JPH05285451A - Pcm鋼板の粉体塗料塗装方法および該方法に使用するpcm鋼板 - Google Patents

Pcm鋼板の粉体塗料塗装方法および該方法に使用するpcm鋼板

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JPH05285451A
JPH05285451A JP11220592A JP11220592A JPH05285451A JP H05285451 A JPH05285451 A JP H05285451A JP 11220592 A JP11220592 A JP 11220592A JP 11220592 A JP11220592 A JP 11220592A JP H05285451 A JPH05285451 A JP H05285451A
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coating
coated
coating film
steel sheet
pcm
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JP11220592A
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English (en)
Inventor
Kenji Suda
憲司 須田
Kenzo Fujino
健三 藤野
Masatoshi Yagi
正敏 八木
Takaharu Mitsuta
敬治 光田
Yoshio Iwata
嘉男 岩田
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Kawakami Paint Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Kawakami Paint Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 両面塗装PCM鋼板の表面および切断面に粉
体塗料塗膜を安全かつ生産効率よく形成することがで
き、塗装物を内面の美観や強力な耐食性が要求される用
途にも適用できるようにする。 【構成】 両面塗装PCM鋼板の裏面塗膜上に表面抵抗
率1012Ω/sq以下の導電性塗膜を形成するか、また
は両面塗装PCM鋼板の裏面塗膜を表面抵抗率1012Ω
/sq以下の導電性塗膜で構成し、上記PCM鋼板の表
面に粉体塗料を静電塗装してその表面および切断面に粉
体塗料塗膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PCM鋼板の粉体塗料
塗装方法および該方法に使用するPCM鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料の静電塗装によるPCM(プレ
コート)化は、家電製品、建材、鋼製製品、車両部品な
ど、多岐の分野にわたって応用されている。このPCM
化とは、組み立てられた被塗装物に塗装を施すのではな
く、あらかじめシート状の鋼板に塗装を施すか、あるい
はコイル状の鋼板を巻き戻しながら塗装を施しておき、
その塗装を施した鋼板を所定の構図で切断を行ってから
成形して製品化する方式を意味している。
【0003】そして、このPCM化に際して粉体塗料が
用いられるのは、粉体塗料が有機溶剤を含有しないため
に環境汚染を起こさないことや、被塗装物上に塗着しな
かった塗料の回収再使用が可能であること、さらには1
回の塗装で厚膜を形成することができるなどの利点を有
していることに基づいている。
【0004】ところで、従来の粉体塗料によるPCM化
では、その静電塗装時の火花放電の発生を防止するた
め、支持コンベアーとの間の導通が確保できるように、
PCM鋼板の裏面に塗装を施さないか、裏面に塗装を施
している場合には、広い面積を有するシート状で粉体塗
料を静電塗装する方法が採用されていた。
【0005】しかしながら、上記のようにして得られる
塗装鋼板は裏面に塗装を施してないか、あるいは塗装を
施したものであっても、その塗装鋼板を所定の構図に切
断した時には切断面に粉体塗料塗膜を有しないため、内
面の美観や強力な耐食性が要求される用途には適用する
ことができないという問題があった。
【0006】すなわち、内面に美観が要求されたり、強
力な耐食性が要求される用途には、PCM鋼板の両面に
塗装を施しておき、かつ粉体塗料の静電塗装前に所定構
図で切断を行い、それに粉体塗料の静電塗装を行って、
PCM鋼板の表面のみならず所定構図での切断面にも粉
体塗料塗膜を形成しておくことが必要である。
【0007】そこで、上記要望に応えるため、裏面にも
塗装を施した両面塗装PCM鋼板の切断面にも粉体塗料
塗膜を形成しようとする場合には、被塗装物の切断面の
下端まで粉体塗料が行きわたるように、被塗装物への当
接部分がピン状になったコンベアーを用い、被塗装物と
コンベアーとの接触面積を必要最小限度に保ちつつ静電
塗装しなければならないが、このような方法による場合
は、裏面塗膜が絶縁性を有することと、接触面積が小さ
く接触抵抗が高いこととが相まって、静電気の導通が悪
く、静電塗装時に火花放電を生じて、火災や爆発を引き
起こす危険性がある。
【0008】そのため、静電塗装を安全に行うには、鋼
板を所定構図で切断し、ついで所定形状に成形した後、
すなわち立体化した状態でアースを充分に行って、粉体
塗料の静電塗装を行わなければならないが、この方法に
よる場合、塗装ラインの設備、面積が大きくなり、また
立体での塗装になるため、単位時間当りの塗装効率が悪
く、工場のメンテナンスの費用、省力化、生産効率など
の点において、シート状またはコイル状での塗装に比べ
て大きな不利を招くことになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
PCM鋼板の粉体塗料塗装方法では、粉体塗料の静電塗
装時の火花放電の発生を避けるため、内面の美観や強力
な耐食性が要求される用途に適用できる塗装物が得られ
なかったり、あるいは内面の美観や強力な耐食性が要求
される用途に適用できる塗装物を得ようとする場合には
生産効率よく静電塗装することができないという問題が
あった。
【0010】したがって、本発明は、両面塗装PCM鋼
板の表面および切断面に粉体塗料を火花放電を生じるこ
となく安全かつ生産効率よく静電塗装することができる
PCM鋼板の粉体塗料塗装方法を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、両面塗装PC
M鋼板の粉体塗料の静電塗装にあたり、その裏面塗膜上
に導電性塗料を塗装して表面抵抗率1012Ω/sq以下
の導電性塗膜を形成しておくか、あるいは両面塗装PC
M鋼板の裏面塗膜を導電性塗料の塗装により表面抵抗率
1012Ω/sq以下の導電性塗膜で構成しておき、この
PCM鋼板の表面に粉体塗料を静電塗装してその表面お
よび切断面に粉体塗料塗膜を形成することによって、上
記目的を達成したものである。
【0012】すなわち、本発明によれば、PCM鋼板の
裏面に導電性塗膜が形成されているので、たとえPCM
鋼板とコンベアーとの接触面積が小さい場合でも、粉体
塗料の静電塗装時に発生する静電気を効果的にアースす
ることができる。その結果、粉体塗料の静電塗装時に火
花放電を生じることがないので、粉体塗料の静電塗装を
安全に行うことができる。
【0013】また、PCM鋼板の裏面に導電性塗膜が形
成されているので、粉体塗料の静電塗装時に粉体塗料が
PCM鋼板の切断面の下端まで行きわたり、PCM鋼板
の表面のみならず切断面にも粉体塗料塗膜を形成するこ
とができる。
【0014】そして、その静電塗装をシート状のPCM
鋼板に粉体塗料の静電塗装を行う場合とほぼ同様の方法
で行うことができる。
【0015】したがって、本発明によれば、両面塗装P
CM鋼板の表面および切断面に粉体塗料塗膜を安全かつ
生産効率よく形成することができ、塗装物を内面の美観
や強力な耐食性が要求される用途にも適用させることが
できる。
【0016】上記導電性塗膜を形成するための導電性塗
料としては、既存のプライマー(通常、鋼板の裏面に直
接形成される塗膜はプライマー塗膜である)に付着する
かまたは鋼板に直接塗装可能なもので、通常のPCM用
としての曲げ加工性や強度を有し、表面抵抗率が1012
Ω/sq以下の導電性塗膜を成形し得るものであればよ
く、たとえば後述するような市販品を用いることができ
る。
【0017】PCM鋼板の裏面に形成する導電性塗膜
は、PCM鋼板の裏面に直接形成したものでもよいし、
またプライマー塗膜などの裏面塗膜上に形成したもので
もよいが、その表面抵抗率は1012Ω/sq以下のもの
であることを要する。これは表面抵抗率が1012Ω/s
qより高くなると静電気の半減期が長くなりすぎ、静電
気の除去性に欠けるからである。
【0018】導電性塗膜の表面抵抗率は小さいほど静電
気の除去という面では好都合であるが、価格的には高く
なるので、性能と価格を考え併せると、導電性塗膜の表
面抵抗率は1010〜104 Ω/sqの範囲が好ましい。
【0019】この導電性塗料における導電剤としては、
たとえば導電性カーボン、チタン酸カリウムやチタンな
どの表面に錫−アンチモンメッキを施したもの、グラフ
ァイト、酸化亜鉛など、通常の導電性塗料に使用される
ものが単独でまたは2種以上の併用の形で使用される。
また、上記導電性塗料におけるベース樹脂としては、た
とえばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ならびにこれらに適
応した硬化剤を含有したものなど、各種のものが使用で
きる。そして、導電性塗料の形態としては液状、粉体、
シート状のいずれでもよい。
【0020】上記のように既存のプライマーに付着する
かまたは鋼板に直接塗装可能で、通常のPCM用として
の曲げ加工性や強度を有し、表面抵抗率が1012Ω/s
q以下の導電性塗膜を形成し得る導電性塗料としては、
たとえば川上塗料(株)製のシェルトロン6300グレ
ータイプ(I)(塗膜の表面抵抗率105 Ω/sqレベ
ルの導電性塗料)、シェルトロン6300グレータイプ
(II)(塗膜の表面抵抗率109 Ω/sqレベルの導
電性塗料)などを挙げることができる。
【0021】上記の導電性塗膜は通常3〜10μmの厚
さに形成され、その形成にあたってはロールコーター、
バーコーター、フローコーターなどの適宜な塗装手段が
採用される。
【0022】導電性塗料はこれまでエレクトロニクス用
部品における静電気の帯電防止や、エレクトロニクスや
バイオテクノロジー関連のクリーンルームにおける静電
気の帯電防止などに使用されてきたが、PCM鋼板の粉
体塗料の静電塗装に際して応用されたことはなく、もと
より裏面塗膜を導電性塗膜で構成したPCM鋼板や裏面
塗膜上に導電性塗膜を形成したPCM鋼板は作製されて
いない。
【0023】粉体塗料の静電塗装は、両面塗装PCM鋼
板の裏面の導電性塗膜の表面抵抗率を測定して所定の範
囲内にあることを確認し、成形前の所定構図での切断を
行った後、これを導電性コンベアーまたは必要なアース
がとられたコンベアー上に置き、粉体塗料を静電塗装す
る。
【0024】粉体塗料としては、用途に応じ、たとえば
アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、エポキシ−
ポリエステル系、ポリエステル−ブロックウレタン系な
ど、各種の粉体塗料を使用することができる。また、静
電塗装にあたって、塗装機は種類を問わず使用すること
ができる。
【0025】塗装条件は特に制約されるものではない
が、印加電圧は−40kV〜−90kVまたは+40k
V〜+90kVの範囲が好ましく、極間距離は50〜3
00mm、吐出量は50〜300g/分の範囲が好まし
く、また、ライン化による工業的実施を行う場合には、
パターン幅は50〜500mm、ガンの運行スピードは
1〜30m/分、コンベアースピードは1〜50m/分
の範囲が好ましく、目的に合わせて、これらの範囲から
適した条件を選択すればよい。
【0026】
【実施例】つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0027】供試塗板の作製 実施例1 素材としては厚さ0.35mmで210mm×300m
mのペンタイトB〔日新製鋼(株)製の合金化処理溶融
亜鉛めっき鋼板〕を用い、プライマーとしては161Y
−70プライマー〔川上塗料(株)製の変性エポキシ樹
脂系防錆プライマー〕を用い、導電性塗料としてはシェ
ルトロン6300グレータイプ(I)〔川上塗料(株)
製の導電性塗料で、塗膜の表面抵抗率105 Ω/sqレ
ベル〕を用い、以下に示すようにして供試塗板を作製し
た。
【0028】素材のペンタイトBの両面にバーコーター
を用いて上記161Y−70プライマーを乾燥膜厚(以
下、D.F.T.と略記する)が5μmになるように塗
装し、被塗装物最高温度(以下、P.M.T.と略記す
る)190℃で30秒間焼付けた。
【0029】つぎに上記両面塗装鋼板の裏面塗膜上に上
記導電性塗料シェルトロン6300グレータイプ(I)
をバーコーターによりD.F.T.が5μmになるよう
に塗装し、P.M.T.225℃で40秒間焼付けた。
この裏面の導電性塗膜の表面抵抗率は3.5×105 Ω
/sqであった。そして、この塗板に直径50mmの円
形の穴を2個打ち抜き、円形の切断面を2個作った。
【0030】実施例2 素材として厚さ0.35mmで210mm×300mm
のシルバーアロイ〔新日本製鉄(株)製の合金化処理溶
融亜鉛めっき鋼板〕を用い、プライマーには実施例1と
同様に161Y−70プライマーを用い、導電性塗料に
はシェルトロン6300グレータイプ(II)〔川上塗
料(株)製の導電性塗料、塗膜の表面抵抗率109 Ω/
sqレベル〕を用いて、実施例1と同様の条件下で、素
材のシルバーアロイの両面に161Y−70プライマー
を塗装し、焼付けた後、その裏面塗膜上に導電性塗料シ
ェルトロン6300グレータイプ(II)を塗装し、焼
付け、得られた塗板に実施例1と同様に直径50mmの
円形の穴を2個打ち抜いた。この塗板の裏面の導電性塗
膜の表面抵抗率は4.2×109 Ω/sqで、その導電
性塗膜のD.F.T.は5μmであった。
【0031】実施例3 素材としてボンデライト114M〔日本パーカライジン
グ(株)製のリン酸亜鉛被膜処理剤〕で処理した厚さ
0.35mmで210mm×300mmの冷延鋼板SP
CD−SD材〔新日本製鉄(株)製の冷延鋼板〕を用
い、この素材の一方の面に実施例1と同様のプライマー
を実施例1と同様の条件下で塗装し、焼付けた後、その
裏面に導電性塗料として実施例1と同様のシェルトロン
6300グレータイプ(I)をD.F.T.が5μmと
なるように塗装し、実施例1と同様にP.M.T.22
5℃で40秒間焼付け、得られた塗板に実施例1と同様
に直径50mmの円形の穴を2個打ち抜いた。この塗板
の裏面の導電性塗膜の表面抵抗率は1.6×105 Ω/
sqであった。
【0032】実施例4 素材として厚さ0.35mmで210mm×300mm
のジンコート〔新日本製鉄(株)製の電気亜鉛めっき鋼
板〕を用い、プライマーには実施例1と同様の161Y
−70プライマーを用い、導電性塗料としては実施例2
と同様のシェルトロン6300グレータイプ(II)を
用いて、実施例3と同様に、素材の一方の面にプライマ
ーを塗装し、焼付けた後、その裏面に導電性塗料を実施
例3と同様に直接塗装し、焼付けた。得られた塗板に実
施例1と同様に直径50mmの円形の穴を2個打ち抜い
た。この塗板の裏面の導電性塗膜の表面抵抗率は2.3
×109 Ω/sqであった。
【0033】実施例5 素材として厚さ0.35mmで210mm×300mm
のGI材(住友金属工業(株)製の亜鉛めっき鋼板〕を
用い、この素材のGI材の両面に実施例1と同様のプラ
イマーを実施例1と同様の条件下で塗装し、焼付けた
後、その裏面塗膜上に実施例1と同様の導電性塗料を実
施例1と同様の条件下で塗装し、焼付けた。得られた塗
板に実施例1と同様に直径50mmの円形の穴を2個打
ち抜いた。この塗板の裏面の導電性塗膜の表面抵抗率は
5.2×105 Ω/sqであった。
【0034】比較例1 素材として実施例1と同様にペンタイトB〔日新製鋼
(株)製の合金化処理溶融亜鉛めっき鋼板〕を用い、こ
の素材の両面に実施例1と同様のプライマーを実施例1
と同様の条件下で塗装し、焼付けた後、その裏面塗膜上
にシェルトロン6300グレータイプ(III)〔川上
塗料(株)製の導電性塗料、塗膜の表面抵抗率1012Ω
/sqレベル)を実施例1と同様の条件下で塗装し、焼
付けた。得られた塗板に実施例1と同様に直径50mm
の穴を2個打ち抜いた。この塗板の裏面の塗膜の表面抵
抗率は2.2×1012Ω/sqであった。
【0035】比較例2 素材として実施例4と同様にジンコート〔新日本製鉄
(株)製の電気亜鉛めっき鋼板〕を用い、この素材の両
面に実施例1と同様のプライマーを実施例1と同様の条
件下で塗装し、焼付けた後、その裏面塗膜上にバーコー
ターによりコイルコート8200グレー〔川上塗料
(株)製のポリエステル系塗料〕をD.F.T.が5μ
mになるように塗装し、P.M.T.200℃で40秒
間焼付けた。得られた塗板に実施例1と同様に直径50
mmの穴を2個打ち抜いた。この塗板の裏面塗膜の表面
抵抗率は7.8×1014Ω/sqであった。
【0036】比較例3 素材として実施例1と同様にペンタイトB〔日新製鋼
(株)製の合金化処理溶融亜鉛めっき鋼板〕を用い、こ
の素材の両面に実施例1と同様のプライマーを実施例1
と同様にバーコーターによりD.F.T.5μmになる
ように塗装し、P.M.T.190℃で30秒間焼付け
た後、その裏面塗膜上にバーコーターにより比較例2と
同様のコイルコート8200グレーを比較例2と同様の
条件下で塗装し、焼付けた。この塗板の裏面塗膜の表面
抵抗率は8.5×1014Ω/sqであった。
【0037】粉体塗料の静電塗装 上記実施例1〜5および比較例1〜3で作製したPCM
鋼板の表面のプライマー塗膜面に対し、ポーセラック3
000−38ホワイト〔川上塗料(株)製のPCM用ポ
リエステル粉体塗料〕を下記の3種類の静電塗装機(塗
装条件はいずれも同じ)で静電塗装して、PCM鋼板を
保持している接地部分(後述の図1で説明すると、コン
ベアー4のピン状当接部5をいう)との間に生じる火花
放電の度合を比較した。
【0038】また、粉体塗料の静電塗装後の塗膜をP.
M.T.225℃で60秒間焼付けた後、塗板を塩水噴
霧試験に供し、その耐食性を調べた。ただし、比較例3
の塗板については、静電塗装による粉体塗料塗膜の形成
後、直径50mmの穴を2個打ち抜き、それを塩水噴霧
試験用の試料とした。
【0039】供試塗装機 小野田セメント(株)製 手吹静電塗装機 GX−3
75型 ゲマ社製 手吹静電塗装機 721型 サメス社製 手吹静電塗装機 スタージェット JR
−50 印加電圧:−80kV ガンと被塗装物との間の距離:200mm 吐出量:100g/分、10秒間塗装 静電塗装時の気温20℃、相対湿度60%
【0040】粉体塗料の静電塗装時の状態を図1に示
す。図1中の1は素材の鋼板であり、この鋼板1の両面
に塗膜があり、実施例1〜5の場合、表面塗膜2はプラ
イマー塗膜で、裏面塗膜3はプライマー塗膜と導電性塗
膜との積層体または導電性塗膜単独で構成されている。
そして、このPCM鋼板はコンベアー4のピン状当接部
5上に配置され、その表面に静電塗装機6から粉体塗料
7が静電塗装される。
【0041】粉体塗料の静電塗装後のPCM鋼板の断面
図を図2〜図3に模式的に示す。
【0042】図2において、11は素材の鋼板であり、
12はプライマー塗膜で、このプライマー塗膜12は鋼
板11の両面に形成されている。13は導電性塗膜で、
鋼板11の裏面側のプライマー塗膜12上に形成されて
いる。図1との関係で説明すると、この鋼板11の裏面
側のプライマー塗膜12と導電性塗膜13とが図1にお
ける裏面塗膜3に該当する。そして、14は粉体塗料塗
膜であり、この粉体塗料塗膜14はPCM鋼板の切断面
の下端、つまり最下層の導電性塗膜13の下端まで完全
に被覆している。また、実施例との関係で説明すると、
実施例1、実施例2および実施例5の塗板に粉体塗料塗
膜を形成したものが、この図2に示すものに該当する。
【0043】つぎに、図3に示すものについて説明す
る。この図3に示すものでは、鋼板11の表面側にのみ
プライマー塗膜12を形成し、裏面側にはプライマー塗
膜を形成せず、鋼板11の裏面に直接導電性塗膜13を
形成している。図1との関係で説明すると、この導電性
塗膜13が図1における裏面塗膜3に該当する。そし
て、この図3に示すものにおいても、粉体塗料塗膜14
がPCM鋼板の切断面の下端、つまり裏面塗膜の導電性
塗膜13の下端まで完全に被覆している。また、実施例
との関係で説明すると、実施例3および実施例4の塗板
に粉体塗料塗膜を形成したものがこの図3に示すものに
該当する。
【0044】表1〜表2に粉体塗料の静電塗装時の火花
放電の発生状況と静電塗装後の塗板の塩水噴霧試験の結
果を示す。表1は実施例1〜5の場合であり、表2は比
較例1〜3の場合である。
【0045】なお、静電塗装時の火花放電は、塗装開始
と同時に火花を出し、その後は火花を出さない場合と継
続して火花を出す場合との2種類あり、両者とも粉体塗
料の着火や爆発の原因になる可能性があり、いずれか一
方でもあると危険と判断される。塗装開始時のものを初
期という表現で、継続するものを継続という表現で示
す。また、火花放電の発生状況は、使用した静電塗装機
(社名で示す)ごとに示す。
【0046】塩水噴霧試験は、濃度5.0重量%の塩化
ナトリウム水溶液を粉体塗料を静電塗装した塗板に35
℃、1.0kg/cm2 で1000時間噴霧し、切断面
の状態を観察したものである。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表1に示す結果から明らかなように、本発
明の実施例1〜5は、粉体塗料の静電塗装時に火花放電
を生じることがまったくなく、粉体塗料の静電塗装を安
全に行うことができることを示していた。また、粉体塗
料の静電塗装後の塗装物は、1000時間という苛酷な
塩水噴霧試験後においても切断面にまったく異常が発生
せず、強力な耐食性が要求される用途にも適用できるこ
とを示していた。
【0050】これに対し、比較例1〜3は、表2に示す
ように、いずれも粉体塗料の静電塗装時に火花放電を生
じ、安全性に欠け、また、比較例2〜3では、塩水噴霧
試験後の塗板の切断面に赤錆とふくれの発生が見られ、
強力な耐食性が要求される用途には適用しがたいことを
示していた。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、両面
塗装PCM鋼板の裏面塗膜上に表面抵抗率1012Ω/s
q以下の導電性塗膜を形成するか、または両面塗装PC
M鋼板の裏面塗膜を表面抵抗率1012Ω/sq以下の導
電性塗膜で構成することによって、両面塗装PCM鋼板
の表面および切断面に粉体塗料塗膜を安全かつ生産効率
よく形成することができ、塗装物を内面の美観や強力な
耐食性が要求される用途にも適用させることができるよ
うになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により両面塗装PCM鋼板に粉体塗料を
静電塗装する際の状態を模式的に示す概略図である。
【図2】本発明により粉体塗料塗膜が形成されたPCM
鋼板の塗膜構成の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明により粉体塗料塗膜が形成されたPCM
鋼板の塗膜構成の他例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 表面塗膜 3 裏面塗膜 4 コンベアー 5 ピン状当接部 6 静電塗装機 7 粉体塗料 11 鋼板 12 プライマー塗膜 13 導電性塗膜 14 粉体塗料塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 光田 敬治 兵庫県尼崎市塚口本町2丁目41番1号 川 上塗料株式会社内 (72)発明者 岩田 嘉男 兵庫県尼崎市塚口本町2丁目41番1号 川 上塗料株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両面塗装PCM鋼板の裏面塗膜上に導電
    性塗料を塗装して表面抵抗率1012Ω/sq以下の導電
    性塗膜を形成し、該PCM鋼板の表面に粉体塗料を静電
    塗装してその表面および切断面に粉体塗料塗膜を形成す
    ることを特徴とするPCM鋼板の粉体塗料塗装方法。
  2. 【請求項2】 両面塗装PCM鋼板の裏面塗膜がPCM
    鋼板の未塗装面に導電性塗料を塗装して形成した表面抵
    抗率1012Ω/sq以下の導電性塗膜であって、該PC
    M鋼板の表面に粉体塗料を静電塗装してその表面および
    切断面に粉体塗料塗膜を形成することを特徴とするPC
    M鋼板の粉体塗料塗装方法。
  3. 【請求項3】 両面塗装PCM鋼板の裏面塗膜上に表面
    抵抗率1012Ω/sq以下の導電性塗膜を形成してなる
    ことを特徴とするPCM鋼板。
  4. 【請求項4】 両面塗装PCM鋼板の裏面塗膜が表面抵
    抗率1012Ω/sq以下の導電性塗膜であることを特徴
    とするPCM鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007013232A1 (ja) * 2005-07-28 2007-02-01 Nippon Steel Corporation プレコート金属板及びその製造方法

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