JP2014519813A - 癌薬剤発見、診断、および治療におけるemt遺伝子シグネチャーの使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腫瘍細胞のEMT状態を評価するための診断法、およびEMT遺伝子シグネチャーインデックススコアを利用して、EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤で癌患者を治療する有効性を予測するための診断法を提供する。本発明は、これらの方法を取り込む、癌患者を治療するための方法をさらに提供する。
【選択図】図45

Description

発明の背景
[1]癌は、制御されない増殖、分化の欠如、および局所組織に浸潤し、そして遠隔部位に転移する潜在能力によって特徴付けられる、広範囲の細胞性機能不全および制御不全の総称である。これらの新生物悪性疾患は、多様な度合いの出現率(prevalence)で、体のすべての組織および臓器に影響を及ぼしうる。本発明は、癌患者を診断し、そして治療するための方法に関する。特に、本発明は、プロテインキナーゼの阻害剤、例えば上皮増殖因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤(例えばエルロチニブ)、またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤(例えばOSI−906)である抗癌剤での治療からどの患者が最も利益を受けるかを決定するための方法、および新規抗癌剤を同定し、そして特徴付けるための方法に関する。
[2]プロテインキナーゼの阻害剤は、哺乳動物癌細胞増殖の選択的阻害剤として有用であると認識されてきている。例えば、BCR−ABL融合遺伝子産物のキナーゼ活性を阻害する2−フェニルピリミジンチロシンキナーゼ阻害剤であるグリーベックTM(メシル酸イマチニブとしても知られる)は、CMLの治療に関して、米国食品医薬品局によって認可されてきている。4−アニリノキナゾリン化合物タルセバTM(エルロチニブHCl)もまた、FDAによって認可されてきており、そして高い有効性でEGF受容体キナーゼを選択的に阻害する。IGF−1Rのキナーゼ活性を直接阻害する化合物、ならびにIGF−1R活性化を遮断することによってIGF−1Rキナーゼ活性を減少させる抗体、またはIGF−1R発現を遮断するアンチセンスオリゴヌクレオチドを抗腫瘍剤として使用するための開発は、集中的に研究努力がなされてきた分野である(例えば、Larsson, O.ら(2005) Brit. J. Cancer 92:2097−2101; Ibrahim, Y.H.およびYee, D.(2005) Clin. Cancer Res. 11:944s−950s; Mitsiades, C.S.ら(2004) Cancer Cell 5:221−230; Camirand, A.ら(2005) Breast Cancer Research 7:R570−R579 (DOI 10.1186/bcr1028); Camirand, A.およびPollak, M.(2004) Brit. J. Cancer 90:1825−1829; Garcia−Echeverria, C.ら(2004) Cancer Cell 5:231−239; Sachdev DおよびYee D., Mol Cancer Ther. 2007 Jan;6(1):1−12; Hofmann F.およびGarcia−Echeverria C., Drug Discov Today 2005 10:1041−7を参照されたい)。IGF−1R経路を阻害する剤は、in vitroおよびin vivo両方の多数のヒト癌モデルにおいて、特に、ユーイング肉腫および横紋筋肉腫の小児モデルにおいて、抗腫瘍有効性を示してきている(Manara MCら Int J Oncol 2005 27:1605−16)。肉腫患者において、初期に有効性の兆しがあったにもかかわらず、初期の臨床試験における今日までのIGF−1R阻害剤の結果は印象的ではなく、このアプローチを前進させるには、患者選択戦略および合理的な組み合わせが必要でありうることが示されている(Tolcher A.W.ら Journal of Clinical Oncology, 2007 ASCO Annual Meeting Proceedings Part I. Vol 25, No. 18S(6月20日補遺), 2007: 3002)。これまでに得られたデータは、IGF−1R経路のメンバーの活性化、過剰発現、または増幅が、反応性を予測するとは示していない。
[3]上皮増殖因子受容体(EGFR)ファミリーは、分化および増殖などの細胞性反応に関与する、4つの緊密に関連する受容体(HER1/EGFR、HER2、HER3およびHER4)を含む。EGFRキナーゼ、またはそのリガンド、トランスフォーミング増殖因子−アルファ(TGF−アルファ)の過剰発現は、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、腎細胞癌、膀胱癌、頭頸部癌、神経膠芽腫、および星状細胞腫を含む、多くの癌に頻繁に関連づけられ、そしてこれらの腫瘍の悪性増殖に寄与すると考えられる。EGFR遺伝子(EGFR vIII)における特異的欠失突然変異は、細胞腫瘍原性を増加させることもまた見出されてきている。EGFRが刺激するシグナル伝達経路の活性化は、潜在的に癌促進性である多くのプロセス、例えば増殖、血管新生、細胞運動性および浸潤、アポトーシス(プログラム細胞死)減少、ならびに薬剤耐性誘導を促進する。HER1/EGFR発現増加は、疾患進行、転移および劣った予後と頻繁に関連づけられる。例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)および胃癌において、HER1/EGFR発現増加は、高い転移率、劣った腫瘍分化および腫瘍増殖増加と相関することが示されてきている。
[4]EGF受容体の生得的なプロテインチロシンキナーゼ活性を活性化し、そして/または下流シグナル伝達を増加させる突然変異が、NSCLCおよび神経膠芽腫において観察されてきている。しかし、EGFRキナーゼ阻害剤、例えばエルロチニブ(タルセバ(登録商標))またはゲフィチニブ(イレッサTM)に対する感受性を与える原理機構としての突然変異の役割には、議論の余地があり続けている。近年、全長EGFRの突然変異型が、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブに対する反応性を予測することが報告されてきている(Paez, J. G.ら(2004) Science 304:1497−1500; Lynch, T. J.ら(2004) N. Engl. J. Med. 350:2129−2139)。細胞培養研究によって、EGFRの突然変異型を発現する細胞株(すなわちH3255)は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブによる増殖阻害により感受性であり、そして野生型EGFRを発現している腫瘍細胞株を阻害するにははるかにより高濃度のゲフィチニブが必要であることが示されてきている。これらの観察によって、EGFRの特定の突然変異型は、EGFRキナーゼ阻害剤に対するより高い感受性を反映する可能性もあるが、完全に非反応性の表現型を同定しないことが示唆される。
[5]EGFRのキナーゼ活性を直接阻害する化合物、ならびにEGFR活性化を遮断することによってEGFRキナーゼ活性を減少させる抗体を抗腫瘍剤として使用するための開発は、集中的に研究努力がなされてきた分野である(de Bono J.S.およびRowinsky, E.K.(2002) Trends in Mol. Medicine 8:S19−S26; Dancey, J.およびSausville, E.A.(2003) Nature Rev. Drug Discovery 2:92−313)。エルロチニブ(例えばエルロチニブHCl、またタルセバ(登録商標)またはOSI−774としても知られる)は、経口的に利用可能なEGFRキナーゼ阻害剤である。in vitroで、エルロチニブは、結腸直腸癌および乳癌を含む、多くのヒト腫瘍細胞株において、EGFRキナーゼに対する実質的な阻害活性を示してきており(Moyer J.D.ら(1997) Cancer Res. 57:4838)、そして前臨床評価によって、多くのEGFR発現ヒト腫瘍異種移植片に対する活性が立証されてきている(Pollack, V.A.ら(1999) J. Pharmacol. Exp. Ther. 291:739)。より最近は、エルロチニブは、頭頸部癌(Soulieres, D.ら(2004) J. Clin. Oncol. 22:77)、NSCLC(Perez−Soler Rら(2001) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 20:310a, abstract 1235)、結腸直腸癌(CRC)(Oza, M.ら(2003) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 22:196a, abstract 785)および転移性乳癌(MBC)(Winer E.ら(2002) Breast Cancer Res. Treat. 76:5115a, abstract 445)を含む多くの適応症において、第I期および第II期臨床試験における有望な活性を示してきている。第III期臨床試験において、エルロチニブ単一療法は、進行した治療不応性NSCLC患者において、有意に生存を延長させ、疾患進行を延長させ、そして肺癌関連症状の悪化を遅延させた(Shepherd, F.ら(2004) J. Clin. Oncology, 22:14S(7月15日補遺), Abstract 7022)。エルロチニブに関する臨床試験データの大部分は、NSCLCにおける使用に関連するが、第I/II期研究からの予備的結果は、CRC(Oza, M.ら(2003) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 22:196a, abstract 785)およびMBC(Jones, R.J.ら(2003) Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 22:45a, abstract 180)を含む、広範囲のヒト固形腫瘍型を患う患者において、エルロチニブおよびカペシタビン/エルロチニブ併用療法に関する有望な活性を立証してきている。2004年11月、米国食品医薬品局(FDA)は、少なくとも1回の先の化学療法措置に失敗した後の局所進行性または転移性NSCLCの患者の治療に関して、タルセバ(登録商標)を認可した。タルセバ(登録商標)は、第III期臨床試験において、進行性NSCLC患者の生存の増加を示した、EGFRクラスの唯一の薬剤である。
[6]IGF−1Rは、インスリン受容体ファミリーに属し、このファミリーには、インスリン受容体(IR)、IGF−1R(ホモ二量体)、IGF−1R/IR(ハイブリッド受容体)、およびIGF−2R(マンノース6リン酸受容体)が含まれる。IGF−1R/IRハイブリッドはホモ二量体として働き、IGFと優先的に結合し、そしてシグナル伝達する。IRは2つのアイソフォームで存在する:IR−B(伝統的なインスリン受容体)およびIR−A(選択された腫瘍中で再発現され、そしてIGF−IIに優先的に結合する致死型)。IGF−2Rは、IGF−IIの「シンク」として作用する非シグナル伝達受容体である(Pollak M.N.ら Nat Rev Cancer 2004 4:505−18)。6つのよく性質決定されたインスリン様増殖因子結合タンパク質(IGFBP−1〜−6)はIGFリガンドと会合してIGFを安定化し、そしてIGFがIGF−IRに結合する能力を調節する。
[7]IGF−1Rは、IGF−1に主に結合するが、より低いアフィニティでIGF−IIおよびインスリンにも結合する、膜貫通RTKである。受容体へのIGF−1の結合は、チロシンキナーゼ活性の活性化、分子間受容体自己リン酸化、ならびにIRS1およびShcを含む細胞基質のリン酸化を生じ、PI3K/Aktおよびマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の活性化を導く(Adams T.E.ら Cell Mol Life Sci 2000 57:1050−93; Pollak M.N.ら Nat Rev Cancer 2004 4:505−18; Baserga R., Exp Cell Res 1999 253:1−6)。リガンド活性化IGF−1Rは、正常細胞において***促進活性を誘導し、そして異常な増殖において重要な役割を果たす。IGF−1系の主な生理学的役割は、正常な増殖および再生の促進である。過剰発現されたIGF−1R(1型インスリン様増殖因子受容体)は、有糸***誘発を開始し、そしてリガンド依存性新生物性形質転換を促進しうる。さらに、IGF−1Rは、悪性表現型の確立および維持において重要な役割を果たす。上皮増殖因子(EGF)受容体とは異なり、IGF−1Rの突然変異発癌型は同定されてきていない。しかし、いくつかの癌遺伝子がIGF−1およびIGF−1R発現に影響を及ぼすことが立証されてきている。IGF−1R発現の減少および形質転換に対する耐性の間の相関が見られてきている。IGF−1R RNAに対してアンチセンスであるmRNAに細胞を曝露すると、いくつかのヒト腫瘍細胞株の軟寒天増殖が防止される。IGF−1Rは、in vivoおよびin vitroの両方で、アポトーシスへの進行を抑止する。野生型レベルより低いIGF−1Rレベルに減少すると、in vivoで腫瘍細胞のアポトーシスが引き起こされることもまた示されてきている。IGF−1R破壊がアポトーシスを引き起こす能力は、正常の非腫瘍原性細胞において低下しているようである。
[8]IGF−1経路は、ヒト腫瘍発展において重要な役割を有する。IGF−1R過剰発現は、多様な腫瘍(***、結腸、肺、肉腫)において頻繁に見出され、そしてしばしば高悪性度の表現型と関連する。高い循環IGF1濃度は、前立腺癌、肺癌および乳癌リスクと強く相関する。さらに、IGF−1Rは、in vitroおよびin vivoの形質転換表現型の確立および維持に必要である(Baserga R. Exp. Cell. Res., 1999, 253, 1−6)。IGF−1Rのキナーゼ活性は、いくつかの癌遺伝子:EGFR、PDGFR、SV40 T抗原、活性化Ras、Raf、およびv−Srcの形質転換活性に必須である。正常線維芽細胞におけるIGF−1Rの発現は、新生物表現型を誘導し、これは次いで、in vivoで腫瘍を形成しうる。IGF−1R発現は、係留非依存性増殖において重要な役割を果たす。IGF−1Rはまた、化学療法、放射線、およびサイトカインが誘導するアポトーシスから細胞を防御することも示されてきている。逆に、三重らせん形成またはアンチセンス発現ベクターであるドミナントネガティブIGF−1Rによる内因性IGF−1Rの阻害は、in vitroで形質転換活性を、そして動物モデルにおいて腫瘍増殖を抑制することが示されてきている。結腸直腸癌(CRC)における受容体およびリガンドの過剰発現、より悪性の表現型との関連、化学療法耐性、ならびに劣った予後との相関を示すデータに基づいて、IGF−1Rシグナル伝達経路はまた、CRCにおいて頑強なターゲットであるようである(Saltz, L.B.ら J Clin Oncol 2007;25(30): 4793−4799; Tripkovic I.ら Med Res. 2007 Jul;38(5):519−25. Epub 2007 Apr 26; Miyamoto S.ら Clin Cancer Res. 2005 May 1;11(9):3494−502; Nakamura M.ら Clin Cancer Res. 2004 Dec 15;10(24):8434−41; Grothey Aら J Cancer Res Clin Oncol. 1999;125(3−4):166−73)。
[9]新生物および他の増殖性障害のためのより効果的な治療に関する必要性、そしてまたどの腫瘍がどの治療に反応するかを決定するためのより有効な手段に関する必要性がある。いくつかのグループが、プロテインチロシンキナーゼ阻害剤に対する患者の反応を予測するための潜在的なバイオマーカーを調べるかまたは開示してきている(例えば、PCT公報:WO 2004/063709、WO 2005/017493、WO 2004/111273、WO 2008/108986、WO 2007/001868、WO 2004/071572、WO 2003/078662、WO 2007/067500、WO 2005/070020、WO 2009/015233、WO 2009/023172、WO 2004/046386、WO 2008/070460、およびWO 2010/022268;米国公開特許出願: US 2005/0019785、US 2007/0065858、US 2005/0164218、US 2009/0092596、US 2009/0093488、US 2009/0093488、US 2006/0140960、US 2009/0118175、US 2004/0132097、US 2003/0165954、US 2007/0218512、US 2007/0265185、US 2007/0270505、US 2007/0128636、US 2009/0092596、US 2007/0212738、US 2007/0237770、US 2009/0029354、US 2009/0092526、US 2006/0263775、US 2004/0018528、US 2006/0121539、US 2008/0131885、US 2005/0019785、US 2006/0263806、US 2007/0172857、US 2004/0048254、US 2009/0061454、US 2009/0123374、US 2007/0196352、US 2006/0078941、US 2008/0234138、US 2005/0170386、US 2002/0169562、US 2003/0053995、US 2007/0077577、US 2008/0187930、US 2006/0003365、US 2005/0260664、US 2008/0112888、US 2008/0019961、US 2008/0167532、US 2006/0234259、US 2004/0063120、US 2007/0092881、US 2008/0026481、US 2009/0092983、US 2004/0214203、US 2009/0136945、US 2007/0154915、US 2009/0155786、US 2008/0015160、US 2008/0312093、US 2008/0176229、US 2004/0157255、US 2007/0031871、US 2009/0061422、US 2008/0113874、US 2006/0019268、US 2007/0065858、US 2007/0231822、およびUS 2009/0023149、ならびに米国特許 US 5,367,064、US 7,368,551、US 6,171,779、US 7,342,108、US 6,413,730、US 7,526,387、US 6,271,363、US 6,251,628、およびUS 7,569,349を参照されたい)。EGFRキナーゼ阻害剤に対する反応を予測するために、いくつかのバイオマーカーが提唱されてきており、これには、結腸直腸癌における非反応性の予測因子としての突然変異体KRASが含まれる(例えば、Brugger, W.ら(2009) J Clin Oncol 27:15s, (補遺; abstr 8020); Siena, Sら(2009) JNCI 101(19):1308−1324; RielyおよびLadanyi(2008) J Mol Diagnostics 10(6):493; Jimeno, A.ら(2009) Cancer J. 15(2):110−13)。さらに、突然変異体KRASを含むいくつかのバイオマーカーは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の反応を予測する際に潜在的能力を有することが開示されてきている(例えば、Rodon, J.ら(2008) Mol Cancer Ther. 7:2575−2588; T. Pittsら(2009) EORTC Conference, Boston, MA, abstract #2141; Huang, F.ら(2009) Cancer Res. 69(1):161−170; Rodon, J.ら(2008) Mol. Cancer Ther. 7:2575−2588を参照されたい)。しかし、大部分の場合、こうした阻害剤での患者の治療において、主治医を有効に導きうる、または標準的化学療法剤とこうした阻害剤の組み合わせに、どの腫瘍が最も好ましく反応するかを医師に示しうる、FDA認可の診断試験はまだ出現してきていない。
[10]大部分の癌転移の間、腫瘍細胞において、上皮間葉転換(EMT)として知られる重要な変化が起こる(Thiery, J.P.(2002) Nat. Rev. Cancer 2:442−454; Savagner, P.(2001) Bioessays 23:912−923; Kang Y.およびMassague, J.(2004) Cell 118:277−279; Julien−Grille, S.ら Cancer Research 63:2172−2178; Bates, R.C.ら(2003) Current Biology 13:1721−1727; Lu Z.ら(2003) Cancer Cell. 4(6):499−515)。EMTは通常、胚形成中を除いて健康な細胞においては起きないが、上皮組織の再構成を補助するため、上皮創傷治癒において、一過性のEMT状態が誘導される。緊密にともに結合し、そして極性を示す上皮細胞は、より間葉細胞表現型に変化し、ここで、これらの間葉細胞はより緩やかにともに保持され、極性喪失を示し、そして組織内で移動する能力を有する。これらの間葉様細胞は元来の腫瘍を取り巻く組織内に拡散し、それと同時に腫瘍から分離され、血管およびリンパ管に浸潤し、そして新たな位置に移動して、ここで***し、そしてさらなる腫瘍を形成しうる。最近の研究は、上皮細胞が、EGFRおよびインスリン様増殖因子1受容体(IGF−1R)キナーゼ阻害剤によく反応するが、EMT後に生じる間葉様腫瘍細胞は、こうした阻害剤に対して、はるかにより感受性でないことが示されてきている(例えば、Thompson, S.ら(2005) Cancer Res. 65(20):9455−9462;米国特許出願60/997,514)。したがって、腫瘍細胞EMT事象を防止するかまたは逆転させる(例えば間葉上皮転換(MET)を刺激する)か、あるいはEMTから生じる間葉様腫瘍細胞の増殖を阻害することが可能な抗癌剤に対する緊急の必要性がある。こうした剤は、他の抗癌薬剤、例えばEGFRおよびIGF−1Rキナーゼ阻害剤と組み合わせて用いた際、特に有用であるはずである。本発明は、EMTを調節する化合物の同定および性質決定のための新規方法を提供する。
[11]ヒトの癌が、より浸潤性の転移状態に進行するにつれて、細胞および組織背景に応じて、細胞生存および遊走を制御する多数のシグナル伝達プログラムが観察される(Gupta, G. P.およびMassague, J.(2006) Cell 127, 679−695)。最近のデータは、上皮癌細胞がより間葉様状態に分化転換することを強調し、これは、上皮間葉転換(EMT; (Oft, M.ら(1996). Genes & development 10, 2462−2477; Perl, A. K.ら(1998). Nature 392, 190−193)と似たプロセスであって、細胞浸潤および転移を促進する(Brabletz, T.ら(2005) Nat Rev Cancer 5, 744−749; Christofori, G.(2006) Nature 441, 444−450)。EMT様転換を通じて、間葉様腫瘍細胞は、増殖潜在能力を代償として、遊走能を得ると考えられる。間葉上皮転換(MET)は、より増殖性の状態を再生し、そして離れた部位で原発性腫瘍が形成されるのに似たマクロ転移を可能にすると仮定されてきている(Thiery, J. P.(2002) Nat Rev Cancer 2, 442−454)。腫瘍細胞におけるEMT様転換は、かなりの期間(数週から数ヶ月)に渡る転写再プログラミングから生じ、ジンクフィンガー、フォークヘッド、bHLHおよびHMGボックスドメインを宿する転写因子を介する(Mani, S. A.ら(2007) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 104, 10069−10074; Peinado, H.ら(2007) Nat Rev Cancer 7, 415−428)。E−カドヘリンの喪失、およびビメンチンまたはフィブロネクチンなどの間葉タンパク質の発現増加を伴う、より間葉様状態への転換は、癌の進行において、大きな役割を果たすようであり(Matsumura, T.ら(2001) Clin Cancer Res 7, 594−599; Yoshiura, K.ら(1995). Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 92, 7416−7419)、そして間葉表現型の獲得は、劣った予後と相関づけられてきている(Baumgart, E.ら(2007) Clin Cancer Res 13, 1685−1694; Kokkinos, M. I.ら(2007) Cells, tissues, organs 185, 191−203; Willipinski−Stapelfeldt, B.ら(2005) Clin Cancer Res 11, 8006−8014.)。腫瘍由来および/または腫瘍関連間質細胞をターゲティングすることは、EMT様転換を遮断し、そして浸潤細胞の生存を阻害するユニークな機構を提供する。
[12]EMT様転換と関連する細胞変化は、生存のためのEGFRシグナル伝達ネットワークに対する癌細胞の依存性を改変する。EMT様転換は、EGFRキナーゼ阻害剤エルロチニブに対する細胞の非感受性と関連することが観察されてきており(Thomson, S.ら(2005) Cancer Research 65, 9455−9462; Witta, S. Eら(2006) Cancer Research 66, 944−950; Yauch, R. L.ら(2005) Clin Cancer Res 11, 8686−8698)、これは部分的に、PI3キナーゼまたはMek−Erk経路のいずれかまたは両方のEGFR非依存性活性化から生じる(Buck, E.ら(2007). Molecular Cancer Therapeutics 6, 532−541)。EMT状態をEGFRキナーゼ阻害剤に対する感受性と相関させる類似のデータは、膵臓、CRC(Buck, E.ら(2007) Molecular Cancer Therapeutics 6, 532−541)、膀胱(Shrader, M.ら(2007) Molecular Cancer Therapeutics 6, 277−285)およびHNSCC(Frederickら(2007) Molecular Cancer Therapeutics 6, 1683−1691)細胞株、異種移植片および患者(Yauch, R. L.ら(2005) Clin Cancer Res 11, 8686−8698)において報告されてきている。EGFRキナーゼ阻害剤に対する細胞感受性をバイパスしうるPI3キナーゼおよびErk経路の活性化の別の経路に対する分子決定因子が活発に調べられてきている(Chakravarti, A.ら(2002) Cancer research 62, 200−207; Engelman, J. A.ら(2007) Science 316:1039−1043)。
WO 2004/063709 WO 2005/017493 WO 2004/111273 WO 2008/108986 WO 2007/001868 WO 2004/071572 WO 2003/078662 WO 2007/067500 WO 2005/070020 WO 2009/015233 WO 2009/023172 WO 2004/046386 WO 2008/070460 WO 2010/022268 US 2005/0019785 US 2007/0065858 US 2005/0164218 US 2009/0092596 US 2009/0093488 US 2009/0093488 US 2006/0140960 US 2009/0118175 US 2004/0132097 US 2003/0165954 US 2007/0218512 US 2007/0265185 US 2007/0270505 US 2007/0128636 US 2009/0092596 US 2007/0212738 US 2007/0237770 US 2009/0029354 US 2009/0092526 US 2006/0263775 US 2004/0018528 US 2006/0121539 US 2008/0131885 US 2005/0019785 US 2006/0263806 US 2007/0172857 US 2004/0048254 US 2009/0061454 US 2009/0123374 US 2007/0196352 US 2006/0078941 US 2008/0234138 US 2005/0170386 US 2002/0169562 US 2003/0053995 US 2007/0077577 US 2008/0187930 US 2006/0003365 US 2005/0260664 US 2008/0112888 US 2008/0019961 US 2008/0167532 US 2006/0234259 US 2004/0063120 US 2007/0092881 US 2008/0026481 US 2009/0092983 US 2004/0214203 US 2009/0136945 US 2007/0154915 US 2009/0155786 US 2008/0015160 US 2008/0312093 US 2008/0176229 US 2004/0157255 US 2007/0031871 US 2009/0061422 US 2008/0113874 US 2006/0019268 US 2007/0065858 US 2007/0231822 US 2009/0023149 US 5,367,064 US 7,368,551 US 6,171,779 US 7,342,108 US 6,413,730 US 7,526,387 US 6,271,363 US 6,251,628 US 7,569,349 国特許出願60/997,514
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[13]EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞感受性に影響を及ぼす因子の解明において、近年、かなりの進歩がなされてきているが、任意の所定の癌患者のための最適な様式の治療を決定するための改善された方法、およびこうした阻害剤が単一剤として、または他の抗癌剤と組み合わせて用いられるかいずれであっても、こうした決定を癌患者のためにより有効な治療措置に取り込むための改善された方法に対する、決定的な必要性が依然としてある。本発明は、どの腫瘍がこうした阻害剤での治療に最も有効に反応するかを決定するための新規方法を提供する。
発明の概要
[14]本発明は、腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し;ここでEMTGSは、EMT中に協調して制御されると決定されている遺伝子群からなる;共相関(co−correlated)遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズム(例えば、本明細書に記載するようなアルゴリズムAまたはアルゴリズムA)を、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を決定する工程を含む、前記方法を提供する。この方法を、EMTを阻害するか、またはEMTの特定の期において最適に機能する、新規抗癌化合物を同定するいくつかの方法の一部として利用してもよい。
[15]本発明はまた、(a)EMTの多数の腫瘍細胞モデルにおいて協調して制御される遺伝子の最初の群の選択;および(b)多数のヒト腫瘍データセットにおいて発現が共相関される遺伝子の数を最大にするような、遺伝子の反復付加または前記群からの遺伝子の反復除去の工程を含むプロセスによって、遺伝子群がEMT中に協調して制御されるかどうかを決定する方法も提供する。
[16]本発明は、腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズム(例えば、アルゴリズムAまたはアルゴリズムA)を、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[17]本発明は、ヒト腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤での治療に反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズム(例えば、アルゴリズムAまたはアルゴリズムA)を、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして該EMTGSインデックススコアが、腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いことを示すと定義された閾値より上であるか、または前記閾値より下であり、そしてしたがって、EGFRキナーゼ阻害剤に対して非反応性である可能性が高いかを決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[18]本発明は、ヒト腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズム(例えば、アルゴリズムAまたはアルゴリズムA)を、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして該EMTGSインデックススコアが、腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いことを示すと定義された閾値より上であるか、または前記閾値より下であり、そしてしたがって、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して非反応性である可能性が高いかを決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[19]本発明は、これらの診断法を取り込む癌患者治療のための方法をさらに提供する。
[20]本発明は、上述の88遺伝子EMTGSを、このシグネチャーの遺伝子のサブセットによって、または別のシグネチャーによって置換する、さらなる関連法をさらに提供する。
[21]H358 EMT細胞モデルの4方向ベン解析。1]二重リガンドHGF+OSM、2]TGFβ、3]snailの発現を誘導するドキシサイクリン、または4]zeb1の発現を誘導するドキシサイクリンで処理したH358腫瘍細胞において上方制御されるかまたは下方制御された、Affymetrixマイクロアレイ分析によって同定された有意な遺伝子を、4方向ベン図ジェネレータ(http://www.panglossom/seidl/Protocols/venn4.cgi)を用いたベン解析によって比較した。上皮間葉転換を経るように誘導されたすべての4細胞モデルに共通である101遺伝子を同定した。 [22]88遺伝子EMT遺伝子シグネチャーの生成のためのプロセス。 [23]***HER2アーカイブサンプルにおける遺伝子相関。H358細胞において上皮間葉転換分析から同定された91遺伝子を、アルゴリズムAを実行する私有カスタムソフトウェアを用いて、共相関に関して解析した。[A]アンカー遺伝子としてErbB3を用いた相関マップ。黄色い線より上の遺伝子は、アンカー遺伝子に対する相関に関して、P値カットオフに合格したものである。[B]91遺伝子の相関に関する遺伝子インデックス値のウォーターフォールプロット。 [24]***HER2アーカイブデータセットとの88EMT遺伝子シグネチャー遺伝子の相関。EMT遺伝子シグネチャー(表1)をアルゴリズムAを実行する私有カスタムソフトウェアを用いた共相関解析に用いた。[A]アンカー遺伝子としてERBB3を用いた***HER2アーカイブマイクロアレイデータセット共相関マップ。[B]***HER2アーカイブデータセットにおける遺伝子インデックス値のウォーターフォールプロット。 [25]ヒト腫瘍データセット(Genelogic)との88EMT遺伝子シグネチャー遺伝子の相関は、88遺伝子EMTGSの広い適用可能性を立証する。88遺伝子EMT遺伝子シグネチャー(表1)を、AVEOソフトウェアとともにアルゴリズムAを用いる共相関解析に用いた。A.アンカー遺伝子としてビメンチンを用いたGeneLogicデータセット(***、結腸、腎臓、肝臓、肺、膵臓、前立腺および胃/食道腫瘍;U133 Plus2.0プラットフォーム)と組み合わせた、ヒト固形腫瘍における88遺伝子EMTGSの共相関マップ。B.Genelogic固形腫瘍データベースにおけるEMTインデックススコアのウォーターフォールプロット(腫瘍は左から右に、***、結腸、腎臓、肝臓、肺、膵臓、前立腺および胃である)。C.インデックススコアによって配置した、腫瘍各々における88遺伝子の発現値のヒートマップ。 図5続き。D.独立に実行した6つのGeneLogic腫瘍データベース(***、結腸、腎臓、肺、膵臓、および胃/食道)各々における、88遺伝子EMTGSの共相関プロット。 [26]88遺伝子EMT遺伝子シグネチャーを用いたEMTモデルおよび復帰の分子性質決定。A)in vitroで、H358、CFPAC1、H1650、およびH292腫瘍細胞における、示すリガンドでのEMTの誘導。B)H358腫瘍細胞モデルにおけるZeb1、Snailまたは活性化TGF−ベータ(aTGFβ)タンパク質のドキシサイクリン誘導によるEMTの誘導。N.B.緑=下方制御遺伝子;赤=上方制御遺伝子。 [27]OSI EMT遺伝子シグネチャーおよびSABiosciences EMTアレイの比較。3つの駆動因子、aTGFβ、Snail、およびZeb1の異所性発現で、EMTを経るようにH358細胞を刺激した。7日後、RNAのために細胞を採取し、このRNAをcDNAにプロセシングして、そして2つの個々のqPCRプレート上で実行した。未処理細胞に比較して、各遺伝子に関する倍変化を計算した。 [28]EMT形態変化、マーカー変化および表現型変化の要約、ならびにエルロチニブ感受性およびEMTインデックススコアに対する対応する変化。(A)H358リガンド駆動モデルにおいて、in vitroで誘導された変化。細胞を、示すリガンドとともに7日間インキュベーションした。免疫蛍光のため、細胞を固定し、そしてE−カドヘリン(緑)、ビメンチン(赤)に関する免疫反応性に関して染色し、そしてTOPRO−3で対比染色して、核を視覚化した。また、別個の実験において、よく性質決定されたEMTマーカーに関するウェスタンブロットによって、タンパク質存在量に関しても、そして88遺伝子EMTGSに対する変化のqPCR定量化に関しても細胞を評価した。最後に、表現型変化の指標として、in vitroでの増殖能および浸潤能に関しても細胞を調べた。すべての実験の定性的結果を以下のように示す:穏やかな変化(+)、中程度の変化(++)および頑強な変化(+++)。(B)ドキシサイクリン(Dox)によって駆動されるSnailおよびZeb1のH358操作モデルにおいて誘導された変化。 [29]GeneLogic肺U133 Plus 2.0データセットにおける88遺伝子EMTGS(表5)の進行するバージョンの共相関マップ。 [30]GeneLogic膵臓U133 Plus 2.0データセットにおける88遺伝子EMTGS(表5)の進行するバージョンの共相関マップ。 [31]EMTインデックススコアに対する個々の遺伝子および遺伝子セットの影響。GeneLogic肺ABデータセットにおけるインデックススコアのウォーターフォールプロット。プロットは、全88遺伝子シグネチャー、ITGA5またはCDH1を除く88遺伝子シグネチャー、Choi EMTシグネチャーおよびBunnゲフィチニブ耐性シグネチャーと共通に見られる8遺伝子を除く88遺伝子シグネチャー(80遺伝子インデックス)、ならびに最後に88遺伝子EMTGSの44上皮遺伝子のみ(Eのみのインデックス)に関する同じ腫瘍のインデックススコアのものである。 [32]EMTインデックススコアに対する個々の遺伝子および遺伝子セットの影響。各腫瘍に関して、図11に記載するような2つのリストからのインデックススコアを互いに対してプロットして、シグネチャーから遺伝子を減じる影響を評価した。 [33](A)GeneLogic膵臓Plus 2.0データセットにおける全88遺伝子シグネチャーおよび上皮のみのシグネチャーに関するEMTインデックススコアのウォーターフォールプロット。(B)各腫瘍に関して、88遺伝子シグネチャーおよび上皮のみのシグネチャー由来のインデックススコアを互いに対してプロットした。 [34]エルロチニブ感受性および非感受性細胞株由来のqPCRデータから計算したEMTインデックススコアの比較。左の2つのカラムにおけるインデックススコアは、全88遺伝子EMTGS由来である。右の2つのカラムにおけるインデックススコアは、上皮のみの遺伝子シグネチャー由来である。肺、膵臓、結腸および***腫瘍由来の細胞株を一緒に評価し(すべての腫瘍)、そして膵臓腫瘍および肺腫瘍由来の細胞株に別個に比較した。 [35]細胞株におけるエルロチニブ感受性に関する上皮および間葉遺伝子の予測値。EMTシグネチャーにおける44の上皮遺伝子または44の間葉遺伝子を用いて、インデックススコアを計算し、そして各細胞株に関してプロットし、エルロチニブ感受性にしたがって配置した(アルゴリズムAで計算)。 [36]全88遺伝子EMTGSおよび上皮のみの遺伝子シグネチャーから計算したGeneLogic肺ABデータセットにおけるインデックススコアの比較。88遺伝子EMTGSインデックススコアにしたがって腫瘍を配置し、そして腫瘍サブタイプによって分類する。各サンプルにおけるボックスプロットは、各々、シグネチャーと同じサイズを有する、ランダム遺伝子リストに基づく1000インデックススコアの分布を示す。赤および青のバーは、各サンプルにおけるランダム遺伝子リスト由来の1000インデックススコアの分布に基づいて、それぞれ、有意に低いおよび高い(P=0.05)サンプルのシグネチャーインデックススコアを示す。有意に低くもまたは高くもないインデックススコアを持つサンプルに関しては、そのインデックススコアを黄色で示す。 [37]GeneLogic固形腫瘍データセットにおけるE−カドヘリンインデックススコア(マイクロアレイシグナル強度)と88EMTGSインデックススコアの比較。各サンプルにおけるボックスプロットは、各々、シグネチャーと同じサイズを有する、ランダム遺伝子リストに基づく1000インデックススコアの分布を示す。赤および青のバーは、各サンプルにおけるランダム遺伝子リスト由来の1000インデックススコアの分布に基づいて、それぞれ、有意に低いおよび高い(P=0.05)サンプルのシグネチャーインデックススコアを示す。有意に低くもまたは高くもないインデックススコアを持つサンプルに関しては、そのインデックススコアを黄色で示す。 [38]GeneLogic固形腫瘍データセットにおけるEMT遺伝子シグネチャーの3つの進行するバージョン由来のインデックススコアの比較。各サンプルにおけるボックスプロットは、各々、シグネチャーと同じサイズを有する、ランダム遺伝子リストに基づく1000インデックススコアの分布を示す。赤および青のバーは、各サンプルにおけるランダム遺伝子リスト由来の1000インデックススコアの分布に基づいて、それぞれ、有意に低いおよび高い(P=0.05)サンプルのシグネチャーインデックススコアを示す。有意に低くもまたは高くもないインデックススコアを持つサンプルに関しては、そのインデックススコアを黄色で示す。 [39]EMTインデックススコアは、E−カドヘリン状態およびエルロチニブに対する感受性と相関する。上部パネルにおいて、***、結腸、膵臓、および肺腫瘍由来の細胞株を、E−カドヘリン状態に関してスコア付けし、そしてエルロチニブによる最大増殖阻害%にしたがって整理した。下部パネルにおいて、88遺伝子EMTGSを用いて同じ細胞株に関するインデックススコアを計算し(アルゴリズムAで計算)、そして同じ順序でプロットした。 [40]H358およびH1650 EMTモデルに関して88遺伝子EMTGSインデックススコアを計算し、そして既知の参照上皮細胞(NCI−H441)および間葉(NCI−H1703)細胞株由来のインデックススコアとともにプロットした(すべてアルゴリズムAで計算)。H−358T−Zeb1、SnailおよびaTGFbモデルにおける14日間の導入遺伝子の誘導は、EMTインデックススコアにおける増加(すなわちより間葉)を誘導し、これはドキシサイクリン休薬の21日後、部分的にまたは完全に逆転した。H358リガンド駆動モデルにおいては、7日間のリガンド処理後のインデックススコアに対する変化は、より間葉状態を反映し、これは、先に特徴付けられた形態学的および表現型的変化と相関した。H1650モデルにおいて、インデックススコアは、リガンドとのインキュベーション後、変化しないが、すべての状態におけるエルロチニブに対する非感受性を正しく示した。 [41]EMTのH358操作モデルにおけるaTGFb、SnailまたはZebの誘導は、in vivoでE−カドヘリンの下方制御およびビメンチンの上方制御を生じた。腫瘍を、皮下または同所性セッティングのいずれかにおいて、移植後7日間、増殖させた。マウスに移植14日後〜21日後、ドキシサイクリンを投与して、導入遺伝子発現を誘導した。腫瘍を採取し、IHCによって、Snail、Zeb1、E−カドヘリンまたはビメンチンの誘導に関して評価した(弱拡大)。 [42]EMTのH358TモデルにおけるSnail誘導後の構築上の変化および組織学的変化の評価。図21に示すIHC切片のより高い拡大によって、Snailの発現後、腫瘍に構築上の変化は示されない。E−カドヘリンは穏やかに下方制御され、そしてビメンチンは頑強に上方制御される。 [43]EMTのH358TモデルにおけるZeb1誘導後の構築上の変化および組織学的変化の評価。図21に示すIHC切片のより高い拡大によって、Zeb1の発現後、腫瘍に構築上の変化は示されない。E−カドヘリンは強く下方制御され、そしてビメンチンは穏やかに上方制御される。 [44]EMTのH358TモデルにおけるaTGFb誘導後の構築上の変化および組織学的変化の評価。(A)図21に示すIHC切片のより高い拡大によって、aTGFbの誘導後、増加した間質浸潤が示される(H&E染色)。E−カドヘリンは下方制御され、そしてビメンチンは頑強に上方制御される。矢印は、間質中の細胞を示し、これらの細胞は、マウス間質細胞ではなく、ヒト腫瘍細胞と一致する核サイズを有する。(B)EMT状態に関する浸潤細胞の評価。aTGFb IHCを行って、腫瘍の上皮ネスト中の導入遺伝子の発現を検証した。連続切片上、IHCによって、多数のマーカーに関して細胞を評価した。浸潤細胞は、高レベルのサイトケラチン、低レベルのE−カドヘリンおよび高レベルのビメンチンを発現した。 [45]導入遺伝子誘導後のH358T−aTGFb、SnailおよびZeb1異種移植片の増殖。ドキシサイクリンを伴わずに、腫瘍を移植後1週間増殖させた。第2週および第3週、ネズミを2つの群に分けた:一方にはドキシサイクリンを投与し、対照群には投与しなかった。腫瘍を第2週および第3週に測定し、増殖速度の変化を評価した。 [46]in vitroおよびin vivoでのH358T aTGFb、SnailおよびZeb1モデルにおける88遺伝子EMTGSの比較。(A)in vitro:細胞をドキシサイクリンとともにin vitroで7日間増殖させ、そして未処理細胞に比較して、88遺伝子EMTGSに対する変化に関して、qPCRによってプロファイリングした。in vivo:異種移植片を誘導して、導入遺伝子を2週間発現させ、そしてRNAを採取して、これをドキシサイクリンで処置されなかった腫瘍に比較して、88遺伝子EMTGSに対する変化をプロファイリングするために用いた。複製マウス由来の腫瘍由来のプロファイルを示す。(B)エルロチニブEC50値に対する変化、およびEMTインデックススコアに対する対応する変化を、in vitroの非誘導および誘導モデルに関して示す(アルゴリズムAで計算)。 [47]3D培養におけるEMTの誘導は、H358操作モデルに対する増殖変化を生じる。H358T−aTGFb、SnailおよびZeb1細胞を、ドキシサイクリンを伴いまたは伴わずにマトリゲル中で14日間増殖させ、そして増殖およびコロニーの構築における変化に関して評価した。 [48]CFPAC1膵臓腫瘍モデルにおいて、HGFおよびOSMによって誘導されるEMT変化。形態変化(A)を、散在の増加およびより線維芽細胞様の形態の獲得によって例示する。マーカー変化(B)を、ウェスタンブロットおよび88遺伝子EMTGSに対する変化のヒートマップによって示す。表現型評価(C)を、リガンドとの7日間のインキュベーション後、細胞遊走および浸潤能の増加によって示す。 [49]H1650 NSCLC腫瘍モデルにおけるHGF、OSM、およびTGFb1によって誘導されるEMT変化。示すリガンドで7日間誘導した細胞に対する、形態変化(A)およびバイオマーカー変化(B)。 [50]H292 NSCLC腫瘍モデルにおけるHGF、OSMおよびTGFb1によって誘導されるEMT変化。示すリガンドで7日間誘導した細胞に対する、形態変化(A)、マーカー変化(B)、および表現型変化(C)。 [51]H358操作モデルにおいて、in vitroおよびin vivoで制御される、88遺伝子EMTGSにおける遺伝子の比較。 [52]OSI−906感受性と、88遺伝子EMTGSインデックススコアの相関。OSI−906感受性および非感受性細胞株に関して、88遺伝子EMTGSインデックススコアを計算した。各細胞株に関するEC50値を下部パネルに示し、そして上部パネルにおいて、EMTインデックススコアを示す(アルゴリズムAで計算)。 [53]OSI906−エルロチニブ相乗作用と、88遺伝子EMTGSインデックススコアの相関。細胞株に関して、88遺伝子EMTGSインデックススコアを計算し、そして上部パネルにおいて、増加する順にプロットした(アルゴリズムAで計算)。下部パネルにおいて、OSI−906およびエルロチニブの間の相乗作用を、実験BLISS値に対する最大阻害の比率として定量化した。 [54]E−カドヘリン発現値と88遺伝子EMTGSインデックススコアの相関。マウス***腫瘍アーカイブにおいて、腫瘍に関して、88EMTGSインデックススコアを計算した。比較のため、E−カドヘリン発現値(対数マイクロアレイシグナル強度)を、EMTインデックススコア上に重ねた。 [55]コア8 EMTGSインデックススコアは、エルロチニブ感受性と相関する。88遺伝子EMTGS、Choi EMTGSおよびBunnゲフィチニブ感受性GSに共通な8遺伝子(すなわち、AGR2、CDH1、CLDN4、ELF3、ERBB3、IKIP、OCLN、SH3YL1)を用いて、エルロチニブ感受性が知られる24の細胞株に関するマイクロアレイデータから、インデックススコアを計算した。細胞株を、エルロチニブ感受性が減少する順に配置した。 [56]88遺伝子EMTGSにおける44の間葉遺伝子のアノテーション。 [57]88遺伝子EMTGSにおける44の上皮遺伝子のアノテーション。 [58]88遺伝子EMTGSインデックススコアおよびエルロチニブ感受性値の相関(アルゴリズムAで計算)。 [59]選択した遺伝子を除いた88遺伝子EMTGSに関する多数の腫瘍細胞株におけるインデックススコア(アルゴリズムAで計算)。 [60]図39におけるインデックススコアを生成するために用いた共相関遺伝子。 [61]***腫瘍BHアーカイブ細胞において、88遺伝子EMTGSインデックス(上部パネル)と、AXL遺伝子発現(下部パネル)を比較すると、AXLは、より上皮性である腫瘍において低い発現を有し、そしてより間葉様である腫瘍において、より高い発現を示し、AXLが潜在的に間葉腫瘍に重要な遺伝子であることが示唆される。 [62]88EMT遺伝子シグネチャーを用いたTaq−man RT−PCR分析は、新規ターゲット同定および発見に有益である。(A)A549細胞をTNFおよび対照またはTAK1 siRNAで処理した。88EMTGSに対する変化を、qPCRによって相対倍変化として定量化した。TNF+対照siRNAによって誘導される変化を、リガンドなし+対照siRNAに比較する。TNF+TAK1 siRNAによって誘導される変化は、TNF+対照siRNAに対する比較である。(B)c−MET阻害剤化合物Mを伴いまたは伴わずに、HGF+OSMで、H358細胞を7日間処理した。HGF+OSMサンプルに関する倍変化は、未処理細胞に対する比較である。HGF+OSM+化合物Mに関する倍変化は、HGF+OSMに対する比較である。生物学的複製物を対のカラムに示す。(C)FAK阻害剤化合物Fを伴いまたは伴わずに、H358T−aTGFb細胞をドキシサイクリンで7日間処理して、TGFb発現を誘導した。ドキシサイクリン処理細胞に関する倍変化は、未処理細胞に対する比較である。ドキシサイクリン+化合物Fに関する倍変化は、ドキシサイクリン単独に対する比較である。 [63]公表された遺伝子シグネチャーからのインデックススコアの派生。5つのシグネチャー(88遺伝子EMTGS、Choi、SAbiosciences、Yauch、およびBunn)に関するインデックススコアを、エルロチニブ感受性が知られる細胞株由来のマイクロアレイデータから計算し、そして感受性が減少する順にプロットした。 [64]腫瘍細胞集団を分析するためのインデックススコアの使用。88遺伝子EMTGS、SAbiosciences EMTGS、Choi EMTGS、およびYauchエルロチニブ感受性シグネチャーを用いて、GeneLogic肺U133ABデータセットに関してインデックススコアを計算した。腫瘍を88EMTGSの順に配置して、4つのシグネチャー由来のインデックススコアを比較した。各サンプルにおけるボックスプロットは、各々、シグネチャーと同じサイズを有する、ランダム遺伝子リストに基づく1000インデックススコアの分布を示す。赤および青のバーは、各サンプルにおけるランダム遺伝子リスト由来の1000インデックススコアの分布に基づいて、それぞれ、有意に低いおよび高い(P=0.05)サンプルのシグネチャーインデックススコアを示す。有意に低くもまたは高くもないインデックススコアを持つサンプルに関しては、そのインデックススコアを黄色で示す。 [65]EMTインデックススコアは、E−カドヘリン状態およびエルロチニブに対する感受性と相関する。上部パネルにおいて、***、結腸、膵臓、および肺腫瘍由来の細胞株をE−カドヘリン状態に関してスコア付けし、そしてエルロチニブによる最大増殖阻害%にしたがって整理した。下部パネルにおいて、88遺伝子EMTGSを用いて同じ細胞株に関するインデックススコアを計算し(アルゴリズムAで計算)、そして同じ順序でプロットした。 [66]OSI−906感受性と、88遺伝子EMTGSインデックススコアの相関。OSI−906感受性および非感受性細胞株に関して、88遺伝子EMTGSインデックススコアを計算した。下部パネルにおいて、各細胞株に関するEC50値を示し、そして上部パネルにおいて、EMTインデックススコアを示す(アルゴリズムAで計算)。 [67]細胞株におけるエルロチニブ感受性に関する上皮および間葉遺伝子の予測値。EMTシグネチャーにおける44の上皮遺伝子または44の間葉遺伝子を用いて、インデックススコアを計算し、そしてエルロチニブ感受性にしたがって配置した各細胞株に関してプロットした(アルゴリズムAで計算)。 [68]H358およびH1650 EMTモデルに関して88遺伝子EMTGSインデックススコアを計算し、そして既知の参照上皮細胞(NCI−H441)および間葉(NCI−H1703)細胞株由来のインデックススコアとともにプロットした(すべてアルゴリズムAで計算)。H−358T−Zeb1、Snail およびaTGFbモデルにおける14日間の導入遺伝子の誘導は、EMTインデックススコアにおける増加(すなわちより間葉)を誘導し、これはドキシサイクリン休薬の21日後、部分的にまたは完全に逆転した。H358リガンド駆動モデルにおいては、7日間のリガンド処理後のインデックススコアに対する変化は、より間葉状態を反映し、これは、先に特徴付けられた形態学的および表現型的変化と相関した。H1650モデルにおいて、インデックススコアは、リガンドとのインキュベーション後、変化しないが、すべての状態におけるエルロチニブに対する非感受性を正しく示した。 [69]in vitroおよびin vivoでのH358T aTGFb、SnailおよびZeb1モデルにおける88遺伝子EMTGSの比較。(A)in vitro:細胞をドキシサイクリンとともにin vitroで7日間増殖させ、そして未処理細胞に比較して、88遺伝子EMTGSに対する変化に対して、qPCRによってプロファイリングした。in vivo:異種移植片を誘導して、導入遺伝子を2週間発現させ、そしてRNAを採取して、これを、ドキシサイクリンで処置されなかった腫瘍に比較して、88遺伝子EMTGSに対する変化をプロファイリングするために用いた。複製マウス由来の腫瘍由来のプロファイルを示す。(B)エルロチニブEC50値に対する変化、およびEMTインデックススコアに対する対応する変化を、in vitroの非誘導および誘導モデルに関して示す(アルゴリズムAで計算)。 [70]OSI906−エルロチニブ相乗作用と、88遺伝子EMTGSインデックススコアの相関。細胞株に関して88遺伝子EMTGSインデックススコアを計算し、そして上部パネルにおいては、増加する順序でプロットした(アルゴリズムAで計算)。下部パネルにおいては、OSI−906およびエルロチニブの間の相乗作用を、実験BLISS値に対する最大阻害の比率として定量化した。 [71]88遺伝子EMTGSインデックススコアおよびエルロチニブ感受性値の相関(アルゴリズムAで計算)。 [72]選択した遺伝子を除いた88遺伝子EMTGSに関する多数の腫瘍細胞株におけるインデックススコア(アルゴリズムAで計算)。 [73]GeneLogicレーザー捕捉顕微解剖腫瘍データセットにおける88遺伝子EMTGSに関する発現ヒートマップ。(A)マッチした間質、腫瘍、および非解剖患者サンプルに関するEMTGS中の88遺伝子各々の平均を中心とした発現レベルを赤−青色スケール上に示す。(B)FDR補正p値<0.01の、対応のあるT検定によって、マッチした腫瘍および間質患者サンプルの間で統計的に示差的に発現されたEMTGS由来の27遺伝子のサブセットの平均を中心とした発現レベル。 [74]GeneLogicレーザー捕捉顕微解剖腫瘍データセットにおける解剖腫瘍および浸潤間質組織を含むマッチした腫瘍由来の88遺伝子(A)および44上皮遺伝子(B)EMTGSインデックススコアの比較。各パネルに関して、間質が加わった腫瘍のセットと直接比較するため、腫瘍のみのセットのインデックススコアの増加によって、マッチしたサンプルを整理する。各サンプルにおけるボックスプロットは、各々、シグネチャーと同じサイズを有する、ランダム遺伝子リストに基づく1000インデックススコアの分布を示す。赤および青のバーは、各サンプルにおけるランダム遺伝子リスト由来の1000インデックススコアの分布に基づいて、それぞれ、有意に低いおよび高い(P=0.05)サンプルのシグネチャーインデックススコアを示す。有意に低くもまたは高くもないインデックススコアを持つサンプルに関しては、そのインデックススコアを黄色で示す。腫瘍のみおよび間質を加えた腫瘍のマッチしたサンプルの間のスピアマン順位相関を、88遺伝子および44上皮遺伝子EMTGSインデックススコアに関して示す。(A)において、腫瘍のみのサンプルに関するソフトウェアプラットフォームによってアンカー遺伝子としてE遺伝子が選択されたため、強い反相関があるが、間質を加えた腫瘍サンプルに関しては、アンカー遺伝子としてM遺伝子を選択したことに注目されたい。
[75]用語、個体における「癌」は、癌を引き起こす細胞に典型的な特性、例えば制御されない増殖、不死性、転移潜在能力、迅速な成長および増殖速度、ならびに特定の特徴的な形態学的特徴を所持する細胞の存在を指す。しばしば、癌細胞は、腫瘍の形であるが、こうした細胞は、個体内に単独で存在していてもよいし、または独立の細胞、例えば白血病細胞として血流中を循環していてもよい。
[76]本明細書において、例えば「腫瘍細胞増殖」の文脈における「細胞増殖」は、別に示さない限り、腫瘍学において一般的に用いられるように用いられ、該用語は、原則的に、細胞数の増加と関連づけられ、これは細胞再生(すなわち増殖)速度が細胞死の率(例えばアポトーシスまたは壊死によるもの)よりも大きい場合に、細胞再生によって起こり、細胞集団サイズの増加を生じるが、増殖の小さい構成要素は、特定の状況においてはまた、個々の細胞の細胞サイズまたは細胞質体積の増加による可能性もある。細胞増殖を阻害する剤は、したがって、増殖を阻害するかまたは細胞死を刺激するかのいずれかによって、これらの2つの相対するプロセス間のバランスが改変されるようにして、細胞増殖を阻害しうる。
[77]「腫瘍増殖」または「腫瘍転移増殖」は、本明細書において、別に示さない限り、腫瘍学において一般的に用いられるように用いられ、該用語は、原則的に、主に腫瘍細胞増殖の結果としての、腫瘍または腫瘍転移の質量または体積の増加と関連づけられる。
[78]「異常な細胞増殖」は、本明細書において、別に示さない限り、正常に制御された機構に依存しない細胞増殖を指す(例えば接触阻害の喪失)。これには:(1)突然変異チロシンキナーゼの発現または受容体チロシンキナーゼの過剰発現によって増殖する腫瘍細胞(腫瘍);(2)異常なチロシンキナーゼ活性化が生じる、他の増殖性疾患の良性および悪性細胞;(4)受容体チロシンキナーゼによって増殖する任意の腫瘍;(5)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化によって増殖する任意の腫瘍;ならびに(6)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化が生じる、他の増殖性疾患の良性および悪性細胞の異常増殖が含まれる。
[79]用語「治療する」は、本明細書において、別に示さない限り、疾患または状態を相殺する医学的補助を与えることを意味する。句「治療する方法」またはその同等物は、癌に適用した際、患者における癌細胞の数を減少させるかまたは癌細胞を排除するか、あるいは癌の症状を軽減するように設計された処置または一連の行動を指す。癌または別の増殖性障害を「治療する方法」は、癌細胞または他の障害が、事実上排除されるか、細胞数または障害が事実上減少するか、あるいは癌または他の障害の症状が事実上軽減されることを、必ずしも意味しない。しばしば、癌を治療する方法は、成功可能性が低いものであっても行われるが、これらは、病歴および概算される患者の生存期待度を考慮すると、それにもかかわらず、全体的に有益な一連の行動に見える。
[80]用語「療法的に有効な剤」は、研究者、獣医、医師または他の臨床家が探究している組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を誘発するであろう組成物を意味する。
[81]用語「療法的有効量」または「有効量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床家が探究している組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を誘発するであろう対象化合物または組み合わせの量を意味する。
[82]用語「反応性の」または「反応性」は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤またはEGFRキナーゼ阻害剤の投与に対する患者の反応を指す際に用いる場合、患者が利益を受ける可能性が高い、陽性または有効な反応を指す。治療される腫瘍に関しては、反応性は、例えば:(a)増殖遅延、(b)増殖休止、または(c)退行を示す腫瘍によって示されうる。
[83]例えば「腫瘍データセット」におけるような用語「データセット」は、本明細書に記載するような遺伝子インデックスの決定に使用可能である遺伝子セットまたは遺伝子シグネチャーに関する遺伝子発現データを得るために用いられる腫瘍または腫瘍細胞株のコレクションまたは複数の腫瘍または腫瘍細胞株を意味する。
[84]本発明は、プロテインチロシンキナーゼ阻害剤での治療にどの腫瘍が最も有効に反応するであろうか決定するための方法を提供する研究から得られ(例えば、Thompson, S.ら(2005) Cancer Res. 65(20):9455−9462; 米国特許出願60/997,514)、これは、腫瘍細胞が上皮間葉転換(「EMT」; Thiery, J.P.(2002) Nat. Rev. Cancer 2:442−454; Savagner, P.(2001) Bioessays 23:912−923; Kang Y.およびMassague, J.(2004) Cell 118:277−279; Julien−Grille, S.ら Cancer Research 63:2172−2178; Bates, R.C.ら(2003) Current Biology 13:1721−1727; Lu Z.ら(2003) Cancer Cell. 4(6):499−515)を経ているかどうかに基づく。この研究は、上皮癌細胞が、EGFRおよびIGF−1Rキナーゼ阻害剤によく反応するが、EMT後、生じた間葉様細胞は、こうした阻害剤にはるかにより感受性でないことを立証した。バイオマーカーを用いて、どの腫瘍細胞がEMTを経ているかを決定することも可能である(Thomson, S.ら(2005) Cancer Res. 65(20):9455−9462)。こうした研究の結果、腫瘍の浸潤性および転移性特性における重要な要素と考えられる、こうした間葉様細胞の形成、増殖および/または機能を阻害可能な剤を見出す、新規療法アプローチが必要であることが明らかとなってきている。
[85]腫瘍EMT事象の制御に関与する生化学的経路の解明、および生じる間葉様腫瘍細胞の性質決定を開始しようとする、かなり多くの研究が行われてきている。例えば、間葉様腫瘍細胞によって産生される多様なタンパク質産物の発現の特異的siRNA阻害剤を用いた実験によって、特定の遺伝子の産物の発現減少は、間葉様腫瘍細胞の増殖を特異的に阻害可能であることが立証されてきている。したがって、これらの遺伝子にコードされるタンパク質産物の発現もまた特異的に阻害するか、または発現されたタンパク質の生物学的活性(例えばホスホトランスフェラーゼ活性)を特異的に阻害する、薬理学的剤、例えば細胞外ドメインを所持する発現されたタンパク質に対する特異的抗体、アンチセンス分子、リボザイム、または低分子酵素阻害剤(例えばプロテインキナーゼ阻害剤)は、同様に、やはり間葉様腫瘍細胞の増殖を特異的に阻害するであろう剤であると予期される。EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤と、こうした剤の組み合わせの抗腫瘍効果は、これらのキナーゼ阻害剤自体の抗腫瘍効果よりも優れているはずであり、それはこうした組み合わせが、上皮および間葉様腫瘍細胞の両方を有効に阻害するはずであるためであり、そしてしたがって、こうした剤とEGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の同時投与は、NSCL癌、膵臓癌、結腸癌または乳癌などの進行した癌の患者の治療に有効であるはずである。
[86]したがって、間葉様腫瘍細胞の増殖、またはEMTプロセスを阻害するであろう剤の発見および開発のための重要なターゲットの同定がされたことを前提として、in vitroスクリーニング法によって同定された剤を評価して、薬剤開発中の動物モデル系および薬剤有効性を評価する際のヒト患者の両方において、in vivoで、これらの剤が間葉様腫瘍細胞の形成、増殖および/または遊走を阻害する予測される効果を有するかどうかを決定するための、定量的で信頼性があり、そして普遍的に適用可能な方法に関する緊急の必要性がある。また、EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対して感受性である可能性が高いかまたはそうでないか、そしてしたがって、こうした治療の優れた候補であるか、そしてまたEMTまたは生じる間葉様腫瘍細胞を阻害するさらなる剤から利益を受ける可能性が高いかを予測するために、患者腫瘍中の細胞のEMT状態を決定するための信頼可能な診断法に関する必要性もまたある。
[87]in vitroまたはin vivoのいずれかで、腫瘍細胞におけるEMT状態を決定するための現在の方法には、潜在的な欠点がいくつかある。これらには、例えば以下が含まれる:(1)EMT状態を決定する個々のバイオマーカー法は、EMT状態の常に信頼可能な予測因子ではなく、そしてしたがって、EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性の常に信頼可能な予測因子ではない。例えば、上皮状態に関するバイオマーカーとしてのE−カドヘリン発現は、EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞感受性を常に信頼可能には予測しない(例えばE−カドヘリンが突然変異している場合)。同様に、間葉状態に関するバイオマーカーとしてのビメンチン発現は、EGFRキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞感受性を常に信頼可能には予測しない(Richardson, F.ら(2009) International Association for the Study of Lung Cancer, 13th World Conference on Lung Cancer, July 31 − August 4, 2009, e−Poster: PD7.2.5. Congress: WCLC 2009; 29ページ);(2)腫瘍サンプルに間質組織が混入すると、腫瘍細胞バイオマーカー発現の混乱した分析が複雑になりうる;(3)腫瘍細胞バイオマーカー発現の定量化およびEMT状態との相関は信頼不能でありうる;(4)古典的なEMTバイオマーカー分析を用いて、EMT中の異なる中間状態を差別化するのは困難である;(5)EMTに反応して発現が調節される(例えば誘導されるかまたは阻害される)広範囲の遺伝子には、腫瘍間で大きな多様性があり、これは部分的に、異なるEMT誘導因子の異なる影響により、そして部分的に、異なる組織特異的反応のためであるが、これによって、広い範囲の腫瘍に渡って、EMT状態を信頼可能に予測するバイオマーカーの選択が困難になっている;(6)薬剤発見および開発に用いられる細胞培養モデルにおいて、EMTに反応して発現が調節される遺伝子の範囲が、in vitro培養からin vivo異種移植片増殖では多様であり、細胞モデルのいかなる所定の適用においてもEMT状態を信頼可能に予測するであろう個々のバイオマーカーを選択することが困難になっている。
[88]本明細書の以下の実施例に提示するデータは、個々の発現レベルを集合的に用いて、EMTGSインデックススコアを組立てることが可能な遺伝子で構成されるEMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)を得ることが可能であることを立証しており、該インデックススコアは腫瘍細胞が経た上皮間葉転換(EMT)の度合いを正確に定量化し(すなわちEMT状態を評価し)、そしてまた特定の抗癌薬剤、例えばEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞の反応性を有効に予測することも可能である。これらの観察は、EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の患者の転帰に対する影響を予測するための価値ある新規診断法の基礎であり、腫瘍学者らが患者のために最も適切な治療措置を選択するのを補助するさらなるツールを与える。これらはまた、EMTまたは生じる間葉様細胞を特異的に阻害する薬剤;あるいはその作用がEMTによって影響を受ける抗癌薬剤の薬剤発見および開発において、研究者らを補助する強力な新規ツールを研究者に提供する。
[89]本発明はしたがって、腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し;ここでEMTGSは、EMT中に協調して制御されると決定されている遺伝子群からなる;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を決定する工程を含む、前記方法を提供する。
[90]本発明はさらに、腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し;ここでEMTGSは、(a)EMTの多数の腫瘍細胞モデルにおいて協調して制御される遺伝子の最初の群の選択;および(b)多数のヒト腫瘍データセットにおいて発現が共相関される遺伝子の数を最大にするような、遺伝子の反復付加または前記群からの遺伝子の反復除去の工程を含むプロセスによって、EMT中に協調して制御されると決定されている遺伝子群からなる;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を決定する工程を含む、前記方法を提供する。
[91]本発明はまた、(a)EMTの多数の腫瘍細胞モデルにおいて協調して制御される遺伝子の最初の群の選択;および(b)多数のヒト腫瘍データセットにおいて発現が共相関される遺伝子の数を最大にするような、遺伝子の反復付加または前記群からの遺伝子の反復除去の工程を含むプロセスによって、遺伝子群がEMT中に協調して制御されるかどうかを決定する方法も提供する。
[92]本発明は、腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[93]本明細書において、「共相関」は、遺伝子セットに適用した場合、セットのメンバーの発現レベルが、所定のタイプの組織、例えば腫瘍組織内で、同時に増加するかまたは減少する、統計的に有意な傾向を示すことを意味する。理論によって束縛されることは意図しないが、共相関は、共相関遺伝子が、1またはそれより多い生物学的機能において、共通の関与を共有することを示す可能性が高い。
[94]本明細書に開示する方法いずれかの態様において、測定される発現レベル値に適用される共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムは、本明細書の以下に定義するような、アルゴリズムAである(実験詳細セクションもまた参照されたい)。
[95]アルゴリズムAは、2つの主要構成要素からなる:1)発現相関に基づく遺伝子選択構成要素および2)選択した遺伝子の平均発現に基づくインデックススコア計算構成要素。特に、遺伝子リストA(例えば88遺伝子EMTGS)およびデータセットBを与えられると、アルゴリズムAは、以下の工程を行う:
1)Bにおいて、Aに関する相関に基づくアンカー遺伝子(AG)を定義する:
a)Bにおけるすべてのサンプルに渡って、Aにおけるすべての遺伝子−遺伝子対に関する遺伝子発現のピアソンまたはスピアマン相関(ユーザーが選択)を計算する。
b)ABに関するAGは、以下を最大にする遺伝子xである:
式中、AGABはデータセットBにおける遺伝子リストAに関するアンカー遺伝子であり、Nxは遺伝子xを含むすべての遺伝子−遺伝子対のセットであり、nはNx中の遺伝子−遺伝子対の数であり、そして|R|は、Bにおけるすべてのサンプルに渡る各遺伝子−遺伝子対に関するピアソン(またはスピアマン)相関係数の絶対値である。
2)遺伝子リスト(AAG)から、AGと有意に相関する遺伝子サブセットを選択する:
a)AGに対する相関のP値に基づいて、すべての遺伝子を順位付けする。
b)AAGを、Bに渡ってAGと相関するAにおける遺伝子サブセットと定義し、ここでP値≦cであり、式中、cは、ユーザーが規定する有意性カットオフである(典型的には0.01)。
3)Bにおける各サンプルsに関して、遺伝子リストAに関する相関に基づく発現インデックススコア(I)を計算する:
a)IABsを以下のように定義する:
式中、AAGは、アンカー遺伝子AGと有意に相関するAにおける遺伝子サブセットであり、mは、AAGにおける遺伝子の数であり、そしてesx’は、以下のように、データセットBのサンプルsにおける遺伝子x(サブセットAAG由来)の発現と定義される:
式中、esxは、サンプルsにおける遺伝子xの発現であり、μBxはデータセットBにおける遺伝子xの平均発現であり、そしてRは、アンカー遺伝子AGと遺伝子xの相関係数である。
[96]本明細書に開示する方法いずれかの別の態様において、測定される発現レベル値に適用される共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムは、本明細書の以下に定義するような、アルゴリズムAである(実験詳細セクションもまた参照されたい)。
[97]アルゴリズムAは、2つの主要構成要素からなる:1)発現相関に基づく遺伝子選択構成要素および2)選択した遺伝子の平均発現に基づくインデックススコア計算構成要素。特に、遺伝子リストAおよびデータセットBを与えられると、アルゴリズムAは、以下の工程を行う:
1)Bにおいて、Aに関する相関に基づくアンカー遺伝子(AG)を定義する:
a)Bにおけるすべてのサンプルに渡って、Aにおけるすべての遺伝子−遺伝子対に関する遺伝子発現のピアソンまたはスピアマン相関(ユーザーが選択)を計算する。
b)ABに関するAGは、以下を最大にする遺伝子xである:
式中、AGABはデータセットBにおける遺伝子リストAに関するアンカー遺伝子であり、Nxは遺伝子xを含むすべての遺伝子−遺伝子対のセットであり、nはNx中の遺伝子−遺伝子対の数であり、そして|R|は、Bにおけるすべてのサンプルに渡る各遺伝子−遺伝子対に関するピアソン(またはスピアマン)相関係数の絶対値である。
2)遺伝子リスト(AAG)から、AGと有意に相関する遺伝子サブセットを選択する:
a)AGに対する相関のP値に基づいて、すべての遺伝子を順位付けする。
b)AAGを、Bに渡ってAGと相関するAにおける遺伝子サブセットと定義し、ここでP値≦cであり、式中、cは、ユーザーが規定する有意性カットオフである。
3)Bにおける各サンプルsに関して、遺伝子リストAに関する相関に基づく発現インデックススコア(I)を計算する:
a)IABsを以下のように定義する:
式中、AAGは、アンカー遺伝子AGと有意に相関するAにおける遺伝子サブセットであり、mは、AAGにおける遺伝子の数であり、そしてesx’は、以下のように、データセットBのサンプルsにおける遺伝子x(サブセットAAG由来)の発現と定義される:
式中、esxは、サンプルsにおける遺伝子xの発現であり、μBxはデータセットBにおける遺伝子xの平均発現であり、そしてRは、アンカー遺伝子AGと遺伝子xの相関係数である。
[98]共相関解析において、統計的有意性を達成するためには、群またはデータセットの一部として、EMTGSインデックススコアを計算しなければならない。サンプルの数は、相関係数が統計的有意性を達成しうる値を変化させる。サンプルの数が増加するにつれて、有意性を達成する係数が減少する。したがって、約25〜30のサンプルまたはそれより多いサンプルの群の一部として、インデックス化アルゴリズムを通じて、サンプルをプロセシングしなければならない。臨床適用のためには、単一の患者サンプルを、例えば相対インデックスが患者反応と相関している臨床試験から採用されるサンプル対照群とともに解析してもよい。
[99]0.01のユーザー明記有意性カットオフ(c)が典型的には選択される、本明細書記載の任意の方法に対する代替法として、インデックススコアを計算するために、遺伝子シグネチャーにおいてすべての遺伝子の寄与を用いることを確実にしたいと望む場合、1.0のユーザー明記有意性カットオフ(c)を選択してもよい。したがって、例えばサンプルの数が非常に小さい場合には、シグネチャー中の関心対象でありうるすべての遺伝子由来のデータを用いて、異なるサンプルの比較を行ってもよい。
[100]EMTGSが88遺伝子、SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、およびZEB2からなる、または本質的にこれらからなる、88遺伝子のEMTGSを伴う、本明細書に開示する任意の方法に対する代替法として、本発明はまた、88遺伝子EMTGSではなく、EMTGSが、本明細書において以下に記載する遺伝子シグネチャーから選択される、これらの88遺伝子のサブセット(すなわちサブセットA〜Q;R1〜R17;88遺伝子EMTGS由来の87遺伝子(すなわち表1におけるようなものであるが、MTA3は含まない)由来の任意の54またはそれより多い遺伝子サブセット;および88遺伝子EMTGS由来の87遺伝子の43上皮遺伝子由来の任意の24またはそれより多い遺伝子サブセット)からなるか、または本質的にこれらのサブセットからなってもよい、任意のこれらの方法もまた提供する。本発明は、88遺伝子のこれらのサブセットの各々に関して、サブセットの遺伝子各々に関するプライマー対からなるPCRプライマーセットをさらに提供する。本発明は、88遺伝子のこれらのサブセット各々に関して、固体表面およびプローブセットからなるDNAマイクロアレイチップであって、前記プローブセットがサブセット遺伝子の各々に特異的なプローブからなる前記DNAマイクロアレイチップをさらに提供する。
[101]EMTGSサブセットA(すなわちITGA5を含まない):SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2。
[102]EMTGSサブセットB(すなわちVIMを含まない):SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2。
[103]EMTGSサブセットC(すなわちCDH1を含まない):SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2。
[104]EMTGSサブセットD(すなわちERBB3を含まない):SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2。
[105]EMTGSサブセットE(すなわちEのみ(上皮遺伝子のみ)):AGR2、AKAP12、AP1M2、BSPRY、CDH1、CLDN3、CLDN4、DNMT3A、DSG3、DSP、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FOXC1、GPD1L、HOPX、IGFBP2、IHH、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MPZL2、MTA3、MTSS1、OCLN、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SPDEF、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、VWF、XBP1、ZBTB10。
[106]EMTGSサブセットF(すなわち、E−CDH1、CDH1を含まない上皮遺伝子):AGR2、AKAP12、AP1M2、BSPRY、CLDN3、CLDN4、DNMT3A、DSG3、DSP、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FOXC1、GPD1L、HOPX、IGFBP2、IHH、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MPZL2、MTA3、MTSS1、OCLN、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SPDEF、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、VWF、XBP1、ZBTB10。
[107]EMTGSサブセットG(すなわちE−ERBB3、ERBB3を含まない上皮遺伝子):AGR2、AKAP12、AP1M2、BSPRY、CDH1、CLDN3、CLDN4、DNMT3A、DSG3、DSP、EHF、ELF3、ELF5、ETV5、FOXC1、GPD1L、HOPX、IGFBP2、IHH、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MPZL2、MTA3、MTSS1、OCLN、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SPDEF、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、VWF、XBP1、ZBTB10。
[108]EMTGSサブセットH(80遺伝子):SERPINA3、ACTN1、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH2、CEP170、CLDN3、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF5、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2。
[109]EMTGSサブセットI(8遺伝子):AGR2、CDH1、CLDN4、ELF3、ERBB3、IKBIP、OCLN、SH3YL1。
[110]EMTGSサブセットJ、K、L、M、N、O、PおよびQは、図40に列挙する遺伝子の8つのサブセットであり、アルゴリズムAを実行してEMTGSインデックススコアを生成する相関解析ソフトウェアによってこれらを用いる(すなわち、各群に関して、1つのアンカー遺伝子に加えて、アンカー遺伝子の下に列挙する遺伝子)。
[111]EMTGSサブセットR1〜R17は、本明細書の表6に列挙する遺伝子の17群であり、これらは共相関カットオフに合格し、そしてアルゴリズムAを実行して、示すヒト腫瘍データセットに関するEMTGSインデックススコアを生成する相関解析ソフトウェアによってこれらを用いる。
[112]54遺伝子EMTGS:88遺伝子EMTGSより選択される87遺伝子由来の任意の54またはそれより多い遺伝子のサブセットであって、87遺伝子がMTA−3を含まない88遺伝子である、前記サブセット。88遺伝子EMTGS由来の87遺伝子(すなわちMTA−3を含まない)は、したがって:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2である。したがって、例えば、ヒト腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に反応性である可能性が高いかどうかを決定するための本発明の方法において、これらの87遺伝子由来の任意の54またはそれより多い遺伝子を含むシグネチャーを用いてもよい。
[113]24遺伝子EMTGS:88遺伝子EMTGSより選択される87遺伝子(すなわちMTA−3を含まない)の43上皮遺伝子由来の任意の24またはそれより多い遺伝子のサブセット。43上皮遺伝子は、したがって、AGR2、AKAP12、AP1M2、BSPRY、CDH1、CLDN3、CLDN4、DNMT3A、DSG3、DSP、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FOXC1、GPD1L、HOPX、IGFBP2、IHH、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MPZL2、MTSS1、OCLN、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SPDEF、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、VWF、XBP1、ZBTB10である。したがって、例えば、ヒト腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に反応性である可能性が高いかどうかを決定するための本発明の方法において、これらの43遺伝子由来の任意の24またはそれより多い遺伝子を含むシグネチャーを用いてもよい。
[114]88遺伝子EMTGSのこれらのサブセット各々由来のインデックスはすべて、EMT状態、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞感受性、あるいはEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に対して反応性または非反応性である可能性が高い患者におけるヒト腫瘍を評価するための予測値を有する。しかし、これらの各々は、所定の領域に特定の利点を有しうる。例えば、上皮遺伝子のみに由来するインデックスは、高含量の間質組織を有する腫瘍細胞で用いた際に、特定の値を有しうる。R1〜R17シグネチャー由来のインデックスは、表6に示すように、これらが関連する腫瘍タイプで最も有用であろう。
[115]さらに、88遺伝子のEMTGSを伴う、本明細書開示の方法いずれかの代替物として、本発明はまた、遺伝子シグネチャーが、88遺伝子EMTGSよりむしろ、本明細書に以下に記載するような(表10〜13を参照されたい)Choiシグネチャー、Bunnゲフィチニブ・シグネチャー、Yauchシグネチャー、またはSABiosciencesシグネチャーでありうるこれらの方法のいずれかも提供する。本発明は、これらのシグネチャー各々に関して、シグネチャーの遺伝子各々に関するプライマー対からなるPCRプライマーセットをさらに提供する。本発明は、これらのシグネチャー各々に関して、固体表面およびプローブセットからなるDNAマイクロアレイチップであって、前記プローブセットがシグネチャーの遺伝子の各々に特異的なプローブからなる前記DNAマイクロアレイチップをさらに提供する。これらのシグネチャー各々に由来するインデックスは、EMT状態、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞感受性、あるいはEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に対して反応性または非反応性である可能性が高い患者におけるヒト腫瘍を評価するための予測値を有する。しかし、88遺伝子EMTGSまたはそのサブセットに由来するインデックスに比較して、その使用には限界がある。例えば、これらのシグネチャーはいずれも、多数のヒト腫瘍データセットを用いては得られておらず、そしてしたがって、in vivoのヒト腫瘍において、88遺伝子EMTGSの予測力を欠くであろう。Choiシグネチャーは、***腫瘍細胞に関する予測結果の値を有するに過ぎない。SABiosciencesシグネチャーは、いくつかの腫瘍細胞EMTモデルにおいて、88遺伝子EMTGSよりも、EMT誘導に対してはるかにより少ない遺伝子変化を示し、そしてしたがって、特定の腫瘍タイプにおけるように、遺伝子の少ないサブセットしかEMTまたはその阻害に関与していないか、あるいはEMTを防止するために特定のEMT阻害剤化合物を用いる場合には、EMTを監視するためのツールとしてより劣っているであろう。Bunnゲフィチニブ・シグネチャーは、EMT状態指標としてではなく、NSCLC腫瘍のゲフィチニブ感受性シグネチャーとして開発されており、そしてしたがって、この領域において、特にシグネチャーが開発された肺以外の腫瘍組織に関しては、限界を有する可能性が高い。最後に、Yauchシグネチャーは、ヒト肺腫瘍の異なるタイプ(例えば腺癌および扁平上皮癌)を、88遺伝子EMTGSと同程度に有効に差別化することが不可能であるようであり、これは、ヒト腫瘍データセットがその生成において利用されていないという事実のためである可能性が高い。
[116]本発明は、腫瘍細胞が癌患者の腫瘍由来である、本明細書開示の任意の方法をさらに提供する。本発明はまた、遺伝子発現レベルを測定する工程の前に、患者腫瘍細胞サンプルを得るさらなる工程を含む、本明細書開示の任意の方法も提供する。本発明はまた、腫瘍細胞が腫瘍生検由来である、本明細書開示の任意の方法も提供する。本発明はまた、腫瘍細胞が循環腫瘍細胞を含有する血液サンプル由来である、本明細書開示の任意の方法も提供する。本発明はまた、腫瘍細胞が、NSCL癌、乳癌、結腸直腸癌、または膵臓癌腫瘍細胞である、本明細書開示の任意の方法も提供する。
[117]本発明はさらに、ヒト腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤での治療に反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして該EMTGSインデックススコアが、腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いことを示すと定義された閾値より上であるか、または前記閾値より下であり、そしてしたがって、EGFRキナーゼ阻害剤に対して非反応性である可能性が高いかを決定する工程を含む、前記方法を提供する。
[118]本発明はさらに、ヒト腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして該EMTGSインデックススコアが、腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いことを示すと定義された閾値より上であるか、または前記閾値より下であり、そしてしたがって、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して非反応性である可能性が高いかを決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[119]1つの態様において、定義された閾値より上のEMTGSインデックススコアは、腫瘍がEGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に反応性である可能性が高いことを示し、そして定義された閾値より下のEMTGSスコアは、腫瘍がEGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に非反応性である可能性が高いことを示す。例えば、本明細書に記載するようにROC曲線解析を用いて、または任意の匹敵する統計法によって、閾値を決定してもよい。
[120]したがって、閾値EMTGSインデックススコアに対してEMTGSインデックススコアを解釈するため、本発明の1つの態様において、EMTGS測定のため、qPCRを用いて、閾値EMTGSインデックススコアより高いEMTGSインデックススコアは、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤治療に対して非反応性(耐性)である可能性が高い腫瘍を示すと解釈されるであろう。閾値EMTGSインデックススコアより低いEMTGSインデックススコアは、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤治療に対して反応性(感受性)である可能性が高い腫瘍を示すと解釈されるであろう。所定の閾値EMTGSインデックススコアは、腫瘍タイプに応じて多様であろうと予期される。本発明の背景において、用語「腫瘍タイプ」は、(a)種(ヒト、マウス、イヌ等);および(b)起源の臓器または組織を考慮に入れる。場合によって、腫瘍タイプはさらに、遺伝子発現特性に基づく腫瘍分類を考慮に入れ、例えばHER2陽性***腫瘍、または特定のEGFR突然変異を発現する非小細胞肺腫瘍がある。
[121]任意の所定の腫瘍タイプに関して、最適な閾値EMTGSインデックススコアは、閾値決定解析を実行することによって、経験的に決定可能である(または少なくとも近似可能である)。多くの有効な方法において、閾値決定解析には、受信者動作特性(ROC)曲線解析が含まれる。
[122]本明細書記載の「閾値決定解析」は、その特定の腫瘍タイプに関する閾値EMTGSインデックススコア、例えば最適閾値EMTGSスコアを決定するための、所定の腫瘍タイプ(例えばヒトNSCLC)を代表するデータセットの解析を意味する。閾値決定解析の背景において、所定の腫瘍タイプを代表するデータセットには、(a)実際の反応データ(反応または非反応)、および(b)腫瘍所持マウスまたはヒトの群に由来する各腫瘍に関するEMTGSスコアが含まれる。本明細書において「最適閾値PGSスコア」は、分類器が偽陰性コールおよび偽陽性コールのコストの間の最も望ましいバランスを生じる閾値PGSスコアを意味する。
[123]ROC曲線解析は、確立された統計技術であり、その適用は、当該技術分野の一般の技術範囲内である。ROC曲線解析の考察に関しては、一般的に、Zweigら, 1993, “Receiver operating characteristic (ROC) plots: a fundamental evaluation tool in clinical medicine,” Clin. Chem. 39:561−577;およびPepe, 2003, The statistical evaluation of medical tests for classification and prediction, Oxford Press, New Yorkを参照されたい。
[124]本明細書において、「受信者動作特性」(ROC)曲線は、二項分類系に関する偽陽性率(感受性)対真の陽性率(特異性)のグラフプロットを意味する。ROC曲線を構築する際、以下の定義を適用する:偽陰性率:FNR=1−TPR。
真の陽性率:TPR=陽性/(真の陽性+偽陰性)。
偽陽性率:FPR=偽陽性/(偽陽性+真の陰性)
[125]EMTGSインデックススコアおよび最適閾値EMTGSインデックススコアは、腫瘍タイプ間で多様でありうる。したがって、閾値決定解析を、好ましくは、本発明を用いて試験しようとする任意の所定の腫瘍タイプを代表する1またはそれより多いデータセットに対して行う。閾値決定解析のために用いるデータセットには:(a)実際の反応データ(反応または非反応)、および(b)ヒト腫瘍または動物腫瘍の群由来の各腫瘍サンプルに関するEMTGSインデックススコアが含まれる。所定の腫瘍タイプに関して、EMTGSインデックススコア閾値がひとたび決定されたら、その閾値を適用して、その腫瘍タイプの腫瘍由来のEMTGSインデックススコアを解釈してもよい。
[126]ROC曲線解析を、本質的に以下のように実行する。閾値より大きいEMTGSインデックススコアを持つ任意のサンプルを非応答者と同定する。閾値未満のまたは閾値と等しいEMTGSインデックススコアを持つ任意のサンプルを応答者と同定する。サンプルの試験したセット由来のすべてのEMTGSインデックススコアに関して、「応答者」および「非応答者」(仮定コール)は、EMTGSインデックススコアを用いて、閾値と分類される。このプロセスは、各潜在的閾値に関して、データセットに関する実際の反応データに対して仮定コールを比較することを通じて、TPR(yベクトル)およびFPR(xベクトル)の計算を可能にする。次いで、ドットプロットを作製し、TPRベクトルおよびFPRベクトルを用いることによって、ROC曲線を構築する。ROC曲線が、(0,0)点から(1.0,0.5)点の対角線より上である場合、EMTGS試験結果は、ランダム.EDITより優れた試験であることが示される。
[127]ROC曲線を用いて、最適な動作点を同定することも可能である。最適な動作点は、偽陰性のコストに対する偽陽性のコストの間の最適なバランスを生じるものである。これらのコストは等しい必要はない。ROC空間における点x、yでは、分類の平均期待コストは、式、C=(1−p)アルファ*x+p*ベータ(1−y)によって示され、式中:アルファ=偽陽性のコスト、ベータ=陽性を失うコスト(偽陰性)、およびp=陽性症例の比率である。
[128]アルファおよびベータに関して異なる値を割り当てることによって、偽陽性および偽陰性に異なって加重することも可能である。例えば、非反応者である、より多くの患者を治療するコストを払って、反応者群により多くの患者を含めると決めた場合、アルファにより加重することも可能である。この場合、偽陽性および偽陰性のコストは同じであると仮定される(アルファがベータに等しい)。したがって、ROC空間における点x、yでの分類の平均期待コストは:C’=(1−p)*x+p*(1−y)である。偽陽性および偽陰性のすべての対(x,y)を用いた後、最小のC’を計算することも可能である。最適EMTGSインデックススコア閾値は、C’での(x,y)のEMTGSインデックススコアとして計算される。
[129]腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に反応性であるかまたは耐性であるかを予測するのに加えて、EMTGSインデックススコアは、腫瘍が反応性であるかまたは非反応性である可能性がどのくらいかに関して、およそであるが有用な指標を提供する。一般的に、EMTGS測定のためにqPCRを用いる際、EMTGSインデックススコアが低ければ低いほど、腫瘍はEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に反応性であるはずであり、そしてEMTGSインデックススコアが高ければ高いほど、腫瘍はEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に耐性であるはずである。
[130]本発明は、癌患者を治療する方法であって:ヒト腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤での治療に対して反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定するための本明細書開示の任意の方法を用いて、患者がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いかどうかを決定し、そして患者がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。本方法の1つの態様において、EGFRキナーゼ阻害剤はエルロチニブを含む。
[131]本発明は、癌患者を治療する方法であって:ヒト腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤での治療に対して反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定するための本明細書開示の任意の方法を用いて、患者がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。本方法の1つの態様において、EGFRキナーゼ阻害剤はエルロチニブを含む。
[132]本発明は、癌患者を治療する方法であって:ヒト腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に対して反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定するための本明細書開示の任意の方法を用いて、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いかどうかを決定し、そして患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。本方法の1つの態様において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。
[133]本発明は、癌患者を治療する方法であって:ヒト腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に対して反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定するための本明細書開示の任意の方法を用いて、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。本方法の1つの態様において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。
[134]本発明は、腫瘍細胞増殖、または腫瘍増殖が、EGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害されるかどうかを予測する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして前記EMTGSインデックススコアが、EGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害される参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、またはEGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害されない参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、腫瘍増殖がEGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害されるかどうかを予測する工程を含む、前記方法をさらに提供する。本方法の1つの態様において、EGFRキナーゼ阻害剤はエルロチニブを含み、そしてIGR−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。
[135]本発明は、腫瘍増殖が、患者において、EGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害されるかどうかを予測する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして前記EMTGSインデックススコアが、EGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害される可能性が高いことを示すと定義された閾値より上であるか、または前記閾値より下であり、そしてしたがって、腫瘍増殖がEGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害されるかどうかを予測する工程を含む、前記方法をさらに提供する。本方法の1つの態様において、EGFRキナーゼ阻害剤はエルロチニブを含み、そしてIGR−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。この方法は、癌患者が、単に単一の剤としての阻害剤よりも、EGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせでの治療から利益を受ける可能性があり、そして単一剤に対する耐性の度合いが発展している場合には、特に有用でありうるかどうかを、医師が決定するのを補助する。
[136]本発明は、腫瘍増殖阻害特性が腫瘍細胞のEMT状態に依存する化合物による阻害に対する、腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法であって:本明細書開示の任意の方法によって腫瘍細胞のEMT状態を同定し;そして阻害剤化合物による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する、ここで腫瘍細胞EMT状態が上皮である場合、阻害剤化合物による阻害に対する高い感受性が予測され、そして腫瘍細胞EMT状態が間葉である場合、阻害剤化合物による阻害に対する低い感受性が予測される、前記方法をさらに提供する。本方法の1つの態様において、腫瘍増殖阻害特性が腫瘍細胞のEMT状態に依存する化合物は、EGFRキナーゼ阻害剤である。本方法の別の態様において、腫瘍増殖阻害特性が腫瘍細胞のEMT状態に依存する化合物は、EGFRキナーゼ阻害剤である。
[137]本発明は、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を同定する方法であって、スクリーニングしようとする試験化合物と、上皮腫瘍細胞株の細胞サンプルを接触させ、腫瘍細胞において上皮間葉転換を誘導する剤とサンプルを接触させ、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を、試験化合物と接触させていない腫瘍細胞の同一サンプルにおけるEMT状態に比較することによって、サンプル中の腫瘍細胞が上皮間葉転換を経るのを阻害するかどうかを決定し、ここで腫瘍細胞のEMT状態を、その目的のための本明細書開示の任意の方法によって決定する、そしてしたがって、試験化合物が、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物であるかどうかを決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[138]本発明の方法において、腫瘍細胞において、上皮間葉転換を誘導する剤は、特定の腫瘍細胞タイプにおいてEMTを誘導することが知られるいかなる剤であってもよい。腫瘍細胞のこうした剤に対する感受性は多様である。こうしたEMT誘導剤の例には、HGF、WNT経路アゴニスト、ソニックヘッジホッグ(SHH)経路の活性化剤、TGF−ベータ(例えばTGFβ1、TGFβ2、TGFβ3)、TNF−アルファ、オンコスタチンM(OSM)、LPA(リゾホスファチジン酸)、およびILEIが含まれる。
[139]本発明の方法において、上皮腫瘍細胞を、腫瘍細胞における上皮間葉転換を阻害する際の活性に関してスクリーニングしようとする試験化合物と接触させる際、化合物は、例えば、本明細書に上述するものなど、その活性化がEMTを誘導することが知られる生物学的経路の1つに関与するタンパク質(または腫瘍細胞において該タンパク質をコードする遺伝子の発現)に対する阻害活性を有するものであってもよい。こうしたタンパク質の例には、プロテインキナーゼPAK1(GeneID:5058)、PAK2(GeneID:5062)、オーロラA(GeneID:6790)、ACK1(別称TNK2;GeneID:10188)、SRC(GeneID:6714)、TAK1(GeneID:7182)およびMET(GeneID:4233);ヒストンデアセチラーゼ(HDAC;例えばHDAC1〜10のいずれか);LPA受容体;SHH(ソニックヘッジホッグ)シグナル伝達経路を刺激する際の活性を有するタンパク質、WNTシグナル伝達経路を刺激する際の活性を有するタンパク質、SHH経路受容体Smoothened(SMO;GeneID:6608)、SHH経路受容体Patched(PTCH1;GeneID:5727);WNT経路受容体(例えばFrizzled受容体1〜10、LRP5、LRP6);Frizzled共受容体;TGF−ベータ受容体;TNF−アルファ受容体;およびOSM受容体が含まれる。これらのタンパク質の活性を阻害する多くの化合物または抗体が、すでに知られており、そしてハイスループットスクリーン(HTS)を含む、生化学的アッセイまたはスクリーンにおいて、さらなる化合物が容易に同定される。
[140]腫瘍細胞が上皮間葉転換を経るのを阻害する化合物を同定するための本明細書開示の方法はまた、EMT転換から部分的に生じる線維性障害の治療のための剤を同定する際にも有用であり、こうした障害には、限定されるわけではないが、腎線維症、肝線維症、肺線維症、および中皮腫が含まれる。これらの疾患において、正常に機能している肺、腎臓および肝臓細胞が、筋線維芽細胞に転換されうる。したがって、腫瘍細胞に関して本明細書に記載する任意の方法はまた、EMTを経る線維性疾患に関与する他の細胞タイプにも適用可能であろう。同様に、抗癌剤の同定に有用であると本明細書に記載する任意の発明はまた、線維症を伴う疾患を治療するための抗線維症剤の同定にも有用であろう。
[141]本発明は、間葉様腫瘍細胞を刺激して、間葉上皮転換を経るようにする化合物を同定する方法であって、上皮腫瘍細胞株の細胞サンプルを、腫瘍細胞において上皮間葉転換を誘導する剤と接触させ、スクリーニングしようとする試験剤と細胞サンプルを接触させ、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を、試験化合物と接触させていない腫瘍細胞の同一サンプルにおけるEMT状態と比較することによって、サンプル中の間葉様腫瘍細胞が間葉上皮転換を経るのを試験化合物が刺激するかどうかを決定し、ここで腫瘍細胞のEMT状態をその目的のための本明細書開示の任意の方法によって決定する、そしてしたがって、試験化合物が、腫瘍細胞が間葉上皮転換を経ることを刺激する化合物であるかどうかを決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[142]本発明は、上皮間葉転換を経た腫瘍細胞を阻害する剤を同定する方法であって、腫瘍細胞において上皮間葉転換を誘導する剤と、上皮腫瘍細胞株の細胞サンプルを接触させ、ここで間葉様表現型は、その目的のための本明細書開示の任意の方法によって決定され、スクリーニングしようとする試験剤を細胞サンプルと接触させ、試験剤が間葉様腫瘍細胞増殖を阻害するかどうかを決定し、そしてしたがって上皮間葉転換を経た腫瘍細胞の増殖を阻害する剤であるかどうかを決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。この方法の1つの態様は、試験剤が、上皮間葉転換を経た腫瘍細胞の増殖を阻害するかどうかを決定する工程の後に、間葉様腫瘍細胞増殖を阻害する剤がまた、上皮腫瘍細胞増殖も阻害するかどうかを決定し、そしてしたがって該剤が、上皮間葉転換を経た腫瘍細胞の増殖を特異的に阻害する剤であるかどうかを決定するさらなる工程を含む。本方法のさらなる態様において、試験剤が間葉様腫瘍細胞増殖を阻害するかどうかを決定する工程のため、試験剤が、前記腫瘍細胞のアポトーシスを刺激することによって、阻害を行うことを決定する。本方法のさらなる態様において、試験剤が間葉様腫瘍細胞増殖を阻害するかどうかを決定する工程のため、試験剤が、前記腫瘍細胞の増殖を阻害することによって、阻害を行うことを決定する。
[143]本発明は、本明細書開示の剤を同定する任意の方法であって、上皮腫瘍細胞株の細胞サンプルが動物(例えばヌードマウス)において成長する異種移植片である、前記方法をさらに提供する。
[144]本発明は、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物での治療から利益を受けうる癌患者を同定する方法であって;患者から腫瘍細胞サンプルを得て、該サンプルにおける、SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、およびZEB2のRNA転写物、またはその発現産物の発現レベルを測定し;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてEMTインデックススコアが間葉表現型の細胞により似ている場合、患者を、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物での治療から利益を受けうる患者であると同定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。本方法の1つの態様において、上皮間葉転換を経ることから腫瘍細胞を阻害する化合物を含む薬学的組成物はさらに、EGFRキナーゼの阻害剤を含む。本方法の別の態様において、上皮間葉転換を経ることから腫瘍細胞を阻害する化合物を含む薬学的組成物はさらに、IGF−1Rキナーゼの阻害剤を含む。
[145]本発明は、腫瘍細胞が上皮間葉転換(EMT)を経ることを阻害する化合物で治療されている癌患者を監視して、阻害剤が腫瘍細胞のEMTを阻害するのに有効かどうかを決定する方法であって:(a)患者から腫瘍細胞サンプルを得て、(b)該サンプルにおける、SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2のRNA転写物、またはその発現産物の発現レベルを測定し;(c)共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;(d)前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてEMTインデックススコアが間葉表現型の細胞により似ている場合、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物での治療から、利益を受けうる患者であると同定し;(e)腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物の療法的有効量を、治療から利益を受けうる前記患者に投与し;そして(f)患者から腫瘍細胞の別のサンプルを得て、そしてEMT阻害剤の投与が、工程(c)で測定したものよりも、EMTインデックススコアを増加させて、上皮表現型の細胞のものとより似たものにしているかどうかを決定し、そしてしたがって、化合物が、腫瘍細胞のEMTを阻害するのに有効であるかどうかを決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[146]本発明は、癌患者において、腫瘍または腫瘍転移を治療するための方法であって:その目的のための本明細書開示の任意の方法を用いて、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ているかどうかを評価することによって、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者のありうる反応性を診断し、そして前記患者に、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[147]本発明は、癌患者において、腫瘍または腫瘍転移を治療するための方法であって:その目的のための本明細書開示の任意の方法を用いて、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ているかどうかを評価することによって、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者のありうる反応性を診断し、そして前記患者に、療法的有効量のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[148]本発明は、癌患者において、腫瘍または腫瘍転移を治療するための方法であって:その目的のための本明細書記載の任意の方法を用いて、EMTの阻害剤での治療から利益を受けうる患者であると同定し、そして前記患者に、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。この方法の1つの態様において、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物は、さらに、EGFRキナーゼの阻害剤を含む。本方法の別の態様において、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物は、さらに、IGF−1Rキナーゼの阻害剤を含む。
[149]本発明の方法で使用可能なEMT阻害剤化合物の例には、EMT誘導剤のアンタゴニスト、TGF−ベータ・アンタゴニストまたはTGF−ベータ受容体アンタゴニスト(例えば:抗TGF−ベータおよび抗TGF−ベータ受容体抗体、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール(SB 203580);4−[4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−5−(2−ピリジル)−1H−イミダゾール−2−イル]−ベンズアミド(SB431542);および同様の活性またはより活性であるこうした化合物の類似体または相同体)、MET、FAK、TAK1、ILK、SRC、FYNまたはYESプロテインキナーゼの阻害剤、およびカルパイン阻害剤が含まれる。こうした化合物のさらなる例には、米国特許出願12/791,047、米国公開特許出願US2009/197862におけるもの、ダサチニブ(N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−[[6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−メチル−4−ピリミジニル]アミノ]−5−チアゾールカルボキサミド一水和物)、AZD0530、PF573228(3,4−ジヒドロ−6−[[4−[[[3−(メチルスルホニル)フェニル]メチル]アミノ]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリミジニル]アミノ]−2(1H)−キノリノン)、NVP−TAE226、NVP−TAC544、ARQ 197(Arqule)、PND−1186、PF2362376(Pfizer)、PF−562,271(Pfizer)、PF−2,341,066(Pfizer)、CE−355621抗c−MET抗体、PHA665752(Pfizer)、およびPF−3,814,735(Pfizer)が含まれる。
[150]本発明はさらに、複数の腫瘍細胞サンプル各々における、腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:腫瘍細胞サンプル各々において、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、各腫瘍サンプルに関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして腫瘍細胞サンプル各々に関して、前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、各腫瘍細胞サンプルのEMT状態を決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。この方法を、例えば、患者集団における上皮および間葉様腫瘍の相対数を決定し、そしてしたがって、有効性が腫瘍細胞のEMT状態に依存する抗癌剤(例えばEGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、例えばエルロチニブまたはOSI−906)によって、この群の患者が有効に治療される可能性を予測するために用いることも可能である。本方法の特定の態様において、複数の腫瘍細胞サンプルは、例えば1〜10、10〜20、20〜30;30〜40;40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜1000、または1000〜10000の範囲中の任意の数であってもよい。
[151]本発明は、以下の遺伝子:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、およびZEB2の各々に対するプライマー対からなるPCRプライマーセットをさらに提供する。
[152]本発明は、固相表面およびプローブセットからなるDNAマイクロアレイチップであって、前記プローブセットが、以下の遺伝子:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、およびZEB2の各々に特異的なプローブからなる、前記DNAマイクロアレイチップをさらに提供する。
[153]本発明の方法において、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物は、EMTを阻害しても、またはMETの逆プロセスを刺激してもよい。「上皮間葉転換の阻害」は、特定の機構を暗示せず、単に、こうした化合物によって、細胞の上皮表現型が維持されるか、または再確立される。
[154]本発明の方法において、「腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物」は、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する1つまたは多数の化合物を含んでもよい。多数の化合物は、異なるEMT遺伝子セットを調節することによって、互いに補完してもよい。例えば、1つの化合物がEMTに関与する遺伝子のサブセットを調節し、一方、第二の化合物が他のセットを調節して、合わせた効果が腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることのより有効な阻害であってもよい。本明細書に開示する88EMTGSおよび他のEMTGSを用いて、EMTGS内のどの遺伝子の発現が、任意の所定のEMT誘導因子によって調節され、そしてしたがってまた、どの遺伝子の発現がEMT阻害剤化合物によって影響を受けるのかを決定してもよい。したがって、その発現の調節がEMT阻害剤の作用に非常に重要であるEMTGS遺伝子サブセットを同定することが可能である。この遺伝子サブセットの発現評価を用いて、腫瘍細胞に対する、例えば腫瘍生検における化合物の影響を監視して、そして腫瘍細胞に関するEMTGSからインデックススコアを得ることによって、定量化してもよい。
[155]したがって、本発明は、阻害剤化合物での治療に対するヒト腫瘍の反応を監視して、阻害剤が腫瘍細胞におけるEMTを阻害するのに有効かどうかを決定する方法であって:腫瘍細胞サンプルにおいて、特定の生物学的機構を通じて作用するEMT阻害剤化合物によってEMTが阻害された際に協調して制御されると決定されている遺伝子群からなり、そしてその機構を通じた阻害に特徴的である、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを、前記治療の前および後の両方で測定し;共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記治療の前および後の両方由来の前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして参照上皮腫瘍細胞および参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに比較した、前記治療の前および後の両方由来の該EMTGSインデックススコアの相違の度合いから、阻害剤化合物での治療が腫瘍細胞中のEMTを阻害するのに有効であるかどうかを決定する工程を含む、前記方法をさらに提供する。この方法の1つの態様において、阻害剤化合物は、METキナーゼ阻害剤であり、そしてEMTGSは以下の遺伝子:CYP4X1、FOSB、MMP9、VIM、CLDN3、EHF、ELF3、ERBB3、HOPX、MMP7、OCLN、PLXNB1、SCNN1A、TJP3、TMEM125、TMEM45B、およびVWFから本質的になる。この方法の別の態様において、阻害剤化合物は、FAKキナーゼ阻害剤であり、そしてEMTGSは以下の遺伝子:AP1M2、BSPRY、CDH1、CLDN3、EHF、ELF3、ERBB3、MPZL2、MAP7、OCLN、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SLC27A2、SPDEF、TJP3、TMEM125、およびTMEM45Bから本質的になる。この方法のさらなる態様において、阻害剤化合物は、TAK1キナーゼ阻害剤であり、そしてEMTGSが以下の遺伝子:FOSB、IL8、ITGB3、MMP9、MSLN、SERPINE1、SNAI2、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、TJP3、およびXBP1から本質的になる。これらの方法のいずれにおいても、EMTGSインデックススコアを引き出すために用いるアルゴリズムは、本明細書の以下に定義するようなアルゴリズムAまたはアルゴリズムAであってもよい。
[156]本発明はさらに、以下の遺伝子:CYP4X1、FOSB、MMP9、VIM、CLDN3、EHF、ELF3、ERBB3、HOPX、MMP7、OCLN、PLXNB1、SCNN1A、TJP3、TMEM125、TMEM45B、およびVWFの各々に関するプライマー対からなるPCRプライマーをさらに提供する。
[157]本発明は、固相表面およびプローブセットからなるDNAマイクロアレイチップであって、前記プローブセットが、以下の遺伝子:CYP4X1、FOSB、MMP9、VIM、CLDN3、EHF、ELF3、ERBB3、HOPX、MMP7、OCLN、PLXNB1、SCNN1A、TJP3、TMEM125、TMEM45B、およびVWFの各々に特異的なプローブからなる、前記DNAマイクロアレイチップをさらに提供する。
[158]本発明はさらに、以下の遺伝子:AP1M2、BSPRY、CDH1、CLDN3、EHF、ELF3、ERBB3、MPZL2、MAP7、OCLN、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SLC27A2、SPDEF、TJP3、TMEM125、およびTMEM45Bの各々に関するプライマー対からなるPCRプライマーをさらに提供する。
[159]本発明は、固相表面およびプローブセットからなるDNAマイクロアレイチップであって、前記プローブセットが、以下の遺伝子:AP1M2、BSPRY、CDH1、CLDN3、EHF、ELF3、ERBB3、MPZL2、MAP7、OCLN、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SLC27A2、SPDEF、TJP3、TMEM125、およびTMEM45Bの各々に特異的なプローブからなる、前記DNAマイクロアレイチップをさらに提供する。
[160]本発明はさらに、以下の遺伝子:FOSB、IL8、ITGB3、MMP9、MSLN、SERPINE1、SNAI2、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、TJP3、およびXBP1の各々に関するプライマー対からなるPCRプライマーセットをさらに提供する。
[161]本発明は、固相表面およびプローブセットからなるDNAマイクロアレイチップであって、前記プローブセットが、以下の遺伝子:FOSB、IL8、ITGB3、MMP9、MSLN、SERPINE1、SNAI2、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、TJP3、およびXBP1の各々に特異的なプローブからなる、前記DNAマイクロアレイチップをさらに提供する。
[162]阻害剤化合物での治療に対するヒト腫瘍の反応性を監視して、阻害剤が腫瘍細胞におけるEMTを阻害するのに有効かどうかを決定する任意の方法の態様において、腫瘍細胞は、癌患者由来の腫瘍由来であってもよい。これらの任意の方法の1つの態様において、腫瘍細胞サンプルは、腫瘍生検由来であるか、または循環腫瘍細胞を含有する血液サンプル由来である。腫瘍細胞は、例えば、NSCL癌、乳癌、結腸直腸癌、または膵臓癌腫瘍細胞であってもよい。
[163]例えば、EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いヒト腫瘍の同定に関与する、本明細書記載の本発明の特定の態様において、EMTGSは、HUGO遺伝子記号によって表1に列挙される88遺伝子からなるか、これらから本質的になるか、またはこれらで構成される。これらの遺伝子を図36および37により詳細に記載する。
[164]EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤から最も利益を得る患者集団のみが治療される必要があり、そして特に、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療から利益を得ないと予測される患者は治療される必要がない点で、治療措置の一部として、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での癌患者の治療の有効性を予測する、本明細書記載の任意の診断法を包含することは、こうした診断工程を含まない治療措置に勝る利点を提供する。
[165]本発明は、癌患者を治療するための方法であって:EGFRキナーゼ阻害剤の有効性を予測するための本明細書記載の本発明の任意の方法によって、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者のありうる反応性を診断する工程;および該患者に、療法的有効用量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[166]本明細書記載の患者を治療する任意の方法の1つの態様において、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の療法的有効用量を患者に投与する工程は、治療がより有効であることを示す、先のバイオマーカー診断工程を条件とする。本明細書記載の患者を治療する任意の方法の別の態様において、先のバイオマーカー診断工程が、治療が特に有効である可能性が高くないと予測する場合であっても、患者にEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の療法的有効用量を投与する。例えば医師の判断において、何らかの利益がなお、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の投与によって達成される可能性があり、そして/または患者に対する他のオプションが限定されているかまたは存在しない場合には、後者の態様を追求してもよい。
[167]本明細書記載のEGFRキナーゼ阻害剤での治療法のため、好ましいEGFRキナーゼ阻害剤の例は、薬理学的に許容されうる塩またはその多形を含む、エルロチニブである。個々の患者に属する任意のさらなる環境と組み合わせて、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者のありうる反応性が予測されるならば、投与する医師によって適切であると判断されるように、1またはそれより多いさらなる抗癌剤または治療もまた、EGFRキナーゼ阻害剤とともに、同時にまたは連続して共投与してもよい。
[168]本明細書記載のIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療法のため、好ましいIGF−1Rキナーゼ阻害剤の例は、薬理学的に許容されうる塩またはその多形を含む、OSI−906である。個々の患者に属する任意のさらなる環境と組み合わせて、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者のありうる反応性が予測されるならば、投与する医師によって適切であると判断されるように、1またはそれより多いさらなる抗癌剤または治療もまた、IGF−1Rキナーゼ阻害剤とともに、同時にまたは連続して共投与してもよい。
[169]したがって、医学業の当業者には、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者のありうる反応性の診断の後に、前記患者に、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を投与する正確な投与方式は、主治医の裁量によることが認識されるであろう。投与様式は、投薬量、他の抗癌剤との組み合わせ、投与のタイミングおよび頻度等を含め、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者のありうる反応性の診断、ならびに患者の状態および病歴によって、影響を受ける可能性もある。したがって、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤によく反応しないと診断された患者であってもなお、特に、他の抗癌剤、あるいはEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の反応を改変しうる剤と組み合わせた場合には、こうした阻害剤での治療から利益を受ける可能性もある。
[170]本明細書記載の本発明の任意の方法において、「患者の腫瘍細胞によって発現される遺伝子(例えばE−カドヘリン、ビメンチン)の発現レベルを評価する」工程は、さらなる工程、例えば以下の工程の1またはそれより多くを含んでもよい:1.癌患者から腫瘍サンプルを得て;2.腫瘍サンプル、またはそこから精製されたサンプルを、抗バイオマーカー抗体、バイオマーカープローブ、またはPCRプライマーと接触させ;そして3.検出法(例えば色素原;蛍光)を使用して、腫瘍サンプルにおける抗体またはプローブ結合部位を位置決定し、そして定量化する。
[171]本発明の任意の方法における、上皮または間葉様腫瘍細胞のEMTGSインデックススコアにより類似であるとする患者腫瘍細胞のEMTGSインデックススコアの評価は、参照または対照腫瘍細胞サンプルのインデックススコアの値に対する比較によって、決定可能であり、ここでこの対照腫瘍細胞スコアは、上皮または間葉様表現型と先に相関づけられている。あるいは、ある範囲のインデックススコアに相当する、そしてしたがってある範囲の表現型、例えば100%上皮から100%間葉の範囲の、こうした参照腫瘍細胞サンプルのパネルを用いて、試験腫瘍細胞サンプルのインデックススコアから表現型が予測可能であるような、標準曲線を構築することも可能である。
[172]本明細書において、用語「より似ている」は、通常の意味を有する。患者由来の腫瘍細胞は、例えば100%上皮である腫瘍細胞から、100%間葉である腫瘍細胞まで、細胞の表現型を反映するインデックススコアの範囲を有するであろう。こうした範囲の端由来の腫瘍細胞は、EMT状態に関して性質決定する必要がある腫瘍細胞サンプルに比較するための、参照腫瘍細胞として利用可能である。したがって、腫瘍細胞は、インデックススコアが上皮または間葉細胞に関する値にはるかに近い(例えば、参照細胞インデックススコアに、2つの参照細胞インデックススコアの間の相違の度合いの10%、20%、30%、40%、または50%未満の任意の値を加えるかまたは減じたもの)場合、これらの2つの表現型の一方または他方により類似であろうし、そしてインデックススコアが範囲の中央にある場合、中間の表現型と見なされるであろう。こうした中間の表現型は、例えば、転移可能腫瘍細胞型、あるいは上皮から間葉に、またはその逆に活発に転換している腫瘍細胞に関して予期されるであろう。本発明の方法において、参照細胞として使用可能な上皮または間葉様腫瘍細胞の例には、上皮または間葉として特徴付けられている腫瘍細胞(例えば形態学的、バイオマーカー、および/または表現型状態によって、判断されるように)、あるいは本明細書記載のものの多くを含めて、同様に性質決定されている腫瘍細胞株が含まれる。例えば、本明細書記載の腫瘍細胞EMTモデルの1つ(例えばH358 NSCLC腫瘍細胞;別名、NCI−H358TMまたはCRL−5807)を用いて参照細胞を提供してもよく、ここで上皮参照細胞は未刺激腫瘍細胞であり、そして間葉様参照細胞は外因性リガンドによって、またはEMT誘導剤(例えば活性化TGF−ベータ、転写因子snail)をコードするトランスフェクション遺伝子の誘導によって、EMT誘導された後の腫瘍細胞である。参照腫瘍細胞は、好ましくは、分析されているサンプル腫瘍細胞と同じかまたは類似の組織タイプである。さらなる適切な参照腫瘍細胞には、例えば、上皮である肺腫瘍細胞H441、H322、およびH292、ならびにどちらも間葉様であるH1703およびH460;どちらも上皮である***腫瘍細胞MCF7およびT47D、ならびにどちらも間葉様であるBT−549およびMDA−MB−231;すべて上皮である膵臓腫瘍細胞CFPAC1、HPAC、およびBxPC3、ならびにどちらも間葉様であるA1165およびPANC1;ならびにすべて上皮であるCRC腫瘍細胞HCT−15、SW480、HCT8、ならびに間葉様であるSW620が含まれる。サンプル腫瘍細胞のインデックススコアが、感受性および耐性参照細胞の間の範囲の外に属する場合、明らかに、サンプルスコアの範囲外にある範囲の側の参照細胞により類似であろう。
[173]当業者には、参照腫瘍細胞サンプル(例えば上皮または間葉)は、すべてのアッセイに関して、アッセイを行う間に確立する必要はなく、むしろ、上皮および間葉腫瘍細胞(または患者反応者および非反応者)の間を区別する、先に決定された単数のインデックススコア(または複数のスコア)に関する貯蔵された情報の一種を参照することによって、ベースラインまたは参照を確立することも可能である。こうした貯蔵された情報の一種には、限定されるわけではないが、感受性および耐性腫瘍または患者に関する集団または個々のデータの参照チャート、リストまたは電子ファイル、あるいは評価しようとする患者または腫瘍細胞に有用である、腫瘍細胞感受性または耐性に関するEMTインデックス値のカットオフレベルに関するデータの任意の他の供給源が含まれることも可能である。
[174]本発明はさらに、癌患者を治療するための方法であって:患者腫瘍サンプルを得て、サンプルの腫瘍細胞がEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を予測するEMTGSインデックス値を有するかどうかを決定することによって、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療から利益を受ける可能性が最も高い癌患者を同定し、そしてEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の療法的有効用量を患者に投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[175]本明細書(例えば図36および37中)に列挙するNCBI GeneID番号は、NCBI Entrez Geneデータベース記録由来のヒト遺伝子のユニークな同定因子である(National Center for Biotechnology Information (NCBI), U.S. National Library of Medicine, 8600 Rockville Pike, Building 38A, Bethesda, MD 20894;インターネット・アドレス http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。本明細書において、これらを用いて、名称および/または頭字語によってアプリケーションにおいて参照される遺伝子を明白に同定する。こうして同定される遺伝子によって発現される遺伝子産物(例えばmRNA、タンパク質)は、本発明の方法において使用可能である産物に相当し、そしてNCBIデータベース(例えばGENBANK(登録商標))記録中に開示されるようなこれらの産物の配列は、異なるアイソフォームを含めて、本明細書に援用される。同様に、Ensemble GeneID番号(例えば図36および37中)は、EMBL−EBIおよびSanger Centre共同研究によって用いられるヒト遺伝子のユニークな同定因子である。
[176]本発明の方法において、癌患者の腫瘍細胞は、好ましくは、EGFRまたはIGF−1Rキナーゼを発現することが知られるかまたは期待されるタイプのものであり、上皮細胞系譜由来の固形腫瘍由来の大部分の腫瘍細胞が当てはまる。こうした腫瘍細胞には、例えば、肺癌腫瘍(例えば非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌腫瘍、乳癌腫瘍、頭頸部癌腫瘍、胃癌腫瘍、結腸癌腫瘍、卵巣癌腫瘍、または本明細書において、以下に記載するような多様な他の癌いずれか由来の腫瘍細胞が含まれる。これらの腫瘍細胞のEGFRキナーゼは、野生型または突然変異型であってもよい。
[177]本発明の方法において、EGFRキナーゼ阻害剤は、以下に記載するような、任意のEGFRキナーゼ阻害剤であってもよい。1つの態様において、EGFRキナーゼ阻害剤は、薬理学的に許容されうる塩または多形を含む、6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリン−4−イル]−(3−エチニルフェニル)アミン(エルロチニブ、OSI−774、またはタルセバ(登録商標)(すなわちエルロチニブHCl))である。
[178]本発明の方法において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、以下に記載するような、任意のIGF−1Rキナーゼ阻害剤であってもよい。1つの態様において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、薬理学的に許容されうる塩または多形を含む、シス−3−[8−アミノ−1−(2−フェニル−キノリン−7−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル]−1−メチル−シクロブタノール(OSI−906としても知られる)である。
[179]本発明の方法において、好ましくは腫瘍生検をアッセイすることによって腫瘍細胞遺伝子の発現レベルを評価する。しかし、別の態様において、腫瘍から生じる腫瘍細胞の検出可能なレベルを含有する体液または排出物において、腫瘍細胞遺伝子の発現レベルを評価してもよい。本発明で有用な体液または排出物には、血液、尿、唾液、糞便、胸水、リンパ液、痰、腹水、前立腺液、脳脊髄液(CSF)、あるいは任意の他の体性分泌物または派生物が含まれる。血液によって、全血、血漿、血清または任意の血液派生物が含まれると意味される。こうした体液または排出物における腫瘍細胞遺伝子の評価は、ときに、侵襲性サンプル採取法が不適切であるかまたは不都合である状況において好ましい可能性もある。腫瘍細胞遺伝子発現の評価のため、腫瘍細胞を含有する患者サンプル、あるいはこれらの腫瘍細胞によって産生されるタンパク質または核酸を、本発明の方法において用いてもよい。もちろん、サンプルにおける遺伝子発現を評価する前に、細胞サンプルを多様な周知の収集後調製技術および貯蔵技術に供してもよい(例えば核酸および/またはタンパク質抽出、固定、貯蔵、凍結、限外ろ過、濃縮、蒸発、遠心分離等)。同様に、腫瘍生検もまた、収集後調製技術および貯蔵技術、例えば固定に供してもよい。
[180]本発明の方法において、遺伝子発現レベルを決定するための当該技術分野に知られる標準的バイオアッセイ法のいずれを用いることによって、腫瘍細胞における遺伝子発現を評価してもよく、例えばバイオアッセイ法には、以下により詳細に記載するような、免疫組織化学(IHC)、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫沈降、イムノブロッティング、免疫蛍光顕微鏡、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、in situハイブリダイゼーション、cDNAマイクロアレイ、in vitro転写等が含まれる。
[181]本明細書に記載するような診断アッセイの一般的な原理は、発現された遺伝子産物を含有しうるサンプルまたは反応混合物、およびプローブを、適切な条件下で、そして産物およびプローブが相互作用してそして結合するのに十分な時間、調製し、こうして反応混合物またはサンプルにおいて除去し、そして/または検出することが可能な複合体を形成する工程を含む。これらのアッセイは多様な方式で実行可能である。例えば、こうしたアッセイを実行する1つの方法は、基盤とも称される固相支持体上に、発現された産物またはプローブを係留し、そして反応終了時に、固相上に係留されたターゲット産物/プローブ複合体を検出する工程を伴うであろう。こうした方法の1つの態様において、遺伝子産物の存在および/または濃度に関してアッセイしようとする被験体由来のサンプルを、キャリアーまたは固相支持体上に係留してもよい。別の態様において、逆の状況が可能であり、この場合、プローブを固相に係留し、そして被験体由来のサンプルをアッセイの係留されない構成要素として反応させてもよい。
[182]固相にアッセイ構成要素を係留するための多くの確立された方法がある。これらには、限定されるわけではないが、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲート化を通じて固定されるバイオマーカーまたはプローブ分子が含まれる。当該技術分野に知られる技術(例えばビオチン化キット、Pierce Chemicals、イリノイ州ロックフォード)を用いて、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から、こうしたビオチン化アッセイ構成要素を調製し、そしてストレプトアビジン・コーティング96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェル中に固定してもよい。特定の態様において、固定されたアッセイ構成要素を持つ表面をあらかじめ調製し、そして貯蔵してもよい。
[183]こうしたアッセイのための他の適切なキャリアーまたは固相支持体には、バイオマーカーまたはプローブが属する分子クラスに結合可能な任意の物質が含まれる。周知の支持体またはキャリアーには、限定されるわけではないが、ガラス、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、デキストラン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、および磁鉄鉱が含まれる。
[184]上述のアプローチでアッセイを行うため、固相上に非固定構成要素を添加し、それに際して、第二の構成要素が係留される。反応が完了したら、形成されたいかなる複合体も、固相上に固定されたままであるような条件下で、複合体化していない構成要素を除去してもよい(例えば洗浄によって)。固相に係留された、発現された産物/プローブ複合体の検出を、本明細書に概略する多くの方法において達成してもよい。
[185]1つの態様において、プローブが係留されないアッセイ構成要素である場合、アッセイの検出および読み取りのために、本明細書に論じ、そして当業者に周知の検出可能標識で、直接または間接的にプローブを標識してもよい。
[186]例えば、蛍光エネルギー移動(すなわち、FET、例えば、Lakowiczら、米国特許第5,631,169号; Stavrianopoulosら、米国特許第4,868,103号を参照されたい)を利用することによって、どちらの構成要素(バイオマーカーまたはプローブ)のさらなる操作または標識も伴わずに、産物/プローブ複合体形成を直接検出することもまた可能である。適切な波長の入射光で励起した際に、放出された蛍光エネルギーが、第二の「アクセプター」分子上の蛍光標識によって吸収され、これが次に吸収されたエネルギーによって、蛍光を生じることが可能であるように、第一の「ドナー」分子上のフルオロフォア標識を選択する。あるいは、「ドナー」タンパク質分子は、単に、トリプトファン残基の天然蛍光エネルギーを利用してもよい。「アクセプター」分子標識が、「ドナー」のものと区別可能であるように、異なる波長の光を放出する、標識を選択する。標識間のエネルギー移動の効率は、分子を分ける距離に関連するため、分子の間の空間的関係を評価することも可能である。分子間で結合が起こる状況において、アッセイにおける「アクセプター」分子標識の蛍光放出は最大であるはずである。当該技術分野に周知の標準的蛍光分析検出手段(例えば蛍光光度計を用いて)、FET結合事象を好適に測定することも可能である。
[187]別の態様において、リアルタイム生体分子相互作用分析(BIA)(例えばSjolander, S.およびUrbaniczky, C., 1991, Anal. Chem. 63:2338−2345、ならびにSzaboら, 1995, Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699−705を参照されたい)などの技術を利用することによって、いずれのアッセイ構成要素(プローブまたはバイオマーカー)も標識することなく、プローブがバイオマーカーを認識する能力の決定を達成してもよい。本明細書において、「BIA」または「表面プラズモン共鳴」は、反応体のいずれも標識することなく、リアルタイムで生体特異的相互作用を研究するための技術である(例えばBIAcore)。結合表面での質量の変化(結合事象の指標)は、表面近くでの光の屈折率の改変を生じ(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学的現象)、生物学的分子間のリアルタイム反応の指標として使用可能な検出可能シグナルを生じる。
[188]特定の態様において、当該技術分野に知られる方法を用いて、生物学的サンプルにおいて、in situによって、そしてin vitro形式によっての両方で、mRNAのレベルを決定してもよい。用語「生物学的サンプル」は、被験体から単離された、組織、細胞、生物学的液体およびその単離物、ならびに被験体内に存在する、組織、細胞および液体を含むように意図される。多くの発現検出法は、単離RNAを用いる。in vitro法のため、腫瘍細胞からのRNA精製のために、mRNAの単離に反するように選択しない任意のRNA単離技術を利用してもよい(例えば、Ausubelら監修, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York 1987−1999を参照されたい)。さらに、例えばChomczynskiの一工程RNA単離プロセス(1989、米国特許第4,843,155号)などの、当業者に周知の技術を用いて、多数の組織サンプルを容易にプロセシングすることも可能である。
[189]単離されたmRNAを、限定されるわけではないが、ノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析およびプローブアレイを含むハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイにおいて用いてもよい。mRNAレベルの検出のための1つの好ましい診断法は、検出しようとする遺伝子によってコードされるmRNAにハイブリダイズ可能な核酸分子(プローブ)と単離mRNAを接触させることを伴う。核酸プローブは、例えば、全長cDNA、またはその一部、例えば長さ少なくとも7、15、30、50、100、250または500ヌクレオチドであり、そして本発明のバイオマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAにストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドであってもよい。本発明の診断アッセイにおいて使用するための他の適切なプローブを本明細書に記載する。プローブとmRNAのハイブリダイゼーションは、問題のバイオマーカーが発現されていることを示す。
[190]1つの形式において、例えばアガロースゲル上で単離mRNAを泳動し、そしてニトロセルロースなどの膜にゲルからmRNAをトランスファーすることによって、mRNAを固体表面上に固定し、そしてプローブと接触させる。別の形式において、例えばAFFYMETRIX(登録商標)遺伝子チップアレイにおいて、プローブ(単数または複数)を固体表面に固定し、そしてmRNAをプローブ(単数または複数)に接触させる。当業者は、本発明のバイオマーカーにコードされるmRNAのレベルを検出する際に使用するため、既知のmRNA検出法を容易に適応させることも可能である。
[191]サンプル中のmRNAレベルを決定するための別の方法は、例えばRT−PCR(Mullis、1987、米国特許第4,683,202号に示される実験態様)、リガーゼ連鎖反応(Barany, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189−193)、自己維持配列複製(Guatelliら, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874−1878)、転写増幅系(Kwohら, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173−1177)、Q−ベータ・レプリカーゼ(Lizardiら, 1988, Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardiら、米国特許第5,854,033号)、または任意の他の核酸増幅法の後、当業者に周知の技術を用いて、増幅分子を検出することによる、核酸増幅プロセスを伴う。これらの検出スキームは、核酸分子が非常に少数しか存在しない場合に、こうした分子を検出するのに特に有用である。本明細書において、増幅プライマーを、遺伝子(それぞれプラス鎖およびマイナス鎖、またはその逆)の5’または3’領域にアニーリング可能であり、そしてその間に短い領域を含有する、核酸分子対と定義する。一般的に、増幅プライマーは、長さ約10〜30ヌクレオチドであり、そして長さ約50〜200ヌクレオチドの領域に隣接する。適切な条件下で、そして適切な試薬とともに、こうしたプライマーは、プライマーが隣接するヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能にする。
[192]in situ法に関しては、mRNAは、検出前に腫瘍細胞から単離される必要はない。こうした方法において、既知の組織学的方法を用いて、細胞または組織サンプルを調製し/プロセシングする。次いで、サンプルを支持体、典型的にはガラススライド上に固定し、そして次いでバイオマーカーをコードするmRNAにハイブリダイズ可能なプローブと接触させる。
[193]サンプル中のEMTシグネチャー遺伝子発現レベルを本発明にしたがって決定可能であるように、ヒト患者または動物モデルにおける腫瘍由来の組織サンプルをRNA供給源として用いてもよい。一般的に、腫瘍は癌腫であろう。慣用的な腫瘍生検装置および方法を用いることによって、組織サンプルを得てもよい。内視鏡生検、切除生検、切開生検、細針生検または吸引(FNA)、コア生検、パンチ生検、薄片生検および皮膚生検が、本発明を実施する際に使用するための腫瘍サンプルを得るために、当業者によって使用可能な認識される医学的方法の例である。腫瘍組織サンプルは、個々の遺伝子発現レベルを測定するのに十分なRNAを提供するために十分に大きくなければならない。
[194]巨視的解剖および/または顕微解剖法(例えばレーザー顕微解剖および圧カタパルティング(LMPC))を用いて、腫瘍から組織サンプルを得てもよい。例えばPALM(登録商標)マイクロビーム顕微鏡(P.A.L.M. Microlaser Technologies AG、ドイツ・ベルンリート);またはSL−Microtest UVレーザー顕微解剖系(Molecular Machines & Industries、スイス・グラットブルック))を用いて、正常組織細胞または間質細胞を除去することによって、腫瘍サンプルの腫瘍細胞集団を濃縮してもよい(例えばde Bruin EC.ら BMC Genomics. 2005 Oct 14;6:142; Dhal, E.ら Clinical Cancer Research July 2006 12; 3950; Funel, N.ら Laboratory Investigation (2008) 88, 773−784, doi:10.1038/labinvest.2008.40, オンライン公開2008年5月19日))。また、純粋な腫瘍細胞集団を生じるため、サンプルから初代腫瘍細胞培養を調製してもよい。
[195]腫瘍組織サンプルは、遺伝子発現分析、例えばRNA抽出および定量化を可能にする、いかなる形態であってもよい。したがって、組織サンプルは、新鮮であるか、適切な低温貯蔵技術を通じて保存されるか、または非低温貯蔵技術を通じて保存されてもよい。臨床生検サンプルを取り扱うための標準的なプロセスは、ホルマリン中で組織サンプルを固定し、そして次いで、パラフィン中に包埋することである。この形のサンプルは、一般的に、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織として知られる。続くRNA抽出のための組織調製および組織保存の適切な技術が当業者に周知である。
[196]EMT遺伝子シグネチャーにおける各遺伝子に関する個々の遺伝子発現レベルが、EMTインデックス値を計算するために用いられる入力値である。組織サンプルを得たら、EMT遺伝子シグネチャーにおける個々の遺伝子の発現レベルを決定する、すなわち測定する必要がある。任意の適切な方法によって、遺伝子発現レベルを決定してもよい。個々の発現を測定するための2つの例示的な方法が、以下に論じるDNAマイクロアレイ分析およびqRT−PCRである。これらの代替法のいずれに関しても必要条件はRNA単離である。
[197]真核mRNA、すなわちポリ(a)RNAを組織サンプルまたは培養細胞から迅速にそして効率的に抽出するための方法が、よく確立されており、そして当業者に知られる。例えば、Ausubelら, 1997, Current Protocols of Molecular Biology, John Wiley & Sonsを参照されたい。組織サンプルは、新鮮、凍結または固定パラフィン包埋(FFPE)臨床研究腫瘍サンプルであってもよい。一般的に、新鮮または凍結組織サンプルから単離されたRNAは、FFPEサンプル由来のRNAよりもより断片化されていない傾向がある。しかし、腫瘍材料のFFPEサンプルは、より容易に入手可能であり、そしてFFPEサンプルは、本発明の方法で使用するためのRNAの適切な供給源である。RT−PCRによる遺伝子発現プロファイリングのためのRNA供給源としてのFFPEサンプルの考察に関しては、例えば、Clark−Langoneら, 2007, BMC Genomics 8:279を参照されたい。また、De Andresら, 1995, Biotechniques 18:42044;およびBakerら、米国特許出願公報第2005/0095634号も参照されたい。RNA抽出および調製のための、業者の使用説明を含む、商業的に入手可能なキットの使用が広まっており、そして一般的である。多様なRNA単離製品および完全キットの商業的ベンダーには、Qiagen(カリフォルニア州バレンシア)、Invitrogen(カリフォルニア州カールスバッド)、Ambion(テキサス州オースティン)およびExiqon(マサチューセッツ州ウォバーン)が含まれる。
[198]一般的に、RNA単離は、組織/細胞破壊で始まる。組織/細胞破壊中、RNアーゼによってRNA分解を最小限にすることが望ましい。RNA単離プロセス中のRNアーゼ活性を制限する1つのアプローチは、細胞が破壊されたら直ちに、変性剤が細胞内容物と接触するのを確実にすることである。別の一般的な実施は、RNA単離プロセス中に1またはそれより多いプロテアーゼを含めることである。場合によって、新鮮な組織サンプルを収集したら直ちに、室温でRNA安定化溶液に浸す。安定化溶液は、細胞に迅速に浸透し、続く単離のため、4℃での貯蔵のためにRNAを安定化する。1つのこうした安定化溶液は、RNAlater(登録商標)(Ambion、テキサス州オースティン)として商業的に入手可能である。
[199]いくつかのプロトコルにおいて、塩化セシウム密度勾配遠心分離によって、破壊された腫瘍材料から総RNAを単離する。一般的に、mRNAは、総細胞RNAのおよそ1%〜5%を構成する。固定オリゴ(dT)、例えばオリゴ(dT)セルロースは、一般的に、リボソームRNAおよびトランスファーRNAからmRNAを分離するために用いられる。単離後に貯蔵する場合、RNAは、RNアーゼ不含状態で貯蔵されなければならない。単離RNAの安定した貯蔵のための方法が当該技術分野に知られる。RNAの安定した貯蔵のための多様な商業的製品が入手可能である。
[200]慣用的なDNAマイクロアレイ発現プロファイリング技術を用いて、多数の遺伝子に関するmRNA発現レベルを測定してもよい。DNAマイクロアレイは、ガラス、プラスチックまたはシリコンなどの固体表面または支持体に固定された、特定のDNAセグメントまたはプローブのコレクションであり、各々の特定のDNAセグメントは、アレイにおいて、既知の位置を占める。通常はストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下での、標識RNAサンプルとのハイブリダイゼーションによって、アレイ中の各プローブに対応するRNA分子の検出および定量化が可能になる。非特異的に結合したサンプル材料を除去するストリンジェントな洗浄の後、共焦点レーザー顕微鏡または他の適切な検出法によって、マイクロアレイをスキャンする。しばしば、DNAチップとして知られる現代的な商業的DNAマイクロアレイは、典型的には、数万のプローブを含有し、そしてしたがって、数万の遺伝子の発現を同時に測定可能である。こうしたマイクロアレイを本発明の実施に用いてもよい。あるいは、EMT遺伝子シグネチャーの遺伝子の発現を測定するのに必要である程度に少ないプローブに加えて、必要な対照または標準(データ規準化等のため)を含有するカスタムチップを、本発明の実施において用いてもよい。
[201]データ規準化を容易にするため、二色マイクロアレイ読み取り装置を用いてもよい。二色(二チャネル)系において、第一の波長で発光する第一のフルオロフォアでサンプルを標識し、一方、RNAまたはcDNA標準を、異なる波長で発光する第二のフルオロフォアで標識する。例えばCy3(570nm)およびCy5(670nm)は、二色マイクロアレイ系でしばしばともに使用される。
[202]DNAマイクロアレイ技術は、十分に開発され、商業的に入手可能であり、そして広く使用されている。したがって、本発明の方法を実行する際に、一般の当業者は、マイクロアレイ技術を使用して、過度な実験を行うことなく、EMT遺伝子シグネチャー中の遺伝子の発現レベルを測定することが可能である。DNAマイクロアレイチップ、試薬(RNAまたはcDNA調製、RNAまたはcDNA標識、ハイブリダイゼーションおよび洗浄溶液のためのもの)、装置(例えばマイクロアレイ読み取り装置)およびプロトコルが、当該技術分野に周知であり、そして多様な商業的供給源から入手可能である。マイクロアレイ系の商業的業者には、Agilent Technologies(カリフォルニア州サンタクララ)およびAffymetrix(カリフォルニア州サンタクララ)が含まれるが、他の系も使用可能である。
[203]慣用的な定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)技術を用いて、EMT遺伝子シグネチャー中の個々の遺伝子に相当するmRNAのレベルを測定してもよい。qRT−PCRの利点には、感度、柔軟性、定量的正確さ、および緊密に関連するmRNAの間を区別する能力が含まれる。定量的PCRのための組織サンプルプロセシングに関する指針は、qRT−PCRの商業的製品の製造者および業者(例えばQiagen(カリフォルニア州バレンシア)およびAmbion(テキサス州オースティン))を含む、多様な供給源から入手可能である。qRT−PCRの自動化実行のための装置系が商業的に入手可能であり、そして多くの実験室でルーチンに用いられる。周知の商業的系の例は、Applied Biosystems 7900HT迅速リアルタイムPCR系(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)である。
[204]単離mRNAを入手したら、RT−PCRによる遺伝子発現プロファイリングにおける第一の工程は、mRNAテンプレートをcDNAに逆転写することであり、次いで、cDNAをPCR反応において、指数関数的に増幅する。2つの一般的に用いられる逆転写酵素は、トリ(avilo)骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV−RT)およびモロニー・ネズミ白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV−RT)である。逆転写反応は、典型的には、特異的プライマー、ランダム六量体、またはオリゴ(dT)プライマーによってプライミングされる。適切なプライマーが商業的に入手可能であり、例えばGeneAmp(登録商標)RNA PCRキット(Perkin Elmer、マサチューセッツ州ウォルサム)がある。生じたcDNA産物を、続くポリメラーゼ連鎖反応のテンプレートとして用いてもよい。
[205]熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼを用いて、PCR工程を実行する。PCR系において最も一般的に用いられるポリメラーゼは、サーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)(Taq)ポリメラーゼである。PCRの選択性は、増幅のためにターゲティングされるDNA領域、すなわちEMT遺伝子シグネチャーの遺伝子から逆転写されたcDNAの領域に相補的なプライマーの使用から生じる。したがって、qRT−PCRを本発明で使用する場合、EMT遺伝子シグネチャー中の各遺伝子に特異的なプライマーは、遺伝子のcDNA配列に基づく。SYBR(登録商標)グリーンまたはTaqMan(登録商標)(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)などの商業的技術を、業者の使用説明にしたがって用いてもよい。ベータ−アクチンまたはGAPDHなどのハウスキーピング遺伝子のレベルを比較することによって、サンプル間の装填の相違に関して、メッセンジャーRNAレベルを規準化してもよい。mRNA発現レベルを、正常非腫瘍組織または細胞由来のmRNAなどの任意の単一の対照サンプルに比較して、表してもよい。あるいは、腫瘍細胞プール、腫瘍細胞株由来のmRNA、あるいは商業的に入手可能な対照mRNAセット由来のmRNAと比較して、表してもよい。
[206]過度な実験を伴わずに、当業者は、EMT遺伝子シグネチャー中の遺伝子の発現レベルのPCR分析に適したプライマーセットを設計し、そして合成することも可能である。あるいは、本明細書において、表1および図36〜37に示すように、EMT遺伝子シグネチャー中の遺伝子の同一性に基づいて、商業的供給源、例えばApplied Biosystemsから、本発明を実施するための完全PCRプライマーセットを購入してもよい。好ましくは、PCRプライマーは、長さ約17〜25ヌクレオチドである。融点(Tm)概算のための慣用的なアルゴリズムを用いて、特定のTmを有するプライマーを設計することも可能である。プライマー設計およびTm概算のためのソフトウェアは、商業的に入手可能であり、例えばPrimer ExpressTM(Applied Biosystems)があり、そしてまた、インターネット上でも入手可能であり、例えばPrimer3(マサチューセッツ工科大学)がある。PCRプライマー設計の確立された原理を適用することによって、多数の異なるプライマーを用いて、任意の所定の遺伝子の発現レベルを測定することも可能である。したがって、本発明は、EMT遺伝子シグネチャー中の任意の所定の遺伝子に関して、特定のプライマーを用いることに関して限定されない。
[207]本発明の別の態様において、発現されたタンパク質を検出する。本発明において発現されたタンパク質を検出するための好ましい剤は、こうしたタンパク質またはその断片に結合可能な抗体、好ましくは検出可能標識を伴う抗体である。抗体は、ポリクローナルであってもよく、またはより好ましくはモノクローナルであってもよい。損なわれていない(intact)抗体、あるいはその断片または誘導体(例えばFabまたはF(ab’))を用いてもよい。用語「標識」は、プローブまたは抗体に関して、検出可能物質をプローブまたは抗体にカップリングする(すなわち物理的に連結する)ことによるプローブまたは抗体の直接標識、ならびに直接標識された別の試薬との反応性による、プローブまたは抗体の間接的標識を含むよう意図される。間接的標識の例には、蛍光標識二次抗体を用いた一次抗体の検出、ならびに蛍光標識ストレプトアビジンで検出可能であるような、ビオチンでのDNAプローブの末端標識が含まれる。
[208]当業者に周知の技術を用いて、腫瘍細胞由来のタンパク質を単離してもよい。使用するタンパク質単離法は、例えばHarlowおよびLaneに記載されるものなどであってもよい(HarlowおよびLane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)。
[209]多様な形式を使用して、サンプルが所定の抗体に結合するタンパク質を含有するかどうかを決定してもよい。こうした形式の例には、限定されるわけではないが、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウェスタンブロット分析および酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)が含まれる。当業者は、腫瘍細胞が本発明のバイオマーカーを発現するかどうかを決定する際に使用するため、既知のタンパク質/抗体検出法を容易に適応させることが可能である。
[210]1つの形式において、抗体、あるいは抗体断片または誘導体を、ウェスタンブロットまたは免疫蛍光技術などの方法において用いて、発現されたタンパク質を検出してもよい。こうした使用において、一般的に、抗体またはタンパク質のいずれかを固体支持体上に固定することが好ましい。適切な固相支持体またはキャリアーには、抗原または抗体が結合することが可能な任意の支持体が含まれる。周知の支持体またはキャリアーには、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、および磁鉄鉱が含まれる。
[211]当業者は、抗体または抗原を結合させるのに適した多くの他の適切なキャリアーを知っているであろうし、そして本発明で使用するために、こうした支持体を適応させることが可能であろう。例えば、腫瘍細胞から単離したタンパク質を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動上で泳動して、そしてニトロセルロースなどの固相支持体上に固定してもよい。次いで、支持体を適切な緩衝液で洗浄した後、検出可能に標識した抗体で処理してもよい。次いで、固相支持体を緩衝液で二度目に洗浄して、未結合抗体を除去してもよい。次いで、慣用的な手段によって、固体支持体上に結合した標識の量を検出してもよい。
[212]ELISAアッセイのため、特異的結合対は、免疫または非免疫型であってもよい。免疫特異的結合対は、抗原−抗体系またはハプテン/抗ハプテン系によって例示される。言及したフルオレセイン/抗フルオレセイン、ジニトロフェニル/抗ジニトロフェニル、ビオチン/抗ビオチン、ペプチド/抗ペプチド等がありうる。当業者によく知られる慣例法によって、特異的結合対の抗体メンバーを産生してもよい。こうした方法は、動物を特異的結合対の抗原メンバーで免疫する工程を伴う。特異的結合対の抗原メンバーが免疫原性でない場合、例えばハプテンである場合、該メンバーをキャリアータンパク質に共有カップリングさせて免疫原性にしてもよい。非免疫結合対には、2つの構成要素が互いに天然アフィニティを共有するが抗体ではない系が含まれる。例示的な非免疫対は、ビオチン−ストレプトアビジン、内因子−ビタミンB12、葉酸−葉酸結合タンパク質等である。
[213]特異的結合対のメンバーで抗体を共有標識する多様な方法が利用可能である。特異的結合対のメンバーの性質、望ましい連結のタイプ、および多様なコンジュゲート化化学反応に対する抗体の耐性に基づいて方法を選択する。商業的に入手可能な活性誘導体を利用することによって、ビオチンを抗体に共有カップリングさせてもよい。これらのいくつかは、タンパク質上のアミン基に結合するビオチン−N−ヒドロキシ−スクシンイミド;カルボジイミドカップリングを通じて炭水化物部分、アルデヒドおよびカルボキシル基に結合するビオチンヒドラジド;ならびにスルフィドリル基に結合するビオチンマレイミドおよびヨードアセチルビオチンである。イソチオシアン酸フルオレセインを用いて、タンパク質アミン基にフルオレセインをカップリングさせてもよい。硫酸2,4−ジニトロベンゼンまたは2,4−ジニトロフルオロベンゼンを用いて、ジニトロフェニル基をタンパク質アミン基にカップリングさせてもよい。ジアルデヒド、カルボジイミドカップリング、ホモ官能性架橋、およびヘテロ二官能性架橋を含む、コンジュゲート化の他の標準的な方法を使用して、モノクローナル抗体を特異的結合対メンバーにカップリングさせてもよい。カルボジイミドカップリングは、1つの物質上のカルボキシル基を別の基質上のアミン基にカップリングするのに有効な方法である。カルボジイミドカップリングは、商業的に入手可能な試薬1−エチル−3−(ジメチル−アミノプロピル)−カルボジイミド(EDAC)を用いることによって促進される。
[214]二官能性イミドエステルおよび二官能性N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルを含むホモ二官能性架橋剤が商業的に入手可能であり、そして一方の物質上のアミン基を別の基質上のアミン基にカップリングするために使用される。ヘテロ二官能性架橋剤は、異なる官能基を所持する試薬である。最も一般的な商業的に入手可能なヘテロ二官能性架橋剤は、一方の官能基として、アミン反応性N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを、そして第二の官能基としてスルフィドリル反応基を有する。最も一般的なスルフィドリル反応基は、マレイミド、ピリジルジスルフィドおよび活性ハロゲンである。官能基の1つは光反応性アリールニトレンであってもよく、該物質は、照射されると多様な基と反応する。
[215]放射性同位体、酵素、蛍光発生物質、化学発光物質または電気化学物質であってもよいレポーターにカップリングすることによって、検出可能に標識された抗体または特異的結合対の検出可能に標識されたメンバーを調製する。2つの一般的に用いられる放射性同位体は、125IおよびHである。標準的放射性同位体標識法には、125Iに関するクロラミンT、ラクトペルオキシダーゼおよびBolton−Hunter法、ならびにHに関する還元性メチル化が含まれる。用語「検出可能に標識された」は、標識の生得的酵素活性によって、またはそれ自体が容易に検出可能な別の構成要素の標識に結合させることによって容易に検出可能であるような方式で標識された分子を指す。
[216]本発明で使用するのに適した酵素には、限定されるわけではないが、西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホタル(firefly)およびウミシイタケ(renilla)を含むルシフェラーゼ、β−ラクタマーゼ、ウレアーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびリゾチームが含まれる。酵素標識は、特異的結合対のメンバーと抗体とのカップリングに関して上述したような、ジアルデヒド、カルボジイミドカップリング、ホモ二官能性架橋剤、およびヘテロ二官能性架橋剤を用いることによって促進される。
[217]選択される標識法は、酵素および標識しようとする物質上で利用可能な官能基、ならびにコンジュゲート化条件に対する両方の耐性に応じる。本発明で用いる標識法は、限定されるわけではないが、EngvallおよびPearlmann, Immunochemistry 8, 871(1971)、AvrameasおよびTernynck, Immunochemistry 8, 1175(1975)、Ishikawaら, J. Immunoassay 4(3):209−327(1983)、ならびにJablonski, Anal. Biochem. 148:199(1985)に記載されるものを含む、任意の慣用的方法の1つであってもよい。
[218]スペーサーまたは特異的結合対の他のメンバーを用いるなど、間接的な方法によって、標識を達成してもよい。この例は、非標識ストレプトアビジンおよびビオチン化酵素を用いたビオチン化抗体の検出であり、ストレプトアビジンおよびビオチン化酵素を連続してまたは同時にのいずれかで添加する。したがって、本発明にしたがって、検出のために用いる抗体を、レポーターで直接、または特異的結合対の第一のメンバーで間接的に、検出可能に標識することも可能である。抗体を特異的結合対の第一のメンバーにカップリングした場合、特異的結合複合体の抗体−第一のメンバーを、上述のように標識されたまたは標識されない結合対の第二のメンバーと反応させることによって、検出を達成する。
[219]さらに、非標識抗体を、非標識抗体に特異的な標識抗体と反応させることによって、非標識検出剤抗体を検出してもよい。この例において、上に用いるような「検出可能に標識された」は、非標識抗体に特異的な抗体が結合可能であるエピトープを含有することを意味すると解釈される。上に論じるアプローチのいずれを用いて、こうした抗−抗体を直接または間接的に標識してもよい。例えば、抗−抗体をビオチンにカップリングしてもよく、上に論じるようなストレプトアビジン−西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ系と反応させることによって、ビオチンを検出する。
[220]本発明の1つの態様において、ビオチンを利用する。ビオチン化抗体を次に、ストレプトアビジン−西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ複合体と反応させる。オルトフェニレンジアミン、4−クロロ−ナフトール、テトラメチルベンジジン(TMB)、ABTS、BTSまたはASAを用いて、色素原検出を達成してもよい。
[221]本発明を実施するための1つのイムノアッセイ形式において、慣用的技術を用いて、支持体表面上に捕捉試薬を固定しておく、順方向サンドイッチアッセイを用いる。アッセイに用いる適切な支持体には、合成ポリマー支持体、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、置換ポリスチレン、例えばアミン化またはカルボキシル化ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルクロリド、ガラスビーズ、アガロース、またはニトロセルロースが含まれる。
[222]本発明はまた、生物学的試薬中のEMTGSの遺伝子発現を検出するためのキットも含む。こうしたキットを用いて、被験体がEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害により感受性でない腫瘍を患うか、またはこうした腫瘍を発展させるリスクが増加しているかどうかを決定してもよい。例えば、キットは、生物学的サンプル中の多数のEMTGSタンパク質または核酸を検出可能な標識化合物または剤、あるいはPCR増幅に使用するためのプライマー、およびサンプル中のタンパク質またはmRNAの量を決定するための手段(例えばタンパク質またはその断片に結合する抗体、あるいはmRNAまたは派生cDNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)を含んでもよい。キットにはまた、キットを用いて得た結果を解釈するための説明書も含まれてもよい。
[223]オリゴヌクレオチドに基づくキットに関して、キットは、例えば、各EMTGS遺伝子に関して:(1)オリゴヌクレオチド、例えばEMTGS遺伝子をコードする核酸配列にハイブリダイズする、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド、または(2)EMTGS核酸分子を増幅するのに有用なプライマー対を含んでもよい。キットはまた、例えば緩衝剤、保存剤、またはタンパク質安定化剤も含んでもよい。キットはさらに、検出可能標識を検出するのに必要な構成要素(例えば酵素または基質)を含んでもよい。キットはまた、アッセイし、そして試験サンプルに比較することが可能な、対照サンプルまたは一連の対照サンプルも含有してもよい。キットの各構成要素を個々の容器内に封入し、そしてキットを用いて実行したアッセイの結果を解釈するための説明書とともに、多様な容器のすべてを単一パッケージ内に入れてもよい。キットはまた、EMTGSの遺伝子各々に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを含むDNAマイクロアレイチップも含んでもよい。
[224]本発明はさらに、癌患者において、癌、あるいは腫瘍または腫瘍転移を治療するための本明細書に開示する任意の方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、1またはそれより多い他の細胞傷害剤、化学療法剤または抗癌剤、あるいはこうした剤の効果を増進させる化合物を投与する工程を含む、前記方法を提供する。本発明の背景において、他の抗癌剤には、例えば、他の細胞傷害剤、化学療法剤、または抗癌剤、あるいはこうした剤の効果を増進させる化合物、抗ホルモン剤、血管形成阻害剤、EMTを阻害するかまたは逆転させる剤(例えばTGF−ベータ受容体阻害剤)、腫瘍細胞アポトーシス促進性またはアポトーシス刺激性剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ヒストンデメチラーゼ阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤、抗HER2抗体(例えばトラスツズマブ(Genentech))またはその免疫療法活性断片、抗増殖剤、COXII(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、および抗腫瘍免疫反応を増進可能な剤が含まれる。
[225]本発明の背景において、さらなる他の細胞傷害剤、化学療法剤または抗癌剤、あるいはこうした剤の効果を増進させる化合物には、例えば:アルキル化剤またはアルキル化作用を持つ剤、例えばシクロホスファミド(CTX;例えばシトキサン(登録商標))、クロラムブシル(CHL;例えばロイケラン(登録商標))、シスプラチン(CisP;例えばプラチノール(登録商標))、ブスルファン(例えばミレラン(登録商標))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンC等;代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート(MTX)、エトポシド(VP16;例えばベペシド(登録商標))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオグアニン(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(例えばキセロダ(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)等;抗生物質、例えばアクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;例えばアドリアマイシン(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン等;アルカロイド、例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチン等;ならびに他の抗腫瘍剤、例えばパクリタキセル(例えばタキソール(登録商標))およびパクリタキセル誘導体、細胞***阻害剤、グルココルチコイド、例えばデキサメタゾン(DEX;例えばデカドロン(登録商標))およびコルチコステロイド、例えばプレドニゾン、ヌクレオシド酵素阻害剤、例えばヒドロキシ尿素、アミノ酸枯渇酵素、例えばアスパラギナーゼ、ロイコボリン、ペメトレキセドおよび他の葉酸誘導体、ならびに類似の多様な抗腫瘍剤が含まれる。以下の剤もまた、さらなる剤として使用可能である:アルニフォスチン(arnifostine)(例えばエチヨル(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン・リポ(例えばドキシル(登録商標))、ゲムシタビン(例えばジェムザール(登録商標))、ダウノルビシン・リポ(例えばダウノキソーム(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(例えばタキソテール(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、オキサリプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT11(イリノテカン)、10−ヒドロキシ7−エチル−カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロン・ベータ、インターフェロン・アルファ、ミトキサントロン、トポテカン、リュープロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシルが含まれる。
[226]本発明はさらに、患者において、腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、1またはそれより多い抗ホルモン剤を投与する工程を含む、前記方法を提供する。本明細書において、用語「抗ホルモン剤」には、腫瘍に対するホルモン作用を制御するかまたは阻害するように作用する、天然または合成有機またはペプチド化合物が含まれる。
[227]抗ホルモン剤には、例えば:ステロイド受容体アンタゴニスト、抗エストロゲン、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール、他のアロマターゼ阻害剤、42−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、およびトレミフェン(例えばフェアストン(登録商標));抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、およびゴセレリン;ならびに上記いずれかの薬学的に許容されうる塩、酸または誘導体;糖タンパク質ホルモンのアゴニストおよび/またはアンタゴニスト、例えば濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、ならびに黄体形成ホルモン(LH)およびLHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン);ゾラデックス(登録商標)(AstraZeneca)として商業的に入手可能なLHRHアゴニスト、酢酸ゴセレリン;LHRHアンタゴニスト、D−アラニンアミドN−アセチル−3−(2−ナフタレニル)−D−アラニル−4−クロロ−D−フェニルアラニル−3−(3−ピリジニル)−D−(アラニル)−L−セリル−N6−(3−ピリジニルカルボニル)−L−リジル−N6−(3−ピリジニルカルボニル)−D−リジル−L−ロイシル−N6−(1−メチルエチル)−L−リジル−L−プロリン(例えばアンチド(登録商標)、Ares−Serono);LHRHアンタゴニスト、酢酸ガニレリクス;メゲース(登録商標)(Bristol−Myers Oncology)として商業的に入手可能なステロイド性抗アンドロゲン、酢酸シプロテロン(CPA)および酢酸メゲストロール;エウレキシン(登録商標)(Schering社)として商業的に入手可能な非ステロイド抗アンドロゲン、フルタミド(2−メチル−N−[4,20−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルプロパンアミド]);非ステロイド抗アンドロゲン、ニルタミド、(5,5−ジメチル−3−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル−4’−ニトロフェニル)−4,4−ジメチル−イミダゾリジン−ジオン]);ならびに他の非許容性受容体のアンタゴニスト、例えばRAR、RXR、TR、VDR等のアンタゴニストが含まれる。
[228]化学療法措置において上述する細胞傷害剤および他の抗癌剤の使用は、一般的に、癌療法業によく性質決定され、そして本明細書において、その使用は、耐性および有効性を監視するための、そして何らかの調節で投与経路および投薬量を調節するための同じ考慮の元に属する。例えば、細胞傷害剤の実際の投薬量は、組織培養法を用いることによって決定される、患者の培養細胞反応に応じて多様でありうる。一般的に、さらなる他の剤の非存在下で用いる量に比較して、投薬量は減少するであろう。
[229]有効な細胞傷害剤の典型的な投薬量は、製造者によって推奨される範囲内であることが可能であり、そしてin vitro反応または動物モデルにおける反応によって示される場合、濃度または量の大きさの最大約一桁減少させることも可能である。したがって、実際の投薬量は、医師の判断、患者の状態、および初代培養悪性腫瘍または組織培養組織サンプルのin vitro反応性、あるいは適切な動物モデルにおいて観察される反応に基づく療法の有効性に応じるであろう。
[230]本発明はさらに、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、1またはそれより多い血管形成阻害剤を投与する工程を含む、前記方法を提供する。
[231]抗血管形成剤には、例えば:VEGFR阻害剤、例えばSU−5416およびSU−6668(Sugen Inc.、米国カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)、または例えば国際出願第WO 99/24440号、第WO 99/62890号、第WO 95/21613号、第WO 99/61422号、第WO 98/50356号、第WO 99/10349号、第WO 97/32856号、第WO 97/22596号、第WO 98/54093号、第WO 98/02438号、第WO 99/16755号、および第WO 98/02437号、ならびに米国特許第5,883,113号、第5,886,020号、第5,792,783号、第5,834,504号および第6,235,764号に記載されるようなもの;VEGF阻害剤、例えばIM862(Cytran Inc.、米国ワシントン州カークランド);スニチニブ(Pfizer);Ribozyme(コロラド州ボールダー)およびChiron(カリフォルニア州エメリービル)の合成リボザイムであるアンジオザイム(angiozyme);およびVEGFに対する抗体、例えばベバシズマブ(例えばアバスチンTM、Genentech、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)、VEGFに対する組換えヒト化抗体;αβ3、αβおよびαβインテグリンに対するものなどのインテグリン受容体アンタゴニストおよびインテグリンアンタゴニスト、ならびにそのサブタイプ、例えばシレンジチド(EMD 121974)、または抗インテグリン抗体、例えばαβ特異的ヒト化抗体(例えばビタキシン(登録商標));IFN−アルファ(米国特許第41530,901号、第4,503,035号、および第5,231,176号)などの因子;アンジオスタチンおよびプラスミノーゲン断片(例えば、クリングル1−4、クリングル5、クリングル1−3(O’Reilly, M.S.ら(1994) Cell 79:315−328; Caoら(1996) J. Biol. Chem. 271:29461−29467; Caoら(1997) J. Biol. Chem. 272:22924−22928);エンドスタチン(O’Reilly, M.S.ら(1997) Cell 88:277;および国際特許公報第WO 97/15666号);トロンボスポンジン(TSP−1; Frazier(1991) Curr. Opin. Cell Biol. 3:792);血小板因子4(PF4);プラスミノーゲン活性化因子/ウロキナーゼ阻害剤;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;へパリナーゼ;フマギリン類似体、例えばTNP−4701;スラミンおよびスラミン類似体;血管新生抑制ステロイド;bFGFアンタゴニスト;flk−1およびflt−1アンタゴニスト;抗血管新生剤、例えば、MMP−2(マトリックス−メタロプロテイナーゼ2)阻害剤およびMMP−9(マトリックス−メタロプロテイナーゼ9)阻害剤が含まれる。有用なマトリックス・メタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際特許公報第WO 96/33172号、第WO 96/27583号、第WO 98/07697号、第WO 98/03516号、第WO 98/34918号、第WO 98/34915号、第WO 98/33768号、第WO 98/30566号、第WO 90/05719号、第WO 99/52910号、第WO 99/52889号、第WO 99/29667号、および第WO 99/07675号、欧州特許公報第818,442号、第780,386号、第1,004,578号、第606,046号、および第931,788号;英国特許公報第9912961号、ならびに米国特許第5,863,949号および第5,861,510号に記載される。好ましいMMP−2およびMMP−9阻害剤は、MMP−1を阻害する活性がほとんどまたはまったくないものである。より好ましいものは、他のマトリックス−メタロプロテイナーゼ(すなわち、MMP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−11、MMP−12、およびMMP−13)に比較して、MMP−2および/またはMMP−9を選択的に阻害するものである。
[232]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、1またはそれより多い腫瘍細胞アポトーシス親和性またはアポトーシス刺激性剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[233]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、1またはそれより多いヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[234]HDAC阻害剤には、例えば:SB939、CHR−3996、CRA−024781、ITF2357、JNJ−26854165、JNJ−26481585(Ortho Biotech)、ボリノスタット(スベロイルアニリドヒドロキサム酸、SAHA; Merck)、FK−228(デプシペプチド/FR−901228、藤沢、日本・大阪)、フェニルブチレート(Elan Pharmaceuticals、ダブリン)、LAQ824およびLBH589(Novartis)、PXD101(TopoTarget、コペンハーゲン)、MS−275(Schering AG)、ピロキサミド(Aton Pharma、ニューヨーク州タリータウン)、MGCD0103(MethylGene、モントリオール)、NBM−HD−1(NatureWise Biotech & Medicals社)、CI−994(Pfizer Inc)、ピバネクス(Titan Pharmaceuticals Inc)、ロミデプシン(Gloucester Pharmaceuticals)、ならびにエンチノスタット(SNDX−275; Syndax Pharmaceuticals)が含まれる。
[235]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、1またはそれより多いヒストンデメチラーゼ阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[236]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、1またはそれより多いDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤には、例えば:S−110(Supergen、カリフォルニア州ダブリン)、ゼブラリン、プロカイン、(−)エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、およびプサンマプリンが含まれる。
[237]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、1またはそれより多いシグナル伝達阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[238]シグナル伝達阻害剤には、例えば:erbB2受容体阻害剤、例えば有機分子、またはerbB2受容体に結合する抗体、例えばトラスツズマブ(例えばハーセプチン(登録商標));他のプロテインチロシンキナーゼの阻害剤、例えばイミチニブ(例えばグリーベック(登録商標));ras阻害剤;raf阻害剤;MEK阻害剤;PAK1およびPAK2キナーゼ阻害剤;mTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合し、そしてこれらを直接阻害するmTOR阻害剤(例えばOSI−027、OSI Pharmaceuticals)を含む、mTOR阻害剤、例えばラパマイシンおよびその類似体(例えばCCI−779、RAD001およびAP23573);二重PI3K/mTORキナーゼ阻害剤であるmTOR阻害剤、例えばFan, Q−Wら(2006) Cancer Cell 9:341−349およびKnight, Z.A.ら(2006) Cell 125:733−747に記載されるような化合物PI−103;mTORキナーゼおよび1またはそれより多い他のPIKK(またはPIK関連)キナーゼファミリーメンバーの二重阻害剤であるmTOR阻害剤が含まれる。こうしたメンバーには、MEC1、TEL1、RAD3、MEI−41;DNA−PK、ATM、ATR、TRRAP、PI3K、およびPI4Kキナーゼ;サイクリン依存性キナーゼ阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤;PI−3キナーゼ阻害剤;およびPDK−1阻害剤が含まれる(こうした阻害剤のいくつかの例、および癌治療のための臨床試験における使用の説明に関しては、Dancey, J.およびSausville, E.A.(2003) Nature Rev. Drug Discovery 2:92−313を参照されたい)。
[239]ErbB2受容体阻害剤には、例えば:ErbB2受容体阻害剤、例えばラパチニブまたはGW−282974(どちらもGlaxo Wellcome plc)、モノクローナル抗体、例えばAR−209(Aronex Pharmaceuticals Inc. 米国テキサス州ザ・ウッドランズ)および2B−1(Chiron)、ならびにerbB2阻害剤、例えば国際公報第WO 98/02434号、第WO 99/35146号、第WO 99/35132号、第WO 98/02437号、第WO 97/13760号、および第WO 95/19970号、ならびに米国特許第5,587,458号、第5,877,305号、第6,465,449号および第6,541,481号に記載されるものが含まれる。
[240]本明細書において、mTOR阻害剤には、当該技術分野に現在知られるいかなるmTOR阻害剤も含まれ、そして患者に投与した際に、患者においてmTORの阻害を生じるいかなる化学実体も含まれる。mTOR阻害剤は、いかなる生化学的機構によって、mTORを阻害してもよく、これには、ATP結合部位での競合、mTORキナーゼの触媒部位の別の箇所での競合、非競合阻害、不可逆的阻害(例えば共有タンパク質修飾)、あるいはmTORキナーゼ活性の阻害を生じる方式でのmTORキナーゼと他のタンパク質サブユニットまたは結合タンパク質の相互作用の調節(例えばmTORとFKBP12、GβL(mLST8)、RAPTOR(mKOG1)、またはRICTOR(mAVO3)の相互作用の調節)が含まれる。mTOR阻害剤の特定の例には:ラパマイシン;他のラパマイシンマクロリド、あるいはラパマイシン類似体、誘導体またはプロドラッグ;RAD001(エベロリムスとしても知られる、RAD001は、米国特許第5,665,772号に開示されるアルキル化ラパマイシン(40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン);Novartisである);CCI−779(テムシロリムスとしても知られる、CCI−779は米国特許第5,362,718に開示されるラパマイシンのエステル(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオン酸との42−エステル);Wyethである);AP23573またはAP23841(Ariad Pharmaceuticals);ABT−578(40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン; Abbott Laboratories);KU−0059475(Kudus Pharmaceuticals);およびTAFA−93(ラパマイシンプロドラッグ;Isotechnika)。当該技術分野に知られるラパマイシン類似体および誘導体の例には、米国特許第6,329,386号;第6,200,985号;第6,117,863号;第6,015,815号;第6,015,809号;第6,004,973号;第5,985,890号;第5,955,457号;第5,922,730号;第5,912,253号;第5,780,462号;第5,665,772号;第5,637,590号;第5,567,709号;第5,563,145号;第5,559,122号;第5,559,120号;第5,559,119号;第5,559,112号;第5,550,133号;第5,541,192号;第5,541,191号;第5,532,355号;第5,530,121号;第5,530,007号;第5,525,610号;第5,521,194号;第5,519,031号;第5,516,780号;第5,508,399号;第5,508,290号;第5,508,286号;第5,508,285号;第5,504,291号;第5,504,204号;第5,491,231号;第5,489,680号;第5,489,595号;第5,488,054号;第5,486,524号;第5,486,523号;第5,486,522号;第5,484,791号;第5,484,790号;第5,480,989号;第5,480,988号;第5,463,048号;第5,446,048号;第5,434,260号;第5,411,967号;第5,391,730号;第5,389,639号;第5,385,910号;第5,385,909号;第5,385,908号;第5,378,836号;第5,378,696号;第5,373,014号;第5,362,718号;第5,358,944号;第5,346,893号;第5,344,833号;第5,302,584号;第5,262,424号;第5,262,423号;第5,260,300号;第5,260,299号;第5,233,036号;第5,221,740号;第5,221,670号;第5,202,332号;第5,194,447号;第5,177,203号;第5,169,851号;第5,164,399号;第5,162,333;5,151,413号;第5,138,051号;第5,130,307号;第5,120,842号;第5,120,727号;第5,120,726号;第5,120,725号;第5,118,678号;第5,118,677号;第5,100,883号;第5,023,264号;第5,023,263号;および第5,023,262号に記載される化合物が含まれ;該特許はすべて、本明細書に援用される。ラパマイシン誘導体もまた、例えば本明細書に援用される、WO 94/09010、WO 95/16691、WO 96/41807、またはWO 99/15530に開示される。こうした類似体および誘導体には、32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、40−0−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、32−デオキソラパマイシンおよび16−ペント−2−イニルオキシ−32(S)−ジヒドロ−ラパマイシンが含まれる。ラパマイシン誘導体にはまた、例えばWO 98/02441およびWO01/14387に開示されるような、いわゆるラパログ(例えば、AP23573、AP23464、AP23675またはAP23841)も含まれてもよい。ラパマイシン誘導体のさらなる例には、名称、ビオリムス−7またはビオリムス−9(BIOLIMUS A9TM)(Biosensors International、シンガポール)の下で開示されるものが含まれる。上記ラパマイシン類似体または誘導体のいずれも、上記参考文献に記載されるような方法によって容易に調製可能である。
[241]本明細書において、用語「mTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合し、そしてこれらを直接阻害するmTOR阻害剤」は、mTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合し、そしてこれらを直接阻害するいかなるmTOR阻害剤も指し、そしてこれには、患者に投与した際に、患者においてmTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合し、そしてこれらの直接阻害を生じるいかなる化学実体も含まれる。本明細書記載の本発明で有用なmTOR阻害剤の例には、2006年11月15日出願の米国特許出願第11/599,663号に開示され、そして請求される、mTORC1およびmTORC2キナーゼの両方に結合し、そしてこれらを直接阻害することによって、mTORを阻害する一連の化合物が含まれる。
[242]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、抗HER2抗体(例えばトラスツズマブ(Genentech))またはその免疫療法的活性断片を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[243]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、1またはそれより多いさらなる抗増殖剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[244]さらなる抗増殖剤の例には、例えば:米国特許第6,080,769号、第6,194,438号、第6,258,824号、第6,586,447号、第6,071,935号、第6,495,564号、第6,150,377号、第6,596,735号、および第6,479,513号、ならびに国際特許公報WO 01/40217に開示され、そして請求される化合物を含む、酵素ファルネシルプロテイントランスフェラーゼの阻害剤、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤が含まれる。抗増殖剤にはまた、IGF−1Rキナーゼ阻害剤および線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤が含まれる。
[245]本明細書において、用語「PDGFRキナーゼ阻害剤」には、当該技術分野に現在知られるいかなるPDGFR阻害剤も含まれ、そして患者に投与した際に、そうでなければ天然リガンドのPDGFRへの結合から生じる下流生物学的効果のいずれも含む、患者におけるPDGFRの活性化に関連する生物学的活性の阻害を生じるいかなる化学実体も含まれる。こうしたPDGFRキナーゼ阻害剤には、患者における癌治療に関連するPDGFR活性化またはPDGFR活性化の下流生物学的効果のいずれかを遮断しうるいかなる剤も含まれる。こうした阻害剤は、受容体の細胞内ドメインに直接結合し、そしてそのキナーゼ活性を阻害することによって作用してもよい。あるいは、こうした阻害剤は、PDGFRのリガンド結合部位またはその一部を占めることにより、正常な生物学的活性が防止されるかまたは減少するように、受容体を天然リガンドにアクセス不能にすることによって、作用することも可能である。あるいは、こうした阻害剤は、PDGFRポリペプチドの二量体化、またはPDGFRポリペプチドと他のタンパク質の相互作用を調節することによって、あるいはPDGFRのユビキチン化およびエンドサイトーシス分解を増進することによって作用することも可能である。PDGFRキナーゼ阻害剤には、限定されるわけではないが、低分子阻害剤、抗体または抗体断片、アンチセンス構築物、低分子阻害性RNA(すなわちdsRNAによるRNA干渉;RNAi)、およびリボザイムが含まれる。PDGFRキナーゼ阻害剤には、抗PDGF(抗血小板由来増殖因子)または抗PDGFRアプタマー、抗PDGFまたは抗PDGFR抗体、あるいは同族受容体へのPDGFの結合を防止する可溶性PDGF受容体デコイが含まれる。好ましい態様において、PDGFRキナーゼ阻害剤は、ヒトPDGFRに特異的に結合する小有機分子または抗体である。化合物または剤が、PDGFRキナーゼ阻害剤として作用する能力は、当該技術分野に知られ、そしてさらに例えばDaiら(2001) Genes & Dev. 15: 1913−25; Zippelら(1989) Eur. J. Cell Biol. 50(2):428−34;およびZwillerら(1991) Oncogene 6: 219−21に示されるような方法にしたがって決定可能である。
[246]本発明には、当該技術分野に知られるPDGFRキナーゼ阻害剤、ならびに以下に支持するもの、および生成する際に通常の技術範囲内である、あらゆる同等物が含まれる。例えば、PDGFに対して向けられる阻害抗体が当該技術分野に知られ、例えばその内容の全体が本明細書に援用される、米国特許第5,976,534号、第5,833,986号、第5,817,310号、第5,882,644号、第5,662,904号、第5,620,687号、第5,468,468号、ならびに第PCT WO 2003/025019号に記載されるものである。さらに、本発明には、PDGFRキナーゼ阻害剤であるN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体が含まれ、例えば、本明細書にその全体が援用される、米国特許第5,521,184号、ならびにWO2003/013541、WO2003/078404、WO2003/099771、WO2003/015282、およびWO2004/05282に開示されるものが含まれる。
[247]PDGFの作用を遮断する低分子が当該技術分野に知られ、例えば米国特許または公開出願第6,528,526号(PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、第6,524,347号(PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、第6,482,834号(PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、第6,472,391号(PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、第6,949,563号、第6,696,434号、第6,331,555号、第6,251,905号、第6,245,760号、第6,207,667号、第5,990,141号、第5,700,822号、第5,618,837号、第5,731,326号、および第2005/0154014号、ならびに国際公開出願第WO 2005/021531号、第WO 2005/021544号、および第WO 2005/021537号に記載されるものがあり、これらの特許および出願の内容は、その全体が本明細書に援用される。
[248]PDGFの作用を遮断するタンパク質およびポリペプチドが当該技術分野に知られ、例えば、その内容の全体が本明細書に援用される、米国特許第6,350,731号(PDGFペプチド類似体)、第5,952,304号に記載されるものがある。
[249]EGFおよび/またはPDGF受容体チロシンキナーゼを阻害するビス・モノおよび二環アリールおよびヘテロアリール化合物が当該技術分野に知られ、例えば、その内容の全体が本明細書に援用される、米国特許第5,476,851号、第5,480,883号、第5,656,643号、第5,795,889号、および第6,057,320号に記載されるものがある。
[250]PDGFを阻害するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドが当該技術分野に知られ、例えば、各々、その内容の全体が本明細書に援用される、米国特許第5,869,462号、および第5,821,234号に記載されるものがある。
[251]PDGFを阻害するためのアプタマー(核酸リガンドとしても知られる)が当該技術分野に知られ、例えば、各々、その内容の全体が本明細書に援用される、米国特許第6,582,918号、第6,229,002号、第6,207,816号、第5,668,264号、第5,674,685号、および第5,723,594号に記載されるものがある。
[252]PDGFを阻害するための他の化合物には、各々、その内容の全体が本明細書に援用される、米国特許第5,238,950号、第5,418,135号、第5,674,892号、第5,693,610号、第5,700,822号、第5,700,823号、第5,728,726号、第5,795,910号、第5,817,310号、第5,872,218号、第5,932,580号、第5,932,602号、第5,958,959号、第5,990,141号、第6,358,954号、第6,537,988号および第6,673,798号に記載されるものが含まれる。
[253]PDGFRなどのチロシンキナーゼ受容体酵素に選択的な、いくつかのタイプのチロシンキナーゼ阻害剤が知られる(例えば、SpadaおよびMyers((1995) Exp. Opin. Ther. Patents, 5: 805)ならびにBridges((1995) Exp. Opin. Ther. Patents, 5: 1245を参照されたい)。さらに、LawおよびLydonは、チロシンキナーゼ阻害剤の抗癌潜在能力を要約してきている((1996) Emerging Drugs: The Prospect For Improved Medicines, 241−260)。例えば、米国特許第6,528,526号は、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)チロシンキナーゼ活性を選択的に阻害する置換キノキサリン化合物を記載する。PDGFRチロシンキナーゼ活性の既知の阻害剤には、Maguireら((1994) J. Med. Chem., 37: 2129)によって、そしてDolleら((1994) J. Med. Chem., 37: 2627)によって報告されるキノリンに基づく阻害剤が含まれる。フェニルアミノ−ピリミジンに基づく阻害剤クラスが、最近、TraxlerらによってEP 564409に、そしてZimmermanら((1996) Biorg. Med. Chem. Lett., 6: 1221−1226)によって、そしてBuchdungerら((1995) Proc. Nat. Acad. Sci. (USA), 92: 2558)によって報告された。PDGF受容体チロシンキナーゼ活性を阻害する際に有用なキナゾリン誘導体には、ビスモノ−および二環アリール化合物およびヘテロアリール化合物(例えば、WO 92/20642を参照されたい)、キノキサリン誘導体((1994) Cancer Res., 54:6106−6114を参照されたい)、ピリミジン誘導体(日本公開特許出願第87834/94号)およびジメトキシキノリン誘導体(Abstracts of the 116th Annual Meeting of the Pharmaceutical Society of Japan (Kanazawa), (1996), 2, p.275, 29(C2)15−2を参照されたい)が含まれる。
[254]本発明にしたがって使用可能な低分子PDGFRキナーゼ阻害剤の特定の好ましい例には、イマチニブ(グリーベック(登録商標);Novartis);SU−12248(リンゴ酸スニチニブ、スーテント(登録商標);Pfizer);ダサチニブ(スプリセル(登録商標);BMS;BMS−354825としても知られる);ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標);Bayer;Bay−43−9006としても知られる);AG−13736(アキシチニブ;Pfizer);RPR127963(Sanofi−Aventis);CP−868596(Pfizer/OSI Pharmaceuticals);MLN−518(タンジュチニブ;Millennium Pharmaceuticals);AMG−706(モテサニブ;Amgen);アラバ(登録商標)(レフルノミド;Sanofi−Aventis;SU101としても知られる)、およびOSI−930(OSI Pharmaceuticals)が含まれる;本発明にしたがって使用可能な、FGFRキナーゼ阻害剤でもある低分子PDGFRキナーゼ阻害剤のさらなる好ましい例には、XL−999(Exelixis);SU6668(Pfizer);CHIR−258/TKI−258(Chiron);RO4383596(Hoffmann−La Roche)およびBIBF−1120(Boehringer Ingelheim)が含まれる。
[255]本明細書において、用語「FGFRキナーゼ阻害剤」には、当該技術分野に現在知られるいかなるFGFRキナーゼ阻害剤も含まれ、そして患者に投与した際に、そうでなければ天然リガンドのFGFRへの結合から生じる下流生物学的効果のいずれも含む、患者におけるFGFRの活性化に関連する生物学的活性の阻害を生じるいかなる化学実体も含まれる。こうしたFGFRキナーゼ阻害剤には、患者における癌治療に関連するFGFR活性化またはFGFR活性化の下流生物学的効果のいずれかを遮断しうるいかなる剤も含まれる。こうした阻害剤は、受容体の細胞内ドメインに直接結合し、そしてそのキナーゼ活性を阻害することによって作用してもよい。あるいは、こうした阻害剤は、FGF受容体のリガンド結合部位またはその一部を占めることにより、正常な生物学的活性が防止されるかまたは減少するように、受容体を天然リガンドにアクセス不能にすることによって、作用することも可能である。あるいは、こうした阻害剤は、FGFRポリペプチドの二量体化、またはFGFRポリペプチドと他のタンパク質の相互作用を調節することによって、あるいはFGFRのユビキチン化およびエンドサイトーシス分解を増進することによって作用することも可能である。FGFRキナーゼ阻害剤には、限定されるわけではないが、低分子阻害剤、抗体または抗体断片、アンチセンス構築物、低分子阻害性RNA(すなわちdsRNAによるRNA干渉;RNAi)、およびリボザイムが含まれる。FGFRキナーゼ阻害剤には、抗FGF(抗線維芽細胞増殖因子)または抗FGFRアプタマー、抗FGFまたは抗FGFR抗体、あるいは同族受容体へのFGFRの結合を防止する可溶性FGF受容体デコイが含まれる。好ましい態様において、FGFRキナーゼ阻害剤は、ヒトFGFRに特異的に結合する小有機分子または抗体である。抗FGFR抗体には、FR1−H7(FGFR−1)およびFR3−D11(FGFR−3)(Imclone Systems, Inc.)が含まれる。
[256]FGFRキナーゼ阻害剤にはまた、ヘパラン硫酸プロテオグリカンがFGFR活性を調節する能力に影響を及ぼすことによって、FGFRシグナル伝達を阻害する化合物も含まれる。細胞外マトリックス中のヘパラン硫酸プロテオグリカンは、FGFの作用、例えばタンパク質分解からの保護、局在化、貯蔵、および増殖因子の内在化を仲介することも可能であり(Faham, S.ら(1998) Curr. Opin. Struct. Biol., 8:578−586)、そして同族FGFRにFGFを提示し、そして/または受容体オリゴマー化を促進するよう作用する、低アフィニティFGF受容体として働きうる(Galzie, Z.ら(1997) Biochem. Cell. Biol., 75:669−685)。
[257]本発明には、当該技術分野に知られるFGFRキナーゼ阻害剤(例えばPD173074)、ならびに以下に支持するもの、および生成する際に通常の技術範囲内である、あらゆる同等物が含まれる。
[258]線維芽細胞増殖因子(FGF)作用に拮抗可能であり、そしてしたがって本明細書記載の方法においてFGFRキナーゼ阻害剤として使用可能である化学薬品の例には、スラミン、スラミンの構造的類似体、ポリ硫酸ペントサン、スコポラミン、アンジオスタチン、スプローティ(sprouty)、エストラジオール、カルボキシメチルベンジルアミンデキストラン(CMDB7)、スラジスタ、インスリン様増殖因子結合タンパク質3、エタノール、ヘパリン(例えば6−O−脱硫酸ヘパリン)、低分子ヘパリン、硫酸プロタミン、シクロスポリンA、またはbFGFのRNAリガンドが含まれる。
[259]当該技術分野に知られるFGFRキナーゼを阻害するための他の剤または化合物には、米国特許第7,151,176号(Bristol−Myers Squibb社;ピロロトリアジン化合物);第7,102,002号(Bristol−Myers Squibb社;ピロロトリアジン化合物);第5,132,408号(Salk Institute;ペプチドFGFアンタゴニスト);および5,945,422号(Warner−Lambert社;2−アミノ置換ピリド[2,3−d]ピリミジン);米国公開特許出願第2005/0256154号(4−アミノ−チエノ[3,2−c]ピリジン−7−カルボン酸アミド化合物);および第2004/0204427号(ピリミジノ化合物);ならびに公開国際特許出願WO−2007019884(Merck Patent GmbH;N−(3−ピラゾリル)−N’−4−(4−ピリジニルオキシ)フェニル)尿素化合物);WO−2007009773(Novartis AG;ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イルアミン誘導体);WO−2007014123(Five Prime Therapeutics, Inc.;FGFR融合タンパク質);WO−2006134989(協和発酵工業社;窒素性複素環化合物);WO−2006112479(協和発酵工業社;アザ複素環);WO−2006108482(Merck Patent GmbH;9−(4−ウレイドフェニル)プリン化合物);WO−2006105844(Merck Patent GmbH;N−(3−ピラゾリル)−N’−4−(4−ピリジニルオキシ)フェニル)尿素化合物);WO−2006094600(Merck Patent GmbH;テトラヒドロピロロキノリン誘導体);WO−2006050800(Merck Patent GmbH;N,N’−ジアリール尿素誘導体);WO−2006050779(Merck Patent GmbH;N,N’−ジアリール尿素誘導体);WO−2006042599(Merck Patent GmbH;フェニル尿素誘導体);WO−2005066211(Five Prime Therapeutics, Inc.;抗FGFR抗体);WO−2005054246(Merck Patent GmbH;ヘテロシクリルアミン);WO−2005028448(Merck Patent GmbH;2−アミノ−1−ベンジル−置換ベンズイミダゾール誘導体);WO−2005011597(Irm Llc;置換複素環誘導体);WO−2004093812(Irm Llc/Scripps;6−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体);WO−2004046152(F. Hoffmann La Roche AG;ピリミド[4,5−e]オキサジアジン誘導体);WO−2004041822(F. Hoffmann La Roche AG;ピリミド[4,5−d]ピリミジン誘導体);WO−2004018472(F. Hoffmann La Roche AG;ピリミド[4,5−d]ピリミジン誘導体);WO−2004013145(Bristol−Myers Squibb社;ピロロトリアジン誘導体);WO−2004009784(Bristol−Myers Squibb社;ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イル化合物);WO−2004009601(Bristol−Myers Squibb社;アザインドール化合物);WO−2004001059(Bristol−Myers Squibb社;複素環誘導体);WO−02102972 (Prochon Biotech Ltd./Morphosys AG;抗FGFR抗体);WO−02102973(Prochon Biotech Ltd.;抗FGFR抗体);WO−00212238(Warner−Lambert社;2−(ピリジン−4−イルアミノ)−6−ジアルコキシフェニル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン誘導体);WO−00170977(Amgen, Inc.;FGFR−Lおよび誘導体);WO−00132653(Cephalon, Inc.;ピラゾロン誘導体);WO−00046380(Chiron社;FGFR−Ig融合タンパク質);およびWO−00015781(Eli Lilly;SPROUTY−1タンパク質に関連するポリペプチド)が含まれる。
[260]本発明にしたがって使用可能な低分子FGFRキナーゼ阻害剤の特に好ましい例には、RO−4396686(Hoffmann−La Roche);CHIR−258(Chiron;TKI−258としても知られる);PD 173074(Pfizer);PD 166866(Pfizer);ENK−834およびENK−835(どちらもEnkam Pharmaceuticals A/S);ならびにSU5402(Pfizer)が含まれる。本発明にしたがって使用可能な、PDGFRキナーゼ阻害剤でもある低分子FGFRキナーゼ阻害剤のさらなる好ましい例には、XL−999(Exelixis);SU6668(Pfizer);CHIR−258/TKI−258(Chiron);RO4383596(Hoffmann−La Roche)およびBIBF−1120(Boehringer Ingelheim)が含まれる。
[261]本明細書において、用語「IGF−1Rキナーゼ阻害剤」には、当該技術分野に現在知られるいかなるIGF−1Rキナーゼ阻害剤も含まれ、そして患者に投与した際に、そうでなければ天然リガンドのIGF−1Rへの結合から生じる下流生物学的効果のいずれも含む、患者におけるIGF−1受容体の活性化に関連する生物学的活性の阻害を生じるいかなる化学実体も含まれる。こうしたIGF−1Rキナーゼ阻害剤には、患者における癌治療に関連するIGF−1R活性化またはIGF−1R活性化の下流生物学的効果のいずれかを遮断しうるいかなる剤も含まれる。こうした阻害剤は、受容体の細胞内ドメインに直接結合し、そしてそのキナーゼ活性を阻害することによって作用してもよい。あるいは、こうした阻害剤は、IGF−1受容体のリガンド結合部位またはその一部を占めることにより、正常な生物学的活性が防止されるかまたは減少するように、受容体を天然リガンドにアクセス不能にすることによって、作用することも可能である。あるいは、こうした阻害剤は、IGF−1Rポリペプチドの二量体化、またはIGF−1Rポリペプチドと他のタンパク質の相互作用を調節することによって、あるいはIGF−1Rのユビキチン化およびエンドサイトーシス分解を増進することによって作用することも可能である。IGF−1Rキナーゼ阻害剤はまた、例えばIGF−1のその受容体への結合に拮抗することにより、IGF−1レベルを減少させることにより、またはIGF−1R以外のタンパク質、例えばIGF結合タンパク質(例えばIGFBP3)とIGF−1の会合を促進することにより、IGF−1Rを活性化するために利用可能なIGF−1の量を減少させることによってもまた、作用しうる。IGF−1Rキナーゼ阻害剤には、限定されるわけではないが、低分子量阻害剤、抗体または抗体断片、アンチセンス構築物、低分子阻害性RNA(すなわちdsRNAによるRNA干渉;RNAi)、およびリボザイムが含まれる。好ましい態様において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、ヒトIGF−1Rに特異的に結合する小有機分子または抗体である。
[262]IGF−1Rキナーゼ阻害剤には、例えばイミダゾピラジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、アザ二環アミン阻害剤、キナゾリンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、ピリドピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、ピリミドピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、ピロロピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、ピラゾロピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、フェニルアミノピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、オキシンドールIGF−1Rキナーゼ阻害剤、インドールカルバゾールIGF−1Rキナーゼ阻害剤、フタラジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、イソフラボンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、キナロンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびチロホスチンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、ならびにこうしたIGF−1Rキナーゼ阻害剤のすべての薬学的に許容されうる塩および溶媒和物が含まれる。
[263]IGF−1Rキナーゼ阻害剤の例には、アザ二環アミン誘導体を記載する国際特許公報第WO 05/097800号、イミダゾピラジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤を記載する国際特許公報第WO 05/037836号、IGF−1R関連障害を治療するためのピリミジンを記載する国際特許公報第WO 03/018021号および第WO 03/018022号、シクロリグナンおよびIGF−1Rキナーゼ阻害剤としてのシクロリグナンを記載する国際特許公報第WO 02/102804号および第WO 02/102805号、IGF−1Rチロシンキナーゼの阻害に反応する疾患の治療のためのピロロピリミジンを記載する国際特許公報第WO 02/092599号、チロシンキナーゼ阻害剤としてのピロロピリミジンを記載する国際特許公報第WO 01/72751号、ならびにキナーゼのピロロトリアジン阻害剤を記載する国際特許公報第WO 00/71129号、ならびにピロロ[2,3−d]ピリミジンおよびチロシンキナーゼ阻害剤としてのその使用を記載する国際特許公報第WO 97/28161号、in vitroおよびin vivoのIGF−1R阻害活性を持つチロホスチンを記載するParrizasら(Endocrinology, 138:1427−1433(1997))、IGF−1R阻害剤としてのヘテロアリール−アリール尿素を記載する国際特許公報第WO 00/35455号、IGF−1Rの調節剤としてのピリミジン誘導体を記載する国際特許公報第WO 03/048133号、キナーゼタンパク質に対する阻害効果を持つ化学的化合物を記載する、国際特許公報第WO 03/024967号、第WO 03/035614号、第WO 03/035615号、第WO 03/035616号、および第WO 03/035619号、過剰増殖状態を治療するための方法および組成物を記載する国際特許公報第WO 03/068265号、プロテインキナーゼ阻害剤としてのピロロピリミジンを記載する、国際特許公報第WO 00/17203号、セフェム化合物、その産生および抗微生物組成物を記載する日本特許公報第JP 07/133280号、プテリジン研究および4位で未置換のプテリジンを記載するAlbert, A.ら, Journal of the Chemical Society, 11: 1540−1547(1970)、ならびに3−4−ジヒドロプテリジンを介した、ピラジンからのプテリジン(4位で未置換)の合成を記載する、A. Albertら, Chem. Biol. Pteridines Proc. Int. Symp., 4th, : 1−5(1969)が含まれる。
[264]さらに、本発明にしたがって使用可能なIGF−1Rキナーゼ阻害剤の特定の例には、h7C10(Centre de Recherche Pierre Fabre)、IGF−1アンタゴニスト;EM−164(ImmunoGen Inc.)、IGF−1R調節剤;CP−751871(Pfizer Inc.)、IGF−1アンタゴニスト;ランレオチド(Ipsen)、IGF−1アンタゴニスト;IGF−1Rオリゴヌクレオチド(Lynx Therapeutics Inc.);IGF−1オリゴヌクレオチド(National Cancer Institute);Novartisによって開発中のIGF−1Rプロテインチロシンキナーゼ阻害剤(例えばNVP−AEW541、Garcia−Echeverria, C.ら(2004) Cancer Cell 5:231−239;またはNVP−ADW742、Mitsiades, C.S.ら(2004) Cancer Cell 5:221−230);IGF−1Rプロテインチロシンキナーゼ阻害剤(Ontogen社);OSI−906(OSI Pharmaceuticals);AG−1024(Camirand, A.ら(2005) Breast Cancer Research 7:R570−R579(DOI 10.1186/bcr1028);Camirand, A.およびPollak, M.(2004) Brit. J. Cancer 90:1825−1829;Pfizer Inc.)、IGF−1アンタゴニスト;チロホスチンAG−538およびI−OMe−AG 538;BMS−536924、IGF−1Rの低分子阻害剤;PNU−145156E(Pharmacia & Upjohn SpA)、IGF−1アンタゴニスト;BMS 536924、二重IGF−1RおよびIRキナーゼ阻害剤(Bristol−Myers Squibb);AEW541(Novartis);GSK621659A(Glaxo Smith−Kline);INSM−18(Insmed);およびXL−228(Exelixis)が含まれる。
[265]抗体に基づくIGF−1Rキナーゼ阻害剤には、天然リガンドによるIGF−1R活性化を部分的にまたは完全に遮断可能ないかなる抗IGF−1R抗体または抗体断片も含まれる。抗体に基づくIGF−1Rキナーゼ阻害剤にはまた、部分的にまたは完全にIGF−1R活性化を遮断可能ないかなる抗IGF−1抗体または抗体断片も含まれる。抗体に基づくIGF−1Rキナーゼ阻害剤の限定されない例には、Larsson, O.ら(2005) Brit. J. Cancer 92:2097−2101ならびにIbrahim, Y.H.およびYee, D.(2005) Clin. Cancer Res. 11:944s−950sに記載されるもの;あるいはImcloneによって開発中のもの(例えばIMC−A12)、またはAMG−479、抗IGF−1R抗体(Amgen);R1507、抗IGF−1R抗体(Genmab/Roche);AVE−1642、抗IGF−1R抗体(Immunogen/Sanofi−Aventis);MK 0646またはh7C10、抗IGF−1R抗体(Merck);あるいはSchering−Plough Research Instituteによって開発中の抗体(例えばSCH 717454または19D12;あるいは米国特許出願公報第US 2005/0136063 A1号および第US 2004/0018191 A1号に記載されるようなもの)が含まれる。IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、モノクローナル抗体、あるいは抗体またはその結合特異性を有する抗体断片であってもよい。
[266]本明細書記載の任意の方法の別の態様において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、政府規制当局(例えば米国食品医薬品局(FDA);欧州医薬品庁;日本厚生労働省;英国医薬品庁(MHRA))によって認可されたIGF−1Rキナーゼ阻害剤であってもよい(例えばそのように認可されている、本明細書開示の任意のIGF−1Rキナーゼ阻害剤)。同様に、本明細書記載の任意の方法の別の態様において、EGFRキナーゼ阻害剤は、政府規制当局によって認可されたEGFRキナーゼ阻害剤であってもよい(例えばそのように認可されている、本明細書開示の任意のEGFRキナーゼ阻害剤)。さらに、本明細書記載の任意の方法の別の態様において、EMT阻害剤は、政府規制当局によって認可されたEMT阻害剤であってもよい(例えばそのように認可されている、本明細書開示の任意のEMT阻害剤)。
[267]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、COX II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。有用なCOX−II阻害剤の例には、アレコキシブ(例えばセレブレックスTM)、バルデコキシブおよびロフェコキシブが含まれる。
[268]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、放射線または放射線医薬品での治療を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[269]放射線供給源は、治療中の患者に対して外部または内部のいずれであってもよい。供給源が患者外部である場合、療法は、外照射療法(EBRT)と称される。放射線供給源が患者内部である場合、治療は小線源療法(BT)と称される。本発明の背景で使用するための放射性原子は、限定されるわけではないが、ラジウム、セシウム−137、イリジウム−192、アメリシウム−241、金−198、コバルト−57、銅−67、テクネチウム−99、ヨード−123、ヨード−131、およびインジウム−111からなる群より選択可能である。本発明にしたがったEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤が抗体である場合、抗体をこうした放射性同位体で標識することもまた可能である。
[270]放射線療法は、切除不能または手術不能腫瘍および/または腫瘍転移を調節するための標準的治療である。放射線療法を化学療法と組み合わせた際、改善された結果が見られている。放射線療法は、ターゲット領域に送達される高線量放射線が、腫瘍および正常組織の両方の再生可能細胞の死を生じる原理に基づく。放射線投薬措置は、一般的に、放射線吸収線量(Gy)、時間および分割に関して定義され、そして腫瘍学者によって注意深く定義されなければならない。患者が受ける放射線の量は、多様な考慮に応じるが、2つの最も重要な点は、体の他の非常に重要な構造または臓器に対する腫瘍の位置、および腫瘍が広がっている度合いである。放射線療法を受ける患者のための典型的な治療経過は、1〜6週間の期間の治療スケジュールであり、患者には、約1.8〜2.0Gyの一日分割で、週5日、10〜80Gyの間の総線量が投与される。本発明の好ましい態様において、ヒト患者における腫瘍を本発明の治療および放射線の組み合わせで治療する場合、相乗作用がある。言い換えると、本発明の組み合わせを含む剤による腫瘍増殖阻害は、場合によってさらなる化学療法剤または抗癌剤とともに、放射線と組み合わせた際に増進される。アジュバント放射線療法のパラメータは、例えば国際特許公報WO 99/60023に含有される。
[271]本発明は、患者において腫瘍または腫瘍転移を治療するための先行する方法であって、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、およびさらに同時にまたは連続して、抗腫瘍免疫反応を増進させることが可能な1またはそれより多い剤での治療を投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
[272]抗腫瘍免疫反応を増進させることが可能な剤には、例えば:CTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4)抗体(例えばMDX−CTLA4、イピリムマブ、MDX−010)、およびCTLA4を遮断可能な他の剤が含まれる。本発明で使用可能な特定のCTLA4抗体には、米国特許第6,682,736号記載のものが含まれる。
[273]本発明の背景において、剤または療法の「有効量」は、上に定義する通りである。剤または療法の「療法量未満の量」は、剤または療法に有効な量より少ない量であるが、別の剤または療法の有効量または療法量以下の量と組み合わせると、例えば生じる有効性効果の相乗作用、または副作用減少によって、医師が望む結果を生じうる。
[274]本明細書において、用語「患者」は、好ましくは、癌のため、EGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療が必要なヒトを指す。しかし、用語「患者」はまた、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療が必要な非ヒト動物も指してもよく、好ましくは哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジおよびとりわけ非ヒト霊長類である。
[275]好ましい態様において、患者は癌治療が必要なヒトである。患者の癌は、好ましくは、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の投与によって、部分的にまたは完全にのいずれかで治療可能な任意の癌である。癌は、例えば、肺癌、非小細胞肺癌、細気管支肺胞細胞肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌(stomach cancer、gastric cancer)、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、結腸直腸癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌(例えば副腎皮質癌)、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞癌、胆道癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、シュワン腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮癌、下垂体腺腫であってもよく、任意の上記の癌の不応性型、あるいは1またはそれより多い上記癌の組み合わせが含まれる。
[276]本発明の目的のため、さらなる抗癌剤とEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤(両方の構成要素を、以後、「2つの活性剤」と称する)の「同時投与」およびこれらを「同時投与すること」は、2つの活性剤を別個にまたは一緒に投与することのいずれも指し、この場合、2つの活性剤は、併用療法の利点を得るように設計された適切な投薬措置の一部として投与される。したがって、同じ薬学的組成物の一部として、または別個の薬学的組成物においてのいずれかで、2つの活性剤を投与してもよい。さらなる剤を、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤投与の前に、該投与と同時に、または該投与に続いて、あるいはそのいくつかの組み合わせで、投与してもよい。EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤が、例えば標準的治療経過中に反復間隔で患者に投与される場合、さらなる剤を、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の各投与の前に、該投与と同時に、または該投与に続いて、あるいはそのいくつかの組み合わせで、あるいはEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤治療とは異なる間隔で、あるいはEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療経過の前に、その間の任意の時点で、またはそれに続いて、単回用量で投与してもよい。
[277]EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤は、典型的には、当該技術分野に知られるように、そして例えば国際特許公報第WO 01/34574号に開示されるように、患者を治療しようとする癌の最も有効な治療(有効性および安全性両方の観点から)を提供する投薬措置で、患者に投与されるであろう。本発明の治療法を実行する際、治療する癌のタイプ、用いるEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤のタイプ(例えば低分子、抗体、RNAi、リボザイムまたはアンチセンス構築物)および例えば公表される臨床研究の結果に基づくような主治医の医学的判断に応じて、阻害剤を、当該技術分野に知られる任意の有効な方式で、例えば、経口、局所、静脈内、腹腔内、筋内、動脈内、皮下、鼻内、眼内、膣、直腸、または経皮経路によって、投与することも可能である。
[278]投与するEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の量および阻害剤投与のタイミングは、治療中の患者のタイプ(種、性別、年齢、体重等)および状態、治療中の疾患または状態の重症度、ならびに投与経路に応じるであろう。例えば、低分子EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤は、1回または分割用量で1日あたりまたは1週あたり、あるいは連続注入によって、0.001〜100mg/kg体重の範囲の用量で患者に投与可能である(例えば国際特許公報第WO 01/34574号を参照されたい)。特に、エルロチニブHClは、1回または分割用量で、1日あたり5〜200mg、または1週あたり100〜1600mgの範囲の用量で、あるいは連続注入によって、投与可能である。好ましい用量は150mg/日である。抗体に基づくEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤、あるいはアンチセンス、RNAiまたはリボザイム構築物を、1回または分割用量で1日あたりまたは1週あたり、あるいは連続注入によって、0.1〜100mg/kg体重の範囲の用量で患者に投与してもよい。いくつかの例において、前述の範囲の下限より下の投薬量レベルでも十分である可能性もあり、一方、他の場合において、さらにより多い用量をまず、1日を通じた投与のため、いくつかの小さい用量に最初に分割するならば、さらにより大きい用量が、いかなる有害な副作用も引き起こさずに使用されることも可能である。
[279]EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤および他のさらなる剤を、同じまたは異なる経路によって、別個にまたは一緒にのいずれかで、そして非常に多様な異なる投薬型で、投与してもよい。例えば、阻害剤は好ましくは経口または非経口投与される。EGFRキナーゼ阻害剤がエルロチニブHCl(タルセバ(登録商標))である場合、経口投与が好ましい。IGF−1Rキナーゼ阻害剤がOSI−906である場合、経口投与が好ましい。EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤および他のさらなる剤の両方を単回用量または多数回用量で投与してもよい。
[280]EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディ、粉末、スプレー、クリーム、軟膏、座薬、ジェリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、エリキシル剤、シロップ等の形で、多様な薬学的に許容されうる不活性キャリアーとともに投与してもよい。単回用量または多数回用量で、こうした投薬型の投与を実行してもよい。キャリアーには、固形希釈剤または充填剤、無菌水性媒体および多様な非毒性有機溶媒等が含まれる。経口薬学的組成物に適切に甘味および/またはフレーバーを付けてもよい。
[281]EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を、スプレー、クリーム、軟膏、座薬、ジェリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏等の形で、多様な薬学的に許容されうる不活性キャリアーと一緒に合わせてもよい。単回用量または多数回用量で、こうした投薬型の投与を実行してもよい。キャリアーには、固形希釈剤または充填剤、無菌水性媒体および多様な非毒性有機溶媒等が含まれる。タンパク質性EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を含むすべての配合物は、阻害剤の変性および/または分解、ならびに生物学的活性の喪失を回避するように、選択すべきである。
[282]EGFRキナーゼ阻害剤を含む薬学的組成物を調製する方法が当該技術分野に知られ、そして例えば国際特許公報第WO 01/34574号に記載される。本発明の解説を考慮して、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を含む薬学的組成物を調製する方法は、上に引用する刊行物から、そして他の既知の参考文献、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, ペンシルバニア州イーストン, 第18版(1990)から明らかであろう。
[283]EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の経口投与のため、1または両方の活性剤を含有する錠剤は、任意の多様な賦形剤、例えば微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンなどと、多様な崩壊剤、例えばデンプン(そして好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、アルギン酸および特定の複合シリケートとともに、顆粒化結合剤、例えばポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムと一緒に、組み合わせられる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの潤滑剤が、錠剤化目的のために、しばしば非常に有用である。類似のタイプの固形組成物をゼラチンカプセル中の充填剤として使用してもよく;これに関連して好ましい材料にはまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールも含まれる。水性懸濁物および/またはエリキシル剤が経口投与のために望ましい場合、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を多様な甘味剤またはフレーバー剤、着色物質または色素と組み合わせてもよく、そして望ましい場合、乳化剤および/または懸濁剤とも、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよび多様な同様の組み合わせと一緒に組み合わせてもよい。
[284]活性剤のいずれかまたは両方の非経口投与のため、ゴマ油またはピーナツ油、あるいは水性プロピレングリコールのいずれか中の溶液を使用してもよく、活性剤または対応するその水溶性の塩を含む無菌水溶液を使用してもよい。こうした無菌水溶液は、好ましくは、適切に緩衝され、そしてまた、例えば十分な生理食塩水またはグルコースで等張性にされている。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋内、皮下および腹腔内注射目的に、特に適している。油性溶液は、動脈内、筋内および皮下注射目的に適している。これらの溶液すべての無菌条件下での調製は、当業者に周知の標準的な薬学的技術によって容易に達成される。タンパク質性EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤の投与に関して選択される任意の非経口配合物は、阻害剤の変性および生物学的活性の喪失を回避するように選択すべきである。
[285]さらに、活性剤のいずれかまたは両方を、例えばクリーム、ローション、ジェリー、ゲル、ペースト、軟膏(ointment、salve)等によって、標準的な薬学的実施にしたがって、局所投与することも可能である。例えば、約0.1%(w/v)〜約5%(w/v)の濃度のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を含む局所配合物を調製してもよい。
[286]獣医学的目的のため、任意の型を用いて、そして上述の経路のいずれかによって、活性剤を別個にまたは一緒に動物に投与してもよい。好ましい態様において、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を、カプセル、ボーラス、錠剤、液体水薬(drench)の形で、注射によって、または移植物として投与する。代替物として、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を、動物の飼料とともに投与してもよく、そしてこの目的のため、濃縮飼料添加物またはプレミックスを通常の動物飼料のために調製してもよい。こうした配合物を標準的獣医学的実施にしたがって、慣用的方式で調製する。
[287]本明細書において、用語「EGFRキナーゼ阻害剤」には、当該技術分野に現在知られるいかなるEGFRキナーゼ阻害剤も含まれ、そして患者に投与した際に、そうでなければ天然リガンドのEGFRへの結合から生じる下流生物学的効果のいずれも含む、患者におけるEGFRの活性化に関連する生物学的活性の阻害を生じるいかなる化学実体も含まれる。こうしたEGFRキナーゼ阻害剤には、患者における癌治療に関連するEGFR活性化またはEGFR活性化の下流生物学的効果のいずれかを遮断可能ないかなる剤も含まれる。こうした阻害剤は、受容体の細胞内ドメインに直接結合し、そしてそのキナーゼ活性を阻害することによって作用してもよい。あるいは、こうした阻害剤は、EGFRのリガンド結合部位またはその一部を占めることにより、正常な生物学的活性が防止されるかまたは減少するように、受容体を天然リガンドにアクセス不能にすることによって、作用することも可能である。あるいは、こうした阻害剤は、EGFRポリペプチドの二量体化、またはEGFRポリペプチドと他のタンパク質の相互作用を調節することによって、あるいはEGFRのユビキチン化およびエンドサイトーシス分解を増進することによって作用することも可能である。EGFRキナーゼ阻害剤には、限定されるわけではないが、低分子量阻害剤、抗体または抗体断片、アンチセンス構築物、低分子阻害性RNA(すなわちdsRNAによるRNA干渉;RNAi)、およびリボザイムが含まれる。好ましい態様において、EGFRキナーゼ阻害剤は、ヒトEGFRに特異的に結合する小有機分子または抗体である。
[288]EGFRキナーゼ阻害剤には、例えばキナゾリンEGFRキナーゼ阻害剤、ピリドピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、ピリミドピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、ピロロピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、ピラゾロピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、フェニルアミノピリミジンEGFRキナーゼ阻害剤、オキシンドールEGFRキナーゼ阻害剤、インドロカルバゾールEGFRキナーゼ阻害剤、フタラジンEGFRキナーゼ阻害剤、イソフラボンEGFRキナーゼ阻害剤、キナロンEGFRキナーゼ阻害剤、およびチロホスチンEGFRキナーゼ阻害剤、例えば以下の特許刊行物に記載されるもの、ならびに前記EGFRキナーゼ阻害剤のすべての薬学的に許容されうる塩および溶媒和物が含まれる:国際特許刊行物第WO 96/33980号、第WO 96/30347号、第WO 97/30034号、第WO 97/30044号、第WO 97/38994号、第WO 97/49688号、第WO 98/02434号、第WO 97/38983号、第WO 95/19774号、第WO 95/19970号、第WO 97/13771号、第WO 98/02437号、第WO 98/02438号、第WO 97/32881号、第WO 98/33798号、第WO 97/32880号、第WO 97/3288号、第WO 97/02266号、第WO 97/27199号、第WO 98/07726号、第WO 97/34895号、第WO 96/31510号、第WO 98/14449号、第WO 98/14450号、第WO 98/14451号、第WO 95/09847号、第WO 97/19065号、第WO 98/17662号、第WO 99/35146号、第WO 99/35132号、第WO 99/07701号、および第WO 92/20642号;欧州特許出願第EP 520722号、第EP 566226号、第EP 787772号、第EP 837063号、および第EP 682027号;米国特許第5,747,498号、第5,789,427号、第5,650,415号、および第5,656,643号;ならびにドイツ特許出願第DE 19629652号。低分子量EGFRキナーゼ阻害剤のさらなる限定されない例には、Traxler, P., 1998, Exp. Opin. Ther. Patents 8(12):1599−1625に記載されるEGFRキナーゼ阻害剤のいずれかが含まれる。
[289]本発明にしたがって使用可能な低分子量EGFRキナーゼ阻害剤の特定の好ましい例には、[6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリン−4−イル]−(3−エチニルフェニル)アミン(OSI−774、エルロチニブ、またはタルセバ(登録商標)(エルロチニブHCl)としても知られる;OSI Pharmaceuticals/Genentech/Roche)(米国特許第5,747,498号;国際特許公報第WO 01/34574号、およびMoyer, J.D.ら(1997) Cancer Res. 57:4838−4848);カネルチニブ(CI−1033としても知られ、以前、PD183805として知られた;Pfizer)(Sherwoodら, 1999, Proc. Am. Assoc. Cancer Res. 40:723);PD−158780(Pfizer);AG−1478(カリフォルニア大学);CGP−59326(Novartis);PKI−166(Novartis);EKB−569(Wyeth);GW−2016(GW−572016またはジトシル酸ラパチニブとしても知られる;GSK);バンデタニブ(ZD6474;Astrazeneca)、PF00299804(Pfizer)、およびゲフィチニブ(ZD1839またはイレッサTMとしても知られる;Astrazeneca)(Woodburnら, 1997, Proc. Am. Assoc. Cancer Res. 38:633)が含まれる。本発明にしたがって使用可能な特に好ましい低分子量EGFRキナーゼ阻害剤は、[6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリン−4−イル]−(3−エチニルフェニル)アミン(すなわちエルロチニブ)、その塩酸塩(すなわちエルロチニブHCl、タルセバ(登録商標))または他の塩型(例えばメシル酸エルロチニブ)である。
[290]抗体に基づくEGFRキナーゼ阻害剤には、天然リガンドによるEGFR活性化を部分的にまたは完全に遮断可能な任意の抗EGFR抗体または抗体断片が含まれる。抗体に基づくEGFRキナーゼ阻害剤の限定されない例には、Modjtahedi, H.,ら, 1993, Br. J. Cancer 67:247−253; Teramoto, T.,ら, 1996, Cancer 77:639−645; Goldsteinら, 1995, Clin. Cancer Res. 1:1311−1318; Huang, S. M.,ら, 1999, Cancer Res. 15:59(8):1935−40;およびYang, X.,ら, 1999, Cancer Res. 59:1236−1243が含まれる。したがって、EGFRキナーゼ阻害剤は、モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang, X.D.ら(1999) Cancer Res. 59:1236−43)またはMab C225(ATCC寄託番号HB−8508)、あるいはその結合特異性を有する抗体または抗体断片であってもよい。適切なモノクローナル抗体EGFRキナーゼ阻害剤には、限定されるわけではないが、IMC−C225(セツキシマブまたはエルビタックスTMとしても知られる;Imclone Systems)、パニツムマブ(ABX−EGFとしても知られる;Abgenix)、マツズマブ(EMD 72000としても知られる;Merck KgaA、ダルムシュタット)、RH3(York Medical Bioscience Inc.)、MDX−447(メダレックス/ Merck KgaA)、ニモツズマブ(h−R3)、ザルツムマブ、およびch806(突然変異体EGFRvIIIをターゲティングする)が含まれる。
[291]抗体に基づくさらなるEGFRキナーゼ阻害剤は、適切な抗原またはエピトープを、例えばとりわけブタ、ウシ、ウマ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、およびマウスから選択される宿主動物に投与することによって、既知の方法にしたがって作製することも可能である。当該技術分野に知られる多様なアジュバントを用いて、抗体産生を増進させることも可能である。
[292]本発明を実施する際に有用な抗体は、ポリクローナルであってもよいが、モノクローナル抗体が好ましい。培養中の連続細胞株によって抗体分子の産生を提供する任意の技術を用いて、EGFRに対するモノクローナル抗体を調製し、そして単離してもよい。産生および単離のための技術には、限定されるわけではないが、KohlerおよびMilstein(Nature, 1975, 256:495−497)によって元来記載されたハイブリドーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら, 1983, Immunology Today 4:72;Coteら, 1983, Proc. Nati. Acad. Sci. USA 80:2026−2030);およびEBVハイブリドーマ技術(Coleら, 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77−96).が含まれる。
[293]あるいは、一本鎖抗体の産生に関して記載される技術(例えば米国特許第4,946,778号)を適応させて、抗EGFR一本鎖抗体を産生してもよい。本発明を実施する際に有用な、抗体に基づくEGFRキナーゼ阻害剤にはまた、限定されるわけではないが、損なわれていない抗体分子のペプシン消化によって生成可能なF(ab’)断片、およびF(ab’)断片のジスルフィド架橋を還元することによって生成可能なFab断片を含む抗EGFR抗体断片が含まれる。あるいは、Fabおよび/またはscFv発現ライブラリーを構築して(例えば、Huseら, 1989, Science 246:1275−1281を参照されたい)、EGFRに対する望ましい特異性を有する断片を迅速に同定することを可能にしてもよい。
[294]モノクローナル抗体および抗体断片の産生および単離のための技術は、当該技術分野に周知であり、そしてこうした技術は、HarlowおよびLane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratoryに、そしてJ. W. Goding, 1986, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, Londonに記載される。ヒト化抗EGFR抗体および抗体断片もまた、Vaughn, T. J.ら, 1998, Nature Biotech. 16:535−539および該文献に引用される参考文献に記載されるものなどの既知の技術にしたがって調製可能であり、そしてこうした抗体またはその断片もまた、本発明を実施する際に有用である。
[295]本発明で使用するためのEGFRキナーゼ阻害剤は、あるいは、アンチセンスオリゴヌクレオチド構築物に基づいてもよい。アンチセンスRNA分子およびアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞中で、EGFR mRNAに結合することによって、その翻訳を直接遮断し、そしてしたがってタンパク質翻訳を防止するか、またはmRNA分解を増加させ、したがってEGFRキナーゼタンパク質のレベル、そしてしたがって活性を減少させるように働くであろう。例えば、少なくとも約15塩基であり、そしてEGFRをコードするmRNA転写物配列のユニークな領域に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを、例えば慣用的なホスホジエステル技術によって合成し、そして例えば静脈内注射または注入によって投与してもよい。配列が知られる遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するため、アンチセンス技術を用いるための方法が、当該技術分野に周知である(例えば、米国特許第6,566,135号;第6,566,131号;第6,365,354号;第6,410,323号;第6,107,091号;第6,046,321号;および第5,981,732号を参照されたい)。
[296]低分子阻害性RNA(siRNAs)もまた、本発明で使用するためのEGFRキナーゼ阻害剤として機能しうる。EGFR発現が特異的に阻害されるように、腫瘍、被験体または細胞と、低分子二本鎖RNA(dsRNA)、あるいは低分子二本鎖RNAの産生を引き起こすベクターまたは構築物を接触させることによって、EGFR遺伝子発現を減少させることも可能である(すなわちRNA干渉またはRNAi)。その配列が知られる遺伝子に関して、適切なdsRNAまたはdsRNAをコードするベクターを選択するための方法が当該技術分野に周知である(例えば、Tuschi, T.ら(1999) Genes Dev. 13(24):3191−3197; Elbashir, S.M.ら(2001) Nature 411:494−498; Hannon, G.J.(2002) Nature 418:244−251; McManus, M.T.およびSharp, P. A.(2002) Nature Reviews Genetics 3:737−747; Bremmelkamp, T.R.ら(2002) Science 296:550−553;米国特許第6,573,099号、および第6,506,559号;ならびに国際特許公報第WO 01/36646号、第WO 99/32619号、および第WO 01/68836号を参照されたい)。
[297]リボザイムもまた、本発明で使用するためのEGFRキナーゼ阻害剤として機能しうる。リボザイムは、RNAの特異的な切断を触媒可能な、酵素性RNA分子である。リボザイム作用の機構は、相補的ターゲットRNAに対するリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーション後、ヌクレオチド鎖切断を伴う。EGFR mRNA配列のヌクレオチド鎖切断を特異的に、そして効率的に触媒する操作ヘパリンまたはハンマーヘッドモチーフリボザイム分子は、したがって、本発明の範囲内で有用である。任意の潜在的なRNAターゲット内での特異的リボザイム切断部位は、リボザイム切断部位に関してターゲット分子をスキャンすることによって最初に同定され、こうした部位には、典型的には、以下の配列、GUA、GUU、およびGUCが含まれる。ひとたび同定されたら、切断部位を含有するターゲット遺伝子領域に対応する、約15〜約20リボヌクレオチドの間の短いRNA配列を、予測される構造特徴、例えばオリゴヌクレオチド配列を不適切にしうる二次構造に関して評価してもよい。候補ターゲットの適切性はまた、例えばリボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対するアクセス可能性を試験することによってもまた評価可能である。
[298]EGFRキナーゼ阻害剤として有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムはどちらも、既知の方法によって調製可能である。これらには、化学的合成法に関する技術、例えば固相ホスホロアミダイト化学合成によるものが含まれる。あるいは、RNA分子をコードするDNA配列のin vitroまたはin vivo転写によって、アンチセンスRNA分子を生成してもよい。T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを取り込む非常に多様なベクター内に、こうしたDNA配列を取り込んでもよい。細胞内安定性および半減期を増加させる手段として、本発明のオリゴヌクレオチドに多様な修飾を導入してもよい。ありうる修飾には、限定されるわけではないが、分子の5’および/または3’端へのリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドの隣接配列の付加、あるいはオリゴヌクレオチド主鎖内でのホスホジエステラーゼ連結ではないホスホロチオエートまたは2’−O−メチルの使用が含まれる。
[299]本発明の治療法の背景において、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤は、薬学的に許容されうるキャリアーおよび非毒性療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容されうる塩を含む)で構成される組成物として用いられる。
[300]用語「薬学的に許容されうる塩」は、薬学的に許容されうる非毒性塩基または酸から調製される塩を指す。本発明の化合物が酸性である場合、対応する塩は、好適に、無機塩基および有機塩基を含む、薬学的に許容されうる非毒性塩基から調製されうる。こうした無機塩基に由来する塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(銅二価および銅一価)、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二マンガンおよび第一マンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛および同様の塩が含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。薬学的に許容されうる有機非毒性塩基由来の塩には、一級、二級、および三級アミン、ならびに環状アミンおよび置換アミン、例えば天然存在および合成置換アミンが含まれる。塩を形成可能な他の薬学的に許容されうる有機非毒性塩基には、イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。
[301]本発明で用いる化合物が塩基性である場合、対応する塩は、好適に、無機酸および有機酸を含む、薬学的に許容されうる非毒性酸から調製されうる。こうした酸には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
[302]EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容されうる塩を含む)を活性成分として含む、本発明で使用する薬学的組成物には、薬学的に許容されうるキャリアー、および場合によって他の療法成分またはアジュバントが含まれてもよい。他の療法剤には、上に列挙するような、細胞傷害剤、化学療法剤または抗癌剤、あるいはこうした剤の効果を増進させる剤が含まれてもよい。組成物には、経口、直腸、局所、および非経口(皮下、筋内、および静脈内を含む)投与に適した組成物が含まれるが、任意の所定の症例における最も適切な経路は、特定の宿主、ならびに活性成分を投与しようとする状態の性質および重症度に依存するであろう。薬学的組成物を、好適に、単位投薬型で提示し、そして薬学業に周知の任意の方法によって調製してもよい。
[303]実施において、本発明のEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容されうる塩を含む)を、慣用的な薬学的化合技術にしたがって、薬学的キャリアーと緊密に混合した活性成分として組み合わせてもよい。キャリアーは、投与、例えば経口または非経口(静脈内を含む)投与に望ましい調製型に応じて、非常に多様な型を取りうる。したがって、本発明の薬学的組成物は、各々、あらかじめ決定された量の活性成分を含有するカプセル、カシェーまたは錠剤などの経口投与に適した別個の単位として提示されてもよい。さらに、組成物は、粉末として、顆粒として、溶液として、水性液体中の懸濁物として、非水性液体として、水中油エマルジョンとして、または油中水液体エマルジョンとして、提示されてもよい。上に示す一般的な投薬型に加えて、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物(各構成要素の薬学的に許容されうる塩を含む)はまた、徐放手段および/または送達デバイスによって投与されてもよい。薬学業の方法のいずれによって、組成物の組み合わせを調製してもよい。一般的に、こうした方法には、活性成分と、1またはそれより多い必要な成分を構成するキャリアーを会合させる工程が含まれる。一般的に、組成物は、均一にそして念入りに、活性成分と、液体キャリアーまたは細分割された固体キャリアーを、あるいはその両方を混ぜ合わせることによって調製される。次いで、産物が望ましい提示になるように、好適に成形してもよい。
[304]本発明で用いるEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容されうる塩を含む)はまた、1またはそれより多い療法的活性化合物と組み合わせて、薬学的組成物中に含まれてもよい。他の療法活性化合物には、上に列挙するような、細胞傷害剤、化学療法剤または抗癌剤、あるいはこうした剤の効果を増進させる剤が含まれてもよい。
[305]したがって、本発明の1つの態様において、薬学的組成物は、抗癌剤と組み合わされたEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物を含んでもよく、ここで前記抗癌剤は、アルキル化薬剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、ポドフィロトキシン、抗生物質、ニトロソ尿素、ホルモン療法、キナーゼ阻害剤、腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤、および抗血管形成剤からなる群より選択されるメンバーである。
[306]使用する薬学的キャリアーは、例えば、固体、液体、または気体であってもよい。固体キャリアーの例には、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体キャリアーの例は、シュガーシロップ、ピーナツ油、オリーブ油、および水である。気体キャリアーの例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。
[307]経口投薬型の組成物を調製する際には、任意の好適な薬学的媒体を使用してもよい。例えば、水、グリコール、油、アルコール、フレーバー剤、保存剤、着色剤等を用いて、経口液体調製物、例えば懸濁剤、エリキシル剤および溶液を形成してもよく;一方、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等を用いて、経口固体調製物、例えば粉末、カプセルおよび錠剤を形成してもよい。投与を容易にするため、固形薬学的キャリアーを使用する錠剤およびカプセルが好ましい経口投薬単位である。場合によって、標準的水性または非水性技術によって、錠剤をコーティングしてもよい。
[308]圧縮またはモールディングによって、場合によって1またはそれより多い付属成分またはアジュバントとともに、本発明で用いる組成物を含有する錠剤を調製してもよい。適切な装置中で、粉末または顆粒などの自由流動型の活性成分を、場合によって結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、表面活性剤または分散剤と混合して、圧縮することによって、圧縮錠剤を調製してもよい。適切な装置中で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物をモールディングすることによって、モールディング錠剤を作製してもよい。各錠剤は、好ましくは、約0.05mg〜約5gの活性成分を含有し、そして各カシェーまたはカプセルは、好ましくは、約0.05mg〜約5gの活性成分を含有する。
[309]例えば、ヒトへの経口投与に意図される配合物は、総組成物の約5〜約95パーセントで多様であることも可能である、適切でそして好適な量のキャリアー成分と混合された、約0.5mg〜約5gの活性剤を含有してもよい。単位投薬型は、一般的に、約1mg〜2gの間の活性成分、典型的には、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、または1000mgを含有するであろう。
[310]本発明で用いる、非経口投与に適した薬学的組成物を、水中の活性化合物の溶液または懸濁物として調製してもよい。適切な界面活性剤には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースが含まれてもよい。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、および油中のその混合物中で分散物を調製してもよい。さらに、微生物の有害な増殖を防止するために、保存剤を含めてもよい。
[311]注射可能使用に適した本発明の薬学的組成物には、無菌水溶液または分散物が含まれる。さらに、組成物は、こうした無菌注射可能溶液または分散物の即時調製のための無菌粉末の形であってもよい。すべての場合で、最終注射可能型は無菌でなければならず、そして容易な注射可能性(syringability)のために有効に流動性でなければならない。薬学的組成物は、製造および保存の条件下で安定でなければならない;したがって、好ましくは、細菌および真菌などの微生物の混入作用に対して保存されなければならない。キャリアーは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油、およびその適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒体であってもよい。
[312]本発明の薬学的組成物は、例えば、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布粉末等の局所使用に適した型であってもよい。さらに、組成物は、経皮デバイスにおける使用に適した型であってもよい。慣用的なプロセシング法を通じて、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容されうる塩を含む)を利用して、これらの配合物を調製してもよい。例として、親水性成分および水を、約5重量%〜約10重量%の化合物と一緒に混合して、望ましいコンシステンシーを有するクリームまたは軟膏を産生することによって、クリームまたは軟膏を調製する。
[313]本発明の薬学的組成物は、直腸投与に適した型であってもよく、ここでキャリアーは固体である。混合物が単位用量座薬を形成することが好ましい。適切なキャリアーにはココアバターおよび当該技術分野で一般的に用いられる他の材料が含まれる。組成物をまず、軟化または融解キャリアー(単数または複数)と混合し、その後、冷却し、そしてモールド中で成形することによって、座薬を好適に形成してもよい。
[314]前述のキャリアー成分に加えて、上記薬学的配合物には、適切なように、1またはそれより多いさらなるキャリアー成分、例えば希釈剤、緩衝剤、フレーバー剤、結合剤、表面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存剤(酸化防止剤を含む)等が含まれてもよい。さらに、配合物を、意図されるレシピエントの血液と等張にするため、他のアジュバントが含まれてもよい。EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物(その薬学的に許容されうる塩を含む)を含有する組成物はまた、粉末または液体濃縮型でも調製可能である。
[315]本発明を実施するために用いる化合物の投薬量レベルは、本明細書に記載するように、またはこれらの化合物に関して当該技術分野に記載されるように、およそであろう。しかし、任意の特定の患者に特異的な用量レベルは、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出率、薬剤組み合わせ、および療法を受けている特定の疾患の重症度に応じるであろう。
[316]当該技術分野に知られる多くの代替実験法は、本発明の実施において、本明細書に特に記載するものに対して置換可能であり、例えば、本発明に関連する技術分野で入手可能な優れたマニュアルおよび教科書(例えば、Using Antibodies, A Laboratory Manual, Harlow, E.およびLane, D.監修, 1999, Cold Spring Harbor Laboratory Press(例えばISBN 0−87969−544−7); Roe B.A.ら 1996, DNA Isolation and Sequencing(Essential Techniques Series), John Wiley & Sons.(例えばISBN 0−471−97324−0); Methods in Enzymology: Chimeric Genes and Proteins, 2000, J.Abelson, M.Simon, S.Emr, J.Thorner.監修 Academic Press; Molecular Cloning: a Laboratory Manual, 2001, 第3版, Joseph SambrookおよびPeter MacCallum監修(以前のManiatis Cloning manual)(例えばISBN 0−87969−577−3); Current Protocols in Molecular Biology, Fred M. Ausubelら監修 John Wiley & Sons(例えばISBN 0−471−50338−X); Current Protocols in Protein Science, John E. Coligan監修, John Wiley & Sons(例えばISBN 0−471−11184−8);およびMethods in Enzymology: Guide to protein Purification, 1990, Vol. 182, Deutscher, M.P.監修, Acedemic Press, Inc.(例えばISBN 0−12−213585−7))の多くに記載される通りであり、または分子生物学における実験法を記載するために充てられる多くの大学および商業的ウェブサイトに記載される通りである。
[317]本発明は、以下の実験詳細からよりよく理解されるであろう。しかし、当業者は、論じる特定の方法および結果は、この後に続く請求項により完全に記載するような本発明の単なる例示であり、そしていかなる点でもこれに限定されるとは見なされないものとする。
[318]実験詳細:
[319]材料および方法
[320]化合物:
[321]選択的EGFRキナーゼ阻害剤、エルロチニブは、塩酸塩、エルロチニブHCl(タルセバ(登録商標))として、OSI Pharmaceuticals、米国ニューヨーク州ファーミングデールによって合成された。
[322]選択的IGF−1Rキナーゼ阻害剤、OSI−906は、式、シス−3−[8−アミノ−1−(2−フェニル−キノリン−7−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル]−1−メチル−シクロブタノールを有する。その調製は、米国公開特許出願US 2006/0235031に詳細に記載される。該阻害剤は、以下のような構造を有する:
[323]選択的FAKキナーゼ阻害剤、化合物Fは、方法を用いて、OSI Pharmaceuticals、米国ニューヨーク州ファーミングデールによって合成された。該化合物は、米国特許出願12/791,047中の式1にしたがった化合物に相当し、そして該出願記載の方法によって合成される。
[324]選択的METキナーゼ阻害剤、化合物Mは、OSI Pharmaceuticals、米国ニューヨーク州ファーミングデールによって合成された。該化合物は、米国公開特許出願US2009/197862中の式1にしたがった化合物に相当し、そして該出願記載の方法によって合成される。
[325]一般的な細胞培養条件:本明細書に別に記載しない限り、ヒト腫瘍細胞株NCI−H358TM[別名H−358;H358]、NCI−H1650[別名H1650;CRL−5883TM]、NCI−H292TM[別名CRL−1848TM;H292]、およびCFPAC−1[別名CRL−1918TM]は、ATCC推奨の補充培地中で培養された。HGF、TGFβ1、およびオンコスタチンMを含む増殖因子およびサイトカインを商業的供給源から得た。
[326]さらに、以下のヒト癌細胞株をアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、バージニア州マナサス)またはさらなる示す供給源から得て、そして記載されるように培地中で培養した。腫瘍タイプもまた示す:H295R(副腎皮質癌;ATCC)、NCI−H322(NSCLC;ECACC)、NCI−H460(NSCLC;ATCC)、SW1573(NSCLC;ATCC)、H1703(NSCLC;ATCC)、BxPC3(膵臓;ATCC)、OVCAR5(卵巣;NCI;)、MDAH−2774(卵巣;ATCC)、Igrov1(卵巣;NCI)、GEO(結腸;Roswell Park Cancer Institute(RPCC))、HT−29(結腸;ATCC)、RKO(結腸;ATCC)、H226(NSCLC;ATCC)、8226(骨髄腫;ATCC)、H929(骨髄腫;ATCC)、U266(骨髄腫;ATCC)、SKES1(ユーイング肉腫;ATCC)、RDES(ユーイング肉腫;ATCC)、RD(横紋筋肉腫;ATCC)、DU4475(***;ATCC)、SKNAS(神経芽腫;ATCC)、2650(鼻SCC;ATCC)、OVCAR4(卵巣;NCI)、A673(ユーイング肉腫;ATCC)、BT474(***;ATCC)、1386(口腔SCC;MSKCC、NY)、1186(SCCHN;MSKCC、NY)、Colo205(結腸;ATCC)、HCT−15(結腸;ATCC)、Fadu(口腔SCC;ATCC)、SKBR3(***;ATCC)、1483(HNSCC;MSKCC、NY)、HSC−2(HNSCC;理研バイオリソースセンター、日本・茨城県つくば市、305−0074、日本)。細胞を、5% COを含有する大気下、インキュベーター中、37℃に維持した。マイコプラズマの存在に関して、細胞をルーチンにスクリーニングした(MycoAlert、Cambrex Bio Science、メリーランド州ボルチモア)。
[327]細胞増殖の測定:Cell Titer Gloアッセイ(Promega社、ウィスコンシン州マディソン)を用いて細胞増殖を決定した。96ウェルプレート中、ウェルあたり3000細胞の密度で細胞株を植え付けた。増殖に対する薬剤効果の評価のため、プレーティング24時間後に、細胞に、単一剤として、または組み合わせてのいずれかで、多様な濃度の薬剤を投薬した。投薬72時間後、Cell Titer Gloに関するシグナルを決定した。
[328]TET誘導性ターゲット遺伝子細胞株の生成:標準的方法を用いて、Snail、Zeb1、またはTGFベータ(恒常的活性)(Snail mRNA配列、Genbank NM_005985、GeneID:6615の産物; Zeb1 mRNA配列、Genbank NM_030751、GeneID:6935の産物;恒常的に活性なSer223/S225ヒトTGF−ベータ−1をコードするTGFベータ配列(すなわち、システイン223および225がセリンに突然変異している、Genbank NP_000651(GeneID:7040の産物))をTet制御プロモーターの調節下に(pTRE2;Invitrogen)構築した。TET−ON細胞株をプレーティングし、そして上述のような、pTRE2−Snail、pTRE2−Zeb1、またはpTRE2−TGFベータプラスミドでトランスフェクションした。150mmのプレートにプレーティングしたら、ピューロマイシン(0.5μg/ml)を用いて、単一細胞を選択した。ピューロマイシン濃度を0.1μg/mlの最終濃度に減少させて、3〜4週間の期間に渡ってコロニーを選択した。コロニーフィルターを用いてコロニーを摘み取り、そしてウェスタンブロット分析によって、ターゲット遺伝子のTET依存性発現に関してスクリーニングした。いくつかの場合、多数のcDNAを所定の細胞株に同時トランスフェクションした。これらの方法は、上に列挙するcDNAに駆動され、テトラサイクリンまたはその類似体に反応して、EMTを経る細胞株の生成を可能にする。
[329]EMT細胞モデルプロトコル:用いるEMT細胞モデルは、本質的に本明細書に記載する通りであり、またはより詳細には、米国特許出願12/381,082、12/660,443、12/660,444およびPCT出願PCT/US2010/25137に記載される通りである。
[330]リガンド駆動EMTモデル:10%ウシ胎児血清(Sigma)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco #11360)、2mM L−グルタミン(Gibco #25030)および10mM HEPES(Gibco #15630)を含むRPMI培地(Gibco #21870)中で、NCI−H358細胞を培養した。リガンド処理のため、細胞を通常の増殖培地に植え付け、そして翌日(第0日)、100ng/ml HGF(Peprotech #100−39)、100ng/ml OSM(R and D systems、295−OM)、2.5ng/ml TGFβ1(EMD Biosciences #616450)または3つの組み合わせで刺激した。培地を交換し、そして新鮮なリガンドを刺激の4日後および6日後に添加し、RNA単離前に24時間、サンプルが新鮮なリガンドで刺激されるようにした。薬剤処理を含有する分析のため、リガンド処理時に、サンプルにDMSOまたは薬剤を添加した。RNA用に、サンプルを第1日、第4日、および第7日に採取した。10%ウシ胎児血清(Sigma)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco #11360)、2mM L−グルタミン(Gibco #25030)および10mM HEPES(Gibco #15630)を含むRPMI培地(Gibco #21870)中で、NCI−H1650およびNCI−H292細胞を増殖させた。10% FBS(Sigma)、2mM L−グルタミン(Gibco #25030)を補ったDMEM(Gibco #11960)中で、CFPAC1細胞(ATCC #CRL−1918)を培養した。10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミンおよび1mMピルビン酸ナトリウムを含むMEM中で、A549細胞を培養した。細胞をリガンドで7日間処理し、そして別に記載しない限り、[249]のNCI−H358に関して記載するように採取した。
[331]H358Tet ON Snail、aTGFβおよびZebモデルプロトコル:テトラサイクリン/ドキシサイクリン誘導性プロモーターの下、Snail、aTGFβ、Zebまたは空ベクターのいずれかを安定に発現するH358細胞を、10%テトラサイクリン不含保証ウシ胎児血清(Clontech)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco #11360)、2mM L−グルタミン(Gibco #25030)および10mM HEPES(Gibco #15630)、10μg/mlブラストサイジン(InvivoGen、サンディエゴ)および0.5μg/mlピューロマイシンを含むRPMI培地(Gibco #21870)中で培養した。刺激のため、細胞を正常増殖培地中に植え付け、そして翌日(第0日)、0.5μg/mlドキシサイクリンで刺激した。培地を交換し、そして新鮮なドキシサイクリンを第4日に添加した。RNAまたはタンパク質のために細胞を第7日に採取した。
[332]3Dマトリゲル培養:冷たい増殖因子減少マトリゲル(80μl; BD Biosciences #354230)を、8ウェルチャンバースライド(Labtek II、Nunc #154534)中にプレーティングし、そして37℃で凝固させた。2% マトリゲルを含有する完全培地で細胞を希釈し、300μlあたり5000細胞にした。各ウェル内に300μlをプレーティングし、そして37℃、5% COで一晩インキュベーションした。培地を吸引し、そして2% マトリゲルおよびリガンド処理を含有する培地、ウェルあたり120μlを再プレーティングした。細胞を14日間増殖させ、3〜4日ごとにフィードした。位相差によって細胞を画像化した。
[333]TAK1 siRNA:細胞をおよそ50%集密でプレーティングした。翌日、細胞を25ng/mlのTAK1に対するsiRNA(Ambion)でトランスフェクションした。トランスフェクション培地を8時間後に除去した。48時間後、1%FBSを含むMEMに培地を交換し、そしてリガンドで4時間処理した。qPCR分析のために、24時間後、RNA用に細胞を採取した。
[334]qPCR:第1日(リガンドモデルのみ)、第4日(リガンドモデルのみ)、第7日および第14日(H358Tet Onモデルのみ)、細胞をトリプシン処理し、PBS中で2回洗浄し、そしてRNA水性4−PCRキット(Ambion、AM1914)を用いて、RNAを単離した。次いで、Turbo DNA不含キット(Ambion、AM1907)を用いて、サンプルをDNアーゼ処理し、そしてqPCR分析のため、Superscript III(Invitrogen、18080−044)を用いて逆転写した。ProbeFinderソフトウェア(Universal Probe library、Roche)を用いて、Taqmanプライマーおよびロック化核酸プローブを設計した。mRNA分析のため、ABI 7900HTシリーズのPCR装置を用いて、リアルタイムPCRを行った。熱周期条件は以下の通りであった:50℃2分間、95℃10分間、95℃15秒間、50℃10秒間、60℃1分間。45周期に渡ってデータを収集し、そして次いで、GAPDHに対して規準化し、そしてさらに未処理対照サンプルに対して規準化した。
[335]RT−PCR分析のための88遺伝子EMTGSとともに用いる規準化遺伝子:遺伝子GTF2B、GAPDH、SDHA、およびACTBを、qPCR分析における規準化遺伝子として選択した。これらを用いて、特定のサンプルに関するすべての規準化遺伝子の幾何平均を計算した(幾何平均=(X1)(X2)...(Xn)のn乗根)。幾何平均は、所定の数のセットの中心傾向を示す。次いで、デルタCtを以下のように計算する:
デルタCt=(遺伝子XのCt値)−(すべての規準化遺伝子の幾何平均)
対照サンプルおよび処理サンプルの間の倍変化の計算には:
対照サンプル=2^(−デルタCt)
処理サンプル=2^(−デルタCt)
倍変化=処理サンプル/対照サンプル
1未満の値(比)を、−(1/X)を乗じることによって、倍変化に変換する。
[336]ウェスタンブロット:細胞をPBSで洗浄し、200μMバナジン酸ナトリウム、ならびにプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテル(Sigma P2850、P8340、P5726)を含有するRIPA緩衝液(Sigma #R0278)中に掻き取り、そして遠心分離した。標準ウェスタンブロッティングプロトコルにしたがった。一次抗体供給源は以下の通りである:E−カドヘリン(Santa Cruz #sc21791)、ビメンチン(BD Pharmingen #550513)、ErbB3(Santa Cruz #sc285)、Zeb1(Santa Cruz #sc25388)、Snail(Cell Signaling #4719)、GAPDH(Santa Cruz #sc25778)。4000MMまたはAlpha Innotech FluorchemTM SPを用いて、Pierce Supersignal Femto基質でウェスタンブロットを現像した。
[337]ザイモグラム:製造者のプロトコルにしたがって、Novex Zymogram Gelatinゲル上で細胞溶解物を泳動した。GelCode Blueでゲルを染色し、そしてAlpha Innotech FluorchemTM SP上で画像化した。
[338]免疫蛍光/共焦点顕微鏡:記載されるように、細胞をガラスカバースリップ上にプレーティングし、そして処理した。標準免疫蛍光染色プロトコルにしたがった。一次抗体供給源は以下の通りである:E−カドヘリン:Santa Cruz #sc21791およびビメンチン:Chemicon #AB5733。Leica共焦点ソフトウェア(LCS)を用いて、Leica DMRXE顕微鏡/SP2スキャナ上で染色細胞を捕捉した。
[339]遊走/浸潤:細胞を血清の存在下、リガンドで6日間刺激した。第6日、培地を、リガンドを含む血清不含培地に交換した。第7日、上部チャンバー中に血清不含培地を、そして下部チャンバー中に3xリガンド/10%FBSを含む修飾ボイデンチャンバー(Trevigen Cultrex #3458−096−K)中に細胞をプレーティングした。浸潤アッセイのため、膜をIV型コラーゲン(アッセイキット中に含まれる)でコーティングした。24時間(遊走)または48時間(浸潤)後、蛍光プレート読み取り装置(Wallac)上のカルセイン−AM染色読み取り値を用いて、膜の下側に付着した細胞を定量化した。p<0.05のカットオフ値で、対応のないT検定によって、有意性を決定した。
[340]異種移植片:メスSCIDマウス(Charles River Laboratories;7〜8週齢)に、マトリゲルと1:1の比の正常増殖培地(100μL最終体積)中に懸濁された1x 10 H358 TET−ON pTre2−SNAIL、pTRE2−ZEBまたはpTRE2−aTGFb細胞を皮下移植した。腫瘍を7日間増殖させた後、導入遺伝子を誘導した。飲料水中、最終濃度0.5mg/mlのドキシサイクリンを2週間投与した。腫瘍体積を、移植7日後、14日後、および21日後にVernierノギスによって計測した二方向腫瘍測定値から計算した(V=[長さx(幅)2]/2)。第21日、IACUC指針にしたがって、CO窒息によってマウスを屠殺した。腫瘍を除去し、そして液体窒素中でスナップ凍結するか、または中性緩衝ホルマリン中で一晩固定した。
[341]免疫組織化学:標準的プロトコルにしたがって、ホルマリン固定腫瘍をパラフィン包埋し、そして社内で切片作製した。Hemo−De(Scientific Safety Solvents、テキサス州ケラー)でスライドを脱パラフィン処理し、そして段階的アルコールを通じて再水和した。スチーマー中、クエン酸緩衝液pH6.0中で、熱誘導エピトープ回収(HIER)を行った。すべての免疫染色に関して、ベクターElite ABC(Vector Laboratories、カリフォルニア州バーリンゲーム)検出系プロトコルにしたがった。切片をヘマトキシリン(業者)で対比染色し、段階的アルコールおよびHemo−Deを通じて脱水し、そして次いでマウントした。抗体供給源およびインキュベーションは以下の通りである:E−カドヘリン(24E10)、Cell Signaling #31195、1:50、1時間;ビメンチン、Millipore/Chemicon #AB5733ニワトリ、1:6400、30分間;SNAIL、ABCAM #17732ウサギpAB 1:1600、1時間; Zeb−1(E−20) Santa Cruz #10572ヤギ、1:400、1時間;サイトケラチン(広域)Dako #Z0622ウサギp−AB 1:500、1時間。
[342]Affymetrixアレイ:実験第7日、細胞をトリプシン処理し、洗浄し、ペレットにし、そしてスナップ凍結した。細胞ペレットを、RNA単離のため、Genome Explorations(テネシー州メンフィス)またはExpression Analysis(ノースカロライナ州ダーハム)に送った。次いで、mRNAをcDNAにプロセシングし、増幅し、そしてAffymetrix U133 Plus 2.0 mRNAマイクロアレイへのハイブリダイゼーションのため、標識した。ハイブリダイゼーションおよび洗浄後、マイクロアレイをスキャンし、そして各プローブセットに関して、データをシグナル強度にプロセシングした。Affymetrix MAS 5ソフトウェアを用いて、生データを規準化し、そして私有アルゴリズムに基づいて、各プローブセットに、存在(P)非存在(A)または境界線(M)の検出コールを与える。どの遺伝子が未処理および処理細胞の間で示差的に制御されているか決定するため、少なくとも2の倍変化に関して、そしてまた、比較サンプルの少なくとも1つにおけるPの検出コールに関して、プローブセットをフィルター処理した。
[343]バイオインフォマティクス
[344]共相関解析のため、AVEO Pharmaceuticalsによって開発されたカスタム私有ソフトウェアを用いて、遺伝子インデックスを生成する遺伝子の共相関のための解析を行った。バイオインフォマティクスのためのパラメーター設定は、0.01に設定されたp値を伴うピアソン相関、統計のためのランダム遺伝子選択、中央値中心または非中央値中心法のいずれかを用い、そして自動アンカーされた。EMTGSインデックスの計算のため、全体の遺伝子インデックススコアを計算するために、負に相関した遺伝子をフリップさせた。
[345]この解析のために用いたソフトウェアは、生物学的経路における遺伝子が一緒に制御され、そして同じ経路中の多くの遺伝子が相関発現を示すという概念に基づく。該ソフトウェアは、生物学的に意味がある経路に相当するリスト中の相関および反相関遺伝子の集積発現に基づくインデックススコアを計算する。
[346]ソフトウェアアルゴリズム(本明細書において、アルゴリズムAと称する)は、2つの主要構成要素からなる:1)発現相関に基づく遺伝子選択構成要素および2)選択した遺伝子の平均発現に基づくインデックススコア計算構成要素。特に、遺伝子リストAおよびデータセットBを与えられると、アルゴリズムは、以下のように機能する:
1)Bにおいて、Aに関する相関に基づくアンカー遺伝子(AG)を定義する:
a)Bにおけるすべてのサンプルに渡って、Aにおけるすべての遺伝子−遺伝子対に関する遺伝子発現のピアソンまたはスピアマン相関(ユーザーが選択)を計算する。
b)ABに関するAGは、以下を最大にする遺伝子xである:
式中、AGABはデータセットBにおける遺伝子リストAに関するアンカー遺伝子であり、Nxは遺伝子xを含むすべての遺伝子−遺伝子対のセットであり、nはNx中の遺伝子−遺伝子対の数であり、そして|R|は、Bにおけるすべてのサンプルに渡る各遺伝子−遺伝子対に関するピアソン(またはスピアマン)相関係数の絶対値である。
2)遺伝子リスト(AAG)から、AGと有意に相関する遺伝子サブセットを選択する:
a)AGに対する相関のP値に基づいて、すべての遺伝子を順位付けする。
b)AAGを、Bに渡ってAGと相関するAにおける遺伝子サブセットと定義し、ここでP値≦cであり、式中、cは、ユーザーが規定する有意性カットオフである(典型的には0.01)。
3)Bにおける各サンプルsに関して、遺伝子リストAに関する相関に基づく発現インデックススコア(I)を計算する:
a)IABsを以下のように定義する:
式中、AAGは、アンカー遺伝子AGと有意に相関するAにおける遺伝子サブセットであり、mは、AAGにおける遺伝子の数であり、そしてesx’は、以下のように、データセットBのサンプルsにおける遺伝子x(サブセットAAG由来)の発現と定義される:
式中、esxは、サンプルsにおける遺伝子xの発現であり、μBxはデータセットBにおける遺伝子xの平均発現であり、そしてRは、アンカー遺伝子AGと遺伝子xの相関係数である。
[347]アルゴリズムAを用いて、図45〜51のインデックススコアを計算した。R<0ならばesx’=μBx−esxであることを除いて、本明細書記載のアルゴリズムAと同一であるアルゴリズムAを用いて、すべての他のデータに関するインデックススコアを計算した。
[348]インデックス化プラットフォームは、評価しているすべてのサンプルに関して、遺伝子リスト上の遺伝子各対に関する相関係数(−1から1のR値)を計算する。各遺伝子に関して、すべての相関および反相関の絶対値に渡って、平均R値を計算する。アンカー遺伝子は、最高の平均R値を持つ遺伝子と定義される。アンカーへの相関に基づいて、各遺伝子対に関して相関ヒートマップをプロットする。アンカー遺伝子への相関に関して、ユーザーが特定するp値カットオフに合格した遺伝子を、インデックススコアの計算に用いる。インデックススコアは、遺伝子がアンカー遺伝子に正に相関している際に、p値カットオフに合格した遺伝子の平均発現値である。反相関遺伝子に関して、発現値をその遺伝子に関する平均発現値から減じ、そして次いで、正に相関した遺伝子との平均の一部として計算する。次いで、すべてのサンプルに関するインデックススコアを、増加する順にウォーターフォールプロット中にプロットする。
[349]所定の遺伝子リストに関するインデックススコアがランダム遺伝子リストに関するスコアと有意に異なるかどうかを決定するため、1000のランダム遺伝子リスト由来の平均インデックススコアに、計算したインデックススコアを比較する方法を開発した(ランダム化リサンプリングを通じた有意性評価または「ブートストラッピング法」)。各サンプルに関して、箱髭プロットとしてウォーターフォールプロット上にランダムインデックス統計を示し、最小、最大、平均、25パーセンタイルおよび75パーセンタイルを示す。インデックス値を箱髭上に重ね、そして上部または下部5パーセンタイル中のいかなるインデックスも、ランダムとは有意に異なると見なした。
[350]シグネチャーインデックススコアの有意性を決定するためのブートストラッピング法
[351]ブートストラッピング法を発展させて、各サンプル由来のEMTGSインデックススコアに関する統計的有意性を決定した。各サンプルに関して、以下の3工程法でN−遺伝子シグネチャーに基づくインデックススコアを計算する。まず、サンプル中のシグネチャーにおける他の遺伝子に対する最高の平均ピアソン相関を有する、シグネチャー中のアンカー遺伝子を同定する。続いて、各遺伝子の発現値を調整する。アンカーと負に相関するシグネチャー中の遺伝子に関して、その発現値を、サンプル間の平均発現値を回って反転させる。アンカーと正に相関する遺伝子に関して、サンプルに渡る平均発現値を発現値から差し引く。最後に、シグネチャー中のすべての遺伝子由来の調整した発現値の平均を計算し、そしてこの平均はそのサンプルに関するインデックススコアを構成する。
[352]各サンプル中のインデックススコアの有意性を評価するため、各サンプルにおいて、ランダムN−遺伝子リストを選択し、そしてこのランダム遺伝子リストに基づくインデックススコアを同じ上述の方法にしたがって計算する。このプロセスを1000回反復し、そしてランダムN−遺伝子リストから1000のインデックススコアを生成する。サンプルが、ランダム遺伝子リストに基づくこれらの1000インデックススコアの最低P(ユーザーによって定義される有意性レベル)分位に属するシグネチャーに基づくインデックススコアを有する場合、このサンプルは、Pの有意性レベルで、有意に低いインデックススコアを有すると決定される。逆に、サンプルが上位P分位に属するシグネチャーインデックススコアを有する場合、Pの有意性レベルで有意に高いインデックススコアを有すると決定される。各サンプル全体でこのブートストラッピング法を反復して、インデックススコアが有意に低いかまたは高いかを決定する。インデックススコア有意性決定のためのこのブートストラッピング法の利点は、2倍である。まず、該方法は、シグネチャーに関する発現レベルのサンプル間変動を考慮に入れる。この方法によって割り当てられる有意性レベルは、例えばサンプルに渡るシグネチャーインデックススコアを比較するのではなく、シグネチャーからの発現インデックスが、各サンプル内で偶然期待される(バックグラウンド)ものとどのくらい異なるかを測定する。第二に、シグネチャーにおけるものと正確に同じ数の遺伝子を含め、そしてシグネチャーに関するようなランダム遺伝子リストと同じ方法でインデックススコアを計算することによって、シグネチャーに基づくインデックススコアの有意性レベルを評価するため、インデックススコアの不偏分布が確立される。したがって、このブートストラッピング法は、各サンプルにおけるシグネチャーインデックススコアの統計的有意性を測定する客観的な方法を提供し、そしてヒト腫瘍における特定のEMTGSインデックススコアの出現率の評価を促進する。
[353]レーザー捕捉顕微解剖(LCM)マイクロアレイデータ
[354]10人の患者由来(7つの卵巣腫瘍および3つの***腫瘍)のマッチしたレーザー捕捉顕微解剖腫瘍、間質、および非顕微解剖物に関するAffymetrix U133−ABチップ発現データを、GeneLogicより購入した。CELファイルは、ともにRMA規準化され、そしてインデックス有意性スコアリングのため、ブートストラッピング・アルゴリズムを用いる前に、平均中心化された。
[355]結果/考察
[356]1]腫瘍モデル、2]EMT細胞モデルおよび3]公的に入手可能なヒト腫瘍患者マイクロアレイデータセットへのバイオインフォマティクス比較を通じて精密化した4つのH358 EMT細胞モデルから最初に得られた遺伝子セットを用いて、88遺伝子EMTシグネチャーを得た。解析によって、この新規EMT遺伝子シグネチャーは、例えば特定の抗癌薬剤での治療に対する患者の感受性を診断し、そして/または監視し、薬剤発見のため、関心対象の新規ターゲットを同定し、そして化合物処理に際して多様なEMTモデルにおけるEMTプロセスに対する変化を監視することを含む、多くの潜在的な使用を有することが示される。さらに、このEMTシグネチャーから得られるEMTインデックスは、より上皮性またはより間葉性としての腫瘍細胞の状態に関して、腫瘍細胞の定性的および定量的性質決定を可能にする。これは、分子レベルでEMTを広く調べる手段として研究および臨床の両方において、貴重なツールであろう。
[357]本明細書記載の88遺伝子EMTシグネチャー(表1を参照されたい)は、上皮腫瘍細胞で発現される44遺伝子および間葉様腫瘍細胞で発現される44遺伝子からなる(遺伝子の説明に関しては、図36〜37を参照されたい)。例えばqPCRまたはmRNAマイクロアレイによって測定されるような遺伝子の発現パターンは、上皮から間葉への状態の範囲に沿って、腫瘍細胞または腫瘍組織切片を性質決定する。アルゴリズムAまたはアルゴリズムAを実行するAVEOソフトウェアを用いて、シグネチャー中の最適に共相関する遺伝子の発現値を変換して、解析する各サンプルに関する数値EMTインデックスを計算する。EMTインデックスは、EGFRキナーゼ阻害剤エルロチニブおよびIGF−1Rキナーゼ阻害剤OSI−906に対する腫瘍細胞感度と相関し、そしてこれを用いて、臨床におけるこれらの化合物に対する患者反応を予測することも可能である。
[358]表1:88遺伝子EMT遺伝子シグネチャー中の遺伝子
[359]異なるin vitroモデルにおいて、EMT中に同時制御される遺伝子、ならびに多数のヒト腫瘍マイクロアレイデータベース中のこれらの遺伝子と優れた共相関を示す遺伝子を用いて、本明細書に開示する88遺伝子EMTシグネチャーを開発したため(材料および方法セクションを参照されたい)、これは、異なる腫瘍タイプに広く適用可能であり、細胞培養モデルのみではなく、in vivoサンプルまたは臨床生検に由来する腫瘍組織を性質決定する力を有する、遺伝子シグネチャー、および対応する遺伝子インデックスを生じている。
[360]in vivoで起こる際の遺伝子発現を示すため、遺伝子シグネチャーを開発する際に、ヒト腫瘍データベースを用いた。他の公的に入手可能なEMTシグネチャーでは、腫瘍データを用いて、遺伝子リストを洗練させたものはない。細胞株は、遺伝子シグネチャーを開発する、よりきれいな系であるが、これらはまた、腫瘍および間質相互作用が遺伝子発現に影響を及ぼすin vivo、および臨床状況において、適切であろうシグネチャーを発展させるにはやはり不完全である。
[361]88遺伝子EMTシグネチャーおよびインデックスの誘導
[362]4方向ベン図ジェネレータを用いたベン解析によって、1]二重リガンドHGF+OSM、2]TGFβ、3]ベクターにコードされるsnail発現を誘導するドキシサイクリン、または4]ベクターにコードされるzeb1の発現を誘導するドキシサイクリンで処理したH358腫瘍細胞EMTモデルにおいて、上方制御されるかまたは下方制御されるAffymetrixマイクロアレイ分析によって同定された有意な遺伝子を比較した(図1)。上皮間葉転換を経るように誘導された4つの細胞モデルすべてに共通する、101の遺伝子を同定した(表2を参照されたい)。表2の101遺伝子のうち、イタリックで示した10は、88EMT遺伝子シグネチャーの最終的な生成のため、最初のバイオインフォマティクス解析からは省かれた。これらの遺伝子のうち8つは、未知の遺伝子であったため省かれた。他のEMTモデルにおいて検証されなかった際、CGB5および7を除去した。
[363]表2:4つのH358 EMT細胞モデルにおいて上方または下方制御される101遺伝子
[364]H358 EMTモデル系は、可逆性EMTの頑強なモデルである。転写因子SnailまたはZeb1のリガンドまたは安定発現のいずれかで7日間処理した後、細胞は、EMTと一致する形態変化、マーカー変化、および表現型的変化を経る(図8)。さらに、H358細胞におけるリガンド誘導およびsnail誘導EMTは、エルロチニブに対する感受性の減少を生じる。この系に関連する遺伝子変化のいくつかを取り込むEMTシグネチャーはエルロチニブ感受性を予測すると仮定された。
[365]4つのH358 EMT細胞モデルから得た、続く91遺伝子セットを、1]AVEO腫瘍モデル(表3);2]さらなるEMT細胞モデル(表4);および3]公的に入手可能なヒト腫瘍患者マイクロアレイデータセット(表3)に対する反復バイオインフォマティクス比較(表2)を通じて洗練して、最終88遺伝子EMTシグネチャー(表1)を生じた。図3および図4は、得た最終88遺伝子シグネチャーに対して最初の遺伝子シグネチャーを比較することによって、この反復プロセスによって達成され、***腫瘍アーカイブに対する遺伝子シグネチャーの相関インデックスの増加を例示する。この解析は、同じ経路における遺伝子の同時発現は、該経路が活性であることを意味すると仮定する。
[366]表3:EMTGS開発に用いた腫瘍マイクロアレイデータセット
[367]表4:EMTGS開発に用いたさらなる腫瘍細胞EMTモデル
[368]シグネチャーを洗練するための全体の戦略は、腫瘍データセットおよびEMTモデル両方におけるその振る舞いに基づいて、遺伝子を排除するかまたは含めることであった。EMT遺伝子の元来のリストは、H358モデル由来のマイクロアレイデータセットから得られた。これらの遺伝子を、CFPAC1、H1650およびH292 EMTモデルにおける変化に関して評価し、そしてまた、腫瘍データセットにおける共相関に関して評価した。モデルいずれにおいても変化しない遺伝子は排除した。また、いくつかのさらなる供給源(文献、プロテオミクスデータセット、AVEO腫瘍モデル、他のEMTモデル)からシグネチャー内に新規遺伝子を導入し、そして同じ方式で評価した。シグネチャーの洗練は、遺伝子を付加し、評価し、そして次いで変化しない遺伝子を除去する多数周期を伴う反復プロセスであった。このプロセスを例示するため、表5は、EMTシグネチャーの4つの進行するバージョンを含有し、そして図9〜10は、GeneLogic肺(U133AB)および膵臓(U133 Plus 2.0)データセットにおけるこれらの4つのバージョンを通じた共相関プロットにおける改善を立証する。
[369]表5:EMT遺伝シグネチャーの進行
[370]表5は、88EMT遺伝子シグネチャー遺伝子に関するヒト腫瘍データセットにおける共相関解析を示す。すべての腫瘍を一緒に規準化し、そして各腫瘍タイプをEMTインデックススコアにしたがって配置したウォーターフォールプロットとして視覚化すると、腫瘍間のEMTインデックス発現における相対相違が明らかになる。例えば、***腫瘍は、上皮および間葉インデックススコアの間に均一に分布し、一方、結腸腫瘍は、間葉(高スコア)インデックススコアよりもより上皮(低スコア)インデックススコアを有する傾向がある。これは、88遺伝子EMTシグネチャーが、多数のヒト腫瘍タイプにおいて、EMTを同定可能であることを立証する。
[371]EMTシグネチャーにおける遺伝子の発現値から、数値のEMTインデックスへの変換は、AVEOソフトウェア実行アルゴリズムAまたはアルゴリズムAを用いて行われる。簡潔には、シグネチャー中の遺伝子各対に関する共相関係数(R値)を各サンプルに関して計算し、そして最高平均R値を持つ遺伝子(アンカー遺伝子)に対する相関強度によってソーティングしたヒートマップ中にプロットする。正の相関を紫で示し、そして負の相関を青で示す。ユーザーが特定するカットオフに合格したp値を持つ遺伝子を選択して、インデックスを計算する。アンカー遺伝子と負に相関するすべての遺伝子発現値を、その遺伝子に関する平均を回ってフリップさせる。次いで、相関プロットに関するp値カットオフに合格した各遺伝子の平均発現値として、インデックススコアを計算する。
[372]EMT状態が知られている参照腫瘍細胞株を用いることによって、in vitroで、インデックス値をEMT状態に転換するか、または形態およびEMTバイオマーカーから推定してもよい。EMTGSインデックス値を用いて間葉様細胞から上皮様細胞を区別するため、既知の上皮表現型または間葉表現型の参照腫瘍細胞を試験またはサンプル腫瘍細胞に含めた。これらは、好ましくは、試験またはサンプル腫瘍細胞と同じ組織タイプのものである(例えば***、NSCLC、膵臓等)。
[373]EMTGSインデックススコアを用いて、(例えばエルロチニブ、OSI−906等に関して)非反応者から、予測される薬剤反応者を区別するため、閾値決定解析(例えば受信者動作特性(ROC)曲線解析)を行って、どのインデックス値カットポイントが真の陽性および偽陽性の間の最適な分離を生じるかを決定してもよい。エルロチニブ感受性が知られている細胞株のEMTGSインデックス値の解析によって、EMTインデックスおよび薬剤感受性の間に、完全ではないが優れた相関が示されている(図19)。
[374]すべてのサンプルに関するEMTGSインデックススコアを、ウォーターフォールプロット上に、増加する順序でプロットしてもよく、そしてこれは、EMTの相対状態を示す(図4Bを参照されたい)。上皮遺伝子上にアンカーされたマイクロアレイデータから発現値を計算した際、高いインデックススコアは上皮表現型を反映する。上皮遺伝子上にアンカーされたqPCRデータから発現値を計算した際、低いインデックススコアは上皮表現型を反映する。マイクロアレイデータは、mRNA存在量を反映し、そしてしたがって、高いスコアは、アンカー遺伝子と共相関する遺伝子のmRNAがより高い存在量であることを反映するであろう。qPCRデルタCtデータは、増幅を反映し、そしてしたがって、低いスコアは、PCRの初期の周期での増幅を反映し、そしてしたがって、アンカー遺伝子と共相関する遺伝子のmRNAの存在量が増幅前により高いことを反映するであろう。
[375]共相関プロット中で統計的有意性を達成するために、群の一部として、EMTGSインデックススコアを計算しなければならない。サンプルの数は、相関係数が統計的有意性を達成可能な値を変化させる。サンプルの数が増加するにつれて、有意性を達成する係数は低下する。さらに、ランダム化リサンプリング(ブートストラッピング)法を通じた、有意性評価は、適切な計算のため、少なくとも25〜30サンプルを必要とする。これらの理由のため、30サンプルまたはそれより多い群の一部として、インデックス化アルゴリズムを通じて、サンプルをプロセシングしなければならない。臨床適用のため、単一の患者サンプルを、相対インデックスが患者反応と相関する、例えば第2期臨床試験から取られたサンプル群とともに解析してもよい。
[376]以下のリスト(すなわち表6)は、共相関カットオフに合格し、そしてしたがって、示す腫瘍データセットのためのインデックス計算に含まれた遺伝子群である。
[377]表6
[378]群の各々に関して、任意の他の群と重複する遺伝子の数は、以下の表7に示すように、22〜38で多様である。すべての15のリストに共通であるのは、ただ1つの遺伝子:ITGA5である。遺伝子インデックスの計算に対する任意の個々の遺伝子の寄与は、シグネチャー中の遺伝子の数に応じて、そして遺伝子がp値カットオフに合格するかどうかで多様である。ITGA5は、それ自体、GeneLogic肺ABデータセットのインデックス値に有意に影響を及ぼさない(図11〜12)。
[379]表7
[380]対照的に、44の上皮遺伝子のみを用いて、同じデータセットにおけるインデックススコアを生成すると、28遺伝子が0.1のp値カットオフに合格する(表6最後の列を参照されたい)。このリストから生成されるインデックススコアは、このデータセットに関してp値カットオフに合格する元来の88遺伝子シグネチャーのうち49遺伝子から生成されるインデックススコアとはまったく異なる。
[381]臨床的に、患者腫瘍由来の材料を評価する際、間質細胞が間葉遺伝子に混入する可能性があるため、EMTインデックスを計算するために上皮遺伝子のみを用いることが望ましい可能性もある。上皮遺伝子のみを用いたインデックスの解析は、間葉遺伝子がインデックスに影響を及ぼすことを示す(図11〜13)。in vitro肺および膵臓腫瘍モデルにおいて、上皮遺伝子から計算されるインデックススコアは、肺腫瘍細胞株に関して、上皮および間葉遺伝子両方を用いて計算されるインデックススコアに比較して、統計的有意性が劣っていたものの、エルロチニブ非感受性細胞株からエルロチニブ感受性株を区別することが可能であった(図14)。
[382]腫瘍材料の入手可能性には限界がある可能性があるため、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を用いた臨床材料に対するEMT遺伝子シグネチャーの解析を行う。商業的に入手可能なRNA単離キットを用いて、qPCR分析に適した品質であるRNAをFFPE組織から抽出することも可能である。本発明者らは、腫瘍切片から増幅したRNAを用いたqPCRによって、EMTシグネチャー中の88遺伝子を分析可能であることを決定した。
[383]EMTインデックスの開発中に、EMTのin vitroモデルを用いて、最終遺伝子リストを評価し、そして洗練した。リガンドで誘導し、そして操作したH358モデルは、どちらも転移可能モデルであり、ここで、EMT駆動因子によって誘導されるEMT特性は、駆動因子を取り除くと逆転する。H358モデルがEMTを経るにつれて、エルロチニブに対する感受性が減少する。図8は、転移可能H358 EMTモデルの形態変化、マーカー変化、および表現型的変化を要約する。表に含めるのは、エルロチニブに関する、EMT誘導後の各モデルに関する増殖に対するEC50値、ならびにqPCRデータから計算するEMTインデックス値である。大部分のモデルに関して、EMTは、エルロチニブ感受性の減少およびインデックスの増加と相関する。2つの例外はHGFおよびZeb1モデルである。HGF処理したH358細胞の低いEMTGSインデックススコアを考慮すると、HGFは、エルロチニブ阻害から細胞を防御するとは期待されないが、防御する。この防御は、EMT誘導というよりも、HGF−cMet経路を通じた生存シグナル伝達のためである可能性が最も高い。逆に、誘導されたZeb1発現によって駆動されるEMTは、エルロチニブから細胞を防御するように予測されるが、防御せず、Zeb1によって影響を受けないEMTの側面が、この例ではエルロチニブ防御に必要でありうることを示唆する。
[384]バイオインフォマティクスの反復周期を通じて、本発明者らは、1つの腫瘍タイプ内の遺伝子の関連を強化し、そしてまた、多数の腫瘍タイプに対するシグネチャーの適用を広める意図を持って、EMTシグネチャーを洗練した。これは、マウスBH腫瘍アーカイブ(図3〜4)における初期のバージョン、および洗練後に遺伝子の共相関が改善されるEMTシグネチャーの最終バージョンの共相関プロットにおいて例示される。図18は、文献において、EMTを制御すると報告される遺伝子(表5、バージョン1)で構成される初期のEMTシグネチャー、in vitro H358 EMTモデル由来の遺伝子を含む中間シグネチャー(バージョン2)、および最終88遺伝子EMTシグネチャー(バージョン4)の、本発明者らのGeneLogicデータベース中のすべての固形腫瘍に渡るウォーターフォールプロットを示す。シグネチャー各々に関するよりM様およびよりE様とスコア付けされる腫瘍の割合に相違があることに注目されたい。
[385]EMT状態指標としての88遺伝子EMTGSおよびインデックスの検証。
[386]図19は、相対エルロチニブ感受性に対してプロットした腫瘍細胞株に関するEカドヘリン状態(上部パネル)およびEMTインデックス(下部パネル)を示す。水平軸に沿って中程の垂直線は、感受性および非感受性細胞株の間の分割を示し、ここで、感受性に関するカットオフは、10μMエルロチニブで増殖の50%阻害であった。高いE−カドヘリン発現と、低い(上皮)インデックススコアの相関、そして逆に低いまたは非機能性E−カドヘリン発現と、高い(間葉)インデックススコアの相関に注目されたい。
[387]ドキシサイクリン処理に際して、活性化されたTGFベータ、SnailまたはZeb1を誘導性に発現するように操作されたH358細胞は、in vivoでEMTを経る。TGFベータモデルに関する免疫組織化学および組織学を図24に示す。TGFベータの誘導は、E−カドヘリン発現減少、ビメンチン発現増加、ならびに間質浸潤および浸潤腫瘍細胞によって特徴付けられる全体の構築変化を生じる。in vivoのEMT遺伝子の変化のqPCR分析は、ヒートマップに例示されるように、in vitroで観察されるものと定性的に類似の変化を示す(図26)。in vitroでの導入遺伝子aTGFb、SnailまたはZeb1の誘導に際してのEMTインデックスの変化を図26の表に報告する。ドキシサイクリンおよびエルロチニブの組み合わせで処理すると毒性があるため、in vivo操作モデルにおいて、エルロチニブに関するEC50値を決定することは不可能であった。
[388]2.5倍カットオフを用いて、3つの操作モデルに関して、in vitroおよびin vivoで生じるEMTシグネチャーにおける遺伝子変化を比較した(以下の表8)。本発明者らは、3つのモデルすべてにおいて、in vivoに対してin vitroで、より多くの遺伝子変化を同定した。各モデルにおいて、in vitroおよびin vivo両方で制御される遺伝子を以下の表9に列挙する。
[389]表8
[390]表9
[391]88遺伝子EMTGSを用いたin vitro EMTモデルの分子性質決定
[392]88遺伝子EMTシグネチャーの遺伝子に対する変化を、4つのin vitro EMT細胞モデルにおいてプロファイリングして、EMT中に細胞が経る分子変化を理解する際のシグネチャーの有用性を評価した。肝細胞増殖因子(HGF)、オンコスタチンM(OSM)、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、またはその組み合わせで細胞を7日間刺激して、EMTを誘導した。qPCRによる遺伝子変化を分析するため、RNAを採取し、そしてcDNAに変換した。生Ct値をGAPDHに対して規準化して、そして次いで、未処理細胞に対する倍変化値に変換した。3の倍変化カットオフを用いて、EMT中に示差的に発現される遺伝子を同定した。結果を、図6に示すようなヒートマップに要約し、ここで、44の間葉遺伝子を初めに列挙し、そして次に44の上皮遺伝子を列挙する。H358モデルにおいて、HGFおよびOSMは、各々、部分的EMTを引き起こし、そしてHGF+OSM、TGFβおよびTGFβ+OSMは、形態変化、バイオマーカー変化および表現型変化によって特徴付けられるような、より進行したEMTを刺激する。これは、HGFおよびOSMが、7日間に渡ってEMT関連遺伝子にほとんど変化を引き起こさないヒートマップに反映される(図6A)。HGF+OSM、TGFβおよびTGFβ+OSMは、対照的に、88遺伝子EMTシグネチャーの遺伝子に顕著な変化を引き起こした。したがって、88遺伝子EMTシグネチャーは、このNSCL腫瘍EMTモデルにおいて、EMT状態を正確に評価した。
[393]88遺伝子EMTGSは、個々のEMTバイオマーカーより広い適用を有する。単一の上皮または間葉バイオマーカーのいずれも、すべての細胞モデル、そしてひいてはすべての腫瘍と関連する表現型変化を反映することは不可能である。特に、間葉バイオマーカーは有意に多様である。EMT状態を性質決定する多数の遺伝子を用いることによって、本発明者らは、細胞および腫瘍のEMT状態をより正確に性質決定することが可能である。
[394]7日間のリガンド刺激後、CFPAC1、H1650およびH292腫瘍細胞EMTモデルにおける変化もまたプロファイリングした(図6A)。H358モデルにおいて観察されたものと同様、すべて、用いた刺激に応じて、シグネチャーに対する多様な変化を示した。細胞株間および細胞株内でのプロファイルの相違は、EMT状態の範囲を例示し、腫瘍において観察されるものと一致する。CFPAC1膵臓EMTモデルは、肺モデルよりもより少ない遺伝子変化を経た。H1650細胞は、間葉プロファイルよりも、より頑強に上皮プロファイルを制御し、そしてH292細胞に関してはその逆であった。ここでもやはり、88遺伝子EMTシグネチャーは、これらのNSCLCおよび膵臓腫瘍EMTモデルにおいて、EMT状態の変化を正確に反映する。
[395]各モデルに関する形態変化、マーカー変化および表現型変化を図28〜30に例示する。リガンド刺激に際して、EMTと一致した変化が、各モデルで生じるが、各モデルは、より間葉状態にシフトする能力が異なる。CFPAC1細胞は、単一リガンド刺激で容易にEMTを経るが、H1650細胞およびH292細胞は、より微かな変化を経て、そして2つのリガンドでの刺激を必要とする。
[396]88遺伝子EMTGSは、これらのin vitroモデルの特性に別の次元を加える。本発明者らが観察した場合、CFPAC1モデルは、最小の刺激でEMTを経て、88遺伝子EMTGSは、他のモデルよりもより少ない遺伝子変化を示した。これは、他のモデルに比較して、これらの細胞がEMTを経るには、より少ない遺伝子変化しか必要でないと解釈可能であった。H1650モデルは、より微かな形態変化を示した。88遺伝子EMTGSは、上皮遺伝子の明らかな下方制御およびより穏やかな間葉遺伝子増加を示した。これは、形態変化が、より進行していない間葉表現型を示すことを示唆する。これは、遊走および浸潤アッセイにおける一貫した変化の欠如によって裏付けられる。H292細胞は、遊走アッセイによって例示されるような、説得力のある形態学的および表現型的変化を経た。間葉バイオマーカー発現を徹底的に調べると、EMT中に上方制御されると同定されたものはわずかであった。MMP9が最も顕著であった。88遺伝子EMTGSは、しかし、間葉遺伝子の強い制御を示し、より間葉である状態への転写シフトがあることが示唆された。こうしたデータは、これらのモデルを性質決定するために、単に慣用的なEMTバイオマーカーにのみ頼っていたのでは、そのEMT状態の理解が不完全になることを示す。
[397]88遺伝子EMTシグネチャーはまた、in vitroでの間葉上皮(MET)反転の度合いも性質決定する。活性化TGFβ(aTGFβ)、SnailまたはZeb1を誘導性に発現するよう操作されたH358細胞を用いて、本発明者らは、導入遺伝子発現14日後に観察される遺伝子変化を同定した。次いで、ドキシサイクリンを休薬して、導入遺伝子の発現を除去し、そしてEMTの逆転を誘導するため、細胞を21日間培養した。図6Bは、各々未処理細胞に対する14日間の刺激および21日間の復帰の後のプロファイルを示す。Zeb1トランスジェニック細胞は、未処理細胞と一致するプロファイルに復帰可能であり、一方、SnailおよびaTGFβを発現するよう誘導された細胞は、部分的にしか復帰しなかった。
[398]88遺伝子EMTGSを用いて、in vitro EMTモデルが復帰する度合いを性質決定し、したがって、モデルが順安定性(可逆性)であるかまたは後成的に固定されているかを定義することも可能である。モデルの可逆性を知ることによって、転移におけるEMTおよびMETの役割を調べるモデルとしての有用性が決定され、ここで、転移した腫瘍細胞は、増殖し、そして粘着性腫瘍を形成するためには、より上皮状態に復帰しなければならない。
[399]上述のように、皮下および同所セッティングにおけるin vivoでのH358操作EMTモデルの増殖は、NSCLC腫瘍におけるEMTのモデルとして働く。各場合で、導入遺伝子の誘導は、E−カドヘリンの喪失、ビメンチン発現増加および腫瘍増殖遅延を生じる(図21〜25を参照されたい)。SnailおよびZeb1は、浸潤性腫瘍表現型を持たないが、TGFbは、腫瘍細胞の間質への明らかな浸潤を示した。
[400]図26に示すように、in vitroおよびin vivoセッティングにおいて、88遺伝子EMTGSのヒートマップによって判断されるように、モデルの定性的一致がある。TGFベータおよびSnailは、同様の数の遺伝子変化を示し、一方、Zeb1は、88遺伝子EMTGSにより少ない影響を有する。3Dマトリックスにおけるモデルの増殖は、異種移植片の増殖率および攻撃性を予測する。図27は、コロニーサイズによって決定されるように、すべてのモデルの増殖減少を示し、Snailコロニーは、導入遺伝子誘導後、ほぼ増殖停止する。SnailまたはZeb1コロニーはいずれも、マトリックス内に浸潤しないが、aTGFbはコロニーからマトリックスへの突起を示した。これらの表現型は、in vivoで成長率および浸潤性の両方で再現された。
[401]表8および9に示すように、各モデルに関して、in vitroおよびin vivoセッティングの間の遺伝子変化には多様な共有性がある(図31を参照されたい)。aTGFbは、最適な重複を示し、そしてZeb1は最小である。2つのセッティングの間に相違があることが予期され、これは、増殖環境が、シグナル伝達に寄与し、そしてしたがって細胞における転写プロファイルに寄与するためである。これには、細胞外マトリックスおよび間質細胞からのインプットが含まれる。
[402]88遺伝子EMTGSは、「古典的」EMTマーカーを発現しないが、より一般的でないマーカーによって分類可能な細胞/腫瘍を捕捉する。EMTGSインデックススコアは、いかなる1つのマーカーによっても支配されず、そしてしたがって、古典的マーカーが発現されない可能性もあるモデルにおいてもなお有用である。本発明者らはまた、特定の腫瘍タイプにおいてしかよく働かない他のEMTシグネチャー(例えばChoi EMTシグネチャー;本明細書の以下を参照されたい)とは異なり、88遺伝子EMTシグネチャー/インデックスが、多数の固形腫瘍タイプに渡って適用可能であることも示した。これらの特徴は、古典的EMTバイオマーカー分析に対する88遺伝子EMTGSおよびインデックスの利点を例示する。
[403]EMTGSインデックス値は、図20に示すようなEMTの相対的状態に相当する。EMT、Zeb1、Snail、およびaTGFbのH358操作モデルはすべて、導入遺伝子の誘導に際して、インデックススコアの変化を示す。誘導2週後のインデックススコアの相対値は、形態状態、マーカー状態および表現型状態によって判断した際、EMT状態として観察したものを反映する。導入遺伝子がオフになると、インデックススコアは低下し、より上皮状態に相当するようになる。最終スコアは、細胞で観察される逆転の度合いと相関する:Zeb1は完全に復帰し、Snailはより完全でなく、そしてTGFbは部分的でしかない。H358リガンド駆動モデルにおけるインデックススコアもまた、EMTの相対状態を反映する。OSMまたはHGF刺激は、部分的EMT状態しか生じず、一方、TGFb、HGF+OSMおよびTGFb+OSMはすべて、上昇したインデックススコアに反映されるように、より完全なEMT変化を駆動する。したがって、EMTインデックススコアは、100%上皮から100%間葉までの全範囲に渡る、同じ細胞株内のEMT状態の相違を区別可能である。図19は、88遺伝子EMTGSインデックスが、in vitroで関連しない細胞株に渡るEMT状態を区別可能であることを示す。
[404]88遺伝子EMTシグネチャーの他のEMT遺伝子シグネチャーへの比較
[405]科学文献において、EMTに関する多くの結論は、問題の細胞が上皮様または間葉様のいずれであるかを性質決定する際に、わずかな確立されたマーカー(例えばE−カドヘリン、ビメンチン)に頼っている。上皮様細胞および間葉様細胞の表現型が複雑であるため、これは、明らかに、細胞集団の誤った性質決定につながっている。この方法から離れて、そして88遺伝子EMTシグネチャーおよびインデックスの開発に向かうことで、EMT状態の分子分類を改善し、そしてしたがって、ヒト腫瘍において観察されるEMT状態の範囲を定性的および定量的に研究する能力を改善することも可能である。クリニックにおいて、88遺伝子EMTシグネチャーおよびEMTインデックスを使用すると、どの腫瘍がエルロチニブに反応するかを有効に予測し、よりあつらえられた癌療法を可能にすることによって、患者ケアを改善することも可能である。
[406]いくつかのEMT遺伝子シグネチャーが公表されてきており、そして1つは、研究ツールとして販売されている。本明細書に開示する88遺伝子EMTシグネチャーを、1つはRas形質転換EpH4細胞において開発されたもの(Jechlinger, 2003;54遺伝子)であり、そして1つは非形質転換MDCK細胞におけるもの(Moreno−Bueno, 2006;189遺伝子)である、2つの公表されたEMTシグネチャー、ならびにEMTに関与する遺伝子が濃縮されていることが示されたHNSCC腫瘍組織から開発された疾患再発シグネチャー(Chung, 2006;42遺伝子)に比較した。本明細書開示の88遺伝子EMTシグネチャー、およびin vitroモデルからまたは腫瘍生検から実験的に得られたこれらの3つのEMTに基づくシグネチャーの間には、ほとんど重複が見られなかった(遺伝子重複:Jechlinger、5遺伝子;Moreno−Bueno、5遺伝子;Chung、1遺伝子)。
[407]エルロチニブ感受性を予測するためのOSI EMTシグネチャーを評価する際に、4つのさらなるシグネチャーを比較した。これらは、Choi EMTシグネチャー、SABiosciencesEMTシグネチャー、Yauchエルロチニブ・シグネチャーおよびBunnゲフィチニブ・シグネチャーおよび(Choi, 2010;Colderen, 2006;Yauch, 2005、表10〜12)であった。Choi EMTシグネチャー(表10)は、3つの細胞タイプ:上皮***腫瘍細胞、間葉***腫瘍細胞および線維芽細胞の間の発現パターンを比較することによって、実験的に発展された。間葉腫瘍細胞および線維芽細胞に比較して、上皮腫瘍細胞において、少なくとも2倍高い発現を示す上位100遺伝子を、上皮遺伝子と称した。上皮腫瘍細胞および線維芽細胞に比較して、間葉腫瘍細胞において、少なくとも2倍高い発現を示す上位100遺伝子を、間葉遺伝子と称した。遺伝子を以下に列挙する。OSI EMT遺伝子シグネチャーおよびChoi EMT遺伝子シグネチャーに共通である、11遺伝子がある(すなわちAGR2、CDH1、CLDN3、CLDN4、ELF3、ERBB3、HMGA2、IKBIP、OCLN、SH3YL1、SPDEF)。
[408]表10:Choi EMTシグネチャー遺伝子
[409]本明細書開示の88遺伝子EMTシグネチャーは、エルロチニブ感受性を予測する能力に関して、評価されたため、このEMTシグネチャー、ならびにEGFRキナーゼ阻害剤、エルロチニブ(Yauch, 2005、表xx)およびゲフィチニブ(Coldren, 2006、表11)に対する感受性の予測のために細胞株において開発された2つの遺伝子シグネチャーの間の共通性を決定した。ここでもまた、本発明者らは、88EMTGSの遺伝子およびエルロチニブ感受性(5遺伝子重複)ゲフィチニブ感受性(15遺伝子重複)シグネチャーの遺伝子の重複が限定されていることを観察した。
[410]Yauchエルロチニブ感受性シグネチャーは、in vitroでエルロチニブに感受性であるかまたは非感受性であると性質決定された肺腫瘍株の間で示差的に発現される遺伝子から開発された。既知のエルロチニブ感受性の42のNSCLC細胞株のパネルをAffymetrixマイクロアレイによってプロファイリングし、そして感受性株および非感受性株の間で最も変化して発現されるプローブセット19,592を同定した。感受性細胞株において、最高の発現を示す50のプローブセットおよび間葉細胞株で最高の発現を示す50のプローブセットを合わせて、シグネチャーを作製した。このシグネチャー(表11)の62の既知の遺伝子のうち、5つが88EMTGSと重複した(AP1M2、CDH1、MAP7、VIMおよびZEB1)。
[411]表11:Yauchエルロチニブ感受性シグネチャー:
[412]Bunnゲフィチニブ・シグネチャー(表12)もまた、EMT状態指標としてよりも、ゲフィチニブに対する感受性を予測するために、実験的に開発された。5つのゲフィチニブ感受性および6つの非感受性細胞株をmRNAマイクロアレイによって比較した。0.001のp値カットオフの2サンプルt検定によって決定されるように、示差的に発現されるすべての遺伝子がシグネチャーに含まれた(415プローブセット、333遺伝子)。Bunnゲフィチニブ・シグネチャーおよび88遺伝子EMT遺伝子シグネチャーに共通な15遺伝子がある(すなわちAGR2、AP1M2、BSPRY、CDH1、CDH2、CLDN4、EHF、ELF3、ERBB3、IKBIP、OCLN、PPL、SH3YL1、TJP3、TMEM45B)。
[413]表12:Bunnゲフィチニブ感受性シグネチャー:
[414]本明細書に開示する88遺伝子EMTシグネチャーをまた、商業的に入手可能な(SABiosciences;表13)EMT qPCRアレイ中の84遺伝子に比較した。このシグネチャーがどのように開発されたかは知られていない。両リストに共通であることが見出されたのは15遺伝子のみであった(すなわちCDH1、CDH2、DSP、ERBB3、ITGA5、MMP9、OCLN、SERPINE1、SNAI2、SPARC、TWIST1、VCAN、VIM、ZEB1、ZEB2)。88EMTGSまたはSABiosciences EMTアレイのいずれかを用いて、EMT細胞モデル由来のサンプルを比較した際、どちらも、EMTと一致する遺伝子変化を示したが、88EMTGSは、各細胞モデルで、およそ2倍多い遺伝子変化を示し(図7)、88EMTGSを用いたEMTのより包括的な分子分類が例示された。
[415]表13:SABiosciences EMT遺伝子リスト:
[416]異なるEMTシグネチャーを用いた、インデックススコア出現率のウォーターフォールプロットによって、異なる肺腫瘍に渡る異なるプロファイルが示された(図44)。OSI EMTシグネチャーおよびSABiosciencesシグネチャーは、ChoiまたはYauchエルロチニブ・シグネチャーよりも似ていた。Choiシグネチャーは、***腫瘍細胞株から開発されたため、***腫瘍に対して偏向している可能性もある。興味深いことに、Yauchシグネチャーは、肺腫瘍株マイクロアレイデータから開発されているが、腺癌および扁平上皮癌を、ヒト腫瘍データセットにおいて洗練された88EMTGSほどよくは区別しなかった。
[417]多様な腫瘍細胞株において、88遺伝子EMTGS、Choiシグネチャー、SABiosciencesシグネチャー、Yauchエルロチニブ・シグネチャーおよびBunnゲフィチニブ・シグネチャーを用いてインデックススコアを得ると(図43)、これらの遺伝子シグネチャーいずれか由来のインデックススコアも、エルロチニブ感受性およびエルロチニブ耐性腫瘍細胞株において有意に異なり、そしてしたがって、エルロチニブ感受性の予測因子として使用可能であることが示される。
[418]88遺伝子EMTGS、Choiシグネチャー、およびBunnゲフィチニブ・シグネチャーに共通な8つの遺伝子がある(すなわちAGR2、CDH1、CLDN4、ELF3、ERBB3、IKIP、OCLN、およびSH3YL1)。多様な腫瘍細胞株において、これらの8つの遺伝子を用いてインデックススコアを得ると(図35)、この8つの遺伝子シグネチャーから得たインデックススコアが、エルロチニブ感受性およびエルロチニブ耐性腫瘍細胞株で有意に異なり、そしてしたがって、エルロチニブ感受性の予測因子として使用可能であることが示される。
[419]88遺伝子EMTGSのサブセット解析:10,000の異なる54遺伝子サブセット
[420]88遺伝子PGSは、全体で、細胞株において、エルロチニブまたはOSI−906に対する感受性を予測する。88PGSのサブセットもまた予測するかどうかを決定するため、88PGSのサブセットをランダムに生成し、そして次いで、エルロチニブまたはOSI−906感受性が知られる40細胞株由来のqPCRデータから生成される、生じた遺伝子インデックスの予測力に関して試験した。qPCRデータセットは、遺伝子の1つ、MTA3が細胞株のいずれにおいても検出レベルより高くならなかったため、88遺伝子のうち87に限定された。87遺伝子リストから、まず60遺伝子をランダムに10,000回抜き取り、そして反応予測試験を用いて、各リストが正確に予測することを決定した。さらにより小さい遺伝子サブセットを生成し、そして次いで反応予測試験を適用する反復プロセスを通じて、PGS中の元来の87遺伝子のうち、in vitroで感受性を予測するには、少なくとも54が必要であると決定された。10,000の異なるスコア各々の最適な閾値を実験的に決定した。10,000サブセット各々に関して別個に計算された最適な閾値を適用した。偽陽性率および偽陰性率を決定して、各サブセットが、PGSとして使用する際に満足できる試験正確性を生じるかどうかを評価した。フィッシャーの直接検定を用いて、濃縮のp値を概算した。すべての10,000のフィッシャーの直接検定のうち最大のp値は0.0069であった。これは、試験したこうした54遺伝子サブセット10,000のうち最悪の性能の54遺伝子サブセットにおいて、偶然のみによって観察された結果が得られる可能性が0.0069であることを意味し、これは、統計的有意性に関する慣用的なカットオフ、すなわちp=0.05よりもおよそ3.6倍優れている。この分析は、MTA3を除いて表1に列挙する88遺伝子(すなわち87遺伝子)のいずれから選択される、少なくとも54遺伝子のサブセットが、いずれも本発明の実施に使用可能であることを示唆する。
[421]反応予測試験のための同じデータセットを用いて、上皮遺伝子のみが、エルロチニブ感受性を予測するのに十分であるかどうかもまた試験した。全体として、43の上皮遺伝子リスト(すなわちMTA3を除く)は、87遺伝子のリスト全体と同様に予測可能である。反復サブセット解析によって、上皮遺伝子のいずれの24も、予測に十分であることが示された。
[422]以下に記載するコンピュータプログラムを書き、そして10,000の異なる54遺伝子サブセットの試験を自動化するのに用いた。
[423]#この関数は、インプットとしてマトリックスを採用し、そしてコールされる応答者群における応答者数の濃縮に関して、フィッシャーの直接検定p値を計算する。
[441]#10,000順列検定を行うスクリプト。経路スコア関数はここには含まれず、入力データファイル「Tarceva.cell.text」も含まれない。
[474]新規薬剤ターゲットを同定し、そして薬剤効果を予測するかまたは監視するための、88遺伝子EMT遺伝子シグネチャーおよびインデックスの使用
[475]EMTインデックスがエルロチニブに対する感受性を予測可能であるかどうかを決定するため、本発明者らは、肺、結腸、膵臓および***腫瘍由来の39腫瘍細胞株のEMTインデックススコアを計算し、そして各細胞株に関して、エルロチニブ感受性に対してこれらをプロットした(図19)。低いEMTインデックススコア(より上皮状態)はエルロチニブに対する感受性と相関し、そして高いインデックススコア(より間葉状態)はエルロチニブ非感受性と相関した。培養細胞における感受性を予測するEMTインデックスの能力は、E−カドヘリン状態に匹敵した(図19;E−カドヘリン状態のN.B.分類は、ウェスタンブロット上の相対発現に基づく)。さらに、44上皮遺伝子にのみ基づくインデックスは、本発明者らが試験したモデルにおいて、すべての88遺伝子に基づくインデックスと同様、感受性を予測した(図14)。図6で用いたサンプル由来のEMTインデックススコアもまた、より高いインデックス値およびエルロチニブ非感受性の間の強い相関を示した(図20を参照されたい;N.B.感受性は、本明細書において、10μMエルロチニブの濃度で、増殖の50%最大阻害より多くを有すると定義される)。
[476]興味深いことに、H1650モデルにおいて、EMTと一致する遺伝子変化がヒートマップ中に反映される(図28)が、エルロチニブ感受性は、インデックスによってしか予測されず(すなわちH1650細胞は、EMT誘導前後で、in vitroでエルロチニブに対して感受性でない)、したがって、インデックスおよびシグネチャーの異なる適用を例示する。H1650モデルは、古典的なEMTバイオマーカーがEMT誘導前にエルロチニブに反応すると示唆する腫瘍細胞株の例として働くが、88遺伝子EMTGSインデックスは、該細胞が反応しないことを正確に予測する。
[477]EGFRキナーゼ阻害剤エルロチニブに加えて、88遺伝子EMTGS由来のインデックススコアは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤OSI−906に対する感受性と相関する。図32は、EMTインデックススコアおよび対応するOSI−906 EC50値とともに細胞株を示す。低(上皮)インデックススコアおよびOSI−906に対する感受性の間には、優れた相関がある。EMTインデックスが感受性を予測しない細胞株のうち、大部分はER陽性であり、これらがエストロゲン受容体からの生存シグナル伝達によって、OSI−906から防御されることが示唆される。EMTインデックススコアはまた、2つの化合物OSI−906およびエルロチニブの間の相乗作用も予測する。図33は、EMTインデックススコア、ならびに実験BLISS値に対する最大阻害率として表される、OSI−906およびエルロチニブの間の対応する相乗作用を示す。より低いEMTインデックススコアを持つ細胞株に関しては、相乗作用はより高く、そして逆に、より高いインデックス値を持つ細胞株は、ほとんどまたはまったく相乗作用を示さない。このデータは、エルロチニブに関してだけでなく、他の化合物に関しても、感受性を予測する際に、88遺伝子EMTシグネチャーが有用であることを立証する。
[478]EMTインデックススコアは、図19の細胞株データにおいて示すように、E−カドヘリン状態とともに推移する(track with)。in vivoで、本発明者らは、EMTインデックススコアおよびE−カドヘリンスコアの間の一致に関して、AVEO BH***腫瘍アーカイブにおける腫瘍を調べた。図34は、優れた一致を示すが、強い間葉インデックスを示す腫瘍はほとんどなかった。ヒト腫瘍データセットにおいて、EMTインデックスに比較してE−カドヘリン mRNAレベルを調べると、大部分の腫瘍タイプが優れた一致を示すが、完全な一致ではないことが注目された(図17)。しかし、いくつかの場合、E−カドヘリンレベルは、間葉腫瘍から上皮腫瘍を区別することが不可能であった(例えば***)。EMTインデックスは、上皮表現型または間葉表現型のための明らかな優先性を示す薬剤に対する反応を予測する指標において、特に役立つであろう。
[479]図9に示すように、EMTインデックスは、単一遺伝子の非存在によって、有意には影響を受けない。本発明者らは、これが、異なる腫瘍タイプに渡る頑強さに寄与すると考えている。図38〜39は、示す個々の遺伝子(すなわちITGA5、VIM、CDH1、およびERBB3)を除去した際のインデックススコアの変化が、エルロチニブ感受性を有効に予測する能力に有意に影響しないことを示し、88遺伝子EMTGSインデックス、およびそこから得られる44遺伝子上皮サブセットの重要な特徴をさらに立証する。図40は、図39のインデックススコア計算に寄与した遺伝子を列挙する。これらの遺伝子群、およびそこから得られるインデックスを、EMT状態、あるいはEGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤(例えばエルロチニブ、OSI−906)に対する感受性の予測のために、これらが得られた完全88または44遺伝子EMTGSの代わりに使用可能である。
[480]間葉遺伝子は、上皮遺伝子とは対照的に、エルロチニブ感受性に関して、それ自体は予測上の価値を提供しない(図15)。しかし、インデックススコアに含めると、これらは、非感受性肺腫瘍細胞株から感受性のものを区別する際に、p値を改善する(図14)。さらに、in vivoまたは臨床診断状況において、間葉遺伝子を含めると、図17の乳癌で示されるように、インデックススコアが、典型的には、上皮マーカーを失う腫瘍を分類する能力が改善されるようである。しかし、間葉遺伝子を含めると、腫瘍生検の間質混入のため、いくつかの分類は混乱するであろうし、そしてしたがって、44上皮遺伝子EMTGSインデックスは、こうした状況においては価値がないと証明される可能性が高い。
[481]ヒト腫瘍集団における高いまたは低い88EMTインデックス値を持つ腫瘍の出現率
[482]ヒト固形腫瘍マイクロアレイデータセットを、ランダム遺伝子リスト由来のインデックスに比較して、高いまたは低いインデックス値を持つ腫瘍の出現率に関して調べた(図18、下部パネル)。各腫瘍タイプに関して、本発明者らは、上皮および間葉インデックススコアを示す腫瘍を同定することが可能であった。in vitroデータによって、より上皮であるインデックススコアを持つ患者が、エルロチニブ療法によりよく反応しうることが示唆される。これは、EMTGSインデックススコアが、療法のために患者を選択する価値ある臨床ツールでありうることを示唆する。
[483]図16(下部パネル)は、異なる肺腫瘍サブタイプにおけるEMTGSインデックススコアに関する出現率データを示す。腺癌は、インデックススコアによって決定した際、扁平上皮癌よりも上皮様腫瘍のより高い集団を示す。この性質決定は、臨床反応率に反映され、腺癌患者は、扁平上皮癌患者よりもエルロチニブによりよく反応する。
[484]88EMTGSはまた、EMTを制御する新規薬剤ターゲットを同定するために用いられる。A549細胞の88EMTGS qPCR分析によって、TNFa刺激が、未処理細胞に比較して、上皮遺伝子の下方制御および間葉遺伝子の上方制御を引き起こすことが示された(図42A)。TAK1をTNFa処理細胞でノックダウンすると、TNFa処理細胞に比較して、間葉遺伝子は下方制御され、そして上皮遺伝子は上方制御され、TNF誘導性EMT遺伝子転写の逆転が示される。H358 HGF+OSMモデルにおいて、化合物MによるHGF−cMETシグナル伝達の阻害は、上皮遺伝子の下方制御および間葉遺伝子に対する影響のいくつかを逆転させた(図42B)。H358T−aTGFbドキシサイクリン誘導性モデルにおいて、TGFb仲介EMTの下流シグナル伝達構成要素であるFAKを、選択的FAK阻害剤、化合物Fで阻害すると、上皮遺伝子の転写下方制御が逆転した(図42C)。しかし、FAKの阻害は、間葉遺伝子の上方制御には影響を及ぼさなかった。これらの実験によって、EMTプロセスの重要な制御因子でありうる新規薬剤ターゲットを同定する際の、そしてまた、任意の所定のEMT誘導因子のための重要なバイオマーカーでありうる個々の上皮または間葉遺伝子を同定する際の、88遺伝子EMTGSの価値が立証される。
[485]EMT誘導性リガンドによって調節され、そして次いでFAKまたはMET阻害剤化合物、またはTAK1 siRNA後に(2.5倍より多く)逆転する遺伝子を表14に列挙する。これらの遺伝子リストは各々、腫瘍細胞におけるEMTのFAK、MET、またはTAK1阻害に特異的なEMTGSに相当し、そしてこれを用いて、これらのタンパク質(すなわちFAK、MET、TAK1)を通じてEMTを阻害する化合物での処理を監視することも可能である。さらに、88遺伝子EMTGS由来のインデックススコアを生成するために用いたアルゴリズムを本明細書において同様に用いて、これらのシグネチャーに対する影響を定量化し、そしてin vitroまたはin vivoで阻害効果の度合いをより容易に監視することも可能である。
[486]88遺伝子EMTGSインデックスを用いた分析はまた、88遺伝子EMTインデックスに対する関心対象の遺伝子の発現パターンを比較することによって、関心対象の潜在的な薬剤ターゲットを同定することも可能である。例えば、BH3***腫瘍アーカイブ細胞において、AKLは、より上皮である腫瘍においては低い発現を有し、そしてより間葉様である腫瘍においては、より高く発現され、AXLが、間葉腫瘍に重要な潜在的な遺伝子と示唆される(図41)。
[487]表14. FAK、MET、またはTAK1阻害に特異的なEMTGS
[488]クリニックにおける薬剤反応の予測。
[489]以下の予言的な例は、本発明を用いて、qPCR(例えばTAQMAN(登録商標))データを用い、EGFRキナーゼ阻害剤(例えばエルロチニブ)またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤(例えばOSI−906)に対するヒト反応をどのように予測可能であるかを詳細に例示する。
[490]患者をEGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤で治療する前に、所定の腫瘍タイプ(例えばNSCLC、ACC、肝細胞癌)に関して、腫瘍サンプル(アーカイブFFPEブロック、新鮮サンプルまたは凍結サンプル)をヒト患者から得る(病院または臨床実験室を通じて、間接的に)。標準的組織学処置にしたがって、新鮮または凍結腫瘍サンプルを10%中性緩衝ホルマリンに5〜10時間入れた後、アルコール脱水し、そしてパラフィンに包埋する。
[491]10μm FFPE切片からRNAを抽出する。キシレン抽出によってパラフィンを除去した後、エタノール洗浄する。商業的RNA調製キットを用いて、RNAを単離する。適切な商業的キット、例えばRIBOGREEN(登録商標)蛍光法(Molecular Probes、オレゴン州ユージーン)を用いてRNAを定量化する。慣用法によって、RNAサイズを分析する。
[492]qRT−PCRのためのSUPERSCRIPTTM 第一鎖合成キット(Invitrogen)を用いて、逆転写を行う。総RNAおよびプールした遺伝子特異的プライマーは、それぞれ、10〜50ng/μlおよび100nM(各々)で存在する。
[493]適切な商業的ソフトウェア、例えばPRIMER EXPRESS(登録商標)ソフトウェア(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)を用いて、EMTGS中の各遺伝子に関して、qRT−PCRプライマーを設計する。装置製造者または業者によって推奨されるように、商業的合成装置および適切な試薬を用いて、オリゴヌクレオチドプライマーを合成する。適切な商業的標識キットを用いて、プローブを標識する。
[494]製造者の指示にしたがって、Applied Biosystems 7900HT装置を用いて、384ウェルプレート中でTAQMAN(登録商標)反応を行う。反応ウェルあたり1ngの総RNAから合成されたcDNAを用いて、複製5μl反応中で、EMTGS中の各遺伝子の発現を測定する。最終プライマーおよびプローブ濃度は、それぞれ、0.9μM(各プライマー)および0.2μMである。標準操作法にしたがって、PCRサイクリングを行う。qRT−PCRシグナルが、混入DNAではなくRNAによるものであることを検証するため、試験した各遺伝子に関して、RTを伴わない対照を平行して実行する。qRT PCR中の所定の増幅曲線に関する閾値周期は、プローブからの蛍光シグナルが、特定する蛍光閾値セッティングを超えて伸びる時点である。最初のテンプレートがより多ければ、試験サンプルは、より早い増幅周期で、閾値を超える。
[495]すべてのサンプルに渡って、遺伝子発現レベルを比較するため、5つの参照遺伝子(その発現レベルが、すべてのサンプルに渡って同様であると仮定されるハウスキーピング遺伝子)に基づく規準化を用いて、各アッセイウェルにおいて、RNA品質、およびRNAの総量の変動から生じる相違に関して補正する。各サンプルに関する、参照C(閾値周期)を参照遺伝子の平均測定Cと定義する。試験遺伝子の規準化mRNAレベルをΔC+10と定義し、ここで、ΔC=参照遺伝子Cマイナス試験遺伝子Cである。
[496]上に示すようなアルゴリズムにしたがって、各腫瘍サンプルに関するEMTGSインデックススコアを遺伝子発現レベルから計算する。腫瘍サンプルを供給する病院または臨床実験室から、試験した腫瘍サンプルと関連する実際の反応データを得る。典型的には、適切な画像化技術、例えばCTスキャンによって決定されるような腫瘍縮小、例えば30%縮小に関して臨床反応を定義する。いくつかの場合、時間、例えば無増悪生存期間に関して、ヒト臨床反応を定義する。所定の腫瘍タイプに関する最適閾値EMTGSインデックススコアを上述のように計算する。続いて、この最適閾値EMTGSインデックススコアを用いて、同じタイプの新規に試験するヒト腫瘍が、EGFRキナーゼ阻害剤またはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での処理に反応性であるかまたは非反応性であるかを予測する。
[497]患者腫瘍サンプルにおけるEMTGSの有効な使用。
[498]間葉遺伝子を発現する浸潤間質組織が腫瘍における88遺伝子EMTGSのインデックススコアに影響を及ぼす度合いを決定するため、本発明者らは、10のレーザー捕捉顕微解剖患者サンプルのマッチしたセット由来のマイクロアレイ発現データを利用した。各患者サンプルに関して、マッチする腫瘍、間質、および非解剖細胞における88遺伝子EMTGSの発現を比較した(図53)。患者サンプルに渡って、マッチした腫瘍組織に比較した際、間質組織で見られる全体により高いレベルのM遺伝子発現があった。逆に、間質組織に比較して、腫瘍組織においては、より高いレベルのE遺伝子発現があった。非解剖患者サンプルは、88遺伝子EMTGSに渡って、中間の遺伝子発現パターンを示した。さらに、88遺伝子EMTGS由来の27遺伝子のサブセットは、マッチした腫瘍および間質の間で統計的に示差的な発現を有することが見出された(図53;FDR補正T検定<0.01)。
[499]EMTGSに渡るEおよびM遺伝子発現の全体のパターンが、腫瘍および間質で、それぞれ有意な上昇を示すが、本発明者らは、EMTGSインデックススコアがサンプルを順位付けする能力に対する、これらの発現パターンの影響を決定しようと試みた。Expressoインデックス化プラットフォームによって生成されたインデックススコアの有意性を決定するため、ブートストラッピング・アルゴリズムを用いて、本発明者らは、マッチした、腫瘍のみの、および腫瘍に間質が加わった、LCM患者サンプルに関して、EMTGSインデックススコアを計算した(図54A)。88遺伝子EMTGSは、腫瘍のみおよび腫瘍に間質が加わったマッチしたサンプルセットにおいて、インデックススコアによる患者の非常に類似の順位を生じ(スピアマン順位相関の絶対値、|R|=0.806)、EMTGSインデックススコア化に対する浸潤間質細胞の影響は最小限であることが示された。
[500]EMTGSにおけるM遺伝子の存在が、混合腫瘍および間質細胞を伴うサンプルにおけるシグネチャーの機能を大きくは改変しないようである事実にもかかわらず、本発明者らは、Eのみのシグネチャーが、間質浸潤によって、さらにより影響を受けないかどうかを決定することを試みた。44のE遺伝子のEMTGSを用いて、本発明者らは、腫瘍のみの、および腫瘍に間質が加わった、LCMサンプルのマッチしたセットに関して、インデックススコア順位を比較した(図54B)。44のE遺伝子のEMTGSもまた、サンプルの非常に類似の順位を生じ(スピアマン順位相関の絶対値、|R|=0.673)、腫瘍のみの、および腫瘍に間質が加わったサンプルの間の順位相関には増加がなく、88遺伝子EMTGSにおけるM遺伝子の存在は、浸潤間質を伴う腫瘍細胞において、インデックススコア計算を混乱させる影響を生じないことが示された。
[501]参考文献
[511]略語
EMTGS、EMT遺伝子シグネチャー;HR、ハザード比;PFS、無増悪生存;OS、全体生存;CI、信頼区間;E、エルロチニブ;P、プラセボ;H、高;L、低;EGF、上皮増殖因子;EMT、上皮間葉転換;MET、間葉上皮転換;NSCLC、非小細胞肺癌;HNSCC、頭頸部扁平上皮癌;CRC、結腸直腸癌;MBC、転移性乳癌;EGFR、上皮増殖因子受容体;ErbB3、「v−erb−b2赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子相同体3」、HER−3としても知られる;pHER3、リン酸化HER3;LC、液体クロマトグラフィー;IHC、免疫組織化学;MS、質量分析;IGF−1、インスリン様増殖因子−1;IGF−2、インスリン様増殖因子−2;IGF−1RまたはIGFR、インスリン様増殖因子−1受容体;RTK、受容体チロシンキナーゼ;MET、met癌原遺伝子(肝細胞増殖因子受容体としても知られる);FAK、PTK2プロテインキナーゼ2;TAK1、TGF−ベータ活性化キナーゼ1(MAP3K7またはマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼキナーゼ7);LPA、リゾホスファチジン酸;TGFα、トランスフォーミグ増殖因子アルファ;HB−EGF、ヘパリン結合性上皮増殖因子;TGFβまたはTGFベータまたはTGFb、トランスフォーミング増殖因子ベータ;aTGFβまたはaTGFbベータまたはaTGFb、活性化トランスフォーミング増殖因子ベータ;OSM、オンコスタチンM;HGF、肝細胞増殖因子;TNF、腫瘍壊死因子;IC50、最大半量阻害濃度;EC50、最大半量有効濃度;pY、ホスホチロシン;wt、野生型;PI3K、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ;GAPDH、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ、HUGO、ヒトゲノム機構;PMID、PubMedユニーク同定因子;NCBI、米国バイオテクノロジー情報センター;NCI、米国癌研究所;MSKCC、メモリアル・スローン・ケタリング癌センター;ECACC、欧州細胞培養コレクション;ATCC、アメリカンタイプカルチャーコレクション;LCM、レーザー捕捉顕微解剖;FDR、偽発見率;FPR、偽陽性率;TPR、真の陽性率;FNR、偽陰性率;ROC、受信者動作特性。
[512]援用
[513]本明細書に開示するすべての特許、公開特許出願および他の参考文献は、明確に、本明細書に援用される。
[514]同等物
当業者は、ルーチンの実験より多くを用いずに、本明細書に特に記載する、本発明の特定の態様の多くの同等物を認識するかまたは確認することが可能であろう。こうした同等物は、以下の請求項の範囲内に含まれると意図される。

Claims (51)

  1. 腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:
    腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;
    共相関(co−correlated)遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして
    前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を決定する
    工程を含む、前記方法。
  2. ヒト腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤での治療に反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定する方法であって:
    腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;
    共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして
    該EMTGSインデックススコアが、腫瘍がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いことを示すと定義された閾値より上であるか、または前記閾値より下であり、そしてしたがって、EGFRキナーゼ阻害剤に対して非反応性である可能性が高いかを決定する
    工程を含む、前記方法。
  3. ヒト腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に反応性である可能性が高いかまたは非反応性である可能性が高いかを同定する方法であって:
    腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;
    共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして
    該EMTGSインデックススコアが、腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いことを示すと定義された閾値より上であるか、または前記閾値より下であり、そしてしたがって、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して非反応性である可能性が高いかを決定する
    工程を含む、前記方法。
  4. 腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物での治療から利益を受けうる癌患者を同定する方法であって:
    患者から腫瘍細胞サンプルを得て、
    該サンプルにおける、SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2のRNA転写物、またはその発現産物の発現レベルを測定し;
    共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;
    前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そして
    EMTインデックススコアが間葉表現型の細胞により似ている場合、患者を、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物での治療から利益を受けうる患者であると同定する
    工程を含む、前記方法。
  5. EMTGSインデックススコアを引き出すために用いるアルゴリズムが、アルゴリズムAまたはアルゴリズムAである、請求項1〜4のいずれかの方法。
  6. 腫瘍細胞が、癌患者由来の腫瘍由来である、請求項1〜4のいずれかの方法。
  7. 発現レベルを測定する工程の前に、患者腫瘍細胞サンプルを得るさらなる工程を含む、請求項6の方法。
  8. 腫瘍細胞サンプルを腫瘍生検から得る、請求項6の方法。
  9. 腫瘍細胞サンプルを、循環腫瘍細胞を含有する血液細胞から得る、請求項6の方法。
  10. 腫瘍細胞がNSCL癌、乳癌、結腸直腸癌、または膵臓癌腫瘍細胞である、請求項1〜4のいずれかの方法。
  11. 癌患者において、腫瘍または腫瘍転移を治療するための方法であって:
    請求項1の方法を用いて、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ているかどうかを評価することによって、EGFRキナーゼ阻害剤に対する患者のありうる反応性を診断し、そして
    患者の腫瘍細胞がEMTを経ておらず、そしてしたがってEGFRキナーゼ阻害剤による阻害に反応性である可能性が高い場合、前記患者に、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  12. 癌患者において、腫瘍または腫瘍転移を治療するための方法であって:
    請求項1の方法を用いて、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ているかどうかを評価することによって、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者のありうる反応性を診断し、そして
    患者の腫瘍細胞がEMTを経ておらず、そしてしたがってIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に反応性である可能性が高い場合、前記患者に、療法的有効量のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  13. 癌患者において、腫瘍または腫瘍転移を治療するための方法であって:
    請求項4の方法を用いて、EMTの阻害剤での治療から利益を受けうる患者であると同定し、そして
    前記患者に、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を含む薬学的組成物の療法的有効量を投与する
    工程を含む、前記方法。
  14. 癌患者を治療する方法であって:
    請求項2の方法を用いて、患者がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いかどうかを決定し、そして
    患者がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  15. 癌患者を治療する方法であって:
    請求項2の方法を用いて、患者がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  16. EGFRキナーゼ阻害剤がエルロチニブを含む、請求項11、14または15のいずれかの方法。
  17. 癌患者を治療する方法であって:
    請求項3の方法を用いて、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いかどうかを決定し、そして
    患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  18. 癌患者を治療する方法であって:
    請求項3の方法を用いて、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  19. IGF−1Rキナーゼ阻害剤がOSI−906を含む、請求項12、17または18のいずれかの方法。
  20. 以下の遺伝子:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、およびZEB2の各々に対するプライマー対からなるPCRプライマーセット。
  21. 固相表面およびプローブセットからなるDNAマイクロアレイチップであって、前記プローブセットが、以下の遺伝子:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、およびZEB2の各々に特異的なプローブからなる、前記DNAマイクロアレイチップ。
  22. 複数の腫瘍細胞サンプル各々における、腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:
    腫瘍細胞サンプル各々において、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;
    共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、各腫瘍細胞試料に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして
    腫瘍細胞サンプル各々に関して、前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、各腫瘍細胞サンプルのEMT状態を決定する
    工程を含む、前記方法。
  23. 腫瘍増殖が、EGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害されるかどうかを予測する方法であって:
    腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、ここでEMTGSは、本質的に以下の遺伝子からなる:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTA3、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2;
    共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして
    前記EMTGSインデックススコアが、EGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害される参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、またはEGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害されない参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、腫瘍増殖がEGFRキナーゼ阻害剤およびIGF−1Rキナーゼ阻害剤の組み合わせによって相乗的に阻害されるかどうかを予測する
    工程を含む、前記方法。
  24. 腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:
    腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し;ここでEMTGSは、EMT中に協調して制御されると決定されている遺伝子群からなる;
    共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして
    前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を決定する
    工程を含む、前記方法。
  25. 腫瘍細胞のEMT状態を決定する方法であって:
    腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し;ここでEMTGSは、(a)EMTの多数の腫瘍細胞モデルにおいて協調して制御される遺伝子の最初の群の選択;および(b)多数のヒト腫瘍データセットにおいて発現が共相関される遺伝子の数を最大にするような、遺伝子の反復付加または前記群からの遺伝子の反復除去の工程を含むプロセスによって、EMT中に協調して制御されると決定されている遺伝子群からなる;
    共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして
    前記EMTGSインデックススコアが、参照上皮腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、または参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに、より似ているかを決定し、そしてしたがって、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を決定する
    工程を含む、前記方法。
  26. 腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物を同定する方法であって、スクリーニングしようとする試験化合物と、上皮腫瘍細胞株の細胞サンプルを接触させ、腫瘍細胞において上皮間葉転換を誘導する剤とサンプルを接触させ、サンプル腫瘍細胞のEMT状態を、試験化合物と接触させていない腫瘍細胞の同一サンプルにおけるEMT状態と比較することによって、サンプル中の腫瘍細胞が上皮間葉転換を経るのを阻害するかどうかを決定し、ここで腫瘍細胞のEMT状態を請求項1の方法によって決定する、そしてしたがって、試験化合物が、腫瘍細胞が上皮間葉転換を経ることを阻害する化合物であるかどうかを決定する
    工程を含む、前記方法。
  27. 試験化合物が、PAK1、PAK2、オーロラA、TNK2、SRC、TAK1、MET;ヒストンデアセチラーゼ;LPA受容体、SHHシグナル伝達経路、WNTシグナル伝達経路、TGF−ベータ受容体;TNF−アルファ受容体;またはOSM受容体の阻害剤である、請求項26の方法。
  28. 阻害剤化合物での治療に対するヒト腫瘍の反応性を監視して、阻害剤が腫瘍細胞におけるEMTを阻害するのに有効かどうかを決定する方法であって:
    腫瘍細胞サンプルにおいて、前記治療の前および後の両方で、特定の生物学的機構を通じて作用するEMT阻害剤化合物によってEMTが阻害された際に協調して制御されると決定されており、そしてその機構を通じた阻害に特徴的である遺伝子群からなる、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し;
    共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、治療の前および後の両方で、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして
    参照上皮腫瘍細胞および参照間葉様腫瘍細胞由来のEMTGSインデックススコアに比較した、前記治療の前および後の両方の、EMTGSインデックススコアにおける相違の度合いから、阻害剤化合物での治療が腫瘍細胞中のEMTを阻害するのに有効であるかどうかを決定する
    工程を含む、前記方法。
  29. 阻害剤化合物が、METキナーゼ阻害剤であり、そしてEMTGSが以下の遺伝子:CYP4X1、FOSB、MMP9、VIM、CLDN3、EHF、ELF3、ERBB3、HOPX、MMP7、OCLN、PLXNB1、SCNN1A、TJP3、TMEM125、TMEM45B、およびVWFから本質的になる、請求項28の方法。
  30. 阻害剤化合物が、FAKキナーゼ阻害剤であり、そしてEMTGSが以下の遺伝子:AP1M2、BSPRY、CDH1、CLDN3、EHF、ELF3、ERBB3、MPZL2、MAP7、OCLN、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SLC27A2、SPDEF、TJP3、TMEM125、およびTMEM45Bから本質的になる、請求項28の方法。
  31. 阻害剤化合物が、TAK1キナーゼ阻害剤であり、そしてEMTGSが以下の遺伝子:FOSB、IL8、ITGB3、MMP9、MSLN、SERPINE1、SNAI2、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、TJP3、およびXBP1から本質的になる、請求項28の方法。
  32. EMTGSインデックススコアを引き出すために用いるアルゴリズムが、アルゴリズムAまたはアルゴリズムAである、請求項28〜31のいずれかの方法。
  33. 腫瘍細胞が癌患者由来の腫瘍由来である、請求項28〜31のいずれかの方法。
  34. 腫瘍細胞サンプルを腫瘍生検から得る、請求項28〜31のいずれかの方法。
  35. 腫瘍細胞サンプルを、循環腫瘍細胞を含有する血液サンプルから得る、請求項28〜31のいずれかの方法。
  36. 腫瘍細胞がNSCL癌、乳癌、結腸直腸癌、または膵臓癌腫瘍細胞である、請求項28〜31のいずれかの方法。
  37. ヒト腫瘍を、EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に反応性であるかまたは非反応性である可能性が高いと同定する方法であって:
    腫瘍細胞サンプルにおいて、EMT遺伝子シグネチャー(EMTGS)の各遺伝子の相対発現レベルを測定し、
    ここでEMTGSは、以下の遺伝子:AGR2、AKAP12、AP1M2、BSPRY、CDH1、CLDN3、CLDN4、DNMT3A、DSG3、DSP、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FOXC1、GPD1L、HOPX、IGFBP2、IHH、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MPZL2、MTA3、MTSS1、OCLN、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SPDEF、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、VWF、XBP1、ZBTB10から本質的になるか、
    またはEMTGSは、以下の遺伝子:AGR2、CDH1、CLDN4、ELF3、ERBB3、IKBIP、OCLN、SH3YL1から本質的になるか;
    またはEMTGSは、以下の遺伝子:SERPINA3、ACTN1、AGR2、AKAP12、ALCAM、AP1M2、AXL、BSPRY、CCL2、CDH1、CDH2、CEP170、CLDN3、CLDN4、CNN3、CYP4X1、DNMT3A、DSG3、DSP、EFNB2、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FLRT3、FOSB、FOSL1、FOXC1、FXYD5、GPD1L、HMGA1、HMGA2、HOPX、IFI16、IGFBP2、IHH、IKBIP、IL−11、IL−18、IL6、IL8、ITGA5、ITGB3、LAMB1、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MMP9、MPZL2、MSLN、MTSS1、OCLN、PCOLCE2、PECAM1、PLAUR、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、RASSF8、SCNN1A、SERPINB2、SERPINE1、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SMAD7、SNAI1、SNAI2、SPARC、SPDEF、SRPX、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、TWIST1、VCAN、VIM、VWF、XBP1、YBX1、ZBTB10、ZEB1、ZEB2の少なくとも54を含むか;
    またはEMTGSは、以下の遺伝子:AGR2、AKAP12、AP1M2、BSPRY、CDH1、CLDN3、CLDN4、DNMT3A、DSG3、DSP、EHF、ELF3、ELF5、ERBB3、ETV5、FOXC1、GPD1L、HOPX、IGFBP2、IHH、LCN2、MAP7、MB、MMP7、MPZL2、MTSS1、OCLN、PLXNB1、PPL、PPP1R9A、SCNN1A、SFRP1、SH3YL1、SLC27A2、SPDEF、STAT5A、TBX2、TJP3、TMEM125、TMEM45B、VWF、XBP1、ZBTB10の少なくとも24を含む;
    共相関遺伝子の寄与を取り込むアルゴリズムを、測定された発現レベル値に適用することによって、前記腫瘍細胞に関するEMTGSインデックススコアを計算し;そして
    該EMTGSインデックススコアが、腫瘍がEGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いことを示すと定義された閾値より上であるか、または前記閾値より下であり、そしてしたがって、EGFRまたはIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して非反応性である可能性が高いかを決定する
    工程を含む、前記方法。
  38. EMTGSインデックススコアを引き出すために用いるアルゴリズムが、アルゴリズムAまたはアルゴリズムAである、請求項37の方法。
  39. 腫瘍細胞が癌患者由来の腫瘍由来である、請求項37の方法。
  40. 発現レベルを測定する工程の前に、患者腫瘍細胞サンプルを得るさらなる工程を含む、請求項39の方法。
  41. 腫瘍細胞サンプルを腫瘍生検から得る、請求項39の方法。
  42. 腫瘍細胞サンプルを、循環腫瘍細胞を含有する血液細胞から得る、請求項39の方法。
  43. 腫瘍細胞がNSCL癌、乳癌、結腸直腸癌、または膵臓癌腫瘍細胞である、請求項37の方法。
  44. 癌患者を治療する方法であって:
    請求項37の方法を用いて、患者がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いかどうかを決定し、そして
    患者がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  45. 癌患者を治療する方法であって:
    請求項37の方法を用いて、患者がEGFRキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のEGFRキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  46. EGFRキナーゼ阻害剤がエルロチニブを含む、請求項14または15の方法。
  47. 癌患者を治療する方法であって:
    請求項37の方法を用いて、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性である可能性が高いかどうかを決定し、そして
    患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  48. 癌患者を治療する方法であって:
    請求項37の方法を用いて、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性であると予測される場合、前記患者に、療法的有効量のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を投与する
    工程を含む、前記方法。
  49. IGF−1Rキナーゼ阻害剤がOSI−906を含む、請求項47または48のいずれかの方法。
  50. 遺伝子リスト(A)およびデータセット(B)に関するインデックススコアを計算するために適用するアルゴリズムが、以下の工程を行う、請求項1〜4、22〜25、28、または37のいずれかの方法:
    1)Bにおいて、Aに関する相関に基づくアンカー遺伝子(AG)を:
    a)Bにおけるすべてのサンプルに渡って、Aにおけるすべての遺伝子−遺伝子対に関する遺伝子発現のピアソンまたはスピアマン相関を計算し;そして
    b)ABに関するAGは、以下:
    式中、AGABはデータセットBにおける遺伝子リストAに関するアンカー遺伝子であり、Nxは遺伝子xを含むすべての遺伝子−遺伝子対のセットであり、nはNx中の遺伝子−遺伝子対の数であり、そして|R|は、Bにおけるすべてのサンプルに渡る各遺伝子−遺伝子対に関するピアソンまたはスピアマン相関係数の絶対値である
    を最大にする遺伝子xである
    によって定義し;
    2)遺伝子リスト(AAG)から:
    a)AGに対する相関のP値に基づいて、すべての遺伝子を順位付けし;そして
    b)AAGを、Bに渡ってAGと相関するAにおける遺伝子サブセットと定義し、ここでP値≦cであり、式中、cは、ユーザーが規定する有意性カットオフである
    によって、AGと有意に相関する遺伝子サブセットを選択し;そして
    3)Bにおける各サンプルsに関して:
    a)IABsを:
    式中、AAGは、アンカー遺伝子AGと有意に相関するAにおける遺伝子サブセットであり、mは、AAGにおける遺伝子の数であり、そしてesx’は、以下のように、データセットBのサンプルsにおける遺伝子x(サブセットAAG由来)の発現と定義される:
    {式中、esxは、サンプルsにおける遺伝子xの発現であり、μBxはデータセットBにおける遺伝子xの平均発現であり、そしてRは、アンカー遺伝子AGと遺伝子xの相関係数である}
    と定義する
    によって、遺伝子リストAに関する相関に基づく発現インデックススコア(I)を計算する。
  51. 遺伝子リスト(A)およびデータセット(B)に関するインデックススコアを計算するために適用するアルゴリズムが、以下の工程を行う、請求項1〜4、22〜25、28、または37のいずれかの方法:
    1)Bにおいて、Aに関する相関に基づくアンカー遺伝子(AG)を:
    a)Bにおけるすべてのサンプルに渡って、Aにおけるすべての遺伝子−遺伝子対に関する遺伝子発現のピアソンまたはスピアマン相関を計算し;そして
    b)ABに関するAGは、以下:
    式中、AGABはデータセットBにおける遺伝子リストAに関するアンカー遺伝子であり、Nxは遺伝子xを含むすべての遺伝子−遺伝子対のセットであり、nはNx中の遺伝子−遺伝子対の数であり、そして|R|は、Bにおけるすべてのサンプルに渡る各遺伝子−遺伝子対に関するピアソンまたはスピアマン相関係数の絶対値である
    を最大にする遺伝子xである
    によって定義し;
    2)遺伝子リスト(AAG)から:
    a)AGに対する相関のP値に基づいて、すべての遺伝子を順位付けし;そして
    b)AAGを、Bに渡ってAGと相関するAにおける遺伝子サブセットと定義し、ここでP値≦cであり、式中、cは、ユーザーが規定する有意性カットオフである
    によって、AGと有意に相関する遺伝子サブセットを選択し;そして
    3)Bにおける各サンプルsに関して:
    a)IABsを:
    式中、AAGは、アンカー遺伝子AGと有意に相関するAにおける遺伝子サブセットであり、mは、AAGにおける遺伝子の数であり、そしてesx’は、以下のように、データセットBのサンプルsにおける遺伝子x(サブセットAAG由来)の発現と定義される:
    {式中、esxは、サンプルsにおける遺伝子xの発現であり、μBxはデータセットBにおける遺伝子xの平均発現であり、そしてRは、アンカー遺伝子AGと遺伝子xの相関係数である}
    と定義する
    によって、遺伝子リストAに関する相関に基づく発現インデックススコア(I)を計算する。
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