JP4324095B2 - プレコート金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、加工特性(例えば、プレス成形性)に優れたプレコート鋼板に関する。本発明は、特に絞り成形等におけるように、鋼板に圧縮歪みを伴う加工方式に対しても、皮膜が破壊されにくいプレコート鋼板に関する。
近年、環境保護等の観点から、家電用、建材用、自動車用などに、従来の加工後塗装されていたポスト塗装製品に代わって、着色した有機被膜を被覆したプレコート鋼板が使用される場合が多くなってきている。このプレコート鋼板は、通常は、防錆処理を施した鋼板およびめっき鋼板に有機被膜を被覆したもので、美観を有しながら、加工性を有し、耐食性が良好であるという特性を有している。
プレコート鋼板の加工方法は、塗膜を被覆していない冷延鋼板やめっき鋼板と同様の加工方法が適用できるが、成形加工時の塗膜破壊(塗膜の亀裂や剥離)の問題から、従来は引張歪みのみが作用する曲げ加工が中心であった(特許文献1および特許文献2)。他方、近年になって圧縮と引張の歪みが作用する絞り成形を施す部位にもプレコート鋼板を適用する要望が高まりつつある。
しかしながら、プレコート鋼板を絞り加工した場合、絞り加工部で塗膜に引張の歪みが作用して亀裂が入ったり、圧縮の歪みが作用することで塗膜が座屈して剥離してしまう問題がある。特に、プレコート鋼板においては、塗膜の耐ブロッキング性と、プレコート鋼板としての加工性とは、いわゆるトレードオフの関係にあり、これらの特性を両立させることが困難であった。すなわち、例えば、プレコート鋼板としての加工性を重視すると、塗膜の耐ブロッキング性が低下し、他方、塗膜の耐ブロッキング性を重視すると、プレコート鋼板としての加工性が低下するという問題があった。
特開平8−257492号公報 特開平7−912号公報
本発明の目的は、絞り加工を施した場合にも塗膜が実質的に破壊、剥離することなく成形加工することが可能な、加工性(例えば、プレス成形性)に優れたプレコート鋼板を提供することにある。
本発明の他の目的は、加工性と耐ブロッキング性の良好なバランスを有する、加工性に優れたプレコート鋼板を提供することにある。
本発明者は鋭意研究の結果、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層とを少なくとも含む塗膜層が特定の値を有するのみならず、これら両層界面のRa値が特定の範囲内にあることが、上記目的の達成のために極めて効果的なことを見出した。
本発明のプレコート金属板は上記知見に基づくものであり、より詳しくは、金属板と、その少なくとも片面上に配置された熱硬化型有機樹脂塗膜を有するプレコート金属板であって;該熱硬化型有機樹脂塗膜が、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との少なくとも2層を含み;且つ、前記下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との両者の塗膜層が、ゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値として2.3×107Pa以下の値を有し、且つ下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との界面のRa(中心線平均粗さ)が0.3〜0.6μmであることを特徴とするものである。
本発明者の知見によれば、上記構成を有する本発明のプレコート金属板においては、例えば、圧縮の変形(絞り加工、等)を受ける変形部位において、変形後に塗膜内部に蓄積される弾性的な歪みエネルギー低下の効果と、上記した特定のRaに基づく密着性向上(下塗り塗膜層と上塗り塗膜層間)効果との組合せに基づき、加工性(例えばプレス成形性)に優れたプレコート金属板が得られるものと推定される。
上述したように本発明によれば、加工性に優れたプレコート金属板が提供される。本発明のプレコート金属板は、従来におけるよりも、より厳しい条件の加工にも耐えることができる。
更には、本発明のプレコート金属板は、従来におけるよりも、使用可能な樹脂の選択の範囲を拡大させることができるため、成形性その他の性能を向上させることが可能となるのみならず、同様の性能を実質的に維持しつつ製造コストをも低減することが可能となる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。
(プレコート金属板)
本発明のプレコート鋼板は、金属板と、その少なくとも片面上に配置された熱硬化型有機樹脂塗膜を有するプレコート金属板であって、該熱硬化型有機樹脂塗膜が、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との少なくとも2層を含むものである。本発明においては、前記下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との両者の塗膜層が、ゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値として2.3×107Pa以下の値を有するのみならず、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層界面のRaが0.3〜0.6μmであることが特徴である。
(動的貯蔵弾性率)
本発明のプレコート金属板においては、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との両者の塗膜層が、ゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値として2.3×107Pa以下の値を有する。このゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値は、更には1.95×107Pa以下であることが好ましい。
本発明者らの研究グループにおいては、プレコート鋼板を絞り加工した際の塗膜破壊に関する種々の研究の結果、絞り加工のように圧縮の変形を受ける変形部位においては、変形後に塗膜内部に蓄積される弾性的な歪みエネルギーに影響され、蓄積する歪みエネルギーが小さい塗膜は座屈しにくく、更には破壊・剥離しにくいことが見出されている(塗装工学,10(33),399−406)。
この点から、本発明においては、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との塗膜層の特定の動的貯蔵弾性率を限定することにより、変形した後に塗膜内部に蓄積する弾性歪みエネルギーを低減することが可能となると推定される。なお、本発明において、変形後塗膜内部に蓄積する弾性歪みエネルギーは、塗膜を構成する主樹脂の架橋点間分子量に依存すること、および樹脂の架橋点間分子量は、樹脂のゴム状弾性領域の平衡弾性率と相関性があること確認されている。
ここで、樹脂のゴム状弾性率の詳細を以下に説明する。すなわち、粘弾性体である樹脂は、温度、時間(動的弾性率の場合は周波数)に依存して、弾性率が変化する。架橋された熱硬化型の樹脂の場合、低温もしくは短時間(動的貯蔵弾性率の場合は高周波)の領域では高い弾性率(一般にはこの領域をガラス状弾性領域と呼び109 〜1010Pa付近の値を示す)を示し、温度が高くなる、もしくは時間が長くなるに従い(動的貯蔵弾性率の場合周波数が低くなるに従い)弾性率が急激に減少する領域が現れ(一般には転移領域と呼ばれる)、更に高温もしくは長時間(動的弾性率の場合、低周波)になると一定の平衡弾性率となり、この平衡弾性領域をゴム状弾性領域と呼ぶ(一般には106 〜108 Pa付近の値を示す)。
本発明においては、動的粘弾性測定装置にて、一定周波数(各周波数6.28rad/sec)、温度−50〜200℃の領域で測定した動的弾性率のうち、高温のゴム状弾性領域で現れる動的弾性率の最小値で定義したものである。なお、動的貯蔵弾性率とは一般にはE’で表され、E’=(σ0 /γ0 )cosδで定義される。ただし、σ0 は応力の最大振幅、γ0 はひずみの最大振幅、δは応力とひずみとの間の位相角を表す。
(界面のRa)
本発明のプレコート金属板においては、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層の界面のRaが0.3〜0.6μmである。このRaは、更には0.4〜0.6μmであることが好ましい(なお、本発明においては、この界面以外の各層間の界面についても、Raを同様の方法で測定することができる)。
本発明においては、この界面のRaは以下の方法(すなわち、基本的にJIS B 0601−1982に沿った方法)により好適に測定することができる。
すなわち、表面粗さRaを測定すべき界面を撮影して、検鏡写真とし、トレース装置により該界面の凹凸(粗さ曲線)をトレースし、該凹凸に沿って切り抜いた紙の重量を測定することにより、JIS B 0601所定の式に従って、この界面の中心線平均粗さRaを求める。
すなわち、上記粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さL(エル)=35μmだけ抜き取り、下記の式(1)に従って、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計して平均してRaの値とする。
Figure 0004324095
本発明において、金属板を被覆する塗膜が、上記した動的貯蔵弾性率の条件を満たすようにするためには、例えば以下の手法がある。本発明においては、いずれの手法(またはこれらの2以上の組合せ)をも用いることも可能である。
(a)塗膜を構成する樹脂の分子鎖を枝分かれのより少ない構造にする(枝分かれが少ない構造とすることにより、動的貯蔵弾性率の最小値が低下する)、
(b)樹脂の架橋点をより少くする(樹脂の架橋点を少くすることにより、動的貯蔵弾性率の最小値が低下する)、
(c)架橋点の強度をより小さくする(架橋点の強度をより小さくすることにより、動的貯蔵弾性率の最小値が低下する)。
本発明において、樹脂の粘弾性特性は、樹脂の動的粘弾性試験のみならず、応力緩和試験からも得ることができる。この場合、応力緩和試験で求められる緩和弾性率(E(t))を貯蔵弾性率(E’)とする。
本発明の条件は、前述の試験方法以外に、一般的に知られている粘弾性試験方法から、それぞれの換算則を用いて計算により求めることもできる。例えば、粘弾性材料については、時間−温度の換算則が成立することが知られているから、動的粘弾性試験の貯蔵弾性率の周波数依存曲線や応力緩和試験の時間依存曲線から塗膜の流動領域における条件を計算により求めることができるし、また、塗膜の流動領域における条件は、クリープ試験から得られるクリープコンプライアンス(クリープコンプライアンスは弾性率の逆数と比例関係となる)を弾性率に換算して求めることができる(上述した2種類の貯蔵弾性率の測定の詳細に関しては、必要に応じて、特開2003−103697号を参照することができる)。
これら粘弾性もしくはレオロジーの一般的な知見については、公知の文献、例えばJ.D.Ferry著の「 Viscoelastic Properties 」(発行:John Wiley and Sons)や日本レオロジー学会編の「講座・レオロジー」(発行:高分子刊行会)などを参考とすることができる。
(金属板)
本発明のプレコート金属板を構成する金属板は、該金属板の上に、上記特性を有する塗膜が形成可能である限り、特に制限されない。本発明の塗膜の特性を良好に発揮させる点からは、金属板の材料は、絞り加工が可能な金属材料であることが好ましい。本発明において、この「金属」は、合金であってもよい。例えば金属板として、鋼板、アルミ板、チタン板などが挙げられるが、これらは限定されるものではない。
これらの金属材料の表面には、必要に応じて、めっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。合金めっきであってもよい。
上記した金属板が、鋼板の場合は、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板、ステンレス鋼板などの鋼板、および、めっき鋼板を適用できる。これらの金属板には、塗装前処理を施す前に湯洗、アルカリ脱脂などの通常の処理を行うことができる。
本発明において、金属板の厚さは特に制限されない。例えば、本発明のプレコート金属板を絞り加工に使用する場合には、金属板の厚さは通常0.05〜5mm程度であることが好ましい。
(塗装前処理)
上記した金属板には、必要に応じて、塗装前処理を施してもよい。このような塗装前処理としては、公知のもの、例えば、塗布クロメート処理、電解クロメート処理、リン酸処理、ジルコニア系前処理などを使用することができる。また、近年、樹脂をベースとしてノンクロメート前処理も開発されているが、このノンクロメート前処理を用いると、環境への負荷が低減されるので、より好適である。
(熱硬化型有機樹脂)
本発明においては、金属板上に塗膜を形成可能である限り、塗膜に用いるべき熱硬化型有機樹脂は特に制限されない。このような熱硬化型有機樹脂としては、一般に公知のプレコート鋼板向けの熱硬化型樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などを主樹脂とした熱硬化型のものを用いることができる。また、これらの樹脂を適宜ブレンドして適用することも可能である。
これらの熱硬化型樹脂の中でも、本発明においては、成形加工性の点からは、ポリエステル樹脂を主樹脂とし、メラミン樹脂を硬化剤として用いたポリエステル/メラミン系樹脂、又はイソシアネートを硬化剤とするポリエステル/イソシアネート系樹脂であることが特に好ましい。
(硬化剤)
本発明においては、上記した樹脂に、必要に応じて上記以外の硬化剤を添加してもよい。このような硬化剤としては、公知のもの、例えば、エポキシ樹脂、メラミン以外のアミノプラスト樹脂などを用いることができる。
硬化剤の添加量は、主樹脂の種類や硬化剤の種類によって適宜選択することができる。一般的には、主樹脂100質量部に対して硬化剤の添加量が(更には5〜45質量部)であると好適である。また、主樹脂を構成する高分子鎖はなるべく枝分かれの少ないものがよく、直鎖タイプのものがより好適である。主樹脂を構成する高分子鎖の枝分かれが多いと高分子鎖同士で絡み合いが生じ、流動が発生しにくいからである。
(塗膜への硬化剤の含有)
本発明においては、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との2層構成の塗膜の全部または一部に硬化剤(例えば、メラミン樹脂)を含有させる場合には、それぞれの塗膜に、該塗膜を構成する樹脂用の硬化剤を含有させることが可能である。加えて、本発明においては、このような同じ塗膜用の硬化剤に加えて、ないしはこれに代えて、他の塗膜用の硬化剤を含有させてもよい。すなわち、本発明においては、例えば、下記のように硬化型樹脂と、硬化剤とを組み合わせることができる(下記の表において、樹脂A用の硬化剤をaとし、樹脂B用の硬化剤をbとし、樹脂AおよびBに共通の硬化剤をcとする)。
<下層> <下層に含有の硬化剤> <上層> <上層に含有の硬化剤>
(1)樹脂A 硬化剤a 樹脂B 硬化剤b
(2)樹脂A 硬化剤c 樹脂B 無し
(3)樹脂A 無し 樹脂B 硬化剤c
このように、上層および/又は下層に、他の層にも反応する硬化剤を加えた場合には、硬化剤(例えば、メラミン樹脂)の上層/下層の界面における相互拡散に基づき、これらの層間における密着性を更に向上させることができる。
(樹脂の物性等)
本発明のプレコート金属板の塗膜を構成する樹脂の数平均分子量は、10000以上が好適である。塗膜を構成する樹脂の数平均分子量が10000未満では、プレス加工により引張り、歪みが作用したときに塗膜の伸びが乏しく、加工部位で塗膜に亀裂が入りやすい。上記数平均分子量はより高い方が、塗膜の破断伸びがより高くなるので好適である。
上記数平均分子量が高すぎると、塗料化できないか、もしくは、塗料化したときの粘度が高くなりすぎて塗布作業性が低下するなどの不具合点が発生する可能性があるため、上記数平均分子量は、作業条件及び作業環境に応じて適宜選択することが好ましい。
(顔料等)
これらの塗膜中には、必要に応じて着色顔料や防錆顔料を併用して添加することができる。着色顔料としては、酸化チタン(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、炭酸カルシウム(CaCO3 )、硫酸バリュウム(BaSO4 )、アルミナ(Al23 )、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe23 、Fe34 )等の無機顔料や、有機顔料などの着色顔料が挙げられる。
また、防錆顔料については、ストロンチウムクロメート、カルシウムクロメートなどのクロム系防錆顔料や、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸アルミ、亜リン酸アルミ、モリブデン酸、バナジン酸/リン酸混合顔料、Caイオン交換シリカなどのノンクロム系防錆顔料が挙げられる。ノンクロメート防錆顔料の場合、環境負荷が小さくなるので、より好適である。
(塗布)
本発明のプレコート金属板を構成する各塗膜を塗布する際には、樹脂を塗料形態にして塗布することができる。例えば、樹脂を溶剤に溶解した溶剤系塗料、エマルジョン化した樹脂を水などに分散した水系塗料、樹脂を溶融させてから塗布する形態などが挙げられる。
なお、プレコート金属板には塗膜層を被覆する前に塗膜密着性を上げるために、金属板もしくはめっきを施した金属板上に塗装前処理を施してもよい。本発明のプレコート金属板においても、塗装前処理を施した方が好適である。塗装前処理を施さなくても塗膜が密着すれば、塗装前処理工程を省略できるので、より好適である。
(層構成)
本発明のプレコート金属板においては、熱硬化型有機樹脂塗膜が、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との少なくとも2層を有し、且つ、上記した所定の動的貯蔵弾性率および界面のRaの条件を満たす限り、3層以上の塗膜を有していてもよい。
(膜厚)
本発明のプレコート金属板の膜厚は特に制限されない。すなわち、塗膜性能や塗装方式、用途によって適切な膜厚も異なる可能性があるため、必要に応じて、適宜選択することが好ましい。
(好適な塗装方法)
本発明においては、上記した下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との双方をスライドカーテン方式で同時塗布し、加熱乾燥することができる
本発明においては、製造工程の効率化の点からは、多層コータを用いて下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との双方を形成し、且つこれら双方の塗膜層を同時に焼き付けすることが好ましい。
(多層コータを用いる方法)
本発明においては、生産性の点からは、多層コータを用いることが好ましい。このような多層コータとしては、例えば、特開平6−190335号公報に記載されたコータないしコーティング方法を好適に使用することができる。
このようなコータの一態様(スライドホッパー型カーテン塗装装置)の模式斜視図を図1に示す。
図1を参照して、スライドホッパー1には3層の塗料がギアポンプ等により定量的に送り出される塗料供給孔8およびスリット6が設置されている。スライド面7の唇部7Aの両端部に接するようにチェーン状のカーテンガイド3が設けられている。該唇部7Aの下方には塗料パン5が設置され、カーテンガイド3は塗料パン5の底部まで垂らしている。塗料Pはスライドホッパー1の各々の塗料供給孔8からスリット6を通してスライド面7に幅方向均一に供給され、スライド面7上で積層される。積層された塗料はスライド面7の先端部(唇部7A)で塗料パン5に落下する際にカーテンガイド3により拡げられるため、塗料のカーテン4として幅方向に均一な液膜として流れる。この液膜に帯状の金属板、例えば鋼帯2を通板することにより、鋼帯2の面上に複数層の塗料を同時に塗布することができる。
スライドホッパー型塗装装置による複数層同時塗装を金属板面と非接触で行うため、ロールコータでは避けることができないローピングが発生することはない。また、塗料膜が複数層のカーテン4であるため、カーテン4の総膜厚が安定する膜厚以上、すなわち、乾燥膜厚で20μm程度であれば、一つの塗料膜厚が数μmで塗装することが可能である。したがって、プライマーとトップコートを同時に塗装することにより、ローピングが発生することのない外観が美麗な塗装金属板を得ることができる。
また、複数塗料膜の同時塗装に際し、必要に応じて、各塗料の表面張力をコントロールすることにより塗膜の表面を、原板の面より平滑な面にすることも可能である。例えば、上層の塗料Aの表面張力を下層の塗料Bの表面張力より低くすることにより、上層の塗料膜は平滑になる。これは、下層の塗料より上層の塗料の表面張力が低いときは、下層の塗料が金属板面によって拘束されているために、流体力学的に最表面の塗料が平滑になるほうが安定するためである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例において使用した各種物性の測定方法は、以下の通りである。
(動的貯蔵弾性率)
プレコート鋼板に使用すべき塗料(塗膜特性を測定すべき塗料、例えば後述する「バイロン」等のポリエステル樹脂)をブリキ板の上に乾燥膜厚で10μmとなるように塗装し、到達板温が230℃の条件で硬化乾燥の後、水銀アマルガム法にてブリキ板より塗膜を遊離し、塗膜のフリーフィルムを作成した。作成したフリーフィルムを動的粘弾性試験装置(レオメトリクス社製、RSA−II)にて温度領域−50〜200℃における動的貯蔵弾性率を測定した。測定条件は、ひずみ0.01%、角周波数6.28rad/secで実施した。図2に本実験により得た温度と動的貯蔵弾性率(対数表示)との関係の代表例を示す。このグラフからもわかるように、低温領域(図2では約20℃以下の温度領域)で動的貯蔵弾性率の高いガラス状弾性領域が現れ、これより温度が高い領域(図2では約20〜50℃の領域)で動的貯蔵弾性率の値が急激に低下する転移領域が現れ、更に高い領域(図2では約50℃以上)では動的貯蔵弾性率が低い値で平衡になるゴム状弾性領域が現れている。本発明では、ゴム状弾性領域にて現れる貯蔵弾性率の最小値を比較している。
実施例1
(スライドコーターによる同時塗布+同時焼付け)
<塗料>
後述する表1に示すような量比で、下塗り塗膜層および上塗り塗膜層用の塗料を作製した。
すなわち、表1に示す個々のポリエステル樹脂(例えばバイロン103 Mn23000、Tg47℃、バイロンGK140 Mn13000、Tg20℃、バイロンGK590 Mn7000、Tg17℃(東洋紡績社製)ミクロヘキサノン/ソルベック150)を、有機溶剤(=1/1wt)に溶解した。次に、これらの塗料に、必要に応じて、メラミン樹脂(メチル化メラミン(商品名:サイメル303、三井サイテック社製))をポリエステル樹脂の固系分100質量部に対して20質量部添加し、更に、触媒(商品名:キャタリスト6000、三井サイテック社製)を添加し、攪拌して塗料を得た。
本実施例において用いた下塗り塗膜層および上塗り塗膜層用の塗料には、下記の顔料を添加した。
下塗り層塗料用顔料:カルシウムイオン交換シリカ(シールデックス、グレース社製)15質量%、酸化チタン10質量%
上塗り層塗料用顔料:白:酸化チタン50質量%、黒:カーボンブラック 4質量%
<鋼板の作製>
付着量が片面当たり60g/m2 で両面がめっきされた厚み0.8mmの溶融亜鉛めっき鋼板を、脱脂処理剤(商品名:FC−4336、日本パーカライジング社製)に浸漬することにより脱脂を行い、水洗後、乾燥した。次いで、脱脂した上記溶融亜鉛めっき鋼板上に、ロールコーターでクロメートフリー前処理剤(E300N、日本パ−カライジング製)を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥した。
上記したノンクロメート処理後、図1に示すスライドコータを用いて、表1に示す塗料を上記したクロメートフリー前処理後の溶融亜鉛めっき鋼板上に、下層および上層を形成するための樹脂コーティングを同時塗布により形成した後、これらの層を同時焼き付けして(PMT(最高到達板温)235℃、1分)、該溶融亜鉛めっき鋼板上に、下塗り塗膜層(厚さ5μm)と上塗り塗膜層(厚さ15μm)とを形成した。
実施例2(ロールコーターによる下層塗布+焼付け+ロールコーターによる上層塗布+焼付け;2C2B)
実施例1に用いたものと同じクロメートフリー前処理後の溶融亜鉛めっき鋼板上に、ロールコーターを用いて下塗り塗膜層形成用の樹脂層を形成した。次いで、この塗膜層を焼き付け(PMT215℃、1分)して、溶融亜鉛めっき鋼板上に、下塗り塗膜層(厚さ5μm)を形成した。
その後、該下塗り塗膜層を形成した溶融亜鉛めっき鋼板上に、ロールコーターを用いて下塗り塗膜層を形成し、次いでこの塗膜層を焼き付け(PMT235℃、1分)して、上記の下塗り塗膜層(厚さ5μm)上に、上塗り塗膜層(厚さ15μm)を形成した。
実施例3(円筒絞り試験)
円筒絞り試験は、ポンチ径50mm、ポンチ肩R3mm、ダイス肩R3mm、絞り比2.3、BHF1tの条件で行い、鋼板が金型から絞り抜けるまで加工を行った。さらに、これらの絞り加工を施した材料の胴部(絞りが施されている部位)にカッターナイフにてクロスカット傷を入れたのち、このカット入りの絞り成形材を沸騰水中に1時間浸漬させた。そして沸騰水浸漬後のカット部の塗膜表面をテープ剥離試験した。
塗膜ハクリが全くないもの○
塗膜がハクリしているもの△
テープ剥離する前から塗膜がハクリしているもの×
上記により得られた結果を、下記の表1に示す。
Figure 0004324095
本発明において好適に使用可能なスライドコーターの一例を示す模式斜視図である。 本発明における動的貯蔵弾性率の測定方法を説明するための模式的なグラフである。

Claims (7)

  1. 金属板と、その少なくとも片面上に配置された熱硬化型有機樹脂塗膜を有するプレコート金属板であって、
    該熱硬化型有機樹脂塗膜が、下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との少なくとも2層を含み;且つ、
    前記下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との両者の塗膜層が、ゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値として2.3×107Pa以下の値を有し、且つ下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との界面のRa(中心線平均粗さ)が0.3〜0.6μmであることを特徴とするプレコート金属板。
  2. 前記両下塗り塗膜層と上塗り塗膜層を構成する樹脂が、これらの樹脂の双方を硬化させる共通の硬化剤を有し、且つ、両下塗り塗膜層と上塗り塗膜層との少なくとも一方に、該共通の硬化剤が含有される請求項1に記載のプレコート金属板。
  3. 両塗膜層の界面に、硬化剤濃度の勾配を有する請求項1または2に記載のプレコート金属板。
  4. 前記下塗り塗膜層が防錆顔料を含む請求項1〜3のいずれかに記載のプレコート金属板
  5. 前記上塗り塗膜層が着色顔料を含む請求項1〜4のいずれかに記載のプレコート金属板
  6. 前記硬化剤がメラミン樹脂である請求項1〜のいずれかに記載のプレコート金属板。
  7. 多層コータを用いて製造され、且つ、両塗膜層が同時に焼き付けされた請求項1〜のいずれかに記載のプレコート金属板。
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