JP4296821B2 - マレイミド誘導体およびその重合体 - Google Patents

マレイミド誘導体およびその重合体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学補償膜、液晶配向膜、光書き込み記録材料などに利用できる液晶性マレイミド重合体と、その原料であるマレイミド誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
側鎖に液晶性の基を有する重合体は、位相差フィルムなどの光学異方性体フィルム(特許文献1)、液晶配向膜(特許文献2)、偏光ビームスプリッター(特許文献3)、リライタブル記録媒体などの光記録材料(特許文献4)などに利用されている。従来からこのような用途には、重合が容易なアクリレートの重合体が用いられてきた。
【特許文献1】
特開平9−208957号公報
【特許文献2】
特開昭62−70407号公報
【特許文献3】
特開平11−100575号公報
【特許文献4】
特開平10−62739号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アクリレート(例えば、AC1)を重合して得られる単独重合体は、耐熱性、機械的強度などの物性において十分な値を示さない。そのため現状では、多官能アクリレートとの共重合を行うなどの化学的な方法や、フィラーを添加するなどの方法により、耐熱性、機械的強度の向上が試みられている。
Figure 0004296821
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題を根本的に解決すべく鋭意検討した結果、特定のマレイミド誘導体から得られる重合体が、上記の従来の重合体に比べ、耐熱性、耐光性、硬度、透明性、配向性および基板への塗布性などのいくつかにおいて改良された物性を有することを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は下記の構成を有する。なお、本発明において、化学式中に存在する複数の同じ種類の基のうちから、不特定の基を選択する場合に用いる用語「任意の」は、その基の位置だけでなく、個数についても任意であることを示す。
【0005】
[1]式(1)で表されるマレイミド誘導体。
Figure 0004296821
式(1)において、Rは水素、フッ素、塩素、−CN、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、炭素数1〜12の直鎖のアルキルまたは炭素数1〜12の直鎖のアルコキシであり;RおよびRは独立して水素または炭素数1〜4のアルキルであり、そしてRおよびRが共にアルキルの場合には、アルキルの末端が結合して環を形成してもよい;A、AおよびAは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである;ZおよびZは独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CF O−、−OCF −、−CH O−、−OCH −、−CH=CH−、−CH CH −または−C≡C−である;mは1または0であり、nは1〜20の整数である。但し、mが0であり、AおよびAが1,4−フェニレンであり、そしてZが単結合であるとき、Rは−CNではない。
【0007】
]mが0である、[1]項に記載のマレイミド誘導体。
【0008】
]mが1である、[1]項に記載のマレイミド誘導体。
【0009】
]少なくとも2つの重合性化合物を含有し、その少なくとも1つが[1]項に記載のマレイミド誘導体から選ばれる化合物である重合性組成物。
【0010】
]重合性化合物のすべてが[1]項に記載のマレイミド誘導体から選ばれる化合物である、[]項に記載の重合性組成物。
【0011】
][1]項に記載のマレイミド誘導体から選ばれる少なくとも1つと、[1]項に記載のマレイミド誘導体以外の重合性化合物の少なくとも1つとを含有する、[]項に記載の重合性組成物。
【0012】
]式(2)で表される構成単位を有する重合体。
Figure 0004296821
式(2)において、Rは水素、フッ素、塩素、−CN、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、炭素数1〜12の直鎖のアルキルまたは炭素数1〜12の直鎖のアルコキシであり;RおよびRは独立して水素または炭素数1〜4のアルキルであり、そしてRおよびRが共にアルキルの場合には、アルキルの末端が結合して環を形成してもよい;A、AおよびAは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである;ZおよびZは独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CF O−、−OCF −、−CH O−、−OCH −、−CH=CH−、−CH CH −または−C≡C−である;mは1または0であり、nは1〜20の整数である。但し、mが0であり、AおよびAが1,4−フェニレンであり、そしてZが単結合であるとき、Rは−CNではない。
【0014】
][1]項に記載のマレイミド誘導体から選ばれる1つの化合物を単独重合させて得られる、[]項に記載の重合体。
【0015】
][]項に記載の重合性組成物から得られる、[]項に記載の重合体。
【0016】
10][]項に記載の重合性組成物から得られる、[]項に記載の重合体。
【0017】
11[7]〜[10]のいずれか1項に記載の重合体を含有する光学補償膜。
【0018】
[12][7]〜[10]のいずれか1項に記載の重合体を含有する光書き込み記録材料。
【0019】
[13][7]〜[10]のいずれか1項に記載の重合体を含有する液晶配向膜。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下の説明においては、式(1)で表される本発明のマレイミド誘導体を、化合物(1)で表記することがある。式(2)で表される構成単位を、構成単位(2)で表記することがある。構成単位(2)を有する本発明の重合体を、重合体(2)で表記することがある。そして、下記の基を液晶骨格(1)と称することがある。
Figure 0004296821
【0021】
化合物(1)および重合体(2)は次の特徴を有する。
(i)化合物(1)は、光や水分などに不安定な基であるアゾ、ジアゾ、アゾキシなどを含まない。
(ii)化合物(1)は、重合性のマレイミド基と立体的に大きな液晶骨格(1)との間にアルキレン鎖を有する。立体的な込み合いがないので、化合物(1)は高い重合反応性を有する。
(iii)化合物(1)の重合反応性が高いので高分子量の重合体が得られる。その結果、重合体(2)は高い耐熱性を有している。
(iv)液晶骨格(1)が主鎖から離れており、主鎖の立体的な拘束を受けにくいため、重合体(2)は液晶性を発現しやすい。その結果、重合体(2)は広い液晶相の温度範囲を有している。
(v)化合物(1)が光に安定であるため、これから得られる重合体(2)も耐光性に優れている。
このように重合体(2)は、従来の液晶性アクリレートの重合体にはない優れた性能を有する。
【0022】
まず、本発明のマレイミド誘導体について説明する。
本発明のマレイミド誘導体は、式(1)で表される。
Figure 0004296821
この式中のRは、水素、フッ素、塩素、−CN、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、炭素数1〜12の直鎖のアルキルまたは炭素数1〜12の直鎖のアルコキシである。
【0024】
の好ましい例は、水素、フッ素、塩素、−CF 、−CF H、−OCF 、−OCF 、炭素数1〜12の直鎖のアルキル、および炭素数1〜12の直鎖のアルコキシである。アルキルおよびアルコキシのうちで特に好ましい基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシおよびデシルオキシである。液晶骨格(1)において、Rが−CF−OCF 、フッ素または塩素であるとき、重合体(2)の誘電率異方性値は正になり易い。
【0025】
およびRは独立して水素または炭素数1〜4のアルキルである。そして、RおよびRが共にアルキルの場合には、アルキルの末端が結合して環を形成してもよい。RおよびRの特に好ましい例を、マレイミド環と共に次に示す。
【0026】
Figure 0004296821

【0027】
式(1)中のA〜Aは環構造の2価基である。これらは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである。A、AまたはAの好ましい例を次に示す。
【0028】
Figure 0004296821

これらの式は、式(1)において左右逆向きに結合してもよい。
【0029】
式(1)中のZおよびZは結合基である。これらは独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CH=CH−、−CHCH−および−C≡C−である。ZまたはZ の好ましい例は、単結合、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−および−CHCH−である。
【0030】
化合物(1)において、ZおよびZの少なくとも1つが、単結合、−COO−、−OCO−または−C≡C−である場合には、屈折率異方性値の大きな重合体が得られる傾向がある。ZおよびZの少なくとも1つが、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−または−CHCH−である場合には、液晶骨格(1)の柔軟性が増大するので、比較的低い粘性の重合体が得られる傾向がある。そして、mは1または0である。但し、mが0であり、AおよびAが1,4−フェニレンであり、そしてZが単結合であるとき、Rは−CNではない。即ち、本発明の化合物には、液晶骨格(1)がシアノビフェニルである化合物は含まれない。
【0031】
〜AとZ〜Zの組み合わせについて説明する。室温において重合体(2)が液晶相を有するためには、液晶骨格(1)においてmが0であることが好ましい。即ち、次の(1−1)〜(1−10)である。
Figure 0004296821
これらの式中のR、AおよびAの意味は、前記の通りである。
【0032】
mが1である液晶骨格(1)は3つの環を有する。3環の液晶骨格(1)を有する重合体は、液晶相の上限温度が一般的に高い。3環構造であるとき、A〜AとZ〜Zの好ましい組み合わせは次の通りである。
Figure 0004296821
【0033】
Figure 0004296821
これらの式中のR、A、AおよびAの意味は、前記の通りである。
【0034】
化合物(1)が重合し易く、その重合によって得られる重合体が液晶相を有するためには、式(1)中のnは1〜20の整数であることが好ましい。より好ましいnは3〜11である。そして、化合物(1)が1,4−シクロへキシレンまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを有する場合には、その立体配置はシス型よりトランス型が好ましい。化合物(1)は、H(重水素)または13Cなどの同位体元素を自然に存在する割合より多く含んでもよく、その場合でも化合物の物性に大きな差異はない。
【0035】
次に、化合物(1)の製造方法について説明する。
化合物(1)は、RおよびRが水素の場合には、次のスキームに従って製造することができる。
Figure 0004296821
【0036】
マレイミドとフランとのDiels−Alder反応によって、先ずマレイミドのフラン付加体(a)を製造する。液晶骨格(1)を有し末端がヒドロキシル基である化合物とω−ブロモアルカノールとを、塩基を用いてエーテル化することにより、アルコール誘導体(b)を製造する。塩基の例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウムなどである。マレイミドのフラン付加体(a)とアルコール誘導体(b)を光延反応によりN−アルキル化した後、retro−Diels−Alder反応により熱分解して、化合物(1)を製造する。
【0037】
および が炭素数1〜4のアルキルである場合には、酸無水物(c)とアミノアルコールから製造することができる。RおよびRが共にアルキルであって、アルキルの末端が結合して環を形成した場合についても同様である。
Figure 0004296821
【0038】
この他、出発物質に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、ホーベン−ワイル(Houben-Wyle, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載されている。
【0039】
結合基ZまたはZを生成する方法の一例に関して、最初にスキームを示し、次に項(I)〜項(VII)でスキームを説明する。これらのスキームにおいて、MSGおよびMSGはどちらも、少なくとも1つの環を有する1価の有機基である。スキームに示されている複数のMSG(またはMSG)は、同一であってもよいし、異なってもよい。
【0040】
Figure 0004296821
【0041】
Figure 0004296821
【0042】
Figure 0004296821
【0043】
(I)単結合の生成
アリールホウ酸(21)と公知の方法で合成される化合物(22)とを、炭酸塩水溶液とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で反応させて化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、公知の方法で合成される化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で化合物(22)を反応させることによっても合成される。
【0044】
(II)−COO−と−OCO−の生成
化合物(23)にn−ブチルリチウムを、続いて二酸化炭素を反応させてカルボン酸(24)を得る。化合物(24)と、公知の方法で合成されるフェノール(25)とをDDC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させて−COO−を有する化合物(1B)を合成する。この方法によって、−OCO−を有する化合物も合成できる。
【0045】
(III)−CFO−と−OCF−の生成
化合物(1B)をローソン試薬のような硫黄化剤で処理して化合物(26)を得る。化合物(26)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N−ブロモスクシンイミド)でフッ素化し、−CFO−を有する化合物(1C)を合成する。M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照。化合物(1C)は化合物(26)を(ジエチルアミノ)サルファ トリフルオリドでフッ素化しても合成される。William H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照。この方法によって、−OCF−を有する化合物も合成できる。
【0046】
(IV)−CH=CH−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理した後、N,N−ジメチルホルムアミドなどのホルムアミドと反応させてアルデヒド(28)を得る。公知の方法で合成されるホスホニウム塩(27)をカリウムt−ブトキシドのような塩基で処理して発生させたリンイリドを、アルデヒド(28)に反応させて化合物(1D)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
【0047】
(V)−CHCH−の生成
化合物(1D)をパラジウム炭素のような触媒の存在下で水素化することにより、化合物(1E)を合成する。
【0048】
(VI)−C≡C−の生成
ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下で、化合物(23)に2−メチル−3−ブチン−2−オールを反応させたのち、塩基性条件下で脱保護して化合物(30)を得る。ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下、化合物(30)を化合物(22)と反応させて、化合物(1G)を合成する。
【0049】
(VII)−CHO−または−OCH−の生成
化合物(28)を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元して化合物(32)を得る。これを臭化水素酸などでハロゲン化して化合物(33)を得る。炭酸カリウムなどの存在下で、化合物(33)を化合物(25)と反応させて化合物(1J)を合成する。
【0050】
これらの方法により、No.1〜No.141の化合物を製造する。
Figure 0004296821
【0051】
Figure 0004296821
【0052】
Figure 0004296821
【0053】
Figure 0004296821
【0054】
Figure 0004296821
【0055】
Figure 0004296821
【0056】
Figure 0004296821
【0057】
Figure 0004296821
【0058】
Figure 0004296821
【0059】
Figure 0004296821
【0060】
Figure 0004296821
【0061】
Figure 0004296821
【0062】
Figure 0004296821
上記のNo.1〜No.141において、No.13、No.98、No.119、No.123、No.126、No.130、No.134およびNo.140は参考例である。
【0063】
次に、本発明の組成物について説明する。
本発明の組成物は、化合物(1)の少なくとも1つを含有し、これと共重合可能な化合物を含有してもよい重合性組成物である。即ち、含有される重合性化合物のすべてが化合物(1)である重合性組成物、または化合物(1)と化合物(1)以外の重合性化合物とを含有する重合性組成物である。以下の説明では、化合物(1)以外の重合性化合物を他のモノマーと称する。他のモノマーを使用する目的は、化合物(1)との共重合によって得られる共重合体に、皮膜形成性と機械的強度を付与することである。この目的が達成されること以外に、他のモノマーを選択するための条件はない。他のモノマーは、液晶性であっても、そうでなくてもよい。本発明の重合性組成物において、化合物(1)の好ましい含有量は、組成物全量に基づく割合で5〜100モル%である。そして、この重合性組成物には、重合反応を行うに際し、必要に応じて溶剤や触媒を加えることができる。
【0064】
次に、本発明の重合体について説明する。
化合物(1)の1つのみを重合させると単独重合体が得られる。重合性化合物として少なくとも2つの化合物(1)を含有する重合性組成物を重合させると、化合物(1)のみの共重合体が得られる。化合物(1)と他のモノマーとを含有する重合性組成物を重合させても共重合体が得られる。これらの単独重合体および共重合体は、どれも下記の構成単位(2)を有する。即ち、重合体(2)は、側鎖に液晶骨格(1)を有するため液晶相を有し易い。構成単位(2)中の記号の意味は、式(1)における場合と同じである。共重合体における構成単位(2)の配列は、ランダム、ブロック、交互、グラフトなどのいずれであってもよい。
Figure 0004296821
【0065】
重合体(2)は、化合物(1)の1つまたは重合性組成物を熱または光により重合させて製造する。熱重合の反応温度は0〜150℃、反応時間は1〜100時間であり、通常ラジカル重合開始剤を用いる。ラジカル重合開始剤の例は、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、ジt−ブチルパーオキシド(DTBPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などである。
【0066】
光または電子線等の照射による重合においては、通常光ラジカル重合開始剤を用いる。光ラジカル重合開始剤の例は、チバ・スペシャリティー・ケミカル(株)の製品のうちから、ダロキュアー1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)、イルガキュアー184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イルガキュアー651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、イルガキュアー500、イルガキュアー2959、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー1300、イルガキュアー819、イルガキュアー1700、イルガキュアー1800、イルガキュアー1850、ダロキュアー4265、イルガキュアー784などが挙げられる。
【0067】
光ラジカル重合開始剤のその他の例は、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物などである。
【0068】
重合体(2)は、アニオン重合法、配位重合法、またはリビング重合法によっても製造することができる。これらの重合法で用いる好ましい開始剤は、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム−トリアルキルアルミニウムなどのアルカリ金属アルキル、アルミニウム化合物、遷移金属化合物などである。
【0069】
重合反応には溶剤を用いてもよい。好ましい溶剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどである。これらの少なくとも2つを混合した溶剤を用いてもよい。
【0070】
次に、他のモノマーについて説明する。
他のモノマーのうち液晶性でない重合性化合物の例は、ビニル系単量体、フマル酸ジエステル、マレイミド誘導体などである。これらのうちでは、化合物(1)との共重合性に優れているので、マレイミド誘導体が好ましい。
【0071】
化合物(1)ではないマレイミド誘導体のうち、非液晶性のマレイミド誘導体の例は、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ヘプチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ノニルマレイミド、N−デシルマレイミド、N−ウンデシルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−オクタデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−(sec−ブチル)マレイミド、N−(t−ブチル)マレイミド、N−(1−メチルブチル)マレイミド、N−(2−メチルブチル)マレイミド、N−(3−メチルブチル)マレイミド、N−(sec−ヘキシル)マレイミド、N−(4−メチル−2−ペンチル)マレイミド、N−(sec−ヘプチル)マレイミド、N−(sec−オクチル)マレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(3−メチルフェニル)マレイミド、N−(3−エチルフェニル)マレイミド、N−(3−トリフルオロメチルフェニル)マレイミド、N−(3,5−ジメチルフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−エチルフェニル)マレイミド、N−(4−プロピルフェニル)マレイミド、N−(4−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(4−ブチルフェニル)マレイミド、N−(4−ペンチルフェニル)マレイミド、N−トリフルオロメチルマレイミド、N−〔1−(トリフルオロメチル)エチル〕マレイミド、N−〔2−(トリフルオロメチル)エチル〕マレイミド、N−ヘキサフルオロイソプロピルマレイミド、N−パーフルオロイソプロピルマレイミド、N−パーフルオロブチルエチルマレイミド、N−パーフルオロオクチルエチルマレイミド、N−(2−クロロエチル)マレイミド、N−(1−ブトキシ−2−プロピル)マレイミド、N−(メトキシエチル)マレイミド、N−(トリメチルシリル)マレイミド、N−(t−ブチルジメチルシリル)マレイミド、N−(ジメチルトキシシリル)マレイミド、(N−(2−シアノエチル)マレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシブチル)マレイミド、N−(5−ヒドロキシペンチル)マレイミド、N−(6−ヒドロキシヘキシル)マレイミド、N−(7−ヒドロキシヘプチル)マレイミド、N−(8−ヒドロキシオクチル)マレイミド、N−(9−ヒドロキシノニル)マレイミド、N−(10−ヒドロキシデシル)マレイミドなどである。
【0072】
光学活性なマレイミド誘導体(OPM−1)〜(OPM−5)も、化合物(1)の共重合相手として用いることができる。
Figure 0004296821
【0073】
ビニル系単量体は、重合体(2)に皮膜形成性または透明性を付与することを目的に用いられる。ビニル系単量体を選択するための条件は、この目的を達成できることのみである。好ましいビニル系単量体は、オレフィン、ハロゲン化ビニル、カルボン酸ビニル、芳香族ビニル系単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル、アルキルビニルケトン、ジエン、(メタ)アクリレート、イタコネート、α、β−ビニルナフタレン、N−ビニルアセトアミドなどである。オレフィンの例は、エチレン、プロピレン、イソブテンなどである。ハロゲン化ビニルの例は、塩化ビニル、フッ化ビニルなどである。カルボン酸ビニルの例は、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2,2−ジメチルブタン酸ビニル、2,2−ジメチルペンタン酸ビニル、2−メチル−2−ブタン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、2−エチル−2−メチルブタン酸ビニルなどである。芳香族ビニル系単量体の例は、p−t−ブチル安息香酸ビニル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ビニル、安息香酸ビニルなどである。スチレン誘導体の例は、スチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、α−メチルスチレンなどである。
【0074】
ビニルエーテルの例は、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルモノビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールメチルビニルエーテルなどである。アルキルビニルケトンの例は、メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトンなどである。ジエンの例は、ブタジエン、イソプレンなどである。(メタ)アクリレートの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどである。イタコネートの例は、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジイソプロピルイタコネートなどである。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
【0075】
フマル酸ジエステルの例は、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジシクロヘキシル、フマル酸ジ(1−フェニル−2−プロピル)、フマル酸ジsec−ブチル、フマル酸ジt−ブチル、フマル酸ジ2−エチルヘキシル、フマル酸イソプロピル=エチル、フマル酸イソプロピル=プロピル、フマル酸イソプロピル=ブチル、フマル酸イソプロピル=sec−ブチル、フマル酸イソプロピル=t−ブチル、フマル酸イソプロピル=イソアミル、フマル酸イソプロピル=sec−アミル、フマル酸イソプロピル=sec−ヘキシル、フマル酸イソプロピル=4−メチル−2−ペンチル、フマル酸イソプロピル=2−エチルヘキシル、フマル酸イソプロピル=オクチル、フマル酸イソプロピル=シクロヘキシル、フマル酸イソプロピル=ノニル、フマル酸t−ブチル=sec−ブチル、フマル酸t−ブチル=シクロヘキシル、フマル酸t−ブチル=4−メチル−2−ペンチル、フマル酸t−ブチル=2−エチルヘキシル、フマル酸イソプロピル=シクロヘキシル、フマル酸イソプロピル=シクロペンチル、フマル酸イソプロピル=2−フェニル−1−エチル、フマル酸イソプロピル=3−フェニルプロピル、フマル酸イソプロピル=1−フェニル−2−プロピル、フマル酸イソプロピル=1−フェニル−1−プロピル、フマル酸イソプロピル=(トリメチルシリル)プロピル、フマル酸t−ブチル=(トリメチルシリル)プロピル、フマル酸シクロヘキシル=(トリメチルシリル)プロピル、フマル酸イソプロピル=[3−トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル、フマル酸イソプロピル=3−(ペンタメチルジシロキサニル)プロピル、フマル酸N、N−ジメチルアミノエチル=イソプロピル、フマル酸t−ブチル=1−ブトキシ−2−プロピル、フマル酸2−シアノエチル=イソプロピル、フマル酸2−ヒドロキシエチル=イソプロピル、フマル酸グリシジル=イソプロピル、フマル酸イソプロピル=ジエチルホスフォメチル、フマル酸2−メチルチオエチル=イソプロピル、フマル酸イソプロピル=2−ヒドロキシエチルチオエチル=イソプロピル、フマル酸パーフルオロオクチルエチル=イソプロピル、フマル酸トリフルオロメチル=イソプロピル、フマル酸ペンタフルオロエチル=イソプロピル、フマル酸ヘキサフルオロイソプロピル=イソプロピルなどである。
【0076】
重合体の被膜形成能をより高めるために、多官能アクリレートを添加することもできる。好ましい多官能アクリレートは、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールEO付加トリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ビスフェノールA EO付加ジアクリレート、ビスフェノールAグリジジルエーテルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどである。ビスフェノールAグリジジルエーテルジアクリレートは、大阪有機化学(株)からビスコート700として市販されている。
【0077】
これらの液晶性でない他のモノマーを2つ以上用いるときには、同じ種類から2つ以上を選択してもよいし、異なる種類からそれぞれ少なくとも1つを選択してもよい。これらのモノマーの好ましい添加量は、化合物(1)に対する割合で0.5〜50モル%である。十分な被膜形成力を得るための好ましい割合は、0.5モル%以上である。重合性組成物が液晶性を有するための好ましい割合は、50モル以下である。
【0078】
他のモノマーとして、液晶性の骨格を有する重合性化合物を用いてもよい。この重合性化合物の例は、アクリル酸誘導体(LC−1)、フマル酸誘導体(LC−2)、ソルビン酸誘導体(LC−3)、マレイミド誘導体(LC−4)、クロトン酸誘導体(LC−5)などである。これらの重合性化合物を用いることにより、得られる重合体の液晶相の温度範囲を調節することができる。
【0079】
(LC−1)の例を次に示す。
Figure 0004296821
【0080】
(LC−2)の例を次に示す。これらの式中において、Rは炭素数1〜15のアルキルであり、Rはメチル、エチル、2−メチルブチル、プロピル、オクチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、4−ブチルシクロヘキシル、ノルボルニル、またはアダマンチルであり、yは1〜20の整数である。
Figure 0004296821
【0081】
次に、(LC−3)〜(LC−5)の例を示す。これらの式におけるyは、1〜20の整数である。
Figure 0004296821
【0082】
これらの液晶性の骨格を有する他のモノマーを2つ以上用いるときには、同じ種類から選択してもよいし、異なる種類からそれぞれ少なくとも1つを選択してもよい。重合性組成物におけるこれらのモノマーの好ましい含有量は、組成物全量に基づいて0.5〜95モル%である。液晶温度範囲の調整が可能であるために好ましい割合は、0.5モル%以上である。そして、共重合体が得られるために好ましい割合は、95モル%以下である。
【0083】
重合体(2)が単離される場合には、これを溶剤に溶かして成形することができる。このとき用いる好ましい溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、1,4−ジオキサン、ビス(メトキシエチル)エーテル、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸エチル、ヘキサフルオロ−2−プロパノールなどである。しかし、使用可能な溶剤はこれらに制限されない。これらの溶剤と、アセトン、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、塩化メチレンなどの一般的な有機溶剤との混合物も用いることができる。
【0084】
重合体(2)は、液晶性を有するので、各種の保護膜、光学補償膜、光書き込み記録材料などへの応用が可能である。光学補償膜の例は位相差フィルムである。重合体(2)は光学異方性薄膜とすることができるので、これを単独で位相差フィルムとして用いるか、または他の位相差フィルムと組み合わせることができる。そしてこの位相差フィルムを、偏光板、円偏光板、楕円偏光板、色補償板、視覚補償板などに応用することができる。偏光板、円偏光板、楕円偏光板、色補償板、視覚補償板なども、光学補償膜の例である。化合物(1)から光重合により得られる重合体は、熱重合により得られる重合体と同様な用途の他、偏光を用いることによって、ラビングレスの配向膜に応用することができる。
【0085】
液晶ディスプレーに用いられる位相差板は、重合体(2)を有機溶剤に溶解したものを、配向処理した透明基板に塗布し、これをガラス転移点以上の温度に加熱し、次いで放冷することにより、均一に配向した重合体の薄膜(光学異方性薄膜)を形成させて製造する。透明基板は、ガラス板または高分子フィルムである。高分子フィルムの例は、トリアセチルセルロース、JSR(株)製の「アートン」、日本ゼオン(株)製の「ゼオネックス」および「ゼオノア」、三井化学(株)製の「アペル」などである。好ましい塗布方法は、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコード法、デップコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法などである。
【0086】
光学異方性薄膜の厚さは所望の位相差値により異なり、その位相差値は光学異方性薄膜の複屈折率により異なる。好ましい位相差値は大体0.05〜50μmの範囲であり、より好ましい位相差値は大体0.1〜20μmの範囲である。そして、さらに好ましい位相差値は大体0.5〜10μmの範囲である。光学異方性薄膜のヘイズ値は、1.5%以下、より好ましくは1.0%以下であり、透過率で80%以上、より好ましくは85%以上である。可視光領域で透過率がこれらの割合を満たすことが好ましい。ヘイズ値の範囲1.5%以下は、偏光性能に問題を生じさせないために好ましい条件である。透過率の範囲80%以上は、この光学異方性薄膜を液晶表示素子に用いるとき、明るさを維持するために好ましい条件である。
【0087】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。実施例中に記載した相転移温度において、Cは結晶、Nはネマチック相、Chはコレステリック相、SmAはスメクチックA相、SmXは未同定のスメクチック相、Iは等方性液体、Tmは重合体の融点を示す。重合体の重量平均分子量(Mw)、多分散度(Mw/Mn)は、GPC(ゲル・パーミェーション・クロマトグラフィー)による測定値(排除限界1000万のカラムを用い、分子量公知の標準ポリスチレンから換算)から算出した。なお、単位記号Lはリットル(liter)を示す。
【0088】
実施例1
(1-1a)マレイミドのフラン付加体[a]の製造
マレイミド(275g)をジエチルエーテル(3.5L)に溶解した溶液にフラン(1L)を加え48時間還流した。この間、反応が進むに従って反応器の周りに結晶が析出してきた。還流を止めて、室温(20℃)で1日静置すると結晶がさらに析出した。この結晶を濾過して、減圧下で乾燥することによりマレイミドのフラン付加体[a](434g)を得た。
融点:130〜132℃
(1-1b)テトラヒドロフタルイミド−N−エチルアルコールの製造
テトラヒドロフタル酸25gのトルエン50ml溶液にエタノールアミン10gを加え、還流しながらディーンスタークを用いて共沸して出てくる水を除いた。水が出てこなくなるまで還流したとところで反応を止め。全てのトルエン留去すると30gのテトラヒドロフタルイミド−N−エチルアルコールが得られた。融点は70℃であった。
【0089】
(1-2) 液晶骨格(1)の製造
(i)4−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)フェノール(30g)、6−ブロモヘキサノール(27.3g)および炭酸カリウム(39g)をジメチルホルムアミド(300ml)に加え、90℃で3時間攪拌した。反応液を3Nの塩酸1Lに注ぎ込むことによって析出した白色の結晶を、濾過によって分取した。得られた結晶を水でよく洗浄した後乾燥して、4−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゼン(32g)を得た。その相転移温度はC 61 SmX 69 Iであった。
【0090】
前記と同様の方法により、以下の化合物を製造した。
(ii)4−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゼン:C 室温以下 SmX 68 I
(iii)2−(4−n−ノニルオキシフェニル)−5−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ピリミジン:C 53 SmX 87 I
(iv)4−(4−n−ペンチルフェニルエチニル)−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゼン:C 82 N 92.6 I
(v)2−(ヒドロキシヘキシルオキシ)−6−(4−n−ペンチルフェニルエチニル)ナフタレン:C 115 N 140 I
(vi)2−(6−ヒドロキシヘプチルオキシ)−6−(4−プロピルフェニル)ナフタレン:融点147℃
(vii)4−[4−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−1−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゼン
:C 188 N 199.7 I
(viii)2−(4−ヘキシルフェニル)−5−[4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)フェニル]ピリジン: C 180 SmA 200 N 203 I
【0091】
(1-3a) マレイミド誘導体の製造1
マレイミドのフラン付加体[a](15g)、(ii)の4−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゼン(10g)、トリフェニルフォスフィン(14.4g)、テトラヒドロフラン(200ml)からなる溶液にアゾジカルボン酸ジエチルの40%トルエン溶液(27ml)を0℃で加え、室温で12時間攪拌した。水(50ml)、酢酸エチル(200ml)を加えて分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶剤を留去して得られた残査にトルエン(200ml)を加え12時間還流した。トルエンを留去して得られた残査をシリカゲルクロマトグラフィーで精製、エタノールで再結晶を行い、7.5gのN−〔3−[4−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)フェニルオキシ]プロピル〕マレイミド(化合物No.3)を得た。
Figure 0004296821
【0092】
<プロトンNMRの測定値>
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):0.89(3H、t、J=6Hz)1.21〜2.00(16H、m)、3.52(2H、t、J=6.3Hz)、3.90(2H、t、J=6.3Hz)、6.67(2H、s)、6.79(2H、d、J=9Hz)、7.11(2H、d、J=9Hz)
融点: 98℃
【0093】
(1-3b) マレイミド誘導体の製造2
テトラヒドロフタルイミド−N−エチルアルコール(10g)、4−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)フェノール(11g)、トリフェニルフォスフィン(14.6g)、テトラヒドロフラン(200ml)からなる溶液にアゾジカルボン酸ジエチルの40%トルエン溶液(27ml)を0℃で加え、室温で12時間攪拌した。水(50ml)、酢酸エチル(200ml)を加えて分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。トルエンを留去して得られた残査をシリカゲルクロマトグラフィーで精製、エタノールで再結晶を行い、6gのN−〔3−[4−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)フェニルオキシ]エチル〕テトラヒドロフタルイミド(化合物No.120)を得た。
Figure 0004296821
実施例2
実施例1の方法に準じ、以下のマレイミド誘導体を製造した。
(i)化合物No.8
N−〔6−[4−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)フェニルオキシ]ヘキシル〕マレイミド
Figure 0004296821
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):0.89(3H、t、J=6Hz)1.21〜2.00(22H、m)、3.52(2H、t、J=6.3Hz)、3.91(2H、t、J=6.3Hz)、6.67(2H、s)、6.79(2H、d、J=9Hz)、7.11(2H、d、J=9Hz)
融点: 69℃
【0094】
(ii)化合物No.30
N−〔8−[2−(4−ノニルオキシフェニル)ピリミジン−5−イルオキシ]オクチル〕マレイミド
Figure 0004296821
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):0.88(3H、t、J=6Hz)、1.2〜2.0(26H、m)、3.51(2H、t、J=6.3Hz)、4.01(2H、t、J=6.3Hz)、4.14(2H、t、J=6.3Hz)、6.68(2H、s)、6.96(2H、d、J=9Hz)、8.28(2H、d、J=9Hz)、8.42(2H、s)
融点:79℃
【0095】
(iii)化合物No.44
N−[6−〔4−(4−n−ペンチルフェニルエチニル)フェニルオキシ〕ヘキシル]マレイミド
Figure 0004296821
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):0.89(3H、t、J=6Hz)、1.2〜1.9(14H、m)、2.60(2H、t、J=8Hz)、3.53(2H、t、J=8Hz)、3.95(2H、t、J=8Hz)、6.67(2H、S)、6.83(2H、d、J=9.0Hz)、7.13(2H、d、J=9.0Hz)、7.42(2H、d、J=9.0Hz)、7.43(2H、d、J=9.0Hz)
融点:82℃
【0096】
(iv)化合物No.65
N−〔6−[2−(4−プロピルフェニル)ナフタレン−6−イルオキシ]ヘキシル〕マレイミド
Figure 0004296821
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):0.98(3H、t、J=6Hz)、1.30〜2.00(10H、m)、2.65(2H、t、J=8Hz)、3.54(2H、t、J=8Hz)、4.07(2H、t、J=8Hz)、6.67(2H、s)、7.10〜7.31(m)、7.57〜7.94(m)
融点:129℃
【0097】
(v)化合物No.66
N−〔6−〔2−(4−n−ペンチルフェニルエチニル)ナフタレン−6−イルオキシ〕ヘキシル〕マレイミド
Figure 0004296821
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):0.89(3H、t、J=6Hz)、0.80〜2.00(14H、m)、2.62(2H、t、J=8Hz)、3.54(2H、t、J=8Hz)、4.06(2H、t、J=8Hz)、6.67(2H、s)、7.08〜7.20(4H、m)、7.42〜7.73(5H、m)、7.95(1H、s)
融点:105℃
【0098】
(vi)化合物No.73
N−〔6−[4−[4−トランス−(トランス−4−n−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニルオキシ]ヘキシル〕マレイミド
Figure 0004296821
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):0.87(3H、t、J=6Hz)、0.80〜2.00(m)、3.52(2H、t、J=8Hz)、3.90(2H、t、J=8Hz)、6.67(2H、s)、6.83(2H、d、J=9Hz)、7.10(2H、d、J=9Hz)
融点:155.5℃
【0099】
(vii)化合物No.83
N−〔6−〔4−[2−(4−ヘキシルフェニル)ピリジン−5−イル]フェニルオキシ〕ヘキシル〕マレイミド
Figure 0004296821
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):0.88(3H、t、J=6Hz)、1.20〜2.00(16H、m)、2.67(2H、t、J=8Hz)、3.53(2H、t、J=8Hz)、3.99(2H、t、J=8Hz)、6.67(2H、s)、6.99(2H、d、J=9Hz)、7.29(2H、d、J=7.2Hz)、7.55(2H、d、J=9Hz)、7.77〜7.99(4H、m)、8.88(1H、J=1.3Hz)
融点:148℃
【0100】
(viii)化合物No.88
N−[6−〔4−(4’−n−プロピルビフェニルオキシカルボニル)フェニルオキシ〕ヘキシル]マレイミド
Figure 0004296821
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):0.97(3H、t、J=7.3Hz)、1.20〜2.00(10H、m)、2.64(2H、t、J=8Hz)、3.54(2H、t、J=8Hz)、4.04(4H、t、J=8Hz)、6.68(2H、s)、6.94(2H、J=9Hz)、7.15〜7.40(4H、m)、7.40〜7.75(4H、m)、8.15(2H、J=9Hz)
相転移温度:C 127 N 135.3 I
【0101】
(ix)化合物No.89
N−[6−〔4−(4’−シアノビフェニルオキシカルボニル)フェニルオキシ〕ヘキシル]マレイミド
Figure 0004296821
H−NMR(CDCl、90MHz):δ(ppm):1.20〜2.00(8H、m)、3.54(2H、t、J=8Hz)、4.04(4H、t、J=8Hz)、6.68(2H、s)、6.97(2H、J=9Hz)、7.31(2H、J=9Hz)、7.60(2H、J=9Hz)、7.70(4H、m)、8.15(2H、J=9Hz)
相転移温度:C 111 N 202 I
【0102】
実施例3
<ラジカル重合によるマレイミド重合体の製造>
(i)化合物No.3の重合
化合物No.3(0.6g)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN;0.0041g)、テトラヒドロフラン(2ml)をアンプルにとり、−60℃に冷却し、真空ポンプで十分脱気を行い、そして封管した。封管したアンプルを70℃で48時間反応させた。アンプル内の内容物をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、メタノール(100ml)に投入して沈殿させた。この操作を3回行った後、メタノールで十分洗浄し、減圧下で乾燥させ0.4gの重合体[P1]を得た。
重量平均分子量(M):34,000
多分散度(Mw/Mn):1.44
相転移温度:Tm 200 N 250 I
重合体[P1]は、ネマチック液晶相を有する重合体であった。
太陽光に暴露させるために重合体[P1]を室外に置き、耐光性試験を行ったが、1ヶ月経過後も重合体[P1]に曇りや色つきはなかった。即ち、太陽光による重合体[P1]の劣化は確認されなかった。
【0103】
(ii)化合物No.30の重合
化合物No.30(2g)、AIBN(0.0024g)を用い、70℃で72時間で反応した以外は、化合物No.3の重合と同様の操作により0.35gの重合体[P2]を得た。
重量平均分子量(Mw):33,000
多分散度(Mw/Mn):1.46
相転移温度:Tm 60 SmX 130 I
重合体[P2]は、スメクチック液晶相を有する重合体であった。
【0104】
(iii)化合物No.65の重合
化合物No.65(0.34g)、AIBN(0.0019g)、テトラヒドロフラン(1.5ml)を用い、70℃で48時間で反応した以外は、化合物No.3の重合と同様の操作により、0.2gの重合体[P3]を得た。
重量平均分子量(Mw):36,000
多分散度(Mw/Mn):1.43
相転移温度:Tm 165 N 214 I
重合体[P3]は、ネマチック液晶相を有する重合体であった。
【0105】
(iv)化合物No.73の重合
化合物No.73(0.4g)、AIBN(0.002g)、テトラヒドロフラン(3ml)を用い、70℃で48時間で反応した以外は、化合物No.3の重合と同様の操作により、0.31gの重合体[P4]を得た。
重量平均分子量(Mw):38,000
多分散度(Mw/Mn):1.40
相転移温度:Tm 240 N 280 I
重合体[P4]は、ネマチック液晶相を有する重合体であった。
【0106】
(v)化合物No.83の重合
化合物No.83(0.45g)、AIBN(0.0022g)、テトラヒドロフラン(3ml)を用い、70℃で48時間で反応した以外は、化合物No.3の重合と同様の操作により、0.4gの重合体[P5]を得た。
重量平均分子量(Mw):16,000
多分散度(Mw/Mn):1.43
相転移温度: Tm 175 SmX 290℃以上 I
(透明点は、測定機器の測定限界以上で測定できなかった)
重合体[P5]は、スメクチック相を有する重合体であった。
【0107】
実施例4
<アニオン重合によるマレイミド重合体の製造>
(i)化合物No.44の重合
化合物No.44(0.5g)のテトラヒドロフラン(2ml)溶液を−10℃に冷却し、そこへn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度1.56mol/l)0.027mlを加え、10℃を保ちながら8時間攪拌した。反応液をメタノール(100ml)に注いで反応を止め、メタノール(100ml)で2回再沈殿して精製した。2日間減圧下で乾燥し、0.4gの重合体[P6]を得た。
重量平均分子量(M):33,000
多分散度(Mw/Mn):1.23
相転移温度:Tm 210 N 260 I
重合体[P6]は、室温においてネマチック液晶相を有する重合体であった。
【0108】
(ii)化合物No.66の重合
化合物No.66(1g)、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度1.56mol/l)0.039ml、テトラヒドロフラン(6ml)を用い、−10℃で8時間で反応した以外は、化合物No.44の重合と同様の操作により、0.52gの重合体[P7]を得た。
重量平均分子量(Mw):37,000
多分散度(Mw/Mn):1.26
相転移温度:Tm 230 N 290℃以上 I
(透明点は、測定機器の測定限界以上で測定できなかった)
重合体[P7]は、ネマチック液晶相を示す重合体であった。
【0109】
以上の実施例の結果から判るように、化合物(1)の単独重合により得られる重合体(2)は液晶性の重合体であり、従来のアクリル系重合体よりも高い透明点を示す。このことから、120℃以上の透明点を持つ耐熱性重合体が必要とされる位相差板などの材料に、好適に使用できる。
【0110】
実施例5
<共重合によるコレステリック重合体の製造>
化合物No.65(0.2g)、光学活性マレイミド(OPM−5)(0.04g)、AIBN(0.0013g)、テトラヒドロフラン(2ml)をアンプルにとり、−60℃に冷却し、真空ポンプで十分脱気を行い、そして封管した。封管したアンプルを70℃で48時間反応させた。アンプル内の内容物をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、メタノール(100ml)に投入して沈殿させた。この操作を3回行った後、メタノールで十分洗浄し、減圧下で乾燥させ、0.1gの重合体[CP1]を得た。500HzプロトンNMRの測定により算出した共重合割合は、No.65:OPM−5=73:27であった。
重量平均分子量(M):20,000
多分散度(Mw/Mn):1.40
相転移温度:Tm 130 Ch 137 I
重合体[CP1]は、コレステリック液晶相を示す重合体であった。
【0111】
実施例6
<光学補償膜の製造>
実施例3で製造した重合体[P1]をN−メチルピロリドンに溶解し、[P1]含有率20重量%の溶液を調製した。この溶液をラビングポリイミド膜を有するガラス基板にスピンコートにより塗布し、溶媒を蒸発させて除去した。その後220℃で30分間熱処理し、熱処理後、冷却して配向を固定化した。得られたガラス基板上のフィルムはラビング方向と同一方向に配向しており、配向欠陥のない均一(0.5μm)なフィルムであった。
【0112】
実施例7
<光重合によるマレイミド重合体フィルムの製造>
化合物No.3(100mg)、光重合開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(4mg)からなる組成物を調製した。ポリフッ化エチレン製の板とガラス板を、セルギャップが50ミクロンとなるように張り合わせたセルを作製した。このセルに前記の組成物を100℃で注入した。高圧水銀灯(120W/cm)を用い、同温度を保持したまま、ガラス面側から10分間紫外線を照射した。照射後セルを室温に戻し、ガラス板とポリフッ化エチレン製の板を剥離してフィルムを得た。このフィルムはムラがなく透明であった。この重合体の重量平均分子量は55,000であった。鉛筆硬度試験では3Hを示し、硬度が大きいことが判った。
【0113】
実施例8
<液晶配向膜の製造>
重合体[P1]をクロロホルムに溶解して、1重量%の溶液を調製した。この溶液をITO膜を有するガラス基板にスピンコートした後、十分乾燥させ薄膜を得た(膜厚30nm)。ついでラビングによる配向処理を行い、ツイステッドネマチック用の液晶表示素子を作製した。偏光板を取り付け、液晶配向性、電気応答性を調べた。その結果、液晶が均一に配向しており、本発明の重合体が配向膜として優れていることが判った。また電界に対する光学応答も早く液晶表示素子として優れていることが判った。
【0114】
【発明の効果】
本発明のマレイミド誘導体(1)は重合反応性が高く、重合反応により高分子量の重合体を得ることができる。化合物(1)の単独重合体または共重合体である重合体(2)は、液晶性を示し、耐熱性、耐光性、硬度、透明性、配向性および基板への塗布性などのいくつかにおいて改良された物性を有する。重合体(2)は、位相差フィルムなどの光学補償膜、液晶配向膜、光書き込み記録材料などに使用できる。

Claims (13)

  1. 式(1)で表されるマレイミド誘導体。
    Figure 0004296821
    式(1)において、Rは水素、フッ素、塩素、−CN、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、炭素数1〜12の直鎖のアルキルまたは炭素数1〜12の直鎖のアルコキシであり;RおよびRは独立して水素または炭素数1〜4のアルキルであり、そしてRおよびRが共にアルキルの場合には、アルキルの末端が結合して環を形成してもよい;A、AおよびAは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである;ZおよびZは独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CF O−、−OCF −、−CH O−、−OCH −、−CH=CH−、−CH CH −または−C≡C−である;mは1または0であり、nは1〜20の整数である。但し、mが0であり、AおよびAが1,4−フェニレンであり、そしてZが単結合であるとき、Rは−CNではない。
  2. mが0である、請求項1に記載のマレイミド誘導体。
  3. mが1である、請求項1に記載のマレイミド誘導体。
  4. 少なくとも2つの重合性化合物を含有し、その少なくとも1つが請求項1に記載のマレイミド誘導体から選ばれる化合物である重合性組成物。
  5. 重合性化合物のすべてが請求項1に記載のマレイミド誘導体から選ばれる化合物である、請求項に記載の重合性組成物。
  6. 請求項1に記載のマレイミド誘導体から選ばれる少なくとも1つと、請求項1に記載のマレイミド誘導体以外の重合性化合物の少なくとも1つとを含有する、請求項に記載の重合性組成物。
  7. 式(2)で表される構成単位を有する重合体。
    Figure 0004296821
    式(2)において、Rは水素、フッ素、塩素、−CN、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、炭素数1〜12の直鎖のアルキルまたは炭素数1〜12の直鎖のアルコキシであり;RおよびRは独立して水素または炭素数1〜4のアルキルであり、そしてRおよびRが共にアルキルの場合には、アルキルの末端が結合して環を形成してもよい;A、AおよびAは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである;ZおよびZは独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CF O−、−OCF −、−CH O−、−OCH −、−CH=CH−、−CH CH −または−C≡C−である;mは1または0であり、nは1〜20の整数である。但し、mが0であり、AおよびAが1,4−フェニレンであり、そしてZが単結合であるとき、Rは−CNではない。
  8. 請求項1に記載のマレイミド誘導体から選ばれる1つの化合物を単独重合させて得られる、請求項に記載の重合体。
  9. 請求項に記載の重合性組成物から得られる、請求項に記載の重合体。
  10. 請求項に記載の重合性組成物から得られる、請求項に記載の重合体。
  11. 請求項7〜10のいずれか1項に記載の重合体を含有する光学補償膜。
  12. 請求項7〜10のいずれか1項に記載の重合体を含有する光書き込み記録材料。
  13. 請求項7〜10のいずれか1項に記載の重合体を含有する液晶配向膜。
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