以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるインクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタにおけるインク経路のインク流量調整方法の実施の形態について詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
(1)全体の構成の説明
図1には、本発明の第1の実施形態によるにインクジェットプリンタの一例を模式的に示す概略構成斜視説明図が示されている。
このインクジェットプリンタ10は、基台部材12に支持され主走査方向に延長して配設された固定系のベース部材14を備えている。
ベース部材14の左右両端には側方部材16L、16Rが配設され、側方部材16R側には側方ユニット18が配設されている。
インクジェットプリンタ10は、左右2つの側方部材16L、16Rを連結する中央壁20を備え、中央壁20の壁面には主走査方向に延長してガイドレール22が配設されている。
符号24は、中央壁20の壁面に平行して主走査方向に移動自在に配設されたワイヤーである。キャリッジ26は、ワイヤー24に固定的に配設されるとともにガイドレール22に摺動自在に装着されている。キャリッジ26には、ベース部材24上に位置するメディアたる記録紙28と対向するようにしてインクヘッド30が搭載されるとともに、インクヘッド30と接続されたダンパー装置32A、32Bが搭載されている。
ここで、インクヘッド30は、インクジェットノズル面30aに複数のインクジェットノズル(図示せず。)を備えている。インクジェットプリンタ10において、これら複数のインクジェットノズルのなかの所定のインクジェットノズルには、インクカートリッジ36Aに貯留されているインクがダンパー装置32Aを介して供給され、一方、当該所定のインクジェットノズルを除く他のインクジェットノズルには、インクカートリッジ36Bに貯留されているインクがダンパー装置32Bを介して供給される(図2を参照する。)。
なお、こうしたインクジェットプリンタ10の全体の動作は、マイクロコンピューター34によって制御されている。マイクロコンピューター34の本発明の実施に関連する機能的構成については、図9に示すブロック構成説明図を参照しながら後に詳述する。
また、インクジェットプリンタ10においては、上記したようにメディアとして記録紙28を用いるものとする。この記録紙28は、幅方向たる主走査方向において所定の長さを有するとともにロール状に巻回されたメディアであって、給紙装置(図示せず。)によって引き出されてベース部材14上に供給され、主走査方向と直交する方向、即ち、記録紙28の長手方向に搬送される。なお、主走査方向と直交する方向、即ち、記録紙28の搬送方向かつ記録紙28の長手方向を「副走査方向」と称する。
そして、このインクジェットプリンタ10においては、マイクロコンピューター34の制御に従って記録紙28上に印刷が行われる。
即ち、マイクロコンピューター34の制御に従って、ワイヤー24の巻き取りによりワイヤー24が移動すると、このワイヤー24の移動に伴って、キャリッジ26が主走査方向における行き方向(往路)および帰り方向(復路)に往復移動する。これにより、キャリッジ26に搭載されたダンパー装置32A、32Bおよびインクヘッド30が、給紙装置によってベース部材14上に供給された記録紙28上を主走査方向における行き方向(往路)および帰り方向(復路)に一体的に往復移動し、記録紙28上に印刷が行われる。
インクジェットプリンタ10においては、ベース部材14に廃液タンク42が配設されており、側方ユニット18に着脱可能に配設されるインクカートリッジ36A、36Bから廃液タンク42へ至るインク経路100A、100Bが形成されている(図2を参照する。)。インクカートリッジ36A、36Bに貯留されたインクは、インク経路100A、100Bを通過してインクヘッド30へ供給される。
インクジェットプリンタ10には、インクヘッド30に形成されたインクジェットノズルの開口部が位置するインクジェットノズル面30aをキャッピングするキャップ装置38が設けられている。
なお、符号40は、作業者がインクジェットプリンタ10の動作を制御するための操作子40aを備えた操作パネルである。操作パネル40には、インクジェットプリンタ10の動作状態を表示するための表示装置40bが設けられている。
(2)インク経路の構成の説明
ここで、図2には、図1に示すインクジェットプリンタ10におけるインク経路100A、100Bを模式的に示す構成説明図が示されている。
なお、インク経路100Aとインク経路100Bとは同様な構成を備えているので、以下の説明においては、インク経路100Aに関する符号に続けてインク経路100Bに関する符号を括弧内に記して示すことにより、インク経路100Bに関する重複する説明は適宜に省略する。
この図2に示すインク経路100A(100B)は、一方の端部102Aa(102Ba)にインクカートリッジ36A(36B)が連通するように接続されるとともに他方の端部102Ab(102Bb)にダンパー装置32A(32B)が連通するように接続された可撓性のインク供給チューブ102A(102B)を備えている。
インクカートリッジ36A(36B)は、ダンパー装置32A(32B)を介してインクヘッド30へ供給するためのインクを貯留しており、インクカートリッジ36A(36B)内に貯留されたインクの容量を検知するセンサー(図示せず。)が設けられている。
インク供給チューブ102A(102B)における一方の端部102Aa(102Ba)と他方の端部102Ab(102Bb)との間には、インク経路100A(100B)内のインクを加圧してダンパー装置32A(32B)へ送液するための送液ポンプ101A(101B)が配設されている。送液ポンプ101A(101B)としては、例えば、従来より公知のチューブポンプやトロコイドポンプなどの加圧ポンプを用いることができる。
ここで、チューブポンプやトロコイドポンプは、ポンプ内のコロや歯車を回転することによりインクを加圧して送液する。チューブポンプやトロコイドポンプにおいては、設計上の理論値として、コロや歯車の単位回転量(単位作動量)当たりの送液容量が単位送液容量として設定されている。
本実施の形態においては、送液ポンプ101A(101B)としては、図3に示す構成のチューブポンプを用いるものとする。
この図3に示すチューブポンプにより構成された送液ポンプ101A(101B)は、インク供給チューブ102A(102B)における一方の端部102Aa(102Ba)と他方の端部102Ab(102Bb)との間に設けられている。チューブポンプ自体は従来より公知の技術であるので、送液ポンプ101A(101B)についての詳細な説明は省略するが、送液ポンプ101A(101B)はその内部に、中心部C1を中心として矢印A方向に回転する円形台座101aと、円形台座101aの円周部にそれぞれ配設されたコロ101b、101cとを有している。コロ101b、101cとは、中心部C1を対称点として点対称位置に配置されている。
送液ポンプ101A(101B)においては、円形台座101aを中心部C1を中心として矢印A方向に回転することにより、コロ101b、101cが円形台座101aの円周上を矢印A方向に回転移動することになり、これにより内部のチューブ101dの押圧状態を変化させ、インクカートリッジ36A(36B)側からダンパー装置32A(32B)側へインクを送液する。
この送液ポンプ101A(101B)においては、円形台座101aが中心部C1を中心として回転角45度で回転(1/4回転)するのを1単位の回転量(作動量)、即ち、単位回転量(単位作動量)として設定されており、このときの理論値単位送液容量は、例えば、125mccに設定されている。
ダンパー装置32A(32B)はインクヘッド30とともにキャリッジ26に搭載されており、インク供給チューブ102A(102B)を通過したインクを一時的に貯留するインク貯留室123(図6および図7を参照する。)を備えている。このダンパー装置32A(32B)により、キャリッジ26が記録紙28に対して往復動する際におけるインク経路100A(100B)内のインクの圧力変動を吸収している。
ダンパー装置32A(32B)は、インク貯留室123内におけるインクの貯留容量の変化に伴い変動する負圧を検出する負圧検出部材たる検知レバー127(図6および図7を参照する。)を備えている。検知レバー127を備えたダンパー装置32A(32B)は、例えば、特許第5951091号公報に開示されているように従来より公知の技術である(特許第5951091号公報におけるダンパー装置の記述を参照する。)。なお、ダンパー装置32A(32B)の構成については、図6および図7を参照しながら後述する。
インクジェットプリンタ10には、検知レバー127の変位を検知するセンサー118A(118B)が設けられている。センサー118A(118B)としては、例えば、光により検知レバー127の変位を検知する光センサーや、検知レバー127の接触状態から検知レバー127の変位を検知する接触センサーなど、各種のセンサーを適宜に用いることができる。センサー118A(118B)による検知レバー127の変位の検知結果は、マイクロコンピューター34に出力されて処理される。
ダンパー装置32A(32B)には、ダンパー装置32A(32B)のインク貯留室123と連通するインクジェットノズル(図示せず。)を備えたインクヘッド30が接続されており、インクカートリッジ36A(36B)に貯留されたインクは、ダンパー装置32A(32B)を介してインクヘッド30へ供給される。インクヘッド30に供給されたインクは、インクジェットノズル面30aに配置されたインクヘッドノズルの開口部から吐出される。
また、インクジェットプリンタ10においては、上記において説明したように、インクヘッド30のインクジェットノズル面30aに形成されたインクジェットノズル周りをキャッピングするキャップ装置38が設けられている。
キャップ装置38は、インクヘッド30のインクジェットノズル面30aに形成されたインクジェットノズルの開口部を封止するキャップ部材112と、インク経路100A(100B)内のインクを吸引可能な吸引ポンプ114とを有して構成されている。吸引ポンプ114は、インクヘッド30のインクジェットノズル面30aに形成されたインクジェットノズルの開口部を封止したキャップ部材112に負圧を供給し、インク供給経路100A(100B)内のインクを吸引する。
符号116は廃液チューブであり、一方の端部116aをキャップ部材112に接続するとともに他方の端部116bを廃液タンク42に接続している。吸引ポンプ114は、廃液チューブ116の一方の端部116aと他方の端部116bとの間に設けられている。
吸引ポンプ114としては、例えば、従来より公知のチューブポンプ、トロコイドポンプあるいは真空ポンプなどの種々の構成のものを用いることが可能である。
ここで、チューブポンプやトロコイドポンプは、ポンプ内のコロを移動したり歯車を回転させたりして吸引力を発生させている状態と、所定の位置でポンプ内のコロの移動を停止したり歯車の回転を停止して吸引力が解除されて外気に開放された状態と、所定の位置でポンプ内のコロの移動を停止したり歯車の回転を停止して吸引力が解除されて外気に対して閉鎖された状態とを選択的に制御可能なポンプである。
具体的には、吸引ポンプ114としては、図4に示すように、特許第4857798号などに開示されたチューブポンプと同様な構成のチューブポンプを用いることができる。
この図4に示す吸引ポンプ114は、その内部に中心部C2を中心として矢印B方向に回転する円形台座114aと、円形台座114aの円周部にそれぞれ配設されたコロ114b、114cとを有している。コロ114b、114cとは、中心部C2を対称点として点対称位置に配置されている。吸引ポンプ114においては、円形台座114aの中心部C2を中心として矢印B方向に回転することにより、コロ114b、114cが円形台座114aの円周上を矢印B方向に回転移動することになり、これにより内部のチューブ114dの押圧状態を変化させ、キャップ部材112に負圧を供給して吸引力を発生させている状態と、所定の位置でコロ114b、114cの移動を停止して吸引力が解除されて外気に開放された状態と、所定の位置でコロ114b、114cの移動を停止して吸引力が解除されて外気に対して閉鎖された状態とを選択することができる。
吸引ポンプ114においては、中心部C2を中心として円形台座114aを回転することによるコロ114b、114cの回転の回転速度を変化して、コロ114b、114cの移動速度を変化させることにより、インクの吸引速度を変化させることができる。
なお、吸引ポンプ114は、本実施の形態においては、例えば、吸引速度が低速ではインクを1秒当たり0.05cc吸引し、吸引速度が中速ではインクを1秒当たり0.075cc吸引し、吸引速度が高速ではインクを1秒当たり0.1cc吸引するものとする。このインクを1秒当たり0.1cc吸引する吸引速度が、吸引ポンプ114が適正に動作する吸引速度の最高速度となる。
インクジェットプリンタ10は、キャップ部材112とインクヘッド30との位置関係がキャッピング位置と空吸引位置とキャップ内フラッシング位置とに相対的に変化することができるように、モーター111によりインクヘッド30を移動する。モーター111は、マイクロコンピューター34により制御される。
図5(a)にはキャッピング位置におけるキャップ部材112とインクヘッド30との位置関係が示されており、図5(b)には空吸引位置におけるキャップ部材112とインクヘッド30との位置関係が示されており、図5(c)にはキャップ内フラッシング位置におけるキャップ部材112とインクヘッド30との位置関係が示されている。
ここで、図5(a)に示すキャッピング位置とは、キャップ部材112がインクヘッド30のインクジェットノズル面30aに形成されたインクジェットノズルの開口部を完全に封止した状態の位置関係である。キャップ部材112とインクヘッド30とがキャッピング位置であるときに吸引ポンプ114を作動させることにより、インク経路100内のインクを廃液タンク42側に吸引することができる。
図5(b)に示す空吸引位置とは、キャップ部材112内に溜まったインクを吸引ポンプ114で吸引する際におけるキャップ部材112とインクヘッド30のインクジェットノズル面30aに形成されたインクジェットノズルとの位置関係、即ち、微小な隙間G1を開けたキャップ部材112とインクジェットノズル面30aとの位置関係である。
図5(c)に示すキャップ内フラッシング位置とは、インクヘッド30のインクジェットノズルのクリーニングなどのため、インクヘッド30のインクジェットノズルからキャップ部材112に向けてインクを吐出する位置であり、空吸引位置よりもより大きな隙間G2を開けたキャップ部材112とインクジェットノズル面30aとの位置関係である。
図6および図7には、ダンパー装置32A(32B)の構成が示されている。図6は、ダンパー装置32A(32B)の側面図である。図7は、図6に示すダンパー装置32A(32B)のVI-VI線による縦断面図である。
図7に示すように、ダンパー装置32A(32B)は、一面(図7の右側の面)が開口した中空構造のケース本体121と、当該開口部分を覆うようにケース本体121の外壁面に取り付けられたダンパー膜122とを備えている。ケース本体121は、典型的には樹脂製である。ケース本体121とダンパー膜122とに囲まれた領域が、インク貯留室123である。ダンパー膜122のインク貯留室123と反対側の面には、検知レバー127が配置されている。なお、ダンパー装置32A(32B)は、いわゆる弁構造を有していない。
図6に示すように、ケース本体121の壁面(図6の上面)には、インクが流入するインク流入口120が形成されている。インク流入口120は、インク供給チューブ102の他方の端部102Ab(102Bb)に接続され、インクカートリッジ36A(36B)と連通している。ケース本体121の他の壁面(図6の下面)には、インクが流出する吐出用インク流出口129aが形成されている。吐出用インク流出口129aは、インクヘッド30と連通している。インク流入口120および吐出用インク流出口129aは、それぞれインク貯留室123と連通している。インク貯留室123は直方体形状に形成されている。インク貯留室123には、インクカートリッジ36A(36B)から供給されたインクが一時的に貯留される。
ダンパー膜122は、インク貯留室123の内側および外側にそれぞれ撓むことができる程度の張力で、例えば、熱溶着によりケース本体121の縁部に貼り付けられている。ダンパー膜122は、感圧膜の一例であり、インク貯留室123内の圧力に応じて撓み変形可能なように構成されている。ダンパー膜122は、典型的には可撓性を有する樹脂製のフィルムである。ダンパー膜122は、単層構造であってもよいし、異なる材質のフィルムが積層され一体化された多層構造であってもよい。ダンパー膜122のインク貯留室123側の面には、例えば、耐インク腐食性の向上を目的として、コーティングが施されていてもよい。
図7に示すように、インク貯留室123の内部において、ケース本体121のダンパー膜122と対向する面121aにはテーパーバネ124の一端が取り付けられている。テーパーバネ124の他端は受圧板125に接続されている。テーパーバネ124はダンパー膜122と連結されている。テーパーバネ124は、ダンパー膜122をインク貯留室123の外側に押圧する弾性部材の一例である。テーパーバネ124は、圧縮された状態に維持されている。これによって、ダンパー膜122はインク貯留室123の外側(図7の右側)に向けて押圧され、撓んだ状態となっている。インク貯留室123に貯留されたインクが減少してインク貯留室123内が減圧されると、ダンパー膜122はテーパーバネ124のばね力(弾性力)に抗してインク貯留室123の内側に撓む。
テーパーバネ124は、圧縮されていない時には円錐台形状であり、当該円錐台形状の高さ方向に徐々に内径が変化するように構成されている。テーパーバネ124は圧縮されるにつれて上記高さ方向に縮んでいき、全圧縮された時に略平坦の板状となる。テーパーバネ124は、ケース本体121の壁面121aからダンパー膜122の方に近づくにつれて内径が小さくなるように配置されている。テーパーバネ124の材質は特に限定されない。テーパーバネ124には、例えば耐インク腐食性の向上を目的として、コーティングが施されていてもよい。
インク貯留室123の内部において、ダンパー膜122とテーパーバネ124との間には、受圧板125が配置されている。受圧板125は、インク貯留室123の外側に向かってダンパー膜122を均質的に押圧するように、ダンパー膜122の略中央に配置されている。受圧板125は円板形状をなしている。受圧板125は、ダンパー膜122よりも硬質な材料で構成されるとよい。受圧板125は、ダンパー膜122の撓み変形を阻害しないように、比較的軽量であるとよい。受圧板25は、例えば、ポリアセタール系樹脂製である。
受圧板125のダンパー膜122と対向する側の面が、受圧板125の全表面の概ね10%以上、典型的には10~30%、例えば15~20%程度の表面積を有している。ダンパー膜122と対向する面の面積を広くとることで、ダンパー膜122をインク貯留室123の外側に向かって均質的に押圧することができる。また、ダンパー膜122の撓み変形が受圧板125に精度よく伝達されるようになる。一方で、感圧膜に面積の大きな受圧板を張り付けると、感圧膜の可動域が極端に制限される虞がある。そこで、受圧板125とダンパー膜122とを全面接合せずに、間欠的に接合するようにしている。これにより、ダンパー膜122の可動域を維持したままに、受圧板125の受圧面積を広くとることができる。その結果、インク容量の変化に伴ってダンパー膜122がスムーズに撓み変形する。なお、ここで言う「間欠的な接合」とは、受圧板125とダンパー膜122とを全面接合せずに、受圧板125にダンパー膜122と接合されない部分を敢えて(積極的に)残すことをいう。
間欠接合部126は、ダンパー膜122に接合された接合部126aと、ダンパー膜122に接合されていない非接合部126bとを有する。非接合部126bの少なくとも一部は、接合部126aの最も縁部に近い部分に比べて、受圧板125の中央側に位置している。非接合部126bは、接合部126aによって閉鎖されていない。つまり、間欠接合部126に気泡が溜まり難いように、非接合部126bが開放されている。接合部126aは、受圧板125のダンパー膜122と対向する側の面全体の概ね90%以下、典型的には80%以下、例えば70%以下の面積を占める。非接合部126bは、受圧板125のダンパー膜122と対向する側の面全体の概ね10%以上、典型的には20%以上、例えば30%以上の面積を占める。
間欠接合部126では、例えば、ダンパー膜122やインク貯留室123の形状などを考慮して、接合部126aと非接合部126bとの配置を決定するとよい。一例では、ダンパー膜122および/またはインク貯留室123の縁部から、受圧板125の中央(中心)までの距離が略等しくなるように、接合部126aを配置する。例えば、図6に示すように、ダンパー膜122および/またはインク貯留室123が多角形状の場合は、多角形の頂点から受圧板125の中央(中心)までの距離が略等しくなるように、接合部126aを配置するとよい。
ダンパー膜122および/またはインク貯留室123の形状が回転対称性を有している場合、例えば、図6に示すようにダンパー膜122および/またはインク貯留室123が多角形状である場合には、接合部126aもまた、受圧板125の中央125cを中心点とした回転対称性を有しているとよい。例えば、接合部126aが受圧板125の中央125cを中心点とした同一円周上に等間隔で配置されているとよい。あるいは、接合部126aが受圧板125の中央125cを中心点として放射状に配置されているとよい。これにより、ダンパー膜122の撓み変形が受圧板125に均質的に伝達されるようになり、受圧板125が安定的に変位する。従って、インク貯留量の検知精度を高めることができる。
インク貯留室123の外側には、検知レバー127が配置されている。検知レバー127は、ダンパー膜122の撓み変形の度合い(位置変化)からインク貯留量を検知するインク貯留量検知装置である。図6に示すように、検知レバー127は、2つの固定部127bによってケース本体121の壁面に固定されている。検知レバー127は、ダンパー膜122を介して、受圧板125の中央125cと連結されている。検知レバー127は、バネ部材127cによってダンパー膜122に対して進退自在に配置されており、常にダンパー膜122と当接している。検知レバー127は、ダンパー膜122の撓み変形に基づいて変位する。
例えば、インク貯留室123に貯留されているインクが少なくなると、ダンパー膜122がインク貯留室123の内側に撓む。このダンパー膜122の撓み変形に伴って、検知レバー127もインク貯留室123に近づく方向に変位する。逆に、インク貯留室123にインクが供給されてインク貯留量が増えると、ダンパー膜122がインク貯留室123の外側に撓む。ダンパー膜122の撓み変形に伴って、検知レバー127もインク貯留室123から離れる方向に変位する。
ここで、 図7に示すように、検知レバー127は、受圧板125の中央125cと連結されている。検知レバー127の受圧板125と連結する位置には、凸部127aが設けられている。一方、凸部127aと連結される受圧板125の中央125cには、凹部125aが形成されている。凹部125aは、検知レバー127のインク貯留室123の側の先端(凸部127a)を挿入可能なように、インク貯留室123の内側に突き出している。これにより、検知レバー127と受圧板125とが安定的に連結されるようになる。従って、ダンパー膜122の撓み変形の度合いが精度よく検知レバー127に伝達され、安定的に検知レバー127が可動する。
検知レバー127はインク貯留室123内のインク貯留量に応じて変位するので、検知レバー127の変位の情報に基づいて、インク貯留室123内のインク貯留量を判定することができる。例えば、インク貯留室123内のインク貯留量が所定の下限値(所定量)に到達したか否かや、インク貯留量が所定の上限値(満タン)に到達したか否かなどを判定することができる。
検知レバー127の変位はセンサー118A(118B)により検知され、センサー118A(118B)における検知信号がマイクロコンピューター34へ送られる。マイクロコンピューター34は、センサー118A(118B)の検知信号に応じて自動制御により、送液ポンプ101A(101B)ならびに吸引ポンプ114を作動または停止する。
即ち、上記構成によれば、ダンパー装置32A(32B)内のインク貯留量に応じて、送液ポンプ101A(101B)ならびに吸引ポンプ114は自動制御されて、その作動と停止とが行われる。これにより、インクジェットプリンタ10によるメディア28への印刷時においても、自動制御によりインク貯留室123内に所定量のインクを維持することができ、インクヘッド30に安定的にインクを供給することができる。
例えば、既にインク経路100A(100B)内においてインクヘッド30のインクジェットノズルまでインクが充填されている充填状態において、 印刷時以外のとき、つまりインクヘッド30からインクが吐出されないときは、ダンパー装置32A(32B)のインク貯留室123には所定量以上のインクが貯留されている。このとき、ダンパー膜122は、テーパーバネ124のばね力によって、インク貯留室123の外側に撓んでいる。これによって、インク貯留室123内が負圧に保たれ、インク貯留室123と連通するインクヘッド30のインクジェットノズル面30aも負圧に維持される。従って、インクヘッド30のインクジェットノズルからのインク漏れが防止される。
インク経路100A(100B)内においてインクヘッド30のインクジェットノズルまでインクが充填されている充填状態において、インクジェットプリンタ10の印刷時には、インクヘッド30のインクジェットノズルから記録紙28に向けてインクが吐出される。インクジェットノズルからインクが吐出されると、ダンパー装置32A(32B)のインク貯留室123に貯留されているインクが吸い出され、インクヘッド30に供給される。これにより、インク貯留室123のインク貯留量が減少して、インク貯留室123内が負圧になる。インク貯留室123内が負圧になるにつれ、ダンパー膜122はインク貯留室123の内側に撓み変形する。ダンパー膜122の撓み変形に応じて、ダンパー膜122と間欠的に接合されている受圧板125も変位する。この変位は、受圧板125と連結された検知レバー127に高い精度で伝達される。検知レバー127が変位すると、この変位はセンサー118A(118B)により検知され、センサー118A(118B)における検知信号がマイクロコンピューター34へ送られる。マイクロコンピューター34はセンサー118A(118B)の検知信号に基づいて、検知レバー127の変位量が所定値に到達したときに、インク貯留量が所定の下限値(所定量)であると判定して、送液ポンプ101A(101B)を作動する。これにより、インクカートリッジ36A(36B)からダンパー装置32A(32B)に向かってインクが送られる。
ダンパー装置32A(32B)のインク貯留室123にインクが流入するにしたがい、インク貯留室123内の負圧が解消される。同時に、ダンパー膜122の撓みが緩和されて、ダンパー膜122と間欠的に接合されている受圧板125も変位する。この変位は、受圧板125と連結された検知レバー127に高い精度で伝達される。検知レバー127が変位すると、この変位はセンサー118A(118B)により検知され、センサー118A(118B)における検知信号がマイクロコンピューター34へ送られる。マイクロコンピューター34はセンサー118A(118B)の検知信号に基づいて、検知レバー127の変位量が所定値に到達すると、インク貯留量が所定の上限値(満タン)であると判定して、送液ポンプ101A(101B)を停止する。このように、検知レバー127の変位に基づいて送液ポンプ101A(101B)を作動することで、インク貯留室123内には所定量のインクが維持される。これにより、インク貯留室123内が負圧になり過ぎることが防止され、インクカートリッジ36A(36B)からインクヘッド30へインクが安定して供給される。従って、印刷時には、インクヘッド30から安定的にインクを吐出することができる。
ここで、本発明の実施に関連しては、マイクロコンピューター34は、センサー118A(118B)によるインク貯留室123内のインクの量の変化、具体的には、インク貯留室123内のインク貯留量がある量から予め設定された量(例えば、所定の下限値(所定量)である。)へ減少する際の変化の検知結果を用いて、後述するインクジェットプリンタ10におけるインク経路100A(100B)のインク流量調整処理を行う。
(3)検知レバーとセンサーとの関係の説明
図8(a)(b)には、本発明の実施に関連する検知レバー127とセンサー118A(118B)との関係を模式的に示した説明図があらわされている。
ここで、インク貯留室123内におけるインクの量(インク貯留室123内におけるインクの量は、インク貯留室123内の内圧と連動する。)が不明な状態、換言すれば、インク貯留室123内の内圧が不明な状態ではあるが、インク貯留室123にインクが十分に貯留されている場合には、図8(a)に示すように、センサー118A(118B)は検知レバー127の存在を検知していないセンサーアンヒットの状態にある。
ここで、図8(a)に示す状態から、吸引ポンプ114の作動によってインクヘッド30から廃液タンク42側にインクを吸引すると、インク貯留室123内のインクがインクヘッド30に吸い込まれて、インク貯留室123内のインクの量が減少し、インク貯留室123内の内圧は減圧される。このとき、インク貯留室123内のインクの量は不明な状態、換言すれば、インク貯留室123内の内圧は不明な状態ではあるが、図8(b)に示すように、センサー118A(118B)は検知レバー127の存在を検知しているセンサーヒットの状態となる。
図8(b)に示す状態から、送液ポンプ101A(101B)の作動によりインク貯留室123内へインクが徐々に充填されていくと、インク貯留室123内におけるインクの量が徐々に増加し、インク貯留室123内の内圧が昇圧して、図8(a)に示すように、センサー118A(118B)は検知レバー127の存在を検知していないセンサーアンヒットの状態となる。
(4)マイクロコンピューターの本発明の実施に関連する機能的構成の説明
図9には、インクジェットプリンタ10におけるマイクロコンピューター34の本発明の実施に関連する機能的構成をあらわすブロック構成説明図が示されている。
マイクロコンピューター34は、制御部202と、記憶部204と、センサー検出部206と、送液ポンプ制御部208と、吸引ポンプ制御部210とを有して構築される。
制御部202は、インクジェットプリンタ10により実行される印刷処理、クリーニング処理などの従来より公知の処理や、図10以降に示すフローチャートを参照しながら説明する第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理などの各種の処理を含む全体の処理の制御や各処理の際の処理時間の計測などを行う。本発明に関連しては、制御部202は、例えば、センサー118Aにおけるセンサーヒットの回数として後述する変数Aを取得し、センサー118Bにおけるセンサーヒットの回数として後述する変数Bを取得し、取得した変数Aと変数Bと比較する処理などを行う。
記憶部204は、印刷処理、クリーニング処理などの従来より公知の処理に用いられる情報や、本発明にかかるインク流量調整処理などで用いられる情報を含む各種の情報を記憶する。本発明に関連しては、記憶部204には、インク流量調整の際において送液ポンプ101A(101B)を作動する際の基準となる定数A’、B’が記憶されている。この定数A’、B’の値は、インク経路100A、100Bにおける構成要素や設計条件などに応じて適宜に設定すればよく、本実施の形態においては、「A’=B’=7」に設定されているものとする。
センサー検出部206は、センサー118A(118B)におけるセンサーアンヒットからセンサーヒットとなる状態を検出する。
送液ポンプ制御部208は、インクヘッド30へ向けてインクを送液する送液ポンプ101の作動を制御する。
吸引ポンプ制御部210は、インクヘッド30から廃液タンク42側へインクを吸引する吸引ポンプ114の作動を制御する。
(5)第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理の説明
以上の構成において、インクジェットプリンタ10においては、マイクロコンピューター34の制御により、インクカートリッジ36A(36B)からインク供給チューブ102A(102B)へインクを供給しながら、インクヘッド30のインクジェットノズルから記録紙28に対してインクを吐出して記憶紙28への印刷処理を行う。
ここで、インクジェットプリンタ10において、一度もインクが充填されたことのない初期状態のインクヘッド30あるいは部品交換時などにおいて充填されていたインクが抜き取られたインクヘッド30のような、インクが充填されていない空の状態のインクヘッド30を用いる場合には、上記した印刷処理を行う前に第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理を行って、インク経路毎にインクの流量を調整しながらインクヘッド30を含むインク経路100A(100B)にインクを充填する。
第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理により、インク経路毎にインクの流量を調整しながらインクヘッド30を含むインク経路100A(100B)にインクを充填することができるようになるので、廃液として廃液タンク42に排出される無駄なインクの消費量を削減することができるようになる。
また、従来のクリーニング処理などのメンテナンスの際の前段階の処理としてインク流量調整処理を行ったり、あるいは、従来のクリーニング処理などに代えてインク流量調整処理を行うことにより、インク経路毎にインクの流量を調整しながらインクヘッド30を含むインク経路100A(100B)にインクが充填されるようになるので、廃液として廃液タンク42に排出される無駄なインクの消費量を削減することができるようになり、また、クリーニング処理等の所要時間を削減することができるようになる。
以下に、図10ならびに図11に示すフローチャートを参照しながら、第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理の処理ルーチンについて説明する。
この第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理は、キャップ部材112によりインクヘッド30のインクジェットノズル面30aに形成されたインクジェットノズルの開口部をキャッピングしたキャッピング位置(図5(a)を参照する。)で実行される。
インクジェットプリンタ10においては、例えば、作業者が操作パネル40の操作子40aを操作してインク流量調整処理の処理ルーチンの実行を指示すると、インクジェットプリンタ10はマイクロコンピューター34の制御によりモーター111を作動して、キャップ部材とインクヘッド30との関係をキャッピング位置(図5(a)を参照する。)とし、その後に図10のフローチャートに示すインク流量調整処理の処理ルーチンのメインルーチンを起動する。
このメインルーチンが起動すると、まず、このインク流量調整処理の処理ルーチンで使用する変数A、Bを「0」に初期化する処理を行う(ステップS1002)。この変数Aは、センサー118Aにおけるセンサーヒットの回数を示す値である。また、変数Bは、センサー118Bにおけるセンサーヒットの回数を示す値である。
ステップS1002の処理を終了すると、ステップS1004の処理へ進み、送液ポンプ101A、101Bが上記した自動制御の状態にあるか否かを判定する。
ステップS1004の判定処理において、送液ポンプ101Aと送液ポンプ101Bとの両方あるいはいずれか一方が自動制御の状態にある場合には、ステップS1006の処理へ進む。
ステップS1006の処理においては、送液ポンプ101Aと送液ポンプ101Bとの両方が自動制御の状態にある場合には、送液ポンプ制御部208の制御により送液ポンプ101Aと送液ポンプ101Bとの両方の自動制御を停止し、また、送液ポンプ101Aと送液ポンプ101Bとのいずれか一方が自動制御の状態にある場合には、送液ポンプ制御部208の制御により自動制御の状態にあるその一方の自動制御を停止して、ステップS1008の処理へ進む。
一方、送液ポンプ101Aと送液ポンプ101Bとのいずれも自動制御の状態にはないと判定された場合には、ステップS1008の処理へジャンプして進む。
ステップS1008の処理においては、吸引ポンプ制御部210の制御により吸引ポンプ114の作動を開始して、吸引ポンプ114によるインクジェットプリンタ30からのインクの吸引を開始した後に、ステップS1010の処理へ進む。
ステップS1010の処理においては、「A≧A’」かつ「B≧B’」であるか否かを判定する。
ステップS1010の判定処理において、「A≧A’」かつ「B≧B’」ではないと判定された場合には、ステップS1012の処理へ進み、1秒間(sec)待機する処理を行い、その待機時間の間に、メインルーチンのサブルーチンとして図11に示すセンサーヒット回数カウント処理の処理ルーチンを実行する。
このサブルーチンは、1秒間の待機時間の間は繰り返し実行されるが、1秒間経過すると処理の途中でもその時点で処理を中止してメインルーチンにリターンする。
なお、上記した1秒間という時間間隔の待機時間は単なる例示に過ぎないものであり、インク経路100A、100Bにおける構成要素や設計条件などに応じて、待機時間は適宜の時間間隔に設定するようにしてよい。即ち、待機時間は、センサーヒット回数カウント処理の処理ルーチンを実行するための時間間隔があればよい。
以下に、図11を参照しながら、センサーヒット回数カウント処理の処理ルーチンについて説明する。
センサーヒット回数カウント処理の処理ルーチンの実行が開始されると、まず、ステップS1102の処理において、「A=B」であるか否かが判定される。
ステップS1102の判定処理において、「A=B」であると判定された場合には、ステップS1104→ステップS1106→ステップS1108と至るインク経路100Aに関する一連の処理と、ステップS1110→ステップS1112→ステップS1114と至るインク経路100Bに関する一連の処理とを並列処理する。
ステップS1104→ステップS1106→ステップS1108と至るインク経路100Aに関する一連の処理について説明すると、まず、ステップS1104の処理においては、センサー118Aがセンサーヒットを検出したか否かの判定処理を、センサー118Aがセンサーヒットを検出したと判定するまで繰り返し行う。
そして、ステップS1104の判定処理において、センサー118Aがセンサーヒットを検出したと判定されると、ステップS1106の処理へ進み、送液ポンプ制御部208の制御により送液ポンプ101Aを回転角45度で回転(1/4回転)させて所定の量のインクをダンパー装置32Aへ送液する。
なお、上記した送液ポンプ101Aの回転角45度(1/4回転)という数値は、送液ポンプ101Aとして、上記において図3を参照しながら説明したチューブポンプを用いた場合の単なる例示に過ぎないものであり、インク経路100Aにおける構成要素や設計条件などに応じて、送液ポンプ101Aの回転角度は、送液ポンプ101Aが所定の量のインクを送液することができるような適宜の値に設定するようにしてよい。即ち、ステップS1106の処理は、送液ポンプ101Aの構成に関わらず、送液ポンプ101Aが所定の量のインクを送液することができるように設定する処理を意味する。
ステップS1106の処理を終了すると、ステップS1108の処理へ進み、変数Aを「1」インクリメントする。
次に、ステップS1110→ステップS1112→ステップS1114と至るインク経路100Bに関する一連の処理について説明すると、まず、ステップS1110の処理においては、センサー118Bがセンサーヒットを検出したか否かの判定処理を、センサー118Bがセンサーヒットを検出したと判定するまで繰り返し行う。
そして、ステップS1110の判定処理において、センサー118Bがセンサーヒットを検出したと判定されると、ステップS1112の処理へ進み、送液ポンプ制御部208の制御により送液ポンプ101Bを回転角45度で回転(1/4回転)させて所定の量のインクをダンパー装置32Bへ送液する。
なお、上記した送液ポンプ101Bの回転角45度(1/4回転)という数値は、送液ポンプ101Bとして、上記において図3を参照しながら説明したチューブポンプを用いた場合の単なる例示に過ぎないものであり、インク経路100Bにおける構成要素や設計条件などに応じて、送液ポンプ101Bの回転角度は、送液ポンプ101Bが所定の量のインクを送液することができるような適宜の値に設定するようにしてよい。即ち、ステップS1112の処理は、送液ポンプ101Bの構成に関わらず、送液ポンプ101Bが所定の量のインクを送液することができるように設定する処理を意味する。
ステップS1112の処理を終了すると、ステップS1114の処理へ進み、変数Bを「1」インクリメントする。
上記したインク経路100Aに関する一連の処理とインク経路100Bに関する一連の処理との並列処理を終了すると、ステップS1102の処理へ戻る。
一方、ステップS1102の判定処理において、「A=B」ではないと判定された場合には、ステップS1116の処理へ進み、「A>B」であるか否かを判定する。
ステップS1116の判定処理において、「A>B」であると判定された場合には、ステップS1118→ステップS1120→ステップS1122と至るインク経路100Bに関する一連の処理を行う。そして、ステップS1122の処理を終了すると、ステップS1102の処理へ戻る。
ここで、ステップS1118の処理はステップ1110の処理と同一の処理であり、また、ステップS1120の処理はステップ1112の処理と同一の処理であり、また、ステップS1122の処理はステップ1114の処理と同一の処理である。従って、上記したステップS1110、ステップS1112ならびにステップS1114の処理の説明をそれぞれ援用することにより、ステップS1118、ステップS1120ならびにステップS1122の処理の説明は省略する。
一方、ステップS1116の判定処理において、「A>B」ではないと判定された場合には、ステップS1124→ステップS1126→ステップS1128と至るインク経路100Aに関する一連の処理を行う。そして、ステップS1128の処理を終了すると、ステップS1102の処理へ戻る。
ここで、ステップS1124の処理はステップ1104の処理と同一の処理であり、また、ステップS1126の処理はステップ1106の処理と同一の処理であり、また、ステップS1128の処理はステップ1108の処理と同一の処理である。従って、上記したステップS1104、ステップS1106ならびにステップS1108の処理の説明をそれぞれ援用することにより、ステップS1124、ステップS1126ならびにステップS1128の処理の説明は省略する。
一方、ステップS1010の判定処理において、「A≧A’」かつ「B≧B’」であると判定された場合には、ステップS1014の処理へ進み、送液ポンプ制御部208の制御により送液ポンプ101Aと送液ポンプ101Bとの両方を上記した自動制御の状態にして、送液ポンプ101Aと送液ポンプ101Bとの両方の自動制御を開始する。
ステップS1004の処理を終了すると、ステップS1016の処理へ進み、1秒間経過するのを待つ。なお、1秒間という時間間隔は単なる例示に過ぎないものであり、インク経路100A、100Bにおける構成要素や設計条件などに応じて、適宜の時間間隔に設定するようにしてよい。即ち、このステップS1016における処理は、インクヘッド30のインクジェットノズル面30aにおけるインク経路100Aにより供給されたインクとインク経路100Bにより供給されたインクとの混色防止を目的として、吸引ポンプ114によりインクを吸引する時間であるので、その目的が達成されるための適宜の時間間隔があればよい。
ステップS1016の処理を終了すると、ステップS1018の処理へ進み、吸引ポンプ制御部210の制御により吸引ポンプ114の作動を停止して、ステップS1020の処理へ進む。
ステップS1020の処理においては、吸引ポンプ114を大気開放状態(所定の位置でコロ114b、114cの移動を停止して吸引力が解除されて外気に開放された状態)として11秒間待機することにより、緩やかにインクヘッド30における負圧を解除する。そして、インクヘッド30を低速で移動して、インクヘッド30からキャップ部材112が若干の間隙G(例えば、0.5mm)をあけて離隔したキャップ内フラッシング位置(図5(c)に示す位置)へインクヘッド30を移動する。
なお、上記した11秒間という時間間隔の待機時間は単なる例示に過ぎないものであり、インク経路100A、100Bにおける構成要素や設計条件などに応じて、待機時間は適宜の時間間隔に設定するようにしてよい。即ち、待機時間は、インクヘッド30内の負圧を解除するための時間間隔であればよい。
ステップS1020の処理を終了すると、ステップS1022の処理へ進み、吸引ポンプ制御部210の制御により吸引ポンプ114を作動して、キャップ部材112に溜まっているインクを廃液タンク42へ吸引する空吸引処理を行う。
ステップS1022の処理を終了すると、ステップS1024の処理へ進み、インクヘッド30をワイパー装置(図示せず。)の位置まで移動して、ワイパー装置のワイパーブレードによりインクヘッド30のインクジェットノズル面30aをワイピングするワイピング処理を行う。
なお、上記したステップS1022の処理においては空吸引処理を行い、また、ステップS1024の処理においてはワイピング処理を行うが、こうした空吸引処理やワイピング処理に関する処理技術については従来より公知の技術であるので、その詳細な構成および作用の説明は省略する。
ステップS1024の処理を終了すると、ステップS1026の処理へ進み、変数A、Bを「0」に初期化する処理を行い、このメインルーチンを終了する。
従って、上記において説明した第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理によれば、インク経路100Aとインク経路100Bとのそれぞれについてのセンサーアンヒットからセンサーヒットまでの状態を、一定時間内でのセンサーヒット回数により認識することができるようになる(上記したメインルーチンのサブルーチンの処理であるセンサーヒット回数カウント処理の処理ルーチンを参照する。)。
そして、インク経路100Aとインク経路100Bとにおいて、一定時間内でのセンサーヒット回数が多い方のインク経路は、インク流量が多いことになる。従って、こうしたインク流量が多いインク経路については、センサーヒットに関する検出を行うことなく、送液ポンプの作動を停止したままの状態にしてインクの供給を停止させておくことによりインク経路へのインク供給を停止して、インク経路におけるインク流量を抑制するというインク流量の調整を行う。
一方、インク経路100Aとインク経路100Bとにおいて、一定時間内でのセンサーヒット回数が少ない方のインク経路は、インク流量が少ないことになる。従って、こうしたインク流量が少ないインク経路については、センサーヒットに関する検出を行うことにより、センサーヒットを検出したら送液ポンプはインクを供給するようにして、インク経路へのインク供給を抑制せずに、インク経路におけるインク流量を抑制しないというインク流量の調整を行う。
従って、上記において説明した第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理によれば、インク経路におけるインク流量の調整を行うのに際し、機体構造内に新たな流量測定手段を設置する必要がないため、製造コストのコストアップを招来することがない。
また、上記において説明した第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理によれば、インク経路101Aとインク経路101Bとでそれぞれ異なる種類のインクを用いた場合には、2種類のインクの流量を調整することができることになる。
〔第2の実施の形態〕
次に、図12、図13および図14を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。
なお、以下に説明する第2の実施の形態において、上記において説明した第1の実施の形態と同一あるいは相当する構成や処理ルーチンの各ステップについては、第1の実施の形態に用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な説明は省略する。
図12には、第2の実施の形態におけるインクカートリッジから廃液タンクに至るインク経路を模式的に示す構成説明図があらわされている。
この第2の実施の形態は、インク経路100Aおよびインク経路100Bに加えて、インク経路100Aと同様な構成の第3のインク経路としてインク経路100Cを備えるとともに、インク経路100Bと同様な構成の第4のインク経路としてインク経路100Dを備えている点で、第1の実施の形態と異なる。
インク経路100Cを構成する各構成部材は、インク経路100Aを構成する構成部材と対応するものであり、インク経路100Aの構成部材を示す符号において「A」に代えて「C」を付加して示している。同様に、インク経路100Dを構成する各構成部材は、インク経路100Bを構成する構成部材と対応するものであり、インク経路100Bの構成部材を示す符号において「B」に代えて「D」を付加して示している。
また、この第2の実施の形態においては、インク経路100Aおよびインク経路100Bにおける吸引ポンプ114とインク経路100Cおよびインク経路100Dにおける吸引ポンプ114とが、マイクロコンピューター34の吸引ポンプ制御部210によって制御されるモーター300により、その作動の開始および停止を同期して制御されるように構成されている点において、上記した第1の実施の形態と異なる。
図13および図14には、第2の実施の形態にかかるインク流量調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートがあらわされている。
なお、図13および図14に示す第2の実施の形態にかかるインク流量調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートにおいて、図10および図11に示す第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートにおける各ステップの処理と同内容の処理のステップについては、第1の実施の形態に用いたステップ番号と同一のステップ番号を用いて示すことにより、その詳細な説明は省略する。
また、図13および図14に示す第2の実施の形態にかかるインク流量調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートにおいて、図10および図11に示す第1の実施の形態にかかるインク流量調整処理の処理ルーチンを示すフローチャートにおける各ステップの処理に相当する処理内容の処理のステップについては、第1の実施の形態に用いたステップ番号と同一のステップ番号に「’」付して示すことにより、その詳細な説明は省略する。
図13に示す第2の実施の形態にかかるインク流量調整処理の処理ルーチンのメインルーチンが起動すると、まず、このインク流量調整処理の処理ルーチンで使用する変数A、B、C、Dを「0」に初期化する処理を行う(ステップS1002’)。この変数Aは、センサー118Aにおけるセンサーヒットの回数を示す値である。また、変数Bは、センサー118Bにおけるセンサーヒットの回数を示す値である。また、変数Cは、センサー118Cにおけるセンサーヒットの回数を示す値である。また、変数Dは、センサー118Dにおけるセンサーヒットの回数を示す値である。
なお、記憶部204には、定数A’、B’の値に加えて定数C’、D’の値が記憶されているものとする。また、本実施の形態においては、「A’=B’=C’=D’=7」に設定されているものとする。
ステップS1002’の処理を終了すると、ステップS1004’→ステップS1006’の処理へと進む。ここで、ステップS1004’→ステップS1006’の処理は、上記したステップS1004→ステップS1006に相当する処理であり、ステップS1006’の処理により自動制御状態にある全ての送液ポンプについて自動制御を停止する。これにより、送液ポンプ101A、送液ポンプ101B、送液ポンプ101Cおよび送液ポンプ101Dの全ての送液ポンプについて、その自動制御が停止された状態となる。
ステップS1006’の処理を終了すると、ステップS1008’の処理へ進み、吸引ポンプ制御部210によりモーター300を制御して、インク経路101Aおよびインク経路101Bにおける吸引ポンプ114とインク経路101Cおよびインク経路101Dにおける吸引ポンプ114との作動を開始して、インク経路101Aおよびインク経路101Bにおけるインクヘッド30とインク経路101Cおよびインク経路101Dにおけるインクヘッド30とからのインクの吸引を開始する。
ステップS1008’の処理を終了すると、ステップS1010→ステップS1012→ステップS1314と至るインク経路100Aおよびインク経路Bに関する一連の処理と、ステップS1010’→ステップS1012’→ステップS1314’と至るインク経路100Cおよびインク経路Dに関する一連の処理とを並列処理する。
ステップS1010→ステップS1012→ステップS1314と至るインク経路100Aおよびインク経路Bに関する一連の処理においては、ステップS1010の判定処理において、「A≧A’」かつ「B≧B’」であると判定された場合には、送液ポンプ制御部208の制御により送液ポンプ101Aと送液ポンプ101Bとの両方を上記した自動制御の状態にして、送液ポンプ101Aと送液ポンプ101Bとの両方の自動制御を開始する。
また、ステップS1010’→ステップS1012’→ステップS1314’と至るインク経路100Cおよびインク経路Dに関する一連の処理においては、インク経路Cおよびインク経路Dに関して、ステップS1010→ステップS1012→ステップS1314と至るインク経路100Aおよびインク経路Bに関する一連の処理と同様な処理を行うことになる。
ここで、図14には、メインルーチンのサブルーチンとしてステップS1012’で実行される、ステップS1012に相当するインク経路100Cおよびインク経路Dに関するセンサーヒット回数カウント処理の処理ルーチンが示されている。
図14に示すフローチャートについては、図11に示すフローチャートの処理におけるインク経路Aの処理をインク経路Cの処理に読み替え、図11に示すフローチャートの処理におけるインク経路Bの処理をインク経路Dの処理に読み替えることにより、その詳細な説明は省略する。
ステップS1010’→ステップS1012’→ステップS1314’と至るインク経路100Cおよびインク経路Dに関する一連の処理においては、ステップS1010’の判定処理において、「C≧C’」かつ「D≧D’」であると判定された場合には、送液ポンプ制御部208の制御により送液ポンプ101Cと送液ポンプ101Dとの両方を上記した自動制御の状態にして、送液ポンプ101Cと送液ポンプ101Dとの両方の自動制御を開始する。
ステップS1315の処理においては、インク経路A、インク経路B、インク経路Cおよびインク経路Dにおける全ての送液ポンプ、即ち、送液ポンプA、送液ポンプB、送液ポンプ101Cおよび送液ポンプ101Dが自動制御されているか否かを判定する。
ステップS1315の判定処理において、送液ポンプA、送液ポンプB、送液ポンプ101Cおよび送液ポンプ101Dの全ては自動制御されていない、即ち、いずれか1つの送液ポンプでも自動制御されていないと判定された場合には、ステップS1008’の処理の下流に位置する上記した並列処理へ戻る。
一方、ステップS1315の判定処理において、送液ポンプA、送液ポンプB、送液ポンプ101Cおよび送液ポンプ101Dの全てが自動制御されていると判定された場合には、ステップS1016’の処理へ進み、1秒間経過するのを待つ。
ステップS1016’の処理を終了すると、ステップS1018’の処理へ進み、吸引ポンプ制御部210によりモーター300を制御して、インク経路101Aおよびインク経路101Bにおける吸引ポンプ114とインク経路101Cおよびインク経路101Dにおける吸引ポンプ114との作動を停止して、インク経路101Aおよびインク経路101Bにおけるインクヘッド30とインク経路101Cおよびインク経路101Dにおけるインクヘッド30とからのインクの吸引を停止する。
ステップS1018’の処理を終了すると、ステップS1020’の処理へ進み、インク経路Aおよびインク経路Bとインク経路Cおよびインク経路Dとのそれぞれにおいて、吸引ポンプ114を大気開放状態(所定の位置でコロ114b、114cの移動を停止して吸引力が解除されて外気に開放された状態)として11秒間待機することにより、緩やかにインクヘッド30における負圧を解除する。そして、インクヘッド30を低速で移動して、インクヘッド30からキャップ部材112が若干の間隙G(例えば、0.5mm)をあけて離隔したキャップ内フラッシング位置(図5(c)に示す位置)へインクヘッド30を移動する。
ステップS1020’の処理を終了すると、ステップS1022’の処理へ進み、吸引ポンプ制御部210によりモーター300を制御して、インク経路101Aおよびインク経路101Bにおける吸引ポンプ114とインク経路101Cおよびインク経路101Dにおける吸引ポンプ114とを作動して、インク経路Aおよびインク経路Bとインク経路Cおよびインク経路Dとのそれぞれにおけるキャップ部材112に溜まっているインクを廃液タンク42へ吸引する空吸引処理を行う。
ステップS1022’の処理を終了すると、ステップS1024’の処理へ進み、インク経路Aおよびインク経路Bとインク経路Cおよびインク経路Dとのそれぞれにおけるインクヘッド30をワイパー装置(図示せず。)の位置まで移動して、ワイパー装置のワイパーブレードによりインクヘッド30のインクジェットノズル面30aをワイピングするワイピング処理を行う。
ステップS1024’の処理を終了すると、ステップS1026’の処理へ進み、変数A、B、C、Dを「0」に初期化する処理を行い、このメインルーチンを終了する。
従って、上記において説明した第2の実施の形態にかかるインク流量調整処理によれば、インク経路100A、インク経路100B、インク経路Cならびにインク経路Dのそれぞれについてのセンサーアンヒットからセンサーヒットまでの状態を、一定時間内でのセンサーヒット回数により認識することができるようになる(上記したメインルーチンのサブルーチンの処理であるセンサーヒット回数カウント処理の処理ルーチンを参照する。)。
そして、インク経路100Aとインク経路100Bとにおいてと、インク経路100Cとインク経路100Dとにおいて、一定時間内でのセンサーヒット回数が多い方のインク経路は、インク流量が多いことになる。従って、こうしたインク流量が多いインク経路については、センサーヒットに関する検出を行うことなく、送液ポンプの作動を停止したままの状態にしてインクの供給を停止させておくことによりインク経路へのインク供給を停止して、インク経路におけるインク流量を抑制するというインク流量の調整を行う。
一方、インク経路100Aとインク経路100Bとにおいてと、インク経路100Cとインク経路100Dとにおいて、一定時間内でのセンサーヒット回数が少ない方のインク経路は、インク流量が少ないことになる。従って、こうしたインク流量が少ないインク経路については、センサーヒットに関する検出を行うことにより、センサーヒットを検出したら送液ポンプはインクを供給するようにして、インク経路へのインク供給を抑制せずに、インク経路におけるインク流量を抑制しないというインク流量の調整を行う。
従って、上記において説明した第2の実施の形態にかかるインク流量調整処理によれば、インク経路におけるインク流量の調整を行うのに際し、機体構造内に新たな流量測定手段を設置する必要がないため、製造コストのコストアップを招来することがない。
また、上記において説明した第2の実施の形態にかかるインク流量調整処理によれば、インク経路101Aとインク経路101Bとインク経路101Cとインク経路101Dとでそれぞれ異なる種類のインクを用いた場合には、4種類のインクの流量を調整することができることになる。
〔その他の実施の形態ならびに変形例〕
なお、上記した各実施の形態は例示に過ぎないものであり、本発明は他の種々の形態で実施することができる。即ち、本発明は、上記した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。
例えば、上記した各実施の形態は、以下の(1)乃至(9)に示すように変形するようにしてもよい。
(1)上記した各実施の形態においては、送液ポンプを停止することによりインク経路へのインクの供給を停止して、インク経路のインク流量を調整するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
例えば、送液ポンプを断続的または回転速度を変えて動作させることにより、インクを断続的または送液速度(供給速度)を変化させて供給して、インク経路のインク流量を抑制するようにインク流量を調整するようにしてもよい。
(2)上記した各実施の形態においては、インク経路100A(100C)とインク経路100B(100D)とのそれぞれについてのセンサーアンヒットからセンサーヒットまでの状態を、所定の時間内でのセンサーヒット回数により認識するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
例えば、インク経路100A(100C)とインク経路100B(100D)とのそれぞれについて、センサーヒットと次のセンサーヒットとの間の時間間隔等により、センサーアンヒットからセンサーヒットまでの状態を認識するようにしてもよい。
ここで、インク経路100A(100C)とインク経路100B(100D)とにおいて、センサーアンヒットとセンサーヒットとの時間間隔が短い、即ち、頻繁にセンサーヒットする方のインク経路は、インク流量が多いことになる。従って、こうしたインク流量が多いインク経路については、センサーヒットに関する検出を行うことなく、送液ポンプの作動を停止したままの状態にしてインクの供給を停止させておくことによりインク経路へのインク供給を停止して、インク経路におけるインク流量を抑制するというインク流量の調整を行う。
一方、インク経路100A(100C)とインク経路100B(100D)とにおいて、センサーアンヒットとセンサーヒットとの時間間隔が長い、即ち、センサーヒットするまでの時間が長い方のインク経路は、インク流量が少ないことになる。従って、こうしたインク流量が少ないインク経路については、センサーヒットに関する検出を行うことにより、センサーヒットを検出したら送液ポンプはインクを供給するようにして、インク経路へのインク供給を抑制せずに、インク経路におけるインク流量を抑制しないというインク流量の調整を行う。
(3)上記した各実施の形態においては、本発明の理解を容易にするために具体的な数値(例えば、負圧解除のため待機時間の11秒間などである。)を示している。しかしながら、本明細書におけるこうした具体的な数値は、本発明の理解を容易にするための単なる例示に過ぎないものであり、本発明はこの数値に限定されるものではなく、設計条件などに応じて適宜に変更してよいものであることは勿論である。
(4)上記した各実施の形態においては、検知レバー127の動きをセンサー118A(118B、118C、118D)により検知することにより、ダンパー装置32A(32B)、32C、32D)のインク貯留室123におけるインクの貯留量を検知するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。検知レバー127の動きをセンサー118A(118B、118C、118D)により検知することに代えて、例えば、ダンパー装置32A(32B)、32C、32D)のインク貯留室123に光を照射することにより、ダンパー装置32A(32B)、32C、32D)のインク貯留室123に貯留されているインクの量を直接検出することができるような光センサーなどを用いてもよい。
(5)上記した第1の実施の形態においては、定数A’と定数B’とが同一の値の場合を示したが、これに限られるものではないことは勿論である。即ち、定数A’と定数B’とはそれぞれ異なる値でもよく、インク経路毎に最適な値に設定してよい。
(6)上記した第2の実施の形態においては、定数A’と定数B’と定数C’と定数D’とが同一の値の場合を示したが、これに限られるものではないことは勿論である。即ち、
定数A’と定数B’と定数C’と定数D’とはそれぞれ異なる値でもよく、インク経路毎に最適な値に設定してよい。あるいは、定数A’と定数B’とを同一の値として、定数C’と定数D’とは定数A’と定数B’との値とは異なる同一の値としてもよく、これらの値は設計条件などに応じて適宜に設定すればよい。
(7)上記した各実施の形態において、インクヘッドの数や、単一のインクヘッドに設けられたインクジェットノズル列の数は、各実施の形態において説明したような数に限定されるものではないことは勿論である。本発明は、単数あるいは任意の複数のインクヘッドに対して適用することができるとともに、任意の複数のインクジェットノズル列を設けられたインクヘッドに対して適用することができる。
(8)上記した各実施の形態においては、給紙装置によりロール状の巻回されたメディアたる記録紙28を徐々に引き出しながら印刷する、所謂、ペーパームーブタイプのインクジェットプリンタについて説明したが、本発明が適用可能なインクジェットプリンタはこれに限られるものではないことは勿論である。例えば、フラットベッド上にメディアを配置して印刷する、所謂、フラットベッドタイプのインクジェットプリンタなど、本発明は各種のインクジェットプリンタに適用することができる。
(9)上記した各実施の形態ならびに上記した(1)乃至(8)に示す各実施の形態は、適宜に組み合わせるようにしてもよいことは勿論である。