JP6129640B2 - 防塵部材及び測定器 - Google Patents

Description

本発明は、防塵部材及び測定器に関する。

測定器の一例として、リニアエンコーダ等が工作機械等に搭載されている。先ず、一般的なリニアエンコーダの構成を説明する。図１は、一般的なリニアエンコーダを概略的に示している。図５は、一般的なリニアエンコーダの断面図を示している。なお、以下の説明では、便宜上、スケールの長手方向をＸ軸方向、スケールの短手方向をＹ軸方向、スケールの厚さ方向をＺ軸方向とする場合がある。

一般的なリニアエンコーダは、図１及び図５に示すように、枠部１の内部においてスケール２が保持されており、Ｘ軸方向に形成された挿入部１ａに検出部３が挿入された状態で、スケール２と検出部３とが相対的に移動し、検出部３がスケール２から位置情報を検出する構成とされている（例えば、特許文献１を参照）。

このような構成において、枠部１の挿入部１ａから油や切粉を含む塵等が挿入しないように、Ｚ軸方向において当該挿入部１ａを挟んで向かい合うように配置された防塵部材１０１が枠部１に設けられているが、スケール２と検出部３とが相対的に移動する際には、検出部３が向かい合う防塵部材１０１を掻き分けながら、枠部１の挿入部１ａ内をＸ軸方向に移動する。

次に、防塵部材１０１の構成を説明する。図６は、一般的な防塵部材１０１の構成を示している。防塵部材１０１の長手方向の長さは、枠部１における挿入部１ａのＸ軸方向の長さと略等しい。防塵部材１０１は、枠部１の嵌め込み部１ｂに嵌め込まれる基部１０１ａと、基部１０１ａから突出する舌部１０１ｂと、を備えている。

ここで、防塵部材１０１は、一般的にウレタン等の可撓性材料で成形されており、例えば切削油等に対する長手方向の吸水による膨張を抑制するために、金属製又は合成繊維製のワイヤ１０２を内包している。ワイヤ１０２は、防塵部材１０１の先端部近傍に配置されている。

特開２００８−２６７９８９号公報

一般的な防塵部材１０１は、上述のようにワイヤ１０２が当該防塵部材１０１の先端部近傍に配置されているため、例えば検出部３が枠部１の挿入部１ａ内を移動する際にワイヤ１０２が変形するが、当該検出部３の移動が繰り返されることでワイヤの変形も繰り返される。そのため、防塵部材１０１の先端部が変形して元の状態に戻らなくなり、検出部３との密閉性（シール性）が落ちる。

本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、検出部の移動に伴う変形を抑制することができる防塵部材及び当該防塵部材を用いた測定器を提供することを目的とする。

本発明の一形態に係る防塵部材は、内部にスケールを保持し、長手方向に形成された挿入部を有する枠部と、前記挿入部に挿入され、前記スケールから位置情報を検出するべく前記挿入部に沿って前記スケールの長手方向に移動可能な検出部と、を備える測定器の前記挿入部を塞ぐべく前記枠部に設けられる防塵部材であって、前記防塵部材は、長手方向に連続して補強部材を内包し、前記補強部材は、前記防塵部材の幅方向の略中央部に配置されている。

上述の防塵部材において、前記補強部材は、前記防塵部材の幅寸法の略中央部に配置されていることが好ましい。

上述の防塵部材において、前記補強部材は、前記防塵部材の縦断面の略重心部に配置されていることが好ましい。

上述の防塵部材において、前記補強部材は、前記防塵部材の厚さ方向の略中央部に配置されていることが好ましい。

上述の防塵部材において、前記補強部材は、金属製又は合成繊維製のワイヤの撚線であることが好ましい。

本発明の一形態に係る測定器は、上述の防塵部材を備える。

本発明によれば、検出部の移動に伴う変形を抑制することができる防塵部材及び当該防塵部材を用いた測定器を提供することができる。

一般的なリニアエンコーダを概略的に示す斜視図である。 実施の形態に係る防塵部材を概略的に示す断面図である。 実施の形態に係る防塵部材で、枠部の挿入部における検出部が挿入されていない部分を塞ぐ様子を概略的に示す断面図である。 実施の形態に係る防塵部材で、枠部の挿入部における検出部が挿入された部分を塞ぐ様子を概略的に示す断面図である。 一般的なリニアエンコーダを概略的に示す断面図である。 一般的な防塵部材を概略的に示す断面図である。

以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。

先ず、本実施の形態の防塵部材が適用される測定器の基本構成を説明する。ここで、本実施の形態の防塵部材は、測定器の代表例であるリニアエンコーダに適用される。但し、本実施の形態の防塵部材は、リニアエンコーダ以外の測定器にも適用することができる。

ここで、リニアエンコーダの構成については背景技術の欄で説明したが、再度、図１及び図５を引用しながら簡単に説明する。一般的なリニアエンコーダは、図１及び図５に示すように、枠部１の内部にスケール２が保持されており、Ｘ軸方向に形成された挿入部１ａに検出部３が挿入された状態で、スケール２と検出部３とが相対的に移動し、検出部３がスケール２から位置情報を検出する構成とされている。

このような構成において、上述のように枠部１の挿入部１ａから塵等が挿入しないように防塵構造を採用する必要があるが、当該防塵構造に本実施の形態の防塵部材が適用される。

ここで、スケール２としては、一般的なリニアエンコーダで用いられる光学式スケール又は電磁誘電式スケール等を用いることができ、検出部３はスケール２から位置情報を検出することができるように構成される。

次に、本実施の形態の防塵部材の構成を説明する。図２は、防塵部材の構成を示している。防塵部材４は、基部４ａと舌部４ｂと凸部４ｃと補強部材４ｄとを備えており、補強部材４ｄを内包するように、基部４ａと舌部４ｂと凸部４ｃとがウレタン、ＮＢＲ（Nitrile butadiene rubber）、フッ素ゴム等の可撓性材料で一体的に成形されている。

基部４ａの長手方向の長さは、枠部１の挿入部１ａのＸ軸方向の長さと略等しい。基部４ａは、枠部１の嵌め込み部１ｂに対応する形状に形成されており、当該枠部１の嵌め込み部１ｂに嵌め込まれる。但し、基部４ａの形状は、防塵部材４を枠部１の嵌め込み部１ｂに支持させることができる形状であればよい。

ここで、図３及び図４に示すように、枠部１の嵌め込み部１ｂは、Ｚ軸方向において枠部１の挿入部１ａを挟んで向かい合うように配置されている。嵌め込み部１ｂは、Ｘ軸方向から見て、略矩形状に形成されており、挿入部１ａ側に開口部１ｃを備えている。但し、嵌め込み部１ｂの形状は、防塵部材４の基部４ａを良好に挿入できる形状であればよい。

開口部１ｃは、枠部１における嵌め込み部１ｂの挿入部１ａ近傍からＹ軸の＋方向に突出する側壁１ｄによって部分的に覆われている。ちなみに、側壁１ｄの先端部は、防塵部材４が接触しても、当該防塵部材４が損傷しないように、湾曲部とされていることが好ましい。

防塵部材４の説明に戻り、舌部４ｂは、基部４ａの長手方向の略全域に形成されており、基部４ａから突出する板状部材である。舌部４ｂの短手方向（幅方向）の長さは、詳細は後述するが、向かい合う防塵部材４とで枠部１の挿入部１ａを良好に塞ぐことができる長さに設定されている。

凸部４ｃは、舌部４ｂの長手方向の略全域に形成されている。凸部４ｃは、詳細は後述するが、舌部４ｂにおける向かい合う防塵部材４と接触する側の面の先端部近傍から突出する。なお、凸部４ｃの機能については、後述する。

補強部材４ｄは、防塵部材４を補強する。補強部材４ｄは、金属製又はアラミド等の合成繊維製のワイヤであることが好ましい。特に補強部材４ｄは、金属製又はアラミド等の合成繊維製のワイヤの撚線であることが好ましい。これにより、一体成形されたときに可撓性材料との密着性を向上させることができる。

補強部材４ｄは、防塵部材４の長手方向の全域に配置されている。そして、補強部材４ｄは、少なくとも防塵部材４の幅方向の略中央部に配置されている。つまり、検出部３が枠部１内を移動した際に、当該検出部３の移動に伴う変形が生じ難い位置に補強部材４ｄが配置されている。そのため、検出部３が枠部１内を移動する動作が繰り返されても、補強部材４ｄの変形が抑制される。そのため、検出部３の移動に伴う防塵部材４の先端部の変形が抑制され、検出部３との密閉性（シール性）を確保することができる。

しかも、防塵部材４における幅方向の両端部の変形特性を略等しくすることができ、例えば防塵部材４における幅方向の両端部において、切削油等に対する長手方向の吸水による膨張量の差を低減でき、防塵部材４のねじれや反りを抑制することができる。

特に、防塵部材４をフッ素ゴムで押し出し成型する場合、製法上、補強部材４ｄを１本のみ内包させることが可能である。このような場合、防塵部材４における幅方向の一方の端部にワイヤを内包する場合に比べて、防塵部材４における幅方向の端部と補強部材４ｄとの間隔を短くすることができ、防塵部材４における幅方向の両端部の変形特性を略等しくすることができ、防塵部材４のねじれや反りを抑制することができる。

また、成型時に熱収縮が生じても、防塵部材４における幅方向の両端部の変形特性が略等しいので、防塵部材４のねじれや反りを抑制することができる。

ここで、補強部材４ｄは、防塵部材４の幅寸法Ｗの略中央部、又は防塵部材４の縦断面の略重心部のいずれかの位置に配置されていればよい。

また、補強部材４ｄは、防塵部材４の厚さ方向の略中央部に配置されていることが好ましい。本実施の形態の補強部材４ｄは、舌部４ｂの厚さ方向の略中央部に配置され、周囲に肉盛りが施されている。これにより、補強部材４ｄが確実に覆われ、切粉等で補強部材４ｄが切断される可能性を低減することができる。

次に、本実施の形態の防塵部材４をリニアエンコーダの防塵構造に適用した形態を説明する。図３は、向かい合う防塵部材同士で、枠部１の挿入部１ａにおける検出部３が挿入されていない部分を塞ぐ様子を示している。図４は、向かい合う防塵部材同士で、枠部１の挿入部１ａにおける検出部３が挿入された部分を塞ぐ様子を示している。

上述の防塵部材４は、図３及び図４に示すように、舌部４ｂが枠部１における嵌め込み部１ｂの開口部１ｃから突出するように、基部４ａが当該嵌め込み部１ｂに嵌め込まれる。

そして、枠部１の挿入部１ａにおける検出部３が挿入されていない部分では、Ｚ軸方向で向かい合うように配置された防塵部材４は、反った状態、即ち各々の防塵部材４の先端部がＹ軸の−方向に回転変形した状態で、防塵部材４の先端部同士が接触して、枠部１の挿入部１ａを閉じた状態とする。

本実施の形態では、図３に示すように、防塵部材４の凸部４ｃを用いて防塵部材４の先端部同士が係合し、防塵部材４同士が反った状態に維持される。これにより、各々の防塵部材４は復元力によって他方の防塵部材４を押し込む方向に力を発現するので、いずれか一方の防塵部材４の先端部がＹ軸方向の−方向に回転変形して、防塵部材４の先端部同士が閉じた状態から開いた状態に移行しようとしても、防塵部材４の復元力によって抑制される。そのため、枠部１内への塵等の侵入を抑制することができる。

一方、枠部１の挿入部１ａにおける検出部３が挿入された部分では、Ｚ軸方向において向かい合うように配置された防塵部材４は、反った状態で、防塵部材４の先端部同士で検出部３を挟み込み、枠部１の挿入部１ａを閉じた状態とする。

本実施の形態では、図４に示すように、防塵部材４の凸部４ｃが検出部３に接触し、防塵部材４が反った状態に維持される。これにより、各々の防塵部材４は復元力によって検出部３を押し込む方向に力を発現するので、いずれか一方の防塵部材４の先端部がＹ軸の−方向に回転変形して、防塵部材４の先端部と検出部３とが閉じた状態から開いた状態に移行しようとしても、防塵部材４の復元力によって抑制される。そのため、枠部１内への塵等の侵入を抑制することができる。

本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。

１ 枠部、１ａ 挿入部、１ｂ 嵌め込み部、１ｃ 開口部、１ｄ 側壁
２ スケール
３ 検出部
４ 防塵部材、４ａ 基部、４ｂ 舌部、４ｃ 凸部、４ｄ 補強部材
１０１ 防塵部材、１０１ａ 基部、１０１ｂ 舌部
１０２ ワイヤ
Ｗ 幅寸法

Claims (7)

1. 内部にスケールを保持し、長手方向に形成された挿入部を有する枠部と、前記挿入部に挿入され、前記スケールから位置情報を検出するべく前記挿入部に沿って前記スケールの長手方向に移動可能な検出部と、を備える測定器の前記挿入部を塞ぐべく前記枠部に設けられる防塵部材であって、
   前記防塵部材は、長手方向に連続して補強部材を内包し、
   前記補強部材は、前記防塵部材の幅方向の略中央部に配置されている防塵部材。
2. 前記補強部材は、前記防塵部材の幅寸法の略中央部に配置されている請求項１に記載の防塵部材。
3. 前記補強部材は、前記防塵部材の縦断面の略重心部に配置されている請求項１に記載の防塵部材。
4. 前記補強部材は、前記防塵部材の厚さ方向の略中央部に配置されている請求項１乃至３のいずれか１項に記載の防塵部材。
5. 前記補強部材は、金属製又は合成繊維製のワイヤの撚線である請求項１乃至４のいずれか１項に記載の防塵部材。
6. 前記防塵部材は、前記枠部に向かい合うように設けられた場合、前記測定器の挿入部における前記検出部が配置されていない位置において、前記防塵部材が反った状態で当該防塵部材の先端部同士を係合可能に、前記防塵部材における向かい合う防塵部材の先端部が接触する側の面に凸部が形成されている、請求項１乃至５のいずれか１項に記載の防塵部材。
7. 請求項１乃至６のいずれか１項に記載の防塵部材を備える測定器。

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