JP4016670B2 - 液晶性ソルビン酸エステルおよびその重合体 - Google Patents

液晶性ソルビン酸エステルおよびその重合体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合性でかつ液晶性の新規な化合物とその重合体に関する。更に、その重合体からなる薄膜の用途に関する。なお、本発明における用語「液晶性」は、単に化合物が液晶相を示すという意味に限定されない。この用語は、それ自体は液晶相を示さないけれども、他の液晶化合物と混合したときに液晶組成物の成分として使用できるような化合物にも用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、偏光板、位相差板などの光学異方性体を製造するに当たって、重合性の液晶性化合物が利用されている。この化合物は液晶状態において誘電率異方性(Δε)、屈折率異方性(Δn)などを有するからである。光学異方性体に必要な光学的特性は目的によって異なるので、目的に合った特性を有する化合物が必要である。この化合物は重合体に変換して成型することが一般的である。このような目的に使用される化合物は、前記の異方性に加えて重合に関する特性も重要である。この特性は、重合速度、重合体の透明性、機械的強度、塗布性などである。アクリレートは重合反応性が高く、得られた重合体が高い透明性を有するので、このような目的によく用いられる。アクリレートを用いた例は、特開平7−17910号、特開平8−3111号、特開平9−316032号などに開示されている。しかし、これらの例で用いられているアクリレートは、液晶性、その他の化合物との相溶性、誘電率異方性、屈折率異方性、機械的強度、塗布性などの特性を充分に満たすとは言い難い。
【0003】
側鎖に種々の共役ジエングル−プを有するビフェニル化合物、例えば2,4−ヘキサジエノイルオキシ基を有するビフェニル化合物についても、塊状熱重合または光重合の検討が行われている(Polymer, Vol. 36、No. 4、p 849, (1995))。この報告は、一部のソルビン酸エステル化合物について、主にその重合挙動を明らかにしているが、重合体の実用上の特性や有用性等については開示していないようである。またUSP 6,106,908は、2,4−ヘキサジエノイルオキシ基が末端の環状基に結合している構造の液晶性化合物を開示しているが、その重合性および重合物については開示していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、広い温度範囲の液晶相および他の化合物との優れた相溶性を有し、さらに誘電率異方性、屈折率異方性、屈折率などの必要な特性を有し、優れた重合性を有する液晶性化合物を開発することであり、この化合物を含有する液晶組成物を提供することである。更に、この液晶性化合物から、透明性、機械的強度、塗布性などの特性に優れた重合体を得て、それを表示素子の改善に利用することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ソルビン酸エステル化合物について検討を進めたところ、末端にヒドロキシメチレン基を有する液晶性化合物のソルビン酸エステルによって、前記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の構成を有する。
[1]式(1)で表される液晶性ソルビン酸エステル。
Figure 0004016670
(式中、Rハロゲン、−CH=CF 、または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキル中の任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、またこのアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;ZおよびZはそれぞれ独立して、単結合、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−、−OCO−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CHCFO−、−OCF(CH−、または−(CH−であり;Zは単結合、−O−、−COO−、または−OCO−であり;A、AおよびAはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、シクロヘキセン−1,4−ジイル、1,4−フェニレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフチレンであり;mおよびnはそれぞれ独立して0、1または2であって、これらの合計は1〜3であり;pは1〜20の整数である。)
[2]式(1)においてZが単結合である、[1]に記載の液晶性ソルビン酸エステル。
[3]式(1)においてZが−O−である、[1]に記載の液晶性ソルビン酸エステル。
[4][1]に記載の式(1)においてpが3〜6の整数である、[2]に記載の液晶性ソルビン酸エステル。
[5][1]に記載の式(1)においてpが3〜6の整数である、[3]に記載の液晶性ソルビン酸エステル。
[6][1]に記載の式(1)で表される液晶性ソルビン酸エステルの少なくとも1個と、重合性でない他の液晶性化合物を含む液晶組成物。
[7][1]に記載の式(1)で表される液晶性ソルビン酸エステルの少なくとも1個を含み、これと共重合可能な化合物を含んでもよい組成物であって、組成物全量に対する式(1)で表される液晶性ソルビン酸エステルの割合が1〜100モル%である重合性組成物。
[8][7]に記載の重合性組成物を重合して得られる重合体。
[9]式(2)および式(3)のそれぞれで表される繰り返し単位を含み、式(2)で表される繰り返し単位の個数と式(3)で表される繰り返し単位の個数の合計に対する、式(2)で表される繰り返し単位の個数の比率が0〜1である、[8]に記載の重合体。
Figure 0004016670
Figure 0004016670
(これらの式中のR、A〜A、Z〜Z、m、nおよびpの意味は、[1]に記載の式(1)における場合と同じである。)
[10][7]に記載の重合性組成物を重合させ、得られた重合物に対して水素添加反応を行うことを特徴とする、[9]に記載の重合体の製造方法。
[11]重量平均分子量が400〜900,000である、[9]に記載の重合体。
[12][9]に記載の重合体からなり、厚さが1000μm以下である薄膜。
[13][12]に記載の薄膜からなる光学異方性体。
[14][12]に記載の薄膜からなる液晶配向膜。
[15]位相差板としての機能を有する、[13]に記載の光学異方性体。
[16]偏光板としての機能を有する、[13]に記載の光学異方性体。
[17][14]に記載の液晶配向膜、[15]に記載の光学異方性体、および[16]に記載の光学異方性体のうちの少なくとも1種を有する表示素子。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶性ソルビン酸エステルは、式(1)で表される。この式中の鎖状共役二重結合は、トランス−トランス型の立体構造であることが好ましい。しかしながら、これ以外の幾何異性体であってもよい。以下の説明では、本発明の式(1)で表される液晶性ソルビン酸エステルを、化合物(1)で表記することがある。
Figure 0004016670
化合物(1)は、mおよびnの値に応じて、計算上は1〜5個の環を有することになるが、2〜4環の化合物であることが好ましい。pは1〜20の整数であるが、好ましくは3〜6である。
【0007】
ハロゲン、−CH=CF 、または炭素数1〜20のアルキルである。このアルキル中の任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよい。本明細書において、化学式中の特定の基を示すのに用いる「任意の」は、その基の位置だけでなく、個数についても任意であることを示す。しかしながら、連続している複数の−CH−が、−O−で置き換えられることはない。また、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。ハロゲンとしては、塩素およびフッ素を挙げることができ、フッ素が好ましい。
【0008】
上記の基のうちで、Rとして好ましい基は、直鎖アルキル、直鎖アルコキシ、直鎖のアルコキシアルキル、およびこれらの基の任意の水素がフッ素で置き換えられた基である。Rの具体例の一部として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、メトキシメチル、メトキシエチル、およびれらの基の任意の水素がフッ素で置き換えられた基を挙げることができる。
【0009】
式(1)中のA、AおよびAはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、シクロヘキセン−1,4−ジイル、1,4−フェニレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフチレンである。A〜Aの好ましい例を次に示す。
【0010】
Figure 0004016670
【0011】
式(1)中のZおよびZはそれぞれ独立して、単結合、―CHO―、―OCH−、―CFO―、―OCF―、−CO―、―OCO―、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH―、―C≡C−、−(CHCFO−、−OCF(CH−、または−(CH−である。Zは単結合、−O−、−COO−、または−OCO−である。ZおよびZとしては単結合、−CO―、−OCO−、−CFO−、−OCF−、および−C≡C−が好ましく、Zとしては単結合および−O−が好ましい。これらの好ましい結合基を有する化合物は、比較的低い粘性を示す。
【0012】
化合物(1)の具体例を次に示す。これらの化合物におけるR、Z〜Zおよびpの意味は、前記の通りである。
【0013】
Figure 0004016670
【0014】
Figure 0004016670
【0015】
Figure 0004016670
【0016】
Figure 0004016670
【0017】
Figure 0004016670
【0018】
Figure 0004016670
【0019】
Figure 0004016670
【0020】
化合物(1)は、以下の反応式によって製造することができる。すなわち、末端にヒドロキシメチレン基を有する液晶性化合物(4)とソルビン酸とを脱水縮合させる方法である。化合物(4)は、公知の文献、例えばOrganic Reactions、Organic Synthese、Houben-Wyle、Handbook of Liquid Crystals等に記載されている一般的な有機合成化学的方法を組み合わせることにより、容易に製造することができる。
Figure 0004016670
この方法によって製造される化合物(1)の具体例の一部を以下に示す。
【0021】
Figure 0004016670
(1−6)および(1−7)は参考例である。
【0022】
Figure 0004016670
(1−22)および(1−23)は参考例である。
【0023】
Figure 0004016670
(1−30)および(1−39)は参考例である。
【0024】
Figure 0004016670
(1−40)は参考例である。
【0025】
Figure 0004016670
【0026】
Figure 0004016670
(1−74)は参考例である。
【0027】
化合物(1)は、主な特徴として良好な重合性と良好な液晶性を有している。特に、液晶相の温度範囲が広く、他の液晶性化合物との相溶性が良好である。従って、化合物(1)の少なくとも1個と重合性でない液晶性化合物とを含有する液晶組成物は、表示素子に用いることができる。特にネマチック液晶組成物として用いることが好ましい。重合性でない液晶性化合物としては、それを加えた組成物が目的とする特性を示す範囲内であれば、どのような化合物を用いてもよいし、その含有割合についても制限されない。この液晶組成物は、光学活性化合物や二色性色素などの添加物を含むこともできる。本発明のもう一つの組成物は、化合物(1)の少なくとも1個を含み、これと共重合可能な化合物を含んでもよい重合性組成物である。この重合性組成物に含まれる化合物(1)の割合は、組成物全量に対して1〜100モル%である。そして、この重合性組成物は、液晶相を示す組成物であることが好ましい。この重合性組成物には、重合反応を行うに際し、必要に応じて溶媒や触媒を加えることができる。
【0028】
化合物(1)と共重合可能な化合物の選択条件は、化合物(1)との共重合によって得られる共重合体に、皮膜形成性と機械的強度を付与することができることのみであり、他に制限はない。化合物(1)と共重合可能な化合物は、液晶性を示さない重合性化合物と、重合性官能基を有する液晶性化合物とに分けることができる。以下の説明では、化合物(1)と共重合可能な化合物のうち、液晶性を示さない重合性化合物を非液晶性モノマーと表記し、重合性官能基を有する液晶性化合物を他の液晶性モノマーと表記する。
【0029】
非液晶性モノマーとしては、ソルビン酸誘導体、ビニル誘導体、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、フマル酸誘導体、およびイタコン酸誘導体などがある。ソルビン酸誘導体としては、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸リチウム、ソルビン酸1−ナフチルメチルアンモニウム、ソルビン酸ベンジルアンモニウム、ソルビン酸ドデシルアンモニウム、ソルビン酸オクタデシルアンモニウム、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸プロピル、ソルビン酸イソプロピル、ソルビン酸ブチル、ソルビン酸t−ブチル、ソルビン酸ヘキシル、ソルビン酸オクチル、ソルビン酸オクタデシル、ソルビン酸シクロペンチル、ソルビン酸シクロヘキシル、ソルビン酸ビニル、ソルビン酸アリル、およびソルビン酸プロパギルなどが好ましい。
【0030】
ビニル誘導体としては、塩化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2,2−ジメチルブタン酸ビニル、2,2−ジメチルペンタン酸ビニル、2−メチル−2−ブタン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、2−エチル−2−メチルブタン酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、p−t−ブチル安息香酸ビニル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ビニル、安息香酸ビニル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルモノビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールメチルビニルエーテル、α、β−ビニルナフタレン、メチルビニルケトン、およびイソブチルビニルケトンなどが好ましい。スチレン誘導体としては、スチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、およびα−メチルスチレンなどが好ましい。
【0031】
(メタ)アクリル酸誘導体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールEO付加トリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ビスフェノールA EO付加ジアクリレート、ビスフェノールA グリジジルジアクリレート(商品名:大阪有機化学株式会社製 ビスコート700)、およびポリエチレングリコールジアクリレートジメチルイタコネートなどが好ましい。
【0032】
イタコン酸誘導体としては、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、およびジイソプロピルイタコネートなどが好ましい。フマル酸誘導体としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジシクロペンチル、およびフマル酸ジシクロヘキシルなどが好ましい。この他、ブタジエンやイソプレンなどを用いることもできる。なお、上記の(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸の両方を示す総称であり、(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。本発明に用いる非液晶性モノマーは、上記の例によって制限されない。
【0033】
他の液晶性モノマーとしては、アクリル酸誘導体およびフマル酸誘導体が特に好ましい。このようなアクリル酸誘導体およびフマル酸誘導体として以下のものを示すことができる。
Figure 0004016670
【0034】
本発明の重合体は、前記の重合性組成物に必要に応じて触媒や溶剤を加えて重合させることによって得られる。この重合体は、化合物(1)の重合体または共重合体であるため、式(2)で表される繰り返し単位を有する。以下の説明では、式(2)で表される繰り返し単位を繰り返し単位(2)で表記する。
Figure 0004016670
(この式中のR、A〜A、Z〜Z、m、nおよびpの意味は、前記の通りである。)
また、この重合体の重量平均分子量は、400〜900,000であることが好ましい。
【0035】
この重合体中の全繰り返し単位の個数に対する繰り返し単位(2)の個数の割合は、原料である重合性組成物中の化合物(1)の割合に応じて、0.01〜1である。即ち、化合物(1)の単独重合体か、または化合物(1)とこれと共重合可能な化合物との共重合体である。化合物(1)と共重合可能な化合物には、前記のように非液晶性モノマーおよび他の液晶性モノマーがあり、これらは混合して用いてもよい。ただ、化合物(1)と共重合可能な化合物として、非液晶性モノマーのみを用いたり、非液晶性モノマーの割合が多い場合には、得られる重合体の液晶性が損なわれないように配慮する必要がある。共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
【0036】
本発明の重合性組成物を重合するときは、用途に最適な方法を公知の方法から選択して採用することができる。例えば、位相差板、偏光板などに使用する光学異方性体を製造するには、通常では熱重合法を用いるが、液晶相を保持した状態で敏速に重合させることが必要な場合には、紫外線または電子線等のエネルギーを照射して、光ラジカル重合させてもよい。その際、重合性組成物に光ラジカル重合開始剤、および必要に応じて溶剤を加えて、重合原料組成物を調製する。
【0037】
光ラジカル重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:ダロキュアー1173)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュアー184)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:イルガキュアー651)、イルガキュアー500、イルガキュアー2959、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー1300、イルガキュアー819、イルガキュアー1700、イルガキュアー1800、イルガキュアー1850、ダロキュアー4265、イルガキュアー784、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、および2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物などが挙げられる。
【0038】
重合反応の際に用いる溶剤としては、重合反応を妨げず、沸点があまり高くないものであれば、どのような有機溶剤も使用できる。好ましい溶剤は、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、n−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ、酢酸メチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、および酢酸メチル等である。
【0039】
本発明の重合体を熱重合法により製造する場合には、前記の重合性組成物に必要に応じて溶剤とラジカル重合開始剤を加え、0〜200℃の反応温度で1〜100時間程度反応させる。溶剤としては上記の有機溶剤を使用することができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシド(DTBPO)、過酸化ラウロイル、2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)またはアゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)等を挙げることができる。
【0040】
本発明の重合体は、これを薄膜にすることにより各種の保護膜として使用することができる。また、光学異方性体や液晶配向膜として使用することができる。この光学異方性体は、位相差板や偏光板として使用することができる。なお、この薄膜の厚みについては特に制限はなく、厚みが約1000μmの膜として使用することも可能である。液晶配向膜とする場合は、偏光を用いることによりラビングを必要としない液晶配向膜にすることもできる。光学異方性体は、単独で位相差板として使用することができるし、他の位相差板と組み合わせることにより偏光板、円偏光板、楕円偏光板、色補償板、および視野角補償板などへの応用も可能である。
【0041】
繰り返し単位(2)中の脂肪族不飽和結合は、重合体に対して水素添加反応を行うことによって、飽和結合に変換することができる。水素添加反応は、熱重合法によって得られた重合体溶液に水素添加触媒を添加し、水素雰囲気下で一定時間攪拌することで行うことができる。このとき、加圧下で反応を行うことが好ましい。水素添加触媒としては、一般的に知られている接触型触媒が使用できるが、パラジウム炭素、酸化白金、およびラネ−ニッケル等が好ましい。このときの水素添加の割合を調節することにより、前記の繰り返し単位(2)と下記の式(3)で表される繰り返し単位とを含む重合体が得られる。以下の説明では、式(3)で表される繰り返し単位を、繰り返し単位(3)で表記する。
Figure 0004016670
(この式中のR、A〜A、Z〜Z、m、nおよびpの意味は、前記の通りである。)
【0042】
水素添加反応を完全に遂行すれば、化合物(1)に由来する繰り返し単位のすべてが、繰り返し単位(3)である重合体が得られる。即ち、前記の重合性組成物から得られる本発明の重合体は、繰り返し単位(2)の個数と繰り返し単位(3)の個数の合計に対する、繰り返し単位(2)の個数の比率が0〜1である重合体である。この比率は、重合性組成物の重合後に水素添加反応を行わない場合は1であり、水素添加反応を完全に行った場合は0となる。繰り返し単位(2)のみを含む重合体は、比較的大きな屈折率を示し、繰り返し単位(3)のみを含む重合体は、比較的小さな屈折率を示す。従って、水素添加の度合いを調整することによって、屈折率の値を目的に応じて最適化することができる。また、重合体中の繰り返し単位(2)の個数と繰り返し単位(3)の個数の比率は、水素添加反応を行わない重合体と水素添加反応を完全に行った重合体とを混合することによって調整してもよい。
【0043】
本発明の重合体を配向膜として利用するには、熱重合法により得られる重合体を用いることが好ましい。熱重合法により得られた重合体の溶液を、スピンコート法、ラングミュアー・ブロージェット法、または印刷法などを用いて透明基板に塗布し、加熱・乾燥して配向膜を形成させる。熱重合法により得られる重合体は、繰り返し単位(2)のみを有する重合体、この重合体を更に水素添加して得られた、繰り返し単位(2)と繰り返し単位(3)とを有する重合体、および繰り返し単位(3)のみを有する重合体のうちから、目的に応じて選択すればよい。液晶の配向制御のためには、配向膜の膜厚は1〜100nmであることが好ましい。なお、偏光を用いてラビングを必要としない配向膜とするときは、光ラジカル重合法が好ましい。
【0044】
光学異方性体を製造するには、配向処理したガラス板を用いて作成したセルに、前記の重合性組成物にラジカル重合開始剤を加えた熱重合用の原料組成物を注入して配向状態とした後、熱重合させる。熱重合用の原料組成物の代わりに、光重合開始剤を加えた光重合用の原料組成物を注入して配向状態とした後、紫外線により重合(紫外線硬化)させてもよい。配向処理したトリアセチルセルロースの薄膜に重合原料組成物を塗布して配向させ、紫外線硬化させてもよい。後者の方法の場合は、塗布時のレベリング性や配向性を調整するために、前記の有機溶剤を加えた重合原料組成物を用い、塗布した後溶剤を除去して紫外線硬化することもできる。
【0045】
塗布に際し均一な膜厚を得る方法としては、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコード法、デップコート法、スプレーコート法またはメニスカスコート法等を挙げることができる。光学異方性体の厚さは、所望する位相差値や光学異方性体の複屈折率により一様でないが、好ましくは0.05〜50μm、より好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μm程度である。光学異方性体はヘイズ値が1.5%以下、透過率で80%以上であることが好ましく、より好ましくはヘイズ値が1.0%以下、透過率で85%以上である。この透過率は可視光領域でこれらの条件を満たすことが好ましい。ヘイズ値が上記以上では偏光性能に問題を生じる可能性があり、また上記以下の透過率では、例えば液晶表示素子の明るさを損失させる可能性がある。
【0046】
式(1)の化合物は、強誘電性液晶または反強誘電性液晶と混合して重合させることにより、高分子安定化された強誘電性液晶複合体または反強誘電性液晶複合体とすることができる。この場合の表示素子自体の具体的な構築方法は、文献(J. of Photopoly. Sci. Technol., 2000, 13(2), 295-300)等で公知である。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルなどで同定した。核磁気共鳴スペクトルにおいて、dはダブレット、ddはダブル・ダブレット、tはトリプレット、mはマルチプレット、quintはクインテットを示す。相転移温度の単位は℃であり、Cは結晶、Nはネマチック相、SmAはスメクチックA相、SmXは未同定のスメクチック相、Iは等方性液体、Tgはガラス転移温度、Tmは重合体の融点を示す。
重量平均分子量と数平均分子量の測定には、島津製作所製の島津LC−9A型ゲル浸透クロマトグラフ、昭和電工製のカラムShodex GF−7M HQ(展開溶媒はDMF)を用いた。鉛筆硬度はJIS規格「JIS−K−5400 8.4 鉛筆引掻試験」の方法に従って求めた。なお、割合を示す%は、すべて重量%を意味する。
【0048】
実施例1
<化合物(1−57)の製造>
Figure 0004016670
(第1段)
4−(4−プロピルシクロヘキシル)安息香酸(2.58g、10.47mmol)、4−(3−テトラヒドロピラニルオキシ)フェノール(2.52g、9.98mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.27g、11mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(134mg、1.10mmol)、および塩化メチレン(40mL)の混合物を室温で3時間攪拌した。析出した白色の固体を濾別し、得られた濾液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:300mL、溶出液:トルエン/酢酸エチル(9/1)、R:0.58)で精製して、4−(3−テトラヒドロピラニルオキシプロピルオキシ)フェニル 4−(4−プロピルシクロヘキシル)ベンゾアートを得た(収量3.42g、収率71%、無色結晶)。
【0049】
(第2段)
第1段で得られた化合物(3.20g)、p−トルエンスルホン酸ピリジン錯体(0.53g)、メタノール(100mL)の混合物を55℃で5時間攪拌した。室温に戻したのち、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:500mL、溶出液:トルエン/酢酸エチル(1/1)、R:0.46)で精製して、4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル 4−(4−プロピルシクロヘキシル)ベンゾアートを得た(収量2.60g、収率99%、無色結晶)。
1H NMR (500 MHz) d (ppm): 0.93 (t, J = 7.3 Hz, 3 H), 1.06-1.13 (m, 2 H), 1.23-1.31 (m, 2 H), 1.34-1.42 (m, 3 H), 1.47-1.55 (m, 2 H), 1.90-1.95 (m, 4 H), 2.08 (quint, J = 6.0 Hz, 2 H), 2.55-2.61 (m, 1 H), 3.90 (t, J = 5.8 Hz, 2 H), 4.16 (t, J = 5.8 Hz, 2 H), 6.96 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 7.12 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 7.36 (d, J = 8.3 Hz, 2 H), 8.13 (d, J = 8.3 Hz, 2 H).
【0050】
(第3段)
第2段で得られた化合物(500mg、1.27mmol)、ソルビン酸(142mg、1.27mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(262mg、1.27mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(15.5mg、0.127mmol)、塩化メチレン(15mL)の混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物から減圧下で溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:100mL、溶出液:トルエン/酢酸エチル(9/1)、R:0.78)で精製して、目的化合物を得た(収量485mg、収率78%、無色結晶)。
相転移温度:C 133.8 N 188.8 I.
1H NMR (500 MHz) d (ppm): 0.93 (t, J = 7.4 Hz, 3 H), 1.05-1.08 (m, 2 H), 1.20-1.27 (m, 2 H), 1.31-1.40 (m, 3 H), 1.42-1.50 (m, 2 H), 1.88 (d, J = 5.8 Hz, 3 H), 1.90-1.96 (m, 4 H), 2.16-2.20 (m, 2 H), 2.55-2.61 (m, 1 H), 4.09 (t, J = 6.0 Hz, 2 H), 4.37 (t, J = 6.2 Hz, 2 H), 5.80 (d, J = 15.4 Hz, 1 H), 6.13-6.25 (m, 2 H), 6.95 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 7.12 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 7.28 (dd, J = 15.4, 10.2 Hz, 1 H), 7.36 (d, J = 8.3 Hz, 2 H), 8.13 (d, J = 8.3 Hz, 2 H).
【0051】
実施例2
<化合物(1−9)の製造>
Figure 0004016670
(第1段)
4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェノール(30g、0.137mol)、6−ブロモヘキサノール(27g、0.15mol)、炭酸カリウム(40g、0.33mol)をジメチルホルムアミド(300mL)に加え、90℃で3時間攪拌した。3Nの塩酸(1L)に反応混合物を注ぎ、析出した無色結晶を濾過により分離した。結晶を水でよく洗浄した後、乾燥して(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−4−(4−プロピルシクロヘキシル)ベンゼンを得た(収量35g、収率80%)。
相転移温度:C 61 SmX 69 I.
【0052】
(第2段)
第1段の工程で得られた化合物(3.76g、11.8mmol)、ソルビン酸(1.31g、11.7mmol)を塩化メチレン(100mL)に溶かし5℃まで冷やし、そこへジメチルアミノピリジン(0.05g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.47g)を加え室温で12時間攪拌した。得られた反応混合物に水(50mL)を加え、分液した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残査をクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、エタノールから再結晶して、ソルビン酸 6−[4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニルオキシ]ヘキシル エステルを得た(収量2g、収率41%、無色結晶)。この化合物の融点は58℃であった。
1H-NMR(CDCl3, 90MHz):δ(ppm);0.89(t, 6H), 1.1―2.0(m, 21H), 3.93(t, J=6.3Hz, 2H), 4.14(t, J=6.3Hz, 2H), 4.69(m, 1H), 5.74(d, J=14Hz, 1H), 6.13(m, 2H), 7.23(m, 1H), 6.80(d, J=9.0Hz, 2H), 7.11(d, J=9.0Hz, 2H)
【0053】
実施例3
<液晶性ソルビン酸エステル重合体の製造>
実施例1で製造した化合物(1−57)(0.46g)、およびジt−ブチルパーオキシド(0.014g)をアンプルにとり、−60℃に冷却して真空ポンプで十分脱気を行った後、封管した。このアンプルを140℃で5時間加熱した。反応混合物をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、メタノール(200mL)に注いで沈殿物を得た。この操作を3回行った後、メタノールで十分洗浄し、減圧下で乾燥させ0.4gの重合体を得た(収率87%)。この重合体をP1とする。
相転移温度:Tg 30.7 Tm 100 N 229.8 I.
屈折率:1.452
重量平均分子量(M):15,000
多分散度(Mw/Mn):1.42
【0054】
実施例4
実施例3で製造したP1(0.5g)をNMP(N−メチルピロリドン、10mL)に溶解し、十分に洗浄した2枚のガラス板上に塗布し、スピンコート法により均一な厚さにした。これらのガラス板を150℃で30分加熱し、溶媒を除去して薄膜を形成させた。得られたガラス板の薄膜面を、ラビング布を装着したローラーで一方向にこすり、配向処理した。配向膜のラビング方向が180度となるように2枚のガラス板を組み合わせ、セル間隔が10μmの空のセルを製造した。このセルに、メルクAG製の液晶組成物ZLI−1132を、毛細管現象を利用して室温で注入し、液晶セルを製造した。セル中の液晶が良好なホモジニアス配向していることを、偏光顕微鏡により確認した。
【0055】
実施例5
前記の化合物(1−57)を用いて、以下の組成を持つ重合性組成物を調製した。
Figure 0004016670
【0056】
ラビング処理を施したポリイミド配向膜を有する2枚のガラス板を、配向膜のラビング方向が180度となるように対向させ、セル間隔が5μmのガラスセルを作成した。このセルに、上記組成物(100mg)に前記のラジカル重合開始剤DTBPO(15mg)を加えた重合原料組成物を注入し、120℃で1時間加熱した。セルを室温に戻し、ガラスを剥離して光学異方性フィルムを得た。このフィルムを偏光顕微鏡により観察したところ、良好なホモジニアス配向であり、配向状態にムラがなかった。鉛筆硬度試験の結果は3Hであり、十分な機械的強度を有していた。
【0057】
実施例6
前記の化合物(1−57)を用いて、以下の重合性組成物を調製した。
Figure 0004016670
【0058】
この組成物(100mg)に、DTBPO(15mg)を加えた重合原料組成物を、実施例5で用いたものと同様のセルに注入した。良好なツイステッドネマチック配向であることを、偏光顕微鏡観察により確認した。このセルを120℃において1時間熱した。その後セルを室温に戻し、ガラスを剥離して位相差フィルムを得た。このフィルムを偏光顕微鏡により観察したところ、ツイステッドネマチック配向が均一に固定されており、配向状態にムラがなかった。鉛筆硬度試験の結果は3Hであり、十分な機械的強度を有していた。
【0059】
実施例7
実施例3で製造したP1(0.5g)、塩化メチレン(10mL)、5%パラジウム炭素(1.0g)の混合物を、圧力507kPaの水素雰囲気下で、20時間攪拌した。触媒を除去した後、溶媒を除去し水素添加された重合体0.49gを得た。この重合体についてH−NMRにより分析した結果、P1において観察された6.28ppm(ポリマー主鎖の二重結合に由来する)におけるシグナルが完全に消失していることを確認した。また、IRによる分析結果でも、P1において観察された1640cm−1のシグナル(C=C伸縮振動)が完全に消失していることを確認した。即ち、この重合体の繰り返し単位は下記の式で表される。また、この重合体はP1に比べて屈折率が小さかった。
Figure 0004016670
屈折率:1.431
重量平均分子量(M):15,500
多分散度(Mw/Mn):1.46
【0060】
【発明の効果】
本発明の液晶性ソルビン酸エステルは、従来の液晶性モノマーよりも格段に重合反応性が高く、高分子量の重合体が高収率で得られる。この液晶性ソルビン酸エステルを液晶状態で重合することにより、均一でムラがなく機械的強度と耐熱性に優れた光学異方性薄膜が得られる。本発明の重合体は、液晶表示素子の位相差板、配向膜、偏光板の材料として有用である。

Claims (17)

  1. 式(1)で表される液晶性ソルビン酸エステル。
    Figure 0004016670
    (式中、Rハロゲン、−CH=CF 、または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキル中の任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、またこのアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;ZおよびZはそれぞれ独立して、単結合、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−、−OCO−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CHCFO−、−OCF(CH−、または−(CH−であり;Zは単結合、−O−、−COO−、または−OCO−であり;A、AおよびAはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、シクロヘキセン−1,4−ジイル、1,4−フェニレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフチレンであり;mおよびnはそれぞれ独立して0、1または2であって、これらの合計は1〜3であり;pは1〜20の整数である。)
  2. 式(1)においてZが単結合である、請求項1に記載の液晶性ソルビン酸エステル。
  3. 式(1)においてZが−O−である、請求項1に記載の液晶性ソルビン酸エステル。
  4. 請求項1に記載の式(1)においてpが3〜6の整数である、請求項2に記載の液晶性ソルビン酸エステル。
  5. 請求項1に記載の式(1)においてpが3〜6の整数である、請求項3に記載の液晶性ソルビン酸エステル。
  6. 請求項1に記載の式(1)で表される液晶性ソルビン酸エステルの少なくとも1個と、重合性でない他の液晶性化合物を含む液晶組成物。
  7. 請求項1に記載の式(1)で表される液晶性ソルビン酸エステルの少なくとも1個を含み、これと共重合可能な化合物を含んでもよい組成物であって、組成物全量に対する式(1)で表される液晶性ソルビン酸エステルの割合が1〜100モル%である重合性組成物。
  8. 請求項7に記載の重合性組成物から得られる重合体。
  9. 式(2)および式(3)のそれぞれで表される繰り返し単位を含み、式(2)で表される繰り返し単位の個数と式(3)で表される繰り返し単位の個数の合計に対する、式(2)で表される繰り返し単位の個数の比率が0〜1である、請求項8に記載の重合体。
    Figure 0004016670
    Figure 0004016670
    (これらの式中のR、A〜A、Z〜Z、m、nおよびpの意味は、請求項1に記載の式(1)における場合と同じである。)
  10. 請求項7に記載の重合性組成物を重合させ、得られた重合物に対して水素添加反応を行うことを特徴とする、請求項9に記載の重合体の製造方法。
  11. 重量平均分子量が400〜900,000である、請求項9に記載の重合体。
  12. 請求項9に記載の重合体からなり、厚さが1000μm以下である薄膜。
  13. 請求項12に記載の薄膜からなる光学異方性体。
  14. 請求項12に記載の薄膜からなる液晶配向膜。
  15. 位相差板としての機能を有する、請求項13に記載の光学異方性体。
  16. 偏光板としての機能を有する、請求項13に記載の光学異方性体。
  17. 請求項14に記載の液晶配向膜、請求項15に記載の光学異方性体、および請求項16に記載の光学異方性体のうちの少なくとも1種を有する表示素子。
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