JP4165096B2 - ムコン酸ジエステルおよびその重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な液晶性化合物に関する。さらに詳しくは、−CH=CH−CH=CH−を有する液晶性化合物に関する。本発明は、この化合物またはこの化合物を含む液晶組成物から得られる重合体、この重合体から得られる光学異方性体、およびこの重合体を含有する液晶表示素子に関する。
【0002】
本明細書における用語「液晶性化合物」は、液晶相を有する化合物を意味するだけでなく、液晶相を有しないが液晶組成物に混合したときに、相転移温度に大きな影響を与えない化合物をも意味する。「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸とメタクリル酸の両方を示す総称である。「(メタ)アクリレート」はアクリレートとメタクリレートの両方を示す総称である。
【0003】
【従来の技術】
近年、偏光板、位相差板などの光学異方性体に重合性の液晶性化合物が利用されている。この化合物が液晶状態において光学異方性を示し、重合によりこの異方性が固定化されるためである。光学異方性体に必要な光学的特性は目的によって異なるので、目的にあった特性を有する化合物が必要である。この化合物は重合体にして成型することが一般的である。このような目的に使用される化合物は、前記の異方性に加えて重合体に関する特性も重要である。この特性は、重合速度、重合体の透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水度、融点、ガラス転移点、透明点、耐薬品性などである。
【0004】
アクリレートは重合反応性が高く、得られた重合体が高い透明性を有するので、このような目的に用いられる。例えば、特開平7−17910号公報、特開平8−3111号公報、および特開平9−316032号公報などに開示されている。しかし、これらのアクリレートにおいては、液晶性、その他の化合物との相溶性、および光学異方性などの特性が十分であるとは言い難い。また、それらの重合体が、透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水度、融点、ガラス転移点、透明点、および耐薬品性などにおいて、好適な値を持つとは限らない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、液晶相の上限温度が高く、相溶性に優れた化合物であって、優れた前記特性を有する重合体が得られる化合物を開発することが緊急の課題である。本発明は、この課題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、研究の結果、ムコン酸ジエステル誘導体によって上記の目的が達成されることを見いだした。本発明は下記の構成からなる
[1]式(1)で表されるムコン酸ジエステル。
式(1)において、R3は式(a)で表される基であり;R 2 は水素または炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキル中の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。式(a)において、R1は炭素数1〜20のアルキル、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF3、−OCF2H、−NCO、または−NCSであり、このアルキル中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素は、ハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく;A1、A2、A3、およびA4はそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環中の任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Z1、Z2およびZ3はそれぞれ独立して、単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH2)4−、−O(CH2)3−、−(CH2)3O−、−COO−、−OCO−、−(CF2)2−、−CH=CH−(CH2)2−、−(CH2)2−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−HC=CH−、−OCF2−、または−CF2O−であり;m、nおよびqは、それぞれ独立して0または1であるが、これらが同時に0であることはなく;−(CH2)p−中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく、pは0〜20の整数である。但し、A3およびA4が1,4−フェニレンであり、pが0であってZ3が単結合のときは、mおよびnが同時に0であることはない。
[2]式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンである、[1]に記載のムコン酸ジエステル。
[3]式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Z1、Z2およびZ3がそれぞれ独立して、単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、または−CF2O−である、[1]に記載のムコン酸ジエステル。
[4]式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Z1、Z2およびZ3が単結合である、[1]に記載のムコン酸ジエステル。
[5][1]〜[4]のいずれか1項に記載のムコン酸ジエステルを少なくとも1つ含有する液晶組成物。
[6]さらに光学活性化合物を含有する、[5]に記載の液晶組成物。
[7]式(2)で表される繰り返し単位および式(3)で表される繰り返し単位の片方または両方を有する重合体。
式(2)および式(3)において、R3は式(a)で表される基であり;R 2 は水素または炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキル中の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。式(a)において、R1は炭素数1〜20のアルキル、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF3、−OCF2H、−NCO、または−NCSであり、このアルキル中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素は、ハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく;A1、A2、A3、およびA4はそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環中の任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Z1、Z2およびZ3はそれぞれ独立して、単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH2)4−、−O(CH2)3−、−(CH2)3O−、−COO−、−OCO−、−(CF2)2−、−CH=CH−(CH2)2−、−(CH2)2−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−HC=CH−、−OCF2−、または−CF2O−であり;m、nおよびqは、それぞれ独立して0または1であるが、これらが同時に0であることはなく;−(CH2)p−中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく、pは0〜20の整数である。但し、A3およびA4が1,4−フェニレンであり、pが0であってZ3が単結合のときは、mおよびnが同時に0であることはない。
[8]式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンである、[7]に記載の重合体。
[9]式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Z1、Z2およびZ3がそれぞれ独立して、単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、または−CF2O−である、[7]に記載の重合体。
[10]式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Z1、Z2およびZ3が単結合である、[7]に記載の重合体。
[11][5]に記載の液晶組成物から得られる重合体。
[12][11]に記載の重合体から水素添加反応によって得られる重合体。
[13][6]に記載の液晶組成物から得られる重合体。
[14][13]に記載の重合体から水素添加反応によって得られる重合体。
[15][7]〜[14]のいずれか1項に記載の重合体からなる光学異方性体。
[16][7]〜[14]のいずれか1項に記載の重合体を含有する液晶表示素子。
[17][15]に記載の光学異方性体を含有する液晶表示素子。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のムコン酸ジエステルは、式(1)で表される。以下の説明では、式(1)で表されるムコン酸ジエステルを化合物(1)で表記する。そして、式(2)で表される繰り返し単位を繰り返し単位(2)で表記し、式(3)で表される繰り返し単位を繰り返し単位(3)で表記する。なお、本明細書において、化学式中の特定の基を示すのに用いる「任意の」は、その基の位置だけでなく、個数についても任意であることを示す。
式(1)において、R3は下記の式(a)で表される基であり、R 2 は水素または炭素数1〜10のアルキルである。このアルキル中の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。好ましいR2は、式(a)で表される基、水素、−CH3、−CH2CH3、−CF3、−CF2CF3、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。特に好ましいR2は、水素、−CH3または−CH2CH3である。
【0008】
式(a)において、R1は炭素数1〜20のアルキル、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF3、−OCF2H、−NCO、または−NCSである。このアルキル中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよいが、隣接する2つの−CH2−が−O−O−、−O−S−または−S−S−のように置き換えられることはない。このアルキル中の任意の水素は、ハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよい。
【0009】
好ましいR1は、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF3、−OCF2H、炭素数1〜10の直鎖のアルキル、炭素数1〜10の直鎖のアルコキシ、および炭素数2〜10の直鎖のアルコキシアルキルである。特に好ましいR1は、水素、−F、−Cl、−CN、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF3、−OCF2H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、プロポキシプロピル、2−フルオロエチル、および3−フルオロプロピルなどである。
【0010】
式(a)中のA1〜A4は、それぞれ独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルである。これらの環中の任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよいが、隣接する2つの−CH2−が、−O−O−のように置き換えられない方が好ましい。そしてこれらの環の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。ハロゲンはフッ素または塩素であり、フッ素が好ましい。
【0011】
好ましいA1〜A4は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2、3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトロヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルなどである。1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルはシス型よりもトランス型の方が好ましい。
【0012】
低温側に液晶温度範囲を有する化合物は、A1〜A4の少なくとも1つが、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、または1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであるような化合物である。大きな光学異方性を有する化合物は、A1〜A4の少なくとも1つが、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトロヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであるような化合物である。小さな光学異方性を有する化合物は、A1〜A4の少なくとも1つが、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロへキセニレン、または1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであるような化合物である。
【0013】
式(a)中のZ1〜Z3は、それぞれ独立して単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH2)4−、−O(CH2)3−、−(CH2)3O−、−COO−、−OCO−、−(CF2)2−、−CH=CH−(CH2)2−、−(CH2)2−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−HC=CH−、−OCF2−、または−CF2O−である。
【0014】
好ましいZ1〜Z3は、単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−(CH2)4−、−CF=CF−、−OCF2−、−CF2O−などである。小さな粘性を有する化合物としては、Z1、Z2またはZ3が、単結合、−(CH2)2−、−CH=CH−、−(CH2)4−、−OCF2−、または−CF2O−である化合物が好ましい。これらの結合基において、二重結合はシス型よりもトランス型の方が好ましい。
【0015】
m、nおよびqは、それぞれ独立して0または1であるが、これらのすべてが同時に0であることはない。−(CH2)p−中のpは0〜20の整数である。そして任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよい。しかし、隣接する2つの−CH2−は、−O−O−、−O−S−または−S−S−のように置き換えられない方が好ましい。好ましい−(CH2)p−は、炭素数1〜15のポリメチレン、−O(CH2)r−、または−(CH2)rO−であり、rは2〜12の整数である。
【0016】
但し、化合物(1)には、A3およびA4が1,4−フェニレンであり、pが0であってZ3が単結合のとき、mおよびnが同時に0である化合物は含まれない。
【0017】
化合物(1)は環状の基を2〜8個有し、重合性の−CH=CH−CH=CH−を有する。この化合物は、通常使用される条件下において、物理的および化学的に極めて安定であり、他の化合物との相溶性がよいことを特徴とする。化合物(1)を構成する環、結合基または側鎖を適当に選ぶことによって、誘電率異方性、光学異方性、粘性などの物性値を調整することができる。また、化合物(1)の構造を適切に選択することによって、これから得られる重合体の透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水度、融点、ガラス転移点、透明点、耐薬品性などを最適化することができる。
【0018】
化合物(1)の好ましい具体例は、式(1−1)〜式(1−54)である。これらの式における記号R1、R2、Z1、Z2、Z3、およびpの意味は、式(1)および式(a)におけるそれらと同じである。下記の式は、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンを示す。tは0〜4である。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
上記の中で好ましい化合物は、(1−1)、(1−3)、(1−10)、(1−14)、(1−20)、(1−21)、(1−22)、(1−24)、(1−32)、(1−34)、(1−41)、(1−42)、(1−43)、(1−44)、(1−45)、および(1−46)である。これらの更に具体的な例を次に示す。記号の意味は前記の通りである。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
化合物(1)の物性は次のとおりである。2環の化合物および3環の化合物は低い粘性を有する。3環以上の化合物は高い透明点(液晶相−等方性液体の相転移温度)を有する。化合物(1)は、3個以上の環を有していても、これを溶剤に溶解させた溶液の表面張力が小さいので、組成物の調製、基板上への塗布および薄膜化において有利である。少なくとも2つのシクロヘキサン環を有する化合物は、高い透明点、小さな光学異方性および低い粘性を有する。少なくとも1つのベンゼン環を有する化合物は、比較的大きな光学異方性と大きな液晶配向秩序度(オーダー・パラメーター)を有する。少なくとも2つのベンゼン環を有する化合物は、特に大きな光学異方性、広い液晶相の温度範囲および高い化学的安定性を有する。
【0028】
R1が、1,4−フェニレンに結合していて、−F、−CN、−CF3、−OCF3、または−OCF2Hであり、R1の結合位置に対してオルト位の片方または両方がフッ素である化合物は、化学的に安定であり、誘電率異方性が特に大きい。R1がアルキルまたはアルコキシであり、A1〜A4の少なくとも1つが2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンである化合物は、化学的に安定であり、誘電率異方性は負である。Z1〜Z3の全てが単結合である化合物は、特に高い透明点を有する。結合基として二重結合を有する化合物は、広い液晶相の温度範囲を有する。三重結合を有する化合物は、特に大きな光学異方性を有する。
【0029】
これらのことから、環、側鎖および結合基を適当に選択することにより、目的に応じた物性を有する化合物を得ることができる。化合物(1)は、同位体原子を含むものであっても、同様の特性を示すので好ましく用いることができる。化合物(1)は、有機合成化学の手法を組み合わせることによって合成することができる。出発物質に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、ホーベン−ワイル(Houben-Wyle, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wily & Sons, Inc.)、オーガニック リアクションズ(Organic Reactions, John Wily & Sons Inc.)、コンプリヘンシブ オーガニック シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載されている。
【0030】
化合物(1)は、下記の反応経路によってカテコールから製造される。
【0031】
アルコール(R2OH)の存在下でカテコール(3)を酸化開裂して、シス,シス−ムコン酸モノエステル(4)を製造する。DCC等の脱水縮合剤を用いて、アルコールまたはフェノール誘導体である化合物(5)とモノエステル(4)とを反応させ、シス−シス体の化合物(1)を製造する。ヨウ素の存在下で光を照射して異性化を行い、トランス−トランス体の化合物(1)を製造する。シス,シス−ムコン酸モノエステル(4)を前記の条件で異性化して、トランス,トランス−ムコン酸モノエステルとしたのちに、化合物(5)と脱水縮合させてトランス−トランス体の化合物(1)を製造することもできる。
【0032】
本発明の液晶組成物は、化合物(1)を少なくとも1つ含有し、液晶相を有する。この組成物は、化合物(1)の少なくとも2つを含有し、化合物(1)以外の成分を含有しない液晶組成物、または少なくとも1つの化合物(1)と化合物(1)以外の成分とを含有する液晶組成物である。化合物(1)以外の成分としては、重合性でない液晶性化合物と重合性の化合物を挙げることができる。以下の説明では、「重合性でない液晶性化合物」を「非重合性液晶」で表記し、「化合物(1)以外の重合性化合物」を「その他の重合性化合物」で表記する。化合物(1)と非重合性液晶とを含む液晶組成物は、本発明の重合体を得るための原料として用いることができるし、液晶表示素子を製造するときに封入される組成物として用いることもできる。このときに用いられる非重合性液晶の例は、液晶化合物データベースLiqCryst(LCI Publisher GmbH (Hambrug, Germany))などに記載されている液晶性化合物である。この液晶組成物は、更に光学活性化合物や二色性色素などの添加物を含有してもよい。光学活性化合物については、後で説明する。
【0033】
本発明の重合体の1つは、化合物(1)の1つを重合させて得られる単独重合体である。本発明の重合体のもう1つは、前記の液晶組成物のうち、化合物(1)の少なくとも2つを含有し、その他の重合性化合物を含有しない液晶組成物を重合させて得られる共重合体である。本発明の重合体の更にもう1つは、化合物(1)とその他の重合性化合物とを含有する液晶組成物を重合させて得られる共重合体である。これらの単独重合体および共重合体のどれも、繰り返し単位(2)を有する。そして、これらの重合体の水素添加反応により、繰り返し単位(3)を有する単独重合体または共重合体を得ることができる。繰り返し単位(2)および(3)中のR3およびR2は、式(1)におけるそれらと同じ意味を示す。以下の説明では、繰り返し単位(2)を有する単独重合体または共重合体を重合体(2)で表記し、繰り返し単位(3)を有する単独重合体または共重合体を、重合体(3)で表記することがある。
【0034】
本発明では、重合体(2)と重合体(3)を混合して用いることができる。場合によっては、部分的な水素添加反応によって得られる、繰り返し単位(2)と繰り返し単位(3)とを有する単独重合体または共重合体を、この混合物の代わりに用いることもできる。
【0035】
化合物(1)と共重合可能なその他の重合性化合物の選択条件は、化合物(1)との共重合によって得られる共重合体に、皮膜形成性と機械的強度を付与することができることのみであり、他に制限はない。その他の重合性化合物は、液晶性を示さない重合性化合物と、重合性官能基を有する液晶性化合物とに分けることができる。以下の説明では、その他の重合性化合物であって、液晶性を示さない重合性化合物を非液晶性モノマーと表記し、重合性官能基を有する液晶性化合物を他の液晶性モノマーと表記する。非液晶性モノマーを本発明の液晶組成物の成分として用いるときには、組成物中に占める非液晶性モノマーの割合を、組成物が液晶相を示す範囲内に制限しなければならない。本発明の液晶組成物に用いられる成分は、同位体原子を含む化合物であってもよい。そのような成分を含む組成物を用いても、得られる特性に有意差が認められるようなことはない。
【0036】
非液晶性モノマーは、ソルビン酸誘導体、ビニル誘導体、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、フマル酸誘導体、イタコン酸誘導体などである。好ましいソルビン酸誘導体は、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸リチウム、ソルビン酸1−ナフチルメチルアンモニウム、ソルビン酸ベンジルアンモニウム、ソルビン酸ドデシルアンモニウム、ソルビン酸オクタデシルアンモニウム、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸プロピル、ソルビン酸イソプロピル、ソルビン酸ブチル、ソルビン酸t−ブチル、ソルビン酸ヘキシル、ソルビン酸オクチル、ソルビン酸オクタデシル、ソルビン酸シクロペンチル、ソルビン酸シクロヘキシル、ソルビン酸ビニル、ソルビン酸アリル、ソルビン酸プロパギルなどである。
【0037】
好ましいビニル誘導体は、塩化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2,2−ジメチルブタン酸ビニル、2,2−ジメチルペンタン酸ビニル、2−メチル−2−ブタン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、2−エチル−2−メチルブタン酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、p−t−ブチル安息香酸ビニル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ビニル、安息香酸ビニル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルモノビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールメチルビニルエーテル、α、β−ビニルナフタレン、メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトンなどである。好ましいスチレン誘導体は、スチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、α−メチルスチレンなどである。
【0038】
好ましい(メタ)アクリル酸誘導体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールEO付加トリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ビスフェノールA EO付加ジアクリレート、ビスフェノールAグリジジルジアクリレート(商品名:大阪有機化学株式会社製 ビスコート700)、ポリエチレングリコールジアクリレートジメチルイタコネートなどである。
【0039】
好ましいイタコン酸誘導体は、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジイソプロピルイタコネートなどである。好ましいフマル酸誘導体は、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシルなどである。この他、ブタジエンやイソプレンなどを用いることもできる。なお、本発明に用いる非液晶性モノマーは、上記の例によって制限されない。
【0040】
液晶相の温度範囲を制御する目的で、他の液晶性モノマーを用いてもよい。他の液晶性モノマーとしては、アクリル酸誘導体およびフマル酸誘導体が特に好ましい。このようなアクリル酸誘導体およびフマル酸誘導体として以下のものを示すことができる。
【0041】
化合物(1)の1つを重合させて得られる単独重合体、化合物(1)の少なくとも2つを重合性成分として含有する液晶組成物から得られる共重合体、および化合物(1)とその他の重合性化合物とを含有する液晶組成物から得られる共重合体のどれであっても、製造に際して非重合成液晶、光学活性化合物、および二色性色素などを加えてよい。光学活性化合物を添加した組成物は螺旋構造を示すので、これを重合することによって位相差板を製造できる。光学活性化合物は、螺旋構造を誘起できれば、重合性であっても非重合性であっても構わない。非重合性の光学活性化合物としては、(OPM−1)〜(OPM−12)が好適である。
これらの式中のMeは、メチルを示す。
【0042】
重合性の光学活性化合物としては、(OPM−13)〜(OPM−20)が好適である。
【0043】
化合物(1)には、二重結合の立体配置に由来する複数の幾何異性体が存在するが、これらの幾何異性体の間に重合性の差はない。即ち、重合体の原料としては、どの幾何異性体を用いてもよい。しかし、これらの幾何異性体のうちトランス−トランス体が、比較的高い融点または沸点を示すなど、化合物としての物性に差が認められる。従って、例えば液晶性化合物として用いるときなど、目的に応じてその立体配置を選択することができる。また、シス−シス体とトランス−トランス体を混合して用いることも可能である。
【0044】
本発明の重合体を得るには、種々の重合反応形式を用いることができる。利用できる重合反応形式は、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、および配位重合法などである。共重合体における、各重合性化合物に由来する繰り返し単位の配列は、ランダム、ブロック、交互、およびグラフトなどのいずれであってもよい。重合体を製造するには、用途によって重合法を選択することが好ましい。例えば、位相差フィルムや偏光素子などの光学異方性膜を製造するには、液晶相を保持した状態で重合させるので、紫外線または電子線等を照射する方法が好ましい。
【0045】
熱重合や光重合によって得られた重合体は、各種の保護膜、液晶配向膜、視野角補償膜などに利用できる。偏光させた紫外線は重合性分子を偏光の方向に揃えて重合させるので、ラビングを必要としない配向膜などへの応用も可能である。配向薄膜はスピンコート法、ラングミュアー・ブロージェット法または印刷法などを用いて形成できる。薄膜の膜厚は、液晶の配向制御に役立たせるためには、1〜100nmが好ましい。
【0046】
光重合を行う場合、反応時間を短縮するために開始剤を使用できる。光によるラジカル重合の好ましい開始剤は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:ダロキュアー1173)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュアー184)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:イルガキュアー651)、イルガキュアー500、イルガキュアー2959、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー1300、イルガキュアー819、イルガキュアー1700、イルガキュアー1800、イルガキュアー1850、ダロキュアー4265、イルガキュアー784、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物などである。
【0047】
熱によるラジカル重合の好ましい開始剤は、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキシド(DTBPO)、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2´−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などである。重合は一般的には、0〜150℃の反応温度で、1〜100時間で行う。アニオン重合、カチオン重合、および配位重合に用いる好ましい開始剤は、n−C4H9Liやt−C4H9Li−R3Alなどのアルカリ金属アルキル、アルミニウム化合物、および遷移金属化合物などである。
【0048】
重合体を製造する際には溶剤を添加してもよい。好ましい溶剤は、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびこれらの混合溶剤である。配向膜、反射防止膜、視野角補償膜などの製造を光重合によって行う場合には、組成物の溶液を基板上にスピンコート法で塗布し、溶剤を除去したのち光を照射して重合させてもよい。なお、重合時の溶剤の使用割合を限定することにはあまり意味がない。重合体の用途によって必要とされる重合体濃度が異なるし、この濃度は重合後の希釈によって調節することもできるからである。重合時の溶剤の使用割合は、重合効率、溶剤コスト、エネルギーコスト等の経済的観点を考慮して、個々のケースごとに決定されればよい。
【0049】
単離された重合体は、溶剤に溶かして薄膜に成形する方法などによって、種々の用途に利用できる。好ましい溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、1,4−ジオキサン、ビス(メトキシエチル)エーテル、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸エチル、ヘキサフルオロ−2−プロパノールなどである。しかし、溶剤はこれらに制限されることはなく、アセトン、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、または塩化メチレンなど一般的な有機溶剤との混合物であってもよい。用途によっては、本発明の重合体の少なくとも2つを混合して用いることができるし、積層させて用いることもできる。積層させて用いる場合には、重合体を単離させず、光重合によって直接薄膜を形成させてもよい。
【0050】
塗布に際し均一な膜厚を得る方法としては、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコード法、デップコート法、スプレーコート法またはメニスカスコート法等を挙げることができる。光学異方性体の厚さは、必要とする位相差値や光学異方性体の複屈折率により一様でないが、好ましくは0.05〜50μm、より好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μm程度である。光学異方性体は、ヘイズ値が1.5%以下であり、透過率が80%以上であることが好ましい。ヘイズ値が1.0%以下であり、透過率が85%以上の光学異方性体がより好ましい。この透過率は、可視光領域でこれらの条件を満たすことが好ましい。
【0051】
繰り返し単位(2)および繰り返し単位(3)の片方または両方を有する重合体は、光学的異方性を有するので、単独で位相差フィルムに使用できる。この重合体を他の位相差フィルムと組み合わせることにより、偏光板、円偏光板、楕円偏光板、反射防止膜、色補償板、視野角補償板などに利用できる。また、化合物(1)は、強誘電性液晶または反強誘電性液晶と混合して使用することで、高分子安定化された強誘電性液晶または反強誘電性液晶表示素子を形成することができる。表示素子自体の具体的な構築方法は、文献(J. of Photopoly. Sci. Technol., 2000, 13(2), 295-300等)に記載されている。
【0052】
重合体(2)から水素添加反応により得られる重合体(3)は、重合体(2)より小さな屈折率を示す。水素添加反応は、触媒および水素の存在下で実施することができる。触媒としては、ラネーニッケル、Pd/炭素、酸化白金等が好適である。ナトリウム・ナフタレニド等の溶融アルカリ金属を使用して還元しても良い。また、重合体(2)は粘調な液体または固体であるので、水素添加反応に際して溶剤を用いることが望ましい。重合体(2)を溶解できれば、どのような溶剤でも使用できる。トルエン、ベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、酢酸エチル、およびシクロヘキサン等が好適である。加圧することにより、水素添加反応の反応時間を短縮することも可能である。その場合、10気圧以下が好ましい。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されない。化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルなどで確認した。核磁気共鳴スペクトルにおいて、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、mはマルチプレット、Jは結合定数(Hz)を示す。各物性データは、下記の方法により測定した。
相転移温度:DSCおよび偏光顕微鏡を用いて観察した。単位は℃であり、Cは結晶を、Nemはネマチック相を、Iは等方性液体相を、かっこ内はモノトロピックの液晶相を示す。
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn):島津製作所製の島津LC−9A型ゲル浸透クロマトグラフ、昭和電工製のカラムShodex GF−7M
HQ(展開溶剤はDMFまたはTHF)を用いた。
鉛筆硬度:JIS規格「JIS−K−54008.4、鉛筆引っ掻き試験」により求めた。
【0054】
実施例1
<シス,シス−(1−24−1−1)の製造>
式(1−24−1)において、R1がプロピル、Z1およびZ2が単結合、Z3が−O−、pが6、そしてR2がメチルである化合物(1−24−1−1)のシス−シス体を、下記の経路により製造した。
【0055】
(第1段)
メタノール(40ml)、CuCl(7.9g、80mmol)、およびピリジン(200ml)の黄色の均一溶液に酸素を吹き込み、深緑色の均一溶液を得た。この溶液に、カテコール(3)(4.4g、40mmol)のピリジン(200ml)溶液を2時間で滴下した。反応後の混合物を1時間室温で撹拌した後、ピリジンを除去した。残留物を塩化メチレン(100ml)で抽出し、有機層を3M塩酸(100ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶剤を除去し、残留物をペンタンから再結晶して、モノメチルエステル(4−1)を黄色の針状結晶として得た。
収量5.1g(収率82%)
融点:81℃
【0056】
(第2段)
モノエステル(4−1)(500mg、3.2mmol)、DCC(726mg、3.5mmol)、DMAP(43mg、0.35mmol)、6−[4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニルオキシ]ヘキサノール(1.41g、3.5mmol)、塩化メチレン(60ml)の混合物を室温で30分撹拌した。析出した結晶をろ過により除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:300ml、溶出液:トルエン/酢酸エチル=20/1、Rf=0.57)で精製した。シス,シス−(1−24−1−1)を無色結晶として得た。
収量1.26g(収率73%)
【0057】
相転移点:C 118.1 Nem 147.0 I.
1H NMR(500MHz, CDCl3), δ(ppm):0.89(t, J=7.20, 3H), 0.93-1.08(m, 2H),
1.10-1.18(m, 4H), 1.29-1.55(m, 10H), 1.69-1.92(m, 15H), 2.37-2.43(m,1H),
3.78(s, 3H), 3.95(t, J=6.4, 2H), 4.17(t, J=6.6, 2H),
5.98-6.03(d, J=8.7, 2H), 6.83(d, J=8.7, 2H), 7.13(d, J=8.7, 2H),
7.88-7.95(m, 2H).
【0058】
実施例2
<トランス,トランス−(1−24−1−1)の製造>
化合物(1−24−1−1)のトランス−トランス体を、下記の経路により製造した。
【0059】
シス,シス−(1−24−1−1)(446mg、0.82mmol)、ヨウ素(90mg、0.35mmol)、クロロホルム(15ml)の混合物を7日間太陽光にあてた。溶剤を除去し、残留物をペンタン(5ml)で洗浄し、トランス,トランス−(1−24−1−1)を白色結晶として得た。
収量350mg(収率78%)
【0060】
相転移点:C (147.6 Nem) 153.0 I.
1H NMR(500MHz, CDCl3), δ(ppm):0.88(t, J=7.20, 3H), 0.94-1.03(m, 2H),
1.05-1.18(m, 4H), 1.23-1.54(m, 10H), 1.70-1.92(m, 15H),
2.31-2.43(m, 1H), 3.78(s, 3H), 3.95(t, J=6.4, 2H), 4.21(t, J=6.6, 2H),
6.11-6.26(m, 2H), 6.83(d, J=8.7, 2H), 7.12(d, J=8.7, 2H),
7.88-7.95(m、 2H).
【0061】
実施例3
実施例1および2と同様な方法で、シス,シス−(1−3−1−1)、トランス,トランス−(1−3−1−1)、シス,シス−(1−42−1−1)およびトランス,トランス−(1−42−1−1)を製造した。(1−3−1−1)は、式(1−3−1)においてR1がプロピル、Z2が単結合、Z3が−O−、pが6、そしてR2がメチルである化合物である。(1−42−1−1)は、式(1−42−1)においてR1がプロピル、Z1が単結合、Z3が−O−、pが6、そしてR2がメチルである化合物である。
【0062】
シス,シス−(1−3−1−1)の相転移点および1H NMRのデータを次に示す。
相転移点:C 82.5 I.
1H NMR(500MHz、 CDCl3), δ(ppm):0.93(t, J=7.3, 3H), 1.02-1.10(m, 2H),
1.21-1.79(m, 11H), 1.81-1.91(m, 8H), 2.40-2.46(m, 1H), 3.78(s, 3H),
3.96(t, J=6.4, 2H), 4.18(t, J=6.8, 2H), 5.98-6.04(m, 2H),
6.84(d, J=8.6, 2H), 7.13(d, J=8.6, 2H), 7.91-7.96(m, 2H).
【0063】
トランス,トランス−(1−3−1−1)の相転移点および1H NMRのデータを次に示す。
相転移点:C 120.8 I.
1H NMR(500MHz、 CDCl3), δ(ppm):0.93(t, J=7.3, 3H), 1.02-1.10(m, 2H),
1.21-1.79(m, 11H), 1.81-1.91(m, 8H), 2.40-2.46(m, 1H), 3.78(s, 3H),
3.96(t, J=6.4, 2H), 4.18(t, J=6.8, 2H), 6.19-6.26(m, 2H),
6.84(d, J=8.6, 2H), 7.13(d, J=8.6, 2H), 7.30-7.38(m, 2H).
【0064】
シス,シス−(1−42−1−1)の相転移点および1H NMRのデータを次に示す。
相転移点:C 113.5 I.
1H NMR(500MHz, CDCl3), δ(ppm):1.01(t, J=7.4, 3H), 1.48-1.54(m, 2H),
1.57-1.70(m, 2H), 1.72-1.79(m, 4H), 1.87-1.93(m, 2H),
2.67(t, J=7.4, 2H), 3.77(s, 3H), 4.12(t, J=6.5, 2H), 4.21(t, J=6.6, 2H),
5.98-6.04(m, 2H), 7.16-7.28(m, 2H), 7.31(d, J=8.1, 2H),
7.65(d, J=8.1, 2H), 7.72-7.74(m, 1H), 7.79-7.81(m, 2H),
7.88-7.98(m, 3H).
【0065】
トランス,トランス−(1−42−1−1)の相転移点および1H NMRのデータを次に示す。
相転移点:C 152.4 I.
1H NMR(500MHz, CDCl3), δ(ppm):1.03(t, J=7.4, 3H), 1.48-1.54(m, 2H),
1.57-1.70(m, 2H), 1.72-1.79(m, 4H), 1.87-1.93(m, 2H),
2.67(t, J=7.4, 2H), 3.79(s, 3H), 4.12(t, J=6.5, 2H), 4.22(t, J=6.6, 2H)、
6.20-6.24(m, 2H), 7.16-7.28(m, 2H), 7.31(d, J=8.1, 2H),
7.32-7.38(m, 2H), 7.65(d, J=8.1, 2H), 7.72-7.74(m, 1H),
7.79-7.81(m, 2H), 7.88-7.98(m, 1H).
【0066】
実施例4
実施例1〜3の方法に準じて、下記の化合物を製造する。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
実施例5
実施例1で製造したシス,シス−化合物(1−24−1−1)(10mg)と光重合開始剤(チバスペシャリティー・ケミカルズ製のイルガキュアー184;2mg)とを混合して重合性の組成物を調製した。配向処理した2枚のガラス基板を、配向方向が同一になるように張り合わせ、間隔5μmのセルを作製した。このセルに前記の組成物を160℃で注入した。この組成物は速やかにセルに注入することができた。この事実は、この組成物の粘性が低いことを示す。セルを120℃に冷却して偏光顕微鏡で観察したところ、ネマチック相のテクスチャーが認められた。波長365nmの4W紫外線ランプを用いて、紫外線を120℃で30分間照射した。セルを室温に戻し、生成した光学的異方性フィルムをガラス基板から剥がした。偏光顕微鏡で観察したところ、フイルムは良好なホモジニアス配向であった。物性値は次の通りであった。
重量平均分子量(Mw):18,000、
多分散度(Mw/Mn):1.89
融点:200℃以上
フイルムの鉛筆硬度:3H
【0074】
実施例6
シス,シス−(1−24−1−1)(50mg)、トランス,トランス−(1−24−1−1)(50mg)、OPM−15(50mg)、および光重合開始剤(チバスペシャリティー・ケミカルズ製のイルガキュアー184;4mg)を混合して重合性の組成物を調製した。配向処理したガラス基板と配向処理をしていないガラス板を張り合わせ、間隔が7μmであるセルを作製した。このセルに前記の組成物を160℃で注入した。この組成物は速やかにセルに注入することができた。この事実は、この組成物の粘性が低いことを示す。セルを70℃に冷却して偏光顕微鏡で観察したところ、均一なコレステリック相のテクスチャーが認められた。波長365nmの4W紫外線ランプを用いて、紫外線を70℃で30分間照射した。セルは波長領域450から600nmの領域において選択反射を示し、位相差板として使用できることを確認した。フィルムをガラス基板から剥がして、物性を測定した結果を次に示す。
重量平均分子量(Mw):13,000
多分散度(Mw/Mn):1.67
融点:160℃以上
フィルムの鉛筆硬度:3H
【0075】
実施例7
実施例1で製造したシス,シス−(1−24−1−1)(20%)、4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シアノベンゼン(19.2%)、4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シアノベンゼン(28.8%)、4−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)シアノベンゼン(20.0%)、および4'−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)シアノビフェニル(12.0%)の組成物(100mg)と光重合開始剤(チバスペシャリティー・ケミカルズ製のイルガキュアー184;4mg)とを混合した。2枚のガラス基板を張り合わせ、間隔が5μmであるセルを作製した。このセルに前記の混合物を40℃で注入した。セルに注入する際、この組成物は従来の組成物より速やかに注入できた。これはこの組成物の粘性が低いことを示す。セルを偏光顕微鏡で観察したところ、ネマチック相のテクスチャーが認められた。波長365nmの4W紫外線ランプを用いて、40℃で30分間紫外線を照射した。セルを室温に戻し、形成された光学的異方性フィルムをガラス基板から剥がした。偏光顕微鏡で観察したところ、フィルムは良好なホモジニアス配向であった。
【0076】
実施例8
実施例1で製造したシス,シス−化合物(1−24−1−1)(10mg)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN;0.1mg)、およびベンゼン(100μL)をガラスのアンプル入れた。これを−60℃に冷却して、真空ポンプで十分脱気した後に封管した。このアンプルを70℃の水浴で24時間加熱した。得られた反応混合物を、メタノール(15ml)から3回再沈殿して重合体(8.1mg)を得た。この重合体について物性を測定した結果は次の通りであった。
重量平均分子量(MW):32,000
多分散度(Mw/Mn):1.41
ガラス転移点(Tg):79℃
重合体(1.025mg)を純水(1ml)に浸して10日間50℃に保持した後、重合体を取り出し良く乾燥して、重量を測定したところ1.028mgであった。本重合体の吸水率が低いことがわかる。
実施例9
実施例8で製造した重合体(5mg)をNMP(N−メチルピロリドン、1.0ml)に溶解させ、十分に洗浄した2枚のガラス板に塗布し、スピンコート法により均一な厚さにした。これらのガラス板を150℃で3時間加熱し、溶剤を除去した。ラビング布を装着したローラーで、2枚のガラス板の表面を一方向にこすった。2枚のガラス板をラビング方向が同一になるように組み合わせ、間隔が10μmであるセルを作成した。このセルにメルク社製の液晶組成物ZLI−1132を室温で注入した。液晶セル中の液晶組成物は均一なホモジニアス配向を示した。
【0077】
【発明の効果】
本発明の化合物は、液晶相の上限温度が高く、他の化合物との優れた相溶性を有する。さらに、本発明の化合物は液晶状態において光学異方性を示し、その値は骨格を選択することで最適化できる。また、本発明の化合物を用いることで、目的の光学異方性を有する液晶組成物を調製できる。本発明の重合体は、機械的強度、塗布性、溶解度、融点、ガラス転移点、透明点などの特性に優れている。そして、この重合体から光学異方性体を製造できる。
Claims (17)
- 式(1)で表されるムコン酸ジエステル。
式(1)において、R3は式(a)で表される基であり;R 2 は水素または炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキル中の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。式(a)において、R1は炭素数1〜20のアルキル、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF3、−OCF2H、−NCO、または−NCSであり、このアルキル中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素は、ハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく;A1、A2、A3、およびA4はそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環中の任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Z1、Z2およびZ3はそれぞれ独立して、単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH2)4−、−O(CH2)3−、−(CH2)3O−、−COO−、−OCO−、−(CF2)2−、−CH=CH−(CH2)2−、−(CH2)2−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−HC=CH−、−OCF2−、または−CF2O−であり;m、nおよびqは、それぞれ独立して0または1であるが、これらが同時に0であることはなく;−(CH2)p−中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく、pは0〜20の整数である。但し、A3およびA4が1,4−フェニレンであり、pが0であってZ3が単結合のときは、mおよびnが同時に0であることはない。 - 式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンである、請求項1に記載のムコン酸ジエステル。
- 式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Z1、Z2およびZ3がそれぞれ独立して、単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、または−CF2O−である、請求項1に記載のムコン酸ジエステル。
- 式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Z1、Z2およびZ3が単結合である、請求項1に記載のムコン酸ジエステル。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のムコン酸ジエステルを少なくとも1つ含有する液晶組成物。
- さらに光学活性化合物を含有する、請求項5に記載の液晶組成物。
- 式(2)で表される繰り返し単位および式(3)で表される繰り返し単位の片方または両方を有する重合体。
式(2)および式(3)において、R3は式(a)で表される基であり;R 2 は水素または炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキル中の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。式(a)において、R1は炭素数1〜20のアルキル、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF3、−OCF2H、−NCO、または−NCSであり、このアルキル中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素は、ハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく;A1、A2、A3、およびA4はそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環中の任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Z1、Z2およびZ3はそれぞれ独立して、単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH2)4−、−O(CH2)3−、−(CH2)3O−、−COO−、−OCO−、−(CF2)2−、−CH=CH−(CH2)2−、−(CH2)2−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−HC=CH−、−OCF2−、または−CF2O−であり;m、nおよびqは、それぞれ独立して0または1であるが、これらが同時に0であることはなく;−(CH2)p−中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく、pは0〜20の整数である。但し、A3およびA4が1,4−フェニレンであり、pが0であってZ3が単結合のときは、mおよびnが同時に0であることはない。 - 式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンである、請求項7に記載の重合体。
- 式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Z1、Z2およびZ3がそれぞれ独立して、単結合、−(CH2)2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、または−CF2O−である、請求項7に記載の重合体。
- 式(a)において、A1、A2、A3およびA4がそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、または少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Z1、Z2およびZ3が単結合である、請求項7に記載の重合体。
- 請求項5に記載の液晶組成物から得られる重合体。
- 請求項11に記載の重合体から水素添加反応によって得られる重合体。
- 請求項6に記載の液晶組成物から得られる重合体。
- 請求項13に記載の重合体から水素添加反応によって得られる重合体。
- 請求項7〜14のいずれか1項に記載の重合体からなる光学異方性体。
- 請求項7〜14のいずれか1項に記載の重合体を含有する液晶表示素子。
- 請求項15に記載の光学異方性体を含有する液晶表示素子。
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