JPH064902A - ポリカーボネート樹脂組成物、及びそれを用いた光記録媒体用基板とその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物、及びそれを用いた光記録媒体用基板とその製造方法

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JPH064902A
JPH064902A JP4161342A JP16134292A JPH064902A JP H064902 A JPH064902 A JP H064902A JP 4161342 A JP4161342 A JP 4161342A JP 16134292 A JP16134292 A JP 16134292A JP H064902 A JPH064902 A JP H064902A
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polycarbonate resin
substrate
acid
roll
recording medium
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JP4161342A
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English (en)
Inventor
Naoki Kushida
直樹 串田
Osamu Shikame
修 鹿目
Hirofumi Kamitakahara
弘文 上高原
Takashi Kai
丘 甲斐
Toshiya Yuasa
俊哉 湯浅
Hitoshi Yoshino
斉 芳野
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Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 離型性の優れたポリカーボネート樹脂組成物
を得る。 【構成】 ポリカーボネート樹脂中に、高級脂肪酸の多
価アルコールエステル化合物と、イソシアネート化合物
との反応によって得られる付加重合化合物を含有させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエステル化合物とイソシ
アネート含有化合物との反応により得られる付加化合物
を含有する離型性の優れたポリカーボネート樹脂組成
物、及び、同樹脂組成物を用いた光学的に情報の記録再
生を行う光記録媒体用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂(以下PCと略記
する)は、透明性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、電
気特性などが優れていることから、精密機械、電気部品
などの多種多様な分野に巾広く使用されている。その成
形方法としては射出成形、吹込成形、射出吹込成形、圧
縮成形、押出成形などが採用されている。上記成形にお
いて、金型からの離型不良は成形物の外観、強度などの
品質を低下させるのみならず、金型へ離型剤を直接噴霧
することが必要となり、成形サイクルが長くなり、生産
性の低下をきたすこととなる。
【0003】この問題を解決するための有効な方法とし
て、ポリカーボネート樹脂そのものに離型剤を含有さ
せ、金型、ダイス、ロールなどへの粘着を減少させるも
のがある。
【0004】前記離型剤としては通常「滑剤」と言われ
る種々の化合物が知られており、例えば炭素数16以上
の炭化水素類、脂肪酸類、脂肪酸アミド類、脂肪酸エス
テル類、脂肪酸の金属石けん類、高級アルコール類、多
価アルコール類、脂肪酸の部分エステル類などの多数の
化合物を例示できる。具体的には特公昭47−4109
2号公報に高級脂肪族カルボン酸と高級脂肪族アルコー
ルもしくは多価アルコールとのエステルまたは部分エス
テルを添加することが提案されている。
【0005】しかしながら、前記各種成形法における問
題点は金型から離型性のみにとどまるものではない。他
の主要な問題点として、金型の汚染がある。これは金型
からの離型性を改良することによって、樹脂残りなどに
よる金型の汚染は解決できるものの、その反面、離型剤
が金型に付着残留し、成形物の品質の低下をきたすこと
がある。それゆえ、離型剤には、滑性作用とともに金型
への低残留性の双方の性能が要求される。
【0006】一方、樹脂を用いて製造されるものに光記
録媒体がある。
【0007】光記録媒体は記録再生を行う光、例えば半
導体レーザー等が透過する透明な基板の上に光記録層を
設け、更にこれを保護部材でラミネートする事によって
構成されている。この光記録媒体用基板(以後、基板と
略称する)にはトラッキング用の溝、アドレス情報ビッ
トなどのミクロンオーダーの微細な凹凸プリフォーマッ
トが予め形成されている。プリフォーマットを作る方法
としては、インジェクション法、コンプレッション法、
2P法、キャスティング法等の方法が知られている。し
かしこれらの方法は量産性、コスト性を満足させること
が難しかった。これらを満足させる方法として例えば特
開昭56−86721号公報に熱可塑性樹脂シートを加
熱箱内で赤外線ランプで加熱し、これを一対の成形用ロ
ールにより凹凸状の信号を形成し、情報記録ディスクを
製造する方法が開示されている。
【0008】この方法はロールシートを成形ロールで連
続的に処理できるので、非常に量産性の優れた方法であ
るが次の様な問題点があった。 (1)一度成形したシートを加熱する為、シートの成形
時のひずみ、例えば延伸などの歪みにより、加熱軟化し
たときシートが変形してしまい、これに成形ロールでプ
リフォーマットパターンを転写しても高い精度のプリフ
ォーマットを有する基板が得られない。 (2)加熱軟化した樹脂シートは弾性体であり成形ロー
ルによるプレスでは微細な凹凸プリフォーマットを正確
に転写することができない。
【0009】この様な問題点を解決するものとして特公
昭63−31847号公報にはベースフィルムに紫外線
硬化型樹脂層を設け、スタンパーで信号を転写し硬化さ
せて、フレキシブルディスクを連続的に製造する方法が
開示されている。しかし、この方法は工程数が多くコス
ト化という点で問題がある。
【0010】そこで、著者らは熱可塑性樹脂を溶融して
押し出し、樹脂シートを形成すると共に、スタンパーロ
ールを用いてプリフォーマット信号用凹凸形状を該樹脂
シートに転写して光記録媒体用基板を製造する方法を発
明した。
【0011】しかし、この方法においても、基板を製造
するとき、スタンパーロールと成型直後の樹脂シートと
の離型性が悪く、スタンパーロールの表面に樹脂が付着
したり、あるいは貼り付き現象が起こり、プリフォーマ
ット信号用凹凸形状が正確に転写できなくなることがあ
るという問題点があった。
【0012】上記問題点を解決すべく、離型剤を含有す
る樹脂を使用して基板を製造することも可能であるが、
長期間にわたり基板を製造しているとスタンパーロール
の表面および挟圧用ロール表面に離型剤が付着、堆積
し、プリフォーマット信号用凹凸形状が正確に転写でき
なくなる問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な従来
の問題点に鑑みなれたものであり、ポリカーボネート樹
脂の離型性を改良し、また溶融押し出しにより樹脂シー
トを形成すると共に、樹脂シートにスタンパーロールの
凹凸プリフォーマット形状を転写して光ディスクや光カ
ード等の光記録媒体用基板を製造する場合において、エ
ステル化合物とイソシアネート含有化合物との反応によ
り得られる付加重合化合物を含有する、離型性の優れた
ポリカーボネート樹脂組成物を用いることによって、長
時間連続製造しても正確に凹凸プリフォーマット信号を
転写できることを知得して本発明を完成するに至ったも
ので、その目的とする所は、上記問題点を解決した離型
性のよいポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた
光記録媒体用基板の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高級脂肪
酸の多価アルコールエステル化合物と、イソシアネート
化合物との反応によって得られる付加重合化合物を含有
するもので、付加重化合物を0.01〜3重量%含有す
ることを含む。
【0015】また本発明は、高級脂肪酸の多価アルコー
ルエステル化合物と、イソシアネート化合物との反応に
よって得られる付加重合化合物を含有するポリカーボネ
ート樹脂組成物を融解してダイから押し出してポリカー
ボネート樹脂シートを成形する工程と、該樹脂シートが
硬化する前にプリフォーマットローラー及び該プリフォ
ーマットローラに対向して配置されるローラーで挟圧し
て該樹脂シートの一面にプリフォーマットを転写する工
程を有する光記録媒体用基板の製造方法であり、付加重
合化合物に加えて、高級脂肪酸の多価アルコールエステ
ルを含有させたポリカーボネート樹脂を用いること、多
価アルコールがペンタエリスリトールであること、前記
付加重合化合物に加えて紫外線吸収剤を含有させたポリ
カーボネート樹脂を用いることを含む。
【0016】また本発明は、高級脂肪酸の多価アルコー
ルエステル化合物とイソシアネート化合物との反応によ
って得られる付加重合化合物を含有するポリカーボネー
ト樹脂組成物で構成されている光記録媒体用基板であ
る。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明で用いるポリカーボネート樹脂は二
価フェノールとホスゲンあるいはジフェニルカーボネー
トなどを用いて公知の方法で製造される分子量15.0
00〜35.000の芳香族ポリカーボネートであり、
ホモー、コーポリカーボネート樹脂、末端基として長鎖
アルキル基、アルキルエステル基を持った末端変性のも
の、分岐化されたものなど特に限定されない。代表的に
は2.2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(=ビスフェノールA)とホスゲンとを用い、界面重合
法によって製造されるものがあげられる。
【0019】本発明においては、上記ポリカーボネート
樹脂に付加重合化合物を離型剤として加えてポリカーボ
ネート樹脂組成物とするものである。
【0020】本発明の、ポリカーボネート樹脂組成物中
に含有される付加重合化合物は、以下具体的に示す高級
脂肪酸と多価アルコールとにより得られるエステル化合
物の残存水酸基を利用してイソシアネート含有化合物で
付加重合した化合物である。
【0021】前記高級脂肪酸としては、カプリン酸、ウ
ンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン
酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、
ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、
リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタ
ン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸酸、ア
クリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、カプロレイン
酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セト
レイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノ
ール酸、リノレン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン
酸、プロピオール酸、ステアロール酸などの不飽和脂肪
酸、イソバレリアン酸などの枝分れ脂肪酸、マルバリン
酸、ステルクリン酸、ヒドノカルビン酸、ショールムー
グリン酸、ゴルリン酸などの脂環式脂肪酸、サビニン
酸、イプロール酸、ヤラピノール酸、ユニペリン酸、リ
シノール酸、フエロン酸、セレブロン酸などの含酸素脂
肪酸を使用することができ、特に融点が20℃以上で炭
素数が10〜30の脂肪酸が好適に使用できる。
【0022】前記高級脂肪酸は単独で、もしくは2種以
上併用することの可能である。
【0023】また、前記多価アルコールとしては、エチ
レングリコール、ジエチレングリコーリ、トリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリ
コール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレ
ンジオール、オクチレングリコール、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタ
エリスリトール、1,3−ブチレングリコール、グリセ
リンモノアリル、(4−(ヒドロキシエトキシ)フェノ
ール)プロパン、ソルビトール、ネオペンチルグリコー
ル、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビスフ
ェノール、水添ビスフェノール、ビスフェノールグリコ
ールエーテル等のOH基が2〜6の多価アルコール、及
び各種エポキシ(例えば、トリグリシジルイソシアヌレ
ート)等が用いられる。
【0024】前記した高級脂肪酸と多価アルコール又は
多価エポキシ化合物との反応により得られるエステルは
イソシアネート化合物と反応性を有していなければなら
ない。すなわち脂肪酸に由来するカルボキシル基あるい
は多価アルコールに由来する水酸基を活性水素として有
していなければならない。例えば、4価の多価アルコー
ルであるペンタエリスリトールと高級脂肪酸との反応で
得られるエステルのうち、本発明で使用するエステル
は、モノエステル、ジエステル、トリエステルであり、
エステル分子内に残存する未反応のOH基が、イソシア
ネート化合物との反応に供される。
【0025】前記高級脂肪酸と多価アルコール又は多価
エポキシ化合物との反応によって得られるエステルは、
単独で、もしくは2種以上の混合物として使用すること
も可能である。
【0026】イソシアネート化合物としては、メチルイ
ソシアネート、エチルイソシアネート、n−プロピルイ
ソシアネート、n−ブチルイソシアネート、オクタデシ
ルイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシア
ネート等のモノイソシアネート、2,4−トリレンジイ
ソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンイソシアネ
ート、ジアニシジンジイソシアネート、メタキシリレン
ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネー
ト、トランスビニレンジイソシアネート、2,6−ジイ
ソシアネートメチルカプロエート等のジイソシアネー
ト、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス
(4−フェニルイソシアネートチオホスフェート)4,
4’,4”−トリメチル−3,3’,3”−トリイソシ
アネート−2,4,6−トリフェニルシアヌレート等の
トリイソシアネートの各種イソシアネートを用いること
ができる。特にジイソシアネート、トリイソシアネート
が好適であり、更に芳香族系が好ましい。
【0027】前記エステルとイソシアネートの反応は通
常の方法に従い、加熱攪拌操作を採用して実施できる。
上記加熱温度は、これが高すぎると得られる製品の着色
が著しくなり、また低すぎると反応時間が長くなるた
め、通常約70〜150℃の範囲を選択するのが望まし
い。また、上記反応は金属塩触媒、例えば塩化第二錫、
塩化第二鉄、カリウムオレエート、ジブチルチンジラウ
レート等の使用によって、より低い温度で比較的速やか
に進行させることができる。反応時間は通常0.5〜5
時間程度とするのが適当である。
【0028】上記反応におけるイソシアネートの使用量
は、用いる各原料の種類、反応条件等に応じて適宜選択
されるが、通常エステルに対して約0.1〜40重量
%、好ましくは約0.1〜30重量%の範囲から選択さ
れるのが好ましく、この範囲で所望の重合反応が進行
し、離型剤を製造することができる。
【0029】上記、離型剤すなわち付加重合化合物は、
ポリカーボネート樹脂中に0.01〜3重量%含有させ
る。更には、0.03〜1重量%、最適には0.04〜
0.5重量%が好ましい。0.01重量%より少ないと
離型作用が十分発揮されず、また3重量%を越えると金
型を汚染する場合があり好ましくない。
【0030】本発明に使用するポリカーボネート樹脂中
には付加重合化合物の他に必要に応じて、従来より知ら
れている離型剤を併用することも可能である。それら離
型剤としては滑剤類例えば炭素数16以上の炭化水素
類、脂肪酸類、脂肪酸アミド類、脂肪酸エステル類、脂
肪酸の金属石けん類、高級アルコール類、多価アルコー
ル類、脂肪酸の部分エステル類などの多数の化合物があ
る。特に高級脂肪酸多価アルコールエステルを同時に併
用することは有効である。
【0031】前記高級脂肪酸多価アルコールエステルの
多価アルコール、及び高級脂肪酸としては前述したもの
が使用できる。
【0032】前記多価アルコールのうちでも特にペンタ
エリスリトールを使用するのが好ましい。その他に紫外
線吸収剤、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾ
フェノンなどのベンゾフェノン系、2−(2−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラハイ
ドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベ
ンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3.5−タ
−シャリ−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2−ヒドロキシ−5−タ−シャリ−オクチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3.
5−ジ−タ−シャリ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ
ールなどのベンゾトリアゾール系などが例示できる。
【0033】なお、前記ベンゾトリアゾール系化合物
と、ビスフェノールAとの共重合オリゴマーを使用する
ことは金型に対する非汚染性の点から有効である。更に
は、熱安定化剤、着色剤、発泡剤、補強充填剤、例えば
ガラス類、その他に不活性充填剤などが併用できる。
【0034】本発明のポリカーボネート樹脂組成物を得
る方法は、公知の種々の方法が利用できるが、例えば以
下のものがある。ポリカーボネート樹脂は、公知のポリ
カーボネート樹脂であり、本発明の付加重合化合物をポ
リカーボネート樹脂とともにポリカーボネート樹脂を溶
解し得る溶剤、例えばメチレンクロライドなどに溶解
し、メチレンクロライドを除去し、ポリカーボネート樹
脂組成物を固形化し、押し出し機でペレット化する。
【0035】またポリカーボネート樹脂を重合後乾燥機
から取り出した120℃以上の高温状態のものに付加重
合化合物を添加し、高速混合機で混合し、固化ペレット
化する等の方法がある。
【0036】つぎに本発明の光記録媒体用基板の製造方
法を以下図面に基づいて説明する。図1は、水平3本の
ロール方式により成形樹脂に案内溝やプリフォーマット
パターン等の凹凸形状を転写し、光記録媒体用基板を成
形する方法を示す概略図であり、1は押し出し機、2は
Tダイ、3は成形用第1ロール、4はスタンパーロール
(第2ロール)、5は第3ロール、6は引き取り機であ
る。
【0037】押し出し機1のTダイ2からシート状に押
し出されたシート7は第1ロール3とスタンパーロール
(第2ロール)4の間に導びかれ、ここで両ロール3,
4により押圧されると共に、スタンパーロール4の外周
面に取付けられたスタンパー(図示せず)の形状が転写
される。転写を終ったシート7は、次いで第3ロール5
とスタンパーロール4間を通った後、引き取り機6によ
り引き取られる。スタンパーロールは、鏡面ロールに金
属スタンパーを接着、もしくは機械的に固定する事によ
り得られる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 実施例1 ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製:L−122
5)に0.2重量%の付加重合化合物(吉川製油(株)
製:ラノックスFPI−2110)を含有するペレット
化したポリカーボネート樹脂組成物を用いた。
【0039】なお、ラノックスFPI−2110は、ベ
ヘン酸とステアリン酸を混合した高級脂肪酸混合物をペ
ンタエリスリトールとエステル化したものにトリレンジ
イソシアネートを付加重合した化合物で、融点71℃
(DSC法による)である。スクリュー径φ65mmの
押し出し機に巾300mmのTダイを取り付けたものに
より図2に示す如き押し出し成形を行なった。鏡面ロー
ル13,14,15はクロムメッキ鋼を鏡面仕上げした
もので、ロールの直径は300mmで内部に熱媒を通し
て表面温度を調節した。Tダイ温度300℃、成形速度
3.0m/min、樹脂板厚0.4mmで押し出し成形
した。循環させる油の温度を、ロール13,14,15
の順で100℃,110℃,130℃としたところ各ロ
ールの表面温度は115℃,125℃,135℃であっ
た。成形を6時間行ない、ロール13及び14の表面の
汚れの有無、ロール14からのポリカーボネート成形樹
脂シートの離型性について観察した。 比較例1 実施例1において付加重合化合物を含有しないポリカー
ボネート樹脂L−1225のペレットを用いること以外
は実施例1と同様に押し出し成形を行ない、同様の観察
をした。 比較例2 実施例1において付加重合化合物をステアリン酸モノグ
セリドに変えた以外は実施例1と同様に押し出し成形を
行ない、同様の観察をした。
【0040】観察結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 評価: 汚れ:○ 6時間後ロール表面が成形前の鏡面状態と同
等である。
【0042】 △ 6時間後ロール表面がややくもる。
【0043】 × 6時間後ロール表面に付着物が堆積する。
【0044】 離型:○ 成形シート表面に剥離むらが認められない。
【0045】 × 成形シート表面に剥離むらが認められる。 実施例2〜5 実施例1における付加重合化合物の含有量を0.01,
0.03,1.0,3.0重量%とすること以外は実施
例1と同様にしてシート成形を行なった。 実施例6,7 実施例1における付加重合化合物の含有量を0.00
5,5.0重量%とすること以外は実施例1と同様にし
てシート成形を行なった。上記実施例2〜5及び実施例
6,7でのシート成形時のロール汚れ及び離型性の評価
結果を表2に示す。
【0046】
【表2】 評価基準は表1と同じである。
【0047】次に、光カード基板の製造につき実施例で
説明する。 実施例8 ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製:L−122
5)にベヘン酸とステアリン酸を混合した高級脂肪酸混
合物をペンタエリスリトールとエステル化したものに、
トリレンジイソシアネートを付加重合した化合物(吉川
製油(株)製:ラノックスFPI−2110、融点71
℃)を0.2重量%含有するペレット化したポリカーボ
ネート樹脂を用い、図1に示す口径φ65mmの押し出
し機(300mm幅のTダイ)によりシートを押し出
し、基板を成形した。この時の押し出し機内部の温度は
270℃、Tダイの温度は300℃であった。また成形
用第1〜第3ロールは表面をクロムメッキした炭素鋼製
のもので、直径300mmのものを用い、スタンパーロ
ールとしては、光カード用に作製したニッケルスタンパ
ー(厚さ100μm)を鏡面ロールにネジ止めして用い
た。また、ロールの温度調節は、ロール中にオイルを循
環させる事により行った。この第1〜第3ロールに循環
させるオイルの温度はそれぞれ80℃,100℃,13
0℃で、引き取り速度3.0m/min、基板厚さ0.
4mmで押し出し成形したところ、それぞれのロールの
表面温度は第1ロールが110℃、第2ロール120
℃、第3ロールでは135℃であった。
【0048】上記成形条件で、樹脂成形を連続8時間行
ったがロール3の表面、及びロール4上のスタンパー表
面は目視で汚れが付着することはなかった。また、シー
ト7のロール4からの離型性も良好で、光カード用プリ
フォーマットパターンを成形開始時から終了時まで同じ
ように忠実に転写していた。 実施例9 離型剤として、ベヘン酸とステアリン酸を混合した高級
脂肪酸混合物をペンタエリスリトールとエステル化した
ものにトリレンジイソシアネートを付加重合した化合物
及び、ベヘン酸とステアリン酸を混合したものをペンタ
エリスリトールとエステル化したものとの混合物(吉川
製油(株)製 ラノックスFPS−7融点67℃)を用
い、またスタンパーロールとして光ディスク用のスパイ
ラル状パターンのニッケルスタンパー(厚さ150μ
m)を接着剤(ソニーボンド(株)製商品名SC55)
で鏡面ロールに貼り付けたもの使用して実施例6と同様
に光ディスク基板(厚さ1.2mm)を成形した。この
ときロール温度調整用オイルの温度は、第1ロール90
℃、第2ロール110℃、第3ロール130℃で引き取
り速度は2m/minであった。
【0049】上記条件で15時間連続成形を行なった結
果、ロール3及びロール4上のスタンパーへの汚れ付着
も認められず、スパイラル状パターンの転写も成形開始
時から終了時まで良好であった。 比較例3 実施例8において、付加重合化合物を含有しないポリカ
ーボネート樹脂(帝人化成(株)製L−1225)を用
いること以外は実施例8と同様にしてシート成形を連続
8時間行なったところ、経時的にロール3及びロール4
上のスタンパー表面に微量のポリカーボネート樹脂が堆
積し、それによってシート面にシート押し出し方向と垂
直方向に波状の剥離むらが生じた。 比較例4 実施例8において、付加重合化合物に代えてグリセリン
モノステアレートとし、実施例6と同様にシート成形を
行なったところ、シート7のロール4からの離型性は良
好であったが、成形開始後30分でロール3及びロール
4のスタンパー表面に雲りが生じはじめ、成形シート表
面を顕微鏡観察したところ、プリフォーマットパターン
が欠落した部分が認められた。 実施例10〜13 実施例8における付加重合化合物の含有量を0.01,
0.03,1.0,3.0重量%とすること以外は、実
施例8と同様にしてシート成形を行なった。 実施例14,15 実施例8における付加重合化合物の含有量を0.00
5,5.0重量%とすること以外は実施例8と同様にし
てシート成形を行なった。前記実施例10〜13、実施
例14,15でのシート成形時の離型性、スタンパーロ
ールの非汚染性、及びプリフォーマットパターンの転写
忠実性の評価結果を表3に示す。
【0050】
【表3】 *1 経時的にロール3及びロール4上のスタンパー表
面に微量のポリカーボネート樹脂が堆積し、それにより
シート面にシート押出し方向と垂直方向に波状の剥離む
らが生じ転写性が劣化。 *2 経時的にスタンパー表面に離型剤が堆積付着した
事によって転写忠実性が劣化。 実施例16 実施例8において、付加重合化合物に加えて、紫外線吸
収剤(三菱ガス化学(株)製:LA−24P三菱ガス化
学(株)製、ベンゾトリアゾール化合物とビスフェノー
ルAとの共重合オリゴマ)を1.0重量%含有するポリ
カーボネート樹脂を用いること以外は実施例8と同様に
して、光カード用樹脂基板を得た。成形時の離型性、非
汚染性、転写性はすべて良好であった。
【0051】実施例8及び実施例16で得た樹脂基板を
キセノンフェードメータ スガ試験機(株)製:FAL−25Ax−HC−B−E
c 43℃70%RH,40mw/cm2 ,500H を使用し、耐光性評価を行なった結果、実施例8の樹脂
基板は黄変していたが、実施例16の樹脂基板に変色は
認められなかった。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように高級脂肪酸と多価ア
ルコールとによるエステル化合物とイソシアネート含有
化合物との反応によって得られる付加重合化合物を含有
するポリカーボネート樹脂組成物は金型からの離型性が
改善されるのみならず金型の汚染もないため、成形品の
品質が安定するとともに生産性が向上する効果がある。
また、このポリカーボネート樹脂を用いて、Tダイを備
えた押し出し機で前記ポリカーボネート樹脂を溶融押し
出しして樹脂シートを形成すると共に前記押し出した樹
脂シートに所定の形状を有するスタンパーロールを押圧
することにより、前記シートに所定の形状を転写した光
記録媒体用基板を連続的に高品質で生産性良く製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる光カード基板の製造装置
の一例を示す模式的側面図である。
【図2】押し出し成形法を示す模式的説明図である。
【符号の説明】
1 押し出し機 2 Tダイ 3 第1ロール 4 第2ロール(スタンパーロール) 5 第3ロール 6 引き取り機 7 シート 11 押し出し機 12 Tダイ 13 鏡面ロール 14 鏡面ロール 15 鏡面ロール 16 成型板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 75:04) (72)発明者 甲斐 丘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 湯浅 俊哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 芳野 斉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高級脂肪酸の多価アルコールエステル化
    合物と、イソシアネート化合物との反応によって得られ
    る付加重合化合物を含有することを特徴とするポリカー
    ボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記付加重合化合物の含有量が0.01
    〜3重量%であることを特徴とする請求項1記載のポリ
    カーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 高級脂肪酸の多価アルコールエステル化
    合物と、イソシアネート化合物との反応によって得られ
    る付加重合化合物を含有するポリカーボネート樹脂組成
    物を溶融してダイから押し出してポリカーボネート樹脂
    シートを成形する工程と、該樹脂シートが硬化する前に
    プリフォーマットローラー及び該プリフォーマットロー
    ラーに対向して配置されるローラーで挟圧して該樹脂シ
    ートの一面にプリフォーマットを転写する工程を有する
    ことを特徴とする光記録媒体用基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記付加重合化合物の含有量が0.01
    〜3重量である請求項3記載の光記録媒体用基板の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記付加重合化合物に加えて、高級脂肪
    酸の多価アルコールエステルを含有させたポリカーボネ
    ート樹脂を用いる請求項2に記載の光記録媒体用基板の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 多価アルコールがペンタエリスリトール
    である請求項5記載の光記録媒体用基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記付加重合化合物に加えて紫外線吸収
    剤を含有させたポリカーボネート樹脂を用いる請求項3
    記載の光記録媒体用基板の製造方法。
  8. 【請求項8】 高級脂肪酸の多価アルコールエステル化
    合物とイソシアネート化合物との反応によって得られる
    付加重合化合物を含有するポリカーボネート樹脂組成物
    で構成されていることを特徴とする光記録媒体用基板。
JP4161342A 1992-06-19 1992-06-19 ポリカーボネート樹脂組成物、及びそれを用いた光記録媒体用基板とその製造方法 Pending JPH064902A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100838855B1 (ko) * 2000-12-20 2008-06-16 파텐트-트로이한트-게젤샤프트 퓌어 엘렉트리쉐 글뤼람펜 엠베하 다수의 무성 가스 방전 램프들을 포함하는 영상 표시 장치
CN102350799A (zh) * 2011-11-09 2012-02-15 苏州奥美材料科技有限公司 一种聚碳酸酯片材加工装置

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