本明細書には、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)の阻害剤が記載される。本明細書にはBtkの不可逆阻害剤も記載される。本明細書にはBtkの可逆的阻害剤も記載される。更に、Btk上でシステイン残基との共有結合を形成する、Btkの不可逆阻害剤も記載される。更に本明細書には他のチロシンキナーゼの不可逆阻害剤も記載され、他のチロシンキナーゼは、不可逆阻害剤との共有結合を形成することが可能なシステイン残基(Cys481残基を含む)を有することにより、同族性をBtkと共有する(そのようなチロシンキナーゼは、本明細書で「Btkチロシンキナーゼ・システイン同族体」と称される)。
本明細書には、前記可逆的阻害剤又は不可逆阻害剤の合成方法、疾患(Btkの不可逆阻害が疾患を患う患者に治療効果をもたらす疾患を含む)の処置における前記可逆的阻害剤又は不可逆阻害剤の使用方法も記載される。更に、Btkの可逆的阻害剤又は不可逆阻害剤を含む医薬製剤も記載される。
1つの態様において、本明細書には、以下の構造を持つ式(I)の化合物、及び、その薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグが提供され:
式中:
R24はそれぞれ独立して、ハロゲン、−CN、−NO2、−OH、−OCF3、−OCH2F、−OCF2H、−CF3、−SR21、−N(R21)S(=O)2R23、−S(=O)2N(R21)(R22)、−S(=O)R23、−S(=O)2R23、−C(=O)H、−C(=O)R23、−OC(=O)R23、−CO2R21、−N(R21)(R22)、−C(=O)N(R21)(R22)、−N(R21)C(=O)R23、−N(R21)C(=O)OR22、−N(R21)C(=O)N(R21)(R22)、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、或いは置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、或いは置換又は非置換のシクロアルキルであり;
R21とR22はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
R23はそれぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
nは0−4であり;
R9は、置換又は非置換のアリール、或いは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
R10はH、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
R6はL−J−Wであり;
R7はV−Q−Wであり;
R8はX−A−Wであり;又は共に得られるR7とR8は単結合を形成し;
LとJはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
VとQはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
XとAはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
WはH又はNR25R26であり;
R25とR26はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のC6−C12アリール、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリールである。
1つの実施形態において、R9が置換又は非置換のヘテロアリールである、式(I)の化合物がある。
1つの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は、置換又は非置換のピリジル、置換又は非置換のチアゾリル、置換又は非置換のチアジアゾリル、置換又は非置換のイソチアゾリル、置換又は非置換のベンゾチアゾリル、置換又は非置換のピリミジル、置換又は非置換のピラジニル、置換又は非置換のピリダジニル、置換又は非置換のトリアジニル、置換又は非置換のキノリニル、或いは置換又は非置換のイソキノリニルである。別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、L−J−W、V−Q−W、及びX−A−WはそれぞれHである。別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、V−Q−WとX−A−WはHであり;及びR6はL−J−Wである。更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、L−J−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。また更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、L−J−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は、置換又は非置換のピリジル、置換又は非置換のチアゾリル、置換又は非置換のチアジアゾリル、置換又は非置換のイソチアゾリル、置換又は非置換のベンゾチアゾリル、置換又は非置換のピリミジル、置換又は非置換のピラジニル、置換又は非置換のピリダジニル、置換又は非置換のトリアジニル、置換又は非置換のキノリニル、或いは置換又は非置換のイソキノリニルであり;L−J−WとX−A−WはHであり;及びR7はV−Q−Wである。1つの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、V−Q−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。また更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、V−Q−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は、置換又は非置換のピリジル、置換又は非置換のチアゾリル、置換又は非置換のチアジアゾリル、置換又は非置換のイソチアゾリル、置換又は非置換のベンゾチアゾリル、置換又は非置換のピリミジル、置換又は非置換のピラジニル、置換又は非置換のピリダジニル、置換又は非置換のトリアジニル、置換又は非置換のキノリニル、或いは置換又は非置換のイソキノリニルであり;L−J−WとX−A−WはHであり;R7はV−Q−Wであり;Vは、存在しないか、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキレンであり;及びQは、存在しないか、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレンである。更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、Vは−CH2−である。更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、Qは置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレンである。また更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、Qは置換又は非置換のC1−C6アルキレン、シクロプロピル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル(piperizinyl)、モルホリニル、イミダゾリル、ピリジニル、又はフェニルである。更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、Vは存在しない。更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、Qは置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレンである。また更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、Qは−CH2−であり、WはNR25R26である。更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R25は、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C6シクロアルキルであり;及びR26は、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のC6−C12アリール、及び置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリールである。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R25とR26は−CH3である。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R25とR26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R25は−CH3であり、R26はシクロプロピルである。
別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は、置換又は非置換のピリジル、置換又は非置換のチアゾリル、置換又は非置換のチアジアゾリル、置換又は非置換のイソチアゾリル、置換又は非置換のベンゾチアゾリル、置換又は非置換のピリミジル、置換又は非置換のピラジニル、置換又は非置換のピリダジニル、置換又は非置換のトリアジニル、置換又は非置換のキノリニル、或いは置換又は非置換のイソキノリニルであり;共に得られるR7とR8は単結合を形成し;及びR6はL−J−Wである。別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、L−J−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。また更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、L−J−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
前述の実施形態の更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のピリジルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアゾリルである。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R10はHである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R10はCH3である。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、nは0である。
別の態様において、治療上有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグ、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物がある。1つの実施形態において、式(I)、式(IA)、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを含む医薬組成物は、経口投与、非経口投与、頬側投与、経鼻投与、局所投与、又は直腸投与から選択される投与経路のために処方される。
別の態様において、自己免疫疾患又は疾病の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。1つの実施形態において、自己免疫疾患は関節リウマチ又は狼瘡から選択される。更なる態様において、異種免疫疾患又は疾病の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。また別の実施形態において、癌の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。1つの実施形態において、癌はB細胞増殖性障害である。別の実施形態において、B細胞増殖性障害は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、又は慢性リンパ性白血病である。
また更なる態様において、肥満細胞症の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。
別の態様において、骨粗鬆症又は骨吸収障害の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。
更なる態様において、炎症性疾患又は疾病の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。
様々な変形のための上述の基の任意の組み合わせが、本明細書で考慮される。本明細書に提供される化合物に対する置換基及び置換パターンは、化学的に安定し、且つ、当該技術分野で既知の技術と同様に本明細書に記載されるものにより合成され得る化合物をもたらすために、当業者により選択され得ることを理解されたい。
更なる態様において、医薬組成物が提供され、該医薬組成物は、治療上有効な量の、本明細書の化合物、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能なプロドラッグ、又は薬学的に許容可能な溶媒和物の何れかの少なくとも1つを含む。特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は更に、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、及び/又は結合剤を含む。
チロシンキナーゼ活性により調節されるか、さもなくば影響を受ける、或いは、チロシンキナーゼ活性が関連付けられる、疾患、障害、又は疾病の1以上の症状の処置、予防、或いは寛解に有効な量を送達する、適切な経路及び手段による投与のために処方される、本明細書で提供される1以上の化合物又はその薬学的に有効な誘導体の有効な濃度を含む医薬組成物が、提供される。有効な量及び濃度は、本明細書に開示される疾患、障害、又は疾病の何れかの症状の何れかを寛解するのに有効である。
特定の実施形態において、本明細書には医薬組成物が提供され、該医薬組成物は、i)生理学的に許容可能な担体、希釈剤、及び/又は賦形剤と、ii)本明細書で提供された1以上の化合物と、を含む。
1つの態様において、本明細書には、本明細書で提供される化合物の投与により患者を処置する方法が提供される。幾つかの実施形態において、本明細書には、Btkなどのチロシンキナーゼの活性の阻害方法、又は、患者におけるBtkなどのチロシンキナーゼの阻害から利益を得る疾患、障害、又は疾病の処置方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の、本明細書の化合物、或いは薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能なプロドラッグ、又は薬学的に許容可能な溶媒和物を患者に投与する工程を含む。
別の態様において、本明細書には、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)活性を阻害するための、又は、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)活性の阻害から利益を得る疾患、障害、又は疾病の処置ための、本明細書に開示される化合物の使用が提供される。
幾つかの実施形態において、本明細書で提供される化合物はヒトに投与される。
幾つかの実施形態において、本明細書で提供される化合物は経口投与される。
他の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、チロシンキナーゼ活性の阻害のための薬の処方に使用される。幾つかの他の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)活性の阻害のための薬の処方に使用される。
包装材料、該包装材料中にある、Btkなどのチロシンキナーゼの活性を抑制するのに有効である本明細書で提供される化合物、組成物、或いはその薬学的に許容可能な誘導体、及び、化合物又は組成物、或いはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能なプロドラッグ、或いは薬学的に許容可能な溶媒和物がBtkなどのチロシンキナーゼの活性の阻害に使用されることを示すラベルを含む、製品が提供される。
別の態様において、以下の構造を持つ阻害剤に共有結合する、ブルトン型チロシンキナーゼ、ブルトン型チロシンキナーゼ同族体、又はそのBtkチロシンキナーゼ・システイン同族体を含む、阻害されたチロシンキナーゼであって:
式中、
は阻害剤とチロシンキナーゼの間の付着部位を示す。更なる実施形態において、阻害剤はチロシンキナーゼ上でシステイン残基に共有結合される。
別の態様において、以下の構造を持つ阻害剤に共有結合する、ブルトン型チロシンキナーゼ、ブルトン型チロシンキナーゼ同族体、又はそのBtkチロシンキナーゼ・システイン同族体を含む、阻害されたチロシンキナーゼであって:
式中、
は阻害剤とチロシンキナーゼの間の付着部位を示す。更なる実施形態において、阻害剤はチロシンキナーゼ上でシステイン残基に共有結合される。
更なる態様において、本明細書には、治療上有効な量の、式(I)、(Ia)、又は(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、その被験体のブルトン型チロシンキナーゼを阻害する方法が提供される。幾つかの実施形態において、必要とする被験体は自己免疫疾患に苦しんでおり、該疾患は例えば、炎症性腸疾患、関節炎、狼蒼、関節リウマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、若年性慢性関節リウマチ、若年性関節炎、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、Ord甲状腺炎、グレーブス病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、硬皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経異常症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋緊張病、硬皮症、又は外陰部痛である。
他の実施形態において、必要とする被験体は異種免疫疾病又は疾患に苦しんでおり、該疾病又は疾患は例えば、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー、1型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎である。
特定の実施形態において、必要とする被験体は炎症性疾患に苦しんでおり、該疾患は例えば、喘息、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、小腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、副***、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、耳管炎、静脈洞炎、口内炎、関節滑膜炎、腱炎、扁桃腺炎、ぶどう膜炎、鞘膜炎、脈管炎、又は外陰炎である。
更なる実施形態において、必要とする被験体は癌に苦しんでいる。幾つかの実施形態において、癌は、B細胞増殖性障害、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワンデルシュトレーム型マクログロブリン血症、脾臓の周縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、結節外の周縁帯B細胞リンパ腫、結節点の周縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔の(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内の大細胞型B細胞リンパ腫、原発性流出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、又はリンパ腫様肉芽腫症である。幾つかの実施形態において、被験体が癌に苦しんでいる場合、抗癌剤は、前述の化合物の1つを加えて被験体に投与される。1つの実施形態において、抗癌剤は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナル伝達の阻害剤、例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY−142886、SB239063、SP600125、BAY 43−9006、ウォルトマンニン、又はLY294002である。
更なる実施形態において、必要とする被験体は血栓塞栓障害に苦しんでおり、該障害は例えば、心筋梗塞、狭心症、血管形成後の再閉塞、血管形成後の再狭窄、大動脈冠動脈バイパス後の再閉塞、大動脈冠動脈バイパス後の再狭窄、脳卒中、一時的な虚血、末梢動脈閉塞性障害、肺塞栓症、又は深部静脈血栓症である。
更なる態様において、本明細書には、治療上有効な量の、式(I)、式(Ia)、又は式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、自己免疫疾患を処置する方法が提供される。1つの実施形態において、自己免疫疾患は関節炎である。別の実施形態において、自己免疫疾患は狼瘡である。幾つかの実施形態において、自己免疫疾患は、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、若年性慢性関節リウマチ、若年性関節炎、狼瘡、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、Ord甲状腺炎、グレーブス病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、硬皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経異常症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋緊張病、硬皮症、又は外陰部痛である。
更なる態様において、本明細書には、治療上有効な量の、式(I)、式(Ia)、又は式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、異種免疫疾病又は疾患を処置する方法が提供される。幾つかの実施形態において、異種免疫疾病又は疾患は、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー、1型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、又はアトピー性皮膚炎である。
更なる態様において、本明細書には、治療上有効な量の、式(I)、式(Ia)、又は式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、炎症性疾患を処置する方法が提供される。幾つかの実施形態において、炎症性疾患は、喘息、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、小腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、副***、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、耳管炎、静脈洞炎、口内炎、関節滑膜炎、腱炎、扁桃腺炎、ぶどう膜炎、鞘膜炎、脈管炎、又は外陰炎である。
また別の態様において、本明細書には、治療上有効な量の、式(I)、式(Ia)、又は式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、癌を処置する方法が提供される。幾つかの実施形態において、癌は、B細胞増殖性障害、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワンデルシュトレーム型マクログロブリン血症、脾臓の周縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、結節外の周縁帯B細胞リンパ腫、結節点の周縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔の(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内の大細胞型B細胞リンパ腫、原発性流出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、又はリンパ腫様肉芽腫症である。幾つかの実施形態において、被験体が癌に苦しんでいる場合、抗癌剤は、前述の化合物の1つを加えて被験体に投与される。1つの実施形態において、抗癌剤は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナル伝達の阻害剤、例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY−142886、SB239063、SP600125、BAY 43−9006、ウォルトマンニン、又はLY294002である。
また別の態様において、本明細書には、治療上有効な量の、式(I)、式(Ia)、又は式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、血栓塞栓障害を処置する方法が提供される。幾つかの実施形態において、血栓塞栓障害は、心筋梗塞、狭心症、血管形成後の再閉塞、血管形成後の再狭窄、大動脈冠動脈バイパス後の再閉塞、大動脈冠動脈バイパス後の再狭窄、脳卒中、一時的な虚血、末梢動脈閉塞性障害、肺塞栓症、又は深部静脈血栓症である。
更なる態様において、本明細書には、治療上有効な量の、ブルトン型チロシンキナーゼとの共有結合を形成する化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、自己免疫疾患を処置する方法が提供される。1つの実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼの活性型との共有結合を形成する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、共有結合されるブルトン型チロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼ上でシステイン残基との共有結合を形成する。
更なる態様において、本明細書には、治療上有効な量の、ブルトン型チロシンキナーゼとの共有結合を形成する化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、異種免疫疾病又は疾患を処置する方法が提供される。1つの実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼの活性型との共有結合を形成する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、共有結合されるブルトン型チロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼ上でシステイン残基との共有結合を形成する。
更なる態様において、本明細書には、治療上有効な量の、ブルトン型チロシンキナーゼとの共有結合を形成する化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、炎症性疾患を処置する方法が提供される。1つの実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼの活性型との共有結合を形成する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、共有結合されるブルトン型チロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼ上でシステイン残基との共有結合を形成する。また別の態様において、本明細書には、治療上有効な量の、ブルトン型チロシンキナーゼとの共有結合を形成する化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、癌を処置する方法が提供される。1つの実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼの活性型との共有結合を形成する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、共有結合されるブルトン型チロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼ上でシステイン残基との共有結合を形成する。
別の態様において、本明細書には、治療上有効な量の、ブルトン型チロシンキナーゼとの共有結合を形成する化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与することにより、血栓塞栓障害を処置する方法が提供される。1つの実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼの活性型との共有結合を形成する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、共有結合されるブルトン型チロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。更なる又は代替的な実施形態において、化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼ上でシステイン残基との共有結合を形成する。
別の態様において、哺乳動物中でBtk又は他のチロシンキナーゼの活性を不可逆的に阻害する工程を含む調節方法であって、他のチロシンキナーゼは、本明細書に記載される少なくとも1つの不可逆阻害剤との共有結合を形成することができるシステイン残基(Cys481残基を含む)を有することにより同族性をBtkと共有し、前記方法は、治療上有効な量の、式(I)、式(IA)、又は式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を少なくとも1回、哺乳動物に投与する工程を含む。別の態様において、哺乳動物のBtkの活性を調節する方法(可逆的又は不可逆的に阻害する工程を含む)であって、該方法は、有効な量の、式(I)、式(IA)、又は式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を少なくとも1回、哺乳動物に投与する工程を含む。別の態様において、Btk依存性又はBtk媒介性の疾病又は疾患を処置するための方法は、有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を少なくとも1回、哺乳動物に投与する工程を含む。
別の態様において、炎症を処置する方法は、有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を少なくとも1回、哺乳動物に投与する工程を含む。
更なる態様は癌の処置方法であり、該方法は、有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を少なくとも1回、哺乳動物に投与する工程を含む。癌の種類は、膵臓癌、及びその他の固形又は血液腫瘍などを含むが、これらに限定されない。
別の態様において、呼吸器疾患を処置する方法は、有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を少なくとも1回、哺乳動物に投与する工程を含む。この態様の更なる実施形態において、呼吸器疾患は喘息である。この態様の更なる実施形態において、呼吸器疾患は、限定されないが、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー性(外因性)喘息、非アレルギー性(内因性)喘息、急性の重症喘息、慢性喘息、臨床性喘息、夜間喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、等炭酸ガス過呼吸(isocapnic hyperventilation)、幼児期に発症する喘息、成人期に発症する喘息、咳型喘息、職業性喘息、ステロイド抵抗性喘息、季節性喘息を含む。
別の態様において、関節リウマチ及び変形性関節炎を予防する方法は、有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を少なくとも1回、哺乳動物に投与する工程を含む。
別の態様において、皮膚の炎症反応を処置する方法は、有効な量の、式(I)、式(IA)、式(II)の構造を持つ少なくとも1つの化合物を少なくとも1回、哺乳動物に投与する工程を含む。このような皮膚の炎症反応は、一例として、皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、じん麻疹、酒さ、及び瘢痕を含む。別の態様において、皮膚、関節、又は他の組織、或いは臓器の乾癬病巣を減少させる方法は、有効な量の、式(I)、式(IA)、又は式(II)の構造を持つ第1の化合物を哺乳動物に投与する工程を含む。
別の態様において、Btk又は他のチロシンキナーゼの活性が、疾患又は疾病の病状及び/又は症状に起因する、動物の炎症性疾患又は疾病の処置のための薬の製造における、式(I)、式(Ia)、又は式(II)の化合物の使用であって、ここで、他のチロシンキナーゼは、少なくとも1つの本明細書に記載の不可逆阻害剤との共有結合を形成することができるシステイン残基(Cys481残基を含む)を有することにより、Btkと同族性を共有する。この態様の1つの実施形態において、チロシンキナーゼタンパク質は、Btkである。この態様の別の又は更なる態様において、炎症性疾患又は疾病は、呼吸器疾患、循環器疾患又は増殖性疾患である。
前述の態様の何れかにおいて、投与が経腸、非経口、又はその両方で行なわれる実施形態であって、ここで、(a)有効な量の化合物は、哺乳動物に全身投与され;(b)有効な量の化合物は、哺乳動物に経口投与され;(c)有効な量の化合物は、哺乳動物に静脈内投与され;(d)有効な量の化合物は、吸入により投与され;(e)有効な量の化合物は、経鼻投与により投与され;(f)有効な量の化合物は、哺乳動物への注入により投与され;(g)有効な量の化合物は、哺乳動物に局所(経皮)投与され;(h)有効な量の化合物は、点眼投与により投与され;又は(i)有効な量の化合物は、哺乳動物に直腸投与される。
前述の態様の何れかにおいて、有効な量の化合物の単回投与を含む更なる実施形態であって、該実施形態において、(i)化合物は1回で投与され;(ii)化合物は1日以上の期間をおいて哺乳動物に複数回投与され;(iv)化合物は頻繁に投与され;又は(iv)化合物は連続的に投与される。
前述の態様の何れかにおいて、有効な量の化合物の複数回投与を含む更なる実施形態であって、該実施形態において、(i)化合物は単回用量で投与され;(ii)複数回投与の間隔は6時間毎であり;(iii)化合物は8時間毎に哺乳動物に投与される。更なる又は代替的な実施形態において、方法は休薬期間を含み、ここで、化合物の投与は一時的に中断され、又は化合物の投与量は一時的に減らされ;休薬期間の終わりに、化合物の投薬が再開される。休薬期間の長さは、2日から1年まで異なり得る。
癌を含む増殖性障害の処置に関する前述の態様において、更なる実施形態は、次のものから成る群から選択される少なくとも1つの付加的な薬剤を投与する工程を含む:アレムツズマブ、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ(ペグ化又は非ペグ化)、ベバシズマブ、セツキシマブ、シスプラチンなどの白金ベースの化合物、クラドリビン、ダウノルビシン/ドキソルビシン/イダルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5−フルオロウラシル、ゲムツズマブ、メトトレキサート、Paclitaxel(商標)、タキソール、テモゾロミド、チオグアニン、又はホルモン(抗エストロゲン、抗アンドロゲン、或いはゴナドトロピン放出ホルモンアナログ)を含む薬物の分類、アルファ・インターフェロンなどのインターフェロン、ブスルファン又はメルファラン又はメクロレタミンなどのナイトロジェンマスタード、トレチノインなどのレチノイド、イリノテカン又はトポテカンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、ゲフィチニブ又はイマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤、或いは、アロプリノール、フィルグラスチム、グラニセトロン/オンダンセトロン/パロノセトロン、ドロナビノールを含む前記治療により誘発される兆候又は症状を処置する薬剤。
Btk依存性又はチロシンキナーゼ媒介性の疾患又は疾病の予防又は処置に関する前述の態様の何れかにおいて、更なる実施形態は、チロシンキナーゼ遺伝子のプロタイプをスクリーニングすることにより患者を同定する工程を含む。更なる又は代替的な実施形態において、チロシンキナーゼ遺伝子のハプロタイプはチロシンキナーゼ経路遺伝子であり、一方でまた更なる又は代替的な実施形態において、チロシンキナーゼ遺伝子のハプロタイプはBtkハプロタイプである。
更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物はブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)の可逆的阻害剤であり、一方でまた更なる又は代替的な実施形態において、前記可逆的阻害剤はBtkについて選択的である。また更なる又は代替的な実施形態において、前記阻害剤は、酵素アッセイにおいて10マイクロMより下のIC50を有する。1つの実施形態において、Btk可逆的阻害剤は、1マイクロM未満の、及び別の実施形態においては0.25マイクロM未満のIC50を有する。
更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、ItkよりもBtkについて選択的な可逆的阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、LckよりもBtkについて選択的な可逆的阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、ABLよりもBtkについて選択的な可逆的阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、CMETよりもBtkについて選択的な可逆的阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、EGFRよりもBtkについて選択的な可逆的阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は、LynよりもBtkについて選択的な可逆的阻害剤である。
更なる又は代替の実施形態において、可逆的Btk阻害剤はEGFRの阻害剤でもある。
更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物はブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)の不可逆阻害剤であり、一方でまた更なる又は代替的な実施形態において、前記不可逆阻害剤はBtkについて選択的である。また更なる又は代替的な実施形態において、前記阻害剤は、酵素アッセイにおいて10マイクロMより下のIC50を有する。1つの実施形態において、Btk不可逆阻害剤は、1マイクロM未満の、及び別の実施形態においては0.25マイクロM未満のIC50を有する。
更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物は、ItkよりもBtkについて選択的な不可逆阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物は、LckよりもBtkについて選択的な不可逆阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物は、ABLよりもBtkについて選択的な不可逆阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物は、CMETよりもBtkについて選択的な不可逆阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物は、EGFRよりもBtkについて選択的な不可逆阻害剤である。更なる又は代替的な実施形態において、式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物は、LynよりもBtkについて選択的な不可逆阻害剤である。
更なる又は代替の実施形態において、不可逆Btk阻害剤はEGFRの阻害剤でもある。
本明細書に記載される方法及び組成物の、他の目的、特徴、利点は、後述する詳細な説明から明らかになるだろう。しかし、詳細な説明と特定の例は、特定の実施形態を示しているが、本開示の精神及び範囲内での様々な変化及び修正は、この詳細な説明から当該技術分野の当業者に明白となるので、単なる例示目的として与えられることを理解されたい。本明細書に使用されるセクション表題は、構成上の目的だけのためであり、記載された主題を制限すると解釈されるものではない。限定されないが、特許、特許出願、論文、書籍、マニュアル、及び論説を含む、本出願において引用される全ての文書、又は該文書の一部は、任意の目的のためにその全体を参照することで本明細書に明確に組み込まれる。
<特定の専門用語>
他に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、請求される主題が属する技術分野における当業者によって、一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書における用語の複数の定義がある場合、このセクションにおけるものを優先する。URL又は他のそのような識別子或いはアドレスが言及される場合、そのような識別子は変更する場合があり、且つインターネットについての特定の情報は現れたり消えたりし得るが、同等な情報をインターネット検索により発見できることが理解される。それに対する言及は、そのような情報のアベイラビリティ及び公的な普及を証拠づける。
前述の一般的な記載及び次の詳細な記載は、典型的且つ例示的のみのものであり、請求された任意の内容を限定するものでない、ことが理解される。本出願において、単数の使用は、特に別記しない限り複数を含んでいる。明細書と添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、他にその内容が明確に指示しない限り、複数の指示標的を含むということを留意しなければならない。本出願において、「又は」の使用は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。更に、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、制限はない。
本明細書に使用されるセクションの見出しは、構成的な目的だけのためであり、記載された主題を制限すると解釈されるものではない。限定されないが、特許、特許出願、論文、書籍、マニュアル、及び論説を含む、本出願において引用される全ての文書、又は該文書の一部は、任意の目的のためにその全体を参照することで本明細書に明確に組み込まれる。
標準の化学用語の定義は、「Carey and Sundberg “ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED.” Vols. A (2000) and B (2001), Plenum Press, New York」を含む参考資料に見出されることもある。特に指示がない限り、当業者の考え得る範囲内で、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、及び薬理学の従来の方法が、使用される。特定の定義が与えられなければ、本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、医薬、及び薬化学と組み合わせて利用した命名法、及び、それらの検査法並びに技術は、当業者に既知のものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤、送達、及び患者の処置に使用され得る。標準的な技術は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織の培養と形質転換(例えばエレクトロポレーション、リポフェクション)に使用され得る。反応及び精製の技術は、例えば、メーカー仕様書のキットの使用、当該技術分野で共通して達成されるように、又は本明細書に記載されるように、実行され得る。前述の技術及び手順は一般的に、当該技術分野で周知の従来の方法で、及び、本明細書を通じて引用及び議論される様々な一般的且つより具体的な参照において記載されるように、実行され得る。
本明細書に記載される方法及び組成物は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、細胞株、構成物、及び試薬に制限されず、従って変わり得ることが理解される。また、本明細書で使用された用語は、特定の実施形態のみについて記述する目的のものであり、添付の請求項によってのみ限定されることとなる、本明細書に記載の方法と組成物の範囲を限定することは意図されていない、ということが理解される。
本明細書で言及される刊行物及び特許は全て、例えば、刊行物に記載される構成物と方法を記載及び開示する目的で、その全体において参照により本明細書に組み込まれ、それは、本明細書に記載される方法、組成物、及び化合物に関連して使用されてもよい。本明細書で議論される刊行物は、本出願の出願日前にそれらが開示されたことを示すためのみに提供される。本明細書には、本明細書に記載される発明者が、先行発明により、又は他の何らかの理由によりそのような開示に先行する権利がないという承認として解釈されるものは何もない。
「アルキル」は、単に、不飽和を含まず、1〜15の炭素原子(例えば、C1−C15アルキル)を持つ、炭素原子と水素原子から成る、直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖ラジカルを指す。特定の実施形態において、アルキルは1〜13の炭素原子(例えばC1−C13アルキル)を含む。特定の実施形態において、アルキルは1〜8の炭素原子(例えばC1−C8アルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは5〜15の炭素原子(例えばC5−C15アルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは5〜8の炭素原子(例えばC5−C8アルキル)を含む。アルキルは、単結合、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、1−メチルエチル(iso−プロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシルなどにより、分子の残部に付けられる。本明細書において具体的に別段の定めが無い限り、アルキル基は、以下の置換基の1以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−ORa、−SRa、−OC(O)Ra、−N(Ra)2、−C(O)Ra、−C(O)ORa、−C(O)N(Ra)2、−N(Ra)C(O)ORa、−N(Ra)C(O)Ra、−N(Ra)S(O)tRa(tは1又は2である)、−S(O)tORa(tは1又は2である)、及び−S(O)tN(Ra)2(tは1又は2である)、ここで、Raはそれぞれ独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
アルキル基はまた、1〜6の炭素原子を有する「低級アルキル」であり得る。
本明細書で使用されるように、C1−Cxは、C1−C2、C1−C3...C1−Cxを含む。
「アルケニル」は、単に炭素原子及び水素原子から成る直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖ラジカル基を指し、少なくとも1つの二重結合を含み、且つ2〜12の炭素原子を有する。特定の実施形態において、アルケニルは2〜8の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルケニルは2〜4の炭素原子を含む。アルケニルは、単結合、例えば、エテニル(即ちビニル)、プロプ−1−エニル(即ちアリル)、ブト−1−エニル、ペント−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニルなどによって分子の残部に付けられる。本明細書において具体的に別段の定めが無い限り、アルケニル基は、以下の置換基の1以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−ORa、−SRa、−OC(O)Ra、−N(Ra)2、−C(O)Ra、−C(O)ORa、−C(O)N(Ra)2、−N(Ra)C(O)ORa、−N(Ra)C(O)Ra、−N(Ra)S(O)tRa(tは1又は2である)、−S(O)tORa(tは1又は2である)、及び−S(O)tN(Ra)2(tは1又は2である)、ここで、Raはそれぞれ独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アルキニル」は、単に炭素原子及び水素原子からなる直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖ラジカル基を指し、少なくとも1つの三重結合を含み、且つ2〜12の炭素原子を有する。特定の実施形態において、アルキニルは2〜8の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルキニルは2〜4の炭素原子を含む。アルキニルは、単結合、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどにより、分子の残部に付けられる。本明細書において具体的に別段の定めが無い限り、アルキニル基は、以下の置換基の1以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−ORa、−SRa、−OC(O)Ra、−N(Ra)2、−C(O)Ra、−C(O)ORa、−C(O)N(Ra)2、−N(Ra)C(O)ORa、−N(Ra)C(O)Ra、−N(Ra)S(O)tRa(tは1又は2である)、−S(O)tORa(tは1又は2である)、及び−S(O)tN(Ra)2(tは1又は2である)、ここで、Raはそれぞれ独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アルキレン」又は「アルキレン鎖」は、分子の残部をラジカル基に連結させる直鎖又は分子鎖の二価炭化水素鎖を指し、これは単に炭素及び水素から成り、不飽和を含まず、1〜12の炭素原子を有する(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレンなど)。アルキレン鎖は、単結合を介して分子の残部に、及び単結合を介してラジカル基に付けられる。分子の残部とラジカル基に対するアルキレン鎖の付着点は、アルキレン鎖における1つの炭素、又は、アルキレン鎖内の任意の2つの炭素を介し得る。本明細書において具体的に別段の定めが無い限り、アルキレン鎖は、以下の置換基の1以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−ORa、−SRa、−OC(O)−Ra、−N(Ra)2、−C(O)Ra、−C(O)ORa、−C(O)N(Ra)2、−N(Ra)C(O)ORa、−N(Ra)CORa、−N(Ra)tRa(tは1又は2である)、−S(O)tORa(tは1又は2である)、及び−S(O)tN(Ra)2(tは1又は2である)、ここで、各Raは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。
「アルケニレン」又は「アルケニレン鎖」は、分子の残部をラジカル基に連結させる直鎖又は分子の二価炭化水素鎖を指し、単に炭素及び水素から成り、少なくとも1つの二重結合を含み、且つ2〜12の炭素原子を有する(例えば、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレンなど)。アルケニレン鎖は、二重結合又は単結合を介して分子の残部に、及び二重結合又は単結合を介してラジカル基に付けられる。分子の残部とラジカル基に対するアルケニレン鎖の付着点は、1つの炭素、又は鎖内の任意の2つの炭素を介し得る。本明細書において具体的に別段の定めが無い限り、アルケニレン鎖は、以下の置換基の1以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−ORa、−SRa、−OC(O)−Ra、−N(Ra)2、−C(O)Ra、−C(O)ORa、−C(O)N(Ra)2、−N(Ra)C(O)ORa、−N(Ra)CORa、−N(Ra)tRa(tは1又は2である)、−S(O)tORa(tは1又は2である)、及び−S(O)tN(Ra)2(tは1又は2である)、ここで、各Raは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(1以上のハロ基により随意に置換される)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、ここで、上記置換基の各々は、別段の定めが無い限り置換されない。
「アリール」は、環炭素原子から水素原子を取り除くことにより、芳香族の単環式或いは多環式炭化水素環系に由来するラジカルを指す。芳香族単環式又は多環式の炭化水素系は、水素と、6乃至18の炭素原子環からの炭素のみを含み、ここで、環系における環の少なくとも1つは完全に不飽和であり、即ち、ヒュッケル理論に従った環式の、非局在化(4n+2)π−電子系を含む。アリール基は、限定されないが、フェニル、フルオレニル、及びナフチルなどの基を含む。本明細書において具体的に別段の定めの無い限り、用語「アリール」又は接頭辞「ar−」(「アラルキル」におけるものなど)は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、シアノ、ニトロ、随意に置換したアリール、随意に置換したアラルキル、随意に置換したアラルケニル、随意に置換したアラルキニル、随意に置換したカルボシクリル、随意に置換したカルボシクリルアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したヘテロシクリルアルキル、随意に置換したヘテロアリール、随意に置換したヘテロアリールアルキル、−Rb−ORa、−Rb−OC(O)−Ra、−Rb−N(Ra)2、−Rb−C(O)Ra、−Rb−C(O)ORa、−Rb−C(O)N(Ra)2、−Rb−O−Rc−C(O)N(Ra)2、−Rb−N(Ra)C(O)ORa、−Rb−N(Ra)C(O)Ra、−Rb−N(Ra)S(O)tRa(tは1又は2である)、−Rb−S(O)tORa(tは1又は2である)、及び−Rb−S(O)tN(Ra)2(tは1又は2である)から独立して選択される1以上の置換基により随意に置換される、アリールラジカルを含むように意図され、ここで、Raはそれぞれ独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(1以上のハロ基により随意に置換される)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、Rbはそれぞれ独立して、直接の結合、或いは直鎖又は分枝鎖のアルキレン又はアルケニレン鎖であり、Rcは直鎖又は分枝鎖のアルキレン又はアルケニレン鎖であり、ここで、上記置換基の各々は、別段の定めが無い限り置換されない。
「アラルキル」は、式Rcアリールのラジカルを指し、ここで、Rcは、例えばベンジルやジフェニルメチルなど、上記に定義されるようなアルキレン鎖である。アラルキルラジカルのアルキレン鎖部分は、アルキレン鎖について上述されるように随意に置換される。アラルキルラジカルのアリール部分は、アリール基について上述されるように随意に置換される。
「アラルケニル」は、式−Rd−アリールのラジカルを指し、ここで、Rdは上記に定義されるようなアルケニレン鎖である。アラルケニルラジカルのアリール部分は、アリール基について上述されるように随意に置換される。アラルケニルラジカルのアルケニレン鎖部分は、アルケニレン基について上述されるように随意に置換される。
「アラルキニル」は、式−Re−アリールのラジカルを指し、ここで、Reは上記に定義されるようなアルキニレン鎖である。アラルキニルラジカルのアリール部分は、アリール基について上述されるように随意に置換される。アラルキニルラジカルのアルキニレン鎖部分は、アルキニレン鎖について上述されるように随意に置換される。
「カルボシクリル」は、単に炭素原子及び水素原子から成る安定した非芳香族単環式又は多環式の炭化水素ラジカルを指し、これは、縮合又は架橋した環系を含み、3〜15の炭素原子を有する。特定の実施形態において、カルボシクリルは3〜10の炭素原子を含む。他の実施形態において、カルボシクリルは5〜7の炭素原子を含む。カルボシクリルは単結合により分子の残部に付けられる。カルボシクリルは随意に、飽和される(即ち、1つのC−C結合のみを含む)か、又は飽和(すなわち、1以上の二重結合又は三重結合を含む)されない。完全に飽和したカルボシクリルラジカルも「シクロアルキル」と呼ばれる。単環式シクロアルキルの例は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを含む。不飽和のカルボシクリルも「シクロアルケニル」と呼ばれる。単環式のシクロアルケニルの例は、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、及びシクロオクテニルを含む。多環式カルボシクリルラジカルは、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(即ち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル(decalinyl)、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを含む。本明細書において具体的に他に明示されない限り、用語「カルボシクリル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、随意に置換したアリール、随意に置換したアラルキル、随意に置換したアラルケニル、随意に置換したアラルキニル、随意に置換したカルボシクリル、随意に置換したカルボシクリルアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したヘテロシクリルアルキル、随意に置換したヘテロアリール、随意に置換したヘテロアリールアルキル、−Rb−ORa、−Rb−SRa、−Rb−OC(O)−Ra、−Rb−N(Ra)2、−Rb−C(O)Ra、−Rb−C(O)ORa、−Rb−C(O)N(Ra)2、−Rb−O−Rc−C(O)N(Ra)2、−Rb−N(Ra)C(O)ORa、−Rb−N(Ra)C(O)Ra、−Rb−N(Ra)S(O)tRa(tは1又は2である)、−Rb−S(O)tORa(tは1又は2である)、及び−Rb−S(O)tN(Ra)2(tは1又は2である)から独立して選択される1以上の置換基により随意に置換される、カルボシクリルラジカルを含むように意図され、ここで、Raはそれぞれ独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、Rbはそれぞれ独立して、直接の結合、或いは直鎖又は分枝鎖のアルキレン又はアルケニレン鎖であり、Rcは直鎖又は分枝鎖のアルキレン又はアルケニレン鎖であり、ここで、上記置換基の各々は、別段の定めが無い限り置換されない。
「ハロ」又は「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、又はヨードの置換基を指す。
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」、及び「ハロアルコキシ」は、少なくとも1つの水素がハロゲン原子と置き換えられる、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアルコキシの構造を含む。2つ以上の水素原子がハロゲン原子に置き換えられる、特定の実施形態において、ハロゲン原子は互いに全て同じである。2以上の水素原子がハロゲン原子に置き換えられる他の実施形態において、ハロゲン原子は互いに全てが同じではない。
「フルオロアルキル」は、上記に定義されるように、1以上のフルオロラジカルにより置換される、上記に定義されるようなアルキルラジカルを指し、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチルなどである。フルオロアルキルラジカルのアルキル部分は、アルキル基について上記に定義されるように随意に置換される。
本明細書で使用されるように、用語「非芳香族複素環式化合物」、「ヘテロシクロアルキル」、又は「ヘテロ脂環式」は、非芳香環を指し、ここで、環を形成する1つ以上の原子は、ヘテロ原子である。「非芳香族の複素環式化合物」又は「ヘテロシクロアルキル」基は、窒素、酸素、及び硫黄から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。ラジカルは、アリール又はヘテロアリールと縮合することもある。ヘテロシクロアルキル環は、3、4、5、6、7、8、9、又は9より多い原子によって形成され得る。ヘテロシクロアルキル環は随意に置換され得る。特定の実施形態において、非芳香族の複素環式化合物は、例えば、酸素及びチオ含有基のような、1つ以上のカルボニル基又はチオカルボニル基を包含している。ヘテロシクロアルキルの例は、ラクタム、ラクトン、環式イミド、環式チオイミド、環式カルバメート、テトラヒドロチオピラン、4H−ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,3−ジオキシン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキシン、1,4−ジオキサン、ピペラジン、1,3−オキサチアン、1,4−オキサチイン、1,4−オキサチアン、テトラヒドロ−1,4−チアジン、2H−1,2−オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、1,3−ジオキソール、1,3−ジオキソラン、1,3−ジチオール、1,3−ジチオラン、イソキサゾリン、イソキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、及び、1,3−オキサチオランを含むが、これらに限定されない。非芳香族ヘテロ環としても表される、ヘテロシクロアルキル基の説明的な例は、以下のものを含む:
用語「ヘテロ脂環式」はまた、限定されないが単糖類、二糖類、及びオリゴ糖を含む、炭水化物の環状形態を全て含む。構造により、ヘテロシクロアルキル基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、ヘテロシクロアルキレン基)となり得る。
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される2〜17の炭素原子及び1〜6のヘテロ原子を含む、3〜18員環の芳香環ラジカルから得たラジカルを指す。本明細書に使用されるように、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式、又は四環式の環系であり、ここで、環系における環の少なくとも1つは完全に不飽和であり、即ち、ヒュッケル理論に従った環式の、非局在化(4n+2)π−電子系を含む。ヘテロアリールは縮合又は架橋した環系を含む。ヘテロアリールラジカルにおけるヘテロ原子は随意に酸化する。1以上の窒素原子は、存在する場合、随意に四級化される。ヘテロアリールは、環の任意の原子を介して分子の残部に付けられる。ヘテロアリールの例は、限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2−d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7−ジヒドロー5H−シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2−c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、フロ[3,2−c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル,イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、5,8−メタノ−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6−ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a−オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1−フェニル−1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2−d]ピリミジニル、ピリド[3,4−d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、5,6,7,8−テトラヒドロピリド[4,5−c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3−d]ピリミジニル、チエノ[3,2−d]ピリミジニル、チエノ[2,3−c]ピリジニル、及びチオフェニル(即ち、チエニル)を含む。本明細書において具体的に別段の定めの無い限り、用語「ヘテロアリール」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、随意に置換したアリール、随意に置換したアラルキル、随意に置換したアラルケニル、随意に置換したアラルキニル、随意に置換したカルボシクリル、随意に置換したカルボシクリルアルキル、随意に置換したヘテロシクリル、随意に置換したヘテロシクリルアルキル、随意に置換したヘテロアリール、随意に置換したヘテロアリールアルキル、−Rb−ORa、−Rb−SRa、−Rb−OC(O)−Ra、−Rb−N(Ra)2、−Rb−C(O)Ra、−Rb−C(O)ORa、−Rb−C(O)N(Ra)2、−Rb−O−Rc−C(O)N(Ra)2、−Rb−N(Ra)C(O)ORa、−Rb−N(Ra)C(O)Ra、−Rb−N(Ra)S(O)tRa(tは1又は2である)、−Rb−S(O)tORa(tは1又は2である)、及び−Rb−S(O)tN(Ra)2(tは1又は2である)から独立して選択される1以上の置換基により随意に置換される、アリールラジカルを含むように意図され、ここで、Raはそれぞれ独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、Rbはそれぞれ独立して、直接の結合、或いは直鎖又は分枝鎖のアルキレン又はアルケニレン鎖であり、Rcは直鎖又は分枝鎖のアルキレン又はアルケニレン鎖であり、ここで、上記置換基の各々は、別段の定めが無い限り置換されない。
「N−ヘテロアリール」は、少なくとも1つの窒素を含む上記に定義されるようなヘテロアリールラジカルを指し、ヘテロアリールラジカルの分子の残部への付着点は、ヘテロアリールラジカル中の窒素原子を介する。N−ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上述されるように随意に置換される。
「C−ヘテロアリール」は、上述されるようなヘテロアリールラジカルを指し、ヘテロアリールラジカルの分子の残部への付着点は、ヘテロアリールラジカルの炭素分子を介する。C−ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上述されるように随意に置換される。
「ヘテロアリールアルキル」は、式−Rc−ヘテロアリールのラジカルを指し、ここで、Rcは上記に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロアリールが窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、窒素原子にてアルキルラジカルに随意に付着する。ヘテロアリールアルキルラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上述されるように随意に置換される。ヘテロアリールアルキルラジカルのヘテロアリール部分は、ヘテロアリール基について上述されるように随意に置換される。
「スルファニル」は−S−ラジカルを指す。
「スルフィニル」は−S(=O)−ラジカルを指す。
「スルフォニル」は−S(=O)2−ラジカルを指す。
「アミノ」は−NH2ラジカルを指す。
「シアノ」は−CNラジカルを指す。
「ニトロ」は−NO2ラジカルを指す。
「オキサ」は−O−ラジカルを指す。
「オキソ」は=Oラジカルを指す。
「イミノ」は=NHラジカルを指す。
「チオキソ」は=Sラジカルを指す。
「アルコキシ」基は、(アルキル)O−基を指し、アルキルは本明細書に定義される通りである。
「アリールオキシ」基は、(アリール)O−基を指し、ここで、アリールは本明細書に定義されているものである。
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキル基で置換された、本明細書に定義されるようなアルキルラジカルを意味する。制限しないシクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなどを含む。
本明細書に使用されるように、用語「ヘテロアリール」、「ヘテロアルケニル」、及び「ヘテロアルキニル」は、1以上の骨格鎖の原子がヘテロ原子(例えば酸素、窒素、硫黄、シリコン、燐、又はそれらの組み合わせ)である、随意に置換されたアルキル、アルケニル、及びアルキニルのラジカルを含む。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の任意の内部の位置、又は、ヘテロアルキル基が分子の残部に付けられている位置に配されてもよい。例は、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、及び−CH=CH−N(CH3)−CH3を含むが、これらに限定されない。加えて、2つまでのヘテロ原子は、一例として、−CH2−NH−OCH3及び−CH2−O−Si(CH3)3のように、連続していてもよい。
用語「ヘテロ原子」は、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、典型的には酸素、硫黄、窒素、シリコン、及び燐の中から独立して選択されるが、これらの原子に限定されない。2つ以上のヘテロ原子が存在する実施形態において、2つ以上のヘテロ原子は、互いに全て同じであり得る。あるいは、2つ以上のヘテロ原子のうちの幾つか又は全ては、他のものと各々異なるものであり得る。
用語「単結合(bond)」又は「単結合(single bond)」は、結合により連結された原子がより大きな部分構造の一部であると考えられる場合、二つの原子又は二つの部分間の化学結合を指す。
「イソシアナート」基はNCO基を指す。
「イソチオシアナート」基はNCS基を指す。
用語「部分」は、分子の特定のセグメント又は官能基を表す。化学部分は大抵、分子に埋め込まれた、又は分子に付加された化学物質(chemical entities)と認識される。
「チオアルコキシ」基又は「アルキルチオ」基は、−S−アルキル基を指す。
「アルキルチオアルキル」基は、−S−アルキル基で置換されたアルキル基を指す。
本明細書で使用されるように、用語、「O−カルボキシ」又は「アシルオキシ」は、式RC(=O)O−の基を指す。
「カルボキシ」は−C(O)OHラジカルを意味する。
本明細書で使用されるように、用語「アセチル」は、式−C(=O)CH3の基を指す。
「アシル」は、基−C(O)Rを指す。
本明細書で使用されるように、用語「トリハロメタンスルホニル」は、Xがハロゲンである式X3CS(=O)2−の基を指す。
「シアノアルキル」は、少なくとも1つのシアノ基で置換された、本明細書に定義されるようなアルキルラジカルを意味する。
本明細書で使用されるように、用語「N−スルホンアミド」又は「スルホニルアミノ」は、式RS(=O)2NH−の基を指す。
本明細書で使用されるように、用語「O−カルバミル」は、式−OC(=O)NR2の基を指す。
本明細書で使用されるように、用語「N−カルバミル」は、式ROC(=O)NH−の基を指す。
本明細書で使用されるように、用語「S−チオカルバミル」は、式−OC(=S)NR2の基を指す。
本明細書で使用されるように、「N−チオカルバミル」は、式ROC(=)NH−の基を指す。
本明細書で使用されるように、用語「C−アミド」は、式−C(=O)NR2の基を指す。
「アミノカルボニル」は−CONH2ラジカルを指す。
本明細書で使用されるように、用語「N−アミド」は、式RC(=O)NH−の基を指す。
本明細書で使用されるように、単独で数字指定無しで現われる置換基「R」は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介し結合される)、及び非芳香族複素環(環炭素を介し結合される)の中から選択される置換基を指す。
「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1つの水酸基で置換される、本明細書に定義されるようなアルキルラジカルを指す。ヒドロキシアルキルの制限しない例は、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル、及び2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルを含むが、これらに制限されない。
「アルコキシアルキル」は、本明細書で定義されるように、アルコキシ基によって置換された、本明細書で定義されるようなアルキルラジカルを指す。
「アルケニルオキシ」基は、(アルケニル)O−基を指し、アルケニルは本明細書に定義される通りである。
用語「アルキルアミン」は、−N(アルキル)xHy基を指し、ここで、xとyとは、x=1、y=1、及びx=2、y=0の中から選択される。x=2の場合、取り付けられるN原子と共に得られるアルキル基は、随意に環式の環構造を形成することができる。
「アルキルアミノアルキル」は、本明細書で定義されるように、アルキルアミンによって置換された、本明細書で定義されるようなアルキルラジカルを指す。
「アミド」は、式−C(O)NHR又は−NHC(O)Rを備えた化学部分であり、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合される)、及びヘテロ脂環式(環炭素を通じて結合される)から選択される。幾つかの実施形態では、アミド部分は、アミノ酸又はペプチド分子と、本明細書に記載されている化合物との間にリンケージを形成し、それによりプロドラッグを形成する。本明細書に記載の化合物上のアミン、又はカルボキル側鎖は、アミノ化され得る。そのようなアミドを作る手順及び特定の基は、当業者に既知であり、全体において参照により本明細書に組み込まれる「Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999」等の参照ソースにおいて見出すことができる。
用語「エステル」は、式−COORを備えた化学部分を指し、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合される)、及びヘテロ脂環式(環炭素を通じて結合される)の中から選択される。本明細書に記載の化合物上のヒドロキシ又はカルボキシル側鎖は、エステル化され得る。そのようなエステルを作る手順及び特定の基は、当業者に既知であり、全体において参照により本明細書に組み込まれる「Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999」等の参照ソースにおいて見出すことができる。
本明細書に使用されるように、用語「環」は、任意の共有結合性閉構造を指す。環は、例えば、炭素環(例えば、アリール及びシクロアルキル)、複素環(例えば、ヘテロアリール及び非芳香族複素環)、芳香族化合物(例えば、アリール及びヘテロアリール)、及び非芳香族化合物(例えば、シクロアルキル及び非芳香族複素環)を含む。環は随意に置換され得る。環は単環式又は多環式でもよい。
本明細書に使用されるように、用語「環系」は、1以上の環を指す。
用語「員環」は任意の環式構造を包含できる。用語「員」は、環を構築する骨格原子の数の表示を意味する。したがって、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピラン、及びチオピランは、6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フラン、及びチオフェンは、5員環である。
用語「縮合」は、2つ以上の環が1つ以上の結合を共有する構造を指す。
用語「随意に置換された」又は「置換された」は、参照の基が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、シアノ、ハロ、アシル、ニトロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、アミノ(一置換及び二置換のアミノ基を含む)、及びそれらの保護誘導体から個別及び独立的に選択される、1以上の追加の基によって置換され得る、ことを意味する。一例として、随意の置換基はLsRsでもよく、ここで、各Lsは、単結合、−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、S(=O)2NH−、−NHS(=O)2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−(置換又は非置換C1−C6アルキル)、又は−(置換又は非置換のC2−C6アルケニル)から独立して選択され、各Rsは、H、(置換又は非置換のC1−C4アルキル)、(置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル)、ヘテロアリール、又はヘテロアルキルから独立して選択される。上記置換基の保護誘導体を形成し得る保護基は、当業者に既知であり、上記の「Greene and Wuts」などの引用文献において見られ得る。
用語「求核試薬」又は「求核性の」は、電子の豊富な化合物、又はその部分を指す。求核試薬の一例は、例えば、BtkのCys481のような、分子のシステイン残基を含むが、これらに限定されない。
用語「求電子試薬」又は「求電子性の」は、電子が不十分な又は不足している分子、或いはその部分を指す。求電子試薬の例は、Michealアクセプター部分を含むが、これに限定されない。
本明細書に使用されるように、製剤、組成物、又は成分に関して、用語「許容可能な」又は「薬学的に許容可能な」は、処置される被験体の全般的な健康に対し、持続的で有害な効果を及ぼさないこと、又は、化合物の生物活性又は特性を抑止せず、比較的無毒である、ということを意味する。
本明細書に使用されるように、用語「アゴニスト」は化合物を指し、その存在は、例えばBtkのような、タンパク質のための自然発生のリガンドの存在から結果として生じる生物活性と同じである、タンパク質の生物活性を結果として生じる。
本明細書に使用されるように、用語「部分アゴニスト」は、化合物を指し、その存在は、タンパク質のための自然発生のリガンドの存在から結果として生じるのと同じタイプであるが、程度の低い、タンパク質の生物活性を結果としてもたらす。
本明細書に使用されるように、用語「アンタゴニスト」は、化合物を指し、その存在は、タンパク質の生物活性の程度の減少を結果としてもたらす。特定の実施形態において、アンタゴニストの存在は、例えばBtkのようなタンパク質の生物活性の完全な阻害を結果としてもたらす。特定の実施形態において、アンタゴニストは阻害剤である。
本明細書で使用されるように、特定の化合物又は医薬組成物を投与することによる、特定の疾患、障害、又は疾病の症状の「寛解」は、化合物又は組成物の投与に起因又は関連し得るものを、永久的、一時的、長期、又は短期の何れかで、重篤度を減らし、発症を遅らせ、進行を遅らせ、又は期間を短くすること、を指す。
「バイオアベイラビリティ」は、式(I)、式(IA)、又は式(II)の何れかの化合物のような、本明細書に記載された化合物の重量パーセントを指す。投薬された化合物は、研究されている動物又はヒトの全身循環へと送達される。静脈内に投与された時の薬物の総曝露(AUC(0−∞))は、100%生物にとって利用できる(F%)ものとして通常定義される。「経口のバイオアベイラビリティ」は、静脈注射と比較して、医薬組成物が経口で摂取される場合、式(I)、式(IA)、又は式(II)の何れかの化合物のような、本明細書に記載された化合物が、全身循環へ吸収される程度を指す。
「血漿濃度」は、被験体の血液の血漿成分における、式(I)、式(IA)、又は式(II)の何れかの化合物のような、本明細書に開示される化合物の何れかの濃度を指す。式(I)、式(IA)、又は式(II)の何れかの化合物の血漿濃度は、代謝及び/又は他の治療剤との可能な相互作用に関する可変性に起因して、被験体間でかなり変化する、ことが理解される。本明細書に開示される1つの実施形態に従って、式(I)、形式(IA)、又は式(II)の化合物の血漿濃度は、被験体ごとに異なり得る。同様に、最大の血漿濃度(Cmax)又は最大の血漿濃度に達する時間(Tmax)、或いは血漿濃度時間曲線の下の合計領域(AUC(0−∞))などの値は、被験体ごとに異なり得る。この変異性に起因して、「治療上有効な量」の、式(I)、式(IA)、又は式(II)の何れかの化合物を構成するのに必要な量は、被験体ごとに異なり得る。
本明細書で使用されるように、用語「ブルトン型チロシンキナーゼ」は、例えば米国特許第6,326,469号(GenBank Accession No. NP_000052)に開示されるように、ホモ・サピエンスからのブルトン型チロシンキナーゼを指す。
本明細書で使用されるように、用語「ブルトン型チロシンキナーゼ同族体」は、例えば、マウス(GenBank Acession No.AAB47246)、イヌ(GenBank Acession No.XP_549139)、ラット(GenBank Acession No.NP_001007799)、ニワトリ(GenBank Acession No.NP_989564)、又はゼブラフィッシュ(GenBank Acession No.XP_698117)からのブルトン型チロシンキナーゼのオルソログのオルソログ、及び、ブルトン型チロシンキナーゼの1以上の基質(例えば、アミノ酸配列「AVLESEEELYSSARQ」を有するペプチド基質)へのキナーゼ活性を示す前述の何れかの融合タンパク質を指す。
用語「同時投与」などは、本明細書に使用されるように、一人の患者に対する選択された治療剤の投与を包含することを意味し、同じ又は異なる投与経路、若しくは、同じ又は異なる投与時間で薬剤が投与される処置レジメンを含むことが意図されている。
用語「有効な量」又は「治療上有効な量」は、本明細書で使用されるように、処置される疾患又は疾病の1以上の症状をある程度和らげる、投与される薬剤又は化合物の十分な量を表す。その結果、疾患の兆候、症状、又は原因を減少及び/又は軽減し、或いは生物系の任意の他の所望の改変をもたらすことができる。例えば、治療用途で「有効な量」は、過度の有害な副作用を生じずに、疾患症状を臨床的に十分に減らすのに必要な、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々のケースにおいて適切で「有効な量」は、用量増加試験などの技術を使用して判定され得る。用語「治療上有効な量」は、例えば、予防に有効な量を含む。本明細書に開示される化合物の「有効な量」は、過度の有害な副作用を生じることなく、望ましい薬理学的効果又は治療の向上を達成するのに有効な量である。「有効な量」又は「治療上有効な量」は、式(I)、式(IA)、又は式(II)の何れかの化合物の代謝、被験体の年齢、体重、一般状態、処置されている疾病、処置されている疾病の重症度、及び処方医師の判断における変化により、被験体間で変え得ることが、理解される。ほんの一例として、治療上有効な量は、限定されないが用量増加臨床試験を含む定期的な試験によって、決定され得る。
用語「増強する(enhannce)」又は「増強すること(enhancing)」は、効力又は持続時間のいずれかにおいて、所望の効果を増加又は延長することを意味する。一例として、治療薬の効果を「増強すること」は、効力又は持続時間のいずれかにおいて、疾患、障害、又は疾病の処置を行なっている間、治療薬の効果を増加又は延長する能力を指す。本明細書で使用されるように、用語「増強に有効な量」は、疾患、障害、又は疾病の処置において治療薬の効果を増強するのに適切な量を指す。患者に用いる場合、この用途に効果的な量は、疾患、障害、又は疾病の重篤度及び経過、以前の治療、患者の健康状態及び薬物に対する応答、処置する医師の判断に依存する。
本明細書に使用されるように、用語「同族のシステイン」は、本明細書に定義されるように、ブルトン型チロシンキナーゼのシステイン481と同族の配列位置に見出されるシステイン残基を指す。例えば、システイン482は、ブルトン型チロシンキナーゼのラット・オルソログの同族のシステインであり;システイン479は、ニワトリ・オルソログの同族のシステインであり;及び、システイン481は、ゼブラフィッシュ・オルソログの同族のシステインである。別の例において、TXKの同族のシステイン、ブルトン型チロシンに関係するTecキナーゼファミリーのメンバーは、システイン350である。
本明細書に使用されるように、用語「同一」は、同じである2つ以上の配列又はサブ配列を指す。さらに、本明細書に使用されるように、用語「実質的に同一」は、比較窓によって最大一致のために比較され且つ位置合わせされた時、又は、比較アルゴリズムを使用して或いは手作業による位置合わせ及び外観検査によって測定されるような領域を指定した場合に同じである、配列単位の割合を有する、2以上の配列を指す。ほんの一例として、2以上の配列は、連続する単位が指定された領域にわたり、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、又は約95%同一である場合、「実質的に同一」であり得る。そのようなパーセンテージは、2以上の配列の「パーセント同一性」について記載するためのものである。配列の同一性は、長さが少なくとも約75−100の連続単位である領域、長さが約50の連続単位である領域、又は、特に指定されない場合、全体の配列にわたって存在し得る。この定義はまた、試験配列の補体を指す。ほんの一例として、アミノ酸残基が同じである場合に、2以上のポリペプチド配列は同一であり、一方で、アミノ酸残基が、指定領域にわたり約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、又は約95%同一である場合、2以上のポリペプチド配列は、「実質的に同一」である。同一性は、長さが少なくとも約75−100のアミノ酸である領域、長さが約50のアミノ酸である領域、又は、特に指定されない場合、ポリペプチド配列の全体の配列にわたって存在し得る。加えて、ほんの一例として、核酸残基が同じである場合に、2以上のポリヌクレオチド配列は同一であり、一方で、核酸残基が、指定領域にわたり約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、又は約95%同一である場合、2以上のポリヌクレオチド配列は、「実質的に同一」である。同一性は、長さが少なくとも約75−100の核酸である領域、長さが約50の核酸である領域、又は、特に指定されない場合、ポリヌクレオチド配列の全体の配列にわたって存在し得る。
本明細書に使用されるように、キナーゼに関して、用語「阻害する」、「阻害すること」、又は「阻害剤」は、酵素のリン酸転移酵素活性の阻害を指す。
本明細書に使用されるように、用語「不可逆阻害剤」は、標的タンパク質(例えばキナーゼ)との接触後、タンパク質との又はその中での新しい共有結合の形成を引き起こし、それによって、標的タンパク質の生物活性(例えば、リン酸転移酵素活性)の1以上が不可逆阻害剤の後の存在又は欠如にもかかわらず、減少又は消滅される、化合物を指す。対照的に、標的タンパク質との接触後の可逆的阻害剤化合物は、タンパク質との又はその中での新たな共有結合の形成を引き起こさず、それ故、標的タンパク質から着脱する(associate and dissociate)ことができる。
本明細書に使用されるように、用語「不可逆Btk阻害剤」は、Btkのアミノ酸残基との共有結合を形成することができるBtkの阻害剤を指す。1つの実施形態において、Btkの不可逆阻害剤は、Btkのシステイン残基との共有結合を形成することができ;特定の実施形態において、不可逆阻害剤は、BtkのCys481残基(又はその同族体)或いは別のチロシンキナーゼの同族の対応する位置におけるシステイン残基との共有結合を形成することができる。
本明細書で使用されるように、用語「分離された」は、対象でない成分から、対象の成分を分離し、除去することを指す。分離された物質は、乾燥状態又は半乾燥状態であり、或いは、限定されないが水溶液を含む溶液内に存在し得る。分離された成分は、均質の状態であるか、又は、分離された成分は、追加の薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物の一部となり得る。ほんの一例として、核酸又はタンパク質が、自然状態で随伴する細胞成分の少なくとも幾つかを持たない時、又は、核酸又はタンパク質が、そのインビボ又はインビトロでの酸性の濃度より高いレベルに濃縮された時、前記核酸又はタンパク質は、「分離される」。また、一例として、遺伝子の側面に位置し、且つ対象の遺伝子以外のタンパク質をコード化する、オープンリーディングフレームから分離された時、遺伝子が分離される。
本明細書に開示される化合物の「代謝物」は、化合物の代謝時に形成される、化合物の誘導体である。用語「活性代謝物」は、化合物の代謝時に形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。本明細書で使用されるように、用語「代謝した」は、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(加水分解反応、及び、酸化反応等の酵素によって触媒される反応を含むが、これらに限定されない)の全体を指す。従って、酵素は化合物に対して特異的な構造上の変化を生成し得る。例えば、チトクロームP450は、様々な酸化反応及び還元反応を触媒する一方で、ウリジン2リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、及び遊離スルフヒドリル基への、活性化グルクロン酸分子の転移を触媒する。代謝に関する更なる情報は、「The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw−Hill (1996)」から得られ得る。本明細書に開示される化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与及び宿主から採取した組織サンプルの解析により、又は、肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーション及びその結果生じる化合物の解析の何れかによって、同定され得る。両方の方法は、当該技術分野で周知である。幾つかの実施形態において、化合物の代謝物は、酸化プロセスによって形成され、対応するヒドロキシ含有化合物に相当する。幾つかの実施形態において、化合物は薬理学的に活性な代謝物に代謝される。
用語「調節する」は、本明細書で使用されるように、標的の活性を変化させるために標的と直接的又は間接的に相互作用することを意味し、標的の活性の変化は、ほんの一例ではあるが、標的の活性の増強、標的の活性の阻害、標的の活性の制限、又は標的の活性の拡張を含む。
本明細書で使用されるように、用語「モジュレーター」は、分子の活性を変化する化合物を指す。例えば、モジュレーターは、モジュレーターがない状態での活性の規模と比較して、分子の特定の活性の規模の増加又は減少を引き起こし得る。特定の実施形態において、モジュレーターは、分子の1以上の活性の規模を減少させる阻害剤である。特定の実施形態において、阻害剤は、分子の1以上の活性を完全に防ぐ。特定の実施形態において、モジュレーターは、分子の少なくとも1つの活性の規模を増加させる活性化因子である。特定の実施形態において、モジュレーターの存在は、モジュレーターがない状態では生じない活性を、結果としてもたらす。
本明細書に使用されるように、用語「予防的に有効な量」は、処置される疾患、疾病、又は障害の症状の1以上をある程度まで和らげる、患者に適用される組成物の量を指す。そのような予防用途において、そのような量は、患者の健康状態や体重などに依存し得る。限定されないが用量増加臨床試験を含む定期的な試験によって、そのような予防的に有効な量を判定することは、当業者の考え得る範囲内で十分に考慮される。
本明細書で使用されているように、用語「選択的な結合化合物」は、1つ以上の標的タンパク質の任意の部分に選択的に結合する化合物を指す。
本明細書で使用されるように、用語「選択的に結合する」は、選択的に結合する化合物が、非標的タンパク質に結合するものよりも大きな親和性を持つ、例えばBtkのような標的タンパク質に結合する能力を指す。特定の実施形態において、特異的結合は、非標的に対する親和性よりも、少なくとも10、50、100、250、500、1000倍以上である親和性を持つ標的に結合することを指す。
本明細書で使用されるように、用語「選択的修飾物質」は、非標的活性に対して標的活性を選択的に調節する化合物を指す。特定の実施形態において、特定の修飾物質は、非標的活性より、少なくとも10、50、100、250、500、1000倍以上の標的活性を調節することを指す。
本明細書に使用されるように、用語「十分に精製された」は、精製前に対象の成分に通常付随するか又は相互に作用する他の成分が、実質的又は本質的に存在しない、対象の成分を指す。ほんの一例として、対象の成分は、対象の成分の調製物が、(乾重量に対して)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満の汚染成分を含有している時、「十分に精製され」得る。故に、「十分に精製された」対象の成分は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上の精製レベルを有し得る。
本明細書に使用されるように、用語「被験体」は、処置、観察、又は実験の対象である動物を指す。ほんの一例として、被験体は、限定されないがヒトを含む哺乳動物であり得るが、これに限定されない。
本明細書で使用されるように、用語「標的活性」は、選択的修飾物質によって調節することができる生物活性を指す。特定の典型的な標的活性は、限定されないが、結合親和性、シグナル変換、酵素活性、腫瘍増殖、炎症又は炎症関連のプロセス、及び疾患又は疾病に関連した1以上の症状の寛解を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるように、用語「標的タンパク質」は、選択的な結合化合物によって結合される能力を有しているタンパク質の分子又は一部を指す。特定の実施形態において、標的タンパク質はBtkである。
用語「処置する(treat)」、「処置している(treating)」、及び「処置(treatment)」は、本明細書で使用されるように、疾患又は疾病の症状を軽減、減少、又は寛解すること、更なる症状を予防すること、症状の根底にある代謝の原因を寛解又は予防すること、疾患又は疾病を阻害すること、例えば、疾患又は疾病の進行を阻止すること、疾患又は疾病を緩和すること、疾患又は疾病を退行させること、疾患又は疾病により生じる状態を緩和すること、或いは疾患又は疾病を止めることを含む。用語「処置する」、「処置している」、又は「処置」は、予防的及び/又は治療上の処置を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるように、IC50は、最大の反応を測定するアッセイにおいて、Btkの阻害などの、最大の反応の50%阻害を達成する、特定の試験化合物の量、濃度、又は投与量を指す。
本明細書で使用されるように、EC50は、特定の試験化合物によって誘発され、引き起こされ、又は強められる、特定の反応の最大50%発現で用量依存性の反応を誘発する、特定の試験化合物の投与量、濃度、又は量を指す。
本明細書に記載される方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される1以上の可逆的又は負荷逆Btk阻害剤化合物を含有する組成物を、必要とする被験体に投与する工程を含む。理論に縛られることなく、様々な造血性細胞機能(例えば、B細胞受容体活性化)においてBtkシグナル伝達により果たされる、多様な役割は、小分子Btk阻害剤が、造血リネージ(hematopoetic lineage)の多くの細胞により影響を受けるか又はそれに影響を及ぼす、様々な疾患(例えば、自己免疫疾患、異種免疫疾病又は疾患、炎症性疾患、癌(例えばB細胞増殖性障害)、及び血栓塞栓症障害)の危険性を減少させること、又はそれらを処置することに役立つことを、示唆する。更に、本明細書に記載される不可逆Btk阻害剤化合物は、不可逆阻害剤との共有結合を形成し得るシステイン残基(システイン481残基を含む)を有することによりBtkとの同族性を共有する、他のチロシンキナーゼの小さなサブセットを阻害するために使用され得る。故に、Btk以外のチロシンキナーゼのサブセットも、多くの健康状態において治療標的として有用であると予想される。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、自己免疫疾患を処置するために使用され得、該疾患は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、若年性慢性関節リウマチ、若年性関節炎、狼瘡、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、Ord甲状腺炎、グレーブス病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、硬皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経異常症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋緊張病、硬皮症、及び外陰部痛を含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、異種免疫疾病又は疾患を処置するために使用され得、異種免疫疾病又は疾患は、限定されないが、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例えば、植物の花粉、ラテックス、薬物、食物、昆虫毒、獣毛、動物のふけ、チリダニ、又はゴキブリの萼に対するアレルギー)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、及びアトピー性皮膚炎を含む。
更なる実施形態において、本明細書に記載される方法は、炎症性疾患を処置するために使用され得、該疾患は、喘息、炎症性大腸疾患、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、小腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、副***、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、耳管炎、静脈洞炎、口内炎、関節滑膜炎、腱炎、扁桃腺炎、ぶどう膜炎、鞘膜炎、脈管炎、及び外陰炎を含む。
また他の実施形態において、本明細書に記載される方法は、癌、例えばB細胞増殖性障害を処置するために使用され得、癌は、限定されないが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワンデルシュトレーム型マクログロブリン血症、脾臓の周縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、結節外の周縁帯B細胞リンパ腫、結節点の周縁帯B細胞リンパ腫、外套細胞リンパ腫、縦隔の(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内の大細胞型B細胞リンパ腫、主要な流出リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、及びリンパ腫様肉芽腫症を含む。
更なる実施形態において、本明細書に記載される方法は、血栓塞栓症の障害を処置するために使用され得、血栓塞栓症の障害は、限定されないが、心筋梗塞、狭心症(不安定狭心症を含む)、血管形成又は大動脈冠動脈バイパスの後の再閉塞又は再狭窄、脳卒中、一時的な虚血、末梢動脈閉鎖性障害、肺の塞栓症、及び深部静脈血栓症を含む。
前述の疾病の各々に関する症状、診断試験、及び予診検査は、当該技術分野で既知である。例えば、“Harrison’s Principles of Internal Medicinec,” 16th ed., 2004, The McGraw−Hill Companies, Inc. Dey et al. (2006), Cytojournal 3(24)、及びthe ”Revised European American Lymphoma” (REAL) classification systemを参照(例えば、National Cancer Instituteにより管理されるウェブサイトを参照)。
多くの動物モデルは、前述の疾患の何れかを処置するための、可逆的又は不可逆Btk阻害剤化合物の治療上有効な投薬の範囲を確立するのに役立つ。
例えば、自己免疫疾患の処置のための可逆的又は不可Btk阻害剤化合物の投薬は、関節リウマチのマウス・モデルにおいて評価され得る。このモデルにおいて、関節炎は抗コラーゲン抗体とリポ多糖類の投与により、バルブ/cマウスにおいて誘発される。「Nandakumar et al. (2003), Am. J. Pathol 163:1827−1837」を参照。
別の例において、B細胞増殖性障害の処置用の可逆的又は不可逆Btk阻害剤の投薬は、例えば、文献「Pagel et al. (2005), Clin Cancer Res 11(13):4857−4866」に記載されるように、免疫不全のマウス(例えば「ヌード」マウス)にヒトB細胞リンパ腫細胞(例えばRamos細胞)が移植される、ヒトからマウスへの異種移植片モデルにおいて実験され得る。
血栓塞栓障害の処置用の動物モデルも既知である。
前述の疾患の1つのための化合物の治療効果は、処置の経過中に最適化され得る。例えば、処置されている被験体は、不可逆Btk阻害剤の予め与えられた投与量の投与により達成された、インビボのBtk活性の阻害に、病徴又は病状の軽減を関連付けるために、診断の評価を受け得る。当該技術分野で既知の細胞のアッセイは、不可逆Btk阻害剤の存在の有無にかかわらず、Btkのインビボの活性を判定するために使用され得る。例えば、活性化Btkがチロシン223(Y223)とチロシン551(Y551)でリン酸化されるので、P−Y223又はP Y551陽性細胞の、ホスホ特異性の免疫細胞科学的染色は、細胞の個体群におけるBktの活性化を検知する、又は(例えば、染色した細胞vs未染色の細胞のFACS分析によって)数量化するために使用され得る。例えば、Nisitani et al. (1999), Proc. Natl. Acad. Sci, USA 96:2221−2226を参照。故に、被験体に投与される、Btk阻害剤化合物の量は、被験体の疾患状態を処置するのに最適なBtk阻害のレベルを維持するため必要とされるように、増加又は減少され得る。
<化合物>
本明細書に記載される方法で使用するのに適切な可逆的又は不可逆阻害Btk化合物の以下の記載において、標準の化学用語に言及する定義は、(本明細書において定義されなければ)「Carey and Sundberg “Advanced Organic Chemistry 4th Ed.” Vols. A (2000) and B (2001), Plenum Press, New York」を含む参考資料において見出され得る。特に指示がない限り、当業者の考え得る範囲内で、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、及び薬理学の従来の方法が、使用される。加えて、Btk(例えばヒトBtk)のための核酸及びアミノ酸の配列は、例えば、米国特許第6,326,469号に開示されるように当該技術分野において既知である。特定の定義が与えられなければ、本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、医薬、及び薬化学と組み合わせて利用した命名法、及び、それらの検査法並びに技術は、当業者に既知のものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤、送達、及び患者の処置に使用され得る。
本明細書に記載されるBtk阻害剤化合物は、Btkにおけるシステイン481のアミノ酸配列位置に相同するチロシンキナーゼのアミノ酸配列位置において、システイン残基を有するBtk及びキナーゼに対して選択的である。本明細書に記載される阻害剤化合物はマイケル・アクセプター部分を含む。
一般に、本明細書に記載される方法において使用されるBtkの可逆的又は不可逆阻害化合物は、インビトロのアッセイ、例えば、細胞生化学的アッセイ、又は、細胞機能的アッセイにおいて、同定されるか又は特徴づけられる。前記アッセイは、可逆的又は不可逆Btk阻害剤化合物のインビトロのIC50を判定するのに有用である。
例えば、細胞キナーゼアッセイは、候補の不可逆Btk阻害剤化合物の様々な濃度の存在の有無にかかわらず、キナーゼのインキュベーションの後にBtk活性を判定するために使用され得る。候補の化合物が実際に不可逆Btk阻害剤である場合、Btkキナーゼ活性は、阻害剤の無い培地による繰り返し洗浄によっては回復されない。例えば、J. B. Smaill等による論文、 (1999年), 「J. Med. Chem.」 、42(10):1803−1815を参照。更に、Btkと候補の不可逆Btk阻害剤との間の共有結合型錯体の形成は、当該技術分野で既知の多くの方法(例えば質量分析法)によって容易に判定され得る、Btkの不可逆阻害の有用な指標である。例えば、幾つかの不可逆Btk阻害剤化合物は、(例えば、Michael反応を介して)BtkのCys481との共有結合を形成することができる。
Btk阻害のための細胞の機能的アッセイは、候補の不可逆Btk阻害剤化合物の様々な濃度の存在の有無にかかわらず、細胞株におけるBtk媒介経路の刺激(例えば、Ramos細胞におけるBCR活性化)に応じた、1以上の細胞のエンドポイントを測定する工程を含む。BCR活性化に対する反応を判定するのに有用なエンドポイントは、例えば、Btkの自己リン酸化、Btk標的タンパク質(例えばPLC−γ)のリン酸化、及び細胞質のカルシウム流出を含む。
多くの細胞生化学的アッセイ(例えばキナーゼ・アッセイ)と、細胞の機能的アッセイ(例えばカルシウム流出)のための高スループット・アッセイは、当業者に周知である。加えて、高スループット・スクリーニング・システムは、市販で入手可能である(例えば、Zymark Corp., Hopkinton, MA; Air Technical Industries, Mentor, OH; Beckman Instruments, Inc. Fullerton, CA; Precision Systems, Inc., Natick, MA等を参照)。これらのシステムは典型的に、アッセイに適切な検出器において、全てのサンプルと試薬のピペッティング、液体分配、時限のインキュベーション、及びマイクロプレートの最終的な読み取りを含む全体の手順を自動化する。自動システムはそれにより、過度の努力なしに可逆的又は不可逆Btk化合物の多数の同定及び特性付けを可能にする。
可逆的又は不可逆Btk阻害剤化合物は、前述の疾病(例えば自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー障害、B細胞増殖性障害、又は血栓塞栓障害)の何れかを処置するための薬の製造に使用することができる。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法のために使用される可逆的又は不可逆Btk阻害剤化合物は、約10μM未満のインビトロのIC50を備えたBtk同族体キナーゼ活性を阻害する。(例えば、1μM未満、約0.5μM未満、約0.4μM未満、約0.3μM未満、約0.1μM未満、約0.08μM未満、約0.06μM未満、約0.05μM未満、約0.04μM未満、約0.03μM未満、約0.02μM未満、約0.01μM未満、約0.008μM未満、約0.006μM未満、約0.005μM未満、約0.004μM未満、約0.003μM未満、約0.002μM未満、約0.001μM未満、約0.00099μM未満、約0.00098μM未満、約0.00097μM未満、約0.00096μM未満、約0.00095μM未満、約0.00094μM未満、約0.00093μM未満、約0.00092μM、又は約0.00090μM未満)。
1つの実施形態において、不可逆Btk阻害剤化合物は、選択的に、及び不可逆的に、その標的チロシンキナーゼの活性化された形態(例えばチロシンキナーゼの燐酸化された形態)を阻害する。例えば、活性化されたBtkは、チロシン551でトランスリン酸化される。故に、これらの実施形態において、一度標的キナーゼがシグナル伝達事象により活性化されさえすれば、不可逆Btk阻害剤は、細胞内の標的キナーゼを阻害する。
本明細書には、式(I)、式(IA)、又は式(II)の何れかの化合物が記載される。また、本明細書には、前記化合物の、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に活性な代謝物、及び薬学的に許容可能なプロドラッグも記載される。少なくとも1つのそのような化合物、又はそのような化合物の薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に活性な代謝物、及び薬学的に許容可能なプロドラッグを含む医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される化合物が酸化可能な窒素原子を包含している場合、窒素原子は、当該技術分野で周知の方法によりN−オキシドに変換され得る。特定の実施形態において、式(I)、式(IA)、又は式(II)の何れかによって表わされた構造を有する化合物の、異性体及び化学的に保護された形態も、提供される。
別の実施形態において、式(I)の化合物、及び、その薬学的に許容可能な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグであって:
式中:
R24はそれぞれ独立して、ハロゲン、−CN、−NO2、−OH、−OCF3、−OCH2F、−OCF2H、−CF3、−SR21、−N(R21)S(=O)2R23、−S(=O)2N(R21)(R22)、−S(=O)R23、−S(=O)2R23、−C(=O)H、−C(=O)R23、−OC(=O)R23、−CO2R21、−N(R21)(R22)、−C(=O)N(R21)(R22)、−N(R21)C(=O)R23、−N(R21)C(=O)OR22、−N(R21)C(=O)N(R21)(R22)、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、或いは置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、或いは置換又は非置換のシクロアルキルであり;
R21とR22はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
R23はそれぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
nは0−4であり;
R9は、置換又は非置換のアリール、或いは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
R10はH、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
R6はL−J−Wであり;
R7はV−Q−Wであり;
R8はX−A−Wであり;又は共に得られるR7とR8は単結合を形成し;
LとJはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
VとQはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
XとAはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
WはH又はNR25R26であり;
R25とR26はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のC6−C12アリール、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリールである。
1つの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は、置換又は非置換のピリジル、置換又は非置換のチアゾリル、置換又は非置換のチアジアゾリル、置換又は非置換のイソチアゾリル、置換又は非置換のベンゾチアゾリル、置換又は非置換のピリミジル、置換又は非置換のピラジニル、置換又は非置換のピリダジニル、置換又は非置換のトリアジニル、置換又は非置換のキノリニル、或いは置換又は非置換のイソキノリニルである。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のピリジルである。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアゾリルである。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアジアゾリルである。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のイソチアゾリルである。幾つかの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のベンゾチアゾリルである。
1つの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、L−J−W、V−Q−W、及びX−A−WはそれぞれHである。別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、V−Q−WとX−A−WはHであり、R6はL−J−Wである。更なる実施形態において、L−J−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。また更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、L−J−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換のC1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換の(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換の(((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、L−J−WとX−A−WはHであり、R7はV−Q−Wである。更なる実施形態において、V−Q−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。また更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、V−Q−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換のC1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換の(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換の(((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、L−J−WとX−A−QはHであり;R7はV−Q−Wであり;Vは、存在しないか、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキレンであり;及びQは、存在しないか、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレンである。更なる実施形態において、Vは存在しない。更なる実施形態において、Vは置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレンである。更なる実施形態において、Vは置換又は非置換のC1−C6アルキレンである。また更なる実施形態において、Vは−CH2−である。更なる実施形態において、Qは、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレンである。幾つかの実施形態において、Qは置換又は非置換のC1−C6アルキレンである。更なる実施形態において、Qは−CH2−である。幾つかの実施形態において、Qは置換又は非置換のC1−C6シクロアルキレンである。更なる実施形態において、Qはシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、Qは置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレンである。更なる実施形態において、Qは、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル(piperizinyl)、モルホリニル、イミダゾリル、又はピリジニルである。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、WはHである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、WはNR25R26である。更なる実施形態において、R25は、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C6シクロアルキルであり;及びR26は、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のC6−C12アリール、又は置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリールである。幾つかの実施形態において、R25とR26は−CH3である。幾つかの実施形態において、R25とR26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、R25はHであり、R26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、R25はHであり、R26はシクロブチルである。幾つかの実施形態において、R25は−CH3であり、R26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、R25は−CH3であり、R26はシクロブチルである。
別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、共に得られるR7とR8は単結合を形成し;及びR6はL−J−Wである。更なる実施形態において、L−J−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。更なる実施形態において、L−J−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換のC1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換の(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換の(((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
幾つかの実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R24はそれぞれ独立して、−NH2、N(CH3)2、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、或いは置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、或いは置換又は非置換のシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、R24は、置換又は非置換のアルキルである。幾つかの実施形態において、R24は、置換又は非置換のシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、R24は、置換又は非置換のヘテロシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、R24はハロゲンである。更なる実施形態において、R24はF、Cl、又はBrである。
前述の実施形態の更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のピリジルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアゾリルである。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R10はHである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、R10はCH3である。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、nは0である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、nは1である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、nは2である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、nは3である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(I)の化合物であって、式中、nは4である。
別の実施形態において、式(Ia)の化合物、及び、その薬学的に許容可能な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグであって:
式中:
R24はそれぞれ独立して、ハロゲン、−CN、−NO2、−OH、−OCF3、−OCH2F、−OCF2H、−CF3、−SR21、−N(R21)S(=O)2R23、−S(=O)2N(R21)(R22)、−S(=O)R23、−S(=O)2R23、−C(=O)H、−C(=O)R23、−OC(=O)R23、−CO2R21、−N(R21)(R22)、−C(=O)N(R21)(R22)、−N(R21)C(=O)R23、−N(R21)C(=O)OR22、−N(R21)C(=O)N(R21)(R22)、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、或いは置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、或いは置換又は非置換のシクロアルキルであり;
R21とR22はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
R23はそれぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
nは0−4であり;
R9は、置換又は非置換のアリール、或いは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
R10はH、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
R7はV−Q−Wであり;
VとQはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
WはH又はNR25R26であり;
R25とR26はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のC6−C12アリール、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリールである。
1つの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R9は、置換又は非置換のピリジル、置換又は非置換のチアゾリル、置換又は非置換のチアジアゾリル、置換又は非置換のイソチアゾリル、置換又は非置換のベンゾチアゾリル、置換又は非置換のピリミジル、置換又は非置換のピラジニル、置換又は非置換のピリダジニル、置換又は非置換のトリアジニル、置換又は非置換のキノリニル、或いは置換又は非置換のイソキノリニルである。幾つかの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のピリジルである。幾つかの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアゾリルである。幾つかの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアジアゾリルである。幾つかの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のイソチアゾリルである。幾つかの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のベンゾチアゾリルである。
1つの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、V−Q−WはHである。
1つの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R7はV−Q−Wである。更なる実施形態において、V−Q−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。また更なる実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、V−Q−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換のC1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換の(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換の(((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
1つの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R7はV−Q−Wであり;Vは、存在しないか、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキレンであり;及びQは、存在しないか、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレンである。更なる実施形態において、Vは存在しない。更なる実施形態において、Vは置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレンである。更なる実施形態において、Vは置換又は非置換のC1−C6アルキレンである。また更なる実施形態において、Vは−CH2−である。更なる実施形態において、Qは、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレンである。幾つかの実施形態において、Qは置換又は非置換のC1−C6アルキレンである。更なる実施形態において、Qは−CH2−である。幾つかの実施形態において、Qは置換又は非置換のC1−C6シクロアルキレンである。更なる実施形態において、Qはシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、Qは置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレンである。更なる実施形態において、Qは、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル(piperizinyl)、モルホリニル、イミダゾリル、又はピリジニルである。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、WはHである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、WはNR25R26である。更なる実施形態において、R25は、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C6シクロアルキルであり;及びR26は、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のC6−C12アリール、又は置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリールである。幾つかの実施形態において、R25とR26は−CH3である。幾つかの実施形態において、R25とR26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、R25はHであり、R26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、R25はHであり、R26はシクロブチルである。幾つかの実施形態において、R25は−CH3であり、R26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、R25は−CH3であり、R26はシクロブチルである。
幾つかの実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R24はそれぞれ独立して、−NH2、−N(CH3)2、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、或いは置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、或いは置換又は非置換のシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、R24は、置換又は非置換のアルキルである。幾つかの実施形態において、R24は、置換又は非置換のシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、R24は、置換又は非置換のヘテロシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、R24はハロゲンである。更なる実施形態において、R24はF、Cl、又はBrである。
前述の実施形態の更なる実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のピリジルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアゾリルである。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R10はHである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、R10はCH3である。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、nは0である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、nは1である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、nは2である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、nは3である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(Ia)の化合物であって、式中、nは4である。
別の実施形態において、式(II)の化合物、及び、その薬学的に許容可能な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグであって:
式中:
Yは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールの中から選択される、随意に置換した基であり;
Zは、C(=O)、N(R10)C(=O)、 S(=O)x、又はN(R10)S(=O)xであり、ここで、xは1又は2であり;
R24はそれぞれ独立して、ハロゲン、−CN、−NO2、−OH、−OCF3、−OCH2F、−OCF2H、−CF3、−SR21、−N(R21)S(=O)2R23、−S(=O)2N(R21)(R22)、−S(=O)R23、−S(=O)2R23、−C(=O)H、−C(=O)R23、−OC(=O)R23、−CO2R21、−N(R21)(R22)、−C(=O)N(R21)(R22)、−N(R21)C(=O)R23、−N(R21)C(=O)OR22、−N(R21)C(=O)N(R21)(R22)、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、或いは置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、或いは置換又は非置換のシクロアルキルであり;
R21とR22はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
R23はそれぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
nは0−4であり;
R9は、置換又は非置換のアリール、或いは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
R10はH、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキルであり;
R6はL−J−Wであり;
R7はV−Q−Wであり;
R8はX−A−Wであり;又は共に得られるR7とR8は単結合を形成し;
LとJはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
VとQはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
XとAはそれぞれ随意に存在し、存在する場合、それぞれ独立して、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレン、−CO−、−O−、又は−S−であり;
WはH又はNR25R26であり;
R25とR26はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のC6−C12アリール、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリールである。
1つの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のヘテロアリールである。
別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のヘテロアリールである。
別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は、置換又は非置換のピリジル、置換又は非置換のチアゾリル、置換又は非置換のチアジアゾリル、置換又は非置換のイソチアゾリル、置換又は非置換のベンゾチアゾリル、置換又は非置換のテトラヒドロベンゾチアゾリル、置換又は非置換のピリミジル、置換又は非置換のピラジニル、置換又は非置換のピリダジニル、置換又は非置換のトリアジニル、置換又は非置換のキノリニル、或いは置換又は非置換のイソキノリニルである。幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のピリジルである。幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアゾリルである。幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアジアゾリルである。幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のイソチアゾリルである。幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のベンゾチアゾリルである。
別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のアリールである。別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のフェニルである。
別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、Yは随意に置換したアルキルである。別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、Yは随意に置換したヘテロアルキルである。別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、Yは随意に置換したシクロアルキルである。別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、Yは随意に置換したヘテロアルキルである。別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、Yは随意に置換したアリールである。更なる実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、Yはフェニルである。
別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、Zは、C(=O)、NHC(=O)、N(CH3C)C(=O)、又はS(=O)2である。幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、ZはC(=O)である。幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、ZはNHC(=O)である。幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、ZはN(CH3)C(=O)である。幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、ZはS(=O)2である。
1つの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、L−J−W、V−Q−W、及びX−A−WはそれぞれHである。別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、V−Q−WとX−A−WはHであり、R6はL−J−Wである。更なる実施形態において、L−J−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。また更なる実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、L−J−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換のC1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換の(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換の(((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、L−J−WとX−A−WはHであり、R7はV−Q−Wである。更なる実施形態において、V−Q−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。また更なる実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、V−Q−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換のC1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換の(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、V−Q−Wは置換又は非置換の(((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、L−J−WとX−A−WはHであり;R7はV−Q−Wであり;Vは、存在しないか、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、或いは置換又は非置換のC3−C8シクロアルキレンであり;及びQは、存在しないか、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレンである。更なる実施形態において、Vは存在しない。更なる実施形態において、Vは置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレンである。更なる実施形態において、Vは置換又は非置換のC1−C6アルキレンである。また更なる実施形態において、Vは−CH2−である。更なる実施形態において、Qは、置換又は非置換のC1−C6アルキレン、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキレン、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレン、置換又は非置換のC6−C12アリーレン、或いは置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリーレンである。幾つかの実施形態において、Qは置換又は非置換のC1−C6アルキレンである。更なる実施形態において、Qは−CH2−である。幾つかの実施形態において、Qは置換又は非置換のC1−C6シクロアルキレンである。更なる実施形態において、Qはシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、Qは置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキレンである。更なる実施形態において、Qは、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル(piperizinyl)、モルホリニル、イミダゾリル、又はピリジニルである。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、WはHである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、WはNR25R26である。更なる実施形態において、R25は、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、或いは置換又は非置換のC3−C6シクロアルキルであり;及びR26は、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC3−C6シクロアルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、置換又は非置換のC2−C7ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のC6−C12アリール、又は置換又は非置換のC3−C12ヘテロアリールである。幾つかの実施形態において、R25とR26は−CH3である。幾つかの実施形態において、R25とR26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、R25はHであり、R26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、R25はHであり、R26はシクロブチルである。幾つかの実施形態において、R25は−CH3であり、R26はシクロプロピルである。幾つかの実施形態において、R25は−CH3であり、R26はシクロブチルである。
別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、共に得られるR7とR8は単結合を形成し;及びR6はL−J−Wである。更なる実施形態において、L−J−Wは、H、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、又はC1−C4アルキル(C2−C7ヘテロシクロアルキル)である。更なる実施形態において、L−J−Wは、置換又は非置換のC1−C6アルキル、置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキル、(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキル、或いは((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換のC1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換のC1−C6ヘテロアルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換の(C1−C6ジアルキルアミノ)C1−C6アルキルである。幾つかの実施形態において、L−J−Wは置換又は非置換の(((C1−C6アルキル)(C3−C6シクロアルキル)アミノ)C1−C6アルキルである。
幾つかの実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R24はそれぞれ独立して、ハロゲン、−NH2、−N(CH3)2、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヘテロアルキル、或いは置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、或いは置換又は非置換のシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、R24は、置換又は非置換のアルキルである。幾つかの実施形態において、R24は、置換又は非置換のシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、R24は、置換又は非置換のヘテロシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、R24はハロゲンである。更なる実施形態において、R24はF、Cl、又はBrである。
別の実施形態において、式(III)の化合物であって:
式中、R6とR9は式(I)について記載される通りである。
特定の実施形態において、R6はH、アミノメチル、又は置換したアミノメチルである。別の特定の実施形態において、R6は、N,N−ジメチルアミノメチル又はN−シクロプロピル−N−メチルアミノメチルである。更なる特定の実施形態において、R6は、ピロリジニルメチル、ピペリジニルメチル、又はモルホリニルメチルである。
別の実施形態において、式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の構造を持つ化合物であって:
または、
式中、R9は式(I)について記載される通りである。
前述の実施形態の更なる実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のピリジルである。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のピリド−2−イルである。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は、メチル又はトリメチル置換ピリジルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアゾリルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアゾール−2−イルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9はメチルで置換したチアゾリルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のイソチアゾリルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のチアジアゾリルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のトリアゾリルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のベンゾチアゾリルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のイミダゾリルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のベンズイミダゾリルである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の化合物であって、式中、R9は置換又は非置換のフェニルである。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R10はHである。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、R10はCH3である。前述の実施形態の更なる実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、nは0である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、nは1である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、nは2である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、nは3である。前述の実施形態の別の実施形態において、式(II)の化合物であって、式中、nは4である。
別の態様において、治療上有効な量の、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグ、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物がある。1つの実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを含む医薬組成物は、経口投与、非経口投与、頬側投与、経鼻投与、局所投与、又は直腸投与から選択される投与経路のために処方される。
別の態様において、自己免疫疾患又は疾病の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。1つの実施形態において、自己免疫疾患は関節リウマチ又は狼瘡から選択される。更なる態様において、異種免疫疾患又は疾病の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。また別の実施形態において、癌の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。1つの実施形態において、癌はB細胞増殖性障害である。別の実施形態において、B細胞増殖性障害は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、又は慢性リンパ性白血病である。
また更なる態様において、肥満細胞症の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。
別の態様において、骨粗鬆症又は骨吸収障害の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。
更なる態様において、炎症性疾患又は疾病の処置方法であって、該方法は、治療上有効な量の、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、或いは薬学的に許容可能なプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。
様々な可変性について上述される基の任意の組み合わせが、本明細書で考慮される。本明細書に提供される化合物に対する置換基及び置換パターンは、化学的に安定し、且つ、当該技術分野で既知の技術と同様に本明細書に記載されるものにより合成され得る化合物をもたらすために、当業者により選択され得ることを理解されたい。
別の態様において、以下の構造を持つ化合物である:
別の態様において、以下の構造を持つ化合物である:
別の態様において、以下の構造を持つ化合物である:
別の態様において、以下の構造を持つ化合物である:
別の態様において、以下の構造を持つ化合物である:
本明細書を通じて、基とそれらの置換基は、安定した部分と化合物を提供するため当業者により選択され得る。
幾つかの実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は可逆的にBtkを阻害し、且つ、他の実施形態において、(限定されないが、癌、自己免疫性及び他の炎症性疾患を含む)ブルトン型チロシンキナーゼ依存性又はブルトン型チロシンキナーゼ媒介性の疾病又は疾患に悩む患者を処置するために使用される。
幾つかの実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物は不可逆的にBtkを阻害し、且つ、他の実施形態において、(限定されないが、癌、自己免疫性及び他の炎症性疾患を含む)ブルトン型チロシンキナーゼ依存性又はブルトン型チロシンキナーゼ媒介性の疾病又は疾患に悩む患者を処置するために使用される。
<化合物の調製>
式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物は、当業者に既知の標準合成反応を使用して、又は、当該技術分野で既知の方法を使用して、合成されてもよい。この反応は、直線配列に用いることで化合物を提供することが可能であり、又は、それらを使用することで、後に当該技術分野で既知の方法により結合されるフラグメントを合成してもよい。
本明細書には、Btkなどのチロシンキナーゼの活性を阻害する化合物、及びそれらの調製のプロセスが記載される。そのような化合物の薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に活性な代謝物、及び薬学的に許容可能なプロドラッグも、本明細書に記載される。少なくとも1つのそのような化合物、又はそのような化合物の薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、薬学的に活性な代謝物、及び薬学的に許容可能なプロドラッグを含む医薬組成物が、提供される。
本明細書に記載される化合物の合成に用いられる出発物質は、Aldrich Chemical Co. (Milwaukee, Wisconsin)、Bachem(Torrance, California)、又はSigma Chemical Co.(St. Louis, Mo.)などであるが、これらに限定されない市販のソースから合成してもよく、又はそれらから入手可能である。本明細書に記載される化合物、及び異なる置換基を持つ他の関連する化合物は、例えば、March, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed., (Wiley 1992); Carey and Sundberg, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed., Vols. A and B (Plenum 2000, 2001); Green and Wuts, PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 3rd Ed., (Wiley 1999); Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1−17 (John Wiley and Sons, 1991); Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1−5 and Supplementals (Elsevier Science Publishers, 1989); Organic Reactions, Volumes 1−40 (John Wiley and Sons, 1991); 及びLarock’s Comprehensive Organic transformations (VCH Publishers Inc., 1989)(これら文献全ては、その全体において参照により組み込まれる)等に記載される、当業者に既知の技術及び材料を使用して合成することができる。本明細書に記載される化合物の合成のための他の方法は、国際特許公開WO01/01982901、Arnold et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 10 (2000) 2167−2170; Burchat et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12 (2002) 1687−1690に見出され得る。本明細書に開示されるような化合物の調製のための一般的な方法は、当該技術分野で既知の反応に由来し得、該反応は、当業者に認識されるように、本明細書で提供される式に見出される様々な部分の導入のための、適切な試薬及び条件の使用によって修飾され得る。
反応の生成物は、所望される場合、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含むが、これらに限定されない従来の技術を使用して単離及び精製されてもよい。そのような材料は、物理定数とスペクトルのデータを含む従来の手段を使用して、特徴化されてもよい。
本明細書に記載される化合物は、単一の異性体又は異性体の混合物として調製されてもよい。
<化合物の更なる形態>
本明細書には、式(I)、(Ia)、又は(II)の構造を持つ化合物が開示される。本明細書に記載される化合物が言及される場合、それは、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物、同様に、他に示されない限り、これら一般的な式の範囲内にある特定の化合物全てを意味することが、理解される。
本明細書に記載される化合物は1以上の立体中心を備えてもよく、中心はそれぞれR又はSの配置に存在してもよい。本明細書に提示される化合物は、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマーの形態、同様にそれらの適切な混合物全てを含む。立体異性体は、所望される場合、例えばキラル・クロマトグラフィーカラムによる立体異性の分離などの、当該技術分野で既知の方法により得られてもよい。
ジアステレオマー混合物は、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別結晶といった既知の方法により、それらの物理的な化学的相違に基づいてそれらの個々のジアステレオマーに分離することができる。1つの実施形態において、エナンチオマーはキラル・クロマトグラフィーカラムにより分離することができる。他の実施形態において、エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えばアルコール)との反応によってエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換すること、ジアステレオマーを分離すること、及び個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解する)ことにより、分離することができる。ジアステレオマー、エナンチオマー、及びそれらの混合物を含むそのような異性体は全て、本明細書に記載される組成物の一部と見なされる。
本明細書に記載される方法及び製剤は、本明細書に記載される化合物のN−オキシド、結晶形態(多形体としても知られる)、又は薬学的に許容可能な塩、同様に、同じタイプの活性を持つこれら化合物の活性代謝物の使用を含む。幾つかの状況において、化合物は互変異性体として存在することもある。全ての互変異性体は、本明細書に記載される化合物の範囲内に含まれる。加えて、本明細書に記載される化合物は、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を有する溶媒和形態のみでなく、非溶媒和形態でも存在することができる。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書で開示されるものと考慮される。
酸化していない形式の式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物は、0乃至80℃で、アセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなどであるがこれらに限定されない適切な不活性有機溶媒において、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化物などであるが、これらに限定されない還元剤で処置することにより、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物のN−オキシドから調製することができる。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、プロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」は、インビボで親薬物へと変換される薬剤を表す。幾つかの状況において、プロドラッグは親薬物よりも投与が容易であり得るため、しばしば有用である。それらは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であり得るが、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、親薬物以上に医薬組成物において改善された溶解度を有し得る。プロドラッグの一例は、限定されないが、本明細書に記載されるような化合物であり、それは、水溶性が可動性に対して有害である細胞膜をわたる伝達を促進するためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、一旦水溶解度が有益な細胞内に入ると、カルボン酸、活性体へと代謝的に加水分解される。プロドラッグの更なる例は、ペプチドが代謝されることで活性部分を明らかにする、酸基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であり得る。特定の実施形態において、インビボでの投与後、プロドラッグは、化合物の生物学的に、薬学的に、又は治療上活性な形態へと化学的に変換される。特定の実施形態において、プロドラッグは、1以上の工程又はプロセスによって、化合物の、生物学的、薬学的、又は治療上活性な形態へと酵素的に代謝される。プロドラッグを生成するために、薬学的に活性な化合物は、インビボ投与された後で活性化合物が再生成されるように修飾される。プロドラッグは、薬物の代謝の安定性又は輸送特性を変更するため、副作用又は毒性を覆うため、薬物の香味を改善するため、或いは薬物の他の特性又は特質を変更するために設計することができる。薬力学のプロセス及びインビボでの薬物代謝の知識により、当業者は、一旦薬学的に活性な化合物を知ると、その化合物のプロドラッグを設計することができる。(例えば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388−392; Silverman (1992), The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc., San Diego, pages 352−401, Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照)。
プロドラッグがインビボで代謝されると本明細書に明記されるような誘導体を生成する、本明細書に記載される化合物のプロドラッグの形態は、請求の範囲内に含まれる。幾つかの場合において、本明細書に記載される化合物の幾つかは、別の派生的又は活性な化合物のためのプロドラッグでもよい。
幾つかの状況において、プロドラッグは親薬物よりも投与が容易であり得るため、しばしば有用である。それらは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であり得るが、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、親薬物以上に医薬組成物において改善された溶解度を有し得る。プロドラッグは、部位特異的組織への薬物送達を増強する調整剤として使用するために、可逆的な薬物誘導体として設計され得る。幾つかの実施形態において、プロドラッグの設計は、効果的な水溶性を増加させる。例えば、Fedorak et al., Am. J. Physiol., 269:G210−218 (1995); McLoed et al., Gastroenterol, 106:405−413 (1994); Hochhaus et al., Biomed. Chrom., 6:283−286 (1992); J. Larsen and H. Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987); J. Larsen et al., Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988); Sinkula et al., J. Pharm. Sci., 64:181−210 (1975); T. Higuchi and V. Stella, Pro−drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series; 及びEdward B. Roche, Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987を参照し、それら全ては全体において本明細書に組み込まれる。
式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の芳香環部分上の部位は、様々な代謝反応に敏感であり、それ故、ほんの一例ではあるがハロゲンなどの芳香族環構造上での適切な置換基の組み込みは、この代謝経路を縮小、最小化、又は除去することができる。
本明細書に記載される化合物は、同位体的に標識化された化合物を含み、1以上の原子が通常は自然に見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を備える原子により置換されるという事実が無ければ、前記化合物は本明細書に提示される様々な式及び構造に列挙されたものと同じである。本化合物に組み込むことが出来る同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、フッソ、及び塩素の同位体であり、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clなどである。本明細書に記載される特定の同位体的に標識化した化合物、例えば、3H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれるものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて役立つ。更に、重水素、即ち2Hなどの同位体による置換は、例えば、インビボの半減期の増加又は必要用量の減少といった、より大きな代謝安定性から結果として得られる特定の治療上の利点をもたらすことができる。
追加の又は更なる実施形態において、本明細書に記載される化合物は、必要とする生物体への投与後に代謝され、それにより所望の治療効果を含む所望の効力をもたらすために後に使用される代謝物を生成する。
本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩として形成されるか、及び/又は薬学的に許容可能な塩として使用されてもよい。薬学的に許容可能な塩のタイプは、限定されはないが:(1)酸付加塩であって、化合物の遊離塩基形態を、薬学的に許容可能な無機酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸など;及び、有機酸:酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコへプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、ターシャリブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などと反応させることにより形成される、酸付加塩;(2)塩であって、親化合物に存在する酸性プロトンが、例えばアルカリ金属イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えば、マグネシウム、又はカルシウム)、又はアルミニウムといった金属イオン;又は有機塩基を備えた配座(coordivates)により置換される場合に形成される、塩を含む。許容可能な有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどを含む。許容可能な無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを含む。
薬学的に許容可能な塩の対応する対イオンは、イオン交換クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法、誘導結合プラズマ、原子吸光分析、質量分析法、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な方法を使用して、分析且つ同定されてもよい。
塩は、以下の技術:濾過、非溶媒による沈殿の後の濾過、溶媒の蒸発、或いは、水溶液の場合には凍結乾燥の少なくとも1つを使用することにより回収される。
薬学的に許容可能な塩に対する言及は、その溶媒付加形態又は結晶形態、特に溶媒和物又は多形体を含むことを理解されたい。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含み、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いた結晶化のプロセス中に形成されてもよい。水和物は溶媒が水である時に形成され、又は、アルコラートは溶媒がアルコールである時に形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセス中に都合よく調製又は形成することができる。加えて、本明細書で提供される化合物は、溶媒和形態と同様に、非溶媒和形態で存在し得る。一般的に、溶媒和形態は、本明細書で提供される化合物及び方法の目的のため、非溶媒和形態と同等であると考慮される。
塩に対する言及は、その溶媒付加形態又は結晶形態、特に溶媒和物又は多形体を含むことを理解されたい。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含み、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いた結晶化のプロセス中に大抵は形成される。水和物は溶媒が水である時に形成され、又は、アルコラートは溶媒がアルコールである時に形成される。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学及び電気学上の特性、安定性、並びに溶解度を備える。再結晶溶媒、晶析速度、及び保管温度等の様々な要因が、支配的な単結晶形態を引き起こしうる。
本明細書に記載される化合物は、非結晶形態、粉砕された形態、及びナノ微粒子形態を含むが、これらに限定されない、様々な形態であってもよい。加えて、本明細書に記載される化合物は、多形体としても知られる結晶形態を含む。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学及び電気学上の特性、安定性、並びに溶解度を備える。再結晶溶媒、晶析速度、及び保管温度等の様々な要因が、支配的な単結晶形態を引き起こし得る。
薬学的に許容可能な塩、多形体、及び/又は溶媒和物のスクリーニング及び特徴化は、熱分析、X線回折、分光法、蒸気吸着、及び顕微鏡観察法を含むが、これらに限定されない様々な技術を使用して遂行されてもよい。熱分析方法は、多形体の転移を含むがこれらに限定されない熱化学分解又は熱の物理的プロセスに対処し、前記方法は、多形体の関連性を分析するため、重量損失を判定するため、ガラス転移温度を見出すため、又は賦形剤に適合した研究のために使用される。前記方法は、限定されないが、示差走査熱量測定法(DSC)、変調性の示差走査熱量測定(MDCS)、熱重量分析法(TGA)、及び温度比重測定法及び赤外分析法(Thermogravi−metric and Infrared analysis)(TG/IR)を含む。X線回折法は限定されないが、単結晶と粉末剤の回折計及びシンクロトロン・ソースを含む。使用される様々な分光器の技術は限定されないが、ラマン、FTIR、UVIS、及びNMR(液体及び固体の状態)を含む。様々な顕微鏡観察法技術は、偏光顕微鏡法、エネルギー分散X線分析(EDX)での走査型電子顕微鏡法(SEM)、(気体又は水蒸気雰囲気において)EDXでの環境走査型電子顕微鏡法、IR顕微鏡観察法、及びラマン顕微鏡観察法を含むが、これらに限定されない。
本明細書を通じて、基とそれらの置換基は、安定した部分と化合物を提供するため当業者により選択され得る。
<医薬組成物/製剤>
医薬組成物は、薬学的に使用され得る製剤への活性化合物の処理を促進する、賦形剤及び助剤を含む1以上の生理学的に許容可能な担体を使用する従来の方法で、処方されてもよい。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。周知の技術、担体、及び賦形剤の何れかは、適切な、及び当該技術分野において理解されるものとして使用され得る。本明細書に記載される医薬組成物の概要は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980; 及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins 1999)に見出され得る。
医薬組成物は、本明細書で使用されるように、例えば式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物などの本明細書に記載される化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、及び/又は賦形剤との混合物を指す。医薬組成物は、生体への化合物の投与を促進する。本明細書に提供される処置又は使用の方法の実施において、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物は、処置される疾患、障害、又は疾病を有する哺乳動物へと、医薬組成物中で投与される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。治療上有効な量は、疾患の重症度、被験体の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の効能、及び他の要因に依存して広く変わり得る。化合物は、単一で、又は混合物の成分としての1以上の治療剤と組み合わせて、使用され得る。
特定の実施形態において、組成物はまた、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、及び塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、及びトリス−ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;及び、シトラート/デキストロース、重炭酸ナトリウム、及び塩化アンモニウムなどの緩衝液を含む、1以上のpH調整剤又は緩衝剤を含む。このような酸、塩基、及び緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持することを必要とする量で含まれる。
他の実施形態において、組成物はまた、組成物の重量モル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするのに必要な量で1以上の塩を含んでもよい。このような塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、又はアンモニウムカチオン、及び塩化物アニオン、クエン酸塩アニオン、アスコルビン酸塩アニオン、ホウ酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、重炭酸塩アニオン、硫酸塩アニオン、チオ硫酸塩アニオン、又は亜硫酸水素塩アニオンを有するものを含み;適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及び硫酸アンモニウムを含む。
用語「医薬配合物」は、本明細書で使用されるように、1より多くの活性部分の混合又は組み合わせから結果として生じる生成物を意味し、活性成分の固定配合と非固定配合の両方を含む。用語「固定配合」は、活性成分、例えば、本明細書に記載される化合物と助剤の両方が、単一の実体又は投薬の形態で患者に同時投与されることを意味する。用語「非固定配合」は、活性成分、例えば、本明細書に記載される化合物と助剤が、具体的な時間制限の介入なく同時に、平行して、又は連続して、別々の実体として患者に投与されることを意味し、このような投与は患者の体に二つの化合物の効果的なレベルを提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば3つ以上の活性部分の投与に適応する。
本明細書に記載される医薬製剤は、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所、直腸、又は経皮の投与経路を含むが、これらに限定されない複数の投与経路によって、被験体に投与される。本明細書に記載される医薬製剤は、水性液体分散、自己乳化分散、固溶体、リポソーム分散液、エアロゾル、固形剤形、粉末剤、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子製剤、及び、即時混合且つ制御放出製剤を含むが、これらに限定されない。
本明細書に記載される化合物を含む医薬組成物は、ほんの一例ではあるが、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉砕、乳化、封入、包括、又は圧縮のプロセスの手段などの、従来の方法で製造され得る。
医薬組成物は、遊離酸又は遊離塩基の形態で、或いは薬学的に許容可能な塩の形態で、活性成分として、例えば式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物など、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物を含む。更に、本明細書に記載される方法及び医薬組成物は、同じタイプの活性を有するこれら化合物の活性代謝物だけでなく、N−オキシド、結晶形態(多形体としても知られる)の使用を含む。幾つかの状況において、化合物は互変異性体として存在することもある。全ての互変異性体は、本明細書に記載される化合物の範囲内に含まれる。加えて、本明細書に記載される化合物は、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を有する溶媒和形態のみでなく、非溶媒和形態でも存在することができる。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書で開示されるものと考慮される。
「消泡剤」は、水分散液の凝集、完成したフィルム中の気泡を結果としてもたらし得る処理中に泡立ちを減少させ、又は一般的に処理を損なう。典型的な消泡剤は、シリコンエマルジョン又はセスキオレイン酸(sesquoleate)ソルビタンを含む。
「酸化防止剤」は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、及びトコフェロールを含む。特定の実施形態において、酸化防止剤は、必要とされる化学安定性を高める。
特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物はまた、微生物活性を阻害するための1以上の防腐剤を含む。適切な防腐剤は、メルフェン(merfen)及びチオマーサルなどの水銀含有物質;安定した二酸化塩素;及び、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、及び塩化セチルピリジウムなどの第四級アンモニウム化合物を含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、及び他の一般的な安定化剤から利益を得ることもある。前記安定化剤の例は、限定されないが:(a)約0.5%乃至約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%乃至約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%乃至約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM乃至約10mMのEDTA、(e)約0.01%乃至約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%乃至約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%乃至約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェート及び他のヘパリノイド、(m)マグネシウム及び亜鉛などの2価カチオン;又は(n)それらの組み合わせを含む。
「結合剤」は凝集性の性質を付与するものであり、例えば、アルギン酸及びその塩;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、エチルセルロース(例えばEthocel(登録商標))、及び微結晶性セルロース(例えばAvicel(登録商標))などのセルロース誘導体;微晶性デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;ポリサッカリド酸(polysaccharide acids);ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;α化デンプン;トラガカント、デキストリン、スクロース(例えばDipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えばXylitab(登録商標))、及びラクトースなどの糖;アカシア、トラが間と、ガッチガム、イサポールハスク(isapol husk)の粘液、ポリビニルピロリドン(例えば、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL−10)、カラマツアラビノガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなど、を含む。
「担体」又は「担体材料」は、医薬品において使用される任意の通常の賦形剤を含み、且つ、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物等の本明細書に開示される化合物との適合性、及び所望の投薬形態の放出プロファイル特性に基づいて選択されねばならない。例示的な担体物質としては、例えば、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、滑沢剤、加湿剤、希釈剤などが含まれる。「薬学的に適合する担体材料」は、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン塩ナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスファチジルコリン、塩化ナトリウム、三リン酸カルシウム、リン酸二カリウム、セルロース及びセルロース接合体、糖ナトリウムステアロイル乳酸、カラゲナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプンなどを含むが、これらに限定されない。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)を参照。
「分散剤」及び/又は「粘度調節剤」は、液体培地、又は造粒方法或いは混合方法を介する薬物の拡散性及び均質性を制御する材料である。幾つかの実施形態において、これらの薬剤はまた、コーティング又はマトリックスを腐食する効果を促進する。例示的な拡散促進剤/分散剤は、例えば、親水性ポリマー、電解液、Tween(登録商標)60又は80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;商業上、Plasdone(登録商標)として知られる)、及び炭水化物ベースの分散剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばHPC、HPC−SL、及びHPC−L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、及びHPMC K100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・フタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・ステアレート(HPMCAS)、非晶質セルロース、 ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、エチレンオキシドとホルムアルデヒドを伴う4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール・ポリマー(チロキサポールとしても知られる)、ポロクサマー(例えばPluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)、F108(登録商標)であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);及びポロキサミン(例えば、ポロキサミン908(登録商標)とも知られるTetronic908(登録商標)であり、それは、エチレンジアミン(BASF Corporation,Parsippany, N.J.)へのプロピレンオキシドとエチレンオキシドの連続的な追加から得た四官能性のブロックコポリマーである)、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、又はポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S−630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300乃至約6000、又は約3350乃至約4000、又は約7000乃至約5400の分子量を持つことができる)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、グアーゴム、キサンタンガムを含むキサンタン、糖、セルロース化合物、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化モノラウリン酸ソルビタン、ポリエトキシル化モノラウリン酸ソルビタン、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸塩、キトサン、及びそれらの組み合わせを含む。セルロース又はトリエチルセルロースなどの可塑剤(Plasticizcers)も、分散剤として使用され得る。リポソーム分散と自己乳化性分散に特に有用な分散剤は、ジミリストイル・ホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルグリセロール、コレステロール、ミリスチン酸イソプロピルである。
1以上の侵食促進剤と1以上の拡散促進剤の組み合わせも、本組成物において使用することができる。
用語「希釈剤」は、送達前に対象の化合物を希釈するために用いられる化学化合物を表す。希釈剤はまた、より安定した環境を提供できるので、化合物を安定させるために用いられることもある。緩衝液(pHの制御又は維持も提供できる)中で溶解された塩は、当技術分野で希釈剤として利用され、希釈剤はリン酸緩衝生理食塩溶液を含むが、これに限定されない。特定の実施形態において、賦形剤は、圧縮を促進するか、又はカプセル充填のための均質混合のために十分な容積(bulk)を作成するために、組成物の容積を増加させる。そのような化合物は、例えばラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、Avicel(登録商標)などの微結晶性セルロース;リン酸水素カルシウム(リン酸カルシウム二水和物);リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム;無水乳糖、噴霧乾燥したラクトース;α化デンプン、Di−Pac(登録商標)(Amstar)などの圧縮可能な糖;マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・ステアレート、スクロースベースの賦形剤、粉砂糖;一塩基の硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物、デキストラート(dextrates);加水分解したシリアル固形物、アミロース;粉末セルロース、炭酸カルシウム;グリシン、カオリン;マンニトール、塩化ナトリウム;イノシトール、ベントナイトなどを含む。
用語「分解する」は、胃腸液と接触した場合の剤形の溶解と分散の両方を含む。「崩壊剤(Disintegration agents or disintegrants)」は、物質の分解又は崩壊を促進する。崩壊剤の例は、デンプン、例えば、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National 1551又はAmijel(登録商標)などのα化デンプン、又は、Promogel(登録商標)或いはExplotab(登録商標)などのナトリウムデンプングリコラート、セルロース、例えば、木製品、メチル結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Min Tia(登録商標)、及びSolka−Floc(登録商標))、メチルセルロース、クロスカルメロース、又は架橋セルロース、例えば架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、又は架橋クロスカルメロース、架橋デンプン、例えばナトリウムデンプングリコラート、架橋ポリマー、例えばクロスポビドン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸又はアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩などのアルギン酸塩、粘土、例えばVeegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、ゴム、例えば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、又はトラガカント、ナトリウムデンプングリコラート、ベントナイト、天然のスポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘類のパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンを組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなど、を含む。
「薬物吸収」又は「吸収」は典型的に、障壁をわたる薬物の投与部位から、血管又は作用部位までの薬物の移動のプロセスを指し、例えば薬物は、胃腸管から門脈又はリンパ系に移動する。
「腸溶コーティング」は、胃のなかでほぼ無傷のまま残るが、小腸又は結腸において薬物を溶解及び放出する物質である。一般的に、腸溶コーティングはポリマー材料であり、該ポリマー材料は、胃の低pH環境での放出を妨げるが、より高いpH、典型的には6乃至7のpHでイオン化し、及び故に、象徴又は結腸の中で十分に溶解することで中にある活性薬剤を放出する。
「侵食促進剤」は、胃腸液の中の特定の材料の侵食を制御する材料を含む。浸食促進剤は一般的に、当業者に既知である。例示的な侵食促進剤は、例えば親水性ポリマー、電解液、タンパク質、ペプチド、及びアミノ酸を含む。
「充填剤」は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストラート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの化合物を含む。
本明細書に記載される製剤に有用な「香味剤」及び/又は「甘味料」は、例えばアカシアシロップ、アセスルファムK、アリターム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、クロフサスグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンファー、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、バブルガム、シトラス、シトラス・パンチ、シトラス・クリーム、コットンキャンディー、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、シクラメート、シラメート(cylamate)、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツ・パンチ、ショウガ、グリチルレチナート(glycyrrhetinate)、カンゾウ(甘草)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモン・クリーム、モノアンモニウム・グリリチナート(glyrrhizinate)(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、モミジ、マシュマロ、メントール、ミント・クリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジン(neohesperidine)DC、ネオテーム、オレンジ、西洋ナシ、モモ、ペパーミント、ペパーミント・クリーム、Prosweet(登録商標)パウダー、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミント・クリーム、イチゴ、イチゴ・クリーム、ステビア、スクラロース、スクロース、ナトリウムサッカリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファム・カリウム、マンニトール、タリン(talin)、シリトール(sylitol)、スクラロース、ソルビトール、スイス・クリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、アメリカザクラ、ヒメコウジ、キシリトール、又はこれらの香味成分の任意の組み合わせ、例えば、アニス−メントール、チェリー−アニス、シナモン−オレンジ、チェリー−シナモン、チョコレート−ミント、ハチミツ−レモン、レモン−ライム、レモン−ミント、メントール−ユーカリ、オレンジ−クリーム、バニラ−ミント、及びそれらの組み合わせを含む。
「潤滑剤」及び「流動促進剤」は、材料の接着又は摩擦を妨げるか、減少させるか、又は阻害する化合物である。典型的な滑沢剤は、例えばステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、ナトリウム・ステアリル・フマラート、鉱油などの炭化水素、硬化植物油、例えば水素添加大豆油(Sterotex(登録商標))などの高級脂肪酸、及びアルカリ金属とアルカリ土類金属塩、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えばPEG−4000)又はメトキシポリエチレン・グリコール、例えばCarbowax(商標)、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベへン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、マグネシウム、又はラウリル硫酸ナトリウム、コロイダルシリカ、例えばSyloid(商標)、Cab−O−Sil(登録商標)、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、シリコン油、界面活性剤などを含む。
「測定可能な血清中濃度」又は「測定可能な血漿濃度」は、投与後に血流に吸収された、血清1ml、1dl、又は1l当たりの治療薬のmg、μg、又はngで典型的に測定される、血清又は血漿の濃度について記載する。本明細書に使用されるように、測定可能な血漿濃度は典型的に、ng/ml又はμg/mlで測定される。
「薬力学」は、作用部位で薬物の濃度に関係すると観察された生物学的な反応を判定する因子を指す。
「薬物動態学」は、作用部位での薬物の適切な濃度の達成と維持を判定する因子を指す。
「可塑剤」は、マイクロカプセル化材料又はフィルムコーティングを軟化することでそれらの脆さを抑えるために使用される化合物である。適切な可塑剤は、例えばPEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、及びPEG800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロース、トリアセチンを含む。幾つかの実施形態において、可塑剤はまた、分散剤又は加湿薬としても機能することができる。
「可溶化剤」は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁塩、ポリエチレングリコール200−600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド等の化合物を含む。
「安定剤」は、任意の抗酸化剤、緩衝剤、酸、防腐剤などの化合物を含む。
「定常状態」は、本明細書に使用されるように、投与された薬物の量が、水平又は一定の血漿薬物曝露を結果としてもたらす1つの投与間隔内に排除された薬の量と等しい場合のことである。
懸濁化剤は、ポリビニルピロリドン(例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、又はポリビニルピロリドンK30)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは約300乃至約6000、約3350乃至約4000、又は約7000乃至約5400の分子量を有し得る)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース・アセテート・ステアレート、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム(例えば、トラガカントゴム、アカシアゴム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタンなど)、砂糖、セルロース化合物(例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなど)、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ソルビタンモノラウリン酸、ポリオキシエチレン硬化ソルビタンモノラウリン酸、ポビドンなどの化合物を含む。
「界面活性剤」は、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウム・ドクセート、Tween60又は80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン・ソルビタンモノオレート、ポリソルベート、ポロクサマー(polaxomer)、胆汁塩、グリセリルモノステアレート、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)(BASFなどの化合物を含む。他の幾つかの界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、及び植物油(例えばポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油など);及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルフェニルエーテル(例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40)を含む。幾つかの実施形態において、界面活性剤は、物理的安定性を高めるために、又は他の目的のために含まれてもよい。
「粘度増強剤」は、例えば、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・ステアレート、ヒドロキシプロピルメチル・セルロース・フタラート、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、及びそれらの組み合わせを含む。
「加湿薬」は、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸塩ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン・ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン・ソルビタン、ナトリウム・ドクセート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウム・ドクセート、トリアセチン、Tween80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩などの化合物を含む。
<剤形>
本明細書に記載される組成物は、限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、又は筋肉内)、頬側、鼻腔内、直腸、又は経皮の投与経路を含む、任意の従来の手段を介する被験体への投与のために処方され得る。本明細書で使用されるように、用語「被験体」は、動物、好ましくは、ヒト又は非ヒトを含む哺乳動物を意味するために使用される。患者及び被験体という用語は、互換的に使用され得る。
更に、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物を含む、本明細書に記載される医薬組成物は、処置される患者による経口摂取のために、水性経口分散剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁液、固体の経口投薬形態、エアロゾル剤、制御放出製剤、速溶解製剤、沸騰性の製剤、凍結乾燥された製剤、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子の製剤、及び即時混合放出と制御放出の製剤などを含むが、これらに限定されない任意の適切な剤形へ処方される。
経口用の医薬調製物は、所望される場合、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、適切な助剤を添加した後、1以上の固形賦形剤を、本明細書に記載の1以上の化合物と混合し、結果として生じる混合物を随意に粉砕し、及び顆粒の混合物を処理することによって得られ得る。適切な賦形剤は、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖などの充填材;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物;又は、ポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)或いはリン酸カルシウムなどの他のものを含む。所望される場合、架橋結合クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸或いはその塩などの、崩壊剤が加えられ得る。
糖衣錠コアは適切なコーティングと共に提供される。この目的のため、濃縮した糖液が使用され、それは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を随意に含み得る。染料又は色素は、活性化合物の用量の異なる組み合わせの識別又は特徴化のため、錠剤又は糖衣錠のコーティングに加えられ得る。
経口で使用され得る医薬調製物は、ゼラチン製の押し出し型カプセル、同様に、ゼラチン製の軟密封カプセル、及び、グリセロール又はソルビトールなどの可塑剤を含む。押し出し型カプセルは、ラクトースなどの充填材、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク或いはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び随意に安定剤を備えた混合剤中に、活性成分を含み得る。軟カプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中で溶解され得る又は懸濁され得る。更に、安定剤が加えられ得る。経口投与用の全ての製剤は、そのような投与に適した投与量でなければならない。
幾つかの実施形態において、本明細書に開示される固形剤形は、錠剤(懸濁液錠剤、速溶錠剤、咬傷分解錠剤、急崩壊錠剤、発泡錠、又はカプレットを含む)、丸剤、粉末剤(無菌のパッケージ化した粉末剤、分配可能な粉末剤、又は発泡粉末を含む)、カプセル(軟又は硬カプセル剤、例えば、動物由来のゼラチン又は植物由来のHPMCから作られるカプセル、或いは、「スプリンクルカプセル」)、固形分散剤、固溶体、生体分解可能な剤形、制御放出製剤、パルス放出剤形、多重微粒子剤形、ペレット剤、果粒剤、又はエアロゾルの形態であり得る。他の実施形態において、医薬製剤は、粉末剤の形態である。また他の実施形態において、医薬製剤は、限定されないが速溶錠剤を含む錠剤の形態である。加えて、本明細書に記載される医薬製剤は、単一のカプセルとして、又は多重のカプセルの剤形として、投与され得る。幾つかの実施形態において、医薬製剤は、2、3、又は4つのカプセル又は錠剤で投与される。
幾つかの実施形態において、固形剤形(例えば錠剤、発泡錠、カプセル)は、バルク混合組成物を形成するために、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の粒子を1以上の医薬賦形剤と混合することにより、調製される。均質なものとしてこれらバルク混合組成物に言及する場合、組成物が錠剤、丸剤、及びカプセル剤などの均等に効果的な単位剤形へと容易に細分され得るように、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の粒子が組成物の全体にわたって平等に分散することを意味する。個々の単位投与量はまた、経口摂取或いは希釈液との接触後に崩壊する、フィルムコーティングを含み得る。これら製剤は、従来の薬理学的技術によって製造され得る。
従来の薬理学的技術は、例えば、以下の方法の1つ又は組み合わせを含む:(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)ミリング、(4)乾燥又は非水性の造粒、(5)湿式造粒法、又は(6)融合。例えば、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照。他の方法は、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶解造粒(melt granulation)、造粒、流動床噴霧乾燥又はコーティング(例えばウースターコーティング)、接点コーティング(tangential coating)、頂部噴霧(top spraying)、錠剤化、押し出しなどを含む。
本明細書に記載された薬学的な固形剤形は、本明細書に記載の化合物、及び、互換性をもつ担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香味料、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、溶解剤、湿潤剤、可塑剤、安定剤、経皮吸収促進剤、加湿剤、抗起泡剤、酸化防止剤、防腐剤、又はそれらの1つ以上の組み合わせなどの、1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤を含み得る。また他の態様において、文献「Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)」に記載されるものなどの標準のコーティング手順を使用し、フィルムコーティングは、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の製剤のまわりに提供される。1つの実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の粒子の幾つか又は全てが、コーティングされる。別の実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の粒子の幾つか又は全てが、マイクロカプセル化される。また別の実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の粒子の幾つか又は全ては、マイクロカプセル化されず、コーティングされない。
本明細書に記載される固形剤形における使用に適切な担体は、限定されないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼインナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ナトリウムステアロイルラクチレート、カラゲーニン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・ステアレート、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールなどを含む。
本明細書に記載される固形剤形における使用に適切な充填剤は、限定されないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストラート、デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどを含む。
出来るだけ効率的に、固形剤形マトリクスから、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れか化合物を放出するために、特に剤形が結合剤と共に圧縮される場合、崩壊剤が大抵、製剤中で使用される。崩壊剤は、水分が剤形に吸収される場合、膨張又は毛管作用によって剤形マトリクスの破裂を支援する。固形剤形における使用に適切な崩壊剤は、限定されないが、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National 1551又はAmijel(登録商標)などのα化デンプン、又は、Promogel(登録商標)或いはExplotab(登録商標)などのナトリウムデンプングリコラート、木製品、メチル結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Min Tia(登録商標)、及びSolka−Floc(登録商標))、メチルセルロース、クロスカルメロース、又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、又は架橋クロスカルメロースなどの架橋セルロース、などのセルロース、ナトリウムデンプングリコラート、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸又はアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩などのアルギン酸塩、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの粘土、ゴム、例えば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、又はトラガカント、ナトリウムデンプングリコラート、ベントナイト、天然のスポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘類のパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンを組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなど、を含む。
結合剤は、固形経口剤形の製剤に粘着性を与える:粉末を充填したカプセル製剤について、それらは、柔らかい又は硬い殻のカプセルに充填され得る栓の形成を支援し、及び錠剤製剤について、それらは、圧縮後に錠剤を無傷で確実に残るようにし、圧縮又は充填の工程前に混合均一性を確実にするのを支援する。本明細書に記載される固形剤形中の結合剤としての使用に適した材料は、限定されないが、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Hypromellose USP Pharmacoat−603、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(Aqoate HS−LF及びHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、及び微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリサッカリド酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、トラガカント、デキストリン、スクロース(例えばDipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えばXylitab(登録商標))、ラクトースなどの糖、天然又は合成のガム、例えば、アカシア、トラガカント、ガッチガム、イサポールハスク(isapol husk)粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン(例えば、Povidone(isapol husk)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL−10、及びPovidone(登録商標)K−12)、カラマツアラビノガラクタン(arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなど、を含む。
一般に、20−70%の結合剤レベルが、粉末剤を充填したゼラチンカプセル製剤に使用される。錠剤製剤における結合剤の使用レベルは、直接圧縮、湿式造粒法、ローラー圧縮、又は、それ自体が中程度の結合剤として作用し得る充填剤などの他の賦形剤の使用の何れかで、異なる。当該技術分野における処方者は、製剤に関する結合剤レベルを決定することができるが、錠剤製剤における70%までの結合剤使用レベルは、共通である。
本明細書に記載される固形剤形における使用に適切な潤滑剤又は流動促進剤は、限定されないが、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ナトリウムステアリルフマレート、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール又はメトキシポリエチレン・グリコール(Carbowax(商標)、PEG4000、PEG5000、PEG6000など)、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベへン酸グリセリル、パルミチン酸ステアリン酸グリセリル、安息香酸グリセリル、マグネシウム、又はラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。
本明細書に記載される固形剤形における使用に適切な希釈剤は、限定されないが、糖(ラクトース、スクロース、及びデキストロースを含む)、ポリサッカリド(デキストラート、及びマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、及びソルビトールを含む)、シクロデキストリンなどを含む。
用語「非水溶性希釈剤」は、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプン、及び微結晶性セルロースなどの製薬、及び微細セルロース(例えば、約0.45g/cm3の密度を有し、例えばアビセル、粉末セルロースである)、及びタルクの処方において典型的に使用される化合物を表わす。
本明細書に記載される固形剤形における使用に適切な加湿薬は、例えば、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン・ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン・ソルビタン、第四アンモニウム化合物(例えばPolyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウム・ドクセート、トリアセチン、ビタミンE TPGSなどを含む。
本明細書に記載される固形剤形における使用に適切な界面活性剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン・ソルビタン、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)(BASF)などを含む。
本明細書に記載される固形剤形における使用に適切な懸濁化剤は、限定されないが、ポリビニルピロリドン(例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、又はポリビニルピロリドンK30)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは約300乃至約6000、約3350乃至約4000、又は約7000乃至約5400の分子量を有し得る)、ビニルピロリドン/ビニルコポリマー(S630)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えば、トラガカントゴム及びアカシアゴム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタンなど、糖、セルロース(例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなど)、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ソルビタンモノラウリン酸、ポリオキシエチレン硬化ソルビタンモノラウリン酸、ポビドンなどを含む。
本明細書に記載される固形剤形における使用に適切な抗酸化剤は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、及びトコフェロールを含む。
本明細書に記載される固形剤形において使用される添加剤の間に、相当な重なりが存在することを、理解されたい。故に、上記の列挙された添加剤は、単に例示的なものとして、及び、限定されないが、本明細書に記載される固形剤形に含まれ得る添加剤のタイプのものとして、得られねばならない。そのような添加剤の量は、所望される特定の特性に従って、当業者によって容易に決定され得る。
他の実施形態において、医薬製剤の1以上の層が可塑化される。説明的に、可塑剤は一般的に高沸点の固体又は液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物の約0.01重量%乃至約50重量%(w/w)まで加えられ得る。可塑剤は、限定されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、及びヒマシ油を含む。
圧縮錠剤は、上記の製剤のバルク混合の圧縮により調製される、固形剤形である。様々な実施形態において、口の中で溶解するよう設計される圧縮錠剤は、1以上の香味料を含む。他の実施形態において、圧縮錠剤は、最終的な圧縮錠剤を囲むフィルムを含む。幾つかの実施形態において、フィルムコーティングは、製剤からの、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の遅延放出を提供することができる。他の実施形態において、フィルムコーティングは、患者のコンプライアンスを支援する(例えば、Opadry(登録商標)コーティング、又は糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは典型的に、錠剤重量の約1%から約3%まで変動する。他の実施形態において、圧縮錠剤は1以上の賦形剤を含む。
カプセルは、例えばカプセル内に、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の製剤のバルク混合を配することにより調製されてもよい。幾つかの実施形態において、製剤(非水性の懸濁液及び溶液)は、軟ゼラチンカプセル中に入れられる。他の実施形態において、製剤は、HPMCを含むカプセルなど、標準のゼラチンカプセル又は非ゼラチンカプセル中に入れられる。他の実施形態において、製剤は、スプリンクルカプセル中に入れられ、ここで、カプセルはその全てが呑み込まれ得るか、又は、カプセルが開かれ、内容物が食事前に食物にまき散らされ得る。幾つかの実施形態において、治療用量は、複数の(例えば2、3、又は4の)カプセルに分けられる。幾つかの実施形態において、製剤の全用量は、カプセル形態で送達される。
様々な実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の粒子、及び1以上の賦形剤は、乾燥混合され、錠剤などの塊に圧縮され、該塊は、経口投与後、約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、又は約60分未満で実質的に崩壊し、それにより胃腸液の中に製剤を放出する医薬組成物を提供するのに十分な硬度を有する。
別の態様において、剤形はマイクロカプセル化した製剤を含み得る。幾つかの実施形態において、1つ以上の他の互換性をもつ材料が、マイクロカプセル化材料の中に存在する。典型的な材料は、限定されないが、pH調整剤、侵食促進剤、抗発泡剤、抗酸化剤、香味料、及び、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、加湿薬、及び希釈剤などの担体材料を含む。
本明細書に記載されるマイクロカプセル化に有用な材料は、他の互換性の無い賦形剤から、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物を十分に分離する、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物に適合可能な材料を含む。式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物に適合可能な材料は、インビボで、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の放出を遅延するものである。
本明細書に記載される化合物を含む製剤の放出を遅らせるのに役立つ、例示的なマイクロカプセル化材料は、限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、例えばKlucel(登録商標)又はNisso HPC、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L−HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、例えば、Seppifilm−LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)−E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、及びBenecel MP843、メチルセルロースポリマー、例えば、Methocel(登録商標)−A、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・ステアレートAqoat(HF−LS、HF−LG、HF−MS)、及びMetolose(登録商標)、エチルセルロース(EC)及びその混合物、例えばE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)−EC、Surelease(登録商標)、ポリビニルアルコール(PVA)、例えばOpadry AMB、ヒドロキシエチルセルロース、例えばNatrosol(登録商標)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、例えばAqualon(登録商標)−CMC、ポリビニルアルコール、及びポリエチレングリコールコポリマー、例えばKollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、加工食物デンプン、アクリルポリマー及びアクリルポリマーとセルロースエーテルとの混合物、例えばEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)FS 30D、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、及びEudragit(登録商標)NE 40D、酢酸フタル酸セルロース、セプフィルム(sepifilms)、例えばHPMCとステアリン酸の混合物、シクロデキストリン、及びこれら材料の混合物を含む。
また他の実施形態において、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、PEG800)、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、及びトリアセチンなどの可塑剤は、マイクロカプセル化材料に組み込まれる。他の実施形態において、医薬組成物の放出を遅らせるのに役立つマイクロカプセル化材料は、USP又は国民医薬品集(NF)からのものである。また他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はKlucelである。また他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はmethocelである。
式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかのマイクロカプセル化化合物は、当業者に既知の方法により処方されてもよい。そのような既知の方法は、例えば、噴霧乾燥法、回転盤による溶解プロセス、ホットメルトプロセス、噴霧冷却方法、流動床、静電気沈着、遠心排出、回転懸濁液分離、液体ガス又は固形ガスのインターフェースでの重合、圧力排出、又はスプレー溶媒抽出槽を含む。これらに加え、様々な化学技術、例えば、複合コアセルベーション、溶解蒸発、ポリマー−ポリマー不適合性、液体培地中の界面重合、インサイツの重合、液中乾燥法、及び液体培地中の脱溶媒和も、使用され得る。更に、ローラー圧縮、排出/球形化、コアセルベーション、又はナノ粒子コーティングなど他の方法も使用され得る。
1つの実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の粒子は、上記形態の1つへと処方される前にマイクロカプセル化される。また別の実施形態において、粒子の幾つか又は大半は、標準のコーティング手順(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載されるものなど)を使用することによって更に処方される前に、コーティングされる。
他の実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の固形剤形製剤は、1以上の層により可塑化(コーティング)される。説明的に、可塑剤は一般的に高沸点の固体又は液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物の約0.01重量%乃至約50重量%(w/w)まで加えられ得る。可塑剤は、限定されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、及びヒマシ油を含む。
他の実施形態において、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物を伴う製剤含む粉末剤は、1以上の医薬賦形剤及び香味料を含むように処方されてもよい。そのような粉末剤は、例えば、バルク混合組成物を形成するために製剤と任意の医薬賦形剤を混合することにより、処方され得る。追加の実施形態はまた、懸濁化剤及び/又は加湿薬を含む。このバルク混合は、単位投与量パッケージ又は多重投与量パッケージの単位へと均一に細分される。
また他の実施形態において、発泡散剤も、本開示に従って調製される。発泡塩は、経口投与のために水中で薬を分散させるために使用されてきた。発泡塩は、重炭酸ナトリウム、クエン酸、及び/又は酒石酸で通常は構成される、乾燥混合物中で薬剤を含む果粒剤又は粗粉である。本明細書に記載される組成物の塩が水に加えられる場合、酸と塩基は、炭酸ガスを遊離するために反応し、それにより「発泡」を引き起こす。発泡塩の例は、例えば以下の成分を含む:重炭酸ナトリウム、又は重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物、クエン酸及び/又は酒石酸。成分が医薬的用途に適しており、且つ結果として約6.0以上のpHをもたらす限り、二酸化炭素の遊離を結果的にもたらす任意の酸−塩基の組み合わせは、重炭酸ナトリウム、クエン酸、及び酒石酸の組み合わせの代わりに使用され得る。
他の実施形態において、式(A)の化合物を含む、本明細書に記載される製剤は、固形分散剤である。そのような固形分散剤を作る方法は、当該技術分野で既知であり、限定されないが、例えば米国特許第4,343,789号、第5,340,591号、第5,456,923号、第5,700,485号、及び米国公開出願第200,40,013,734号を含み、その各々は参照によって明確に組み込まれる。また他の実施形態において、本明細書に記載される製剤は固溶体である。固溶体は、活性薬剤と他の賦形剤と共に物質を組み込み、それにより、混合物が加熱され、その結果薬物の溶解が生じ、結果として生じる組成物はその後に冷却されることで、更に処方され、カプセルに直接加えられ、或いは錠剤へと圧縮され得る固形混合物をもたらす。そのような固溶体を作る方法は当該技術分野で既知であり、限定されないが、例えば、米国特許第4,151,273号、第5,281,420号、及び第6,083,518号を含み、その各々は参照によって本明細書に明確に組み込まれる。
式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物を含む、本命足所に記載される製剤を含む医薬の固形経口投薬形態は、式(A)の化合物の制御放出を提供するために更に処方され得る。制御放出は、長期間にわたり所望の特性に従って組み込まれる投薬形態からの、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の放出を指す。制御放出特性は、例えば、持続放出、長期放出、パルス放出、及び遅延放出の特性を含む。即時放出組成物とは対照的に、制御放出組成物は、予め定めた特性に従って、長期間にわたる被験体への薬剤の送達を可能にする。そのような放出速度は、長期間、治療上有効なレベルの薬剤を提供し、その結果として、より長期間の薬理反応を提供し、一方で、従来の急速放出剤形と比較して、副作用を最小限にする。そのような長期間の反応は、対応する短い作用の、即時放出調製により達成されない多くの固有の利益を提供する。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される固形剤形は、腸溶性の遅延放出経口剤形、即ち、胃腸管の小腸における放出に影響を及ぼすために腸溶コーティングを利用する、本明細書で記載されるような医薬組成物の経口剤形として、処方され得る。腸溶コーティングした剤形は、活性成分の果粒剤、粉末、ペレット、ビーズ、又は微粒子、及び/又は、他の組成成分(それ自体がコーティングされる又はコーティングされない)を含む、圧縮した、成型した、又は押し出し加工した錠剤/モールド(コーティングの有無にかかわらず)であり得る。腸溶性のコーティングした経口剤形はまた、固形担体のペレット、ビーズ、又は顆粒を含むカプセル(コーティングされる又はコーティングされない)、及び/又は、組成物(それ自体がコーティングされる又はコーティングされない)であり得る。
本明細書で使用されるように、用語「遅延放出」は、遅延放出の変化が存在しない場合に達成されるものよりも遠位の胃腸管にある、幾つかの一般的に予測可能な位置で、放出が達成され得るような送達を指す。幾つかの実施形態において、放出の遅延の方法は、コーティングである。任意のコーティングは、全体のコーティングが、約5未満のpHで胃腸液中で溶解しないが、約5以上のpHでは溶解するような、十分な厚みに適用されねばならない。下方の胃腸管への送達を達成するための、本明細書に記載される方法及び組成物における腸溶コーティングとして、pH依存性の可溶性特性を示す任意の陰イオンポリマーが使用され得ることが、予測される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるポリマーは、陰イオンのカルボン酸ポリマーである。他の実施形態において、ポリマー及びその互換性をもつ混合物、及びそれらの特性の幾つかは、限定されないが次のものを含む:
セラック、精製されたラックとも称され、昆虫の樹脂質の分泌物から得た精製品である。このコーティングは、pH>7の培地で溶解する;
アクリルポリマー。アクリルポリマーのパフォーマンス(主として生体液中のそれらの可溶性)は、置換の程度及び型に基づいて異なり得る。適切なアクリルポリマーの例は、メタクリル酸コポリマー及びアンモニウムメタクリル酸塩コポリマーを含む。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS、及びNE(Rohm Pharma)は、有機溶媒、水分散液、又は乾燥粉末中で可溶化されるように、利用可能である。EudragitシリーズRL、NE、及びRSは、胃腸管において不溶性であるが、透過性であり、主として結腸の標的化に使用される。EudragitシリーズEは胃で溶解する。EudragitシリーズL、L−30D、及びSは、胃において不溶性であり、腸で溶解する;
セルロース誘導体。適切なセルロース誘導体の例は次のとおりである:エチルセルロース;セルロースの部分的酢酸エステルの無水フタル酸との反応混合物。そのパフォーマンスは、置換の程度及び型に基づいて異なり得る。酢酸フタル酸セルロース(CAP)は、pH>6で溶解する。Aquateric(FMC)は、水性ベースの系であり、<1μmの粒子を伴うスプレー乾燥したCAP偽ラテックス(psuedolatex)である。Aquateric中の他の成分は、pluronic、Tween、及びアセチル化モノグリセリドを含み得る。他の適切なセルロース誘導体は:酢酸セルローストリメリテート(Eastman);メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel);ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP);ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシナート(HPMCS);及び、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・スクシナート(例えば、AQOAT(Shin Etsu))を含む。そのパフォーマンスは、置換の程度及び型に基づいて異なり得る。例えば、HPMCP(HP−50、HP−55、HP−55S、HP−55Fのグレードなど)が、適切である。そのパフォーマンスは、置換の程度及び型に基づいて異なり得る。例えば、適切なグレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・スクシナートは、pH5で溶解するAS−LG(LF)、pH5.5で溶解するAS−MG(MF)、及びより高いpHで溶解するAS−HG(HF)を含む。これらのポリマーは、水分散液のために果粒剤又は微粉として提供される;
ポリ酢酸ビニル・フタラート(PVAP)。PVAPはpH>5で溶解し、それは、水蒸気及び胃液に対する浸透性があまりない。
幾つかの実施形態において、コーティングは、可塑剤、及び、当該技術分野で周知の着色剤、タルク、及び/又はステアリン酸マグネシウムなどの他のコーティング賦形剤を含有し得、及びそれらを通常は含んでいる。適切な可塑剤は、クエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(グリセリルトリアセテート)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflec A2)、Carbowax 400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、及びフタル酸ジブチルを含む。特に、陰イオンのカルボン酸アクリルポリマーは通常、可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、及びトリアセチンの10−25重量%を含む。噴霧又はパンコーティングなどの従来のコーティング技術が、コーティングを施すために利用される。コーティングの厚みは、経口剤形が、胃管中の局所送達の所望の部位が到達するまで無傷のまま残ることを確実にするのに、十分でなければならない。
着色剤、脱粘着剤(detackifiers)、界面活性剤、消泡剤、潤滑剤(例えば、カルナウバロウ(carnuba wax)又はPEG)は、コーティング材料を可溶化又は分散するため、及びコーティングパフォーマンス及びコーティングした生成物を改善するために、可塑剤に加えてコーティングに加えられ得る。
他の実施形態において、式(A)の化合物を含む、本明細書に記載される製剤は、パルス剤形を使用して送達される。パルス剤形は、制御された遅延時間の後の予め定めた時点で、又は特定の部位で、1以上の即時放出パルスを提供することができる。式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物を含む、本明細書に記載される製剤を含むパルス剤形は、当該技術分野で既知の様々なパルス製剤を使用して投与されてもよい。例えば、そのような製剤は、限定されないが、米国特許第5,011,692号、第5,017,381号、第5,229,135号、及び第5,840,329号に記載されるものを含み、その各々は参照によって明確に組み込まれる。製剤との使用に適切な他のパルス放出剤形は、限定されないが、米国特許第4,871,549号、第5,260,068号、第5,260,069号、第5,508,040号、第5,567,441号、及び第5,837,284号に記載されるものを含み、その全ては参照によって明確に組み込まれる。1つの実施形態において、制御放出剤形は、各々が本明細書に記載される製剤を含有する、粒子(即ち、多重微粒子)の少なくとも2つの群を含む、パルス放出固形経口剤形である。粒子の第1の群は、哺乳動物による摂取後、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の、実質的に即時の用量を提供する。粒子の第1の群は、コーティングされないか、又はコーティング及び/又は密封材を含むかの何れかである。粒子の第2の群はコーティングした粒子を含み、それは、1以上の結合剤との混合剤において、前記製剤中、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の全用量の約2重量%乃至約75重量%、約2.5重量%乃至約70重量%、又は約40重量%乃至約70重量%を含む。第2の群へのコーティングは、第2用量の放出の前、食物摂取後に約2時間乃至約7時間の遅延を提供するのに十分な量の、薬学的に許容可能な成分を含む。適切なコーティングは、単独で、或いは、セルロース誘導体、例えばエチルセルロース、又は、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物を含む製剤の差次的な放出を提供するために可変厚みを持つ非腸溶コーティングと混合して、ほんの一例として、アクリル樹脂(例えば、Eudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、及びEudragit(登録商標)NE30D、Eudragit(登録商標)NE 40D(登録商標))などのpH感受性コーティング(腸溶コーティング)といった、1以上の差次的に分解可能なコーティングを含む。
当業者に既知である他の多くの型の制御放出系は、本明細書に記載される製剤との使用に適している。そのような送達システムの例は、例えば、ポリ乳酸及びポリグリコール酸、ポリ酸無水物(plyanhydrides)、及びポリカプロラクトンなどのポリマーベースの系;ステロール(コレステロール、コレステロールのエステル及び脂肪酸、又は中性脂肪(モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド)など)を含む脂質である、多孔性のマトリクス、非ポリマーベースの系;ヒドロゲル放出系;サイラスティック系(silastic systems);ペプチドベースの系;ワックスコーティング、生体分解可能な剤形、従来の結合剤等を使用する圧縮錠を含む。例えば、Liberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms, 2 Ed., Vol. 1, pp. 209−214 (1990); Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 751−753 (2002);米国特許第4,327,725号、第4,624,848号、第4,968,509号、第5,461,140号、第5,456,923号、第5,516,527号、第5,622,721号、第5,686,105号、第5,700,410号、第5,977,175号、第6,465,014号、及び第6,932,983号を参照し、その各々は参照によって明確に組み込まれる。
幾つかの実施形態において、本明細書に気合される式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の粒子、及び、被験体への経口投与のための少なくとも1つの分散剤又は懸濁化剤を含む医薬組成物が、提供される。製剤は、懸濁液用の粉末剤及び/又は顆粒剤でもよく、水との混合後、実質的に均一な懸濁液が得られる。
経口投与のための液体製剤の剤形は、薬学的に許容可能な水性の経口分散剤、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル剤、及びシロップ剤を含むが、これらに限定されない群から選択された水性懸濁液であり得る。例えば、Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754−757 (2002)を参照。式(A)の化合物の粒子に加えて、液体剤形は次のもののような添加剤を含んでもよい:(a)崩壊剤;(b)分散剤;(c)加湿薬;(d)少なくとも1つの防腐剤、(e)粘度増強剤、(f)少なくとも1つの甘味料、及び(g)少なくとも1つの香味料。幾つかの実施形態において、水性分散剤は更に、結晶化阻害剤を含み得る。
本明細書に記載される水性懸濁液及び分散液は、USP薬剤師薬局方(2005年版、第905章)において定められるように、少なくとも4時間、均質な状態で残り得る。均質性は、全体の組成物の均質性の判定に関して一貫したサンプリング法によって判定されねばならない。1つの実施形態において、水性懸濁液は、1分未満続く物理的な撹拌によって、均質な懸濁液に再懸濁され得る。別の実施形態において、水性懸濁液は、45秒未満続く物理的な撹拌によって、均質な懸濁液に再懸濁され得る。また別の実施形態において、水性懸濁液は、30秒未満続く物理的な撹拌によって、均質な懸濁液に再懸濁され得る。また別の実施形態において、撹拌は、均質な水性分散液を維持するのに必要ではない。
水性懸濁液及び分散剤における使用のための崩壊剤の例は、限定されないが、デンプン、例えば、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National 1551又はAmijel(登録商標)などのα化デンプン、又は、Promogel(登録商標)或いはExplotab(登録商標)などのナトリウムデンプングリコラート、セルロース、例えば、木製品、メチル結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Min Tia(登録商標)、及びSolka−Floc(登録商標))、メチルセルロース、クロスカルメロース、又は架橋セルロース、例えば、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、又は架橋クロスカルメロース;ナトリウムデンプングリコラートなどの架橋デンプン;クロスポビドンなどの架橋ポリマー;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸、又はアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩などの、アルギナート;Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの粘土;寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、又はトラガカントなどのゴム;ナトリウムデンプングリコラート;ベントナイト;天然スポンジ;界面活性剤;カチオン交換樹脂などの樹脂;シトラスパルプ;ラウリル硫酸ナトリウム;デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される水性懸濁液と分散液に適切な分散剤は、当該技術分野で既知であり、例えば、親水性ポリマー、電解液、Tween(登録商標)60又は80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;商業上、Plasdone(登録商標)として知られる)、及び炭水化物ベースの分散剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースエーテル(例えばHPC、HPC−SL、及びHPC−L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、及びHPMC K100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース・フタラート、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース・アセテート・フタラート、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(Plasdone(登録商標)、例えばS−630)、エチレンオキシドとホルムアルデヒドを伴う4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール・ポリマー(チロキサポールとしても知られる)、ポロクサマー(例えばPluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)、及びF108(登録商標)であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);及びポロキサミン(例えば、Poloxamine 908(登録商標)としても知られるTetronic908(登録商標)であり、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのエチレンジアミンへの連続する追加から得た四官能性のブロックコポリマーである(BASF Corporation, Parsippany, N.J.))を含む。他の実施形態において、分散剤は、以下の薬剤の1つを含まない群から選択される:親水性ポリマー;電解液;Tween(登録商標)60又は80;PEG;ポリビニルピロリドン(PVP);ヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースエーテル(例えばHPC、HPC−SLおよびHPC−L);ヒドロキシプロピルメチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、HPMC K100M、及びPharmacoat(登録商標)USP 2910(Shin−Etsu));カルボキシメチルセルロースナトリウム;メチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチル−セルロース・フタラート;ヒドロキシプロピルメチル−セルロースアセテートステアレート;非晶質セルロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;トリエタノールアミン;ポリビニルアルコール(PVA);エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを備えた4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール・ポリマー;ポロクサマー;(例えばPluronics F68(登録証用)、F88(登録商標)、及びF108(登録商標)であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);又はポロキサミン(例えばPoloxamine908(登録商標)としても知られるTetronic908(登録商標))を含む。
本明細書に記載される水性懸濁液と分散液に適切な加湿薬は当該技術分野で既知であり、限定されないが、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、市販で入手可能なTweens20(登録商標)及びTween80などのTween(登録商標)(ICI Specialty Chemicals))、及びポリエチレングリコール(例えば、Carbowaxs3350(登録商標)と1450(登録商標)、及びCarbopol934(登録商標)(Union Carbide))、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン・モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン・モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウム・ドクセート、トリアセチン、ビタミンE TPGS、タウロコール酸ナトリウム、シメチコン、ホスファチジルコリン(phosphotidylcholine)等を含む。
本明細書に記載される水性懸濁液又は分散液に適切な防腐剤は、例えば、ソルビン酸カリウム、パラベン(例えばメチルパラベン及びプロピルパラベン)、安息香酸及びその塩、ブチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸の他のエステル、エチルアルコール又はベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物、或いは塩化ベンザルコニウムなどの四級化合物を含む。本明細書で使用されるように、防腐剤は、微生物増殖を阻害するのに十分な濃度で剤形に組み込まれる。
本明細書に記載される水性懸濁液又は分散液に適切な粘度増強剤は、メチルセルロース、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Plasdon(登録商標)S−630、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギナート、アカシア、キトサン、及びそれらの組み合わせを含む。粘度増強剤の濃度は、選択された薬剤及び所望の粘度に依存する。
本明細書に記載される水性懸濁液又は分散液に適切な甘味料は、例えば、アカシアシロップ、アセスルファムK、アリターム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、クロフサスグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンファー、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、バブルガム、シトラス、シトラス・パンチ、シトラス・クリーム、コットンキャンディー、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、シクラメート、シラメート(cylamate)、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツ・パンチ、ショウガ、グリチルレチナート(glycyrrhetinate)、カンゾウ(甘草)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモン・クリーム、モノアンモニウム・グリリチナート(glyrrhizinate)(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、モミジ、マシュマロ、メントール、ミント・クリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジン(neohesperidine)DC、ネオテーム、オレンジ、西洋ナシ、モモ、ペパーミント、ペパーミント・クリーム、Prosweet(登録商標)パウダー、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミント・クリーム、イチゴ、イチゴ・クリーム、ステビア、スクラロース、スクロース、ナトリウムサッカリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファム・カリウム、マンニトール、タリン(talin)、スクラロース、ソルビトール、スイス・クリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、アメリカザクラ、ヒメコウジ、キシリトール、又はこれらの香味成分の任意の組み合わせ、例えば、アニス−メントール、チェリー−アニス、シナモン−オレンジ、チェリー−シナモン、チョコレート−ミント、ハチミツ−レモン、レモン−ライム、レモンミント、メントール−ユーカリ、オレンジ−クリーム、バニラ−ミント、及びそれらの組み合わせを含む。1つの実施形態において、水性液体分散液は、水分散液の容量の約0.001%から約1.0%に及ぶ濃度で、甘味料又は香味料を含むことができる。別の実施形態において、水性液体分散液は、水分散液の容量の約0.005%から約0.5%に及ぶ濃度で、甘味料又は香味料を含むことができる。また別の実施形態において、水性液体分散液は、水分散液の容量の約0.01%から約1.0%に及ぶ濃度で、甘味料又は香味料を含むことができる。
上記に列挙した添加剤に加えて、液体製剤はまた、水又は他の溶媒などの当該技術分野で共通して使用される不活性希釈剤、可溶化剤、及び乳化剤を含む。典型的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクセートナトリウム、コレステロール、コレステロールエステル、タウロコール酸、ホスファチジルコリン(phosphotidylcholine)、油(綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油など)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれら物質の混合物などである。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬製剤は、自己乳化薬物送達システム(SEDDS)であり得る。エマルジョンは、別の形で、通常は液滴の形で不混和相における1つの不混和相の分散液である。一般的に、エマルジョンは激しい機械分散によって作成される。任意の外部の機械的な分散又は撹拌無しで過剰な水を加えると、SEDDSは、エマルジョン又はマイクロエマルジョンとは反対に、自発的にエマルジョンを形成する。SEDDSの利点は、溶液の全体にわたって液滴を分配するために、緩やかな混合だけが要求されるということである。加えて、水又は水相は、投与の直前に加えられ得、不安定な又は疎水性の活性成分の安定性を確実にする。故に、SEDDSは、疎水性活性成分の経口及び非経口の送達に有効な送達システムを提供する。SEDDSは、疎水性活性成分のバイオアベイラビリティの改善を提供し得る。自己乳化剤形を作る方法は、当該技術分野で既知であり、限定されないが、米国特許第5,858,401号、第6,667,048号、及び第6,960,563号を含み、その各々は参照によって本明細書に明確に組み込まれる。
与えられた添加剤が頻繁に、当該技術分野における異なる従事者によって異なって分類され、又は様々な異なる機能の何れかのために共通して使用されるので、本明細書に記載される水分散液又は懸濁液において使用される、上記に列挙した添加剤の間に重なりが存在することが、理解される。故に、上記に列挙した添加剤は、単に例示的なものとして、及び限定されないが、本明細書に記載される製剤に含まれ得る添加剤のタイプのものとして、得られねばならない。そのような添加剤の量は、所望される特定の特性に従って、当業者によって容易に決定され得る。
<鼻腔内製剤>
鼻腔内製剤は当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第4,476,116号、第5,116,817号、及び第6,391,452号に記載されており、その各々は参照によって本明細書に明確に組み込まれる。当該技術分野で周知であるこれら及び他の技術に従って調製される、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物を含む製剤は、ベンジルアルコール又は他の適切な防腐剤、フルオロカーボン、及び/又は、当該技術分野で既知の他の可溶化剤又は分散剤を利用して、生理食塩水中の溶液として調製される。例えば、Ansel, H. C. et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Sixth Ed. (1995)を参照。好ましくは、これらの組成物及び製剤は、適切な無毒の薬学的に許容可能な成分と共に調製される。これらの成分は、鼻用剤形の調製において当業者に既知であり、これらのいくつかは、「REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, 21st edition, 2005」、当該技術分野における標準の参照情報に見出され得る。適切な担体の選択は、所望される鼻用剤形、例えば溶液、懸濁液、軟膏、又はゲルの正確な性質に多いに依存する。鼻用剤形は一般的に、活性成分に加えて大量の水を含む。pH調整剤、乳化剤、又は分散剤、防腐剤、界面活性剤、ゲル化剤、又は緩衝化剤、及び他の安定化剤並びに可溶化剤などの少量の他の成分も、存在してもよい。鼻用剤形は、鼻汁と等張でなければならない。
吸入による投与のために、本明細書に記載される式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物は、エアロゾル、霧、又は粉末剤のような形態でもよい。本明細書に記載される医薬組成物は、適切な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適切な気体を使用して、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾル噴霧提供の形態で、都合よく送達される。加圧したエアロゾルの場合、投与量単位は、測定した量を送達するためのバルブを提供することにより決定され得る。吸入器又は注入器で使用するための、ほんの一例ではあるが、ゼラチンなどで作られたカプセル及び薬包が処方され得、それらは、本明細書に記載される化合物の粉末混合、及びラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤を含む。
<頬側製剤>
式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物を含む、本明細書に記載される頬側製剤は、当該技術分野で既知の製剤を使用して投与されてもよい。例えば、そのような製剤は、限定されないが、米国特許第4,229,447号、第4,596,795号、第4,755,386号、及び第5,739,136号に記載されるものを含み、各々は参照によって明確に組み込まれる。加えて、本明細書に記載される頬側剤形は更に、頬側粘膜に剤形を付着させるようにも機能する、生体分解可能な(加水分解性の)ポリマー担体を含み得る。頬側剤形は、予め定めた時間にわたり徐々に浸蝕するように製作され、ここで、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の送達が、本質的に全体にわたり提供される。頬側薬物送達は、当業者に認識されるように、経口薬物投与が遭遇する不都合、例えば、遅い吸収、胃腸管に存在する流体による活性薬剤の劣化、及び/又は肝臓における初回通過不活性化を回避する。生体腐食性(加水分解性)ポリマー担体に関して、所望の薬物放出特性が損なわれない限り、任意のそのような担体が使用され得、該担体は、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物、及び、頬側投与単位に存在し得る任意の他の構成要素に適合可能であることが、認識される。一般的に、ポリマー担体は、頬側粘膜の湿った表面に接着する疎水性(水溶性及び水膨張性)ポリマーを含む。本明細書で有用なポリマー担体の例は、アクリル酸ポリマー、及びコポリマー(co)、例えば「カルボマー」として知られるものを含む(B.F. GoodrichからのCarbopol(登録商標)が、1つのそのようなポリマーである)。他の構成要素も、本明細書に記載される頬側剤形に組み込まれてもよく、限定されないが、崩壊剤、賦形剤、結合剤、潤滑剤、香味料、着色剤、防腐剤などを含む。頬側投与又は舌下投与のために、組成物は、従来の方法で処方される錠剤、ロゼンジ、又はゲル剤の形態を取り得る。
<経皮製剤>
本明細書に記載される経皮製剤は、当該技術分野で述べられている様々なデバイスを使用して投与されてもよい。例えば、そのようなデバイスは、限定されないが、米国特許第3,598,122号、第3,598,123号、第3,710,795号、第3,731,683号、第3,742,951号、第3,814,097号、第3,921,636号、第3,972,995号、第3,993,072号、第3,993,073号、第3,996,934号、第4,031,894号、第4,060,084号、第4,069,307号、第4,077,407号、第4,201,211号、第4,230,105号、第4,292,299号、第4,292,303号、第5,336,168号、第5,665,378号、第5,837,280号、第5,869,090号、第6,923,983号、第6,929,801号、及び第6,946,144号に記載されるものを含み、その各々は全体において参照によって明確に組み込まれる。
本明細書に記載される経皮剤形は、当該技術分野において従来の特定の薬学的に許容可能な賦形剤を組み込んでもよい。1つの実施形態において、本明細書に記載される経皮製剤は、少なくとも3つの構成成分:(1)式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の製剤;(2)浸透促進剤;及び(3)水性アジュバントを含む。加えて、経皮製剤は、限定されないがゲル化剤、クリーム剤、及び軟膏基剤などの追加の構成成分を含み得る。幾つかの実施形態において、経皮製剤は更に、吸収を促進し、且つ皮膚から経皮製剤の除去を防ぐために、織布又は不織布のバッキング材を含み得る。他の実施形態において、本明細書に記載される経皮製剤は、皮膚への拡散を促進するために、飽和又は過飽和の状態を維持することができる。
本明細書に記載される化合物の経皮投与に適切な製剤は、経皮送達デバイス及び経皮送達パッチを利用してもよく、且つ、ポリマー又は粘着剤で溶解及び/又は分散される、親油性エマルション又は緩衝水溶液であり得る。そのようなパッチは、医薬品の連続送達、パルス送達、又はオンデマンド送達のために構築され得る。また更に、本明細書に記載される化合物の経皮送達は、イオン泳動性パッチなどの手段により達成され得る。加えて、経皮パッチは、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物の制御送達を提供することができる。吸収速度は、律速膜(rate−controlling membrane)を使用することで、又は化合物をポリマーマトリクス或いはゲル内に捕捉することで遅くされ得る。反対に、吸収促進剤は吸収性を高めるために使用され得る。吸収促進剤又は担体は、皮膚を介する通過を補助する、薬学的に許容可能な吸収性溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは、バッキング材、担体を随意に備える化合物を含むリザーバー、長時間にわたって制御された速度及び予め定められた速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための律速バリア、及び皮膚にデバイスを固定する手段を含む、包帯の形態である。
<注入可能な製剤>
筋肉内、皮下、腫瘍周囲、又は静脈内の注入に適切な、式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの化合物を含む製剤は、生理学的に許容可能な無菌の水性又は非水性の溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョン、及び無菌の注入可能な溶液又は分散液への再構成のための無菌の粉末剤を含む。適切な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒、又はビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール、(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモホール(cremophor)など)、それらの適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、及びオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散の場合に必要とされた粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって、維持され得る。皮下注入に適切な製剤は、防腐剤、加湿薬、乳化剤、及び分配剤(dispensing agent)などの添加剤も含んでもよい。微生物の増殖の予防は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌性及び抗真菌性の薬剤によって確実にされ得る。糖や塩化ナトリウムなどの等張性の薬剤を含むことが望ましいこともある。モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅らせる薬剤の使用によって、注入可能な医薬形態の持続的吸収が引き起こされ得る。
静脈注射のために、本明細書に記載される化合物は、水溶液中で、好ましくはハンク溶液、リンガー溶液、又は生理的食塩水の緩衝液などの生理学的に互換性をもつ緩衝液中で処方されてもよい。口腔粘膜投与のために、浸透されるべき障壁に適切な浸透剤が、製剤において使用される。そのような浸透剤は一般的に当該技術分野で既知である。他の非経口注入のために、適切な製剤は、好ましくは生理学的に互換性をもつ緩衝液又は賦形剤を備えた、水性又は非水性の溶液を含んでもよい。そのような賦形剤は一般的に当該技術分野で既知である。
非経口注入は、ボーラス注入又は持続注入を含んでもよい。注入用製剤は、単位投薬形態(例えば、アンプル)において、又は追加の保存料を伴う複数回用量容器において提供されてもよい。本明細書に記載される医薬組成物は、油性又は水性のビヒクル内で無菌の懸濁液、溶液、又はエマルジョンなど、非経口注入に適した形態であり、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの調合剤(formulatory agents)を含んでもよい。非経口投与のための医薬製剤は、水溶性の形態である活性化合物の水溶液を含む。更に、活性化合物の懸濁剤は、適切な油性の注入懸濁剤として調製され得る。適切な親油性の溶媒又はビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル或いはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、又はリポソームを含む。水性注入懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁剤の粘度を増加させる物質を含み得る。随意に、懸濁剤は、高濃縮溶液の調製を可能にするため、化合物の溶解度を増加させるのに適切な安定剤又は薬剤も含み得る。代替的に、活性成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水と共に構成するため、粉末形態であってもよい。
<他の製剤>
特定の実施形態において、医薬化合物のための送達システムは、例えばリポソーム及びエマルジョンなどで利用されてもよい。特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物はまた、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、及びデキストランの中から選択される、粘膜付着性ポリマーを含み得る。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、局所投与され得、且つ、溶液、懸濁液、ローション剤、ゲル剤、ペースト剤、薬用スティック、バーム、クリーム剤、又は軟膏剤などの、様々な局所投与可能な組成物へと処方され得る。そのような医薬組成物は、可溶化剤、安定剤、等張増強剤、緩衝液、及び保存剤を含み得る。
本明細書に記載される化合物は、ポリビニルピロリドンやPEGなどの合成ポリマーと同様に、ココアバター又は他のグリセリドなどの従来の坐薬用基剤を含む、浣腸剤、直腸用ゲル剤、直腸用気泡剤、直腸用エアロゾル、坐薬、ゼリー状坐薬、又は保持用浣腸剤などの直腸用組成物でも処方され得る。組成物の坐薬形態において、これらに限定されないが、例えば脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスは、随意にココアバターと組み合わされて最初に融解する。
<投与方法及び治療レジメンの例>
本明細書に記載される化合物は、Btk又はその同族体の阻害のために、又は、Btk或いはその同族体の阻害から少なくとも部分的に利益を得る疾患又は疾病の処置のために、薬物の調製において使用され得る。加えて、そのような処置を必要とする被験体の、本明細書に記載される疾患又は疾病の何れかを処置するための方法は、前記被験体に、治療上有効な量で、本明細書に記載される式(I)、(Ia)、又は(II)の何れかの少なくとも1つの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能なN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能なプロドラッグ、或いは薬学的に許容可能な溶媒和物を含む医薬組成物を投与する工程を含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物を含む組成物は、予防的及び/又は治療的な処置のために投与され得る。特定の治療用途において、組成物は、既に疾患や疾病で苦しむ患者に、その疾患又は疾病の症状を治癒し、或いは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で投与される。この使用に有効な量は、疾患又は疾病の重症度及び経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、及び薬物への反応性、並びに処置を行う医師の判断に左右される。定期的な試験(限定されないが、用量増加臨床試験を含む)によって、そのような治療上有効な量を決定することは、当業者の考え得る範囲内で十分に考慮される。
予防用途において、本明細書に記載される化合物を含む組成物は、特定の疾患、障害、又は疾病の影響を受け易く、又はさもなくばその危険に曝されている患者に投与される。このような量は、「予防に有効な量又は用量」であると定義される。この用途では、正確な量はまた、患者の健康状態、体重などに依存する。定期的な試験(限定されないが、用量増加臨床試験を含む)によって、そのような予防的に有効な量を決定することは、当業者の考え得る範囲内で十分に考慮される。患者に使用されると、この使用に有効な量は、疾患、障害、又は疾病の重症度及び経過、以前の治療、患者の健康状態、及び薬物への反応性、並びに処置を行う医師の判断に依存する。
患者の症状が改善しない場合、医師の判断後、化合物の投与は、患者の疾患又は症状の兆候を寛解させる、又はさもなくば制御又は制限するために、常習的に、つまり、長期間(即ち患者の寿命の間中を含む)施されてもよい。
患者の状態が改善する場合、医師の判断後、化合物の投与が連続的に与えられ得る。代替的に、投与される薬物の用量は、特定の期間、一時的に減らされ、又は一時的に中止され得る(休薬期間)。休薬期間の長さは、2日と1年の間(ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、又は365日を含む)で異なり得る。休薬期間中の用量の減少は、10%−100%(ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%を含む)であり得る。
一旦患者の疾病の改善が生じると、必要ならば維持量が投与される。続いて、投与量又は投与頻度、或いはその両方が、症状に応じて、疾患、障害、又は疾病の改善を持続するレベルにまで減らされ得る。しかし、患者は、任意の症状の再発後、断続的な処置を長期的に必要とする。
このような量に対応する、与えられた薬剤の量は、特定の化合物、疾患又は疾病、及びその重症度、処置が必要とされている被験体又は宿主のアイデンティティ(例えば、体重)などの要因に依存して異なるが、それにもかかわらず、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、処置される疾病、及び処置される被験体又は宿主を含む、症例を取り囲む特定の状況に従って、当該技術分野で既知の様式で日常的に決定され得る。しかし、一般的に、成人のヒトの処置に利用される用量は典型的に、1日につき0.02−5000mg、又は1日につき1−1500mgの範囲にある。所望の用量は、単回投与で、又は、同時に(或いは短時間にわたって)、或いは適切な間隔(例えば1日に2回、3回、4回、或いはそれ以上)で投与される分割用量で、都合よく提供され得る。
本明細書に記載される医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形でもよい。単位剤形において、製剤は一以上の化合物の適量を含む単位用量に分割される。単位投与量は、製剤の離散量を含むパッケージの形態である。制限のない例は、包装された錠剤又はカプセル、及びバイアル又はアンプルの中にある粉末剤である。水性懸濁液組成物は、単回用量の再密閉できない容器に包装され得る。代替的に、複数回用量用の再密閉可能な容器が使用され、この場合、組成物中に保存剤を含むことが一般的である。ほんの一例ではあるが、非経口注入用の製剤は、限定されないがアンプルを含む単位剤形で、又は追加の保存料を備えた複数回用量容器で、提供され得る。
個々の処置レジメンに関する可変性の数が大きいため、前述の範囲は単に示唆的なものであり、これらの推奨値からの相当な可動域は、珍しいものではない。このような投与量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患又は疾病、投与の形態、個々の被験体の必要条件、処置される疾患又は疾病の重症度、及び医師の判断といった多くの可変性に依存して変更され得る。
このような処置レジメンの毒性及び治療効果は、LD50(個体群の50%致死量)及びED50(個体群の50%における治療上有効な用量)の決定などを含むが、これらに限定されない、細胞培養物又は実験動物における標準の薬学的手順により定められ得る。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、LD50とED50との間の比率として表され得る。高い治療上の指数を示す化合物が、好ましい。細胞培養アッセイ及び動物研究から得たデータは、ヒトにおける使用のために様々な範囲の投与量を処方する際に、使用され得る。そのような化合物の投与量は、好ましくは最小の毒性を備えたED50を含む、一連の血中濃度内にある。投与量は、利用された剤形及び利用された投与経路に依存して、この範囲内で異なってもよい。
<併用処置>
本明細書に記載される可逆的又は不可逆Btk阻害剤組成物は、処置される疾病にかかる治療価値のために選択される、他の周知の治療試薬と組み合わせても使用され得る。一般に、本明細書に記載される組成物、及び、併用治療が利用される実施形態において、他の薬剤は、同じ医薬組成物において投与される必要がなく、且つ、異なる物理的及び化学的特性により、異なる経路によって投与されなければならない。投与の形態と投与の得策の決定は、可能な場合、同じ医薬組成物において、熟練した臨床医の考え得る範囲内にある。初期の投与は、当該技術分野で既知の確立されたプロトコルに従って行われ、その後、観察された効果に基づいて、投与量、投与の形態、及び投与時間が熟練した臨床医によって修正され得る。
特定の例において、別の治療薬剤と併用して、本明細書に記載される少なくとも1つの可逆的又は不可逆Btk阻害剤化合物を投与することが適切な場合もある。ほんの一例ではあるが、本明細書に記載される可逆的又は不可逆Btk阻害剤化合物の1つを投与された患者が受ける副作用の1つが吐き気である場合、その後、最初の治療薬剤と併用して抗吐気薬剤を投与することが適切な場合がある。又は、ほんの一例であるが、本明細書に記載される化合物の1つの治療効果は、アジュバントの投与により増強されることがある(即ち、アジュバント自体により、最小限の治療的効果をもたらし得るが、別の治療薬剤と併用すると、患者への総合的な治療的効果が増強される)。又は、ほんの一例であるが、患者が受ける効果は、治療的効果も有する別の治療薬剤(治療レジメンも含む)と共に、本明細書に記載される化合物の1つを投与することによって増加され得る。あらゆる場合において、処置される疾患、障害、又は疾病に関わらず、患者が受ける総合的な効果は、単に2つの治療薬剤の添加である場合があり、又は患者は相乗的効果を受ける場合がある。
使用された化合物の特定の選択は、主治医の診断、及び患者の状態と適切な処置プロトコルの判断に依存する。化合物は、疾患、障害、又は疾病の性質、患者の状態、及び用いられる化合物の実際の選択に依存して、一斉に(例えば、同時に、ほぼ同時に、又は同じ処置プロトコル内で)、又は順次、投与されてもよい。処置プロトコルの間の各治療剤の投与の順番、及び投与の繰り返し回数の決定は、処置される疾患の評価及び患者の状態の評価の後、十分に医師の考え得る範囲内にある。
治療上有効な投与量は、薬物が併用処置に使用される際に異なり得ることが、当業者に既知である。併用療法レジメンで使用される薬物及び他の薬剤の治療上の有効量を実験的に決定する方法は、本文献に述べられている。例えば、規則正しい投薬の使用、即ち、有毒な副作用を最小化するためにより頻繁で、より低い用量を提供することは、文献において広範囲に記述されている。併用処置は、患者の臨床的な管理を支援するために、様々な時間で開始及び終了する、周期的な処置を更に含む。
本明細書に記載される併用療法に関して、同時投与化合物の投与量はもちろん、利用される同時薬物(co−drug)のタイプ、利用される特定の薬物、或いは処置される疾患又は疾病などに依存して、異なる。加えて、1以上の生物学的に活性な薬剤と同時投与すると、本明細書で提供される化合物は、生物学的に活性な薬剤(複数)と同時に、又は連続して投与され得る。連続して投与される場合、主治医は、生物学的に活性な薬剤(複数)と併用して投与するタンパク質の適切な配列を決定する。
どんな場合も、複数の治療剤(そのうちの1つは本明細書に記載される式(I)、(Ia)、又は(II)の化合物である)は、任意の順で、又は同時に投与されてもよい。同時の場合、多数の治療剤は、単一の統一形態で、又は複数の形態で(ほんの一例ではあるが、単一の丸剤又は二つの別個の丸剤として)提供される。治療剤の1つは、複数回用量で与えられ、又はその両方が複数回用量投与として与えられ得る。同時でない場合、複数回用量間のタイミングは、0週より多く、4週未満まで、異なり得る。加えて、併用方法、組成物、及び製剤は、2つの薬剤のみ使用に限定されず;多数の治療上の組み合わせの使用も想定される。
緩和が求められる疾病を処置、予防、又は寛解するための投薬レジメンは、様々な要因に従って改変され得ることが、理解される。これらの要因は、被験体の年齢、体重、性別、食事、及び病状と同様に、被験体が患う障害も含む。故に、実際に利用された投薬レジメンは広く異なる場合があり、それ故、本明細書で述べられる投与レジメンから逸脱し得る。
本明細書に開示された併用療法を構築する医薬品は、組み合わされた剤形であるか、又は、ほぼ同時の投与を意図した個別の剤形であってもよい。併用療法を構築する医薬品は、2段階の投与を要求するレジメンによって投与されている一方の治療上の化合物と共に、連続して投与されてもよい。2段階の投与レジメンは、活性薬剤の連続する投与、又は、別個の活性薬剤の間隔を空けた投与を要求してもよい。複数の投与段階の間の期間は、医薬品の性能、可溶性、バイオアベイラビリティ、血漿半減期、及び速動性の特性といった、医薬品それぞれの特性に依存して、数分から数時間にまで及んでもよい。標的分子濃度の日周期の変化はまた、最適な投与間隔を決定する場合がある。
更に、本明細書に記載される化合物は、患者に付加的又は相乗的な効果を提供する手順と組み合わせて使用されてもよい。ほんの一例ではあるが、患者は、本明細書に記載される方法において、治療的及び/又は予防的効果を得ると予測され、ここで、本明細書に開示される化合物の医薬組成物、及び/又は他の治療法との併用は、個体が特定の疾患又は疾病と相互関連すると知られている突然変異遺伝子の保有者であるかを判定するための遺伝子検査と組み合わせられる。
本明細書に記載される化合物及び併用治療は、疾患又は疾病の発症前、その最中、又はその後に投与され得、化合物を含む組成物の投与のタイミングは、異なり得る。故に、例えば、化合物は、予防薬として使用することができ、疾患又は疾病の発症を防ぐために、疾病又は疾患を進行させる傾向のある被験体に連続的に投与することができる。化合物及び組成物は、症状発症の間に、又は発症後可能な限り早急に、被験体に投与され得る。化合物の投与は、症状の発症の最初の48時間以内、症状の発症の最初の6時間以内、又は症状の発症の3時間以内に開始され得る。最初の投与は、例えば、静脈注入、ボーラス注入、5分〜約5時間にわたる注入、丸剤、カプセル剤、経皮パッチ、頬側送達など、又はそれらの組み合わせといった、任意の経路を介して行われ得る。化合物は、疾患又は疾病の発症が検出又は疑われた後に実施可能な限り早急に、及び、例えば約1ヶ月〜約3ヶ月など、疾患の処置が必要とされる期間に、投与されねばならない。処置の長さは、各被験体について異なることがあり、この長さは既知の分類基準を使用して決定することができる。例えば、化合物又は化合物を含む製剤は、少なくとも2週間、好ましくは約1ヶ月と約5年の間、及び約1ヶ月乃至約3年の間、投与され得る。
<可逆的又は不可逆Btk阻害剤化合物と組み合わせて使用するための例示的な治療剤>
被験体が自己免疫疾患、炎症性疾患、又はアレルギー疾患に悩んでいる、又はその危険性がある場合、可逆的又は不可逆Btk阻害剤化合物は、任意の組み合わせで以下の1以上の治療剤と共に使用され得る:免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、シクロスポリン、ラパマイシン(rapamicin)、メトトレキサート、シクロホスファミド、アザチオプリン、メルカプトプリン、ミコフェノール酸、又はFTY720)、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、サリチル酸塩、アリールアルカン酸、2アリールプロピオン酸、N−アリールアントラニリン(arylanthranilic)酸、オキシカム、コキシブ、又はスルホンアニリド)、Cox−2−特異的阻害剤(例えば、バルデコキシブ、セレコキシブ、又はロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、アウロフィン(aurofin)、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquinine)、ミノサイクリン、TNF−α結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、又はアダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエンス、ベータ−アゴニスト、テオフィリン、又は抗コリン薬。
被験体がB細胞障害(例えばプラスマ細胞性骨髄腫)に苦しんでいる、またはその危険がある場合には、被験体は、他の抗癌剤との任意の組み合わせで可逆的又は不可逆Btk阻害剤化合物で処置され得る。幾つかの実施形態において、1以上の抗癌剤は、アポトーシス促進剤である。抗癌剤の例は、限定されないが、下記の何れかを含む:ゴシポール、ジェナセンス、ポリフェノールE、クロロフシン、オールトランスレチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連のアポトーシスを誘発するリガンド(TRAIL)、5−アザ−2’−デオキシシチジン、オールトランスレチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、ゲルダナマイシン、17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY 11−7082、PKC412、又はPD184352、微小管形成の増強及び安定化により作用する周知の抗癌薬物である「パクリタキセル」とも称されるTaxol(商標)、及び、Taxotere(商標)などのTaxol(商標)のアナログ。共通の構造的特徴として、基礎的なタキサン骨格を有する化合物はまた、安定化された微小管によりG2M期において細胞を阻止する能力を有すると示され、及び、本明細書に記載される化合物と組み合わせて癌を処置するのに有用な場合もある。
1つの実施形態において、抗癌剤は第2のBtk阻害剤である。別の実施形態において、第2のBtk阻害剤は、(R)−1−(3−(4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)prop−2−en−1−オン(即ち、PCI−32765/イブルチニブ)である。
幾つかの実施形態において、抗癌剤は、AVL−263(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−292(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−291(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、GDC−0853(Genentech)、HY−11066(CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5、AG−F−54930でもある)、ONO−4059(Ono Pharmaceutical Co.,Ltd.)、ONO−WG37(Ono Pharmaceutical Co.,Ltd.)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−La Roche)、又はHM71224(Hanmi Pharmaceutical Company Limited)である。
幾つかの実施形態において、抗癌剤は、4−(tert−ブチル)−N−(2−メチル−3−(4−メチル−6−((4−(モルホリン−4−カルボニル)フェニル)アミノ)−5−オキソ−4,5−ジヒドロピラジン−2−イル)フェニル)ベンズアミド(CGI−1746);7−ベンジル−1−(3−(ピペリジン−1−イル)プロピル)−2−(4−(ピリジン−4−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−g]キノキサリン−6(5H)−オン(CTA−056);(R)−N−(3−(6−(4−(1,4−ジメチル−3−オキソピペラジン−2−イル)フェニルアミノ)−4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロピラジン−2−イル)−2−メチルフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド(GDC−0834);6−シクロプロピル−8−フルオロ−2−(2−ヒドロキシメチル−3−{1−メチル−5−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル}−フェニル)−2H−イソキノリン−1−オン(RN−486);N−[5−[5−(4−アセチルピペラジン−1−カルボニル)−4−メトキシ−2−メチルフェニル]スルファニル−1,3−チアゾール−2−イル]−4−[(3,3−ジメチルブタン−2−イルアミノ)メチル]ベンズアミド(BMS−509744、HY−11092);又はN−(5−((5−(4−アセチルピペラジン−1−カルボニル)−4−メトキシ−2−メチルフェニル)チオ)チアゾール−2−イル)4−(((3−メチルブタン−2−イル)アミノ)メチル)ベンズアミド(HY11066)である。
他の実施形態において、抗癌剤は次のとおりである:
可逆的または不可逆的なBtk阻害化合物と組み合わせて使用される抗ガン剤の更なる例は、例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY−142886、SB239063、SP600125、BAY 43−9006、ウォルトマンニン、又はLY294002などのマイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナル伝達の阻害剤;Syk阻害剤;mTOR阻害剤;及び抗体(例えばリツキサン)を含む。
可逆的または不可逆的なBtk阻害化合物と組み合わせて利用可能な他の抗癌剤は、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン;アメタントロンアセタート;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテーパ;アズトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン(bisantrene)塩酸塩;ビアンサフィド(bisnafide)ジメシレート;ビセレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナーナトリウム;ロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベティマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼルシン;セデフィンガル;クロラムブシル;シロレマイシン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デクソロマプラティン;デザグアミン;デザグアミンメシレート;ジアジコン;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;ドロロキシフェンクエン酸塩;プロピオン酸ドロモスタノロン;ドゥアゾマイシン;エダトレキセート;エフロルニチン塩酸塩;エルサミトルシン;エンロプラティン;エンプロメイト;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール;エソルビシン塩酸塩;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;ファドロゾール塩酸塩;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロオシタビン;フォスクィダン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシ尿素;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イイモフォスティン;インターロイキンIl(組み換えインターロイキンII、又はrlL2を含む)、インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n1;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンガンマ−1b;イプロプラティン;イリノテカン塩酸塩;ランレオチドアセタート;レトロゾール;レウプロリドアセタート;リアロゾール塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン塩酸塩;マソプロコール;メイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;メゲストロールアセテート;メレンゲスロロールアセテート;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;マイトジリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;ミトザントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾイ;ノガラマイシン;オルマプラチン;オクシスラン;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタマスティン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロクサントロン塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニマスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンガル;塩酸サフィンガル;セムスチン;シムトラゼーネ;スパルフォスエートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロマスティン;スピロプラティン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェナール;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸トレクサトロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシビリン;トリメトレキサート;トリメトレキサートグルクロン酸塩;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンレウロジン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾキジン;ボロゾール;ゼニプラティン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンを含む。
可逆的または不可逆的なBtk阻害化合物と組み合わせて利用可能な他の抗癌剤は、以下を含む:20−epi−1、25 ジヒドロキシビタミン D3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アキルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アムバマスティン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラフォライド;血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背方化形態形成タンパク質−1(anti−dorsalizing morphogenetic protein−1);抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシナート;アポトーシス遺伝子モジュレータ;細胞死レギュレーター;アプリン酸;コンゴウインコCDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリマスティン;アクシナスタティン1;アクシナスタティン2;アクシナスタティン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾチロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ−アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビサジリジンイルスペルミン;ビアンサフィド;ビストラテンA;ビセレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリポックスIL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来の阻害剤;カルゼルシン;カゼインキナーゼインヒビター(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis‐ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クラムベシジン(crambescidin)816;クリスナトール;クリプトファイシン8;クリプトファイシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタンチラキノーズ;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞傷害性因子;シトスタティン;ダクリズマブ;デシタビン;デヒドロジデミンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキフォスダミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジコン;ジデミンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;9−ジオクサマイシン;ジフェニルスピロマスティン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;ズオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスティン;エデルフォスティン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレツッエラスティン;フラステロン(fluasterone);フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;フォルフェニメックス;ホルメスタン;フォストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテクサピリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ハプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロニック酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントーネ;イルモフォシン;イルモスタット;イミダゾアクリドーネ;イミキモド;免疫賦活剤ペプチド;インスリン様増殖因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラライドF;ラメラリン−Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミソール;リアロゾール;直鎖のポリアミンアナログ;親油性二糖類ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド(lissoclinamide)7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメテレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロクソリビン;ラルトテカン;ルテチウムテクサピリン;リソフィリン;細胞溶解ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メタレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;不適合二重鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシンアナログ;ミトナファイド;マイトトキシン繊維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体(ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン);モノホスホリル脂質A+ミオバクテリア細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;複数の腫瘍抑圧遺伝子1に基づく治療;マスタード抗癌剤;ミカペロキサイドB;ミコバクテリウムの細胞壁抽出物;ミラポロン;n−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスティップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフターピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ニーリドロニック酸;中性エンドペプチターゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレータ;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;O6−ベンジルグアミン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイニンインデューサ;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オグサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロニック酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプティン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリサルフェートナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルフォスファミド;ペリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;ウィザフェリンA;プラセティンB;プラスミノゲンアクチベータインヒビター;白金複合体;白金化合物;白金トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAベースの免疫モジュレータ;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻類;チロシンホスファターゼタンパク質阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポロキシエチルエリエ接合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レティプティン;レニウムRe 186 エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ラビジノンB1;ラボキシル;サフィンガル;セイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1ミメティック;セムスチン;セネスセンス由来の阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレータ;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;フェニル酢酸ナトリウム;サルバロル;ソマトメジン結合タンパク質;ソナーミン;スパルフォシック酸;スピカマイシンD;スピロマスティン;スプレノペンティン;スポンジスタチン1;スクワラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分割阻害剤;スティピアミド;ストロメリシン阻害剤;サルフィノジン;超活性な血管作用性小腸ペプチドアンタゴニスト;サラディスタ;スラミン;スウェインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスティン;タモキシフェンメチオジド;タウロマスティン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;サリブラスティン;チオコラリン;トロンボポイエチン;トロンボポイエチンミメティック;チマルファジン;チモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプロプリン;チラパザミン;チタノセン二塩化物;トプセンティン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシビリン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;テュロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来の成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクターシステム、赤血球遺伝子治療;ベラレゾール;ベラミン;アメリカツリスガラ;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンザルティン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラティン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマー。
可逆的または不可逆的なBtk阻害化合物と組み合わせて利用可能な他の抗癌剤は、アルキル化剤、代謝拮抗薬、天然物、又はホルモン、例えばナイトロジェンマスタード(例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシルなど)、スルホン酸アルキル(例えばブルスファン)、ニトロソ尿素(例えばカルムスチン、ロムスチンなど)、又はトリアゼン(デカルバジンなど)を含む。代謝拮抗薬の例は、葉酸アナログ(例えばメトトレキサート)、又はピリミジンアナログ(例えば、シタラビン)、プリンアナログ(例えばメルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)を含むが、これらに限定されない。
可逆的または不可逆的なBtk阻害化合物と組み合わせて役に立つ天然物の例としては、限定されないが、ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシド)、抗生物質(例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えばL−アスパラギナーゼ)、または生物学的応答修飾物質(例えばインターフェロンα)が挙げられる。
可逆的または不可逆的なBtk阻害化合物と組み合わせて利用可能なアルキル化剤の例としては、ナイトロジェンマスタード(例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファランなど)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えばヘキサメチルメラミン、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えばブルスファン)、ニトロソ尿素(例えばカルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンなど)、又はトリアゼン(デカルバジンなど)が挙げられる。代謝拮抗薬の例は、葉酸アナログ(例えばメトトレキサート)、又はピリミジンアナログ(例えばフルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリンアナログ(例えばメルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)を含むが、これらに限定されない。
可逆的または不可逆的なBtk阻害化合物と組み合わせて有用なホルモンおよびアンタゴニストの例は、副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾン)、プロゲスチン(例えばカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えばジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(例えばタモキシフェン)、アンドロゲン(例えばプロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン物質(例えばフルタミド)、ゴナドトロピン放出ホルモン・アナログ(例えばロイプロリド)を含むが、これらに限定されない。癌の処置または予防のために本明細書に記載された方法および組成物で使用可能な他の薬剤は、白金配位化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン)、アントラセンジオン(例えばミトキサントロン)、置換された尿素(例えばヒドロキシ尿素)、メチル・ヒドラジン誘導体(例えばプロカルバジン)、副腎皮質の抑制薬(例えばミトタン、アミノグルエチミド)を含む。
安定した微小管によりG2−M相で細胞を阻止することにより作用し、且つ、可逆的または不可逆的なBtk阻害化合物と組み合わせて使用することができる抗ガン剤の例は、限定されないが、以下の市販の薬物と開発中の薬物を含む:Erbulozole (R−55104としても知られる)、Dolastatin 10 (DLS−10及びNSC−376128としても知られる)、Mivobulin isethionate (CI−980としても知られる)、Vincristine、NSC−639829、Discodermolide (NVP−XX−A−296としても知られる)、ABT−751 (Abbott、E−7010としても知られる)、Altorhyrtins (Altorhyrtin A及びAltorhyrtin Cとしても知られる)、Spongistatins (Spongistatin 1、Spongistatin 2、Spongistatin 3、Spongistatin 4、Spongistatin 5、Spongistatin 6、Spongistatin 7、Spongistatin 8、及びSpongistatin 9としても知られる)、Cemadotin hydrochloride (LU−103793及びNSC−D−669356としても知られる)、Epothilones (Epothilone A、Epothilone B、Epothilone C (デスオキシエポチロンA又はdEpoAとしても知られる)、Epothilone D (KOS−862、dEpoB、及びデスオキシエポチロンBとしても知られる)、Epothilone E、Epothilone F、Epothilone B N−オキシド、Epothilone A N−オキシド、16−aza−エポチロンB、21−アミノエポチロンB(BMS−310705としても知られる)、21−ヒドロキシエポチロンD (Desoxyepothilone F及びdEpoFとしても知られる)、26−フルオロエポチロン)、Auristatin PE (NSC−654663としても知られる)、Soblidotin (TZT−1027としても知られる)、LS−4559−P (Pharmacia、LS−4577としても知られる)、LS−4578 (Pharmacia、LS−477−Pとしても知られる)、LS−4477 (Pharmacia)、LS−4559 (Pharmacia)、RPR−112378 (Aventis)、Vincristine sulfate、DZ−3358 (Daiichi)、FR−182877 (Fujisawa、WS−9885Bとしても知られる)、GS−164 (Takeda)、GS−198 (Takeda)、KAR−2 (Hungarian Academy of Sciences)、BSF−223651 (BASF、ILX−651及びLU−223651としても知られる)、SAH−49960 (Lilly/Novartis)、SDZ−268970 (Lilly/Novartis)、AM−97 (Armad/Kyowa Hakko)、AM−132 (Armad)、AM−138 (Armad/Kyowa Hakko)、IDN−5005 (Indena)、Cryptophycin 52 (LY−355703としても知られる)、AC−7739 (Ajinomoto、AVE−8063A及びCS−39.HCIとしても知られる)、AC−7700 (Ajinomoto、AVE−8062、AVE−8062A、CS−39−L−Ser.HCI、及びRPR−258062Aとしても知られる)、Vitilevuamide、Tubulysin A、Canadensol、Centaureidin(NSC−106969としても知られる)、T−138067 (Tularik、T−67、TL−138067及びTI−138067としても知られる)、COBRA 1 (Parker Hughes Institute、DDE−261及びWHI−261としても知られる)、H10 (Kansas State University)、H16 (Kansas State University)、Oncocidin A1 (BTO−956及びDIMEとしても知られる)、DDE−313 (Parker Hughes Institute)、Fijianolide B、Laulimalide、SPA−2 (Parker Hughes Institute)、SPA−1 (Parker Hughes Institute、SPIKET−Pとしても知られる)、3−IAABU (Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF−569としても知られる)、Narcosine (NSC−5366としても知られる)、Nascapine、D−24851 (Asta Medica)、A−105972 (Abbott)、Hemiasterlin、 3−BAABU (Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF−191としても知られる)、TMPN(アリゾナ州立大学)、バナドセン アセチルアセトネート、T−138026(Tularik)、モンサトロール(Monsatrol)、イナノシン(lnanocine)(NSC−698666としても知られる)、3−lAABE(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、A−204197(Abbott)、T−607(Tuiarik、T−900607としても知られる)、RPR−115781(Aventis)、エリュテロビン(デスメチルエリュテロビン、デスアセチルエリュテロビン、イソエリュテロビンA、及びZ−エリュテロビンなど)、カリベオシド、カリベオリン、ハリコンドリンB、D−64131(Asta Medica)、D−68144(Asta Medica)、ジアゾナミドA、A−293620(Abbott)、NPI−2350(Nereus)、タッカロノリドA、TUB−245(アベンティス)、A−259754(Abbott)、Diozostatin、(−)−Phenylahistin(NSCL−96F037としても知られている)、D−68838(Asta Medica)、D−68836(Asta Medica)、Myoseverin B、D−43411(Zentaris。D−81862としても知られている)、A−289099(Abbott)、A−318315(Abbott)、HTI−286(SPA−110としても知られている。トリフルオロ酢酸塩)(Wyeth)、D−82317(Zentaris)、D−82318(Zentaris)、SC−12983(NCI)、リスベラスタチン(Resverastatin)リン酸塩ナトリウム、BPR−OY−007(National Health Research Institutes)、及びSSR−250411(Sanofi)から選択される。
被検体が血栓塞栓障害(例えば卒中)に苦しんでいるか、または苦しむ危険がある場合、幾つかの実施形態では、被験体を1つ以上の他の抗血栓塞栓症薬剤と組み合わせて可逆的または不可逆的なBtk阻害化合物で治療することが可能である。こうした抗血栓塞栓剤は、限定されないが、以下のいずれかを含む:血栓溶解剤(例えばアルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼまたは組織プラスミノーゲン活性化因子)、ヘパリン、チンザパリン、ワルファリン、ダビガトラン(例えばダビガトランエテキシレート)、因子Xa阻害剤(例えばフォンダパリヌクス、ドラパリヌクス、リバロキサバン、DX−9065a、オタミキサバン、LY517717またはYM150)、チクロピジン、クロピドグレル、CS−747(プラスグレル、LY640315)、キシメラガトラン、またはBIBR 1048。
<キット/製造品>
本明細書に記載される治療用途での使用のために、キット及び製品も本明細書に記載される。このようなキットは、例えば、バイアル、チューブなどの1以上の容器を受けるために仕切られた、運搬装置、パッケージ、又は容器を含み、こうした容器の各々は、本明細書中に記載される方法で使用される別個の要素の1つを含んでいる。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。容器は、ガラス又はプラスチックのような様々な材料から形成され得る。
本明細書で提供される製造品は、パッケージ材料を含む。医薬品を包装する際に使用される包装材料は当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号、及び第5,033,252号を参照。医薬包装材料としては、ブリスターパック、瓶、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、瓶、及び選択された製剤及び意図された様式による投与や処置に適切な任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される化合物と組成物の広範な製剤は、Btkの抑制により利益を受けるか、あるいはBtkが症状または原因の媒介物質または寄与体である、任意の疾患、障害、または疾病の様々な処置であると企図される。
例えば、容器は、随意に組成物中に、または、本明細書で開示されるような別の薬剤と組み合わせて、本明細書に記載される1以上の化合物を含むことができる。容器は、無菌のアクセスポートを任意に有する(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈注射用溶液バッグ又はバイアルとなりえる。)。このようなキットは、本明細書中に記載される方法におけるその使用に関する、同定する解説書、又はラベル、或いは説明書を有する化合物を任意に含む。
キットは一般に1以上の追加の容器を含み、その各々は、本明細書中に記載される化合物の使用に関して商業的な観点とユーザの観点から望ましい1以上の様々な材料(例えば、試薬、随意に濃縮された形態及び/又はデバイスで)を含む。こうした材料の非限定的な例としては、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、フィルタ、針、シリンジ;担体、包装、容器、バイアルおよび/または、内容物および/または使用の説明書を列挙したチューブラベルが挙げられる。1セットの説明書も典型的に含まれる。
ラベルは容器上にあるか、あるいは、容器に結び付けられている。ラベルを形成する文字、数字、または他の字が容器自体に付けられているか、成型されているか、あるいは、エッチングされている場合、ラベルは容器上にあり得る;ラベルは、容器を保持する入れ物または運搬装置内に存在する場合、例えば、添付文書として容器に結び付けられる。ラベルは内容物が具体的な治療適用に使用されることを示すために使用され得る。ラベルはさらに、例えば、本明細書中に記載される方法で、内容物の使用のための指示を示すことができる。
特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書で提供される化合物を含む1以上の単位剤形を含み得るパックまたはディスペンサー装置で提供可能である。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属ホイル又はプラスチックホイルを含み得る。パックまたはディスペンサー装置には、投与説明書を添付することが可能である。パックまたはディスペンサーに、製薬の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形式で包装容器に付随した通知が添えられることもある。その通知は、人間または獣医学の投与のため薬の形式の機関による承認を反映する。こうした通知書は、例えば、処方薬又は承認された生成物の挿入物に関して米国食品医薬品局により承認されたラベルである。適合性の薬学の担体において処方された、本明細書提供の化合物を含んでいる組成物はまた、適切な包装容器において調合、入れることができ、示された疾病の処置のためにラベル化される。
以下の具体的かつ非限定的な例は単に例示的なものとして解釈されなければならず、いかなる方法であっても本開示を限定しない。さらなる合成をせずとも、当業者は本明細書の記載に基づいて本開示を最大限に利用することができる。
本明細書で引用される全ての刊行物は参照により全体として本明細書に組み込まれる。URL又は他のそのような識別子或いはアドレスが言及される場合、そのような識別子は変更する場合があり、且つインターネットについての特定の情報は現れたり消えたりし得るが、同等な情報をインターネット検索により発見できることが理解される。それに対する言及は、そのような情報のアベイラビリティ及び公的な普及を証拠づける。
実施例1:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト(methylbut)−2−エナミド(enamido))フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン(purin)−7−イル)−N−(ピリジン−2−イル)ベンズアミド(6)の合成
30mLの無水DMF中のtert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(1)(2.68g、7.52ミリモル)、4−(メトキシカルボニル)フェニルボロン酸(2.70g、15.04ミリモル)、無水Cu(OAc)2微粉末(2.74g、15.04ミリモル)、トリエチルアミン(4.2mL、30.1ミリモル)、および4Å活性化したモレキュラーシーブ微粉末(1.20g)の混合物を5分間、酸素気流でガス抜きした。混合物を酸素バルーンで覆い、2日間室温で撹拌した。その混合物を250mLのEtOAcで希釈し、セライトを通してろ過し、飽和したNH4Cl溶液x2と水で洗浄し、乾燥させ、真空で濃縮した。残留物を、DCM中の0〜80%のEtOAcを含むフラッシュカラムにさらして、メチル4−(6−アミノ−9−(3−(tert−ブトキシカルボニル(メチル)アミノ)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)ベンゾアート(2)を分離した(1.81g、収率49%)。
60mLのTHF中の2(1.81g、3.69ミリモル)の溶液に、10mLの水とLiOH・H2O(776mg、18.45ミリモル)を加えた。その混合物を2.5時間室温で撹拌し、その後、3と4の間のpHになるように1N HClで滴定した。その混合物を、400mLのEtOAcで希釈し、塩水x2で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮することにより、4−(6−アミノ−9−(3−(tert−ブトキシカルボニル(メチル)アミノ)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)安息香酸(3)(1.41g、収率80%)を得た。
3mLの無水ピリジン中の3(100mg、0.21ミリモル)と2−アミノピリジン(79mg、0.84ミリモル)の溶液に、POCl3(77μL、0.84ミリモル)を加えた。混合物を40時間、室温で撹拌した。その混合物を100mLのEtOAcで希釈し、水と塩水で洗浄し、乾燥させ、真空で濃縮した。残留物を、DCM中の0〜15%のMeOHを含むフラッシュカラムにさらして、tert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−(ピリジン−2−イルカルバモイル)フェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(4)を分離した(収率>70%)。
4の溶液を20分間室温で10mLのDCMと5mLのTFAの混合物で処理した。溶液を真空で濃縮し、乾燥するまで汲み出すことで、4−(6−アミノ−9−(3−(メチルアミノ)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(ピリジン−2−イル)ベンズアミド、TFA塩(5)を得る。
10mLのDCM中の5(70mg、0.42ミリモル)とトリエチルアミン(130μL、0.95ミリモル)の混合物に、1−プロパンホスホン酸の環状の無水物(anhyride)(T3P、EtOAc中50%、312μL、0.525ミリモル)を加えた。混合物を一晩中撹拌して、真空下で濃縮した。残留物を逆相分取HPLCにかけて表題化合物(6)を分離させた。MS found for C30H29N9O3 as (M+H)+ 564.2, (M−H)− 562.3.UV:λ=265、280nm.
実施例2:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド(7)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド(7)を、2−アミノ−4−メチルピリジンを用いて調製した。MS found for C31H31N9O3 as (M+H)+ 578.1, (M−H)− 576.3.UV:λ=265、291nm.
実施例3:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−エチルピリジン−2−イル)ベンズアミド(8)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−エチルピリジン−2−イル)ベンズアミド(8)を、2−アミノ−4−エチルピリジンを用いて調製した。MS found for C32H33N9O3 as (M+H)+ 592.1, (M−H)− 590.2.UV:λ=265、286nm.
実施例4:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−プロピルピリジン−2−イル)ベンズアミド(9)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−プロピルピリジン−2−イル)ベンズアミド(9)を、2−アミノ−4−プロピルピリジンを用いて調製した。MS found for C33H35N9O3 as (M+H)+ 606.2, (M−H)− 604.4.UV:λ=265、284nm.
実施例5:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ベンズアミド(10)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ベンズアミド(10)を、2−アミノ−4−トリフルオロメチルピリジンを用いて調製した。MS found for C31H28F3N9O3 as (M+H)+ 632.1, (M−H)− 630.3.UV:λ=269(280nm)。
実施例6:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(11)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(11)を、3−トリフルオロメチルアニリンを用いて調製した。MS found for C32H29F3N8O3 as (M+H)+ 631.1, (M−H)− 629.2.UV:λ=252、271、357nm.
実施例7:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(3−(ピリミジン−2−イル)フェニル)ベンズアミド(12)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(3−(ピリミジン−2−イル)フェニル)ベンズアミド(12)を、3−(ピリミジン−2−イル)アニリンを用いて調製した。MS found for C35H32N10O3 as (M+H)+ 641.2, (M−H)− 639.4.UV:λ=242、256nm.
実施例8:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(3−フルオロピリジン−2−イル)ベンズアミド(13)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(3−フルオロピリジン−2−イル)ベンズアミド(13)を、2−アミノ−3−フルオロピリジンを用いて調製した。MS found for C30H28FN9O3 as (M+H)+ 582.1, (M−H)− 580.3.UV:λ=256、275nm.
実施例9:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−フルオロピリジン−2−イル)ベンズアミド(14)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−フルオロピリジン−2−イル)ベンズアミド(14)を、2−アミノ−5−フルオロピリジンを用いて調製した。MS found for C30H28FN9O3 as (M+H)+ 582.1, (M−H)− 580.3.UV:λ=264、276nm.
実施例10:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)ベンズアミド(15)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−フルオロピリジン−3−イル)ベンズアミド(15)を、3−アミノ−5−フルオロピリジンを用いて調製した。MS found for C30H28FN9O3 as (M+H)+ 582.1, (M−H)− 580.3.UV:λ=264、277nm.
実施例11:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−フルオロ−4−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド(16)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−フルオロ−4−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド(16)を、2−アミノ−5−フルオロ−4−メチルピリジンを用いて調製した。MS found for C31H30FN9O3 as (M+H)+ 596.2, (M−H)− 594.3.UV:λ=265、275nm.
実施例12:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−クロロピリジン−2−イル)ベンズアミド(17)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−クロロピリジン−2−イル)ベンズアミド(17)を、2−アミノ−5−クロロピリジンを用いて調製した。MS found for C30H28ClN9O3 as (M+H)+ 598.1 (chloro pattern), (M−H)− 596.3 (chloro pattern).UV:λ=252、257nm.
実施例13:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(チアゾール−2−イル)ベンズアミド(18)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(チアゾール−2−イル)ベンズアミド(18)を、2−アミノチアゾールを用いて調製した。MS found for C28H27N9O3S as (M+H)+ 570.2, (M−H)− 568.3.UV:λ=255、278nm.
実施例14:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−メチルチアゾル(methylthiazol)−2−イル)ベンズアミド(19)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−メチルチアゾル−2−イル)ベンズアミド(19)を、2−アミノ−5−メチルチアゾールを用いて調製した。MS found for C29H29N9O3S as (M+H)+ 584.1, (M−H)− 582.3.UV:λ=260、278nm.
実施例15:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−メチルチアゾル−2−イル)ベンズアミド(20)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−メチルチアゾル−2−イル)ベンズアミド(20)を、2−アミノ−4−メチルチアゾールを用いて調製した。MS found for C29H29N9O3S as (M+H)+ 584.1, (M−H)− 582.3.UV:λ=259、277nm.
実施例16:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)ベンズアミド(21)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)ベンズアミド(21)を、2−アミノ−4,5−ジメチルチアゾールを用いて調製した。MS found for C30H31N9O3S as (M+H)+ 598.1, (M−H)− 596.3.UV:λ=265、276、296、309nm.
実施例17:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−2−イル)ベンズアミド(22)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−2−イル)ベンズアミド(22)を、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−2−イルアミンを用いて調製した。MS found for C32H33N9O3S as (M+H)+ 624.2, (M−H)− 622.3.UV:λ=264、276、295、311nm.
実施例18:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)ベンズアミド(23)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)ベンズアミド(23)を、2−アミノベンゾチアゾールを用いて調製した。MS found for C32H29N9O3S as (M+H)+ 620.1, (M−H)− 618.3.UV:λ=262、280、294、304nm.
実施例19:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル(thiadiazol)−2−イル)ベンズアミド(24)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)ベンズアミド(24)を、2−アミノ−5−メチル−1,3,4−チアジアゾールを用いて調製した。MS found for C28H28N10O3S as (M+H)+ 585.1, (M−H)− 583.3.
UV:λ=251、271nm.
実施例20:(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(3−メチルイソチアゾル(methylisothiazol)−5−イル)ベンズアミド(25)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−4−(6−アミノ−9−(3−(4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(3−メチルイソチアゾル−5−イル)ベンズアミド(25)を、3−メチルイソチアゾル−5−イルアミンを用いて調製した。MS found for C29H29N9O3S as (M+H)+ 584.1, (M−H)− 582.3.UV:λ=254、276、365nm.
実施例21:(E)−N−(3−(6−アミノ−7−(4−ベンゾイルフェニル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(26)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−N−(3−(6−アミノ−7−(4−ベンゾイルフェニル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(26)を、4−ベンゾイルフェニルボロン酸を用いて調製した。MS found for C31H29N7O3 as (M+H)+ 548.1, (M−H)− 546.3.UV:λ=242、251nm.
実施例22:(E)−N−(3−(6−アミノ−7−(4−ベンゾイルフェニル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(27)の合成
実施例21に記載されるような同じやり方で、(E)−N−(3−(6−アミノ−7−(4−ベンゾイルフェニル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(27)を、(E)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)but−2−エン酸を用いて調製した。MS found for C33H31N7O3 as (M+H)+ 574.1, (M−H)− 572.2.
実施例23:(E)−N−(3−(6−アミノ−7−(4−シクロプロポキシフェニル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(28)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、(E)−N−(3−(6−アミノ−7−(4−シクロプロポキシフェニル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(ジメチルアミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(28)を、4−シクロプロポキシフェニルボロン酸を用いて調製した。MS found for C27H29N7O3 as (M+H)+ 500.2, (M−H)− 498.3.UV:λ=257、273nm.
実施例24:(4−(6−アミノ−9−(3−(N−メチルアクリルアミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(ピリジン−2−イル)ベンズアミド(29)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、4−(6−アミノ−9−(3−(N−メチルアクリルアミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(ピリジン−2−イル)ベンズアミド(29)を、塩化アクリロイルを用いて調製して、4−(6−アミノ−9−(3−(メチルアミノ)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(ピリジン−2−イル)ベンズアミド、TFA塩と反応させた。MS found for C27H22N8O3 as (M+H)+ 507.2, (M−H)− 505.3.UV:λ=265、280nm.
実施例25:N−(3−(6−アミノ−7−(4−シクロプロポキシフェニル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−N−メチルアクリルアミド(30)の合成
実施例24に記載されるような同じやり方で、N−(3−(6−アミノ−7−(4−シクロプロポキシフェニル)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−N−メチルアクリルアミド(30)を、4−シクロプロポキシフェニルボロン酸を用いて調製した。MS found for C24H22N6O3 as (M+H)+ 443.1, (M−H)− 441.3.UV:λ=266、273nm.
実施例26:N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−2−シアノ−N−メチルアセトアミド(33)の合成
10mLの無水DMF中のtert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(1.00g、2.8ミリモル)、4−フェノキシフェニルボロン酸(1.20g、5.6ミリモル)、無水Cu(OAc)2微粉末(1.02g、5.6ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン(2.0mL、11.2ミリモル)、および4Åの活性化したモレキュラーシーブ微粉末(0.50g)の混合物を、5分間酸素気流でガス抜きした。混合物を酸素バルーンで覆い、2日間室温で撹拌した。その後、その混合物を250mLのEtOAcで希釈し、セライトを通してろ過し、飽和したNH4Cl溶液x2と水で洗浄し、乾燥させ、真空で濃縮した。残留物をDCM中の0〜50%のEtOAcを含むフラッシュカラムにさらして、tert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(31)を分離した(0.44g、収率30%)。
イソプロピルアルコール中の5N HClの15mLの31(0.44g、0.84ミリモル)の混合物を1時間室温で撹拌した。その混合物を真空で濃縮して乾燥するまで汲み出すことにより、6−アミノ−9−(3−(メチルアミノ)フェニル)−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−8(9H)−オン、HCl塩(32)を得た。
4mLのDMF中の32(100mg、0.22mmol)及びシアノ酢酸(56mg、0.66mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(380μl、2.2mmol)と、その後、PyBOP(230mg、0.44mmol)を加えた。この混合物を6.5時間撹拌し、100mLのEtOAcで希釈し、塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残留物を、DCM中の0〜60%のEtOAcを含むフラッシュカラムにさらすことで、表題化合物(33)を得た。MS found for C27H21N7O3 as (M+H)+ 492.1, (M−H)− 490.2.UV:λ=259、276nm.
実施例27:N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−1−シアノ−N−メチルシクロプロパンカルボキサミド(34)の合成
実施例26に記載されるような同じやり方で、N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−1−シアノ−N−メチルシクロプロパンカルボキサミド(34)を、1−シアノシクロプロパンカルボン酸を使用して調製した。MS found for C29H23N7O3 as (M+H)+ 518.1, (M−H)− 516.3.UV:λ=266、276nm.
実施例28:(E)−3−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−2−シアノ−N−メチルアクリルアミド(44)の合成
MeOH(50mL)中のメチル3−ニトロベンゾアート(5g、27.6ミリモル)を、MeOH中でPd/Cを用いて水素化することにより、淡黄色固形物としてメチル3−アミノ安息香酸塩(35)(4.1g、98%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)152.1。
一晩中、60−70°Cでメチル3−アミノ安息香酸塩(35)(4.1g、27.1ミリモル)、N,N−ジベンジル−6−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−アミン(12.9g、36.57ミリモル)、およびトリエチルアミンから、淡黄色固形物としてメチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)ベンゾアート(36)(10.35g、81%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)470.2。
THF/MeOH/水中でメチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)ベンゾアート(36)(10.35g、22ミリモル)、Fe粉末、および塩化アンモニウムの混合物を加熱することによって、淡黄色固形物としてメチル3−(5−アミノ−6−(ジベンジルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)ベンゾアート(37)(9.6g、定量)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)440.2。
0°CのDCM中の淡黄色固形物として、メチル3−(5−アミノ−6−(ジベンジルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)ベンゾアート(37)(9.6g、21.87ミリモル)、トリホスゲン(2.6g、8.8ミリモル)、トリエチルアミンから、メチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)ベンゾアート(38)(10g、98%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)466.1。
THF/MeOH(1:1)中の木炭上の10%のパラジウムを用いるメチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)ベンゾアート(38)(5g、10.75ミリモル)の水素添加後に、淡黄色固形物としてメチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)ベンゾアート(39)(1.54g、42%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)286.1。
DMF中でのCu(OAc)2とピリジンを用いるメチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)ベンゾアート(39)(460mg、1.6ミリモル)と4−フェノキシフェニルボロン酸(985mg、4.6ミリモル)の結合により、淡黄色固形物としてメチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)ベンゾアート(40)(83mg、11%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)454.1。
メチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)ベンゾアート(40)(83mg、0.18ミリモル)を、THF/H2O中のLiOHで処理することにより、白色固形物として3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)安息香酸(41)(80mg、定量)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)440.1。
DCM(5mL)中の3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)安息香酸(41)(80mg、0.18ミリモル)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(27mg、0.27ミリモル)、HOBT(37mg、0.27ミリモル)、およびEDCI(53mg、0.27ミリモル)の溶液に、DIPEA(64mg、0.5ミリモル)を加えた。混合物を一晩、40°Cで撹拌した。反応物を水で希釈した。有機質層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM中0〜8%のMeOH)によって精製して、白色固形物として3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(42)を得た(86mg、98%)。LC−MS(ESI):m/z(M+1)483.2。
−78°Cで、かつN2雰囲気下において、THF(3mL)中の3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(42)(127mg、0.26ミリモル)の溶液に、DIBAL−H(1mL、1.0ミリモル)を加えた。結果として生じる混合物を室温までゆっくりと上昇させる前に、2時間に−78°Cで撹拌した。反応を水でクエンチし、Na2SO4を加えた。固形物をろ過し、濾液を真空で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM中0〜5%のMeOH)によって精製することにより、黄色の固形物として3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)ベンズアルデヒド(43)(72mg、95%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)424.2。
70°CでEtOH中の3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)ベンズアルデヒド(43)(40mg、0.09ミリモル)、2−シアノ−N−メチルアセトアミド(23mg、0.23ミリモル)、およびピペリジンを加熱することにより、白色固形物として(E)−3−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−2−シアノ−N−メチルアクリルアミド(44)(16mg、34%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)504.2。1H NMR(400MHz、DMSO)δ8.47(s、1H)、8.21(s、2H)、8.12(s、1H)、8.01(d、J=7.6Hz、1H)、7.88(d、J=7.6Hz、1H)、7.75(d、J=8.2Hz、1H)、7.52(d、J=8.8Hz、2H)、7.43(t、J=7.9Hz、2H)、7.22−7.11(m、5H)、5.90(s、2H)、2.75(d、J=4.5Hz、3H)。
実施例29:(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(6−フェノキシピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(49)の合成
0°CかつN2雰囲気下のDMF(15mL)中のNaH(203mg、5.06ミリモル)の懸濁液に、フェノール(437mg、4.64ミリモル)を加えた。2,5−ジブロモピリジン(1g、4.22ミリモル)の導入前に、反応混合物を室温1時間で撹拌した。撹拌は室温で一晩中維持された。反応の完了後、混合物を飽和したNH4Clでクエンチし、EA(20mlx4)で抽出した。組み合わせた有機質層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、PE中の0〜20%のEA)によって精製することによって、油として5−ブロモ−2−フェノキシピリジン(45)(758mg、72%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M/M+2)250.1/252.1。
−78°CかつN2雰囲気下でTHF(15mL)の5−ブロモ−2−フェノキシピリジン(45)(758mg、3.03ミリモル)の溶液に、n−BuLi(1.33mL、3.33ミリモル、THF中2.5M)に液滴で加えた。結果として生じる混合物を、B(O−iPr)3(741mg、3.94ミリモル)の導入前に、1時間で−78°Cで撹拌した。さらに−78°Cで1時間後に、反応を室温までゆっくりと温めて、飽和したNH4Clでクエンチした。粗の生成物をEA(20mlx)で抽出した。組み合わせた有機質層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、PE中の0〜50%のEA)によって精製することによって、白色固形物として6−フェノキシピリジン−3−イルボロン酸(46)(448mg、69%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)215.1。
実施例28の工程6で概説された類似する手順に従って、tert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(448mg、1.26ミリモル)と6−フェノキシピリジン−3−イルボロン酸(46)(542mg、2.52ミリモル)から、黄色の固形物としてtert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(6−フェノキシピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(47)(283mg、52%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)525.9。
実施例1の工程4と5に概説された類似する2工程の手順に従って、tert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(6−フェノキシピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(47)(140mg、0.27ミリモル)、および(E)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)but−2−エン酸HCl塩(142mg、0.44ミリモル)から、白色固形物として(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(6−フェノキシピリジン−3−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(49)(10mg、8%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)563.0。1H NMR(400MHz、DMSO)δ8.27(s、1H)、8.22(s、1H)、8.11(s、1H)、7.91(d、J=8.6Hz、1H)、7.70−7.57(m、3H)、7.44(t、J=7.7Hz、2H)、7.35(d、J=7.0Hz、1H)、7.25−7.18(m、3H)、6.75−6.63(m、1H)、6.18(br、2H)、6.06−5.94(m、1H)、3.27(s、3H)、3.11(d、J=5.8Hz、2H)、2.11(s、3H)、1.59(s、1H)、0.32(d、J=4.7Hz、2H)、0.21(s、2H)。
実施例30:(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−N−メチル−4−モルホリノブト(morpholinobut)−2−エナミド(51)の合成
実施例29に記載されるような同じやり方で、6−アミノ−9−(3−(メチルアミノ)フェニル)−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−8(9H)−オン(50)(106mg、0.25ミリモル)と(E)−4−モルホリノブト−2−エン酸(76mg、0.275ミリモル)から、(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−N−メチル−4−モルホリノブト−2−エナミド(51)(34mg、24%)を白色固形物として得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)577.9。1H NMR(400MHz、DMSO)δ8.11(s、1H)、7.68(d、J=8.4Hz、1H)、7.64−7.57(m、2H)、7.49(d、J=8.8Hz、2H)、7.43(t、J=7.9Hz、2H)、7.35(d、J=7.9Hz、1H)、7.23−7.09(m、5H)、6.62(dt、J=15.1、5.9Hz、1H)、6.03(d、J=14.1Hz、1H)、5.90(s、2H)、3.42(s、4H)、3.26(s、3H)、2.95(d、J=5.3Hz、2H)、2.22(s、4H).
実施例31:(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−N−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)but−2−エナミド(52)の合成
実施例29に記載されるような同じやり方で、6−アミノ−9−(3−(メチルアミノ)フェニル)−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−8(9H)−オン(50)(106mg、0.25ミリモル)と(E)−4−(ピロリジン−1−イル)but−2−エン酸(47mg、0.3ミリモル)から、白色固形物として(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−フェノキシフェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−N−メチル−4−(ピロリジン−1−イル)but−2−エナミド(52)(19mg、14%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)562.2。1H NMR(400MHz、DMSO)δ8.11(s、1H)、7.75−7.54(m、3H)、7.53−7.39(m、4H)、7.34(d、J=7.6Hz、1H)、7.23−7.09(m、5H)、6.73−6.64(m、1H)、6.11−5.95(m、1H)、5.89(s、2H)、3.27(s、3H)、3.08(d、J=5.8Hz、2H)、2.36−2.30(m、4H)、1.58−1.52(m、4H)。
実施例32:(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(58)の合成
実施例29の工程1に記載されるような同じやり方で、フェノール(2.41g、25.7ミリモル)と2−ブロモ−5−フルオロピリジン(4.52g、25.7ミリモル)から、油として2−ブロモ−5−フェノキシピリジン(53)(4.21g、66%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M/M+2)249.9/251.9。
ジオキサン(20mL)中のtert−ブチル3−(5−アミノ−6−(ジベンジルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)フェニル(メチル)カルバメート(1.02g、2ミリモル)、2−ブロモ−5−フェノキシピリジン)(53)(500mg、2ミリモル)の溶液に、Pd2(dba)3(180mg、0.2ミリモル)、tBuOK(340mg、3ミリモル)、およびキサントホス(Xantphos)(120mg、0.2ミリモル)を加えた。結果として生じた混合物をN2(3X)でパージし、100°Cで一晩中加熱した。その混合物を室温まで冷やし、溶媒を取り除き、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、PE中0〜30%のEA)によって精製することで、黄色の固形物として、tert−ブチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−5−(5−フェノキシピリジン−2−イルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)フェニル(メチル)カルバメート(54)(1.26g、93%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)681.1。
0°CのDCM(30mL)中のtert−ブチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−5−(5−フェノキシピリジン−2−イルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)フェニル(メチル)カルバメート)(54)(1.26g、1.85ミリモル)の溶液に、トリホスゲン(192mg、0.65ミリモル)とTEA(374mg、3.7ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で一晩中撹拌した。その反応は水性のNaHCO3(飽和)でクエンチし、DCM(20mLx3)で抽出した。組み合わせた有機質層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、PE中の0〜30%のEA)によって精製することで、黄色の固形物としてtert−ブチルに3−(6−(ジベンジルアミノ)−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(55)(668mg、51%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)706.0。
MeOH(30mL)中のtert−ブチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(55)(668mg、0.95ミリモル)とPd(OH)2/C(668mg、20%の湿気)の懸濁液に、少量の濃縮したHClを加えた。結果として生じた反応混合物を1時間H2雰囲気下で50°Cまで加熱した。室温まで冷ました後で、その混合物をセライトのパッドを通してろ過した。濾液は真空で濃縮して、黄色の固形物としてtert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(56)(363mg、73%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)527.0。
実施例1の工程4と5で概説された類似する2工程の手順に従って、tert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(56)(180mg、0.34ミリモル)、および(E)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)but−2−エン酸HCl塩(204mg、0.64ミリモル)から、白色固形物として、(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(58)(55mg、31%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)563.0。1H NMR(400MHz、DMSO)δ10.17(s、1H)、8.42(d、J=3.0Hz、1H)、8.13(s、1H)、7.93(d、J=9.0Hz、1H)、7.75−7.59(m、4H)、7.49−7.38(m、3H)、7.25−7.13(m、3H)、6.85−6.70(m、3H)、6.39−6.18(m、1H)、3.90(s、2H)、3.30(s、3H)、2.71(s、3H)、2.18−2.05(m、1H)、0.93(s、2H)、0.73(s、2H).
実施例33:(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−(ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(63)の合成
実施例29の工程1に記載されるような同じやり方で、4−ブロモフェノール(5g、28.9ミリモル)と2−フルオロピリジン(2.94g、30.3ミリモル)から、油として2−(4−ブロモフェノキシ)ピリジン(59)(1.2g、17%)を得た。
実施例29の工程2に記載されるような同じやり方で、2−(4−ブロモフェノキシ)ピリジン(59)(1.2g、4.8ミリモル)から、油として4−(ピリジン−2−イルオキシ)フェニルボロン酸(60)(1g、100%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)216.8。
実施例29の工程3に記載されるような同じやり方で、tert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(583mg、1.63ミリモル)と4−(ピリジン−2−イルオキシ)フェニルボロン酸(60)(880mg、4.09ミリモル)から、黄色の固形物としてtert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−(ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(61)(404mg、47%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)526.2。
実施例1の工程4と5で概説された類似する2工程の手順に従って、tert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−(ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−7H−プリン−9(8H)−yl)フェニル(メチル)カルバメート(61)(149mg、0.282ミリモル)と(E)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)but−2−エン酸HCl塩(180mg、0.564ミリモル)から、(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(4−(ピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(63)(47mg、30%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)562.9。1H NMR(400MHz、DMSO)δ8.21(s、1H)、8.13(s、1H)、7.89(t、J=7.8Hz、1H)と7.67(d、J=8.0Hz、1H)、7.64−7.57(m、2H)、7.54(d、J=8.5Hz、2H)、7.33(t、J=9.6Hz、3H)、7.22−7.04(m、2H)、6.75−6.59(m、1H)、6.00(d、J=14.1Hz、1H)、5.86(br、2H)、3.28(s、3H)、3.12(d、J=6.3Hz、2H)、2.12(s、3H)、1.60(s、1H)、0.32(d、J=6.2Hz、2H)、0.21(s、2H)。
実施例34:(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリミジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(69)の合成
実施例29の工程1に記載されるような同じやり方で、2−クロロピリミジン−5−オール(980mg、7.5ミリモル)およびフェニルボロン酸(1.37g、11.25ミリモル)から、2−クロロ−5−フェノキシピリミジン(64)(648mg、42%)を合成した。LC−MS(ESI):m/z(M/M+2)207.03/209.01。
実施例32の工程2に記載されるような同じやり方で、tert−ブチル3−(5−アミノ−6−(ジベンジルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)フェニル(メチル)カルバメート(681mg、1.33ミリモル)と2−クロロ−5−フェノキシピリミジン(64)(330mg、1.6ミリモル)から、tert−ブチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−5−(5−フェノキシピリミジン−2−イルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)フェニル(メチル)カルバメート(65)(708mg、78%)を合成した。LC−MS(ESI):m/z(M+1)681.24。
実施例32の工程3に記載されるような同じやり方で、tert−ブチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−5−(5−フェノキシピリミジン−2−イルアミノ)ピリミジン−4−イルアミノ)フェニル(メチル)カルバメート(65)(708mg、1.04ミリモル)から、tert−ブチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリミジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(66)(750mg、定量。収率)を合成した。LC−MS(ESI):m/z(M+1)707.0。
MeCN/H2O(10mL/2.5mL)中のtert−ブチル3−(6−(ジベンジルアミノ)−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリミジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(66)(700mg、1ミリモル)の溶液に、CAN(2.2g、4ミリモル)を加えた。結果として生じる混合物を水でクエンチし、EA(30mLx3)で抽出する前に、4時間に0°Cで撹拌した。組み合わせた有機質層をNa2SO4で乾燥した。溶媒を真空下で取り除き、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、PE中0〜50%のEA)によって精製することによって、黄色の固形物としてtert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリミジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(67)(330mg、63%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)527.01。
酸処理の2工程手順とその後の標準条件下のアミドカップリングによって、tert−ブチル3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリミジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル(メチル)カルバメート(67)(80mg、0.19ミリモル)と(E)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)but−2−エン酸HCl塩(72mg、0.22ミリモル)から、白色固形物として(E)−N−(3−(6−アミノ−8−オキソ−7−(5−フェノキシピリミジン−2−イル)−7H−プリン−9(8H)−イル)フェニル)−4−(シクロプロピル(メチル)アミノ)−N−メチルブト−2−エナミド(69)(31mg、29%)を得た。LC−MS(ESI):m/z(M+1)563.88。1H NMR(400MHz、DMSO)δ8.76(s、2H)、8.36(s、1H)、7.61−7.57(m、3H)、7.47−7.45(m、2H)、7.37−7.35(m、1H)、7.25−7.23(m、3H)、6.75−6.56(m、3H)、6.03−5.94(m、1H)、3.27(s、3H)、3.11−3.09(m、2H)、2.11(s、3H)、1.62−1.54(m、1H)、0.33−0.31(m、2H)、0.21−0.19(m、2H)。
実施例35:4−(6−アミノ−9−(3−(N−メチルブト−2−インアミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−プロピルピリジン−2−イル)ベンズアミド(70)の合成
実施例1に記載されるような同じやり方で、2−アミノ−4−プロピルピリジンと2−ブチン酸(butynoic acid)を用いて、4−(6−アミノ−9−(3−(N−メチルブト−2−インアミド)フェニル)−8−オキソ−8,9−ジヒドロ−7H−プリン−7−イル)−N−(4−プロピルピリジン−2−イル)ベンズアミド(70)を調製した。MS found for C31H28N8O3 as (M+H)+ 561.6, (M−H)− 559.4.UV:λ=265、284nm.
実施例36a:Btkのインビトロの阻害活性(方法A)
本明細書に開示された化合物のBtk IC50は、以下に記載されるBCR誘導カルシウム流入の細胞キナーゼアッセイと細胞機能分析の両方で測定される。
Btkキナーゼ活性は、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)方法を用いて判定される。測定は96ウェルのアッセイプレートを用いて50μLの反応容積で行われる。キナーゼ酵素、阻害剤、ATP(キナーゼについてkmで)、および1μMのペプチド基質(ビオチン−AVLESEEELYSSARQ−NH2)を1時間、pH7.4の20mMのトリス、50mMのNaCl、MgCl2(キナーゼに依存して5−25mM)、MnCl2(0−10mM)、1mMのDTT、0.1mMのEDTA、0.01%のウシ血清アルブミン、0.005%のツイーン−20、および10%のDMSOからなる反応緩衝液中でインキュベートする。反応を、25μLの1xLance緩衝液(Perkin−Elmer)中のEDTAの1.2の等量(2価カチオンに対して)を加えることによってクエンチする。1xLance緩衝液中のストレプトアビジン−APC(Perkin−Elmer)とEu標識化p−Tyr100抗体(Perkin−Elmer)を25μL用量で加えて、それぞれ100nMと25nMの最終濃度にして、混合物を1時間インキュベートする。TR−FRETシグナルを、330nmの励起波長(λEx)と615nmおよび665nmの検出波長(λEm)のマルチモードプレートリーダー上で測定する。615nmでの蛍光に対する665nmでの蛍光の比率によって活性を判定する。各化合物について、化合物の様々な濃度で酵素活性を測定する。6回の反復実験で阻害剤の不在下において負の対照反応を行い、2つの非酵素対照を用いてベースラインの蛍光レベルを判定する。プログラムBatchKi(Kuzmic et al. (2000), Anal. Biochem. 286:45−50)を用いて、阻害定数Ki(app)を得た。IC50は方程式に従って得られる:
IC50={Ki(app)/(1+[ATP]/Km ATP)}+[E]total/2;
すべてのキナーゼについて、[ATP]=Km ATP,[Btk]total=0.5nM,および、[Lck]total=6nM
実施例36b:Btkのインビトロの阻害活性(方法B)
キナーゼ活性は電気泳動移動度シフト解析を用いてインビトロで測定される。キナーゼ反応は384のウェルプレートにおいて25μLの全容積で集められる。反応物は以下を含む:100mMのHEPES、pH7.5、5mMのMgCl2、1mMのDTT、0.1%のウシ血清アルブミン、0.01%のトリトンX−100、および1%のDMSOからなる反応緩衝液中の、BTK酵素(バキュロウィルスSf21昆虫細胞系から精製された、1nM、N末端His6標識した、組み換え型の、完全長のヒトBTK)、阻害剤、ATP(16μM、キナーゼについて明白なkm)、蛍光標識したペプチド基質(1μM、FAM−GEEPLYWSFPAKKK−NH2)。反応を1時間インキュベートし、45μLの終了緩衝液(termination buffer)(100mMのHEPES、pH7.5、0.01%のトリトンX−100、30mMのEDTA)を加えてクエンチする。終了させた反応を、12チャネルのLabChip(登録商標)3000微少流体検出器具(Caliper Life Sciences)を用いて分析する。ペプチドの酵素リン酸化により正味電荷が変化し、基質ペプチドから生成物を電気泳動分離させることができる。基質と生成物のペプチドが分離するため、蛍光の2つのピークが観察される。基質と生成物のピークの相対的な蛍光強度の変化は測定されたパラメーターであり、酵素活性を反映する。阻害剤のある状態では、生成物と基質の間の比率は変化する:生成物のシグナルは減少し、その一方で基質のシグナルは増加する。各サンプルの活性は積対和の比(PSR):P/(S+P)として測定され、Pはが生成物ペプチドのピーク高さであり、Sは基質ペプチドのピーク高さである。各化合物について、酵素活性は様々な濃度(3x希釈度間隔によって配された化合物の12の濃度)で測定される。負の対照サンプル(阻害剤のない状態での0%−阻害)と正の対照サンプル(20mMのEDTAがある状態での100%−阻害)を4回の反復実験で集めて、これを用いて各濃度で各阻害剤に関して%阻害値を計算する。阻害パーセント(Pinh)は以下の方程式を用いて測定される:
Pinh=(PSR0%−PSRinh)/(PSR0%−PSR100%)*100,このとき、PSRinhは阻害剤のある状態での積和値比であり、PSR0%は阻害剤のない状態での平均積和非であり、PSR100%は100%−阻害対照サンプル中の平均積和比である。
阻害剤のIC50値は、XLfit 4ソフトウェアを用いて阻害曲線(Pinh対阻害剤濃度)の4つのパラメーターのS字状の用量反応モデルフィッティングによって測定される。
実施例36C:Btkのインビトロの阻害活性(方法C)
ヒトBtkキナーゼ(Genbank accession# NP_000052)を、N末端の6X−Hisタグを含む完全長の構築物として、昆虫細胞が精製した。Btkキナーゼ活性を、放射測定フィルタ結合分析を用いて測定した。測定は、低μL反応容積384−ウェルアッセイプレートで行う。BTK酵素(反応中で8nMの最終)、阻害剤(要求された用量)、および0.2mg/mLのペプチド基質(Poly−Glu−Tyr,4:1比率)を、20mMのHepes(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのEGTA、0.02%のBrij35、0.02mg/mlのBSA、0.1mMのNa3VO4、2mMのDTT、1%のDMSOからなる反応緩衝液中で15分間インキュベートし、その後、1μMのATPを加えてアッセイを始めた。キナーゼ反応を室温で120分間行う。P81カチオン交換紙(Whatman)上に反応サンプルの染みを付けることにより反応を止めた。未結合のリン酸塩を、0.75%リン酸中でフィルタを徹底的に洗浄することで取り除いた。不活性の酵素(飽和しているEDTAの追加によって)を含む対照反応に由来するバックグラウンドを除いた後、試験された化合物の各用量に関するキナーゼ活性データは、ビヒクル(ジメチルスルホキシド)反応と比較した試験サンプル中の残りのキナーゼ活性のパーセントとして表現された。IC50値と曲線適合はPrism(GraphPad Software)を用いて得られた。
Btk阻害の程度は、実施例36a、36b、および36cで概説された方法の1つを用いて測定された。
実施例37:医薬組成物
以下に記載される組成物は、例示目的のために式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物とともに示されている。
実施例37a:非経口組成物
注入による投与に適した非経口の医薬組成物を調製するために、式I、式(IA)、又は式(II)の化合物の100mgの水溶性の塩をDMSO中に溶解させ、その後10mLの0.9%の生理食塩水と混合する。混合物を、注入による投与に適した投与量単位の形態で組み込む。
実施例37b:経口組成物
経口送達用の医薬組成物を調製するために、式(I)、式(IA)、又は式(II)の100mgの化合物を、750mgのデンプンと混合した。混合物を、経口投与に適する、例えば硬ゼラチンカプセルのような経口投与量単位で組み込む。
実施例37C:舌下(ハードロゼンジ)組成物
ハードロゼンジのような頬側送達用の医薬品組成物を調製するために、式(I)、式(IA)、又は式(II)の100mgの化合物を、1.6mLのライト・コーンシロップ、2.4mLの蒸留水、および、0.42mLのミント抽出物と混合させた420mgの粉砂糖と混ぜ合わせる。混合物を、穏やかに混ぜ合わせ、口腔投与に適した錠剤を形成するために型に注ぐ。
実施例37d:吸入組成物
吸入送達用の医薬品組成物を調製するために、式(I)、式(IA)、又は式(II)の20mgの化合物を、50mgの無水クエン酸と100mLの0.9%塩化ナトリウム溶液と混合する。混合物を、吸入投与に適した、例えば噴霧器のような吸入送達ユニットに組み込む。
実施例37e:直腸ゲル組成物
直腸送達用の医薬組成物を調製するために、式(I)、式(IA)、又は式(II)の100mgの化合物を、2.5gのメチルセルロース(1500mPa)、100mgのメチルパラペン、5gのグリセリン、及び100mLの精製水と混合する。結果として生じたゲル混合物を、その後、直腸投与に適した、例えばシリンジのような直腸送達単位に組み込む。
実施例37F:局所ゲル組成物
医薬的な局所ゲル組成物を調製するために、式(I)、式(IA)、又は式(II)の100mgの化合物を、1.75gのヒドロキシプロピルセルロース、10mLのプロピレングリコール、10mLのイソプロピルミリステート、及び100mLの精製されたアルコールUSPと混合する。結果として生じるゲル混合物をその後、局所投与に適したチューブなどの容器に組み込む。
実施例2G:点眼溶液組成物
医薬的な点眼溶液組成物を調製するために、式(I)、式(IA)、又は式(II)の100mgの化合物を、100mLの精製水中の0.9gのNaClと混合し、0.2ミクロンのフィルタを用いてろ過する。結果生じた点眼溶液をその後、点眼投与に適した点眼容器のような点眼送達ユニットに組み込む。
実施例38:再発性B細胞リンパ腫を抱える患者における、式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物の安全性と最大耐用量の臨床試験
この研究の目的は、再発性B細胞リンパ腫を抱える患者における式(I)、式(IA)、又は式(II)の化合物の安全性と最大耐用量を測定することである。
(包含基準)
・18歳以上の男女。小児期にこの薬物を摂取した経験がないこと。
・40kg以上の体重
・小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ性白血病(SLL/CLL)とリンパ形質細胞性リンパ腫(ワルデンストローム・マクログロブリン血症(WM)を含む)を含む、WHOの分類による再発性表面免疫グロブリン陽性B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)。
・測定可能な疾患(少なくとも1つの次元で2cm以上の直径のNHLの2次元の疾患、少なくとも5000白血病細胞/mm(3)以上のCLL、および1000mg/dL以上の最小限のIgMレベルの免疫グロブリンMパラプロテインのWMの存在、および、リンパ形質細胞性細胞による骨髄の浸潤について)(Bullet)
・リンパ腫の処置で一度以上失敗に終わったことがあり、標準的な治療が有効ではない。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者は自己幹細胞移植に失敗したか、拒絶したか、あるいは不適格でなければならない。
・1以下の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)の活動状態
・経口カプセルを難なく呑み込めることができる
・書面によるインフォームドコンセントに署名を希望し、かつ署名することができる
(除外基準)
・CLL患者を除いて5回以上の以前の全身治療(維持用リツキシマブは数えない)。自家骨髄移植につながる救済療法/移植前処置は1つのレジメンであるとみなす。
・以前の同種骨髄移植
・試験薬投与の初日の4週前以内の免疫療法、化学療法、放射線療法、または実験的治療。
・試験薬投与の初日の4週前以内の大手術。
・リンパ腫による中枢神経系の合併症。
・試験薬投与の初日の4週前以内の活発な日和見感染または日和見感染の処置。
・吸収障害の病歴。
・実験室での異常事態:
・制度上の正常上限(ULN)の1.5倍を超えるクレアチニン;
・制度上の正常上限(ULN)の1.5倍を超える総ビリルビン(文書化されたジルベール症候群から上昇しない場合)
・制度上の正常上限(ULN)の2.5倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT0)
・75,000/microL未満の血小板数(患者がCLLと骨髄合併症を抱えていない限り。ただし、患者は輸血依存性ではない)
・1500/microL未満の好中球絶対数(ANC)(患者はCLLと骨髄合併症を抱えていない限り)
・8.0g/dL未満のヘモグロビン(Hgb)
・限定されないが、以下を含む制御の利かない疾患:進行中または活動的な感染症、徴候的な鬱血性心不全(ニューヨーク心臓協会III型またはIV型心不全)、不安定狭心症、心不整脈、および研究要件の遵守を制限する精神疾患。
・QTc間隔を延長させることが知られている、あるいは、処置開始の七日以内の多形性心室頻拍に関連付けられ得る、薬物のリスク因子またはこの薬物の使用
・QTc延長(QTc>=450ミリ秒と規定される)、あるいは第2度房室ブロック、第3度房室ブロック、または徐脈(50拍/分未満の心拍数)を含む他の有意なECG異常性。スクリーニング心電図(ECG)がQTc>=450ミリ秒である場合、ECGは集中した心臓病の評価について提出可能である。
・過去6か月以内の心筋梗塞、急性冠症候群(不安定狭心症を含む)、冠動脈形成、及び/又はステント留置の病歴。
・既知のヒト免疫不全ウィルス(HIV)感染症。
・B型肝炎sAgまたはC型肝炎陽性。
・他の医学的または精神的疾患、あるいは臓器機能不全で、調査者の意見によれば、患者の安定性を損なうか、あるいは研究薬剤の安全性の評価に干渉することになるもの。
・妊娠中の女性または授乳中の女性(出産の可能性のある女性患者は薬物投与の初日から14日間以内に陰性血清妊娠試験を受けなければならないか、あるいは、陽性の場合には、妊娠は超音波によって除外される)
・研究期間中に適切な避妊防具を使用したがらない出産の可能性のある女性または性的に活発な男性。
・皮膚の基底細胞または扁平上皮癌、インサイツの子宮頚部癌、または他のインサイツの癌腫を除いて、2年以内の癌の病歴
(研究設計)
・あらかじめ特定されたDLBCL ABC亜型リンパ腫の15人の患者がNCIで登録される。患者は、中断なく35日間、1日一回560mg(4×140mgのカプセル)で、一定量の式(I)、式(IA)、または式(II)の化合物を摂取する。それぞれのサイクルは35日である。各サイクル間に休止期間はない。
・連続的な投薬コホートとABC DLBCLコホートにおいて、疾患進行まで、または調査者がもはや処置が容認できないと考えるまで、35日間のサイクルは中断なく継続され得る。
(主要評価項目)
・再発性B細胞リンパ腫の患者における、式(I)、式(IA)、または式(II)の経口で投与された化合物の安全性と最大耐用量(MTD)を確立する。
・式(I)、式(IA)、または式(II)の経口で投与された化合物のPKを決定する。
(第2評価項目)
・腫瘍反応を評価する
本明細書に記載される実施例及び実施形態は例示的目的のために過ぎず、これを考慮した様々な修正又は変更が当業者に提案されるとともに、本出願の精神及び範囲に、並びに添付の請求項の範囲内に含まれるものであることを理解されたい。本明細書で引用されるすべての出版物、特許、および特許出願は、あらゆる目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる。