JP2019001027A - インクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法およびインク充填システム - Google Patents

インクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法およびインク充填システム Download PDF

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Abstract

【課題】ダンパーにおける空の状態のインク貯留室、即ち、インクが貯留されていないインク貯留室に対してインクを充填する際に、ダンパーのインク貯留室に充填されるインクの量をできるだけ増加して、当該インク貯留室内に存在する空気の量をできるだけ減少する。
【解決手段】第1のダンパーと第2のダンパーとにインクが充填されていない状態で、第1のダンパーと第2のダンパーとにインクを充填するときに、循環バルブを開放して、インクカートリッジの水頭値によりインク循環路内の空気を排出し、循環バルブの開放と同時または開放後に加圧ポンプによりインクの送液を開始し、循環バルブの開放前または開放と同時に第1の吸引ポンプおよび第2の吸引ポンプによりインクを吸引する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、インクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法およびインク充填システムに関する。さらに詳細には、本発明は、インクヘッドからメディアに向けてインクジェット方式によりインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法およびインク充填システムに関する。
なお、本明細書および本特許請求の範囲において「ダンパー」とは、インクヘッドと連通し、インクヘッド内のインク供給圧力の変動を緩和あるいは吸収する装置を意味するものとする。
また、本明細書および本特許請求の範囲において「メディア」には、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料や織物、布、アルミ、鉄、木材などのような各種材料からなる種々の媒体が含まれる。
さらに、本明細書および本特許請求の範囲において「インクジェット方式」は、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの各種の連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む、従来より公知の各種の手法によるインクジェット技術による印刷方法を意味するものとする。
さらにまた、本明細書および本特許請求の範囲における圧力の表記については、大気圧基準(標準大気圧1atm=0kPa(G))を用いるものとする。従って、「標準大気圧1atm=0kPa(G)」より高い圧力は正圧となり、「標準大気圧1atm=0kPa(G)」より低い圧力は負圧となる。
一般に、マイクロコンピューターによって全体の動作を制御され、メディアに対して往復移動するキャリッジに搭載されたインクヘッドへ液体状のインクを供給し、当該供給されたインクをインクヘッドのインクジェットノズルからインクジェット方式によりメディアに対して吐出して、当該メディア上に印刷を行うようにしたインクジェットプリンタが知られている。
こうしたインクジェットプリンタにおいては、インクの供給源たるインクを貯留したインクカートリッジからインクヘッドへインクを供給するためのインクの経路が形成されている。本明細書および本特許請求の範囲においては、こうしたインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジからインクヘッドへ至るインクの経路を「インク経路」と称することとする。
ここで、往復移動するキャリッジに搭載されているインクヘッドに対して、インク経路を構成する可撓性のインクチューブを介してインクを供給する構造のインクジェットプリンタにおいては、キャリッジが加減速する際にインクチューブ内のインクに発生する慣性力によってインクヘッド内のインク供給圧力が変動する。こうしたインク供給圧力の急激な変動は、インクヘッドにおけるインクジェットノズルからの安定したインクの吐出を妨げるという問題点があった。
こうした問題点を解決するため、例えば、特許文献1として提示する特開平6−115092号公報に開示されているように、従来のインクジェットプリンタにおいては、インクチューブとインクヘッド内のインク流路との間にインクヘッド内のインク供給圧力の変動を緩和あるいは吸収するためのダンパーを搭載するようにしている。
なお、特許文献1として提示する特開平6−115092号公報に開示されているダンパーは、インクチューブに連通しているインク流入口およびインクヘッド内のインク流路に連通しているインク流出口を備える矩形の凹部と、凹部開口を対角線方向に横断する状態に掛け渡されている板バネと、板バネの上から凹部開口を塞いてダンパー室(インク貯留室)を形成している可動性のダンパー膜を備えている。インクチューブを介してインク流入口から流入したインクはダンパー室(インク貯留室)内に一時的に貯留され、ダンパー室(インク貯留室)内に一時的に貯留されたインクが、インク流出口からインクヘッド内のインク流路に流れ込む。インクヘッド内のインク供給圧力は、ダンパー膜の変位によってダンパー室(インク貯留室)の容積が増減することによる、ダンパー室(インク貯留室)内の圧力変動により調節されている。なお、板バネは、ダンパー膜が過度に凹部の内側に変位しないように支持している。
ところで、ダンパーにおける空の状態のインク貯留室、即ち、インクが貯留されていないインク貯留室に対してインクを充填する際に、インク貯留室に充填されたインクの量が、予め考慮されている量よりも少ない場合、換言すれば、インク貯留室内に存在する空気の量が、予め考慮されている量よりも多い場合には、インクヘッドのインクジェットノズルからのインクの吐出不良やメディアに対する印刷品質の劣化を生じさせる原因となる以下の問題点1および問題点2が発生していた。
問題点1:インクチューブを介してダンパーのインク貯留室へインクを送液する加圧ポンプを開放した場合などにおいて発生する当該インク貯留室内における圧力低下時に、当該インク貯留室の上方部位に接続されたインクチューブ内に当該インク貯留室内に存在する空気が逆流する。
問題点2:ダンパーのインク貯留室内のインクを循環しようとする際に、当該インク貯留室内に存在する空気による泡が発生する。
特開平6−115092号公報
本発明は、従来の技術における上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ダンパーにおける空の状態のインク貯留室、即ち、インクが貯留されていないインク貯留室に対してインクを充填する際に、ダンパーのインク貯留室に充填されるインクの量をできるだけ増加して、当該インク貯留室内に存在する空気の量をできるだけ減少するようにしたインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法およびインク充填システムを提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、ダンパーにおける空の状態のインク貯留室、即ち、インクが貯留されていないインク貯留室に対してインクを充填する際に、当該インク貯留室内に存在する空気を排出するための処理を行うようにしたものである。
従って、本発明によれば、インク貯留室内の空気を排出するための処理を行うことにより、インク貯留室内から空気が排出され、排出された空気に相当する分だけインク貯留室に充填されるインクの充填量を増加することが可能となる。つまり、本発明によれば、インク貯留室に充填されるインクの充填量を増加して、インク貯留室内に存在する空気の量を減少することができる。
即ち、本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法は、インクを貯留したインクカートリッジと、上記インクカートリッジに貯留されたインクが供給される第1のダンパーと、上記インクカートリッジに貯留されたインクが供給される第2のダンパーと、上記第1のダンパーと連通した第1のインクヘッドと、上記第2のダンパーと連通した第2のインクヘッドと、上記インクカートリッジに貯留されたインクを第1の分岐点で分岐して上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとにそれぞれ供給するインク供給路と、上記インク供給路における上記インクカートリッジと上記第1の分岐点との間に配設され、上記インク供給路内のインクを加圧して上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとへ向けて送液する加圧ポンプと、上記インク供給路における上記インクカートリッジと上記加圧ポンプとの間に一方の端部が接続され、他方の端部側が第2の分岐点で分岐して上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとに接続されたインク循環路と、上記インク循環路における上記一方の端部と上記第2の分岐点との間に配設された循環バルブと、上記第1のインクヘッドからインクを吸引する第1の吸引ポンプと、上記第2のインクヘッドからインクを吸引する第2の吸引ポンプとを有するインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法において、上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとにインクが充填されていない状態で、上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとにインクを充填するときに、上記循環バルブを開放して、上記インクカートリッジの水頭値により上記インク循環路内の空気を排出し、上記循環バルブの開放と同時または開放後に上記加圧ポンプによりインクの送液を開始し、上記循環バルブの開放前または開放と同時に上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによりインクを吸引するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法は、上記した本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法において、上記循環バルブを開放した後に、予め設定された時間経過したときに、上記循環バルブを閉鎖するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法は、上記した本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法において、上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによるインクの吸引時間は、上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによるインクの吸引が開始されてから上記循環バルブが開放されるまでの時間と上記循環バルブが開放されてから閉鎖されるまでの時間とを加算した加算結果以上の時間であるようにしたものである。
また、本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法は、上記した本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法において、上記循環バルブの開放と、上記加圧ポンプによるインクの送液と、上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによるインクの吸引とを同時に開始し、予め設定された時間経過したときに上記循環バルブを閉鎖し、上記循環バルブを閉鎖した後に予め設定された時間経過したときに上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによるインクの吸引を停止するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムは、インクを貯留したインクカートリッジと、上記インクカートリッジに貯留されたインクが供給される第1のダンパーと、上記インクカートリッジに貯留されたインクが供給される第2のダンパーと、上記第1のダンパーと連通した第1のインクヘッドと、上記第2のダンパーと連通した第2のインクヘッドと、上記インクカートリッジに貯留されたインクを第1の分岐点で分岐して上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとにそれぞれ供給するインク供給路と、上記インク供給路における上記インクカートリッジと上記第1の分岐点との間に配設され、上記インク供給路内のインクを加圧して上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとへ向けて送液する加圧ポンプと、上記インク供給路における上記インクカートリッジと上記加圧ポンプとの間に一方の端部が接続され、他方の端部側が第2の分岐点で分岐して上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとに接続されたインク循環路と、上記インク循環路における上記一方の端部と上記第2の分岐点との間に配設された循環バルブと、上記第1のインクヘッドからインクを吸引する第1の吸引ポンプと、上記第2のインクヘッドからインクを吸引する第2の吸引ポンプと、上記循環バルブの開放と閉鎖とを制御する循環バルブ制御手段と、上記加圧ポンプの加圧により送液の開始を制御する加圧ポンプ制御手段と、上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプの吸引の開始と停止とを制御する吸引ポンプ制御手段とを有し、上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとにインクが充填されていない状態で、上記第1のダンパーと上記第2のダンパーとにインクを充填するときに、上記循環バルブ制御手段は、上記循環バルブを開放して、上記インクカートリッジの水頭値により上記インク循環路内の空気を排出し、上記加圧ポンプ制御手段は、上記循環バルブの開放と同時または開放後に上記加圧ポンプによりインクの送液を開始し、上記吸引ポンプ制御手段は、上記循環バルブの開放前または開放と同時に上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによるインクの吸引を開始するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムは、上記した本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムにおいて、上記循環バルブ制御手段は、上記循環バルブを開放した後に、予め設定された時間経過したときに、上記循環バルブを閉鎖するようにしたものである。
また、本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムは、上記した本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムにおいて、上記吸引ポンプ制御手段により制御される上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによるインクの吸引時間は、上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによるインクの吸引が開始されてから上記循環バルブが開放されるまでの時間と上記循環バルブが開放されてから閉鎖されるまでの時間とを加算した加算結果以上の時間であるようにしたものである。
また、本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムは、上記した本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムにおいて、上記循環バルブ制御手段の制御による上記循環バルブの開放と、上記加圧ポンプ制御手段による上記加圧ポンプによるインクの送液と、上記吸引ポンプ制御手段の制御による上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによるインクの吸引とを同時に開始し、上記循環バルブ制御手段は、予め設定された時間経過したときに上記循環バルブを閉鎖し、上記吸引ポンプ制御手段は、上記循環バルブを閉鎖した後に予め設定された時間経過したときに上記第1の吸引ポンプおよび上記第2の吸引ポンプによるインクの吸引を停止するようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、ダンパーにおける空の状態のインク貯留室、即ち、インクが貯留されていないインク貯留室に対してインクを充填する際に、ダンパーのインク貯留室に充填されるインクの量をできるだけ増加して、インク貯留室内に存在する空気の量をできるだけ減少することが可能になるという優れた効果を奏するものである。
図1は、本発明の実施の形態の一例によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムを備えたインクジェットプリンタを示す概略構成斜視説明図である。 図2は、図1に示すインクジェットプリンタにおけるインク経路を模式的に示す構成説明図である。 図3は、図1に示すインクジェットプリンタにおける加圧ポンプ(送液ポンプ)の構成の一例を示す構成説明図である。 図4は、図1に示すインクジェットプリンタにおける第1ダンパーおよび第2ダンパーの構成の一例を示す側面図である。 図5は、図4に示す第1ダンパーおよび第2ダンパーのV−V線による縦断面図である。 図6は、図1に示すインクジェットプリンタにおける第1吸引ポンプおよび第2吸引ポンプの構成の一例を示す説明図である。 図7は、第1インクヘッドのインクジェットノズルが形成されたインクジェットノズル面および第2インクヘッドのインクジェットノズルが形成されたインクジェットノズル面と第1キャップ部材および第2キャップ部材との位置関係を模式的に示す説明図である。図7(a)はキャッピング位置を示し、図7(b)は待機位置を示し、図7(c)はキャップ内フラッシング位置を示す。 図8は、図1に示すインクジェットプリンタにおけるマイクロコンピューターの本発明の実施に関連する機能的構成をあらわすブロック構成説明図である。 図9(a)(b)(c)(d)(e)(g)は、図1に示すインクジェットプリンタにおける第1ダンパーのインク貯留室および第2ダンパーのインク貯留室へインクを充填する際におけるインク充填量の経時変化を模式的に示す説明図である。図9(a)(b)(c)(d)は、第1段階処理を示す。図9(e)(f)(g)(d)は、第2段階処理を示す。 図10は、インクジェットプリンタが実行するインク充填処理ルーチンの実施の形態の一例を示すフローチャートであり、図9(e)(f)(g)(d)に示す第2段階処理を示す。 図11は、インクジェットプリンタが実行するインク充填処理ルーチンの実施の形態の他の例を説明するためのフローチャートである。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法およびインク充填システムの実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
図1には、本発明の実施の形態の一例によるインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムを備えたインクジェットプリンタを示す概略構成斜視説明図があらわされている。
このインクジェットプリンタ10は、基台部材12に支持され主走査方向に延長して配設された固定系のベース部材14を備えている。ベース部材14の左右両端には側方部材16L、16Rが配設され、側方部材16R側には側方ユニット18が配設されている。
インクジェットプリンタ10は、左右2つの側方部材16L、16Rを連結する中央壁20を備え、中央壁20の壁面には主走査方向に延長してガイドレール22が配設されている。
符号24は、中央壁20の壁面に平行して主走査方向に移動自在に配設されたワイヤーである。キャリッジ26は、ワイヤー24に固定的に配設されるとともにガイドレール22に摺動自在に装着されている。キャリッジ26には、ベース部材14上に位置するメディアたる記録紙28と対向するようにして第1インクヘッド30および第2インクヘッド31が隣接して搭載されているとともに、第1インクヘッド30へインクを供給可能に連通して接続された第1ダンパー32および第2インクヘッド31へインクを供給可能に連通して接続された第2ダンパー33が搭載されている。第1インクヘッド30の第1インクジェットノズル面30aと第2インクヘッド31の第2インクジェットノズル面31aとには、記録紙28へ向けてインクを吐出するインクジェットノズル(図示せず。)がそれぞれ形成されている。
インクジェットプリンタ10の側方ユニット18には、予め設定されたインクを貯留したインクカートリッジ36が着脱自在に配設されている。インクカートリッジ36に貯留されたインクは、インク経路を通って第1インクヘッド30および第2インクヘッド31へ供給される(図2を参照する。)。インクカートリッジ36には、貯留されたインクの量を検知するセンサー(図示せず。)が設けられている。
また、インクジェットプリンタ10においては、上記したようにメディアとして記録紙28を用いるものとする。この記録紙28は、給紙装置(図示せず。)によってベース部材14上に供給され、幅方向たる主走査方向において所定の長さを有するとともに、主走査方向と直交する方向、即ち、記録紙28の長手方向に搬送される。なお、主走査方向と直交する方向、即ち、記録紙28の搬送方向かつ記録紙28の長手方向を「副走査方向」と称する。
インクジェットプリンタ10においては、ベース部材14に廃液タンク42が配設されている。
また、インクジェットプリンタ10には、第1インクヘッド30の第1インクジェットノズル面30aに設けられたインクジェットノズルの開口部に対してキャッピングする第1キャップ装置38が設けられている。同様に、インクジェットプリンタ10には、第2インクヘッド31の第2インクジェットノズル面31aに設けられたインクジェットノズルの開口部に対してキャッピングする第2キャップ装置39が設けられている。
さらに、インクジェットプリンタ10には、第1インクヘッド30の第1インクジェットノズル面30aおよび第2インクヘッド31の第2インクジェットノズル面31aをワイパーブレード(図示せず。)でワイピングするワイパー装置40が設けられている。
なお、符号41は作業者がインクジェットプリンタ10の動作を制御するための操作子を備えた操作パネルである。操作パネル41には、インクジェットプリンタ10の動作状態を表示するための表示装置41aが設けられている。
上記したインクジェットプリンタ10の全体の動作は、マイクロコンピューター34によって制御され、マイクロコンピューター34の制御に従って各種の駆動源(図示せず。)を駆動することにより、記録紙28上に印刷が行われる。
即ち、インクジェットプリンタ10においては、マイクロコンピューター34の制御に従って、ワイヤー24の巻き取りによりワイヤー24が移動すると、このワイヤー24の移動に伴って、キャリッジ26が主走査方向における行き方向(往路)および帰り方向(復路)に往復移動する。これにより、キャリッジ26に搭載された第1ダンパー32および第1インクヘッド30ならびに第2ダンパー33および第2インクヘッド31が、給紙装置によってベース部材14上に供給された記録紙28上を主走査方向における行き方向(往路)および帰り方向(復路)に一体的に往復移動し、記録紙28上に印刷が行われる。
なお、上記したインクジェットプリンタ10の構成ならびに作用については、図2を参照しながら説明するインク経路の構成ならびに図8乃至図11を参照しながら説明する第1ダンパー32および第2ダンパー33へのインクの充填の手法を除いて、従来より公知の手法を適用することができるので、その構成ならびに作用の詳細な説明は省略する。
ここで、図2には、図1に示すインクジェットプリンタにおけるインク経路を模式的に示す構成説明図があらわされている。
この図2に示すインク経路は、インク供給路102とインク循環路202とを有して構成されている。インク供給路102には、圧力制御弁104と加圧ポンプ(送液ポンプ)106とが配設されている。インク循環路202には、循環バルブ204が配設されている。
インク供給路102は、インクカートリッジ36から第1インクヘッド30および第2インクヘッド31へインクを導くインク流路である。インク供給路102は、キャリッジ26の往復移動に適用可能な可撓性を備えており、例えば、樹脂製のチューブにより構成することができる。
インク供給路102は、第1供給路102aと、第2供給路102bと、第3供給路102cと、第3供給路102cが第1の分岐点103で分岐した第4供給路102dおよび第5供給路102eとにより構成されている。
第1供給路102aは、一方の端部をインクカートリッジ36に接続し、他方の端部を圧力制御弁104に接続して、インクカートリッジ36と圧力制御弁104とを連通する。
第2供給路102bは、一方の端部を圧力制御弁104に接続し、他方の端部を加圧ポンプ106に接続して、圧力制御弁104と加圧ポンプ106とを連通する。
第3供給路102cおよび第4供給路102dは、第3供給路102cの一方の端部を加圧ポンプ106に接続し、第3供給路102cの他方の端部を第1の分岐点103に位置し、第4供給路102dの一方の端部を第1の分岐点103に位置し、第4供給路102dの他方の端部を第1ダンパー32に接続して、加圧ポンプ106と第1ダンパー32とを連通する。
第3供給路102cおよび第5供給路102eは、第3供給路102cの上記一方の端部を加圧ポンプ106に接続し、第3供給路102cの上記他方の端部を第1の分岐点103に位置し、第5供給路102eの一方の端部を第1の分岐点103に位置し、第5供給路102eの他方の端部を第2ダンパー33に接続して、加圧ポンプ106と第2ダンパー33とを連通する。
第1ダンパー32と第1インクヘッド30とは連通しており、また、第2ダンパー33と第2インクヘッド31とは連通しているので、上記したインク供給路102により、インクカートリッジ36から第1インクヘッド30および第2インクヘッド31へインクが供給される。インクカートリッジ36から第1インクヘッド30および第2インクヘッド31へ供給されるインクの流れにおいて、圧力制御弁104が上流側に配置され、加圧ポンプ106が下流側に配置される。
インク循環路202は、第1ダンパー32および第2ダンパー33から第1供給路102a側へインクを戻すインク流路である。インク循環路202は、キャリッジ26の往復移動に適用可能な可撓性を備えており、例えば、樹脂製のチューブにより構成することができる。
インク循環路202は、第1循環路202aと、第2循環路202bと、第2循環路202bが第2の分岐点203で分岐した第3循環路202cおよび第4循環路202dとにより構成されている。
第1循環路202aは、一方の端部を第1供給路102aに接続し、他方の端部を循環バルブ204に接続して、第1供給路102aと循環バルブ204とを連通する。
第2循環路202bおよび第3循環路202cは、第2循環路202bの一方の端部を循環バルブ204に接続し、第2循環路202bの他方の端部を第2の分岐点203に位置し、第3循環路202cの一方の端部を第2の分岐点203に位置し、第3循環路202cの他方の端部を第1ダンパー32に接続して、循環バルブ204と第1ダンパー32とを連通する。
同様に、第2循環路202bおよび第4循環路202dは、第2循環路202bの上記一方の端部を循環バルブ204に接続し、第2循環路202bの上記他方の端部を第2の分岐点203に位置し、第4循環路202dの一方の端部を第2の分岐点203に位置し、第4循環路202dの他方の端部を第2ダンパー33に接続して、循環バルブ204と第2ダンパー33とを連通する。
従って、循環バルブ204を開放(OPEN)にするとともに加圧ポンプ106を駆動して、加圧ポンプ106側から第1ダンパー32および第2ダンパー33側へインクを送液することにより、第1ダンパー32および第2ダンパー33内のインクをインク循環路202を介してインク供給路102の第1供給路102aへ循環することができる。
また、インクジェットプリンタ10においては、上記において説明したように、第1インクヘッド30の第1インクジェットノズル面30aに形成されたインクジェットノズル周りをキャッピングする第1キャップ装置38が設けられているとともに、第2インクヘッド31の第2インクジェットノズル面31aに形成されたインクジェットノズル周りをキャッピングする第2キャップ装置39が設けられている。
第1キャップ装置38は、第1インクヘッド30の第1インクジェットノズル面30aに形成されたインクジェットノズルの開口部を封止する第1キャップ部材382と、第1インクヘッド30のインクジェットノズルからインク経路内のインクを吸引可能な第1吸引ポンプ384とを有して構成されている。第1吸引ポンプ384は、第1インクヘッド30の第1インクジェットノズル面30aに形成されたインクジェットノズルの開口部を封止した第1キャップ部材112に負圧を供給し、インク経路内のインクを吸引する。
同様に、第2キャップ装置39は、第2インクヘッド31の第2インクジェットノズル面31aに形成されたインクジェットノズルの開口部を封止する第2キャップ部材392と、第2インクヘッド31のインクジェットノズルからインク経路内のインクを吸引可能な第2吸引ポンプ394とを有して構成されている。第2吸引ポンプ394は、第2インクヘッド31の第2インクジェットノズル面31aに形成されたインクジェットノズルの開口部を封止した第2キャップ部材392に負圧を供給し、インク経路内のインクを吸引する。
符号402は、第1廃液チューブである。第1廃液チューブ402は、一方の端部402aを第1キャップ部材382に接続するとともに他方の端部402bを廃液タンク42に接続している。第1吸引ポンプ384は、廃液チューブ402の一方の端部402aと他方の端部402bとの間に設けられている。
符号403は、第2廃液チューブである。第2廃液チューブ403は、一方の端部403aを第2キャップ部材392に接続するとともに他方の端部403bを廃液タンク42に接続している。第2吸引ポンプ394は、廃液チューブ403の一方の端部403aと他方の端部403bとの間に設けられている。
次に、インク経路内に配設された各構成要素について、それぞれ詳細に説明するものとする。
はじめに、圧力制御弁104について説明する。圧力制御弁104は、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31のインクジェットノズル内のインクを負圧の状態に維持する。圧力制御弁104は、電気的に制御されておらず、マイクロコンピューター34の制御により加圧ポンプ106が停止しているときは、インク供給路102を閉じてインク経路を閉鎖する。第1インクヘッド30および第2インクヘッド31のインクジェットノズルは、圧力制御弁104と加圧ポンプ106との協働により、インクを吐出していないときは内部の圧力が常に負圧状態となるように維持されている。
なお、上記した圧力制御弁104は、例えば、特許第5980390号公報などに開示されている従来より公知の技術であるので、その詳細な構成ならびに作用の説明は省略する。
次に、加圧ポンプ106について説明する。加圧ポンプ106は、マイクロコンピューター34の自動制御によって作動すると、インクカートリッジ36から第1ダンパー32および第2ダンパー33へ向けてインクを加圧して送液し、マイクロコンピューター34の自動制御によって作動を停止すると、インクカートリッジ36から第1ダンパー32および第2ダンパー33へ向けてのインクの送液を停止する。
インク供給路102に圧力制御弁104と加圧ポンプ106とを設けることにより、加圧ポンプ106が停止しているときには、圧力制御弁104によってインク供給路102を閉じてインク経路が閉鎖されている。これにより、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31のインクジェットノズルがインクを吐出していないときは、第1インクヘッド30および第2インクヘッドのインクジェットノズル内部の圧力が常に負圧状態となるように維持される。従って、インクジェットプリンタ10の不使用時には、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31からのインク漏れを的確に防止することができる。また、インクカートリッジ36を第1インクヘッド30および第2インクヘッド31よりも高い位置に配置することが可能となり、高さ方向の設計(レイアウト)の自由度を高めることができる。さらに、この構成では、インクジェットプリンタ10の不使用時に、インク供給路102の一部を押しつぶし続ける必要が無く、インクジェットプリンタ10の使用時には安定してインクを第1インクヘッド30および第2インクヘッド31に供給することができる。
なお、上記した加圧ポンプ106は、例えば、特許第5980390号公報などに開示されている従来より公知の技術であるので、その詳細な構成ならびに作用の説明は省略する。
本実施の形態においては、加圧ポンプ106としては、従来より公知の種々の構成のものを用いることが可能であり、例えば、チューブポンプやトロコイドポンプなどを用いることができ、インクの送液速度を可変することができる。
ここで、チューブポンプやトロコイドポンプは、ポンプ内のコロを移動したり歯車を回転させたりしてインクを加圧して加圧力を発生させて送液している状態と、所定の位置でポンプ内のコロの移動を停止したり歯車の回転を停止して加圧力が解除されてインクの流路が開放された状態と、所定の位置でポンプ内のコロの移動を停止したり歯車の回転を停止して加圧力が解除されてインクの流路が閉鎖された状態とを選択的に制御可能なポンプである。
図3には、加圧ポンプ106の構成の一例を示す構成説明図が示されている。加圧ポンプ106は、インク供給路102における圧力制御弁104と第1ダンパー32および第2ダンパー33との間に設けられている。チューブポンプ自体は従来より公知の技術であるので、加圧ポンプ106についての詳細な説明は省略するが、加圧ポンプ106はその内部に、中心部C1を中心として矢印A方向に回転する円形台座106aと、円形台座106aの円周部にそれぞれ配設されたコロ106b、106cとを有している。コロ106b、106cとは、中心部C1を対称点として点対称位置に配置されている。加圧ポンプ106においては、円形台座106aの中心部C1を中心として矢印A方向に回転することにより、コロ106b、106cが円形台座106aの円周上を矢印A方向に回転移動することになり、これにより内部のチューブ106dの押圧状態を変化させ、圧力制御弁104側から第1ダンパー32および第2ダンパー33側へインクを送液する状態と、所定の位置でコロ106b、106cの移動を停止して加圧力が解除されてチューブ106dを押し潰すことなくインクの流路が開放された状態と、所定の位置でコロ106b、106cの移動を停止して加圧力が解除されてチューブ106dを押し潰してインクの流路が閉鎖された状態とを選択することができる。この加圧ポンプ106においては、円形台座106aが中心部C1を中心として回転角45度で回転するのを1単位の回転量(作動量)、即ち、単位回転量(単位作動量)として設定されている。
加圧ポンプ106は、中心部C1を中心として円形台座106aを回転することによるコロ106b、106cの回転の回転速度を切り替えることができるとともに、コロ106b、106cの回転角についても任意の角度に設定することができる。
次に、第1ダンパー32ならびに第2ダンパー33について説明する。第1ダンパー32と第2ダンパー33とは、同一の構成を備えている。第1ダンパー32(第2ダンパー33)は、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)とともにキャリッジ26に搭載されており、第4供給路102d(第5供給路102e)を通過したインクを一時的に貯留するインク貯留室423(図4および図5を参照する。)を備えている。この第1ダンパー32(第2ダンパー33)により、キャリッジ26が記録紙28に対して往復動する際におけるインク経路内のインクの圧力変動を吸収している。
第1ダンパー32(第2ダンパー33)は、インク貯留室423内に貯留されたインクの量を検出するインク貯留量検出装置として、インク貯留室423内におけるインクの貯留量の変化に伴い変動する負圧に応じて変位する負圧指示部材たる検知レバー427(図4および図5を参照する。)を備えている。検知レバー427を備えた第1ダンパー32(第2ダンパー33)は、例えば、特許第5951091号公報に開示されているように従来より公知の技術である(特許第5951091号公報におけるダンパー装置の記述を参照する。)。なお、第1ダンパー32(第2ダンパー33)の構成については、図4および図5を参照しながら後述する。
なお、第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留量検出装置は、インク貯留室423に貯留されたインクの量が所定量以下であるか否かを検出するものである。ここで、インク貯留室423に貯留可能なインクの量を、例えば、6ccとすると、所定量は、例えば、3〜4ccである。第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留量検出装置のインク貯留量検出装置が、インク貯留室423に貯留されたインクの量が所定量以下となったことを検出すると、マイクロコンピューター34の自動制御により加圧ポンプ106を作動して、加圧ポンプ106から予め設定された量のインクを第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留室423に加圧して送液する。具体的には、インクジェットプリンタ10には、検知レバー427の変位を検知するセンサー(図示せず。)が設けられていて、このセンサーによる検出結果がマイクロコンピューター34に出力され、マイクロコンピューター34の自動制御により加圧ポンプ106を作動する。
第1ダンパー32(第2ダンパー33)には、インク貯留室423と連通するインクジェットノズルを備えた第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)が接続されており、インクカートリッジ36に貯留されたインクは、第1ダンパー32(第2ダンパー33)を介して第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)へ供給される。第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)に供給されたインクは、第1インクジェットノズル面30a(第2インクジェットノズル面31a)に開口部が形成されたインクヘッドノズルから吐出される。第1インクヘッド30および第2インクヘッド31のインクジェットノズルは、圧力制御弁104と加圧ポンプ106との協働により、インクを吐出していないときは内部の圧力が常に負圧状態となるように維持される。
図4および図5には、第1ダンパー32および第2ダンパー33の構成が示されている。図4は、第1ダンパー32および第2ダンパー33の側面図である。図5は、図4に示す第1ダンパー32および第2ダンパー33のV−V線による縦断面図である。
図5に示すように、第1ダンパー32(第2ダンパー33)は、一面(図5の右側の面)が開口した中空構造のケース本体421と、当該開口部分を覆うようにケース本体421の外壁面に取り付けられたダンパー膜422とを備えている。ケース本体421は、典型的には樹脂製である。ケース本体421とダンパー膜422とに囲まれた領域が、インク貯留室423である。ダンパー膜422のインク貯留室423と反対側の面には、検知レバー427が配置されている。なお、第1ダンパー32(第2ダンパー33)は、いわゆる弁構造を有していない。
図4に示すように、ケース本体421の壁面(図4の上面)には、インクが流入するインク流入口420が形成されている。インク流入口420は、インク供給路102の第4供給路102d(第5供給路102e)に接続され、インクカートリッジ36と連通している。ケース本体421の他の壁面(図4の下面)には、インクが流出する吐出用インク流出口429aが形成されている。吐出用インク流出口429aは、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)と連通している。ケース本体421の壁面(図4の上面)には、循環用インク流出口429bが形成されている。循環用インク流出口429bは、インク循環路202の第3循環路202c(第4循環路202d)に接続され、循環バルブ204を介してインク供給路102の第1供給路102aと連通している。インク流入口420、吐出用インク流出口429aおよび循環用インク流出口429bは、それぞれインク貯留室423と連通している。本実施の形態においては、インク貯留室423は直方体形状に形成されている。インク貯留室423には所定量のインクが一時的に貯留される。
本実施の形態においては、循環用インク流出口429bの先端(下端)が、インク流入口420の先端(下端)よりも重力方向の下方に配置されている。本実施の形態においては、インク流入口420の先端が、インク貯留室423の下面からおよそ1/2程度の高さに配置されている。また、循環用インク流出口429bの先端が、インク貯留室423の下面からおよそ1/4程度の高さに配置されている。また、循環用インク流出口429bの内径dは、インク流入口420の内径Dよりも小さい。即ち、「d<D」の関係にある。
ダンパー膜422は、インク貯留室423の内側および外側にそれぞれ撓むことができる程度の張力で、例えば、熱溶着によりケース本体421の縁部に貼り付けられている。ダンパー膜422は、感圧膜の一例であり、インク貯留室423内の圧力に応じて撓み変形可能なように構成されている。ダンパー膜422は、典型的には可撓性を有する樹脂製のフィルムである。ダンパー膜422は、単層構造であってもよいし、異なる材質のフィルムが積層され一体化された多層構造であってもよい。ダンパー膜422のインク貯留室423側の面には、例えば、耐インク腐食性の向上を目的として、コーティングが施されていてもよい。
図5に示すように、インク貯留室423の内部において、ケース本体421のダンパー膜422と対向する壁面421aにはテーパーバネ424の一端が取り付けられている。テーパーバネ424の他端は受圧板425に接続されている。テーパーバネ424はダンパー膜422と連結されている。テーパーバネ424は、ダンパー膜422をインク貯留室423の外側に押圧する弾性部材の一例である。テーパーバネ424は、圧縮された状態に維持されている。これによって、ダンパー膜422はインク貯留室423の外側(図5の右側)に向けて押圧され、撓んだ状態となっている。インク貯留室423に貯留されたインクが所定量まで減少して、インク貯留室423内がある程度減圧されると、ダンパー膜422はテーパーバネ424のばね力(弾性力)に抗してインク貯留室423の内側に撓む。
テーパーバネ424は、圧縮されていない時には円錐台形状であり、当該円錐台形状の高さ方向に徐々に内径が変化するように構成されている。テーパーバネ424は圧縮されるにつれて上記高さ方向に縮んでいき、全圧縮された時に略平坦の板状となる。本実施の形態においては、テーパーバネ424は、ケース本体421の壁面421aからダンパー膜422の方に近づくにつれて内径が小さくなるように配置されている。テーパーバネ424の材質は特に限定されない。テーパーバネ424には、例えば耐インク腐食性の向上を目的として、コーティングが施されていてもよい。
インク貯留室423の内部において、ダンパー膜422とテーパーバネ424との間には、受圧板425が配置されている。受圧板425は、インク貯留室423の外側に向かってダンパー膜422を均質的に押圧するように、ダンパー膜422の略中央に配置されている。本実施の形態においては、受圧板425は円板形状をなしている。受圧板425は、ダンパー膜422よりも硬質な材料で構成されるとよい。受圧板425は、ダンパー膜422の撓み変形を阻害しないように、比較的軽量であるとよい。本実施の形態においては、受圧板425は、例えば、ポリアセタール系樹脂製である。
本実施の形態においては、受圧板425のダンパー膜422と対向する側の面が、受圧板425の全表面の概ね10%以上、典型的には10〜30%、例えば15〜20%程度の表面積を有している。ダンパー膜422と対向する面の面積を広くとることで、ダンパー膜422をインク貯留室423の外側に向かって均質的に押圧することができる。また、ダンパー膜422の撓み変形が受圧板425に精度よく伝達されるようになる。一方で、感圧膜に面積の大きな受圧板を張り付けると、感圧膜の可動域が極端に制限されるおそれがある。そこで、受圧板425とダンパー膜422とを全面接合せずに、間欠的に接合するようにしている。これにより、ダンパー膜422の可動域を維持したままに、受圧板425の受圧面積を広くとることができる。その結果、インク容量の変化に伴ってダンパー膜422がスムーズに撓み変形する。なお、ここで言う「間欠的な接合」とは、受圧板425とダンパー膜422とを全面接合せずに、受圧板425にダンパー膜422と接合されない部分を敢えて(積極的に)残すことを意味する。
間欠接合部426は、ダンパー膜422に接合された接合部426aと、ダンパー膜422に接合されていない非接合部426bとを有する。非接合部4126bの少なくとも一部は、接合部426aの最も縁部に近い部分に比べて、受圧板425の中央側に位置している。非接合部426bは、接合部426aによって閉鎖されていない。つまり、間欠接合部426に気泡が溜まり難いように、非接合部426bが開放されている。接合部426aは、受圧板425のダンパー膜422と対向する側の面全体の概ね90%以下、典型的には80%以下、例えば70%以下の面積を占める。非接合部426bは、受圧板425のダンパー膜422と対向する側の面全体の概ね10%以上、典型的には20%以上、例えば30%以上の面積を占める。
間欠接合部426では、例えば、ダンパー膜422やインク貯留室423の形状などを考慮して、接合部426aと非接合部426bとの配置を決定するとよい。一例では、ダンパー膜422および/またはインク貯留室423の縁部から、受圧板425の中央(中心)までの距離が略等しくなるように、接合部426aを配置する。例えば、図4に示すように、ダンパー膜422および/またはインク貯留室423が多角形状の場合は、多角形の頂点から受圧板425の中央(中心)までの距離が略等しくなるように、接合部426aを配置するとよい。
ダンパー膜422および/またはインク貯留室423の形状が回転対称性を有している場合、例えば、図4に示すようにダンパー膜422および/またはインク貯留室423が多角形状である場合には、接合部426aもまた、受圧板425の中央425cを中心点とした回転対称性を有しているとよい。例えば、接合部426aが受圧板425の中央425cを中心点とした同一円周上に等間隔で配置されているとよい。あるいは、接合部426aが受圧板425の中央425cを中心点として放射状に配置されているとよい。これにより、ダンパー膜422の撓み変形が受圧板425に均質的に伝達されるようになり、受圧板425が安定的に変位する。従って、インク貯留量の検知精度を高めることができる。
インク貯留室423の外側には、検知レバー427が配置されている。検知レバー427は、ダンパー膜422の撓み変形の度合い(位置変化)からインク貯留量を検知するインク貯留量検知装置である。図4に示すように、検知レバー427は、2つの固定部427bによってケース本体421の壁面に固定されている。検知レバー427は、ダンパー膜422を介して、受圧板425の中央425cと連結されている。検知レバー427は、バネ部材427cによってダンパー膜422に対して進退自在に配置されており、常にダンパー膜422と当接している。検知レバー427は、ダンパー膜422の撓み変形に基づいて変位する。
例えば、インク貯留室423に貯留されているインクが少なくなると、ダンパー膜422がインク貯留室423の内側に所定量撓む。このダンパー膜422の撓み変形に伴って、検知レバー427もインク貯留室423の側に所定量変位する。逆に、インク貯留室423にインクが供給されてインク貯留量が増えると、ダンパー膜422がインク貯留室423の外側に所定量撓む。ダンパー膜422の撓み変形に伴って、検知レバー427もインク貯留室423から離れる方に所定量変位する。従って、検知レバー427の変位の情報に基づいて、インク貯留室423内のインク貯留量が所定の範囲内であるか否かを判断することができる。例えば、インク貯留室423内のインク貯留量が所定の下限値に到達したか否か、および/または、インク貯留量が所定の上限値(満タン)に到達したか否かを判断することができる。
検知レバー427の変位はセンサー(図示せず。)により検出され、センサーにおける検出信号がマイクロコンピューター34へ送られる。マイクロコンピューター34はセンサーの検出信号に応じて、加圧ポンプ106を駆動または停止する。上記構成によれば、第1ダンパー32(第2ダンパー33)内のインク貯留量に応じて加圧ポンプ106を作動させることができる。これにより、インク貯留室423内に所定量のインクを維持することができ、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)に安定的にインクを供給することができる。
図5に示すように、本実施の形態においては、検知レバー427が受圧板425の中央425cと連結されている。検知レバー427の受圧板425と連結する位置には、凸部427aが設けられている。一方、凸部427aと連結される受圧板425の中央425cには、凹部425aが形成されている。凹部425aは、検知レバー427のインク貯留室423の側の先端(凸部427a)を挿入可能なように、インク貯留室423の内側に突き出している。これにより、検知レバー427と受圧板425とが安定的に連結されるようになる。従って、ダンパー膜422の撓み変形の度合いが精度よく検知レバー427に伝達され、安定的に検知レバー427が可動する。
第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)からインクが吐出されないとき(例えば、印刷やクリーニング処理などを行っていないときである。)、第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留室423には所定量以上のインクが貯留されている。このとき、ダンパー膜422は、テーパーバネ424のばね力によって、インク貯留室423の外側に撓んでいる。これによって、インク貯留室423内が負圧に保たれ、インク貯留室423と連通する第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)の第1インクジェットノズル面30a(第2インクジェットノズル面31a)も負圧に維持される。従って、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)のインクジェットノズルからのインク漏れが防止される。
インク循環路202を用いてインクを循環する際には、まず、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)の第1インクジェットノズル面30a(第2インクジェットノズル面31a)を第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)でキャッピングして封止する。次に、マイクロコンピューター34の制御によって、循環バルブ204を開放し、循環バルブ204を開放した状態で加圧ポンプ106を駆動する。そうすると、インク循環路202においては、第1ダンパー32(第2ダンパー33)からインク供給路102の第1供給路102aに向かってインクが流れる。こうして、インク循環路202を通ったインクは、インク供給路102を通って再び第1ダンパー32(第2ダンパー33)に向かって流れる。図2における矢印は、インク循環時のインクの流れを示している。このように、インクジェットプリンタ10内においてインクを循環することにより、インクを均質に維持することができる。その結果、インク中の固形分(例えば、色材などである。)が分離したり沈殿したりすることを防止することができるとともに、インクの無駄な消費を抑制することができる。
インクジェットプリンタ10の印刷時やクリーニング処理時には、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)のインクジェットノズルからインクが吐出される。インクジェットノズルからインクが吐出されると、第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留室423に貯留されているインクが吸い出され、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)に供給される。これにより、インク貯留室423のインク貯留量が減少して、インク貯留室423内が負圧になる。インク貯留室423内が負圧になるにつれ、ダンパー膜422はインク貯留室423の内側に撓み変形する。ダンパー膜422の撓み変形に応じて、ダンパー膜422と間欠的に接合されている受圧板425も変位する。この変位は、受圧板425と連結された検知レバー427に高い精度で伝達される。検知レバー427が変位すると、この変位はセンサーにより検出され、センサーにおける検出信号がマイクロコンピューター34へ送られる。マイクロコンピューター34はセンサーの検出信号に基づいて、検知レバー427の変位量が所定値に到達したときに、インク貯留量が所定の下限値であると判断して、加圧ポンプ106を駆動する。これにより、インクカートリッジ36から第1ダンパー32(第2ダンパー33)に向かってインクが送られる。
第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留室423にインクが流入するにしたがい、インク貯留室423内の負圧が解消される。同時に、ダンパー膜422の撓みが緩和されて、ダンパー膜422と間欠的に接合されている受圧板425も変位する。この変位は、受圧板425と連結された検知レバー427に高い精度で伝達される。検知レバー427が変位すると、この変位はセンサーにより検出され、センサーにおける検出信号がマイクロコンピューター34へ送られる。マイクロコンピューター34はセンサーの検出信号に基づいて、検知レバー427の変位量が所定値に到達すると、インク貯留量が所定の上限値(満タン)であると判断して、加圧ポンプ106を停止する。このように、検知レバー427の変位に基づいて加圧ポンプ106を駆動することで、インク貯留室423内には所定量のインクが維持される。これにより、インク貯留室423内が負圧になり過ぎることが防止され、インクカートリッジ36から第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)へインクが安定して供給される。従って、印刷時には、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)から安定的にインクを吐出することができる。
次に、循環バルブ204について説明する。循環バルブ204は、例えば、ソレノイドバルブにより構成されている。循環バルブ204を開放(OPEN)すると、第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留室423に貯留されたインクが、インク循環路202を通ってインク供給路102の第1供給路102aへ循環可能となる。一方、循環バルブ204を閉鎖(CLOSE)すると、第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留室423に貯留されたインクは、インク循環路202を通ってインク供給路102の第1供給路102aへは循環されない。
次に、第1吸引ポンプ384ならびに第2吸引ポンプ394について説明する。第1吸引ポンプ384と第2吸引ポンプ394とは、同一の構成を備えている。第1吸引ポンプ384(第2吸引ポンプ394)としては、従来より公知の種々の構成のものを用いることが可能であり、例えば、チューブポンプやトロコイドポンプなどを用いることができ、インクの吸引速度を可変することができる。
ここで、チューブポンプやトロコイドポンプは、ポンプ内のコロを移動したり歯車を回転させたりして吸引力を発生させている状態と、所定の位置でポンプ内のコロの移動を停止したり歯車の回転を停止して吸引力が解除されて外気に開放された状態と、所定の位置でポンプ内のコロの移動を停止したり歯車の回転を停止して吸引力が解除されて外気に対して閉鎖された状態とを選択的に制御可能なポンプである。
具体的には、第1吸引ポンプ384(第2吸引ポンプ394)としては、図6に示すように、例えば、特許第4857798号などに開示されたチューブポンプと同様な構成のチューブポンプを用いることができる。
この図6に示す第1吸引ポンプ384(第2吸引ポンプ394)は、その内部に中心部C2を中心として矢印B方向に回転する円形台座514aと、円形台座514aの円周部にそれぞれ配設されたコロ514b、514cとを有している。コロ514b、514cとは、中心部C2を対称点として点対称位置に配置されている。第1吸引ポンプ384(第2吸引ポンプ394)においては、円形台座514aの中心部C2を中心として矢印B方向に回転することにより、コロ5114b、514cが円形台座514aの円周上を矢印B方向に回転移動することになり、これにより内部のチューブ514dの押圧状態を変化させ、第1キャップ部材382(第1キャップ部材392)に負圧を供給して吸引力を発生させている状態と、所定の位置でコロ514b、514cの移動を停止して吸引力が解除されて外気に開放された状態と、所定の位置でコロ514b、514cの移動を停止して吸引力が解除されて外気に対して閉鎖された状態とを選択することができる。第1吸引ポンプ384(第2吸引ポンプ394)においては、中心部C2を中心として円形台座514aを回転することによるコロ514b、5114cの回転の回転速度を変化して、コロ514b、514cの移動速度を変化させることにより、インクの吸引速度を変化させることができる。
なお、第1吸引ポンプ384(第2吸引ポンプ394)は、本実施の形態においては、吸引速度が低速ではインクを1秒当たり0.05cc吸引し、吸引速度が中速ではインクを1秒当たり0.075cc吸引し、吸引速度が高速ではインクを1秒当たり0.1cc吸引するものとする。このインクを1秒当たり0.1cc吸引する吸引速度が、第1吸引ポンプ384(第2吸引ポンプ394)が適正に動作する吸引速度の最高速度となる。
図7(a)(b)(c)には、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)のインクジェットノズルが形成された第1インクジェットノズル面30a(第2インクジェットノズル面31a)と第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)との位置関係が模式的に示されている。
図7(a)は、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)の第1インクジェットノズル面30a(第2インクジェットノズル面31a)が第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)によりキャッピングされているキャッピング位置を示す。図7(b)は、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)の第1インクジェットノズル面30a(第2インクジェットノズル面31a)と第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)とが予め設定された距離だけ離隔した待機位置を示す。図7(c)は、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)の第1インクジェットノズル面30a(第2インクジェットノズル面31a)から第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)が若干の間隙G(例えば、0.5mmである。)をあけて離隔したキャップ内フラッシング位置(CAP内FL位置)を示す。
次に、図8には、インクジェットプリンタ10におけるマイクロコンピューター34の本発明の実施に関連する機能的構成をあらわすブロック構成説明図が示されている。
マイクロコンピューター34は、制御部602と、記憶部604と、加圧ポンプ制御部606と、循環バルブ制御部608と、吸引ポンプ制御部610とを有して構築される。
制御部602は、インクジェットプリンタ10により実行される印刷処理や後述するインク充填処理(図9、図10および図11を参照する。)などの各種の処理の実行を含む全体の処理の制御を行う。
記憶部604は、印刷処理やインク充填処理などの各種の処理において用いる各種の情報を記憶する。
加圧ポンプ制御部606は、本発明の実施に関連する処理として、インク充填処理中における加圧ポンプ106の自動制御の開始と停止との動作を制御する。即ち、加圧ポンプ106は、マイクロコンピューター34(制御部602)によって、第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留量検出装置がインク貯留室423に貯留されたインクの量が所定量以下となったことを検出すると、予め設定された量のインクを第1ダンパー32(第2ダンパー33)のインク貯留室423に加圧して送液するように自動的に制御されている。加圧ポンプ制御部606は、インク充填処理において、こうしたマイクロコンピューター34(制御部602)による加圧ポンプ106の自動制御を予め設定されたタイミングで停止させ、自動制御の停止中において予め設定されたタイミングで加圧ポンプ106のマイクロコンピューター34(制御部602)による自動制御を再開する。また、加圧ポンプ制御部606は、本発明の実施に関連する処理として、加圧ポンプ106を開放または閉鎖する動作の制御の処理も行う。
循環バルブ制御部608は、本発明の実施に関連する処理として、インク充填処理中における循環バルブ204の開放と閉鎖との動作を制御する。また、循環バルブ制御部608は、従来の技術と同様に、インク循環路202を用いてインクを循環する際における循環バルブ204の開放と閉鎖との動作を制御する処理も行う。
吸引ポンプ制御部610は、本発明の実施に関連する処理として、インク充填処理中における第1吸引ポンプ382および第2吸引ポンプ392によるインクの吸引動作を制御する。
以上の構成において、インクジェットプリンタ10においては、従来のより公知のインクジェットプリンタと同様に、マイクロコンピューター34の制御により、インクカートリッジ36からインク供給路102へインクを供給しながら、第1インクヘッド30のインクジェットノズルならびに第2インクヘッド31のインクヘッドジェットノズルから記録紙28に対してインクを吐出し、記憶紙28への印刷を行う。
ここで、インクジェットプリンタ10においては、第1ダンパー32および第2ダンパー31のインク貯留室423が空の状態、即ち、第1ダンパー32および第2ダンパー31のインク貯留室423にインクが充填されたいない状態のときに、以下に説明するインク充填処理を行う。
なお、第1ダンパー32および第2ダンパー31のインク貯留室423が空の状態、即ち、第1ダンパー32および第2ダンパー31のインク貯留室423にインクが充填されたいない状態は、例えば、工場出荷直後においてインクが充填されていない第1ダンパー32および第2ダンパー31を用いた初回の使用開始時や、第1ダンパー32および第2ダンパー31の新品への交換時や、クリーニング処理などにより第1ダンパー32および第2ダンパー31のインク貯留室423内のインクを全て排出したときなどに発生する。
図9(a)(b)(c)(d)(e)(g)には、工場出荷直後などにおけるインク供給路102、第1ダンパー32のインク貯留室423、第2ダンパー31のインク貯留室423、第1インクヘッド30、第2インクヘッド31およびインク循環路202にインクが存在しない状態において、第1ダンパー32のインク貯留室423および第2ダンパー33のインク貯留室423へインクを充填する際におけるインク充填量の経時変化を模式的に示す説明図があらわされている。図9(a)(b)(c)(d)は第1段階処理を示し、図9(e)(f)(g)(d)は第2段階処理を示している。なお、図9(a)(b)(c)(d)(e)(g)においては、図面の視認性を向上して本発明の理解を容易にするために、図2に示すインク経路において示した第1インクヘッド30、第2インクヘッド31、第1キャップ部材382、第2キャップ部材392および廃液タンク42の図示は省略した。
また、図10には、インクジェットプリンタ10が実行する第2段階処理におけるインク充填処理ルーチンのフローチャートが示されている。
以下、上記において説明した図1乃至図8とともに図9および図10を参照しながら、本発明によるインク充填処理について詳細に説明する。
第1インクヘッド30の第1インクジェットノズル面30aが第1キャップ部材382によりキャッピングされ、かつ、第2インクヘッド31の第2インクジェットノズル面31aが第2キャップ部材392でキャッピングされているキャッピング位置(図7(a)に示す位置)にあるとき、ユーザーによる操作パネル40の操作によりインク充填処理の実行が指示されると、図9ならびに図10に示すインク充填処理が実行される。
インク供給路102、第1ダンパー32のインク貯留室423、第2ダンパー31のインク貯留室423、第1インクヘッド30、第2インクヘッド31およびインク循環路202にインクが存在しない状態においては、まず、第1段階処理として、第1インクヘッド30の第1インクジェットノズル面30aを第1キャップ部材382でキャッピングして封止するとともに、第2インクヘッド31の第2インクジェットノズル面31aを第2キャップ部材392でキャッピングして封止した状態で、加圧ポンプ制御部606の制御により加圧ポンプ106を開放(OPEN)するとともに循環バルブ制御部608の制御により循環バルブ204を閉鎖(CLOSE)する(図9(a)を参照する。)。
次に、加圧ポンプ106を開放するとともに循環バルブ204を閉鎖した状態で、吸引ポンプ制御部610の制御により第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394を駆動してインクを吸引して、インク供給路102ならびに第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423へのインクの充填を行う(図9(b)を参照する。)。この処理により、第1ダンパー32のインク貯留室423および第2ダンパー33のインク貯留室423へのインクが充填されるが、その充填量は予め考慮されている量よりも著しく少ないものであって、インク貯留室423には大量の空気が残存する。
次に、加圧ポンプ制御部606の制御により加圧ポンプ106を閉鎖するとともに循環バルブ制御部608の制御により循環バルブ204を開放し、この状態で吸引ポンプ制御部610の制御により第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394を駆動してインクを吸引して、インク循環路202へインクを充填する(図9(c)を参照する。)。
次に、加圧ポンプ制御部606の制御により加圧ポンプ106を閉鎖するとともに循環バルブ制御部608の制御により循環バルブ204を閉鎖し、さらに吸引ポンプ制御部610の制御により第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394の駆動を停止してインクの吸引を停止し、第1段階処理を終了する(図9(d)を参照する。)。
第1段階処理を終了した時点では、第1ダンパー32のインク貯留室423および第2ダンパー33のインク貯留室423へインクは充填されることになるが、その充填量は予め考慮されている量よりも著しく少なく、インク貯留室423には大量の空気が残存することになる。
上記のようにして第1段階処理を終了すると、次に、第2段階処理を行う。第2段階処理においては、第1段階処理により第1ダンパー32のインク貯留室423内および第2ダンパー31のインク貯留室423内に貯留したインクを一旦全て排出した後に、第1ダンパー32のインク貯留室423内および第2ダンパー31のインク貯留室423内にあらためてインクを充填する処理を行う。
なお、以下に説明する第2段階処理においては、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)と第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)との位置関係を変化させる動作を行う。この位置関係を変化させる動作については、単に第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)と第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)との位置関係が相対的に変化すればよいものであり、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)と第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)とのいずれか一方あるいは双方を移動させればよい。こうした、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)と第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)との位置関係を変化する技術については従来より公知の技術であるので、その詳細な構成ならびに作用の説明は省略する。
なお、下記の説明においては、説明を簡略化して本発明の理解を容易にするために、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)を移動することにより、第1インクヘッド30(第2インクヘッド31)と第1キャップ部材382(第2キャップ部材392)との位置関係を相対的に変化するものとして説明する。
第2段階処理においては、まず、加圧ポンプ制御部606の制御により加圧ポンプ106を閉鎖するとともに循環バルブ制御部608の制御により循環バルブ204を閉鎖した状態で、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31を低速(例えば、1cm/sec)で移動し、第1キャップ部材382および第2キャップ部材392によるキャッピングを解除して第1キャップ部材382および第2キャップ部材392を開放し(ステップS1002)、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31が第1キャップ部材382および第2キャップ部材392と所定の距離離隔した待機位置(図7(b)に示す位置)となるように、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31を移動する(ステップS1004)。
ステップS1004の処理を終了すると、ステップS1006の処理へ進み、吸引ポンプ制御部610の制御により第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394を高速で0.914秒間正転(なお、「正転」とは、第1吸引ポンプ384ならびに第2吸引ポンプ394においてインクを吸引する回転方向である。)させて、第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394のコロ514b、514cの位置を吸引開始位置へ移動する。
ステップS1006の処理を終了すると、ステップS1008の処理へ進み、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31を低速でキャッピング位置へ移動して、第1キャップ部材382および第2キャップ部材392により第1インクジェット面30aおよび第2インクジェット面31aをキャッピングする。
ステップS1008の処理を終了すると、ステップS1010の処理へ進み、加圧ポンプ制御部606の制御により、制御部602による加圧ポンプ106の自動制御を停止させる。これにより加圧ポンプ106の作動は停止し、圧力制御弁104はインク供給路102を閉じてインク経路を閉鎖する。
ステップS1010の処理を終了すると、ステップS1012の処理へ進み、吸引ポンプ制御部610の制御により第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394を中速で90.0秒間正転させて、第1インクヘッド30のインクジェットノズルからインクを吸引するとともに、第2インクヘッド31のインクジェットノズルからインクを吸引する。ここで、第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394を中速で90.0秒間正転させてインクを吸引する吸引量は、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内に貯留されているインクを全て排出可能な吸引量であり、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内は負圧となる(図9(e)を参照する。)。
ところで、ステップS1012の処理においては、上記において説明したように、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内のインクおよび空気が、第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394により吸引されて下流の廃液タンク42側に排出される。その一方で、第1ダンパー32と第2ダンパー33とはインク供給路102ならびにインク循環路202を介して互いに連通しているため、第1ダンパー32のインク貯留室423内に存在する空気は、図9(e)において矢印で示すように、第2吸引ポンプ394の吸引力の影響を受けて、第4供給路102d内に逆流する。同様に、第2ダンパー33のインク貯留室423内に存在する空気は、図9(e)において矢印で示すように、第1吸引ポンプ384の吸引力の影響を受けて、第4循環路202d内に逆流する。
ステップS1012の処理を終了すると、循環バルブ制御部608の制御により循環バルブ204を開放し(ステップS1014)、加圧ポンプ制御部606の制御により、制御部602による加圧ポンプ106の自動制御を開始させ(ステップS1016)、吸引ポンプ制御部610の制御により第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394を中速で5.0秒間正転させる(ステップS1018)。なお、ステップS1014、ステップS1016およびステップS1018の処理は、同じタイミングで同時に開始される。
ステップS1014の処理により、第4循環路202d内に逆流して入り込んだ空気を、インクカートリッジ36の水頭値(インクカートリッジ36に貯留されたインクにより印加されるインク供給路102へのインクの供給圧力)を利用して第2ダンパー33のインク貯留室423内へ排出する。ステップS1016の処理により、加圧ポンプ106の自動制御が開始され、また、ステップS1018の処理により、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423はやや負圧になるので、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423にインクが充填されていき、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423から第1インクヘッド30および第2インクヘッド31のインクジェットノズルへインクが送液される。即ち、ステップS1014およびステップS1016の処理によって、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内の空気が排出された分だけ、インク貯留室423内に充填されるインクの量が増加する(図9(f)を参照する。)。
ステップS1018の処理を終了すると、循環バルブ制御部608の制御により循環バルブ204を閉鎖し(ステップS1020)、吸引ポンプ制御部610の制御により第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394を中速で25.0秒間正転させる(ステップS1022)。カートリッジ36の水頭値をかけると、インク循環路202内の圧力が適正圧よりも圧力が上がっていくため、ステップS1014で循環バルブ204の開放した後に予め設定された時間(本実施の形態では、5.0秒間である。(ステップS1018を参照する。))が経過したときに、ステップS1020の処理により循環バルブ204を閉鎖する。なお、上記した予め設定された時間とは、圧力が適正値になる時間である。また、ステップS1022の処理により、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423は定常圧となり、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内の空気が排出された分だけ、インク貯留室423内に充填されるインクの量がさらに増加する(図9(g)を参照する。)。
即ち、ステップS1012の処理により第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423を空にした後に、ステップS1014乃至ステップS1022の処理を行うことにより、インク供給路102ならびにインク循環路202に空気を残すことなく、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内の空気を十分に排出することができ、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内に充填されるインク量を著しく増加することができる。
つまり、ステップS1014乃至ステップS1022の処理を行うことにより、第1ダンパー32および第2ダンパー33における空の状態のインク貯留室423、即ち、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインクが貯留されていないインク貯留室423に対してインクを充填する際に、インク貯留室423に充填されるインクの量を増加することができ、インク貯留室423内に存在する空気の量を減少させることができる。
次に、ステップS1022の処理を終了すると、ステップS1024の処理へ進み、120.0秒間待機する。この待機時間は、第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394の吸引により生じた第1インクヘッド30内の負圧および第2インクヘッド31内の負圧が徐々に解消されて、それぞれ適正圧へと移行するのを待つ時間である。
ステップS1024の処理を終了すると、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31を低速で移動して、第1キャップ部材382および第2キャップ部材392によるキャッピングを解除して第1キャップ部材382および第2キャップ部材392を開放し(ステップS1026)、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31から第1キャップ部材382および第2キャップ部材392が若干の間隙G(例えば、0.5mm)をあけて離隔したキャップ内フラッシング位置(CAP内FL位置)(図7(c)に示す位置)へ第1インクヘッド30および第2インクヘッド31を移動する(ステップS1028)。
ステップS1026およびステップS1028の処理は、第1キャップ部材382および第2キャップ部材392にインクが溜まっている状態で行われるため、第1キャップ部材382および第2キャップ部材392から外部へインクがこぼれ出さないようにゆっくりした動作で行われる。
ステップS1028の処理を終了すると、ステップS1030の処理へ進み、吸引ポンプ制御部610の制御により第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394を駆動して、第1キャップ部材382および第2キャップ部材392に溜まっているインクを廃液タンク42へ吸引する空吸引を行う。
ステップS1030の処理を終了すると、ステップS1032の処理へ進み、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31を低速で移動して、第1キャップ部材382および第2キャップ部材392により第1インクジェットノズル面30aおよび第2インクジェットノズル面31aをキャッピングする。これにより、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31と第1キャップ部材382および第2キャップ部材392とはキャッピング位置になる。
ステップS1032の処理を終了すると、ステップS1034の処理へ進み、ワイパー装置39のワイパーブレードにより第1インクジェットノズル面30aおよび第2インクジェットノズル面31aをワイピングするとともに、吸引ポンプ制御部610の制御により第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394を駆動して、第1キャップ部材382および第2キャップ部材392に溜まっているインクを廃液タンク42へ吸引する空吸引を行う。なお、ステップS1034の処理においては、ワイピングの際に第1キャップ部材382および第2キャップ部材392のキャッピングを解除したり、ワイパーブレードを駆動したりなどの各種の処理を順次行うことになるが、こうした処理技術については公知の技術であるので、その詳細な構成および作用の説明は省略する。
ステップS1034の処理を終了すると、ステップS1036の処理へ進み、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31を低速で移動して、第1キャップ部材382および第2キャップ部材392により第1インクジェットノズル面30aおよび第2インクジェットノズル面31aをキャッピングする。これにより、第1インクヘッド30および第2インクヘッド31と第1キャップ部材382および第2キャップ部材392とはキャッピング位置になる。ステップS1036の処理を終了すると、このインク充填処理ルーチンを終了する。
以上において説明したように、インクジェットプリンタ10によれば、インク充填処理において、第1ダンパー32および第2ダンパー33における空の状態のインク貯留室423、即ち、インクが貯留されていないインク貯留室423に対してインクを充填する際に、インク供給路102ならびにインク循環路202に存在する空気を排出するとともに、インク貯留室423内に存在する空気を排出するようにして、排出した空気分だけインク貯留室423に充填されるインクの量を増加することができる。
即ち、インクジェットプリンタ10においては、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423に充填されるインク量が増加し、インク貯留室423内に存在する空気の量が減少する。
このため、インクジェットプリンタ10によれば、加圧ポンプ106を開放した場合などにおいて発生する、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内における圧力低下時に、インク貯留室423の上方部位に接続されたインク供給路102やインク循環路202内に、インク貯留室423内に存在する空気が逆流することはない。
また、インクジェットプリンタ10によれば、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内のインクを循環しようとする際に、インク貯留室423内に存在する空気による泡の発生を抑止することができる。
インクジェットプリンタ10において、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内の負圧を解除するときに、第1ダンパー32および第2ダンパー33のインク貯留室423内の負圧を、第4供給路内の空気をインクの供給で排出する際に解除する負圧と第4循環路202dへインクが流入する際に解除する負圧とで分け合うようにして解除すると、インク充填処理により消費するインク消費量(廃液タンク42に廃棄されるインクの量)およびインク充填処理に要する時間を最小限に抑制することがきる。
なお、上記した実施の形態は例示に過ぎないものであり、本発明は他の種々の形態で実施することができる。即ち、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
例えば、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(5)に示すような実施の形態としてもよい。
(1)上記した実施の形態においては、説明を簡素化して本発明の理解を容易にするために、インクジェットプリンタ10が、インクカートリッジとインクヘッドとを連通するインク経路として、インクヘッド36からインクを供給される一組の第1インクヘッド30および第2インクヘッド31による単一のインク経路を備えた場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。インクジェットプリンタ10においては、インクヘッド36からインクを供給される一組の第1インクヘッド30および第2インクヘッド31と同様な構成をインク経路を複数設けるようにしてもよい。また、複数のインク経路を設ける場合には、各インク経路のインクカートリッジはそれぞれ異なる色のインクを貯留するようにしてもよい。
(2)上記した実施の形態においては、インク供給経路102ならびにインク循環路202について、樹脂製のチューブを用いて構成する場合を例示したが、これに限られるものではないことは勿論である。インク供給経路102ならびにインク循環路202は、可撓性を備えた構造物であるならば、樹脂製のチューブ以外の材料により構成されていてもよい。
(3)上記した実施の形態においては、図10のステップS1014乃至ステップS1022については、図11のフローチャートに示す(ア)(イ)(ウ)に示す処理ステップを並行計算処理するようにしてもよい。なお、(ア)のステップS1102は、図10のステップS1016に対応する。(B)のステップS1104は、図10のステップS1014に対応する。(B)のステップS1106は、図10のステップSにおける5.00秒に対応する。(B)のステップS1108は、図10のステップS1020に対応する。(C)のステップS1110は、図10のステップS1018およびステップS1022に対応する。
なお、図11の(ア)(イ)(ウ)において、パラメータA、パラメータB、パラメータCおよびパラメータDが示す数値は、以下に示す条件(a)(b)(c)を全て満たすルーチンものとする。
(a)A≧B
(b)A≦C
(c)B+D≦C
即ち、加圧ポンプ106の自動制御によるインクの送液開始と同時または送液開始前に、循環バルブ204を開放する(A≧B)。第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394によるインクの吸引中に、循環バルブ204を開放する(A≦C)。第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394によるインクの吸引時間は、第1吸引ポンプ384および第2吸引ポンプ394によるインクの吸引が開始されてから循環バルブ204が開放されるまでの時間と循環バルブ204が開放されてから閉鎖されるまでの時間とを加算した加算結果以上の時間である。
なお、図10のフローチャートにおけるステップS1014乃至ステップS1022の処理内容は、パラメータA、パラメータB、パラメータCおよびパラメータDの数値が以下に示す場合の処理内容である。
A=0
B=0
C=30(ステップS1018の5.0秒+ステップS1022の25.0秒)
D=5(ステップS1018の5.0秒に対応する。)
(4)上記した実施の形態においては、インク充填処理として、第1段階処理と第2段階処理との両方の処理を行う場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。例えば、クリーニング処理として、第1ダンパー32のインク貯留室423内および第2ダンパー33のインク貯留室423内に貯留されているインクを一旦全て排出するクリーニング処理たるチョーククリーニング処理を行った後に、第1ダンパー32のインク貯留室423内および第2ダンパー33のインク貯留室423内にインクを充填する場合には、第2段階処理のみを行えばよい。
(5)上記した実施の形態においては、本発明の理解を容易にするために具体的な数値(例えば、加圧ポンプ106の回転速度や回転角、第1吸引ポンプ384(第2吸引ポンプ394)の吸引速度や吸引時間などである。)を示している。しかしながら、本明細書におけるこうした具体的な数値は、本発明の理解を容易にするための単なる例示に過ぎないものであり、本発明はこの数値に限定されるものではなく、設計条件などに応じて適宜に変更してよいものであることは勿論である。
(6)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(5)に示す実施の形態は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、インクヘッドのインクジェットノズルからインクジェット方式によりインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに用いて好適である。
10 インクジェットプリンタ、12 基台部材、14 ベース部材、16L 側方部材、16R 側方部材、18 側方ユニット、20 中央壁、22 ガイドレール、24 ワイヤー、26 キャリッジ、28 記録紙、30 第1インクヘッド(第1のインクヘッド)、30a 第1インクジェットノズル面、31 第2インクヘッド(第2のインクヘッド)、31a 第2インクジェットノズル面、32 第1ダンパー(第1のダンパー)、33 第2ダンパー(第2のダンパー)、34 マイクロコンピューター、36 インクカートリッジ、38 第1キャップ装置、39 第2キャップ装置、40 ワイパー装置、41 操作パネル、41a 表示装置、42 廃液タンク、102 インク供給路、102a 第1供給路、102b 第2供給路、102c 第3供給路、102d 第4供給路、102e 第5供給路、103 第1の分岐点、104 圧力制御弁、106 加圧ポンプ(送液ポンプ)、106a 円形台座、106a コロ、106b コロ、106d チューブ、202 インク循環路、202a 第1循環路、202b 第2循環路、202c 第3循環路、202d 第4循環路、203 第2の分岐点、204 循環バルブ、382 第1キャップ部材、384 第1吸引ポンプ(第1の吸引ポンプ)、392 第2キャップ部材、394 第2吸引ポンプ(第2の吸引ポンプ)、402 第1廃液チューブ、402a 端部、402b 端部、403 第2廃液チューブ、403a 端部、403b 端部、420 インク流入口、421 ケース本体、421a 壁面、422 ダンパー膜、423 インク貯留室、424 テーパーバネ、425 受圧板、425a 凹部、425c 中央、426 間欠接合部、426a 接合部、426b 非接合部、427 検知レバー、427a 凸部、427b 固定部、427c バネ部材、429a 吐出用インク流出口、429b 循環用インク流出口、514a 円形台座、514b コロ、514c コロ、514d チューブ、602、604 記憶部、606 加圧ポンプ制御部(加圧ポンプ制御手段)、608 循環バルブ制御部(循環バルブ制御手段)、610 吸引ポンプ制御部(吸引ポンプ制御手段)

Claims (8)

  1. インクを貯留したインクカートリッジと、
    前記インクカートリッジに貯留されたインクが供給される第1のダンパーと、
    前記インクカートリッジに貯留されたインクが供給される第2のダンパーと、
    前記第1のダンパーと連通した第1のインクヘッドと、
    前記第2のダンパーと連通した第2のインクヘッドと、
    前記インクカートリッジに貯留されたインクを第1の分岐点で分岐して前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとにそれぞれ供給するインク供給路と、
    前記インク供給路における前記インクカートリッジと前記第1の分岐点との間に配設され、前記インク供給路内のインクを加圧して前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとへ向けて送液する加圧ポンプと、
    前記インク供給路における前記インクカートリッジと前記加圧ポンプとの間に一方の端部が接続され、他方の端部側が第2の分岐点で分岐して前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとに接続されたインク循環路と、
    前記インク循環路における前記一方の端部と前記第2の分岐点との間に配設された循環バルブと、
    前記第1のインクヘッドからインクを吸引する第1の吸引ポンプと、
    前記第2のインクヘッドからインクを吸引する第2の吸引ポンプと
    を有するインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法において、
    前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとにインクが充填されていない状態で、前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとにインクを充填するときに、
    前記循環バルブを開放して、前記インクカートリッジの水頭値により前記インク循環路内の空気を排出し、
    前記循環バルブの開放と同時または開放後に前記加圧ポンプによりインクの送液を開始し、
    前記循環バルブの開放前または開放と同時に前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによりインクを吸引する
    ことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法。
  2. 請求項1に記載のインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法において、
    前記循環バルブを開放した後に、予め設定された時間経過したときに、前記循環バルブを閉鎖する
    ことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法において、
    前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによるインクの吸引時間は、前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによるインクの吸引が開始されてから前記循環バルブが開放されるまでの時間と前記循環バルブが開放されてから閉鎖されるまでの時間とを加算した加算結果以上の時間である
    ことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法。
  4. 請求項1に記載のインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法において、
    前記循環バルブの開放と、前記加圧ポンプによるインクの送液と、前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによるインクの吸引とを同時に開始し、
    予め設定された時間経過したときに前記循環バルブを閉鎖し、
    前記循環バルブを閉鎖した後に予め設定された時間経過したときに前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによるインクの吸引を停止する
    ことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法。
  5. インクを貯留したインクカートリッジと、
    前記インクカートリッジに貯留されたインクが供給される第1のダンパーと、
    前記インクカートリッジに貯留されたインクが供給される第2のダンパーと、
    前記第1のダンパーと連通した第1のインクヘッドと、
    前記第2のダンパーと連通した第2のインクヘッドと、
    前記インクカートリッジに貯留されたインクを第1の分岐点で分岐して前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとにそれぞれ供給するインク供給路と、
    前記インク供給路における前記インクカートリッジと前記第1の分岐点との間に配設され、前記インク供給路内のインクを加圧して前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとへ向けて送液する加圧ポンプと、
    前記インク供給路における前記インクカートリッジと前記加圧ポンプとの間に一方の端部が接続され、他方の端部側が第2の分岐点で分岐して前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとに接続されたインク循環路と、
    前記インク循環路における前記一方の端部と前記第2の分岐点との間に配設された循環バルブと、
    前記第1のインクヘッドからインクを吸引する第1の吸引ポンプと、
    前記第2のインクヘッドからインクを吸引する第2の吸引ポンプと、
    前記循環バルブの開放と閉鎖とを制御する循環バルブ制御手段と、
    前記加圧ポンプの加圧により送液の開始を制御する加圧ポンプ制御手段と、
    前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプの吸引の開始と停止とを制御する吸引ポンプ制御手段と
    を有し、
    前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとにインクが充填されていない状態で、前記第1のダンパーと前記第2のダンパーとにインクを充填するときに、
    前記循環バルブ制御手段は、前記循環バルブを開放して、前記インクカートリッジの水頭値により前記インク循環路内の空気を排出し、
    前記加圧ポンプ制御手段は、前記循環バルブの開放と同時または開放後に前記加圧ポンプによりインクの送液を開始し、
    前記吸引ポンプ制御手段は、前記循環バルブの開放前または開放と同時に前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによるインクの吸引を開始する
    ことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システム。
  6. 請求項5に記載のインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムにおいて、
    前記循環バルブ制御手段は、前記循環バルブを開放した後に、予め設定された時間経過したときに、前記循環バルブを閉鎖する
    ことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システム。
  7. 請求項5または6のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システムにおいて、
    前記吸引ポンプ制御手段により制御される前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによるインクの吸引時間は、前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによるインクの吸引が開始されてから前記循環バルブが開放されるまでの時間と前記循環バルブが開放されてから閉鎖されるまでの時間とを加算した加算結果以上の時間である
    ことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システム。
  8. 請求項5に記載のインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填方法において、
    前記循環バルブ制御手段の制御による前記循環バルブの開放と、前記加圧ポンプ制御手段による前記加圧ポンプによるインクの送液と、前記吸引ポンプ制御手段の制御による前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによるインクの吸引とを同時に開始し、
    前記循環バルブ制御手段は、予め設定された時間経過したときに前記循環バルブを閉鎖し、
    前記吸引ポンプ制御手段は、前記循環バルブを閉鎖した後に予め設定された時間経過したときに前記第1の吸引ポンプおよび前記第2の吸引ポンプによるインクの吸引を停止する
    ことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるダンパーへのインク充填システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020128071A (ja) * 2019-02-12 2020-08-27 ローランドディー.ジー.株式会社 インク供給システム、インクジェットプリンタおよびポンプの状態検出用のコンピュータプログラム
WO2022081158A1 (en) * 2020-10-15 2022-04-21 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Recirculation of fluid within a fluidic ejection device

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