JP2007098120A - 医療用処置具及びその回転操作装置並びに医療用処置装置 - Google Patents

医療用処置具及びその回転操作装置並びに医療用処置装置 Download PDF

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剛 寺師
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Abstract

【課題】医療用処置具を回転操作装置により回転させて病変閉塞部に進入させる際に、先端部への過大なトルクの伝達を防止する。
【解決手段】回転操作装置201を、第1回転体210と第2回転体211とオーバートルク防止部230とから構成する。第1回転体210に、ルアーロック部202と第1ギヤ203とシャフト部208を設ける。第2回転体211に、第2ギヤ204と保持軸孔と回転操作部209を設ける。第1回転体210を第2回転体211に回動自在に取り付ける。皿バネ206及び固定ナット221により、第2ギヤ204に第1ギヤ203が噛み合うように付勢する。第1ギヤ203、第2ギヤ204、皿バネ206、及び固定ナット221によりオーバートルク防止部230を構成する。回転操作部209からの一定値を超えたトルクは第2ギヤ204が空転することにより伝達されることがなく、過大なトルクの伝達が防止される。
【選択図】図22

Description

本発明は、血管等の状態を検査又は治療するためカテーテルなどに使用される医療用処置具及びその回転操作装置並びに医療用処置装置に関する。
医療用処置具として、人体の血管内患部の状態を検査したり該患部を治療したりするために、血管内に挿入されるカテーテルなどが使用されている。一般に、カテーテルは、予め血管内に挿入されたガイドワイヤの外周に沿って挿通されるものであり、チューブ状をした中空構造をなしている。また、血管等に挿入されたガイドワイヤは、X線造影剤注入用のカテーテルを挿入したり、狭窄部位を拡大したりするためのバルーンカテーテルやステントを送り込むときの案内部材として使用される。このようなガイドワイヤ及び医療用処置具として、先端部と手元部を有し、先端部をコイルスプリング体で形成するとともにその先端に先端チップを固着して柔軟性を持たせたものが使用されている。
このような医療用処置具に関する技術として、例えば、特許文献1には、先端部に螺旋状凸部を有するカテーテル本体と先端に刃を設けたカテーテルシースとを組み合わせて回転によりカテーテル本体を狭窄部へ進入させた後、カテーテルシースの先端刃により狭窄部を切除する技術が開示されている。また、特許文献2には、ガイドワイヤの外周部に、先端部を縮径テーパ状に形成した外筒体(中空ワイヤ)を多重に設ける構成を採ることにより、バルーンカテーテルを使用しなくても、狭窄部の内面を押し広げる拡径治療を可能にした医療用処置具が開示されている。
さらに、特許文献3には、外面又は内面に複数の凹凸部を形成して曲げ応力を分散することにより、折れ癖を無くすとともに、柔軟性及び耐よじれ性の向上が可能な血管カテーテルが開示されている。また、特許文献4には、複数本のワイヤを一定のピッチ角で螺旋状に巻回した多条線コイルからなるシャフト部分と、該シャフト部分の先端部に固着された先導栓とを有する血管処置用のガイドワイヤが開示されている。
特開昭63−262160号公報 実開平5−63554号公報 特開平6−47094号公報 特表2002−539901号公報
ところで、一般的に完全閉塞部の両端部はすり鉢状のカップ状になっていて、近傍側カップは中央部が凹状になっているため、医療用処置具によって真腔を捕らえやすい反面、硬質部が厚くなっているため、これを穿孔して貫通することが困難である。さらに、遠位側カップは近位側カップに比べて硬質部が薄くなっているものの中央部が進行方向に対して凸状になっているために中央通路から逸れやすい。このような傾向は、特に遠位側カップの手前に硬い石灰化小片が散在している場合に強くなる。この理由は、硬軟組織が散在していると、軟質組織に導かれる形態で進行方向が変化させられ、偽腔を形成しやすく、ひいては血管穿孔を招きやすいからである。
療用処置具の従来技術の一例として、先端部に円筒状の先端チップを有する医療用チューブ体が市販されている。しかし、従来の医療用処置具では、回転させて血管内を進入させるときのねじれにより、手元側の回転に対して先端側の回転が遅れることがある。このため、先端部へ過大なトルクが伝達され、これによって血管穿孔等の不具合が発生することがあった。
また、先端部が円筒状の先端チップを有する医療用チューブ体は、先端部の横断面形状が同一又は相似形状の単なる円管状のものであり、穿孔機能を有していない。そのため、近位側カップの硬質部が厚くなるほど進入力がなくなって空回り状態となり、その手前側で大きく撓んでしまい、進行することができなくなる。また、仮に近位側カップを貫通させても、遠位側カップの手前に石灰化小片が散在していると、これに捕捉されて同様に空回り状態となり、進入することができなくなる。
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、回転させて病変閉塞部内へ進入させるに際し、先端部への過大なトルク伝達を防止することができ、しかも病変閉塞部の切削を容易にかつ正確に行うことが可能な医療用処置具の回転操作装置を提供することである。また、本発明の別の目的は、病変閉塞部内への進入及び病変閉塞部の切削を容易にかつ正確に行うことが可能な医療用処置具及びこれを有する医療用処置装置及びガイドワイヤ付きの医療用処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、医療用ガイドワイヤの外周に沿って挿通されるチューブ体からなる医療用処置具において、前記チューブ体は、金属製のコイル体と、前記コイル体の先端に取り付けられる金属製の中空チップと、前記中空チップの先端部に形成され、前記チューブ体の使用状態において前記中空チップが病変部位に接触して回転するときに該病変部位を削る刃面とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記中空チップの先端部はテーパ状に形成されていることを特徴とする。そして、前記刃面は、前記中空チップの先端面と外周面とに該中空チップの略軸心方向に伸びるように形成されるU字状またはV字状の溝から構成されることが好ましい。また、前記刃面は、前記中空チップの軸心に対して傾斜する切欠き面を該中空チップの先端面と外周面とに渡って有する切欠きから構成されることが好ましい。また、前記刃面は、前記中空チップの先端面に開口し、該中空チップの外周面に螺旋状に配置されるスパイラル溝から構成されることが好ましい。
前記コイル体は複数の金属線材を螺旋状に巻き取った多条コイル体から構成されることを特徴とする。また、前記コイル体は複数の金属線材を撚り合せたものを螺旋状に巻き取った多条コイル体から構成されることを特徴とする。そして、前記コイル体が回転により縮径する第1回転方向のときに、前記刃面により前記病変部位を削ることを特徴とする。また、前記コイル体は先端に向かうに従い次第に直径が小さくなるテーパに形成されていることが好ましい。また、前記中空チップは放射線不透過材から構成されていることが好ましい。
また、本発明は、上記の医療用処置具を手元側で回転操作する回転操作装置において、前記チューブ体と共に回転し、前記ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ挿通孔を有する第1回転体と、前記第1回転体に回転自在に取り付けられ、手元側で回転操作するための第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体とを接触させて一定値以下のトルクで第2回転体の回転を第1回転体に伝達し、一定値を超えたトルク伝達に対して第2回転体が空転するオーバートルク防止部とを備えることを特徴とする。
なお、前記第1回転体及び第2回転体の接触面の一方は係止突起を有し、前記第1回転体及び第2回転体の接触面の他方は係止凹部を有し、前記オーバートルク防止部は、前記係止突起と係止凹部とを係止させる係止位置、及び係止を解除させる係止解除位置の間で第1回転体及び第2回転体を相対的に移動自在に保持する保持部材と、前記係止位置となるように前記第1回転体または第2回転体を付勢してこれら回転体同士が一体に回転して前記一定値以下のトルクを伝達し、前記一定値を超えたトルク伝達に対しては前記係止解除位置となって第2回転体が第1回転体に対して空転する付勢部材とを備えることを特徴とする。
なお、前記第2回転体は前記第1回転体の回転方向で回転自在に取り付けられ、前記係止突起は前記第1回転体の端面に軸心を中心として放射状に形成される複数の第1の係止突条であり、前記係止凹部は前記第2回転体の端面に軸心を中心として放射状に形成される複数の第2係止突条であり、これら第2係止突条の間の谷部に前記第1の係止突条が嵌まって前記係止位置となり、前記第2の係止突条を前記第1の係止突条が乗り越えることで係止解除位置となることが好ましい。また、前記第1及び第2の係止突条は、前記軸心を通る放射線を稜線とし前記放射線に直交する断面が略三角形状の突条本体から構成されていることが好ましい。さらに、前記オーバートルク防止部は、前記第1回転体に形成される第1ギヤと、前記第2回転体に形成され前記第1ギヤと噛み合う第2ギヤと、前記第2ギヤを前記第1ギヤに押圧する付勢部材とを有し、前記第1ギヤと第2ギヤとの間に作用するトルクが一定値を超えると前記第2ギヤが前記第1ギヤに対して空回りすることが好ましい。
本発明は、前記第1回転体はシャフト部を有し、前記第2回転体は前記シャフト部に回転自在に取り付けられ、前記オーバートルク防止部は、前記シャフト部に形成される係止凹部と、前記係止凹部に係止するロックボールと、このロックボールを前記係止凹部に係止させる係止位置、及び係止を解除させる係止解除位置の間で移動自在に保持する保持部材と、前記ロックボールを係止位置へ向けて付勢して前記第1回転体及び第2回転体同士が一体に回転して前記一定値以下のトルクを伝達し、前記一定値を超えたトルク伝達に対しては前記ロックボールが係止解除位置となって第2回転体が第1回転体に対して空転する付勢部材とを備えることを特徴とする。
なお、前記付勢部材の付勢力を調整する付勢力調整部材を有することが好ましく、この場合には付勢力を変えて伝達トルクを変更することができる。また、第2回転体は、大径把持部と小径把持部とを有することが好ましく、この場合には、病変部位に応じて大径把持部または小径把持部を使い分けて回転させることで、病変部位への伝達トルクを容易に変更することができる。
本発明の医療用処置装置は、上記の医療用処置具と、上記の医療用処置具の回転操作装置とを備え、前記チューブ体は、前記第1回転体にコネクタを介して着脱自在に連結されることを特徴とする。また、本発明の医療用処置装置は、上記の医療用処置装置と、少なくとも先端部にコイル体を有するガイドワイヤとを備え、前記ガイドワイヤの外周に沿って前記チューブ体及び前記第1回転体が挿通され、前記チューブ体の前記コイル体と前記ガイドワイヤの前記コイル体との線材巻き方向が逆であることを特徴とする。
また、本発明の医療用処置具の回転操作装置は、医療用ガイドワイヤの外周に沿って挿通され、金属製のコイル体の先端に金属製の中空チップが取り付けられているチューブ体からなる医療用処置具を手元側で回転操作する回転操作装置において、前記チューブ体と共に回転し、前記ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ挿通孔を有する第1回転体と、前記第1回転体に回転自在に取り付けられ、手元側で回転操作するための第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体とを接触させて一定値以下のトルクで第2回転体の回転を第1回転体に伝達し、一定値を超えたトルク伝達に対して第2回転体が空転するオーバートルク防止部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、チューブ体と共に回転し、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ挿通孔を有する第1回転体と、前記第1回転体に回転自在に取り付けられ、手元側で回転操作するための第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体とを接触させて一定値以下のトルクで第2回転体の回転を第1回転体に伝達し、一定値を超えたトルク伝達に対して第2回転体が空転するオーバートルク防止部とを備えることにより、第2回転体を回転させてチューブ体の先端を病変閉塞部内へ進入させるに際し、手元側である第2回転体からの過大なトルクがチューブ体の先端部へ伝達されることがなくなり、過大なトルクが先端部に伝達されてしまうことに起因する血管穿孔等を防止することができる。また、適度なトルクがチューブ体の先端部へ伝達されるため、病変閉塞部の切削を容易にかつ正確に行うことができる。
また、中空チップは先端部に刃面を有し、前記刃面は使用状態において前記中空チップが病変部位に接触して回転するときに該病変部位を削ることにより、病変部位内への進入及び病変部位の食い込みを容易且つ確実にしかも正確に行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る医療用処置具の全体の概略構成を示す側面図である。図1において、本実施形態に係る医療用処置具100は、図示右側の手元部から図示左側の先端部までの全長にわたって貫通孔(ガイドワイヤ挿通孔)が形成された中空状のチューブ構造をなしている。そして、ルアー(ネジ)110を有するコネクタ120、プロテクタ130、保護チューブ140、コイルスプリング体50及び先端チップ(中空チップ)60が、手元部から先端部へ向かって順に配置される。医療処置でこの医療用処置具100を使用する際は、血管カテーテル等の場合のように、予め血管内に挿入されたガイドワイヤ(例えば図2中のガイドワイヤ170)の外周に沿って挿通され、病変狭窄部へ食い込むとともに回転もしくは押し込み操作により狭窄部の拡径処理や閉塞物質の切削除去などの処置を行う。
図2は本発明の一実施形態に係る医療用処置具の先端部の所定長さ領域の縦断面図である。この図2は図1中の領域Pに相当する部分を示す。また、図2では、本実施形態に係る医療用処置具100をガイドワイヤ170の外周に挿通した状態を示す。図2において、中空状の医療用処置具100は、その挿通孔100aをガイドワイヤ170に挿通することで該ガイドワイヤ170に案内されている。ガイドワイヤ170は、ワイヤ本体である芯線171の先端部を縮径して先端縮径部172とし、該先端縮径部172の周囲をコイルスプリング体180で包被する構造を有している。符号173は芯線171の基体部を示す。芯線171としては例えば基体部173の直径が0.355mmで長さ1.5m〜3m程度のステンレス鋼線又はニッケルチタン合金線等が使用され、その先端縮径部172は、例えば基端から先端までの長さが110mm〜150mm程度で直径0.142mmに縮径され、さらにその先端部が40〜50mm程度の範囲で先細状に縮径されている。
ガイドワイヤ170の先端縮径部172の先端(遠位端)には、ロウ付け等で先導栓174が固着されている。また、ガイドワイヤ170のコイルスプリング体180は、その基端部(近位端)180aでは芯線171にロウ付け等で固着され、その先端(遠位端)では先導栓174にロウ付け等で固着されている。先導栓174を有する芯線171は、基体部173の手元部(手前側の基端部)を操作しながら、人体の血管内患部の状態を検査したり該患部を治療したりする際のガイド部材として予め血管内に挿入される。芯線171の外周部に巻回されている外装部としてのコイルスプリング体180は、例えば外径0.065mmの金属線材を外径0.355mm程度でコイル状に巻回して形成されている。
本実施形態に係る医療用処置具100においては、図2の領域Qに示すように、先端部の先端から軸方向所定長さの範囲は、コイルスプリング体50とこのコイルスプリング体50の先端に固着された円筒状の先端チップ60とから構成されている。図3(A)は図2の領域Qを拡大して示すものであり、先端チップ60には刃面10が形成されている。また、医療用処置具100は、図2に示す先端領域を含め、その全長にわたって挿通孔100aが形成され、ガイドワイヤ170の外周に嵌合可能な中空状(中空構造)になっている。先端チップ60は貫通孔60aを有するストレート形状又は先端縮径(先細テーパ)形状、あるいはこれらの組み合わせからなる中空円筒状の部材で形成されている。この先端チップ60は、金又は白金等の放射線不透過材、あるいは放射線不透過材のロウ材で形成することが好ましい。
本実施形態では、先端チップ60の先端部に刃面10からなる刃面構造が形成されている。本実施形態における「刃面構造」は、使用状態における人体の血管内患部である狭窄部で先方へ進入するための「食い込み刃面」としての機能と、回転により狭窄部を切削するための「切削刃面」としての機能を兼ね備えている。従って、図1及び図2に示す実施形態によれば、チューブ構造からなる中空状の医療用処置具の先端に上記刃面構造が形成されることから、以下に説明するような作用及び効果が得られる。
第1には、例えば、冠状動脈完全閉塞病変部内に血栓が高度に石灰化したり、硬く繊維化した組織が存在したりして、ガイドワイヤ170が貫通できない場合でも、刃面10を有する構造の「食い込み刃面」としての機能による食いつき力並びに「切削刃面」としての機能による切削力により、血管内を穿孔して貫通させることで孔内壁が平滑な真腔(血管内中央通路)をきわめて容易に形成することができる。
図4は一実施形態に係る医療用処置具100により血管300内の完全閉塞部301を穿刺し、貫通させる状態を示す断面図である。図26は本発明を適用しない医療用処置具(医療用チューブ体)400によって病変閉塞部401を治療するときの不都合を例示する部分断面図である。図5は本発明を適用した医療用処置具100によって病変閉塞部304を治療するときの状態を例示する部分断面図である。図4に示すように、一般に、完全閉塞部301の両端部はすり鉢形状のカップ状になっており、近傍側カップ301aは中央部が凹状で厚くなっているため、真腔を捕らえやすい。その反面、これを穿孔して貫通していくことは、硬質部が厚いため困難である。また、遠位側カップ301bは硬質部が薄くなっているものの、中央部が進行方向に凸状になっているため、この中央通路から逸れ易い。特に遠位側カップ301bの手前に硬い石灰化小片305が散在していると、この傾向が顕著である。その理由は、硬軟組織が散在していると、軟質組織に導かれるようにして処置具100の進行方向が変化させられ、偽腔を形成しやすく、ひいては二点鎖線で表示するように、血管穿孔を招来しやすいことにある。
なお、図26に示すように、従来技術の一例として、先端部が円筒状の先端チップ402を有するコイルスプリング体403からなる医療用処置具400が市販されている。しかし、この医療用処置具400は、先端部の横断面形状が同一又は相似形状の単なる円環形状であり、本実施形態における刃面10を形成していないため、穿孔機能を有しないものである。また、近位側カップ401の硬質部401aが厚くなるほど、先端チップ402の進入力がなくなり、硬質部401a内で空回り状態となる。このため、コイルスプリング体403が、破線で示すように、その手前側で大きく撓み変形し、進行することができなくなる。同様に、仮に近位側カップ401を貫通したとしても、遠位側カップの手前で石灰化小片が散在している場合には、これに捕捉されて前述と同様の空回り状態となり、進入が停止する。
これに対し、本実施形態に係る医療用処置具100によれば、上記の空回り等の不具合発生を防ぐことができる。そのメカニズムを図4及び図5を参照して説明する。図5に示すように、先端チップ60の先端側と手元側(基端側)とでは横断面形状が異なり、先端側の断面積が小さくなったテーパ状となっており、面圧が高まる構造となっている。そのため、先端チップ60が硬質部310に押し付けられると、刃面10が食い込み刃面として作用し、硬質部310へ食い込んで硬質組織に食いつき、この食いつきにより押し出された硬質組織が刃面10上に盛り上がる。そこで、医療用処置具100を回転させることにより、この硬質組織片を刃面10の切削刃面としての機能により、削り取ることができる。そして、この繰り返し操作により、病変組織の形態の如何を問わず、常に連続的な穿孔及び進入が可能となる。
また、図4に示すように、本実施形態に係る医療用処置具100によれば、完全閉塞部301を穿孔及び貫通した後の内壁面を平滑面にすることができ、その結果、バルーンカテーテル及びステント付きバルーンカテーテルの病変部内における通過性を向上させることができる。従って、所望位置へのカテーテル等の導入が容易になり、適正位置での病変部の拡張並びにステントの拡張及び留置が容易になる。この平滑面が得られる理由は、例えば孔あけ工具のドリルと同様の切削刃面による回転切削と、それに続く手前側の平滑な均等径を有する先端チップ60の構造体形状にある。なお、先端チップ60の外周面を研磨すれば、より平滑な面が得られ、好ましい態様となる。
さらに、図6に示すように、本実施形態に係る医療用処置具100によれば、刃面10を冠状動脈完全閉塞病変部312に食い込ませて係止させることにより、ガイドワイヤ170(図2参照)を押し進める力となるバックアップ力を増強させることができる。そのため、同一のガイドワイヤ170であっても、その閉塞部313内での穿通力を大幅に増大させることができるという顕著な作用効果が得られる。先端チップの先端部及び後端部の横断面がほぼ同じ形状の単なる円筒状の従来品では、例えば病変部312内がほとんど全て器質化して硬い組織からなる全周性高度石灰化病変、表在性石灰化病変、あるいは病変長が25mm以上の長い、び慢性病変においては、前述のような処置具の空回りが発生しやすい。
その理由は、上記の従来品には、本実施形態のような病変組織への食いつき機能及び切除機能を有する刃面(刃面構造)10が存在しないからである。つまり、従来品では、上記空回り状態でガイドワイヤを前方へ押し進めようとして押し込み力を加えても、この押し込み操作力の反力として支えることはできず、逆にこの力を受けて手前側へ戻されて先端チップが病変位置から外れてしまうという不都合がある。
図6は本発明を適用した医療用処置具100を用いて高度屈曲部の病変部312を治療するときの状態を従来例のもの(二点鎖線表示)315と比較して例示する部分断面図である。完全閉塞の病変部312を貫通させるガイドワイヤ170(図2参照)として、一般に先端部の曲げ剛性が高いもの(例えば芯線の径が約0.1mmと太いもの)が好んで用いられる。しかし、図6に示すように、病変部312の遠位側に高度な屈曲蛇行部314が存在する場合、この曲げ剛性の高いガイドワイヤ315では屈曲蛇行に追従できなくなり、破線で示すように、血管穿孔を招きやすくなる。例えば、このような傾向は、右冠状動脈分岐部近傍の病変部に強く現れる。
かかる場合において、本実施形態に係る医療用処置具100によれば、高度に屈曲・蛇行している完全閉塞病変部312の手前側の病変組織内に先端チップ60の部分を食い込み係止させ、ガイドワイヤ170(図2参照)を推し進める力の反力をこの係止によって支えることができる。それによって、先端部の曲げ剛性が低く柔らかいガイドワイヤの場合でも、その穿通力を数倍に増強させることができる。そして、柔らかいガイドワイヤにより屈曲蛇行部314での追従を可能にして、この屈曲蛇行部314を貫通させることができ、ガイドワイヤの押し込み力を支えるバックアップ機能を実現できるという顕著な作用効果が得られる。
本発明においては、以上の実施形態に係る医療用処置具100における先端チップ60の刃面(刃面構造)10、あるいはコイルスプリング体50や先端チップ60として、種々の構造及び形状のものを使用することができ、以下に好適な実施例を挙げて具体的に説明する。
図3は実施例1に係る医療用処置具の先端チップの刃面の構造例を示す斜視図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例を、(C)は第3構造例を、(D)は第4構造例をそれぞれ示す。本実施例では、先端チップ60〜63の略軸心方向へU字状又はV字状の溝形状の刃面10,11,12,13が形成されている。図3において、(A)の第1構造例では、先端チップ60の先端面の直径方向に相対向する2箇所にV字溝からなる刃面10が形成されており、(B)の第2構造例では、先端チップ61の先端面の円周方向の4箇所(例えば4等分の位置)にV字溝からなる刃面11が形成されており、(C)の第3構造例では、先端チップ62の先端面の円周方向の2箇所(例えば2等分の位置)に傾斜V字溝からなる刃面12が形成されている。また、(D)の第4構造例では、(A)の第1構造例のV字溝からなる刃面10に代えて、先端チップ63にU字溝の刃面13が形成されている。なお、(B),(C)のV字溝の刃面11,12に代えて、U字溝の刃面を形成してもよい。
図7(A)〜(D)は実施例1に係る医療用処置具の先端チップの刃面による作用効果を示すための説明図である。本実施例では、先端チップ60〜62の先端端面から軸心方向へ形成されたV字溝又はU字溝により刃面10〜12が形成されるものである。例えば図7(A)に示すように刃面10を円周方向で180°ピッチで2個形成した二つ割りタイプでは、略V字溝の食い込み刃面10aと略V字状の側壁からなる切削刃面10bとを有する刃面構造が形成されている。また、本実施例では、円筒状の先端チップ60〜62は先端側の横断面積が手元側より小さくなるように先端側が縮小した形状をしており、先端端部が食い込み刃面を有し、かつ回転方向に切削するための切削刃面を長手方向に有する刃面構造になっている。これにより、病変組織への食いつき力と切削能力とを向上させ、硬質の病変組織でも容易に穿孔及び貫通させることができる。そして、先端端部にV字溝又はU字溝を設けることにより、病変組織への食いつき力を向上させることができる。
これは、先端側の横断面積を小さくして面圧を高くすることにより、病変組織への進入力を向上させているからである。V字状またはU字状の壁が切削刃面を形成しているため、これを回転させることにより、この部位へ盛り上がり、食い込んだ病変組織を切除することができる。また、V字溝の数を増大することにより、病変組織への食いつき力及び切除能力を一層向上させることができる。また、先端チップ60〜63の先端側をテーパ形状とすることにより、先端側へのトルク伝達力を向上させることができる。これは、トルク力は腕の長さ比で決まるため、以上説明した実施例1において、例えば先端チップ60〜63の手元側の外径が1mmで先端側の先端端面外径が0.75mmのとき、トルクを約1.33倍に増大させることができる。
図7(D)に示すように、側面から見たV字溝15,16は二つのタイプがある。一方は、先端チップの軸心CL1に対し等角に配置されるAタイプのV字溝15である。他方は、先端チップの軸心CL1に対し一方の刃面が平行となるように配置されるBタイプのV字溝16である。図7(A),(B)の刃面10,11はAタイプのV字溝15から構成されており、図7(C)はBタイプのV字溝16から構成されている。なお、U字溝もV字溝と同様に、軸心に平行なタイプと傾斜させたタイプで構成することができる。
上記Bタイプのように、V字溝またはU字溝の一方の壁を軸心方向と平行とさせる構造とすることにより、溝壁による切削能力に差を設け、一方向回転での切削能力をより向上させ、逆回転方向での切削能力を少し低下させ、切削能力に回転方向性を持たせることができる。こうすることにより、高い切削能力を必要とする部位への方向性と、そうでない部位への方向性を、病変態様に応じて術者が選択して使用することができる。この実施例1によっても、穿孔及び貫通による平滑面形成によるバルーンカテーテルの導入容易性、ガイドワイヤのバックアップ特性など、その他の面では、前述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
図8は実施例2に係る医療用処置具の先端チップの刃面の構造例を示す斜視図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例を、(C)は第3構造例を、(D)は第4構造例をそれぞれ示す。本実施例では、刃面20〜23が軸方向へ傾斜面を有する切欠き刃面又はドリル状刃面で形成されている。図8において、(A)の第1構造例では、先端チップ70の先端面70aの円周方向1箇所で軸方向に延びる切り欠き刃面20aと軸方向で傾斜した相対向する切り欠き刃面20bとを有する刃面20が形成されている。
(B)の第2構造例では、(A)の刃面20に対してその切り欠き刃面20bを更に切り欠いて先端傾斜刃面21cを有する刃面21が形成されている。すなわち、先端チップ71の先端面71aの円周方向1個所で軸心方向に延びる切り欠き刃面21aと、軸方向で傾斜した相対向する切り欠き刃面21bとこれの先端に形成される先端傾斜刃面21cを有する刃面21を備えている。さらに、(C)の第3構造例では、(B)の刃面21に対してその切り欠き刃面21aを軸心に対して傾斜角θ2で傾斜させた傾斜刃面22dを有する刃面22が形成されている。すなわち、先端チップ72の先端面72aの円周方向1か所で軸方向に傾斜角θ1で延びる傾斜切り欠き刃面22aと、これに連続する切り欠き刃面22bと、これら刃面22a,22bに相対向する前記傾斜刃面22dを有する刃面22を備えている。
(D)の第4構造例では、先端チップ73の先端面73aの円周方向2箇所で軸方向に延びる切り欠き刃面23aと軸方向で傾斜した相対向する切り欠き刃面23bとを有する刃面23が形成されている。なお、図3(C)に示す先端チップ62と異なる点は、先端面が尖頭状になるように、切り欠き刃面23a,23bが先端で交差している点、切り欠き刃面23bが螺旋状に形成される点であり、これにより、この第4構造例ではドリル状の刃面となっている。
本実施例は、先端チップ70〜73の先端から長軸方向へ傾斜面を有する切り欠きV字状刃面20〜22もしくはドリル状の刃面23を有するものである。本実施例の切り欠き刃面20〜23も、実施例1と同様の食い込み刃面と切削刃面を有するものである。図8の各構造例のうち、病変組織への食い込みや食いつき能力の高さは、(D)の第4構造例>(C)の第3構造例≒(B)の第2構造例>(A)の第1構造例の順となる。この理由は、先端チップ70〜73の先端側横断面積が最も小さいのは第4構造例のドリル状の刃面23であるからである。また、回転による切削能力が高いのは、第4構造例のドリル状の刃面23である。この理由は、回転方向と略直交する主力刃面が、他の実施例のように1箇所ではなく、2箇所に設けられているからである。
このように軸心と平行な切削刃面を形成することで切削能力を向上させることができる。また、第2及び第3構造例のように先端端面に連続する傾斜面(傾斜角度θ1,θ2)を設けることにより、穿孔及び進入能力を向上させることができる。そして、実施例2によっても、穿孔及び貫通による平滑面形成によるバルーンカテーテルの導入容易性、ガイドワイヤのバックアップ特性など、その他の面では、前述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
図9(A)〜(D)は、実施例3に係る医療用処置具の先端チップの刃面の各種構造の側面(a)及び先端端面(b)を示す図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例を、(C)は第3構造例を、(D)は第4構造例をそれぞれ示す。図9(A)では、先端チップ80の横断面の中心を通る直線に関して対称の形状をしたワニ口状刃面30a,30bから刃面30が形成されている。(B)では、刃面31が先端チップ81の横断面の中心を通る直線に関して非対称の形状をしたワニ口状刃面31a,31bから形成されている。また、(C)では、刃面32が先端チップ82の横断面の中心を通る直線に関して対称の形状をした三日月状刃面32a,32bから形成されている。(D)では、刃面33が先端チップ83の横断面の中心を通る直線に関して非対称の形状をした三日月状刃面33a,33bから形成されている。
図10は実施例3に係る医療用処置具の先端チップの刃面構造の作用効果を示すための説明図である。本実施例は、先端チップ80〜83にワニ口状刃面30,31又は三日月状刃面32,33を有する刃面構造を設けたものである。本実施例の刃面構造は、上下2箇所に突出部を有するワニ口構造であるため、くわえた硬質組織をくわえた状態で維持し、これを外すことがなく、また、切削刃面の回転によって病変組織を切除するものである。そして、図9(A)の第1構造例及び(C)の第3構造例の対称構造においては、図10(A)のx1またはx2のいずれかを中心として回転運動するため、前述の実施例とは異なり、穿孔径を大きくすることができるという顕著な作用効果が得られる。
一方、図9(B)の第2構造例及び(D)の第4構造例のように2箇所の突出部に位置差y1,y2を設けた刃面構造では、図10(B)に示すように常にx3を中心とした回転運動となるため、先端部の穿孔径を少し大きくしながら先端部の回転位置を第1及び第3構造例の場合よりも安定化させることができる。従って、これらを病変態様に応じて任意に選択することで、適切な医療処置を行うことができる。そして、この実施例3によっても、穿孔及び貫通による平滑面形成によるバルーンカテーテルの導入容易性、ガイドワイヤのバックアップ特性など、その他の面では、前述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
図11は実施例4に係る医療用処置具の先端チップの刃面の各種構造の斜視側面(a)及び先端端面(b)を示す図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例をそれぞれ示す。図11(A)では、テーパ状の先端チップ85の先端部を斜めに切り欠いて、傾斜面35aと垂直端面35bとからなる円弧傾斜刃面35が形成されている。また、(B)では、傾斜面36aを有する先端チップ86に対し、さらに先端面を両側から斜めに傾斜させて研削してナイフエッジ刃面36b,36cを形成して、先端チップ86を構成している。そして、これらナイフエッジ刃面36b,36cの先端交差部分により、先端チップ86の先端には、ナイフエッジ36dが形成されている。
図11の(A)の第1構造例は傾斜端面35aの傾斜面と垂直端面35bの円弧とから先端端面を有し、これらによって、横断面積が先端側へ徐変縮小する食い込み刃面と傾斜面での切削刃面を形成している。図11(B)に示す第2構造例では、斜面からなる刃面36a,36b,36cを形成し、さらにナイフエッジ刃面36b,36cによってナイフエッジ36dを形成しているので、病変組織への切り裂き効果により穿刺及び押し込み力を向上させることができる。なお、ナイフエッジ36dは内周側が外周側に比べて前方に突出する形状としている。これは、逆方向の傾斜(外周側が前方に突出するような傾斜)にすると血管壁を穿刺しやすいからである。
図11中の第1構造例及び第2構造例のいずれを選択するかは病変組織の硬さや血管の屈曲蛇行形態等の病変部の状況により決められる。なお、先端チップ85,86の先端側横断面積を小さくすることによる食い込み刃面の病変組織への進入性向上並びに切削刃面の回転切除能力については、前述の実施形態と同様である。また、実施例4によっても、穿孔及び貫通による平滑面形成によるバルーンカテーテルの導入容易性、ガイドワイヤのバックアップ特性など、その他の面では、前述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
図12は実施例5に係る医療用処置具の先端チップの刃面の各種構造の斜視側面(a)及び先端端面(b)を示す図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例をそれぞれ示す。図12(A)の第1構造例では、先端チップ90の先端面に形成された一つのV字溝40aとこれに連なる一つのスパイラル状溝40bとからなる刃面40が形成されている。また(B)の第2構造例では、第1構造例の刃面40を円周方向に180°ピッチで2個設けた先端チップ91から構成されている。
図13は実施例5に係る医療用処置具の先端チップ91の刃面40による作用効果を示すための説明図であり、コイルスプリング体50の線材巻回方向と切削回転方向との関係を示している。本実施例は、先端チップ91の先端端面にV字溝40aを設け、それに連設するスパイラル条溝40bを外周部に設けることにより、病変部への食いつき力の向上が図られている。本実施例によれば、スパイラル条溝40bの切削刃面での回転による切除機能を発揮し、硬質病変部内での進入を一層容易に行うことができる。また、複数条のスパイラル条溝を設けることにより、これらの機能を高めることができる。
図13において、スパイラル条溝40bが左ネジ方向である場合は、その手元側のコイルスプリング体50の巻き方向を逆の右ネジ方向(Z巻き方向)にすることにより、穿孔能力を高めることができる。この理由は、反時計方向に回転力を加えると、コイルスプリング体50がZ巻きであるため、捩じり縮径方向となって剛直化し、かつ先端チップ91が左ネジ方向に回転されてねじ込み効果により高い穿孔力及び進入力を発揮できるからである。特に病変組織が硬いときに有効である。さらに、実施例5によっても、穿孔及び貫通による平滑面形成によるバルーンカテーテルの導入容易性、ガイドワイヤのバックアップ特性など、その他の面では、前述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
図14は実施例6に係る医療用処置具のコイルスプリング体の構造例を示す部分断面斜視図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例をそれぞれ示す。図14(A)の第1構造例は、以上説明した実施形態及び各実施例において、例えば先端チップ70に固着されるコイルスプリング体53を多条コイル体で形成したものである。さらに、(B)の第2構造例はコイルスプリング体50の手元側を、中空金属体51のスパイラル条溝52に固着したものである。図15は実施例6に係る医療用処置具の多条コイル体からなるコイルスプリング体50の撚りピッチを単条コイル体の場合と比較して示す説明図である。図16は実施例6に係る医療用処置具のコイルスプリング体が異なる線径の線材からなる多条コイル体である場合を示す説明図である。
本実施例によれば、先端チップ70に固着されるコイルスプリング体53を複数本の線材を巻回成形させた多条コイル体とすることにより、先端チップ70へのトルク伝達力を向上させて、先端チップ70の切削能力及び穿刺能力を向上させることができる。この理由は、単条のコイルスプリング体50では回転力を1本の線材で支えながら先端側へ伝達するのに対し、多条のコイルスプリング体53では、複数本の線材により回転力を支え、かっ複数本用いることにより撚りピッチが大きくなって傾斜角θ2が増大し、先端側へ回転力を伝えやすくなるからである。
多条コイル体からなるコイルスプリング体53の具体例として、線径0.16mmの線材を8〜12本、外径1.0mmに巻回成形した構造が用いられる。これは多数本の線材をマンドレルに同時に巻きつけてコイル状に巻回成形してもよく、あるいは、ロープを撚るように多数本の線材を撚り合わせてコイルスプリング体にしてもよい。マンドレル巻き付け工法では、多数本の巻き付け単位線材束毎の隣接線間で、初張力の不足により隙間を発生しやすいが、ロープを撚る撚り線工法では、このような隙間発生がなく、より好ましい態様である。また、線材の材質としては、ステンレス鋼線、タングステン線材、Ni−Ti線材、又は、金や白金等の放射線不透過材を組み合わせて用いてもよい。
多条コイル体からなるコイルスプリング体53を用いて撚りピッチを大きくすることにより、図15に示すように各線材の傾斜角θ2を大きくするとともに、1回転での先端チップ60の移動距離を大きくすることができる。そして、撚りピッチが大きくなることから、切除した組織片の後方への移動距離を大きくし、搬送及び排出作用を高めることができる。また、図16に示すように、コイルスプリング体54は、太い線材54aと細い線材54bを組み合わせた構造にしてもよい。なお、切除組織片はコイルスプリング体54の素線間の溝部で搬送排出され、撚りピッチが大きいほどその効果が高くなる。
図14(B)に示すように、コイルスプリング体50の手元側端部に中空金属体51を設けることにより、先端チップ70へのトルク伝達力を大幅に向上させることができる。また、コイルスプリング体50を用いると、長尺になればなるほど手元側を多く回転させなければ、先端チップ70まで回転が伝わらない。これは、捻じり角はコイルの巻き数に比例し、長尺になるほど捻じり角は大きくなるからである。
従って、手元側に中空金属体51を設けてコイルスプリング体の全長を短くして巻き数を少なくさせることにより捻じり角は小さくなり、手元側での回転数を少なくさせて先端チップ70への回転伝達力を確実にすることができる。同時に、手元側の曲げ剛性が高くなることから、押し込み特性が向上する。例えば、全長1200mmのコイルスプリング体50に対して、手元側の300mmを中空金属体51とすると、先端チップ70へ同じ回転力を伝えるための手元側の回転数は約4分の1少ない回転数で済ませることができる。これによって、術者の手元側回転による手や指などの疲労を軽減することができ、手技に集中することができる。
なお、中空金属体51の接続方法としては、中空金属体51にスパイラル条溝52を設け、コイルスプリング体50の端部を巻回させてロウ付け等により固着する方法(図14(B)に示すような方法)、あるいは各端面を当接させて溶接固着させる方法などが採られる。また、中空金属体51としては、例えば、内径が0.6mmで外径が1mmのステンレス鋼パイプ材又はNi−Tiパイプ材等を使用することができる。
図17は実施例7に係る医療用処置具のコイルスプリング体の構造例を示す部分断面斜視図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例をそれぞれ示す。本実施例は、以上説明した実施形態及び各実施例において、コイルスプリング体55の一部又は全体を先細りテーパ形状としたものである。コイルスプリング体55を先細りテーパ形状とすることにより、先端側への回転伝達力を向上させることができる。テーパ形状としては、(A)に示すように、同一線径の線材56を手元側から先端側へテーパを付けて成形してもよく、あるいは、(B)に示すように、同一線径の線材57で同一外径のコイルスプリング体58を手元側から先端側へ切削加工により徐変縮径させてテーパ部58aを形成してもよい。後者によれば、徐変テーパ特性を内径が等径で外径を徐変縮径させて緩やかなテーパ形状を実現させ、より細径化させたテーパ形状にすることができる。
図17(A)の第1構造例では、例えばコイルスプリング体55の外径を手元側から先端側へ1mm〜0.8mmとし、先端チップ70の先端端面外径を0.6mmとすると、捩じりモーメント(すなわちトルク力)は腕の長さ比により決定されることから、先端トルク力を約1.25倍に向上させ、最先端端面では約1.66倍に向上させることができる。また、図17の(B)の第2構造例では、スプリング体58の先端部に同径のストレート部58bを設けることにより、その分だけ、先端部の柔軟性を確保することができる。
図18は実施例8に係る医療用処置具の先端チップの部分斜視図である。本実施例は、実施例1〜実施例7に係る医療用処置具のそれぞれにおいて、例えば先端チップ75を放射線不透過材で形成したものである。具体的には、先端チップ75に放射線不透過材からなる別体ピースを固着する方法、放射線不透過材でメッキ処理した別体ピースを固着する方法、あるいは、放射線不透過材のロウ材を用いて刃面を形成した先端チップの構造体を用いる方法など、種々の態様で実施することができる。本実施例によれば、放射線透視下で病変部を処置する際に刃面の先端位置を容易に正確に認識することが可能となる。放射線不透過材としては、金、白金、タングステン等が使用される。
本実施例は、以上の各実施例を含む本実施形態に係る医療用処置具の製造方法に係るものである。本実施例の製造方法は、ガイドワイヤ170の外周に嵌合可能な中空構造を有し、先端部の先端から軸方向所定長さ範囲をコイルスプリング体50と該コイルスプリング体50の先端に固着された円筒状の先端チップ60とで構成した医療用処置具100の製造方法において、金属線を巻回又は撚合してコイルスプリング体50を形成する工程と、予め刃面10を形成した放射線不透過材からなる円筒状の先端チップ60をコイルスプリング体50の先端端部に固着する工程と、を有することを特徴とする。
本実施例の別の製造方法は、ガイドワイヤ170の外周に嵌合可能な中空構造を有し、先端部の先端から軸方向所定長さ範囲をコイルスプリング体50と該コイルスプリング体50の先端に固着された円筒状の先端チップ60とで構成した医療用処置具100の製造方法において、金属線を巻回又は撚合してコイルスプリング体50を形成する工程と、放射線不透過材からなる円筒状の先端チップ60をコイルスプリング体50の先端端部に固着した後に該先端チップに刃面10を形成する工程とを有することを特徴とする。
本実施例も、以上の各実施例を含む本実施形態に係る医療用処置具の製造方法に係るものである。本実施例の製造方法は、ガイドワイヤ170の外周に嵌合可能な中空構造を有し、先端部の先端から軸方向所定長さ範囲をコイルスプリング体50と該コイルスプリング体50の先端に固着された円筒状の先端チップ60とで構成した医療用処置具100の製造方法において、金属線を巻回又は撚合してコイルスプリング体50を形成する工程と、予め刃面10が形成された放射線不透過材からなる円筒状の先端チップ60をその刃面10の切削回転方向とコイルスプリング体50の捩じり縮径方向とを一致させて該コイルスプリング体50に固着する工程と、を有することを特徴とする。
本実施例の別の製造方法は、ガイドワイヤ170の外周に嵌合可能な中空構造を有し、先端部の先端から軸方向所定長さ範囲をコイルスプリング体50と該コイルスプリング体50の先端に固着された円筒状の先端チップ60とで構成した医療用処置具100の製造方法において、金属線を巻回又は撚合してコイルスプリング体50を形成する工程と、放射線不透過材からなる円筒状の先端チップ60をコイルスプリング体50に固着した後に該先端チップの切削回転方向と該コイルスプリング体の捩じり縮径方向とを一致させる方向に該先端チップに刃面10を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本実施例は、医療用処置具とガイドワイヤの組立体に係るものであり、以上説明した各実施例に係る医療用処置具100とこれに内装嵌合されるガイドワイヤ170との組立体であって、先端部の軸方向所定長さ範囲をコイルスプリング体50と該スプリング体50の先端に固着された円筒状の先端チップ60とで構成し、先端チップ60に刃面10を形成された中空構造の医療用処置具100を、芯材(芯線)171に外装固着したコイルスプリング体180を有するガイドワイヤ170の外周に挿通することで、病変部を治療することを特徴とするものである。
図19は本発明を適用した医療用処置具を用いて、病変部で固着状態となったバルーンカテーテルを収縮させてこれを回収する説明図である。図20は一実施形態に係る医療用処置具とガイドワイヤとの組立体を用いてバルーンカテーテルを穿孔する状態を示す部分断面図である。前述の各実施例のいずれかに係る医療用処置具100とガイドワイヤ170との組立体を用いることにより、体内から回収不能状態となったバルーンカテーテルを極めて容易に回収することが可能になる。
医療現場では、図19(A)に示すように、病変部350へガイドワイヤ170を貫通した後、網状のパイプ体からなるステント351を外装させたバルーンカテーテル352を用いて狭窄部353をステント351とともに拡径し、ここにステント351を留置することにより拡径治療が行われる。(B)はバルーン部352aの収縮状態を示している。このようなステント351を用いる拡径治療においては、近年、薬剤溶出型ステント351の登場により、バルーン部352aの拡径後に、図20の領域Rに示すように、バルーン部352aの外周部に装着した、ステント351が何らかの原因によりバルーン部352aに接着し、固着状態となることがある。このようなステント351の接着又は固着状態が生じると、拡張したステント351に引っ張られてバルーン部352aが収縮しないことがある。また、生理食塩水355等を用いてバルーン部352aを拡大又は縮小しているが、その場合にバルーン部352aが縮小できない状態になると、これを体内から体外へ回収できなくなるため、外科手術が必要になる。その場合、患者の体力の問題もあり、術者は緊急対応を迫られる。
かかる場合には、図20に示すように、ガイドワイヤ170を案内として、医療用処置具100をバルーンカテーテル352のバルーン部352a近傍まで導入し、ガイドワイヤ170上の医療用処置具100を突出させて回転させることにより、バルーン部352aを穿孔して強制的に収縮させることができる。これにより、バルーンカテーテル352を回収することができる。特に、本実施形態に係る医療用処置具100によれば、先端チップ60は、病変閉塞部内へ進入するための食い込み刃面と、病変閉塞部を回転切除するための切削刃面との双方を兼ね備えた刃面10を設けているので、確実にバルーン部に食いつき、回転により容易に穿孔させることができる。
また、本実施例において、医療用処置具100のコイルスプリング体50の巻き方向とガイドワイヤ170のコイルスプリング体180の巻き方向が互いに逆方向の構成を用いると、以下の作用効果がある。図21は一実施形態に係る医療用処置具のコイルスプリング体の巻回方向とこの内部に最合されたガイドワイヤのコイルスプリング体の巻回方向を逆方向にしたときの作用効果を示す説明図である。先端部にコイルスプリング体180を固着させたガイドワイヤ170を使用し、このガイドワイヤ170の巻回方向と医療用処置具100のコイルスプリング体50の巻き方向とを互いに逆方向とし、この逆方向巻回の組み合わせを用いることにより病変部に対する進入と回転切削の双方の操作を容易にかつ正確に行うことができる。
図21において、医療用処置具100のコイルスプリング体50の巻回方向がS巻き(左ネジ)のとき、手元側から先端側を見て反時計方向に回転させることにより、ねじ込み効果でコイルスプリング体50は病変部内へ進入する。その際、医療用処置具100内のガイドワイヤ170は共回りを生じやすいが、この共回りが発生しても、ガイドワイヤ170のコイルスプリング体180の巻き方向が逆向き、つまりZ巻き(右ネジ)のとき、(C)に示すように、コイルスプリング体180は捩じり縮径する。従って、医療用処置具100の手元側から先端側を見たときの反時計方向の回転によるコイルスプリング体50の拡径作用((B)参照)とガイドワイヤ170のコイルスプリング体180の縮径作用((C)参照)の相互作用により、ガイドワイヤ170と医療用処置具100とのクリアランスを確保することができ、細径であっても相互の操作を容易にかつ正確に行うことができる。
以上説明したような回転により穿孔する医療用処置具100においては、手元側の回転と先端側の回転とは、回転遅れを生じるため、過大な手元側回転力を発生させやすく、その結果、この回転力が先端側へ遅れて伝えられ、血管穿孔に至るおそれがある。このため、一定トルクを超えると空回りするオーバートルク防止部を設けることにより、過大な回転トルクカが先端側へ伝わることによる血管穿孔を防ぐことができる。特に、コイルスプリング体を用いる構造体では、捻じりが発生した後、この力が先端側へ伝達される。このため、手元側と先端側とでは、回転の遅れが生じ、この遅れにより上記のような不具合が発生することがある。従って、オーバートルク防止部を用いることにより、術者は安全かつ確実に治療を行うことができる。なお、本実施形態における医療用処置具は、先端チップに刃面を有するものの他に、刃面を有することがないものも用いることができる。
図22は本発明の医療用処置具の回転操作装置の第1の実施形態を示す一部破断斜視図であり、図23は同断面図である。本実施形態は、2枚のギヤの噛み合い構造を備えたオーバートルク防止部を有している。図22,図23において、本実施形態に係る回転操作装置201は、医療用処置具100の手元側に接合するルアーロック部202と、第1ギヤ203及び第2ギヤ204からなる噛み合いギヤ部と、ギヤ203,204が噛み合うように付勢するバネ206と、バネ206の付勢力を調整する調整ネジ部207と、調整ネジ部207が取り付けられるシャフト部208と、回転操作部209とを備えている。なお、シャフト部208には、ガイドワイヤ170を貫挿入できる挿通孔208aが設けられている。
図23に示すように、前記ルアーロック部202と、第1ギヤ203と、シャフト部208とは一体に形成されており、これらにより第1回転体210が構成される。前記ルアーロック部202は第1回転体210の先端に形成されている。このルアーロック部202は、医療用処置具100のルアー110がねじ込まれて固定される。ルアーロック部202の後端部(図中右方向)には細径のシャフト部208が同軸で形成されている。シャフト部208の後端部には、前記調整ネジ部207のロックナット取り付け用の雄ネジ部208bが形成されている。また、シャフト部208の軸心に沿ってガイドワイヤ挿通孔208aが形成されている。
第1ギヤ203は、ルアーロック部202の後端面に形成されている。この第1ギヤ203は、軸心を中心として放射状に形成される複数の第1の係止突条としてのギヤ歯215を備えている。このギヤ歯215は、軸心を通る放射線を稜線とし前記放射線に直交する断面が略三角形状の突条本体から構成されている。
第2ギヤ204と回転操作部209とは一体に形成されており、これらにより第2回転体211が構成される。第1回転体210のシャフト部208には、同軸で第2回転体211が回転自在に取り付けられる。第2回転体211は、先端側に前記第1ギヤ203に噛み合う第2ギヤ204を有する。第2ギヤ204も、第1ギヤ203のギヤ歯215と同一形状のギヤ歯216を備えている。また、第2回転体211には、軸心に沿って軸孔212が形成されている。この軸孔212には合成樹脂製スリーブ213を介して、前記シャフト部208が回転自在に取り付けられる。また、軸孔212に連続してその後部にはバネ収納孔214が形成されている。なお、スリーブ213に代えてまたは加えてベアリングを設けてもよい。
バネ収納孔214には3枚の皿バネ220が互いの向きを交互に入れ換えて収納されている。皿バネ220は第2回転体211を第1回転体210側に付勢する付勢部材として作用する。また、シャフト部208の雄ネジ部208bには、固定ナット221、ロックナット222がネジ止めされる。この固定ナット221、ロックナット222及びシャフト部208によって、第2回転体211を第1回転体210に回動自在に保持する保持部223が構成される。また、保持部223及び付勢部材によって、第1ギヤ203及び第2ギヤ204は互いが噛み合う係止位置と、第2ギヤ204が第1ギヤ203を乗り越えて空転する係止解除位置との間で移動する。これにより、一定値以下のトルクは第1ギヤ203及び第2ギヤ204が噛み合うことで第2回転体211から第1回転体210に伝達される。また、一定値を超えるトルクは第2ギヤ204が第1ギヤ203を乗り越えて第2回転体211が空転するため、トルクの伝達が断たれる。このように、第1ギヤ203、第2ギヤ204、付勢部材としての皿バネ220、及びシャフト部208と固定ナット221及びロックナット222からなる保持部223とによって、オーバートルク防止部230が構成される。
また、固定ナット221のシャフト部208での固定位置を調整することにより、皿バネ220による付勢力を調整することができる。この付勢力の調整により、伝達するトルクを変化させることができる。
回転操作部209の外周面は、小径部と大径部の2段に形成されている。小径部の外径は第1回転体210の外径と同じに形成されており、この小径部が小径把持部209aとなり、大径部が大径把持部209bとなっている。
次に、本発明の医療用処置具の回転操作装置201の作用を説明する。ガイドワイヤ170の外周に沿って医療用処置具100が挿通される。この医療用処置具100には、回転操作装置201の第1回転体210が接続される。第2回転体211の小径把持部209aまたは大径把持部209bを持って、これを回転することにより、第2回転体211の回転がオーバートルク防止部230を介して第1回転体210に伝達され、医療用処置具100が回転する。また、一定値を超えるトルクが第2回転体211に加わると、第2ギヤ204が第1ギヤ203の噛み合いから外れ、互いのギヤ歯215,216を乗り越えて第2ギヤ204が空回りする。これにより、医療用処置具100の先端部へ過大なトルクが伝わることが防止される。
図22の構成では、狭いスペース内で高荷重が得られかつバネ定数を容易に可変できる皿バネ220を3個用いている。これに代えて、1個又は複数の圧縮コイルバネを用いてもよい。また、第2回転体211の回転操作部209は、小径把持部209aと大径把持部209bとから構成して、回転操作が軽い状態と重い状態を作りだし、慎重な操作が必要なときには小径把持部209aを選定するなど、選択可能にしているが、単一外径の把持部としてもよく、さらには3個以上の異径部からなる把持部としてもよい。また、コネクタ120と接続するルアーロック部202を設けたが、コネクタ120の代わりにこの回転操作装置201を直接医療用処置具100の手元端に設けた構成としても良い。
図24は本発明を適用した医療用処置具の回転操作装置の第2の実施形態を示す一部破断斜視図である。本実施形態は、ロックボール構造を備えたオーバートルク防止部を備えている。図24において、本実施形態に係る回転操作装置250は、医療用処置具100の手元側に接合するルアーロック部251と、ロックボール252を受けるための凹み付きシャフト部253と、ロックボール252と圧縮コイルバネ255の圧縮力調整用の固定ネジ256を内蔵した把持回転体257とを備えている。なお、シャフト部253には、ガイドワイヤ170を貫挿入できる挿通孔253aが設けられている。また、シャフト部253の端部にはロックナット254が取り付けられており、第2回転体261のシャフト部253からの脱落を防止している。
上記ルアーロック部251とシャフト部253とにより第1回転体260が構成される。また、把持回転体257により第2回転体261が構成される。そして、シャフト部253の凹み253bと、ロックボール252、圧縮コイルバネ255、調整用固定ネジ256によりオーバートルク防止部266が構成される。なお、把持回転体257は楕円状の厚板から構成しているが、これに代えて、卵形の把持回転体を用いてもよい。
圧縮コイルバネ255は一定の圧縮力となるように、固定ネジ256によって調整されているので、把持回転体257を回転させたとき、一定トルク以下ではシャフト部253と把持回転体257とは共に回転する。一方、シャフト部253への圧縮力を超えるトルクが加えられると、ロックボール252がシャフト部253に形成された凹部253bを乗り越え、把持回転体257が空回りすることになる。これによって、医療用処置具100の先端部への過大なトルクの伝達が防止される。図24では圧縮コイルバネ255を用いているが、これに代えて、1個又は複数の皿バネを用いてもよい。また、調整用固定ネジ256に関しては、使用バネ定数が安定して得られる場合は、この調整用固定ネジ256を省略してもよい。この場合には、固定ネジ256はバネ受け部として機能する。また、ルアーロック部251を省略して、医療用処置具100の手元端に直接に回転操作装置250を設けた構造としても良い。
また、オーバートルク防止部230,266は上記のような係止手段によるトルク伝達に代えて、フリクションによるトルク伝達としてもよい。この場合には、図23において第1ギヤ203及び第2ギヤ204の代わりに平坦面を形成し、これら平坦面の間にフリクション部材を配置する。この場合にもフリクションによる第1回転体及び第2回転体の一体回転を超えるトルクが第2回転体に加えられると、第2回転体が空転し、それ以上のトルク伝達は行われることがなくなる。
なお、図23において、第1ギヤ203と第2ギヤ204とはその噛み合い状態がよく判るように誇張して図示してあり、実際は各ギヤ歯215,216の高さは伝達するトルクや用いるバネのバネ定数などに応じて決定され、図示例のものに限定されない。また、図25はギヤ歯の形状の一例を示すもので、(A)に示すような、垂直ギヤ面241と傾斜ギヤ面242とを有するギヤ歯215,216の他に、(B)に示すように、頂角が鈍角とされた二等辺三角形状の傾斜ギヤ面244,245を有するギヤ歯246や、(C)に示すように、傾斜ギヤ面247,248の傾斜角度をそれぞれ変えたギヤ歯249としてもよい。
(A)のギヤ歯215,216の場合には、A方向回転時には垂直ギヤ面241同士が噛み合うことにより、通常の回転伝達が可能になり、オーバートルク防止機能を働かせない回転を行うことができる。また、B方向回転時には傾斜面同士の接触でトルクを伝達するためオーバートルク防止機能を働かせることができる。このように、回転方向を変えることにより、オーバートルク防止機能付きの回転伝達や、通常の回転伝達を選択することができる。また、(B)のように、二等辺三角形状の傾斜ギヤ面244,245を有するギヤ歯246では、A,Bの両回転方向でのオーバートルク防止機能を働かせることができる。さらに(C)のように傾斜ギヤ面247,248の傾斜角度を変えたギヤ歯249では、伝達するトルクを回転方向で異ならせることができる。
なお、以上の実施形態においては、医療用処置具100、医療用処置具の製造方法、並びに医療用処置具の回転操作装置201,250、さらには、これら医療用処置具100と回転操作装置201,250との組み合わせからなる医療用処置装置やガイドワイヤ付き医療用処置装置について説明してきたが、以下に、前述の医療用処置具100に関する技術事項について説明する。
先ず、先端チップ60の切削刃面の切削回転方向とコイルスプリング体50の捩じり縮径回転方向とを一致させることにより、先端チップ60の切削能力を一層高めることができる。この理由は、コイルスプリング体50の捩じり縮径回転方向と切削回転方向とを同じにすることにより、コイルスプリング体50が一時的に剛直化し、先端チップ60のトルク伝達力が高くなるからである。これは、病変長が比較的短くかつ硬い組織のときに好適である。
その一方で、病変長が比較的長く、硬軟組織が散在している場合には、逆に切削刃面の切削回転方向とコイルスプリング体50の捩じり拡径回転方向とを一致させることが好ましい。この理由は、コイルスプリング体50はネジと同様に回転によるねじ込み効果で前方へ進行すると同時に、回転力により拡径しながら前進し、かつ先端チップ60の刃面10の方向へ回転切削力を伝えるからである。また、逆回転すれば、コイルスプリング体50は縮径し、長い病変部から抜け出しやすいからである。いずれを採択するかは病変形態によって決定される。
医療用処置具100内へ挿入するガイドワイヤ170との滑り性を向上させるために、医療用処置具100内に樹脂チューブ体を挿入してもよく、また、医療用処置具100に用いるコイルスプリング体50として、樹脂被覆を施した線材を巻回したコイルスプリング体を使用してもよい。また、コイルスプリング体50の外装部に薄膜樹脂被覆を施すことにより、血栓の付着程度の低下、コイルスプリング線間隙間による液漏れ防止を図ることができる。なお、前述の実施例では、医療用処置具100の手元側へ中空金属体を固着する場合を示したが、金属チューブの代わりに樹脂チューブの外周に金属細線を編み組みし、その外層に樹脂被覆を施した医療用チューブ体を用いてもよい。
本発明の一実施形態に係る医療用処置具の全体の概略構成を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る医療用処置具の先端部の所定長さ領域の縦断面図である。 実施例1に係る医療用処置具の先端チップの刃面の構造例を示す斜視図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例を、(C)は第3構造例、(D)は第4構造例をそれぞれ示す。 本発明の一実施形態に係る医療用処置具により血管内の完全閉塞部を穿刺し、貫通させる状態を示す断面図である。 本発明を適用した医療用処置具によって病変閉塞部を治療するときの状態を例示する部分断面図である。 本発明を適用した医療用処置具を用いて高度屈曲部の病変部を治療するときの状態を従来例と比較して例示する部分断面図である。 実施例1に係る医療用処置具の先端チップの刃面構造の作用効果を示すための説明図である。 実施例2に係る医療用処置具の先端チップの刃面の構造例を示す斜視図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例を、(C)は第3構造例を、(D)は第4構造例をそれぞれ示す。 実施例3に係る医療用処置具の先端チップの刃面の各種構造の側面(a)及び先端端面(b)を示す図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例を、(C)は第3構造例を、(D)は第4構造例をそれぞれ示す。 実施例3に係る医療用処置具の先端チップの刃面構造の作用効果を示すための説明図である。 実施例4に係る医療用処置具の先端チップの刃面の各種構造の斜視側面(a)及び先端端面(b)を示す図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例をそれぞれ示す。 実施例5に係る医療用処置具の先端チップの刃面の各種構造の斜視側面(a)及び先端端面(b)を示す図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例をそれぞれ示す。 医療用処置具のコイルスプリング体の線材巻回方向と切削回転方向との関係を示す説明図である。 実施例6に係る医療用処置具のコイルスプリング体の構造例を示す部分断面斜視図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例をそれぞれ示す。 実施例6に係る医療用処置具の多条コイル体からなるコイルスプリング体の撚りピッチを単条コイル体の場合と比較して示す説明図である。 実施例6に係る医療用処置具のコイルスプリング体が異なる線径の線材からなる多条コイル体である場合を示す説明図である。 実施例7に係る医療用処置具のコイルスプリング体の構造例を示す部分断面斜視図であり、(A)は第1構造例を、(B)は第2構造例をそれぞれ示す。 実施例8に係る医療用処置具の先端チップの部分斜視図である。 本発明を適用した医療用処置具を用いて、病変部で固着状態となったバルーンカテーテルを収縮させてこれを回収する説明図である。 一実施形態に係る医療用処置具とガイドワイヤとの組立体を用いてバルーンカテーテルを穿孔する状態を示す部分断面図である。 一実施形態に係る医療用処置具のコイルスプリング体の巻回方向とこの内部に嵌合されたガイドワイヤのコイルスプリング体の巻回方向を逆方向にしたときの作用効果を示す説明図である。 本発明を適用した医療用処置具のオーバートルク防止部の第1の実施形態を示一部破断斜視図である。 同縦断面である。 本発明を適用した医療用処置具のオーバートルク防止部の第2の実施形態を示す一部破断斜視図である。 ギヤ歯の形状の一例を示す側面図である。 従来の医療用処置具によって病変閉塞部を治療するときの不都合を例示する部分断面図である。
符号の説明
10〜13 刃面
20〜23 刃面
35,36,40 刃面
50 コイルスプリング体
51 中空金属体
52 スパイラル条溝
60〜63 先端チップ
70〜73 先端チップ
80〜83 先端チップ
85,86,90,91 先端チップ
100 医療用処置具
170 ガイドワイヤ
180 コイルスプリング体
201 回転操作装置
203 第1ギヤ
204 第2ギヤ
210 第1回転体
211 第2回転体
230 オーバートルク防止部
260 第1回転体
261 第2回転体
266 オーバートルク防止部

Claims (30)

  1. 医療用ガイドワイヤの外周に沿って挿通されるチューブ体からなる医療用処置具において、
    前記チューブ体は、金属製のコイル体と、前記コイル体の先端に取り付けられる金属製の中空チップと、前記中空チップの先端部に形成され、前記チューブ体の使用状態において前記中空チップが病変部位に接触して回転するときに該病変部位を削る刃面とを備えることを特徴とする医療用処置具。
  2. 前記中空チップの先端部はテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の医療用処置具。
  3. 前記刃面は、前記中空チップの先端面と外周面とに該中空チップの略軸心方向に伸びるように形成されるU字状またはV字状の溝から構成されることを特徴とする請求項1または2記載の医療用処置具。
  4. 前記刃面は、前記中空チップの軸心に対して傾斜する切欠き面を該中空チップの先端面と外周面とに渡って有する切欠きから構成されることを特徴とする請求項1または2記載の医療用処置具。
  5. 前記刃面は、前記中空チップの先端面に開口し、該中空チップの外周面に螺旋状に配置されるスパイラル溝から構成されることを特徴とする請求項1または2記載の医療用処置具。
  6. 前記コイル体は複数の金属線材を螺旋状に巻き取った多条コイル体から構成されることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の医療用処置具。
  7. 前記コイル体は複数の金属線材を撚り合せたものを螺旋状に巻き取った多条コイル体から構成されることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の医療用処置具。
  8. 前記コイル体が回転により縮径する第1回転方向のときに、前記刃面により前記病変部位を削ることを特徴とする請求項6または7記載の医療用処置具。
  9. 前記コイル体は先端に向かうに従い次第に直径が小さくなるテーパに形成されていることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の医療用処置具。
  10. 前記中空チップは放射線不透過材から構成されていることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の医療用処置具。
  11. 請求項1ないし10いずれか1項記載の医療用処置具を手元側で回転操作する回転操作装置において、
    前記チューブ体と共に回転し、前記ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ挿通孔を有する第1回転体と、
    前記第1回転体に回転自在に取り付けられ、手元側で回転操作するための第2回転体と、
    前記第1回転体と前記第2回転体とを接触させて一定値以下のトルクで第2回転体の回転を第1回転体に伝達し、一定値を超えたトルク伝達に対して第2回転体が空転するオーバートルク防止部とを備えることを特徴とする医療用処置具の回転操作装置。
  12. 前記第1回転体及び第2回転体の接触面の一方は係止突起を有し、
    前記第1回転体及び第2回転体の接触面の他方は係止凹部を有し、
    前記オーバートルク防止部は、
    前記係止突起と係止凹部とを係止させる係止位置、及び係止を解除させる係止解除位置の間で第1回転体及び第2回転体を相対的に移動自在に保持する保持部材と、
    前記係止位置となるように前記第1回転体または第2回転体を付勢してこれら回転体同士が一体に回転して前記一定値以下のトルクを伝達し、前記一定値を超えたトルク伝達に対しては前記係止解除位置となって第2回転体が第1回転体に対して空転する付勢部材とを備える
    ことを特徴とする請求項11記載の医療用処置具の回転操作装置。
  13. 前記第2回転体は前記第1回転体の回転方向で回転自在に取り付けられ、
    前記係止突起は前記第1回転体の端面に軸心を中心として放射状に形成される複数の第1の係止突条であり、
    前記係止凹部は前記第2回転体の端面に軸心を中心として放射状に形成される複数の第2係止突条であり、
    これら第2係止突条の間の谷部に前記第1の係止突条が嵌まって前記係止位置となり、前記第2の係止突条を前記第1の係止突条が乗り越えることで係止解除位置となることを特徴とする請求項12記載の医療用処置具の回転操作装置。
  14. 前記第1及び第2の係止突条は、前記軸心を通る放射線を稜線とし前記放射線に直交する断面が略三角形状の突条本体から構成されていることを特徴とする請求項13記載の医療用処置具の回転操作装置。
  15. 前記オーバートルク防止部は、前記第1回転体に形成される第1ギヤと、前記第2回転体に形成され前記第1ギヤと噛み合う第2ギヤと、前記第2ギヤを前記第1ギヤに押圧する付勢部材とを有し、前記第1ギヤと第2ギヤとの間に作用するトルクが一定値を超えると前記第2ギヤが前記第1ギヤに対して空回りすることを特徴とする請求項11記載の医療用処置具の回転操作装置。
  16. 前記第1回転体はシャフト部を有し、
    前記第2回転体は前記シャフト部に回転自在に取り付けられ、
    前記オーバートルク防止部は、
    前記シャフト部に形成される係止凹部と、
    前記係止凹部に係止するロックボールと、
    このロックボールを前記係止凹部に係止させる係止位置、及び係止を解除させる係止解除位置の間で移動自在に保持する保持部材と、
    前記ロックボールを係止位置へ向けて付勢して前記第1回転体及び第2回転体同士が一体に回転して前記一定値以下のトルクを伝達し、前記一定値を超えたトルク伝達に対しては前記ロックボールが係止解除位置となって第2回転体が第1回転体に対して空転する付勢部材とを備える
    ことを特徴とする請求項11記載の医療用処置具の回転操作装置。
  17. 前記付勢部材の付勢力を調整する付勢力調整部材を有することを特徴とする請求項12ないし16いずれか1項記載の医療用処置具の回転操作装置。
  18. 前記第2回転体は、大径把持部と小径把持部とを有することを特徴とする請求項11ないし17いずれか1項記載の医療用処置具の回転操作装置。
  19. 請求項1ないし10いずれか1項記載の医療用処置具と、
    請求項11ないし18いずれか1項記載の医療用処置具の回転操作装置とを備え、
    前記チューブ体は、前記第1回転体にコネクタを介して着脱自在に連結されることを特徴とする医療用処置装置。
  20. 請求項19項記載の医療用処置装置と、
    少なくとも先端部にコイル体を有するガイドワイヤとを備え、
    前記ガイドワイヤの外周に沿って前記チューブ体及び前記第1回転体が挿通され、前記チューブ体の前記コイル体と前記ガイドワイヤの前記コイル体との線材巻き方向が逆であることを特徴とするガイドワイヤ付き医療用処置装置。
  21. 医療用ガイドワイヤの外周に沿って挿通され、金属製のコイル体の先端に金属製の中空チップが取り付けられているチューブ体からなる医療用処置具を手元側で回転操作する回転操作装置において、
    前記チューブ体と共に回転し、前記ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤ挿通孔を有する第1回転体と、
    前記第1回転体に回転自在に取り付けられ、手元側で回転操作するための第2回転体と、
    前記第1回転体と前記第2回転体とを接触させて一定値以下のトルクで第2回転体の回転を第1回転体に伝達し、一定値を超えたトルク伝達に対して第2回転体が空転するオーバートルク防止部とを備えることを特徴とする医療用処置具の回転操作装置。
  22. 前記第1回転体及び第2回転体の接触面の一方は係止突起を有し、
    前記第1回転体及び第2回転体の接触面の他方は係止凹部を有し、
    前記オーバートルク防止部は、
    前記係止突起と係止凹部とを係止させる係止位置、及び係止を解除させる係止解除位置の間で第1回転体及び第2回転体を相対的に移動自在に保持する保持部材と、
    前記係止位置となるように前記第1回転体または第2回転体を付勢してこれら回転体同士が一体に回転して前記一定値以下のトルクを伝達し、前記一定値を超えたトルク伝達に対しては前記係止解除位置となって第2回転体が第1回転体に対して空転する付勢部材とを備える
    ことを特徴とする請求項21記載の医療用処置具の回転操作装置。
  23. 前記第2回転体は前記第1回転体の回転方向で回転自在に取り付けられ、
    前記係止突起は前記第1回転体の端面に軸心を中心として放射状に形成される複数の第1の係止突条であり、
    前記係止凹部は前記第2回転体の端面に軸心を中心として放射状に形成される複数の第2係止突条であり、
    これら第2係止突条の間の谷部に前記第1の係止突条が嵌まって前記係止位置となり、前記第2の係止突条を前記第1の係止突条が乗り越えることで係止解除位置となることを特徴とする請求項22記載の医療用処置具の回転操作装置。
  24. 前記第1及び第2の係止突条は、前記軸心を通る放射線を稜線とし前記放射線に直交する断面が略三角形状の突条本体から構成されていることを特徴とする請求項23記載の医療用処置具の回転操作装置。
  25. 前記オーバートルク防止部は、前記第1回転体に形成される第1ギヤと、前記第2回転体に形成され前記第1ギヤと噛み合う第2ギヤと、前記第2ギヤを前記第1ギヤに押圧する付勢部材とを有し、前記第1ギヤと第2ギヤとの間に作用するトルクが一定値を超えると前記第2ギヤが前記第1ギヤに対して空回りすることを特徴とする請求項21記載の医療用処置具の回転操作装置。
  26. 前記第1回転体はシャフト部を有し、
    前記第2回転体は前記シャフト部に回転自在に取り付けられ、
    前記オーバートルク防止部は、
    前記シャフト部に形成される係止凹部と、
    前記係止凹部に係止するロックボールと、
    このロックボールを前記係止凹部に係止させる係止位置、及び係止を解除させる係止解除位置の間で移動自在に保持する保持部材と、
    前記ロックボールを係止位置へ向けて付勢して前記第1回転体及び第2回転体同士が一体に回転して前記一定値以下のトルクを伝達し、前記一定値を超えたトルク伝達に対しては前記ロックボールが係止解除位置となって第2回転体が第1回転体に対して空転する付勢部材とを備える
    ことを特徴とする請求項21記載の医療用処置具の回転操作装置。
  27. 前記付勢部材の付勢力を調整する付勢力調整部材を有することを特徴とする請求項22ないし26いずれか1項記載の医療用処置具の回転操作装置。
  28. 前記第2回転体は、大径把持部と小径把持部とを有することを特徴とする請求項21ないし27いずれか1項記載の医療用処置具の回転操作装置。
  29. 医療用ガイドワイヤの外周に沿って挿通され、金属製のコイル体の先端に金属製の中空チップが取り付けられているチューブ体からなる医療用処置具と、
    請求項21ないし28いずれか1項記載の医療用処置具の回転操作装置とを備え、
    前記チューブ体は、前記第1回転体にコネクタを介して着脱自在に連結されることを特徴とする医療用処置装置。
  30. 請求項29項記載の医療用処置装置と、
    少なくとも先端部にコイル体を有するガイドワイヤとを備え、
    前記ガイドワイヤの外周に沿って前記チューブ体及び前記第1回転体が挿通され、前記チューブ体の前記コイル体と前記ガイドワイヤの前記コイル体との線材巻き方向が逆であることを特徴とするガイドワイヤ付き医療用処置装置。
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