以下、図面を参照しながら、一実施形態に係るインクジェットプリンタ10(以下、プリンタ10とする。)について説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいるユーザから見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ10から上記ユーザに近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。図面中の符号Yは主走査方向を表す。本実施形態では、主走査方向Yは、左右方向である。図面中の符号Xは副走査方向を表す。副走査方向Xは主走査方向Yと交差する方向(例えば、平面視で垂直に交差する方向)である。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体12に印刷を行う。記録媒体12は、例えば、長尺に形成され、ロール状に巻かれて用いられる。なお、記録媒体12は、ロール状に巻かれたものが所定の長さに切断されたシート状のものであってもよい。記録媒体12は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体12は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体12には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、台紙と台紙上に積層されかつ接着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材等が含まれる。
図1に示すように、プリンタ10は、ベース部材40と、本体ケース50と、右脚部16Rと、左脚部16Lと、インクヘッドユニット20(図2参照)と、制御装置30(図2参照)とを備えている。ベース部材40は、主走査方向Yに延びる。ベース部材40は、プラテン15を備えている。プラテン15は、主走査方向Yに延びる。右脚部16Rおよび左脚部16Lは、ベース部材40の下部に取り付けられている。右脚部16Rおよび左脚部16Lは、ベース部材40を支持する。
図2に示すように、インクヘッドユニット20は、ベース部材40に設けられている。インクヘッドユニット20は、本体ケース50の内方に配置されている。インクヘッドユニット20は、プラテン15より上方に配置されている。インクヘッドユニット20は、キャリッジ22、後述する第1インクヘッド21A、第2インクヘッド21B、第1ダンパー80Aおよび第2ダンパー80Bを備えている。
図2に示すように、プリンタ10は、ベース部材40に設けられたガイドレール13を備えている。ガイドレール13は、主走査方向Yに延びている。ガイドレール13には、インクヘッドユニット20のキャリッジ22が係合している。キャリッジ22は、キャリッジ移動機構8によって、ガイドレール13に沿って主走査方向Yに往復移動する。キャリッジ移動機構8は、ガイドレール13の左端側に配置された左側のプーリ19aと、ガイドレール13の右端側に配置されたプーリ19bとを有している。プーリ19bには、キャリッジモータ8aが連結されている。なお、キャリッジモータ8aはプーリ19aに連結されていてもよい。プーリ19bは、キャリッジモータ8aによって駆動される。プーリ19aおよびプーリ19bには、それぞれ無端状のベルト16が巻き掛けられている。キャリッジ22はベルト16に固定されている。プーリ19aおよびプーリ19bが回転してベルト16が走行すると、キャリッジ22が主走査方向Yに移動する。このように、キャリッジ22はガイドレール13に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
図2に示すように、プラテン15は、ベース部材40の中央部に設けられている。プラテン15は、本体ケース50の左前カバー54Lと右前カバー54Rとの間に配置されている。プラテン15には、記録媒体12が載置される。プラテン15は、主走査方向Yに延びる。プラテン15には、複数のグリットローラ17が設けられている。グリットローラ17は、ベース部材40に設けられた図示しないピンチローラと対向する位置に配置されている。グリットローラ17はフィードモータ17aに連結されている。グリットローラ17はフィードモータ17aによって回転駆動される。記録媒体12がグリットローラ17とピンチローラとの間に挟まれた状態でグリットローラ17が回転すると、記録媒体12は副走査方向X(図1参照)に搬送される。
図2に示すように、本体ケース50には、複数のインクカートリッジ25が収容される。インクカートリッジ25はインクを密封して貯留する容器である。本実施形態では、インクカートリッジ25として4個の第1インクカートリッジ25Aと4個の第2インクカートリッジ25Bが本体ケース50に収容される。第1インクカートリッジ25Aは、後述する第1インク経路60A(図3参照)の第1上流側端部62A(図3参照)に着脱自在に接続されている。第2インクカートリッジ25Bは、第2インク経路60Bの第2上流側端部62B(図3参照)に着脱自在に接続されている。インクカートリッジ25には、例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、および、ブラックインクなどのプロセスカラーインクや、ホワイトインク、メタリックインク、および、クリアインクなどの特色インクのうち何れかのインクが貯留されている。ここで、ホワイトインクおよびメタリックインクは、静止時間の継続に伴ってインク成分(顔料の粒子や金属粉等)の沈降が生じる沈降系インクである。本実施形態では、例えば、第1インクカートリッジ25Aにはプロセスカラーインクが貯留され、第2インクカートリッジ25Bには沈降系インクが貯留されている。
図2に示すように、プリンタ10は、インク供給システム55を備えている。インク供給システム55は、第1インクカートリッジ25Aおよび第2インクカートリッジ25Bに加えて、第1インクヘッド21A、第2インクヘッド21B、第1インク経路60A(図3参照)、第2インク経路60B(図3参照)、第1供給ポンプ68A、第2供給ポンプ68B、第1ダンパー80A、第2ダンパー80B、第1検出装置90A(図3参照)、第2検出装置90B(図3参照)を備えている。第1供給ポンプ68Aは、第1インク供給装置の一例である。第2供給ポンプ68Bは、第2インク供給装置の一例である。第1インクヘッド21A、第2インクヘッド21Bおよび第1ダンパー80A、第2ダンパー80Bはキャリッジ22に搭載され、主走査方向Yに往復移動する。一方、インクカートリッジ25は、キャリッジ22に搭載されておらず、主走査方向Yに往復移動しない。そのため、キャリッジ22が主走査方向Yに移動しても第1インク経路60Aおよび第2インク経路60Bが破損しないように、第1インク経路60Aおよび第2インク経路60Bの大部分(少なくとも全長の半分以上)は、主走査方向Yに延びた状態で配置されている。第1インク経路60Aおよび第2インク経路60Bは、ケーブル類保護案内装置46で覆われている。
図4に示すように、第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bは、副走査方向X(前後方向)の長さが主走査方向Y(左右方向)の長さよりも長い形状に形成されている。第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。第1インクヘッド21Aは、副走査方向Xに並ぶ複数の第1ノズル23Aと、第1ノズル23Aが形成された第1ノズル面24Aとを備えている。第2インクヘッド21Bは、副走査方向Xに並ぶ複数の第2ノズル23Bと、第2ノズル23Bが形成された第2ノズル面24Bとを備えている。第1ノズル23Aおよび第2ノズル23B内は、負圧(大気圧より低い圧力)に設定されている。なお、第1ノズル23Aおよび第2ノズル23Bは微小であるため、図4では複数の第1ノズル23Aおよび第2ノズル23Bを直線で表している。第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bは、第1ノズル面24Aおよび第2ノズル面24Bがそれぞれ外部に露出されるようにキャリッジ22に収容されている。第2インクヘッド21Bは、第1インクヘッド21Aの側方に配置されている。ここでは、第2インクヘッド21Bは、第1インクヘッド21Aの右方に配置されている。
図3に示すように、第1インクカートリッジ25Aと第1インクヘッド21Aとは、第1インク経路60Aを介して連通している。第1インク経路60Aは、第1上流側端部62Aと、第1下流側端部63Aと、第1中途部65Aと、を有する。第1上流側端部62Aは、第1インクカートリッジ25Aのインク取り出し口に着脱可能に接続されている。第1下流側端部63Aは、第1インクヘッド21Aに接続されている。第1中途部65Aは、第1上流側端部62Aと第1下流側端部63Aとの間に位置する。第1インク経路60Aは、第1インクカートリッジ25Aから第1インクヘッド21Aにインクを導く流路を形成している。また、第2インクカートリッジ25Bと第2インクヘッド21Bとは、第2インク経路60Bを介して連通している。第2インク経路60Bは、第2上流側端部62Bと、第2下流側端部63Bと、第2中途部65Bと、を有する。第2上流側端部62Bは、第2インクカートリッジ25Bのインク取り出し口に着脱可能に接続されている。第2下流側端部63Bは、第2インクヘッド21Bに接続されている。第2中途部65Bは、第2上流側端部62Bと第2下流側端部63Bとの間に位置する。第2インク経路60Bは、第2インクカートリッジ25Bから第2インクヘッド21Bにインクを導く流路を形成している。第1インク経路60Aおよび第2インク経路60Bは、柔軟性や可撓性を有し、弾性変形可能なように構成されている。第1インク経路60Aおよび第2インク経路60Bの構成は特に限定されないが、本実施形態では樹脂製の変形容易なチューブである。ただし、チューブ以外の材料で構成されていてもよい。第1インク経路60Aおよび第2インク経路60Bの一部がチューブによって構成されていてもよい。
図3に示すように、第1中途部65Aは、チューブ65AA、チューブ65ABおよびチューブ65ACを備えている。チューブ65AAは、第1インクカートリッジ25Aと第1供給ポンプ68Aとを連通する。チューブ65ABは、第1供給ポンプ68Aと第1ダンパー80Aとを連通する。チューブ65ACは、第1ダンパー80Aと第1インクヘッド21Aとを連通する。第1上流側端部62Aは、チューブ65AAに設けられている。第1下流側端部63Aは、チューブ65ACに設けられている。また、第2中途部65Bは、チューブ65BA、チューブ65BBおよびチューブ65BCを備えている。チューブ65BAは、第2インクカートリッジ25Bと第2供給ポンプ68Bとを連通する。チューブ65BBは、第2供給ポンプ68Bと第2ダンパー80Bとを連通する。チューブ65BCは、第2ダンパー80Bと第2インクヘッド21Bとを連通する。第2上流側端部62Bは、チューブ65BAに設けられている。第2下流側端部63Bは、チューブ65BCに設けられている。
図3に示すように、第1供給ポンプ68Aは、第1中途部65Aに配置されている。第1供給ポンプ68Aは、第1インクカートリッジ25Aと第1ダンパー80Aとの間に配置されている。第1供給ポンプ68Aは、第1中途部65Aを開放および閉鎖可能に構成されている。第1供給ポンプ68Aは、第1インクカートリッジ25Aから第1インクヘッド21Aに向けてインクを供給する。第1供給ポンプ68Aは、第1検出装置90Aにおいて、第1ダンパー80Aの第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下(例えば第1貯留室81A内の絶対圧が所定の圧力以下)であると検出されたときに駆動される。第1供給ポンプ68Aによって第1貯留室81Aにインクが所定の量だけ供給されると、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力より大きく(例えば第1貯留室81A内の絶対圧が所定の圧力より大きく)なる。また、第2供給ポンプ68Bは、第2中途部65Bに配置されている。第2供給ポンプ68Bは、第2インクカートリッジ25Bと第2ダンパー80Bとの間に配置されている。第2供給ポンプ68Bは、第2中途部65Bを開放および閉鎖可能に構成されている。第2供給ポンプ68Bは、第2インクカートリッジ25Bから第2インクヘッド21Bに向けてインクを供給する。第2供給ポンプ68Bは、第2検出装置90Bにおいて、第2ダンパー80Bの第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力以下(例えば第2貯留室81B内の絶対圧が所定の圧力以下)であると検出されたときに駆動される。第2供給ポンプ68Bによって第2貯留室81Bにインクが所定の量だけ供給されると、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力より大きく(例えば第2貯留室81B内の絶対圧が所定の圧力より大きく)なる。
図5は、第1供給ポンプ68Aの構成を示す縦断面図である。なお、第2供給ポンプ68Bは第1供給ポンプ68Aと同じ構成であるため、第2供給ポンプ68Bの詳細な説明は省略する。図5に示すように、第1供給ポンプ68Aは、チューブポンプである。チューブポンプは、円弧状に形成された壁を有するケース71と、ケース71内に配置されたチューブ72と、チューブ72の一部を押圧可能な押圧体73と、押圧体73を支持しかつ押圧体73をケース71内で移動させるための回転円板74と、回転円板74を回転駆動させるためのモータ75とを備えている。チューブ72は、内部にインクが流通しかつ弾性変形可能に形成されている。チューブ72の一端72Aは、チューブ65AA(図3参照)に接続されている。チューブ72の他端72Bは、チューブ65AB(図3参照)に接続されている。押圧体73は、回転円板74が回転したときにチューブ72に沿って移動するよう、回転円板74上に固定されている。押圧体73は、回転円板74が図5の矢印R1の方向に回転することによって、チューブ72の一部を押圧しながら移動する。これにより、チューブ72を閉鎖しながらチューブ72内のインクを移動させる。また、押圧体73は、回転円板74が図5の矢印R2の方向に回転することによって、チューブ72から離反する。これにより、チューブ72を開放する。モータ75は、制御装置30によって制御される。
図3に示すように、第1ダンパー80Aは、第1中途部65Aに配置されている。第1ダンパー80Aは、第1供給ポンプ68Aと第1インクヘッド21Aとの間に配置されている。第1ダンパー80Aは、インクが一時的に貯留される第1貯留室81Aを有している。第1貯留室81Aには、第1インクカートリッジ25Aから供給されたインクが一時的に貯留される。第1ダンパー80Aは、第1インクヘッド21Aと連通している。第1ダンパー80Aは、例えば第1インクヘッド21Aの上部に設けられる。また、第2ダンパー80Bは、第2中途部65Bに配置されている。第2ダンパー80Bは、第2供給ポンプ68Bと第2インクヘッド21Bとの間に配置されている。第2ダンパー80Bは、インクが一時的に貯留される第2貯留室81Bを有している。第2貯留室81Bには、第2インクカートリッジ25Bから供給されたインクが一時的に貯留される。第2ダンパー80Bは、第2インクヘッド21Bと連通している。第2ダンパー80Bは、例えば第2インクヘッド21Bの上部に設けられる。本実施形態では、第1ダンパー80Aと第2ダンパー80Bは同じ構成である。
図3に示すように、第1検出装置90Aは、第1ダンパー80Aの側方に配置されている。第1検出装置90Aは、第1ダンパー80Aの第1貯留室81A内の圧力(言い換えると、第1貯留室81Aに流入するインクの量。)を検出する。また、第2検出装置90Bは、第2ダンパー80Bの側方に配置されている。第2検出装置90Bは、第2ダンパー80Bの第2貯留室81B内の圧力(言い換えると、第2貯留室81Bに流入するインクの量。)を検出する。第1貯留室81A内の圧力に基づいて第1供給ポンプ68Aが制御され、第2貯留室81B内の圧力に基づいて第2供給ポンプ68Bが制御される。
図6は、第1ダンパー80Aおよび第1検出装置90Aの構成を示す断面図である。なお、第2ダンパー80Bは第1ダンパー80Aと同様の構成であり、第2検出装置90Bは第1検出装置90Aと同様の構成であるため、第2ダンパー80Bおよび第2検出装置90Bの詳細な説明は省略する。第1ダンパー80Aは、インクの圧力変動を緩和して、第1インクヘッド21Aからのインクの吐出動作を安定させるものである。本実施形態では、図6に示すように、第1ダンパー80Aは、ケース本体82と、感圧膜83とを備えている。
図6に示すように、ケース本体82は一面(図6の右側の面)に開口82Aが形成された中空構造である。ケース本体82は、典型的には樹脂材料から形成されている。感圧膜83は開口82Aを覆うようにケース本体82の外壁面に取り付けられている。第1貯留室81Aは、ケース本体82と感圧膜83とに囲まれた空間である。感圧膜83は、例えば可撓性を有する樹脂製のフィルムによって構成されている。図6および図7に示すように、感圧膜83は、第1貯留室81A内のインクの貯留量や、第1貯留室81A内の圧力に応じて、撓み変形可能なように構成されている。感圧膜83は、第1貯留室81Aの内側および外側に撓み変形可能である。感圧膜83は、第1貯留室81Aの内側および外側にそれぞれ撓むことができる程度の張力で、ケース本体82に取り付けられている。
図6に示すように、第1貯留室81Aには、バネ85が設けられている。バネ85は、圧縮された状態で第1貯留室81Aに配置されており、感圧膜83に向かって弾性力を付与する。ここでは、バネ85は、感圧膜83の第1貯留室81A側の面に接触している。なお、バネ85の種類は特に限定されない。本実施形態では、バネ85はコイルバネである。感圧膜83には、押圧体86が設けられている。押圧体86は、バネ85に支持されている。押圧体86は、感圧膜83の撓み変形に追従して第1貯留室81Aの内側および外側に移動可能である。
図6に示すように、第1検出装置90Aは、レバー84を備えている。レバー84は、押圧体86と接触可能にケース本体82に設けられている。本実施形態では、ケース本体82には、支持バネ87が設けられおり、レバー84は、支持バネ87に支持されている。レバー84の形状は特に限定されない。ここでは、レバー84は、略U字状に形成されている。詳しくは、レバー84は、押圧体86の右方において、前後方向に延びた接触部84Aと、接触部84Aの後端から左方に延びた支持部84Bと、接触部84Aの前端から左方に延びた被検出部84Cとを有している。接触部84Aには、押圧体86が接触可能である。支持部84Bは、支持バネ87に支持されている。被検出部84Cは、後述する検出部95によって検出される部位である。図6に示すように、レバー84は、感圧膜83が第1貯留室81Aの内側に撓むとき(即ち第1貯留室81A内のインクが減少して圧力が低下するとき)に第1貯留室81Aに近づく方向に移動する。図7に示すように、レバー84は、感圧膜83が第1貯留室81Aの外側に撓むとき(即ち第1貯留室81A内のインクが増加して圧力が増大するとき)に第1貯留室81Aから離れる方向に移動する。
図6に示すように、第1検出装置90Aは、検出部95を備えている。検出部95は、例えば、赤外線などの光を発する発光素子を有する発光部91と、発光部91から発せられた光を感知する受光素子を有する受光部92とを備えている。発光部91と受光部92は、互いに対向するように配置されている。発光部91と受光部92との間に検出領域93が設けられている。第1検出装置90Aは、レバー84の位置変化に基づいて、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下であるかを検出することができる。図7に示すように、第1貯留室81Aの圧力が大きくなるにしたがって、感圧膜83が第1貯留室81Aの外側に撓む。このとき、押圧体86によって、レバー84が第1貯留室81Aの外側に押されることで、レバー84は、支持バネ87を軸に回転する。そして、第1貯留室81Aの圧力が所定の圧力より大きくなったとき、レバー84の被検出部84Cが第1検出装置90Aの検出領域93から外れた位置に移動する。第1検出装置90Aは、発光部91と受光部92との間(即ち検出領域93)に、レバー84の被検出部84Cが位置していないとき、第1貯留室81Aの圧力が所定の圧力よりも大きいことを検出する。
図2に示すように、プリンタ10は、キャッピング装置41を備えている。キャッピング装置41は、本体ケース50内に設けられている。キャッピング装置41は、プラテン15より右方に配置されている。図8に示すように、キャッピング装置41は、第1インクヘッド21Aに着脱可能な4個の第1キャップ42Aと、第2インクヘッド21Bに着脱可能な4個の第2キャップ42Bと、キャップ移動機構43と、第1吸引ポンプ44Aと、第2吸引ポンプ44Bとを備えている。第1キャップ42A、第2キャップ42Bおよびキャップ移動機構43は、ガイドレール13(図2参照)の右端部に位置するホームポジションHPに配置されている。ここで、ホームポジションHPとは、印刷待機時、すなわち、印刷が行われていないときに、キャリッジ22、第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bが待機する位置である。ただし、ホームポジションHPの位置は特に限定されず、ガイドレール13の左端部であってもよい。なお、図8および図9に示す例では、第1ダンパー80Aおよび第2ダンパー80Bの図示を省略している。
第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bは、第1インクヘッド21Aの第1ノズル23Aおよび第2インクヘッド21Bの第2ノズル23B(図4参照)に付着したインクが硬化して第1ノズル23Aおよび第2ノズル23Bが目詰まりすることを抑制する部材である。第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bは、主走査方向Yに並んでいる。図9に示すように、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bは、印刷待機時において、それぞれ第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bにそれぞれ装着され、第1ノズル面24Aおよび第2ノズル面24Bを覆う。即ち、キャリッジ22がホームポジションHPに移動すると、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bは、第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bにそれぞれ装着される。
キャップ移動機構43は、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bを支持している。キャップ移動機構43は、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bを第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bに対してそれぞれ着脱可能なように移動させる機構である。本実施形態では、キャップ移動機構43は、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bを上下方向に移動させるものである。キャップ移動機構43の構成は特に限定されないが、例えば、駆動モータ43Aを備えている。駆動モータ43Aを駆動させることによって、キャップ移動機構43は、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bを上下方向に移動させる。キャップ移動機構43は、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bを上方に移動させることによって、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bを、キャップ位置CP(図9参照)に移動させる。ここで、キャップ位置CPとは、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bが第1インクヘッド21Aの第1ノズル面24Aおよび第2インクヘッド21Bの第2ノズル面24Bを覆う位置である。これにより、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bは、第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bにそれぞれ装着される。第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bが第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bにそれぞれ取り付けられたときに、第1キャップ42Aと第1ノズル面24Aとの間に第1密閉空間48A(図9参照)が形成され、第2キャップ42Bと第2ノズル面24Bとの間に第2密閉空間48B(図9参照)が形成される。キャップ移動機構43は、印刷を開始するときに、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bを下方に移動させることによって、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bをキャップ位置CP(図9参照)から離隔位置DP(図8参照)に移動させる。ここで、離隔位置DPとは、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bが第1ノズル面24Aおよび第2ノズル面24Bから離隔した位置である。これにより、第1キャップ42Aおよび第2キャップ42Bは、それぞれ、第1インクヘッド21Aおよび第2インクヘッド21Bから取り外される。
図9に示すように、第1吸引ポンプ44Aは、第1インクヘッド21Aに第1キャップ42Aが装着されている状態において、第1密閉空間48A内の流体(例えばインク)を吸引して第1ノズル23A(図4参照)からインクを吐出させる第1吸引動作を行う。第2吸引ポンプ44Bは、第2インクヘッド21Bに第2キャップ42Bが装着されている状態において、第2密閉空間48B内の流体(例えばインク)を吸引して第2ノズル23B(図4参照)からインクを吐出させる第2吸引動作を行う。第1吸引ポンプ44Aおよび第2吸引ポンプ44Bを駆動することにより、第1密閉空間48Aおよび第2密閉空間48B内は、大気圧より低い圧力(即ち負圧)となる。この結果、第1インクヘッド21Aの第1ノズル23Aおよび第2インクヘッド21Bの第2ノズル23Bからインクが強制的に排出される。なお、プリンタ10の初期設定時には第1貯留室81Aおよび第2貯留室81Bにはインクは貯留されていないため、第1吸引ポンプ44Aおよび第2吸引ポンプ44Bを駆動することにより、第1貯留室81Aおよび第2貯留室81B内の負圧が非常に高くなる(例えば-80kPa~-100kPa程度)。第1吸引ポンプ44Aの吸引口は、可撓性を有するチューブ45Aを介して第1キャップ42Aに接続されている。第2吸引ポンプ44Bの吸引口は、可撓性を有するチューブ45Bを介して第2キャップ42Bに接続されている。第1吸引ポンプ44Aおよび第2吸引ポンプ44Bの排出口は、廃液タンク49に接続されている。第1吸引ポンプ44Aに吸引された第1密閉空間48A内の流体および第2吸引ポンプ44Bに吸引された第2密閉空間48B内の流体は、廃液タンク49に貯留される。第1吸引ポンプ44Aおよび第2吸引ポンプ44Bは、制御装置30(図2参照)に制御される。第1吸引ポンプ44Aおよび第2吸引ポンプ44Bは、相互に独立して制御される。
図10に示すように、プリンタ10の全体の動作は、制御装置30によって制御されている。制御装置30の構成は特に限定されない。制御装置30は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。図2に示すように、制御装置30は、本体ケース50の内部に設けられている。ただし、制御装置30は本体ケース50の内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置30は、プリンタ10の外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置30は、有線または無線を介してプリンタ10と通信可能に接続されている。
図10に示すように、制御装置30は、第1インクヘッド21A、第2インクヘッド21B、キャリッジモータ8a、フィードモータ17a、第1供給ポンプ68A、第2供給ポンプ68B、第1検出装置90A、第2検出装置90B、駆動モータ43A、第1吸引ポンプ44Aおよび第2吸引ポンプ44Bと通信可能に接続している。制御装置30は、第1インクヘッド21A、第2インクヘッド21B、キャリッジモータ8a、フィードモータ17a、第1供給ポンプ68A、第2供給ポンプ68B、駆動モータ43A、第1吸引ポンプ44Aおよび第2吸引ポンプ44Bを制御する。
図10に示すように、制御装置30は、第1吸引開始部31Aと、第1記憶部32Aと、第1供給開始部33Aと、第1吸引停止部34Aと、第1供給停止部35Aと、第2吸引開始部31Bと、第2記憶部32Bと、第2供給開始部33Bと、第2吸引停止部34Bと、第2供給停止部35Bとを備えている。制御装置30の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置30の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
次に、第1インクカートリッジ25Aから第1インクヘッド21Aにインクを供給する方法について説明する。図11は、例えば、プリンタ10を最初に使用する前や、第1インクヘッド21Aや第1ダンパー80A等の部品を交換した後において、第1インクカートリッジ25Aから第1インクヘッド21Aにインクを供給する手順を示すフローチャートである。ここでは、第1貯留室81A内にインクが貯留されていない場合を例に説明するが、第1貯留室81A内にインクが貯留されていても同様の手順である。
まず、ステップS110において、制御装置30は、駆動モータ43Aを駆動させることによってキャップ移動機構43上方に移動させて、第1キャップ42Aを第1インクヘッド21Aに取り付ける。このとき、第2キャップ42Bも同様に第2インクヘッド21Bに取り付けられる。
ステップS120において、第1吸引開始部31Aは、第1中途部65Aのうち第1ダンパー80Aと第1上流側端部62Aとの間が閉鎖された状態で、第1密閉空間48A内の流体を第1吸引ポンプ44Aによって吸引する第1吸引動作を開始する。第1吸引開始部31Aは、吸引ポンプ44Aを駆動する。これにより、第1密閉空間48Aと第1供給ポンプ68Aとの間の負圧が徐々に高まる(即ち絶対圧が徐々に低くなる)。ここでは、制御装置30は、第1供給ポンプ68Aのモータ75を駆動させて、回転円板74を図5の矢印R1の方向に所定量だけ回転させる。これにより、押圧体73がチューブ72の一部を閉鎖した状態で停止する。これにより、第1中途部65Aのうち第1ダンパー80Aと第1上流側端部62Aとの間が閉鎖される。
ステップS130において、制御装置30は、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下であるかを判定する。制御装置30は、第1検出装置90Aのレバー84が検出領域93を遮ったとき、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下であることを判定する。第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下と判定されるまでステップS130を繰り返す。一方、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下と判定されるとステップS140に進む。
ステップS140において、第1記憶部32Aは、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下になった時間である第1時間を記憶する。なお、1つの第1吸引ポンプ44Aと連通する第1貯留室81Aが複数ある場合には、全ての第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下になった時間を第1時間とする。
ステップS150において、制御装置30は、第1時間から第1経過時間が経過したかを判定する。第1経過時間は、予め制御装置30に記憶されている。第1吸引ポンプ44Aを第1時間からさらに第1経過時間だけ駆動すると、第1貯留室81A内の負圧が適切な高さまで上昇する(即ち絶対圧がさらに低くなる)ように設定されている。第1時間から第1経過時間が経過したと判定されるまでステップS150を繰り返す。一方、第1時間から第1経過時間が経過したと判定されるとステップS160に進む。
ステップS160において、第1供給開始部33Aは、第1時間から所定の第1経過時間が経過したときに、第1供給ポンプ68Aを駆動して第1インクカートリッジ25Aから第1インクヘッド21Aに向けてインクの供給を開始する。ここでは、第1供給開始部33Aは、第1供給ポンプ68Aのモータ75を駆動させて、回転円板74を図5の矢印R2の方向に回転させる。これにより、押圧体73がチューブ72内のインクを第1インクカートリッジ25Aから第1ダンパー80Aに向けて移動させる。ここでは、第1吸引ポンプ44Aが駆動しているため、第1インクカートリッジ25Aから第1ダンパー80Aに向けて供給されたインクは、第1インクヘッド21Aの第1ノズル23Aから第1キャップ42Aに強制的に排出され、廃液タンク49へと流れる。
ステップS170において、制御装置30は、第1供給ポンプ68Aを駆動してから第1駆動時間が経過したかを判定する。第1駆動時間は、予め制御装置30に記憶されている。第1駆動時間は、第1供給ポンプ68Aの単位時間当たりのインク供給量、第1貯留室81Aの容積、使用するインクの性状等に基づいて設定される。第1供給ポンプ68Aを駆動してから第1駆動時間が経過したと判定されるまでステップS170を繰り返す。一方、第1供給ポンプ68Aを駆動してから第1駆動時間が経過したしたと判定されるとステップS180に進む。
ステップS180において、第1吸引停止部34Aは、第1吸引動作を停止する。即ち、第1吸引停止部34Aは、第1吸引ポンプ44Aの駆動を停止する。このように、第1吸引ポンプ44Aを第1駆動時間だけ駆動することにより、隣り合う第1インクヘッド21A間でインクが逆流して混色が発生することが抑制される。
ステップS190において、制御装置30は、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力より大きいかを判定する。制御装置30は、第1検出装置90Aのレバー84が検出領域93から外れたとき、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力より大きいことを判定する。第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力より大きいと判定されるまでステップS190を繰り返す。一方、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力より大きいと判定されるとステップS200に進む。
ステップS200において、第1供給停止部35Aは、第1供給ポンプ68Aの駆動を停止する。ここでは、第1供給停止部35Aは、第1供給ポンプ68Aのモータ75の駆動を停止させる。これにより、回転円板74の回転が停止され、押圧体73によるチューブ72内のインクの移動が停止する。なお、第1貯留室81Aが複数ある場合には、ステップS190では第1貯留室81A毎に第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力より大きいかどうかが判定され、第1貯留室81A毎に第1供給ポンプ68Aの駆動が停止される。即ち、一部の第1供給ポンプ68Aは駆動すると共に他の一部の第1供給ポンプ68Aの駆動は停止している時間帯が存在し得る。第1供給ポンプ68Aの駆動が停止すると、第1貯留室81A内の圧力は凡そ-0.1kPaになっている。なお、上述したフローチャートでは、ステップS180の後にステップS190およびステップS200の処理が行われるが、ステップS190およびステップS200の処理は、ステップS160の後、即ちステップS170およびステップS180と同時に行ってもよい。
次に、第2インクカートリッジ25Bから第2インクヘッド21Bにインクを供給する方法について説明する。図12は、例えば、プリンタ10を最初に使用する前や、第2インクヘッド21Bや第2ダンパー80B等の部品を交換した後において、第2インクカートリッジ25Bから第2インクヘッド21Bにインクを供給する手順を示すフローチャートである。ここでは、第2貯留室81B内にインクが貯留されていない場合を例に説明するが、第2貯留室81B内にインクが貯留されていても同様の手順である。
まず、ステップS310において、制御装置30は、駆動モータ43Aを駆動させることによってキャップ移動機構43上方に移動させて、第2キャップ42Bを第2インクヘッド21Bに取り付ける。このとき、第1キャップ42Aも同様に第1インクヘッド21Aに取り付けられる。なお、ステップS310は、通常は、ステップS110と同じタイミングで行われる。
ステップS320において、第2吸引開始部31Bは、第2中途部65Bのうち第2ダンパー80Bと第2上流側端部62Bとの間が閉鎖された状態で、第2密閉空間48B内の流体を第2吸引ポンプ44Bによって吸引する第2吸引動作を開始する。第2吸引開始部31Bは、吸引ポンプ44Bを駆動する。これにより、第2密閉空間48Bと第2供給ポンプ68Bとの間の負圧が徐々に高まる(即ち絶対圧が徐々に低くなる)。ここでは、制御装置30は、第2供給ポンプ68Bのモータ75を駆動させて、回転円板74を図5の矢印R1の方向に所定量だけ回転させる。これにより、押圧体73がチューブ72の一部を閉鎖した状態で停止する。これにより、第2中途部65Bのうち第2ダンパー80Bと第2上流側端部62Bとの間が閉鎖される。なお、ステップS320は、通常は、ステップS120と同じタイミングで行われる。
ステップS330において、制御装置30は、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力以下であるかを判定する。制御装置30は、第2検出装置90Bのレバー84が検出領域93を遮ったとき、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力以下であることを判定する。第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力以下と判定されるまでステップS330を繰り返す。一方、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力以下と判定されるとステップS340に進む。
ステップS340において、第2記憶部32Bは、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力以下になった時間である第2時間を記憶する。なお、1つの第2吸引ポンプ44Bと連通する第2貯留室81Bが複数ある場合には、全ての第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力以下になった時間を第2時間とする。
ステップS350において、制御装置30は、第2時間から第1経過時間が経過したかを判定する。第2吸引ポンプ44Bを第2時間からさらに第1経過時間だけ駆動すると、第2貯留室81B内の負圧が適切な高さまで上昇する(即ち絶対圧がさらに低くなる)ように設定されている。第2時間から第1経過時間が経過したと判定されるまでステップS350を繰り返す。一方、第2時間から第1経過時間が経過したと判定されるとステップS360に進む。
ステップS360において、第2供給開始部33Bは、第2時間から所定の第1経過時間が経過したときに、第2供給ポンプ68Bを駆動して第2インクカートリッジ25Bから第2インクヘッド21Bに向けてインクの供給を開始する。ここでは、第2供給開始部33Bは、第2供給ポンプ68Bのモータ75を駆動させて、回転円板74を図5の矢印R2の方向に回転させる。これにより、押圧体73がチューブ72内のインクを第2インクカートリッジ25Bから第2ダンパー80Bに向けて移動させる。ここでは、第2吸引ポンプ44Bが駆動しているため、第2インクカートリッジ25Bから第2ダンパー80Bに向けて供給されたインクは、第2インクヘッド21Bの第2ノズル23Bから第2キャップ42Bに強制的に排出され、廃液タンク49へと流れる。
ステップS370において、制御装置30は、第2供給ポンプ68Bを駆動してから第2駆動時間が経過したかを判定する。第2駆動時間は、予め制御装置30に記憶されている。第2駆動時間は、第2供給ポンプ68Bの単位時間当たりのインク供給量、第2貯留室81Bの容積、使用するインクの性状等に基づいて設定される。第2供給ポンプ68Bを駆動してから第2駆動時間が経過したと判定されるまでステップS370を繰り返す。一方、第2供給ポンプ68Bを駆動してから第1駆動時間が経過したしたと判定されるとステップS380に進む。
ステップS380において、第2吸引停止部34Bは、第2吸引動作を停止する。即ち、第2吸引停止部34Bは、第2吸引ポンプ44Bの駆動を停止する。このように、第2吸引ポンプ44Bを第2駆動時間だけ駆動することにより、隣り合う第2インクヘッド21B間でインクが逆流して混色が発生することが抑制される。
ステップS390において、制御装置30は、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力より大きいかを判定する。制御装置30は、第2検出装置90Bのレバー84が検出領域93から外れたとき、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力より大きいことを判定する。第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力より大きいと判定されるまでステップS390を繰り返す。一方、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力より大きいと判定されるとステップS400に進む。
ステップS400において、第2供給停止部35Bは、第2供給ポンプ68Bの駆動を停止する。ここでは、第2供給停止部35Bは、第2供給ポンプ68Bのモータ75の駆動を停止させる。これにより、回転円板74の回転が停止され、押圧体73によるチューブ72内のインクの移動が停止する。なお、第2貯留室81Bが複数ある場合には、ステップS390では第2貯留室81B毎に第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力より大きいかどうかが判定され、第2貯留室81B毎に第2供給ポンプ68Bの駆動が停止される。即ち、一部の第2供給ポンプ68Bは駆動すると共に他の一部の第2供給ポンプ68Bの駆動は停止している時間帯が存在し得る。第2供給ポンプ68Bの駆動が停止すると、第2貯留室81B内の圧力は凡そ-0.1kPaになっている。なお、上述したフローチャートでは、ステップS380の後にステップS390およびステップS400の処理が行われるが、ステップS390およびステップS400の処理は、ステップS360の後、即ちステップS370およびステップS380と同時に行ってもよい。
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、第1供給開始部33Aは、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下になった時間である第1時間から所定の第1経過時間が経過したときに、第1供給ポンプ68Aを駆動して第1インクカートリッジ25Aから第1インクヘッド21Aに向けてインクを供給する。ここで、本発明者は、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下(即ち所定の負圧)になるのに要する時間には、第1供給ポンプ68Aの性能や第1インク経路60Aの流路抵抗等によってバラツキがあることに気が付いた。さらに、本発明者は、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下になったときには、その後一定時間第1吸引ポンプ44Aを駆動することによって、第1貯留室81A内および第1インク経路60A内の負圧を所望の値に調整できることに気が付いた。従って、上記構成によると、第1供給ポンプ68Aが駆動されて第1インクヘッド21Aに向けてインクの供給が開始されるときには、第1貯留室81A内および第1インク経路60A内の負圧は適切な圧力に調整されているため、第1ダンパー80Aおよび第1インク経路60Aに不具合を生じさせることなく、第1貯留室81A内に適切な量のインクを供給させることができる。
本実施形態のプリンタ10によると、第1検出装置90Aは、レバー84が検出領域93を遮ったとき、第1貯留室81A内の圧力が所定の圧力以下であることを検出する。このように、第1貯留室81A内の圧力の変化をレバー84の移動に変換させることで、第1貯留室81A内の圧力を容易に検出することができる。
本実施形態のプリンタ10によると、第1供給ポンプ68Aは、内部にインクが流通しかつ弾性変形可能なチューブ72と、チューブ72を押圧してチューブ72を閉鎖しかつチューブ72から離反してチューブ72を開放する押圧体73と、を備えている。押圧体73は、チューブ72の一部を押圧しながら移動することによって、チューブ72内のインクを移動させるように構成されている。このように、第1供給ポンプ68Aは、第1インク経路60Aを開放および閉鎖する機能と、第1インクカートリッジ25Aから第1インクヘッド21Aに向けてインクを供給する機能とを有する。このため、第1インク経路60Aの第1中途部65Aを開放および閉鎖する他の機構(例えばバルブ)を設けなくてもよい。
本実施形態のプリンタ10によると、第2供給開始部33Bは、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力以下になった時間である第2時間から所定の第1経過時間が経過したときに、第2中途部65Bを開放しかつ第2供給ポンプ68Bを駆動して第2インクカートリッジ25Bから第2インクヘッド21Bに向けてインクを供給する。このように、第1インク経路60Aから独立した第2インク経路60Bにおいては、第2時間から所定の第1経過時間が経過したときに、第2供給ポンプ68Bが駆動されて第2インクヘッド21Bに向けてインクの供給が開始される。ここで、第2時間から所定の第1経過時間が経過したときには、第2貯留室81B内および第2インク経路60B内の負圧は第1貯留室81A内および第1インク経路60A内の負圧と同様に適切な圧力に調整されているため、第2ダンパー80Bおよび第2インク経路60Bに不具合を生じさせることなく、第2貯留室81B内に適切な量のインクを供給させることができる。
本実施形態のプリンタ10によると、第1インクカートリッジ25Aにはプロセスカラーインクが貯留され、第2インクカートリッジ25Bには沈降系インクが貯留されている。沈降系インク内に含まれる顔料は比較的大きいため、第2インク経路60B内を流れるときの抵抗が大きくなる傾向にある。従って、第2貯留室81B内に沈降系インクが存在した状態で、第2ノズル23Bからインクを吸引して第2貯留室81B内の圧力を所定の圧力以下にするまでに要する時間は、プロセスカラーインクの場合と比較して長くなる傾向にある。しかしながら、本実施形態では、第2貯留室81B内の圧力が所定の圧力以下になったときを基準にしてインクを供給するタイミングを設定しているため、貯留されるインクの種類によらず、第2貯留室81B内に適切な量のインクを供給することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
上述した実施形態では、第1供給ポンプ68Aおよび第2供給ポンプ68Bは、チューブポンプであったが、これに限定されない。第1供給ポンプ68Aおよび第2供給ポンプ68Bは、ダイヤフラムポンプであってもよい。
上述した実施形態では、第1吸引ポンプ44Aは4個の第1キャップ42Aに接続されていたが、これに限定されない。例えば、1個の第1吸引ポンプ44Aに対して1~3個の第1キャップ42Aを接続するようにしてもよい。第2吸引ポンプ44Bと第2キャップ42Bについても同様である。
上述したプリンタ10は、第1インク経路60Aの第1中途部65Aを開放または閉鎖可能に構成されたバルブを備えていてもよい。バルブは、例えば、第1インクカートリッジ25Aと第1供給ポンプ68Aとの間に位置するように第1中途部65Aに配置されてもよい。また、上述したプリンタ10は、第2インク経路60Bの第2中途部65Bを開放または閉鎖可能に構成されたバルブを備えていてもよい。バルブは、第2インクカートリッジ25Bと第2供給ポンプ68Bとの間に位置するように第2中途部65Bに配置されてもよい。
上述した各実施形態では、第1検出装置90Aおよび第2検出装置90Bは、レバー84、発光部91および受光部92を備えていたが、これに限定されない。第1検出装置90Aおよび第2検出装置90Bは、第1貯留室81Aおよび第2貯留室81B内の圧力を検出できるセンサであればその構造は特に限定されない。