しかしながら、上述したように、供給ポンプおよび供給バルブの駆動は、制御装置によって制御される。制御装置は、供給ポンプと供給バルブとを連動させて制御する必要があり、その制御が複雑であった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な制御でヘッドに液体を安定して供給することが可能な画像記録装置を提供することである。
本発明の画像記録装置は、液体を貯留する液体タンクと、一端が前記液体タンクに接続された液体供給路と、前記液体供給路に設けられたダンパ装置と、前記液体供給路に設けられ、前記液体タンクから前記ダンパ装置に向けて液体を供給する供給ポンプと、前記液体供給路の他端に設けられ、液体を吐出するヘッドと、一端が前記ダンパ装置に接続され、他端が前記液体供給路のうち前記液体タンクと前記供給ポンプとの間に接続された液体回収路と、を備えている。前記ダンパ装置は、前記液体回収路の一端が接続された排出口が形成され、液体が一時的に貯留される液体貯留室と、前記液体貯留室の圧力が所定圧力より大きいときに前記排出口を開放し、前記液体貯留室の圧力が前記所定圧力以下のときに前記排出口を閉鎖するように設けられた弁部材と、を備えている。
前記画像記録装置によれば、供給ポンプによって、液体タンクから液体供給路を通じてダンパ装置の液体貯留室へ液体が供給される。液体貯留室では、弁部材によって、貯留される液体の圧力が調節される。例えば、液体貯留室の圧力が所定圧力よりも大きい場合、弁部材によって排出口が開放され、液体貯留室の液体が排出口から液体回収路を通じて液体供給路に戻される。このことによって、液体貯留室の圧力を小さくすることができる。本発明では、液体貯留室内の圧力に応じて自動的に開閉される弁部材によって液体の圧力を調節しているため、制御装置によって制御される供給バルブ(特許文献1参照)を省略することができる。よって、供給バルブの駆動を制御しないため、供給バルブと供給ポンプとを連動させて制御する必要がない。したがって、複雑な制御をすることなく、ヘッドに液体を安定して供給することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記ダンパ装置は、前記液体貯留室の壁面の一部を構成するように配置され、前記液体貯留室の外側に撓むダンパ膜と、前記ダンパ膜を前記液体貯留室の外側に撓ませるように前記ダンパ膜に設けられた弾性部材と、を備えている。前記弁部材は、前記ダンパ膜に設けられている。
上記態様によれば、ダンパ膜が撓むことに連動して、弁部材が排出口を開閉することができる。よって、ダンパ装置を電気的に制御することなく、ヘッドに液体を安定して供給することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記弾性部材は、前記ダンパ膜における前記液体貯留室の外側に設けられている。前記弁部材は、前記ダンパ膜における前記液体貯留室の内側に設けられている。
上記態様によれば、弾性部材がダンパ膜を液体貯留室の外側に向かって撓ませることができる。それに伴って、弁部材は排出口を開放することができる。液体貯留室の圧力が小さい場合、ダンパ膜における液体貯留室の外側への撓みが緩和されるため、弁部材によって排出口が閉鎖される。よって、ダンパ膜が撓む動作に伴って、排出口を開閉することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記弾性部材および前記弁部材は、前記ダンパ膜における前記液体貯留室の内側に設けられている。
上記態様によれば、弾性部材がダンパ膜を押圧することでダンパ膜を液体貯留室の外側に向かって撓ませることができる。それに伴って、弁部材は排出口を開放することができる。液体貯留室の圧力が小さい場合、ダンパ膜における液体貯留室の外側への撓みが緩和されるため、弁部材によって排出口が閉鎖される。よって、ダンパ膜が撓む動作に伴って、排出口を開閉することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記弁部材はロッドである。
上記態様によれば、弁部材がロッドよりも幅が大きい部材である場合と比べて、液体貯留室において液体が流動し易くなる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記排出口の周縁には、弾性体によって形成され、前記弁部材と接触可能な弁座が設けられている。
上記態様によれば、弁部材によって排出口が閉鎖されているとき、弁部材は弁座に密着しているため、排出口から液体が漏れることを好適に防ぐことができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記供給ポンプは、チューブポンプである。
上記態様によれば、チューブポンプによって、液体タンクに貯留された液体をダンパ装置へ好適に供給することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記液体タンクは、前記ヘッドよりも低い位置に配置されている。
上記態様によれば、液体貯留室の圧力を維持し易い。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記供給ポンプの駆動を制御する制御装置を備えている。前記ヘッドが液体を吐出している間、前記制御装置は、前記供給ポンプが常時駆動するように制御する。
上記態様によれば、ヘッドが液体を吐出しているとき、制御装置が供給ポンプを常時駆動させるように制御している。よって、液体の圧力に応じて供給ポンプを駆動させたり停止させたりするという複雑な制御を制御装置が行うことなく、液体の圧力変動を抑えることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記制御装置は、前記供給ポンプが一定回転数で駆動するように制御する。
上記態様によれば、制御装置は、供給ポンプの回転数を変えることなく、一定の回転数で供給ポンプの駆動を制御すればよいため、制御装置による複雑な制御を行う必要がない。よって、複雑な制御を行うことなく、液体の圧力変動を抑えることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記液体タンクを支持する装置本体と、前記装置本体に固定されたガイドレールと、前記ヘッドを支持しつつ前記ガイドレールに沿って移動するキャリッジと、を備えている。前記液体供給路の少なくとも一部は、前記キャリッジの移動と共に変形する可撓性を有するチューブである。前記画像記録装置は、前記キャリッジの移動と共に変形し、前記液体供給路の前記チューブの周面の少なくとも一部を覆うケーブル類保護案内装置をさらに備えている。
上記態様によれば、ヘッドがキャリッジと共にガイドレールに沿って移動して、液体供給路が変形した場合であっても、液体供給路の一部が可撓性を有するチューブであるので、液体供給路が破損しにくくすることができる。また、液体供給路のチューブの周面の少なくとも一部はケーブル類保護案内装置によって覆われているため、液体供給路は外部から衝撃を受けにくく破損しにくい。
本発明によれば、簡単な制御でヘッドに液体を安定して供給することが可能な画像記録装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る画像記録装置の実施形態について説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
図1は、実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)10の正面図である。なお、図1などにおいて、符号LおよびRは、それぞれ左および右を示している。また、図1において、手前側および奥側は、それぞれ前側および後側である。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。図1に示すように、本実施形態では、画像記録装置の一例であるプリンタ10は、記録媒体である記録紙5に印刷を行うものである。なお、本実施形態における記録媒体には、普通紙などの紙類はもちろんのこと、PVCおよびポリエステルなどの樹脂材料、アルミニウム、鉄、木材などの各種の材料からなる記録媒体が含まれる。
プリンタ10は、装置本体の一例であるプリンタ本体2と、プリンタ本体2に固定されたガイドレール3とを備えている。ガイドレール3は、左右方向に延びている。ガイドレール3には、キャリッジ1が係合している。ガイドレール3の左端側および右端側には、それぞれローラ(図示せず)が設けられている。これらローラのうち一方のローラには、キャリッジモータ(図示せず)が連結されており、この一方のローラは上記キャリッジモータによって回転駆動される。両ローラには、無端状のベルト6が巻き掛けられている。キャリッジ1はベルト6に固定されている。ローラが回転してベルト6が走行すると、キャリッジ1は左右方向に移動する。キャリッジ1は、ガイドレール3に沿って左右方向に移動可能である。
プリンタ本体2には、記録紙5を支持するプラテン4が設けられている。図示は省略するが、プラテン4には、上下一対のグリッドローラおよびピンチローラが設けられている。グリッドローラはフィードモータ(図示せず)に連結されており、グリッドローラはフィードモータによって回転駆動される。記録紙5がグリッドローラとピンチローラとの間に挟まれた状態でグリッドローラが回転すると、記録紙5は前後方向に搬送される。
プリンタ1は、複数のインクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wを備えている。インクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wは液体の一例であるインクを貯留するものである。複数のインクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wは、プリンタ本体2に着脱自在に装着されている。インクカートリッジ11Cには、シアンインクが貯留されている。インクカートリッジ11Mには、マゼンタインクが貯留されている。インクカートリッジ11Yには、イエローインクが貯留されている。インクカートリッジ11Kには、ブラックインクが貯留されている。インクカートリッジ11Wには、ホワイトインクが貯留されている。なお、本実施形態では、インクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wは、本発明の「液体タンク」に対応する。
図2は、プリンタ1の斜視図である。図3は、インクカートリッジ11Cからインクヘッド15へインクを供給する構造を示す概略図である。なお、図2において、符号F、Rrは、それぞれ前、後を示している。図2に示すように、プリンタ1は、インクヘッド15と、インク供給路16と、供給ポンプ17と、制御装置18と、ダンパ装置19と、インク回収路20とを備えている。なお、本実施形態では、各色のインクごとにインクヘッド15、インク供給路16、供給ポンプ17、ダンパ装置19およびインク回収路20が設けられている。以下では、シアンインクを貯留するインクカートリッジ11Cに設けられたインクヘッド15、インク供給路16、供給ポンプ17、ダンパ装置19およびインク回収路20について説明する。ただし、インクカートリッジ11M、11Y、11K、11Wに設けられたインクヘッド15、インク供給路16、供給ポンプ17、ダンパ装置19およびインク回収路20の構成も同様である。また、図2および図3では、インクカートリッジ11Cに設けられたインクヘッド15、インク供給路16、供給ポンプ17、ダンパ装置19およびインク回収路20が図示されており、インクカートリッジ11M、11Y、11K、11Wに設けられたインクヘッド15、インク供給路16、供給ポンプ17、ダンパ装置19およびインク回収路20は省略されている。
インクヘッド15は、インクを吐出するものである。インクヘッド15は、キャリッジ1に搭載されている。インクヘッド15の下面には、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)が形成されている。また、インクヘッド15の内部には、圧電素子などからなるアクチュエータ(図示せず)が設けられている。このアクチュエータが駆動することにより、上記ノズルからインクが吐出される。図2に示すように、インクヘッド15は、インクカートリッジ11Cよりも高い位置に設けられている。ただし、インクヘッド15は、インクカートリッジ11Cと同じ高さの位置に設けられていてもよい。インクヘッド15は、インクカートリッジ11Cよりも低い位置に設けられていてもよい。なお、本実施形態では、インクヘッド15は、「ヘッド」に対応する。
図3に示すように、インク供給路16は、インクカートリッジ11Cと、インクヘッド15とに接続されている。インク供給路16の一端は、インクカートリッジ11Cに接続され、他端はインクヘッド15に接続されている。インク供給路16は、可撓性を有しており、変形容易なチューブである。ここでは、インク供給路16は、チューブ16a、16b、16c(図4参照)、16dによって構成されている。ただし、インク供給路16の構成は特に限定されず、チューブ以外の材料で構成されていてもよい。インク供給路16の一部がチューブによって構成されていてもよい。インク供給路16は、インクカートリッジ11Cからインクヘッド15にインクを導く流路を形成している。インクカートリッジ11Cに貯留されたインクは、インク供給路16を通じてインクヘッド15に供給される。インクヘッド15に供給されたインクは、インクヘッド15の上記ノズルから記録紙5に向かって吐出される。なお、本実施形態では、インク供給路16は、「液体供給路」に対応する。
供給ポンプ17は、インク供給路16に設けられている。供給ポンプ17は、インクカートリッジ11Cからダンパ装置19に向かってインクを供給するものである。図4は、供給ポンプ17の構成を示す断面図である。本実施形態では、図4に示すように、供給ポンプ17は、チューブポンプである。しかし、供給ポンプ17の種類は特に限定されない。例えば、供給ポンプ17は、フレーム36と、フレーム36内に略U字状に配置されたチューブ16cと、フレーム36内に回転自在に配置されたホイール32とを備えている。チューブ16cの一端は、インク供給路16のチューブ16aを介してインクカートリッジ11Cに接続され、他端は、チューブ16bを介してダンパ装置19に接続されている。ホイール32の中央には駆動軸33が設けられている。駆動軸33は、モータ34に連結されている。ホイール32には、円柱状のローラ35が2つ設けられている。ここでは、2つのローラ35は、駆動軸33を挟んで対向している。
制御装置18は、供給ポンプ17の駆動を制御することで、インクカートリッジ11Cからインクヘッド15へのインクの供給を制御する。ここでは、制御装置18は、供給ポンプ17のモータ34に接続されており、モータ34は、制御装置18によって制御される。制御装置18によって、モータ34が駆動されると、モータ34が駆動軸33を回転させる。駆動軸33が回転すると、ホイール32が回転する。このホイール32の回転に従って、ローラ35が駆動軸33の周りを旋回する。このとき、ローラ35は、チューブ16cを部分的に押しつぶしながら、その位置を変化させる。これにより、チューブ16c内のインクは、ローラ35が移動する方向(ここでは、方向A)に送り出される。なお、制御装置18は、インクヘッド15がインクを吐出している間、すなわち、インクヘッド15がガイドレール3に沿って移動しながら、記録紙5に向かってインクを吐出している間、供給ポンプ17が常時駆動するように制御している。このとき、制御装置18は、供給ポンプ17が一定回転数で駆動するように制御しているとよい。
ダンパ装置19は、インクヘッド15と共に、キャリッジ1に搭載されている。また、ダンパ装置19は、インク供給路16に設けられている。ここでは、ダンパ装置19は、インク供給路16のチューブ16bとチューブ16dとの間に設けられている。ダンパ装置19は、インクヘッド15にインクを供給すると共に、インクヘッド15内のインクの圧力変動を緩和させることによって、インクの吐出動作を安定化させる役割を担っている。図5および図6は、ダンパ装置19の構成を示す断面図である。図5に示すように、ダンパ装置19は、ダンパ本体21と、ダンパ膜22とを備えている。ダンパ本体21は、上部が開口し、内部に空間を有している。ダンパ本体21は樹脂からなっている。ダンパ膜22は、ダンパ本体21の開口を覆うように、ダンパ本体21の上部に取り付けられている。ダンパ本体21とダンパ膜22とによって、液体貯留室の一例であるインク貯留室23が形成されている。ダンパ本体21の左壁には、インクがインク貯留室23に流入するインク流入口24が形成されている。ダンパ本体21の右壁には、インクがインク貯留室23から流出するインク流出口25が形成されている。インク流入口24およびインク流出口25は、インク貯留室23に繋がっている。インク流入口24には、インク供給路16のチューブ16bが接続されている。インク流出口25には、インク供給路16のチューブ16dが接続され、このチューブ16dを介してインクヘッド15が接続されている。ただし、インク流出口25には、インクヘッド15が直接接続されていてもよい。
ダンパ本体21の下壁には、インク回収口26が形成されている。ただし、インク回収口26の位置は特に限定されず、例えば、ダンパ本体21の側壁に形成されていてもよい。インク回収口26は、インク貯留室23のインクをインク回収路20に排出するものである。インク回収口26は、インク貯留室23に繋がっている。インク回収口26は、インク回収路20に接続されている。なお、インク回収口26は、本発明の「排出口」の一例である。ここでは、ダンパ本体21内であって、インク回収口26の周縁には、弁座27が設けられている。
弁座27は、後述するロッド29と接触可能な部材である。弁座27は、弾性体を有する部材によって形成されており、例えば、ゴム製である。
ダンパ膜22は、インク貯留室23の一部を構成するように配置されている。ここでは、ダンパ膜22は、インク貯留室23の上壁の一部を構成している。ダンパ膜22は、可撓性を有する樹脂製のフィルムによって構成されている。ダンパ膜22は、インク貯留室23の外側(図6参照)に撓むことができる程度の張力で、ダンパ本体21の上部に取り付けられている。ダンパ膜22の外側には、上方に凹んだカバー体28が設けられている。カバー体28は、ダンパ本体21の上部に取り付けられている。
ダンパ本体21内であって、ダンパ膜22とダンパ本体21の下壁との間には、ロッド29が設けられている。ロッド29は、インク貯留室23内に設けられている。ロッド29は、ダンパ膜22のインク貯留室23側、すなわち、ダンパ膜22の下側に設けられている。ロッド29は、ダンパ膜22からインク回収口26に向かって下方に延びている。ロッド29は、インク貯留室23の圧力に応じてインク回収口26を開閉するように設けられている。詳しくは、ロッド29は、インク貯留室23の圧力が大きいときにインク回収口26を開放し、インク貯留室23の圧力が小さいときにインク回収口26を閉鎖する。このようにして、ロッド29は、インク貯留室23の圧力が一定になるようにインク貯留室23の圧力を調節する。なお、図5は、インク回収口26が閉鎖されている状態を示す図であり、図6は、インク回収口26が開放されている状態を示す図である。
以下の説明において、インク貯留室23の圧力のうちインクヘッド15にインクを供給する際の基準となる圧力のことを基準圧力という。なお、基準電圧は、本発明の「所定圧力」の一例である。ここでは、図5に示すように、インク貯留室23の圧力が基準圧力以下の場合、ダンパ膜22がインク貯留室23の外側に撓む。このとき、ロッド29は下方に移動する。そして、ロッド29の先端がインク回収口26の周縁に形成された弁座27に接触することで、インク回収口26は閉鎖される。このとき、インク流入口24からインク貯留室23に流入したインクは、インク回収口26から排出されない。インク貯留室23に流入したインクは、インク流出口25を通じて、インクヘッド15に排出される。一方、図6に示すように、インク貯留室23の圧力が基準圧力よりも大きい場合、ダンパ膜22がインク貯留室23の外側にさらに撓む。このとき、ロッド29は上方に移動する。ロッド29の先端が弁座27から離れているため、インク回収口26は開放されている。このとき、インク流入口24からインク貯留室23に流入したインクは、インク回収口26から排出される。このことによって、インク貯留室23の圧力が小さくなり、基準圧力以下となる。インク貯留室23の圧力が基準圧力以下になった場合、ダンパ膜22におけるインク貯留室23の外側への撓みが緩和されることで、ロッド29によってインク回収口26が閉鎖される。なお、ロッド29は、本発明の「弁部材」の一例である。
ここでは、図5に示すように、カバー体28内であって、ダンパ膜22とカバー体28の上壁28aとの間にはコイルバネ31が設けられている。コイルバネ31の一端がダンパ膜22に取り付けられ、他端がカバー体28の上壁28aに取り付けられている。コイルバネ31は、カバー体28の上壁28aに支持されている。コイルバネ31は、ダンパ膜22をインク貯留室23の外側に撓ませる弾性部材の一例である。ここでは、コイルバネ31は、ダンパ膜22におけるインク貯留室23の外側に設けられている。コイルバネ31は、引っ張られた状態で維持されている。そのため、ダンパ膜22は、常にインク貯留室23の外側に向けて押圧する状態となっている。コイルバネ31が伸縮してダンパ膜22が撓むことにより、インク回収口26がロッド29によって開放されたり閉鎖されたりする。このことによって、インク貯留室23の圧力を調節している。
図3に示すように、インク回収路20は、ダンパ装置19のインク貯留室23の圧力が大きい場合(言い換えると、基準圧力よりも大きい場合)、インク貯留室23のインクをインク供給路16へ戻すものである。インク回収路20の一端は、ダンパ装置19のインク回収口26に接続されている。インク回収路20の他端は、インク供給路16に接続されている。詳しくは、インク回収路20の他端は、インク供給路16においてインクカートリッジ11Cと供給ポンプ17との間に接続されている。インク回収路20には、ダンパ装置19のインク回収口26がロッド29によって開放されたとき、インク貯留室23のインクが排出される。インク回収路20は、インク供給路16と同様に、可撓性を有しており、変形容易なチューブである。ただし、インク回収路20の構成は特に限定されず、チューブ以外の材料で構成されていてもよい。インク回収路20の一部がチューブによって構成されていてもよい。なお、本実施形態では、インク回収路20は、本発明の「液体回収路」に対応する。
図1に示すように、本実施形態では、上述したように、インクヘッド15およびダンパ装置19は、キャリッジ1に搭載され、左右方向に往復移動する。一方、インクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wは、キャリッジ1に搭載されておらず、左右方向に往復移動しない。そのため、インクヘッド15およびダンパ装置19が左右方向に移動する際、インク供給路16が破損するおそれがある。そこで、本実施形態では、インク供給路16の大部分(少なくとも全長の半分以上)は、左右方向に延びた状態で配置されている。本実施形態では、5種類のインクを利用しているため、5本のインク供給路16が設けられている。それらインク供給路16は、ケーブル類保護案内装置7によって覆われている。このケーブル類保護案内装置7とは、例えば、ケーブルベア(登録商標)である。ここでは、ケーブル類保護案内装置7は、下方から上方に向かって右方に折り返された屈曲部を有している。この屈曲部の位置は、キャリッジ1の移動に伴って変化する。インク供給路16も、インクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11W側からダンパ装置19側に至るまでの間に、屈曲部で屈曲している。インク供給路16の屈曲部は、ケーブル類保護案内装置7の屈曲部の内側に位置している。インク供給路16の屈曲部も、キャリッジ1の移動に伴って移動する。
なお、本実施形態では、ケーブル類保護案内装置7は、インク供給路16の周面の全体を覆っている。しかし、ケーブル類保護案内装置7は、インク供給路16の周面の一部を覆っていてもよい。例えば、ケーブル類保護案内装置7は、インク供給路16の長手方向に関して、インク供給路16の周面を断続的に覆っていてもよい。ケーブル類保護案内装置7は、複数の構成部材が蛇腹状に連結されて構成されている。それら構成部材は、長手方向に互いに隙間を空けずに連続的に配置されていてもよく、互いの間に隙間が形成されるように間欠的に配置されていてもよい。また、ケーブル類保護案内装置7は、インク供給路16の円周方向に関して、インク供給路16の周面の一部を覆っていてもよい。例えば、ケーブル類保護案内装置7は、インク供給路16の周面の上側部分、下側部分、前側部分、もしくは後側部分のみを覆っていてもよい。例えば、ケーブル類保護案内装置7にクランプを取り付け、このクランプを介してインク供給路16をケーブル類保護案内装置7に取り付けるようにしてもよい。このような場合であっても、インク供給路16は、ケーブル類保護案内装置7と共に円滑に変形することができる。
なお、インク回収路20がケーブル類保護案内装置7に覆われていてもよい。この場合、ケーブル類保護案内装置7は、インク回収路20の周面の全体を覆っていてもよいし、その周面の少なくとも一部を覆っていてもよい。また、インク回収路20は、インク供給路16と共にケーブル類保護案内装置7に覆われていてもよいし、インク供給路16を覆うケーブル類保護案内装置7とは異なるケーブル類保護案内装置によって覆われていてもよい。
次に、プリンタ10におけるインクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11W内のインクがインクヘッド15に供給される動作について説明する。以下では、インクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wのうちインクカートリッジ11Cについて説明するが、インクカートリッジ11M、11Y、11K、11Wについても同様なのでその説明は省略する。
まず、図4に示すように、印刷が開始される、すなわち、インクヘッド15によるインクの吐出が開始されると、制御装置18によって供給ポンプ17が駆動される。このとき、供給ポンプ17が常時かつ一定の回転数で駆動されるように、制御装置18は、供給ポンプ17の駆動を制御する。供給ポンプ17を駆動することによって、インクカートリッジ11Cに貯留されたインクは、図5に示すように、インク供給路16を通じてダンパ装置19のインク流入口24からインク貯留室23に流入する。ところで、インクの圧力変動を抑えることで、インクカートリッジ11Cからインクヘッド15へインクを安定して供給することができる。そこで、本実施形態では、ダンパ装置19によって、インク貯留室23の圧力を一定にすることで、インクの圧力変動を抑えている。
ダンパ装置19では、インク貯留室23にインクが一時的に貯留されている。このとき、インク貯留室23の圧力が基準圧力以下の場合、ダンパ膜22はインク貯留室23の外側に撓む。このとき、ダンパ膜22に設けられたロッド29は、インク回収口26を閉鎖する。よって、インク貯留室23のインクは、インク回収口26からインク回収路20へ流れない。インク貯留室23のインクは、インク流出口25からインクヘッド15へ供給される。インクヘッド15に供給されたインクは、ノズル(図示せず)から記録紙5に向かって吐出される。
一方、図6に示すように、インク貯留室23の圧力が基準圧力よりも大きい場合、コイルバネ31によってダンパ膜22が引っ張られることによって、ダンパ膜22がインク貯留室23の外側にさらに撓む。このとき、ダンパ膜22に設けられたロッド29がインク回収口26から離れることで、インク回収口26は開放される。このことによって、インク貯留室23のインクは、インク回収口26からインク回収路20を通じてインク供給路16に戻される。図3に示すように、インク供給路16に戻されたインクは、インクカートリッジ11Cに貯留されたインクと共に、供給ポンプ17によって、ダンパ装置19へ再度供給される。なお、インク貯留室23のインクがインク回収路20に排出されたため、インク貯留室23の圧力は小さくなる。そして、インク貯留室23の圧力が基準圧力以下になったとき、ダンパ膜22におけるインク貯留室23の外側への撓みは緩和される。このとき、ロッド29は、インク回収口26を閉鎖する。
図7は、時間経過に伴いダンパ装置19の前(すなわち、インク供給路16のチューブ16b)とダンパ装置19の後(すなわち、インクヘッド15)の圧力がどのように変化したかを示したグラフである。図7に示すように、ダンパ装置19の前であるインク供給路16のチューブ16b内を通過するインクの圧力が変化すると共に流量が変化した場合、ダンパ装置19において圧力が一定に保たれている。それに伴い、インクヘッド15も一定の状態で圧力が保たれている。このことによって、本実施形態では、インクヘッド15に安定してインクを供給することができる。
以上のように、本実施形態では、図6に示すように、ダンパ装置19において、ロッド29がインク回収口26を開閉することによって、インク貯留室23の圧力が調節される。詳しくは、インク貯留室23の圧力が基準圧力より大きい場合、ダンパ膜22はインク貯留室23の外側に撓む。このとき、ロッド29によって、ダンパ装置19のインク回収口26が開放され、インク貯留室23のインクがインク回収路20に排出される。このことによって、インク貯留室23の圧力が基準圧力以下となる。一方、図5に示すように、インク貯留室23の圧力が基準圧力以下の場合、コイルバネ31によって、ダンパ膜22におけるインク貯留室23の外側への撓みが緩和されることで、インク回収口26はロッド29によって閉鎖される。なお、インク回収口26がロッド29によって開放されている場合であっても閉鎖されている場合であっても、インク貯留室23のインクは、インクヘッド15に供給される。本実施形態では、インク貯留室23内の圧力に応じて自動的に開閉されるロッド29によってインクの圧力を調節しているため、制御装置18によって制御される供給バルブ(特許文献1参照)を省略することができる。よって、制御装置18が上記供給バルブの駆動を制御しないため、上記供給バルブと供給ポンプ17とを連動させて制御する必要がない。制御装置18が複雑な制御をすることなく、インクヘッド15にインクを安定して供給することができる。
本実施形態では、コイルバネ31は、ダンパ膜22におけるインク貯留室23の外側に設けられている。ロッド29は、ダンパ膜22におけるインク貯留室23の内側に設けられている。このことによって、コイルバネ31がダンパ膜22を押圧することでダンパ膜22におけるインク貯留室23の外側への撓みを緩和することができる。それに伴って、ロッド29はインク回収口26を閉鎖することができる。インク貯留室23の圧力が大きい場合、ダンパ膜22がインク貯留室23の外側に向かって撓むことで、ロッド29によってインク回収口26が開放される。よって、ダンパ膜22が撓む動作に伴って、インク回収口26を開閉することができる。したがって、制御装置18によってダンパ装置19を電気的に制御することなく、インクの圧力変動を抑えることができる。
本実施形態では、インク回収口26を開閉するのは、ダンパ膜22に設けられた棒状のロッド29である。このことによって、インク回収口26を開閉する部材がロッド29よりも幅が大きい場合に比べて、インク貯留室23において、インクが流動し易くなる。
ダンパ装置19のインク回収口26の周縁には、弾性体によって形成され、ロッド29と接触可能な弁座27が設けられている。このことによって、ロッド29によってインク回収口26が閉鎖されているとき、ロッド29は弁座27に密着しているため、インク回収口26からインクが漏れることを好適に防ぐことができる。
図3に示すように、インク回収路20の一端は、ダンパ装置19のインク回収口26に接続され、他端は、インク供給路16におけるインクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wと供給ポンプ17との間に接続されている。このことによって、ダンパ装置19からインク回収路20に排出されたインクを、供給ポンプ17によって、再度、インクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wのインクと共にダンパ装置19へ供給することができる。よって、インクの無駄遣いを低減することができる。
図4に示すように、供給ポンプ17は、チューブポンプである。このことによって、簡単な構成でインクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wに貯留されたインクをダンパ装置19へ供給することができる。
図2に示すように、インクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wは、インクヘッド15よりも低い位置に配置されている。このことによって、インク貯留室23の圧力を維持し易い。
制御装置18は、インクヘッド15がインクを吐出している間、供給ポンプ17が常時駆動するように制御している。ここでは、制御装置18は、供給ポンプ17が一定回転数で駆動するように制御している。このことによって、制御装置18は、インクの圧力に応じて供給ポンプ17を駆動させたり停止させたりする制御、および、供給ポンプ17の回転数を変える制御を行わない。制御装置18は、常時、一定の回転数で供給ポンプ17の駆動を制御すればよい。よって、制御装置18による複雑な制御を行うことなく、インクの圧力変動を抑えることができる。
インク供給路16の少なくとも一部は、キャリッジ1の移動と共に変形する可撓性を有するチューブである。インク供給路16の周面の少なくとも一部は、ケーブル類保護案内装置7によって覆われている。このことによって、インクヘッド15がキャリッジ1と共にガイドレール3に沿って移動して、インク供給路16が変形した場合であっても、インク供給路16の一部が可撓性を有するチューブであるので、インク供給路16が破損しにくくすることができる。また、インク供給路16の周面の少なくとも一部はケーブル類保護案内装置7によって覆われているため、インク供給路16は外部から衝撃を受けにくく破損しにくい。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することが可能である。
次に、第2実施形態に係るプリンタについて説明する。図8は、第2実施形態に係るダンパ装置19Bの構成を示す断面図である。本実施形態では、コイルバネ31の配置位置が第1実施形態と異なる。図8に示すように、コイルバネ31は、ダンパ膜22におけるインク貯留室23の内側に設けられている。コイルバネ31は、インク貯留室23内に設けられている。ここでは、コイルバネ31の一端がダンパ膜22に取り付けられている。コイルバネ31の他端がダンパ膜22と対向するインク貯留室23の側面に取り付けられている。コイルバネ31は、ロッド29に巻きつくようにして設けられている。このことによって、コイルバネ31によるインク貯留室23のインクの流動の影響が受けにくい。
ここでは、コイルバネ31は、圧縮された状態で維持されている。そのため、ダンパ膜22は、常にインク貯留室23の外側に向けて押圧する状態となっている。本実施形態であっても、コイルバネ31が伸縮してダンパ膜22が撓むことにより、インク回収口26がロッド29によって開放されたり閉鎖されたりすることで、インク貯留室23の圧力を調節している。
具体的には、インク貯留室23の圧力が基準圧力以下の場合、ダンパ膜22におけるインク貯留室23の外側への撓みが緩和される。このとき、ダンパ膜22に設けられたロッド29は、インク回収口26を閉鎖する。よって、インク貯留室23のインクは、インク回収口26からインク回収路20へ流れない。インク貯留室23のインクは、インク流出口25からインクヘッド15へ供給される。インクヘッド15に供給されたインクは、ノズル(図示せず)から記録紙5に向かって吐出される。
一方、インク貯留室23の圧力が基準圧力よりも大きい場合、コイルバネ31によってダンパ膜22が押圧されることによって、ダンパ膜22がインク貯留室23の外側にさらに撓む。このとき、ダンパ膜22に設けられたロッド29がインク回収口26から離れることで、インク回収口26は開放される。このことによって、インク貯留室23のインクは、インク回収口26からインク回収路20を通じてインク供給路16に戻される。このように、本実施形態であっても、第1実施形態と同様に、ダンパ膜22が撓む動作に伴って、インク回収口26を開閉することができる。
<変形例>
上記各実施形態では、画像記録装置は、インクジェットプリンタ10であった。しかしながら、画像記録装置は、インクジェットプリンタ10に限定されない。例えば、画像記録装置は、画像を記録できることが可能な装置であればよい。
上記各実施形態では、インクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wに貯留された液体はインクであった。しかし、本発明の液体はインクに限定されない。例えば、本発明の液体は、洗浄液であってもよい。
上記各実施形態では、図5に示すように、ダンパ膜22を撓ませる弾性部材は、コイルバネ31であった。しかし、本発明の弾性部材は、コイルバネ31に限定されない。弾性部材は、ゴム製の部材(例えば、板ゴム)であってもよい。