGLEWIG(配列番号229)またはWVRQAPGQGLEWIG(配列番号239)のアミノ酸配列を含むFR−H2、KATLTVDTSSSTAYIQLGSLSSEDSAVYFCAR(配列番号230)またはRVTITRDTSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号240)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTLVTVSA(配列番号231)またはWGQGTLVTVSS(配列番号241)のアミノ酸配列を含むFR−H4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIQMNQSPSSLSASLGDTITITC(配列番号232)またはDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号242)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WYQQKPGNIPKLLIY(配列番号233)またはWYQQKPGKAPKLLIY(配列番号243)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPSRFNGSGSGTGFTLTISSLQPEDIATYYC(配列番号234)またはGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号244)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGAGTKLEVK(配列番号235)またはFGQGTKVEIK(配列番号245)のアミノ酸配列を含むFR−L4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号236若しくは配列番号246に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号236若しくは配列番号246の配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号237若しくは配列番号247に少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号237若しくは配列番号247の配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)SYWIN(配列番号222)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)RIAPGSGFISYNELFKD(配列番号223)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)EFYYGSFYGGFAY(配列番号224)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)HASQNIHVWLS(配列番号225)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)KASTLHT(配列番号226)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQGQSSPLT(配列番号227)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み得る。一部の事例では、本抗体は、(a)配列番号236に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号236の配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号237に少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号237の配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:QVQLQQSGNDLVKPGASVKLSCKASGYTFT(配列番号228)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WIKQRPGQGLEWIG(配列番号229)のアミノ酸配列を含むFR−H2、KATLTVDTSSSTAYIQLGSLSSEDSAVYFCAR(配列番号230)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTLVTVSA(配列番号231)のアミノ酸配列を含むFR−H4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIQMNQSPSSLSASLGDTITITC(配列番号232)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WYQQKPGNIPKLLIY(配列番号233)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPSRFNGSGSGTGFTLTISSLQPEDIATYYC(配列番号234)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGAGTKLEVK(配列番号235)のアミノ酸配列を含むFR−L4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号236のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号237のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。一部の事例では、例示的な抗IL−33抗体は、9F6である。
他の事例では、抗IL−33抗体は、(a)GSAX1H(配列番号248)のアミノ酸配列を含むHVR−H1(X1はMet若しくはIleである)、(b)RIRSX1X2NX3YATX4YX5ASVKG(配列番号249)のアミノ酸配列を含むHVR−H2(X1はArg若しくはLysであり、X2はAsn、Thr、若しくはGlyであり、X3はAsn若しくはSerであり、X4はAla若しくはGluであり、X5はAla若しくはAspである)、(c)X1X2X3X4PFDY(配列番号250)のアミノ酸配列を含む(X1はLeu若しくはGlnであり、X2はGln、Gly、若しくはPheであり、X3はGln若しくはGlyであり、X4はPro若しくはAspである)、(d)RASQGIRNDLD(配列番号251)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASSLQS(配列番号252)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)LQHX1X2YPX3T(配列番号253)のアミノ酸配列を含むHVR−L3(X1はAsp若しくはSerであり、X2はSer若しくはIleであり、X3はLeu若しくはProである)から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRの1つ以上と、配列番号248〜253のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)GSAMH(配列番号254)若しくはGSAIH(配列番号258)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)RIRSRNNNYATAYAASVKG(配列番号255)、RIRSRTNNYATEYDASVKG(配列番号259)、若しくはRIRSKGNSYATAYAASVKG(配列番号262)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)LQQPPFDY(配列番号256)、LGQPPFDY(配列番号260)、若しくはQFGDPFDY(配列番号263)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASQGIRNDLD(配列番号251)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASSLQS(配列番号252)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)LQHDSYPLT(配列番号257)若しくはLQHSIYPPT(配列番号261)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号251、252、または254〜263のうちのいずれか1つに対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。
一部の事例では、IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:QVQLVQSGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFS(配列番号264)、EVQLVESGGDLVQPGGSLKLSCAASGFTFS(配列番号265)、若しくはEVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFS(配列番号266)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVRQASGKGLEWVG(配列番号267)若しくはWVRQAPGKGLEWVG(配列番号268)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RFTISRDDSKRTTYLQMNSLKTEDTAVYYCTR(配列番号269)、RFTISRDDSKRTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTR(配列番号270)、若しくはRFSISRDDSKRTAYLQMSSLKTEDSAVYYCAR(配列番号271)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTLVTVSS(配列番号272)のアミノ酸配列を含むFR−H4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号273)、AIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号274)、若しくはAIRITQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号275)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WYQQKPGKAPKRLIY(配列番号276)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPSRFNGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号277)、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号278)、若しくはGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号279)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGGGTKVEIK(配列番号280)若しくはFGQGTKVEIK(配列番号281)のアミノ酸配列を含むFR−L4のうちの1、2、3、または4つを含み得る。
一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号282、284、若しくは286のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号282、284、若しくは286のうちのいずれか1つの配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号283、285、若しくは287のうちのいずれか1つに少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号283、285、若しくは287のうちのいずれか1つの配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号282のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号283のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号284のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号285のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。例えば、一部の事例では、本抗体は、配列番号286のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号287のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。
例えば、抗IL−33抗体は、(a)GSAMH(配列番号254)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)RIRSRNNNYATAYAASVKG(配列番号255)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)LQQPPFDY(配列番号256)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASQGIRNDLD(配列番号251)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASSLQS(配列番号252)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)LQHDSYPLT(配列番号257)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み得る。一部の事例では、本抗体は、(a)配列番号282に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号282の配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号283に少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号283の配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:QVQLVQSGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFS(配列番号264)のアミノ酸配列を含むFR−H1、WVRQASGKGLEWVG(配列番号267)のアミノ酸配列を含むFR−H2、RFTISRDDSKRTTYLQMNSLKTEDTAVYYCTR(配列番号269)のアミノ酸配列を含むFR−H3、及びWGQGTLVTVSS(配列番号272)のアミノ酸配列を含むFR−H4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号273)のアミノ酸配列を含むFR−L1、WYQQKPGKAPKRLIY(配列番号276)のアミノ酸配列を含むFR−L2、GVPSRFNGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号277)のアミノ酸配列を含むFR−L3、及びFGGGTKVEIK(配列番号280)のアミノ酸配列を含むFR−L4を含む。一部の事例では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号282のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号283のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、結合ドメインを含む。一部の事例では、例示的な抗IL−33抗体は、101.B11である。
一部の事例では、本発明は、(a)配列番号288のアミノ酸配列を含む重鎖及び/または(b)配列番号289のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。ある特定の実施形態では、本抗体は、IgG4.S228P形式で発現する10C12.38.H6.87Y.58Iである。
一部の事例では、本発明は、(a)配列番号292のアミノ酸配列を含む重鎖及び/または(b)配列番号293のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。ある特定の実施形態では、本抗体は、IgG4.S228P形式で発現する4G12.FW4である。
一部の事例では、本発明は、(a)配列番号290のアミノ酸配列を含む重鎖及び/または(b)配列番号291のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。ある特定の実施形態では、本抗体は、IgG1形式で発現する10C12.38.H6.87Y.58Iである。
一部の事例では、本発明は、(a)配列番号294のアミノ酸配列を含む重鎖及び/または(b)配列番号295のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。ある特定の実施形態では、本抗体は、IgG1形式で発現する4G12.FW4である。
更なる態様では、本発明は、本明細書に提供される抗IL−33抗体と同じエピトープに結合する抗体を提供する。例えば、ある特定の実施形態では、10C12.38.H6.87Y.58Iまたは4G12.FW4と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
本発明の更なる態様では、上述の実施形態のいずれかによる抗IL−33抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一実施形態では、抗IL−33抗体は、抗体フラグメント、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)2フラグメントである。別の実施形態では、本抗体は、全長抗体、例えば、本明細書に定義されるインタクトIgG1抗体、インタクトIgG4抗体、または他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。一部の事例では、本抗体は、ヒンジ領域に変異を含むIgG4抗体である。一部の事例では、変異は、置換変異である。一部の事例では、置換変異は、アミノ酸残基S228(EU番号付け)におけるものである。一部の事例では、置換変異は、S228P変異である。
更なる態様では、上述の実施形態のいずれかによる抗IL−33抗体は、以下の節1〜7に記載される特徴のうちのいずれかを、単独または組み合わせで組み込み得る。
1.抗体親和性
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、1pM以下、または0.1pM以下(例えば、10−6M以下、例えば、10−6M〜10−9M以下、例えば10−9M〜10−13M以下)の解離定数(KD)を有する。
一実施形態では、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一実施形態では、RIAは、目的の抗体のFabバージョンとその抗原を用いて行われる。例えば、抗原に対するFabの結合親和性は、未標識抗原の一連の滴定の存在下で、Fabを最低濃度の(125I)標識抗原と平衡化し、次いで、抗Fab抗体をコーティングしたプレートで結合した抗原を捕捉することによって測定される(例えば、Chen et al.J.Mol.Biol.293:865−881,1999を参照されたい)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)中5μg/mLの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中2%(重量/体積)のウシ血清アルブミンにより、室温(およそ23℃)で2〜5時間ブロッキングする。非吸着性のプレート(Nunc番号269620)で、100pMまたは26pMの[125I]抗原を、目的のFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.Cancer Res.57:4593−4599,1997における抗VEGF抗体、Fab−12の評価と一致)。目的のFabを次いで一晩インキュベートするが、インキュベーションは、平衡が確実に達成されるようにより長い期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、混合物を、室温での(例えば、1時間にわたる)インキュベーションのために、捕捉プレートに移す。次いでこの溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT−20(商標)、Packard)を添加し、TOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)でプレートを10分間計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイで使用するために選定する。
別の実施形態によると、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。例えば、BIACORE(登録商標)2000またはBIACORE(登録商標)3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いたアッセイは、約10応答単位(RU)で固定化した抗体CM5チップを用いて25℃で行われる。一実施形態では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給業者の指示に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化させる。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mL(約0.2μM)まで希釈した後、およそ10応答単位(RU)のカップリングしたタンパク質が達成されるように、5μL/分の流速で注入する。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応の基をブロッキングする。動態測定については、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM〜500nM)を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に0.05%ポリソルベート20(TWEEN(登録商標)20)界面活性剤を含むもの(PBST)に、25℃で、およそ25μL/分の流速で注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、単純な1対1のラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合センサグラムと解離センサグラムとを同時に当てはめることによって計算される。平衡解離定数(KD)は、koff/konとして計算する。例えば、Chen et al.(J.Mol.Biol.293:865−881,1999を参照されたい)。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって、オン速度が106M−1s−1を超える場合、このオン速度は、撹拌されたキュベットを備えるストップフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)または8000シリーズSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計において測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、PBS(pH7.2)中20nMの抗抗原抗体(Fab型)の25℃における蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の上昇または減少を測定する、蛍光消光技法を使用することによって、決定することができる。
2.抗体フラグメント
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、抗体フラグメントである。抗体フラグメントには、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv、及びscFvフラグメント、ならびに以下に記載される他のフラグメントが含まれるがこれらに限定されない。ある特定の抗体フラグメントの概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134(2003)を参照されたい。scFvフラグメントの概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer−Verlag,New York),pp.269−315(1994)を参照されたく、また、国際公開第WO93/16185号、ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)2フラグメントの考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る、2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントである。例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第WO1993/01161号、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134,2003、及びHollinger et al.Proc.Natl.Acad.USA 90:6444−6448,1993を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディもまた、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134,2003に記載されている。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て若しくは一部分または軽鎖可変ドメインの全て若しくは一部分を含む、抗体フラグメントである。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照されたい)。
抗体フラグメントは、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、ならびに組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌またはファージ)による産生を含むがこれらに限定されない、種々の技法によって作製することができる。
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.Proc.Natl.Acad.USA,81:6851−6855,1984)に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。更なる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のものから変化している、「クラススイッチされた」抗体である。キメラ抗体には、それらの抗原結合フラグメントが含まれる。
ある特定の実施形態では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的に、非ヒト抗体は、非ヒト親抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減させるために、ヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR(またはそれらの部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(またはそれらの部分)がヒト抗体配列に由来する、1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部分も含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を復元または向上させるために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となった抗体)に由来する対応する残基で置換される。
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:1619−1633,2008に概説されており、更に、例えば、Riechmann et al.Nature 332:323−329,1988、Queen et al.Proc.Natl.Acad.USA 86:10029−10033,1989、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.Methods 36:25−34,2005(特異性決定領域(SDR)グラフトについて記載)、Padlan,Mol.Immunol.28:489−498,1991(「リサーフェシング(resurfacing)」について記載)、Dall’Acqua et al.Methods 36:43−60,2005(「FRシャッフリング」について記載)、ならびにOsbourn et al.Methods 36:61−68,2005及びKlimka et al.Br.J.Cancer,83:252−260,2000(FRシャッフリングへの「選択誘導(guided selection)」アプローチについて記載)に記載されている。
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域には、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296,1993を参照されたい)、軽鎖または重鎖可変領域の特定の下位集団のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.USA,89:4285,1992及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623,1993を参照されたい)、ヒト成熟(体細胞成熟)フレームワーク領域またはヒト生殖系フレームワーク領域(例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:1619−1633,2008を参照されたい)、ならびにFRライブラリのスクリーニングから導出されるフレームワーク領域(例えば、Baca et al.J.Biol.Chem.272:10678−10684,1997及びRosok et al.J.Biol.Chem.271:22611−22618,1996を参照されたい)が含まれるがこれらに限定されない。
4.ヒト抗体
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の様々な技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、概して、van Dijk et al.Curr.Opin.Pharmacol.5:368−74,2001及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450−459,2008に記載されている。
ヒト抗体は、抗原曝露に応答してインタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を含むインタクトな抗体を産生するように改変されているトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによって、調製されてもよい。かかる動物は典型的に、内在性免疫グロブリン遺伝子座を置き換える、または染色体外に存在するか、若しくは動物の染色体中にランダムに組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部分を含有する。かかるトランスジェニックマウスにおいて、内在性免疫グロブリン遺伝子座は、概して、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117−1125,2005を参照されたい。例えば、XENOMOUSE(商標)技術について記載している米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号、HUMAB(登録商標)技術について記載している米国特許第5,770,429号、K−M MOUSE(登録商標)技術について記載している米国特許第7,041,870号、ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)技術について記載している米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。かかる動物によって生成されるインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、更に修飾されてもよい。
ヒト抗体はまた、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫細胞株及びマウス−ヒト異種骨髄腫(heteromyeloma)細胞株が説明されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.133:3001,1984、Brodeur et al.Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)及びBoerner et al.J.Immunol.147:86,1991を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体もまた、Li et al.Proc.Natl.Acad.USA,103:3557−3562,2006に記載されている。更なる方法には、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生について記載している)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265−268,2006(ヒト−ヒトハイブリドーマについて記載している)に記載されるものが含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)もまた、Vollmers et al.Histology and Histopathology 20(3):927−937,2005及びVollmers et al.Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185−91,2005に記載されている。
ヒト抗体はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成することもできる。かかる可変ドメイン配列は、次いで、所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技法が、以下に記載される。
5.ライブラリ由来抗体
本発明の抗体は、コンビナトリアルライブラリを、所望の活性(複数可)を有する抗体についてスクリーニングすることによって、単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を保有する抗体についてかかるライブラリをスクリーニングするための多様な方法が当該技術分野で知られている。かかる方法は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説されており、更に、例えばMcCafferty et al.Nature 348:552−554,1990、Clackson et al.Nature 352:624−628,1991、Marks et al.J.Mol.Biol.222:581−597,1992、Marks et al.in Methods in Molecular Biology 248:161−175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.J.Mol.Biol.338(2):299−310,2004、Lee et al.J.Mol.Biol.340(5):1073−1093,2004、Fellouse,Proc.Natl.Acad.USA 101(34):12467−12472,2004、及びLee et al.J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132,2004に記載されている。
ある特定のファージディスプレイ法では、VH遺伝子及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリにおいてランダムに組み換え、これを、次いで、Winter et al.Ann.Rev.Immunol.,12:433−455,1994に記載されるように、抗原結合ファージに関してスクリーニングすることができる。ファージは、典型的に、抗体フラグメントを、一本鎖Fv(scFv)フラグメントまたはFabフラグメントとして提示する。免疫付与した源に由来するライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al.EMBO J.12:725−734,1993に記載されるように、ナイーブレパートリーを(例えば、ヒトから)クローニングして、免疫付与を伴うことなく、広範な非自己抗原及び自己抗原に対する単一源の抗体を提供してもよい。最後に、ナイーブライブラリはまた、Hoogenboom et al.J.Mol.Biol.,227:381−388,1992に記載されるように、再配列されていないV遺伝子セグメントを幹細胞からクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して可変性の高いHVR3領域をコードし、インビトロで再配列を遂行することによって、合成により作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載している特許公開には、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が含まれる。
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体フラグメントは、本明細書においてヒト抗体またはヒト抗体フラグメントと見なされる。
6.多重特異性抗体
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、IL−33の2つの異なるエピトープに結合し得る。ある特定の実施形態では、これらの結合特異性のうちの一方は、IL−33に対するものであり、他方は、任意の他の抗原(例えば、第2の生体分子、例えば、IL−13、IL−4、IL−5、IL−17、D因子、HtrA1、VEGF、またはVEGF受容体)に対するものである。したがって、二重特異性抗体は、IL−33とIL−13、IL−33とIL−4、IL−33とIL−5、IL−33とIL−17、IL−33とD因子、IL−33とHtrA1、IL−33とVEGF、またはIL−33とVEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、膜結合型VEGF受容体(mbVEGFR)、若しくは可溶性VEGF受容体(sVEGFR))に対する結合特異性を有し得る。一部の事例では、二重特異性抗体は、IL−33とD因子とに対する結合特異性を有し得る。他の事例では、二重特異性抗体は、IL−33とHtrA1とに対する結合特異性を有し得る。更に他の事例では、二重特異性抗体は、IL−33とVEGFとに対する結合特異性を有し得る。他の事例では、二重特異性抗体は、IL−33とVEGF受容体とに対する結合特異性を有し得る。特に、二重特異性抗体は、IL−33とIL−13とに対する結合特異性を有し得る。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体フラグメントとして調製され得る。
例えば、一部の事例では、(a)SFSX1S(配列番号62)のアミノ酸配列を含むHVR−H1(X1はMet、Leu、若しくはValである)、(b)TISGGKTFTDYVDX1VKG(配列番号63)のアミノ酸配列を含むHVR−H2(X1はSer若しくはAlaである)、(c)ANYGX1X2FFEV(配列番号64)のアミノ酸配列を含むHVR−H3(X1はAsn若しくはAspであり、X2はTrp若しくはPheである)、(d)RASESVAKYGLSLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASNRGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQSKEVPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号4〜6または62〜64のうちのいずれかに少なくとも80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含むIL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインを含む二重特異性抗IL−33抗体は、IL−13に結合する第2の結合ドメインを有し得る。IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)AYSVN(配列番号296)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号297)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)DGYYPYAMDN(配列番号298)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASKSVDSYGNSFMH(配列番号299)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)LASNLES(配列番号300)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQNNEDPRT(配列番号301)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号296〜301のいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、第2の結合ドメインは、IL−13抗体レブリキズマブの1、2、3、4、5、または6つのHVRを含む。
例えば、一部の事例では、(a)SFSMS(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)TISGGKTFTDYVDSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)ANYGNWFFEV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASESVAKYGLSLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)AASNRGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQSKEVPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つの超可変領域(HVR)を含むIL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインを含む二重特異性IL−33抗体、例えば、10C12.38.H6.87Y.58Iは、IL−13に結合する第2の結合ドメインを有する。IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)AYSVN(配列番号296)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号297)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)DGYYPYAMDN(配列番号298)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASKSVDSYGNSFMH(配列番号299)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)LASNLES(配列番号300)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQNNEDPRT(配列番号301)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVRを含み得る。一部の実施形態では、第2の結合ドメインは、IL−13抗体レブリキズマブの1、2、3、4、5、または6つのHVRを含む。
一部の事例では、10C12.38.H6.87Y.58Iなどの二重特異性抗IL−33抗体は、(a)配列番号36に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号36の配列を含む、VHドメイン、(b)配列番号37に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号37の配列を含む、VLドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含むIL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインを含み、IL−13に結合する第2の結合ドメインを有し得る。IL−13に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)配列番号302に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号302の配列を含む、VHドメイン、(b)配列番号303に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号303の配列を含む、VLドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、IL−13に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)配列番号328に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号328の配列を含む、VHドメイン、(b)配列番号329に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号329の配列を含む、VLドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、IL−13に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)抗IL−13抗体レブリキズマブに少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または抗IL−13抗体レブリキズマブの配列を含む、VHドメイン、(b)抗IL−13抗体レブリキズマブに少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または抗IL−13抗体レブリキズマブの配列を含む、VLドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。
他の事例では、(a)SSIFYWG(配列番号65)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)SIYYSGRTYYNPX1LKS(配列番号90)のアミノ酸配列を含むHVR−H2(X1はSer若しくはAlaである)、(c)AGGLYNWNDESFSFYMDV(配列番号68)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASQSFSSSYLA(配列番号69)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)GASSRAT(配列番号70)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQYDRSPLT(配列番号71)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号65、68〜71、または90のうちのいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含むIL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインを含む二重特異性抗IL−33抗体は、IL−13に結合する第2の結合ドメインを含み得る。IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)AYSVN(配列番号296)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号297)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)DGYYPYAMDN(配列番号298)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASKSVDSYGNSFMH(配列番号299)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)LASNLES(配列番号300)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQNNEDPRT(配列番号301)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVR、あるいは上述のHVRのうちの1つ以上と、配列番号296〜301のいずれか1つに少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性)を有するそれらの1つ以上の変異形との組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、第2の結合ドメインは、IL−13抗体レブリキズマブの1、2、3、4、5、または6つのHVRを含む。
例えば、一部の事例では、(a)SSIFYWG(配列番号65)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)SIYYSGRTYYNPSLKS(配列番号66)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)AGGLYNWNDESFSFYMDV(配列番号68)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASQSFSSSYLA(配列番号69)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)GASSRAT(配列番号70)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQYDRSPLT(配列番号71)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つの超可変領域(HVR)を含むIL−33に特異的に結合する第1のドメインを含む二重特異性抗IL−33抗体、例えば、4G12.FW4は、IL−13に結合する第2の結合ドメインを有し得る。IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)AYSVN(配列番号296)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号297)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、(c)DGYYPYAMDN(配列番号298)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、(d)RASKSVDSYGNSFMH(配列番号299)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(e)LASNLES(配列番号300)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び(f)QQNNEDPRT(配列番号301)のアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、または6つのHVRを含み得る。一部の実施形態では、第2の結合ドメインは、IL−13抗体レブリキズマブの1、2、3、4、5、または6つのHVRを含む。
一部の事例では、(a)配列番号84に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号84の配列を含む、VHドメイン、(b)配列番号85に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号85の配列を含む、VLドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含むIL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインを含む、二重特異性抗IL−33抗体、例えば、4G12.FW4は、IL−13に結合する第2の結合ドメインを有し得る。IL−13に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)配列番号302に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号302の配列を含む、VHドメイン、(b)配列番号303に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号303の配列を含む、VLドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、IL−13に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)配列番号328に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号328の配列を含む、VHドメイン、(b)配列番号329に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号329の配列を含む、VLドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。一部の事例では、IL−13に結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)抗IL−13抗体レブリキズマブに少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または抗IL−13抗体レブリキズマブの配列を含む、VHドメイン、(b)抗IL−13抗体レブリキズマブに少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または抗IL−13抗体レブリキズマブの配列を含む、VLドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。
一部の事例では、二重特異性抗IL−33抗体は、(a)IL−33に特異的に結合する第1の重鎖及び第1の軽鎖(第1の重鎖は、配列番号306に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号306の配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号307に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号307の配列を含む)、ならびに(b)IL−13に特異的に結合する第2の重鎖及び第2の軽鎖(第2の重鎖は、配列番号304若しくは330に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号304若しくは330の配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号305若しくは331に少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号305または331の配列を含む)を含み得る。一部の実施形態では、IL−13に特異的に結合する第2の重鎖及び第2の軽鎖は、抗IL−13抗体レブリキズマブの重鎖及び軽鎖である。
一部の事例では、二重特異性抗IL−33抗体は、(a)IL−33に特異的に結合する第1の重鎖及び第1の軽鎖(第1の重鎖は、配列番号308に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号308の配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号309に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号309の配列を含む)、ならびに(b)IL−13に特異的に結合する第2の重鎖及び第2の軽鎖(第2の重鎖は、配列番号304若しくは330に少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号304若しくは330の配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号305若しくは331に少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号305または331の配列を含む)を含み得る。一部の実施形態では、IL−13に特異的に結合する第2の重鎖及び第2の軽鎖は、抗IL−13抗体レブリキズマブの重鎖及び軽鎖である。
前述の二重特異性抗体のいずかれは、ヒト及びカニクイザル(cyno)IL−33の両方に、約1nM以下のKDで特異的に結合し得る。前述の二重特異性抗体のいずれかは、ヒトIL−33に、約1nM以下のKDで特異的に結合し得る。例えば、一部の事例では、二重特異性抗体は、ヒトIL−33に、約1pM〜約1nM(例えば、約1pM〜約900pM、約1pM〜約800pM、約1pM〜約700pM、約1pM〜約600pM、約1pM〜約500pM、約1pM〜約400pM、約1pM〜約300pM、約1pM〜約200pM、約1pM〜約190pM、約1pM〜約180pM、約1pM〜約170pM、約1pM〜約160pM、約1pM〜約150pM、約1pM〜約140pM、約1pM〜約130pM、約1pM〜約120pM、約1pM〜約110pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約90pM、約1pM〜約80pM、約1pM〜約70pM、約1pM〜約60pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約40pM、約1pM〜約30pM、約1pM〜約25pM、約1pM〜約20pM、または約1pM〜約10pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、二重特異性抗体は、ヒトIL−33に、約1pM〜約250pM(例えば、約1pM〜約250pM、約1pM〜約225pM、約1pM〜約200pM、約1pM〜約190pM、約1pM〜約180pM、約1pM〜約170pM、約1pM〜約160pM、約1pM〜約150pM、約1pM〜約140pM、約1pM〜約130pM、約1pM〜約120pM、約1pM〜約110pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約90pM、約1pM〜約80pM、約1pM〜約70pM、約1pM〜約60pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約40pM、約1pM〜約30pM、約1pM〜約25pM、約1pM〜約20pM、または約1pM〜約10pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、二重特異性抗体は、ヒトIL−33に、約25pMのKDで特異的に結合する。
前述の二重特異性抗体のいずれかは、ヒトIL−13に、約1nM以下のKDで特異的に結合し得る。例えば、一部の事例では、二重特異性抗体は、ヒトIL−13に、約1pM〜約1nM(例えば、約1pM〜約900pM、約1pM〜約800pM、約1pM〜約700pM、約1pM〜約600pM、約1pM〜約500pM、約1pM〜約400pM、約1pM〜約300pM、約1pM〜約200pM、約1pM〜約190pM、約1pM〜約180pM、約1pM〜約170pM、約1pM〜約160pM、約1pM〜約150pM、約1pM〜約140pM、約1pM〜約130pM、約1pM〜約120pM、約1pM〜約110pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約90pM、約1pM〜約80pM、約1pM〜約70pM、約1pM〜約60pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約40pM、約1pM〜約30pM、約1pM〜約25pM、約1pM〜約20pM、または約1pM〜約10pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、二重特異性抗体は、ヒトIL−13に、約1pM〜約250pM(例えば、約1pM〜約250pM、約1pM〜約225pM、約1pM〜約200pM、約1pM〜約190pM、約1pM〜約180pM、約1pM〜約170pM、約1pM〜約160pM、約1pM〜約150pM、約1pM〜約140pM、約1pM〜約130pM、約1pM〜約120pM、約1pM〜約110pM、約1pM〜約100pM、約1pM〜約90pM、約1pM〜約80pM、約1pM〜約70pM、約1pM〜約60pM、約1pM〜約50pM、約1pM〜約40pM、約1pM〜約30pM、約1pM〜約25pM、約1pM〜約20pM、または約1pM〜約10pM)のKDで特異的に結合する。一部の事例では、二重特異性抗体は、ヒトIL−13に、約10pM以下のKDで特異的に結合する。一部の事例では、二重特異性抗体は、ヒトIL−13に、約1pM〜約10pM(例えば、約1pM、約2pM、約3pM、約4pM、約5pM、約6pM、約7pM、約8pM、約9pM、または約10pMのKDで特異的に結合する。
多重特異性抗体を作製するための技法としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組み換え同時発現(Milstein et al.Nature 305:537,1983、国際公開第WO93/08829号、及びTraunecker et al.EMBO J.10:3655,1991を参照されたい)ならびに「ノブ・イン・ホール(knob−in−hole)」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が挙げられるがこれらに限定されない。多重特異性抗体はまた、静電的ステアリング(electrostatic steering)効果を操作して抗体Fc−ヘテロ二量体分子を作製すること(国際公開第WO2009/089004A1号)、2つ以上の抗体またはフラグメントを架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.Science,229:81,1985を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.J.Immunol.,148(5):1547−1553,1992を参照されたい)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体フラグメントを作製すること(例えば、Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.USA 90:6444−6448,1993を参照されたい)、及び一本鎖Fv(scFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.J.Immunol.152:5368,1994を参照されたい)、ならびにTutt et al.J.Immunol.147:60,1991に記載されるように三重特異性抗体を調製することによって調製することができる。
「オクトパス(Octopus)抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、米国公開第2006/0025576A1号を参照されたい)。
本明細書における抗体またはフラグメントにはまた、IL−33ならびに別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用(Dual Acting)Fab」または「DAF」が含まれる(例えば、米国公開第2008/0069820号を参照されたい)。
ノブ・イン・ホール
多重特異性抗体を産生する方法としてノブ・イン・ホールを使用することは、例えば、米国特許第5,731,168号、国際公開第WO2009/089004号、米国公開第2009/0182127号、同第2011/0287009号、Marvin and Zhu,Acta Pharmacol.Sin.(2005)26(6):649−658、及びKontermann(2005)Acta Pharmacol.Sin.,26:1−9に記載されている。簡潔な非限定的考察が、以下に提供される。
「***」は、ヘテロ多量体を安定化させ、それにより、例えば、ホモ多量体形成よりもヘテロ多量体形成を優先するように、第1のポリペプチドの界面から突出し、したがって隣接する界面(すなわち、第2のポリペプチドの界面)にある相補的空洞内に位置付けることが可能な、少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。***は、元々の界面内に存在してもよく、または、合成により(例えば、界面をコードする核酸を変化させることによって)導入してもよい。一部の実施形態では、第1のポリペプチドの界面をコードする核酸を、***をコードするように変化させる。これを達成するために、第1のポリペプチドの界面にある少なくとも1つの「原型」アミノ酸残基をコードする核酸が、原型アミノ酸残基よりも大きな側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードする核酸で置換される。1つを上回る原型残基及び対応する移入残基が存在し得ることが、理解されよう。様々なアミノ残基の側鎖体積は、例えば、米国公開第2011/0287009号の表1または米国特許第7,642,228号の表1に示されている。
一部の実施形態では、***の形成のための移入残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)から選択される天然のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、移入残基は、トリプトファンまたはチロシンである。一部の実施形態では、***の形成のための原型残基は、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、スレオニン、またはバリンのように、小さな側鎖体積を有する。例えば、米国特許第7,642,228号を参照されたい。
「空洞」は、第2のポリペプチドの界面から凹んでおり、したがって隣接する第1のポリペプチドの界面上の対応する***を収容する、少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。空洞は、元々の界面内に存在してもよく、または、合成により(例えば、界面をコードする核酸を変化させることによって)導入してもよい。一部の実施形態では、第2のポリペプチドの界面をコードする核酸を、空洞をコードするように変化させる。これを達成するために、第2のポリペプチドの界面にある少なくとも1つの「原型」アミノ酸残基をコードする核酸が、原型アミノ酸残基よりも小さな側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードするDNAで置換される。1つを上回る原型残基及び対応する移入残基が存在し得ることが、理解されよう。一部の実施形態では、空洞の形成のための移入残基は、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、及びバリン(V)から選択される天然のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、移入残基は、セリン、アラニン、またはスレオニンである。一部の実施形態では、空洞の形成のための原型残基は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンのように、大きな側鎖体積を有する。
***は空洞内に「位置付けることが可能」であり、これは、それぞれ第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの界面上の***及び空洞の空間的位置、ならびに***及び空洞の大きさが、界面における第1及び第2のポリペプチドの正常な会合を著しく乱すことなく***が空洞内に位置し得るようなものであることを意味する。Tyr、Phe、及びTrpなどの***は、典型的には界面の軸から直角に伸びず、好ましい立体構造を有しないため、対応する空洞との***のアライメントは、一部の事例では、X線結晶学または核磁気共鳴(NMR)によって得られるものといった三次元構造に基づく***/空洞対のモデリングに依存し得る。これは、当該技術分野で広く許容されている技法を使用して達成することができる。
一部の実施形態では、IgG1定常領域内のノブ変異は、T366Wである。一部の実施形態では、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
一部の実施形態では、IgG4定常領域内のノブ変異は、T366Wある。一部の実施形態では、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
7.抗体変異形
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異形が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を向上させることが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異形は、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって、調製することができる。かかる修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列からの残基の欠失、及び/またはそこへの残基の挿入、及び/またはその中での残基の置換が含まれる。最終構築物に到達するように、欠失、挿入、及び置換を任意に組み合わせることができるが、但し、その最終構築物が、所望の特性、例えば、抗原結合性を保有することを条件とする。
a)置換、挿入、及び欠失変異形
ある特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異形が提供される。置換変異生成に対する目的の部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表1において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下に更に記載される。アミノ酸置換が目的の抗体中に導入され、その産物が、所望の活性、例えば、保持された/向上した抗原結合、減少した免疫原性、または向上したADCC若しくはCDCについて、スクリーニングされてもよい。
アミノ酸は、以下の一般的な側鎖特性に従って分類することができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln
(3)酸性:Asp、Glu
(4)塩基性:His、Lys、Arg
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
置換変異形の種類の1つは、親抗体(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、更なる研究のために選択される、結果として生じる変異形(複数可)は、親抗体と比べて、ある特定の生物学的特性における改変(例えば、向上)(例えば、増加した親和性、低減した免疫原性)を有することになり、及び/または親抗体の、実質的に保持されたある特定の生物学的特性を有することになる。例示的な置換変異形は、親和性成熟抗体であり、これは、例えば、本明細書に記載されるものなど、ファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して、簡便に生成することができる。簡潔に述べると、1つ以上のHVR残基を変異させ、変異形抗体をファージ上に提示させ、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。
変化(例えば、置換)をHVRに行って、例えば、抗体親和性を向上させてもよい。かかる変化は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179−196,2008を参照されたい)、及び/または抗原に接触する残基に行われてもよく、結果として生じる変異形VHまたはVLが、結合親和性について試験される。二次ライブラリを構築し、そこから再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に記載されている。親和性成熟の一部の実施形態において、多様性が、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性変異生成)のうちのいずれかによって、成熟のために選定された可変遺伝子中に導入される。次いで、二次ライブラリが作出される。次いでこのライブラリが、所望の親和性を有する任意の抗体変異形を特定するために、スクリーニングされる。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、1回に4〜6つの残基)がランダム化される、HVR指向性アプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異生成またはモデリングを使用して、具体的に特定されてもよい。特に、HVR−H3及びHVR−L3が標的とされることが多い。
ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、かかる変化が、抗原に結合する抗体の能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVR内で生じてもよい。例えば、結合親和性を実質的に低減させない保存的変化(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVRにおいて行われてもよい。かかる変化は、HVRの抗原接触残基以外であってもよい。上記に提供された変異形VH及びVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは、未変化であるか、またはわずか1つ、2つ、若しくは3つのアミノ酸置換を含有するかのいずれかである。
変異生成のための標的とされ得る抗体の残基または領域を特定するための有用な方法の1つは、Cunningham et al.Science,244:1081−1085,1989に記載される、「アラニンスキャニング変異生成」と呼ばれるものである。この方法では、標的残基(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGluなどの荷電残基)のうちのある残基または残基群を特定し、それを中性または負荷電アミノ酸(例えば、Alaまたはポリアラニン)によって置き換えて、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを判定する。更なる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の場所に導入されてもよい。代替または追加として、抗体と抗原との間の接触点を特定するための抗原−抗体複合体の結晶構造。かかる接触残基及び隣接する残基は、置換の候補として標的とされるか、または排除され得る。変異形をスクリーニングして、それらが所望の特性を含有するかどうかを判定してもよい。
アミノ酸配列挿入には、長さが1残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドに及ぶ、アミノ末端融合及び/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内(intrasequence)挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異形には、抗体の血清中半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPTのための)またはポリペプチドに対する抗体のN末端またはC末端への融合が含まれる。
b)グリコシル化変異形
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるように変化されている。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位を作り出すかまたは除去するように、アミノ酸配列を変化させることによって、簡便に遂行することができる。
抗体がFc領域を含む場合、そこに結合した炭水化物を変化させてもよい。哺乳動物細胞によって産生される天然抗体は、典型的に、概してN−結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に結合される、分岐した二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26−32,1997を参照されたい。オリゴ糖類には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖類構造の「ステム」においてGlcNAcに結合したフコースが含まれる。一部の実施形態では、本発明の抗体におけるオリゴ糖の修飾は、ある特定の向上した特性を有する抗体変異形を作り出すために行われてもよい。
一実施形態では、Fc領域に(直接的または間接的に)結合したフコースを欠いている炭水化物構造を有する、抗体変異形が提供される。例えば、かかる抗体におけるフコースの量は、1%〜80%、1%〜65%、5%〜65%、または20%〜40%であっても良い。フコースの量は、例えば、国際公開第WO2008/077546号に記載されるように、MALDI−TOF質量分析法によって測定した場合に、Asn297に結合した全ての糖鎖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計と比べた、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって判定される。Asn297は、Fc領域内の約297位(Fc領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297はまた、抗体における小規模な配列変異に起因して、297位から約±3アミノ酸上流または下流、すなわち、294位〜300位の間に位置してもよい。かかるフコシル化変異形は、向上したADCC機能を有し得る。例えば、米国特許公開第2003/0157108号及び同第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体変異形に関連する刊行物の例としては、米国公開第2003/0157108号、国際公開第WO2000/61739号、同第WO2001/29246号、米国公開第2003/0115614号、同第2002/0164328号、同第2004/0093621号、同第2004/0132140号、同第2004/0110704号、同第2004/0110282号、同第2004/0109865号、国際公開第WO2003/085119号、同第WO2003/084570号、同第WO2005/035586号、同第WO2005/035778号、同第WO2005/053742号、同第WO2002/031140号、Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239−1249,2004、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614,2004が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損したLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533−545,1986、米国公開第2003/0157108号、及び国際公開第WO2004/056312A1号(特に実施例11))、ならびにアルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614,2004、Kanda et al.Biotechnol.Bioeng.94(4):680−688,2006、及び国際公開第WO2003/085107号)が挙げられる。
二分されたオリゴ糖類を有する、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖類がGlcNAcによって二分されている、抗体変異形が更に提供される。かかる抗体変異形は、低減されたフコシル化及び/または向上したADCC機能を有し得る。かかる抗体変異形の例は、例えば、国際公開第WO2003/011878号、米国特許第6,602,684号、及び米国公開第2005/0123546号に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖類に少なくとも1つのガラクトース残基を有する、抗体変異形もまた提供される。かかる抗体変異形は、向上したCDC機能を有し得る。かかる抗体変異形は、例えば、国際公開第WO1997/30087号、同第WO1998/58964号、及び同第WO1999/22764号に記載されている。
c)Fc領域変異形
ある特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾が、本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それによってFc領域変異形が生成され得る。Fc領域変異形は、1つ以上のアミノ酸位にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
ある特定の実施形態において、全てではないが一部のエフェクター機能を保有することにより、インビボでの抗体の半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能(例えば補体及びADCC等)が不必要または有害である用途に望ましい候補となる、抗体変異形が本発明により企図される。インビトロ及び/またはインビボでの細胞毒性アッセイを行って、CDC及び/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠いている(したがって、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力は保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞はFc(RIIIのみを発現するが、一方で単球はFc(RI、Fc(RII、及びFc(RIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457−492,1991の464頁の表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,et al.Proc.Natl.Acad.USA 83:7059−7063,1986及びHellstrom et al.Proc.Natl.Acad.USA 82:1499−1502,1985、米国特許第5,821,337号(Bruggemann et al.J.Exp.Med.166:1351−1361,1987を参照されたい)に記載されている。代替として、非放射性アッセイ法を用いてもよい(例えば、ACTI(商標)フローサイトメトリー用非放射性細胞毒性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替または追加として、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.USA 95:652−656,1998に開示されるものといった動物モデルにおいて、評価してもよい。また、C1q結合アッセイを行って、抗体がC1qに結合不可能であり、よってCDC活性を欠いていることを確認してもよい。例えば、国際公開第WO2006/029879及び同第WO2005/100402号におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行ってもよい(例えば、Gazzano−Santoro et al.J.Immunol.Methods 202:163,1996、Cragg et al.Blood 101:1045−1052,2003、及びCragg et al.Blood 103:2738−2743,2004を参照されたい)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期の判定も、当該技術分野で既知の方法を使用して行うことができる(例えば、Petkova,et al.Intl.Immunol.18(12):1759−1769,2006を参照されたい)。
低減されたエフェクター機能を有する抗体としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有するものが含まれる(米国特許第6,737,056号)。かかるFc変異体には、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)、アミノ酸位265、269、270、297、及び327のうちの2つ以上における置換を有するFc変異体が含まれる。
FcRへの結合が向上または減少した、ある特定の抗体変異形が記載される。(例えば、米国特許第6,737,056号、国際公開第WO2004/056312号、及びShields et al.J.Biol.Chem.9(2):6591−6604,2001を参照されたい)。
ある特定の実施形態では、抗体変異形は、ADCCを向上させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298位、333位、及び/または334位(残基のEU番号付け)に置換を有する、Fc領域を含む。
一部の実施形態では、例えば、米国特許第6,194,551号、国際公開第WO99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178−4184,2000に記載されるように、変化した(すなわち、向上または減少のいずれか)C1q結合及び/または補体依存性細胞毒性(CDC)をもたらす変化が、Fc領域になされる。
増加した半減期を有し、母体IgGの胎児への移入を担う(Guyer et al.,J.Immunol.117:587,1976及びKim et al.,J.Immunol.24:249,1994)胎児性Fc受容体(FcRn)に対する向上した結合性を有する抗体が、米国公開第US2005/0014934号に記載されている。これらの抗体は、FcRnに対するFc領域の結合性を向上させる1つ以上の置換を内部に有するFc領域を含む。かかるFc変異形には、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上における置換、例えば、Fc領域残基434の置換(米国特許第7,371,826号)を有するものが含まれる。
Fc領域変異形の他の例に関しては、Duncan et al.Nature 322:738−40,1988、米国特許第5,648,260号及び同第5,624,821号、ならびに国際公開第WO94/29351号もまた参照されたい。
d)システイン操作抗体変異体
ある特定の実施形態では、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作抗体、例えば、「チオMAb」を作成することが望ましい場合がある。特定の実施形態において、置換残基は、抗体の利用しやすい部位において生じる。それらの残基をシステインで置換することで、反応性のチオール基がそれにより抗体の利用しやすい部位に配置され、本明細書に更に記載されるように、この反応性チオール基を使用して、抗体を薬物部分またはリンカー−薬物部分などの他の部分にコンジュゲートして、免疫コンジュゲートを作り出すことができる。ある特定の実施形態では、次の残基のうちのいずれか1つ以上が、システインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabat番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成してもよい。
e)抗体誘導体
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、当該技術分野で既知であり、容易に入手可能な、追加の非タンパク質性部分を含有するように、更に修飾されてもよい。抗体の誘導体化に好適な部分には、水溶性ポリマーが含まれるがこれらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性に起因して、製造における利点を有し得る。ポリマーは、任意の分子量のものであってもよく、分岐していても非分岐であってもよい。抗体に結合したポリマーの数は様々であり得、1つを超えるポリマーが結合される場合、それらは、同じ分子であっても異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/または種類は、向上させるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定の条件下で治療法において使用されるかどうかなどを含むがこれらに限定されない検討事項に基づいて、決定することができる。
別の実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る、抗体と非タンパク質性部分とのコンジュゲートが提供される。一実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al.Proc.Natl.Acad.USA 102:11600−11605,2005)。放射線は、任意の波長のものであり得、これには、一般の細胞には害を及ぼさないが、非タンパク質性部分を、抗体−非タンパク質性部分の付近の細胞が殺滅される温度まで加熱する波長が含まれるがこれらに限定されない。
B.組み換え方法及び組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載される、組み換え方法及び組成物を使用して産生されてもよい。一実施形態では、本明細書に記載される抗IL−33抗体をコードする単離核酸が提供される。かかる核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードし得る。更なる実施形態では、かかる核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施形態では、かかる核酸を含む宿主細胞が提供される。1つのかかる実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。一実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、293細胞、またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態では、抗IL−33抗体を作製する方法が提供され、本方法は、上記に提供される抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意に、抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することとを含む。
抗IL−33抗体の組み換え産生については、例えば、上述の抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞での更なるクローニング及び/または発現のために、1つ以上のベクターに挿入される。かかる核酸は、従来的な手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離され、配列決定され得る。
抗体コードベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞には、本明細書に記載される原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌において産生されてもよい。細菌における抗体フラグメント及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。(また、大腸菌における抗体フラグメントの発現について記載しているCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245−254も参照されたい)。発現後、抗体は、可溶性画分において細菌細胞ペーストから単離されてもよく、また更に精製されてもよい。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、抗体コードベクターに好適なクローニングまたは発現の宿主であり、それには、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌及び酵母株が含まれる。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409−1414,2004及びLi et al.,Nat.Nat.Biotech.24:210−215,2006を参照されたい。
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と併せて使用され得る多数のバキュロウイルス株が特定されている。
植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載している)を参照されたい。
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で成長するように適合された哺乳類細胞株が、有用であり得る。有用な哺乳類宿主細胞株の他の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7);ヒト胚性腎臓株(例えば、Graham et al.J.Gen Virol.36:59,1977に記載される293または293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243−251,1980に記載されるTM4細胞;サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト子宮頸がん細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス***腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.383:44−68,1982に記載されるTRI細胞;MRC 5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳類宿主細胞株には、DHFR−CHO細胞(Urlaub et al.Proc.Natl.Acad.USA 77:4216,1980)を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにY0、NS0、及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。抗体産生に好適なある特定の哺乳類宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki et al.Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255−268,2003を参照されたい。
C.アッセイ
本明細書に提供される抗IL−33抗体は、当該技術分野で既知の様々なアッセイによって、それらの物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について特定、スクリーニング、または特徴付けが行われ得る。
1.結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様において、本発明の抗IL−33抗体は、例えば、ELISA、ウェスタンブロットなどの既知の方法によって、その抗原結合活性に関して試験される。
別の態様では、競合アッセイを用いて、IL−33への結合について本発明の抗IL−33抗体と競合する抗体が特定され得る。ある特定の実施形態では、かかる競合抗体は、本発明の抗IL−33抗体が結合するものと同じエピトープ(例えば、直鎖または立体構造のエピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Morris“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology Vol.66(Humana Press,Totowa,NJ),1996に提供されている。
例示的な競合アッセイでは、固定化されたIL−33が、IL−33に結合する第1の標識抗体と、IL−33への結合について第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の未標識抗体とを含む溶液中で、インキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化されたIL−33が、第1の標識抗体を含むが第2の未標識抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。IL−33への第1の抗体の結合を許容する条件下でのインキュベーション後、過剰の未結合抗体が除去され、固定化されたIL−33に結合した標識の量が測定される。固定化されたIL−33と結合した標識の量が、試験試料中では対照試料と比べて実質的に低減している場合、それは、第2の抗体がIL−33への結合について第1の抗体と競合していることを示す。Harlow et al.Antibodies:A Laboratory Manual Ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY),1988を参照されたい。
2.活性アッセイ
一態様において、生物学的活性を有する抗IL−33抗体を特定するためのアッセイが提供される。生物学的活性には、例えば、IL−33(例えば、血流中IL−33)またはそのペプチドフラグメントに、インビボ、インビトロ、またはエキソビボのいずれかで結合することが含まれ得る。他の実施形態では、生物学的活性には、IL−33の遮断若しくは中和、またはIL−33とリガンド、例えば受容体(例えば、IL−33受容体ST2及び/若しくはIL−1RAcP)との結合の防止が含まれ得る。一部の実施形態では、生物学的活性には、IL−33上の部位1への結合ならびにIL−33受容体(すなわち、ST2及び/またはIL−1RAcP)への結合の遮断が含まれ得る。インビボ及び/またはインビトロにおいてかかる生物学的活性を有する抗体が提供される。ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、かかる生物学的活性に関して試験される。一部の実施形態では、本発明の抗IL−33抗体は、細胞に基づくIL−33遮断アッセイにおいて阻害に関して試験される。一部の実施形態では、本発明の抗IL−33抗体は、細胞に基づく遮断アッセイ(例えば、本明細書(例えば、実施例2及び実施例8、節Bを参照されたい)に記載されるIL−33 HEK−BLUE(商標)細胞に基づくアッセイ)においてIL−33に誘導される受容体活性の阻害に関して試験される。一部の実施形態では、本発明の抗体は、初代細胞において、例えば、初代NK細胞アッセイ(例えば、実施例8、節Cを参照されたい)または初代好塩基球アッセイ(例えば、実施例8、節Dを参照されたい)において、IL−33活性の阻害に関して試験される。一部の実施形態では、本発明の抗体は、競合的結合ELISA(例えば、実施例8、節Fを参照されたい)においてIL−33とIL−33受容体との結合の阻害に関して試験される。
D.免疫コンジュゲート
本発明はまた、化学療法剤若しくは化学療法薬、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク毒素、細菌、真菌、植物、若しくは動物源の酵素活性毒素、またはそれらのフラグメント)、または放射性同位体などの1つ以上の細胞毒性剤にコンジュゲートされた本明細書の抗IL−33抗体を含む、免疫コンジュゲートも提供する。
一実施形態では、免疫コンジュゲートは、抗体が1つ以上の薬物にコンジュゲートされた抗体−薬物コンジュゲート(ADC)であり、この薬物としては、マイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号、及び欧州特許第0 425 235 B1号を参照されたい);モノメチルオーリスタチン薬物部分DE及びDFを含むオーリスタチン(MMAE及びMMAF)(米国特許第5,635,483号及び同第5,780,588号及び同第7,498,298号を参照されたい);ドラスタチン:カリケアマイシンまたはその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号、Hinman et al.Cancer Res.53:3336−3342,1993、ならびにLode et al.Cancer Res.58:2925−2928,1998を参照されたい):ダウノマイシンまたはドキソルビシンなどのアントラサイクリン(Kratz et al.Current Med.Chem.13:477−523,2006、Jeffrey et al.Bioorganic&Med.Chem.Letters 16:358−362,2006、Torgov et al.Bioconj.Chem.16:717−721,2005、Nagy et al.Proc.Natl.Acad.USA 97:829−834,2000、Dubowchik et al.Bioorg.&Med.Chem.Letters 12:1529−1532,2002、King et al.J.Med.Chem.45:4336−4343,2002、及び米国特許第6,630,579号);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセルなどのタキサン;トリコテセン;ならびにCC1065が挙げられるがこれらに限定されない。
別の実施形態では、免疫コンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(シュードモナス・エルギノーザ由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ−サルシン、アレウリテス・フォルディタンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラッカ・アメリカーナタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、モモルディカ・チャランチア阻害剤、クルシン、クロチン、サポアオナリア・オフィシナリス阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセン(tricothecene)を含むがこれらに限定されない、酵素活性毒素及びそのフラグメントにコンジュゲートされた、本明細書に記載される抗体を含む。
別の実施形態では、免疫コンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートされて放射性コンジュゲートを形成した、本明細書に記載される抗体を含む。様々な放射性同位体が、放射性コンジュゲートの産生に利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体が挙げられる。放射性コンジュゲートを検出に使用する場合、それは、シンチグラフ研究のための放射性原子、例えば、テクネチウム−99m(tc99m)若しくはI123、または核磁気共鳴(NMR)撮像(磁気共鳴撮像mriとしても知られる)のためのスピン標識、例えば、ここでもヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン、若しくは鉄を含み得る。
抗体と細胞毒性剤とのコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質結合剤、例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHClなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)、及びビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al.Science 238:1098,1987に記載されるように調製することができる。炭素−14で標識した1−イソチオシアナートベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性核種を抗体にコンジュゲートするための例示的なキレート剤である。国際公開第WO94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内での細胞毒性薬の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光分解性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(例えば、Chari et al.Cancer Res.52:127−131,1992、米国特許第5,208,020号を参照されたい)を使用してもよい。
本明細書の免疫コンジュゲートまたはADCは、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、及びスルホ−SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬(これらは、(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aから)市販入手可能である)を用いて調製されたコンジュゲートを明示的に企図するが、これらに限定されない。
E.診断及び検出のための方法及び組成物
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗IL−33抗体は、生体試料中のIL−33の存在を検出するのに有用である。本明細書に使用される「検出する」という用語は、定量的検出または定性的検出を包含する。ある特定の実施形態では、生体試料は、細胞または組織、例えば、平滑筋、上皮細胞、内皮細胞、血液、血液細胞(例えば、マクロファージ、自然II型(ILC2)細胞、肥満細胞、好塩基球、好酸球、及び樹状細胞)、中枢神経系細胞(例えば、グリア細胞)、または眼細胞(例えば、網膜細胞(例えば、ミュラー細胞若しくは網膜色素上皮(RPE)細胞)及び眼の血管内皮細胞)を含む。
一実施形態では、診断または検出の方法において使用するための抗IL−33抗体が提供される。更なる態様では、生体試料中のIL−33の存在を検出する方法が提供される。ある特定の実施形態では、本方法は、生体試料と本明細書に記載される抗IL−33抗体とを、抗IL−33抗体とIL−33との結合を許容する条件下で接触させること、及び抗IL−33抗体とIL−33との間に複合体が形成されたかどうかを検出することを含む。かかる方法は、インビトロ法またはインビボ法であり得る。一実施形態では、例えば、IL−33が患者の選択のためのバイオマーカーである場合に、抗IL−33抗体を用いた治療法に適した対象を選択するために抗IL−33抗体が用いられる。
本発明の抗体を用いて診断することができる例示的な障害としては、IL−33媒介性障害が含まれ、これには、例えば、好酸球性障害(例えば、喘息、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、リウマチ性関節炎、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD))、免疫障害(例えば、喘息、リウマチ性関節炎、アレルギー、アトピー性アレルギー、アナフィラキシー、アナフィラキシーショック、アレルギー性鼻炎、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、糖尿病、及び肝疾患)、線維性障害(例えば、肺線維症(例えば、特発性肺線維症)、好酸球性障害(例えば、好酸球性食道炎を含む好酸球関連胃腸障害(EGID))、感染症(例えば、蠕虫感染症、原虫感染症、及びウイルス感染症)、疼痛(例えば、炎症性疼痛)、中枢神経系障害(例えば、アルツハイマー病)、固形腫瘍(例えば、***、結腸、前立腺、肺、腎臓、肝臓、膵臓、胃、腸、脳、骨、及び皮膚の腫瘍)、及び眼科障害(例えば、加齢性黄斑変性(AMD)または眼の網膜症)が挙げられる。一部の事例では、本発明の抗体を用いて診断することができる眼科障害としては、AMD(例えば、滲出型AMD、萎縮型AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA)を含む)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症(DR)、未熟児網膜症(ROP)、及び高所DR)、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、網膜剥離、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性のブドウ膜炎)、網膜色素変性、レーバー先天黒内障、シュタルガルト病、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎、非感染性結膜炎、及びアレルギー性結膜炎)が挙げられる。
一部の事例では、眼科障害には、AMD(滲出型AMD、萎縮型AMD、及びGAを含む)、網膜症(例えば、DR及びROP)、PCV、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、アレルギー性結膜炎、及び網膜剥離が含まれる。
他の事例では、眼科疾患には、中間型AMD、進行型AMD、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性)、網膜色素変性、レーバー先天黒内障、シュタルガルト病、高所糖尿病性網膜症、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性結膜炎)が含まれる。
ある特定の実施形態では、標識された抗IL−33抗体が提供される。標識には、直接検出される標識または部分(蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、及び放射性標識等)、ならびに例えば、酵素反応または分子相互作用を通じて間接的に検出される酵素またはリガンドなどの部分が含まれるが、これらに限定されない。例となる標識には、放射性同位体32P、14C、125I、3H、及び131I、希土類キレートまたはフルオレセイン及びその誘導体などのフルオロフォア、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ(luceriferase)、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖質オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸塩デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化させる酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼとカップリングされた、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなどの複素環式オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定した遊離ラジカル等が含まれるが、これらに限定されない。
F.薬学的製剤
本発明の抗IL−33抗体の薬学的製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、所望される度合いの純度を有するかかる抗体を、1つ以上の任意選択の薬学的に許容される担体(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980を参照されたい)と混合することによって調製することができる。薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントにとって毒性ではなく、この担体には、緩衝液、例えばリン酸、クエン酸、及び他の有機酸;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸及びメチオニン;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド:塩化ヘキサメトニウム:塩化ベンザルコニウム:塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル若しくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジン;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)が含まれるがこれらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体には、例えば、介在性(insterstitial)薬物分散剤、例えば可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えばヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えばrHuPH20(HYLENEX(登録商標)Baxter International,Inc.)が更に含まれる。rHuPH20を含むある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼ、例えばコンドロイチナーゼと組み合わされる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤には、米国特許第6,171,586号及び国際公開第WO2006/044908に記載されるものが含まれ、後者の製剤にはヒスチジン−酢酸緩衝液が含まれる。
本明細書の製剤はまた、治療されている特定の適応症の必要に応じて、1つを上回る活性成分、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない相補的活性を有する成分を含有してもよい。例えば、ST2結合アンタゴニスト、補体経路阻害剤(例えば、D因子結合アンタゴニスト)、HtrA1結合アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト、トリプターゼ−ベータ結合アンタゴニスト、Th2細胞上に発現される化学誘引物質受容体相同分子(CRTH2)結合アンタゴニスト、インターロイキン−13(IL−13)結合アンタゴニスト、インターロイキン−17(IL−17)結合アンタゴニスト、JAK1アンタゴニスト、及び/またはインターロイキン−5(IL−5)結合アンタゴニストを更に提供することが望ましい場合がある。一部の事例では、補体経路阻害剤は、D因子結合アンタゴニストである。一部の事例では、D因子結合アンタゴニストは、例えば以下の節G「治療方法及び組成物」に記載される、抗D因子抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の事例では、HrtA1結合アンタゴニストは、例えば以下の節G「治療方法及び組成物」に記載される、抗HtrA1抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の事例では、抗HtrA1抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の事例では、抗D因子抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の事例では、VEGFアンタゴニストは、例えば以下の節G「治療方法及び組成物」に記載される、抗VEGF抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の事例では、抗VEGF抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の事例では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF受容体抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の事例では、抗VEGF受容体抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。かかる活性成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて存在することが好適である。
活性成分は、例えばコアセルベーション技法若しくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセル中に、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)中に、またはマクロエマルジョン中に封入され得る。かかる技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980に開示されている。
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性調製物の好適な例としては、抗体または免疫コンジュゲートを含有する疎水性固体ポリマーの半透性マトリクスが挙げられ、このマトリクスは、成形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。
眼への送達(眼科送達)のために、本発明の抗体は、例えば、眼科的に許容される保存剤、共溶媒、界面活性剤、粘度増強剤、透過促進剤、緩衝剤、塩化ナトリウム、及び/または水と組み合わされ得る。保存剤は、例えば、使用中の微生物混入を抑制するために含めることができる。好適な保存剤には、エデト酸二ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、フェニルエチルアルコール、クロロブタノール、ポリクオタニウム−1、または当該技術分野で既知の他の薬剤が含まれる。かかる保存剤は、典型的に、0.001〜1.0%重量/体積のレベルで用いられる。一部の事例では、本発明の薬学的製剤は、保存剤を含まない。ある特定の事例では、眼への局所投与が意図される組成物は、点眼剤または眼軟膏として製剤化されてもよい。一部の事例では、抗体の総量は、例えば、かかる製剤の約0.001〜1.0%(重量/重量)、例えば、約0.01〜約1.0%(重量/重量)となるであろう。
インビボ投与に使用されることになる製剤は、一般に、滅菌されている。滅菌状態は、例えば、滅菌濾過膜を通じた濾過によって、容易に達成することができる。
G.治療方法及び組成物
本明細書に提供される抗IL−33抗体のうちのいずれかが、治療方法に使用され得る。
本発明は、医薬品として使用するためのIL−33軸結合アンタゴニストを提供する。一態様において、医薬品として使用するための抗IL−33抗体が提供される。更なる態様では、IL−33媒介性障害の治療に使用するための抗IL−33抗体が提供される。ある特定の実施形態では、治療方法において使用するための抗IL−33抗体が提供される。ある特定の実施形態では、本発明は、IL−33媒介性障害を有する個体を治療する方法において使用するための抗IL−33抗体を提供し、この方法は、有効量の抗IL−33抗体を個体に投与することを含む。1つのかかる実施形態では、本方法は、例えば以下に記載されるような少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。上述の実施形態のいずれかによる「個体」は、好ましくはヒトである。
本発明は、医薬品の製造または調製におけるIL−33軸結合アンタゴニストを提供する。更なる態様では、本発明は、医薬品の製造または調製における抗IL−33抗体の使用を提供する。一実施形態では、医薬品は、IL−33媒介性障害の治療のためのものである。更なる実施形態では、医薬品は、IL−33媒介性障害を治療する方法において使用するためのものであり、この方法は、IL−33媒介性障害を有する個体に有効量の医薬品を投与することを含む。1つのかかる実施形態では、本方法は、例えば以下に記載されるような少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。上述の実施形態のいずれかによる「個体」は、ヒトであり得る。
別の態様では、本発明は、例えば、喘息、気道過敏、気道炎症、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、リウマチ性関節炎、若しくは慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性障害、または例えば特発性肺線維症(IPF)などの線維性障害のための医薬品の製造における、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体またはその抗原結合抗体フラグメントの使用を提供する。例示的な実施形態では、本発明は、喘息の治療のための医薬品の製造における、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体またはその抗原結合抗体フラグメントの使用を提供する。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかに由来する、IL−33に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。二重特異性抗体は、本明細書に記載されるIL−13に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。例示的な実施形態は、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、以下の6つのHVR:SFSMS(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、TISGGKTFTDYVDSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、ANYGNWFFEV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、RASESVAKYGLSLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、AASNRGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及びQQSKEVPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、IL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインと、以下の6つのHVR:AYSVN(配列番号296)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号297)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、DGYYPYAMDN(配列番号298)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、RASKSVDSYGNSFMH(配列番号299)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、LASNLES(配列番号300)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及びQQNNEDPRT(配列番号301)アミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインとを含む。別の実施形態では、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び(b)配列番号37のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、IL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインと、(a)配列番号302のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び(b)配列番号303のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインとを含む。別の実施形態では、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むVLを含む、IL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインと、(a)配列番号302のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号303のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインとを含む。別の実施形態では、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、(a)IL−33に特異的に結合する第1の重鎖及び第1の軽鎖(第1の重鎖は、配列番号308のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号309のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む)、ならびに(b)IL−13に特異的に結合する第2の重鎖及び第2の軽鎖(第2の重鎖は、配列番号304のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号305のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む)を含む。別の実施形態では、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、(a)IL−33に特異的に結合する第1の重鎖及び第1の軽鎖(第1の重鎖は配列番号308のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は配列番号309のアミノ酸配列を含む)、ならびに(b)IL−13に特異的に結合する第2の重鎖及び第2の軽鎖(第2の重鎖は配列番号304のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は配列番号305のアミノ酸配列を含む)を含む。
別の態様では、本発明は、地図状萎縮(GA)を治療するための医薬品の製造における、IL−33及びD因子の両方に特異的に結合する二重特異性抗体、またはその抗原結合抗体フラグメントの使用を提供する。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかに由来する、IL−33に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。二重特異性抗体は、後述の抗D因子抗体のうちのいずれかに由来する、D因子に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。一部の実施形態では、抗原結合抗体フラグメントは、(Fab’)2フラグメントである。
別の態様では、本発明は、地図状萎縮(GA)、AMD(滲出型若しくは萎縮型)、DR、PCV、またはROPを治療するための医薬品の製造における、IL−33及びHtrA1の両方に特異的に結合する二重特異性抗体またはその抗原結合抗体フラグメントの使用を提供する。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかに由来する、IL−33に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗HtrA1抗体のうちのいずれかに由来する、HtrA1に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。一部の実施形態では、抗原結合抗体フラグメントは、(Fab’)2フラグメントである。
更に別の態様では、本発明は、滲出型AMDを治療するための医薬品の製造における、IL−33及びVEGFの両方に特異的に結合する二重特異性抗体またはその抗原結合抗体フラグメントの使用を提供する提供する。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかに由来する、IL−33に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。二重特異性抗体は、以下に記載される抗VEGF抗体のうちのいずれかに由来する、VEGFに特異的に結合する結合ドメインを含み得る。一部の実施形態では、抗原結合抗体フラグメントは、(Fab’)2フラグメントである。
更なる態様では、本発明は、IL−33媒介性障害を治療するための方法を提供する。一部の事例では、本方法は、かかるIL−33媒介性障害を有する個体に、有効量のIL−33軸結合アンタゴニストを投与することを含む。一実施形態では、本方法は、かかるIL−33媒介性障害を有する個体に、有効量の抗IL−33抗体を投与することを含む。1つのかかる実施形態では、本方法は、以下に記載されるような少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。上述の実施形態のいずれかによる「個体」は、ヒトであり得る。
更なる態様において、本発明は、例えば、上述の治療方法のいずれかにおいて使用するための、本明細書に提供される抗IL−33抗体のうちのいずれかを含む、薬学的製剤を提供する。一実施形態では、薬学的製剤は、本明細書に提供される抗IL−33抗体のうちのいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む。別の実施形態では、薬学的製剤は、本明細書に提供される抗IL−33抗体のうちのいずれかと、例えば以下に記載されるような少なくとも1つの追加の治療剤とを含む。
前述の態様のうちのいずれかにおいて、IL−33媒介性障害は、炎症性状態、免疫障害、線維性障害、好酸球性障害、感染症、疼痛、中枢神経系障害、固形腫瘍、または眼科障害であり得る。例えば、一部の事例では、炎症性状態は、喘息、気道過敏、気道炎症、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、リウマチ性関節炎、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)であり得る。一部の事例では、免疫障害は、喘息、リウマチ性関節炎、アレルギー、アトピー性アレルギー、アナフィラキシー、アナフィラキシーショック、アレルギー性鼻炎、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、糖尿病、または肝疾患であり得る。一部の事例では、線維性疾患は、特発性肺線維症(IPF)であり得る。一部の事例では、好酸球性障害は、好酸球関連胃腸障害(EGID)であり得る。一部の事例では、EGIDは、好酸球性食道炎であり得る。一部の事例では、感染症は、蠕虫感染症、原虫感染症、またはウイルス感染症であり得る。一部の事例では、原虫感染症は、大形リーシュマニア感染症であり得る。一部の事例では、ウイルス感染症は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症またはインフルエンザ感染症であり得る。一部の事例では、疼痛は、炎症性疼痛であり得る。一部の事例では、中枢神経系障害は、アルツハイマー病であり得る。一部の事例では、固形腫瘍は、***腫瘍、結腸腫瘍、前立腺腫瘍、肺腫瘍、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、膵臓腫瘍、胃腫瘍、腸腫瘍、脳腫瘍、骨腫瘍、または皮膚腫瘍であり得る。具体的な事例では、IL−33媒介性障害は、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、COPD、好酸球性食道炎、または肺線維症(例えば、IPF)であり得る。例えば、一部の事例では、IL−33媒介性障害は、喘息である。他の事例では、IL−33媒介性障害は、肺線維症(例えば、IPF)である。
前述の態様のうちのいずれかの一部の事例では、IL−33媒介性障害は、加齢性黄斑変性(AMD)(滲出型AMD、萎縮型AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA)を含む)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症(DR)、未熟児網膜症(ROP)、及び高所DR)、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、網膜剥離、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性ブドウ膜炎)、網膜色素変性、レーバー先天黒内障、シュタルガルト病、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎、非感染性結膜炎、及びアレルギー性結膜炎)を含むがこれらに限定されない、眼科障害であり得る。
一部の事例では、眼科障害には、AMD(滲出型AMD、萎縮型AMD、及びGAを含む)、網膜症(例えば、DR及びROP)、PCV、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、アレルギー性結膜炎、及び網膜剥離が含まれる。
他の事例では、眼科疾患には、中間型AMD、進行型AMD、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性)、網膜色素変性、レーバー先天黒内障、シュタルガルト病、高所糖尿病性網膜症、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性結膜炎)が含まれる。
例えば、本発明は、眼科障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、この方法は、対象に、治療有効量のIL−33軸結合アンタゴニストを投与することを含む。一部の事例では、IL−33軸結合アンタゴニストは、抗IL−33抗体、例えば、本発明の抗IL−33抗体である。一部の事例では、IL−33軸結合アンタゴニストは、ANB−020(AnaptyxBio Inc.)または国際公開第WO2014164959号、欧州特許第EP1725261号、米国特許第8187569号、国際公開第WO2011031600号、同第WO2015099175号、若しくは同第WO2015106080号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている抗体のうちのいずれかなどの抗IL−33抗体;AMG−282(Amgen)若しくはSTLM15(Janssen)、または国際公開第WO2013173761号若しくは同第WO2013165894号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている抗体のうちのいずれかなどの抗ST2抗体;あるいは、国際公開第WO2013/173761号、同第WO2013/165894号、または同第WO2014/152195号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているものなどのST2−Fcタンパク質及びその変異形である。一部の事例では、眼科障害は、加齢性黄斑変性(AMD)(滲出型AMD、萎縮型AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA)を含む)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症(DR)、未熟児網膜症(ROP)、及び高所DR)、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、網膜剥離、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性のブドウ膜炎)、網膜色素変性、レーバー先天黒内障(レーバーの先天黒内障としても知られる)、シュタルガルト病、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎、非感染性結膜炎、及びアレルギー性結膜炎)からなる群から選択され得る。一部の事例では、眼科障害には、AMD(滲出型AMD、萎縮型AMD、及びGAを含む)、網膜症(例えば、DR及びROP)、PCV、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、アレルギー性結膜炎、及び網膜剥離が含まれる。他の事例では、眼科疾患には、中間型AMD、進行型AMD、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性)、網膜色素変性、レーバー先天黒内障、シュタルガルト病、高所糖尿病性網膜症、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性結膜炎)が含まれる。
IL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)は、治療法において、単独または他の薬剤と組み合わせてのいずれかで使用することができる。例えば、IL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)は、少なくとも1つの追加の治療剤と共投与されてもよい。ある特定の実施形態では、追加の治療剤は、ST2結合アンタゴニスト、補体経路阻害剤(例えば、D因子結合アンタゴニスト)、HtrA1結合アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト、トリプターゼ−ベータ結合アンタゴニスト、Th2細胞上に発現される化学誘引物質受容体相同分子(CRTH2)結合アンタゴニスト、インターロイキン−13(IL−13)結合アンタゴニスト、インターロイキン−17(IL−17)結合アンタゴニスト、JAK1アンタゴニスト、及び/またはインターロイキン−5(IL−5)結合アンタゴニストである。一部の実施形態では、追加の治療剤は、化学療法剤、抗ホルモン剤、細胞毒性剤、成長阻害剤、またはこれらの組み合わせである。
例えば、IL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明のIL−33抗体)は、例えば、例として喘息、気道過敏、気道炎症、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、リウマチ性関節炎、若しくは慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性障害、または例えば特発性肺線維症(IPF)などの線維性障害の治療のために、抗IL−13抗体と共投与され得る。例示的な実施形態では、IL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)は、喘息の治療のために、抗IL−13と共投与され得る。本明細書に記載される抗IL−13抗体のうちのいずれかは、抗IL−33軸結合アンタゴニストと組み合わせて投与され得る。一実施形態では、抗IL−33抗体は、抗IL−13抗体と組み合わせて投与される。例示的な実施形態では、抗IL−33抗体は、以下の6つのHVR:SFSMS(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、TISGGKTFTDYVDSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、ANYGNWFFEV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、RASESVAKYGLSLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、AASNRGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及びQQSKEVPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み、抗IL−13抗体は、以下の6つのHVR:AYSVN(配列番号296)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号297)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、DGYYPYAMDN(配列番号298)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、RASKSVDSYGNSFMH(配列番号299)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、LASNLES(配列番号300)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及びQQNNEDPRT(配列番号301)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。別の実施形態では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号37のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、抗IL−13抗体は、(a)配列番号302のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号303のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。別の実施形態では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、抗IL−13抗体は、(a)配列番号302のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号303のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。別の実施形態では、抗IL−33は、配列番号308のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号309のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、抗IL−13抗体は、配列番号304のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号305のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。別の実施形態では、抗IL−33は、配列番号308のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号309のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、抗IL−13抗体は、配列番号304のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号305のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
別の例では、IL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)は、補体経路阻害剤と共投与されてもよい。一部の事例では、補体経路阻害剤は、別の補体経路(例えば、D因子、プロパージン、B因子、Ba因子、及びBb因子)または古典的補体経路(例えば、C3a、C5、C5a、C5b、C6、C7、C8、C9、及びC5b−9)の阻害剤であってもよい。一部の事例では、補体経路阻害剤は、国際公開第WO2007/056227号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される任意の補体経路阻害剤であり得る。一部の事例では、補体経路阻害剤は、D因子結合アンタゴニストであり得る。特定の事例では、D因子結合アンタゴニストは、抗D因子抗体またはその抗原結合フラグメント、例えば、国際公開第WO2007/056227号、同第WO01/70818号、及び/または米国公開第2002/0081293号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている任意のD因子抗体であり得る。非限定的な例として、一部の事例では、抗D因子抗体は、American Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、HB12476と表記されるハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体166−32に少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、またはモノクローナル抗体166−32の配列を含み得る。一部の事例では、抗D因子抗体は、モノクローナル抗体166−32のヒト化誘導体である。一部の事例では、抗D因子抗体は、モノクローナル抗体166−32と同じエピトープに結合する。一部の事例では、抗D因子抗体は、モノクローナル抗体166−32に由来する抗体フラグメントである。一部の事例では、モノクローナル抗体166−32に由来する抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の事例では、モノクローナル抗体166−32に由来する抗体フラグメントは、Fabである。
別の例では、IL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)は、HtrA1結合アンタゴニストと共投与されてもよい。一部の事例では、HtrA1結合アンタゴニストは、抗HtrA1抗体またはその抗原結合フラグメントである。当該技術分野で既知及び/または本明細書に記載される、抗HtrA1抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを使用することができる。例えば、一部の事例では、抗HtrA1抗体は、国際公開第WO2013/055998号に記載される抗HtrA1抗体である。一部の事例では、抗HtrA1抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の実施形態では、抗HtrA1抗体フラグメントは、Fabである。
別の例では、IL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)は、VEGFアンタゴニストと共投与されてもよい。一部の事例では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。当該技術分野で既知及び/または本明細書に記載される、抗VEGF抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを使用することができる。例えば、一部の事例では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))またはラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))である。一部の事例では、抗VEGF抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の実施形態では、抗VEGF抗体フラグメントは、Fabである。
一部の事例では、抗VEGF抗体またはその抗原結合フラグメントは、国際公開第WO2005/044853号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている任意の抗VEGF抗体であるか、またはそれに由来する。例えば、一部の事例では、抗VEGF抗体は、G6系の抗体(例えば、G6、G6−8、G6−23、G6−23.1、G6−23.2、若しくはG6−31)またはB20系の抗体(例えば、B20、B20−4、若しくはB20−4.1)であるか、またはそれらに由来する。例えば、一部の事例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号334、337、若しくは340のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号334、337、若しくは340のうちのいずれか1つの配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号335、336、338、339、若しくは341のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号335、336、338、339、若しくは341のうちのいずれか1つの配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、一部の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号334のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号335のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体G6など)を含む。一部の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号334のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号336のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体G6.31など)を含む。一部の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号337のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号338のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体B20など)を含む。他の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号337のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号339のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体B20−4など)を含む。更に他の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号340のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号341のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体B20−4.1など)を含む。一部の事例では、抗VEGF抗体は、前述の抗体のうちのいずれかのヒト化誘導体である。一部の事例では、抗VEGF抗体は、前述の抗体のうちのいずれかに由来する抗体フラグメントでる。一部の事例では、抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の実施形態では、抗体フラグメントは、Fabである。
一態様では、本発明は、例えば、喘息、気道過敏、気道炎症、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、リウマチ性関節炎、若しくは慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性障害、または例えば特発性肺線維症(IPF)などの線維性障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効量のIL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)及び治療有効量の抗IL−13抗体を投与することを含む。例示的な実施形態では、本発明は、喘息の治療をそれを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効量のIL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)及び治療有効量の抗IL−13抗体を投与することを含む。本明細書に記載される抗IL−13抗体のうちのいずれかは、抗IL−33軸結合アンタゴニストと組み合わせて投与され得る。一実施形態では、抗IL−33抗体は、抗IL−13抗体と組み合わせて投与される。例示的な実施形態では、抗IL−33抗体は、以下の6つのHVR:SFSMS(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、TISGGKTFTDYVDSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、ANYGNWFFEV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、RASESVAKYGLSLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、AASNRGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及びQQSKEVPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含み、抗IL−13抗体は、以下の6つのHVR:AYSVN(配列番号296)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号297)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、DGYYPYAMDN(配列番号298)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、RASKSVDSYGNSFMH(配列番号299)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、LASNLES(配列番号300)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及びQQNNEDPRT(配列番号301)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む。別の実施形態では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号37のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、抗IL−13抗体は、(a)配列番号302のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号303のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。別の実施形態では、抗IL−33抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、抗IL−13抗体は、(a)配列番号302のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号303のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。別の実施形態では、抗IL−33は、配列番号308のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号309のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、抗IL−13抗体は、配列番号304のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号305のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。別の実施形態では、抗IL−33は、配列番号308のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号309のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、抗IL−13抗体は、配列番号304のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号305のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
別の態様では、本発明は、例えば、喘息、気道過敏、気道炎症、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、リウマチ性関節炎、若しくは慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症性障害、または例えば特発性肺線維症(IPF)などの線維性障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、対象に、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する治療有効量の二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。例示的な実施形態では、本発明は、喘息の治療をそれを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、対象に、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する治療有効量の二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかに由来する、IL−33に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。二重特異性抗体は、本明細書に記載されるIL−13に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。例示的な実施形態は、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、以下の6つのHVR:SFSMS(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、TISGGKTFTDYVDSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、ANYGNWFFEV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、RASESVAKYGLSLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、AASNRGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及びQQSKEVPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、IL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインと、以下の6つのHVR:AYSVN(配列番号296)のアミノ酸配列を含むHVR−H1、MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号297)のアミノ酸配列を含むHVR−H2、DGYYPYAMDN(配列番号298)のアミノ酸配列を含むHVR−H3、RASKSVDSYGNSFMH(配列番号299)のアミノ酸配列を含むHVR−L1、LASNLES(配列番号300)のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及びQQNNEDPRT(配列番号301)アミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインとを含む。別の実施形態では、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び(b)配列番号37のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、IL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインと、(a)配列番号302のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び(b)配列番号303のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインとを含む。別の実施形態では、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号37のアミノ酸配列を含むVLを含む、IL−33に特異的に結合する第1の結合ドメインと、(a)配列番号302のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号303のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、IL−13に特異的に結合する第2の結合ドメインとを含む。別の実施形態では、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、(a)IL−33に特異的に結合する第1の重鎖及び第1の軽鎖(第1の重鎖は、配列番号308のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は、配列番号309のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む)、ならびに(b)IL−13に特異的に結合する第2の重鎖及び第2の軽鎖(第2の重鎖は、配列番号304のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は、配列番号305のアミノ酸配列に少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む)を含む。別の実施形態では、IL−33及びIL−13の両方に特異的に結合する二重特異性抗体は、(a)IL−33に特異的に結合する第1の重鎖及び第1の軽鎖(第1の重鎖は配列番号308のアミノ酸配列を含み、第1の軽鎖は配列番号309のアミノ酸配列を含む)、ならびに(b)IL−13に特異的に結合する第2の重鎖及び第2の軽鎖(第2の重鎖は配列番号304のアミノ酸配列を含み、第2の軽鎖は配列番号305のアミノ酸配列を含む)を含む。
別の態様では、本発明は、地図状萎縮の治療をそれを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効量のIL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)及び治療有効量のD因子結合アンタゴニストを投与することを含む。一部の事例では、D因子結合アンタゴニストは、抗D因子抗体またはその抗原結合フラグメント、例えば、国際公開第WO2007/056227号、同第WO01/70818号、及び/または米国公開第2002/0081293号に記載されている任意のD因子抗体であり得る。例えば、一部の事例では、抗D因子抗体は、American Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、HB12476と表記されるハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体166−32に少なくとも70%の配列同一性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、またはモノクローナル抗体166−32の配列を含み得る。一部の事例では、抗D因子抗体は、モノクローナル抗体166−32のヒト化誘導体である。一部の事例では、抗D因子抗体は、モノクローナル抗体166−32と同じエピトープに結合する。一部の事例では、抗D因子抗体は、モノクローナル抗体166−32に由来する抗体フラグメントである。一部の事例では、モノクローナル抗体166−32に由来する抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の事例では、モノクローナル抗体166−32に由来する抗体フラグメントは、Fabである。
別の態様では、本発明は、地図状萎縮(GA)の治療を、それを必要とする対象において行う方法を特徴とし、ここで、本方法は、対象に、IL−33及びD因子の両方に特異的に結合する治療有効量の二重特異性抗体またはその抗原結合抗体フラグメントを投与することを含む。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかに由来する、IL−33に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。二重特異性抗体は、上述の抗D因子抗体のうちのいずれかに由来する、D因子に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。一部の実施形態では、抗原結合抗体フラグメントは、(Fab’)2フラグメントである。
別の態様では、本発明は、GA、AMD(滲出型若しくは萎縮型)、DR、PCV、またはROPの治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効量のIL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)及び治療有効量のHtrA1結合アンタゴニストを投与することを含む。一部の事例では、HtrA1結合アンタゴニストは、抗HtrA1抗体またはその抗原結合フラグメント、例えば、国際公開第WO2013/055998号に記載されている任意のHtrA1抗体であり得る。一部の事例では、抗HtrA1抗体は、抗体フラグメントである。一部の事例では、抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の実施形態では、誘導される抗体フラグメントは、Fabである。
別の態様では、本発明は、地図状萎縮(GA)、AMD(滲出型若しくは萎縮型)、DR、PCV、またはROPの治療を、それを必要とする対象において行う方法を特徴とし、本方法は、対象に、IL−33及びHtrA1の両方に特異的に結合する治療有効量の二重特異性抗体またはその抗原結合抗体フラグメントを投与することを含む。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかに由来する、IL−33に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。二重特異性抗体は、上述の抗HtrA1抗体のうちのいずれかに由来する、HtrA1に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。一部の実施形態では、抗原結合抗体フラグメントは、(Fab’)2フラグメントである。
別の態様では、本発明は、滲出型AMDの治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効量のIL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)及び治療有効量のVEGFアンタゴニストを投与することを含む。一部の事例では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。当該技術分野で既知及び/または本明細書に記載される、抗VEGF抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを使用することができる。一部の事例では、抗VEGF抗体またはその抗原結合フラグメントは、国際公開第WO2005/044853号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている抗VEGF抗体であるか、またはそれに由来する。例えば、一部の事例では、抗VEGF抗体は、G6系の抗体(G6、G6−8、G6−23、G6−23.1、G6−23.2、若しくはG6−31)またはB20系の抗体(例えば、B20、B20−4、若しくはB20−4.1)であるか、またはそれらに由来する。例えば、一部の事例では、抗VEGF抗体は、(a)配列番号334、337、若しくは340のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号334、337、若しくは340のうちのいずれか1つの配列を含む、重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号335、336、338、339、若しくは341のうちのいずれか1つに少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、または配列番号335、336、338、339、若しくは341のうちのいずれか1つの配列を含む、軽鎖可変(VL)ドメイン、あるいは(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、一部の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号334のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号335のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体G6など)を含む。一部の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号334のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号336のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体G6.31など)を含む。一部の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号337のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号338のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体B20など)を含む。他の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号337のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号339のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体B20−4など)を含む。更に他の事例では、抗VEGF抗体は、配列番号340のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号341のアミノ酸配列を含むVLドメイン(抗VEGF抗体B20−4.1など)を含む。一部の事例では、抗VEGF抗体は、前述の抗体のうちのいずれかのヒト化誘導体である。一部の事例では、抗VEGF抗体は、前述の抗体のうちのいずれかに由来する抗体フラグメントでる。一部の事例では、抗体フラグメントは、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、または(Fab’)2フラグメントである。一部の実施形態では、抗体フラグメントは、Fabである。
別の態様では、本発明は、滲出型AMDの治療を、それを必要とする対象において行う方法を特徴とし、本方法は、対象に、IL−33及びVEGFの両方に特異的に結合する治療有効量の二重特異性抗体またはその抗原結合抗体フラグメントを投与することを含む。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗IL−33抗体のうちのいずれかに由来する、IL−33に特異的に結合する結合ドメインを含み得る。二重特異性抗体は、上述の抗VEGF抗体のうちのいずれかに由来する、VEGFに特異的に結合する結合ドメインを含み得る。一部の実施形態では、抗原結合抗体フラグメントは、(Fab’)2フラグメントである。
更に別の態様では、本発明は、ブドウ膜炎(例えば、感染性または非感染性ブドウ膜炎)の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効量のIL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)を投与することを含む。一部の実施形態では、IL−33軸結合アンタゴニストは、単剤療法として投与してもよい。
なおも更なる態様では、本発明は、結膜炎(例えば、感染性結膜炎、非感染性結膜炎、またはアレルギー性結膜炎)の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効量のIL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)を投与することを含む。一部の実施形態では、IL−33軸結合アンタゴニストは、単剤療法として投与してもよい。
一部の実施形態では、追加の治療剤は、以下に記載されるように、喘息治療薬である。中等度の喘息は、現在、破綻的な症状またはアレルゲン若しくは運動に誘発される喘息を緩和するために、毎日の抗炎症コルチコステロイドの吸入、またはクロモグリク酸ナトリウム若しくはネドクロミルなどの肥満細胞阻害剤に加えて必要に応じてベータ2アゴニストの吸入(1日3〜4回)で処置されている。例示的な吸入コルチコステロイドとしては、QVAR(登録商標)、PULMICORT(登録商標)、SYMBICORT(登録商標)、AEROBID(登録商標)、FLOVENT(登録商標)、FLONASE(登録商標)、ADVAIR(登録商標)、及びAZMACORT(登録商標)が挙げられる。追加の喘息治療薬には、長時間作用型の呼吸器作用薬(LABD)が含まれる。ある特定の実施形態では、LABDは、長時間作用型ベータ2アゴニスト(LABA)、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、テオフィリン、または経口コルチコステロイド(OCS)である。例示的なLABDとしては、SYMBICORT(登録商標)、ADVAIR(登録商標)、BROVANA(登録商標)、FORADIL(登録商標)、PERFOROMIST(商標)、及びSEREVENT(登録商標)が挙げられる。
かかる併用療法には、組み合わせ投与(2つ以上の治療剤が同じまたは別個の製剤中に含まれる)及び別個の投与が含まれ、別個の投与の場合、本発明の抗体または免疫コンジュゲートの投与は、追加の治療剤(複数可)の投与の前、それと同時、及び/またはその後に行うことができる。一実施形態では、抗IL−33抗体の投与及び追加の治療剤の投与は、互いの約1ヶ月以内、または約1週間、2週間、若しくは3週間以内、または約1、2、3、4、5、若しくは6日以内に生じる。本発明の抗体は、放射線療法と組み合わせて用いることもできる。
IL−33軸結合アンタゴニスト、例えば、本発明の抗IL−33抗体(及び任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内、ならびに局所処置に所望される場合は病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。一部の事例では、IL−33軸結合アンタゴニスト、例えば、本発明の抗IL−33抗体は、硝子体内、筋肉内、静脈内、皮内、経皮(percutaneously)、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、くも膜内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹膜内、皮下、結膜下、小胞内、経粘膜、心膜内、臍帯内、眼球内、眼窩内、経口、局所、経皮(transdermally)、眼窩周囲、結膜、テノン嚢下、前房内、網膜下、眼球後、毛細胆管内、吸入、注射、埋め込み、注入、持続注入、標的細胞に直接的に流す局所灌流、カテーテル、洗浄、クリーム、または脂質組成物で投与することができる。本明細書に記載される方法に用いられる組成物はまた、全身または局所に投与することができる。投薬は、投与が短時間であるか慢性的であるかに部分的に応じて、任意の好適な経路、例えば、静脈内または皮下注射などの注射によるものであってもよい。単回または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投薬スケジュールが本明細書で企図される。
一部の事例では、IL−33軸結合アンタゴニスト(例えば、本発明の抗IL−33抗体)は、眼組織注射、例えば、硝子体内、眼窩周囲、結膜、結膜下、テノン嚢下、前房内、網膜下、眼球後、若しくは小管内注射を用いて眼に直接的に;例えば、カテーテル若しくは他の配置デバイス(例えば、多孔性、無孔性、若しくはゼラチン質材料でできた網膜ペレット、眼内挿入物、坐剤、若しくは埋め込み片)を用いた眼への直接適用によって;局所点眼薬若しくは眼軟膏によって;または結膜嚢内若しくは強膜に隣接して若しくは眼内に埋め込まれた(経強膜)持続放出デバイスによって、投与され得る。前房内注射は、薬剤が線維柱帯網に到達できるように、角膜を通じて前房内に行われる。小管内注射は、シュレム管の排出先である静脈集合管(venous collector channel)へ、またはシュレム管内へのものであり得る。
本発明の抗体は、良好な医療行為と一致した様式で、製剤化され、投薬され、投与されるであろう。この文脈における考慮の要因には、治療されている特定の障害、処置されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床的病態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジュール管理、及び医療従事者に既知の他の要因が含まれる。本抗体は、必須ではないが、場合によっては、問題の障害の予防または治療に現在使用されている1つ以上の薬剤と共に製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療の種類、及び上記に考察された他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載されるのと同じ投薬量で、本明細書に記載される投与経路により、または本明細書に記載される投薬量の約1〜99%、または経験的/臨床的に適切であると決定される任意の投薬量及び任意の経路によって、使用される。
疾患の予防または治療に関して、本発明の抗体の適切な投薬量は(単独または1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療すべき疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的で投与されるか治療目的で投与されるか、以前の治療法、患者の病歴及び抗体への反応、ならびに主治医の裁量に依存するであろう。本抗体は、好適には、1回、または一連の治療にわたり、患者に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、1回以上の別個の投与によってであれ連続注入によってであれ、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体が、患者に投与するための初回候補投薬量となり得る。1つの典型的な投薬量は、上述の要因に応じて、約1μg/kg〜100mg/kgまたはそれ以上の範囲に及び得る。数日間またはそれ以上にわたる反復投与については、病態に応じて、疾患症状の所望の抑制が生じるまで治療が継続されることが一般的であろう。本抗体の1つの例示的な投薬量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲内であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kg(若しくはこれらの任意の組み合わせ)の1回以上の用量が患者に投与され得る。そのような用量は、断続的に、例えば、毎週、2週間毎、3週間毎、または4週間毎(例えば、患者が約2〜約20回、または例えば約6回の用量の抗体を受容するように)投与されてもよい。例えば、用量は、1ヶ月に1回(例えば、皮下注射によって)投与してもよい。より高い初回負荷用量を投与し、続いてより低い用量が1回以上投与されてもよい。しかしながら、他の投薬レジメンも有用な場合がある。この治療の経過は、従来的な技法及びアッセイによって容易に監視される。
上の製剤または治療方法のうちのいずれも、抗IL−33抗体の代わりに、またはそれに加えて、本発明の免疫コンジュゲートを使用して行われ得ることが理解される。
H.製品
本発明の別の態様では、上述の障害の治療、予防、及び/または診断に有用な物質を含有する製品が提供される。製品には、容器と、容器の上または容器と関連したラベルまたは添付文書とが含まれる。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなど、様々な材料から形成され得る。容器は、ある組成物を、それ自体、または状態を治療、予防、及び/若しくは診断するのに有効な別の組成物と組み合わせて保有し、また滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって穿刺可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性な薬剤は、本発明の抗体である。ラベルまたは添付文書は、選定された状態を治療するために組成物が使用されることを示す。更に、本製品は、(a)組成物が中に含有された第1の容器(この組成物は本発明の抗体を含む)、及び(b)組成物が中に含有された第2の容器(この組成物は更なる細胞毒性剤または治療剤を含む)を含んでもよい。本発明のこの実施形態の製品は、組成物が特定の病態を治療するために使用され得ることを示す添付文書を更に含んでもよい。代替または追加として、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸干渉食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液といった、薬学的に許容される緩衝液を含む第2(または第3)の容器を更に含んでもよい。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、及びシリンジを含む、商業的立場及びユーザの立場から望ましい他の物質を更に含んでもよい。
上述の製剤のいずれも、抗IL−33抗体の代わりに、またはそれに加えて、本発明の免疫コンジュゲートを含み得ることが理解される。
III.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。上記に提供される一般的説明を考慮すると、種々の他の実施形態が実施され得ることが理解される。
実施例1.抗IL−33抗体の生成
以下に記載されるように、治療用抗IL−33抗体を開発するために、いくつかの戦略を探求した。候補の抗IL−33抗体に所望される特徴には、ヒトIL−33への特異的な結合、カニクイザル(cyno)IL−33との交差反応性、IL−33活性の阻害(例えば、細胞に基づくIL−33レポーターアッセイにて測定)、及び/またはIL−33受容体(ST2及びIL−1RAcP)への結合の阻害が含まれていた。
A.マウスモノクローナル抗ヒトIL−33ハイブリドーマ抗体の開発及び特徴付け
BALB/cマウス(Charles River、Hollister,CA)またはIL33ノックアウト(ko)マウス(Genentech,Inc.)に、ヒト(hu)IL−33及びカニクイザル(cyno)IL−33タンパク質(Genentech,Inc.)それぞれ2μgをモノホスホリル脂質A及びトレハロースジコリノミコレート(MPL(登録商標)+TDM)アジュバント(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)で、またはToll様受容体(TLR)アゴニストMPL(登録商標)(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)、ポリイノシン−ポリシチジン酸(PolyI:C、InvivoGen、San Diego,CA)、R848(InvivoGen)、及びCpGオリゴデオキシヌクレオチド(InvivoGen)の組み合わせと混合したもので、週2回腹腔内免疫付与を行った。最後の免疫付与の3日後に脾臓及び骨髄を採取した。これらのマウスからの脾細胞を、電気融合(Harvard Apparatus、Holliston,MA)によりP3X63−Ag8U.1マウス骨髄腫細胞(American Type Culture Collection、Rockville,MD)と融合させた。融合細胞を、CLONACELL(商標)−HY培地C(StemCell Technologies、Vancouver,BC,Canada)において37℃、7%CO2で一晩インキュベートした後、抗種IgG−FITC(Jackson Immunoresearch、West Grove,PA)と共に半固体CLONACELL(商標)−HY培地D(StemCell Technologies)に再懸濁させ、OMNIWELL(商標)トレイ(Thermo Fisher Scientific、Rochester,NY)に播種した。播種7日後に、蛍光コロニーを選択し、CLONEPIX(商標)FL(Genetix、New Milton,Hampshire,UK)を用いてCLONACELL(商標)−HY培地E(StemCell Technologies)を含有する96ウェルプレートに移した。以下に記載されるように、ピッキングの7日後に上清を酵素結合免疫吸着法(ELISA)によってヒトIL−33タンパク質に対してスクリーニングした。ヒトIL−33結合を示したハイブリドーマ細胞株を増殖させ、ELISAによって再試験し、ELISAによってヒト及びカニクイザルの両方のIL−33への結合を示した細胞株からの上清を採取し、プロテインA(MABSELECT(商標)SURE(商標)、GE Healthcare、Pittsburgh,PA)によって精製した。精製したIgGを、以下に記載されるように、HEK−BLUE(商標)細胞レポーターキット(InvivoGen)を用いてIL−33とST2との結合を遮断する能力に関して評価した。大きなハイブリドーマパネルからIgGを精製する高スループットのシステムを使用することにより、可能性のある遮断クローンの迅速かつ効率的な選択が可能となった。RNEASY(登録商標)キット(Qiagen、Hilden,Germany)を使用して強力な遮断ハイブリドーマ細胞株からRNAを抽出し、以下に記載されるように、cDNAを生成し、配列決定のために増幅させた。重鎖及び軽鎖の可変領域遺伝子を、発現のためにpRKプラスミドベクター(Genentech,Inc.)に挿入した。最も高いIL−33遮断活性及び親和性を示した固有のクローンからのプラスミドDNAを、293細胞において組み換え発現させた。次いで、上清をプロテインA親和性クロマトグラフィーによって精製した。
B.単一のB細胞クローニングによる抗IL−33モノクローナル抗体の生成
トランスジェニックマウスに、上述のようにヒト及びカニクイザルIL−33で免疫付与を行った。初回免疫付与及び7回の追加免疫付与の後に、免疫付与したトランスジェニックマウスからの血清を、IL−33への結合に関して試験した。ヒト及びカニクイザルIL−33に対して有意に高い力価を示したマウスを特定し、次いで、HEK−BLUE(商標)アッセイにおいて血清のST−2へのIL−33の結合の阻害に関して試験した。IL−33遮断活性を示したマウスから脾臓組織、リンパ節組織、及び骨髄組織を単離した。これらの組織を機械的に小さくして単一細胞懸濁液にし、事前にIL−33抗原(ヒト及びカニクイザル)と混合し、muSCIDマウスの脾臓内に埋め込んだ。7〜8日後に、脾臓を取り出し、単一細胞として再懸濁した。脾臓細胞をフルオロフォアコンジュゲートマーカーで染色して、CD138陽性形質芽細胞及びIgM陽性集団を特定した。IgM陰性であり、ヒト及びカニクイザルの両方のIL−33に結合することができる、形質芽細胞集団を、FACS(商標)フローサイトメトリーによって96ウェルプレートに1つずつ分類した。分類した細胞の免疫グロブリン可変領域を分子的にクローニングし、ヒトIgG1哺乳動物発現ベクターに再形式決定(reformat)した。各再形式決定したモノクローナル抗体を哺乳動物細胞において一過性に発現させ、精製した。一般手順は、Lin et al.(Nature Protocols 9:1563−1577,2014)に記載されている。
C.免疫付与したファージ由来ライブラリからの抗IL−33モノクローナル抗体の生成
ファージに提示された一本鎖Fvライブラリを、ヒト及びカニクイザルIL−33で免疫付与したトランスジェニックマウスから単離したRNAから構築した。ScFvファージディスプレイライブラリを、ヒト及びカニクイザルIL−33に対して数回パンニングした。個々のファージクローンを増やし、ヒト及びカニクイザルIL−33への結合に関してELISAによってアッセイした。結合が陽性のクローンを、IgG形式での発現のために再形式決定し、一過性に発現させた。一過性発現培養物からIgGを精製し、IL−33への結合に関して、及びHEK−BLUE(商標)細胞へのIL−33 の結合の阻害に関して試験した。
実施例2.抗IL−33抗体のスクリーニング及び配列決定
A.抗ヒト/カニクイザルIL−33抗体に対するELISAスクリーニング
上述のように生成したハイブリドーマクローンをヒト及びカニクイザルIL−33に結合するモノクローナル抗体の産生に関してELISA形式でスクリーニングした。生成した1921のハイブリドーマ細胞株をスクリーニングするために、概して、Baker et al.(Trends Biotechnol.20:149−156,2002)に記載されるようにELISAを行った。簡単に言うと、96ウェルのMAXISORP(登録商標)平底プレート(Nalge Nunc International、Rochester,NY)を、コーティング緩衝液(0.05M炭酸緩衝液、pH9.6)中2μg/mlの濃度の可溶性IL−33(Genentech)50μlでコーティングし、密封し、4℃で一晩保管した。コーティング溶液を除去した後、リン酸緩衝食塩水(PBS)pH7.4中に0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)及び0.05%のTWEEN(登録商標)−20を含有する200μlのアッセイ/ブロッキング溶液(ELISA希釈液)を、各ウェルに添加し、室温で1時間、撹拌しながらインキュベートした。次いで、PBS中0.05%のTWEEN(登録商標)−20(洗浄緩衝液)300μlでウェルを3回洗浄した。
洗浄ステップの後、個々のハイブリドーマクローンからの培養上清100μlを、個々のウェルに添加した。プレートを室温で1時間撹拌しながらインキュベートし、ウェルを前のように洗浄緩衝液で3回洗浄した。
洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させたヒツジ抗マウスIgG(ヒトIgG(MP Biomedicals、Solon,OH)との交差反応性はない)のELISA希釈液中への1:1000 希釈液50μlを、各ウェルに添加した。プレートを室温で1時間撹拌しながらインキュベートし、ウェルを前のように洗浄緩衝液で3回洗浄し、軽く叩いて乾燥させた。50μlのテトラメチルベンジジン(TMB)マイクロウェルペルオキシダーゼ基質(BioFX Laboratories、Owing Mills,MD、カタログ番号TMBW−0100−01)を各ウェルに添加し、室温で5〜10分間、または色の変化が観察されるまで、インキュベートすることによって、ウェルを着色した。50μlのTMB Stop Solution(BioFX Laboratoriesカタログ番号BSTP−0100−01)を各ウェルに添加することによって酵素による着色を停止させた。650nmでSUNRISE(商標)プレートリーダー(Tecan US,Inc.、Research Triangle Park,NC)によりプレートを分析した。
第1回の免疫付与の前に採取した免疫前血清を陰性対照として使用した。7回の免疫付与の後に採取した免疫血清を陽性対照として使用した。
クローン2B6、6C11、9F6、10C12、及び10H2は、ヒトIL−33及びカニクイザルIL−13の結合に関して陽性であった。
B.細胞に基づくIL−33遮断アッセイ
上述の方法を用いて得られた抗IL−33抗体のIL−33中和活性を、細胞に基づく遮断アッセイによって判定したが、このアッセイでは、IL−33は、HEK−BLUE(商標)IL−33/IL−1β細胞(InvivoGen)を刺激し、NF−κB及びAP−1経路を活性化し、分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)の産生を誘発する(図1A)。HEK−BLUE(商標)IL−33/IL−1β細胞は、ヒトST2構築物(pUNO1−hIL01RL1a、配列番号311)が安定にトランスフェクトされているヒトHEK293細胞であり、5つのNF−κB及び5つのAP−1結合部位(InvivoGen)に融合したIFN−βの最小プロモーターの制御下で、SEAPレポーター遺伝子を含有している。pUNO1−hIL01RL1aプラスミドは、配列番号312のアミノ酸配列を有するST2Lタンパク質をコードする。HEK293細胞は、内在性IL−1RAcPを発現する。細胞に基づく遮断アッセイにおいて使用したIL−33のアミノ酸配列は、次の通りであった:成熟ヒトIL−33(S112−T270)、配列番号313;ヒトIL−33 N−His、配列番号314;ヒトIL−33 N−His C−Avi、配列番号315;成熟カニクイザルIL−33(S112−T270)、配列番号316;カニクイザルIL−33 N−His、配列番号317;及びカニクイザルIL−33 N−His C−Avi、配列番号318。
簡単に言うと、IL−33リガンドと、事前希釈した抗IL−33抗体とを混合し、室温で1時間インキュベートした。抗体とリガンドとの混合物を、HEK−BLUE(商標)IL−33/IL−1β細胞に移入した。CO2インキュベータにおいて37℃で20時間インキュベートした後、細胞培養上清におけるSEAP活性を、アルカリホスファターゼの基質(QUANTI−BLUE(商標)、InvivoGen)と共にインキュベートした後、630nmでODを記録することによって測定した。細胞に基づく遮断アッセイにおいて陽性対照(例えば、図2を参照されたい)として使用したsST2−LZ(sST2(M1−F328)C末端ロイシンジッパー(LZ)−Flag−His)の全長アミノ酸配列は、配列番号319に見出すことができる。シグナルペプチドを除去したsST2−LZの成熟形態は、配列番号310に示されている。
IgG形式で発現した場合、精製した抗IL−33抗体は、1nM未満の濃度でIL−33の完全な阻害を示した(図2)。対照的に、IL−13に特異的な陰性対照のモノクローナル抗体では阻害は観察されなかった(図示されない)。
C.ハイブリドーマ分子クローニング及び配列決定
各ハイブリドーマ細胞株によって発現された抗体を、RNA精製なしに細胞から直接クローニングした。重鎖及び軽鎖可変免疫グロブリン領域を、5’修飾RACE(cDNA末端の高速増幅)プロトコル(Qzawa et al.BioTechniques 40(4):469−478,2006)を用いてクローニングした。第1のcDNA鎖は、55℃で1時間、マウス重鎖(5’−TTTYTTGTCCACCKTGGTGCTGC−3’、配列番号320)及び軽鎖定常(5’−GTAGAAGTTGTTCAAGAAG−3’、配列番号321)領域に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーと共にSUPERSCRIPT(登録商標)III(Invitrogen、Carlsbad,CA)逆転写酵素を用いてハイブリドーマ細胞から直接生成した。縮重プライマーは、様々なマウス重鎖アイソタイプにわたってプライミングが可能となるように設計した。逆転写酵素産物の3’末端に、37℃で1時間、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(Promega、San Luis Obispo,CA)及びdGTP(Roche Diagnostics、Indianapolis,IN)を用いてポリG尾部処理を行った。重鎖及び軽鎖可変cDNAの増幅は、ネスト型重鎖定常領域プライマー(5’−GTGTAGAGKYCAGACTSCAGG−3’、配列番号322)及び軽鎖定常領域プライマー(5’−GAGGCACCTCCAGATGTTAAC−3’、配列番号323)、ならびにポリ−C含有N末端プライマー(5’−GATTCAAATCTCAATTATATAATCCGAATATGTTTACCGGCTCGCTCATGGACCCCCCCCCCCCDN−3’、配列番号324)を使用して、タッチダウンPCR(ADVANTAGE(登録商標)−GC 2、Clontech、Mountain View,CA)によって別個に行った。第2のネスト型タッチダウンPCRセットは、N末端プライマー(5’−CAATTATATAATCCGAATATG−3’、配列番号325)、重鎖定常領域プライマー(5’−GAARTARCCCTTGACCAGGC−3’、配列番号326)、及び軽鎖定常領域プライマー(5’−GAAGATGGATACAGTTGGTGC−3’、配列番号327)を使用して行った。
PCR産物をpCR2.1(登録商標)−TOPO(登録商標)クローニングベクター(TOPO(登録商標)TAクローニングキット、Invitrogen、Carlsbad,CA)にライゲーションし、ONESHOT(登録商標)TOP10コンピテント細胞に軽質転換した。形質転換したEscherichia coli(E.coli)コロニーを単離し、DNAプラスミド単離のために培養した。プラスミドの配列決定を行って、各細胞株のVH及びVLのDNA配列を決定した。配列決定の後に、重鎖及び軽鎖の可変領域を、エンドヌクレアーゼ制限部位(EcoRI及びXhoI)を含有するプライマーを用いてPCRによって増幅させて、マウスIgG2aならびにカッパ定常領域をコードする哺乳動物IgG及びIgK発現ベクターにそれぞれサブクローニングさせた。
ハイブリドーマ細胞のサブクローニングの前に、親クローンを分子的にクローニングして、重鎖及び軽鎖の可変ドメインの配列を決定した。ハイブリドーマクローンがサブクローニングプロセス中に不安定性に起因して消失した場合に配列を捕捉するために、クローニングは、サブクローニングの前に行った。分子クローニング配列のデータに基づいて、17C4、17H2、及び19C11が、CDR及びフレームワークの配列のアライメントに基づく同胞クローンであると決定した。これは、3つのクローンに対して得られたアッセイデータと一致していた。
D.マウスハイブリドーマ由来クローンのヒト化
IL−33に高い親和性で結合しその受容体であるST2へのサイトカイン結合を遮断する抗体を発現するマウスハイブリドーマをヒト化に選択した。ハイブリドーマのクローニングにより得られた抗体の可変配列を、最も近似して一致するヒト可変コンセンサス配列とアライメントした。マウスハイブリドーマ抗体由来の超可変領域(HVR)を、Kunkel変異生成(例えば、Kunkel et al.Methods Enzymol.154:367−382,1987)を用いて対応するヒト可変コンセンサス配列にグラフトした。重要なVernier位、ならびにフレームワーク/HVR相互作用の部位及び重鎖可変及び軽鎖可変の相互作用の部位で、軽鎖及び重鎖の両方の残基をマウスのものに変異させることによって、各クローンの追加の変異形を生成した。例えば、ハイブリドーマクローン10C12のクローニングされたHVR配列を、コンセンサスカッパIII軽鎖及びコンセンサスVHIII重鎖にグラフとして、ヒト化変異形を生成した。
ハイブリドーマクローン10H2のクローニングされたHVR配列を、コンセンサスカッパIV軽鎖及びコンセンサスVH III重鎖にグラフトして、ヒト化変異形を生成した。6C11、2B6、及び9F6のクローニングしたHVR配列を、10C12及び10H2と類似の形式でヒト化した。ヒト化変異形を、293細胞において一過性に発現させ、次いで、結合及び機能に関して試験した。
ハイブリドーマ由来のクローン10C12、10H2、6C11、2B6、及び9F6のヒト化変異形のIL−33に対する結合動態を、Biacore 3000またはT200機器(GE Healthcare)で表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて測定した。抗ヒトFc(GE Healthcare)を、製造業者のプロトコルに従って、アミンに基づく結合を介してCM5センサチップに固定した。ヒト化変異形抗IL−33抗体を、500〜600共鳴単位(RU)のレベルで捕捉した。ヒトIL−33(Genentech、huIL33.his)に対する抗体結合を測定した。0.78〜50nMの範囲で2倍濃度系のヒトIL−33を実験に使用した。IL−33の結合のセンサグラムは、注入時間2分、流速30μl/分、25℃の温度で、10mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、及び0.005%TWEEN(登録商標)−20の泳動緩衝液を用いて記録した。注入後、抗体からのリガンドの解離を泳動緩衝液において600秒間監視した。結合サイクル間に、3Mの塩化マグネシウムを40μl注入して表面を再生させた。泳動緩衝液のみを含有していたブランクを差し引いた後、ヒト化抗IL−33抗体へのIL−33の結合が観察されたセンサグラムを、製造業者によって供給されたソフトウェアで1:1ラングミュア結合モデルを使用して分析して、動態及び結合定数(解離定数(KD)を含む)を計算した。抗IL−33 10C12ヒト化変異形は、Biacoreによって測定したときに、ヒト化後にヒトIL−33への高い親和性を保持した(図3及び表2を参照されたい)。表2もまた、B細胞クローニング及びファージディスプレイに由来する選択された抗体クローンの動態データを示す。
ヒト化抗IL−33抗体の機能、ならびに単一B細胞クローニングから得られた抗体(例えば、4G12及び誘導体、ならびに3E3)及びファージディスプレイから得られた抗体を試験するために、細胞に基づく受容体遮断アッセイにおけるそれらの活性を、上述のように測定した。抗体を、ヒト及びカニクイザルの両方のIL−33とST2との結合の遮断に関して試験した。選択された抗体群の受容体遮断アッセイの結果を、表3に示す。
実施例3.加齢性黄斑変性(AMD)を含む眼科障害の炎症におけるIL−33の役割
炎症は、典型的に、感染症または傷害によって誘発される防御応答であると考えられている。炎症はまた、感染症または明らかな組織損傷がない場合には、組織の応力または機能障害によって誘導されることもある。かかる無菌性炎症応答の例は、網膜を含む、中枢神経系における免疫特権領域で見られる。AMDの場合、網膜及びその下にある網膜色素上皮(RPE)細胞が様々な刺激(例えば、光、酸化ストレス、及びタンパク質分解酵素)に生涯にわたり露出されることにより、異常な血管新生、RPE細胞死、及び視細胞の消失につながり得る。神経網膜の消失は、無菌性の炎症応答と関連付けられることが多く、この応答は、ある程度、視細胞及び視細胞外節層における単核食細胞の蓄積によって特徴付けられる。単核食細胞の動員を開始する要因は、大部分が未知のままである。
A.AMDではヒト黄斑のミュラー細胞におけるIL−33発現が増加している
ヒト網膜の中心付近の領域である黄斑は、高い視力にとって極めて重要である。酸化ストレスへの生涯的な曝露または視覚サイクルの毒性副生成物への曝露に起因する、黄斑でのRPE及び視細胞の生存率の低下は、視覚機能にとって重要な結果を有し得る。IL−33の発現が、網膜黄斑部では網膜周辺部と比較して異なっているかどうかを判定するために、解剖した死後のヒト網膜(図4A)をRNA配列決定(RNA−seq)によって分析した。正常なドナーの網膜周辺部と比較してIL−33転写産物が黄斑部では有意に増加しており、一方で他のインターロイキン1(IL−1)ファミリーのサイトカインであるIL−1α、IL−1β、及びIL−18の発現レベルは、網膜周辺部において黄斑部と比較して類似であったか、または増加していた(図4B)。
正常なヒト網膜におけるIL−33の細胞源を更に判定するために、眼科疾患の病歴のないヒトドナーからの7つの眼を、免疫組織化学処理を行った。IL−33は、網膜中心窩のビメンチン陽性ミュラー細胞の核内に主に存在しており、網膜周辺部ではIL−33陽性(IL−33+)ミュラー細胞の数は有意に低かった(図5A〜5E)。これはRNA配列決定結果と一致していた。IL−33はまた、RPE細胞の下位集団の核内にも発現しており、網膜中心窩では網膜周辺部と比較して発現がわずかに高かった(図5B、5C、及び5D)。網膜神経節細胞層におけるIL−33+星状細胞(グリア線維性酸性タンパク質陽性(GFAP+))の数及び脈絡膜のIL−33+内皮細胞(原形質膜小胞関連タンパク質陽性(PLVAP+))の数は、網膜中心窩と網膜周辺部とを比較したときに、差はなかった。
AMDの病歴があるドナーでは、RPE及び視細胞消失、進行形萎縮型AMDの徴候、または地図状萎縮の領域が、黄斑で確認された(図6A及び6B)。多重マーカーの蛍光免疫組織化学法を用いて、IL−33+ミュラー細胞数及び骨髄系細胞数の増加が、RPE及び視細胞萎縮の領域で観察された(図6A〜6E)。AMD非病変領域におけるIL−33+ミュラー細胞の数は、対照の網膜中心窩におけるものよりも有意に低かった(図6C)。理論に束縛されることを望むものではないが、これは、非病変領域が、典型的に、網膜周辺部に位置しているという事実に起因する可能性があり、この網膜周辺部では、IL−33+ミュラー細胞は、非AMD眼の網膜中心窩よりも数が少ない(図5D)。AMD病変部の脈絡膜でも、対照または非病変領域と比べたIL−33+細胞の増加が観察された(図6D)。Iba1+骨髄系細胞は全てがIL−33に関して陽性ではなかった(図6E)。AMD患者の部分集団の硝子体では、IL−33レベルは、正常な対照(黄斑円孔または黄斑パッカーを有する患者)と比較して有意に増加していた(図6F)。
B.光毒性ストレス後にインビトロ及びインビボでIL−33が処理され、ミュラー細胞から放出される。
マウス網膜に関して前述のように、ラット網膜において、IL−33を、主に、網膜中心窩及び網膜周辺部のビメンチン陽性ミュラー細胞で発現させた(図7B)。ヒト眼でのIL−33発現パターンとは対照的に、正常なラット及びマウスの眼では、RPEまたは脈絡膜内皮細胞におけるIL−33発現が非常に低く、IL−33+細胞は、RPEまたは脈絡膜ではほとんど観察されなかった(図7A及び7B)。正常なマウスの眼では、IL−33 mRNA及びタンパク質の発現は、他のIL−1ファミリーメンバー(IL−1α、IL−1β、及びIL−18)と比較して、数桁高かった(図7C)。明るい光に曝露したラットから採取したミュラー細胞であるrMC−1細胞(Sarthy et al.Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.39:212−216,1998)を、インビトロでのIL−33の制御を研究するために使用した。培養液中のrMC−1ミュラー細胞は、GFAPの発現によって示される活性化表現型を呈した(図7D)(Sarthy et al.(上記)も参照されたい)。rMC−1ミュラー細胞の細胞成分分画抽出により、核分画中に30kDaのプロIL−33(IL−33p30)ならびに約24kDa及び約19kDaの(IL−33p19)C末端ペプチドが特定されたが、IL−33p19が、細胞質中に発現していた主な種であった(図7E)。rMC−1細胞を高グルコース(25mM)培地に曝露し、それによってミュラー細胞を活性化することにより(図7F、Sarthy et al.(上記)も参照されたい)、IL−33の分泌が、低グルコース(5.5mM)培地で培養した細胞と比較して有意に増加した(図7G)。培養上清のウェスタンブロットでは、IL−33種としてIL−33p19のみが示された(図7G)。高グルコース刺激(最大72時間)は、細胞透過性またはrMC−1細胞へのアネキシンV染色を誘導しなかったため(図7H)、これにより、高グルコース培地でのIL−33p19分泌の増加が細胞死の増加と関連していなかったことが示された。これらのデータは、IL−33が、ヒト及び齧歯類のミュラー細胞において主として核に局在化して発現されること、ならびにIL−33p19が、培養物中で活性化された生ラットミュラー細胞から放出され得ることを示した。
次に、インビボでのミュラー細胞の活性化の後にIL−33がミュラー細胞から分泌されるかどうかに関する分析を行った。明るい(1200ルクス)光に齧歯類を数日間継続的に曝露したことによって、桿体及び錐体の進行的な消失がもたらされ、同時にミュラー細胞、小膠細胞、及びマクロファージの増加が見られた(LaVail et al.Proc.Natl.Acad.USA 89:11249−11253,1992)。継続的な光への曝露(CLE)の後に、外顆粒層(ONL)において末端dUTPニック端標識(TUNEL)陽性細胞数の増加が観察され(図7I)、その後で桿体及び錐体の消失が観察された(図7J)。ミュラー細胞が存在する内顆粒層(INL)ではTUNEL陽性細胞はほとんど観察されなかった。
IL−33がインビボで細胞によって放出されるかどうかを判定するために、CLE後の様々な時点で硝子体を採取した。正常なラット硝子体におけるIL−33のレベルは、およそ1ng/mlであった。IL−33濃度は光活性化眼では2倍に増加し、3日目でプラトーに達し(図7K)、光に誘導される網膜ストレス後のIL−33の放出を示した。培養物中においてrMC−1細胞から放出されたIL−33フラグメントと同一なサイズ(図7G)のC末端処理された19kDaのタンパク質(IL−33p19)が、CLEの前後に硝子体中に存在していた主なIL−33種であったことを、ウェスタンブロットにより確認した(図7K)。全長IL−33p30は網膜における主な種であり、硝子体におけるIL−33p19発現と同様な時系列で、光への曝露後3日目から処理型IL−33p19種の存在が増加した(図7K)。光損傷を受けた網膜及び高グルコース培地で培養したrMC−1細胞におけるIL−33p19の存在の増加が、別のIL−33転写産物変異形の存在に起因していたかどうかを判定するために、IL−33の5’非翻訳領域(5’−UTR)(エクソン1)から終止コドン(エクソン9)に及ぶPCRプライマーを用いてRT−PCRを行った。いずれの場合も、全長IL−33転写産物のみが検出された(図7L)。理論に束縛されることを望むものではないが、これは、IL−33p19が、選択的スプライシングではなく、選択的スプライシングによって生成されたことを示唆する。IL−33のプロセシングを担うプロテアーゼは、依然として特定されておらず、現在の研究の焦点となっている。
CLE後に、ラットミュラー細胞からナイーブIL−33の消失が観察された。核局在化シグナル及びクロマチン結合ドメインを含有するIL−33のN末端の112個のアミノ酸がdsRedレポーターに融合されている、遺伝子組換えIL33tm2/tm2マウス(Bessa et al.J.Autoimmunity 55:33−41,2014)を分析して、インビボでミュラー細胞におけるIL−33タンパク質の制御を判定した。IL33tm2/tm2マウス由来の網膜では、天然の全長IL−33の局在化に類似して(図7B)、IL−33−N−term−dsRedは、主に、網膜のINLに位置するミュラー細胞の核に局在化していた(図7M)。IL33tm2/tm2網膜のフローサイトメトリー分析により、ミュラー細胞におけるIL−33−N−term−dsRedの選択的な発現を確認した(図7M)。生ミュラー細胞からのIL−33−dsRedの有意な消失が、ミュラー細胞を消失することなくCLE後に観察されたが(図7M)、これは、細胞死を伴うことのないミュラー細胞からIL−33 C末端の放出を反映している。この発見は、光曝露後にラットミュラー細胞から天然のIL−33の消失が観察されたことと一致する。したがって、これらのデータは、IL−33のC末端処理形態が、光毒性に応答して細胞活性化後にミュラー細胞から放出されることを示す。
C.ST2は、活性化ミュラー細胞において発現し、視細胞消失に寄与する。
IL−33は、そのヘテロ二量体受容体であるST2/IL1RAcPへの結合後に、MyD88に媒介されるシグナル伝達を誘発する(例えば、Schmitz et al.Immunity 23:479−490,2005)。膜貫通ST2(ST2L)及び膜貫通ドメインを欠くST2のスプライス変異形(sST2)をコードする網膜転写産物が、CLE後に4〜10倍増加し、3日目がピークであった(図8A)。並列試料でのフローサイトメトリー分析により、光に曝露した網膜における主要な膜貫通ST2源として、活性化(GFAP+)ミュラー細胞を特定したが(図8B)、ST2は光に曝露する前にはミュラー細胞で検出されていなかった。ST2は、CD11b+CD45lo小膠細胞(図8B)、RGC、または視細胞では検出されなかった。
ST2へのIL−33の結合が、CLE後の視細胞の生存に影響を及ぼすかどうかを判定するために、分析を行った。スペクトラルドメイン光干渉断層法(SD−OCT)により、ST2−/−では、ST2+/+マウスと比較してCLE後7日間(図8C)及び14日間(図8D)の網膜の温存が示された。全網膜のフローサイトメトリーにより、更に、桿体、錐体、及び神経節細胞が、CLEの間14日間、ST2−/−対ST2+/+マウスで保護されたことを確認した(図8E)。眼全体の切片に対する形態計測分析により、ST2−/−マウスでは、網膜の上半分及び下半分の両方において、網膜光毒性損傷後の視細胞の有意な保護が示された(図8F)。CLE後7日目に網膜電図(ERG)を記録し、これにより、ST2+/+マウスと比較して、ST2−/−での網膜細胞の温存は、a波及びb波応答の向上につながったことが示され、これは網膜機能の向上を反映していた(図8G)。ST2−/−マウスの網膜とは対照的に、それぞれIL−1α、IL1−β、及びIL−18の受容体を欠くIL−1R1−/−マウス及びIL−18R1−/−マウスの網膜は、CLE後に、野生型同腹仔と比較して保護されなかった(図8D)。
ST2/IL−33の相互作用の薬理学的遮断が視細胞を保護するかどうかを更に判定するために、マウスに、可溶性ST2を発現する組み換えアデノ関連ウイルス(AAV)で処置を行い(AAV−sST2)、CLEを行った。sST2の遮断活性を、IL−33刺激型骨髄由来肥満細胞(BMMC)において検証した(図9A)。ELISA及びウェスタンブロットにより、AVV感染HEK293細胞におけるsST2の発現を確認した(図9B)。AAV−sST2の網膜下注射により、網膜及びRPEにおいて高いレベルのsST2発現がもたらされた(図9C)。AAV−sST2で処置し、光に曝露したマウスは、桿体、錐体、及び神経節細胞の保護を示したが、対照ベクターのものは保護を示さなかった(図10)。これらの結果は、IL−33とそのシグナル伝達受容体であるST2/IL1RAcPとの結合が、光に曝露した網膜において、視細胞消失につながる病態応答をもたらすことを示している。
D.IL−33は、視細胞層への骨髄系細胞の動員を増加させる
ST2/IL1RAcPシグナル伝達の下流のどの経路が視細胞消失をもたらすかを判定するために、3日間継続的に光に曝露したST2+/+マウス及びST2−/−マウスの網膜のマイクロアレイ分析を行った。CLE後に、ST2+/+マウスの網膜は、ST2−/−マウスと比較して、CCL2、IL−1β、IL−6、IRF1、IRF7、及びSTAT3を含む、炎症の徴候の全体的な増加を示した(図11A及び11B)。リアルタイムPCRにより、CCL2、IL−1β、及びIL−6の発現の増加が確認されたが、ST2−/−マウスでは、ST2+/+マウスと比較して発現が有意に低かった(図11C)。mRNA発現データと一致して、網膜におけるCCL2タンパク質の発現は、CLE後に、ST2+/+マウスと比較して、ST2−/−では低減された(図11C)。
IL−33がミュラー細胞においてCCL2発現を誘導するかどうかを判定するために、分析を行った。上述のインビボ結果と一致して、ミュラー細胞の活性化マーカーであるGFAPを発現するrMC−1細胞は、膜貫通の表面に露出したST2を発現した(図11D)。組み換えIL−33で刺激したとき、rMC−1細胞は、CCL2発現の用量依存的増加を示したが、これは、IL−33 TRAPの添加によって遮断され、IL−33が、ミュラー細胞上のST2を通じてシグナル伝達することが確認された(図11D)。IL−33に加えて、rMC−1細胞は、高グルコース培地で培養したときに、経時的にCCL2を発現し、分泌した(図11E)。IL−33 TRAPを培養培地に添加することによって、ミュラー細胞により分泌されるIL−33を中和することにより、ビヒクルの存在下で培養したrMC−1細胞と比較して、CCL2発現が有意に低下した(図11E)。これらの結果は、培養液中のミュラー細胞が生物活性IL−33を放出し、これが、自己分泌活性化によりCCL2を誘導し得ることを示している。
網膜のCD11b+CD45lo(図12A及び図13D)及びCD11b+CD45hi(図13D)の両方の細胞が、CCL2の受容体であるCCR2を発現する(図12A)。IL−33が、網膜における骨髄系細胞の分布に何らかの影響を有していたかどうかを判定するために、各網膜層におけるIba1+骨髄系細胞を、ST2+/+マウス及びST2−/−マウスにおいてCLEの前後に定量化した。光に暴露する前、Iba1+細胞は、内網状層(IPL)及び外網状層(OPL)に集中しており、ONL、外節(OS)、及び網膜神経節細胞層(GCL)にはこの細胞はほとんど存在しなかった(図12B)。14日間のCLEの後、Iba1+細胞は、ONL、OS、及びGCLに蓄積し、ST2+/+マウスにおいて、OPL及びIPL内のIba1+細胞が同時に減少した。ST2−/−マウスは、ST2+/+マウスと比較して、ONL及びOSにおけるIba1+細胞の40〜50%の減少を示し、OPLにおけるIba1+細胞の50%の増加を示した(図12C)。したがって、CLE後に、ST2/IL1RAcPシグナル伝達が、CCL2の発現、外網膜層におけるIba1+骨髄系細胞の存在の増加、ならびに視細胞の桿体及び錐体の消失を促進させた。これらの結果により、以前に提示された、ONLにおける骨髄系細胞の存在を強化すること及び光損傷または網膜剥離後の視細胞死の誘導における、ミュラー細胞により分泌されるCCL2の役割が更に拡大される。
光に曝露したときにIL−33/ST2に誘導される視細胞の消失が、骨髄系細胞の浸潤によって媒介されるかどうかを判定するために、ST2+/+マウス及びST2−/−マウスにおいてクロドロネートにより抹消単球を枯渇させ、7日間のCLEの後に視細胞及び神経節細胞の数を定量化した。クロドロネート処理により、Ly6ChiCD115+及びLy6Clo/−CD115+抹消単球を、それぞれ、80%及び70%を上回って枯渇させた(図12D)。単球枯渇により、ST2+/+マウスでは、CLE後に桿体、錐体、及びRGCの保護がもたらされた(図12E)。しかしながら、ST2欠損では、単球を枯渇させたときに、視細胞の更なる保護が得られず、骨髄系細胞の浸潤がIL−33/ST2に誘導される視細胞消失を媒介することが示された。
ミュラー細胞から放出されるIL−33が病原的役割を有するかどうかを更に判定するために、IL−33のN末端核局在化シグナル及びクロマチン結合ドメインがdsRedで置き換えられた遺伝子修飾マウス(IL33tm1/tm1マウス)を分析した(Bessa et al.J.Autoimmunity 55:33−41,2014)(図12F)。IL33tm2/tm2マウスに類似して、IL33tm1/tm1マウスは、神経網膜のミュラー細胞に選択的にdsRed染色を示した。しかしながら、dsRedがIL−33のN末端を介して核に固定されているIL33tm2/tm2マウスとは対照的に、IL33tm1/tm1マウスではIL−33のN末端をdsRedと置き換えたことにより、IL−33が各に固定されるのが防止され、dsRed−IL−33−C−termがミュラー細胞の細胞質に放出が内顆粒層に及ぶことになった(図12F)。内在性プロモーターの制御下にあるIL−33の転写と適合して(Bessa et al.(上記))、網膜のIL−33 mRNAは、IL33tm1/+マウス及びIL33tm1/tm1マウスでは、IL33+/+の同腹マウスと比較して変化していなかったが、血清及び網膜におけるIL−33タンパク質は、N末端を欠くIL−33の自発的な放出に起因して上昇していた(図12F)。更に、IL−33軸の病原的な役割と一致して、IL33tm1/+マウス及びIL33tm1/tm1マウスに由来する網膜は、マウスがST2受容体鎖を発現した場合(ST2+/−バックグラウンド)、CCL2及びIL−6発現の増加ならびに視細胞錐体及び神経節細胞の消失を示した(図12G)。CCL2及びIL−6の発現ならびに網膜細胞の消失は、ST2を欠くIL33tm1/+マウス及びIL33tm1/tm1マウスでは対照の値まで回復した(図12G)。これらの結果は、IL−33が、核に移行するその能力が枯渇していた場合に、細胞から放出され、網膜細胞の死と共に、ST2依存性サイトカイン及びケモカイン放出を誘導することを示している。
E.網膜にホーミングする単球を循環させることが、網膜色素上皮破壊後のIL−33/ST2−に媒介される視細胞消失に必要である
網膜色素上皮(RPE)は、視細胞外節の取り込み及び再循環を通じた視細胞の恒常性、毒性の視覚サイクル産物を不活性化すること、ならびに網膜の代謝要求を満たすことにおいて、重要な役割を果たしている。RPEはまた、外側血液網膜関門の一体性を維持する(例えば、Strauss,“The Retinal Pigment Epithelium.” In Webvision:The Organization of the Retina and Visual System(Kolb et al.,eds.)1995)を参照されたい。RPE細胞の消失は、AMDの滲出型及び萎縮型の両方において視細胞消失を引き起こすことが提示されている(例えば、Bhutto et al.Molecular Aspects of Medicine 33:295−317,2012)。ヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)は、全身投与すると、RPE細胞生存に不可逆的に影響を及ぼす酸化化合物であり(Carido et al.Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.55:5431−5444,2014)、RPE細胞死に次いで視細胞消失に重要な網膜経路の役割の調査を可能にするものである。
NaIO3の全身投与により、3日目に網膜中心窩におけるRPE細胞の大部分の排除がもたらされた。これには、視細胞の外顆粒細胞の消失、ミュラー細胞の活性化(図13A)、ならびに神経網膜における19kDaのIL−33処理形態(IL−33p19)の存在の増加が付随し、処置後3日目がピークであった(図13B)。NaIO3での処置はまた、1500倍を上回るCCL2の増加をもたらした(図13C)。NaIO3投与に起因するCCL2タンパク質レベルの増加は、ST2を欠くマウスではおよそ35%緩和された(図13C)。ミュラー細胞のIL−33刺激により骨髄系細胞の化学誘引物質であるCCL2が誘導されることを考慮して、IL−33の遮断が、網膜における骨髄系細胞数に影響を及ぼしたかどうかを判定するために分析を行った。ST2+/+マウスをNaIO3で処置したことにより、網膜に存在するCD45hiCD11b+CCR2+骨髄系細胞数に20倍を上回る増加が生じ、3日目にピークを迎えた。ST2−/−マウスは、NaIO3処置後に、3日目及び7日目で、それぞれ、ST2+/+マウスと比較して、CD45hiCD11b+CCR2+骨髄系細胞数の増加の約70%及び約50%の緩和を示した(図13D)。対照的に、CD45lowCD11b+CCR2+小膠細胞数は、NaIO3処置後3日目で、ST2+/+マウス及びST2−/−マウスの両方において5倍を上回って低下し、7日目で回復しなかった。Iba1+細胞の免疫組織化学分析により、ST2−/−マウスでは、ST2+/+マウスと比較して、NaIO3処置後3日目に、OS及びONLにおけるIba1+骨髄系細胞の浸潤のおよそ50〜60%の低減が示された(図13E)。NaIO3処置後7日目に、ST2+/+マウスと比較して、ST2−/−マウスでは有意に厚い網膜によって示されるように、ST2−/−マウスの神経網膜は、NaIO3処置の後、保護されていた(図13F)。桿体、錐体、及び網膜細胞の有意な温存が、FACS分析によって更に示された。ST2−/−マウスとは対照的に、IL−1R1−/−マウスまたはIL−18−/−マウスの網膜は、NaIO3処置後7日目に、野生型マウスと比較して、保護されていなかった(図13G)。
骨髄系細胞の浸潤がIL−33に誘導される視細胞消失に必要であったかどうかを判定するために、ST2+/+マウス及びST2−/−マウスにおいてクロドロネートにより抹消骨髄系細胞を枯渇させた後、NaIO3処置を行い、3日目における視細胞及び神経節細胞の数を定量化した。Ly6ChiCD11b+CCR2+及びLy6Clo/−CD115+CDR2+抹消単球ならびにCD45hiCD11b+CCR2+網膜マクロファージの枯渇が成功したことを、フローサイトメトリーによって確認した(図13H及び13I)。クロドロネートに媒介される骨髄系細胞の枯渇により、NaIO3に誘導されるRPE細胞の消失後に神経網膜の保護がもたらされた(図13I)。CLEでの単球枯渇実験の結果と類似して、ST2の消失は、骨髄系細胞を枯渇させたときに、更なる保護をもたらすことはなく、マクロファージの浸潤は、RPEが破壊されている場合にはIL−33/ST2に誘導される視細胞消失には必要なかったことが示された。
まとめると、遺伝子学的アプローチ及び薬理学的アプローチを用いて、これらの結果により、IL−33が、視細胞層への骨髄細胞の動員及び網膜細胞の消失に寄与していることが示された。光に誘導される傷害モデル(CLE)及びRPE破壊モデルの両方において、IL−33軸シグナル伝達により、網膜のONL層及びOS層での骨髄系細胞の蓄積が強化された。RPE細胞消失のモデルでは、IL−33軸シグナル伝達により、網膜における骨髄系細胞の蓄積が強化された。網膜損傷の齧歯類モデル及びヒトAMDの両方において、損傷した網膜における骨髄系細胞の蓄積は、視細胞消失と解剖学的に関連していた。
F.材料及び方法
マウス
ST2ノックアウト(ST2−/−)BALB/cマウス(8継代)をMRC Laboratory of Molecular Biology,Cambridge,UKから入手した(Townsend et al.J.Exp.Med.191:1069−1076,2000を参照されたい)。ST2−/−マウスを、10代にわたってC57BL/6バックグラウンドと戻し交配して、ST2−/−C57Bl/6マウスを生成した。IL33tm1/+及びIL33tm2/tm2BALB/cマウスを、F.Hoffmann−La Roche Ltd.,Basel,Switzerlandから入手した(Bessa et al.J.Autoimmunity 55:33−41,2014を参照されたい)。IL33tm1/+マウスの罹患率及び死亡率が著しかったため、IL33tm1/+マウスを、ST2−/−BALB/cマウスと交配して、ST2−/−バックグラウンドを維持した。IL33tm1/tm1ST2+/−マウスを、雌性IL33tm1/+ST2−/−マウスと雄性IL33tm1/+ST2+/+マウスとをかけ合わせて生成した。IL−1R1−/−(Il1r1tm1Imx)マウス、IL−18R1−/−(Il18r1tm1Aki)マウス、及びIL−18−/−(Il18tm1Aki)C57Bl/6マウスを、The Jackson Laboratoryから購入した。IL−1R1−/−マウス及びIL−18R1−/−マウスを、高速類似遺伝子導入(speed congenics)によりBALB/cバックグラウンドと戻し交配して、それぞれ、IL−1R1−/−及びIL−18R1−/−BALB/cマウス(9代)を生成した。スプラーグドーリーラットを、The Charles River Laboratoriesから購入した。全ての動物は、Genentech,Incにおいて病原体の存在しない動物施設に12/12時間の明/暗サイクルで収容し、同腹仔を実験に使用した。動物実験は、Genentech Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコル及びAssociation for Research in Vision and Ophthalmology(ARVO)Statement for the Use of Animals in Ophthalmic and Vision Researchに従って行った。
組み換えタンパク質
組み換えマウスIL−33(アミノ酸109〜266)を、R&D Systemsから購入した。IL−33のアミノ酸109〜264をコードするラットcDNAフラグメントをpET28ベクター(Novagen)にサブクローニングすることによって、組み換えラットIL−33(アミノ酸109〜264)を生成した。タンパク質をE.coliにおいて発現させ、Ni−NTAクロマトグラフィーを行った後、ゲル濾過を行って、精製した。マウス可溶性ST2(アミノ酸1〜337)を8回ヒスチジン(His)タグをC末端に有するpRK5発現ベクターにサブクローニングすることによって、組み換えsST2を生成した。CHO細胞に発現した融合タンパク質を、Ni−NTAクロマトグラフィーを行った後、SUPERDEX(登録商標)200ゲル濾過を行って、精製した。sST2の中和活性を、IL−33刺激型骨髄由来肥満細胞(BMMC)からのサイトカインの産生を遮断することによって検証した。BMMCは、上述のように生成し、IL−33で刺激した(Moulin et al.Cytokine 40:216−225,2007)。簡単に言うと、105個の細胞を、96ウェルプレートにおいて24時間、200μlのRPMI−1640培養培地中で20μg/mlのsST2または対照であるHisタグ付加タンパク質の存在下で1ng/mlのIL−33で刺激した。ELISAによるIL−6及びIL−13の測定のために、培養上清を採取した(R&D Systems)。ノブ・イン・ホール技術を用いてST2の細胞外ドメイン(ECD)がIL1RAcPのECDとヘテロ二量体を形成している組み換えIL−33 TRAPを生成した(例えば、米国特許第5,731,168号及びMerchant et al.Nature Biotechnology 16:677−681,1998を参照されたい)。「ノブ」変異を含有するC末端mIgG2a Fcフラグメントを有するマウスST2のECD(アミノ酸26〜328)をコードするpRK5発現ベクターを、「ホール」変異を含有するC末端mIgG2a Fcフラグメントを有するマウスIL1RAcPのECD(アミノ酸21〜350)をコードするpRK5発現ベクターと共に、CHO細胞にコトランスフェクトした。融合タンパク質を、MabSURE SELECTカラム(GE Healthcare)及びSUPERDEX(登録商標)200ゲル濾過によって精製した。
継続的な光への曝露(CLE)
8〜12週齡の雄性BALB/cマウスまたは6〜8週齡のスプラーグドーリーラットを、100ルクス未満の光強度で通常の収容場所に保持した(ベースラインとして使用、d0)。光への曝露のために、平坦なワイヤラックのみで覆われ、フィルタ蓋のない、わずかに変化させた通常のケージに動物を1匹ずつ収容した。光がケージに入るのを妨げないように、食物ペレットはケージの底に置き、水は、ケージの側面に取り付けた水用ボトルから提供した。Metroラック棚(各棚の上に48インチの白色蛍光灯が取り付けられている)にケージを置くことにより、網膜変性を誘導した。ラックには、光を棚に均等に反射し戻すためにぶら下がった白色パネルも含まれていた。ルミノメーターによって測定したときに各棚の光強度が約1200ルクスとなるように、光源に対して棚の高さを調整した。均等な光への曝露を確実にするために、CLEの間は、各棚内及び棚間でケージを回転させた。示されるように、様々な日数で光に曝露させた後に、動物を評価した。
RPE損傷に誘導される網膜変性
6〜8週齡の雄性C57Bl/6マウスに、体重1kg当たり20mgのヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)(Sigma)を静脈内注射した。NaIO3の投薬量は、眼底撮像によるRPE損傷の評価及びOCTによる網膜厚さの変化の評価を行う、前述の用量滴定実験にもとづいて選択した。示されるように、NaIO3注射の3または7日後に網膜を評価した。同じ体積の生理食塩水を注射したマウスは対照としての機能を果たした。
スペクトラルドメイン光干渉断層法(SD−OCT)
CLEの後、SPECTRALIS(登録商標)HRA+OCTシステム(Heidelberg Engineering)を用いてSD−OCTによって網膜厚さを測定した。齧歯類の光学系に関して調整するために、このシステムを修正して、製造業者が薦める通りに55°の広視野レンズをカメラの前に設置した。ケタミン(70〜80mg/体重1kg)及びキシラジン(15mg/体重1kg)の腹腔内注射によって、マウスに麻酔をかけた。数滴のトロピカミド点眼液USP1%(Bausch&Lomb)で瞳孔を散大させた。数滴の人工涙液を両側に適用して、処置中の角膜の乾燥を防いだ。視神経から背側部領域(上方象限)を通じた水平方向の体積のスキャンを使用して、網膜の厚さを評価した。全網膜厚さは、断面図上で内境界膜(ILM)からRPE/脈絡膜層までの幅として定義し、MATLAB(登録商標)(MathWorks)において慣例的な自動化画像区分化ルーチンを用いて測定した。
網膜電図検査法(ERG)
ESPION2(商標)電気生理学システム(Diagnosys)を用いてERG記録を行った。マウスは、ERG記録の前に一晩暗所に適合させ、薄暗い赤色光の下で全ての手順を行った。マウスに麻酔を施し、上述のように瞳孔を散大させた。恒温プレートを用いて体温を維持し、37℃に保った。基準電極を額から皮下に挿入し、設置電極を腰部領域の皮下に挿入した。金の環状電極(マウス電極1.5mm Φ3.2mm)(LKC Technologies)を、両眼の角膜表面に置いた。角膜と電極との間の電気接点を確立させるため、及び手順の間の角膜の保湿を維持するために、GONIOVISC(商標)ヒプロメローズ粘滑点眼液2.5%(HUB Pharmaceuticals)を角膜に1滴適用した。マウスを、COLORDOME(商標)光刺激装置で被覆されたプラットフォームに入れた。3つの閃光強度(0.05、1、及び25cd・s/m2)の白色光で、1強度当たり5回の閃光で、眼に刺激を与えた。最低刺激強度で15秒から最高刺激強度で1分間の範囲の刺激間隔を導入することによって、連続的な閃光間で最大の桿体回復が得られた。シグナルを0.15〜1000Hzでバンドパスフィルタに通し、2kHzで試料を得た。動物間では、エタノールワイプを用いて電極を洗浄し、次いで滅菌PBSで濯いだ。ERG後に、眼軟膏を角膜に局所適用して乾燥を防いだ。記録したデータ点の全てを、特注のMATLAB(登録商標)ソフトウェア(Mathworks)を使用して分析したが、a波の振幅はa波のトラフからベースラインまでを測定し、一方でb波の振幅はa波のトラフからb波のピークまでを測定した。3〜5回の閃光の光刺激に対する応答を平均した。
単球/マクロファージのクロドロネート枯渇
単球/マクロファージを枯渇させるために、200μl体積のリポソーム封入したクロドロネート(Encapsula Nano Sciences)1mgの毎日の投与を、CLEまたはNaIO3処置のそれぞれ2日前または1日前に開始した。対照マウスには、同じ体積の対照リポソームを受容させた。全身の単球枯渇を監視するために、イソフルランでの麻酔下において心臓穿刺によって血液を採取した。ACK(アンモニウム−クロリド−カリウム)溶解緩衝液(Life Technologies)を用いて全血試料から赤血球を除去した。次いで、細胞をフローサイトメトリー緩衝液中に再懸濁させ、Fcをブロッキングし、アロフィコシアニン(APC)とコンジュゲートした抗CD115(クローンAFS98、eBioscience)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)とコンジュゲートした抗Ly6C(クローンAL−21、BD Biosciences)、及びフィコエリトリン(PE)とコンジュゲートした抗CCR2(R&D systems)で染色し、フローサイトメトリーによって分析した。
AAVベクターの網膜下注射
遍在GACプロモーターの制御下でマウスsST2(アミノ酸1−337)−8xHis(配列番号332)をコードするAAV2/5ベクターを、Vector Biosystemsによって特注で作製した。マウスsST2(アミノ酸1〜337)−8XHisのアミノ酸配列は、配列番号333に提供されている。105ゲノムコピー(GC)/細胞の感染多重度(MOI)でHEK293細胞を感染させることにより、ウイルス活性を検証した。感染の6日後に培養上清を採取し、ヤギ抗マウスST2抗体(AF1004、R&D Systems)を用いてELISA(R&D Systems)及びウェスタンブロットによってsST2分泌に関して分析した。AAV不含のベクターによる感染を陰性対照として用いた。AAVの網膜下注射のために、マウスにケタミン/キシラジンで麻酔を施し、上述のように瞳孔を散大させた。解剖用顕微鏡下において、30ゲージの針で角膜との交差部付近の強膜に小さな切開部を作った。1012GC/mlを含有する1μlのAAV懸濁液を、鋭利な33ゲージのHamilton針と自動注入デバイスを用いて切開部から右眼の網膜下領域に注入した。注入後、3つの抗生物質(ネオマイシン、ポリミキシンB、及びバシトラシン)の眼軟膏を局所適用して、麻酔から回復する前の眼の感染及び乾燥を防いだ
硝子体及び網膜組織の採取
ラットの眼から硝子体を採取するために、ラットをCO2窒息により安楽死させ、眼球を摘出した。角膜を除去した後、前房液をSUGI(登録商標)の楔形吸収スワブ(Kettenbach Medical)で吸収した。角度の付いた顕微手術用鉗子を用いて、硝子体がくっついたままの水晶体を後房から慎重に引き出した。PBS中に溶解させた20μlのプロテアーゼ阻害剤混合液(Roche)を含有する濾過遠心管(Costar)に水晶体−硝子体の組織を入れ、4℃で5分間14,000×Gで遠心分離にかけた。硝子体を、下方チャンバから溶離液として収集した。網膜を強膜及び色素上皮から分離して、PBS中で濯いだ。網膜を、フローサイトメトリー分析のために切り離したか、またはELISA及びウェスタンブロットのために均質化させた。組織ホモジナイザ(IKA)を用いて細胞溶解緩衝液(Cell Signaling)中で網膜を均質化した。網膜及びRPE/脈絡膜のホモジネートを、4℃で10分間14,000×Gで遠心分離にかけ、上清を採取した。硝子体及び網膜組織溶解物は、分析するまで−80℃で保管した。
フローサイトメトリー
網膜を上述のように単離し、20IU/mlのパパイン及び200IU/mlのDNase(Worthington Biochemicals)を含有するEarleの平衡塩類溶液(EBSS)で、37℃において30分間消化させた。組織は、緩徐なピペッティングによって切り離した。パパイン消化は、オボムコイドプロテアーゼ阻害剤(Worthington Biochemicals)を含有するEBSS中に網膜細胞を再懸濁させることによって、終了させた。単一細胞懸濁液のアリコートを標準濃度の6μmのFLUORESBRITE(登録商標)YGミクロスフェア(Polysciences)と1:1で混合した後、LSRFORTESSA(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)で計数することによって、定量化した。生細胞を、ヨウ化プロピジウム陰性(PI−)細胞でゲーティングした。初代網膜細胞を、フローサイトメトリー緩衝液(0.5%ウシ血清アルブミン及び2mM EDTAを含有するPBS、pH8)中に再懸濁させ、抗CD16/CD32(BD Biosciences)と共に30分間インキュベートして非特異的な染色を遮断した。PE−CY7(登録商標)とコンジュゲートした抗CD11b(クローンM1/70、BD Biosciences)、APCとコンジュゲートした抗CD90.2(クローン53−2.1、BD Biosciences)、ALEXA FLUOR(登録商標)700とコンジュゲートした抗CD45(クローン30−F11、BioLegend)、FITCとコンジュゲートした抗ST2(クローンDJ8、MD Bioproducts)、PEとコンジュゲートした抗CCR2(R&D systems)、ならびにFITCとコンジュゲートした抗Ly6C及びPEとコンジュゲートした抗CD115(クローンAFS98、eBioscience)でマウス網膜細胞を染色した。PE−CY7(登録商標)とコンジュゲートした抗CD11b/c(クローンOX−42、BD Biosciences)、APCとコンジュゲートした抗CD90(クローンOX−7、BD Biosciences)、及び/またはALEXA FLUOR(登録商標)700とコンジュゲートした抗CD45(クローンOX−1、BioLegend)でラット網膜細胞を染色した。
マウス及びラットの両方の細胞内マーカーを検出するために、抗体コンジュゲーションキット(Abcam)を製造業者の説明書に従って使用して以下のフルオロフォアとコンジュゲートした抗体を生成した:PEとコンジュゲートした抗錐体アレスチン(CAR)(EMD Millipore)、PE−CY7(登録商標)とコンジュゲートした抗ロドプシン(Rho)(クローン1D4、EMD Millipore)、PerCP−CY5.5(登録商標)とコンジュゲートした抗グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)(クローンGA5、Thermo Scientific)。ALEXA FLUOR(登録商標)647とコンジュゲートした抗ビメンチン(クローンD21H3)を、Cell Signaling Technologyから購入した。細胞を、紫色固定可能生存性色素(violet fixable viability dye)(Life Technologies)で染色し、INTRAPREP(商標)透過処理試薬(Beckman Coulter)を製造業者の説明書に従って使用して固定及び透過処理を行った。次いで、細胞を抗体混合液で30分間染色し、洗浄し、LSRFORTESSA(商標)フローサイトメーターで分析した。rMC−1におけるST2、ビメンチン、及びGFAPの染色を、初代網膜細胞に関して説明したものと同じ様式で行った。全てのデータはBD FACSDIVA(商標)ソフトウェアを用いて取得し、FLOWJO(登録商標)ソフトウェア(FlowJo)で分析した。桿体(Rho+CAR−)、錐体(Rho−CAR+)、神経節細胞(CD90+CD45−)、小膠細胞(CD11b+CD45lo)、及びマクロファージ(CD11b+CD45hi)の総数は、各細胞型のパーセンテージに総生存網膜細胞を乗じて計算した。
rMC−1刺激
rMC−1細胞(Kerafast)を、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)、100U/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(LG−DMEM)において、低グルコース(5.5mM)で維持した。高グルコース刺激については、5×105個の細胞を、6ウェルプレートで2%FBSを含む2mlのLG−DMEMにおいて37℃で一晩培養した。培地をLG−DMEMまたは2%FBSを含む高グルコース(25mM)含有DMEM(HG−DMEM)のいずれかで置き換え、最大72時間培養した。細胞生存率は、細胞を、FITC Annexin V Apoptosis Detection Kit(BD Biosciences)を製造業者の説明書に従って使用してアネキシンV及びヨウ化プロピジウム(PI)で染色することによって判定した。培養上清を採取し、IL−33発現をELISA及びウェスタンブロットによって分析した。rMC−1のIL−33刺激のために、2×105個の細胞を、12ウェルプレートで10%FBSを含む1mlのLG−DMEMにおいて培養し、ラットIL−33(1、10、または100ng/ml)で24時間刺激した。10μg/mlのIL−33 TRAPまたは対照Fcタンパク質の存在下において細胞をIL−33で刺激することによって、rMC−1細胞に対するIL−33のST2依存性活性を判定した。培養上清中のCCL2のレベルをELISAによって測定した。rMC−1細胞におけるIL−33の自己分泌活性を判定するために、示されている様々な時間の間、10μg/mlのIL−33 TRAPまたは対照Fcタンパク質の存在下において、上述のように、高グルコース培地で刺激した。RNA及び培養上清を、それぞれ、qPCR及びELISAによるCCL2発現のために採取した。
ELISA
硝子体、網膜溶解液、血清、及びrMC−1培養上清中のIL−33の濃度を、マウス/ラットIL−33 QUANTIKINE(登録商標)ELISAキット(R&D Systems)を用いて測定した。CCL2、IL−1α、IL−1β、ST2、IL−6、及びIL−13を、QUANTIKINE(登録商標)ELISAキット(R&D Systems)で定量化した。IL−18は、マウスIL−18 ELISAキット(MBL International)で測定した。網膜溶解液中のサイトカイン濃度を、BCAアッセイ(Pierce Biotechnology)によって測定したタンパク質含量に対して正規化した。AMD患者の硝子体におけるIL−33のレベルを評価するために、AMDと診断された患者(男性1人及び女性5人、68〜91歳、中央値79歳)、ならびに黄斑パッカーの手術を受けた患者(男性3人及び女性9人、56〜79歳、中央値72歳)及び黄斑円孔の手術を受けた患者(男性5人及び女性16人、46〜75歳、中央値65歳)を、Western Institutional Review Board(WIRB)の承認を受け、また書面による患者へのインフォームドコンセントを伴って、Midwest Eye Instituteから獲得した。前述のように、眼の解剖及び硝子体の採取を行った(Loyet et al.Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.53:6628−6637,2012)。25ゲージのカニューレ(Alcon)を用いて局所麻酔下において、経結膜経扁平部硝子体切除術を行った。ヒトIL−33 QUANTIKINE(登録商標)ELISAキット(R&D Systems)を用いて硝子体におけるIL−33のレベルを測定した。
定量的RT−PCR
RNEASY(登録商標)Plus Miniキット(Qiagen)を用いて、網膜及びrMC−1細胞から全RNAを単離した。High−Capacity cDNA Reverse Transcriptionキット(Applied Biosystems)を用いて1本目のcDNAを合成した。検証済みのプライマー及びプローブのセット(Applied Biosystems)と共にTAQMAN(登録商標)Gene Expression Assayを使用して、IL−33、CCL2、ST2L、sST2、IL−6、IL−1α、IL−1β、IL−18、及びGFAPの定量的PCR(qPCR)を行い、レベルを、18s rRNA(マウス)またはβ−アクチン(ラット)の発現によって正規化した。rMC−1細胞及びラット網膜におけるIL−33の可能性のある代替的なスプライス変異形を試験するために、以下のプライマー:5’−TTAAGACCAGCTATCTCCCATCA−3’(配列番号342)及び5’−ACGTTACATCTTAGAGAGCTTAAACA−3’(配列番号343)を用いて全長IL−33 mRNAの5’非翻訳領域(5’−UTR)(エクソン1)から終止コドン(エクソン9)に及ぶPCRプライマーを用いてRT−PCRを行った。PCRは、EXPAND(商標)High Fidelity PCR System(Roche)を製造業者の説明書に従って使用して行った。結果として得られたPCR産物を、1%アガロースゲルでの電気泳動によって分析した。
ウェスタンブロット
硝子体、網膜溶解液、またはrMC−1培養上清を、NOVEX(登録商標)SDS 4〜20%トリス−グリシンポリアクリルアミドゲル(Life Technologies)での電気泳動によって分離し、IBLOT(登録商標)システム(Invitrogen)を用いてニトロセルロース膜に移した。ブロッキングした後、膜を、ラットIL−33と交差反応するヤギ抗マウスC末端IL−33(AF3626、R&D Systems)、またはウサギ抗GAPDH(Cell Signaling)でプローブした後、HRPとコンジュゲートした適切な二次抗体(Jackson ImmunoResearch)でプローブした。ECL Plusウェスタンブロット検出試薬(GE Healthcare)を用いてブロットを処理した。NE−PER(登録商標)Nuclear and Cytoplasmic Extraction試薬(Thermo Scientific)を製造業者の説明書に従って使用して、rMC−1細胞の核及び細胞質の画分を調製した。タンパク質濃度を、BCAタンパク質アッセイによって定量化した。等量のタンパク質を、上述のようにウェスタンブロットによってIL−33に関して分析した。核及び細胞質の細胞成分分画を、それぞれ、マウス抗HDAC2及び抗HSP90(EMD Millipore)でブロットをプローブすることによって、検証した。
マイクロアレイ分析
全RNAを二本鎖cDNAに変換した後、Agilent Fluorescent Linear Amplificationキットを用いてCY(登録商標)色素標識cRNAに変換した。CY(登録商標)cRNAを、細分し、AgilentのIn Situ Hybridization Kit Plusに記載されるようにAgilentの全マウスアレイにハイブリダイズさせた。全ての試料を、CY5(登録商標)色素で標識し、CY3(登録商標)色素標識共通マウス参照物に対してハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションの後に、アレイを洗浄し、乾燥させ、AgilentのDNAマイクロアレイスキャナでスキャンした。アレイ撮像データを、AgilentのFeature Extractionソフトウェア8.5を用いて分析した。未加工の特徴を抽出したデータを、前述のように処理した(Vander Lugt et al.Nature Immunology 15:161−167,2014)。マイクロアレイのデータを、1つの遺伝子に対して1つのみのプローブを含むようにフィルタリングし、所与の遺伝子に対して複数のプローブが存在していた場合には、最も分散の高いプローブを選択した(Bourgon et al.Proc.Natl.Acad.USA 107:9546−9551,2010)。limmaソフトウェアパッケージ(Smyth,Statistical Applications in Genetics and Molecular Biology 3:Article 3,2004)を用いて、差次的発現分析を行った。ST2−/−マウスにおいて差次的に制御される遺伝子を特定するために、ST2+/+マウスにおいてCLEによって上方制御されるプローブを特定し、Benjamini−Hochberg法の調整されたP値<0.01で1.5倍を上回る変化を示したプローブを選択した(例えば、Hochberg et al.Statistics in Medicine 9:811−818,1990を参照されたい)。これらのプローブを、更に、Benjamini−Hochberg法の調整されたP値<0.05でST2+/+マウスとST2−/−マウスとの間に1.25倍を上回る差を示したものにフィルタリングした。
遺伝子オントロジー分析
差次的発現として徳手された遺伝子を、GOstats Rパッケージを用いて遺伝子オントロジー分析に供した(Falcon et al.Bioinformatics 23:257−258,2007)。ST2+/+マウスとST2−/−マウスとでは異なって制御される遺伝子のセットを試験セットとして使用し、CLEでは異なって制御される遺伝子のセットを考慮する遺伝子の領域として使用した。研究は、条件付きの有意性検定を使用して、生物学的プロセスオントロジーに限定した。名目上の(未調整の)P値0.01で有意な強化を示した遺伝子オントロジー概念を選択した。
RNA−seq
ヒト網膜のRNA−seq分析のために、眼疾患の病歴のない死後の健常ドナーの眼を、書面によるドナーのインフォームドコンセントと共にLions Eye Instituteから入手した。ドナーの眼は、死後4時間以内に摘出し、採取後すぐにRNALATER(登録商標)に保存した。黄斑は、上方血管弓と下方血管弓との境界内に完全に包含されており、容易に可視化される。解剖用鋏を用いて周辺眼底部から黄斑を解剖して取り出し、網膜黄斑を網膜の下のRPE及び脈絡膜から切り離した。RNEASY(登録商標)Miniキット(Qiagen)を用いて、網膜から全RNAを単離した。NANODROP(商標)8000 Spectrophotometerを用いてRNA濃度を判定した。RNALATER(登録商標)中に保存されている試料は、通常、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)で評価したときに、高い品質が得られる。TRUSEQ(登録商標)RNA Sample Preparationキット(Illumina)を製造業者の説明書に従って使用してRNA−seqライブラリを調製した後、Illumina HISEQ(登録商標)2000システム(Illumina)によって配列決定を行った。配列決定データの分析を、前述のように行った(Durinck et al.Nature Genetics 47:13−21,2015)。GSNAP短い読み取りアライメント装置を用いて、配列決定の読み取り値を基準ヒトゲノム(GRCh37)にマッピングした(Wu et al.Bioinformatics 26:873−881,2010)。発現は、所与の遺伝子におけるコード配列と揃った読み取り数を、コード配列の全長及び読み取り総数に対して正規化することによって、読み取り総数100万当たりの1000塩基当たりの読み取り値(RPKM)で測定した。
組織学及び免疫組織化学
外顆粒層(ONL)厚さの形態計測分析のために、眼をDavidsonの固定液(Electron Microscopy Sciences)中に24時間固定した。視神経を含めて網膜全体を被覆するパラフィン包埋5μm切片を、眼球の垂直軸に沿って切断し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。切片を載せた後、Olympus Uplan SApo 0.75 NA 20倍対物レンズを有するNDP Scanソフトウェアを起動するOlympus NANOZOOMER(登録商標)2.0 HTデジタルスライドスキャナー(Hamamatsu)を用いて、スライドをスキャンした。MATLAB(登録商標)(MathWorks)において、カスタマイズした自動化画像細分化ルーチンを用いて画像を分析した。
視神経を通って切断した切片のみを分析した。ONL厚さを、視神経乳頭の片側から始めて0.1、0.2、0.3、0.4、0.6、0.8、及び1.0mmの距離で測定した。IL33tm2/tm2及びIL33tm1/tm1のフラットマウント網膜の撮像のために、眼を、4%のパラホルムアルデヒド中に2時間固定し、PBS中で洗浄した。網膜組織を無傷で眼球から解剖し、PBST緩衝液(1倍PBS、0.5%TWEEN(登録商標)−20)中1μg/mlのDAPI(Invitrogen)で染色した後、PBST緩衝液中で5回洗浄し、PBS中で濯いだ。網膜をフラットマウントし、40倍対物レンズを用いてNikon A1R共焦点顕微鏡で撮像した。図7M及び図12Fの画像は、明るさ及びコントラストをPHOTOSHOP(登録商標)(Adobe)で微調整することによって最適化した。ラットの眼をIL−33及びビメンチンで共染色するために、眼をDavidsonの固定液中に24時間固定し、70%エタノールに浸漬し、パラフィン包埋及び切片作製のために処理した。切片のIHC染色は、Dako Autostainerプラットフォーム(Dako)で行った。再水和した後、切片をDako Target Retrieval Solution(Dako)で処理した。切片を、IL−33に対するモノクローナル抗体(mAb)であるマウスmAb(クローンNessy 1、Enzo Life Sciences)5μg/ml及びビメンチンに対するウサギmAb(Cell Signaling Technologies)0.18μg/ml、またはブロッキング緩衝液中の陰性対照抗体と共に1時間インキュベートした。洗浄した後、切片をPowerVision ポリ−HRP抗マウスIgG及びポリ−AP抗ウサギIgG(Leica Biosystems)と共に30分間インキュベートした後、ジアミノベンジジン(DAB)及びFast Red/Naphthol Phosphate試薬(ScyTek)で検出した。ヘマトキシリンで対比染色した後、切片を明視野顕微鏡で撮像した。マウス眼のIL−33、GFAP、及びIba1染色は、1:500でのGFAPに対するウサギポリクローナル抗体(DAKO)及びIba1に対するウサギポリクローナル抗体(Wako Chemicals)(0.5μg/ml)と同じ様式で行った。視神経乳頭を含む垂直軸で切断した網膜切片の全長に沿って、各網膜層におけるIba1+細胞を手作業で計数することによって、小膠細胞の定量化を行った。APOTAG(登録商標)Peroxidase In Situ Apoptosis Detection Kit(Chemicon)を製造業者の説明書に従って用いてラット眼切片のTUNEL染色を行った。
ヒト眼のIHC分析のために、年齢範囲67〜89歳の7人の正常なドナー(男性5人及び女性2人)及び年齢範囲82〜92歳の7人のAMD患者(男性2人及び女性5人)からの眼を、ドナーまたはドナー家族のコンセントと共にLions Eye Instituteから入手した。眼を、上述のように固定し、切片を作製した。上述のように、IL−33、ビメンチン、GFAP、及びIba1に対する抗体、ならびにPLVAPに対するマウスモノクローナル抗体を用いて、IL−33、ビメンチン、GFAP、Iba1、及びPLVAPの蛍光IHC共染色を行った後、蛍光色素で標識した適切な二次抗体または蛍光色素−TSA(チラミドシグナル増幅)での染色及びDAPIでの対比染色を行った。上述のように、スライドスキャナーでスライドをスキャンした。図5A〜5C、5E、及び6A〜6Bの画像については、シグナルをより良好に視覚化するために、NDPビュー2ソフトウェア(Hamamatsu)を用いて明るさを微調整したが、パネル内の全ての画像は、同様に修正した。正常な眼、またはAMD眼の病変領域及び非病変領域の、中心窩領域及び周辺領域において、およそ500μmの長さの領域に沿って、IL−33+細胞及びIba1+細胞を手作業で計数することによって、IL−33+細胞及びIba1+細胞の定量化を行った。
統計学的分析
別途示されない限り、全てのデータは、Prism 6ソフトウェア(GraphPad)を用いて分析し、グラフにした。群間の比較のため、示されるように対応のない両側スチューデントt検定またはANOVAを用いて統計学的分析を行った。P値<0.05を有意とみなした。
実施例4.IL−33経路及びIL−13経路の両方の遮断により、いずれかの経路を単独で遮断することと比較して、肺において2型炎症のより良好な阻害が得られる
A.2型(Th2)炎症のNippostrongylus・brasilliensisモデル
サイトカインIL−33及びIL−13は、2型免疫応答において炎症を促進し、多くのデータは、IL−13発現の制御におけるIL−33の役割を裏付けている。IL−33経路またはIL−13経路のいずれかを消失させることにより、2型炎症応答が緩和されることが理解され、インビボでの個々のサイトカインの非冗長的な役割が明らかとなっている。しかしながら、IL−33シグナルが存在しないことが、単にIL−13の減少に起因して2型免疫に影響を及ぼすのか、それとも更なる炎症経路の阻害に起因しているのかははっきりわかっていない。
この問題に対処するために、ST2+/+マウス及びST2−/−マウスに、マウスIL−13に対する中和抗体が存在する状態または存在しない状態で、インビボで2型炎症を引き起こす薬剤でチャレンジを行った。蠕虫N.brasilliensisは、肺及び腸において急性2型炎症応答を引き起こし、組織への好酸球動員及びTh2サイトカイン産生(IL−4、IL−5、IL−13)を特徴としている(例えば、Frontiers in Immunology 4(74):1,2013を参照されたい)。先天性及び獲得性の両方の免疫経路が、抗蠕虫免疫には必要である。2型肺炎症におけるIL−13の役割を評価するために、ST2+/+マウスを、抗IL−13抗体または抗ブタクサ抗体で処置した(図14A)。同様に、インビボでのIL−33の寄与、ならびにIL−13及びIL−33の組み合わせによる寄与を評価するために、ST2−/−マウスを、対照抗体または抗IL−13抗体で処置した。以前の報告(例えば、Nature 464:1367を参照されたい)と一致して、N.brasilliensis感染により、ST2+/+マウスのBALF及び肺組織の両方において、強力な好酸球炎症が引き起こされたが、これは、ST2が存在しない場合には有意に減少した(すなわち、ST2−/−マウスで示される)。同様に、IL−13に対する中和抗体での処置により、BALF及び組織好酸球の有意な減少がもたらされた。驚くべきことに、IL−33シグナル伝達及びIL−13の両方の組み合わせ遮断により、ナイーブ対照に匹敵するレベルで、肺への好酸球動員のより良好な阻害がもたらされた(図14B)。更に、IL−13は、ST2−/−マウスのBALFでは検出されず、IL−13誘導におけるIL−33の役割と一致していた。加えて、両方の経路の組み合わせ遮断は、BALFにおいて、いずれかの経路を単独で遮断するよりも良好なIL−4及びIL−5の減少につながった(図14C)。
材料及び方法
7〜9週齡の雌性ST2+/+マウス及びST2−/−Balb/Cマウスを、0日目に尾部への皮下注射によって200μLの生理食塩水中に懸濁した500匹のNippostrongylus・brasilliensis(N.brasilliensis)の幼虫(L3)に感染させた。注射した後、動物をポリミキシンb及びネオマイシンの入った水を5日間摂取させた。抗体(200μg/マウス、PBS200μl中)を、注射の1日前、1、3、6、及び8日後に腹腔内注射によって投与した(図14A)。肺炎症の分析のために、注射後10日目に動物に殺処理を行った。フローサイトメトリー及びタンパク質分析のために気管支肺胞洗浄液(BALF)及び灌流した肺組織を採取した。ナイーブST2+/+マウス及びST2−/−マウスを対照として使用した。
肺組織処理のために、灌流した肺を2mg/mlのコラゲナーゼD(Roche)中37℃で1時間分解させ、製造業者の説明書に従ってGENTLEMACS(商標)Cチューブ(Miltenyi)を使用して解剖した。単一細胞懸濁液を、Fc Receptor Block(2.4G2、BD Pharmingen)と共に15分間インキュベートした後、氷上において30分間抗体で染色した。好酸球、好中球、及びマクロファージを以下の抗体:ビオチニル化抗CD45(30−F11、eBioscience)、アロフィコシアニン/Cy7−抗CD11b(M1/70、BD Pharmingen)、フィコエリトリン/Cy7−抗CD11c(HL3、BD Pharmingen)、フィコエリトリン−抗Siglec−F(E50−2440、BD Pharmingen)、アロフィコシアニン−抗F4/80(BM8、eBioscience)、フルオレセインイソチオシアネート−抗Gr−1(RB6−8C5、BD Pharmingen)を用いて分析した後、ストレプトアビジンPACIFIC ORANGE(商標)(S32365、Molecular Probes)で分析した。BALFサイトカインをELISAによって測定した。
B.TNP−OVA研究
本実施例の節Aで上述のN.Brasilliensis感染モデルは、病原体に対する急性応答であり、慢性アレルギー性炎症に見られる抗原誘導性応答を反映しないと考えられている。アレルギー性炎症におけるIL−33経路とIL−13経路との間の冗長性の問題は、十分に特徴付けられている気道炎症のTNP−OVA感作/チャレンジモデルを用いて対処した。このモデルにおいて、TNP−OVA抗原に対する獲得性免疫応答を開始させ、組織への好酸球動員、ならびにT細胞によるIL−5及びIL−13サイトカイン産生によって特徴付けた。
ST2+/+マウス及びST2−/−マウスに、TNP−OVA/Alumで感作を行い、抗IL−13遮断抗体が存在する状態または存在しない状態でTNP−OVAでのチャレンジを行った。IL−33またはST2に対する中和試薬を用いた研究と一致して、TNP−OVA感作/チャレンジ後にST2+/+マウスにおいて確認された強力な好酸球炎症は、ST2−/−株では有意に減少した(例えば、Exp.Lung Research 40(2):66,2014を参照されたい)。以前に示されたように、IL−13の阻害によっても、肺組織好酸球の蓄積が緩和された(Taube et al.,J.Immunol.169(11):6482,2002)。本実施例の節Aで上述のN.brasilliensis感染研究と一致して、IL−33シグナル伝達及びIL−13の両方の組み合わせ遮断により、肺への好酸球流入が、ナイーブマウスに見られるレベルまで低下した(図15A)。TNP−OVA抗原に対するT細胞応答の分析でも、両方の経路が存在しないことで、IL−13及びIL−5産生に対して、それぞれの経路を単独で阻害するよりも優れた効果を有したことがわかった(図15B)。
本実施例のこの節及び節Aに記載されているインビボ研究は、IL−33及びIL−13の両方の遮断は、個別にいずれかの経路を遮断するのと比較して、2型肺炎症に対してより優れた効果を有していたことが実証され、IL−33及びIL−13の重複しない機能が強調される。N.brasilliensis蠕虫感染は、先天性及び獲得性免疫の構成要素の活性化をもたらし、一方でTNP−OVA研究は、抗原に対する獲得性免疫応答の古典的なモデルである。これらのモデルは2型炎症の異なる態様を反映するが、いずれも、好酸球炎症の媒介におけるIL−13及びIL−33の役割を強調し、用法の経路の阻害により、この応答が完全に抑止される。これらのデータにより、炎症に寄与するIL−33の更なる機能、ならびにIl−33及びIL−13の両方の遮断が喘息などのIL−33媒介性障害を含む2型免疫にもたらす更なる利点が強調される。
材料及び方法
7〜8週齡の雌性ST2+/+マウス及びST2−/−Balb/Cマウスに、0日目に50μgのTNP−OVA及び2mgのミョウバン(PBS100μl中)を腹腔内注射することよって感作を行った(Biosearch Technologies)。1群当たり7匹のマウスを用いた。感作後35日目から開始して、マウスに、7日間連続でネブライザーによってPBS中1%TNP−OVAのエアロゾルでチャレンジを行った。抗gp120 IgG1または抗マウスIL−13 IgG1(100μg/マウス、PBS200μl中)を、感作後35〜41日目に腹腔内投与した。肺炎症の分析のために、42日目に動物に殺処理を行った。フローサイトメトリー及びタンパク質分析のためにBALF及び灌流した肺組織を採取した。T細胞リコールアッセイのために、縦隔リンパ節を採取した。ナイーブST2+/+マウス及びST2−/−マウスを対照として使用した。BALFサイトカインレベルをELISAによって測定した。灌流した肺を2mg/mlのコラゲナーゼD(Roche)中37℃で1時間分解させ、製造業者の説明書に従ってGENTLEMACS(商標)Cチューブ(Miltenyi)を使用して解剖した。単一細胞懸濁液を、Fc Receptor Block(2.4G2、BD Pharmingen)と共に15分間インキュベートした後、氷上において30分間抗体で染色した。好酸球、好中球、及びマクロファージを以下の抗体:ビオチニル化抗CD45(30−F11、eBioscience)、アロフィコシアニン/Cy7−抗CD11b(M1/70、BD Pharmingen)、フィコエリトリン/Cy7−抗CD11c(HL3、BD Pharmingen)、フィコエリトリン−抗Siglec−F(E50−2440、BD Pharmingen)、アロフィコシアニン−抗F4/80(BM8、eBioscience)、フルオレセインイソチオシアネート−抗Gr−1(RB6−8C5、BD Pharmingen)を用いて分析した後、ストレプトアビジンPACIFIC ORANGE(商標)(S32365、Molecular Probes)で分析した。
インビトロT細胞リコールアッセイのために、縦隔リンパ節からの単一細胞懸濁液(1ウェル当たり3×105個の細胞)を、10%FBSを含有し、L−グルタミン及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI 1640培地において、100μg/mlのTNP−OVA(Biosearch Technologies)の存在下または不在下で、6日間培養した。6日後に、細胞増殖を、CELLTITER−GLO(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)によって測定し、ELISAによるサイトカインレベル分析のために上清を採取した。
実施例5.IL−33による肥満細胞脱顆粒及びサイトカイン分泌の制御
A.IL−33はインビトロ及びインビボで抗原に誘導される肥満細胞の脱顆粒を増大させる
抗原−IgE複合体による肥満細胞の刺激により、既に形成されていた顆粒からの血管作動性及び炎症促進性の媒介因子の急速な放出がもたらされる。ヒスタミン、プロテアーゼ、及びプロテオグリカンを含むこれらの媒介因子は、侵襲してきた病原体に対する最前線の防御として働く。IL−33がこの応答を増大させるかどうかを判定するために、肥満細胞に、IgEで24時間感作を行い、IL−33の存在下または不在下で1時間抗IgEで刺激した。IL−33はそれ自体が脱顆粒を誘導することはなかったが、β−ヘキソサミニダーゼ、トリプターゼ、及びヒスタミンの脱顆粒を有意に増大させた(図16A)。
インビボでの肥満細胞の活性化及び脱顆粒のIL−33依存性増大を確認するために、受動的全身性アナフィラキシーモデルを用いた。抗ジニトロフェニル(抗DNP)IgEで28時間感作した後、ST2+/+マウス及びST2−/−マウスに、IL−33ありまたはなしでDNP−HSAでチャレンジを行った。アナフィラキシー応答を、1時間の過程にわたる体温の低下として測定し(図16B)。上述のインビトロ研究に類似して、抗原の不在下では、IL−33は、アナフィラキシー応答を促進しなかった(図16C)。同様に、ST2+/+及びST2−/−は、FcεRI(FcイプシロンRI)活性化後に体温の同様の変化を示した(図16D)。しかしながら、インビトロ研究と一致して、IL−33の添加により、対照群と比較した体温のより大きな低下によって示されるように、肥満細胞応答が増大した(図16E)。
B.IL−33は抗原に誘導される肥満細胞のサイトカイン分泌を増幅させる
脱顆粒に加えて、肥満細胞は、サイトカイン及びケモカインの分泌を通じて宿主防御に寄与する。肥満細胞のサイトカイン放出におけるIL−33の役割を評価するために、肥満細胞に、IgEで24時間感作を行い、IL−33の存在下または不在下で72時間抗IgEで刺激した。抗原刺激により、IL−8の分泌がもたらされ、これは、IL−33の添加によって増大した(図16F)。FcεRI架橋のみでは、IL−5の分泌もIL−13の分泌も生じなかった(図16F)。以前に報告されたように、IL−33は、IL−5及びIL−13の放出を刺激したが、これは、FcεRI刺激の追加によって有意に増加した。加えて、IL−33に媒介される肥満細胞からのTNF−α及びIL−10の放出が観察された(図16G)。マイクロアレイ分析により、IL−33がいくつかのケモカイン、サイトカイン、及び成長因子を誘導したことがわかった(図16H)(例えば、Nagarkar et al.J.Allergy Clin.Immunol.136(1):202−205,2015を参照されたい)。これらの結果により、肥満細胞の応答及び防御機構を促進することにおけるIL−33の役割が強調される。
C.材料及び方法
インビトロ肥満細胞アッセイ
肥満細胞を、前述のように単離した(例えば、Nagarkar et al.J.Allergy Clin.Immunol.136(1):202−205,2015を参照されたい)。10人のドナーに由来する末梢血由来のCD34+細胞を、Stemcell Technologies(Vancouver,BC,Canada)から購入し、12週間の期間で、前述のようにIL−6及びSCFの存在下において初代培養したインビトロCD34+細胞由来ヒト脂肪細胞に分化させた。0週目に、細胞を、200ng/mlのSCF、50ng/mlのIL−6、5ng/mlのIL−3、11μMの2−メルカプトエタノール(2−ME、Invitrogen(Carlsbad,CA))、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシン(Invitrogen)を含有する血清不含イスコフメチルセルロース培地(METHOCULT(商標)SFBIT H4236、Stemcell Technologies)に懸濁させた後、5%CO2において37℃でインキュベートした。培養2週間の時点で、200ng/mlのSCF、50ng/mlのIL−6、11μMの2−ME、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンを含有する新しいメチルセルロース培地の層を、メチルセルロース培養物の上に形成した。培養4週間の時点で、200ng/mlのSCF、50ng/mlのIL−6、インスリン−トランスフェリン−セレン(Invitrogen)、55μMの2−ME、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンを補充したイスコフ変法ダルベッコ培地(IMDM)の1mlのアリコートの層を、メチルセルロース培養物の上に形成した。培養6週間の時点で、メチルセルロース培地をPBSで溶解させた後に、全ての細胞を取り出した。次いで、細胞を、100ng/mlのSCF、50ng/mlのIL−6、0.1%のBSA、インスリン−トランスフェリン−セレン、55μMの2−ME、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンを補充したIMDM中に懸濁して培養し、培養培地を1週間後に置き換えた。更に1週間培養した後、培養培地を、100ng/mlのSCF、50ng/mlのIL−6、5%のFBS(Invitrogen)、55μMの2−ME、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンを補充したIMDMに切り替えた。培養培地は、それ以降毎週取り替え、細胞を更に5〜7週間インキュベートした。12週の終わりに、肥満細胞以外の大半が消耗を受けたと予測された。1μg/mlの骨髄腫IgE(EMD Millipore,Billerica,MA)での処置の48時間後、12週間の培養後にフローサイトメトリーを用いてFcεRI発現を測定することによって、肥満細胞の最終的な純度を判定した。肥満細胞の最終的な純度は90%であった。10人の独立したドナーからの肥満細胞をこの方式で生成した。
IL−33で刺激した肥満細胞のマイクロアレイ分析のために、2人のドナーからの肥満細胞(1×106個の細胞/ml)に、10ng/mlのIL−33で二連に24時間刺激を行った。次いで、マイクロアレイ分析のためにRNAを採取した。IL−33応答を判定するために、肥満細胞に、示されるように(図16A)IL−33で48時間刺激を行った.IL−5、IL−13、IL−4、IL−10、及びTNF−αレベルの分析のためにMeso Scale Discovery Th1/Th2 10−plexパネル(MSD,Rockville,MD)を製造業者の説明書に従って使用して、細胞不含上清を採取した。IL−33及びIgE架橋の共刺激実験のために、IgEで感作した肥満細胞(0.5×106個の細胞/ml)に、10μg/mlの抗IgE(411520、EMD Millipore)の存在下または不在下で、示されるようにIL−33で刺激を行い、72時間後に細胞上清を採取した。放出されたサイトカインレベルを、IL−8(DY208、R&D systems)、IL−5(88−7056、eBioscience)、及びIL−13(88−7439、eBioscience)に関してELISAキットで分析した。
脱顆粒
ヒト肥満細胞の脱顆粒を、全細胞内含量に対するβ−ヘキサミノダーゼ、トリプターゼ、及びヒスタミンのパーセンテージとして測定した。カルシウムイオノフォアA23187(C7522、Sigma Aldrich)を10μMで陽性対照として用いた。肥満細胞に、2μg/mlの精製ヒトIgE(AG30P、EMD Millipore)で24時間感作を行った。感作した肥満細胞を洗浄し、6.25×106個の細胞/mlでタイロード緩衝液(10mM HEPES、130mM NaCl、6.2mM D−グルコース、3.0mM KCl、1.4mM CaCl2、1.0mM MgCl2、及び0.1%BSA)中に再懸濁させた。肥満細胞(6.25×104/ウェル)を、96ウェルのV底プレートに三連に播種し、100ng/mlのヒトIL−33の存在下または不在下において、最終体積20μlで、10μg/mlの抗IgE(411520、EMD Millipore)により1時間刺激した。細胞上清を採取し、細胞ペレットを、タイロード緩衝液中の0.5%TRITON(商標)X−100(20μl)で溶解させた。β−ヘキソサミニダーゼ放出を、蛍光定量アッセイを用いてアッセイした。上清及び細胞溶解液(10μl)を、0.1Mクエン酸緩衝液pH4.5中の4mM p−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミニド(N9376、Sigma Aldrich)50μlと共に1時間インキュベートし、反応を停止させるために0.2Mのグリシン150μlを添加した。ELISAリーダーにおいて、405nmで吸収を測定した。Mast Cell Degranulation Assay Kit(IMM001、EMD Millipore)を製造業者の説明書に従って使用して、上清及び細胞溶解液中のトリプターゼのレベル及び活性を計算した。Histamine ELISAキットを用いて製造業者の説明書に従って(409010、Neogen)、上清及び細胞溶解液中のヒスタミンのレベルをアッセイした。
受動的全身性アナフィラキシー
7〜8週齡の雌性ST2+/+マウス及びST2−/−Balb/Cマウスに、0日目に静脈内注射によって200μlの生理食塩水中200μgのDNP−マウスIgE(Biosearch Technologies)で感作を行った。1群当たり5匹のマウスを用いた。28時間後に、マウスに、100μgのDNP−HAS(Biosearch Technologies)、2μgのマウスIL−33(R&D Systems)、または組み合わせ(200μlの生理食塩水中)で静脈内によりチャレンジを行った。チャレンジ後1時間の間、5分間隔で埋め込みチップをスキャンすることによって体温を測定した。
遺伝子発現分析
RNA抽出及びPCRを、前述のように行った(例えば、Nagarkar et al.J.Allergy Clin.Immunol.136(1):202−205,2015を参照されたい)。Qiagen RNEASY(登録商標)Kit(Germantown、MD)を使用して肥満細胞から全RNAを抽出した。Bio−Rad(Hercules,CA)からのISCRIPT(商標)Reverse Transcription Supermixを使用して全RNAからcDNAを生成した。TAQMAN(登録商標)Gene Expression Assays(Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用してcDNAの増幅を行った。別途示されない限り、遺伝子発現における倍変化をそれぞれの培地対照物と比較した。マイクロアレイ分析のために、肥満細胞からのRNAを、Agilent単回増幅に提出した。
マイクロアレイ分析及び統計
記載されるように、マイクロアレイ及び統計を行った(例えば、Nagarkar et al.J.Allergy Clin.Immunol.136(1):202−205,2015を参照されたい)。ND−1000分光光度計(Thermo Scientific,Wilmington,DE,USA)及びBioanalyzer 2100(Agilent Technologies,Santa Clara,CA,USA)を使用して、全RNA試料の量及び性質を判定した。CY(登録商標)色素標識cRNA調製物及びアレイハイブリダイゼーションは、製造業者の説明書(Agilent Technologies)に従って調製した。
簡単に言うと、全RNA試料を、二本鎖cDNAに変換した後、Agilent Quick Amp Labelingキットを用いてCY(登録商標)色素標識cRNAに変換した。標識したcRNAは、RNEASY(登録商標)Miniキット(Qiagen)を用いて精製した。cRNAの収率及びCY(登録商標)色素の取り込みは、ND−1000分光光度計(Thermo Scientific)を用いて判定した。標識したcRNA750ngを、細分し、AgilentのWhole Human Genome 4 44K v2アレイにハイブリダイズさせた。全ての試料を、CY(登録商標)5色素で標識し、CY(登録商標)3色素標識共通マウス参照物(Stratagene,La Jolla,CA,USA)に対してハイブリダイズさせた。試料は、65℃で17時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの後に、アレイを洗浄し、乾燥させ、Agilentのスキャナーでスキャンした。Agilent Feature Extractionソフトウェアバージョン11.5を使用して、取得したアレイ画像を分析した。統計学的計算は全て、R Projectソフトウェアパッケージバージョン2.15.1を使用して行った。アレイの品質管理は、R用のarrayQualityMetricsパッケージを用いて評価した。マイクロアレイは、Bioconductorのvsnパッケージを用いて正規化し、プローブ強度を変換した。遺伝子フィルタリング(genefilter)パッケージを用いてマイクロアレイデータの独立したフィルタリングを行って、I型のエラー制御を維持しながら、真陽性のものを検出する統計学的検出力を向上させた。
不変であるか、Entrez遺伝子転写産物に対応しないアレイ特徴は、典型的に、差次的遺伝子発現分析にとっては情報価値がないため、アノテーション及び発現の変動性に基づいてフィルタリングを行った。簡単に言うと、フィルタリングは次のように行った:1)EntrezまたはCCGf遺伝子を表すアレイ特徴のみを保持し、2)単一のEntrez遺伝子に対応する複数のアレイ特徴を、最も高い四分位範囲(IQR)に基づいて単一のアレイ特徴に縮小し、3)遺伝子発現マイクロアレイデータの直線モデルの検定統計をBioconductorのlimmaパッケージで行った。要するに、本方法は、推定試料分散を併合推定値に縮減することに相当する、経験的なベイズのアプローチを利用し、結果として、アレイの数が限定されている場合に、はるかに安定した推論が得られる。差次的発現の検定統計量は、因子として処置を含むモデルの線形対称として推定した。複数の仮説検定を考慮するように調整されたP値は、Benjamini及びHochbergの方法を用いて対処した。
実施例6.K/BxN血清移入関節炎モデルにおけるIL−33軸の炎症を促進する役割
A.IL33またはST2の消失により、関節炎疾患が緩和される。
K/BxN血清は、免疫複合体を形成するグルコース−6−ホスフェート異性化酵素(GPI)に対する自己抗体を含有する。これらの免疫複合体をナイーブな免疫コンピテントマウスに投与することにより、関節腫脹、骨侵食、免疫細胞浸潤、ならびにサイトカイン及びケモカインの増加など、リウマチ性関節炎に類似の病態が誘導される。この反応は、代替的な補体経路、肥満細胞、及び好中球を含む、先天性免疫系に依存するものである。肥満細胞の非冗長的な役割、特に、疾患発症時におけるものは、既に示されている(例えば、Lee et al.Science 297:1689−1692,2002を参照されたい)。肥満細胞活性化におけるIL−33の役割(実施例6に示されている)を考慮して、疾患活性をIL33−/−マウス(図17A)及びST2−/−マウス(図17B〜17D)において試験した。これまでの報告と一致して、ST2の欠損により、関節炎が低減された。IL33−/−マウスにおいて同様の観察が得られた。これらのデータにより、IL−33が、炎症促進性サイトカイン分泌、生存、及び脱顆粒を含む肥満細胞機能の複数の態様に影響を及ぼし得ることを示す細胞研究が詳しく説明される。
B.材料及び方法
雌性ST2+/+マウス及びST2−/−C57Bl/6マウスを、ST2+/+株及びST2−/−Balb/C株を10代戻し交配することによって生成した。7〜8週齡のマウスに、0日目に20μlの関節起源K/BxN血清を静脈内投与した。1群当たり10匹のマウスを用いた。血清を、まず、ST2+/+マウスに関節炎を誘導するのに必要な最適量を判定するために試験した。関節炎の徴候に関して、足を毎日調べた。疾患の程度は、次の基準を用いて目視観察によってスコア付けした。
0=紅斑及び腫脹の徴候なし
1=中足部(足根)または足首に限定された紅斑及び軽度の腫脹
2=足首から中足部に及ぶ紅斑及び軽度の腫脹
3=足首から中足骨関節に及ぶ紅斑及び中等度の腫脹
4=足首、足、及び指を含む紅斑及び重度の腫脹
データは、4つの足のスコアの合計である平均スコアとしてプロットした。疾患の重症度は、以下の基準を用いて判定した。
軽度(平均スコア0〜3)
中等度(平均スコア4〜8)
重度疾患(平均スコア9以上)
平均スコアは、関与する関節の数を反映する。
0日目に70μlの関節起源K/BxN血清を、7〜8週齡の雌性IL33+/+マウス及びIL33−/−C57Bl/6マウスに静脈内投与した。1群当たり5匹のマウスを用いた。血清を、IL33+/+株において関節炎を誘導するのに必要な最適量を判定するために、再度試験した。疾患活性のスコア付けを、上述のように行った。
実施例7.IL−33に誘導される肺へのマクロファージの動員は、IL−4、IL−5、及びIL−13に依存しない
本明細書に記載されるインビボ研究により、例えば、組織への好酸球動員を含む、2型炎症の促進におけるIL−33の非冗長的な役割を例証する。しかしながら、IL−33は、2型免疫に排他的に関連するものではない宿主防御の他の構成要素も誘導する。特に、マクロファージは、ファゴサイトーシス、サイトカイン及び成長因子の分泌、ならびに創傷回復を含む、抗微生物応答及び組織恒常性の複数の態様に寄与する。それらの機能の中心は、IL−33などのサイトカインによって部分的に媒介される、感染部位への動員である。
IL−33に誘導される、肺へのマクロファージの動員が、2型サイトカインに非依存性であるかどうか、及び免疫におけるIL−33機能のより広い態様を示すかどうかを調べるために、マウスに、IL−4、IL−5、及びIL−13に対する中和抗体の存在下または不在下においてIL−33での処置を行った(図18A〜18C)。肺炎症におけるこれらのサイトカインの役割を考慮して、BALF細胞充実度を分析した。好酸球動員におけるこれらのサイトカインの役割と一致して、IL−33に誘導されるBALFへの好酸球浸潤は、IL−4、IL−5、及びIL−13の遮断時には完全に抑止された(図18C)。しかしながら、肺へのマクロファージの浸潤は、この処置により乱れ(図18B)、IL−4、IL−5、及びIL−13の誘導を超えるIL−33の固有な特性が強調された。宿主防御におけるマクロファージの役割を考慮して、これらのデータは、従来的な2型免疫応答を超えるインビボでのIL−33の代替的な機能を示唆している。
材料及び方法
7〜8週齡の雌性C57BL/6マウスをJackson Laboratoryから購入した。1群当たり5匹のマウスを用いた。組み換えマウスIL−33(アミノ酸109〜266)を、R&D Systemsから購入した。対照動物群には、生理食塩水のみの処置を受けさせた。0〜7日目に、マウスに、100μgの対照抗体またはIL−4、IL−5、及びIL−13に対する中和抗体(抗IL−4及び抗IL−5はR&D Systemsから入手し、抗IL13は社内で生成した)のいずれかを腹腔内注射した(図18A)。1日目から7日目に、マウスに0.5μgの組み換えマウスIL−33を毎日腹腔内注射した。8日目にマウスを安楽死させ、気管支肺胞洗浄液(BALF)を採取した。細胞計数をフローサイトメトリー分析によって評価した。BALF細胞をFc Receptor Block(2.4G2、BD Pharmingen)と共に15分間インキュベートした後、氷上において30分間抗体で染色した。好酸球、好中球、及びマクロファージを以下の抗体:ビオチニル化抗CD45(30−F11、eBioscience)、アロフィコシアニン/Cy7−抗CD11b(M1/70、BD Pharmingen)、フィコエリトリン/Cy7−抗CD11c(HL3、BD Pharmingen)、フィコエリトリン−抗Siglec−F(E50−2440、BD Pharmingen)、アロフィコシアニン−抗F4/80(BM8、eBioscience)、フルオレセインイソチオシアネート−抗Gr−1(RB6−8C5、BD Pharmingen)を用いて分析した後、ストレプトアビジンPACIFIC ORANGE(商標)(S32365、Molecular Probes)で分析した。
実施例8.抗IL−33単一特異性抗体及び抗IL−33/抗IL−13二重特異性抗体の特徴付け
以前に、E.coilにおいて2つの異なる軽鎖を有するヒトIgG1二重特異性抗体を生成する技術を確立した(Yu et al.,2011,Sci Transl Med 3,84ra44)。この方法は、ノブ・イン・ホール技術(例えば、米国特許第5,731,168号、Ridgway et al.,1996,Protein Eng.9,617−621、Atwell et al.,1997,J Mol Biol 270,26−35(これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))を利用して、免疫グロブリン重鎖のヘテロ二量体化を促進する。軽鎖が誤って対合することなく、2つの異なる軽鎖の使用を確実にするために、各アームを、別個のE.coil細胞において半抗体として培養した。このアプローチを適用して、抗IL−33及び抗IL−13の親抗体をベクターにサブクローニングして抗IL−33アームをヒトIgG4ホール、抗IL−13アームをヒトIgG4ノブとして発現させることを可能にして、抗IL−13/IL−33二重特異性抗体を生成した。
10C12.38.H6.87Y.58I/IL−13 IgG4と称される二重特異性抗IL−33/抗IL−13抗体を、ノブ・イン・ホール(KIH)技術を用いて生成した。10C12.38.H6.87Y.58I/IL−13 IgG4の抗IL−33アームは、配列番号36のVHアミノ酸配列及び配列番号37のVLアミノ酸配列を有し、10C12.38.H6.87Y.58Iに対応している。10C12.38.H6.87Y.58I/IL−13 IgG4の抗IL−33アームは、配列番号302のVHアミノ酸配列及び配列番号303のVLアミノ酸配列を有する。10C12.38.H6.87Y.58I/IL−13 IgG4の抗IL−33アームは、配列番号306の重鎖アミノ酸配列及び配列番号307の軽鎖アミノ酸配列を有し、10C12.38.H6.87Y.58I/IL−13 IgG4の抗IL−13アームは、配列番号304の重鎖アミノ酸配列及び配列番号305の軽鎖アミノ酸配列を有する。
二重特異性抗体の抗IL−13 CDRは、以前に生成され、特徴付けられているレブリキズマブを基準とした。例えば、PCT公開第WO2005/062967号を参照されたい。二重特異性抗体に関して、抗IL−13抗体は、レブリキズマブと比較してFR領域に次の2つの偏差を有していた:重鎖のQ1E及び軽鎖のM4L。
抗体発現については、E.coil株64B4を用いた。一晩培養物を30℃でLB(100μg/mlカルベニシリン)において成長させ、1:100で5ml CRAP培地(100μg/mlカルベニシリン)中に希釈し(Simmons et al.,2002,J.Immunol.Methods,263:133−147)、30℃で24時間成長させた。
10Lの発酵槽まで規模を拡大するため、初期開始培養物(500ml)を成長させて静止期にして、それを用いて10L発酵物に植菌した(Simmons et al.,2002,J.Immunol.Methods,263:133−147)。10Lの流加培養物を成長させ、全培養液を微小流体法により収集した。次いで、溶解した細胞を、4℃で一晩、最終濃度0.4%のPEI(体積/体積)で処理した。続いて、各混合物を15,000×gで20分間遠心分離にかけた後、0.22μmのフィルタを通して濾過した。次いで、IL−33抗体を、4℃で400mLのMabSURE SELECTカラム(GE Healthcare Life Sciences)に捕捉した。カラムを、25mM TRIS(pH7.5)、150mM NaCl、2mM NaN3(TBS)でベースラインまで洗浄した後、0.1%Triton X−114を含有するTBS で一晩、0.4M KPO4、5mM EDTA、0.2%ポリソルベート20、1mMアジ化ナトリウム(pH7.0)で洗浄し、最終的にTBSでベースラインまで洗浄した。次いで、IL−33アームを0.1M酢酸(pH2.7)で溶出させ、溶出液プールを1Mアルギニン/スクシネート(pH9.0)でpH5.0まで滴定した。
IL−33及びIL−13半抗体の同一性を、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化の飛行時間型(LC−ESI/TOF)分析によって確認した。4〜20%の勾配のトリス−グリシンSDS PAGEゲルによって純度を分析し、凝集レベルをSECによって判定した。
2つの半抗体とのアセンブリ反応後に、疎水性相互作用、カチオン交換、及びゲル濾過クロマトグラフィーによって二重特異性抗体を精製した。具体的には、アセンブリのために、半抗体を、室温で4日間、200モル過剰のGSHを有するアルギニンスクシネート中、pH8.5において1:1のモル比で合わせた後、5mM DHAAを4℃で16時間添加した。この材料を、pH6.5において25%のイソプロパノールを含有する、硫酸アンモニウム勾配を用いて、疎水性クロマトグラフィーカラム(Thermo ProPac HIC−10)で分取した。IL−13/IL−33二重特異性抗体を含有するプールを、次いで、20mMヒスチジンpH5.5(H緩衝液)に透析し、カチオン交換カラム(SPFF、GE Healthcare Life Sciences)に充填し、0.1%Triton X114を含有するH緩衝液、0.1%Triton X100(一晩)で洗浄し、H緩衝液でベースラインまで洗浄した後、300mMアルギニンスクシネートpH5.5で溶出させた。二重特異性抗体画分をプールし、サイズ排除クロマトグラフィーカラム(S200、GE Healthcare Life Sciences)に充填した。精製された抗IL−13/IL−33二重特異性抗体を含有する画分をプールし、透析し、バイアルに入れた。
単一特異性単一特異性抗IL−33抗体(10C12.38.H6.87Y.58I IgG4)及び二重特異性抗IL−33/抗IL−13二重特異性抗体10C12.38.H6.87Y.58I/IL−13 IgG4(本明細書において「10C12−IL−13 KIH IgG4」とも称される)のヒトIL−33細胞活性の阻害剤としての効力を、レポーター細胞株を使用し、初代ヒト細胞において、細胞に基づく遮断アッセイを用いて、試験した。単一特異性抗IL−33 IgG4及び二重特異性抗IL−33/抗IL−13 IgG4形式のものを、デコイレポーターST2−LZの細胞能に対して試験した。
HEK−BLUE(商標)IL−33細胞をIL−33で刺激することにより、強力なNF−kB及びAP−1活性化がもたらされ、これを、NF−κB/AP−1駆動型SEAPレポーター活性によって測定した。活性は、対照IgG4抗体の添加によって乱れることはなかった。単一特異性抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4及び二重特異性抗体10C12−IL−13 KIH IgG4の両方が、それぞれ、102.1及び204.7pMのIC90値で、IL33活性の強力な用量依存性阻害を示した(図19A)。予測した通り、二重特異性抗体の活性のIC90値は、単一特異性の対応物に対して得られた値のおよそ半分であった。両方のクローンが、デコイレポーターST2−LZよりも優れた阻害を示した(実施例2を参照されたい)。
HEK−BLUE(商標)細胞を用いた細胞に基づく遮断アッセイに加えて、単一特異性抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4及び二重特異性抗体10C12−IL−13 KIH IgG4を、初代細胞におけるIL−33活性の阻害に関して試験した。IL−33をヒト好塩基球に添加することにより、シグナル伝達分子p38の急速なリン酸化がもたらし、これを、細胞内染色法を用いてフローサイトメトリーによって測定することができる(図19B)。CD123マーカーを添加することにより、バルク末梢血単球(PBMC)集団内で好塩基球活性を試験することができ、細胞単離の必要性が回避される(図19B)。このフローサイトメトリーに基づく方法を用いて、モノクローナル抗体及び二重特異性抗体のクローンを、好塩基球におけるリン酸化p38(ホスホ−p38)のIL−33誘導の遮断に関して試験した(図19C)。上述のレポーター細胞のデータと一致して、単一特異性抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4または二重特異性抗体10C12−IL−13 KIH IgG4のいずれかの添加により、好塩基球におけるIL−33誘導型ホスホ−p38レベルに用量依存性の阻害がもたらされた(図19D)。対照IgG4抗体は、IL−33シグナルに影響を及ぼさなかった(図19D)。
二重特異性抗体10C12−IL−13 KIH IgG4とヒトIL−33、カニクイザルIL−33、及びヒトIL−13との結合の動態を、BIACORE(登録商標)3000 SPRを用いて評価した(図20)。異なる抗体調製物を用いた3回の実験にわたるこの抗体の平均K
Dを、表4に示す。
材料及び方法
HEK−BLUE(商標)IL−33/ IL−1βレポーター細胞をInvivogenから購入した(カタログ番号hkb−il33)300pg/mlのIL−33リガンド(IL−33 N−His、配列番号314)及び事前希釈した抗IL−33抗体:対照IgG4、抗−IL33 10C12.38.H6.87Y.581 IgG4、10C12−IL13 KIH IgG4、またはST2 LZ(配列番号319)を混合し、室温で1時間インキュベートした。抗体及びリガンド混合物をHEK−BLUE(商標)IL−33/IL−1β細胞に移入させ、1ウェル当たり50,000個の細胞で播種した。37℃で20時間CO2インキュベータにおいてインキュベートした後、細胞培養上清におけるSEAP活性を、アルカリホスファターゼの基質(QUANTI−BLUE(商標)、InvivoGen)と共にインキュベートした後、630nmで光学密度(OD)を記録することによって、測定した。
ヒトPBMCを、10ng/mlの組み換えヒトIL33で30分間刺激した。刺激の前に、細胞を、漸増濃度の対照IgG4、抗IL33 10C12.38.H6.87Y.581 IgG4、または10C12−IL−13 KIH IgG4で1時間処理した。FACS分析のために細胞を固定した。フルオレセインイソチオシアネート抗CD123(11−1239−42、eBioscience)を用いて好塩基球を特定した。製造業者のプロトコルに従ったフィコエリトリン−抗ホスホ−p38 MAPK(Thr180/Tyr182)(6908S、Cell Signaling)での細胞内染色によって、IL−33活性を分析した。データを、ゲートしたCD123+好塩基球集団内のホスホ−p38シグナルの平均蛍光強度(MFI)として示す。
二重特異性抗体10C12−IL13 KIH IgG4とヒトIL−33、カニクイザルIL−33、及びヒトIL−13との結合の動態を、BIACORE(登録商標)3000(GE Healthcare)でSPRを用いて評価した。抗ヒトFab(GE Healthcare)を、製造業者のプロトコルに従って、アミンに基づく結合を介してCM5センサチップに固定した。二重特異性抗体を捕捉し、ヒトIL−33(Genentech)、カニクイザルIL−33(Genentech)、及びヒトIL−13(Peprotech)に対する結合を測定した。1.56〜25nMの範囲で2倍濃度系のサイトカインを実験に使用した。サイトカインの結合のセンサグラムは、注入時間2分、流速30μl/分、25℃の温度で、10mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、及び0.005%TWEEN(登録商標)−20の泳動緩衝液を用いて記録した。注入後、抗体からのリガンドの解離を泳動緩衝液において600秒間監視した。結合サイクル間に、10mMグリシン−HCl pH2.1を40μl注入して表面を再生させた。泳動緩衝液のみを含有していたブランクを差し引いた後、二重特異性抗体へのサイトカインの結合が観察されたセンサグラムを、製造業者によって供給されたソフトウェアで1:1ラングミュア結合モデルを使用して分析して、動態及び結合定数(解離定数(KD)を含む)を計算した。
実施例9.阻害活性及び結合動態に関する抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4と他の抗IL−33抗体との比較
A.導入
抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4の遮断活性及び結合動態を、国際特許出願公開第WO2014/164959号に記載されている20個の抗IL−33抗体(本明細書ではRG1〜RG20と称する)の遮断活性及び結合動態と直接比較した。10C12.38.H6.87Y.58I IgG4と比較した国際公開第WO2014/164959号からの抗IL−33抗体を表5に示すが、これは、国際公開第WO2014/164959号からの抗体名、本明細書で使用される略称、定常領域(IgG1またはIgG4)、ならびに各抗体のVH及びVLのアミノ酸配列及びヌクレオチド配列の配列番号を示す。
B.レポーター細胞株を使用した、細胞に基づくIL−33遮断アッセイ
ヒトIL−33細胞活性の阻害剤としての抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4及び表5に列挙されている各抗IL−33抗体(RG1〜RG20)の効力を、HEK−BLUE(商標)レポーター細胞株を使用した細胞に基づくIL−33遮断アッセイを用いて試験した(図21A)。IL−33活性の天然の阻害物質であるsST2(sST2−LZ)は、陽性対照の機能を果たした。HEK−BLUE(商標)IL−33/IL−1β細胞をヒトIL−33で刺激することにより、強力なNF−κB及びAP−1活性化がもたらされ、これを、NF−κB/AP−1駆動型SEAPレポーター活性によって測定した(図21B)。IL−33活性は、対照IgG4抗体の添加によって乱れることはなかった(図21A)。試験したほとんどのIL−33抗体が、図21Cに列挙されるIC50値で、ヒトIL−33活性の用量依存性阻害を示した(図21A)。デコイ受容体sST2−LZ(IC50=27pM)よりも優れた阻害を示した抗体は2つだけであった。10C12.38.H6.87Y.58I IgG4が、最も高い遮断活性を示し(IC50=2.4pM)、RG18抗体がそれに続いた(IC50=11pM)。最も高い遮断活性を有した5つのRG抗体(RG3、RG4、RG7、RG8、及びRG18)を、sST2−LZ及び10C12.38.H6.87Y.58I IgG4と共に図21Dに示す。
同様に、カニクイザルIL−33細胞活性の阻害剤としての各抗体の効力を、HEK−BLUE(商標)レポーター細胞株を使用した細胞に基づく遮断アッセイを用いて試験した(図22A)。HEK−BLUE(商標)IL−33/IL−1β細胞をカニクイザルIL−33で刺激することにより、強力なNF−κB及びAP−1活性化がもたらされ、これを、NF−κB/AP−1駆動型SEAPレポーター活性によって測定した(図22B)。一般に、試験した抗IL−33抗体は、ヒトIL−33に対する遮断活性と比較すると、カニクイザルIL−33活性にはより弱い用量依存性阻害を示しており、IC50値が図21Cに列挙されている。デコイ受容体であるsST2−LZが最も高い遮断活性を示し(IC50=30pM)、10C12.38.H6.87Y.58I IgG4(IC50=4.2nM)がそれに続き、そしてRG20抗体(IC50=6.1nM)が続いた。最も高い遮断活性を有した5つのRG抗体(RG3、RG9、RG10、RG12、及びRG20)を、sST2−LZ及び10C12.38.H6.87Y.58I IgG4と共に図22Cに示す。注目すべきことに、ヒトIL−33に対して高い遮断活性を示したRG18抗体は、カニクイザルIL−33に対して、10C12.38.H6.87Y.58I IgG4と比べて14倍弱い遮断活性を示した。図22Dは、このアッセイにおいて遮断性のなかったRG抗体の用量依存性応答曲線を示す。
材料及び方法
HEK−BLUE(商標)IL−33/IL−1βレポーター細胞(InvivoGen、hkb−il33)におけるIL−33経路活性を、製造業者の説明書に従って比色分析アッセイを用いて測定した。HEK−BLUE(商標)IL−33/IL−1βレポーター細胞を、1ウェル当たり50,000個の細胞で96ウェルプレートにおいて、4.5g/lグルコース、2mM L−グルタミン、10%FBS、50U/mlペニシリン、50μg/mLストレプトマイシン、100μg/mL NORMOCIN(商標)(InvivoGen、ant−nr−1)を補充したDMEMに播種した。139nM〜0.003pMのヒトIL−33(hIL−33、R&D Systems、番号3625−IL−010/CF)または社内で生成したカニクイザルN末端6−Hisタグ及びC末端AviタグIL−33(S112−T270)の5倍連続希釈物と共に、細胞をインキュベートした(実施例2を参照されたい)。遮断実験のために、細胞を、90nM〜0.51pMの範囲の抗体またはsST2−LZ(sST2(M1−F328)C末端ロイシンジッパー(LZ)−Flag−His)の3倍連続希釈物と組み合わせて、10pMヒトIL−33または5pMカニクイザルIL−33と共にインキュベートした。抗体またはsST2−LZをIL−33と共に37℃で30分間事前インキュベートした後に細胞を添加した。各反応は、1ウェル当たり最終体積200μLであり、各条件を三連に試験した。細胞を5%CO2で加湿インキュベータにおいて37℃でインキュベートし、上清を20時間後に採取した。SEAPレポーター活性を、QUANTI−BLUE(商標)アッセイ(InvivoGen、rep−qb1)を用いて検出した。平底96ウェルプレートにおいて、溶解し濾過したQUANTI−BLUE(商標)試薬80μlに、20μlの上清を添加し、37℃で1時間インキュベートした。SEAPレベルを、分光光度計を用いて620nmで判定した。
C.IL−33活性に関する初代ナチュラルキラー(NK)細胞アッセイ
上述のレポーターアッセイに加えて、抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4及び表5に列挙される各抗IL−33抗体(RG1〜RG20)を、初代ヒトナチュラルキラー(NK)細胞におけるIL−33活性の阻害に関しても試験した(図23A〜23D)。IL−33及びIL−12は、それら自体がNK細胞を活性化することはできないが、一緒になると、相乗作用により、NK細胞からIFN−γを誘導することができる(例えば、Smithgall et al.Int.Immunol.20(8):1019−1030,2008を参照されたい)。抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4及び抗IL−33抗体RG1〜RG20の阻害活性を、天然の阻害物質であるsST2(sST2−LZ)と比較した。新たに精製したNK細胞(図23A)を、IL−12の存在下において漸増濃度のヒトIL−33で刺激することにより、ELISAによって測定したときに、24時間後に強力なIFN−γ分泌がもたらされた(図23B)。試験したほとんどのIL−33抗体が、図23Dに列挙されるIC50値で、ヒトIL−33活性の用量依存性阻害を示した(図23C)。節Bで上述のレポーター細胞株の結果と類似して、デコイレポーターsST2−LZ(IC50=150pM)よりも優れた阻害を示した抗体は2つだけであった。10C12.38.H6.87Y.58I IgG4が、最も高い遮断活性を示し(IC50=30pM)、RG18抗体がそれに続いた(IC50=97pM)。最も高い遮断活性を有した5つのRG抗体(RG7、RG8、RG9、RG18、及びRG19)を、sST2−LZ及び10C12.38.H6.87Y.58I IgG4と共に図23Eに示す。図23F〜23Iは、5つのRG抗体、10C12.38.H6.87Y.58I IgG4、及びsSt2−LZの群間のIC50曲線を比較する。
材料及び方法
PBMCを、密度勾配遠心法によって新しい全血から単離した。全血をPBS中に2倍に希釈し、LEUCOSEP(商標)チューブ(Greiner Bio One,番号227290)においてFICOLL(登録商標)−Paque(GE Healthcare、番号17−1440−03)上に層を作り、室温で20分間2,000RPMで遠心分離にかけた。PBMCを含有する中間層を吸引し、新しいチューブに移し、PBSで洗浄した。製造業者の説明書に従ってNK Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec,130−092−657)を用いて、NK細胞を単離した。細胞の純度を、CD56−APC(BD Pharmingen,555518)及びCD3−FITC(BD Pharmingen,561807)染色でのフローサイトメトリーによって分析した。単離したNK細胞(純度90%超)を、5×105個の細胞/mlで平底96ウェルプレートにおいて、10%FBS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを補充したRPMI 1640に播種した。細胞を、1ng/mlのヒトIL−12(hIL−12、R&D Systems、番号219−IL−025/CF)、及び139nM〜0.003pMの範囲のヒトIL−33(huIL−33、R&D Systems、番号3625−IL−010/CF)単独の5倍連続希釈物、または260pMのhuIL−33と100nM〜0.56pMの抗体またはsST2−LZの3倍連続希釈物との組み合わせと共にインキュベートした。抗体またはsST2−LZは、37℃で30分間IL−33と共に事前インキュベートした後に細胞に添加した。各反応は、1ウェル当たり最終体積200μlであり、各条件を三連に試験した。細胞を5%CO2で加湿インキュベータにおいて37℃で一晩インキュベートした。24時間後に上清を採取した。培養上清中のヒトIFN−γのレベルを、製造業者の説明書に従ってELISAによって測定した(R&D Systems、番号DY285)。各プレートについて、IL−33活性%を次のように計算した:
IL−33活性%=100×(OD450試料−OD450IL−33なし)/(OD450抗体なし−OD450IL−33なし)。
D.ヒト好塩基球におけるIL−33に誘導されるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化
抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4及び表5に列挙される各抗IL−33抗体(RG1〜RG20)を、初代ヒト好塩基球におけるIL−33活性の阻害に関しても試験した。IL−33をヒト好塩基球に添加することにより、シグナル伝達分子p38 MAAPK(Thr180/Tyr182)の急速なリン酸化がもたらされたが、これを、細胞内染色法を用いてフローサイトメトリーによって測定することができる。CD123マーカーを添加することにより、バルクPBMC集団内で好塩基球活性を試験することができ、細胞単離の必要性が回避される。
このフローサイトメトリーに基づく方法を用いて、抗IL−33抗体を、好塩基球におけホスホ−p38のIL−33媒介性誘導の遮断に関して試験した(図24A)。IL−33をPBMCに添加することにより、好塩基球集団におけるp38 MAPK(Thr180/Tyr182)リン酸化(ホスホ−p38)に用量依存性の増加がもたらされた(図24B)。上述のレポーター細胞株及びNK細胞のデータと一致して、抗IL−33抗体の添加により、図24Dに列挙されるIC50で、好塩基球におけるIL−33に誘導されるホスホ−p38の用量依存性の阻害が引き起こされた(図24C)。IC50曲線を用いて判定した最も高い遮断活性を有する抗体は、RG11(IC50=0.14pM)、10C12.38.H6.87Y.58I IgG4(IC50=0.15pM)であり、RG18抗体(IC50=0.38pM)が続いた。最も高い遮断活性を有した5つのRG抗体(RG3、RG4、RG8、RG11、及びRG18)を、sST2−LZ及び10C12.38.H6.87Y.58I IgG4と共に図24Eに示す。図24F〜24Iは、5つのRG抗体、10C12.38.H6.87Y.58I IgG4、及びsSt2−LZの群間のIC50曲線を比較する。
IC50曲線は、6つの点のみから作製されているため、上述の結果を、特定の抗体濃度で分析した(図24J〜24K)。0.4nM(図24J)または2nM(図24K)のいずれかの抗IL−33抗体またはsST2−LZ濃度で得られた平均蛍光強度(MFI)をプロットした。図24J及び24Kのプロットは、抗体を高い遮断活性から低い遮断活性に並び替えたものを示す。両方の濃度において、10C12.38.H6.87Y.58I IgG4が、最も高い遮断活性を示しており、そのため、最も低いMFI値を示した。レポーター細胞株及び初代NK細胞のデータと一致して、RG18抗体は、ヒトIL−33に対する遮断活性という観点では、上位3つの抗体に含まれていた。
材料及び方法
PBMCを、密度勾配遠心法によって新しい全血から単離した。全血をPBS中に2倍に希釈し、LEUCOSEP(商標)チューブ(Greiner Bio One,番号227290)においてFICOLL(登録商標)−Paque(GE Healthcare、番号17−1440−03)上に層を作り、室温で20分間2000RPMで遠心分離にかけた。PBMCを含有する中間層を吸引し、新しいチューブに移し、PBSで洗浄した。単離したPBMCを、100万個の細胞/ウェルでv底96ウェルプレートにおいて50μlのPBSに播種した。5倍連続希釈物(10nM〜3.2Mの範囲)の抗IL−33抗体、sST2−LZ、またはアイソタイプ対照抗体を、500pM(最終濃度)のヒトIL−33(R&D Systems、番号6325−IL/CF)と共に37℃で30分間インキュベートした。50μlの混合物を、1ウェル当たり最終濃度100μlでPBMCに添加した。細胞を5% CO2で加湿インキュベータにおいて37℃で20分間インキュベートした。100μlの事前に温めたBD PHOSFLOW(商標)固定緩衝液(BD Biosciences,557870)を添加することによって反応を停止させ、37℃で10分間インキュベートした。細胞を、1500RPMで5分間の遠心分離によってペレット化し、上清をデカンテーションした。細胞ペレットを200μlのフローサイトメトリー緩衝液(1×PBS、0.5%BSA、0.05%アジ化ナトリウム)で洗浄した。細胞に、100μlの低温BD PHOSFLOW(商標)Perm Buffer II(BD Biosciences,558052)をゆっくりと添加することによって透過処理を行い、氷上で30分間インキュベートした。細胞ペレットをフローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄した。抗ホスホ−p38 MAPK(Thr180/Tyr182)−PE(1:50で使用、Cell Signaling Technology,6908S)及び抗CD123−FITC(1:10で使用、eBiosciences、11−1239−42)で各試料を染色することによって、好塩基球におけるp38のIL−33依存性リン酸化を分析した。試料を、暗所において室温で1時間インキュベートした。細胞をペレット化し、フローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄した。細胞を、BD FACSCALIBUR(商標)で分析して、CD123+好塩基球におけるホスト−p38 MAPK(Thr180/Tyr182)の平均蛍光強度(MFI)を判定した。
E.表面プラズモンによって判定される、IL−33への抗IL−33抗体の結合
抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4及び表5に列挙される各抗IL−33抗体(RG1〜RG20)の、IL−33に対する結合動態を、BIACORE(登録商標)T200機器(GE Healthcare)で表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて測定した。抗ヒトFcまたは抗マウスFc(GE Healthcare、それぞれ、番号BR−1008−39またはBR−1008−38)を、製造業者のプロトコルに従って、アミンに基づく結合を介してCM5センサチップに固定した。動態研究のために、モノクローナルヒトIgG4及びモノクローナルマウスIgGsを捕捉するのに表面を用いた。ヒトIL−33(R&D systems、番号3625−IL−010/CF)及びカニクイザルIL−33 N−His(配列番号317)(Genentech,Inc.)への抗体結合を測定した。3.7〜100nMの範囲で3倍濃度系のサイトカインを実験に使用した。IL−33の結合のセンサグラムは、注入時間4分、流速30μl/分、0.01M N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、及び0.05%TWEEN(登録商標)−20の泳動緩衝液を用いて記録した。注入後、抗体からのリガンドの解離を泳動緩衝液において10分間監視した。サイクル間に、3M塩化マグネシウムまたはグリシン−HCl(pH1.7)を注入して表面を再生させた。全ての結合実験は、25℃及び37℃で行った。泳動緩衝液のみを含有していたブランクを差し引いた後、抗IL−33抗体へのIL−33の結合が観察されたセンサグラムを、製造業者によって供給されたソフトウェアで1:1ラングミュア結合モデルを使用して分析して、動態及び結合定数(解離定数(KD)を含む)を計算した。解離半減期(t1/2)を動態速度定数から計算した。KD(M)=koff/kon及びt1/2(分)=ln(2)/(60*koff)。表6は、25℃でヒトIL−33への結合の結合動態の結果を示す。表7は、37℃でヒトIL−33への結合の結合動態の結果を示す。表8は、25℃でカニクイザルIL−33への結合の結合動態の結果を示す。表9は、37℃でカニクイザルIL−33への結合の結合動態の結果を示す。表6〜9において、*ICは、抗体の捕捉が弱く、結合データが不十分となったために結果が不確定であることを示す。
各条件において、抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4は、K
Dによって測定した場合、抗IL−33抗体RG1〜RG20と比較して、ヒトまたはカニクイザルIL−33に対して最も高い親和性を有していた(表6〜9)。10C12.38.H6.87Y.58I IgG4は、ヒトIL−33に対して最も高い親和性を有するRG抗体(RG18であった)と比較して、およそ2〜4倍高い親和性を有していた(表6及び7)。10C12.38.H6.87Y.58I IgG4は、カニクイザルIL−33に対して最も高い親和性を有するRG抗体(25℃ではRG2であり、37℃ではRG10であった)と比較して、およそ2〜4倍高い親和性を有していた。
F.抗IL−33抗体の遮断活性を測定するための競合的結合ELISA
材料
組み換えヒトST2−Fcキメラタンパク質及びヒトIL−33タンパク質を、R&D Systems(Minneapolis,MN)から入手した。組み換えカニクイザルIL−33タンパク質は、Genentechで作製した。ヒト及びカニクイザルの両方のIL−33タンパク質を、製造業者のプロトコルに従ってEZ−LINK(登録商標)NHS−PEG4−Biotin(Thermo Scientific、Rockford,IL)を用いてビオチンで標識した。
実験方法
抗IL−33抗体10C12.38.H6.87Y.58I IgG4及び表5に列挙される各抗IL−33抗体(RG1〜RG20)が、ヒトST2受容体へのヒトIL−33またはカニクイザルIL−33のいずれかの結合を遮断する能力を、競合的結合ELISAで試験した。簡単に言うと、コーティング緩衝液(50mM炭酸ナトリウム、pH9.6)中に調製した1μg/mlの組み換えヒトST2−Fcキメラタンパク質を、384ウェルのMAXISORP(登録商標)プレート(Nalgene Nunc International、Rochester,NY)にコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。翌日に、0.5%(重量/体積)のウシ血清アルブミン(BSA)溶液を含有するPBSで非特異的な結合を遮断した。アッセイ緩衝液(25mM PBS、pH7.2、0.1%BSA、0.05%TWEEN(登録商標)−20)中に調製した固定濃度のビオチニル化ヒトまたはカニクイザルIL−33を、等体積の連続希釈した抗IL−33抗体またはアッセイ緩衝液単独と混合し、室温で1時間インキュベートした。ビオチニル化ヒトIL−33またはカニクイザルIL−33の最終的なアッセイ濃度は、それぞれ、20pM及び45pMであり、各抗体の最終的なアッセイ濃度は、0〜300nMの範囲に及んだ。事前混合した溶液を、ST2−Fcをコーティングしたプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。コーティングしたST2−Fcへのビオチニル化IL−33の結合を、Streptavidin Poly−HRP80(Fitzgerald、Buckinghamshire,UK)及び3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)Microwell Peroxidase Substrate System(KPL、Gaithersburg,MD)の連続添加によって検出した。MULTISKAN ASCENT(登録商標)プレートリーダー(Thermo Scientific、Rockford,IL)を用いて吸収(450nm)を記録した。抗IL−33の存在下におけるST2へのビオチン−IL−33の結合活性(%)を、抗体濃度の関数としてプロットした。生成されたデータを4パラメーターの等式に当てはめて、Prismソフトウェア(Graphpad Software、La Jolla,CA)を用いて各抗体のIC50値を判定した(図25A及び25B)。各抗体の最大遮断(%)を、抗体の存在下において測定されたシグナルの、IL−33単独との差及びバックグラウンド測定との間の差に対するシグナルの減少の比として計算した。各抗体のIC50及び最大遮断活性を、表10に要約する。結果は、3回の独立した実験の平均データを示す。
表10に示されるように、10C12.38.H6.87Y.58I IgG4が、試験した抗体の全てのうちで最も効率的な遮断物質であり、国際公開第WO2014/164959号からの抗体の全てと比較して、より低いIC
50値及び高い最大遮断を有していた。
他の実施形態
上述の発明は、明確な理解のための例示説明及び例としてある程度詳細に記載されているが、これらの説明及び例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書で引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。