JP2006137910A - 高分子組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】PETにポリオレフィン系樹脂を配合してなる高分子組成物であって、押出成形により、比較的厚みの厚い、高延性のシート状物を容易に成形することができ、2次加工性に優れた高分子組成物を提供する。
【解決手段】(A)PET100質量部に対して、(B)ポリオレフィン系樹脂25〜55質量部と、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化合物重合体からなるブロック及び少なくとも1個の共役ジエン化合物重合体からなるブロックを有するブロック共重合体2〜80質量部と、(D)エポキシ基含有オレフィン共重合体とビニル系(共)重合体をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体1〜50質量部とを混合してなる高分子組成物。ポリオレフィン系樹脂の配合量を多くした本発明の高分子組成物によれば、高温時の伸張流動性が低下し、厚みの厚いシートであっても安定に押出成形することができる。得られたシートは延性的性質を発現し、耐衝撃性、耐久性等の物性に優れ、しかも、真空成形等の二次加工性に優れ、各種用途に有用である。

Description

本発明はポリエチレンテレフタレート(PET)にポリオレフィン系樹脂を配合してなる高分子組成物に係り、特に、押し出し成形により、比較的厚みの厚い、高延性のシート状物を容易に成形することができる、2次加工性に優れた高分子組成物に関する。
従来、PETにポリオレフィン系樹脂を配合して特定の混合条件で混合することにより、延性のある高分子組成物を得ることができることが知られており、この高分子組成物は、その延性により、射出成形や押出成形等の成形性に優れるとされている。
高分子組成物の押出成形シートを2次加工して、各種の製品を得る場合、比較的厚みの厚いシートが必要になる。しかしながら、本発明者らによる研究により、従来提供されているPET/ポリオレフィン系樹脂配合高分子組成物を押出成形したところ、厚みが3mm以上、例えば5mmといった、比較的厚みの厚いシートを安定に押し出すことができないことが判明した。これは、従来のPET/ポリオレフィン系樹脂配合高分子組成物では、押出成形時に、高分子組成物が溶融して過度に伸長、流動することにより、シート形状を保持し得ないことによる。
従って、本発明は、比較的厚みの厚いシートの押出成形性にも優れたPET/ポリオレフィン系樹脂配合高分子組成物を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の高分子組成物は、(A)ポリエチレンテレフタレート100質量部に対して、(B)ポリオレフィン系樹脂25〜55質量部と、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化合物重合体からなるブロック及び少なくとも1個の共役ジエン化合物重合体からなるブロックを有するブロック共重合体2〜80質量部と、(D)エポキシ基含有オレフィン共重合体とビニル系(共)重合体をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体1〜50質量部とを混合してなることを特徴とする。
請求項2の高分子組成物は、請求項1において、(C)ブロック共重合体の配合量が5〜30質量部であることを特徴とする。
請求項3の高分子組成物は、請求項1又は2において、(D)グラフト共重合体の配合量が2〜20質量%であることを特徴とする。
請求項4の高分子組成物は、請求項1ないし3のいずれか1項において、(B)ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であることを特徴とする。
請求項5の高分子組成物は、請求項1ないし4のいずれか1項において、(C)ブロック共重合体の共役ジエン化合物重合体の不飽和結合の少なくとも一部が水素添加されていることを特徴とする。
請求項6の高分子組成物は、請求項1ないし5のいずれか1項において、(C)ブロック共重合体がSEBS、SEPS、及びSEPよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
PET100質量部に対してポリオレフィン系樹脂25〜55質量部と、ポリオレフィン系樹脂の配合量を多くした本発明の高分子組成物であれば、高温時の伸張流動性が低下することによって、押出成形時の形状保持性が良好となり、この結果、厚みの厚いシートであっても安定に押出成形することができる。得られたシートは、低弾性等で延性的性質を発現し、耐衝撃性(衝撃干渉性)、耐久性等の物性に優れ、しかも、真空成形等の二次加工性に優れ、各種用途に有用である。
以下に本発明の高分子組成物の実施の形態を詳細に説明する。
本発明で用いる(A)成分:PETとしては、各種のものを用いることができる。
なお、(A)成分のPETは、廃棄PET製品の粉砕品、例えば、廃棄物として回収されたPET製品のボトル、シートや、これらの成形品の成形時に排出される成形屑や繊維屑、或いは不良品、市場からの返品などを適当な大きさに粉砕したものであっても良い。
また、PETは1種を単独で用いても良く、分子量や分岐度、化学的修飾が異なるものを2種以上組み合わせて用いても良い。
(B)成分のポリオレフィン系樹脂としては特に制限はなく、エチレン、プロピレン、ブテン−1,3−メチルブテン−1,4−メチルペンテン−1、オクテン−1などのα−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、不飽和有機カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン、又はこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などを使用することができる。具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度又は高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン単独重合体、マレイン酸などの不飽和有機カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体やランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などのポリプロピレン系樹脂;ポリブテン−1、ポリペンテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明においては、これらの中で、特にHDPEやLLDPE等のポリエチレン系樹脂が好適に使用できる。ポリエチレン系樹脂には特に制限はなく、広範囲の分子量のものを使用できるが、押出溶融粘度の観点から、JIS−K7210で規定される190℃及び2.16kgf荷重におけるメルトフローレート(MFR)が好ましくは0.01〜10g/10分、更に好ましくは0.01〜5g/10分のものがよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、上記ポリエチレン系樹脂の成形製品や成形屑等の粉砕品又はそれらを溶融混練して得られるリペレットも好適に使用することができる。また、ポリオレフィン系樹脂は、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン系化合物共重合体ゴム(例えばEPDMなど)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン系化合物共重合体ゴム、これらの水素添加物などのゴム類を含有していてもよい。
(B)成分のポリオレフィン系樹脂は、高分子組成物への溶融粘度の付与、及び(C)成分であるビニル芳香族化合物重合体と共役ジエン化合物重合体のブロック共重合体を(A)成分であるPET樹脂中に粒状分散させる仲介物質として必要な成分であるが、その配合量は、(A)成分のPET100質量部に対し、25〜55質量部、好ましくは25〜45質量部、特に好ましくは30〜35質量部とする。(B)成分の配合量が25質量部未満では高温時の伸張流動性が高く、厚みの厚いシートの押出成形性が損なわれる。(B)成分の配合量が55質量部よりも多いと、得られる高分子組成物の曲げ強度や弾性率等の機械強度が低下するので好ましくない。
(C)成分のブロック共重合体は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物の重合体からなるブロックと少なくとも1個の共役ジエンの重合体からなるブロックを有するもので、好ましくは、共役ジエン化合物重合体ブロックの少なくとも一部が水素添加されているブロック共重合体である。
(C)成分のブロック共重合体の構成単位であるビニル芳香族化合物としては、芳香族部が単環でも多環でもよく、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等の1種又は2種以上を挙げることができ、中でもスチレン及び/又はα−メチルスチレンが好ましい。
一方、共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(通称、イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の1種又は2種以上を挙げることができ、これらの中でも1,3−ブタジエン、イソプレン及びこれ等の組み合わせが好ましい。前記ブロックにおけるミクロ構造は任意に選ぶことができ、例えばポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ビニル結合含有量が好ましくは20〜50重量%、更に好ましくは25〜40重量%である。
(C)成分のブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックとの結合形態は特に限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、又はそれらの2つ以上が組み合わさった結合形態のいずれであっても良いが、これらの中でも直鎖状の結合形態が好ましい。ブロック共重合体の例としては、ビニル芳香族化合物重合体ブロックをXで、共役ジエン化合物重合体ブロックをYで表したときに、X(YX)m、(XY)n又はY(XY)p(ここでm,n及びpは1以上の整数である)で示される結合形態を有するブロック共重合体を挙げることができる。その中でも、2個以上のビニル芳香族化合物重合体ブロックXと1個以上の共役ジエン化合物重合体ブロックYが直鎖状に結合したブロック共重合体、特にX−Y−X型のトリブロック共重合体を用いるのが好ましい。
上記したブロックYにおいては、共役ジエン化合物に基づく残留不飽和結合の水素添加による飽和は特に必要ではないが、加熱溶融時の熱安定性や成形加工品の耐熱性、耐候性低下防止の観点から、その少なくとも一部が水素添加されたものが好ましい。特に、不飽和結合の50%以上、好ましくは80%以上が水素添加され、共役ジエン化合物を主体とする重合ブロックを形態的にオレフィン性化合物重合体ブロックに変換させたものを好適に使用することができる。(C)成分としては、具体的には、例えば部分水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、部分水添スチレン−イソプレンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP:スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体)、水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)、水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS:スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体)等が挙げられ、これらの中でもSEBSやSEPS等の直鎖状のX−Y−X型結合形態のブロック共重合体が最も好ましい。また、ビニル芳香族化合物又は共役ジエン化合物に基づく残留不飽和結合が水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等の官能基を有する化合物又はそれらの誘導体で変性されたブロック共重合体であっても良い。
(C)成分のブロック共重合体においては、全構造単位に対して、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量が10〜60重量%(共役ジエンに由来する構造単位の含有量が90〜40重量%)であることが好ましく、15〜40重量%(同85〜60重量%)であることが更に好ましい。この好ましい範囲を逸脱すると、本発明の高分子組成物のモルフォロジーが不安定化し耐衝撃性が低下するおそれがある。
(C)成分のブロック共重合体の数平均分子量は、小さすぎるとブロック共重合体自体の破断時の強度、伸度等の機械的性質が低下し、高分子組成物の強度を低下させるおそれがあり、また大きすぎると加工性が悪くなり、十分な性能を有する高分子組成物が得られないおそれがあるので、数平均分子量は30,000〜500,000の範囲にあるのが好ましく、更に好ましくは50,000〜300,000の範囲である。
これらブロック共重合体の製造方法としては上記した構造を有するものであれば、どのような製造方法で得られるものであっても良い。(C)成分としては、上記のブロック共重合体の1種のみを用いても良く、2種以上を用いても良い。
(C)成分は高分子組成物に耐衝撃性を付与するための部分であって、その配合量は(A)成分のPET100質量部に対して2〜80質量部、好ましくは5〜30質量部とする。(C)成分の配合量が少な過ぎると、得られる高分子組成物の耐衝撃強度が十分でなく、逆に多過ぎると、得られる高分子組成物が柔軟化し、機械的強度、耐熱性が低下するので好ましくない。
(D)成分として用いられるエポキシ基含有オレフィン共重合体とビニル系(共)重合体とのグラフト共重合体を構成するエポキシ基含有オレフィン共重合体は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、高圧ラジカル重合によるオレフィンと不飽和グリシジル基含有単量体との二元共重合体及び更に他の不飽和単量体が加わった三元又は多元の共重合体が挙げられる。この共重合体において、オレフィンとしては特にエチレンが好ましく、エチレン60〜99.5重量%、グリシジル基含有単量体0.5〜40重量%、他の不飽和単量体0〜39.5重量%という構成であることが好ましい。不飽和グリシジル基含有単量体としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、α−クロロアリル、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸等のグリシジルエステル類又はビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、p−グリシジルスチレン等が挙げられるが、特に好ましいものとしては、メタクリル酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテルを挙げることができる。他の不飽和単量体としては、オレフィン類、ビニルエステル類、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体から選ばれた少なくとも1種の単量体が挙げられ、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等のオレフィン類、スチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルベンゾエート等のビニルエステル類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−、2−エチルヘキシル−、シクロヘキシル−、ドデシル−、オクタデシル−等のエステル類、マレイン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸モノ及びジ−エステル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類及びアクリル酸アミド系化合物が挙げられ、これらの中でアクリル酸エステルが特に好ましい。
上記エポキシ基含有オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−一酸化炭素−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸グリシジル共重合体などが挙げられる。これらの中でもエチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体が好ましい。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
その他の好ましいエポキシ基含有オレフィン共重合体としては、従来のオレフィン単独重合体又は共重合体に不飽和グリシジル基含有単量体を付加反応させた変性体を挙げることができる。この場合のオレフィン単独重合体又は共重合体としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等の単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等のエチレンを主成分とする他のα−オレフィンとの共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等のプロピレンを主成分とする他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレンとアクリル酸もしくはメタクリル酸のメチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、ブチル−等のエステルとの共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、更にはエチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン−共重合ゴム等のゴム状共重合体も挙げることができる。
一方、(D)成分のグラフト共重合体を構成するビニル系(共)重合体(即ち、ビニル系重合体又はビニル系共重合体)としては、具体的には、スチレン、核置換スチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルスチレン、α−置換スチレン、例えばα−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のビニル芳香族単量体、アクリル酸若しくはメタクリル酸の炭素数1〜7のアルキルエステル、例えば(メタ)アクリル酸(即ち、アクリル酸又はメタクリル酸)のメチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、ブチル−等の(メタ)アクリル酸エステル単量体、アクリロニトリル若しくはメタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸及びそのアミド、イミド、エステル、無水物等の誘導体のビニル単量体の1種又はそれ以上を(共)重合して得られた(共)重合体が挙げられる。これらの中でも、ビニル芳香族単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アクリロニトリル単量体及びビニルエステル単量体が好ましく使用され、ビニル芳香族単量体が最も好ましく用いられ、その数平均分子量は10〜15000、好ましくは50〜10000である。数平均分子量が10未満であると、本発明の高分子組成物の耐熱性が低下し、また数平均分子量が15000を超えると、成形性が低下する傾向にあり、好ましくない。
(D)成分のグラフト共重合体を製造する際のグラフト化法は、一般によく知られている連鎖移動法、電離性放射線照射法等のいずれの方法を用いることもできる。
(D)成分のグラフト共重合体は、エポキシ基含有オレフィン共重合体が10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%で、ビニル系(共)重合体が90〜10重量%、好ましくは80〜20重量%で構成されることが好ましい。エポキシ基含有オレフィン共重合体が10重量%未満であると、本発明の高分子組成物の溶融粘度の増粘効果が不十分であり、また、エポキシ基含有オレフィン共重合体が90重量%を超えると、(C)成分のブロック共重合体との親和性が低下し、ゲル化物が生じやすくなる。
(D)成分のグラフト共重合体は、(A)成分であるPET樹脂の増粘作用と、(A)成分中への(B)成分分散の安定化及び(B)成分中への(C)成分の分散安定化のために配合されるものであり、その配合量は、(A)成分のPET100質量部に対して、1〜50質量部、好ましくは2〜20質量部である。(D)成分の配合量が少な過ぎると、溶融粘度が不十分であり、逆に多過ぎると機械物性や耐熱性が低下するため好ましくない。
本発明の高分子組成物は、好ましくは次のような方法で製造される。
即ち、上記(A)〜(D)成分の所定量を後述の混練装置を用いて(B)成分のポリオレフィン系樹脂の融点以上であって、(A)成分のPETの融点未満の温度で混練する。ここで融点とは、それぞれの成分の示差走査熱量計(DSC)による昇温測定時に発現する結晶融解吸熱ピークの終点温度のことをいう。混練温度が(B)成分の融点未満では(D)成分の反応効率が低下し、(A)成分中への(B)及び(C)成分の分散性が悪くなるので好ましくない。混練温度が(A)成分の融点以上では、PETの加水分解劣化反応が急速に進行し、本発明における高分子組成物の溶融粘度の低下を招くおそれがあるため好ましくない。
本発明で用いられる混練装置としては、上記(A)〜(D)成分を剪断混練りできるものであれば特に制限は無く、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができる。例えば押出機では、単軸押出機、二軸押出機などのスクリュー押出機、エラスティック押出機、ハイドロダイナミック押出機、ラム式連続押出機、ロール式押出機、ギア式押出機などを挙げることができるが、これらの中でスクリュー押出機、特に二軸押出機が好ましく、より好ましくは脱気効率のよいベント(脱気口)を1つ以上備える二軸押出機である。
なお、(A)〜(D)成分の混合順には特に限定はない。
二軸スクリュー押出機を用いて混練する場合、混練物が実質的にPETの融点を超えない未溶融状態から半溶融状態で吐出される場合があり、この場合、押出はダイヘッドを開放した状態で行なってもよいし、またダイヘッドを閉めた状態でも、ダイヘッドをPETの融点近傍に設定することで、混練物を一時的に溶融させてストランドとして引くことが可能であり、これを公知の方法でペレタイズすることができる。ダイヘッドを開放状態で行った場合は、その吐出物を粉砕機に通すことで容易に押出成形可能な粒子状に変えることができる。例えば、押出機先端の吐出口直下に粉砕機を設置することによって、連続的に破片粒子化処理まで行うことができる。
かかる方法によって得られた本発明の高分子組成物は、(A)成分が連続相をなし、その(A)成分の連続相中に(B)成分が分散相として粒状分散され、さらに(B)成分の分散相中に(C)成分が分散したモルフォロジーを有する。(C)成分を含有する(B)成分の分散相の平均粒径は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下である。この分散粒径が5μmを超えると、高分子組成物の耐衝撃性が低下するため、好ましくない。
なお、本発明の高分子組成物には、その物性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて樹脂の混合時に、慣用の他の添加剤、例えば顔料、染料、補強材(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、粘土鉱物、チタン酸カリウム繊維など)、充填剤(カーボンブラック、シリカ、アルミナ、酸化チタン、金属粉、木粉、籾殻など)、耐熱安定剤、酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤等を配合することができ、その配合量も本発明の目的を損わない限り、従来から一般的に使用される量とすることができる。
本発明の高分子組成物は、特に厚みが1〜5mm、特に3〜5mm、或いはそれ以上というような、比較的厚いシートの押出成形に好適であるが、本発明の高分子組成物は、押出成形に限らず、目的に応じて射出成形やブロー成形においても好適に使用することができる。
本発明の高分子組成物を押出成形して得られるシートは、特にこれを真空成形等により二次加工品に加工する用途に有用である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例及び比較例で用いた原材料の詳細は次の通りである。
〈(A)成分〉
PET:PETボトルリサイクル破砕品
〈(B)成分〉
HDPE:出光石油化学(株)製「640UF」(MFR=0.05g/10分)
LLDPE:出光石油化学(株)製「0314」(MFR=1.2g/10分)
〈(C)成分〉
SEBS:(株)クラレ製「Septon8006」(スチレン含有量33重量%、
トルエン溶液粘度42mPa・S(30℃、5重量%))
SEPS:(株)クラレ製「Septon2006」(スチレン含有量35重量%、
トルエン溶液粘度27mPa・S(30℃、5重量%);1220mPa
・S(30℃、10重量%))
SEP:(株)クラレ製「Septon1001」(スチレン含有量35重量%、ト
ルエン溶液粘度70mPa・S(30℃、10重量%))
〈(D)成分〉
EGMA−g−PS:日本油脂(株)製「モディパーA4100」(エチレン−グリ
シジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレート含
有量15重量%)とポリスチレンのグラフト共重合体、EGM
A/PS=70/30(重量%))
実施例1〜8、比較例1〜5
表1に示す配合で高分子組成物を調製した。即ち、表1に示す配合で各原材料を二軸押出機の原材料供給口から投下し、混練押出ししてペレットを作成した。
得られたペレットを用いて下記の評価を行い、結果を表1に示した。
〈曲げ弾性率〉
射出成形機((株)日本製鋼所製「J55ELII」)を用いて、シリンダ設定温度260℃及び金型温度40℃で、100mm×10mm×4mmの短冊型試験片を成形し、JIS−K7171に準拠して曲げ試験を行って測定した。
〈押出成形性〉
(株)池貝製の単軸押出成形機FS−65(口径65mm、L/D=25、フルフライト)を用い、シリンダ及び金型(ダイ)の設定温度250℃、スクリュー回転数80rpm、引取り率1.5倍にて、幅50cm、肉厚5mmのシートを押出成形し、押出成形性を下記の判断基準で評価した。
○:特に問題はなく、成形性は良好である。
△:ドローダウンは多少あるが、成形性には特に問題なし。
×:ドローダウンが大きく、通常の成形ができない。
〈耐落球衝撃強度〉
上記の押出成形で得られたシートを用いて、JIS−A5721に準拠して落球衝撃試験(スパン450mmで支持し、1kgfのおもりを1.2mの高さから落とす)を行い、下記の判断基準で評価した。
○:割れや亀裂が発生せず、充分に耐える。
×:割れや亀裂が発生。
〈耐疲労強度〉
上記の押出成形で得られたシートをスパン400mmで支持し、その中央部に60kgfの荷重を繰り返し30万回かける試験を行い、下記の判断基準で評価した。
○:割れや亀裂が発生せず、充分に耐える。
×:割れや亀裂が発生。
Figure 2006137910
表1より、PET100質量部に対してポリオレフィン系樹脂を25〜55質量部配合した本発明の高分子組成物は、曲げ弾性率、耐衝撃強度、耐疲労強度に優れ、しかも厚み5mmという比較的厚みの厚いシートの押出成形性にも優れることが分かる。
これに対して、PET100質量部に対するポリオレフィン系樹脂の配合量が20質量部以下の比較例1〜5では、5mmシートの押出成形が困難である。

Claims (6)

  1. (A)ポリエチレンテレフタレート100質量部に対して、
    (B)ポリオレフィン系樹脂25〜55質量部と、
    (C)少なくとも1個のビニル芳香族化合物重合体からなるブロック及び少なくとも1個の共役ジエン化合物重合体からなるブロックを有するブロック共重合体2〜80質量部と、
    (D)エポキシ基含有オレフィン共重合体とビニル系(共)重合体をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体1〜50質量部と
    を混合してなることを特徴とする高分子組成物。
  2. 請求項1において、(C)ブロック共重合体の配合量が5〜30質量部であることを特徴とする高分子組成物。
  3. 請求項1又は2において、(D)グラフト共重合体の配合量が2〜20質量%であることを特徴とする高分子組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、(B)ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であることを特徴とする高分子組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、(C)ブロック共重合体の共役ジエン化合物重合体の不飽和結合の少なくとも一部が水素添加されていることを特徴とする高分子組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、(C)ブロック共重合体がSEBS、SEPS、及びSEPよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする高分子組成物。
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