本明細書において、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)のインヒビターが説明される。また、本明細書において、Btkの不可逆的なインヒビターが説明される。さらに、Btk状のシステイン残基と共有結合を形成するBtkの不可逆的なインヒビターが説明される。さらに、本明細書において、チロシンキナーゼの不可逆的なインヒビターが説明される。ここで他のチロシンキナーゼは、Btkと相同体を共有する。この共有は、不可逆的なインヒビター(このようなチロシンキナーゼは「Btkチロシンキナーゼシステイン相同体」と呼ばれる)と共有結合を形成するシステイン残基(Cys481残基を含む)を有することによりなされる。また、本明細書において、チロシンキナーゼ(本明細書中では「利用可能なシステインキナーゼ(Accessible Cystein Kinases)」又はACKと呼ばれる)の活性部位付近で利用可能なシステイン残基を有するチロシンキナーゼの不可逆的なインヒビターが説明される。また、本明細書中において、前述のチロシンキナーゼのいずれかの不可逆的なインヒビターが説明される。この前述のチロシンキナーゼにおいて、不可逆的なインヒビターはマイケル受容体部分を有している。さらに、マイケル受容体部分が所望のチロシンキナーゼ上で適切なシステイン残基と選択的に共有結合を形成するような不可逆的なインヒビターについて説明される。この共有結合の形成は、利用可能なSH部分を含む他の生体分子との共有結合の形成に関連している。また本明細書において、このような不可逆的なインヒビターの合成方法、疾患(Btkの不可逆的な阻害により治療的有用性が疾患を有する患者にもたらされる疾患を含む)の治療におけるこのような不可逆的なインヒビターの使用方法が説明される。さらに、Btkの不可逆的なインヒビターを含む医薬製剤についての説明がなされる。
本明細書中で説明される化合物は、化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)、及び薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、エステル、酸及びそのプロドラッグのいずれかの構造を有するものを含む。ある実施形態において、化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)によって表される構造を有する異性体及び化合物の化学的に保護された形態ももたらされる。
ある態様において、化式(I)の化合物が本明細書にもたらされる。化式(I)は以下の通りである。
前記化式中、LaはCH2、O、NH又はSであって、Arは置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換へテロアリール、及び以下に続く(a)又は(b)のいずれかであって、(a)Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン及びアルキレンへテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基で、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、RaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、及び以下に続く(i)、(ii)又は(iii)のいずれかであって、(i)R7及びR8はHであって、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(ii)R6及びR8はHであって、R7はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、又は、(iii)R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(b)Yはシクロアルキレン又はヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基で、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、RaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、及び以下に続く(i)、(ii)又は(iii)のいずれかであって、(i)R7及びR8はHであって、R6は置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(ii)R6及びR8はHであって、R7は置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、又は、(iii)R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)、また、薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
他の実施形態において、化式(I)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。例において、アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の陰イオンで形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(I)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(I)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(I)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。N−アシル基の例として、N−アセチル基及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
実施形態のいくつか及び全てに関して、置換基は記載の選択肢の一部から任意で選択される。例として、いくつかの実施形態において、LaはCH2、O、又はNHである。他の実施形態において、LaはO、又はNHである。さらに他の実施形態において、LaはOである。
いくつかの実施形態において、Arは置換又は非置換アリールである。さらに他の実施形態において、Arは6員のアリールである。いくつかの実施形態において、Arはフェニルである。
いくつかの実施形態において、xは2である。さらに他の実施形態において、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、S(=O)x、OS(=O)x、又はNHS(=O)xである。いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、又はNCH3C(=O)である。
いくつかの実施形態において、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、及びアルキレンへテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。
いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、RaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキルである。
いくつかの実施形態において、R7及びR8はHであって、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。他の実施形態において、R6及びR8はHであって、R7はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。また他の実施形態において、R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。
いくつかの実施形態において、Yはシクロアルキレン又はヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。
いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、RaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキルである。
いくつかの実施形態において、R7及びR8はHであって、R6は置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。他の実施形態において、R6及びR8はHであって、R7は置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。さらなる実施形態において、R7及びR8は共に結合を形成し、R6は置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。
本明細書中において、様々な変形のための上記のグループの任意の組み合わせが考慮される。
ある態様において、以下から選択される化合物、すなわち、(E)-4-(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルアミノ)-1-(3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(化合物3)、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d-]ピリミジン-1-イル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物4)、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物5)、(E)-1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物7)、(E)-N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド(化合物8)、N-((1r,4r)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)アクリルアミド(化合物10)、(E)-1-((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物11)、(E)-1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物12)、1-((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物13)、1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物14)、1((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物15)、1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物16)、1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物17)、(E)-N-((1,r,4r)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド(化合物18)、N-(2-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-N-メチルアクリルアミド(化合物19)、(E)-1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物20)、(E)-1-((S_-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物21)、N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)ブタ-2-インアミド(化合物22)、N-(2-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)アクリルアミド(化合物23)、(E)-1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物24)、(E)-N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-モルホリノブタ-2-エナミド(化合物25)が本明細書中にもたらされる。
さらなる態様において医薬組成物がもたらされる。この組成物は、本明細書中のいずれかの化合物の少なくとも一つのいずれかの化合物の薬学的に有効な量、又は薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、又は薬学的に許容される溶媒和化合物を含む。特定の実施形態において、本明細書中にもたらされる組成物はさらに、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤及び/又は結合剤を含む。
適切な経路及び方法による投与のために製剤された本明細書中にもたらされる1又はそれ以上の化合物の有効濃度を含有する医薬組成物、或いは、1又はそれ以上の疾患の症状、障害又は状態の治療、予防又は改善に有効な量を運搬するその有効な誘導体がもたらされる。この1又はそれ以上の疾患の症状、障害又は状態は、チロシンキナーゼ活性によって調節又は影響される。或いは、チロシンキナーゼは、この1又はそれ以上の疾患の症状、障害又は状態の原因となる。この有効量及び有効濃度は本明細書中に開示される疾患、障害又は状態のいずれかの症状の改善に効果的である。
特定の実施形態において、本明細書中にもたらされる医薬組成物は、(1)生理的に許容される担体、希釈液、及び/又は賦形剤、及び(2)本明細書にもたらされる1又はそれ以上の化合物を含んでいる。
ある態様において、本明細書中にもたらされるのは、本明細書中の化合物を投与することにより患者を治療するための方法である。いくつかの実施形態において、Btk等のチロシンキナーゼの活性を阻害する方法、或いは疾患、障害又は状態を治療する方法がもたらされる。この治療は、患者内におけるBtk等のチロシンキナーゼの阻害の恩恵を受けるものであり、本明細書中の化合物のいずれかの少なくとも一つの薬学的に有効な量、又は薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、又は薬学的に許容される溶媒和化合物を含む。
他の態様において、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)活性を阻害するための、或いはブルトンチロシンキナーゼ(Btk)活性の阻害の恩恵を受ける疾患、障害又は状態の治療のための本明細書中に開示される化合物の使用法が本明細書中においてもたらされる。
いくつかの実施形態において、本明細書にもたらされる化合物はヒトに投与される。いくつかの実施形態において、本明細書にもたらされる化合物は経口投与される。他の実施形態において、医薬製剤は、経口投与、非経口投与、口腔投与、経鼻投与、局所投与、又は直腸投与から選択される投与経路のために製剤される。
他の実施形態において、本明細書にもたらされる化合物はチロシンキナーゼ活性の阻害のための薬物の製剤に用いられる。いくつかの他の実施形態において、本明細書にもたらされる化合物はブルトンチロシンキナーゼ(Btk)活性の阻害のための薬物の製剤に用いられる。
包装材内部でBtk等のチロシンキナーゼの活性の阻害に効果的な包装材、化合物又は組成物又は薬学的に許容されるその誘導体を含む物品、及び、Btk等のチロシンキナーゼの活性を阻害するのに利用される化合物又は組成物、薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、或いは薬学的に許容されるその溶媒和化合物を示す標識がもたらされる。
他の態様において、阻害されたチロシンキナーゼはブルトンチロシンキナーゼ、ブルトンチロシンキナーゼ相同体、又はBtkチロシンキナーゼシステイン相同体が以下の構造を有するインヒビターに共有結合する。
さらなる態様において、少なくとも一つの化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによって自己免疫疾患を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の構造を有している。ある実施形態において、免疫疾患は関節炎である。他の実施形態において、免疫疾患はループスである。いくつかの実施形態において、免疫疾患は炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形関節炎、スチル病、若年性関節炎、ループス、糖尿病、重症筋無力症、橋本病、オード甲状腺炎(Ord’s thyroiditis)、グレイヴズ病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性能脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、突発性血小板減少性紫斑症、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免役溶血性貧血、ヴェーゲナー肉芽腫症、乾癬、全身脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自立神経障害、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、強皮症又は外陰部痛である。
さらなる態様において、少なくとも一つの化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによって異種免疫状態又は疾患を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の構造を有している。いくつかの実施形態において、異種免役状態又は疾患は、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、又はアトピー性皮膚炎である。
さらなる態様において、少なくとも一つの化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによって炎症性疾患を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の構造を有している。いくつかの実施形態において、炎症性疾患は、ぜんそく、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚炎、胆管炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、咽頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋肉炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心外膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎又は外陰部炎である。
さらに他の態様において、少なくとも一つの化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによって癌を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の構造を有している。ある実施形態において、癌はB細胞増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、B細胞性前リンパ性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔原発びまん性硬化型B細胞性大細胞型リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体腔性リンパ腫、バーキットリンパ腫/バーキット白血病、又はリンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの実施形態において、対象が癌を患っている場合、上記の化合物の一つに加え抗癌剤が対象に投与される。ある実施形態において、抗癌剤はマイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナル伝達、例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY-142886、SB239063、SP600125、BAY43-9006、ワートマニン、又はLY294002である。
他の態様において、少なくとも一つの化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによって血栓塞栓性疾患を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の構造を有している。いくつかの実施形態において、血栓塞栓性疾患は、心筋梗塞、狭心症、血管形成術後の再閉塞、血管形成術後の再狭窄、大動脈冠動脈バイパス後の再閉塞、大動脈冠動脈バイパス後の再狭窄、発作、一過性虚血、抹消動脈閉塞疾患、肺血栓、又は深部静脈血栓症である。
他の態様において、少なくとも一つの化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによってマスト細胞症を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の構造を有している。
また他の態様において、少なくとも一つの化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによって骨粗鬆症を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の構造を有している。
さらに他の態様において、化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによってループスを治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシン相同体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。ある実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼの活性型と共有結合を形成する。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するブルトンチロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。さらなる又は別の実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼ上のシステイン残基と共有結合を形成する。
さらなる態様において、化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによって異種免役状態又は疾患を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシン相同体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。ある実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼの活性型と共有結合を形成する。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するブルトンチロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。さらなる又は別の実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼ上のシステイン残基と共有結合を形成する。
さらなる態様において、化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによって炎症性疾患を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシン相同体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。ある実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼの活性型と共有結合を形成する。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するブルトンチロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。さらなる又は別の実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼ上のシステイン残基と共有結合を形成する。
さらなる態様において、化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによってびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、又は慢性リンパ球性白血病を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシン相同体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。ある実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼの活性型と共有結合を形成する。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するブルトンチロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。さらなる又は別の実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼ上のシステイン残基と共有結合を形成する。
さらに他の態様において、化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによってマスト細胞症を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシン相同体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。ある実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼの活性型と共有結合を形成する。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するブルトンチロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。さらなる又は別の実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼ上のシステイン残基と共有結合を形成する。
さらに他の態様において、化合物の薬学的に有効な量を含有する組成物を必要とする対象に投与することによって骨粗鬆症又は骨吸収疾患を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシン相同体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。ある実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼの活性型と共有結合を形成する。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するブルトンチロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。さらなる又は別の実施形態において、化合物はブルトンチロシンキナーゼ上のシステイン残基と共有結合を形成する。
さらに、タンパク質キナーゼを含む、さらにチロシンキナーゼを含むキナーゼの不可逆的なインヒビターを同定するための方法、分析及びシステムが本明細書において説明される。さらに、チロシンキナーゼを含むキナーゼの適切な不可逆的なインヒビターを決定するための方法、分析及びシステムが本明細書において説明される。インヒビターはキナーゼ上のシステイン残基と共有結合を形成し、さらにシステイン残基はキナーゼの活性部位付近に存在する。さらなる実施形態において、インヒビターはまたキナーゼの活性部位を結合する部分も有している。いくつかの実施形態において、キナーゼはBtkと相同体を共有する。この共有は、不可逆的なインヒビター(このようなチロシンキナーゼは「Btkチロシンキナーゼシステイン相同体」と呼ばれる)と共有結合を形成するシステイン残基(Cys481残基を含む)を有することによりなされる。いくつかの実施形態において、Btkキナーゼシステイン相同体は、キナーゼのTecファミリー、キナーゼのEGFRファミリー、キナーゼのJak3ファミリー、及び/又はキナーゼのBtk−Srcファミリーから選択される。
いくつかの実施形態において、不可逆的なインヒビターは選択的な不可逆的なインヒビターであって、Btkキナーゼシステイン相同体上で特定のBtkキナーゼシステイン相同体への選択性を有する。いくつかの実施形態において、選択的且つ不可逆的なインヒビターは、Btk、Btk相同体又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼの効果的なインヒビターであるが、Btk、Btk相同体又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼから選択される他の異なるキナーゼの少なくとも一つに関しては効果的なインヒビターにならない。
本明細書において、Btk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるタンパク質チロシンキナーゼに不可逆的且つ選択的に結合するキナーゼインヒビターが説明される。キナーゼインヒビターは、タンパク質チロシンキナーゼの多重性に可逆的且つ非選択的に結合する。ある実施形態において、キナーゼインヒビターの血中濃度半減期は約4時間未満である。他の実施形態において、キナーゼインヒビターの血中濃度半減期は約3時間未満である。
さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはBtk、Jak3、Blk、Bmx、Tec及びItkの少なくとも一つに選択的且つ不可逆的に結合する。他の実施形態において、キナーゼインヒビターはBtkに選択的且つ不可逆的に結合する。他の実施形態において、キナーゼインヒビターはJak3に選択的且つ不可逆的に結合する。他の実施形態において、キナーゼインヒビターはTecに選択的且つ不可逆的に結合する。他の実施形態において、キナーゼインヒビターはItkに選択的且つ不可逆的に結合する。他の実施形態において、キナーゼインヒビターはBtk及びTecに選択的且つ不可逆的に結合する。他の実施形態において、キナーゼインヒビターはBlkに選択的且つ不可逆的に結合する。またさらなる実施形態において、キナーゼインヒビターは多様なsrcファミリータンパク質キナーゼインヒビターに可逆的且つ非選択的に結合する。
また本明細書には、このような方法、分析及びシステムを用いて同定される不可逆的なインヒビターが説明される。このような不可逆的なインヒビターは、キナーゼの活性部位に結合する活性部位結合部分を有する。このキナーゼはチロシンキナーゼを備え、さらにBtkキナーゼシステイン相同体、マイケル受容体部分、及び活性部位結合部分をマイケル受容体部分につなげる部分を備える。いくつかの実施形態において、マイケル受容体部分はアルケン及び/又はアルケン部分を有する。いくつかの実施形態において、不可逆的なインヒビターは選択的な不可逆的なインヒビターであって、他のBtkキナーゼシステイン相同体よりも特定のBtkキナーゼシステイン相同体への選択性を有する。
他の実施形態において、不可逆的なインヒビターは化式(VII)の構造を有する。
はチロシンキナーゼ、さらにBtkキナーゼチロシン相同体を含むキナーゼの前記活性部位に結合する部分であり、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン及びアルキレンへテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基で、ZがC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、NCH3C(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、R7及びR8は、H、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4へテロアルキル、置換C1−C4へテロアルキル、非置換C3−C6シクロアルキル、置換C3−C6シクロアルキル、非置換C2−C6へテロシクロアルキル、及び置換C2−C6へテロシクロアルキルから独立して選択され、又は、R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)、及び、薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
他の実施形態において、化式(VII)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の無機酸で形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(VII)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(VII)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(VII)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。N−アシル基の例として、N−アセチル基及びN−エトキシカルボニル基を含む。
いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、NCH3C(=O)、又はS(=O)2である。他の実施形態においてxは2である。また他の実施形態において、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、S(=O)x、OS(=O)x、又はNHS(=O)xである。いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、又はS(=O)2である。
いくつかの実施形態において、R7及びR8はH、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4ヘテロアルキル及び置換C1−C4ヘテロアルキルから独立して選択され、或いはR7及びR8は共に結合を形成する。また他の実施形態において、R7及びR8の夫々はHであって、またR7及びR8は共に結合を形成する。
いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8へテロシクロアルキル)である。いくつかの他の実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C2アルキル-N(C1-C3アルキル)2、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8へテロシクロアルキル)である。また他の実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−(C1−C6アルキルアミノ)、C1−C4アルキル(フェニル)、又はC1−C4アルキル(5又は6員ヘテロアリール)である。いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−N(C1−C3アルキル)2、C1−C4アルキル(フェニル)、又はC1−C4アルキル(1又は2の原子を含む5又は6員ヘテロアリール)、又はC1−C4アルキル(1又は2の原子を含む5又は6員ヘテロシクロアリール)である。
いくつかの実施形態において、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、及びヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。ある実施形態において、YはC1−C6アルキレン、C1−C6へテロアルキレン、4、5、6又は7員のシクロアルキレン、及び4、5、6又は7員のヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。また他の実施形態において、YはC1−C6アルキレン、C1−C6へテロアルキレン、1又は2N原子を有する5又は6員のシクロアルキレン及び5又は6員のヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。いくつかの他の実施形態において、Yは1又は2N原子を有する5又は6員のシクロアルキレン又は5又は6員のヘテロシクロアルキレンである。いくつかの実施形態において、Yは4、5、6又は7員のシクロアルキレン環、又は、4、5、6又は7員のヘテロシクロアルキレン環である。
本明細書中において、上記の基の任意の組み合わせが様々な変形のために考慮される。
前述の方法、分析及びシステムのいずれかにおいて、このような方法、分析及びシステムは多様な不可逆的なテストインヒビターを備える。不可逆的なテストインヒビターの夫々は同じ
の部分を有しているが、Y、Z、R6、R7、又はR8の少なくとも一つにおいて異なる。さらなる実施形態において、多様な不可逆的なテストインヒビターは、不可逆的なテストインヒビターのパネルである。さらなる実施形態において、少なくとも一つのキナーゼへの不可逆的なテストインヒビターのパネルの結合は決定されている(キナーゼのパネルを含む、さらにBtk、Btk相同体及びBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼのパネルを含む)。さらなる実施形態において、決定した結合データは選択的な不可逆的インヒビターの選定及び/又はさらに設計を行うのに用いられる。
本明細書中で説明される不可逆的インヒビターは、化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)、及び薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、エステル、酸及びそのプロドラッグのいずれかの構造を有するものを含む。特定の実施形態において、化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)によって表される構造を有する異性体及び化合物の化学的に保護された形態ももたらされる。
本明細書中で説明される不可逆的インヒビターは、化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)、及び薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、エステル、酸及びそのプロドラッグのいずれかの構造を有するものを含む。特定の実施形態において、化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)によって表される構造を有する異性体及び化合物の化学的に保護された形態ももたらされる。
ある態様において、本明細書にもたらされる不可逆的なインヒビターの化合物は以下より選択される。1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)スルホニルエテン、1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-イン-1-オン、1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル6)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)アクリルアミド、1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、1-((S)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、1-((S)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンn-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、及び(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン、(E)-4-(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルアミノ)-1-(3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(化合物3)、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d-]ピリミジン-1-イル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物4)、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物5)、(E)-1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物7)、(E)-N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド(化合物8)、N-((1r,4r)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)アクリルアミド(化合物10)、(E)-1-((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物11)、(E)-1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物12)、1-((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物13)、1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物14)、1((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物15)、1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物16)、1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物17)、(E)-N-((1,r,4r)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド(化合物18)、N-(2-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-N-メチルアクリルアミド(化合物19)、(E)-1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物20)、(E)-1-((S_-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物21)、N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)ブタ-2-インアミド(化合物22)、N-(2-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)アクリルアミド(化合物23)、(E)-1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物24)、(E)-N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-モルホリノブタ-2-エナミド(化合物25)が本明細書中にもたらされる。
さらに本明細書において、先に記載した任意のキナーゼインヒビターの化合物のキナーゼインヒビターからなる医薬製剤が説明される。ある実施形態において、医学製剤は薬学的に許容される賦形剤を有する。いくつかの実施形態において、本明細書にもたらされる医薬製剤はヒトに投与される。いくつかの実施形態において、本明細書にもたらされる不可逆的及び/又は選択的なキナーゼインヒビターは経口投与される。他の実施形態において、本明細書にもたらされる不可逆的及び/又は選択的なキナーゼインヒビターはチロシンキナーゼ活性の阻害のための薬物の製剤に用いられる。いくつかの他の実施形態において、本明細書にもたらされる不可逆的及び/又は選択的なキナーゼインヒビターは、チロシンキナーゼ活性、Btk活性、Btk相同体活性、Btkキナーゼシステイン相同体活性を含むキナーゼ活性の阻害のための薬物の製剤に用いられる。
前述のいずれかの態様において、さらなる実施形態では投与が腸内、非経口、或いはその両方で行われるか、或いは(a)化合物の有効量は哺乳類に全身的に投与される、(b)化合物の有効量は哺乳類に経口投与される、(c)化合物の有効量は哺乳類に静脈内投与される、(d)化合物の有効量は吸入投与される、(e)化合物の有効量は経鼻投与される、或いは(f)化合物の有効量は哺乳類に注射で投与される、(g)化合物の有効量は哺乳類に局所的(経皮)に投与される、(h)化合物の有効量は点眼投与される、或いは(i)化合物の有効量は哺乳類に直腸投与される。さらなる実施形態において、製剤される医薬製剤は、経口投与、非経口投与、口腔投与、経鼻投与、局所投与、又は直腸投与から選択される投与経路のために製剤される。
前述のいずれかの態様におけるさらなる実施形態は、有効量の医薬組成物を単回投与することが説明され、さらに(i)医薬製剤が一回投与される、(ii)医薬製剤が哺乳類に一日一回投与される、(iii)医薬製剤が哺乳類に複数回一日に及び投与される、(iv)継続的に投与される、或いは(v)連続的に投与される実施形態を含む。
前述のいずれかの態様におけるさらなる実施形態は、有効量の医薬組成物を複数回投与することが説明され、さらに(i)医薬製剤が単一容量投与される、(ii)複数回投与の間の時間が6時間毎である、(iii)医薬製剤が哺乳類に8時間毎に投与される実施形態を含む。さらなる又は別の実施形態において、方法は休薬期間を有し、医薬製剤の投薬が一時的に中断される、或いは投薬されている医薬製剤の投与量が一時的に減少される。休薬期間の終わりには、医薬組成物の投薬は再開される。休薬期間の長さは2日から1年へと変化する。
タンパク質チロシンキナーゼテストインヒビターの選択性を増加させるための方法が、さらに本明細書で説明される。タンパク質チロシンキナーゼテストインヒビターは、Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択される少なくとも一つのタンパク質キナーゼインヒビターに不可逆的且つ選択的に結合する。ある実施形態において、タンパク質チロシンキナーゼテストインヒビターは化学的に修飾されて血中濃度半減期を約4時間未満に減少させる。他の実施形態において、タンパク質チロシンキナーゼテストインヒビターが化学的に修飾されて血中濃度半減期を約3時間に減少させる。また他の実施形態において、タンパク質チロシンキナーゼテストインヒビターは、多様なsrcファミリータンパク質チロシンキナーゼに非選択的且つ可逆的に結合する。
タンパク質チロシンキナーゼテストインヒビターが化式(VII)の構造を有しており、
はチロシンキナーゼ、さらにBtkキナーゼチロシン相同体を含むキナーゼの前記活性部位に結合する部分であり、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン及びアルキレンへテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基で、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、NCH3C(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、R7及びR8は、H、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4へテロアルキル、置換C1−C4へテロアルキル、非置換C3−C6シクロアルキル、置換C3−C6シクロアルキル、非置換C2−C6へテロシクロアルキル、及び置換C2−C6へテロシクロアルキルから独立して選択され、又は、R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)、及び薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
さらなる態様において、テストタンパク質キナーゼインヒビターの組成物を必要とする対象へ投与することによるB細胞増殖性疾患又はマスト細胞増殖性疾患の治療方法が本明細書で説明される。テストタンパク質キナーゼインヒビターの組成物は、薬学的に有効な量の化合物を含んでいる。この化合物はBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体と共有結合(不可逆的及び/又は選択的な共有結合を含む)を形成する。ある実施形態において、化合物はBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体の活性型と共有結合を形成する。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体を不可逆的に阻害する。さらなる又は別の実施形態において、化合物はBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体上のシステイン残基と共有結合(不可逆的及び/又は選択的な共有結合を含む)を形成する。
さらなる態様において、テストタンパク質キナーゼインヒビターの組成物を必要とする患者へ投与することによる関節リウマチの治療方法が本明細書で説明される。この化合物はBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体と共有結合(不可逆的及び/又は選択的な共有結合を含む)を形成する。ある実施形態において、化合物はBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体の活性型と共有結合を形成する。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体を不可逆的に阻害する。さらなる又は別の実施形態において、化合物はBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体上のシステイン残基と共有結合を形成する。
さらなる態様において、活動亢進的なB細胞又は活動亢進的なマスト細胞、又は活動亢進的なB細胞及び活動亢進的なマスト細胞の両方に特徴付けられる疾患の治療方法が本明細書で説明される。この治療方法は、テストタンパク質キナーゼインヒビターの組成物を必要とする対象へ投与することによりなされる。この組成物はBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体と共有結合(不可逆的及び/又は選択的な共有結合を含む)を形成する化合物を治療上効果的な量だけ含む。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体を不可逆的に阻害する。ある実施形態において、化合物はBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体の活性型と共有結合を形成する。さらなる又は別の実施形態において、化合物は共有的に結合するBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体を不可逆的に阻害する。さらなる又は別の実施形態において、化合物はBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体上のシステイン残基と共有結合を形成する。
前述のいずれかの態様において、有効量の医薬製剤を単回投与することからなるさらなる実施形態が説明され、さらに(i)医薬製剤が一回投与される、(ii)医薬製剤が哺乳類に一日一回投与される、(iii)医薬製剤が哺乳類に一日に及び複数回投与される、(iv)継続的に投与される、又は(v)連続的に投与される実施形態を含む。
また、Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼの不可逆的なインヒビターを同定する方法が、本明細書において説明される。この方法は、(1)Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択される多様なキナーゼとマイケル受容体部分からなる化合物を接触させる段階と、(2)少なくとも一つの利用可能なSH基を有する少なくとも一つの非キナーゼ分子とマイケル受容体部分からなる前記化合物を接触させる段階と、(3)マイケル受容体部分からなる前記化合物と多様なキナーゼ及び前記少なくとも一つの非キナーゼ分子の前記共有結合を決定する段階を含み、(1)、(2)及び(3)の段階をマイケル受容体部分からなる化合物の少なくとも一つのために繰り返す。
さらに、Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼの不可逆的なインヒビターを同定する方法が、本明細書において説明される。この方法は、(1)Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼの多重性とマイケル受容体部分からなる化合物を接触させる段階と、(2)少なくとも一つの利用可能なSH基を有する少なくとも一つの非キナーゼ分子とマイケル受容体部分からなる前記化合物を接触させる段階と、(3)マイケル受容体部分からなる前記化合物とキナーゼの多重性及び前記少なくとも一つの非キナーゼ分子の前記共有結合を決定する段階を備え、(1)、(2)及び(3)の段階をマイケル受容体部分からなる化合物の少なくとも一つのために繰り返す。さらにこの方法は、(4)多様なキナーゼ及び前記少なくとも一つの非キナーゼ分子を有するマイケル受容体部分からなる前記化合物の前記共有結合を比較する段階を備え、(1)、(2)(3)及び(4)の段階をマイケル受容体部分からなる化合物の少なくとも一つのために繰り返す。
ある実施形態において、少なくとも一つの利用可能なSH基を有する少なくとも一つの非キナーゼ分子は、グルタチオン及び/又はヘモグロビンを含む。他の実施形態において、所望の不可逆的なインヒビターは、他のキナーゼ、グルタチオン及びヘモグロビンに関連する特定のキナーゼに選択的である。
いくつかの実施形態において、キナーゼの不可逆的なインヒビターを同定するための方法、分析及びシステムは、各キナーゼと活性プローブを接触させることを含む。さらなる実施形態において、キナーゼの不可逆的なインヒビターを同定するための方法、分析及びシステムはキナーゼのパネルを備え、このキナーゼのパネルはBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択される少なくとも2つのキナーゼからなる。さらなる実施形態において、キナーゼのパネルは少なくとも3つのこのようなキナーゼ、少なくとも4つのこのようなキナーゼ、少なくとも5つのこのようなキナーゼ、少なくとも6つのこのようなキナーゼ、少なくとも7つのこのようなキナーゼ、少なくとも8つのこのようなキナーゼ、少なくとも9つのこのようなキナーゼ、或いは少なくとも10のこのようなキナーゼからなる。
ある実施形態において、Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼの不可逆的なインヒビターを同定する方法の段階(1)及び(2)は生体内で行われる。他の実施形態において、Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼの不可逆的なインヒビターを同定する方法の段階(3)は活性プローブを用いて一部分で行われる。
ある実施形態において、Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択される多様なキナーゼとマイケル受容体部分からなる化合物の接触は生体内で行われる。他の実施形態において、少なくとも一つの利用可能なSH基を有する少なくとも一つの非キナーゼ分子とマイケル受容体部分からなる化合物の接触は生体内で行われる。さらなる実施形態において、マイケル受容体部分からなる化合物と多様なキナーゼ及び少なくとも一つの非キナーゼ分子の共有結合の決定は、活性プローブを用いて一部分で行われる。さらなる実施形態において、決定段階は質量分析法を利用する。またさらなる実施形態において、決定段階は蛍光発光を用いる。
タンパク質キナーゼを含む、チロシンキナーゼを含むキナーゼインヒビターの不可逆的なインヒビターを同定するための方法及び分析のさらなる実施形態において、キナーゼのパネルは少なくとも一つの不可逆的なインヒビターと接触する。さらなる実施形態において、キナーゼのパネルはまた活性プローブと接触する。さらなる実施形態において、不可逆的なインヒビターのキナーゼへの結合は、活性プローブのキナーゼへの結合から決定される。さらなる実施形態において、活性プローブのキナーゼへの結合は蛍光発光技術を用いて決定される。さらなる又は別の方法及び分析において、活性プローブはフローサイトメトリーと互換性がある。さらなる実施形態において、不可逆的なインヒビターの一方のキナーゼへの結合は、不可逆的なインヒビターの他方のキナーゼの少なくとも一つへの結合と比較される。前述のいずれかの実施形態において、キナーゼのパネルはBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択される。さらなる又は別の実施形態において、不可逆的なインヒビターのキナーゼへの結合は質量分析法によって決定される。
また本明細書において、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体の活性的なプローブ(まとめて「活性プローブ」)が説明される。さらに、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体の不可逆的なインヒビター、リンカー部分及びレポーター部分を含む活性プローブが説明される。さらに、活性プローブの構造のミカエル追加受容体部分を含む活性プローブが説明される。さらに、Btk、Btk相同体、及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体上のシステイン残基と共有結合を形成する活性プローブが説明される。また本明細書で、Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体上のシステイン残基と非共有結合を形成する活性プローブが説明される。また本明細書で、このような活性プローブを合成する方法、このような活性プローブをBtk、Btk相同体、及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体の研究において利用する方法、このような活性プローブをBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体のインヒビター(新たなインヒビターの発生を含む)の研究において利用する方法、及びこのような活性プローブをBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体の薬力学の研究において利用する方法について説明される。
活性プローブのある実施形態において、リンカー部分は、結合剤、任意に置換されるアルキル部分、任意に置換されるヘテロ環、任意に置換されるアミド部分、ケトン部分、任意に置換されるカルバミン酸部分、エステル部分、又はそれらの組み合わせから選択される。他の活性プローブの実施形態において、リンカー部分は任意に置換されるヘテロ環部分を有する。活性プローブのさらなる実施形態において、任意に置換されるヘテロ環部分はピペラジニル基部分からなる。
また本明細書において活性プローブが説明され、レポーター部分は標識、色素、光架橋剤、細胞毒性化合物、薬剤、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、抗体又は抗体断片、生体材料、ナノ粒子、スピン標識、蛍光色素分子、金属含有部分、放射性部分、新規の官能基、共有的又は非共有的に他の分子と相互作用する基、光ケージド部分、化学線により励起可能な部分、リガンド、光異性化可能な部分、ビオチン、ビオチンの類似体、重原子を組み込んでいる部分、化学的に切断可能な基、光切断可能な基、酸化還元活性化剤、同位体標識されている部分、生物物理学的なプローブ、リン光性の基、化学発光性の基、高電子密度基、磁性基、インターカレート基、発色団、エネルギー伝達剤、生物活性剤、検出可能な標識又はそれらの組み合わせから構成される基から選択される。活性プローブの他の実施形態において、レポーター部分は蛍光色素分子である。また活性プローブの他の実施形態において、蛍光色素分子はBodypi蛍光色素分子である。また活性プローブのさらなる実施形態において、Bodypi蛍光色素分子はBodypiFL蛍光色素分子である。
本明細書において活性プローブが提示され、阻害部分は、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体の不可逆的なインヒビターに由来する。ある実施形態において、活性プローブの不可逆的なインヒビターは以下の通りである。
他の実施形態において、活性プローブは以下の構造を有する。
活性プローブのさらなる実施形態において、プローブはBtk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体のリン酸化された立体構造を選択的に標識する。活性プローブの他の実施形態において、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体のリン酸化された立体構造は、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体の活性又は非活性型のいずれかである。活性プローブのさらなる実施形態において、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体のリン酸化された立体構造は、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体の活性型である。活性プローブのある実施形態において、プローブは細胞透過性である。
ある態様において、哺乳類における潜在的なBtk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体のインヒビターの有効性を評価する方法が説明される。この方法は、哺乳類に潜在的なBtk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体のインヒビターを投与する段階、本明細書に記載される活性プローブを哺乳類又は哺乳類から単離された細胞に投与する段階、活性プローブのレポーター部分の活性を測定する段階、及びレポーター部分の活性を基準物質と比較する段階からなる。
他の態様において、哺乳類におけるBtk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体のインヒビターの薬力学を評価する方法が説明される。この方法は、哺乳類にBtk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体のインヒビターを投与する段階、本明細書に提示される活性プローブを哺乳類又は哺乳類から単離された細胞に投与する段階、及びインヒビターの投与後異なる時点において活性プローブのレポーター部分の活性を測定することからなる。
さらなる態様において、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体の生体内標識の方法が説明される。この方法は、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体を本明細書に記載される活性プローブと接触させる段階からなる。ある実施形態において、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体の生体内標識の方法が説明される。ここで、接触段階は活性Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体を本明細書に示される活性プローブを用いて培養する段階からなる。
他の態様において、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体の生体内標識の方法が説明される。この方法は、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体を発現する細胞又は組織と本明細書に記載の活性プローブを接触させることからなる。
ある態様において、標識されたBtk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体を検出する方法が説明される。この方法は、本明細書に記載の活性プローブによって標識されたBtk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体からなるタンパク質を電気泳動法によって分離する段階、及び蛍光発光により活性プローブを検出する段階からなる。
さらなる実施形態において、キナーゼの不可逆的なインヒビターはさらに活性部位結合部分を有する。またさらなる実施形態において、キナーゼの不可逆的なインヒビターはさらにリンカー部分を有し、このリンカー部分はミカエル受容体部分を活性結合部分につなげる。
ある実施形態において、キナーゼの不可逆的なインヒビターは化式(VII)の構造を有する。
は、チロシンキナーゼ、さらにBtkキナーゼシステイン相同体を含むキナーゼの前記活性部位に結合する部分であり、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン及びアルキレンへテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基で、ZがC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、NCH3C(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、R7及びR8は、H、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4へテロアルキル、置換C1−C4へテロアルキル、非置換C3−C6シクロアルキル、置換C3−C6シクロアルキル、非置換C2−C6へテロシクロアルキル、及び置換C2−C6へテロシクロアルキルから独立して選択され、又は、R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)、及び薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
ある実施形態において、段階(1)、(2)、(3)及び(4)からなるBtk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼの不可逆的な阻害物を同定する方法はさらに、各化合物のリンカー部分の構造及び/又はマイケル受容体部分の構造及び少なくとも一つのキナーゼへの各化合物の結合及び/又は選択性間の構造機能相関を分析する段階を備える。他の実施形態において、段階(1)、(2)、(3)及び(4)からなるBtk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼの不可逆的な阻害物を同定する方法はさらに、各化合物のYからZの構造及び/又は下式の構造及び少なくとも一つのキナーゼへの核化合物の結合及び/又は選択性環の構造機能相関を分析する段階を備える。
また本明細書において、インヒビターのキナーゼ選択性を改善するための方法が説明される。この方法は先に述べた任意の方法の利用を含む。
本明細書に記載のある態様は、先に述べた方法のいずれかを含む分析である。本明細書に記載の他の態様は、先に述べた方法のいずれかを含むシステムである。さらなる態様において、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼの不可逆的なインヒビターが本明細書で説明される。ここで、インヒビターは本明細書に記載の任意の方法を用いて同定される。
本明細書に記載のいくつかの態様において、不可逆的なインヒビターは、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼから選択される少なくとも一つの他方のキナーゼよりも、Btk、Btk相同体及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択されるキナーゼ一方のキナーゼに選択的である。本明細書に記載の他の態様において、不可逆的なインヒビターは、利用可能なSH基を有する少なくとも一つの他方の非キナーゼ分子よりも、Btk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体から選択される一方のキナーゼに選択的である。
特定の実施形態において、本明細書中にもたらされる医薬組成物は、(1)生理的に許容される担体、希釈液、及び/又は賦形剤、及び(2)本明細書にもたらされる1又はそれ以上の化合物を含んでいる。
さらに他の態様において、薬学的に有効な量の化合物を含有する組成物を必要とする患者に投与することによって自己免疫疾患又は自己免疫状態を治療する方法が本明細書にもたらされる。この化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシン相同体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。ある実施形態において、自己免疫疾患は関節リウマチ又はループスから選択される。
さらなる態様において、薬学的に有効な量の化合物を含有する組成物を必要とする患者へ投与することによるB細胞増殖性疾患の治療方法が本明細書で説明される。この化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシン相同体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。ある実施形態において、B細胞増殖性疾患はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫又は慢性リンパ性白血病である。
さらなる態様において、薬学的に有効な量の化合物を含有する組成物を必要とする患者へ投与することによる炎症性疾患又は炎症状態の治療方法が本明細書で説明される。この化合物は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシン相同体のシステイン側鎖と共有結合を形成する。
本明細書において、本明細書に記載の任意のキナーゼインヒビターの化合物を用いた治療の前又は治療中に、患者の選定のための又は患者の観察のためのバイオマーカを同定する方法が説明される。ある実施形態において、リンパ腫を患う患者に、B細胞受容体(BCR)シグナル伝達を阻害する本明細書に記載の任意のキナーゼインヒビターの化合物の医薬組成物が投与される。他の実施形態において、本明細書に記載の任意のキナーゼインヒビターの化合物によるBCRシグナル伝達の阻害は、アポトーシスの誘導と相関する。他の実施形態において、リンパ腫を患う患者は、本明細書に記載の任意のキナーゼインヒビターの化合物の医薬組成物を用いた治療のため、バイオマーカに基づいて選定される。このバイオマーカはその患者内のリンパ腫が、高レベルのpErk又はErkの転写標的を有することを示す。他の実施形態において、本明細書に記載の任意のキナーゼインヒビターの化合物の医薬組成物を用いた治療への反応は、pErk又はErkの転写標的のレベルにおける低下により測定される。
本明細書に記載の方法及び組成物の他の目的、特性及び利点は以下に続く詳細な説明から明らかなものとなる。しかし、詳細な説明及び特定の例は特定の実施形態を示す一方で、例示目的にのみ用いられる。本明細書に用いられる項目の表題は構成目的だけのものであって、説明される主題を制限するものとして解釈されるべきでない。
<特定の用語>
前述の概要及び以下の詳細な説明は例示的且つ説明的なものであるのみで、請求される任意の主題を制限するものではない。本出願において、特に別に明記しない限り、単数形の使用は複数形を含む。注意すべきことは、文脈がはっきりと指示しない限り、明細書及び付随する請求項にて用いられる通り、単数形の「a」、「an」、及び「the」は複数の指示対象を含む。本出願において、特に明記しない限り「or(又は)」の使用は「and/or(及び/又は)」を意味する。さらに、他の形と同様「including(〜を含む)」(include、includes、及びincluded等)という用語の使用は制限的なものでない。
標準化学用語の定義は、Carey及びSundbergの「ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th ED, Vols. A (2000) and B (2001)」(Plenum Press, New York)を含む参考文献に見られる。他が指示されない限り、質量分析法、核磁気共鳴分析法、高速液体クロマトグラフィー、タンパク質化学、生物化学、遺伝子組み換え技術、薬理学が当業者によって用いられる。特定の定義がもたらされない限り、本明細書に記載の分析化学、有機合成化学、医科学及び薬化学に関連して用いられる命名法及びその検査手段及び技術は当該技術分野において周知である。標準的技術は、化学的合成、化学分析、医薬品処方、製剤、運搬、及び患者の治療に任意に利用される。標準的技術は遺伝子組換え、オリゴヌクレオチド合成、及び組織培養及び組織変成(例:エレクトロポレーション、リポフェクション)に任意に利用される。反応及び精製技術は文書化された手順又は本明細書に記載の通り実行される。
本明細書に記載の方法及び組成物は、本明細書に記載の特定の手順、手続き、細胞株、構成物、及び試薬に限定されず、任意で変化する。また、本明細書に利用される用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、本明細書に記載の方法の範囲を制限することを意図したものではない。本明細書に記載の方法の範囲は、付随する請求項によってのみ制限される。
特に明記されない限り、錯体部分(例:部分の複数の鎖)に用いられる用語は、左から右或いは右から左のどちらかで同等に読まれる。例えば、アルキレンシクロアルキレンの基はアルキレン基に続いてシクロアルキレン基、又はシクロアルキレン基に続いてアルキレン基を意味する。
基に付けられる「ene」という接尾語は、このような基がジラジカルであることを示す。例示の目的においてのみ、メチレンはメチル基のジラジカル、すなわち、−CH2−基である。また、エチレンはエチル基のジラジカル、すなわち−CH2CH2−である。
「アルキル」基は脂肪性の炭化水素基である。アルキル部分は「飽和アルキル」基を含み、これはアルキル部分が少なくとも一つのアルケン又はアルキン部分を含有しないことを意味する。アルキル部分はまた「不飽和アルキル」部分を含み、これは少なくとも一つのアルケン又はアルキン部分を含有することを意味する。「アルケン」部分は少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する基を意味し、また、「アルキン」部分は少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有する基を意味する。アルキル部分は、飽和又は不飽和であっても、分岐鎖、直鎖、又は周期性の部分を含む。構造に依存して、アルキル基はモノラジカル又はジラジカル(例:アルキレン基)を含み、また「低級アルキル」の場合1から6の炭素原子を有する。
本明細書において使用される通り、C1−CxはC1−C2、C1−C3・・・C1−Cxを含む。
「アルキル」部分は1から10の炭素原子を任意で有する(本明細書にこれが登場する場合はいつも、「1から10」のような数値域は一定の範囲において各整数を意味する。例えば「1から10の炭素原子」は、アルキル基が1の炭素原子、2の炭素原子、3の炭素原子等、10の炭素原子まで及びそれを含む部分から選択される。しかし、本定義はまた、数値域が指定されない「アルキル」の用語の発生にも及ぶ)。本明細書に記載の化合物のアルキル基は、「C1−C4アルキル」又は同様に指定されることが可能である。例示の目的においてのみ、「C1−C4アルキル」はアルキル鎖の中に1から4の炭素原子が存在することを示す。すなわち、アルキル鎖はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びt−ブチルから選択される。このように、C1−C4アルキルはC1−C2アルキル及びC1−C3アルキルを含む。アルキル基は任意で置換又は非置換である。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含むが、これらに限定されない。
「アルケニル」という用語は、アルキル基の第1の2つの原子が芳香族基の一部でない二重結合を形成するアルキル基の種類を意味する。つまり、アルケニル基は原子で始まる、すなわちC(R)=C(R)−Rであって、ここでRはアルキル基の残りの部分を意味する。この部分は同一又は非同一である。アルケニル部分は任意で、分岐鎖、直鎖、又は周期性である(この場合、「シクロアルケニル」基としても知られる)。構造に依存して、アルケニル基はモノラジカル又はジラジカル(例:アルケニレン基)を含む。アルケニル基は任意で置換される。アルケニル基の非制限的な例は、−CH=CH2、−C(CH3)=CH2、−CH=CHCH3、−C(CH3)=CHCH3を含む。アルケニレン基は−CH=CH−、−C(CH3)=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=CHCH2CH2−及び−C(CH3)=CHCH2−を含むが、これらに制限されない。アルケニル基は2から10の炭素を任意で有し、「低級アルケニル」の場合2から6の炭素原子を有する。
「アルキニル」という用語はアルキル基の第1の2つの原子が三重結合を形成するアルキル基の種類を意味する。つまり、アルキニル基は−C≡C−Rの原子で始まり、ここでRはアルキル基の残りの部分を意味する。この部分は同一又は非同一である。アルキニル部分の「R」部分は分岐鎖、直鎖、又は周期性であることができる。構造に依存して、アルケニル基はモノラジカル又はジラジカル(例:アルキニレン基)を含む。アルケニル基は任意で置換される。アルキニル基の非制限的な例は、−C≡CH、−C≡CCH3、−C≡CCH2CH3、−C≡C−及び−C≡CCH2−である。アルキニル基は2から10の炭素を任意で有し、「低級アルキニル」の場合2から6の炭素原子を有する。
「アルコキシ」基は(アルキル)O−基を意味し、アルキルは本明細書で定義される通りである。
「ヒドロキシアルキル」は本明細書に定義されるアルキルラジカルを意味し、少なくとも一つのヒドロキシ基と置換されている。ヒドロキシアルキルの非制限的な例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル、2-ヒドロキシブチル、3-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシブチル、3,4-ジヒドロキシブチル、及び2-(ヒドロキシメチル)-3-ヒドロキシプロピルを含むがこれらに限定されない。
「アルコキシアルキル」は本明細書に定義されるアルキルラジカルを意味し、本明細書に記載されるアルコキシ基と置換されている。
「アルキルアミン」という用語は−N(アルキル)xHy基を意味し、ここでx及びyはx=1、y=1及びx=2、y=0から選択される。x=2の場合、アルキル基はそれらが接着するN原子と共に環式環系を任意で形成することができる。
「アルキルアミノアルキル」は本明細書に定義されるアルキルラジカルを意味し、本明細書に定義されるアルキルアミンと置換されている。
「ヒドロキシアルキルアミノアルキル」は本明細書に定義されるアルキルラジカルを意味し、本明細書に定義されるアルキルアミン及びアルキルヒドロキシで置換されている。
「アルコキシアルキルアミノアルキル」はアルキルラジカルを意味し、本明細書に定義されるアルキルアミン及び本明細書に定義されるアルキルアルコキシと置換されている。
「アミド」は化式−C(O)NHR又は−NHC(O)Rを有する化学部分であって、ここでRはアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)及びヘテロ脂環式(環炭素を介して結合している)から選択される。いくつかの実施形態において、アミド部分は、アミノ酸又はペプチドモジュール及び本明細書に記載の化合物との間で結合を形成し、これによりプロドラッグを形成する。本明細書に記載の化合物上の任意のアミン又はカルボキシル側鎖はアミド化される。このようなアミドを作る手順及び特定の基は、Greene及びWutsの「Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed.」(John Wiley & Sons, New York, NY, 1999)の出典において見られ、その内容を参照することにより本発明に組み込むこととする。
「エステル」は化式−COORを有する化学部分であって、ここでRはアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)及びヘテロ脂環式(環炭素を介して結合している)から選択される。本明細書に記載の化合物上の任意のヒドロキシ又はカルボキシル側鎖はエステル化される。このようなアミドを作る手順及び特定の基は、Greene及びWutsの「Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed.」(John Wiley & Sons, New York, NY, 1999)の出典において見られ、その内容を参照することにより本発明に組み込むこととする。
本明細書に用いられる通り、「環」という用語は任意の共有結合閉鎖構造を意味する。環は例えば、炭素環(アリール及びシクロアルキル)、ヘテロ環(ヘテロアリール及び非芳香族へテロ環)、芳香族(例:アリール及びヘテロアリール)、及び非芳香族(例:シクロアルキル及び非芳香族へテロ環)を含む。環は任意で置換されることができる。環は単環式又は多環式であることができる。
本明細書に用いられる通り、「環系」という用語は1又はそれ以上の環を意味する。
「員環」という用語は任意の環状構造を包含する。「員」という用語は、環を構成する骨格原子の数を表すことを意図している。したがって、例えばシクロヘキシル、ピリジン、ピラン及びチオピランは6員環であって、シクロペンチル、ピロール、フラン及びチオフェンは5員環である。
「縮合」という用語は、2又はそれ以上の環が1以上の結合を共有する構造を意味する。
「炭素環式」又は「炭素環」という用語は環を意味し、この環を形成する各原子は炭素原子である。炭素環はアリール及びシクロアルキルを含む。したがって、用語は炭素環をヘテロ環(「ヘテロ環式」)と区別する。このヘテロ環において、環骨格は少なくとも一つの炭素とは異なる原子例:ヘテロ原子)を含む。ヘテロ環はヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルを含む。炭素環及びヘテロ環は任意で置換されることができる。
「芳香族」という用語は平面環を意味し、4n+2πの電子(nは整数)を含む非局在化されたπ電子系を有している。芳香族環は5、6、7、8、9又は9以上の原子から形成されることができる。芳香族基は任意で置換されることができる。「芳香族」という用語は炭素環式アリール(例:フェニル)及びヘテロ環式アリール(或いは「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」)基(例:ピリジン)を含む。この用語は単環又は縮合環の多環(例:炭素原子の隣接ペアを共有する環)基を含む。
本明細書に用いられる通り、「アリール」という用語は芳香族環を意味し、環を形成する各原子は炭素原子である。アリール環は5、6、7、8、9又は9以上の炭素原子から形成されることができる。アリール基は任意で置換されることができる。アリール基の例は、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセニル、フルオレニル及びインデニルを含むが、これらに限定されない。構造に依存して、アリール基はモノラジカル又はジラジカルであることができる(例:アリーレン基)。
「アリールオキシ」基は(アリール)O−基を意味し、アリールは本明細書に記載の通りである。
「カルボニル」という用語は−C(O)−、−S(O)−、−S(O)2−、及び−C(S)−から構成される基から選択される部分を含む基を意味し、少なくとも一つのケトン基、及び/又は少なくとも一つのアルデヒド基、及び/又は少なくとも一つのエステル基、及び/又は少なくとも一つのカルボン酸基、及び/又は少なくとも一つのチオエステル基を含む基を含むがこれらに限定されない。このようなカルボニル基はケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル及びチオエステルを含む。いくつかの実施形態において、このような基は線形の、分岐又は環状分子の一部である。
「シクロアルキル」という用語は単環又は多環式のラジカルを意味し、炭素及び水素のみを含有すると共に、任意に飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和である。シクロアルキル基は、3から10環原子を有する基を含む。シクロアルキル基の説明例は以下の部分等を含む。
構造に依存して、シクロアルキル基はモノラジアル又はジラジアルのどちらかであり(例:シクロアルキレン基)、「低級シクロアルキル」の場合、3から8の炭素分子を有する。
「シクロアルキルアルキル」は本明細書に定義されるアルキルラジカルを意味し、シクロアルキル基で置換されている。非制限的なシクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル等を含む。
「ヘテロ環」は、夫々がO、S及びNから選択される1から4のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環及びヘテロ脂環式基を意味する。ここで、各ヘテロ環基はその環系内で4から10の原子を有しており、前記基の環は二つの隣接するO又はSの原子を含まないという条件がついている。本明細書において、ヘテロ環の炭素原子の数が示される場合は必ず(C1−C6へテロ環)、少なくとも一つの他の原子(ヘテロ原子)は環内に存在しなければならない。「C1−C6へテロ環」等の命名は環内の炭素原子の数のみを意味し、環内の原子の総数を意味しない。ヘテロ環は環内に追加的にヘテロ原子を有することができる。「4から6員のヘテロ環」等の命名は環に含まれる原子の総数を意味する(例えば4,5又は6員の環は、少なくとも一つの原子が炭素原子であって、少なくとも一つの原子はヘテロ原子であり残りの2から4の原子は炭素原子又はヘテロ原子のいずれかである)。2又はそれ以上のヘテロ原子を有するヘテロ環において、これらの2又はそれ以上のヘテロ原子は互いに同一であることもできるし、異なることもできる。ヘテロ環は任意で置換される。ヘテロ環への結合はヘテロ原子において、或いは炭素原子を介して可能である。非芳香族へテロ環基は環系に4つの原子のみを有する基を含むが、芳香族へテロ環基は環系に少なくとも5つの原子を有さなければならない。ヘテロ環基はベンゾ縮合環系を含む。4員へテロ環基の例はアゼチジニル(アゼチジン由来)である。5員へテロ環基の例はチアゾリルである。6員へテロ環基の例はピリジルであり、また、10員へテロ環基の例はキノリニルである。非芳香族へテロ環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H-インドリル及びキノリジニルである。芳香族へテロ環基の例は、ピリジニル、イミダゾール、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾルイル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテルジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、フロピリジニルである。上に挙げた基に由来する前述の基は、可能な場合は任意でCが付着又はNが付着している。例えば、ピロールに由来する基は、ピロール-1-イル(N-付着)又はピロール-3-イル(C-付着)を含む。さらに、イミダゾールに由来する基は、イミダゾール-1-イル又はイミダゾール-3-イル(両方共N-付着)又はイミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル又はイミダゾール-5-イル(全てC-付着)を含む。ヘテロ環基はベンゾ縮合環系、及びピロリジン-2-オン等の1又は2つのオキソ(=O)で置換される環系を含む。構造に依存して、ヘテロ環基はモノラジカル又はジラジカル(例:ヘテロシクレン基)であることができる。
「ヘテロアリール」、或いは「ヘテロ芳香族」は1又はそれ以上の環ヘテロ原子を含む芳香族基を意味する。この環ヘテロ原子は、窒素、酸素及び硫黄から選択される。N-含有「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」部分は、少なくとも一つの環の骨格原子が窒素原子である芳香族基を意味する。ヘテロアリールの例は以下の部分等を含む。
構造に依存して、ヘテロアリール基はモノラジカル又はジラジカル(例:ヘテロアリーレン基)であることができる。
本明細書で用いられる通り、「非芳香族へテロ環」、「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロ脂環」は非芳香族環を意味し、環を形成する1又はそれ以上の原子はヘテロ原子である。「非芳香族へテロ環」又は「ヘテロシクロアルキル」基はシクロアルキル基を意味し、このシクロアルキル基は窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態において、ラジカルはアリール又はヘテロアリールで縮合される。ヘテロシクロアルキル環は3,4,5,6,7,8,9又は9以上の原子によって形成されることができる。ヘテロシクロアルキルは任意で置換されることができる。特定の実施形態において、非芳香族へテロ環は、例えばオキソ及びチオ含有基等の1以上のカルボニル又はチオカルボニル基を有する。ヘテロシクロアルキルの例は、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、環状カルバマート、テトラヒドロチオピラン、4H-ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,3-ダイオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ダイオキシン、1,4-ジオキサン、ピペラジン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、サクシニミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘクサヒドロ-1,3,5-トリアジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリドン、1,3-ジオキソール、1,3-ジオキソラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、イソキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン及び1,3-オキサチオランを含むが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキル基の例はまた、非芳香族へテロ環を意味し、以下のもの及び同等物を含む。
ヘテロ脂環という用語はまた、炭水化物の全ての環形状を含む。この炭水化物は単糖類、二糖類及び少糖類を含むがこれらに限定されない。構造に依存して、ヘテロシクロアルキル基はモノラジカル又はジラジカル(例:ヘテロシクロアルキレン基)であることができる。
「ハロ」という用語、或いは「ハロゲン」又は「ハライド」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
「ハロアルキル」という用語はアルキル構造を意味し、このアルキル構造において、少なくとも一つの水素がハロゲン原子と置換されている。このハロゲン原子は互いにまったく同一である。2又はそれ以上の窒素原子がハロゲン原子と置換されている他の実施形態において、ハロゲン原子は互いにまったく同一ではない。
本明細書で用いられる「フルオロアルキル」という用語はアルキル基を意味し、このアルキル基において、少なくとも一つの水素がフッ素原子と置換される。フルオロアルキルの例は−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CH2CH2CF3等を含むが、これらに限定されない。
本明細書に用いられる通り、「ヘテロアルキル」という用語は任意で置換されるアルキルラジカルを意味し、このアルキルラジカルにおいて、1又はそれ以上の骨格鎖原子はヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン又はそれらの組み合わせである。ヘテロ原子はヘテロアルキル基の任意の内側位置に配されてもよく、或いはヘテロアルキル基が分子の残部に付着する場所に配されてもよい。この例として、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、及び−CH=CH−N(CH3)−CH3が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、いくつかの実施形態において、2までのヘテロ原子は連続的なものであって、例えば−CH2−NH−OCH3及び−CH2−O−Si(CH3)3である。
「ヘテロ原子」という用語は炭素又は水素以外の原子を意味する。ヘテロ原子は典型的に、酸素、硫黄、窒素、ケイ素及びリンから独立して選択されるが、これらの原子に制限されない。2又はそれ以上のヘテロ原子が存在する実施形態において、2又はそれ以上のヘテロ原子は互いにまったく同一であることができ、或いは2又はそれ以上のヘテロ原子のいくつか又は全ては互いに異なることができる。
「結合」又は「一重結合」という用語は2つの原子間の化学的結合を意味する。或いは、結合によって連結した原子がより大きい下部構造の一部であると見なされる場合は2つの部分間の化学結合を意味する。
「部分」という用語は分子の特定の断片又は官能基を意味する。化学部分はしばしば、分子に埋め込まれた又は付加された化学物質として知られている。
「チオアルコキシ」又は「アルキルチオ」基は−S−アルキル基を意味する。
「SH」基はまたチオール基又はスルフヒドリル基のいずれかを意味する。
「任意に置換された」又は「置換された」という用語は、基準となる基が1又はそれ以上の追加される基で個別に又は独立して置換されることを意味する。この追加される基は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、シアノ、ハロ、アクリル、ニトロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、アミノ(モノアミノ及び二置換アミノ基を含む)、及びそれらの保護された誘導体から選択される。例として、任意の置換基はLsRsであることができ、ここで各Lsは−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、S(=O)2NH−、−NHS(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−(置換又は非置換C1−C6アルキル)又は−(置換又は非置換C2−C6アルケニル)の結合から独立して選択される。各RsはH、(置換又は非置換C1−C4アルキル)、(置換又は非置換C3−C6シクロアルキル)、ヘテロアリール又はヘテロアルキルから独立して選択される。上記の置換基の保護誘導体を形成する保護基は、上記のGreene及びWutsの文献等の出典に見られるものを含む。
「マイケル受容体部分」という用語はミカエル反応に関与可能な官能基を意味する。ここで、新規の共有結合がマイケル受容体部分及びドナー部分の一部の間に形成される。マイケル受容体部分は求電子基であり、「ドナー部分」は求核基である。任意の化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)に表される「G」基は、マイケル受容体部分の非制限的な例である。
「求核基」又は「求核性」という用語は電子豊富化合物又はその部分を意味する。求核基の例は、例えばBtkのCys481等の分子のシステイン残基を含むが、当然これに限定されない。
「求電子基」又は「求電子性」という用語は電子不足又は電子欠乏分子、又はその部分を意味する。求電子基の例はマイケル受容体部分を含むが、当然これに限定されない。
製剤、組成物又は部分に関連して本明細書で用いられる「許容される」又は「薬学的に許容される」という用語は、治療中の患者の全体的な健康への持続的で有害な影響がないということ、或いは化合物の生物学的活性又は生物学的特性を阻害せず、比較的無毒であることを意味する。
本明細書で用いられる通り、「アゴニスト」という用語は、その存在によりタンパク質の生物学的活性が結果としてもたらされる化合物を意味する。この生物学的活性は、自然発生する例えばBtk等のタンパク質のリガンドの存在によって結果としてもたらされる生物学的活性と同一の種類のものである。
本明細書で用いられる通り、「部分的にアゴニスト」という用語はその存在によりタンパク質の生物学的活性が結果としてもたらされる化合物を意味する。この生物学的活性は、自然発生するタンパク質のリガンドの存在によって結果としてもたらされるものと同一の種類であるが、規模はより小さい。
本明細書で用いられる通り、「アンタゴニスト」という用語は、その存在によりタンパク質の生物学的活性の規模が結果として減少する化合物を意味する。特定の実施形態において、アンタゴニストの存在により、例えばBtk等のタンパク質の生物学的活性が結果として完全に阻害される。特定の実施形態において、アンタゴニストはインヒビターである。
本明細書で用いられる通り、特定の化合物又は医薬組成物の投与による特定の疾患、障害又は状態の症状の「回復」は、重症度の低下、発症の遅延、進行の緩徐化、又は持続時間の短縮のいずれかを意味する。これは永久的又は一時的、又は化合物又は組成物の投与に起因又は関連することが可能な永続的又は一過性のものである。
「生物学的利用能」は、本明細書に開示される化合物の重量の比率を意味する。この投薬される化合物は、例えば任意の化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)の化合物であって、研究中の動物又はヒトの全身循環内に送られる。静脈内投与された場合の薬剤の曝露全て(AUC(0−∞))は、通常100%生物利用可能(F%)であると定義される。「経口的な生物学的利用能」は、本明細書に開示される例えば任意の化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)等の化合物が、医薬組成物が経口で摂取された場合、静脈内投与と比較してどの程度全身循環内に吸収されるかを意味する。
本明細書で用いられる「生物物理プローブ」という用語は、生物系において、又は他の生分子の存在下で(例:生体外、生体内又は体外で)、分子(生分子を含む)の構造的変化を検出或いは監視するプローブを意味する。いくつかの実施形態において、このような分子はタンパク質を含むがこれに限定されない。また「生物物理プローブ」はタンパク質と他の高分子の相互関係を検出又は監視するのに利用される。他の実施形態において、生物物理プローブはスピン標識、蛍光色素分子及び光活性可能な基を含むがこれらに限定されない。
「血漿濃度」は、患者の血液の血漿部分中の本明細書に開示される化合物の濃度であって、この化合物は任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)である。化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の化合物の血漿濃度は対象間で有意に変化する。この変化は代謝及び/又は他の治療薬との予想される相互関係に関する変動性に起因する。本明細書に開示されるある実施形態に関連して、任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の化合物の血漿濃度は対象によって変化する。同様に、最大血漿濃度(Cmax)、又は最大血漿濃度への到達時間(Tmax)、又は血漿濃度時間曲線下の総領域(AUC(0−∞))等の値は、対象によって変化する。この変化に起因して、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の任意の化合物の「治療上有効量」を構成するために必要な量が対象によって変化することが予期される。
本明細書で用いられる「ブルトンチロシンキナーゼ」という用語は、人類のブルトンチロシンキナーゼを意味し、これは例えば米国特許第6,326,469号(GenBank Accession No. NP_000052)に開示されている。
本明細書で用いられる「ブルトンチロシンキナーゼ相同体」という用語は、ブルトンチロシンキナーゼの相同分子種を意味し、例えばマウス(GenBank Accession No. AAB47246)、イヌ(GenBank Accession No. XP_549139)、ラット(GenBank Accession No. NP_001007799)、ニワトリ(GenBank Accession No. NP_989564)、又はゼブラフィッシュ(GenBank Accession No. XP_698117)の相同分子種、及びブルトンチロシンキナーゼの1以上の基質(アミノ酸配列「AVLESEEELYSSARQ」を有するペプチド基質)に対してキナーゼ活性を示す任意の前述の縮合タンパク質である。
本明細書で用いられる「化学発光基」という用語は、熱を加えずに、化学反応の結果として発光する基を意味する。例として、ルミノール(5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン)は、塩基及び金属触媒の存在下で過酸化水素(H2O2)のような酸化剤と反応して、励起状態の生成物(3−アミノフタレート、3−APA)を生成する。
本明細書で用いられる「発色団」という用語は、可視波長、UV波長又はIR波長の光を吸収する分子を意味する。
本明細書で用いられる「同時投与」等の用語は、選択された治療剤の一人の患者への投与を含むこと、及び治療計画を含むことが意図されている。この治療計画において、治療剤は同じ又は異なる経路で同時又は異なる時間に投与される。
他の実施形態において、本明細書で用いられる「検出可能標識」という用語は分析技術によって観察可能である標識を意味する。この分析技術は、蛍光、化学発光、電子スピン共鳴、紫外/可視吸光度分光法(absorbancespectroscopy)、質量分析法、核磁気共鳴、磁気共鳴及び電気化学的方法を含むが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる「色素」という用語は、発色団を含む可溶な着色物質を指す。
本明細書で用いられる「有効量」という用語は、治療する疾患又は症状の症候の1つ以上をある程度軽減する、投与薬剤又は化合物の十分な量を指す。その結果、疾患の徴候、症候若しくは原因が軽減及び/又は緩和され、又は生物系の任意の他の所望の変化が起こり得る。例として、治療に用いる「有効量」は本明細書に開示される化合物を含む組成物の量であって、これは、過度の有害な副作用がなく疾患の症状に臨床的に有意な減少をもたらすことが要求される。任意の個別のケースにおける適切な「有効量」は、例えば投与量増加研究等の技術を用いて選択的に決定される。「治療的に有効な量」という用語は例えば、予防的な有効量を含む。本明細書に開示される化合物の「有効量」は、過度の有害な副作用がなく、所望の薬理作用又は治療的改善を達成するのに有効な量である。「有効量」又は「治療的に有効な量」は対象によって変化することができ、これは、任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の化合物の代謝、年齢、体重、対象の全身症状、治療中の状態、治療中の状態の重症度、及び医師の判断における変化に起因する。
本明細書で用いられる「高電子密度基」という用語は、電子ビームを照射すると電子を散乱する基を意味する。このような基としては、モリブデン酸アンモニウム、次硝酸ビスマスヨウ化カドミウム、99%、カルボヒドラジド、三塩化鉄六水和物、ヘキサメチレンテトラミン、98.5%、無水三塩化インジウム、硝酸ランタン、酢酸鉛三水和物、クエン酸鉛三水和物、硝酸鉛、過ヨウ素酸、ホスホモリブデン酸、ホスホタングステン酸、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、ルテニウムレッド、硝酸銀、銀タンパク化合物(Ag含有率:8.0−8.5%)「強」、銀テトラフェニルポルフィン(S−TPPS)、塩化金酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、硝酸タリウム、チオセミカルバジド(TSC)、酢酸ウラニル、硝酸ウラニル、及び硫酸バナジルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施形態において、本明細書で用いられる「エネルギー伝達剤」という用語は、別の分子にエネルギーを供与することができる、又は別の分子からエネルギーを受容することができる分子を意味する。例として、蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)は双極子−双極子カップリングプロセスであって、これにより、蛍光ドナー分子の励起状態エネルギーが、基底状態の受容体分子に無放射で移動し、次いで、供与されたエネルギーがより長波長において蛍光発光される。
「増強」又は「増強すること」という用語は、効力又は期間のいずれかにおいて所望の効果を増加又は延長することを意味する。例として、治療剤の効果を「増強すること」とは、疾患、障害又は症状の処置中に対する治療薬の効果を、効力又は期間のいずれかにおいて増加又は延長させる能力を意味する。本明細書で用いられる「増強有効量」とは、疾患、障害又は状態の治療において治療剤の効果を増強するのに十分な量を意味する。患者に使用するときに、この使用に有効な量は、疾患、障害又は状態の重症度及び経過、前治療、患者の健康状態及び薬物応答性並びに処置を行う医師の判断に依存する。
本明細書で用いられる「フルオロフォア」という用語は、励起されると光子を放出し、それによって蛍光を発する分子を意味する。
本明細書で用いられる「相同性システイン」という用語は、本明細書に定義されるブルトンチロシンキナーゼのシステイン481の配列位置に相同的な配列位置内に見られるシステイン残基を意味する。例えば、システイン482はブルトンチロシンキナーゼのラット相同分子種の相同的なシステインである。システイン479はチキン相同分子種の相同的なシステインである。システイン481はゼブラフィッシュ相同分子種の相同的なシステインである。他の例において、TXKの相同的なシステインでブルトンチロシンに関連するTecキナーゼファミリーメンバーはCys350である。相同的なシステインを有するキナーゼの他の例は図7に示される。また、チロシンキナーゼ(TK)の配列アラインメントはインターネット上に公開されるkinase.com/human/kinome/phylogeny.html.から参照のこと。
本明細書で用いられる「同一の」という用語は、同一である2又はそれ以上の配列又は部分配列を指す。また、本明細書において用いられる「実質的に同一」という用語は、比較アルゴリズムを用いて測定して、又は手操作による配列及び目視検査によって測定して、比較窓又は指定領域上で比較し最大一致で整列したときに、同一の配列単位の割合を有する2又はそれ以上の配列を意味する。例として、2又はそれ以上の配列は、指定領域上の配列単位が約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一又は約95%同一である場合に「実質的に同一」である。このような割合は2つ以上の配列の「同一割合」を説明する。配列の同一性は、長さが少なくとも約75−100配列単位である領域上で、長さが約50配列単位である領域上で、又は指定しない場合には、配列全体にわたって存在することができる。この定義はまた、試験配列の相補体も表す。例として、2またはそれ以上のポリペプチド配列は、アミノ酸残基が同じであるときには、同一である。一方、2又はそれ以上のポリペプチド配列は、アミノ酸残基が指定領域上で約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一又は約95%同一である場合には、「実質的に同一」である。同一性は、少なくとも約75−100アミノ酸長である領域上で、約50アミノ酸長である領域上で、又は指定しない場合には、ポリペプチド配列全体にわたって存在することができる。また、例として、2又はそれ以上のポリヌクレオチド配列は、核酸残基が同じであるときには、同一である。一方、2又はそれ以上のポリヌクレオチド配列は、核酸残基が指定領域上で約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一又は約95%同一である場合には「実質的に同一」である。同一性は、少なくとも約75−100個の核酸長である領域上で、約50個の核酸長である領域上で、又は指定しない場合には、ポリヌクレオチド配列全体にわたって存在することができる。
本明細書で用いられるキナーゼを「阻害する」、「阻害すること」、又はキナーゼの「インヒビター」という用語は、酵素的なホスホトランスフェラーゼ活性の阻害を意味する。
本明細書で用いられる「不可逆的なインヒビター」は、標的タンパク質(例:キナーゼ)と接触することによりタンパク質と又はタンパク質なしで新たに共有結合の形成を引き起こす化合物を意味する。これにより、1又はそれ以上の標的タンパク質の生物活性(例:ホスホトランスフェラーゼ活性)が、続いて起こる不可逆的なインヒビターの存在又は欠如にも関わらず、減少又は消滅する。
本明細書で用いられる「不可逆的なBtkインヒビター」という用語は、Btkインヒビターのアミノ酸残基と共有結合を形成することができるBtkのインヒビターを意味する。ある実施形態において、Btkの不可逆的なインヒビターはBtkのCys残基と共有結合を形成することが可能である。特定の実施形態においては図7で示される通り、不可逆的なインヒビターは、他のチロシンキナーゼの相同的に対応する位置において、BtkのCys481残基(又はその相同体)またはシステイン残基と共有結合を形成することが可能である。
本明細書で用いられる「単離された」という用語は、目的の部分を目的でない部分の少なくともいくつかから分離及び除去することを意味する。単離された物質は乾燥状態又は半乾燥状態のどちらかであることができ、或いは水溶液に限定されないがこれを含む溶液中にあることもできる。単離された部分は相同的な状態であることができ、或いは単離された部分は医薬組成物の一部であることができる。この医薬組成物はさらに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む。例として、核酸又はタンパク質は、このような核酸又はタンパク質が自然状態で関連する少なくともいくつかの細胞部分を有さない場合「単離されている」か、或いは核酸又はタンパク質は生体内の又は体外の濃度以上のレベルにまで濃縮されている。また例として、遺伝子が単離されるのは、遺伝子に隣接すると共に目的の遺伝子以外のタンパク質をエンコードする翻訳領域から分離されている場合である。
本明細書で用いられるいくつかの実施形態において、「標識」という用語は、部分内に取り込まれると共に容易に検出される物質を意味し、これによりその物的流通は検出及び/又は監視される。
本明細書に用いられる「結合(linkage)」という用語は、リンカーの官能基及び他の分子との化学反応から形成される結合又は化学部分を指す。いくつかの実施形態において、このような結合は共有結合及び非共有結合を含むが、これらに限定されない。一方で、このような化学部分は、エステル、カルボナート、イミン、リン酸エステル、ヒドラゾン、アセタール、オルトエステル、ペプチド結合及びオリゴヌクレオチド結合が挙げられるが、これらだけに限定されない。加水分解的に安定な結合とは、結合が水中で実質的に安定であると共に、生理条件下に限定されないがこれを含めて、有用pH値で水と長期間、おそらくは無期限でも反応しないことを意味する。加水分解的に不安定な結合又は加水分解性結合とは、結合が例えば血液を含めて、水中又は水溶液中で分解性であることを意味する。他の実施形態において、酵素的に不安定な結合又は酵素分解性結合とは、結合が1又はそれ以上の酵素によって分解されることを意味する。例として、PEG及び関連するポリマーは、ポリマー骨格中、又はポリマー骨格とポリマー分子の1又はそれ以上の末端官能基の間のリンカー基中に、分解性結合を有する。このような分解性結合としては、PEGカルボン酸又は活性PEGカルボン酸と生物活性剤上のアルコール基との反応によって形成されるエステル結合が挙げられるが、これに限定されない。このようなエステル基は、一般に生理条件下で加水分解して生物活性剤を放出する。他の加水分解性結合は、カルボナート結合、アミンとアルデヒドの反応から得られるイミン結合、アルコールとリン酸基の反応によって形成されるリン酸エステル結合、ヒドラジドとアルデヒドの反応生成物であるヒドラゾン結合、アルデヒドとアルコールの反応生成物であるアセタール結合、ホルマートとアルコールの反応生成物であるオルトエステル結合、PEGなどのポリマーの一端にあるアミン基を含めるがこれに限定されないアミン基とペプチドのカルボキシル基とによって形成されるペプチド結合、及びポリマーの端部にあるホスホアミダイト基を含めるがこれに限定されないホスホアミダイト基とオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基とによって形成されるオリゴヌクレオチド結合が挙げられるが、これらに限定されない。
「レポーター部分の活性の測定」(又は同様の言い回し表現)という表現は、レポーター部分を研究中のシステム内で定量化する(絶対的、近似的又は相対的な用語において)方法を意味する。いくつかの実施形態において、このような方法は、色素、光架橋剤、細胞毒性化合物、薬剤、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、抗体又は抗体断片、生体材料、ナノ粒子、スピン標識、蛍光色素分子、金属含有部分、放射性部分、新規の官能基、共有的又は非共有的に他の分子と相互作用する基、光ケージド部分、化学線により励起可能な部分、リガンド、光異性化可能な部分、ビオチン、ビオチンの類似体、重原子を組み込んでいる部分、化学的に切断可能な基、光切断可能な基、伸長した側鎖、酸化還元活性化剤、同位体標識されている部分、生物物理学的なプローブ、リン光性の基、化学発光性の基、高電子密度基、磁性基、インターカレート基、発色団、エネルギー伝達剤、生物活性剤、検出可能な標識、又は上記の任意の組み合わせであるレポーター部分を定量化する任意の方法を含む。
本明細書に開示される化合物の「代謝物」は、化合物が代謝される時に形成される化合物の誘導体である。「活性代謝物」という用語は、化合物が代謝される時に形成される化合物の誘導体である。本明細書で用いられる「代謝された」という用語は、特定の物質が生体によって変化を受けるプロセス(加水分解反応及び酸化反応等の酵素によって触媒される反応を含むがこれらに限定されない)の総体を指す。これにより、酵素は化合物に対し特定の構造変化をもたらす。例えば、サイトクロムP450は様々な酸化的及び還元的な反応を触媒する一方、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは活性化されたグルクロン酸分子を芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン及び遊離スルフヒドリル基への移動を触媒する。代謝のさらなる情報はThe Pharmacological Basis of Therapeutics 9th Edition,(McGraw-Hill (1996))から入手可能である。本明細書に開示される化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与及び宿主からの組織サンプルの分析、或いは化合物を生体内の肝細胞を用いて培養し残りの化合物を分析することのどちらかによって、選択的に同定される。いくつかの実施形態において、化合物の代謝物は酸化過程によって形成されると共に対応するヒドロキシを含む化合物に対応する。いくつかの実施形態において、化合物は代謝され薬理学的に活性な代謝物になる。
本明細書で用いられる「調節する」という用語は、直接的又は間接的のいずれかで標的に相互作用し、これにより標的の活性を変化させることを意味する。この活性の変化とは、例として、標的の活性を増強すること、標的の活性を阻害すること、標的の活性を制限すること、或いは標的の活性を延長することを含む。
本明細書で用いられる「修飾物質」という用語は、分子の活性を変化させる化合物を意味する。例えば、修飾物質は、修飾物質がない場合活性の規模と比較して、分子の特定の活性の規模を増加又は低減させることができる。特定の実施形態において、修飾物質はインヒビターであって、これは1又はそれ以上の分子の活性の規模を減少させる。特定の実施形態において、インヒビターは1又はそれ以上の分子の活性を完全に妨げる。特定の実施形態において、修飾物質は活性化因子であって、この活性化因子は少なくとも1つの分子の活性の規模を増加させる。特定の実施形態において、修飾物質の存在によって、修飾物質がない場合にはおこらない活性が結果としてもたらされる。
本明細書で用いられる「重原子を組み込んだ部分」という用語は、通常炭素よりも重い原子のイオンを組み込んだ基を意味する。いくつかの実施形態において、このようなイオン又は原子は、ケイ素、タングステン、金、鉛及びウランを含むが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる「ナノ粒子」という用語は約500nmから約1nmの間の粒子サイズを有する粒子を意味する。
本明細書で用いられる通り、「pERK」という用語は、Thr202/Tyr204におけるリン酸化されたERK1及びERK2を意味し、これは市販されるリン酸化特異的抗体(例:Cell Signaling Technologies社の#4377)によって検出される。
本明細書で用いられる「光親和性標識」という用語は、光に曝されると、標識が親和性を有する分子と結合を形成する基を有する標識を意味する。例として、このような結合は共有結合性でも非共有結合性でもよい。
本明細書で用いられる「フォトケージド部分」という用語は、ある波長の照明によって、他のイオン又は分子と共有結合又は非共有結合する基を意味する。
本明細書で用いられる「光異性化可能部分」という用語は、光による照明によって1つの異性体から別の異性体に変わる基を意味する。
本明細書で用いられる「血中濃度半減期」という用語は、ラット、イヌ又はヒト内の半減期を意味し、この半減期は血漿内で薬物濃度を徐々に測定することにより決定される。この測定は単回投与の後、及びデータを標準の薬物動態学的モデルに適合させた後に行われる。このデータの適合はWinNonLin等のソフトウェアを用いて、薬物が血漿から50%除去された時間を決定する。
本明細書で用いられる「予防的に有効な量」という用語は、患者に適用される化合物の量を意味し、これは治療中の1又はそれ以上の疾患の症状、状態又は障害をある程度にまで軽減するものである。このような予防的用途において、このような量は患者の健康状態、体重等に依存することができる。
本明細書で用いられる「放射性物質」という用語は、神経核がアルファ、ベータまたはガンマ等の核放射線を自発的に発する基を意味する。ここで、アルファ粒子はヘリウムの核、ベータ粒子は電子、及びガンマ粒子は高エネルギー光子である。
本明細書で用いられる「選択的な結合化合物」という用語は、1又はそれ以上の標的タンパク質の任意の部分に選択的に結合する化合物を意味する。
本明細書で用いられる「選択的に結合する」という用語は、選択的に結合する化合物が、非標的タンパク質に結合するよりも大きな結合性を持って、例えばBtk等の標的タンパク質に結合する能力を意味する。特定の実施形態において、特定の結合とは、非標的への結合性より少なくとも10、50、100、250、500、1000又は1000倍以上の結合性を持って標的に結合することを言う。
本明細書で用いられる「選択的な修飾物質」という用語は、非標的活性に関連する標的活性を選択的に調節する化合物を意味する。特定の実施形態において、特定の修飾物質とは、非標的活性より少なくとも10、50、100、250、500、1000又は1000倍以上標的活性を調節することを言う。
本明細書で用いられる「スピン標識」という用語は、不対の電子スピン(すなわち安定した常磁性の基)を示す原子又は原子の基を含む分子を意味する。いくつかの実施形態において、この分子は電子スピン共鳴スペクトロスコピーによって検出され、また他の実施形態においては他の分子に付着している。このようなスピン標識分子はニトリルラジカル及び窒素酸化物を含むがこれらに限定されず、またいくつかの実施形態においては一回のスピン標識又は二回のスピン標識である。
本明細書で用いられる「略精製された」という用語は、略又は不可欠的に他の化合物を有さない目的の化合物を意味する。この化合物は、精製に先立って、目的の化合物と通常付随する又は相互作用する。例において、目的の化合物の調製が汚染部分の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満(乾燥重量で)を含有する場合、目的の化合物は「略精製される」ことができる。したがって、「略精製される」目的の部分は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%又はそれ以上の精製レベルを有することができる。
本明細書で用いられる「対象」という用語は、治療、観察又は実験の目的となる動物を意味する。例において、対象はこれに限定されないが哺乳類であって、また哺乳類とはヒトを含むがこれに限定されない。
本明細書で用いられる「標的活性」という用語は、選択的な修飾物質によって調節されることができる生物活性を意味する。特定の例となる標的活性は、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性、主要増殖、炎症又は炎症に関連したプロセス、及び疾患又は状態に関連した1又はそれ以上の症状の回復を含むが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる「標的タンパク質」という用語は、選択的な結合化合物によって結合されることができるタンパク質の分子又は部分を意味する。特定の実施形態において、標的タンパク質はBtkである。
本明細書で用いられる「治療する」、「治療すること」又は「治療」という用語は、疾患又は状態の症状を緩和、軽減又は回復させること、さらなる症状を予防すること、症状により引き起こされる根底にある代謝を回復又は予防すること、例えば疾患又は状態の発達を抑止することといった疾患又は状態を阻害すること、疾患又は状態を和らげること、疾患又は状態の後退を引き起こすこと、疾患又は状態によって引き起こされる状態を和らげること、或いは疾患又は状態の症状を止めることを含む。「治療する」、「治療すること」又は「治療」という用語は予防的及び/又は治療的処置を含むがこれらに限定されない。
本明細書で用いられる通り、IC50は特定のテスト化合物の量、濃度又は投与量を意味し、Btkの阻害等の最大反応をこのような反応を測定する試験において50%阻害することを達成する。
本明細書で用いられる通り、EC50は特定のテスト化合物の投与量、濃度又は量を意味し、容量依存的な反応を最大発現の50%で誘発する。この反応は特定のテスト化合物によって誘引、誘発又は増強されるものである。
<不可逆的なインヒビター化合物>
本明細書に記載の方法における使用に好適な不可逆的なキナーゼインヒビター化合物についての以下の記述において、標準的化学用語と呼ばれる定義はCarey及びSundbergの「Advanced Organic Chemistry 4th Ed.」(Vols. A (2000) and B (2001), Plenum Press, New York)を含む参考文献(本明細書において定義されていない場合)内に見ることができる。また、Btk(例:ヒトのBtk)の核酸及びアミノ酸配列は、例えば米国特許第6,326,469号に開示されている。特定の定義がもたらされない限り、本明細書に記載の分析化学、有機合成化学、及び医薬品及び薬化学に関連して用いられる命名法、またその検査手段及び技術は当該技術分野において周知である。標準的技術は、化学的合成、化学分析、医薬品調製、製剤、運搬、及び患者の治療に任意に利用される。
本明細書に記載のインヒビター化合物は、利用可能なシステイン残基(このようなキナーゼは利用可能なシステイン残基(Accessible Cystein Kinases)」又はACKと呼ばれる)を有するキナーゼに選択的である。このシステイン残基はマイケル受容体部分とインヒビター化合物上で共有結合を形成することができる。いくつかの実施形態において、システイン残基は、不可逆的なインヒビターの結合部分部分がキナーゼに結合する場合利用可能である、又は利用可能になる。つまり、不可逆的なインヒビターの結合部分部分がACKの活性部位に結合し、不可逆的なインヒビターのマイケル受容体部分がACKのシステイン残基に接近する(ある実施形態において、結合の段階はACKにおける構造変化の原因となり、これによりシステインを曝露する)或いは曝露されることとなる。結果として、共有結合がシステイン残基の「S」と不可逆的なインヒビターのミカエル受容体の間に形成される。結果として、不可逆的なインヒビターの結合部分部分は結合したままとなるか、或いはACKの活性部位をブロックする。
ある実施形態において、ACKはBtk、Btk相同体、又はチロシンキナーゼである。このチロシンキナーゼは、Btkのシステイン481のアミノ酸配列位置に相同的なアミノ酸配列位置にシステイン残基を有する。例えば図7のキナーゼを参照のこと。本明細書に記載のインヒビター化合物はマイケル受容体部分、結合部分部分及びリンカーを含む。このリンカーは結合部分部分及びマイケル受容体部分をつなぐ(いくつかの実施形態において、リンカーの構造は立体構造をもたらすか、或いはマイケル受容体部分を配向する。これにより特定のACKの不可逆的なインヒビターの選択性を向上させる)。
一般に、本明細書に記載の方法において用いられる不可逆的なインヒビターの化合物は、生体外解析において同定または特性評価される。生体外解析とは例えば、無細胞生化学的解析又は細胞機能解析である。このような解析は不可逆的なインヒビター化合物のためにIC50を決定するのに有用である。
例えば、無細胞キナーゼ解析を用いて、候補となる不可逆的なインヒビター化合物の濃度範囲の有無においてキナーゼの培養後のキナーゼ活性を決定することができる。候補化合物が実際に不可逆的なインヒビターである場合、キナーゼ活性はインヒビターを有さない培養液で繰り返し洗浄しても回復しない。これについてはJ. B. Smaill, et al. (1999)のJ. Med. Chem. 42(10):1803-1815を参照のこと。さらに、キナーゼ及び候補となる不可逆的なインヒビター間の共有的な複雑な構造は、多数の方法(例:質量分析法)によって容易に決定されることができるキナーゼの不可逆的な阻害の有益な指標である。例えば、任意の不可逆的なキナーゼインヒビター化合物は、前述のシステイン残基と(例:ミカエル反応を介して)共有結合を形成することができる。
多数の無細胞生化学的解析(例:キナーゼ解析)及び細胞機能解析(例:カルシウム流出)のための高いスループット解析は、文書化された方法論である。さらに、高いスループットスクリーニングシステムは市販されている(Zymark Corp.社(ホプキントン、マサチューセッツ州)、(Air Technical Industries社、メンター、オハイオ州)、Beckman Instruments, Inc.社(フラートン、カリフォルニア州)、Precision Systems, Inc.社(ネーティック、マサチューセッツ州)等)。これらのシステムは典型的に、全てのサンプル及び試薬のピペット操作、液体分配、時間培養及びアッセイに適切な検出器(単数または複数)におけるマイクロプレートの最終読み取りを含む全ての手順を自動化する。これにより、自動化されたシステムの多数の不可逆的な化合物の同定及び特性評価が可能となる。
不可逆的なインヒビター化合物は任意の前述の状態(例:自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー障害、B細胞増殖性障害、又は血栓塞栓性障害)の治療のための薬剤に利用されることができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に用いられる不可逆的なインヒビター化合物は、10μm未満(例:1μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下、0.1μm以下、0.08μm以下、0.06μm以下、0.05μm以下、0.04μm以下、0.03μm以下、0.02μm以下、0.01μm以下、0.008μm以下、0.006μm以下、0.005μm以下、0.004μm以下、0.003μm以下、0.002μm以下、0.001μm以下、0.00099μm以下、0.00098μm以下、0.00097μm以下、0.00096μm以下、0.00095μm以下、0.00094μm以下、0.00093μm以下、0.00092μm以下、又は0.00090μm以下)の生体外のIC50を用いてキナーゼ活性を阻害する。
ある実施形態において、不可逆的なインヒビター化合物はその標的チロシンキナーゼ(例:チロシンキナーゼのリン酸化形状)の活性形状を選択的及び不可逆的に阻害する。例えば、活性化されたBtkはチロシン551でリン酸基転移反応される。したがって、これらの実施形態において、不可逆的なBtkインヒビターは、標的キナーゼが一度シグナル伝達現象によって活性されたときのみ細胞内で標的キナーゼを阻害する。
<ACKの特定の不可逆的なインヒビター化合物>
本明細書において、任意の化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)の化合物が説明されている。また、本明細書において、薬学的に許容される塩、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に活性な代謝物、及びこのような化合物の薬学的に許容されるプロドラッグが説明される。少なくとも一つのこのような化合物、又は薬学的に許容される塩、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に活性な代謝物、又はこのような化合物の薬学的に許容されるプロドラッグを含む医薬組成物がもたらされる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物が酸化しうる窒素原子を含む場合、窒素原子は任意でN−オキシドに変換される。特定の実施形態において、化式(A1からA6)、化式(B1からB6)、化式(C1からC6)、化式(D1からD6)、化式(I)、又は化式(VII)によって表される構造を有する異性体及び化合物の化学的に保護された形態ももたらされる。
ある態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は化式(I)の構造を有し、
前記化式中、LaはCH2、O、NH又はSであって、Arは置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換へテロアリール、及び以下に続く(i)又は(ii)のいずれかであって、(a)Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン及びアルキレンへテロシクロアルキレンであって、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、RaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、及び以下に続く(i)、(ii)又は(iii)のいずれかであって、(i)R7及びR8はHであって、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(ii)R6及びR8はHであって、R7はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、又は、(iii)R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、置換又は非置換C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(b)Yはシクロアルキレン又はヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基で、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、RaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、及び以下に続く(i)、(ii)又は(iii)のいずれかであって、(i)R7及びR8はHであって、R6は置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(ii)R6及びR8はHであって、R7は置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、又は、(iii)R7及びR8は共に結合を形成し、R6は置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、また、薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
他の実施形態において、化式(I)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。例において、アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の陰イオンで形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(I)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(I)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(I)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。N−アシル基の例として、N−アセチル基及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
実施形態のいくつか及び全てに関して、置換基は記載の選択肢の一部から選択される。例として、いくつかの実施形態において、LaはCH2、O、又はNHである。他の実施形態において、LaはO、又はNHである。さらに他の実施形態において、LaはOである。
いくつかの実施形態において、Arは置換又は非置換アリールである。さらに他の実施形態において、Arは6員のアリールである。いくつかの実施形態において、Arはフェニルである。
いくつかの実施形態において、xは2である。さらに他の実施形態において、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、S(=O)x、OS(=O)x、又はNHS(=O)xである。いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、又はNCH3C(=O)である。
いくつかの実施形態において、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン及びアルキレンへテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。
いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、RaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキルである。
いくつかの実施形態において、R7及びR8はHであって、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。他の実施形態において、R6及びR8はHであって、R7はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。さらなる他の実施形態において、R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。
いくつかの実施形態において、Yはシクロアルキレン又はヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。
いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、RaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキルである。
いくつかの実施形態において、R7及びR8はHであって、R8は置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。他の実施形態において、R6及びR8はHであって、R7は置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8テロシクロアルキル)である。さらなる実施形態において、R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8ルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。
ある態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は化式(VII)の構造を有し、
はチロシンキナーゼ、さらにBtkキナーゼチロシン相同体を含むキナーゼの前記活性部位に結合する部分であり、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン及びアルキレンへテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基で、ZがC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、NCH3C(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、R7及びR8は、H、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4へテロアルキル、置換C1−C4へテロアルキル、非置換C3−C6シクロアルキル、置換C3−C6シクロアルキル、非置換C2−C6へテロシクロアルキル、及び置換C2−C6へテロシクロアルキルから任意に選択され、又は、R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)、また、薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
他の実施形態において、化式(VII)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の陰イオンで形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(VII)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(VII)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(VII)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。N−アシル基の例として、N−アセチル基及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
いくつかの実施形態においてxは2である。また他の実施形態において、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、S(=O)x、OS(=O)x、又はNHS(=O)xである。いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、又はS(=O)2である。
いくつかの実施形態において、R7及びR8はH、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4ヘテロアルキル及び置換C1−C4ヘテロアルキルから個別に選択され、或いはR7及びR8は共に共有結合を形成する。また他の実施形態において、R7及びR8の夫々は共に共有結合を形成する。
いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8へテロシクロアルキル)である。いくつかの他の実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C2アルキル-N(C1-C3アルキル)2、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8へテロシクロアルキル)である。また他の実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−N(C1−C3アルキル)2、C1−C4アルキル(フェニル)、又はC1−C4アルキル(5又は6員ヘテロアリール)である。また他の実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−(C1−C6アルキルアミノ)、C1−C4アルキル(フェニル)、又はC1−C4アルキル(5又は6員ヘテロアリール)である。いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−N(C1−C3アルキル)2、C1−C4アルキル(フェニル)、又はC1−C4アルキル(1又は2N原子を有する5又は6員ヘテロアリール)、又はC1−C4アルキル(1又は2N原子を有する5又は6員ヘテロシクロアルキル)である。
いくつかの実施形態において、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、及びアルキレンヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。他の実施形態において、YはC1−C6アルキレン、C1−C6へテロアルキレン、4、5、6又は7員のシクロアルキレン、及び4、5、6又は7員のヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。また他の実施形態において、YはC1−C6アルキレン、C1−C6へテロアルキレン、5又は6員のシクロアルキレン、及び1又は2N原子を有する5又は6員のヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。いくつかの他の実施形態において、Yは5又は6員のシクロアルキレン、又は、1又は2N原子を有する5又は6員のヘテロシクロアルキレンである。いくつかの実施形態において、Yは4、5、6又は7員のシクロアルキレン環、又は、4、5、6又は7員のヘテロシクロアルキレン環である。
ある態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は化式(A1)の構造を有し、
化式(A1)において、AはN又はCR5から独立して選択され、R1はH、L2−(置換又は非置換アルキル)、L2−(置換又は非置換シクロアルキル)、L2−(置換又は非置換アルケニル)、L2−(置換又は非置換シクロアルケニル)、L2−(置換又は非置換ヘテロ環)、L2−(置換又は非置換ヘテロアリール)、又はL2−(置換又は非置換アリール)であって、ここでL2は結合剤、O、S、−S(=O)、−S(=O)2、C(=O)、−(置換又は非置換C1−C6アルキル)、又は−(置換又は非置換C2−C6アルケニル)であって、R2及びR3はH、低級アルキル及び置換低級アルキルから独立して選択され、R4はL3−X−L4−Gであって、ここで、L3は任意であって、存在する場合は結合剤、又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、又はアルキルへテロシクロアルキルから選択される任意の置換基であって、Xは任意であって、存在する場合は結合剤、O、−C(=O)、S、−S(=O)、−S(=O)2、−NH、−NR9、−NHC(O)、−C(O)NH、−NR9C(O)、−C(O)NR9、−S(=O)2NH、−NHS(=O)2、−S(=O)2NR9−、−NR9S(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−OC(O)NR9−、−NR9C(O)O−、−CH=NO−、−ON=CH−、−NR10C(O)NR10−、ヘテロアリール、アリール、−NR10C(=NR11)NR10−、−NR10C(=NR11)−、−C(=NR11)NR10、−OC(=NR11)−、又は−C(=NR11)O−であって、L4は任意であって、存在する場合は結合剤、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロ環であって、或いは、L3、X及びL4は共に結合して窒素を形成し、この窒素は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルへテロアリール又はアルキルヘテロシクロアルキルから選択される任意の置換基又はヘテロ環を含み、またGは
であって、ここでRaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、及び以下の(i)、(ii)、又は(iii)のいずれかであって、(i)R7及びR8はHであって、R6は置換又は非置換アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(ii)R6及びR8はHであって、R7は置換又は非置換アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、又は、(iii)R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、或いは、R5はH、ハロゲン、−L6−(置換又は非置換C1−C3アルキル)、−L6−(置換又は非置換C2−C4アルケニル)、−L6−(置換又は非置換へテロアリール)、又は−L6−(置換又は非置換アリール)であって、ここで、L6は結合剤、O、S、−S(=O)、S(=O)2、NH、C(O)、−NHC(O)O、−OC(O)NH、−NHC(O)、又は−C(O)NHであって、各R9は、H、置換又は非置換低級アルキル及び置換又は非置換低級シクロアルキルから独立的に選択され、各R10は、H、置換又は非置換低級アルキル又は置換又は非置換低級シクロアルキルから独立していて、2つのR10の基は共に結合して5,6,7又は8員のヘテロ環を形成することができ、或いはR9及びR10は共に結合して5,6,7又は8員のヘテロ環を形成することができ、或いは、各R11はH、−S(=O)2R8、−S(=O)2NH2、−C(O)R8、−CN、−NO2、ヘテロアリール又はヘテロアルキル、及び薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグから独立的に選択される。
他の実施形態において、化式(A1)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。例において、アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の陰イオンで形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(A1)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(A1)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(A1)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。N−アシル基の例として、N−アセチル基及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
さらなる又は別の実施形態において、化式(A1)の化合物は以下の化式(B1)の構造を有し、
化式(B1)中、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、及びアルキレンへテロシクロアリーレンから選択される任意の置換基であって、
各Raは独立的なH、ハロゲン、−CF3、−CN、−NO2、OH、NH2、−La−(置換又は非置換アルキル)、−La−(置換又は非置換アルケニル)、−La−(置換又は非置換ヘテロアリール)、又は−La−(置換又は非置換アリール)であり、ここでLaは結合剤、O、S、−S(=O)、−S(=O)2、NH、C(O)、CH2、−NHC(O)O、−NHC(O)、又は−C(O)NHであって、Gは
であって、ここでRaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、及び以下の(i)、(ii)又は(iii)のいずれかであって、(i)R7及びR8はHであって、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(ii)R6及びR8はHであって、R7はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、又は、(iii)R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、R12はH又は低級アルキルであって、又は、Y及びR12は共に4、5、又は6員のヘテロ環を形成し、薬学的に許容される活性代謝物、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
さらなる又は別の実施形態において、Gは上記の化式から選択され、ここでRはH、アルキル、アルキルヒドロキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアルコキシ、アルキルアルコキシアルキルである。
さらなる又は別の実施形態において、上記の化式は下記の化式からから選択される。
さらなる又は別の実施形態において、化式(B1)の化合物は以下の化式(C1)の構造を有し、
Yはアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール及びアルキルヘテロシクロアルキルから選択される任意の置換基であって、R12はH又は低級アリールであって、或いは、Y及びR12は共に4,5又は6員のヘテロ環を形成し、Gは
であって、ここでRaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、及び以下の(i)、(ii)、又は(iii)のいずれかであって、(i)R7及びR8はHであって、R6は置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(ii)R6及びR8はHであって、R7は置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、又は、(iii)R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、及び、薬学的に許容される活性代謝物、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
さらなる又は別の実施形態において、任意の化式(A1)、化式(B1)又は化式(C1)の「G」基は、分子の物性及び生物学的特性を調整するために用いられる任意の基である。このような調整/修正は、ミカエル受容体の化学反応性、酸性度、塩基度、脂溶性、溶解性及び分子の他の物性を変調する基を利用して達成される。このような修正によってGに変調された物性及び生物学的特性は、例として、ミカエル受容体基の化学反応性、溶解性、生体外吸収、及び生体外活性を増強させることを含む。さらに、生体外代謝は例として、生体外タンパク質キナーゼ特性、オフターゲット活性、cypP450相互作用に関連する潜在毒性、薬物相互作用等の制御を含む。さらに、Gへの変調により化合物の生体外有効性を調整することが可能になる。この調整は例として、血漿タンパク質に結合する特定及び非特定のタンパク質及び脂質の変調、及び生体外の組織分布を介して行われる。
ある態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は化式(D1)の構造を有し、
ここで、LaはCH2、O、NH又はSであって、Arは任意に置換された芳香族炭素環又は芳香族へテロ炭素環であって、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、及びアルキレンへテロシクロアルキレン又はそれらの組み合わせから選択される任意の置換基で、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、またRaはH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、及び以下の(i)、(ii)又は(iii)のいずれかであって、(i)R7及びR8はHであって、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(ii)R6及びR8はHであって、R7はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、又は、(iii)R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、置換又は非置換C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)、又はそれらの組み合わせ、及び薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
他の実施形態において、化式(D1)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の陰イオンで形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(D1)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(D1)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(D1)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。N−アシル基の例として、N−アセチル基及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
さらなる又は別の実施形態において、LaはOである。
さらなる又は別の実施形態において、Arはフェニルである。
さらなる又は別の実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、又はNCH3C(=O)である。
さらなる又は別の実施形態において、各R1、R2及びR3はHである。
ある態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は化式(D1)の構造を有し、
ここで、LaはCH2、O、NH又はSであって、Arは置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換へテロアリールであって、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンへテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン及びアルキレンへテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基で、ZはC(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、またRaは置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、及び以下の(i)、(ii)又は(iii)のいずれかであって、R7及びR8はHであって、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、(ii)R6及びR8はHであって、R7はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であり、又は、(iii)R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換C1−C8アルキルC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8へテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、置換又は非置換C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C8アルキルエーテル、C1−C8アルキルアミド、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)、及び薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
他の実施形態において、化式(D1)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の陰イオンで形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(D1)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(D1)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(D1)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。N−アシル基の例として、N−アセチル基及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
任意の及び全ての実施形態に関して、置換基は記載される代替物の部分集合から選択されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、LaはCH2、O又はNHである。他の実施形態において、LaはO又はNHである。また他の実施形態において、LaはOである。
いくつかの実施形態において、Arは置換又は非置換アリールである。また他の実施形態において、Arは6員アリールである。いくつかの実施形態において、Arはフェニルである。
いくつかの実施形態において、xは2である。また他の実施形態において、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、S(=O)x、OS(=O)x、又はNHS(=O)xである。いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、又はS(=O)2である。
いくつかの実施形態において、R7及びR8は、H、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4へテロアルキル、置換C1−C4へテロアルキルから任意に選択され、或いは、R7及びR8は共に結合を形成する。また他の実施形態において、R7及びR8はHであって、或いは、R7及びR8は共に結合を形成する。
いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C2アルキル-N(C1-C3アルキル)2、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8へテロシクロアルキル)である。いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C2アルキル−N(C1-C3アルキル)2、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8へテロシクロアルキル)である。また他の実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−N(C1−C3アルキル)2、C1−C4アルキル(フェニル)、又はC1−C4アルキル(5又は6員ヘテロアリール)である。いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−N(C1−C3アルキル)2、C1−C4アルキル(フェニル)又はC1−C4アルキル(1又は2N原子を有する5又は6員ヘテロアリール)、又はC1−C4アルキル(1又は2N原子を有する5又は6員ヘテロシクロアルキル)である。
いくつかの実施形態において、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、及びヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。ある実施形態において、YはC1−C6アルキレン、C1−C6へテロアルキレン、4、5、6又は7員のシクロアルキレン、及び4、5、6又は7員のヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。また他の実施形態において、YはC1−C6アルキレン、C1−C6へテロアルキレン、5又は6員のシクロアルキレン、及び1又は2N原子を有する5又は6員のヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。いくつかの他の実施形態において、Yは5又は6員のシクロアルキレン、又は、1又は2N原子を有する5又は6員のヘテロシクロアルキレンである。
ある態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は化式(A2−A6)の構造を有し、
ここで、AはN又はCR5から独立して選択され、R1はH、L2−(置換又は非置換アルキル)、L2−(置換又は非置換シクロアルキル)、L2−(置換又は非置換アルケニル)、L2−(置換又は非置換シクロアルケニル)、L2−(置換又は非置換ヘテロ環)、L2−(置換又は非置換ヘテロアリール)、又はL2−(置換又は非置換アリール)であって、ここでL2は結合剤、O、S、−S(=O)、−S(=O)2、C(=O)、−(置換又は非置換C1−C6アルキル)、又は−(置換又は非置換C2−C6アルケニル)であって、R2及びR3はH、低級アルキル及び置換低級アルキルから独立して選択され、R4はL3−X−L4−Gであって、ここで、L3は任意であって、存在する場合は結合剤、任意の置換又は非置換アルキル、任意の置換又は非置換シクロアルキル、任意の置換又は非置換アルケニル、任意の置換又は非置換アルキニルであって、Xは任意であって、存在する場合は結合剤、O、−C(=O)、S、−S(=O)、−S(=O)2、−NH、−NR9、−NHC(O)、−C(O)NH、−NR9C(O)、−C(O)NR9、−S(=O)2NH、−NHS(=O)2、−S(=O)2NR9−、−NR9S(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−OC(O)NR9−、−NR9C(O)O−、−CH=NO−、−ON=CH−、−NR10C(O)NR10−、ヘテロアリール、アリール、−NR10C(=NR11)NR10−、−NR10C(=NR11)−、−C(=NR11)NR10−、−OC(=NR11)−、又は−C(=NR11)O−であって、L4は任意であって、存在する場合は結合剤、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロ環であって、或いは、L3、X及びL4は共に結合してヘテロ環を含む窒素を形成し、Gは
であって、ここで、R6、R7及びR8はH、低級アルキル及び置換低級アルキル、低級へテロアルキル又は置換低級へテロアルキル、置換又は非置換低級シクロアルキル、及び置換又は非置換低級ヘテロシクロアルキルから独立して選択され、R5はハロゲン、−L6−(置換又は非置換C1−C3アルキル)、−L6−(置換又は非置換C2−C4アルケニル)、−L6−(置換又は非置換へテロアリール)、又は−L6−(置換又は非置換アリール)であって、ここで、L6は結合剤、O、S、−S(=O)、S(=O)2、NH、C(O)、−OC(O)NH、−NHC(O)、又は−C(O)NHであって、各R9は、H、置換又は非置換低級アルキル及び置換又は非置換低級シクロアルキルから独立的に選択され、各R10は、H、置換又は非置換低級アルキル又は置換又は非置換低級シクロアルキルから独立的に選択され、2つのR10の基は共に結合して5,6,7又は8員のヘテロ環を形成することができ、或いはR9及びR10は共に結合して5,6,7又は8員のヘテロ環を形成することができ、或いは、各R11はH、−S(=O)2R8、−S(=O)2NH2、−C(O)R8、−CN、−NO2、ヘテロアリール又はヘテロアルキル、及び薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
他の実施形態において、化式(A2−A6)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の陰イオンで形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(A2−A6)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(A2−A6)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(A2−A6)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。N−アシル基の例として、N−アセチル基及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
さらなる又は他の実施形態において、化式(A2−A6)化合物は以下の化式(B2−B6)の構造を有し、
ここで、Yはアルキレン又は置換アルキレン、或いは4,5、又は6員シクロアルキレン環であって、各Raは独立的に、H、ハロゲン、−CF3、−CN、−NO2、OH、NH2、−La−(置換又は非置換アリール)、−La−(置換又は非置換アルケニル)、−La−(置換又は非置換ヘテロアリール)、又は−La−(置換又は非置換アリール)であり、ここでLaは結合剤、O、S、−S(=O)、−S(=O)2、NH、C(O)、CH2、−NHC(O)O、−NHC(O)、又は−C(O)NHであって、Gは、
であって、ここで、R6、R7及びR8はH、低級アルキル又は置換低級アルキル、低級へテロアルキル又は置換低級へテロアルキル、置換又は非置換低級シクロアルキル、及び置換又は非置換低級ヘテロシクロアルキルから独立して選択され、R12はH又は低級アルキル、或いはY及びR12は共に4,5又は6員のヘテロ環と、薬学的に許容される活性代謝物、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグを形成する。
さらなる又は他の実施形態において、Gは以下の化式から選択される。
さらなる又は他の実施形態において、上記化式は下記化式から選択される。
さらなる又は他の実施形態において、化式(B2−B6)の化合物は以下の化式(C2−C6)の構造を有し、
Yはアルキレン又は置換アルキレン、或いは4,5、又は6員シクロアルキレン環であって、R12はH又は低級アルキルであって、又は、Y及びR12は共に4、5、又は6員のヘテロ環を形成し、Gは
であって、ここで、R6、R7、及びR8はH、低級アルキル及び置換低級アルキル、低級へテロアルキル又は置換低級へテロアルキル、置換又は非置換低級シクロアルキル、及び置換又は非置換低級ヘテロシクロアルキル、及び薬学的に許容される活性代謝物、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグから独立して選択される。
さらなる又は別の実施形態において、任意の化式(A2−A6)、化式(B2−B6)又は化式(C2−C6)の「G」基は、分子の物性及び生物学的特性を調整するために用いられる任意の基である。このような調整/修正は、ミカエル受容体の化学反応性、酸性度、塩基度、脂溶性、溶解性及び分子の他の物性を変調する基を利用して達成される。このような修正によってGに変調された物性及び生物学的特性は、例として、ミカエル受容体基の化学反応性、溶解性、生体外吸収、及び生体外活性を増強させることを含む。さらに、生体外代謝は例として、生体外タンパク質キナーゼ特性、オフターゲット活性、cypP450相互作用に関連する潜在毒性、薬物相互作用等の制御を含む。さらに、Gへの変調により化合物の生体外有効性を調整することが可能になる。この調整は例として、血漿タンパク質に結合する特定及び非特定のタンパク質及び脂質の変調、及び生体外の組織分布を介して行われる。
ある態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は化式(D2−D6)の構造を有し、
ここでLaはCH2、O、NH又はSであって、Arは任意に置換された芳香族炭素環又は芳香族へテロ炭素環であって、Yは任意に置換されたアルキレン、ヘテロアルキレン、カルボシクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、又はそれらの組み合わせであって、ZはC(O)、OC(O)、NHC(O)、C(S)、S(O)x、OS(O)x、又はNHS(O)xであって、ここでxは1又は2であって、R6、R7及びR8はH、アルキル、ヘテロアルキル、炭素環、ヘテロ環、又はそれらの組み合わせ、及び薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグから独立して選択される。
他の実施形態において、化式(D2−D6)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の陰イオンで形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(D2−D6)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(D2−D6)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(D2−D6)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。N−アシル基の例として、N−アセチル基及びN−エトキシカルボニル基が挙げられる。
さらなる又は別の実施形態において、LaはOである。
さらなる又は別の実施形態において、Arはフェニルである。
さらなる又は別の実施形態において、ZはC(O)である。
さらなる又は別の実施形態において、各R1、R2及びR3はHである。
ある態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は化式(D2−D6)の構造を有し、
LaはCH2、O、NH又はSであって、Arは置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換へテロアリールであって、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、及びヘテロシクロアルキレン、アリーレン、及びヘテロアリーレンから選択される任意の置換基であって、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであり、ここでxは1又は2であり、R7及びR8は、H、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4へテロアルキル、置換C1−C4へテロアルキル、非置換C3−C6シクロアルキル、置換C3−C6シクロアルキル、非置換C2−C6へテロシクロアルキル、及び置換C2−C6へテロシクロアルキルから任意に選択され、又は、R7及びR8は共に結合を形成し、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換へテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)、また、薬学的に活性な代謝物、又は薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、又は薬学的に許容されるそのプロドラッグである。
他の実施形態において、化式(D2−D6)の化合物の薬学的に許容される塩がもたらされる。アミノ基の塩は例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸で形成されるか、或いは例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸等の有機酸で形成される。さらに塩は、対イオンがアジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホナート、安息香酸エステル、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチラート、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸エステル、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、へキサン酸、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸エステル、マロン酸エステル、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸エステル、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸エステル、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、及び吉草酸塩等の陰イオンで形成される。さらに、塩は、対イオンがナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及び(少なくとも一つの有機部分と置換される)四級アンモニウム陽イオン等の陽イオンであるものを含む。
ある実施形態において、化式(D2−D6)の化合物の薬学的に許容されるエステルは、エステル基がギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブチラート、アクリレート、及びエチルコハク酸塩から選択されるものを含んでいる。
他の実施形態において、化式(D2−D6)の化合物の薬学的に許容されるカルバミン酸塩が説明される。その他の実施形態において、化式(D2−D6)の化合物の薬学的に許容されるN−アシル誘導体が説明される。
任意の及び全ての実施形態に関して、置換基は記載される代替物の部分集合から選択されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、LaはCH2、O又はNHである。他の実施形態において、LaはO又はNHである。また他の実施形態において、LaはOである。
いくつかの実施形態において、Arは置換又は非置換アリールである。また他の実施形態において、Arは6員アリールである。いくつかの実施形態において、Arはフェニルである。
いくつかの実施形態において、xは2である。また他の実施形態において、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、S(=O)x、OS(=O)x、又はNHS(=O)xである。いくつかの実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、又はS(=O)2である。
いくつかの実施形態において、R7及びR8は、H、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4へテロアルキル、置換C1−C4へテロアルキルから任意に選択され、或いは、R7及びR8は共に結合を形成する。また他の実施形態において、R7及びR8はHであって、或いは、R7及びR8は共に結合を形成する。
いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C2アルキル-N(C1-C3アルキル)2、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8へテロシクロアルキル)である。いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C2アルキル−N(C1-C3アルキル)2、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又はC1−C4アルキル(C2−C8へテロシクロアルキル)である。また他の実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−N(C1−C3アルキル)2、C1−C4アルキル(フェニル)、又はC1−C4アルキル(5又は6員ヘテロアリール)である。いくつかの実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、−CH2−O−(C1−C3アルキル)、−CH2−N(C1−C3アルキル)2、C1−C4アルキル(フェニル)又はC1−C4アルキル(1又は2N原子を有する5又は6員ヘテロアリール)、又はC1−C4アルキル(1又は2N原子を有する5又は6員ヘテロシクロアルキル)である。
いくつかの実施形態において、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、及びヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。ある実施形態において、YはC1−C6アルキレン、C1−C6へテロアルキレン、4、5、6又は7員のシクロアルキレン、及び4、5、6又は7員のヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。また他の実施形態において、YはC1−C6アルキレン、C1−C6へテロアルキレン、5又は6員のシクロアルキレン、及び1又は2N原子を有する5又は6員のヘテロシクロアルキレンから選択される任意の置換基である。いくつかの他の実施形態において、Yは5又は6員のシクロアルキレン、又は、1又は2N原子を有する5又は6員のヘテロシクロアルキレンである。
本明細書中において、上記の基の任意の組み合わせが様々な変形のために考慮される。
さらなる態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D2−D6)の化合物の構造を有し、以下の化式から構成される基から選択される化合物を含むが、これらに限定されない。
さらなる態様において、化合物(Btk及びそのシステイン相同体を含むACKの不可逆的なインヒビターを含む)は、(E)-4-(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルアミノ)-1-(3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(化合物3)、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d-]ピリミジン-1-イル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物4)、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物5)、(E)-1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物7)、(E)-N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド(化合物8)、N-((1r,4r)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)アクリルアミド(化合物10)、(E)-1-((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物11)、(E)-1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物12)、1-((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物13)、1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物14)、1((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物15)、1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物16)、1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物17)、(E)-N-((1,r,4r)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド(化合物18)、N-(2-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-N-メチルアクリルアミド(化合物19)、(E)-1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物20)、(E)-1-((S_-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物21)、N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)ブタ-2-インアミド(化合物22)、N-(2-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)アクリルアミド(化合物23)、(E)-1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物24)、(E)-N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-モルホリノブタ-2-エナミド(化合物25)から選択される。
任意の化式(I)、化式(VII)、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、又は化式(D1−D6)の化合物はBtkを不可逆的に阻害すると共に、ブルトンチロシンキナーゼ依存性の或いはブルトンチロシンキナーゼ媒介性の状態又は疾患に苦しむ患者の治療に任意で利用される。この状態又は疾患は癌、自己免疫及び他の炎症性疾患を含むがこれらに限定されない。
<化合物の製剤>
任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)の化合物は、標準的な合成技術を用いて、或いは本明細書に記載の方法と組み合わせてこのような周知の方法を用いて任意に合成される。さらに、溶媒、温度及び他の反応条件は、説明のためのみに本明細書に示されるのであって、本明細書に記載の方法及び化合物の範囲を制限するものではない。さらなる指針として、以下の合成方法を用いることもできる。
本明細書に記載の化合物をもたらすため直鎖状配列において反応が任意に利用される、或いは本明細書に記載の及び/又はその他に文書化されている方法によってほぼ結合されている切片を合成するために用いられる。
<求核基を用いた求電子基の反応による共有結合の形成>
本明細書に記載の化合物は、様々な求電子基或いは求核基を用いて修飾し、新規の官能基又は置換基を形成することが可能である。表1「共有結合及びその前駆体の例」は、共有結合及び前駆体官能基の選択された例が記載されている。これらの例は、利用可能な様々な求電子基及び求核基の組み合わせに対する指針としてもたらされると共に用いられる。前駆体官能基は求電子基及び求核基として表される。
(表1−1)共有結合及びその前駆体の例
(表1−2)
<保護基の利用>
説明される反応において、例えば、ヒドロキシ、アミノ、チオ又はカルボキシ基等の反応性官能基を保護することが必要である。これらは最終製品に必要とされ、これらを保護することにより反応において不要な関与を防止することができる。保護基はいくつかの又は全ての反応性部分をブロックすると共に、保護基が除去されるまでこのような基が化学反応に関与することを防止する。ある実施形態において、各保護基は異なる手段によって除去可能である。保護基は酸、塩基、及び水素化分解により除去可能である。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタール及びt−ブチルジメチルシリル等の基は酸に不安定であり、カルボキシ及びヒドロキシ反応性部分を保護するのに利用可能である。これは水素化分解により除去可能なCbz基で保護されるアミノ基、及び塩基に不安定なFmoc基の存在下で行われる。
カルボン酸及びヒドロキシ反応性部分はまた、ベンジル基等の除去可能な保護基でブロック可能であって、一方、酸と水素結合可能なアミン基はFmoc等の塩基に不安定な基でブロック可能である。カルボン酸反応性部分は本明細書に例示されるとおり、単純エステル化合物へ変換されることによって保護可能であって、又は2,4−ジメトキシベンジル等の酸化的に除去可能な保護基でブロック可能である。一方、共存するアミノ基はフッ化物に不安定なシリルカーバメートでブロック可能である。
アリルのブロック基は、酸保護基及び塩基保護基の存在下で有用である。これは、前者が安定的であると共に金属触媒又はπ酸触媒によって略除去されることができるためである。例えば、アリルがブロックされたカルボン酸は、酸に不安定なt−ブチルカーバメート又は塩基に不安定なアセテートアミン保護基の存在下でPd0触媒反応で脱保護されることが可能である。また保護基の他の形態は、化合物又は中間体が接着可能な樹脂である。残基が樹脂に接着する限り、官能基はブロックされ反応できない。一度樹脂から遊離すると、官能基は反応可能になる。
典型的なブロック/保護基は以下から選択される。
他の保護基に加え、保護基の生成及び除去に利用可能な技術の詳細は、Greene及びWutsの「Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed.」(John Wiley & Sons, New York, NY, 1999)及びKocienskiの「Protective Groups」(Thieme Verlag, New York, NY, 1994)に記載されており、これらの開示は参照することにより本明細書に組み込まれることとする。
<化合物の合成>
特定の実施形態において、本明細書に記載されるチロシンキナーゼインヒビター化合物の製造方法及び使用方法が本明細書にもたらされる。特定の実施形態において、本明細書に記載の化合物は以下の合成スキームを用いることにより合成可能である。化合物は以下に記載するものに類似する方法論を用いて、適切な代替出発物質の使用により合成されることができる。
本明細書において、Btk等のチロシンキナーゼ(単数又は複数)の活性を阻害する化合物及びその調製プロセスが説明される。また本明細書において、薬学的に許容される塩、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に活性な代謝物及び薬学的に許容されるこのような化合物のプロドラッグが説明される。少なくとも一つのこのような化合物又は薬学的に許容される塩、薬学的に許容される溶媒和化合物、薬学的に活性な代謝物又は薬学的に許容されるそのような化合物のプロドラッグを含む医薬組成物がもたらされる。
本明細書に記載の化合物の合成に利用される出発物質は合成されているか、或いは以下の商業的供給源から入手され、例えばAldrich Chemical Co.社(ミルウォーキー、ウィスコンシン州)、Bachem社(トランス、カリフォルニア州)又はSigma Chemical Co.社(セントルイス、ミズーリ州)等が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書に記載の化合物、及び異なる置換基を有する他の関連する化合物は、Marchの「ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed.」(Wiley 1992)、Carey及びSundbergの「ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed. Vols. A and B」(Plenum 2000, 2001)、Green及びWutsの「PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 3rd Ed.」(Wiley 1999)、Fieser及びFieserの「Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1-17」(John Wiley and Sons, 1991)、Roddの「Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1-5 and Supplementals」(Elsevier Science Publishers, 1989)、「Organic Reactions, Volumes 1-40」(John Wiley and Sons, 1991)、及びLarockの「Comprehensive Organic Transformations」(VCH Publishers Inc., 1989)等に記載されている。本明細書に記載の化合物の他の合成方法は、国際特許出願番号WO01/01982901、Arnold他「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 10 (2000) 2167-2170」、Burchat他「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12 (2002) 1687-1690」に見ることができる。以下の合成方法は指針として利用されることができる。
反応能生成物は、必要であれば、以下の従来の技術を利用して任意に単離されると共に生成される。この技術とは、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含むがこれらに限定されない。このような材料は、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の方法を用いて任意に特徴付けられる。
本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載の合成方法を用いて、単一の異性体又は異性体の混合物として任意に調製される。
任意の化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)又は化式(VII)の化合物の調製のための合成法の非制限的な例が、図表1に示される。
市販の1H−ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンのハロゲン化は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)及び/又は化式(D1−D6)の化合物の合成への移行をもたらす。ある実施形態において、1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンはN−ヨードサクシナミドで処理され、3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンが得られる。次に、金属触媒された架橋結合反応は、3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン上で実行される。ある実施形態において、塩基性条件下で適切に置換されたフェニルボロン酸のパラジウムを仲介した架橋結合は中間体2を構築する。中間体2は光延反応を介してN-Boc-3-ヒドロキシピペリジンと結合し、Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)保護中間体3が得られる。酸を用いて脱保護した後、これに限定されないが酸塩化物と結合することにより合成は完了し、化合物13が得られる。この酸塩化物は、例えば塩化アクリロイル等であるがこれに限定されない。
イミダゾトリアジン部分を含有する化合物の調製に対する合成的アプローチの非制限的な例として、図表2に以下の化式が示されている。
前記化式であらわされる任意のイミダゾピラジンの一部を含む化合物を準備するための合成方法の非限定的な実施形態が、図表3に示される。
前記化式で表わされるピロロピリミジンの一部を含む化合物を準備するための合成方法の非限定的な実施形態が図表4に示される。
前記化式で表わされるアザインドールの一部を含む化合物を準備するための合成方法の非限定的な実施形態が図表5に示される。
前記化式で表わされるピロロピリミジンの一部を含む化合物を準備するための合成方法の非限定的な実施形態が図表6で示される。
本明細書に記載の合成方法を用いることによって、本明細書で記載のチロシンキナーゼインヒビターが高収率及び高純度で獲得される。本明細書に記載の方法で用意した化合物は、従来の方法、例えば、ろ過、再結晶、クロマトグラフィ、蒸留、及びこれらの組み合わせによって精製される。
本明細書中では、様々な変形物に対する上記群の任意の組み合わせについて検討されている。
<化合物のさらなる形態>
本明細書で開示される化合物は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの構造を有する。本明細書に記載の化合物に番号が付されている場合、別のことを示しているのでなければ、この番号は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの化合物だけでなく、これらの総称的な化式の範囲に含まれる特定の化合物すべてを含むよう意味していることを理解されたい。
本明細書中に記載の化合物は1以上の立体中心を有し、それぞれの中心はR又はSの形状で存在する。本明細書に記載の化合物は、ジアステレオマー形状、エナンチオマー形状、及びエピマー形状だけでなく、これらの適切な混合物を含む。希望すれば、例えば、キラル・クロマトグラフィカラムによって立体異性体を分離させるなどの方法で立体異性体が獲得される。
ジアステレオマー混合物は、周知の方法、例えば、クロマトグラフィ結晶化及び/又は分別結晶作用によって、物理的化学的な差異に基づいて個々のジアステレオマーに分離可能である。ある実施形態において、エナンチオマーはキラル・クロマトグラフィカラムによって分離可能である。他の実施形態では、適切な光学活性化合物(例えば、アルコール)と反応させること、ジアステレオマーを分離させること、及び、個々のジアステレオマーを対応する純エナンチオマーに変換(加水分解)させることにより、エナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換することで、エナンチオマーは分離可能である。ジアステレオマー、エナンチオマー、及びそれらの混合物を含む上記のようなすべての異性体は、本明細書に記載された合成物の一部とみなす。
本明細書に記載の方法及び製剤は、N−オキシド、結晶性形状(多形体としても周知)、又は本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩の使用を含むだけでなく、同種の活性を有するこれら化合物の活性代謝物の使用も含む。状況によっては、化合物は互変異性体として存在する。すべての互変異性体は本明細書に記載の化合物の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和構造だけでなく、水及びエタノールなどの薬学的に許容される溶媒を用いて溶媒和構造でも存在することが可能である。本明細書に記載の化合物の溶媒和構造も、本明細書で記載されるものとみなす。
化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの未酸化形状の化合物は、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスファイト、水酸化ホウ素リチウム、水酸化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化物などの還元剤(但し、これらに限定されない)を、0度から80度のアセトニトリル、エタノール、含水ジオキサンなどの適切な不活性有機溶媒(但し、これらに限定されない)中で処理することによって、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの化合物のN−オキシドから準備可能である。
実施形態の中には、本明細書に記載の化合物がプロドラッグとして準備されるものもある。「プロドラッグ」とは、生体内の非経口薬物に変換される薬剤のことを言う。プロドラッグは状況によっては非経口薬物よりも投与しやすいため、役に立つことが多い。例えば、プロドラッグは経口投与によって体内に吸収されて利用されるが、非経口薬物は体内には吸収されない。さらに、プロドラッグは医薬組成物中の溶解度を非経口薬物以上に改善したものである。プロドラッグの一例として、本明細書に記載の1つの化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。この化合物がエステル(プロドラッグ)として投与されることによって、水溶性が可動性にとって致命傷となる細胞膜を通る透過を促進する。しかしながら、この化合物はその後、かつて水溶性が有益だった細胞内部の活性化実体であるカルボン酸に代謝的に加水分解される。プロドラッグのさらなる実施形態は酸基に結合した短ペプチド(ポリアミノ酸)であり、酸基においてペプチドは代謝されることによって活性部分をさらけ出す。特定の実施形態において、プロドラッグは生体内に投与されると、生物学的、薬剤的、又は治療的な化合物の活性形状に化学的に変換される。特定の実施形態において、プロドラッグは1以上の段階又は工程によって、生物学的、薬剤的、又は治療的な化合物の活性形状に酵素的に代謝される。プロドラッグを生成するためには、活性化合物が生体内投与後に再生するように薬学的に活性な化合物は修飾される。薬の運搬特性又は代謝的安定性を変えるため、副作用又は毒性を遮蔽するため、薬の特色を改善するため、又は、薬の他の特徴又は特性を変えるために、プロドラッグは設計可能である。薬力学的な工程及び薬の生体内での代謝を知っているおかげで(ひとたび、薬学的に活性な化合物が周知になると)、化合物のプロドラッグは(希望とあらば)設計可能である(例えば、他の化合物に適用されるこの手順の実施形態については、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392; Silverman (1992), The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc., San Diego, pages 352-401, Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照されたい)。
プロドラッグが体内で代謝されることによって本明細書に記載の誘導体を生成するとする、本明細書に記載の化合物のプロドラッグの形状は、請求項の範囲内に含まれるものである。場合によっては、本明細書に記載の化合物は別の誘導化合物又は活性化合物のためのプロドラッグであるものもある。
プロドラッグは状況によっては非経口薬物よりも投与しやすいために、役に立つことが多い。例えば、プロドラッグは経口投与によって体内に吸収されて利用されるが、非経口薬物は体内には吸収されない。プロドラッグは薬組成物中の溶解度を非経口薬物以上に任意に改善したものである。プロドラッグは、部位特異的な組織への薬物輸送を向上させるための変更因子として用いるために、可逆的な薬物誘導体として設計されることもある。実施形態のなかには、プロドラッグの設計によって水溶性を増加させるものもある。Fedorak et al., Am. J. Physiol., 269:G210-218 (1995); McLoed et al., Gastroenterol, 106:405-413 (1994); Hochhaus et al., Biomed. Chrom., 6:283-286 (1992); J. Larsen and H. Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987); J. Larsen et al., Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988); Sinkula et al., J. Pharm. Sci., 64:181-210 (1975); T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series; and Edward B. Roche, Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987 を参照されたい。尚、これらすべてはそのようなものと開示されることによって、本明細書に組み込まれるものとする。
化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの化合物の芳香環部分上の部位は様々な代謝反応の影響を受けやすく、それゆえ、芳香環状構造物上にある適切な置換基(ほんの一例として、ハロゲン)を組み込むことによって、この代謝経路を減少、最小化、または除去することが可能である。
本明細書に記載の化合物は同位体で標識された化合物を含む。1以上の原子が、自然界に見られる普通の原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する1つの原子に置き換えられるということを別にすれば、この同位体で標識された化合物は、本明細書に記載の様々な公式及び構造で列挙される化合物と同一である。本発明の化合物に組み込むことが可能な同位体の実施形態は、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、及び、塩素の同位体、2H、3H、13C,14C,15N、18O、17O、35S、18F、36Clをそれぞれ含む。本明細書に記載の同位体で標識された化合物は、例えば、3H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物のことである。この化合物は薬物及び/又は組織基質への分布分析に有用である。さらに、重水素、すなわち、2Hなどの同位体に置き換えることによって、例えば、生体内における半減期の増加又は必要容量の減少といった、代謝の安定性の増加に由来する特定の治療上の利点をもたらす。
追加的な又はさらなる実施形態において、本明細書に記載の化合物は、所望の治療効果を含む所望の効果を得るために後に用いられる代謝産物を生成する必要から、有機体に投与後、代謝される。
本明細書に記載の化合物(例えば、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの化合物)は、任意で薬学的に許容される塩の形状であるか、及び/又は薬学的に許容される塩として用いられる。薬学的に許容される塩の種類は以下の塩を含むが、それらに限定されるわけではない。この塩とは、化合物の遊離塩基形状を薬学的に許容される塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸などの無機酸、又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グルコン酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシ安息香酸)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2−ナフタリンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボキシル酸、グルコへプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸で反応させることによって形成される(1)酸付加塩、又は、非経口化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えば、マグネシウム、又はカルシウム)、又はアルミニウムイオンによって置換されるか、又は有機塩基と連携する際に形成される(2)塩である。許容される有機塩基はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどを含む。許容される無機塩基とは水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを含む。
薬学的に許容される塩に対応する対イオンは、イオン交換クロマトグラフィ、イオンクロマトグラフィ、キャピラリー電気泳動法、誘導結合プラズマ、原子吸光分光学法、質量分析法、又はこれらの組み合わせを含む(但し、これらに限定されない)様々な方法を用いて任意に分析及び同定される。
この塩は以下の技術の少なくとも1つを用いて回復する。以下の技術とは、ろ過、非溶媒による沈降後のろ過、溶媒の蒸発、又は、水溶液の場合は凍結乾燥である。
薬学的に許容される塩に対する言及は、溶媒が付加された構造又はその結晶構造、とりわけ、溶媒和物又は多形体を含むことを理解されたい。溶媒和物は1つの溶媒の化学量論量又は非化学量論量のいずれかを備え、水又はエタノールなどの薬学的に許容される溶媒による結晶化工程の間に任意で形成される。溶媒が水の場合には水和物が形成され、溶媒がアルコールの場合にはアルコラートが形成される。本明細書に記載の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載の工程の間に都合よく準備または形成可能である。加えて、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和構造だけでなく、溶媒和構造でも存在可能である。一般的に、溶媒和構造は本明細書に記載の化合物及び方法のために非溶媒和構造と同等であるとみなす。
塩についての言及は、溶媒が付加された構造又はその結晶構造、とりわけ、溶媒和物又は多形体を含むことを理解されたい。媒和物は1つの溶媒の化学量論量又は非化学量論量のいずれかを備え、水又はエタノールなどの薬学的に許容される溶媒による結晶化工程の間にしばしば形成される。溶媒が水の場合には水和物が形成され、溶媒がアルコールの場合にはアルコラートが形成される。多形体は1つの化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、X線回折図形、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学及び電気特性、安定度、及び溶解度が異なる。再結晶溶媒、結晶化速度、及び、保存温度などの様々な因子によって、単結晶構造が優位を占めるようになる。
本明細書に記載の化合物は、非晶形形状、粉砕形状、及び、ナノ粒子形状を含む様々な形状で任意に存在するが、これらに限定されるわけではない。加えて、本明細書に記載の化合物は、多形体としても周知な結晶形状を有する。多形体は1つの化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、X線回折図形、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学及び電気特性、安定度、及び溶解度が異なる。再結晶溶媒、結晶化速度、及び、保存温度などの様々な因子によって、単結晶構造が優位を占めるようになる。
薬学的に許容される塩、多形体、及び/又は溶媒和物のスクリーニング及び特性化は、
熱解析、X線回折、分光法、蒸気収着、及び、顕微鏡使用などの様々な技術を用いて行われるが、これらに限定されるわけではない。熱解析方法は、熱化学分解又は多形転移を含む(これに限定されるわけではない)熱を用いる物理的工程のことを言う。このような方法は、多形体形状の関係を解析するため、重量の損失を決定するため、ガラス転移点を発見するため、又は、賦形剤の互換性研究のために用いられる。上記のような方法は、示差走査熱量測定法(DSC)、変調示差走査熱量測定法(MDSC)、熱重量分析(TGA)、及び、熱重量分析及び赤外線分析法(TG/IR)を含むが、これらに限定されるわけではない。X線回折方法は、単結晶、粉末回折計、シンクロトロン放射源を含むが、これらに限定されるわけではない。用いられる様々な分光技術は、Raman、FTIR、UVIS、及び、NMR(液体及び固体状態)を含むが、これらに限定されるわけではない。様々な顕微鏡使用法とは、偏光顕微鏡法、エネルギー分散X線分析(EDX)を備える走査電子顕微鏡法(SEM)、(ガス又は水蒸気雰囲気の)EDXを備える環境制御型走査電子顕微鏡、IR顕微鏡、及びRaman顕微鏡を含むが、これらに限定されるわけではない。
<システインを標的にしたキナーゼインヒビターの発見のきっかけ>
<キナーゼ/インヒビターのSAR手法>
タンパク質キナーゼは特定のタンパク質の活性を作用するとともに修飾するものであるが、信号を伝達するとともに細胞内の複雑な工程を制御するために用いられる。ヒトの体内では518もの異なるキナーゼが確認されている。このようなキナーゼの中には活性部位がよく似た構造をしているものが存在するため、多くのキナーゼインヒビター化合物は、上記のようなキナーゼと非選択的に結合するか及び/又はこのキナーゼを阻害する。化合物が疾患又は状態を治療するために投与されると、好ましくない副作用が起こる可能性があるため、このような交叉反応はキナーゼインヒビター化合物にとっては好ましい特徴ではない。
キナーゼインヒビター化合物の構造中の小さな違いが、同じように構成されたキナーゼの選択に甚大な影響を与えることが観察された(たとえば、Btk及びBtkキナーゼシステインの相同体を含むACK)。
結果として、非選択的インヒビター化合物を高度選択的インヒビター化合物へと変換させるための分析、方法、及びシステムが開発された。要約すると、非選択的インヒビター化合物はマイケル受容体部分及びリンカー部分とともに提供される。リンカー部分はマイケル受容体を非選択的インヒビター化合物の残りの部分とつなげる。リンカー部分及びマイケル受容体部分は、テストインヒビター化合物に小さなライブラリ/パネルを提供する。インヒビターのライブラリ/パネルは関連構造キナーゼのパネルと接触する(例えば、Btk及びBtkキナーゼシステインの相同体)。結合は、蛍光検出(又は他の検出ラベルを介して)、質量分析法、又は様々な手法の組み合わせを含む様々な手段によって決定される。活性プローブはインヒビターのライブラリ/パネルとキナーゼのライブラリ/パネル部分の結合を検出するために任意で用いられる。結合データはその後、任意で集められて分析されることによって、インヒビターのライブラリ/パネル(例えば、マイケル受容体及び/又はリンカー部分)とキナーゼのライブラリ/パネル部分の構造と、キナーゼパネルの部位を結合及び/又は阻害する活性との間の構造活性相関(SAR)を得る。この情報に基づいて、必要となれば、さらなる修飾が指示される。本手法を用いることによって、Btkインヒビター化合物の結合及び選択性の改善に成功した(「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ」の実施例部分を含む本明細書に記載の実施形態を参照されたい)。
同様の研究を用いて、同様の構造をしたACK(Btk及びBtkのキナーゼシステインの相同体を含む)の一群に対する選択的インヒビター化合物をより高度選択的なインヒビター化合物(例えば、構造的に似ているACKよりも特定のACKへの選択性が高い)へと変換することが可能であり、又は特定のACK(例えば、Btk)に対する選択的インヒビター化合物を、当の特定のACKに対してさらに高選択的なインヒビター化合物へと変換させることが可能である。要約すると、例えば、選択的インヒビター化合物(例えば、活性部位の結合部分、リンカー部分、及びマイケル受容体を含む選択的インヒビター化合物)は修飾される。ある実施形態において、リンカー部分及びマイケル受容体部分は、テストインヒビター化合物に小さなライブラリ/パネルを提供する。インヒビターのライブラリ/パネルは関連構造キナーゼのパネルと接触する(例えば、Btk及びBtkキナーゼシステインの相同体)。結合は、蛍光検出(又は他の検出ラベルを介して)、質量分析法、又は様々な手法の組み合わせを含む様々な手段によって決定される。活性プローブはインヒビターのライブラリ/パネルとキナーゼのライブラリ/パネル部分の結合を検出するために任意で用いられる。結合データはその後、任意で集められて分析されることによって、インヒビターのライブラリ/パネル(例えば、マイケル受容体及び/又はリンカー部分)とキナーゼのライブラリ/パネル部分の構造と、キナーゼパネルの部位を結合及び/又は阻害する活性との間の構造活性相関(SAR)を得る。この情報に基づいて、必要となれば、さらなる修飾が指示される。本手法を用いることによって、Btkインヒビター化合物の結合及び選択性の改善にも成功した(「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ」の実施例部分を含む本明細書に記載の実施形態を参照されたい)。
このように、高度選択的なBtkインヒビター化合物1に関して、標的酵素BTKを不可逆的に不活性化することが可能な求電子性の中心部を考案した。すなわち、可逆的なインヒビターの活性化部位の結合部分にリンカー部分及びマイケル受容体は付加され、このリンカー部分及びマイケル受容体は、(1)コア足場をキナーゼ酵素の活性部位のATP結合ポケットに適合させること、及び(2)BTKに配されたシステイン−481で共有結合を形成することによって、高能力及び高選択性を達成する。共有結合の形成に必要な化学的構造は、マイケル受容体として機能する電子部分を含み、これは活性部位内の正確な位置に存在する求核基(システイン−481のような)と結合する。
別の実施形態では、化合物1のリンカー部分及びマイケル受容体部分は、異なる選択性方式を有する化合物9を提供するように修飾される。表2は2つの化合物の実施形態に対するキナーゼのパネルの阻害程度を示す。IC50は生体内のHotSpotのキナーゼ分析(精製酵素、33P−ATP、適切な基質及びluMATP)を用いて決定された。化合物1と比較して、化合物9はBtkに対して類似した能力を有しているが、JAK−3、ITK、及びEGFRに対する能力は非常に小さく、src−ファミリーキナーゼlck、C−SRC、FGR、Fyn、Hck、及びYesに対する能力は非常に大きい。したがって、リンカー部分及びマイケル受容体部分をわずかに修飾することが、選択的ACKインヒビターの設計には重要である。
(表2)
実施例部分の「キナーゼの発見のきっかけ及びパルス投与」中の実施形態1cの表2は、リンカー部分及び/又はマイケル受容体部分のさらなる修飾及び、阻害選択制の変化の影響について示す。
本明細書中に記載の1つの態様において、Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体(実際には任意のACK)から選択されたキナーゼの不可逆的なインヒビターを同定する方法は、(1)Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択された様々なキナーゼを、マイケル受容体部分を備える化合物と接触させる段階と、(2)少なくとも1つの利用可能なSH基を有する少なくとも1つの非キナーゼ分子とマイケル受容体部分を備える化合物を接触させる段階と(この段階を経ることによって、インヒビターに不可逆的に反応する部分を有する多量の生体分子に対して低選択制のインヒビターを選択することが可能になる。これによって、患者に薬剤が投与された際、インヒビターが所望のACKと結合するのを防ぐ)と、(3)マイケル受容体を備える化合物と様々なキナーゼ及び少なくとも1つの非キナーゼ分子との共有的結合を決定する段階と、マイケル受容体部分を備える少なくとも1つの他の化合物に対して(1)、(2)、及び(3)の段階を繰り返す段階を備える。
さらなる態様では、以下の段階が加えられる。この段階は、(4)マイケル受容体を備える化合物の共有結合を複数のキナーゼ及び少なくとも1つの非キナーゼ分子と比較するとともに、マイケル受容体部分を備える少なくとも1つの他の化合物に対して、段階(1)、(2)、(3)、及び(4)を繰り返す段階である。
さらなる態様では、非ACKと比較してACKに対する不可逆的なインヒビター化合物の選択性を決定するために、不可逆的なインヒビター化合物を少なくとも1つの非ACKキナーゼと接触させる。
少なくとも1つの利用可能なSH基を有する非キナーゼ分子に関連する特定の実施例としては、グルタチオン及び/又はヘモグロビンが挙げられる。このような分子は典型的な(患者の)生体システムに多量に存在しているので、所望の不可逆的なインヒビター化合物は非キナーゼに対して低選択制/低反応性を有する。
「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ」における特定の実施形態では、活性プローブ(本明細書で詳細が示されている)は、テストインヒビター化合物が不可逆的にACKを阻害したかどうかを見定めるために、迅速な診断方法として用いられる。ある実施形態においては、活性プローブそのものがACKの不可逆的なインヒビターであり、その構造の一部としてレポーター部分(例えば、蛍光部分)を有する。
不可逆的なテストインヒビターと競合して用いられる際、ACK上の「レポーター」信号がなかった場合、これは不可逆的なテストインヒビターが活性プローブのACKとの結合を妨げたことを示す(及び、不可逆的なテストインヒビターが活性プローブよりもACKとの結合親和性が高いということを示す)。
特定の実施形態において、「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ」の段階(1)及び(2)は生体内で行われ、段階(3)は活性プローブを用いて部分的に行われる。さらに、特定の実施形態において、決定段階は質量分析法、蛍光法、及びこれらの組み合わせを用いる。
本明細書に記載の如く、ある実施形態においては、「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ」で試されたインヒビターは、活性部位の結合部分、マイケル受容体部分、及びマイケル受容体部分を活性部位の結合部分に結合させるリンカー部分を備える。例えば、そのような図式において、以下の情報が集められて分析される。この情報とは、すなわち、各化合物のリンカー部分及び/又はマイケル受容体部分の構造と、各化合物と少なくとも1つのキナーゼとの結合及び/又は各化合物の少なくとも1つのキナーゼに対する選択性との間の構造機能相関である。さらに、特定の実施形態において、各化合物の活性部位の結合部分は変更されない。一方で、リンカー部分及び/又はマイケル受容体の構造は変更される。
ある実施形態において、インヒビターは以下の化式(VII)の構造を有する。
はキナーゼの活性部位に結合する部分であり、チロシンキナーゼを含み、さらにBtkキナーゼシステインの相同体を含み、
Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、及び、アルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択された任意の置換基であって、
xが1又は2である場合、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、NCH3C=(O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであって、R7及びR8はH、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4ヘテロアルキル、置換C1−C4ヘテロアルキル、非置換C3−C6シクロアルキル、置換C3−C6シクロアルキル、非置換C2−C6ヘテロシクロアルキル、及び、置換C2−C6ヘテロシクロアルキルの中から独立的に選択され、又は、
R7及びR8はともに結合を形成し、及び、
R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又は、C1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。
そのような図式では、以下の情報が集められて分析される。
すなわち、各化合物のY−Z及び/又は上記化式の構造と、各化合物の少なくとも1つのキナーゼとの結合及び/又は各化合物の少なくとも1つのキナーゼに対する選択性との間の構造機能活性相関は不変である。さらに、各化合物の
の構造は不変である。一方で、リンカー部分(Y−Z)及び/又は以下の化式で表わされるマイケル受容体部分は変化する。
「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ」の特定の実施形態において、結果として生じるインヒビターは、Btk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体から選択された少なくとも1つの他のキナーゼよりも、Btk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体から選択された1つのキナーゼに対して選択性を有する。実施形態によっては、この選択性は少なくとも5x、少なくとも10x、少なくとも20x、少なくとも50x、又は、少なくとも100xである。さらなる実施形態において、結果として生じるインヒビターは、利用可能なSH基を有する少なくとも1つの他の非キナーゼ分子よりも、Btk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体から選択された1つのキナーゼに対して選択性を有する。実施形態によっては、この選択性は少なくとも5x、少なくとも10x、少なくとも20x、少なくとも50x、又は、少なくとも100xである。
さらなる実施形態において、結果として生じるインヒビターは、本明細書に記載の治療方法又は本明細書に記載の医薬組成物に用いられる。
<活性プローブによる化合物>
本明細書に記載の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ」では活性プローブが任意に用いられているため、以下の部分は活性プローブの非限定的実施形態の設計、構造、及び使用について記載している。
本明細書に記載の活性プローブの化合物は、Btk、Btk相同体、及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体(以降、「キナーゼインヒビター)とする)、リンカー部分、及びレポーター部分を備える部分からなる。ある実施形態では、キナーゼインヒビターは不可逆的なインヒビターである。別の実施形態では、不可逆的なキナーゼインヒビターは、Btk、Btk相同体、及び/又はBtkキナーゼシステイン相同体(以降、「キナーゼ」)のATP結合ポケット内の非触媒残基と結合する。さらなる実施形態において、非触媒残基はシステイン残基である。実施形態のなかには、活性プローブはキナーゼの少なくとも1つの非触媒残基と共有結合を形成する。別の実施形態では、活性プローブはキナーゼの少なくとも1つの非触媒残基と非共有結合を形成する。さらなる実施形態では、活性プローブはキナーゼのATP結合ポケット内部で水素結合を共有する。さらに別の実施形態では、活性プローブはキナーゼに対してファン・デル・ワールス力を有する。
実施形態によっては、本明細書に記載の活性プローブは活性依存性であるため、プローブは活性キナーゼにのみ結合する。さらなる実施形態において、活性プローブは上流のキナーゼによるリン酸化反応によって切り替わったキナーゼと結合する。さらに、また別の実施形態では、本明細書に記載の活性プローブは活性依存性であるため、プローブは上流のキナーゼによるリン酸化反応によって切り替わらなかったキナーゼと結合する。他の実施形態では、活性プローブはキナーゼのリン酸化構造を標識化する。別の実施形態では、活性プローブは非リン酸化構造のキナーゼを標識化する。
実施形態の中には、活性プローブが細胞に対して透過性があるものもある。
さらなる実施形態において、リンカー部分は結合、置換アルキル部分、置換ヘテロ環、置換アミド部分、ケトン部分、置換カルバミン酸塩部分、エステル部分、又はこれらの任意の組み合わせから選択される。さらなる実施形態では、レポーター部分は標準的な又は改良された実験装置を用いて検出される部分である。
ある態様において、活性プローブは以下の化式(I)を備える。
このとき、Aはキナーゼインヒビター部分で、X及びYは以下からなる群から独立して選択される。
ある実施形態において、不可逆的なキナーゼインヒビターを備える部分はキナーゼの不可逆的なインヒビターに由来する。実施形態によっては、このような不可逆的なキナーゼインヒビターは以下の特徴のうち少なくとも1つを持ち合わせる。この特徴とは、能力、選択性、及び、細胞透過性である。さらなる実施形態において、このような不可逆的なキナーゼインヒビターは前述の特徴のうち少なくとも2つを持ち合わせており、さらなる実施形態では少なくとも前述の特徴すべてを有している。
他の実施形態において、キナーゼインヒビター部分は以下の化式(II)の構造を有するBtkインヒビターに由来する。
このとき、LaはCH2、O、NH、又はSであり、Arは置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換ヘテロアリールであり、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、及び、アルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択された任意の置換基である。
他の実施形態において、LaはCH2、O、又はNHである。他の実施形態では、LaはOまたはNHである。さらに、別の実施形態ではLaはOである。
他の実施形態では、Arは置換又は非置換アリールである。さらに別の実施形態では、Arは六員アリールである。実施形態によっては、Arはフェニルである。
実施形態によっては、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、及び、アルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択される任意の置換基である。他の実施形態において、YはC1−C6アルキレン、C1−C6ヘテロアルキレン、四、五、六、又は、七員シクロアルキレン、及び、四、五、六、又は、七員ヘテロシクロアルキレンの中から選択された任意の置換基である。さらに別の実施形態では、YはC1−C6アルキレン、C1−C6ヘテロアルキレン、五又は六員シクロアルキレン、及び、1又は2N原子を含む五又は六員ヘテロシクロアルキレンの中から選択された任意の置換基である。実施形態によっては、Yは五又は六員シクロアルキレン、又は、1又は2N原子を含む五又は六員ヘテロシクロアルキレンである。実施形態によっては、Yは四、五、六、又は、七員ヘテロシクロアルキレン環である。
実施形態によっては、キナーゼインヒビター部分は以下から選択された化合物に由来する。すなわち、1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)スルホニルエテン、1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-イン-1-オン、1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル6)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)アクリルアミド、1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、1-((S)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、1-((S)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンn-1-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、及び(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン、(E)-4-(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルアミノ)-1-(3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(化合物3)、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d-]ピリミジン-1-イル)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物4)、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物5)、(E)-1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物7)、(E)-N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド(化合物8)、N-((1r,4r)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)アクリルアミド(化合物10)、(E)-1-((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物11)、(E)-1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン-1-オン(化合物12)、1-((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物13)、1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物14)、1((R)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物15)、1-((S)-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物16)、1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン(化合物17)、(E)-N-((1,r,4r)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド(化合物18)、N-(2-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-N-メチルアクリルアミド(化合物19)、(E)-1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物20)、(E)-1-((S_-2-((4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物21)、N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)ブタ-2-インアミド(化合物22)、N-(2-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)アクリルアミド(化合物23)、(E)-1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-モルホリノブタ-2-エン-1-オン(化合物24)、(E)-N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)-4-モルホリノブタ-2-エナミド(化合物25)である。
他の実施形態において、リンカー部分は、結合、ポリマー、水溶性ポリマー、任意の置換アルキル、任意の置換ヘテロアルキル、任意の置換ヘテロシクロアルキル、任意の置換シクロアルキル、任意の置換ヘテロシクロアルキル、任意の置換ヘテロシクロアルキルアルケニル、任意の置換アリール、任意の置換ヘテロアリール、及び、任意の置換ヘテロシクロアルキルアルケニルアルキルから選択される。他の実施形態においては、リンカー部分は任意の置換ヘテロ環である。他の実施形態において、ヘテロ環は、アジリジン、オキシラン、エピスルフィド、アゼチジン、オキセタン、ピロリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキシレン、チアゾール、イソチアゾール、ジチオラン、フラン、チオフェン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、チアン、ピリジン、ピラン、チアピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、オキサジン、チアジン、ジチアン、及び、ジオキサンから選択される。他の実施形態では、ヘテロ環はピペラジンである。さらなる実施形態において、リンカー部分は、ハロゲン、CN、OH、NO2、アルキル、S(O)、及びS(O)2で任意に置換される。他の実施形態では、水溶性ポリマーはPEG基である。
他の実施形態において、リンカー部分はレポーター部分とキナーゼインヒビター部分との間で十分な空間的隔離を提供する。さらなる実施形態では、リンカー部分は安定している。さらに別の実施形態では、リンカー部分はレポーター部分の反応に対して実質的には影響を与えない。他の実施形態において、リンカー部分は活性プローブに化学的な安定性をもたらす。さらに別の実施形態では、リンカー部分は活性プローブに十分な溶解度を与える。
実施形態によっては、水溶性ポリマーなどの結合方法は、端部でキナーゼインヒビター部分にして結合するとともに、もう一方の端部でレポーター部分と結合するものである。他の実施形態において、水溶性ポリマーはキナーゼインヒビター部分の官能基又は置換基を介して結合される。さらなる実施形態において、水溶性ポリマーはレポーター部分の官能基又は置換基を介して結合される。他の実施形態において、キナーゼインヒビター部分及びレポーター部分と非経口水性ポリマーとの共有結合は、水溶性(生理環境などにおける)の増加、生物学的利用能、血中半減期の増加、薬力学的パラメータの増加、又はタンパク質、ペプチド、とりわけ、疎水性分子を含む活性プローブの循環時間の延長に対する1つの手法を提供するものである。さらなる実施形態において、非経口水性ポリマーなどの付加的な重要な特徴とは、生体適合性及び毒性の欠如を含む。他の実施形態では、最終生成物の準備段階を治療に用いるために、ポリマーは薬学的に許容される。
実施形態によっては、非経口水性ポリマーの実施例は以下を含むがこれらに限定されるわけではない。すなわち、ポリアルキルエーテル及びアルコキシで覆われたその類似物(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン/プロピレングリコール、及び、メトキシ又はエトキシで覆われたその類似物、ポリオエチレングリコール、後者はポリオキシエチレングリコール又はPEGとして周知である)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルキルエーテル、ポリオキサゾリン、ポリアルキルオキサゾリン及びポリヒドロキシアルキルオキサゾリン、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド、及び、ポリヒドロキシアルキルアクリルアミド(例えば、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド及びその誘導体)、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリシアル酸及びその類似物、非経口水性ペプチド配列、デキストラン及びデキストラン誘導体(例えば、カルボキシメチルデキストラン、硫酸デキストラン、アミノデキストラン)を含む多糖及びその誘導体、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース)、キチン及びその誘導体(キトサン、スクシニルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン)、ヒアルロン酸及びその誘導体、澱粉、アルギン酸塩、コンドロイチン硫酸、アルブミン、プルラン及びカルボキシプルラン、ポリアミノ酸及びその誘導体(例えば、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリアスパラギン酸、ポリアスパラアミド)、スチレン無水マレイン酸共重合体、ジビニールエーテル無水マレイン酸共重合体などの無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、その共重合体、それらの三元重合体、それらの混合物、及び、前述の誘導体である。他の実施形態において、水溶性ポリマーは直線形状、フォーク形状、分岐形状を含む(但し、これらに限定されるわけではない)任意の構造的な形状である。実施形態によっては、水溶性で約2から300の末端を有するポリマー骨格は特に有用である。さらなる実施形態において、多機能ポリマー誘導体は2つの末端を有する線状ポリマーを含む(但し、これに限定されるわけではない)。この各末端は官能基に結合されており、官能基は同一か又は異なるものである。実施形態によっては、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)部分を備える。さらなる実施形態において、ポリマーの分子量は、約100Daから約10万Daまで又はそれ以上と幅広いが、これらに限定されるわけではない。さらに別の実施形態において、ポリマーの分子量は約100Daから約10万Daの間で、約10万Da、約95000Da、約90000Da,約85000Da、約80000Da、約75000Da、約70000Da、約65000Da、約60000Da、約55000Da、約50000Da、約45000Da、約40000Da、約35000Da、約30000Da、約25000Da、約20000Da、約15000Da、約10000Da、約9000Da、約8000Da、約7000Da、約6000Da、約5000Da、約4000Da、約3000Da、約2000Da、約1000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、約400Da、約300Da、約200Da、及び、約100Daを含むが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、ポリマー分子量は約100Daから約50000Daの間である。実施形態によっては、ポリマー分子量は約100Daから約40000Daの間である。ポリマー分子量は約1000Daから約40000Daの間である。ポリマー分子量は約5000Daから約40000Daの間である。ポリマー分子量は約10000Daから約40000Daの間である。実施形態によっては、ポリ(エチレングリコール)分子は分岐ポリマーである。さらなる実施形態において、分岐鎖PEGの分子量は1000Daから約10万Daの間で、約10万Da、約95000Da、約90000Da,約85000Da、約80000Da、約75000Da、約70000Da、約65000Da、約60000Da、約55000Da、約50000Da、約45000Da、約40000Da、約35000Da、約30000Da、約25000Da、約20000Da、約15000Da、約10000Da、約9000Da、約8000Da、約7000Da、約6000Da、約5000Da、約4000Da、約3000Da、約2000Da、及び、約1000Daを含むが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、分岐鎖PEGの分子量は約1000Daから約50000Daの間である。実施形態によっては、分岐鎖PEGの分子量は約1000Daから約40000Daの間である。実施形態によっては、分岐鎖PEGの分子量は約5000Daから約40000Daの間である。実施形態によっては、分岐鎖PEGの分子量は約5000Daから約20000Daの間である。実質的に水溶性の骨格に関する前述のリストは完全なものでは決してなく、単に実例として用いたものであり、実施形態によっては、上記性質を有するポリマー材料は本明細書に記載の方法及び構成で適切に用いられる。
さらなる実施形態において、本明細書に記載のキナーゼインヒビター及びレポーター部分と結合する水溶性ポリマーの数を調節して、生体内の半減期などの薬理学的、薬物動態学的又は薬力学的特徴を変化させる(増やす又は減らすことも含まれるが、これらに限定されるものではない)。実施形態のなかには、活性プローブの半減期が水溶性リンカーを持たない活性プローブの少なくとも約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90%、約2倍、約5倍、約10倍、約50倍、又は少なくとも約100倍のものもある。
さらなる実施形態において、レポーター部分は、標識、染料、光架橋、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、抗体又は抗体断片、生体材料、ナノ粒子、スピン標識、フルオロフォア、金属含有部分、放射性部分、新規な官能基、他の分子と共有結合的に又は非共有結合的に相互作用する基、フォトケージ部分、化学線の励起部分、リガンド、光異性化部分、ビオチン、ビオチン類似物、重原子を包含する部分、化学的に切断可能な基、光切断可能な基、酸化還元活性剤、同位体で標識された部分、生物物理学的プローブ、リン光基、化学発光基、電子密度の高い基、磁性基、挿入基、発色団、エネルギー伝達剤、生理活性物質、検出可能な標識、又は、これらの組み合わせからなる群から選択される。
別の実施形態において、レポーター部分はフルオロフォアである。さらなる実施形態において、フルオロフォアは以下からなる群から選択される。すなわち、BODIPY 493/503, BODIPY FL, BODIPY R6G, BODIPY 530/550, BODIPY TMR, BODIPY 558/568, BODIPY 564/570, BODIPY 576/589, BODIPY 581/591, BODIPY TR, フルオレセイン、 5(6)-カルボキシフルオレセイン、 2 ,7 -ジクロロフルオレセイン、 N,N-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-3,4:9,10-ペリレンビス(ジカルボキシイミド, HPTS, エチルエオシン, DY-490XL MegaStokes, DY-485XL MegaStokes, Adirondack Green 520, ATTO 465, ATTO 488, ATTO 495, YOYO-1, 5-FAM, BCECF, BCECF , ジクロロフルオレセイン, ローダミン 110, ローダミン 123, ローダミン Green, YO-PRO-1, SYTOX Green, Sodium Green, SYBR Green I, Alexa Fluor 500, FITC, フルオ-3, フルオ-4, フルオロ-エメラルド, YoYo-1 ssDNA, YoYo-1 dsDNA , YoYo-1 , SYTO RNASelect, Diversa Green-FP , Dragon Green, EvaGreen, Surf Green EX, Spectrum Green, Oregon Green 488, NeuroTrace 500525, NBD-X, MitoTracker Green FM, LysoTracker Green DND-26, CBQCA, PA-GFP (活性後), WEGFP (活性後), FlASH-CCXXCC, Azami Green monomeric, Azami Green, EGFP (Campbell Tsien 2003), EGFP (Patterson 2001), フルオレセイン,Kaede Green, 7-ベンジルアミノ-4-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール, Bex1, ドキソルビシン, Lumio Green, 及び SuperGlo GFPである。
さらなる実施形態において、フルオロフォアは以下からなる群から選択される。すなわち、BODIPY 493/503, BODIPY FL, BODIPY R6G, BODIPY 530/550, BODIPY TMR, BODIPY 558/568, BODIPY 564/570, BODIPY 576/589, BODIPY 581/591, and BODIPY TRである。さらに別の実施形態において、フルオロフォアはBODIPY FLである。特定の実施形態において、フルオロフォアはBODIPY530ではない。さらに、別の実施形態において、フルオロフォアは約500から約600nmの最大励起を有する。実施形態によっては、フルオロフォアは約500から約550nmの最大励起を有する。他の実施形態においては、フルオロフォアは約550から約600nmの最大励起を有する。さらに別の実施形態においては、フルオロフォアは約525から約575nmの最大励起を有する。他の実施形態においては、約510から約670nmの発光極大を有する。別の実施形態においては、約510から約600nmの発光極大を有する。さらなる実施形態においては、約600から約670nmの発光極大を有する。他の実施形態においては、約575から約625nmの発光極大を有する。
ほんの一例として、及び、実施形態おいて、化合物2のような化合物の観察された能力、選択性、及び細胞透過性は、このような分子を、キナーゼを標的にした、活性に基づくプローブに混合するために適切であり、このプローブによって無傷細胞でのキナーゼの活性を直接的に視覚化することが可能となる。100以上のキナーゼパネルに対するプロファイリングは、化合物2がBtkを含むTecファミリーキナーゼだけでなくSrcファミリーキナーゼにも高能力及び高選択性であることを示している。本明細書に記載の構成及び方法の範囲を制限することなく、選択性の構造的基盤が、Tecファミリー又はその他複数のキナーゼのATP結合ポケットで保存される非触媒システイン残基(BtkのCys481)の共有結合的な修飾であることを主張している。
しかしながら、他の実施形態においては、キナーゼのATP結合ポケット内の非触媒システイン残基と結合する任意の不可逆的キナーゼインヒビターが、本明細書に記載の化合物及び方法で用いられる。
<例示的な活性プローブの一般適合性及び特徴>
本明細書に記載の構成の範囲を限定することなく、事例となるプローブは、ピペラジンのリンカーを介して不可逆的なインヒビターにBodipyFLフルオロフォアを付着させることによって合成された。ピペラジンリンカーはプローブの水溶性を維持するために役立つとともに、フルオロフォア及びピラゾロピリミジンコア間の空間的分離を提供した。
実施形態によっては、形成された結合は安定した結合である。他の実施形態においては、共役が2つの構成要素を備える場合、リンカー部分は結合を形成し、実施例によっては、安定した結合はキナーゼ阻害部分とレポーター部分との間で安定した結合を形成する。実施形態のなかには、リンカー部分が安定し、キナーゼ阻害部分とレポーター部分との間の距離を制御及び決定するための手段を提供するものもある。さらに、実施形態によっては、プローブの水溶性が維持されるようにリンカー部分が選択される。実施形態によっては、リンカー部分はピペラジニル部分である。さらなる実施形態において、ピペラジニルに基づく結合は化合物を含むピペラジンを用いて形成される。別の実施形態において、第一構成要素及び第二構成要素間の長さがリンカーの疎水性及び親水性と同様に制御されるように、リンカー部分を構成するユニットの数及び順番が選択される。
本明細書の文脈上、空間的隔離とは熱化学的及び光科学的に非活性な距離を形成する基のことを言い、実施形態によっては、先に定義された種類の2以上の異なる部分を接続するために用いられる。他の実施形態において、スペーサーは疎水性、親水性、分子の屈曲性及び長さを含む様々な特徴に基づいて選択される。したがって、実施形態によっては、スペーサーは、酸素原子、窒素原子、及び/又は硫黄原子などのような1以上のヘテロ原子によって任意に遮断又は断ち切られた炭素原子鎖を備える。実施形態によっては、したがって、スペーサーは1以上のアミド、エステル、アミノ、エーテル、及び/又はチオエーテル機能基、及び任意の芳香族の又は単/多価不飽和油脂炭化水素、ポリエチレングリコールのようなポリオキシエチレン、ポリ‐α‐アラニン、ポリグリシン、ポリリシン、及びペプチド(一般的にはオリゴ糖、オリゴ/ポリリン酸塩)などのオリゴ/ポリアミドを備える。さらに、他の実施形態において、スペーサーはこれらの組み合わせたユニットを備える。さらなる実施形態において、活性プローブの活性/機能的な部分の所望又は必要な配置及び空間的定位を考慮して、スペーサーの長さは変化する。
実施形態によっては、本明細書に記載の構成の範囲を限定することなく、レポーター部分がBodipyである。本明細書の文脈上、レポーター部分という用語は、それ自体又は検出列の一部のいずれかによって検出可能な基のことをいう。
実施形態によっては、本明細書に記載の標識化された活性プローブは、以下の1以上の手順によって精製される。該手順は、親和性クロマトグラフィ、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィ(DEAE SEPHAROSEを用いるとともに含むが、これに限定されることはない)、シリカ上でのクロマトグラフィ、逆相HPLC、ゲルろ過(SEPHADEX−G-75を用いるとともに含むが、これに限定されるわけではない)、疎水性相互作用クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、金属キレート・クロマトグラフィ、限外ろ過/膜分離法、エタノール沈澱、硫酸アンモニウム沈澱、クロマト分画、置換クロマトグラフィ、電気泳動の手順(予備の等電点電気泳動法を含むが、これに限定されるわけではない)、示差溶解度(硫安沈澱を含むがこれに限定されるわけではない)、又は、抽出を含むが、これらに限定されるわけではない(Protein purification methods, a practical approach (Harris & Angal, Eds.) IRL Press 1989, 293-306)。
1つの態様において、反応部分のキナーゼの活性部位に対するアクセシビリティを確認する迅速な1つの手段として、選択されたキナーゼのパネルに対するプローブの生体内のインヒビターの能力が試験される。ほんの一例としてのみ、非経口である化合物2のプローブよりも能力は小さいけれども、化合物3の例示的なプローブはBtk(IC50〜90nM)に対する能力を保有している。したがって、ピペラジンリンカー及びBodipyフルオロフォアは例示的なプローブの酵素活性部位に対するアクセシビリティを重篤に損なわせるものではない。
本明細書に記載の活性プローブは非触媒Cys481でキナーゼを標識化し、実施形態によっては、プローブの標識化は触媒機構それ自体を必要とするものでもない。そのようなものとして、活性プローブは酵素触媒機構を直接標的とする標準的な活性に基づいたプローブとは異なる。実施形態によっては、キナーゼはリン酸化反応に依存した立体構造変化を行う。この構造変化はATP結合及びキナーゼの活性化に密接に共役している。実施形態によっては、プローブによる効果的な標識化は、細胞中のキナーゼを直接的に検出するために、
キナーゼが活性立体配座にあることを必要とする。他の実施形態において、活性プローブよる効果的な標識化は、細胞中のキナーゼの活性を検出するために、キナーゼが活性立体配座にあることを必要とはしない。
<不可逆的なインヒビター化合物の治療上の使用>
本明細書には、疾患の治療のための方法、構成、使用、及び、薬剤が記載され、ACKの不可逆的なインヒビターを必要とする患者に投与する段階を備えている。実施形態によっては、ACKはBtkまたはBtk相同体である。さらなる実施形態において、ACKはBlk又はBlk相同体である。さらに別の実施形態において、ACKはシステイン残基を有することによってBtkと相同体を共有するチロシンキナーゼであり、このシステイン残基は不可逆的なインヒビターと共有結合を形成可能である(図7のタンパク質キナーゼを参照されたい)。
本明細書に記載の方法(病気及び疾患を治療するために医薬組成物を使用する段階、又は、病気及び疾患を治療するために薬剤を形成する段階を備える)は、本明細書に記載の1以上の不可逆的Btkインヒビター化合物を治療に必要な量だけ含有する組成物を対象に投与する段階を含む。理論に制約されることなく、B細胞受容体の活性化などの様々な造血細胞の機能でのBtkシグナル伝達によって果たされる多様な役割によって、小分子のBtkインヒビターは、造血系の多くの細胞の種類に影響を受ける又は影響を与える様々な病気を治療するリスクを減らすのに有用であるということが示されている。この様々な病気とは、例えば、自己免疫疾患、異種免疫状態または疾患、炎症性疾患、癌(例えば、B細胞の増殖性疾患)、及び、血栓塞栓症疾患などが挙げられる。
実施形態によっては、自己免疫性疾患又は状態を治療するための方法は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のBtk(又はBtk相同体)の任意の不可逆的なインヒビターの医薬製剤を必要とする患者に投与する段階を備えている。このような自己免疫性疾患又は状態は以下を含むが、これらに限定されるわけではない。すなわち、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形関節炎、スチル病、若年性関節炎、ループス、糖尿病、重症筋無力症、橋本病、オード甲状腺炎、グレイヴズ病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性能脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、突発性血小板減少性紫斑症、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免役溶血性貧血、ヴェーゲナー肉芽腫症、乾癬、全身脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自立神経障害、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、強皮症又は外陰部痛である。実施形態によっては、実施例の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ及びパルス投与」の実施例1cの表2に示された任意の化合物は前述の不可逆的なインヒビターである。実施例によっては、自己免疫性疾患は関節リウマチ又はループスから選択される。
実施形態によっては、異種免疫に関する疾患及び状態を治療するための方法は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のBtk(又はBtk相同体)の任意の不可逆的なインヒビターの医薬製剤を必要とする患者に投与する段階を備えている。そのような異種免疫疾患又は状態は以下を含むが、これらに限定されるわけではない。すなわち、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例えば、花粉、ラテックス、薬剤、食物、昆虫毒、獣毛、動物の鱗屑、イエダニ、又はゴキブリの杯状器官に対するアレルギー、)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、及び、アトピー性皮膚炎である。実施形態によっては、実施例の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ及びパルス投与」の実施例1cの表2に示された任意の化合物は前述の不可逆的なインヒビターである。
実施形態によっては、癌を治療するための方法は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のBtk(又はBtk相同体)の任意の不可逆的なインヒビターの医薬製剤を必要とする患者に投与する段階を備えている。このようなB細胞増殖性疾患などの癌は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、B細胞性前リンパ性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔原発びまん性硬化型B細胞性大細胞型リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体腔性リンパ腫、バーキットリンパ腫/バーキット白血病、又はリンパ腫様肉芽腫症である。実施形態によっては、実施例の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ及びパルス投与」の実施例1cの表2に示された任意の化合物は前述の不可逆的なインヒビターである。実施形態の中には、癌がB型細胞増殖性疾患であることもある。さらに別の実施形態において、B型細胞増殖性疾患はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、又は慢性リンパ性白血病である。
実施形態によっては、マスト細胞症を治療するための方法は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のBtk(又はBtk相同体)の任意の不可逆的なインヒビターの医薬製剤を必要とする患者に投与する段階を備えている。マスト細胞症は活動亢進的なマスト細胞によって特徴づけられるが、これに限定されるわけではない。実施形態によっては、実施例の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ及びパルス投与」の実施例1cの表2に示された任意の化合物は前述の不可逆的なインヒビターである。
実施形態によっては、骨粗しょう症又は骨吸収疾患を治療するための方法は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のBtk(又はBtk相同体)の任意の不可逆的なインヒビターの医薬製剤を必要とする患者に投与する段階を備えている。骨吸収は骨パジェット病、骨粗しょう症、及び、乳癌によって骨髄腫及び転位癌などで起こる癌に続発する骨変化を含むが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、実施例の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ及びパルス投与」の実施例1cの表2に示された任意の化合物は前述の不可逆的なインヒビターである。
実施形態によっては、炎症性疾患を治療するための方法は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のBtk(又はBtk相同体)の任意の不可逆的なインヒビターの医薬製剤を必要とする患者に投与する段階を備えている。炎症性疾患は以下を含むが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ぜんそく、炎症性腸疾患、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚炎、胆管炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、咽頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋肉炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心外膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、及び、外陰部炎である。実施形態によっては、実施例の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ及びパルス投与」の実施例1cの表2に示された任意の化合物は前述の不可逆的なインヒビターである。
さらなる実施形態において、ループスを治療するための方法は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシンキナーゼ相同体のシステイン側鎖と共有結合する化合物を治療に有効な量含有する組成物を必要な対象に投与する段階を含む。
さらに別の実施形態において、異種免疫性疾患又は状態を治療するための方法は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシンキナーゼ相同体のシステイン側鎖と共有結合する化合物を治療に有効な量だけ含有する組成物を投与する段階を含む。そのような異種免疫性疾患又は状態は、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例えば、花粉、ラテックス、薬剤、食物、昆虫毒、獣毛、動物の鱗屑、イエダニ、又はゴキブリの杯状器官に対するアレルギー、)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、又はアトピー性皮膚炎である。
さらに別の実施形態において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病を治療するための方法は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシンキナーゼ相同体のシステイン側鎖と共有結合する化合物を治療に有効な量含有する組成物を必要な対象に投与する段階を含む。
さらに別の実施形態において、マスト細胞症を治療するための方法は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシンキナーゼ相同体のシステイン側鎖と共有結合する化合物を治療に有効な量含有する組成物を必要な対象に投与する段階を含む。
さらに別の実施形態において、骨粗しょう症又は骨吸収疾患を治療するための方法は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシンキナーゼ相同体のシステイン側鎖と共有結合する化合物を治療に有効な量含有する組成物を必要な対象に投与する段階を含む。
さらに別の実施形態において、炎症性疾患又は状態を治療するための方法は、ブルトンチロシンキナーゼ又はブルトンチロシンキナーゼ相同体のシステイン側鎖と共有結合する化合物を治療に有効な量含有する組成物を必要な対象に投与する段階を含む。
さらなる実施形態において、自己免疫性疾患又は状態を治療するための方法は、Btk又はBtk相同体のシステイン側鎖と共有結合する化合物を治療に有効な量含有する組成物を必要な患者に投与する段階を含む。適切な化合物は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)の化合物を含む。そのような自己免疫性疾患又は状態は以下を含むが、これらに限定されるわけではない。すなわち、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形関節炎、スチル病、若年性関節炎、ループス、糖尿病、重症筋無力症、橋本病、オード甲状腺炎、グレイヴズ病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性能脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、突発性血小板減少性紫斑症、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免役溶血性貧血、ヴェーゲナー肉芽腫症、乾癬、全身脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自立神経障害、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、強皮症、及び、外陰部痛である。実施形態によっては、実施例の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ及びパルス投与」の実施例1cの表2に示された任意の化合物は前述の不可逆的なインヒビターである。実施形態によっては、自己免疫性疾患は関節リウマチ又はループスから選択される。
さらなる実施形態において、B型細胞増殖性疾患を治療するための方法は、Btk又はBtk相同体のシステイン側鎖と共有結合する化合物を治療に有効な量含有する組成物を必要な患者に投与する段階を含む。適切な化合物は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)の化合物を含む。そのようなB型細胞増殖性疾患は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病を含む。実施形態によっては、実施例の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ及びパルス投与」の実施例1cの表2に示された任意の化合物は前述の不可逆的なインヒビターである。
さらなる実施形態において、炎症性疾患又は状態を治療するための方法は、Btk又はBtk相同体のシステイン側鎖と共有結合する化合物を治療に有効な量だけ含有する組成物を必要な患者に投与する段階を含む。適切な化合物は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)の化合物を含む。炎症性疾患は以下を含むが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ぜんそく、炎症性腸疾患、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚炎、胆管炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、咽頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋肉炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心外膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、及び、外陰部炎である。実施形態によっては、実施例の「キナーゼインヒビターの発見のきっかけ及びパルス投与」の実施例1cの表2に示された任意の化合物は前述の不可逆的なインヒビターである。
さらに、本明細書に記載の不可逆的なインヒビター化合物は、不可逆的なインヒビターと共有結合を形成可能なシステイン残基を有することによって、Btkと相同体を共有する他のチロシンキナーゼの小集団を阻害するために使用可能である。例えば、図7のタンパク質キナーゼを参照されたい。したがって、Btk以外のチロシンキナーゼの小集団も、様々な健康状態にある治療標的として有用であると予想される。この様々健康状態とは、
・自己免疫性疾患(関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形関節炎、スチル病、若年性関節炎、ループス、糖尿病、重症筋無力症、橋本病、オード甲状腺炎、グレイヴズ病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性能脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、突発性血小板減少性紫斑症、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免役溶血性貧血、ヴェーゲナー肉芽腫症、乾癬、全身脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自立神経障害、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、強皮症、及び、外陰部痛を含むが、これらに限定されるわけではない。)
・異種免疫性疾患又は状態(移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例えば、花粉、ラテックス、薬剤、食物、昆虫毒、獣毛、動物の鱗屑、イエダニ、又はゴキブリの杯状器官に対するアレルギー、)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、及び、アトピー性皮膚炎を含むが、これらに限定されるわけではない)
・炎症性疾患(ぜんそく、炎症性腸疾患、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚炎、胆管炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、咽頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋肉炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心外膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、及び、外陰部炎を含むが、これらに限定されるわけではない。)
・癌(例えば、B細胞増殖性疾患。このB細胞増殖性疾患は、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、B細胞性前リンパ性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔原発びまん性硬化型B細胞性大細胞型リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体腔性リンパ腫、バーキットリンパ腫/バーキット白血病、及び、リンパ腫様肉芽腫症を含むが、これらに限定されるわけではない。)
・血栓塞栓性疾患(心筋梗塞、狭心症(不安定狭心症を含む)、血管形成バイパス又は大動脈冠動脈バイパス後の再閉塞又は再狭窄、発作、一過性虚血、抹消動脈閉塞疾患、肺血栓、及び、深部静脈血栓症を含むが、これらに限定されるわけではない。)
・マスト細胞症(活動亢進的なマスト細胞によって特徴づけられる疾患を含むが、これらに限定されるわけではない。)
・骨吸収疾患(骨パジェット病、骨粗しょう症、及び、乳癌によって骨髄腫及び転位癌などで起こる癌に続発する骨変化を含むが、これらに限定されるわけではない。)
上記の状態の各々に対する兆候、診断検査、及び、予後審査、は、例えば、"Harrison’s Principles of Internal Medicine," 16th ed., 2004, The McGraw-Hill Companies, Inc. Dey et al. (2006), Cytojournal 3(24), and the "Revised European American Lymphoma" (REAL) classification system (例えば、国立癌研究所のウェブサイトを参照されたい)を含む。
様々な動物モデルは、前述の疾患の任意のものを治療するための不可逆的なBtkインヒビター化合物を含む不可逆的なインヒビターの治療に有効な用量を確立するために有用である。例えば、本明細書においては、実施例の「治療上の使用」の実施例1−4に言及されてある。同様に、例えば、自己免疫性疾患を治療するための不可逆的なBtkインヒビター化合物の投与量は、関節リウマチに罹ったマウスモデルで見積もることが可能である。このマウスモデルでは、抗コラーゲン抗体及びリポ多糖体を投与することによって、関節炎がBALB/cマウス内で誘発される。Am. J. Pathol 163:1827-1837, Nandakumar et al. (2003)を参照されたい。他の実施例としては、B型細胞増殖性疾患の治療に用いる不可逆的なインヒビターの投与量は、例えば、ヒトのリンパ腫細胞(例えば、ラモス細胞(Ramos cell))が免疫不全マウス(Pagel et al. (2005)に記載されている。例えば、ヌードマウス)に注入されるヒト−マウスの異種移植モデルで調査可能である。血栓塞栓症疾患の治療に用いるアニマルモデルも同様に周知である。
ある実施形態において、前述の疾患の1つに対する化合物の治療上の有効性は、治療工程中に最適化される。例えば、治療される対象は、任意で診断評価を受けることによって、病気の徴候又は疾患病状の除去を、所定量の不可逆的なBtk インヒビターを投与することによって得られる生体内のBtk活性の阻害と関連付ける。細胞の分析は、不可逆的なインヒビターの存在下又は不在下におけるBtkの生体内活性を決定するために用いられる。例えば、活性Btkはチロシン223(Y223)、及び、チロシン551(Y551)でリン酸化されるため、P−Y223又はP−Y551の陽性細胞のリン酸化型特異的な免疫細胞化学的染色を用いて、細胞集団(例えば、Nisitani et al. (1999), Proc. Natl. Acad. Sci, USA 96:2221-2226を参照されたい)内のBtkの活性化を検出又は数値で表す。したがって、対象に投与されるBtkインヒビター化合物の量は、対象の病状を治療するための適切なBtk阻害を維持するよう、必要に応じて任意で増減する。
ある実施例において、不可逆的なACKインヒビター(例えば、化式(I)の化合物を含む)に対する患者の反応を決定するために適切なバイオマーカーを同定するための方法は、B型細胞受容体シグナル及び関連するB型細胞受容体シグナルをアポトーシスで阻害するのに十分な不可逆的なACKインヒビター(例えば、化式(I)の化合物を含む)の量を含む組成物を対象に投与する段階を含む。別の又はさらなる実施形態において、不可逆的なACKインヒビター(例えば、化式(I)の化合物を含む)を用いるリンパ腫の治療を受ける患者を選択する方法は、患者サンプルのpErk又はErkの転写標的レベルを測定する段階、及び、高レベルの転写標的と治療に対する陽性反応とを相関させる段階を備える。別の又はさらなる実施形態において、患者の治療に対する反応を測定するための方法は、患者に不可逆的なACKインヒビター(例えば、化式(I)の化合物を含む)を投与する段階と、患者サンプルのpErk又はErkの転写標的レベルを測定する段階、及び、転写標的のレベルの低下と不可逆的なACKインヒビター(例えば、化式(I)の化合物を含む)投与に対する陽性反応とを相関付ける段階を備える。
<併用療法>
本明細書に記載の不可逆的なBtkインヒビター組成物は、治療を受ける状態に対して価値があると選択された他の周知の治療用薬剤と併用することも可能である。一般的に、本明細書に記載の(及び、併用療法が用いられている実施形態の)組成物及び他の薬剤は同じ医薬組成物で投与されてはならず、さらに、物理的又は化学的特徴が異なることから、これらの組成物又は薬剤は任意で別の投与法で投与されなければならない。例えば、確立された手順に従って、最初の投与を行った後は、観察された投与効果、容量、方法、及び投与時間に基づいて修正される。
特定の実施例において、本明細書に記載の少なくとも1つのBtkインヒビター化合物を別の治療薬と併用して投与することは適切なことである。ほんの一例として、本明細書に記載の不可逆的なBtkインヒビター化合物のひとつを服用後、患者にみられる副作用のひとつが嘔吐である場合、最初の治療薬と併用して嘔吐抑制剤を処方することが適切である。または、ほんの一例として、本明細書に記載の化合物の1つの治療上の効果は、アジュバント(例えば、それ自体は最小限の治療上の効果しかないが、他の治療薬と併用することによって患者に対する全体的な治療効果は上がる)の投与によって高められる。また、ほんの一例として、患者に見られる有用性は、本明細書に記載の化合物の1つを、治療的に有用な別の治療薬(治療計画を含む)とともに投与することによって、高まる。いずれの場合でも、病気、疾患、又は治療される状態の如何にかかわらず、実施形態によっては、患者にみられる効果は2つの治療薬を単に添加したことによるものであって、他の実施例においては、患者は相乗的な効果を得ている。
用いられる化合物の特異的な選択は、主治医の診断、及び、患者の状態及び適切な治療手順の把握に依存している、化合物は疾患、障害、状態の特徴、患者の容態、及び、用いられる化合物の現実的な選択次第で、任意で同時投与(例えば、同時に、ほぼ同時に、又は同じ治療手順中に)されるか又は逐次投与される。投与順の決定、及び、治療手順中の各治療薬の繰り返し投与数の決定は、治療される病気の診断、及び患者の状態に基づく。
治療に有効な投与量は、薬剤が併用治療に用いられる際に変更可能である。治療計画と組み合わせて用いる薬剤及び他の化学物質の治療に有効な容量を実験的に決定するための方法が以下に記載されている。例えば、メトロノームのような投薬、つまり、中毒性の副作用を最小化するために、低用量で頻繁に投与する方法は文献中の併用療法に広く記載されており、この併用療法はさらに、患者の臨床管理に役立つよう異なる時間に開始・終了する定期的な治療を含む。
本明細書に記載の併用治療に関して、共に投与する化合物の投与量は、当然のことながらともに用いられる薬剤の種類、用いられる特定の薬剤、治療する病気及び状態によって変更する。さらに、1以上の生理活性物質とともに投与する際、本明細書に記載の化合物はその生理活性物質と同時に投与するか、又は逐次的に投与するかのいずれかである。逐次的に投与する際、主治医は生理活性物質とともにタンパク質を投与する適切な順序を決定する。
いかなる場合でも、複数の治療薬(本明細書に記載の(A1−A6)、(B1−B6)、(C1−C6)、又は(D1−D6))は任意で、いかなる順序で又は同時に投与する。同時に投与する際には、複数の治療薬は単一の統一的形状、又は複数の形状(ほんの一例として、1つの錠剤又は2つの異なる錠剤として)で任意に提供される。治療薬の1つが複数回投与されても構わないし、複数の治療薬が複数回投与されても構わない。同時に投与されない場合には、複数回の投与間のタイミングは0週間から4週間以内で変わる。加えて、方法、組成物、処方の組み合わせは2つの薬剤のみの使用に限定されるわけではない。すなわち、複数の治療方法の組み合わせを用いることも同様に想定されている。
症状の緩和が必要な状態を治療する、妨げる、改善するための投薬計画は、さまざまな因子に従って修正可能である。このような因子は患者が苦しんでいる疾患から、年齢、体重、性別、食事、及び患者の医学的状態も含む。したがって、実施の際に用いられる投薬計画は広範に変更可能であり、それゆえ、本明細書で説明される投薬計画から逸脱可能である。
本明細書に記載の併用療法を補う薬剤は、ほぼ同時に投与するよう意図された組み合せの投薬形態、又は別の投薬形態でもかまわない。併用療法を補う薬剤も、2段階の投与を要求する投薬計画によって投与される治療化合物とともに逐次的に投与されてもかまわない。2段階の投薬計画は活性薬剤の逐次的な投薬、又は別の活性薬剤の間隔を置いた投薬を要求することもある。複数回の投与段階間の時間は、各薬剤の特性(薬剤の効能、溶解度、生物学的利用能、血中濃度半減期、及び、動力学的プロファイル)次第で、数分間から数時間に及ぶ。標的分子の濃度の日内変動が最適な投薬間隔を決定することもある。
さらに、本明細書に記載の化合物も、患者に付加的又は相乗的な効果を与える手順と組み合わせて任意で用いる。ほんの一例として、患者は本明細書に記載の方法における治療上の効果及び/又は予防的な効果を発見することが期待される。本明細書に記載の化合物医薬組成物及び/又は併用療法は、遺伝子検査と組み合わせることによって、当の患者が特定の疾患又は状態と相関すると知られている突然遺伝子変異の保有者であるかどうかが決定される。
本明細書に記載の化合物及び併用療法は、疾患又は状態が発症前後、又はその最中に投与可能であり、化合物を含有する組成物の投与タイミングは変更可能である。したがって、例えば、疾患又は状態の発症を防ぐために、状態又は病気を進展させる傾向を有する患者に対して、化合物は予防策として使用可能であるとともに連続的に投与可能である。化合物及び組成物は、症状の発現中、又は発現後可能な限り早く患者に投与可能である。化合物の投与は、症状の発現後最初の48時間以内、症状の発現後最初の6時間以内、又は、症状の発現後3時間以内に開始可能である。最初の投与は、静脈注射、静脈内ボーラス、5分から5時間の点滴、錠剤、カプセル、経皮貼付、口腔伝達などの実用的な投与法を介して行うことが可能である。疾患又は状態の発現が検出された後又は疑われた後、及び、その病気の治療に必要な時間の間(例えば、約1か月から3カ月)、化合物は使用できるようになるとすぐに投与されなければならない。治療期間は各患者によって変更可能で、その長さは周知の基準を用いて決定可能である。例えば、化合物又はその化合物を含有する製剤は、少なくとも2週間、1か月から約5年間、又は約1か月から約3年間、投与可能である。
<不可逆的なインヒビター化合物と組み合わせて用いる典型的な薬剤>
患者が自己免疫疾患、炎症性疾患、又はアレルギー性疾患に苦しんでいるか、又は苦しむ危険性がある際、不可逆的なBtkインヒビター化合物は、任意の組み合わせにおける以下の1以上の薬剤を用いて使用可能である。すなわち、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、シクロスポリン、ラパマイシン、メトトレキサート、シクロフォスファミド、アザチオプリン、メルカプトプリン、ミコフェノール、又はFTY720)、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、サリチル酸塩、アリールアルカン酸、2−アリールプロピオン酸、N−アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、又はスルホンアニリド)、COX−2−特異的インヒビター、(例えば、バルデコキシブ、セレコキシブ、又は、ロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、アロフィナ、スルファサラジンTNF−α結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、又は、アダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン、β作用薬、テオフィリン、抗コリン作用薬、又は他の選択的なキナーゼインヒビター(例えば、p38インヒビター、Sykインヒビター、PKCインヒビター)である。
患者がB細胞増殖性疾患(例えば、形質細胞性骨髄腫)に苦しんでいるか、苦しむ危険性がある場合、1以上の抗癌剤を組み合わせて不可逆的なBtkインヒビター化合物で患者を治療することが可能である。実施形態によっては、1以上の抗癌剤はアポトーシスを促進する薬剤である。抗癌剤の実施例は、以下の任意のものを含むが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ゴシポール、ジェナセンセ、ポリフェノールE、クロロフシン、すべてのトランス−レチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、5−アザ−2’デオキシシチジン、すべてのトランス−レチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ、(Gleevec、商標)、ゲルダナマイシン、17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY11−7082、PKC−412、又はPD184352、Taxol(商標)(パクリタキセルとも呼ばれる。周知の抗癌剤で、微小管形成を向上・安定させることによって働く)、及び、Taxotere(商標)などのTaxol(商標)の相同体である。基本構造特徴として基本的なタキサン骨格を有する化合物は、安定化した微小管ゆえにG2−M中で細胞を停止させる能力を有することが示されており、本明細書に記載の化合物と組み合わせて癌治療に役立つ。
不可逆的なBtkインヒビター化合物と組み合わせて用いる抗癌剤のさらなる実施例は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナル伝達(例えば、U0126, PD98059, PD184352, PD0325901, ARRY-142886, SB239063, SP600125, BAY 43-9006, ワートマニン、又は LY294002; Syk インヒビター; mTOR インヒビター; 及び、抗体 (例えばリツキサン(商標))を含む。
不可逆的なBtkインヒビター化合物と組み合わせて使用可能な他の抗がん剤は、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アクチビン、アクラルビシン、アコダゾール塩酸塩、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、アメタントロン酢酸塩、アミノグルテチミド、アムサクリン、、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラキナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、ビサントレン塩酸塩、ビスナフィドジメシラート、ビゼレシン、ブレオマイシン硫酸塩、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カベルチマー、カルボプラチン、カルムスチン、カルビシン塩酸塩、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロランブシル、シロレマイシン、クラドリビン、クリスナトールメシレート、シクロフォスファミド、シタラビン、ダカルバジン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、デザグアニンメシレート、ジアジクォン、ドキソルビシン、ドキソルビシン塩酸塩、ドロキシフェン、ドロキシフェンクエン酸塩、プロピオン酸ドロモスタノロン、ズアゾマイシン、エダトキレサート、エフロルニチン塩酸塩、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロマート、エピプロピジン、エピルビシン塩酸塩、エルブロゾール、塩酸エソルビシン、エストラムスチン、エストラムスチンリン酸エステルナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、エトポシドフォスフェイト、エトプリン、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、フォストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、ゲムシタビン塩酸塩、ヒドロキシウレア、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモフォシン、インターロイキンII(組み換えインターロイキンII、又は、rIL2を含む)、インターフェロン・アルファ−2a、インターフェロン・アルファ−2b、インターフェロン・アルファ−nl、インターフェロン・アルファ−n3、インターフェロン・ベータ−la、インターフェロン・ガンマ−la、インターフェロン・ガンマ−lb、イプロプラチン、イリノテカン塩酸塩、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール、ロメトレキソルナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン、マソプロコール、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、マイトカルシン、ミトクロミン、ミトギリン、マイトマルシン、マイトマイシン、マイトスパー、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、ペガスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、ペプロマイシン硫酸塩、ペルホスファミド、ピボブロマン、ピポスルファン、塩酸ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン塩酸塩、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、セムスチン、シムトラゼン、スパルフォセートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、テガフール、塩酸テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、トレミフェンクエン酸塩、酢酸トレストロン、トリシビンホスファート、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン、塩酸ツブロゾール、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ビンデシン、ビンデシン硫酸塩、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシネート、硫酸ビンロイロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンシロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、塩酸ゾルビシンである。
不可逆的なBtkインヒビター化合物と組み合わせて使用可能な他の抗がん剤は以下を含む。すなわち、20−エピ−1、25 ジヒドロキシビタミン D3、5−エチニル ウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、全TK拮抗薬、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミフォスチン、アミノレブリン酸、アンルビシン、アンサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生インヒビター、拮抗薬D、拮抗薬G、アントラレリックス、抗背方化形態発生タンパク質−1、抗男性ホルモン、前立腺癌薬、抗女性ホルモン薬、抗ネオプラストン薬、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィディコリングリシン酸塩、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシスレギュレーター、アプリン酸、ara−CDP−DL−PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチ、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザステロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABL拮抗薬、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン、βラクタム誘導体、βアレチン、βアクラマイシンB、ベツリン酸、bFGF阻害薬、ビカルタミド、ビスアントレン、ビスアジリジニルスペルミン、ビスナフィド、ビストラテンA、ビゼルシン、ブレフラート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体、カナリポックス、IL−2、カペシタビン、カルボキサミド−アミノ−トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN 700、軟骨抽出インヒビター、カルゼレシン、カゼインキナーゼインヒビター、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリックス、クロルルン、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、cis−ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クランベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、キュラシンA、シクロペントアントラキノン、シクロプラタム、シペマイシン、シタラビンオクホスファート、細胞溶解性因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスファミド、デキスラゾキサン、デキスベラパミル、ジアジコン、ディデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ−5−アザシチジン、ジヒドロタキソール、9−ジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ドコサノール、ドラステロン、ドキシフルリジン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エベスレン、エコムスチン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン、エミテフル、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲン作動薬、エストロゲン拮抗薬、エタニダゾール、エトポシド燐酸塩、エキセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチン、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、フルオロダウノルニシン塩酸塩、ホルフェニメキス、ホルメスタン、ホストリエシン、ホテムスチン、ガドリニウムテキサヒドリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリックス、ゼラチナーゼインヒビター、ゲムシタビン、グルタチオンインヒビター、ヘプスルファム、ヘルグリン、ヘキサメチレンビスアセタミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモフェシン、イロマスタット、イミダゾアクリドン、イミキモド、免疫刺激性ペプチド、インスリン様増殖因子−1受容体インヒビター、インターフェロン作動薬、インターフェロン、インターロイキン、イオベングアン、ヨードドキソルビシン、イポメアノール、4−;イロプラクト、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、ラメラリン−N−トリアセタート、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチン、レンチナン硫酸塩、レプトールスタチン、レトロソール、白血病抑制因子、白血球αインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、ロイプロレリン、レバミソール、リラロゾール、直鎖ポリアミン類似体、親油性二糖ペプチド、親油性白金化合物、リッソクリナミド7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメトレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロバスタチン、ロキソリビン、ルルトテカン、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン、溶解性ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコル、マスピン、マトリリシンインヒビター、マトリックスメタロプロテイナーゼインヒビター、メノガリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIFインヒビター、ミフェプリストーン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミスマッチ2本鎖RNA、ミトグアゾーン、ミトラクトール、マイトマイシン類似体、ミトナフィド、ミトトキシン繊維芽細胞増殖因子−サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチン、モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、モノホスホリル脂質A+マイコバクテリウム細胞壁 sk、モジダモル、多剤耐性遺伝子インヒビター、多発性腫瘍サプレッサー1に基づく治療法、マスタード抗癌薬、マイカペルオキシドB、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン、N−アセチルジナリン、N−置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチプ、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン、一酸化窒素モジュレーター、窒素酸化物抗酸化薬、ニトルリン、O−6−ベンジルグアニン、オクトレチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダセトロン、オンダセトロン、オラシン、経口サイトカインインデューサー、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキサウノマイシン、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペガスパルガーゼ、ペルデシン、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルホスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、フェニル酢酸塩、ホスファターゼインヒビター、ピシバニル、ピロカルピン塩酸塩、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター、白金錯体、白金化合物、白金−トリアミン錯体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビスアクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソームインヒビター、タンパク質Aに基づく免疫調節薬、タンパク質キナーゼCインヒビター、タンパク質キナーゼCインヒビター(微細藻類の)、タンパク質チロシンホスファターゼインヒビター、プリンヌクレオシドホスホリラーゼインヒビター、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン複合体、raf拮抗薬、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター、rasインヒビター;ras−GAPインヒビター;脱メチル化レテルリプチン、レニウムRe186エチドロン酸塩、リゾキシン、リボザイム、RIIレチンアミド、ログレチミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロキニメキス、ルビギノンBL、ルボキシル、サフィンゴール、セントピン、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチン、Sdi 1模倣物、セムスチン、老化誘導インヒビター1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達インヒビター、シグナル伝達モジュレーター、1本鎖抗原結合タンパク質、シゾフィラン、ソブゾキサン、ナトリウムボロカプテート、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルフォシン酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、幹細胞インヒビター、幹細胞***インヒビター、スチピアミド、ストロメライシンインヒビター、スルフィノシン、超活性血管作用性腸ペプチド拮抗薬、スラジスタ、スラミン、スワイソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン、タモキシフェンメチオジト、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフール、テルルラピリリウム、テロメラーゼインヒビター、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、サリブラチン、チオコラリン、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣物、チマルファシン、サイモポエチン受容体作動薬、サイモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、二塩化チタノセン、トプセンチン、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳インヒビター、トレチノイン、トリアセチルウルジン、トリシリビン、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステライド、チロシンキナーゼンヒビター、チルホスチン、UBC インヒビター、ウベニメックス、泌尿生殖器洞誘導増殖インヒビター因子、ウロキナーゼ受容体拮抗薬、バプレオチド、バリオリンB、ベクター系、赤血球遺伝子治療法、ベラレゾル、ベルミン、ベルジン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、ビタキシン、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、及び、ジノスタチンスチマラマーが挙げられる
不可逆的なBtkインヒビター化合物と組み合わせて使用可能な抗がん剤は、さらに、アルキル化剤、代謝拮抗物質、天然物質、又は例えば、ナイトロジェン・マスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロフォスファミド、クロラムブシル等)、アルキルスルホン酸(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン等)、又は、トリアゼン(デカルバジン等)などのホルモンを含む。代謝拮抗物質の実施例は、葉酸相同体(例えば、メトトレキサート)、又はピリミジン相同体(例えば、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)を含むが、これらに限定されるわけではない。
不可逆的なBtkインヒビター化合物と組み合わせて用いる天然物質の例は、ビンカ・アルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、エル・アスパラギナーゼ)、又は、生物反応修飾物質(例えば、インターフェロン・アルファ)を含むが、これらに限定されるわけではない。
不可逆的なBtkインヒビター化合物と組み合わせて用いるアルキル化剤の例は、ナイトロジェン・マスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロフォスファミド、クロラムブシルなど)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン等)、又は、トリアゼン(デカルバジン等)などを含むが、これらに限定されるわけではない。代謝拮抗物質の実施例は、葉酸相同体(例えば、メトトレキサート)、又はピリミジン相同体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)を含むが、これらに限定されるわけではない。
不可逆的なBtkインヒビター化合物と組み合わせて用いるホルモン及び抑制因子の例は、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニル・エストラジオール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン(例えば、フルクタミド)、ゴナドトロピン放出ホルモン類似物質(例えば、ロイプロリド)を含むが、これらに限定されるわけではない。癌の治療又は予防に関して本明細書に記載の方法及び組成物中で使用可能な他の薬剤は、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カーボブラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシウレア)、メチル・ヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質からの抑制剤(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)を含むが、これらに限定されるわけではない。
安定化した微小管ゆえにG2−M期で細胞を停止させることによって活動するとともに、不可逆的なインヒビター化合物と組み合わせて使用可能な抗がん剤の例は、限定されることなく、市販の薬剤や開発中の薬剤を含む。
患者が血栓塞栓性疾患(例えば、脳卒中)に苦しんでいるか、又は苦しむ危険性がある場合、1以上の抗血栓溶解剤と組み合わせて不可逆的なBtkインヒビター化合物と用いて患者を治療可能である。抗血栓溶解剤の実施例は、以下のいずれかを含むが、これらに限定されるわけではない。すなわち、血栓溶解剤(例えば、アルテプラーゼ・アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、又は、組織プラスミノゲン活性化因子)、ヘパリン、チンザパリン、ワルファリン、ダビガトラン(例えば、ダビガトランエテキシラート)、Xa因子インヒビター(フォンダパリヌクス、イドラパリナックス、リバロキサバン、DX−9065a、オタミキサバン、LY517717、又はYM150)、VIIa因子インヒビター、チクロピジン、クロピドグレル、CS−747(プラスグレル、LY640315)、キシメラガトラン、又は、BIBR1048である。
<医薬組成物/医薬製剤>
医薬組成物は、賦形剤及び助剤を含む1以上の物理的に許容される単体を用いる従来のやり方で製造化され、賦形剤及び助剤を含む1以上の物理的に許容される単体は活性化合物を医学的に使用可能な製剤へと処理する段階を促進する。適切な製造化は選択される投与経路次第である。本明細書に記載の医薬組成物の要約は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980; and Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999に記載されている。
本明細書で用いられる医薬組成物は、本明細書に記載の化合物の混合物のことを言う。例えば、この化合物の混合物とは、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、及び/又は賦形剤である。医薬組成物は化合物の有機体への投与を促進する。本明細書に記載の治療法又は使用法を実践する場合には、本明細書に記載の化合物の治療に有効な量が、治療を受ける疾患、障害、又は状態を有する哺乳類に対して医薬組成物の形で投与される。好ましくは、哺乳類はヒトである。この化合物は、化合物の混合物としての1以上の治療薬と組み合わせて又は単独で使用可能である。
本明細書に記載の医薬製剤は複数の投与経路によって対象に投与可能である。この投与経路は、経口投与経路、非経口投与経路(例えば、静脈内経路、皮下経路、筋肉内経路)、鼻腔内投与経路、口腔投与経路、局所投与経路、直腸投与経路、経皮投与経路を含むが、これらに限定されるわけではない。本明細書に記載の医薬製剤は、水性液体の分散液、自己乳化性分散液、固溶体、リポゾーム分散液、エアロゾル、固形の剤型、粉末、即時放出性製剤、放出制御製剤、即溶性製剤、タブレット、カプセル、錠剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、複数微粒子製剤、即時及び制御の混合製剤を含むが、これらに限定されるわけではない。
本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物は従来のやり方(例えば、従来の混合工程、溶解工程、整粒工程、糖衣錠製造工程、研和工程、乳化工程、密閉工程、封入工程、圧縮工程)で任意に製造される。
医薬組成物は、本明細書に記載の1以上の化合物(例えば、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの化合物)を、遊離酸、遊離塩基の形状、又は薬学的に許容される塩の形状の活性成分として含む。加えて、本明細書に記載の方法及び医薬組成物は、同じ活性を有する化合物の活性代謝物だけでなく、N−オキシド、結晶性形状(多形体として周知)の使用を含む。状況によっては、化合物は互変異性体として存在することもある。あらゆる互変異性体は本明細書に記載の化合物の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に記載の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒によって、溶媒和形状だけでなく非溶媒和形状で存在することも可能である。本明細書に記載の化合物の溶媒和形状は本明細書に開示されるものとみなす。
「担体」又は「担体材料」は薬剤学における賦形剤を含むとともに、本明細書に開示の化合物(例えば、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの化合物)との互換性、及び、所望の投薬形態の放出プロファイル特性に基づいて選択される。典型的な担体材料は、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などを含む。例えば、以下の文献を参照されたい(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980; and Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999))。
「測定可能な血清濃度」又は「測定可能な血漿濃度」は、血清濃度又は血漿濃度について記載しており、典型的には、血清のミリリットル(ml)、デシリットル(dl)又はリットル(l)当たりの治療薬のミリグラム(mg)、マイクログラム(μg)、又は、ナノグラム(ng)で測定され、投与後に血流に吸収される。本明細書で使用されているように、測定可能な血漿濃度は典型的には、ナノグラム/ミリリットル、又はマイクロ/ミリリットルで測定される。
薬力学とは活性部位の薬物の濃度に対して観察された生物学的反応を決定する因子のことを言う。薬物動態学とは活性部位の薬物が適切な濃度となるとともにその濃度を維持する因子のことを言う。
本明細書で用いられる「定常状態」とは、投与される薬物の量が、一回の投与間隔中に除去される薬物の量と同じ場合、安定した又は一定の血しょう薬物暴露をもたらすものである。
さらに、本明細書に記載の医薬組成物は、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの化合物を含み、任意の適切な剤形に製剤化可能である。この剤形は、治療を受ける患者の経口摂取用の、水性の経口分散液、液体、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁液など、固体の経口投薬製剤(エーロゾル、制御放出製剤、即溶性製剤、発泡製剤、凍結乾燥製剤、タブレット、粉末、錠剤、糖衣錠、カプセル、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、複数微粒子製剤、即時及び制御の混合製剤)を含むが、これらに限定されるわけではない。
本明細書に記載の固形の医薬的な剤形は、本明細書に記載の化合物及び、以下の1以上の薬学的に許容される添加剤を任意で含む。この添加剤は互換性のある担体、結合剤、充填剤、懸濁液、香味剤、甘味料、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化物質、防腐剤、又は1以上のこれらの組み合わせである。さらに、また別の態様において、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載の標準的なコーティング手順を用いて、膜のコーティングが化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの化合物の製剤化に基づいてもたらされる。ある実施形態において、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)の任意の化合物のいくつかの又は全ての粒子がコーティングされる。別の実施形態において、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)の任意の化合物の幾つかの又は全ての粒子がマイクロカプセル化している。さらに別の実施形態では、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)の任意の化合物の粒子がマイクロカプセル化されずに、コーティングもされない。
<投薬方法及び治療計画の実施例>
本明細書に記載の化合物は、Btk又はこの相同体の阻害用の薬剤、又はBtk又はこの相同体の阻害から少なくとも部分的に利益を得る疾患又は状態の治療用薬剤を準備するために使用可能である。加えて、上記のような治療を受ける必要のある患者の本明細書に記載の疾患又は状態のいずれかを治療するための方法は、本明細書に記載の、化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、化式(D1−D6)、化式(I)、又は化式(VII)のいずれかの少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物、又は、薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬理活性代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、又は、薬学的に許容されるこれらの溶解和物を、前記患者に治療に有効な量で投与することを含む。
本明細書に記載の化合物を含む組成物は、予防的治療及び/又は治療的治療のために投与可能である。治療用途においては、すでに疾患又は状態に苦しんでいる患者に対して、疾患又は状態の症状を少なくとも部分的に停止させる又は治療するのに十分な量の組成物を投与可能である。この用途に有効な量は、疾患又は状態の重篤性及び経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、及び、薬物に対する反応、及び、主治医の判断次第である。
予防薬の応用において、本明細書に記載の化合物を含む組成物を、特定の疾患、障害、又は状態の疑いのある又は危険性のある患者に処方する。このような量は、「予防上効果的な投薬量」として定義される。この使用においては、正確な量も患者の健康状態や体重などに依存する。患者に用いられる際、有効な量は、疾患、障害、又は状態の重篤性及び経過、以前の治療、患者の健康状態及び薬物に対する反応、及び、主治医の判断次第である。
実施形態によっては、不可逆的なキナーゼインヒビターが定期的に(例えば、一日3度、一日2度、一日1度、一日おき、又は3日おきに)患者に投与される。別の実施形態では、不可逆的なキナーゼインヒビターは断続的に(例えば、1日2度、その後は1日1度、その後は1日3度、又は毎週の最初の二日、又は1週間の1日目、2日目、3日目)投与される。実施形態によっては、断続的な投薬は定期的な投薬と同じくらい効果的である。さらなる又は代替的な実施形態においては、不可逆的なキナーゼインヒビターは、患者が特定の症状(例えば、痛みの発症、又は発熱、又は炎症の発現、又は皮膚病の発現)を示した場合にのみ投与される。
患者の容体が改善しない場合は、医者の判断に従って化合物の投与を慢性的に行う。すなわち、患者の疾患又は状態の症状を改善又はさもなければ制御又は制限するために、患者の命が尽きるまでの長い期間、化合物を投与する。
患者の状態が改善しない場合は、医者の判断に従って化合物の投与を連続的に行う。あるいは、投与される薬物の量を所定の間、一時的に減らすか又は一時的に投薬を中断する(すなわち、「休薬期間」である)。休薬期間の長さは2日から1年と様々で、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、又は、365日を含む。休薬機関の投薬量の減少は10%から100%で、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%を含む。
患者の状態が改善すれば、必要とあれば、維持投与量が投与される。続いて、投薬量及び投薬頻度又はその両方は、疾患、障害、又は状態が改善した程度の症状に応じて、減らすことができる。しかしながら、任意の症状が再発すると、患者は長期間の完結式治療を必要とする。
上記量に対応する所定の薬剤の量は、特定の化合物、疾患又は状態及びその重篤性、治療を必要とする患者又は宿主の独自性(例えば、体重)などの因子次第で変更するとともに、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、治療される状態、治療を受ける患者又は宿主などを含む周囲の特定の状況にしたがって決定される。しかしながら、一般的には、ヒトの成人の治療に用いられる投薬量は典型的には1日あたり0.02ミリグラムから5000ミリグラムであるか、又は1日当たり1ミリグラムから1500ミリグラムである。所望の投薬量は従来では一度の投薬又は投薬を分けて同時に(又は短時間でさえ)又は適切な間隔をおいて(例えば、1日に2、3、4度又はそれ以上の単位量未満の投与)与えられる。
本明細書に記載の医薬組成物は、正確な量の投与量を一度投与するために適切な単位容量の形状であってもかまわない。単位容量の形状において、製剤は1以上の化合物の適切な量を含有する単位容量に分けられる。この単位容量は製剤の離散量を含有する包装体の形をしてもかまわない。非限定的な実施例は包装されたタブレット又はカプセル、及び薬瓶又はアンプルに入れられた粉末である。水溶性懸濁液の組成物は一回の投薬用として再密閉不可能な容器に詰めることが可能である。さらに、複数回の投薬用の再密閉可能な容器を用いることも可能であり、この場合は組成物中に保存料を備えることが典型的である。ほんの一例として、注射剤の製剤は単位容量の形状であってもよく、これはアンプル又は保存料が添加された複数回用の容器を含むが、これらに限定されるわけではない。
個々の治療計画に関する変数の数が大きく、この推奨値からの考慮されるべき逸脱は周知ではないため、前述の変数幅は単なる示唆的なものに過ぎない。そのような投与量は多くの変数次第ではあるが、用いられる化合物の活性、治療される疾患又は状態、投与方法、個々の患者の要求、治療される疾患又は状態の重篤性、及び、主治医の判断に限定されるわけではない。
このような治療方法の毒性及び治療効果は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決めることができる(例えば、LD50(固体群の50%に至る致死量)及びED50(固体群の50%において治療に有効な投与量)の決定を含むが、これらに限定されるわけではない)。毒性効果及び治療効果の間の容量比が治療指数であり、この治療指数はLD50とED50の比率として表わされる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養試験及び動物研究から得られたデータは、ヒトに用いる様々な投薬量を定式化するために用いることができる。そのような化合物の投薬量は、好ましくは最小限の毒性しか持たないED50を含む血中濃度の範囲内である。投与量は用いられる剤形及び利用される投薬経路次第で上記範囲内において変化する。
<選択性を増加させるための投薬計画>
本明細書には不可逆的なキナーゼインヒビターについて記載されており、このインヒビターはBtk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体を含む1以上のACKに対して選択的である。実施形態によっては、本明細書に記載の不可逆的なインヒビターは同様に他のキナーゼと可逆的に結合する(実施形態によっては、他のキナーゼの中には同様にACKであるものもある)。選択プロファイルを向上させる手段として、上記のようなインヒビターが製剤化されることによって(製剤化はインヒビターの化学的な修飾、医薬組成物中の賦形剤の使用、及びこれらの組み合わせを含む)、薬物動態プロファイルが非ACKよりもACKに対するインヒビターの高選択性に有利に働くようになる。ほんの一例として、ACKは血中濃度短半減期を有するように製剤化される。他の実施形態において、ACKは血中濃度長半減期を有するように製剤化される。
例えば、実施例で明らかなように、化合物1及び化合物12は生体内で短半減期を有している。対照的に、化合物7及び8は非常に長い生体内の半減期を有している(図5)。不可逆的に阻害するキナーゼに対してのみ阻害が持続するため、化合物1及び12のような化合物は生体内でのキナーゼの選択性を高めたものと予測される。さらに、本明細書に記載の不可逆的なキナーゼインヒビターが可逆活性(一般的に非ACK)及び不可逆活性(一般的にACK)の両方を有している場合、吸収、分配、代謝、及び、排出(ADME)の生体内の特徴が治療指数を最適化するために選択される。特に、実施形態によっては、急に除去された化合物は阻害標的を可逆的にわずかに阻害するのみであり、一方で、不可逆的に阻害された標的を持続的に阻害し続ける。特定の標的の持続的な阻害が治療効果又は毒性効果をもたらす程度の如何によって、生体内の選択プロファイル及び生体内のADME特性の最適な組み合わせを有する化合物を同定する。
ある実施形態において、タンパク質チロシンキナーゼと選択的及び不可逆的に結合するキナーゼインヒビターは、Btk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体から選択される。Btk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体において、キナーゼインヒビターは多様なタンパク質チロシンキナーゼと可逆的に及び非選択的に結合するとともに、さらに、キナーゼインヒビターの血中濃度半減期は約4時間未満である。このような実施形態において、キナーゼインヒビターはBtk、Jak3、Blk、Bmx、Tec及び、Itkの少なくとも1つと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはBtkと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはJak3と選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはTecと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはBtk及びTecと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはBlkと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターは多様なsrcファミリーのタンパク質キナーゼインヒビターと可逆的及び非選択的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターの血中濃度半減期約3時間未満である。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターの血中濃度半減期は約2時間未満である。
ある実施形態において、タンパク質チロシンキナーゼと選択的及び不可逆的に結合するキナーゼインヒビターは、Btk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体から選択される。Btk、Btk相同体、及びBtkキナーゼシステイン相同体において、キナーゼインヒビターは多様なタンパク質チロシンキナーゼと可逆的に及び非選択的に結合し、さらに、キナーゼインヒビターの血中濃度半減期は約12時間以上である。このような実施形態において、キナーゼインヒビターはBtk、Jak3、Blk、Bmx、Tec及び、Itkの少なくとも1つと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはBtkと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはJak3と選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはTecと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはBtk及びTecと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターはBlkと選択的及び不可逆的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターは多様なsrcファミリーのタンパク質キナーゼインヒビターと可逆的及び非選択的に結合する。さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターの血中濃度半減期は約16時間以上である。
前述のキナーゼインヒビターのいずれかの特定の実施形態のひとつにおいて、このようなキナーゼインヒビターは以下の化式(VII)の構造を有する。
はキナーゼの活性部位と結合する部分であり、チロシンキナーゼを含み、さらに、Btkキナーゼシステイン相同体を含む。
Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、及び、アルキレンヘテロシクロアルキレンのなかから選択される任意の置換基であり、xが1又は2の場合、ZはC(=O), OC(=O), NHC(=O), NCH3C(=O), C(=S), S(=O)x, OS(=O)x, NHS(=O)xであって、R7及びR8はH、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4ヘテロアルキル、置換C1−C4ヘテロアルキル、非置換C3−C6シクロアルキル、置換C3−C6シクロアルキル、非置換C2−C6ヘテロシクロアルキル、及び、置換C2−C6ヘテロシクロアルキルの中から独立的に選択され、R7及びR8はともに結合を形成し、R6はHであり、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又は、C1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)であって、薬学的な活性代謝物、又は薬学的に許容な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なこれらのプロドラッグである。
さらなる実施形態において、キナーゼインヒビターの
は、以下の化式から選択された、縮合した置換ビアリール部分である。
このようなキナーゼのさらなる実施形態において、 ZはC(=O)、NHC(=O)、NCH3C(=O)、又は、 S(=O)2である。請求項49のキナーゼインヒビターであって、R7及びR8の各々はHであるか、又は R7及びR8はともに結合を形成する。
このようなキナーゼのさらなる実施形態において、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又は、C1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。
このようなキナーゼのさらなる実施形態において、Yは四、五、六、又は七員シクロアルキレン環であるか、又は、Yは四、五、六、又は七員ヘテロシクロアルキレン環であるか、又は、YはC1−C4アルキレン、又は四、五、六、又は七員ヘテロシクロアルキレン環である。
このような投薬方法の別の態様において、医薬製剤は前述のACKインヒビター及び薬学的に許容される賦形剤のいずれかを備える。実施形態によっては、このような医薬製剤は、経口投与、非経口投与、口腔投与、鼻腔内投与、局所性投与、又は、直腸投与から選択される投与経路に合わせて製剤化される。特定の実施形態においては、医薬製剤は経口投与のために製剤化される。
このような投薬方法の別の態様において、関節リウマチを治療するための方法は、Btk及びTecと選択的及び不可逆的に結合する前述のACKインヒビターのいずれかを患者に投与する段階を備える。
このような投薬方法のさらなる態様において、少なくとも1つのタンパク質キナーゼインヒビターと不可逆的及び選択的に結合するタンパク質チロシンキナーゼのテストインヒビターの選択性を高めるための方法は、Btk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体から選択される。このBtk、Btk相同体、又はBtkキナーゼシステイン相同体において、タンパク質チロシンキナーゼのテストインヒビターは化学的に修飾されることによって、血中濃度半減期を約4時間未満に減少させる。実施形態によっては、タンパク質チロシンキナーゼのテストインヒビターは化学的に修飾されることによって、血中濃度半減期を約3時間未満に減少させる。
さらなる実施形態において、タンパク質チロシンキナーゼのテストインヒビターは、以下の化式(VII)の構造を有する。
は、キナーゼの活性部位と結合する部分で、チロシンキナーゼを含み、さらに、Btkキナーゼシステイン相同体を含む。
Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、及び、アルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択された任意の置換基であって、xが1又は2である場合、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、NCH3C=(O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであって、R7及びR8はH、非置換C1−C4アルキル、置換C1−C4アルキル、非置換C1−C4ヘテロアルキル、置換C1−C4ヘテロアルキル、非置換C3−C6シクロアルキル、置換C3−C6シクロアルキル、非置換C2−C6ヘテロシクロアルキル、及び、置換C2−C6ヘテロシクロアルキルの中から独立的に選択され、又は、R7及びR8はともに結合を形成し、及び、R6はH、置換又は非置換C1−C4アルキル、置換又は非置換C1−C4ヘテロアルキル、C1−C6アルコキシアルキル、C1−C8アルキルアミノアルキル、C1−C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1−C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換又は非置換C3−C6シクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換C2−C8ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、C1−C4アルキル(アリール)、C1−C4アルキル(ヘテロアリール)、C1−C4アルキル(C3−C8シクロアルキル)、又は、C1−C4アルキル(C2−C8ヘテロシクロアルキル)である。
さらなる実施形態において、タンパク質チロシンキナーゼのテストインヒビターは多様なsrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼと非選択的及び可逆的に結合する。
投薬方法のさらなる実施形態において、B型細胞増殖性疾患又はマスト細胞増殖性疾患を治療するための方法は、前述のACKインヒビターのいずれかの医薬組成物を必要とする患者に投与する段階を備える。例えば、実施例に記載の如く、生体内の化合物1にわずかに暴露するだけで、正常なヒトのB型細胞中のB型細胞の活性化を阻害するのに十分である。この手順は細胞の生体内の化合物1への予測される暴露を模倣するもので、化合物1を洗い流したにも関わらずB型細胞の阻害が持続していることを示している。
投薬方法のさらなる態様において、関節リウマチ又は関節リウマチのような状態を治療するための方法は、前述のACKインヒビターのいずれかの医薬組成物を必要とする患者に投与する段階を備える。投薬方法のさらなる態様において、活動亢進的なB型細胞が特徴的な病気を治療するための方法は、前述のACKインヒビターのいずれかの医薬組成物を必要とする患者に投与する段階を備える。投薬方法のさらなる態様において、活動亢進的なマスト細胞が特徴的な病気を治療するための方法は、前述のACKインヒビターのいずれかの医薬組成物を必要とする患者に投与する段階を備える。投薬方法のさらなる態様において、活動亢進的なB型細胞と活動亢進的なマスト細胞の両方が特徴的な病気を治療するための方法は、前述のACKインヒビターのいずれかの医薬組成物を必要とする患者に投与する段階を備える。このような投薬方法を用いる前述の治療方法のいずれかにおいて、医薬組成物は一日一回、又はそれよりも低頻度で投薬される。
<製造キット/製造品>
本明細書に記載の治療用途での使用に関して、製造キット及び製造品が本明細書に記載されている。このようなキットは担体、包装体、又は1以上の容器(例えば、小瓶、チューブなど)を収容するよう区分化された容器を備え、容器の各々は本明細書に記載の方法で使用される別々の要素の1つを含む。適切な容器は例えば、瓶、小瓶、注射器、試験管を含む。容器はガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成可能である。
本明細書に記載の製造品は包装材料を含む。医薬品を包装するために用いられる包装材料は、例えば、米国特許第5,323,907号、米国特許第5,052,558号、米国特許第5,033,252号を含む。医薬包装材料の実施例は、ブリスター包装、瓶、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、小瓶、容器、注射器、瓶、及び、選択された製剤及び意図される投薬及び治療方法に適した任意の包装材料を含むが、これらに限定されるわけではない。本明細書に記載の組成物及び化合物の様々な製剤は、Btkを阻害することによって恩恵を受ける任意の疾患、障害、又は状態、又はBtkがその症状又は原因の仲介物又は引き金となっている任意の疾患、障害、又は状態に対する多様な治療法と考えられている。
例えば、容器は、任意で1つの組成物中の又は本明細書に開示された別の薬剤と組み合わせて、本明細書に記載の1以上の化合物を収容可能である。容器は滅菌した点検口(例えば、容器は静脈注射用の溶液バッグ又は皮下注射用の注射針によって貫通可能なストッパーを有する小瓶であってもよい)を任意で有してもよい。このようなキットは、確認用の記載、ラベル、又は本明細書に記載の方法における使用説明書とともに化合物を任意で備える。
キットは、典型的には1以上の追加容器を備え、各々の容器は、本明細書に記載の化合物を使用するうえで商業上及びユーザの点から所望の1以上の様々な材料(任意で高濃度の試薬及び/又は装置などの)を有する。このような材料の非限定的な実施例は、緩衝材、希釈剤、ろ過材、針、注射器、担体、包装体、容器、小瓶、及び/又は内容物及び/又は使用説明書を記載したチューブ状のラベル、使用説明書の付いた添付文書を含むが、これらに限定されるわけではない。説明書一式も典型的には含まれる。
ラベルは容器上にあるか、又は容器に貼付されている。ラベルを形成する文字、数字、他の文字が容器自体に添付、成形、又は、描かれている場合、ラベルは容器上にあってもよい。ラベルが容器を保持する入れ物又は運搬装置の内部にある場合(添付文書として)、ラベルを容器に貼付することができる。内容物が特定の治療用途に用いられることを示すものとしてラベルは使用可能である。ラベルは同様に(本明細書に記載の方法における)内容物の使用に関する使用説明書を示すことも可能である。
特定の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の化合物を含有する1以上の剤形を収容可能な箱又はディスペンサー装置に入れられる。箱は例えば、ブリスターパックなどの金属箔又プラスチック箔を有することもある。箱又はディスペンサー装置には投薬説明書が添付してあってもよい。箱又はディスペンサー装置には、医薬品の製造、使用、販売を規定する政府機関によって処方された形状の容器に関連する通知書が添付されてもよい。この通知書は、ヒトへの投与又は獣医学的な投与に用いる薬剤の形状に関して政府機関の承認を反映したものである。このような通知は、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局によって承認されたラベルであってもよく、又は承認を受けた製品の広告であってもよい。混合可能な医薬担体中の本明細書に記載の化合物を含む組成物を用意して、適切な容器に配して、指示された状態の治療用にラベルを張ることが可能である。
<実施例>
以下の特異的及び非限定的な実施例は、たんに説明の役に立つものとして解釈し、いかなる方法であれ本明細書の開示を制限するものではない。
<化合物の合成>
実施例1:4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(中間体2)
4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(中間体2)を、国際特許公報第WO01/019829に開示されているように用意する。手短に、4−フェノキシ安息香酸(48グラム)を塩化チオニル(100ミリリットル)に加えて、穏やかな還流下で1時間熱する。塩化チオニルを蒸留によって除去し、トルエンに溶解した残留オイル、及び、揮発性材料を80度/20mバールで除去する。結果として生じた酸塩化物はトルエン(200ミリリットル)及び、テトラヒドロフラン(35ミリリットル)中に溶解した。マロノニトリル(14.8グラム)を加えて、トルエン(150ミリリットル)にジイソプロピルエチルアミン(57.9グラム)を加えながら、−10度で溶液を攪拌し、一方で、気温を0度以下に保っておく。0度で1時間置いて、混合物を一晩中20度で攪拌する。アミン塩酸塩をろ過によって除去し、ろ過された液体を真空内で蒸留させる。残留物を酢酸エチル中に溶かして、1.25Mの硫酸で洗い流し、その後、食塩で洗い流して硫酸ナトリウムに乾かす。溶媒の蒸留物は半固体の残基をもたらされた。この半固体の残基が少量の酢酸エチルで処理されることによって、4.1グラムの1,1−ジシアノ−2−ヒドロキシ−2−(4−フェノキシフェニル)エテンが白色固体で得られた(処方した通り160から162度で)。ろ過された液体の蒸発によって、56.58(96%)の1,1−ジシアノ−2−ヒドロキシ−2−(4−フェノキシフェニル)エテンが灰褐色固体で得られた。これは、別の用途に用いられるほど十分に純粋である。
ジイソプロピルエチルアミン(52.5ミリリットル)、続いて2Mのトリメチルシリルジアゾメタン(150ミリリットル)をTHFに加えながら、アセトニトリル(780ミリリットル)及びメタノール(85ミリリットル)中の1,1−ジシアノ−2−ヒドロキシ−2−(4−フェノキシフェニル)エテン(56.5グラム)を0度の窒素下で攪拌する。化学反応を20度で2日間攪拌して、その後、2グラムのシリカを加える(クロマトグラフィのために)。茶褐色の溶液を真空内で蒸発させ、残留物を酢酸エチル中に溶かし、水できれいに洗い流す。その後、塩水で処理し、乾燥させ蒸発させる。残留物をジエチルエチル(3×250ミリリットル)によって抽出し、不溶性油を静かに移す。エーテル抽出物の蒸発によって、22.5グラムの1,1−ジシアノ−2−メトキシ−2−(4−フェノキシフェニル)エテンを薄オレンジ色の固体として得る。不溶性油がフラッシュクロマトグラフィによって精製され、15.0グラムの赤橙色の油が得られた。
1,1−ジシアノ−2−メトキシ−2−(4−フェノキシフェニル)エテン(22.5グラム、及び、1,1−ジシアノ−2−メトキシ−2−(4−フェノキシフェニル)エテン油(15グラム)を、エタノール(25ミリリットル)中のヒドラジン水和物の水溶液(18ミリリットル)で処理して、スチームバスで1時間加熱する。エタノール(15ミリリットル)を加えて、その後、水(10ミリリットル)を加える。沈澱した固体を集めてエタノールと水(4:1)で洗い流し、大気中で乾燥させることによって、3−アミノ−4−シアノ−5−(4−フェノキシフェニル)ピラゾールが薄オレンジ色の固体で得られた。
3−アミノ−4−シアノ−5−(4−フェノキシフェニル)ピラゾール(29.5グラム)をホルムアミド(300ミリリットル)中に懸濁させ、180度の窒素下で4時間熱する。反応混合物を30度まで冷却して水(300ミリリットル)を加える。固体を集めて水できれいに洗い流す。その後、メタノールで洗い流して大気中で乾燥させることによって、4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンが得られた。
実施例2: 1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)プロップ−2−エン−1−オン(化合物13)の合成
化合物13の合成:a)トリフェニルホスフィン(TPP)、ジイソプロピルジアゾジカルボキシラート(DIAD)、テトラヒドロフラン(THF);b)TFA/CH2Cl2;その後、塩化アクリロイル、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、テトラヒドロフラン(THF)。
本明細書に記載の化合物が、配列1に示される以下の段階に従って合成された。配列1に示す反応状態の詳細な実例は、1−((R)−2−((4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)プロップ−2−エン−1−オン(化合物13)の合成に関して記載されている。
0.5グラムの4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、及び、0.65グラムのトリフェニルホスフィン(TPP)を、15ミリリットルのテトラヒドロフラン(THF)と混合させる。(R)−tert−ブチル2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボン酸塩(0.5グラム;1.5同等物)を混合物に加えて、その後、ジイソプロピルジアゾジカルボキシラートを追加する(0.5ミリリットル)。反応混合物を室温で4時間攪拌する。反応混合物をフラッシュクロマトグラフィ(アセトン/CH2Cl=1/1)で濃縮及び精製することによって、中間体3が得られた(1.49グラム)。
中間体3(1.49グラム)をTFA(4ミリリットル)及びCH2Cl2(5ミリリットル)で処理して、室温で攪拌し、その後、乾燥度まで濃縮する。残留物は酢酸エチル(100ミリリットル)で溶け、その後、希薄な水溶液NaHCO3(100ミリリットル)で洗い流す。酢酸エチル層を乾燥させ(MgSO4)、20ミリリットル以下になるまでろ過して濃縮する。その後、4.0MのHCl/ジオキサン(1ミリリットル)を加えることによって、黄色の沈殿物が形成された。固体はろ過によって集められ、酢酸エチル(20ミリリットル)によって洗い流される。固体は酢酸エチル(100ミリリットル)中に懸濁され、再度、希薄な水溶液NaHCO3(100ミリリットル)で洗い流す。酢酸エチルを乾燥させ(MgSO4)、ろ過して濃縮することによって、淡黄色の固体(0.43グラム)が得られる。固体(0.14グラム、0.36ミリモル)をTHF(3ミリリットル)で攪拌して、TEA(0.15ミリリットル、1.1ミリモル)を加え、その後、反応物を氷浴で30分間冷却する。その後、塩化アクリル(30μL、0.36ミリモル)を加えて、反応物を2時間攪拌する。反応混合物を酢酸エチル(75ミリリットル)で希釈して、希薄な水溶液NaHCO3(100ミリリットル)で洗い流す。有機層を乾燥させ(MgSO4)、ろ過して濃縮する。フラッシュクロマトグラフィ(CH2Cl2/MeOH=20/1で)によって、化合物4(90ミリグラム)が白色固体で得られた。EM(calc)=440.2;MS(M+1):441.2;.
実施例3:1−((S)−2−((4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)プロップ−2−エン−1−オン(化合物14)の合成
化合物14の合成は、実施例2(EM(calc):440.2;MS(M+1H):441.2.)に記載の手順に似た手順を用いて達成される。
実施例4:N−((1r,4r)−4−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)シクロヘキシル)アクリルアミドの合成
この化合物の合成は、実施例2(EM(calc):454.21;MS(M+1):455.2.)に記載の手順に似た手順を用いて達成される。
実施例5:N−(2−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル)−N−メチルアクリルアミド(化合物19)の合成
この化合物の合成は、実施例2(EM(calc):414.18;MS(M+1H):415.2.)に記載の手順に似た手順を用いて達成される。
実施例6:N−(2−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)エチル)アクリルアミド(化合物23)の合成
この化合物の合成は、実施例2(EM(calc):400.16;MS(M+1H):401.2.)に記載の手順に似た手順を用いて達成される。
実施例7:1−((R)−3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピぺリジン−1−イル)ブタ−2−yn−1−オン e(化合物17)の合成
この化合物の合成は、実施例2(EM(calc):452.2;MS(M+1H):453.2.)に記載の手順に似た手順を用いて達成される。
実施例8:1−((R)−2−((4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)ブタ−2−イン−1−オン(化合物15)の合成
この化合物の合成は、実施例2(EM(calc):452.2;MS(M+1H):453.2.)に記載の手順に似た手順を用いて達成される。
実施例9:(E)−1−((R)−2−((4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン−1−オン(化合物11)の合成
この化合物の合成は、実施例2(EM(calc):497.25;MS(M+1H):498.2.)に記載の手順に似た手順を用いて達成される。
<インヒビター化合物の治療上の使用>
実施例1:リンパ腫の癌細胞増殖の阻害
化合物1はリンパ腫の癌細胞増殖を阻害する。様々なリンパ腫細胞株が化合物1の様々な濃度で培養されることによって、細胞増殖を50%低下させる結果をもたらす濃度GI50を決定する(図1A)。化合物1はDOHH2及びDLCL2の異種移植モデル中の腫瘍増殖を阻害する(図1B及び1C)。
生体外の細胞増殖分析のために、標準的な培養基(ほとんどはRPMI+10%のウシ胎仔血清)中の96の良好なプレートで細胞を播種して、10μMから0.04μMの9ポイントの希釈系列に、すべての容器の終末濃度が0.1%のDMSOと一緒に化合物1を加える。72時間後、製造業者の手順に従ってアラマーブルー(Alamar Blue)を用いて細胞の数を測定する。未処理の細胞の希釈系列を並行して行うことによって、アラマーブルー分析(Alamar Blue Assay)が細胞の数を確実に反映していること、及び、成長条件が限定されていないことを確認する。結果として細胞の数を50%減少させる濃度であるGI50がカルクシン(Calcusyn)を用いて測定され、容量反応曲線に当てはめる。CI50の値は各細胞株につき2以上の別々の実験で確認された。
生体内のリンパ腫の異種移植片研究に関して、50%がマトリゲルの5E6 DOHH2又はDLCL2細胞をSCIDマウスの皮下に埋め込み、腫瘍の大きさが100mm2に達すると化合物1を経口投与する。
実施例2:マウスのコラーゲン誘導関節炎の阻害
化合物1はマウスのコラーゲン誘導関節炎を阻害する。オスのDBA/lOLaHsdマウスに、完全フロインドアジュバントの150マイクロリットルのII型コラーゲン(2mg/mL)を皮内注射し、21日後には同じ注射によって促進される補給的な結核菌(4mg/mL)を一緒に皮内注射する。足の炎症が認められた後、動物を任意抽出し、化合物1又は賦形剤を第1日から1日に一度、経口投与する。足の炎症0から5に記録され、研究における各群のすべての動物の足にわたって平均値を算出する。12.5mg/kg及び50mg/kgにおける化合物1は研究の終盤にわたって炎症が消退しており(第11日)、一方で、3.125mg/kgの化合物1は足の炎症の増加を著しく減少させている(図2)。デキサメタゾンは陽性対照として含まれる。
別の研究では、化合物1を上記のようなマウスに、(a)11日の期間の毎日、(b)11日の期間中の第1、2、3日、又は、(c)11日の期間中の第9、10、11日に、12.5mg/kg投与する。断続的な投与によって足の炎症の増加は減少した。加えて、化合物9を11日の期間中、毎日、12.5mg/kg、又は50mg/kgをこのマウスに投与する。化合物9は足の炎症の増加を引き下げた。
実施例3:マウスモデルにおけるループスの阻害
化合物1はループスのMRL/lprマウスモデルにおける病気の進展を阻害する。3.125mg/kg、12.5mg/kg、及び、50mg/kgにおける化合物1はタンパク尿を著しく減少させる。これは、このマウス株において、進行性の自己免疫性の腎不全に改善が見られることを示している(図3)。MRL/lprマウス(Jax Strain 000485)は、生後12週間から20週間まで毎日一度、経口投与され、尿中タンパク質レベルをClinitech Multistick 試験紙で毎週測定する。
実施例4:マスト細胞脱顆粒の阻害
化合物1は受動皮膚アナフィラキシーモデルのマウスにおいてマスト細胞脱顆粒を阻害する。化合物1の投与量を増やすことによって、エバンスブルーの放出量を著しく減少させる。このことは、マスト細胞の活性化及び血管の透過性が減少していることを示している(図4)。
マウスを背中のモノクローナル抗体DNP−IgEの皮内注射に対して感作させる。23時間後、マウスに化合物1又は賦形剤を一度だけ経口投与する。1時間後、DNP−BSA及びエバンスブルーの染料の静脈注射を受けさせる。マスト細胞の脱顆粒は血管透過性及び染色の背中の皮膚への分配を導く。1時間後の溢出領域を測定する。
実施例5:医薬組成物
以下に記載の組成物に、例示目的のために化式(A1−A6)の化合物を提供する。
化式(A1−A6)、化式(B1−B6)、化式(C1−C6)、又は、化式(D1−D6)のいずれかの任意の化合物はこのような医薬組成物に任意で用いられるものとする。
実施例5a:非経口組成物
非経口投与に適切な非経口医薬組成物を準備するために、化式(A1−A6)の化合物の水溶性塩(100mg)をDMSOに溶かし、その後、0.9%の無菌食塩水(10mL)と混ぜ合わせる。混合物は非経口投与に適切な投薬形状に組み込まれる。
実施例5b:経口組成物
経口投与のための医薬組成物を準備するために、化式(A1−A6)の化合物の水溶性塩(100mg)をスター知(750mg)と混合させる。混合物は経口投薬ユニット(例えば、経口投与に適した硬ゼラチンカプセル)に組み込まれる。
実施例5c:舌下(硬いロゼンジ)組成物
口腔伝達のための医薬組成物(硬いロゼンジなど)を準備するために、粉砂糖(420mg)が混ざった化式(A1−A6)の化合物(100mg)を、ライト・コーン・シロップ(1.6ml)、蒸留水(2.4mL)、抽出ミント(0.42mL)と混合させる。混合物をゆっくりと混ぜ合わせ、型に注ぐことによって、口腔伝達に適した錠剤を形成する。
実施例5d:吸入組成物
吸入による伝達のための医薬組成物を準備するために、化式(A1−A6)の化合物(20mg)を無水クエン酸(50mg)、及び、0.9%食塩水(100mL)と混合させる。吸入投与に適した吸入伝達装置(噴霧器など)に混合物を組み込む。
実施例5e:直腸ゲル組成物
直腸ゲル伝達のための医薬組成物を準備するために、化式(A1−A6)の化合物(100mg)を、2.5グラムのメチルセルロース(1500mPa)、メチルパラベン(100mg)、グリセリン(5g)、及び、精製水(100mL)と混合させる。結果として生じるゲル混合物を、直腸投与に適した直腸伝達ユニット(注射器など)に組み込む。
実施例5f:局所ゲル組成物
局所的なゲルのための医薬組成物を準備するために、化式(A1−A6)の化合物(100mg)を、ヒドロキシルプロピルセルロース(1.75g)、プロピレングリコール(10mL)、ミリスチン酸イソプロピル(10mL)、及び、精製アルコールUSP(100mL)と混合させる。結果として生じる混合物はその後、局所的な投与に適した容器(チューブなど)に入れられる。
実施例5g:点眼剤組成物
局所的なゲルの医薬組成物を準備するために、化式(A1−A6)の化合物(100mg)を、精製水(100mL)中のNaCl(0.9g)と混合させて、0.2ミクロンのろ過器を用いてろ過する。結果として生じる等張液をその後、点眼投与に適した眼科用伝達ユニット(目薬用容器)に組み込む。
実施例6:化合物1に対するTonic BCRシグナル伝達予測反応レベル
化合物1に対する反応と相関するバイオマーカーを同定するために、経路でのBCRシグナル変換中のリン酸化反応を調査する。Syk、Btk、BLNK、PLC-g1、PLC-g2、ERK、及びAKTの活性化したリン酸化部位を認識するリン特異抗体のパネルを用いて、基礎的なリン酸化反応、及び、抗IgM又は抗IgGの架橋結合によって活発化するBCR刺激に続いて起こるリン酸化反応の両方に対して与える化合物4の影響を検査する。化合物1の感受性細胞株(DOHH2)及び化合物1の耐性細胞株(Ramos)の両方におけるリン酸化反応のパターンを調査した。
化合物1は、両方の細胞株に同じように効果的なほとんどのBCR刺激が誘導するリン酸化反応を阻害する。しかしながら、基礎的なリン酸化レベルを調査したところ、Ramosと比較してDOHH2の方が基礎的なリン酸化レベルが高かった。このことは、とりわけ、リンERKがDOHH2において、基礎的なリン酸化レベル又はtonic シグナル伝達が高いということを示している。さらに、化合物4は非置換DOHH2(IC50>10nM)細胞におけるpERKレベルを著しく減少させるが、Ramos細胞では減少しない。
9つのBtk発現B型細胞のリンパ腫細胞株のパネルを、基礎的なpERKレベルのために選別する。7つの細胞株が基礎的なpERKを著しく高いレベルで発現し、さらに、このうち5つの細胞株が化合物1に対する感受性を示した(GI50<1.3μM)。一方で、低いpERKレベルの2つの細胞株は化合物1に対して耐性があった。このデータより、tonic BCRのシグナル伝達はリンパ腫細胞株の小集団が生存したことに寄与していること、及び、化合物4によるこのシグナル伝達の阻害はアポトーシスの誘導と相関していることが示されている。
2つの付加的な実験は化合物1に対する感受性がpERKの高レベルと相関しているということを実証している。まず、1μMの化合物4は周知のERKの転写標的Rgr−1の発現を1時間以内に減少させ、4時間で最大限、制御する(10倍)。第2に、リンパ腫細胞株のWSU−DLCL2において、抗IgG(30μ/mL)によるBCR架橋結合は化合物4によるpERKの阻害を上回り、強BCR刺激がBtkを必要としないpERKと平行な経路を活性化するということを示している。BCR刺激は同様に化合物1が誘導した細胞毒性からWSU−DLCL2を救うものである。このことはさらに、pERKの阻害が化合物1によるアポトーシス誘導と相関していることを確認するものである。総合すれば、これらのデータによって、高レベルのpERK又はERKの転写標的(Egr−1など)は、ToNICBCRシグナル伝達が細胞の生存に貢献しているリンパ腫の有用なバイオマーカーとして役に立つということ、及び、これらのリンパ腫が特に化合物1などのBCR経路インヒビターに対する感受性があるということが示されている。
キナーゼインヒビターの発見のきっかけとパルス投与
実施例1:インヒビターの設計
ヒトゲノムの500以上のキナーゼのATP結合部位は高度に保存されているので、従来の可逆的結合インヒビターを用いて、個々のキナーゼの選択性を操作するのは難解であることが証明されている。我々の高選択性BTKインヒビター化合物1に関しては、標的酵素であるBTKを不可逆的に不活性化することが可能な求電子的中心を操作した。本手法は構造に基づいた設計を用いて、(1)キナーゼ酵素の活性部位ATP結合ポケットに中心部の骨格を適合させることによって、及び、(2)BTKに配されたシステイン−481と共有結合を形成することによって、高効能及び高選択性を可能にした。共有結合形成に必要な唯一の化学構造はマイケル受容体として働く求電子的部分を含み、この部分は活性部位の範囲内の正確な場所に存在する求核基と結合する。
ほんの一例として、50−100のCysが標的とするキナーゼインヒビターのパネルが発生する。システイン残基に関連するこれらインヒビター中の求電子基の分子配向及び配置は、所定のインヒビターの効能及び選択性に影響を与える。各インヒビターは、10のCysを含有するキナーゼの各々に対するキナーゼ阻害(Ki)の反応速度論、腫瘍細胞増殖(GI50)への影響、関連性のない標的(hERG、CYPs)への影響、薬剤らしい特性(溶解度、clogP)、及び、活性部位のプローブによって標識化を防ぐ能力について、プロファイルされる。多様なインヒビターのこのパネルをその後、細胞分析に用いて所望の表現型を調べる。追加的な阻害キナーゼの同定は、活性部位のプローブ及び質量分析法を用いて決定される。
実施例3:化合物1及び化合物9のキナーゼパネルの阻害
別の実施例において、化合物1のリンカー部分とマイケル受容体部分を修飾して、異なる選択性パターンを有する化合物9を得た。表1は2つの例となる化合物のキナーゼパネルの阻害程度を示す表である。IC50sは生体外のHotSpotキナーゼ分析(精製酵素、P−33ATP、適切な基板、及び、luM ATP)を用いて決定された。化合物1と比較して、化合物9はBtkに関して同様の効能を有している。しかしながら、JAK−3、ITK、及びEGFRに関しては著しく弱い効能しか有しておらず、srcファミリーキナーゼlck、c-src、FGR、Fyn、Hck、及びLynとYesに関しては非常に強力な効能を有している。したがって、リンカー部分及びマイケル受容体部分のわずかな修飾が、選択的ACKインヒビターの設計にとって重要である。
(表1)
実施例4:リンカー部分及びマイケル受容体部分の修飾と生体外の阻害活性
この実施例において、化合物が生体外の特製に基づいて選択されることによって、特定のキナーゼ阻害の効能、及び、グルタチオンなどの標的ではないシステインと共有結合する度合いを最適化する。例えば、表2において、化合物9及び化合物12は両方とも化合物1に似た効能によってBtkを阻害するが、両方ともEGFR、ITK、及び、JAK−3のインヒビターとしての効能は非常に小さい。別の実施例として、化合物11はBtkの阻害に関して化合物1と似ているが、容易にはグルタチオンと結合しない。
表2に示されている計算値(例えば、(1/Btk IC50)/グルタチオン共役の割合)を用いて、標的を阻害する能力と、他のSH基(グルタチオンのSH基など)との非特異的結合との割合に関して化合物を比較する。表2で示すごとく、この計算値は化合物1で4.7、化合物11で239.6となる。このような計算比率は異なる化合物を定量的に比較するとともに、別の研究用に化合物を選択するために用いられる。
実施例4a:酵素阻害
酵素阻害分析に関して、10uMから0.0005uMまでの10の濃度幅で、精製酵素及びHotspotキナーゼ分析を用いて、化合物を検査した。反応条件はluM ATP、インヒビターによる1時間の培養、及び、適切に選択されたペプチド基板の33−ATPのリン酸化反応を用いて検出されたキナーゼ活性である。容量反応曲線は角柱を用いて適合させ、酵素阻害が最大阻害の50%である濃度のことをいうIC50を決定する。表2を参照にされたい。
実施例4b:グルタチオン結合分析
グルタチオン結合分析に関して、グルタチオン(5mM)、DMSO(10μL)中の10μMのBtkインヒビター、及び、N’N’ジイソプロピルエチルアミンの6つの同等物をリン酸カリウム緩衝剤(1mL)中で組み合わせる。混合物は室温で0分、15分、60分培養され、その化学反応はギ酸の10の同等物によって停止する。各反応混合物(50μL)をHPLCに注射する(移動相A:水中の0.2%ギ酸、移動相B:アセトニトリル中の0.2%ギ酸、HPLCカラム:メタシル塩基3μ、150×4.6mm、10%B、勾配:10%から90%B、検出:UV/Vis260nM)。反応速度は、GSH共役変換及び親変換に関するHPLCのクロマトグラムからの曲線領域の標準的な速度から、毎分nモルGSHの共役変換として記録される。
実施例4c:細胞増殖分析
Btkインヒビターであるとともにリンパ腫細胞株DOHH2に対する細胞毒性である相同体を生成した。表2を参照されたい。DOHH2細胞増殖分析に関して、標準的な培養基(RPMI+10%のウシ胎仔血清)中の96の良好なプレートで細胞を播種して、10μMから0.04μMの9ポイントの希釈系列に、すべての容器の終末濃度が0.1%のDMSOと一緒に化合物1を加える。72時間後、製造業者の手順に従ってアラマーブルー(Alamar Blue)を用いて細胞の数を測定する。未処理の細胞の希釈系列を並行して行うことによって、アラマーブルー分析(Alamar Blue Assay)が細胞の数を確実に反映していること、及び、成長条件が限定されていないことを確認する。結果として細胞の数を50%減少させる濃度であるGI50がカルクシン(Calcusyn)を用いて測定して、容量反応曲線に当てはめる。
実施例5:投薬によって予測されるキナーゼインヒビターの選択性
化合物1及び化合物12は生体内半減期が短い。対照的に、化合物7及び化合物8は生体内半減期が非常に長い(図5)。阻害は不可逆的に阻害されるキナーゼでのみ持続するため、化合物1及び12のような化合物は生体内のキナーゼ選択性を高めると予想される。
頸動脈にカニューレを挿入されたオスのラットに、強制的な経口投与と組み合わせて、すべての試験化合物(8mg/kg)を一度投与する。投与量は投与直前に収集した体重データに基づいて調整する。経口投与したラットから投薬後、0.0833時間(5分後)0.333時間(20分後)、1時間後、3時間後、6時間後、9時間後、及び24時間後に、血液サンプルを採取する。サンプルは抗凝固剤(リチウムヘパリン)を用いて血漿分離器であるMicrotainer へと集められる。血漿のサンプルを遠心分離にかけ(5000xgで5分間)、少なくとも100μLが保存チューブへ送られ、−80度で保存される。血漿サンプルを解凍し、75μLのアリコートを遠心分離管へと送る。遠心分離管には内部の標準溶液のアリコート(10μL)を加えておく。サンプルは次の工程前には完全な血漿で希釈化しない。アセトニトリル(200μL)を加えることによって、水溶性タンパク質を沈澱させる。その後、遠心分離にかける(16,000xgで20分間)。サンプルを乾燥するまで蒸発させ、0.2%ギ酸及び10%メタノールを含有する水(200μL)でもどす。すべてのサンプルを6度で維持されたオートサンプラ―に装着し、LC−MS/MSを用いて試験化合物の濃度を測定した。
実施例6:B細胞の阻害
正常なヒトのB型細胞でのB型細胞の活性化を阻害するためには、生体外の化合物1にわずかに暴露するだけで十分である(図6)。この手順は生体内の化合物1に対する細胞暴露を予想したものを模倣しており、B型細胞の阻害が化合物1を洗い流しても持続することを実証している。
ロゼットセップ(RosetteSep)によるヒトのB型細胞を濃縮した混合物を用いて陰性選択をすることによって、健康体のドナーの血液からB型細胞を精製する。細胞を培養基(10%RPMI+10%のウシ胎仔血清)で培養し、望ましい濃度の化合物1を加える。37度で1時間培養した後、培養基中の8倍の希釈液を都度用いて、細胞を3度洗い流す。その後、37度で18時間、IgM F(ab’)2(10μg/ml)を用いて、細胞を刺激する。その後、抗CD69−PE抗体で細胞を染色し、標準条件を用いてフローサイトメトリーで分析した。
実施例7:キナーゼインヒビターの治療指数の最適化
本明細書に記載のキナーゼインヒビターが可逆的及び不可逆的な活性を有すると考え、治療指数を最適化するために、吸収、分配、代謝、及び、排出(ADME)などの生体内の特性を選択する。特に、迅速に洗浄された化合物は、不可逆的に阻害された標的への阻害を持続する一方で、可逆的に阻害された標的にはわずかしか阻害を継続しないと予測される。特定の標的への継続的な阻害がどの程度の効果又は細胞毒性を結果的にもたらすか如何で、生体内の選択性プロファイル及び生体内のADME特性との最適な組み合わせを有する化合物を同定する。