JP2004065603A - 手動車いす - Google Patents

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Abstract

【課題】左右に傾斜した路面を走行する場合も安定して直進走行できる手動車いすを提供する。
【解決手段】手動車いす1の左右後輪9の車軸13の内端はクラッチ機構30で接続している。クラッチ機構30は、左右の後輪9の車軸が同期回転するように連結される位置(入)と、独立回転する位置(切)と、の間で切替可能であり、クラッチが、左右後輪9の車軸間を伝わるトルクが所定値以下の場合は“入”となり、このトルクが所定値を超える場合は“切”となる。左右の車軸間を伝わるトルクが所定値以下の場合とは、左右に傾斜した路面上を走行する場合等であり、このときにクラッチが“入”となり、左右の車輪の車軸が同期回転する。このため、車いすが傾斜下方向へ不用意に旋回することがなくなる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右の車輪を操作者が手動で駆動して前後進、旋回させる手動車いすに関する。特には、船舶上のような動揺環境下や、左右に傾斜した路面を走行する場合に、意図せぬ旋回力がかかることを防止できるよう改良を加えた手動車いすに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な手動車いすは、左右の後輪が各々独立して回転する。操作者は、左右の手で各々の車輪に駆動トルクを与えて、車いすを直進させたり、旋回させる。両輪に等しいトルクを与えると車いすは直進し、旋回したい方向と反対の側の後輪に優越したトルクを与えると、所望の方向へ旋回する。車いすの直進走行は、両後輪に駆動トルクを与えている状態(駆動走行)と、この駆動トルクによる慣性力で走行している状態(慣性走行)を繰り返す。駆動走行中は、操作者が左右後輪への駆動トルクや回転角度を任意に変えることができるため、直進走行や進路変更をしやすい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような手動車いすにおいては、前輪には全方向に回転自由なキャスタが使用されている。この手動車いすを、進行方向に対して左右に傾斜がある面に置くと、車いすは重力の影響によって谷側に傾き、キャスタは谷側へ向かう。それとともに、山側の後輪の回転角度が谷側の後輪の回転角度を上回り、操作者の意図に反して、車いす全体が谷側へ向かうように旋回する。慣性走行時には特に重力の影響を受けやすいため、このような路面を旋回しないように直進走行するには、駆動走行時に適切な操作で進路補正する必要がある。このため、操作者は常に複雑な操作を続けねばならず、負担が大きくなる。左右後輪を同期回転する構造とすればこのような問題は解決できるが、その場合は操作者が意図的に旋回することができなくなる。
【0004】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、左右に傾斜した路面を走行する場合も安定して直進走行できる手動車いすを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の手動車いすは、 操作者が手動駆動する左右の車輪を備える手動車いすであって、 前記左右の車輪の車軸が同期回転するように連結される位置(入)と、独立回転する位置(切)と、の間で切替可能なクラッチを有し、 該クラッチが、前記左右の車輪の車軸間を伝わるトルクが所定値以下の場合は“入”となり、該トルクが前記所定値を超える場合は“切”となることを特徴とする。
【0006】
左右の車軸間を伝わるトルクが所定値以下の場合とは、左右に傾斜した路面上を走行する場合のように、重力によって左右のいずれかの方向に車いすが自然と旋回しようとする傾向のでるような場合である。このときには、クラッチが“入”となり、左右の車輪の車軸が同期回転する。このため、車いすが傾斜下方向へ不用意に旋回することがなくなり、左右傾斜した路面においても、操作者が複雑な操作をしたり、進路補正のための力を加えることなく直進走行できる。
【0007】
また、トルクが前記所定値を超える場合とは、操作者が意図的に旋回しようとした場合である。このときにクラッチが“切”となり、左右の車輪の車軸が独立回転できるようになり、車いすの旋回が可能となる。
【0008】
本発明においては、 前記クラッチが“切”のときに前記左右の車軸間を相対回動自在に連結し、前記クラッチが“入”のときに前記左右の車軸と一体に回転する差動歯車機構を有することとできる。
このような差動歯車機構により、左右の車軸が回転している場合にあっても、前記左右の車輪の車軸間を伝わるトルクを感知でき、前記クラッチの“入”と“切”とを切り替えることができる。
【0009】
本発明においては、 前記クラッチが収容されるケーシングを備え、 該クラッチが、前記ケーシングに固定されたクラッチディスクと、該クラッチディスクに対向するクラッチ板とを含み、 該クラッチ板は、バネにより前記クラッチディスク方向に付勢されるとともに、前記左右の車輪の車軸間を伝わる前記所定値を超えるトルクにより、前記クラッチディスクから前記クラッチ板が離れることとできる。
この際、 前記車軸がカムピンを有し、 前記クラッチ板が、テーパ状のカム面を有し、 前記左右の車輪の車軸間を伝わる前記所定値を超えるトルクによって、前記カムピンが前記カム面に沿ってスライドすることにより、前記クラッチ板が、前記クラッチディスクから前記車軸方向に沿って離れることとできる。
【0010】
このような構造により、左右の車輪の車軸間を伝わるトルクが前記所定値を超えないほど小さい場合には、クラッチが“入”となり左右の車輪の車軸を同期回転させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
まず、手動車いすの全体の構造を説明する。
図1は、本発明の手動車いすの全体の構造を示す図であり、図1(A)は側面図、図1(B)は後面図である。
この手動車いす1は、シート3と、フットレスト5と、左右前輪7と、左右後輪9と、フレーム11とから主に構成される。左右前輪7は、フットレスト5の後方でフレーム11に回転可能に取り付けられている。各前輪7はキャスタで、全方向に向けて回動可能である。左右後輪9は、各々シート3の外側で、フレーム11に独立して回転可能に取り付けられている。左後輪9Lと右後輪9Rの車軸13L、13Rは、後述するクラッチ機構30で連結している。左右後輪9の外側には、各後輪と一体に回転するハンドリム15が固定されている。操作者はハンドリム15を回転させて、後輪9を回転させる。シート3の後方のフレーム11にはグリップ17が設けられている。
【0012】
次に、クラッチ機構30の構造を説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る車いすに設けられたクラッチ機構を説明する断面図である。
図3は、図2のクラッチ機構の右側を拡大して示す断面図である。
クラッチ機構30は、左右後輪9の車軸13L、13Rの内端間に配置されている。同機構30のケーシング31内には、左クラッチ61L、右クラッチ61R、差動歯車機構100等が配置されており、左右で同様の構造を有する。以下の説明では、右後輪側の構造を説明する。
【0013】
以下、図3を参照して説明する。
クラッチ機構30のケーシング31は、シートの下方で、シートを支える左右フレーム11の間に配置されている。ケーシング31は左右後輪9の車軸方向(左右方向)に延びる円筒状の同筒部33と、同筒部33の両端の側壁部35とからなる。同筒部33は、左右の二つの半分の円筒状の部材33L、33Rからなり、両部材はビス37で固定されている。側壁部35の外縁と同筒部33の端部はビス39で固定されている。側壁部35の中央には、車軸方向の右方向に延びるスリーブ部41が設けられている。スリーブ部41の基端側(側壁35側)の外周面は、ベアリング43を介してフレーム11に固定されている。これによりケーシング31はフレーム11に対して回転自在に保持される。
【0014】
右後輪の車軸13Rの内端は、カップリング45を介して回転軸47に結合しており、車軸13Rと回転軸47は一体で回転する。回転軸47は、ケーシング31のスリーブ部41内に入り、同軸の先端は同筒部33内に達している。回転軸47の外周面と、スリーブ部41の内周面との間には、2個のベアリング49が組み込まれており、ケーシング31は回転軸47を中心にして回転する。各ベアリング49は、スリーブ部41の先端側と基端側に配置されている。
【0015】
ケーシング31の同筒部33内に達した回転軸47の先端は、径が細い先端部51となっている。先端部51の基端側には、カムピン53が回転軸47と直交する方向に延びるように、同軸47を貫通して固定されている。スリーブ部41の先端側(右側)のベアリング49とカップリング45との間、及び、基端側(左側)のベアリング49とカムピン53との間には各々スペーサ55が介されており、回転軸47は、ケーシング31内で同軸方向には移動しない。
【0016】
クラッチ61は、クラッチディスク63とクラッチ板65からなる。クラッチ板65がクラッチディスク63と接すると、クラッチ61が“入”となり、クラッチ板65がクラッチディスク63から回転軸方向に離れると、クラッチ61が“切”となる。クラッチ61が“入”となった状態では、クラッチディスク63とクラッチ板65とは相対的に摺動せず、一体に回転する。
【0017】
クラッチディスク63は平たい環状の形状で、回転軸47と同心上に配置されている。同ディスク63はケーシング側壁部35の内面の外周に、ビス67で固定されている。このクラッチディスク63は、クラッチ板65と対向している。クラッチ板65は平たい環状の形状で、回転軸47と同心上に配置されて、回転軸方向に移動可能に配置されている(詳細後述)。クラッチ板65の内側(図の左側)の面には、内方向(図の左方向)に延びるスリーブ部69が設けられている。
【0018】
次に、クラッチ板65の移動機構について説明する。
クラッチ板65は、バネ71によって、回転軸方向を、クラッチディスク63に接する方向に付勢されている。バネ71は、クラッチ板65と、バネ押え板73との間に介装されている。バネ押え板73は円板状の部材で、外側(図の右側)の面には大径円筒部75、内側(図の左側)の面には小径円筒部77が形成されている。各円筒部75、77は回転軸と同軸上を延びている。
【0019】
バネ押え板73の外面(図の右側)の外周は、クラッチ板65の内側(図の左側)の面と対向している。そして、対向する各面には複数のバネ保持穴85、87が形成されている。バネ保持穴85、87は、回転軸に対して等角度で複数箇所に形成されている。これらのバネ保持穴85、87にはバネ71がはめ込まれている。このバネ71により、クラッチ板65はバネ押え板73に対してクラッチディスク63方向に付勢されている。また、複数のバネ71を用いることにより、環状のクラッチ板65の全面を均等な力でクラッチディスク63の方向に付勢することができ、クラッチ61を安定にかけることができる。
【0020】
バネ押え板73の大径円筒部75は、クラッチ板65のスリーブ部69の内孔に嵌合している。そして、同部75は、スリーブ部69に対して、キー79によって軸方向には移動可能で、軸回りの回転は不能となっている。つまり、キー79は、大径円筒部75の側壁に、回転軸方向と直交する方向に植設されている。そして、スリーブ部69の内壁には、回転軸方向に延びる溝81が形成されている。溝81の幅はキー79の径と等しい。キー79はこの溝81に入り込んで、溝内を軸方向に移動できる。これにより、クラッチ板65はバネ押え板73に対して軸方向には移動可能であるとともに、バネ押え板73と一体に回転軸回りに回転する。
【0021】
また、大径円筒部75の軸方向中心には穴83が開けられており、この穴83に、回転軸47の先端部51が回転摺動可能に嵌合している。このとき、小径の先端部51と大径の回転軸47との間の段部は大径円筒部75の端面に当接している。
【0022】
次に、クラッチ板の入切機構の構造について説明する。
図4は、クラッチ板の入切機構の構造を説明するための図である。この図は、図1のカムピン53を上から見た図である。
クラッチ板65の外側(図の右側)の内縁の、径方向に対向する2ヶ所には溝溝91が形成されている。図4に詳しく示すように、各溝91は、周方向にある程度の幅をもち、軸方向への深さが、溝の幅方向中央で最も深く、両端に向かって浅くなる両テーパ状となっている。このテーパ面がカム面93となる。そして、これらの溝91に、回転軸47を貫通しているカムピン53の両端が位置している。クラッチ61が“入”のとき(クラッチディスク63とクラッチ板65が接しているとき)、カムピン53は溝91の幅方向中央の最も深い部分に位置している。
【0023】
この状態から回転軸47のみを回転させると、同軸に固定されたカムピン53は溝91内を周方向に回転する。このとき、カムピン53は、カム面93の最深部から最浅部に向かって、同面に沿って移動する。カム面93は徐々に軸方向の深さが浅くなっている。そして、カムピン53の軸方向位置は変化せず、クラッチ板65は軸方向に移動可能であるので、カムピン53はカム面93を左方向に押す。すると、図4の二点鎖線で示すように、カム面93、すなわち、クラッチ板65が、バネ71(図3参照)の付勢力に抗して左方向に移動し、クラッチ板65がクラッチディスク63から離れる。
【0024】
このように、カムピン53が溝91の最深部にあるときにはクラッチ61が“入”の状態である。そして、回転軸47を回転させてカムピン53を溝91内で移動させると、クラッチ板65がクラッチディスク63から離れて、クラッチ61が“切”の状態となる。
【0025】
上述の回転軸47、クラッチディスク63とクラッチ板65とからなるクラッチ61、バネ押え板73、バネ71等から構成されるクラッチ機構は、左後輪においても同様の構造を有する。左右後輪のクラッチ機構は、ケーシング31内に左右対称に配置されている。そして、左右クラッチ機構の各バネ押え板73の小径円筒部77は、差動歯車組立100を介して連結している。
【0026】
差動歯車組立100は、上下のかさ歯車101、103、右かさ歯車105、左かさ歯車107からなる。上下かさ歯車101、103の中心軸109、111は同軸上にあり、回転軸47の方向と直交している。各中心軸109、111の一端は、ケーシング同筒部33の、左右半部の間に配置された軸受113、115に嵌合している。各中心軸の他端は向かい合っており、円柱状の部材117の両端に嵌合している。そして、上下かさ歯車101、103にかみ合うように、右かさ歯車105と左かさ歯車107が配置されている。左右かさ歯車105、107の軸芯の方向は、上下かさ歯車101、103の中心軸の方向と直交する。
【0027】
右かさ歯車105の軸部105aにはバネ押え板73の小径円筒部77が嵌合している。そして軸部105aと小径円筒部77にはピン119が貫通して、両部は相対回転できないように連結されている。このように、右かさ歯車105の回転軸は、バネ押え板73の小径円筒部77となる。
したがって、バネ押え板73は、外側(図の左側)が回転軸47の先端部51によって、内側(図の右側)が右かさ歯車105によって挟まれて、軸方向には移動しない。
【0028】
このような構造により、例えば、右側のバネ押え板73の小径円筒部77が図の右側から見て時計方向に回転すると、右かさ歯車105はともに時計方向に回転する。すると、上かさ歯車101は図の上から見て反時計方向に回転し、下かさ歯車103は時計方向に回転する。そして、左かさ歯車107は図の右から見て反時計方向に回転する。すなわち、左右のかさ歯車105、107は反対方向に回転する。
【0029】
次に、クラッチ61の入切の切り替えに伴う左右後輪の回転について説明する。
左右両側のクラッチ61が“入”のとき、各クラッチディスク63と各クラッチ板65は接触して、両部は一体に連結している。そして、左右後輪の各回転軸47のカムピン53は各クラッチ板65の溝91の最深部に位置している。各クラッチ板65はバネ71でクラッチディスク63の方向に付勢されているため、カムピン53は溝91の最深部で、周方向には移動しにくくなっている。すなわち、各クラッチディスク63と各クラッチ板65、各クラッチ板65と各カムピン53、すなわち、各回転軸47は相互に一体に固定される。そして、各クラッチディスク63はケーシング31に固定されているため、ケーシング31と各回転軸47は一体に連結される。したがって、左右の回転軸47やケーシング31は一体となって回転する。
【0030】
このクラッチ61が“入”の状態において、左右の回転軸47に同じ方向にほぼ同じ大きさの回転トルクをかけると、両回転軸47がケーシング31とともに回転する。この状態は、左右後輪が同方向に回転する(直進する)状態であって、左右後輪の回転軸にかかるトルクの差が小さい。
【0031】
次に、一方の回転軸のみに意図的にトルクをかけて回転させた場合を説明する。この例では、左後輪を固定して、右後輪の回転軸47にのみトルクをかけた場合について示す。
クラッチ61が“入”となっている左後輪13L側においては、上述のように回転軸47とケーシング31が一体で回転する。そして、左後輪13Lを固定して、右後輪13Rを左後輪13Lに対して回転させると、右回転軸47は、左後輪13Lによって固定されているケーシング31に対して回転し始める。すると、右回転軸47に固定されたカムピン53がクラッチ板65の溝91内を回転方向(周方向)に回転し、カムピン53は同溝91のカム面93を相対的に軸方向を左方向に押す。すると、カム面93、すなわち、クラッチ板65はカムピン53に押されてバネ71の付勢力に抗して左方向に移動し、クラッチ板65がクラッチディスク63から離れる。すなわち、右側のクラッチ61が“切”となる。そして、カムピン53は、クラッチ板65の溝91の最浅部の端部に当接する。
【0032】
カムピン53が溝91の最深部から最浅部まで移動する間は、上述のように右側のクラッチ61は“切”となるが、左側のクラッチ61はまだ“入”の状態である。
【0033】
ここで、バネ71の強さ(復元力)やカム面93の傾斜角度を選択することによって、この回転軸の回転範囲内での回転トルクを、操作者の意図に反して一方の回転軸のみが回転しようとする状態である、路面が左右に傾斜している場合等に相当するように設定できる。上述のように、このような場合は、両回転軸47とケーシング31が一体で回転して、車いすは直進する。
【0034】
右側の回転軸47をさらに同方向に回転させると、クラッチ61が切られた状態で、カムピン53は溝91の最浅部の側端部を押して、クラッチ板65が同軸と同じ方向に回転する。すると、キー79によってクラッチ板65と回転不能に連結しているバネ押え板73も回転する。さらにバネ押え板73の小径円筒部77が回転軸となっている右かさ歯車105が回転する。そして、上下かさ歯車101、103を介して、左かさ歯車107が、右かさ歯車105と反対の方向に回転する。
【0035】
さらに、左かさ歯車107の回転に伴って、上述と逆の経過によって、左側のクラッチ板65が回転する。すると、クラッチ板65のカム面93が左側のカムピン53に案内されて、クラッチ板65がクラッチディスク63から離れる。ここで、左側のクラッチ61も“切”となり、左右のクラッチ61が“切”となる。
【0036】
左右のクラッチ61が“切”となった時点で、さらに右回転軸47を回転させると、上述のように右かさ歯車105が回転する。すると、上下かさ歯車101、103を介して左かさ歯車107に回転運動が伝わる。上述のように、ケーシング31はフレーム11に対して回転自由になっているので、左右後輪9L、9Rの独立した回転運動が可能となる。
【0037】
このように、左右のクラッチが“切”の状態では、右回転軸と左回転軸に独立した回転運動を与えることができるため、操作者は左右後輪への駆動トルクや回転角度を任意に変えることができる。すなわち、このクラッチ機構を取り付けていない従来の車いすとほぼ同じように旋回動作を行うことができる。
【0038】
そして、旋回が終了して右側の回転軸47へトルクをかけるのをやめると、カムピン53を回転させる力が止まる。すると、クラッチ板65がクラッチディスク63の方向にバネ71で付勢されるとともに、カムピン53がカム面93に沿って溝91の最深部に達するまで周方向に移動する。これによりクラッチ61が“入”となる。このように、旋回動作が終わって回転軸47にかけるトルクを外すと、自動的にクラッチ61が“入”となる。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、左右に傾斜した路面のように、重力によって左右のいずれかの方向に前輪が旋回し、左右後輪も同方向に不用意に旋回しようとする場合や、直進走行の場合には、クラッチが“入”となり、左右の車輪の車軸が同期回転し、操作者が意図的に旋回しようとした場合にはクラッチが“切”となり、左右の車輪の車軸が独立回転し、旋回が可能となる。このように、左右に傾斜した路面を走行する場合も安定して直進走行できる手動車いすを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の手動車いすの全体の構造を示す図であり、図1(A)は側面図、図1(B)は後面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車いすに設けられたクラッチ機構を説明する断面図である。
【図3】図2のクラッチ機構の右側を拡大して示す断面図である。
【図4】クラッチ板の入切機構の構造を説明するための図である。
【符号の説明】
1 手動車いす          3 シート
5 フットレスト         7 左右前輪
9 左右後輪          11 フレーム
13 車軸            15 ハンドリム
17 グリップ
30 クラッチ機構        31 ケーシング
33 同筒部           35 側壁部
37 ビス            39 ビス
41 スリーブ部         43 ベアリング
45 カップリング        47 回転軸
49 ベアリング         51 先端部
53 カムピン          55 スペーサ
61 クラッチ          63 クラッチディスク
65 クラッチ板         67 ビス
69 スリーブ部         71 バネ
73 バネ押え板         75 大径円筒部
77 小径円筒部         79 キー
81 溝             83 穴
85、87 バネ保持穴      91 溝
93 カム面          100 差動歯車組立
101 上かさ歯車        103 下かさ歯車
105 右かさ歯車        107 左かさ歯車
109、111 中心軸      113、115 軸受
117 円柱状部材        119 ピン

Claims (4)

  1. 操作者が手動駆動する左右の車輪を備える手動車いすであって、
    前記左右の車輪の車軸が同期回転するように連結される位置(入)と、独立回転する位置(切)と、の間で切替可能なクラッチを有し、
    該クラッチが、前記左右の車輪の車軸間を伝わるトルクが所定値以下の場合は“入”となり、該トルクが前記所定値を超える場合は“切”となることを特徴とする手動車いす。
  2. 前記クラッチが“切”のときに前記左右の車軸間を相対回動自在に連結し、前記クラッチが“入”のときに前記左右の車軸と一体に回転する差動歯車機構を有することを特徴とする請求項1記載の手動車いす。
  3. 前記クラッチが収容されるケーシングを備え、
    該クラッチが、前記ケーシングに固定されたクラッチディスクと、該クラッチディスクに対向するクラッチ板とを含み、
    該クラッチ板は、バネにより前記クラッチディスク方向に付勢されるとともに、前記左右の車輪の車軸間を伝わる前記所定値を超えるトルクにより、前記クラッチディスクから前記クラッチ板が離れることを特徴とする請求項1又は2記載の手動車いす。
  4. 前記車軸がカムピンを有し、
    前記クラッチ板が、テーパ状のカム面を有し、
    前記前記左右の車輪の車軸間を伝わる前記所定値を超えるトルクによって、前記カムピンが前記カム面に沿ってスライドすることにより、前記クラッチ板が、前記クラッチディスクから前記車軸方向に沿って離れることを特徴とする請求項3記載の手動車いす。
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