JPWO2007013232A1 - プレコート金属板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は,耐食性に優れるとともに、沸き欠陥の発生を防止するために塗膜厚を薄くしても鮮やかな色を発現できることから外観の意匠性に優れるプレコート金属板及びその製造方法を提供する。プレコート金属板は、金属板の片面または両面に、プライマー塗膜層、中塗り塗層膜及びトップ塗膜層を順次積層して複層塗膜が形成された複層プレコート金属板であって,プライマー塗膜層はSiとPのいずれか一方または双方を含み、複層塗膜中の中塗り塗膜層とトップ塗膜層との間に液々界面痕跡界面があり、前記液々界面痕跡界面の微細凹凸の大きさは中心線平均粗さ(Ra)で表現して0.3〜0.8μmであり、中塗り塗膜層はTi系添加剤を含むことを特徴とする。

Description

本発明は,意匠性と耐食性に優れるプレコート金属板及びその製造方法に関し,特に,鮮やかな赤系色,黄系色,オレンジ系の色の意匠外観を有するとともに,家電用,建材用,土木用,機械用,自動車用,家具用,容器用等の用途において,耐食性に優れ,更には塗膜の加工性にも優れるプレコート金属板に関する。
従来,家電用,建材用,自動車用等の用途においては,加工後塗装されていたポスト塗装製品が使用されていたが,このポスト塗装製品に代わって,着色した塗膜を被覆したプレコート金属板が使用されるようになってきている。この金属板は,金属用前処理を施した金属板に塗料を被覆したもので,塗料を塗装した後に成形加工されて使用されることが一般的である。
産業界において,プレコート金属板を量産する一般的な方法としては,ロールコーターまたはカーテンコーターと呼ばれる塗装設備を有するコイルコーティングラインと呼ばれる連続塗装設備が知られている。しかし,コイルコーティングラインでは,比較的高速で金属板上に塗装を行い,短時間でこれを焼付け硬化することが一般的であることから,塗膜が厚い場合は,短時間焼付け時に沸き(一般にボイリングとも呼ばれる)と呼ばれる塗装欠陥が発生し易い。そのため,従来のプレコート金属板では,単層の場合はその膜厚が1〜25μm程度,複層の場合は各層の膜厚が1〜25μm程度であることが一般的である。
なお,これらプレコート金属板に関する技術に関しては,例えば,植田ら著「プレコート金属板の技術動向」(色材,1999年,72(8),51頁)等に開示されている。
ところで,プレコート金属板の塗膜色を白及び黒以外の色に着色した場合,白及び黒以外の色は隠蔽性が低いため,膜厚が薄いと原板である金属板の素地の色が透けて,黒味がかった色となってしまう。特に,赤系,黄系,オレンジ系の色に着色した場合,この傾向が強いのが一般的である。これらの色に隠蔽性を持たせ,鮮やかな色を発現させるためには,厚膜(一般的には50μm超)塗装しなければならないが,このプレコート金属板をコイルコーティングラインで製造すると,沸き欠陥が発生してしまう,という問題があった。
一方,自動車等に用いる金属板を成形した後にスプレー等によって塗装を施すポストコート塗装においては,耐食性機能を持たせた電着塗装を施した上に,サーフェサーと呼ばれる隠蔽性の高いベースコートを施し,更にその上に着色したトップ塗装を施すことで,鮮やかな色を発現させる技術がある。しかしながら,これら自動車用塗料は,加工後に塗装焼付けすることが一般的であり,同塗料を塗装後に加工すると加工部で塗膜割れや剥離が発生するため,このような塗膜をプレコート金属板に適用することは困難であった。また,一般に公知のプレコート金属板用の塗料を用いて,同様の考え(耐食性塗膜と中塗り塗膜と着色トップ塗膜を積層した3コート仕様と言う考え)でプレコート金属板を作製しても,プレコート金属板の場合は自動車用塗料と異なり短時間で焼付けされるため,「沸き」欠陥発生防止の関係上,自動車用塗料のように各層を厚膜で塗装することが困難である。そのため,薄膜で塗装しなければならず,薄膜で塗装すると鮮やかな外観を発現することができないため,プレコート金属板で外観と耐食性とを両立することは困難であった。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,耐食性に優れるとともに,上述した沸き欠陥の発生を防止するために塗膜厚を薄くしても鮮やかな色を発現できることから外観の意匠性に優れる,新規かつ改良されたプレコート金属板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは,上記課題を解決すべく,塗膜厚の薄いプレコート金属板で鮮やかな色を発現させるために鋭意検討した結果,着色した塗膜層(以降,トップ塗膜層と称する)の下層にTiを多量に含む塗膜層(以降,中塗り塗膜層と称する)を設けることで,中塗り塗膜層にて素地の金属板の色を隠蔽することが可能となり,その上に塗装したトップ塗膜層の色を鮮やかに発現させることができること、更には、少なくとも中塗り塗膜層とトップ塗膜層とを多層同時コートして、中塗り塗膜層とトップ塗膜層との間の界面に液々界面痕跡界面を有しその液々界面痕跡界面の微細凹凸が中心線平均粗さ(Ra)で0.3〜0.8μmあることで、トップ塗膜層と中塗り塗膜との界面で可視光線がより拡散反射するため、金属板まで可視光線が届きにくくなるため、金属板の色をより隠蔽し、トップ塗膜層の色をより鮮やかに発現させることができることを見出した。ただし,中塗り塗膜層とトップ塗膜層のみではプレコート金属板の耐食性が担保できないため,本発明者らは,中塗り塗膜層の下層にSiとPのいずれか一方または双方を添加した塗膜層(以降,プライマー塗膜層と称する)を設けることで,耐食性に優れ,且つ,トップ塗膜層の原色系の色を鮮やかに発現できるプレコート金属板が得られることを見出した。
本発明は,かかる知見に基づいて完成されたものであって,本発明がその要旨とするところは,以下の通りである。
(1)金属板の片面または両面に,プライマー塗膜層,中塗り塗膜層及びトップ塗膜層を順次積層して複層塗膜が形成された複層プレコート金属板であって:
前記プライマー塗膜層は,SiとPのいずれか一方または双方を含み,
前記複層塗膜中の中塗り塗膜層とトップ塗膜層との間に液々界面痕跡界面があり、前記液々界面痕跡界面の微細凹凸の大きさは中心線平均粗さ(Ra)で表現して0.3〜0.8μmであり、
前記中塗り塗膜層は,Ti系添加剤を含むことを特徴とする,鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(2)前記トップ塗膜層は,Ti系添加剤以外の着色顔料を含み、Ti系添加剤を含まないことを特徴とする,上記(1)に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(3)前記中塗り塗膜層は,Ti系添加剤に加えてTi系添加剤以外の着色顔料を含むことを特徴とする,上記(1)または(2)に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(4)前記中塗り塗膜層に含まれるTi系添加剤の添加量が40mass%以上であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(5)前記Ti系添加剤が酸化チタンであることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(6)前記トップ塗膜層中のTi系添加剤以外の着色顔料が,赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色の顔料であることを特徴とする,上記(1)〜(5)のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(7)前記トップ塗膜層が赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色の顔料で着色されており、且つ、前記中塗り塗膜層にTi系添加剤に加えて、赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色の(顔料を含むことを特徴とする,上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(8)前記液々界面痕跡界面を500倍の倍率で観察した場合に界面のうねりの中心線からの最大高さが界面の上に位置する層の該中心線から測定した高さが50%以下であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(9)前記プライマー塗膜層,前記中塗り塗膜層及び前記トップ塗膜層の各膜厚は,それぞれ1〜30μmの範囲内にあり,前記複層塗膜の全膜厚が50μm以下であることを特徴とする,上記(1)〜(7)のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(10)前記各塗膜層の破断伸び率が23℃のときに100%以上であることを特徴とする,上記(1)〜(9)のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(11)最表層の塗膜が、(A)ガラス転移温度が5〜30℃であり、(B)23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で2.5N/mm以上であり、(C)23℃での破断伸び率が100%以上であり、(D)前記最表層の塗膜の鏡面光沢度が入射角及び受光角をそれぞれ60°の条件で測定したときに60%以上であることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(12)25mm以上の成形高さに深絞り成形された、上記(11)に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(13)前記Ti系添加剤の粒径が0.2〜0.3μmであることを特徴とする、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(14)前記トップ塗膜層に含まれる粒子の粒径が0.1μm以下であることを特徴とする、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
(15)上記(1)〜(14)のいずれかに記載のプレコート金属板の製造方法であって:
金属板の片面もしくは両面に,プライマー塗膜層,中塗り塗膜層及びトップ塗膜層のうちの少なくとも2層を,多層同時塗布方式によって塗布することを特徴とする,鮮やかな色調を有するプレコート金属板の製造方法。
(16)多層同時塗布方式によって塗布する隣接する2層のうち上層の塗料にレベラーを添加して、中塗り塗膜層の塗料とトップ塗膜層の塗料の表面張力の差を1.2mN/m以上5mN/m未満とすること、且つ、各層の塗料として、その表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満である塗料を使用することを特徴とする、上記(15)に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板の製造方法。
(17)同時塗布方式によって塗布する隣接する2層のうちトップ塗膜層と中塗り塗膜層の両方の塗料にレベラーを添加して、中塗り塗膜層の塗料とトップ塗膜層の塗料の表面張力の差を0.3mN/m以上3.7mN/m未満とすること、且つ、各層の塗料として、その表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満である塗料を使用することを特徴とする、上記(15)に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板の製造方法。
本発明によれば,耐食性に優れ,且つ意匠性にも優れるプレコート金属板及びその製造方法を提供することが可能となる。したがって,本発明に係るプレコート金属板を使用すれば,これまでポストコートでしか対応ができなかった鮮やかな原色系の色の金属部品を製造することが可能となる。
図1は本発明のプレコート金属板の模式横断面図である。
図2Aと図2Bは、本発明によるプレコート金属板の下層塗膜層と上層塗膜層の界面を説明する図である。
図3は、プレコート金属板の塗膜界面のRa評価方法を説明する図である。
図4は、多層同時コートの下層が顔料を含む場合の界面を説明する図である。
図5は、スライドホッパー型カーテン塗装装置の模式斜視図である。
図6はプレコート金属板の塗膜の破断伸び率測定方法の折り曲げ法について示す説明図である。
図7は、プレコート金属板の製造処理ラインを説明する模式図である。
図8は、プレコート金属板の塗膜カジリ性を評価するドロービード試験方法を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明は,図1を参照すると、金属板11の片面または両面に(図1では片面のみに),プライマー塗膜層12,中塗り塗膜層13,トップ塗膜層14を順次積層して複層塗膜が形成された複層プレコート金属板であって,トップ塗膜層が白系または黒系以外の色で着色されている場合でも,プライマー塗膜層は,SiとPのいずれか一方または双方を含み,且つ、前記複層塗膜中の中塗り塗膜層とトップ塗膜層との間に液々界面痕跡界面があり、かつその界面の微細凹凸の大きさが中心線平均粗さ(Ra)で表して0.3〜0.8μmであり、且つ,中塗り塗膜層がTi系添加剤を含むことで金属板の色を隠蔽することができる。特に,トップ塗膜層がTi系添加剤を含まない場合や,赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色で着色されている塗色の場合に金属板の色の隠蔽効果をより発揮する。
本発明のプレコート金属板のベースとなる金属板としては、例えば、鋼板、アルミニウム板、チタン板などを使用することができるが、金属板はこれらに限定されるものではない。
使用可能な鋼板の例としては、冷延鋼板、熱延鋼板、亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、クロムめっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、錫めっき鋼板等の鋼板を挙げることができる。鋼板には、必要に応じて下地処理(塗装前処理)を施すことができる。下地処理としては、水洗、湯洗、酸洗、アルカリ脱脂、研削、研磨、クロメート処理、リン酸亜鉛処理、複合酸化皮膜処理その他のノンクロメート型の処理等がある。これらを単独又は組み合わせて、鋼板の塗装前処理を行うことができる。
なお,本発明におけるプライマー塗膜層とは,金属板上に直接,または,化成処理を施した金属板上に直接塗装される塗膜層のことである。また,中塗り塗膜とは,プライマー塗膜層上に塗装した塗膜層で,トップ塗膜層とは,中塗り塗膜上に塗装した塗膜層である。本発明において,トップ塗膜層は,1層または2層以上のいずれでもよい。トップ塗膜層が1層の場合は,白系または黒系以外の色で着色された塗膜層のみを塗装することができ,2層以上の場合には,上記着色層の上にメタリック顔料を含むクリヤー塗膜層や顔料等を含まないクリヤー塗膜層を積層することができる。
本発明のプライマー塗膜層中には,SiとPのいずれか一方または双方が含まれる必要がある。本発明では,プライマー塗膜層に金属板の防錆機能を付与することを特徴の1つとしている。SiやPを含む化合物は防錆機能を有しており,且つ,化合物の色が白色であるため,この上に中塗り塗膜層と鮮やかな原色系の色に着色されたトップ塗膜層を薄膜で施したときに,着色層の色が鮮やかとなる。プライマー塗膜層中にSiやPを含ませる手法としては,SiやPを含む化合物をプライマー塗膜層中に添加する方法がある。
SiやPを含む化合物としては,一般に公知の化合物,例えば,シリカ,Caイオン交換シリカ,リン酸亜鉛,トリポリリン酸アルミニウム等のSiもしくはPを含有する化合物を使用することができる。これらの化合物は,試薬として市販されているものや顔料等の工業製品として市販されているものを使用しても良い。これらの化合物は複数種併用して添加しても良い。特に,Caイオン交換シリカまたはトリポリリン酸二水素アルミニウムは,塗装概観が美麗となり,且つ,耐食性に優れるため,特に好適である。Caイオン交換シリカはGRACE社製の”SHIELDEX(登録商標)”を,トリポリリン酸二水素アルミニウムはテイカ社製の”K−WHITE”等を使用することができる。
Si化合物やP化合物の添加量は,必要に応じて変更することができるが,Si化合物もしくはP化合物の添加量,これらを併用もしくは複数種用いた場合はその合計添加量が,乾燥塗膜中に5〜60mass%であるとより好適である。5mass%未満では耐食性に劣り,60mass%超では塗膜が脆くなり加工性が劣る恐れがある。なお,プライマー塗膜層中には,必要に応じて他の顔料や化合物を添加しても良い。
本発明のプレコート金属板は,前記複層塗膜中の中塗り塗膜層とトップ塗膜層との間に液々界面痕跡界面を有する。液々界面痕跡界面は、本発明が採用する多層同時塗付法で多層の液層を同時に塗布した際にその多層の液層の間に液々界面であるがゆえに形成される独特の界面であり、これは下層を塗工(乾燥、焼付け)した後で上層を塗工したした場合には決して見られない独特の界面である。プレコート金属板の複層塗膜の断面を観察すると、500倍程度の低倍率拡大写真では上下の塗膜の間の界面にうねりが見られ、かつ、5000倍程度の高倍率で観察した場合には上下層が液相同士の際に互いに貫入しあって形成された波状の微細な凹凸が見られる。これらのうねりと微細凹凸の形状は、液々界面独特の形状である。この液々界面に由来する独特の微細凹凸が乱反射による隠蔽作用に寄与している。
多層同時コートにより製造される本発明のプレコート金属板の断面を500倍で観察すると、図2Aに模式的に示したように、下層塗膜層101と上層塗膜層103の界面105にうねりが認められる。一般に、うねりのピッチ(図中の距離P)は0.5〜1mm程度である。塗膜層界面105を更に高倍率の5000倍で観察すると、図2AのBで示した部分の拡大図に相当する図2Bに模式的に示したように、界面105に液々界面に由来する独特の形状の微細な凹凸が認められる。
本発明のプレコート金属板は,前記複層塗膜中の中塗り塗膜層とトップ塗膜層との間に多層同時塗工に由来する液々界面痕跡界面を有し、かつ、その液々界面痕跡界面の微細凹凸の大きさを中心線平均粗さ(Ra)法で測定して0.3〜0.8μmにすることで(以下、簡単に「界面の中心線平均粗さ(Ra)」ともいう。)、中塗り塗膜層とトップ塗膜層との界面で可視光線がより拡散反射するため、より鮮やかなトップ塗膜の色を発現することができる。各塗膜層間中塗り塗膜層とトップ塗膜層との界面のRaが0.3μm未満であると,原板の色を隠蔽しきれずに、鮮やかな塗装色を発現することが困難となり、黒く濁った塗装色となってしまう。また、中塗り塗膜層とトップ塗膜層との界面のRaを0.3〜0.8μmにすることで、両塗層界面の密着性も向上するため、より好適である。同界面のRaが0.3μm未満の場合は、当該塗膜界面の密着性も低下する恐れがある。一般に,塗膜を積層した場合,塗膜の密着性は,塗膜間の化学結合や水素結合,ファンデルワールス力等の物理結合によって保たれているが,塗膜層間のRaを0.3μm以上にすることで,これらの密着力に加えてアンカー効果による密着力が付与される。ただし,0.8μm超では,トップ塗料まで塗装したときの外観に影響して,光沢が低下する恐れがあるため,好ましくない。
ここで,本発明において,多層同時コートで形成した上下の塗膜層間の界面の微細な凹凸は、材料の表面粗さを表すのに用いられる中心線平均粗さRa(JIS B 0601)を求めることで、規定することができる。すなわち、5000倍で観測したときの界面105の曲線を粗さ曲線と見立てて、Raを求めることができる。
例えば、塗装した金属板を切断して樹脂に埋め込んだ後に研磨することで、塗膜の表面に垂直な断面を平滑にして、5000倍の走査型顕微鏡で写真撮影した後に、その界面のRaを求めることができる。具体的には、界面のRaは、写真の上にOHPに用いられる透明シートをかぶせて、界面の凹凸を精密にトレースした後に、図3に示す様に、縦線の部分の面積を画像処理装置で測定して、その平均値として次の式から求めることができる。
Ra=(∫ |f(x)|dx)/l
式中のlは図3に示した中心線方向の測定長さである。
更に簡便に界面のRaを測定するには、写真の上にOHPに用いられる透明シートをかぶせて界面の凹凸を精密にトレース後、図3の中心線に相当する平均線を引いて、凹凸に沿って透明シートを切り取り、平均線の上下の山の部分と谷の部分の重量を測定して、その重量を平均長さに換算してRaを求めてもよい。
多層同時コートで形成した塗膜層の界面の微細凹凸をこのようにして調べると、中心線平均粗さRaの値は、一般に0.3μm以上であり、最低でも0.25μm程度であることが判り、その上限は一般に0.7〜0.8μm程度であることが判った。この関係は、多層同時コートで形成した3層以上の塗膜でも同様に認められ、この場合、隣接する2層間の界面について、5000倍の高倍率で観測される中心線平均粗さRaは、やはり一般に0.3μm以上、最低でも0.25μm程度であり、その上限は一般に0.7〜0.8μm程度であった。一方、従来の単層コート法で形成した塗膜層を重ねた多層塗膜の場合には、界面のRaは0.15〜0.25μm程度であり、5000倍の顕微鏡写真で見ると、本発明による塗膜層との差異は明確なものであった。
図2Aを参照して述べた液々界面痕跡界面のうねりについて検討すると、図2Aに示した界面105のうねりの山111と谷113の中心線Cから測定した最大高さHが、中心線Cからトップ塗膜層の上面までの距離として表されるトップ塗膜層の厚さtの50%を超えないことが望ましい。この値が50%を超えると色むらが観測される場合があるからである。
本発明においては、上記のようにうねりのある界面の中心線からトップ塗膜層の上面までの距離として表される厚さtを、トップ塗膜層の平均膜厚とする。同様に、中塗り塗膜層の下面からトップ塗膜層との界面の中心線までの距離として表される厚さを、中塗り塗膜層の平均膜厚とする。トップ塗膜層を2層以上塗付する場合には、中塗り塗膜層の直上に同時塗布されるトップ塗膜層の厚さをtとすることがより好ましい。
図4に示したように、中塗り塗膜層101に顔料107が含まれ、そして顔料107の一部がうねりのある界面105の山111の部分に存在する場合、顔料107の上部が界面111に接すること、あるいは界面111からトップ塗膜層103に突き出すことがある。顔料107が界面111から突き出した場合の上記の最大高さHは、顔料107の界面111から突き出した部分の輪郭107aを界面と見立てて決定される。
塗膜層間の界面に上記範囲のRaを付与するには,多層同時塗布で達することができる。多層同時塗布(多層同時コート)とは,スロットダイコーターもしくはスライドホッパー式のカーテンコーター等の複数層の塗液を同時に積層した状態で基材に塗布し,その後,塗布された複数層の塗液を同時に乾燥焼付けする方法である。このように,未乾燥状態の塗液を積層して同時塗布することにより,積層塗膜の界面付近で各層の塗液が極僅かに混じり合い,これにより界面に液々界面由来の痕跡界面として微細凹凸(即ちRa)を発生させることができる。一般には,多層同時塗布によって2層以上の塗膜塗装すると,これら塗膜界面のRaは0.3〜0.8μmとなる。
本発明のプレコート金属板の塗膜は、多層同時コート装置を用いて形成される。そのような装置の代表的なものであるスライドホッパー型カーテン塗装装置の模式斜視図を図5に示す。
図5を参照して、スライドホッパー1には、3層の塗料がギアポンプ(図示せず)等により定量的に送り出される塗料供給孔8およびスリット6が設置されている。スライド面7の唇部7Aの両端部に接するようにチェーン状のカーテンガイド3が設けられている。該唇部7Aの下方には塗料パン5が設置され、カーテンガイド3は塗料パン5の底部まで垂らしている。塗料Pはスライドホッパー1の各々の塗料供給孔8からスリット6を通してスライド面7に幅方向均一に供給され、スライド面7上で積層される。積層された塗料は、スライド面7の先端部(唇部7A)から塗料パン5に落下する際にカーテンガイド3により拡げられるため、塗料のカーテン4として幅方向に均一な液膜として流れ落ちる。この液膜に帯状の金属板、例えば鋼帯2を通板することにより、鋼帯2の面上に複数層の塗料を同時に塗布することができる。
スライドホッパー型カーテン塗装装置を用いると、複数層同時塗装を金属板面と非接触で行うため、ロールコータでは避けることができないローピングが発生することはない。また、塗料膜が複数層(積層体)のカーテン4であるため、カーテン4の総膜厚が安定する膜厚以上、すなわち、乾燥膜厚で20μm程度であれば、1層の塗料膜厚が数μmでも塗装することが可能である。したがって、中塗り塗膜層の塗膜とトップ塗膜層の塗膜を同時に塗装することにより、ローピングが発生することのない外観が美麗な塗装金属板を得ることができる。
また、多層同時コートを一般的に説明するためにトップ塗膜層を上層、中塗り塗膜層を下層といい、さらにトップ塗膜層あるいは中塗り塗膜層が2層以上からなる場合をも考慮して広く下層と上層として説明すると、上層にレベラーを添加すると、上層と下層との界面のRaを制御できるため、好適である。特に上層塗膜にレベラーを添加することで塗料表面張力を調整し、上層にレベラーを添加しないものと比べて色調の程度が改善する。そして、上層のみにレベラーを添加する場合において、上層と下層の表面張力の差が1.2mN/m以上、5mN/m未満であると、色調の低下防止と密着性を両立する上で好適である。その理由として、限定するわけではないが、以下の様な仮説を考えることができる。上層の塗料が下層の塗料の上に広がるためには、界面の力の釣り合いより、次式の関係が成り立つことが必要と考えられる。
S=σ(下層)−σ(上層)−γ(上層と下層間)>0
ここで、σは表面張力、γは界面張力を表す。
したがって、
σ(下層)−σ(上層)>γ(上層と下層間)
の関係が必要であると考えられ、言い換えれば、下層の表面張力が上層の表面張力よりも界面張力分より大きくなければ、上層塗料は下層塗料の上に広がらないと考えられる。上層塗料が濡れ広がろうとする力は、マランゴニ対流による上層と下層の界面を乱して界面を広げようという力を抑制する方向に働くと考えられる。そして、上層と下層の塗料の表面張力の差が1.2mN/m以上、5mN/m未満であると、塗層焼付けした後の上層と下層の塗膜の界面のRaが0.3〜0.8μmとなり、好適となることを発明者らは知見した。
多層塗料膜の上層に表面調整剤としてのレベラーを添加して色調が向上する効果は、上層の表面張力を均一に低下させて、溶剤の不均一な蒸発を抑制することによるものと考えられる。
また、上層(トップ塗膜層)のみならず下層(中塗り塗膜層)にもレベラーを入れると、上層の表面張力が下層の表面張力よりも低いときに、塗層焼付けした後の上層と下層の塗膜の界面のRaを0.3〜0.8μmに制御できる条件がある。この現象は、下層の塗料が、さらに下の層(多層同時コートで一緒に形成する別の塗料の層、もしくは鋼板原板あるいはその上のプライマー層)上に広がりやすくなり、下層塗料が局部的に盛り上がる現象が抑制されるためと推測される。上層(トップ塗膜層)と下層(中塗り塗膜層)にレベラーを添加した場合には、上層(トップ塗膜層)と下層(中塗り塗膜層)の表面張力の差が0.3mN/m以上、3.7mN/m未満であると、上層と下層の塗膜の界面のRaが0.3〜0.8μmとなり、好適となることを発明者らは知見した。
本発明において、レベラーとは、塗料の表面調整剤の一種で、レベリング剤とも呼ばれ、塗料の表面を均一化する特性を有する添加剤である。本発明に使用できるレベラーとしては、アクリル系レベラーや、シリコーン系レベラーがある。例えば、非シリコーン系のものとして、ホモゲノールL18、ホモゲノールL95、ホモゲノールL1820(花王社)、BYK057、BYK051、BYK052、BYK053、BYK055、BYK077(BYK−Chemie社)等が、シリコーン系のものとして、ホモゲノールL100(花王社)、BYK080、BYK141、BYK065、BYK066、BYK070、BYK088(BYK−Chemie社)等が挙げられる。
多層同時コートで製造した製品プレコート鋼板の塗膜中のレベラーは、製品の塗膜を剥離して、溶媒中で未反応高分子を抽出し、抽出後の溶媒を加熱、濃縮した後に、赤外線吸光分析で検出できる。
本発明のプレコート金属板は,中塗り塗膜層中にTi系添加剤が含まれる必要がある。Ti系添加剤としてのTi化合物,特に酸化チタンは,塗膜中に添加した場合,塗膜の隠蔽性が高く,素地原板(金属板)の色を隠蔽する効果が高いため,原色系のトップ塗膜層の下にこれを被覆することで,塗膜の色をより鮮やかにすることができる。中塗り塗膜層中に含まれるTi化合物としては,例えば,酸化チタン,チタン酸バリウム,チタン酸ストロンチウム等を用いることができる。市販のものを使用しても良い。これらチタン化合物の表面を他の金属や樹脂等でコーティングしてあるタイプのものを使用しても良い。市販の酸化チタンとしては,石原産業社製の「タイペーク」,テイカ社製「TITANIX」等を使用することができる。
中塗り塗膜中のTi系添加剤の粒径は、好ましくは0.1〜0.3μm、より好ましくは0.2〜0.3μmである。Ti系添加剤の粒径が0.1μmより小さいと隠蔽効果が不測する場合があり、また0.3μmより大きいとトップ塗膜と中塗り塗膜の界面のRaを必要以上に大きくする場合があるからである。しかし、中塗り塗膜中のTi系添加剤の粒径は特には限定されず、たとえば、かなり大きい粒子も使用でき、必要に応じて上記の範囲外の粒径を有するものも使用できる。
中塗り塗膜中のTi系添加剤の添加量は,必要に応じて適宜選定することができるが,乾燥塗膜中に40mass%以上、より好ましくは40〜60mass%であるとより好適である。40mass%未満では隠蔽性が足りないため,トップ塗膜を塗装したときに鮮やかな原色系の色が発現されない恐れが有る。また、乾燥塗膜中に40mass%以上のTi系添加剤を中塗りに添加した塗料とトップ塗料とを多層同時塗布で塗布すると、中塗り塗膜層とトップ塗膜層との界面にTi系添加剤が濃化しやすく、その為、界面付近で可視光線がより拡散反射しやすくなるために、隠蔽性が増し、より鮮やかな原色系の色が発現される。ただし,60mass%超では塗膜が脆くなり,加工性が劣る恐れがある。なお,中塗り塗膜層中には必要に応じて他の顔料や化合物を更に添加しても良い。
本発明のプレコート金属板のトップ塗膜層は,白系または黒系以外の色で着色されている場合,特に,Ti系添加剤を含まない場合や,赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色で着色されたものであるとより効果的である。さらに,Ti系添加剤を含まず,且つ,赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色で着色されたものであると,極めて鮮やかな色調を発現できる。Tiを含む顔料で代表的なものとして酸化チタンがあるが,これらは白色度が非常に強いため,トップ層にこれらを含むと,着色した赤,オレンジ,黄系等の原色系の色が淡色系の色となってしまい,鮮やかな色が発現しなくなる恐れがある。更に、本発明のプレコート金属板のトップ塗膜層が赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色で着色されている場合、中塗り塗膜層にもTi系添加剤に加えて赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色で着色されていると、Ti系添加剤の添加量が40mass%未満でも鮮やかな原色系の色が発現されるため、好適である。中塗り塗膜中に赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色で着色すると、これらの色による原板の隠蔽効果とTi系添加剤の隠蔽効果による相乗効果によって、Ti系添加剤の添加量が40mass%未満でも鮮やかな原色系の色が発現される。また、中塗り塗膜層にTi系添加剤に加えて赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色で着色した場合にも、この中塗り塗料とトップ塗料とを多層同時塗布もしくはウエットオンウェット塗装で塗布すると、ウエット状態の時に中塗り塗膜中のTi系添加剤がトップ塗膜へ僅かに拡散するため、中塗り塗膜層とトップ塗膜層との界面にTi系添加剤が濃化しやすく、その為、界面付近で可視光線がより拡散反射しやすくなるために、隠蔽性が増し、より鮮やかな原色系の色が発現される。中塗り塗膜層にもTi系添加剤に加えて赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色で着色されている場合のTi系添加剤の添加量は特に規定するものではないが、5〜60mass%が好適である。5mass%未満では40mass%未満では隠蔽性が足りないため,トップ塗膜を塗装したときに鮮やかな原色系の色が発現されない恐れが有る。60mass%超では塗膜が脆くなり,加工性が劣る恐れがある。
トップ塗膜を白及び黒以外の色で着色する場合は,一般に公知の顔料で着色することができる。例えば,赤系,オレンジ系または黄系の着色を施すためには,それぞれの着色顔料や着色染料を塗膜中に添加することで成すことができる。着色顔料や着色染料は,一般に公知のもの使用することができる。市販のものを使用しても良い。例えば,赤系顔料としては,例えば,カドミウムレッド,銀朱等の無機系赤顔料,カーミン6B,レーキレッドC,ウォッチングレッド等の有機系可溶性アゾ系赤顔料,パーマネントレッド,レーキレッド4R,ナフトールレッド等の有機系不溶性アゾ系赤顔料,クロモフタールレッド等の縮合アゾ系赤顔料等を,黄系顔料としては,例えば,黄鉛,黄色酸化鉄,カドミウムイエロー等の無機系黄顔料,ジスアゾイエロー,モノアゾイエロー,縮合アゾイエロー等の有機系黄顔料等を,オレンジ系顔料としては,例えば,モリブデンオレンジ等の無機系オレンジ顔料,ジスアゾオレンジ,パーマネントオレンジ等の有機系オレンジ顔料等を使用することができる。顔料の種類や添加量については,必要に応じて適宜選定することができる。トップ塗膜層については,既に着色が施されている市販の塗料を用いても良い。
トップ塗膜に用いる顔料の粒径は、限定するわけではないが、Raより小さいことが好ましく、0.3μm以下がより好ましい。トップ塗膜の顔料の粒径が小さいと、特に0.1μm以下であると、深い色調を得る上で好ましい。
本発明のプレコート金属板の全ての塗膜層のバインダーとしては,一般に公知の樹脂を用いることができる。例えば,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂,アクリル樹脂,フッ素系樹脂,メラミン樹脂等を使用することができる。これらの樹脂は熱可塑型でも熱硬化型でも良い。ただし,塗膜の傷付き性等の観点から考えると熱硬化型の方が好適である。熱硬化型樹脂の場合,上記公知の樹脂に,一般に公知の架橋剤,例えば,メラミン等のアミノプラスト樹脂,イソシアネート等を添加すると良い。
本発明のプレコート金属板の各塗膜層,すなわち,プライマー塗膜層,中塗り塗膜層及びトップ塗膜層の各膜厚が,それぞれ1〜30μmの範囲内にあり,且つ,上記各塗膜層を含む複層塗膜の全膜厚が50μm以下であると,より好適である。プライマー塗膜,中塗り塗膜,トップ塗膜のそれぞれの塗膜層の膜厚が1μm未満であると,プライマー塗膜の場合は耐食性が,中塗り塗膜の場合は隠蔽性が,トップ塗膜の場合は色調が劣る恐れがある。また,プライマー塗膜,中塗り塗膜,トップ塗膜のそれぞれの塗膜層の膜厚が30μm超であると,沸きと呼ばれる塗装欠陥が発生する恐れがある。更に,プライマー塗膜,中塗り塗膜,トップ塗膜の合計膜厚が50μm超でも,沸きと呼ばれる塗装欠陥が生じる恐れがある。
本発明のプレコート金属板に施した全ての塗膜層の破断伸び率が23℃のときに100%以上であると,様々な形状に成形するための自由度が増すため,より好適である。なお,本発明で言う伸び率とは,[伸び率]={[伸び量(△L)]/[初期長さ(L)]}×100(%)とする。伸び率については,文献によっては異なる定義がなされているものもあり,混乱を避けるために以下に記載する。各塗膜の破断伸び率の測定方法は,プレコート金属板に塗装された各塗膜層を金属板から剥離した塗膜フィルム,または,予めテフロン(登録商標)シート等の剥離性を有する基材に,塗膜をプレコート金属板と同じ条件で塗装焼付けした後に,基材から塗膜を剥離して作製した塗膜フィルムを用いることができる。このようにして作製した塗膜フィルムを23℃の雰囲気中で引っ張り試験機にて破断するまで引っ張ることで,破断伸び率を測定することができる。
また,別の方法として,既に塗装を施した金属板を23℃の雰囲気中で,塗膜層側が外側となるようにして180°密着曲げをし,曲率部の塗膜のクラック発生有無を顕微鏡にて観察し,クラック発生が認められなければ,その塗膜の破断伸び率は100%以上有すると判断することもできる(以降,本方法を折り曲げ法と称す)。図6に記載したように,180°密着曲げした材料(プレコート金属板)10を断面方向から見た場合,折り曲げられた部分の材料の板厚方向の中心部に,全く歪みが発生しない中立面と言われる部分が発生する。そして,この中立面より曲げの外側では引張り歪みが,内側では圧縮歪みが発生することが知られている。ここで,金属板の曲げ加工部の最も外側の面は,金属板の板厚tを曲率半径とした半円であると仮定すると,式(I)を用いて,金属板を密着曲げ加工した時の最も外側の面の伸び率(ε)を計算することができ,100%となることが判る。なお,図1及び式(I)からも明らかなように,折り曲げ法にて塗膜の伸び率を求める手法の場合,母材となる金属板の板厚は,理論的にはどの様な板厚の金属板を用いても得られる値は同じであり,何ら問題はない。
ε=(2πt−2π(t/2))×100/2π(t/2)
=100%・・・・・・(I)
なお,本考え方は,K.Ueda et al.;Progress in Organic Coatings(2001年),43(4),p.233−242に記載されており,また,本考え方を導くためには,一般的な材料力学に関する文献,例えば,町田輝文著「わかりやすい材料強さ学」,オーム社出版,1999年等を参照することができる。
したがって,プレコート金属板を塗膜側が外側となるように180°密着曲げした場合に,その塗膜の伸び率は100%に達していると仮定することができ,この時に塗膜にクラックが認められなければ,その塗膜の破断伸び率は100%以上であると考えることができる。180°密着曲げした塗装金属板の塗膜のクラック発生の顕微鏡観察は,塗膜表面から観察しても良いし,塗膜を断面から観察しても良い。
本発明における塗膜の破断伸び率を測定する方法としては,塗膜フィルムの引張り試験により得る方法,塗装金属板を180°密着曲げしてクラックの発生有無を観察する方法のいずれの方法を採用しても良い。本発明のプレコート金属板に塗装する塗膜のいずれか一層の塗膜の破断伸び率が100%未満であると,厳しい形状に加工したときに加工部で塗膜のクラックや剥離が発生して外観不良となったり,加工部での耐食性に劣ったりする恐れがある。
本発明で用いる塗膜の破断伸び率を100%以上とするためには,塗膜のバインダー樹脂の種類,Tg,分子量,架橋密度をコントロールすることで達成することができる。塗膜樹脂の種類は,ポリエステル樹脂が柔軟性が高いため,破断伸び率が高くなり易く,より好適である。塗膜樹脂のTgは,低い方が破断伸び率が高くなり易いため,より好適である。分子量は,高い方が破断伸び率が高くなり易く,より好適である。架橋密度は,低い方が破断伸び率が高くなり易く,より好適である。なお,架橋密度は,硬化剤の添加量や種類を変えることで調整することができる。一般に,添加量が少ないと架橋密度は低くなり,また,架橋剤の有する官能基数が少ないほど架橋密度は低くなる。
本発明者らが実験によって得た知見としては,塗膜の破断伸び率を100%以上とするためには,ポリエステル/メラミン系またはポリエステル/イソシアネート系をバインダー樹脂として用いると,好適である。さらに,具体的に例示した次の樹脂を用いることがより好適である。ポリエステル樹脂では,ポリエステル樹脂の数平均分子量は10000〜50000がより好適である。数平均分子量が10000未満では加工性が劣る恐れがあり,50000超では溶剤に溶解して塗料化することが困難な場合があるためである。また,ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以降Tgと称す)としては30℃以下がより好適である。なお,複数のポリエステル樹脂を混合した場合は,混合したポリエステル樹脂全体の数平均分子量が10000〜50000であれば好適である。市販のポリエステルを用いる場合,東洋紡績社製の「バイロン(登録商標)」や,住化バイエルウレタン社製「デスモフェン(登録商標)」等で,上述の分子量及びTgを有するものを用いると,より好適である。また,これらを複数混合して用いても良い。
架橋剤にメラミン樹脂を用いる場合は,完全アルキル型メチル化メラミン,ブチル化メラミン,イミノ基混合型アルキル化メラミン等の一般に公知のメラミン樹脂を用いることができ,市販のもの,例えば,三井サイテック社製「サイメル(商標)」,「マイコート(登録商標)」,大日本インキ化学工業社製「ベッカミン(登録商標)」,「スーパーベッカミン(登録商標)」等を用いることができる。更に,これらの樹脂を2種類以上混合して用いても良い。また,メラミン樹脂の添加量は,ポリエステル樹脂固形分100質量部に対してメラミン固形分が5〜30質量部であると,より好適である。ポリエステル樹脂固形分100質量部に対してメラミン固形分が5質量部未満であると,架橋剤の量が少なすぎるため,塗膜が硬化せずに乾燥焼付け後も成膜しない恐れがある。また,メラミン固形分の添加量が30質量部超であると,塗膜が硬化しすぎて硬くなるため,23℃での塗膜の破断伸び率が100%未満となり,成形性が劣る恐れがある。
架橋剤にイソシアネートを用いる場合は,住化バイエルウレタン製「スミジュール(登録商標)」,「デスモジュール(登録商標)」等の市販のイソシアネートを用いることができる。イソシアネートの添加量は,ポリエステル樹脂のOH価とイソシアネートのNCO価が当量比で0.8〜1.2の範囲内とすると,好適である。この範囲外では,塗膜が未硬化状態となり,塗膜が粘性を有する所謂「べとつき」と呼ばれる状態となる恐れがある。
さらに、本発明のプレコート金属板において、塗膜層のうち最表層の塗膜は,(A)ガラス転移温度が5〜30℃であり,(B)23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で2.5N/mm以上であり,(C)23℃での破断伸び率が100%以上であり,且つ,(D)前記最表層の塗膜の鏡面光沢度が入射角及び受光角がそれぞれ60°の条件で測定したときに60%以上であることが好ましい。これらの条件を満たすことで、深絞り成形を行っても加工部で光沢が低下し難い、高光沢の深絞り成形用プレコート金属板が提供される。
上記の好適なプレコート金属板における最表面の塗膜のTgとは,顔料や硬化剤を含む塗膜の場合にはこれらを添加した後の塗膜のバルクとしてのTgのことである。塗膜のTgは,プレコート金属板に塗装された塗膜を剥離して,示差走査熱量分析装置(一般に,DSCと呼ばれる)を用いて測定しても良いし,プレコート金属板として塗装された状態で熱機械分析装置(一般に,TMAと呼ばれる)を用いて測定しても良い。また,その他一般に公知の方法にて測定しても良い。なお,塗膜のTgは測定機器や測定条件によって多少の誤差が生じることが知られている。そのため,本発明では,複数ある一般に公知のTg測定方法の内,いずれか1つの方法,すなわち,DSCを用いた方法又はTMAを用いた方法で測定したときに,塗膜Tgが5〜30℃の範囲であれば本発明に含まれるとする。塗膜のTgは,主にバインダー樹脂のTgに支配的であるため,バインダー樹脂のTgを制御することで,塗膜Tgを調整することができる。バインダー樹脂のTgはほぼ塗膜のTgと相関すると考えてよいため,使用するバインダー樹脂のTgも5〜30℃のものがより好適である。また,Tgの異なる樹脂を複数混合して,混合した樹脂全体のTgを5〜30℃としても良い。
塗膜Tgが5℃未満であると,塗膜全体の硬度が低過ぎて,23℃,5mN荷重下でのユニバーサル硬度を2.5N/mm以上に担保することが困難となるため不適である。また,塗膜Tgが30℃超では,プレコート金属板を成形加工したときに,加工部で塗膜の光沢低下が発生するため不適である。塗膜Tgは10〜28℃がより好適である。
プレコート金属板の塗膜硬度は,主に塗膜中に含まれる架橋剤の種類及び添加量で調整することができるが、ユニバーサル硬度とは,ドイツのDIN 50359−1に記載された塗膜硬度測定方法を指し,ダイヤモンドでできた対面角度が136°の四角錐(JIS−Z−2244に記載のビッカース硬さ試験で用いる圧子と同じもの)を材料表面に押付け,作用している荷重条件下での押し込み深さから硬度を算出するものである。なお,本発明でのユニバーサル硬度とは,温度23℃,押し込み荷重5mNの条件で,且つ,このDIN規格に記載された微小硬度計を用いて測定したものとする。
一般に公知の硬化剤,例えばメラミン樹脂,イソシアネート等を添加すると塗膜硬度が高くなるため,より好適である。硬化剤の種類としては,メラミン樹脂系もしくはイソシアネートが効果的であり,これらの添加量を高めるとユニバーサル硬度は高くなる。イソシアネート系硬化剤より,メラミン系硬化剤の方がユニバーサル硬度は高くなる傾向がある。メラミン樹脂の添加量は,主樹脂固形分100質量部に対して5〜120質量部がより好適である。主樹脂固形分100質量部に対するメラミン樹脂の添加量が5質量部未満であると,23℃でのユニバーサル硬度が2.5N/mm未満となる恐れがあり,メラミン樹脂添加量が120質量部超では,破断伸び率が100%未満となる恐れがある。なお,23℃でのユニバーサル硬度が2.5N/mm未満となると,厳しい条件でプレス成形を行ったときに塗膜のカジリが発生し易いため,不適である。
また,顔料の種類や添加量によってもユニバーサル硬度は変化する場合もあるため,これらを制御することで塗膜のユニバーサル硬度を調整することができる場合もある。
なお,プレコート金属板の塗膜の破断伸び率が23℃で100%未満であると,プレス加工時、特に25mm以上の成形高さの深絞り加工時に、曲げ加工部から亀裂が生じ易い。なお,伸び率については先に説明した。
本発明の上記の好適なプレコート金属板において、塗膜の鏡面光沢度は,未加工の状態で入射角及び受光角が60°の条件で測定したとき60%以上である。60°における鏡面光沢度が60%未満である場合は,成形加工部での塗膜の光沢低下が目立ち難いので、この態様の意味がない。鏡面光沢度が80%以上であると,この態様の効果がより発揮されるため,より好適である。なお,塗膜の鏡面光沢はJIS.K.5600.4.7:1999に記載された鏡面光沢度のことを言う。塗膜の光沢は,一般にはつや消し剤等を用いて調整しない限り,80%以上有している。光沢を低く調整する場合には,シリカ等のつや消し剤を用いて調整することができる。また,その他一般に公知の光沢調整剤等を用いて調整することができる。
本発明のプレコート金属板は,中塗り塗膜層とトップ塗膜層との界面に加えて、さらに、中塗り塗膜層とトップ塗膜層との界面以外の界面、例えば、プライマー塗膜層と中塗り塗膜層の間、トップ塗膜層が複数層ある場合のトップ塗膜層間などの各層間の少なくとも1つの界面の微細凹凸の大きさが中心線平均粗さ(Ra)で0.3〜0.8μmであると,より好適である。各塗膜層間の界面の微細凹凸の大きさがRaで0.3μm未満であると,当該塗膜界面の密着性が低下する恐れがある。一般に,塗膜を積層した場合,塗膜の密着性は,塗膜間の化学結合や水素結合,ファンデルワールス力等の物理結合によって保たれているが,塗膜層間の界面のRaを0.3μm以上にすることで,これらの密着力に加えてアンカー効果による密着力が付与される。ただし,0.8μm超では,トップ塗料まで塗装したときの外観に影響して,光沢が低下する恐れがあるため,好ましくない。プライマー塗膜層は,母材である金属板と接触し,且つ,この上に中塗り塗膜層やトップ塗膜層を塗装することが一般的であるため,金属板や中塗り塗膜,トップ塗膜と密着するようにエポキシ樹脂等の密着性に優れる樹脂が使用されるか,または,プライマー塗膜層中の成分の1つとして添加されているため,プライマー塗膜層とこれら塗膜との界面の微細凹凸の大きさがRaで0.3〜0.8μmの範囲外でもある程度の密着性が確保される。しかし,中塗り塗膜層やトップ塗膜層の場合は,塗膜自身に密着性を付与させると他の塗膜性能が低下する等の問題が生じる恐れがある。したがって,中塗り塗膜層やトップ塗膜層は,プライマー塗膜層と比べると密着性に劣る傾向があるため,これらの界面のRaが上記範囲内であると密着性がより向上するため好ましい。なお,プライマー塗膜層と中塗り塗膜層との界面も,Raが上記範囲内であると,密着性がより向上するか,または,密着性を考慮しない樹脂を用いることができる等の利点が生じるため,さらに好適である。
ここで,本発明において,上記界面の微細凹凸の大きさを表す中心線平均粗さ(Ra)は,次の方法(即ち,基本的にJIS−B−0601−1982に準じた方法)により測定することができる。
即ち,表面粗さRaを測定すべき界面の垂直断面を顕微鏡写真にて撮影後,界面の凹凸(粗さ曲線)をトレースし,JIS−B−0601−1982で規定された所定の式(下記実施例を参照)に従って,この界面の中心線平均粗さRaを求めることができる。
塗膜層間の界面に上記範囲のRaを付与するには,多層同時塗布で達することができる。多層同時塗布とは,スロットダイコーターもしくはスライドホッパー式のカーテンコーター等の複数層の塗液を同時に積層した状態で基材に塗布し,その後,塗布された複数層の塗液を同時に乾燥焼付けする方法である。
このように,同時多層コートすることにより,積層塗膜の界面付近で各層の塗液が極僅かに混じり合い,これにより界面に凹凸(即ちRa)を発生させることができる。一般には,多層同時塗布によって2層以上の塗膜塗装すると,これら塗膜界面の微細凹凸の大きさRaは0.3〜0.8μmとなる。
多層同時塗布方法としては,スライドホッパー式カーテンコーターに代表されるような,平行な2個以上のスリット等から異なる塗料を積層するように塗出させることで塗布する方法を用いることができる。
図7にプレコート金属板の製造処理ラインとして、帯鋼に多層膜をカーテン塗装する例を示す。
図7の設備において、コイルに巻いた帯鋼をアンコイラー41で巻きほどし、アキュムレーター42、化成処理装置47、プライムコーター45、誘導加熱炉43を通過させる。その後の位置にスライド型のスライドホッパー型カーテン塗装装置49を配置し、走行する鋼板11の表面に多層膜をカーテン塗布する。カーテン塗装装置49の下流には、塗布した塗料を乾燥・焼き付けするための設備として誘導加熱炉51を設けている。その後、鋼板はアキュムレーター53を経由し、処理を完了した帯鋼としてリコイラー44により巻き取られる。
スライドホッパー型カーテン塗装装置49では、2層の同時塗装を行う。スライドホッパー型カーテン塗装装置の大きさは、たとえば、コータ上のスリット幅が200mm、スリットの間隔は500μm、被塗装の鋼板までの高さは150mmである。鋼板が多層スライドコータの下を移動して、鋼板上に多層塗膜が形成される。同時2層コートを行った後に、誘導加熱炉で乾燥、焼き付けを行う。塗膜の厚みは、たとえば、中塗り塗膜層を2〜15μm、トップ塗膜層を0.5〜15μmとする。誘導加熱炉での加熱速度は、たとえば、2〜10℃/sとして、焼き付け後の鋼板の到達板温は200〜230℃とする。
本発明のプレコート金属板は,少なくとも中塗り塗層膜とトップ塗装膜を多層同時塗布方法で塗装して焼き付ける以外は、ロールコーター塗装,浸漬塗装,カーテンフローコーター,ローラーカーテンコーター,スライドホッパー式カーテンフローコーター等の一般に公知の塗装方法で,且つ,各層を一層毎に塗装して焼き付ける方法を繰り返すことで塗装しても良いが、多層同時塗布方法で2層以上の層を一度に塗装して焼き付ける方法を用いた方が,現行の2コート2ベーク塗装ラインにて塗装が可能なためより好適である。
すなわち,一般のプレコート金属板の製造ライン(一般にコイルコーティングライン,または,CCLと呼ばれる)は,2コート塗装に使用することが一般的であるため,3層以上の塗装を施すことは困難であり,また,3層以上の塗装ができるようにラインを改造するためには,塗装装置及び焼付け炉を増設しなければならないため,巨額の設備投資が必要となる,という問題があった。そのため,プレコート金属板にて鮮やかな色を発現することは困難であるとされていた。
しかし,本発明においては,上記多層同時塗布方式の塗布を用いることにより,上記問題も解消することができる。
また,塗装における乾燥焼付方法は,熱風オーブン,直火型オーブン,遠赤外線オーブン,誘導加熱型オーブン等の一般に公知の乾燥焼付方法を用いることができる。
本発明に使用するプライマー,中塗り,トップの各塗膜中には,消泡剤,レベリング剤,スリップ剤,ワックス,つや消し剤等と言った,一般に公知の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
本発明に使用する金属板は,一般に公知の金属材料を用いることができる。金属材料が合金材料であっても良い。例えば,鋼板,ステンレス鋼板,アルミ板,アルミ合金板,チタン板,銅板等が挙げられる。これらの材料の表面にはめっきが施されていてもよい。めっきの種類としては,亜鉛めっき,アルミめっき,銅めっき,ニッケルめっき等が挙げられる。これらの合金めっきであってもよい。鋼板の場合は,溶融亜鉛めっき鋼板,電気亜鉛めっき鋼板,亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板,溶融合金化亜鉛めっき鋼板,アルミめっき鋼板,アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板等,一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。
本発明に用いる金属板の表面には,一般に公知の化成処理を施すと,金属板と塗膜層との密着性が向上するため,より好適である。化成処理は,リン酸亜鉛系化成処理,塗布クロメート処理,電解クロム酸処理,反応クロメート処理,クロメートフリー系化成処理等を使用することができる。ノンクロメート系化成処理としては,シランカップリング剤,ジルコニウム化合物,チタニウム化合物,タンニン又はタンニン酸,樹脂,シリカ等を含む水溶液で処理したもの等が知られており,特開昭53−9238号公報,特開平9−241576号公報,特開2001−89868号公報,特開2001−316845号公報,特開2002−60959号公報,特開2002−38280号公報,特開2002−266081号公報,特開2003−253464号公報等に記載されている公知の技術を使用しても良い。これらの化成処理は,市販のもの,例えば,日本パーカライジング社製のクロメート処理「ZM−1300AN」,日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理「CT−E300N」,日本ペイント社製の3価クロム系化成処理「サーフコート(商標)NRC1000」等を使用することができる。
以下に,実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが,本発明は下記実施例にのみ限定されるものではない。
以下,本実施例に用いた供試材について詳細を説明する。
まず,用いた塗料について詳細を説明する。
東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)63CS」(Tg:7℃,数平均分子量:20000),及び,東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)200」(Tg:67℃,数平均分子量:17000),「バイロン(登録商標)220」(Tg:53℃,数平均分子量:3000)、「バイロン(登録商標)GK890」(Tg:17℃,数平均分子量:11000)をバインダー樹脂として用いた。「バイロン(登録商標)200」及び「バイロン(登録商標)220」はペレットまたはフレーク状であるため,これらを有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に溶解して使用した。また,「バイロン(登録商標)63CS」は,ポリエステル樹脂を既に有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したもの)に溶解してあるため,これをそのまま使用した。
次に,架橋剤として,三井サイテック社製の完全アルキル型メチル化メラミン樹脂(以降,メラミン樹脂と称す)である「サイメル(登録商標)303」を用い,これらメラミン樹脂と上述のポリエステル樹脂とを混合した。混合量は,それぞれの樹脂固形分の質量比で,[ポリエステル:メラミン=85:25]となるように混合した。更に,反応触媒として,三井サイテック社製の「キャタリスト602」を全樹脂固形分に対して1.0質量%添加した。以上の手順にて実験に用いるクリヤー塗料を作製した。なお,本文では以降,ポリエステル樹脂「バイロン(登録商標)63CS」を用いて作製した塗料を高分子低Tg型塗料,「バイロン(登録商標)220」を用いた塗料を高分子高Tg塗料,「バイロン(登録商標)200」を用いた塗料を低分子高Tg塗料,「バイロン(登録商標)GK890」を用いた塗料を中分子低Tg塗料と称する。
次に,上記で作製したクリヤー塗料に,石原産業社製の酸化チタン「タイペークCR95」(以降,Ti系と称す)を必要量添加することで,中塗り塗料を作製した。また,市販の塗料である日本ファインコーティングス社製の「フレキコート200HQ」(以降,市販の高加工中塗り塗料と称す)のクリヤー塗料と日本ファインコーティングス社製の「ニッペスーパーコート200HQ」(以降,市販の低加工中塗り塗料と称す)のクリヤー塗料に,上述の酸化チタンを50mass%添加したものも準備した。作製した中塗り塗料の詳細を表1に記載する。
次に,作製したクリヤー塗料に,赤系,黄系及びオレンジ系の着色顔料を添加してトップ塗料を作製した。赤系の顔料には市販のナフトールレッドを,黄系の顔料には市販のジスアゾイエローを,オレンジ系の顔料には市販のジスアゾピラゾロンオレンジを用いた。また,これらの着色顔料以外に比較として石原産業社製の酸化チタン「タイペークCR95」を添加したものも作製した。また,市販の塗料である日本ファインコーティングス社製のプレコート金属板用塗料である「フレキコート200HQ」(以降,市販の高加工トップ塗料と称す)の赤色塗料と「ニッペスーパーコート200」(以降,市販の低加工トップ塗料と称す)の赤色塗料も準備した。更に,必要に応じて,これら着色塗膜層上に塗装するトップクリヤー塗料として,顔料を一切加えていないクリヤー塗料も用いた。
なお,プライマー塗料については,市販のプライマー塗料である日本ファインコーティングス社製のFL641EUプライマーのクリヤー塗料を準備し,これに防錆顔料を必要量添加することでプライマー塗料を作製した。本実験で用いた防錆顔料は,東邦顔料社製のクロム系防錆顔料である「トーポールC」(以降,Cr系と称する),テイカ社製のトリポリリン酸2水素アルミニウムであるK−WHITE #105」(以降,P系と称す),GRACE社製のカルシウムイオン交換シリカである「SHIELDEX(登録商標)C303」(以降,Si系と称す)を用いた。また,必要に応じて石原産業社製の酸化チタン「タイペークCR95」(Ti系顔料)を添加したものも作製した。作製したプライマー塗料の詳細を表1に記載する。
なお、全ての中塗り塗料中にはレベラーは一切添加せず、全てのトップ塗料中にレベラーとして日本ペイント社製のアクリル系レベラーを、中塗り塗料とトップ塗料との表面張力の差が1.2mN/m以上5mN/m未満、且つ、且つそれぞれの表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満となるように、塗料ごとに適宜添加量を調整した。
更に、全てのトップクリヤー塗料中にはBYK−Chemie社製のシリコーン系添加剤BYK141を添加し、これを塗装する水準に用いるレベラーの添加されたトップ塗料表面張力の差が0.3mN/m以上3.7mN/m未満とすること、且つ、各層の塗料として、その表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満となるように、適宜添加量を調整した。
レベラーの添加量方法は、スポイトにて塗料中にレベラーを一滴垂らすごとに塗料の表面張力をダイノメータ(BYK−Chemie GmbH製)を用いて5回測定し、前記の範囲に入るまでこの作業を繰り返す方法を行った。
Figure 2007013232
次に,本実施例に用いたプレコート金属板について詳細を説明する。
新日本製鐵株式会社製の亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板「ジンクライト」(以下,ZLと称す)と新日本製鐵株式会社製の電気亜鉛めっき鋼板「ジンコート」(以下,EGと称す)と新日本製鐵株式会社製の溶融亜鉛めっき鋼板「シルバージンク」(以下,GIと称す)を原板として準備した。板厚は0.6mmのものを使用した。本実験で用いたZLのめっき付着量は片面20g/m,めっき層中のニッケル量は12mass%であった。また,EGのめっき付着量は片面20g/mのものを、GIのめっき付着量は片面60g/mのものを用いた。
次に,準備した原板を日本パーカライジング社製のアルカリ脱脂液「FC−4336」の2質量%濃度,50℃水溶液にてスプレー脱脂し,水洗後,乾燥した後に,日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理である「CT−E300N」をロールコーターにて塗布し,熱風オーブンにて乾燥させた。熱風オーブンでの乾燥条件は,金属板の到達板温で60℃とした。クロメートフリー処理の付着量は,全固形分で200g/m付着するように塗装した。
次に,化成処理を施した金属板の片方の面に,作製したプライマー塗料を,他方の面に日本ファインコーティングス社製の裏面塗料である「FL100HQ」のグレー色をロールコーターにてそれぞれ塗装し,熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が210℃となる条件で乾燥硬化した。そして乾燥焼付後に,塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ,水冷した。
次に,中塗り塗料とトップ塗料を図5に示す如きスライドホッパー式のカーテンコーターにて同時に積層塗装し,熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で積層した塗膜を同時に乾燥硬化した。そして,乾燥焼付後に,塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけて水冷することで,3層のプレコート金属板を得た(本手順での塗装方法を「塗装方法(i)」と称す)。
また,プライマー塗膜の上に,中塗り塗料とトップ塗料,トップクリヤー塗料をスライドホッパー式のカーテンコーターにて同時に3積層塗装し,熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で積層した塗膜を同時に乾燥硬化した。そして乾燥焼付後に,塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけて水冷することで,4層のプレコート金属板を得た(本手順での塗装方法を「塗装方法(ii)」と称す)。
更には,プライマー塗料を塗装する工程で,プライマー塗料,中塗り塗料,トップ塗料の3層をスライドホッパー式のカーテンコーターにて同時に3積層塗装し,熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で積層した塗膜を同時に乾燥硬化した。そして,乾燥焼付後に,塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけて水冷することで,3層のプレコート金属板も得た(本手順での塗装方法を「塗装方法(iii)」と称す)。
また,プライマー塗膜上にロールコーターにて中塗り塗料を1層のみ塗装し,上述の要領で焼付けた後に,中塗り塗膜上に再度ロールコーターにてトップ塗料を1層塗装し焼き付けた3層のプレコート金属板も作製した(本手順での塗装方法を「塗装方法(iv)」と称す)。
プライマー塗膜上にロールコーターにてトップ塗料のみを1層塗装し焼き付けた2層のプレコート金属板も作製した(本手順での塗装方法を「塗装方法(v)」と称す)。
作製したプレコート金属板の各塗膜厚については,ロールコーターの場合にはロールの回転周速や塗料粘度を,スライドホッパー式のカーテンコーターの場合は塗料の塗出圧力や塗料粘度を調整することで,制御した。なお,裏面塗料の膜厚は乾燥膜厚で5μmとした。なお,各膜厚はKET社製の電磁膜厚計「LE−200J」にて測定し,更に,各サンプルの垂直切断面を顕微鏡にて観察し,求める膜厚となっているかを再確認した。
表2に,作製したプレコート金属板の詳細を記載する。
Figure 2007013232
Figure 2007013232
以下,作製したプレコート金属板の評価方法の詳細を記載する。
1.プレコート金属板の外観観察
作製したプレコート金属板のトップ塗膜を施した面の外観を目視及び10倍ルーペにて観察して評価した。外観評価は,色調と沸き欠陥の発生度との両者に着目して行った。色調については,塗膜の色が明らかに黒ずんで見えた場合,または,明らかに白味を帯びており淡色系に見えた場合をそれぞれ×,僅かに黒ずんで見えた場合を△,黒ずみが殆ど無く鮮やかに見えた場合を○、黒ずみが全くなく鮮やかに見えた場合を◎と評価した。また、前記評価で○と△の中間レベルのものを○△と評価した。
沸き欠陥については,目視でもルーペでも全く沸き欠陥が認められない場合には○,目視では認められないがルーペにて極小さな沸き欠陥が認められる場合には△,目視でも明らかな沸き欠陥が認められる場合は×と評価した。
2.耐食性試験
作製したプレコート金属板のトップ塗膜を施した面にカット傷を入れて,JIS K 5400.9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は,試験片のクロスカットを入れた面に噴霧した。試験時間は240時間とした。そして,表面側のカット部からの塗膜膨れ幅を測定し,カット部膨れ幅が片側3mm以下の場合を○,カット部膨れ幅が片側3mm超5mm以下の場合を△,カット部膨れ幅が片側5mm超の場合を×と評価した。
3.塗膜界面のRa測定
プレコート金属板を塗膜断面が観察できるように垂直に切断し,切断したプレコート金属板を樹脂に埋め込んだ後に断面部を研磨して,3500倍の走査型電子顕微鏡による塗膜の断面写真を撮影した。次に,透明の樹脂シート(市販のOHPシートを使用)を写真上にかぶせて,塗膜界面の凹凸を正確にトレースした。そして,図2に示すように,縦線の部分の面積を画像処理装置で測定して,その平均値として下記式(II)からRaを算出した。
Ra=(∫ |f(x)|dx)/l・・・(II)
4.塗膜破断伸び率測定
作製したプレコート金属板を,23℃の雰囲気中にてトップ塗膜を施した面が外側となるように180°折り曲げ加工(密着曲げ加工)した。次に,加工部を10倍顕微鏡にて観察し,塗膜の割れ発生の有無を調査した。更には,加工したプレコート金属板の加工部の中心付近を断面が観察できるように垂直に切断し,切断したプレコート金属板を樹脂に埋め込んだ後に断面部を研磨して,10倍及び500倍の顕微鏡にて断面を観察した。そして,各塗膜層の亀裂発生の有無を観察した。このようにして各塗膜層を観察し,500倍の顕微鏡で観察して全ての塗膜層に亀裂が入っていなかった場合を塗膜の破断伸び率が100%以上として○,1層以上の塗膜に10倍の顕微鏡で極僅かに亀裂が確認され,500倍の顕微鏡で明らかに亀裂が確認される場合は,判断伸び率が僅かに100%未満であるとして△,1層以上の塗膜に10倍の顕微鏡で明らかな亀裂が発生していた場合を塗膜の破断伸び率が明らかに100%未満として×と評価した。
5.塗膜密着性評価
上記の塗膜破断伸び率測定で折り曲げ加工したプレコート金属板の加工部の塗膜表面に粘着テープを貼り付け,これを勢い良く剥離したときの塗膜の残存状態を目視にて観察した。塗膜剥離の評価は,塗膜剥離の全くない場合を○,塗膜に僅かな剥離が認められる場合を△,塗膜に明確な大きな剥離がある場合を×として評価した。
6.プレコート金属板の塗膜のガラス転移温度の測定
セイコー電子社製の熱機械分析装置「SSC5200シリーズTMA/SS120C」にて塗膜のTgを測定した。なお,測定時のプローブは,針入プローブを用いた。
7.プレコート金属板の塗膜のユニバーサル硬度測定
フィッシャー・インストルメンツ社製の微小硬度計「フィッシャースコープ(登録商標)H100」を用いて測定した。測定時の雰囲気温度は23℃とし,押付け荷重5mNのときのユニバーサル硬度(HU(N/mm))を本測定機器にて測定した。
8.プレコート金属板の塗膜の鏡面光沢度測定
スガ試験機社製の「デジタル変角光沢計」を用いて,入射角と受光角が60°の条件で鏡面光沢度を測定した。
9.プレコート金属板加工後の鏡面光沢度測定
幅50mmの短冊状に切断したプレコート金属板を引張り試験機に治具間距離100mmとなるようにセットして,引っ張り速度200mm/minの条件で,治具間距離が110mmとなるまで引っ張った。そして,引っ張り加工後のサンプルを取り出し,サンプルの中央部の鏡面光沢度を,スガ試験機社製の「デジタル変角光沢計」を用いて,入射角と受光角が60°の条件で測定した。そして,測定結果より光沢保持率(=[加工後の鏡面60°光沢]×100/[加工前の鏡面60°光沢])を算出した。そして60°鏡面光沢の光沢保持率が85%以上のものを○、85%未満のものを×評価した。
なお,本実験において,治具間距離100mmのサンプルを治具間距離110mmまで引っ張った時の鏡面光沢を測定した理由は,経験的に,この条件で加工した時の60°鏡面光沢の光沢保治率が85%以上であると,深絞り成形部での光沢低加が目立ち難いことを本発明者らが知見したためである。
10.ドロービード試験
プレス成形時の摺動性や金型による材料のキズ付き性を評価する試験方法として,ドロービード試験が知られている。本実験方法にて,プレコート金属板を評価すると,プレス成形で発生する塗膜の型カジリが再現され,プレス成形にて塗膜の型カジリが発生し易いプレコート金属板は,本試験方法でも塗膜の型カジリによる剥離が観察される。本実験は,図8に示すように,図8に示す形状および寸法の凸金型61と凹金型62との間にサンプル63を挟み込み,押付け荷重Fを0.6t及び1.0tで金型に荷重をかけた状態で,サンプルを200mm/minの速度で引き抜いたときの塗膜の外観を観察することで実施した。なお,金型の表面粗度はRa=0.8μmに調整したものを用いた。また,本試験を実施する際には,サンプル塗膜表面に日本工作油社製の揮発性潤滑油「G−6215FS」を塗布し,評価面(裏面塗料を塗布していない面)が凹金型側となるように金型を押付けた。そして,引き抜いた後のサンプルの塗膜表面のキズ発生有無を調査し,次の基準で評価した。押し付け加重0.6tの条件でも1.0tでの条件でも塗膜の剥離が観察されない場合を○,0.6tの押し付け荷重条件では塗膜の剥離が認められないが,1.0tの条件で塗膜剥離が認められる場合を△,押し付け加重0.6tの条件でも1.0tでの条件でも塗膜の剥離が観察される場合を×と評価した。
11.角筒成形試験
作製したプレコート金属板を評価面(裏面塗膜を施していない面)が成形物の外側となるように角筒形状に深絞り成形した。角筒成形時の金型は次の条件のものを用いた。即ち,ポンチサイズが40mm角,ポンチコーナーRが5mm,ポンチ肩Rが5mm,ダイス肩Rが5mmの条件とした。また,金型の表面粗度はRaで0.1μm以下の鏡面仕上げとした。また,材料のブランクサイズはφ100mmの円形とし,しわ押さえ圧を0.8tとした。成形高さは20mmと25mmと30mmの3水準実施した。また,成形加工後は,プレコート金属板の加工された部分の塗膜剥離もしくは亀裂の発生有無(以降,加工性と称す)を目視と10倍顕微鏡で観察し,目視と顕微鏡いずれの方法で観察しても剥離や亀裂の発生が認められない場合は○,顕微鏡では剥離や亀裂の発生が認められるが,目視ではこれらが認められない場合を△,目視でも剥離や亀裂の発生が認められた場合は×と評価した。また,成形物の光沢度を目視観察し,加工部で光沢の低下が認められない場合は○,明らかに光沢の低下が認められる場合は×と評価した。
(角筒成形物の光沢測定)
上記「11.角筒成形試験」で得た成形高さ25mmと30mmの角筒成形物底面の鏡面光沢度を,スガ試験機社製の「デジタル変角光沢計」を用いて,入射角と受光角が60°の条件で測定した。
(角筒成形物の塗膜界面のRa測定)
上記「11.角筒成形試験」で得た成形高さ25mmと30mmの角筒成形物底面の任意の部分を切り出し,この部分の塗膜断面が観察できるように垂直に切断し,切断した塗装金属板を樹脂に埋め込んだ後に断面部を研磨して,3500倍の走査型電子顕微鏡による塗膜の断面写真を撮影した。次に,透明の樹脂シート(市販のOHPシートを使用)を写真上にかぶせて,塗膜界面の凹凸を正確にトレースした。そして,図3に示すように,縦線の部分の面積を画像処理装置で測定して,その平均値として上記式2からRaを算出した。なお,成形物の断面観察した部位の金属板が,成形により曲がっていた場合,塗膜界面の粗さ中心に,金属板の表面もしくはその上に被覆された塗膜の最表面に対して平行な線を引き,これを界面の中心線とした。
Figure 2007013232
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以下,評価結果について詳細を説明する。
表3〜表5に作製したプレコート金属板の評価結果を示す。表3において、本発明のプレコート金属板(実施例PCM−No.1〜20、22〜30)は,いずれも中塗り塗膜層とトップ塗膜層の界面に液々界面痕跡界面が観察されたが、赤系,黄系,オレンジ系の色に着色したときに,黒味がかったり,白味がかったりすることなしに,鮮やかな色を発現することができ,且つ,沸き欠陥の発生も無く,良好な意匠外観であった。特に従来の各層を塗装するごとに焼付ける方法で塗装し、中塗り塗膜層とトップ塗膜層との界面の微細凹凸のRaが0.3μm未満のもの(比較例PCM−21)より、他の多層同時塗布によって塗装し、中塗り層とトップ層と界面に液々痕跡界面を有しその界面の微細凹凸のRaを0.3〜0.8μmにしたもの(実施例PCM−No.1〜20、22〜30)は、より鮮やかな外観を発現している。
中塗り塗膜中に含まれるチタン系顔料の添加量が40mass%未満であると(実施例PCM−No.9),トップ塗膜の塗装外観が若干黒味を帯びてくる傾向であり,60mass%超であると(実施例PCM−No.9),破断伸びが100%を僅かに下まわる傾向であり,加工性に劣る懸念があるため,中塗り塗膜のチタン系顔料の添加量は40〜60mass%がより好適である。また,塗膜の破断伸びが100%未満のもの(実施例PCM−No.12,16〜18)は,加工性に劣る懸念があるため,本発明のプレコート金属板に用いる塗膜は,破断伸び率が100%以上のものがより好適である。
本発明のプレコート金属板は,中塗り塗膜とトップ塗膜との界面の微細凹凸のRaが0.3〜0.8μmの範囲外であると(実施例PCM−No.21),厳しい加工を施した時に塗膜密着性が損なわれるため,界面の微細凹凸のRaは0.3〜0.8μmがより好適である。本実験でも明らかなように,多層同時塗布による塗装を行なうことで、各塗膜界面の微細凹凸のRaを0.3〜0.8μmとすることができる。
本発明のプレコート金属板で,プライマー塗膜の薄いもの(実施例PCM−No.22)は耐食性が若干劣る傾向であった。中塗り塗膜の膜厚が薄いもの(実施例PCM−No.23)は,原板の色を隠蔽しきれないため,この上にトップ塗膜を塗装した時の外観が若干黒味を帯びる傾向であった。トップ塗膜の膜厚が薄いもの(実施例PCM−No.24)は,意匠外観的にトップ塗膜の色が薄く,中塗り塗膜の白色が若干透けて見える傾向であった。一方,各塗膜層の膜厚が厚いもの(実施例PCM−No.25,26,27)は,極微細な沸き欠陥が発生する傾向であった。したがって,本発明のプレコート金属板の各塗膜の膜厚は,それぞれの膜厚が1〜30μmで,且つ,全塗膜厚が50μm未満であることがより好適であった。
また,原板はZLでもEGも塗膜性能(塗膜の素地色調隠蔽性等)に大きな差は無かったため(実施例PCM−No.2とPCM−No.28との比較),本発明のプレコート金属板の原板は,公知の金属板であれば,どのようなものを使用しても構わないことが判った。
本発明のプレコート金属板のプライマー塗膜中にSi,P以外の防錆顔料,例えば,Cr系防錆顔料を含む場合(比較例PCM−No.31)や中塗り塗膜にTi系添加剤を含まないものも(比較例PCM−No.32)は,トップ塗膜まで塗装した時の色調が悪く,鮮やかな色を発現できないため,不適であった。また,トップ塗膜にTi系添加剤を含むもの(実施例PCM−No.29)は,若干白味を帯びた色調となってしまったため,鮮やかな赤系,オレンジ系,黄系の色を発現させるためには,トップ塗膜にはTi系添加剤を含まない方がより好適である。Ti系添加剤を含む中塗り塗膜を塗装せず,且つ,トップ塗膜を比較的薄膜で塗装したもの(比較例PCM−No.33〜35)も,求める意匠外観(鮮やかな赤,黄,オレンジ系の色)を得ることができないため,不適であった。一方,Ti系添加剤を含む中塗り塗膜を塗装しない場合で,トップ塗膜を厚膜で塗装したもの(比較例PCM−No.36)は,激しい沸き欠陥が発生したため,不適であった。プライマー塗膜を塗装せずに,中塗り塗膜とトップ塗膜のみを塗装したもの(比較例PCM−No.37)は,良好な外観を得られたものの,耐食性が劣るため,不適であった。
なお,本発明のプレコート金属板のプライマー塗料,中塗り塗料,トップ塗料には市販の塗料をベースに,プライマー塗膜層中にはSi,Pのいずれか一方,もしくは,両方を含むものを用い,且つ,中塗り塗膜層中にTi系添加剤を含むものを用い,且つ,トップ塗膜層が白系,黒系以外の色に着色されているもの(実施例PCM−No.15,16)を用いても効果を発揮する。特に,中塗り塗料とトップ塗膜とを多層同時塗布で塗装し,これら界面のRaを0.3〜0.8μmとすると塗膜密着性に優れより好適である。
なお,プレコート金属板を使用することで,ポストコート塗装で課題となっていた揮発性有機溶剤(VOC)の問題を解決することができるだけではなく,ユーザーでの塗装設備撤廃によるコストダウン,工場小スペース化等も達成される。
また,従来では多層プレコート金属板を製造するためには,積層した塗膜層の数だけオーブン等の焼付け乾燥設備が必要であったが,本願発明の多層同時塗布やウェットオンウェット塗装にて塗装することで,これら焼付け乾燥設備の数を減らすことができるため,コンパクトな設備で低コストの製造方法を提供することが可能となる。したがって,本発明は,産業上の極めて価値の高い発明であると言える。
また、表4において、本発明の実施例に係るプレコート金属板(PCM−2,PCM−17,PCM−45〜PCM−49)は、高い光沢を有しているにもかかわらず、深絞り加工した時の加工部での光沢低下が小さく、更には、連続プレス時の塗膜カジリを再現するドロービード試験においても塗膜カジリが発生し難く、且つ、加工部での塗膜の剥離や亀裂の発生がなく、良好であった。
ただし、中塗り塗膜層とトップ塗膜層との界面のRaが0.3〜0.8から外れるもの(PCM−48、PCM−49)は、ドロービード試験で塗膜が剥離し易い傾向である。
一方、塗膜のTgが30℃超のもの(PCM−17、PCM−48、PCM−49)は加工後の光沢保持率が低く、角筒成形しても目視で明らかに光沢低下が認められるため、塗膜のTgは30℃以下が好適である。
次に、プレコート粉金属板PCM−2、PCM−17、PCM−45〜PCM−49を用いて、成形加工した成形物の評価結果を表5に示す。本発明で期待した範囲内のプレコート金属板を用いて、成形した成形物は、いずれも60°鏡面光沢で60%以上の外観を有しており、また、加工部で塗膜の亀裂や剥離の発生も無く、優れた外観であった。ただし、Tgが30℃超のもの(PCM−17)は加工後の光沢保持率が他のものと比べて低く、僅かに60%を超えるレベルであるため、塗膜のTgは30℃以下がより好適である。一方、塗膜のTgが30℃超であり、且つ、トップ塗膜層との界面のRaが0.3〜0.8から外れるもの(PCM−48、PCM−49)はいずれも60°鏡面光沢で60%未満と著しく光沢が低くなるため、不適である。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は,意匠性と耐食性に優れるプレコート金属板及びその製造方法に適用可能であり,特に,鮮やかな赤系色,黄系色,オレンジ系の色の意匠外観を有するとともに,家電用,建材用,土木用,機械用,自動車用,家具用,容器用等の用途において,耐食性に優れ,更には塗膜の加工性を有し,且つ,耐傷つき性にも優れるプレコート金属板に適用可能である。

Claims (17)

  1. 金属板の片面または両面に,プライマー塗膜層,中塗り塗膜層及びトップ塗膜層を順次積層して複層塗膜が形成された複層プレコート金属板であって:
    前記プライマー塗膜層は,SiとPのいずれか一方または双方を含み,
    前記複層塗膜中の中塗り塗膜層とトップ塗膜層との間に液々界面痕跡界面があり、前記液々界面痕跡界面の微細凹凸の大きさは中心線平均粗さ(Ra)で表現して0.3〜0.8μmであり、
    前記中塗り塗膜層は,Ti系添加剤を含むことを特徴とする,鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  2. 前記トップ塗膜層は,Ti系添加剤以外の着色顔料を含み、Ti系添加剤を含まないことを特徴とする,請求項1に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  3. 前記中塗り塗膜層は,Ti系添加剤に加えてTi系添加剤以外の着色顔料を含むことを特徴とする,請求項1または2に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  4. 前記中塗り塗膜層に含まれるTi系添加剤の添加量が40mass%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  5. 前記Ti系添加剤が酸化チタンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  6. 前記トップ塗膜層中のTi系添加剤以外の着色顔料が,赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色の顔料であることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  7. 前記トップ塗膜層が赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色の顔料で着色されており、且つ、前記中塗り塗膜層にTi系添加剤に加えて、赤系,黄系またはオレンジ系のいずれかの色の顔料を含むことを特徴とする,請求項1〜6のいずれか1項に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  8. 前記液々界面痕跡界面を500倍の倍率で観察した場合に界面のうねりの中心線からの最大高さが界面の上に位置する層の該中心線から測定した高さが50%以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  9. 前記プライマー塗膜層,前記中塗り塗膜層及び前記トップ塗膜層の各膜厚は,それぞれ1〜30μmの範囲内にあり,前記複層塗膜の全膜厚が50μm以下であることを特徴とする,請求項1〜7のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  10. 前記各塗膜層の破断伸び率が23℃のときに100%以上であることを特徴とする,請求項1〜9のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  11. 最表層の塗膜が、(A)ガラス転移温度が5〜30℃であり、(B)23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で2.5N/mm以上であり、(C)23℃での破断伸び率が100%以上であり、(D)前記最表層の塗膜の鏡面光沢度が入射角及び受光角をそれぞれ60°の条件で測定したときに60%以上であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  12. 25mm以上の成形高さに深絞り成形された、請求項11に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  13. 前記Ti系添加剤の粒径が0.2〜0.3μmであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  14. 前記トップ塗膜層に含まれる粒子の粒径が0.1μm以下であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のプレコート金属板の製造方法であって:
    金属板の片面もしくは両面に,プライマー塗膜層,中塗り塗膜層及びトップ塗膜層のうちの少なくとも2層を,多層同時塗布方式によって塗布することを特徴とする,鮮やかな色調を有するプレコート金属板の製造方法。
  16. 多層同時塗布方式によって塗布する隣接する2層のうち上層の塗料にレベラーを添加して、中塗り塗膜層の塗料とトップ塗膜層の塗料の表面張力の差を1.2mN/m以上5mN/m未満とすること、且つ、各層の塗料として、その表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満である塗料を使用することを特徴とする、請求項15に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板の製造方法。
  17. 同時塗布方式によって塗布する隣接する2層のうちトップ塗膜層と中塗り塗膜層の両方の塗料にレベラーを添加して、中塗り塗膜層の塗料とトップ塗膜層の塗料の表面張力の差を0.3mN/m以上3.7mN/m未満とすること、且つ、各層の塗料として、その表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満である塗料を使用することを特徴とする、請求項15に記載の鮮やかな色調を有するプレコート金属板の製造方法。
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