JP2003145671A - 透明性に優れたクリアー塗装ステンレス鋼板 - Google Patents
透明性に優れたクリアー塗装ステンレス鋼板Info
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 ステンレス鋼素地の金属光沢を活かした家電
機器の筐体，内装材，表装材等として好適なクリア塗装
ステンレス鋼板を提供する。 【構成】 このクリア塗装ステンレス鋼板は、６０度で
の鏡面光沢４００以上のクリア塗膜が鋼板表面に形成さ
れている。クリア塗膜は、ベンゼン環を含まない樹脂塗
料から形成され、屈折率１．４０以上，可視光透過率６
０％以上の塗膜であることが好ましい。ＢＡ仕上げ材を
基材ステンレス鋼板に使用すると、金属光沢が一層強調
される。
機器の筐体，内装材，表装材等として好適なクリア塗装
ステンレス鋼板を提供する。 【構成】 このクリア塗装ステンレス鋼板は、６０度で
の鏡面光沢４００以上のクリア塗膜が鋼板表面に形成さ
れている。クリア塗膜は、ベンゼン環を含まない樹脂塗
料から形成され、屈折率１．４０以上，可視光透過率６
０％以上の塗膜であることが好ましい。ＢＡ仕上げ材を
基材ステンレス鋼板に使用すると、金属光沢が一層強調
される。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、家電機器の筐体，内装
材等として好適なクリア塗装ステンレス鋼板に関する。
材等として好適なクリア塗装ステンレス鋼板に関する。
【０００２】
【従来技術及び問題点】家電機器の筐体や内装材には、
めっき鋼板に着色エナメル塗料を塗装したプレコート鋼
板が従来から一般的に使用されている。嗜好の多様化が
進む傾向にある最近では、ステンレス鋼素地の金属光沢
を活かした高級感のある外観を呈する筐体や内装材に対
する要求もあり、ステンレス鋼板の上にクリア塗膜を設
けたクリア塗装ステンレス鋼板も使用され始めている。
クリア塗装ステンレス鋼板用には、ポリエステル樹脂，
アクリル樹脂，シーリコンポリエステル樹脂，アクリル
シリコーン樹脂，フッ素樹脂等のクリア塗料が使用され
ている。塗装前処理したステンレス鋼板にクリア塗料を
塗布し、１コート１ベーク又は２コート２ベークでクリ
ア塗膜が形成される。
めっき鋼板に着色エナメル塗料を塗装したプレコート鋼
板が従来から一般的に使用されている。嗜好の多様化が
進む傾向にある最近では、ステンレス鋼素地の金属光沢
を活かした高級感のある外観を呈する筐体や内装材に対
する要求もあり、ステンレス鋼板の上にクリア塗膜を設
けたクリア塗装ステンレス鋼板も使用され始めている。
クリア塗装ステンレス鋼板用には、ポリエステル樹脂，
アクリル樹脂，シーリコンポリエステル樹脂，アクリル
シリコーン樹脂，フッ素樹脂等のクリア塗料が使用され
ている。塗装前処理したステンレス鋼板にクリア塗料を
塗布し、１コート１ベーク又は２コート２ベークでクリ
ア塗膜が形成される。
【０００３】クリア塗料には、ステンレス鋼素地の金属
光沢を活かすため透明性の高い樹脂を主成分にすること
が望まれる。なかでも、ステンレス鋼素地の金属光沢が
最も高いＢＡ（光輝焼鈍）仕上げ原板では高級感のある
外観が得られるものの、反射光量も高いので、他の仕上
げ材に比較して透明性の低下，濁り，曇り等の外観劣化
が目立ちやすい。濁りは、クリア塗膜を斜め方向から観
察したときに際立って認識される。
光沢を活かすため透明性の高い樹脂を主成分にすること
が望まれる。なかでも、ステンレス鋼素地の金属光沢が
最も高いＢＡ（光輝焼鈍）仕上げ原板では高級感のある
外観が得られるものの、反射光量も高いので、他の仕上
げ材に比較して透明性の低下，濁り，曇り等の外観劣化
が目立ちやすい。濁りは、クリア塗膜を斜め方向から観
察したときに際立って認識される。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、クリア塗膜の鏡
面光沢を規制することにより、濁りを抑えて透明性を高
めたクリア塗装ステンレス鋼板を提供することを目的と
する。本発明のクリア塗装ステンレス鋼板は、その目的
を達成するため、６０度での鏡面光沢４００以上のクリ
ア塗膜が鋼板表面に形成されていることを特徴とする。
クリア塗膜は、ベンゼン環を含まない樹脂塗料から形成
され、屈折率１．４０以上，可視光透過率６０％以上の
塗膜であることが好ましい。
題を解消すべく案出されたものであり、クリア塗膜の鏡
面光沢を規制することにより、濁りを抑えて透明性を高
めたクリア塗装ステンレス鋼板を提供することを目的と
する。本発明のクリア塗装ステンレス鋼板は、その目的
を達成するため、６０度での鏡面光沢４００以上のクリ
ア塗膜が鋼板表面に形成されていることを特徴とする。
クリア塗膜は、ベンゼン環を含まない樹脂塗料から形成
され、屈折率１．４０以上，可視光透過率６０％以上の
塗膜であることが好ましい。
【０００５】
【作用】本発明者等は、クリア塗装ステンレス鋼板の表
面を観察し、透明性，濁り，曇りの有無に及ぼす塗膜性
状を種々調査した。その結果、６０度での鏡面光沢を４
００以上にすると、濁りや曇りの発生を抑えて透明度，
金属光沢が改善され、高級感のある外観が得られること
を見出した。６０度での鏡面光沢は、JIS K5600に規定
されている測定法によって求めることができる。鏡面光
沢が濁りの発生に及ぼす影響は、次のように推察され
る。濁りは塗膜表面の微細な凹凸により光が拡散反射す
ることにより生じる。この点、塗膜表面の凹凸が少なく
正反射光量が十分大きければ金属光沢が得られ、拡散反
射により正反射光量が低減すると濁りが現れる。そこ
で、６０度での鏡面光沢を４００以上にして表面の微細
な凹凸に起因する拡散反射を抑えることにより、濁りが
なく透明度の高い金属光沢を発現させる。鏡面光沢は塗
膜のレベリング性，膜厚，塗装原板の表面粗さ等によっ
て調整でき、レベリング性が高く，膜厚が厚く，塗装原
板の表面粗さが低いほど鏡面光沢が高くなる。
面を観察し、透明性，濁り，曇りの有無に及ぼす塗膜性
状を種々調査した。その結果、６０度での鏡面光沢を４
００以上にすると、濁りや曇りの発生を抑えて透明度，
金属光沢が改善され、高級感のある外観が得られること
を見出した。６０度での鏡面光沢は、JIS K5600に規定
されている測定法によって求めることができる。鏡面光
沢が濁りの発生に及ぼす影響は、次のように推察され
る。濁りは塗膜表面の微細な凹凸により光が拡散反射す
ることにより生じる。この点、塗膜表面の凹凸が少なく
正反射光量が十分大きければ金属光沢が得られ、拡散反
射により正反射光量が低減すると濁りが現れる。そこ
で、６０度での鏡面光沢を４００以上にして表面の微細
な凹凸に起因する拡散反射を抑えることにより、濁りが
なく透明度の高い金属光沢を発現させる。鏡面光沢は塗
膜のレベリング性，膜厚，塗装原板の表面粗さ等によっ
て調整でき、レベリング性が高く，膜厚が厚く，塗装原
板の表面粗さが低いほど鏡面光沢が高くなる。
【０００６】クリア塗膜を光が透過する際、可視光域を
含む近紫外域での吸収が生じると、可視光透過率が低下
して濁りが生じる。可視光域を含む近紫外域での吸収
は、ベンゼン環自体の共役二重結合やベンゼン環近傍の
二重結合とベンゼン環が共役した結合に由来する。透過
光の吸収をもたらす共役結合は、分子構造にベンゼン環
をもつ樹脂塗膜を焼付け硬化したとき、或いは使用環境
に長時間放置したときに生じる。他方、ベンゼン環を含
まない樹脂塗料を使用すると、可視光透過率が６０％以
上になり、濁りや曇りがなく透明度の高いクリア塗膜が
形成される。可視光透過率は、分光光度計を用い膜厚２
０μｍのクリア塗膜を透過する波長３８０〜７８０ｎｍ
の透過光を測定し、測定光量を積分することによって求
められる。
含む近紫外域での吸収が生じると、可視光透過率が低下
して濁りが生じる。可視光域を含む近紫外域での吸収
は、ベンゼン環自体の共役二重結合やベンゼン環近傍の
二重結合とベンゼン環が共役した結合に由来する。透過
光の吸収をもたらす共役結合は、分子構造にベンゼン環
をもつ樹脂塗膜を焼付け硬化したとき、或いは使用環境
に長時間放置したときに生じる。他方、ベンゼン環を含
まない樹脂塗料を使用すると、可視光透過率が６０％以
上になり、濁りや曇りがなく透明度の高いクリア塗膜が
形成される。可視光透過率は、分光光度計を用い膜厚２
０μｍのクリア塗膜を透過する波長３８０〜７８０ｎｍ
の透過光を測定し、測定光量を積分することによって求
められる。
【０００７】濁りの有無は、クリア塗膜内における透過
光の光路長によっても影響される。すなわち、クリア塗
膜に斜め方向から入射した透過光は、クリア塗膜内の光
路長が長くなるほどクリア塗膜に吸収される割合が多く
なり、結果として濁りが増加する。光路長による濁りの
増加は、クリア塗膜の屈折率を高めることにより抑制で
きる。クリア塗膜に大気中から入射した光は空気／塗膜
の界面で屈折するが、このときの屈折角はクリア塗膜の
屈折率に応じて大きくなる。大きな屈折角はステンレス
鋼基板に対して直角に近い方向に透過光が屈折すること
を意味し、結果として屈折率が高いほど透過光の光路長
が短くなる。したがって、クリア塗膜に吸収される成分
が少なくなり、クリア塗膜の濁りも抑えられる。
光の光路長によっても影響される。すなわち、クリア塗
膜に斜め方向から入射した透過光は、クリア塗膜内の光
路長が長くなるほどクリア塗膜に吸収される割合が多く
なり、結果として濁りが増加する。光路長による濁りの
増加は、クリア塗膜の屈折率を高めることにより抑制で
きる。クリア塗膜に大気中から入射した光は空気／塗膜
の界面で屈折するが、このときの屈折角はクリア塗膜の
屈折率に応じて大きくなる。大きな屈折角はステンレス
鋼基板に対して直角に近い方向に透過光が屈折すること
を意味し、結果として屈折率が高いほど透過光の光路長
が短くなる。したがって、クリア塗膜に吸収される成分
が少なくなり、クリア塗膜の濁りも抑えられる。
【０００８】屈折率による濁り抑制効果は１.４０以上
の屈折率で顕著になり、６０％以上の可視光透過率が実
現される。なお、屈折率は、２０℃の雰囲気中で遊離ク
リア塗膜をナトリウムＤ光源で照射し、遊離クリア塗料
に入射した光を多波長アッベ屈折計で測定することより
求められる。遊離クリア塗膜は、ＥＴＦＥラミネート鋼
板にクリア塗料を塗布し、焼付け硬化した後でＥＴＦＥ
ラミネート鋼板から剥離することにより作製できる。６
０度での鏡面光沢４００以上，屈折率１.４０以上，可
視光透過率６０％以上のクリア塗膜は、透明性が高いこ
とからステンレス鋼素地の金属光沢を活かすことができ
る。高い透明性は、顔料，染料，メタリック顔料，パー
ル顔料を配合したクリア塗膜にあっては、より鮮やかに
顔料に色調を反映し意匠性に優れた外観をクリア塗装ス
テンレス鋼板に付与する。
の屈折率で顕著になり、６０％以上の可視光透過率が実
現される。なお、屈折率は、２０℃の雰囲気中で遊離ク
リア塗膜をナトリウムＤ光源で照射し、遊離クリア塗料
に入射した光を多波長アッベ屈折計で測定することより
求められる。遊離クリア塗膜は、ＥＴＦＥラミネート鋼
板にクリア塗料を塗布し、焼付け硬化した後でＥＴＦＥ
ラミネート鋼板から剥離することにより作製できる。６
０度での鏡面光沢４００以上，屈折率１.４０以上，可
視光透過率６０％以上のクリア塗膜は、透明性が高いこ
とからステンレス鋼素地の金属光沢を活かすことができ
る。高い透明性は、顔料，染料，メタリック顔料，パー
ル顔料を配合したクリア塗膜にあっては、より鮮やかに
顔料に色調を反映し意匠性に優れた外観をクリア塗装ス
テンレス鋼板に付与する。
【０００９】
【実施の形態】クリア塗膜が形成される塗装原板には、
鋼種や仕上げ方法の如何を問わず各種ステンレス鋼板が
使用される。なかでも、ＢＡ仕上げしたステンレス鋼板
を使用すると、クリア塗膜の透明性が活用され、美麗な
外観を呈する筐体，内装材，表装材等に使用される。ス
テンレス鋼板は，塗膜の密着性を高めるため必要に応じ
て種々の塗装前処理が施される。塗装前処理には、脱
脂，クロメート処理，リン酸塩処理，タンニン酸処理，
非クロム処理（シリカ系，ジルコニア系，チタン系等）
等がある。塗装前処理されたステンレス鋼板にロールコ
ート，カーテンコート，スプレー，浸漬法等によってク
リア塗料が塗布され、たとえば２００〜３００℃で焼き
付けることによりクリア塗膜が形成される。
鋼種や仕上げ方法の如何を問わず各種ステンレス鋼板が
使用される。なかでも、ＢＡ仕上げしたステンレス鋼板
を使用すると、クリア塗膜の透明性が活用され、美麗な
外観を呈する筐体，内装材，表装材等に使用される。ス
テンレス鋼板は，塗膜の密着性を高めるため必要に応じ
て種々の塗装前処理が施される。塗装前処理には、脱
脂，クロメート処理，リン酸塩処理，タンニン酸処理，
非クロム処理（シリカ系，ジルコニア系，チタン系等）
等がある。塗装前処理されたステンレス鋼板にロールコ
ート，カーテンコート，スプレー，浸漬法等によってク
リア塗料が塗布され、たとえば２００〜３００℃で焼き
付けることによりクリア塗膜が形成される。
【００１０】使用可能なクリア塗料は、６０度での鏡面
光沢４００以上で、好ましくは屈折率１.４０以上、可
視光透過率６０％以上のクリア塗膜が形成される限り特
に樹脂種に制約を受けるものではないが、具体的にはア
クリル樹脂，アクリルシリコーン樹脂，アクリルフッ素
樹脂，フッ素樹脂等を樹脂ベースにした樹脂塗料が使用
される。クリア塗料には、必要に応じて顔料，染料，メ
タリック顔料，パール顔料を配合しても良い。クリア塗
膜は、２〜２０μｍ程度の膜厚で、単層又は複層の塗膜
としてステンレス鋼板上に設けられる。複層構成のクリ
ア塗膜を形成する場合、最表層から下層に向けて屈折率
が高くなるように塗料を選定することが好ましい。
光沢４００以上で、好ましくは屈折率１.４０以上、可
視光透過率６０％以上のクリア塗膜が形成される限り特
に樹脂種に制約を受けるものではないが、具体的にはア
クリル樹脂，アクリルシリコーン樹脂，アクリルフッ素
樹脂，フッ素樹脂等を樹脂ベースにした樹脂塗料が使用
される。クリア塗料には、必要に応じて顔料，染料，メ
タリック顔料，パール顔料を配合しても良い。クリア塗
膜は、２〜２０μｍ程度の膜厚で、単層又は複層の塗膜
としてステンレス鋼板上に設けられる。複層構成のクリ
ア塗膜を形成する場合、最表層から下層に向けて屈折率
が高くなるように塗料を選定することが好ましい。
【００１１】
【実施例】ＢＡ仕上げ，ヘアライン仕上げ，Ｎｏ.４仕
上げ（JIS R6001 １５０〜１８０メッシュの研磨剤を
塗布したベルトによる研磨）した板厚０.５ｍｍのステ
ンレス鋼板を塗布型クロメート処理し、Ｃｒ換算付着量
２０ｍｇ／ｍ2のクロメート皮膜を形成した。次いで、
表１に示すクリア塗膜をステンレス鋼板に塗布し、２１
５〜２５０℃で３０〜６０秒加熱する１コート１ベーク
により乾燥膜厚１０μｍの１コートクリア塗膜を形成し
た。一部のステンレス鋼板については、膜厚５μｍの下
塗り塗膜を形成した後、同様な方法で膜厚１０μｍの上
塗り塗膜を形成する２コート２ベーク方式でクリア塗膜
を形成した。
上げ（JIS R6001 １５０〜１８０メッシュの研磨剤を
塗布したベルトによる研磨）した板厚０.５ｍｍのステ
ンレス鋼板を塗布型クロメート処理し、Ｃｒ換算付着量
２０ｍｇ／ｍ2のクロメート皮膜を形成した。次いで、
表１に示すクリア塗膜をステンレス鋼板に塗布し、２１
５〜２５０℃で３０〜６０秒加熱する１コート１ベーク
により乾燥膜厚１０μｍの１コートクリア塗膜を形成し
た。一部のステンレス鋼板については、膜厚５μｍの下
塗り塗膜を形成した後、同様な方法で膜厚１０μｍの上
塗り塗膜を形成する２コート２ベーク方式でクリア塗膜
を形成した。
【００１２】
【００１３】得られた各クリア塗装ステンレス鋼板から
試験片を切り出し、JIS K5600に準拠して６０度での鏡
面光沢を測定すると共に、次の試験方法で外観を調査し
た。 外観試験１ クリア塗膜の表面を垂直方向から目視観察し、濁りが目
立つものを×，僅かに濁りが観察されたものを△，濁り
が検出されなかったものを○として濁り具合を官能評価
した。 外観試験２ 法線に関して６０度の角度でクリア塗膜の表面を目視観
察し、濁りが目立つものを×，僅かに濁りが観察された
ものを△，濁りが検出されなかったものを○として濁り
具合を官能評価した。
試験片を切り出し、JIS K5600に準拠して６０度での鏡
面光沢を測定すると共に、次の試験方法で外観を調査し
た。 外観試験１ クリア塗膜の表面を垂直方向から目視観察し、濁りが目
立つものを×，僅かに濁りが観察されたものを△，濁り
が検出されなかったものを○として濁り具合を官能評価
した。 外観試験２ 法線に関して６０度の角度でクリア塗膜の表面を目視観
察し、濁りが目立つものを×，僅かに濁りが観察された
ものを△，濁りが検出されなかったものを○として濁り
具合を官能評価した。
【００１４】表２の試験結果にみられるように、本発明
の範囲内である実施例１〜１２は優れた光沢，透明性を
示すが、屈折率，透過率が範囲外である比較例１３〜１
５では濁り，曇りが目立っていた。
の範囲内である実施例１〜１２は優れた光沢，透明性を
示すが、屈折率，透過率が範囲外である比較例１３〜１
５では濁り，曇りが目立っていた。
【００１５】
【００１６】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のクリア
塗装ステンレス鋼板は、濁りがなく透明性の高いクリア
塗膜を表面に形成しているのでステンレス鋼素地の美麗
な金属光沢を活用でき、意匠性に優れた家電機器の筐
体，内装材，表装材等として使用される。
塗装ステンレス鋼板は、濁りがなく透明性の高いクリア
塗膜を表面に形成しているのでステンレス鋼素地の美麗
な金属光沢を活用でき、意匠性に優れた家電機器の筐
体，内装材，表装材等として使用される。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成１５年１月１５日（２００３．１．１
５）
５）
【手続補正１】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正２】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０００４
【補正方法】変更
【補正内容】
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、クリア塗膜の鏡
面光沢を規制することにより、濁りを抑えて透明性を高
めたクリア塗装ステンレス鋼板を提供することを目的と
する。本発明のクリア塗装ステンレス鋼板は、その目的
を達成するため、鋼板表面に、ベンゼン環を含まない樹
脂塗料から形成され、屈折率が１．４０以上で，膜厚２
０μｍのときの可視光透過率が６０％以上であるクリア
塗膜を有し、６０度での鏡面光沢が４００以上であるこ
とを特徴とする。
題を解消すべく案出されたものであり、クリア塗膜の鏡
面光沢を規制することにより、濁りを抑えて透明性を高
めたクリア塗装ステンレス鋼板を提供することを目的と
する。本発明のクリア塗装ステンレス鋼板は、その目的
を達成するため、鋼板表面に、ベンゼン環を含まない樹
脂塗料から形成され、屈折率が１．４０以上で，膜厚２
０μｍのときの可視光透過率が６０％以上であるクリア
塗膜を有し、６０度での鏡面光沢が４００以上であるこ
とを特徴とする。
【手続補正３】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０００５
【補正方法】変更
【補正内容】
【０００５】
【作用】本発明者等は、クリア塗装ステンレス鋼板の表
面を観察し、透明性，濁り，曇りの有無に及ぼす塗膜性
状を種々調査した。その結果、クリア塗装ステンレス鋼
板の６０度での鏡面光沢を４００以上にすると、濁りや
曇りの発生を抑えて透明度，金属光沢が改善され、高級
感のある外観が得られることを見出した。６０度での鏡
面光沢は、JIS K5600に規定されている測定法によって
求めることができる。鏡面光沢が濁りの発生に及ぼす影
響は、次のように推察される。濁りは塗膜表面の微細な
凹凸により光が拡散反射することにより生じる。この
点、塗膜表面の凹凸が少なく正反射光量が十分大きけれ
ば金属光沢が得られ、拡散反射により正反射光量が低減
すると濁りが現れる。そこで、表面の微細な凹凸に起因
する拡散反射を抑え、クリア塗装ステンレス鋼板の６０
度での鏡面光沢を４００以上にすることにより、濁りが
なく透明度の高い金属光沢を発現させる。鏡面光沢は塗
膜のレベリング性，膜厚，塗装原板の表面粗さ等によっ
て調整でき、レベリング性が高く，膜厚が厚く，塗装原
板の表面粗さが低いほど鏡面光沢が高くなる。
面を観察し、透明性，濁り，曇りの有無に及ぼす塗膜性
状を種々調査した。その結果、クリア塗装ステンレス鋼
板の６０度での鏡面光沢を４００以上にすると、濁りや
曇りの発生を抑えて透明度，金属光沢が改善され、高級
感のある外観が得られることを見出した。６０度での鏡
面光沢は、JIS K5600に規定されている測定法によって
求めることができる。鏡面光沢が濁りの発生に及ぼす影
響は、次のように推察される。濁りは塗膜表面の微細な
凹凸により光が拡散反射することにより生じる。この
点、塗膜表面の凹凸が少なく正反射光量が十分大きけれ
ば金属光沢が得られ、拡散反射により正反射光量が低減
すると濁りが現れる。そこで、表面の微細な凹凸に起因
する拡散反射を抑え、クリア塗装ステンレス鋼板の６０
度での鏡面光沢を４００以上にすることにより、濁りが
なく透明度の高い金属光沢を発現させる。鏡面光沢は塗
膜のレベリング性，膜厚，塗装原板の表面粗さ等によっ
て調整でき、レベリング性が高く，膜厚が厚く，塗装原
板の表面粗さが低いほど鏡面光沢が高くなる。
【手続補正４】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０００６
【補正方法】変更
【補正内容】
【０００６】クリア塗膜を光が透過する際、可視光域を
含む近紫外域での吸収が生じると、可視光透過率が低下
して濁りが生じる。可視光域を含む近紫外域での吸収
は、ベンゼン環自体の共役二重結合やベンゼン環近傍の
二重結合とベンゼン環が共役した結合に由来する。透過
光の吸収をもたらす共役結合は、分子構造にベンゼン環
をもつ樹脂塗膜を焼付け硬化したとき、或いは使用環境
に長時間放置したときに生じる。他方、ベンゼン環を含
まない樹脂塗料を使用すると、膜厚２０μｍのときの可
視光透過率が６０％以上になり、濁りや曇りがなく透明
度の高いクリア塗膜が形成される。なお、膜厚２０μｍ
のときの可視光透過率は、分光光度計を用い膜厚２０μ
ｍのクリア塗膜を透過する波長３８０〜７８０ｎｍの透
過光を測定し、測定光量を積分することによって求めら
れる。
含む近紫外域での吸収が生じると、可視光透過率が低下
して濁りが生じる。可視光域を含む近紫外域での吸収
は、ベンゼン環自体の共役二重結合やベンゼン環近傍の
二重結合とベンゼン環が共役した結合に由来する。透過
光の吸収をもたらす共役結合は、分子構造にベンゼン環
をもつ樹脂塗膜を焼付け硬化したとき、或いは使用環境
に長時間放置したときに生じる。他方、ベンゼン環を含
まない樹脂塗料を使用すると、膜厚２０μｍのときの可
視光透過率が６０％以上になり、濁りや曇りがなく透明
度の高いクリア塗膜が形成される。なお、膜厚２０μｍ
のときの可視光透過率は、分光光度計を用い膜厚２０μ
ｍのクリア塗膜を透過する波長３８０〜７８０ｎｍの透
過光を測定し、測定光量を積分することによって求めら
れる。
【手続補正５】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０００８
【補正方法】変更
【補正内容】
【０００８】屈折率による濁り抑制効果は１.４０以上
の屈折率で顕著になり、膜厚２０μｍのときの可視光透
過率が６０％以上であるときに実現される。なお、屈折
率は、２０℃の雰囲気中で遊離クリア塗膜をナトリウム
Ｄ光源で照射し、遊離クリア塗料に入射した光を多波長
アッベ屈折計で測定することより求められる。遊離クリ
ア塗膜は、ＥＴＦＥラミネート鋼板にクリア塗料を塗布
し、焼付け硬化した後でＥＴＦＥラミネート鋼板から剥
離することにより作製できる。屈折率１.４０以上で，
膜厚２０μｍのときの可視光透過率６０％以上のクリア
塗膜を有し、６０度での鏡面光沢を４００以上にしたク
リア塗装ステンレス鋼板は、透明性が高いことからステ
ンレス鋼素地の金属光沢を活かすことができる。高い透
明性は、顔料，染料，メタリック顔料，パール顔料を配
合したクリア塗膜にあっては、より鮮やかに顔料に色調
を反映し意匠性に優れた外観をクリア塗装ステンレス鋼
板に付与する。
の屈折率で顕著になり、膜厚２０μｍのときの可視光透
過率が６０％以上であるときに実現される。なお、屈折
率は、２０℃の雰囲気中で遊離クリア塗膜をナトリウム
Ｄ光源で照射し、遊離クリア塗料に入射した光を多波長
アッベ屈折計で測定することより求められる。遊離クリ
ア塗膜は、ＥＴＦＥラミネート鋼板にクリア塗料を塗布
し、焼付け硬化した後でＥＴＦＥラミネート鋼板から剥
離することにより作製できる。屈折率１.４０以上で，
膜厚２０μｍのときの可視光透過率６０％以上のクリア
塗膜を有し、６０度での鏡面光沢を４００以上にしたク
リア塗装ステンレス鋼板は、透明性が高いことからステ
ンレス鋼素地の金属光沢を活かすことができる。高い透
明性は、顔料，染料，メタリック顔料，パール顔料を配
合したクリア塗膜にあっては、より鮮やかに顔料に色調
を反映し意匠性に優れた外観をクリア塗装ステンレス鋼
板に付与する。
【手続補正６】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】００１０
【補正方法】変更
【補正内容】
【００１０】使用可能なクリア塗料は、屈折率１.４０
以上、膜厚２０μｍのときの可視光透過率６０％以上の
クリア塗膜であって、ステンレス鋼板に塗布したとき塗
装鋼板が６０度での鏡面光沢４００以上になるようなも
のである限り、特に樹脂種に制約を受けるものではない
が、具体的にはアクリル樹脂，アクリルシリコーン樹
脂，アクリルフッ素樹脂，フッ素樹脂等を樹脂ベースに
した樹脂塗料が使用される。クリア塗料には、必要に応
じて顔料，染料，メタリック顔料，パール顔料を配合し
ても良い。クリア塗膜は、２〜２０μｍ程度の膜厚で、
単層又は複層の塗膜としてステンレス鋼板上に設けられ
る。複層構成のクリア塗膜を形成する場合、最表層から
下層に向けて屈折率が高くなるように塗料を選定するこ
とが好ましい。
以上、膜厚２０μｍのときの可視光透過率６０％以上の
クリア塗膜であって、ステンレス鋼板に塗布したとき塗
装鋼板が６０度での鏡面光沢４００以上になるようなも
のである限り、特に樹脂種に制約を受けるものではない
が、具体的にはアクリル樹脂，アクリルシリコーン樹
脂，アクリルフッ素樹脂，フッ素樹脂等を樹脂ベースに
した樹脂塗料が使用される。クリア塗料には、必要に応
じて顔料，染料，メタリック顔料，パール顔料を配合し
ても良い。クリア塗膜は、２〜２０μｍ程度の膜厚で、
単層又は複層の塗膜としてステンレス鋼板上に設けられ
る。複層構成のクリア塗膜を形成する場合、最表層から
下層に向けて屈折率が高くなるように塗料を選定するこ
とが好ましい。
【手続補正７】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】００１１
【補正方法】変更
【補正内容】
【００１１】
【実施例】ＢＡ仕上げ，ヘアライン仕上げ，Ｎｏ.４仕
上げ（JIS R6001 １５０〜１８０メッシュの研磨剤を
塗布したベルトによる研磨）した板厚０.５ｍｍのステ
ンレス鋼板を塗布型クロメート処理し、Ｃｒ換算付着量
２０ｍｇ／ｍ２のクロメート皮膜を形成した。次いで、
表１に示すクリア塗膜をステンレス鋼板に塗布し、２１
５〜２５０℃で３０〜６０秒加熱する１コート１ベーク
により乾燥膜厚１０μｍの１コートクリア塗膜を形成し
た。一部のステンレス鋼板については、膜厚５μｍの下
塗り塗膜を形成した後、同様な方法で膜厚１０μｍの上
塗り塗膜を形成する２コート２ベーク方式でクリア塗膜
を形成した。なお、表１中の透過率は、別途、膜厚２０
μｍの塗膜を形成して測定したものである。
上げ（JIS R6001 １５０〜１８０メッシュの研磨剤を
塗布したベルトによる研磨）した板厚０.５ｍｍのステ
ンレス鋼板を塗布型クロメート処理し、Ｃｒ換算付着量
２０ｍｇ／ｍ２のクロメート皮膜を形成した。次いで、
表１に示すクリア塗膜をステンレス鋼板に塗布し、２１
５〜２５０℃で３０〜６０秒加熱する１コート１ベーク
により乾燥膜厚１０μｍの１コートクリア塗膜を形成し
た。一部のステンレス鋼板については、膜厚５μｍの下
塗り塗膜を形成した後、同様な方法で膜厚１０μｍの上
塗り塗膜を形成する２コート２ベーク方式でクリア塗膜
を形成した。なお、表１中の透過率は、別途、膜厚２０
μｍの塗膜を形成して測定したものである。
【手続補正８】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】００１５
【補正方法】変更
【補正内容】
【００１５】
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 森 浩治
千葉県市川市高谷新町７番１号 日新製鋼
株式会社技術研究所内
Ｆターム(参考） 4D075 CB06 DA03 DB04 DC02 DC18
4F100 AB04A AK01B AK17 AK25
AK41 BA02 CC00B GB08
GB48 JM02 JN01B JN08
JN18 JN21B JN24 YY00
4J038 CD091 CD141 CG141 DL101
EA011 FA231 FA241 NA01
PC02
Claims (2)
- 【請求項１】 ６０度での鏡面光沢４００以上のクリア
塗膜が鋼板表面に形成されていることを特徴とする透明
性に優れたクリア塗装ステンレス鋼板。 - 【請求項２】 クリア塗膜が、ベンゼン環を含まない樹
脂塗料から形成され、屈折率が１．４０以上，可視光透
過率が６０％以上である請求項１記載のクリア塗装ステ
ンレス鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001352879A JP3429292B2 (ja) | 2001-11-19 | 2001-11-19 | 透明性に優れたクリアー塗装ステンレス鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001352879A JP3429292B2 (ja) | 2001-11-19 | 2001-11-19 | 透明性に優れたクリアー塗装ステンレス鋼板 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003145671A true JP2003145671A (ja) | 2003-05-20 |
| JP3429292B2 JP3429292B2 (ja) | 2003-07-22 |
Family
ID=19164997
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001352879A Expired - Lifetime JP3429292B2 (ja) | 2001-11-19 | 2001-11-19 | 透明性に優れたクリアー塗装ステンレス鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3429292B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1834759A1 (en) * | 2006-03-15 | 2007-09-19 | Whirlpool Corporation | Tinted anti-fingerprint coating on 430 stainless steel for appliances |
| JP2008149584A (ja) * | 2006-12-18 | 2008-07-03 | Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp | 塗装金属板 |
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Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JPH07108220A (ja) * | 1993-10-15 | 1995-04-25 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | 耐候性、密着性に優れた塗装ステンレス鋼板、及びその製造方法 |
| JPH0985880A (ja) * | 1995-09-25 | 1997-03-31 | Nkk Corp | クリア塗装ステンレス鋼板 |
| JP2000279880A (ja) * | 1999-03-29 | 2000-10-10 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐摩耗性、耐指紋性および意匠性に優れた透明フッ素樹脂被覆ステンレス鋼板 |
| JP2001009367A (ja) * | 1999-06-24 | 2001-01-16 | Nisshin Steel Co Ltd | 高硬度透明フッ素樹脂塗装ステンレス鋼板及びその製造方法 |
-
2001
- 2001-11-19 JP JP2001352879A patent/JP3429292B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| JP4808717B2 (ja) * | 2005-07-28 | 2011-11-02 | 新日本製鐵株式会社 | プレコート金属板及びその製造方法 |
| EP1834759A1 (en) * | 2006-03-15 | 2007-09-19 | Whirlpool Corporation | Tinted anti-fingerprint coating on 430 stainless steel for appliances |
| JP2008149584A (ja) * | 2006-12-18 | 2008-07-03 | Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp | 塗装金属板 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3429292B2 (ja) | 2003-07-22 |
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