(1)顕微鏡装置の構成
本発明の一実施の形態に係る顕微鏡装置について説明する。本実施の形態に係る顕微鏡装置においては、測定対象物の蛍光観察を行うことが可能である。また、その顕微鏡装置においては、測定対象物を透過する光を用いた明視野観察、暗視野観察、位相差観察、微分干渉観察、偏斜観察および偏光観察を行うことが可能である。以下の説明では、測定対象物を透過する光を用いた明視野観察、暗視野観察、位相差観察、微分干渉観察、偏斜観察および偏光観察を透過観察と総称する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る顕微鏡装置の外観斜視図である。図1に示すように、本例の顕微鏡装置500は、主として測定部100、PC(パーソナルコンピュータ)200、測定光供給部300および表示部400から構成される。測定部100とPC200とが配線WR1により接続される。測定部100と測定光供給部300とが配線WR2および導光部材330により接続される。図1の例では、PC200および表示部400が一体化された構成として一台のノート型パーソナルコンピュータが用いられる。配線WR1としては、LAN(ローカルエリアネットワーク)ケーブルまたはUSB(ユニバーサルシリアルバス)ケーブル等が用いられる。配線WR2としては、電源線と信号線とが一体化されたケーブルが用いられる。
図2は図1の顕微鏡装置500のハードウェア構成を説明するための図である。図2では、測定部100および測定光供給部300の縦断面が模式的に示される。
図2に示すように、測定光供給部300は、筐体301、電源装置310、投光部320および排熱装置340を含む。電源装置310、投光部320および排熱装置340は、筐体301内に収容される。電源装置310は、投光部320に電力を供給するとともに、配線WR2を介して測定部100に電力を供給する。
測定光供給部300の筐体301には排熱用の開口309が形成されている。排熱装置340は、排熱ファンおよび排熱ファンを駆動するモータを含み、電源装置310および投光部320で発生される熱を開口309を通して筐体301の外部に排出する。
測定部100は、外部筐体101、複数の支柱106、台座107、パターン付与部110、受光部120、透過光供給部130、ステージ140、ステージ駆動装置141、フィルタユニット150、レンズユニット160および制御基板170を含む。
外部筐体101は、パターン付与部110、受光部120、透過光供給部130、ステージ140、ステージ駆動装置141、フィルタユニット150、レンズユニット160、制御基板170および各構成要素の図示しない駆動回路を収容する。また、外部筐体101は、前面部101a、背面部101b、一側面部101c(図1)、他側面部101d(図1)および上面部101eを有する。上面部101eには上面蓋102が取り付けられている。前面部101aの中央には前面蓋103が取り付けられている。上面蓋102および前面蓋103が閉じられた状態で、ステージ140および受光部120を含む空間が暗室状態になる。
外部筐体101内には、ベースフレーム91、ステージフレーム92およびアッパーフレーム93が上下に並ぶようにかつ水平面に平行となるように設けられる。
ベースフレーム91、ステージフレーム92およびアッパーフレーム93は、パターン付与部110、受光部120、透過光供給部130、ステージ140、ステージ駆動装置141、フィルタユニット150、レンズユニット160および制御基板170を支持する支持体の一部を構成し、支持体は複数の支柱106および台座107により支持される。
ステージフレーム92はベースフレーム91の上方に位置し、アッパーフレーム93はステージフレーム92の上方に位置する。ベースフレーム91およびステージフレーム92には、測定対象物Sの観察に用いる光を通過させるための開口が形成されている。
ステージ140の中央部にも開口が形成されている。ステージフレーム92およびステージ140の開口が互いに重なるように、ステージフレーム92の上面にステージ140が一体的に取り付けられる。さらに、ステージフレーム92の上面にはステージ140とともにステージ駆動装置141が取り付けられる。
ステージ140上には、シャーレまたはプレパラート等を用いて測定対象物Sが載置される。測定対象物Sが載置されるステージ140上の平面を載置面と呼ぶ。本例では、載置面は水平面に平行に維持される。
以下の説明では、図2に矢印で示すように、載置面上で互いに直交する2方向をX方向およびY方向と定義し、載置面に対して直交する方向をZ方向と定義する。X方向は測定部100の左右方向に相当し、Y方向は測定部100の前後方向に相当し、Z方向は測定部100の上下方向に相当する。ステージ140はX−Yステージであり、X方向およびY方向に移動可能に構成される。ステージ駆動装置141は、制御基板170から与えられる信号に応答してステージ140をX方向およびY方向に移動させる。
本例においては、測定対象物Sは種々のタンパク質を含む生物標本である。蛍光観察を行う場合、測定対象物Sには特定のタンパク質に融合する蛍光試薬が塗布される。蛍光試薬は、例えばGFP(緑色蛍光タンパク質)、Texas Red(テキサスレッド)およびDAPI(ジアミジノフェニルインドール)を含む。GFPは、波長490nm付近の光を吸収して波長510nm付近の光を放出する。Texas Redは、波長596nm付近の光を吸収して波長620nm付近の光を放出する。DAPIは、波長345nm付近の光を吸収して波長455nm付近の光を放出する。
ベースフレーム91の上面にパターン付与部110、フィルタユニット150およびレンズユニット160が取り付けられ、ベースフレーム91の下方に受光部120が設けられる。
ベースフレーム91上では、パターン付与部110の前方の位置にフィルタユニット150が配置される。アッパーフレーム93の上面に透過光供給部130が取り付けられる。
図3は、測定部100および測定光供給部300における光路を示す模式図である。図3では、光路とともに測定部100および測定光供給部300の各構成要素の詳細が示される。図3においても、図2と同様に、X方向、Y方向およびZ方向が矢印で示される。
図3に示すように、測定光供給部300の投光部320は、測定光源321、減光機構322、遮光機構323および光コネクタ324を含む。光コネクタ324に導光部材330の一端が接続される。本例においては、導光部材330は液体ライトガイドである。導光部材330は、例えばガラスファイバまたは石英ファイバであってもよい。
測定光源321は、例えばメタルハライドランプである。測定光源321は、水銀ランプ、キセノンランプまたは白色LED(発光ダイオード)等の他の光源であってもよい。測定光源321は、測定対象物Sの蛍光観察用の光源として用いられる。以下、測定光源321により出射される光を測定光と呼ぶ。
遮光機構323は、例えばメカニカルシャッタである。遮光機構323は、測定光源321から出射された測定光の光路上に位置するように配置される。遮光機構323が導光状態である場合には、測定光が遮光機構323を通過し、導光部材330の一端に入射する。一方、遮光機構323が遮光状態である場合には、測定光は遮断され、導光部材330の一端に入射しない。遮光機構323は、測定光の通過および遮断を切り替え可能な光変調素子を含んでもよい。遮光機構323は、例えば測定対象物Sの蛍光観察が行われる場合に導光状態となり、測定対象物Sの透過観察が行われる場合に遮光状態となる。また、遮光機構323は、例えば後述する対物レンズおよびフィルタキューブの交換作業時および観察画像の処理中に遮光状態となる。
減光機構322は、互いに透過率が異なる複数のND(Neutral Density)フィルタを含む。減光機構322は、複数のNDフィルタのいずれかが遮光機構323を通過した測定光の光路上に位置するように配置される。測定光の光路上に位置するNDフィルタを選択的に切り替えることにより、減光機構322を通過する測定光の強度を調整することができる。減光機構322は、複数のNDフィルタに代えて、測定光の強度を調整可能な光変調素子を含んでもよい。
測定部100のパターン付与部110は、内部筐体10、導光部品支持ケース11、投光レンズ12、光コネクタ111、光変調素子112および複数(本例では2個)のミラー113を含む。
内部筐体10は箱型形状を有する。内部筐体10の前面部分に投光レンズ12が設けられている。内部筐体10の背面部分の内側に光変調素子112が取り付けられている。光変調素子112は投光レンズ12の光軸上に位置する。内部筐体10の下面部分に略円筒形状を有する導光部品支持ケース11が取り付けられる。導光部品支持ケース11の下端部は閉塞されている。導光部品支持ケース11内に2個のミラー113および光コネクタ111が設けられている。
光コネクタ111は導光部品支持ケース11の下端部近傍に設けられる。測定部100の後方から背面部101bを通して光コネクタ111に導光部材330の他端が接続される。光コネクタ111は、蛍光観察時に導光部材330により導かれる測定光が測定部100の後方から前方に向かって出射されるように導光部材330の他端を支持する。
光コネクタ111の前方に一方のミラー113がXY平面に対して傾斜するように設けられる。また、一方のミラー113の上方に他方のミラー113がXY平面に対して傾斜するように設けられる。この状態で、光変調素子112は、2個のミラー113の後方でかつ2個のミラー113よりも上方に位置する。光コネクタ111の他端から出射される測定光は、一方のミラー113により測定部100の下方から上方に向かうように反射される。また、一方のミラー113により反射された測定光は、他方のミラー113により前方斜め下方から後方斜め上方に向かうように反射され、光変調素子112に入射する。
光変調素子112は、例えばDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)である。光変調素子112は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon:反射型液晶素子)であってもよい。光変調素子112に入射した光は、後述するパターン生成部212により予め設定されたパターンおよび予め設定された強度(明るさ)に変換されるとともに測定部100の後方から前方に向かうように反射される。光変調素子112で反射された測定光は、投光レンズ12を通してフィルタユニット150に入射する。
上記のように、本例では光変調素子112としてDMDまたはLCOS等の反射型デバイスが用いられる。これに限らず、光変調素子112としては、反射型デバイスに代えてLCD(液晶ディスプレイ)等の透過型デバイスを用いてもよい。
フィルタユニット150は、複数のフィルタキューブ151、フィルタターレット152およびフィルタターレット駆動部153を含む。各フィルタキューブ151は、フレーム151a、励起フィルタ151b、ダイクロイックミラー151cおよび吸収フィルタ151dを含む。フレーム151aは、励起フィルタ151b、ダイクロイックミラー151cおよび吸収フィルタ151dを支持する立方体状の部材である。
複数のフィルタキューブ151は、測定対象物Sの蛍光観察に用いられる複数種類の蛍光試薬にそれぞれ対応する。例えば、蛍光試薬として上記のGFP、Texas RedおよびDAPIが用いられる場合には、GFP、Texas RedおよびDAPIにそれぞれ対応する3種類のフィルタキューブ151がフィルタユニット150に設けられる。
この場合、GFPに対応するフィルタキューブ151の励起フィルタ151bは波長490nm付近の光を通過させ、吸収フィルタ151dは波長510nm付近の光を通過させる。ダイクロイックミラー151cは、波長490nm付近の光を反射し、波長510nm付近の光を通過させる。
また、Texas Redに対応するフィルタキューブ151の励起フィルタ151bは596nm付近の光を通過させ、吸収フィルタ151dは620nm付近の光を通過させる。ダイクロイックミラー151cは、波長596nm付近の光を反射し、波長620nm付近の光を通過させる。
さらに、DAPIに対応するフィルタキューブ151の励起フィルタ151bは345nm付近の光を通過させ、吸収フィルタ151dは455nm付近の光を通過させる。ダイクロイックミラー151cは、波長345nm付近の光を反射し、波長455nm付近の光を通過させる。
フィルタターレット152は円板状を有する。フィルタターレット152には、その中心軸を基準として90°の角度間隔で4個の貫通孔が設けられている。フィルタターレット152は、図2のベースフレーム91上でフィルタターレット152の中心軸の周りで回転可能に支持される。フィルタターレット駆動部153がフィルタターレット152を駆動することによりフィルタターレット152が回転する。
複数のフィルタキューブ151の各々は、励起フィルタ151bがフィルタターレット152の中心軸と反対の方向に向かうようにかつ4個の貫通孔のうちのいずれかに重なるようにフィルタターレット152上に設けられる。
本実施の形態では、フィルタターレット152の3個の貫通孔に重なるように、上記の3種類の蛍光試薬にそれぞれ対応する3個のフィルタキューブ151がフィルタターレット152上に取り付けられる。
使用者は、蛍光観察時にフィルタターレット152を回転させることにより、所望のフィルタキューブ151を選択することができる。選択されたフィルタキューブ151は、測定光が励起フィルタ151bに入射するように、ステージ140上の測定対象物Sを通るZ方向に平行な観察軸OA上に配置される。観察軸OAはZ方向に延びる受光部120の光軸である。励起フィルタ151bに測定光が入射すると、測定光のうち一部の波長領域の光が励起フィルタ151bを通過する。励起フィルタ151bを通過した光は、ダイクロイックミラー151cにより上方に向けて反射される。
上記のように、本実施の形態ではフィルタターレット152の3つの貫通孔に3つのフィルタキューブ151が取り付けられ、残り1つの貫通孔にフィルタキューブ151が取り付けられない。そのため、フィルタキューブ151が取り付けられない貫通孔を観察軸OA(測定光の光路)上に配置させることにより、フィルタキューブ151を用いない明視野観察を行うことが可能である。
レンズユニット160は、複数の対物レンズ161、レンズターレット162、焦点距離調整機構163、レンズ支持板163p、レンズターレット駆動部164および焦点距離調整駆動部165を含む。複数の対物レンズ161は、互いに異なる倍率を有する。
焦点距離調整機構163が図2のベースフレーム91上に取り付けられる。焦点距離調整機構163はレンズ支持板163pをXY平面に平行かつZ方向に移動可能に支持する。
レンズ支持板163p上にレンズターレット162およびレンズターレット駆動部164が設けられる。レンズターレット162は、円板状を有する。レンズターレット162には、その中心軸を基準として60°の角度間隔で6個の貫通孔が形成されている。レンズターレット162は、レンズターレット162の中心軸の周りで回転可能に支持される。レンズターレット駆動部164がレンズターレット162を駆動することによりレンズターレット162が回転する。
本実施の形態では、倍率が互いに異なる6個の対物レンズ161が、レンズターレット162の6個の貫通孔に重なるようにレンズターレット162上に取り付けられる。この状態で、6個の対物レンズ161は、ステージ140の下方かつフィルタユニット150の上方に位置する。
使用者は、レンズターレット162を回転させることにより、測定対象物Sの観察に用いる1つの対物レンズ161を選択することができる。選択された対物レンズ161は上記の観察軸OA上に配置される。
焦点距離調整駆動部165は、焦点距離調整機構163を駆動することによりレンズ支持板163pをZ方向に移動させる。それにより、ステージ140上の測定対象物Sと選択された対物レンズ161との間のZ方向における相対的な距離が調整される。
測定対象物Sの蛍光観察時には、フィルタキューブ151のダイクロイックミラー151cにより反射された測定光が、選択された対物レンズ161により集光されつつステージ140の開口を通過して測定対象物Sに照射される。測定対象物Sに測定光が照射されると、測定対象物Sに塗布された蛍光試薬から蛍光が放出される。測定対象物Sの下方に放出された蛍光は、選択された対物レンズ161とその対物レンズ161の下方に位置するフィルタキューブ151とベースフレーム91に形成された開口とを通過し、受光部120に入射する。
図2のアッパーフレーム93上に取り付けられる透過光供給部130は、固定部130Aおよび揺動部130Bからなる。固定部130Aは、透過光源131、絞り調整部132および透過光学系133を含み、アッパーフレーム93(図2)の上面上に固定される。
透過光源131は、例えば白色LEDである。透過光源131は、ハロゲンランプ等の他の光源であってもよい。透過光源131は、測定対象物Sの透過観察用の光源として用いられる。以下、透過光源131から出射される光を透過光と呼ぶ。絞り調整部132は、絞りおよび位相差スリットを含み、測定対象物Sに照射される透過光の明るさを調整するためおよび透過光による位相差観察を行うために用いられる。透過光学系133は、リレーレンズを含み、透過光源131から出射される透過光を固定部130Aの前方へ導く。リレーレンズは、絞り調整部132が含む絞りおよび位相差スリットとコンデンサレンズ135の前側焦点位置との間で共役関係が維持されるように配置される。
揺動部130Bは、ミラー134、コンデンサレンズ135および図示しない揺動機構を含む。揺動部130Bは、図2の上面蓋102が開かれた状態で、X方向に平行な軸を中心として揺動可能に構成される。それにより、揺動部130Bは、コンデンサレンズ135がZ方向においてステージ140上の測定対象物Sに対向する正規位置とコンデンサレンズ135がZ方向においてステージ140上の測定対象物Sに対向しない離間位置との間を移動する。
測定対象物Sの透過観察時には、使用者により揺動部130Bが手動で正規位置に移動される。揺動部130Bが正規位置にある状態で、固定部130Aから前方に導かれる透過光がミラー134により下方に反射され、コンデンサレンズ135を通してステージ140上の測定対象物Sを透過する。
上記のように、フィルタユニット150においては、透過観察時にフィルタキューブ151が設けられていないフィルタターレット152の貫通孔が選択される。この場合、測定対象物Sを透過した透過光は、使用者により選択された対物レンズ161とフィルタターレット152の貫通孔とベースフレーム91に形成された開口とを通して受光部120に入射する。
受光部120は、カメラ121、カラーフィルタ122および結像レンズ123を含む。カメラ121は、例えば撮像素子を含むCCD(電荷結合素子)カメラである。撮像素子は、例えばモノクロCCDである。撮像素子は、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の他の撮像素子であってもよい。
受光部120に入射した蛍光または透過光は、結像レンズ123により集光および結像された後、カメラ121により受光される。これにより、測定対象物Sの画像が得られる。カメラ121の撮像素子の各画素からは、受光量に対応するアナログの電気信号(以下、受光信号と呼ぶ)が制御基板170に出力される。
モノクロCCDには、カラーCCDとは異なり、赤色波長の光を受光する画素、緑色波長の光を受光する画素および青色波長の光を受光する画素を設ける必要がない。そのため、モノクロCCDの計測の分解能はカラーCCDの分解能よりも高くなる。また、モノクロCCDには、カラーCCDとは異なり、各画素にカラーフィルタを設ける必要がない。そのため、モノクロCCDの感度はカラーCCDの感度よりも高くなる。これらの理由により、本例におけるカメラ121にはモノクロCCDが設けられる。一方、カラーCCDが十分な分解能および感度を有する場合には、撮像素子は、カラーCCDであってもよい。
制御基板170には、図示しないA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)およびFIFO(First In First Out)メモリが実装される。カメラ121から出力される受光信号は、PC200による制御に基づいて、A/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、FIFOメモリに順次蓄積される。FIFOメモリに蓄積されたデジタル信号は画素データとして順次PC200に転送される。
(2)顕微鏡装置の制御系
図4は図1の顕微鏡装置500の制御系を示すブロック図である。測定部100においては、制御基板170は、PC200から与えられる指令に応答してパターン付与部110、受光部120、透過光供給部130、ステージ駆動装置141、フィルタユニット150、レンズユニット160の動作を制御する。また、制御基板170は、上記のようにカメラ121(図3)から出力される受光信号に基づくデジタル信号をPC200に転送する。さらに、制御基板170は、PC200からの指令に応答して測定光供給部300の電源装置310および投光部320の動作を制御する。
PC200は、CPU(中央演算処理装置)210、ROM(リードオンリメモリ)220、RAM(ランダムアクセスメモリ)230、記憶装置240および操作部250を含む。操作部250は、測定部100の制御基板170に指令を与えるために使用者により操作可能に構成され、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。
表示部400は、例えばLCDパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。ROM220には、システムプログラムが記憶される。RAM230は、種々のデータを記憶するとともにCPU210の作業領域として機能する。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、顕微鏡装置500の制御プログラムおよび画像処理プログラムが記憶される。また、記憶装置240は、測定部100から与えられる画素データ等の種々のデータを保存するために用いられる。
図5は、CPU210の構成を示すブロック図である。図5に示すように、CPU210は、画像データ生成部211、パターン生成部212および制御部213を含む。画像データ生成部211は、上記の制御プログラムおよび画像処理プログラムを実行することにより、測定部100から与えられる画素データに基づいて画像データを生成する。画像データは複数の画素データの集合である。
パターン生成部212は、図3の光変調素子112により出射される測定光のパターンとして、空間的な位相が所定量ずつ順次移動されつつ前記測定対象物に照射されるべきパターンを生成する。制御部213は、パターン生成部212により生成されたパターンに基づいて図2の制御基板170を介して光変調素子112を制御することにより、所定のパターンを有する測定光を測定対象物Sに照射しつつパターンの位相を移動させる。
また、制御部213は、制御基板170に指令を与えることにより制御基板170を介して受光部120、透過光供給部130、ステージ140、フィルタユニット150、レンズユニット160および投光部320の動作を制御する。さらに、制御部213は、生成した画像データにRAM230を用いて各種処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部400に表示させる。
(3)パターン付与部の機能
図6は、測定対象物Sに測定光が照射される場合に測定対象物Sから放出される蛍光を表す模式図である。図6に示すように、対物レンズ161の焦点に測定対象物Sの観察対象部分sp1が配置される場合、対物レンズ161を通過する測定光は点線で示すように測定対象物Sの観察対象部分sp1に向かって集光される。それにより、測定対象物Sの観察対象部分sp1に蛍光試薬が存在すると、その観察対象部分sp1から蛍光が放出される。蛍光の一部が太い矢印で示すように対物レンズ161を通して受光部120(図3)に入射する。
対物レンズ161により測定対象物Sの観察対象部分sp1に測定光が集光される場合には、対物レンズ161の焦点から外れた位置に存在する蛍光試薬も測定光を受けることにより蛍光を放出する。図6の例では、観察対象部分sp1以外の部分sp2,sp3からも蛍光が放出される。部分sp2,sp3が対物レンズ161の被写界深度DFから外れた位置にあると、それらの部分sp2,sp3から放出される蛍光が迷光として受光部120に入射する。
図7は、測定対象物Sにおける所定の観察範囲に均一な測定光を照射することにより得られる蛍光観察画像の一例を示す図である。上記の理由により、測定対象物Sにおける所定の観察範囲に均一に測定光を照射すると、図7に示すように、対物レンズ161の被写界深度DFから外れた位置から放出される蛍光が迷光として受光部120に入射し、蛍光観察画像のコントラストを全体的に低下させる。
そこで、本例の測定部100においては、コントラストの高い蛍光観察画像を得るためにパターン化された測定光を用いる蛍光観察が行われる。以下の説明では、均一な測定光を用いた蛍光観察を通常観察と呼び、パターン化された測定光を用いる蛍光観察をセクショニング観察と呼ぶ。
セクショニング観察では、所定パターンを有する測定光を測定対象物Sに照射しつつ所定パターンの空間的な位相を一定量ずつ移動させる。所定パターンを有する測定光は、例えばXY平面上の一方向(例えばY方向)または二方向(例えばX方向およびY方向)において周期的に変化する強度を有する。以下、パターンを有する測定光をパターン測定光と呼ぶ。
パターン測定光のパターンおよびその位相は、光変調素子112により制御される。ここで、強度が所定の値以上のパターン測定光の部分を明部分と呼び、強度が所定の値より小さいパターン測定光の部分を暗部分と呼ぶ。
パターン測定光としては、例えば一方向(例えばX方向)に平行でかつ一方向に直交する他の方向(例えばY方向)に略等間隔で並ぶ複数の直線状の明部分を含むとともに複数の明部分の間に複数の直線状の暗部分を含む断面を有する縞状測定光を用いることができる。
図8は、セクショニング観察方法の一例を示す図である。セクショニング観察では、図8(a)〜(d)に示すように、パターン測定光(本例では縞状測定光)の明部分が測定対象物Sの全ての部分に少なくとも1回照射されるようにパターン測定光のパターンの位相が一定量ずつ移動される。また、パターンの位相が一定量移動されるごとに、測定対象物Sから放出される蛍光が検出される。これにより、測定対象物Sの複数の画像データが生成される。
以下、測定対象物Sにパターン測定光が照射された場合に得られる画像データをパターン画像データと呼ぶ。パターン画像データに基づく画像をパターン画像と呼ぶ。
各パターン画像データにおいて、パターン測定光の明部分に対応する画素データは高い値(輝度値)を有し、パターン測定光の暗部分に対応する画素データは低い値(輝度値)を有する。そのため、図8(a)〜(d)に矢印で示すように、各パターン画像において、パターン測定光の明部分に対応する画素の部分は明るく、パターン測定光の暗部分に対応する画素の部分は暗い。
ここで、各パターン画像は、迷光の影響を受ける。迷光の影響が除去された画像データを得るために以下の処理が実行される。
まず、複数のパターン画像データから画素ごとに複数の画素データの値を用いて明暗差の度合いを表わす成分(以下、合焦成分と呼ぶ)を算出する。合焦成分を有する画素をつなぎ合わせることにより画像データを生成する。このようにして生成される画像データをセクショニング画像データと呼ぶ。セクショニング画像データに基づく画像をセクショニング画像と呼ぶ。
上記の縞状測定光を用いて生成されたパターン画像データにおいては、合焦成分は、例えば画素データの最大値(最大輝度値)と最小値(最小輝度値)との差、または画素データの値の標準偏差である。
本例では、各画素について、パターン測定光の明部分および暗部分が照射されたときのパターン画像データの画素データの差を合焦成分として算出する。算出された全画素についての合焦成分をつなぎ合せることにより、セクショニング画像データを生成する。各画素について、パターン測定光の暗部分が照射されたときのパターン画像データの画素データの値は、迷光の成分に相当する。したがって、迷光の影響が除去されたセクショニング画像データを得ることができる。その結果、図8(e)に示すように、迷光の影響が除去されたコントラストの高い蛍光観察画像(セクショニング画像)を得ることができる。
以下の説明では、上記のセクショニング画像データおよびセクショニング画像に対して、通常観察において得られる画像データを通常画像データと呼び、通常画像データに基づく蛍光観察画像を通常画像と呼ぶ。
なお、パターン測定光としては、縞状測定光に代えて、例えばX方向に平行でかつY方向に強度が正弦波状に変化するパターンを含む断面を有する正弦波状測定光を用いることもできる。正弦波状測定光を用いて生成されたパターン画像データにおいては、合焦成分は、例えば画素データの振幅(ピークトゥピーク)である。また、パターン測定光としては、縞状測定光に代えて、X方向およびY方向に略等間隔で並ぶ複数のドット状の明部分を含む断面を有するドット状測定光を用いることもできる。ドット状測定光を用いて生成されたパターン画像データにおいては、合焦成分は、例えば画素データの最大値(最大輝度値)と最小値(最小輝度値)との差、または画素データの値の標準偏差である。
(4)内部筐体の構造
図3のパターン付与部110の内部筐体10について説明する。図9は、パターン付与部110の外観斜視図である。図9では、内部筐体10の一部を切り欠いた状態が示される。
図9に示すように、内部筐体10は、前面部21、背面部22、一側面部23、他側面部24、上面部25および下面部26からなる。前面部21、背面部22、一側面部23、他側面部24、上面部25および下面部26は、それぞれ矩形の板状部材であり、互いに連結されている。
前面部21の中央部分に出射開口10aが形成されている。出射開口10aに投光レンズ12が取り付けられている。下面部26の中央部分に入射開口10bが形成されている。下面部26には、入射開口10bを塞ぐように導光部品支持ケース11が取り付けられている。図9においては、図3の導光部材330を通して光変調素子112に入射する測定光が太い矢印L0で示される。
セクショニング観察時には、光変調素子112は、導光部材330から導かれる測定光を、図9の太い矢印L1で示すように出射開口10aに向かって反射する。それにより、パターン測定光の明部分が生成される。また、光変調素子112は、導光部材330から導かれる測定光を、図9の太い矢印L2で示すように出射開口10aから外れた位置に向かって反射する。それにより、パターン測定光の暗部分が生成される。出射開口10aから外れた位置に反射される光は不要な光となる。不要な光は、内部筐体10の内面で反射することにより、出射開口10aから内部筐体10の外部に直接出射されることが防止される。
この場合、不要な光が内部筐体10の外部に漏れ出ることが抑制される。それにより、不要な光がステージ140および受光部120を含む空間に到達しない。したがって、不要な光が受光部120に入射することが防止され、迷光によるセクショニング画像のコントラストの低下が防止される。
また、上記のように、パターン付与部110においては、光変調素子112が内部筐体10に収容された状態で、内部筐体10の出射開口10aおよび入射開口10bが投光レンズ12および導光部品支持ケース11によりそれぞれ閉塞される。そのため、仮に塵埃が外部筐体101内に進入しても、その塵埃が光変調素子112に付着することが防止される。それにより、塵埃が測定対象物Sのセクショニング画像および通常画像に現れることが防止される。
これらの結果、高い信頼性を有する測定対象物Sの画像を得ることができる。さらに、外部筐体101全体の防塵を行う必要がないので、測定部100の大型化および高コスト化が抑制される。
なお、上記のように、光変調素子112としては、DMDまたはLCOS等の反射型デバイスに代えてLCD等の透過型デバイスを用いてもよい。
(5)測定対象物、対物レンズおよびフィルタキューブの交換作業
図10は、測定対象物S、対物レンズ161およびフィルタキューブ151の交換作業時の測定部100の状態を示す外観斜視図である。図10(a)に示すように、測定部100の外部筐体101には上部開口OP1が形成されている。外部筐体101の上面部101eの一部に、ヒンジ102H(図2)を介して上部開口OP1を開閉可能な上面蓋102が取り付けられている。ステージ140上に載置される測定対象物Sの交換作業時には、図10(a)に太い矢印で示すように上面蓋102が開かれる。その後、図10(b)に太い矢印で示すように、透過光供給部130の揺動部130Bが正規位置np1から離間位置cp1に手動で揺動される。これにより、使用者は、測定部100の前方から上部開口OP1を通して測定対象物Sの交換作業を容易に行うことができる。
固定部130Aの近傍には揺動部検出器S1が設けられる。揺動部検出器S1は、例えば磁石およびホール素子を含む磁気センサであり、揺動部130Bが正規位置np1にあるか否かを検出し、検出結果を制御基板170(図2)に与える。制御基板170は、揺動部130Bが正規位置np1にない場合、投光部320(図3)の遮光機構323(図3)を遮光状態にするとともに、電源装置310から透過光源131(図3)への電力の供給を停止する。それにより、ステージ140に測定光が照射されることおよび固定部130Aから測定部100の前方に透過光が出射されることが防止される。
なお、制御基板170は、揺動部130Bが正規位置np1にない場合に、遮光機構323(図3)を遮光状態にする代わりに、パターン付与部110の光変調素子112を制御することにより、ステージ140に向かって測定光が照射されることを防止してもよい。
外部筐体101にはさらに前部開口OP2が形成されている。外部筐体101の前面部101aの一部に、ヒンジ103H(図2)を介して前部開口OP2を開閉可能な前面蓋103が取り付けられている。
図3のレンズターレット162に取り付けられる対物レンズ161の交換作業時には、図10(a)に太い点線の矢印で示すように前面蓋103が手動で開かれる。また、図3のフィルタターレット152に取り付けられるフィルタキューブ151の交換作業時にも、前面蓋103が手動で開かれる。これらの場合、使用者は、測定部100の前方から前部開口OP2を通して対物レンズ161およびフィルタキューブ151の交換作業を容易に行うことができる。
前面蓋103の近傍には前面蓋検出器S2が設けられる。前面蓋検出器S2は、例えば磁石およびホール素子を含む磁気センサであり、前面蓋103の開閉状態を検出し、検出結果を制御基板170に与える。制御基板170は、検出結果に基づいて前面蓋103が閉状態から開状態に切り替えられる際に、投光部320(図3)の遮光機構323(図3)を導光状態から遮光状態に切り替える。また、制御基板170は、電源装置310から透過光源131(図3)への電力の供給を停止する。それにより、パターン付与部110(図3)からフィルタユニット150に向かって測定光が出射されることおよび透過光供給部130(図3)からフィルタユニット150に透過光が出射されることが防止される。
なお、制御基板170は、前面蓋103が閉状態から開状態に切り替えられる際に、遮光機構323(図3)を遮光状態にする代わりに、パターン付与部110の光変調素子112を制御することによりフィルタユニット150に向かって測定光が出射されることを防止してもよい。
このように、測定光および透過光が外部筐体101の外部に漏れ出ることが防止される。したがって、使用者の目に測定光および透過光が入射することが防止される。
上面蓋102および前面蓋103が使用者により手動で閉じられる。この場合、外部筐体101の外部からステージ140上の測定対象物Sおよび受光部120に光が入射することが防止される。それにより、上記のようにステージ140の載置面に載置された測定対象物Sおよび受光部120を含む空間が暗室状態になる。したがって、蛍光観察時には測定対象物Sから放出される蛍光のみを受光部120に入射させることができる。
(6)表示部の表示内容および測定部の動作
図2の透過光供給部130から出射された透過光が測定対象物Sを透過して受光部120により受光されることにより、測定対象物Sの画像データが生成される。以下、透過光を用いて生成される測定対象物Sの画像データを透過画像データと呼ぶ。透過画像データに基づく画像を透過画像と呼ぶ。
図11は、表示部400の表示例を示す図である。図11に示すように、表示部400には画像表示領域410および設定表示領域420が並ぶように設けられる。画像表示領域410には、パターン画像、セクショニング画像、通常画像または透過画像等の種々の画像が表示される。また、画像表示領域410においては、複数の画像を重畳表示することが可能である。
設定表示領域420には、例えば、フィルタ選択欄430、測定条件設定欄440、撮影解析欄450および撮影種別選択欄490が表示される。また、設定表示領域420には、複数のタブが表示される。複数のタブは、焦点位置調整タブ470を含む。使用者は、図4のPC200の操作部250を用いて表示部400に表示されたGUI(Graphical User Interface)を操作することにより、図4のCPU210および制御基板170に各種指令を与えることができる。
フィルタ選択欄430には、複数(本例では3個)のフィルタ選択ボタン431,432,433,434が表示される。3個のフィルタ選択ボタン431〜433は、フィルタターレット152に設けられる3個のフィルタキューブ151にそれぞれ対応し、フィルタ選択ボタン434はフィルタキューブ151が設けられないフィルタターレット152の貫通孔に対応する。
フィルタ選択ボタン431〜434のいずれかが使用者により選択される。制御基板170は、選択されたフィルタ選択ボタンに対応するフィルタキューブ151またはフィルタターレット152の貫通孔が図3の観察軸OA(受光部120の光軸)上に位置するように図3のフィルタターレット駆動部153を駆動する。このように、使用者は図4の操作部250を操作することにより、外部筐体101の外部から容易かつ短時間でフィルタキューブ151の切り替えを行うことができる。
また、制御基板170は、フィルタ選択ボタン431〜433のいずれかが使用者により選択された場合に、測定対象物Sに測定光が照射されかつ測定対象物Sに透過光が照射されないようにパターン付与部110、透過光供給部130および投光部320を制御する。さらに、制御基板170は、フィルタ選択ボタン434が使用者により選択された場合に、測定対象物Sに透過光が照射されかつ測定対象物Sに測定光が照射されないようにパターン付与部110、透過光供給部130および投光部320を制御する。
測定条件設定欄440には、セクショニング観察ボタン441、通常観察ボタン442および測定条件を設定するための複数の設定ボタンが表示される。複数の設定ボタンは、例えば、測定光に付与されるパターンの形状を設定するためのボタンおよび露光時間を設定するためのボタンを含む。
3個のフィルタ選択ボタン431〜433のうちいずれかが選択された状態で、セクショニング観察ボタン441が使用者により操作される。この場合、制御基板170は、PC200からの指令に応答して、測定光にパターンを付与するように光変調素子112を制御する。それにより、測定対象物Sにパターン測定光が照射される。一方、3個のフィルタ選択ボタン431〜433のうちいずれかが選択された状態で、通常観察ボタン442が使用者により操作される。この場合、制御基板170は、PC200からの指令に応答して、測定光にパターンを付与しないように光変調素子112を制御する。それにより、測定対象物Sに均一な測定光が照射される。このように、使用者は図4の操作部250を操作することにより、外部筐体101の外部から容易かつ短時間でセクショニング観察と通常観察との切り替えを行うことができる。
複数のタブのうち焦点位置調整タブ470が選択された状態で、設定表示領域420に対物レンズ選択欄471、焦点位置調整欄472およびステージ位置調整欄473が表示される。
対物レンズ選択欄471には、複数(本例では6個)の対物レンズ選択ボタン471a,471b,471c,471d,471e,471fが表示される。6個の対物レンズ選択ボタン471a〜471eは、6個の対物レンズ161にそれぞれ対応する。
対物レンズ選択ボタン471a〜471fのいずれかが使用者により選択される。制御基板170は、選択された対物レンズ選択ボタン471a〜471fに対応する対物レンズ161が観察軸OA上に位置するようにレンズターレット駆動部164を駆動する。このように、使用者は図4の操作部250を操作することにより、外部筐体101の外部から容易かつ短時間で対物レンズ161の切り替えを行うことができる。
焦点位置調整欄472には、焦点位置調整バー472a、初期距離ボタン472bおよびオートフォーカスボタン472cが表示される。焦点位置調整バー472aは、上下方向に移動可能なスライダを有する。焦点位置調整バー472aのスライダの位置は、測定対象物Sと対物レンズ161との間の距離に相当する。
焦点位置調整バー472aのスライダが移動されることにより、測定対象物Sと対物レンズ161との間の距離が調整される。制御基板170は、測定対象物Sと対物レンズ161との間の距離がスライダにより調整された距離になるように図3の焦点距離調整駆動部165を制御する。
初期距離ボタン472bが操作された場合、制御基板170は、測定対象物Sと対物レンズ161との間の距離が初期条件として予め設定された距離になるように焦点距離調整駆動部165を制御する。オートフォーカスボタン472cが操作された場合、制御基板170は、測定対象物Sの中央部分に対物レンズ161の焦点が合うように焦点距離調整駆動部165を制御する。
このように、使用者は図4の操作部250を操作することにより、外部筐体101の外部から容易かつ短時間で測定対象物Sと対物レンズ161との間の距離を調整することができる。
ステージ位置調整欄473には、ステージ移動ボタン473a,473b,473c,473dおよび初期位置ボタン473eが表示される。ステージ移動ボタン473a,473bが操作された場合、制御基板170は、ステージ140がX方向上の一方向および反対方向にそれぞれ移動するようにステージ駆動部を制御する。
ステージ移動ボタン473c,473dが操作された場合、制御基板170は、ステージ140がY方向上の一方向および反対方向にそれぞれ移動するように図4のステージ駆動装置141を制御する。初期位置ボタン473eが操作された場合、制御基板170は、測定対象物Sの位置が初期条件として予め設定された位置に移動するようにステージ駆動装置141を制御する。
このように、使用者は図4の操作部250を操作することにより、外部筐体101の外部から容易かつ短時間でステージ140上の測定対象物SをX方向およびY方向に移動させて観察範囲を調整することができる。
撮影解析欄450には、シングル撮影ボタン451、マルチ撮影ボタン452および解析ボタン453が表示される。シングル撮影ボタン451が使用者により操作される。この場合、制御基板170は、現在選択されているフィルタキューブ151を通る測定光またはフィルタターレット152の貫通孔を通る透過光を測定対象物Sに照射させるとともに、カメラ121から出力される受光信号に基づく画素データをPC200に転送する。それにより、PC200において、複数の画素データに基づく画像データが生成され、生成された画像データが記憶装置240に記憶される。また、生成された画像データに基づく画像が画像表示領域410に表示される。
一方、マルチ撮影ボタン452が使用者により操作される。この場合、制御基板170は、フィルタターレット駆動部153を制御することによりフィルタキューブ151の切り替えを行いつつ測定光または透過光を測定対象物Sに照射させる。また、制御基板170は、フィルタキューブ151が切り替えられるごとに、カメラ121から出力される受光信号に基づく画素データをPC200に転送する。
それにより、PC200において、複数のフィルタキューブ151にそれぞれ対応する画像データおよび透過観察により得られる画像データが生成され、生成された複数の画像データが記憶装置240に記憶される。また、生成された複数の画像データが重畳されることにより、複数種類の蛍光観察画像および透過観察画像が重畳された画像が画像表示領域410に表示される。
マルチ撮影ボタン452の操作時には、複数の観察チャンネルが設定される。使用者は、図示しない操作ボタンにより各観察チャンネルにおける観察方法を指定する。例えば、4つの観察チャンネルが設定される場合に、使用者は1番目の観察チャンネルにGFPを用いたセクショニング観察を設定する。また、使用者は2番目の観察チャンネルにTexas Redを用いたセクショニング観察を設定する。さらに、使用者は、3番目および4番目の観察チャンネルにそれぞれDAPIを用いた通常観察および透過光による位相差観察を設定する。
この場合、フィルタキューブ151が切り替えられることにより、GFPによるセクショニング観察、Texas Redによるセクショニング観察、DAPIによる通常観察および透過光による位相差観察がこの順で自動的に切り替えられる。また、生成された2つのセクショニング画像データ、通常画像データおよび透過画像データが重畳され、2つのセクショニング画像、通常画像および透過画像が画像表示領域410上に重畳表示される。
解析ボタン453が使用者により操作される。この場合、PC200において、例えば図4の記憶装置240に記憶される画像データの解析処理が実行される。このとき、制御基板170は、投光部320(図3)の遮光機構323(図3)を導光状態から遮光状態に切り替える。それにより、パターン付与部110(図3)からフィルタユニット150に向かって測定光が出射されることが防止される。したがって、画像データの解析中に、測定対象物Sに測定光が照射され続けることによる蛍光試薬の不必要な褪色を低減することができる。
なお、制御基板170は、画像データの解析時に投光部320(図2)の遮光機構323(図3)を導光状態から遮光状態に切り替える代わりに、パターン付与部110からフィルタユニット150に測定光が出射されないように、光変調素子112を制御してもよい。または、制御基板170は、測定光源321の電源を一時的に遮断してもよい。
撮影種別選択欄490には、Zスタック撮影ボタン491、連結撮影ボタン492および全焦点撮影ボタン493が表示される。
Zスタック撮影ボタン491が使用者により操作される。この場合、制御基板170は、例えば図3の焦点距離調整駆動部165を制御することにより、選択されている対物レンズ161と測定対象物Sとの距離を変化させつつ受光部120の出力に基づく画素データをPC200に転送する。それにより、PC200においては、対物レンズ161の焦点の各位置で画像データが生成される。生成された複数の画像データは、例えば図4の記憶装置240に記憶される。
このようにして、使用者は、測定対象物Sが立体的な構造を有する場合に、測定対象物Sの複数の部分に対物レンズ161の焦点が位置する状態で観察される複数のセクショニング画像、通常画像または透過画像を得ることができる。
連結撮影ボタン492が使用者により操作される。この場合、制御基板170は、例えば図4のステージ駆動装置141を制御することにより、受光部120による測定対象物Sの観察範囲をX方向またはY方向に移動させる。また、測定対象物Sの観察範囲が所定量移動するごとに受光部120の出力に基づく画素データをPC200に転送する。それにより、PC200においては、互いに異なる複数の観察範囲に対応する複数の画像データが生成される。生成された複数の画像データが互いに連結される。連結された画像データが図4の記憶装置240に記憶される。それにより、使用者は、広い範囲に渡って高倍率の蛍光観察画像または透過画像を得ることができる。
全焦点撮影ボタン493が使用者により操作される。この場合、制御基板170は、Zスタック撮影ボタン491が操作された場合と同様に、選択されている対物レンズ161と測定対象物Sとの距離を変化させつつ受光部120の出力に基づく画素データをPC200に転送する。それにより、PC200においては、対物レンズ161の焦点の各位置で画像データが生成される。
測定対象物Sが立体的な構造を有する場合、測定対象物Sの一部に対物レンズ161の焦点が合っていても、測定対象物Sの他の部分に対物レンズ161の焦点が合っていない。したがって、ある焦点位置における画像データのうち一部の画素データは測定対象物Sの部分に焦点が合った状態で得られ、他の部分の画素データは測定対象物Sの部分に焦点が合っていない状態で得られる。以下、測定対象物Sの一部に焦点が合った状態で得られる画素データを合焦点画素データと呼ぶ。
複数の焦点位置で得られた複数の画像データのうち、合焦点画素データが合成されることにより、測定対象物Sの全体に焦点が合った状態で得られる画像データが生成される。以下、測定対象物Sの全体に焦点が合った状態で得られる画像データを全焦点画像データと呼ぶ。全焦点画像データに基づく画像を全焦点画像と呼ぶ。生成された全焦点画像データが図4の記憶装置240に記憶される。
上記のように、使用者は、測定対象物Sが立体的な構造を有する場合に、測定対象物Sの複数の部分にそれぞれ対物レンズ161の焦点が合った全焦点画像を得ることができる。
(7)観察画像の例
図12〜図15は、図11の画像表示領域410に表示される観察画像の例を示す図である。図12(a)にGFPの吸収波長を有する測定光を測定対象物Sに照射した場合のセクショニング画像の例が示され、図12(b)にTexas Redの吸収波長を有する測定光を測定対象物Sに照射した場合のセクショニング画像の例が示される。また、図13(a)にDAPIの吸収波長を有する測定光を測定対象物Sに照射した場合の通常画像の例が示され、図13(b)に透過光を用いた位相差観察により得られる透過画像の例が示される。
上記のように、図11のマルチ撮影ボタン452が操作されることにより、例えば図12(a),(b)および図13(a),(b)の画像のうち2以上の画像が重畳された画像が画像表示領域410に表示される。
図14(a)の例では、図12(a),(b)のセクショニング画像が重畳表示される。図14(b)の例では、図14(a)の画像にさらに図13(b)の透過画像が重畳表示される。図15の例では、図14(b)の画像にさらに図13(a)の通常画像が重畳表示される。
測定対象物Sが生物標本である場合には、測定対象物Sの細胞の形状を観察する際に、セクショニング画像と透過画像(例えば位相差観察された画像)とを重畳表示することが有効である。これにより、使用者は、タンパク質の組成により特定の波長を有する光を照射した場合のみ蛍光が発生する測定対象物Sの部分を容易に認識することができる。その結果、細胞中の核、細胞膜またはDNA(デオキシリボ核酸)等を容易に識別することができる。
(8)測定対象物の観察手順の一例
使用者は、例えば以下の手順で測定対象物Sの観察を行う。複数の蛍光試薬が塗布された測定対象物Sがステージ140上に載置された状態で、使用者はまず測定対象物Sの透過観察を行う。それにより、使用者は、測定対象物Sの形状を確認し、蛍光観察を行うための種々の測定条件を設定する。測定条件には、例えば観察範囲、使用するフィルタキューブ151、使用する対物レンズ161および測定対象物Sに照射されるべき測定光のパターン、測定光の輝度および露光時間等を含む。
その後、使用者は、セクショニング観察または通常観察を行う。セクショニング観察または通常観察が開始されることにより、図3の遮光機構323が導光状態で維持され、測定対象物Sに測定光が照射される。
測定条件が変更されない場合には、長時間に渡って測定対象物Sに測定光が照射される必要はない。そこで、制御基板170は、セクショニング画像データまたは通常画像データが生成された後、所定期間継続して測定条件が変更されない場合に、パターン付与部110の光変調素子112を制御することにより、測定対象物Sへの測定光の照射を遮断する。それにより、測定対象物Sに測定光が照射され続けることによる蛍光試薬の不必要な褪色を低減することができる。
その後、使用者は、セクショニング観察または通常観察により得られたセクショニング画像データまたは通常画像データの解析を行う。セクショニング画像データまたは通常画像データの解析が開始されることにより、図3の遮光機構323が導光状態から遮光状態に切り替わり、光変調素子112への測定光の入射が停止される。
上記のように、図3の遮光機構323は、セクショニング画像データまたは通常画像データの解析中、もしくは透過観察時に遮光状態で維持される。それにより、測定光が入射することによる光変調素子112の劣化が抑制され、光変調素子112の長寿命化が実現される。
(9)その他の機能
本実施の形態に係る顕微鏡装置500においては、使用者が操作部250を操作することにより以下の動作が自動的に行われてもよい。
(9−a)例えば、測定対象物Sの通常観察が行われ、図11の画像表示領域410上に通常画像が表示される。この状態で、使用者が操作部250により通常画像における任意の部分を指定する。それにより、制御基板170は、操作部250による指令に応答して、指定された部分が観察軸OA上に移動するように図4のステージ駆動装置141を制御してもよい。また、制御基板170は、指定された部分に対物レンズ161の焦点が合うように図3の焦点距離調整駆動部165を制御してもよい。
さらに、制御基板170は、使用者により指定された部分が観察軸OA上に位置しかつ指定された部分に対物レンズ161の焦点が合う状態で、セクショニング画像データを生成し、そのセクショニング画像データに基づくセクショニング画像を画像表示領域410上に表示してもよい。
(9−b)例えば、レンズユニット160が互いに異なる倍率の複数の対物レンズ161を含む場合に、一の対物レンズ161を用いて測定対象物Sの通常観察が行われ、図11の画像表示領域410上に通常画像が表示される。
この状態で、使用者が操作部250により通常画像における任意の部分を指定する。それにより、制御基板170は、指定された部分が観察軸OA上に移動するように図4のステージ駆動装置141を制御するとともに対物レンズ161の切り替えが行われるように図3のレンズターレット駆動部164を制御してもよい。対物レンズ161の切り替え時には、例えば一の対物レンズ161よりも高い倍率を有する他の対物レンズ161を観察軸OA上に位置決めする。
さらに、制御基板170は、使用者により指定された部分が観察軸OA上に位置しかつ他の対物レンズ161が観察軸OA上に位置決めされた状態で、セクショニング画像データを生成し、そのセクショニング画像データに基づくセクショニング画像を画像表示領域410上に表示してもよい。
(9−c)例えば、透過観察時に図11の全焦点撮影ボタン493が使用者により操作されことにより、透過光に基づく全焦点画像データが生成される。それにより、生成された合焦点画素データに基づく全焦点画像が、図11の画像表示領域410上に表示される。
この状態で、使用者が操作部250により透過観察による全焦点画像における任意の部分を指定する。それにより、制御基板170は、使用者により指定された部分に対物レンズ161の焦点が合うように図3の焦点距離調整駆動部165を制御してもよい。
さらに、制御基板170は、使用者により指定された部分に対物レンズ161の焦点が合った状態で、セクショニング画像データを生成し、そのセクショニング画像データに基づくセクショニング画像を画像表示領域410上に表示してもよい。
(9−d)例えば、測定対象物Sの通常観察が行われ、図11の画像表示領域410上に通常画像が表示される。この状態で、使用者が操作部250により通常画像における任意の領域を指定する。この場合、図5の制御部213は、指定された領域をROI(関心領域)として設定してもよい。制御基板170は、ROIに対応する測定対象物Sの部分にのみ測定光が照射され、他の部分に測定光が照射されないように光変調素子112を制御してもよい。それにより、パターン画像データまたは通常画像データを高速に生成することができる。
(10)効果
上記の顕微鏡装置500においては、セクショニング観察時に、パターン生成部212により生成されたパターンに基づいて光変調素子112が制御される。それにより、光変調素子112によりパターン測定光が生成され、生成されたパターン測定光が空間的な位相が所定量ずつ順次移動されつつ測定対象物Sに照射される。このとき、測定対象物Sから放出される蛍光が受光部120により受光され、受光信号が出力される。その受光信号に基づいて複数のパターン画像データが生成される。複数のパターン画像データに基づいてセクショニング画像データが生成される。
通常観察時には、パターンを有しない均一な測定光が測定対象物Sに照射される。このとき、測定対象物Sから放出される蛍光が受光部120により受光され、受光信号が出力される。その受光信号に基づいて通常画像データが生成される。
外部筐体101の内部では、上面蓋102および前面蓋103が閉じられた状態で、ステージ140および受光部120を含む空間が暗室状態になる。この場合、セクショニング観察時および通常観察時に、外部筐体101の外部からの光が測定対象物Sおよび受光部120に入射しない。したがって、顕微鏡装置500を暗室内に設置する必要がない。
また、外部筐体101内では光変調素子112が内部筐体10内に収容される。セクショニング観察時には、光変調素子112によりパターン測定光が生成される際にパターン測定光以外の不要な光が生じる。このような場合でも、光変調素子112により生成されるパターン測定光以外の不要な光は、内部筐体10の出射開口10aから内部筐体10の外部に直接出射されない。それにより、不要な光が測定対象物Sおよび受光部120に到達しない。したがって、信頼性の高い蛍光観察を行うことができる。
さらに、上記の構成によれば、使用者は操作部250を用いて図11のセクショニング観察ボタン441および通常観察ボタン442を操作することにより、外部筐体101の外部から測定部100による観察方法をセクショニング観察と通常観察とに切り替えることができる。この場合、部品の交換作業および交換時間が不要である。
これらの結果、暗室を用いることなく信頼性の高い複数種類の蛍光観察を容易かつ短時間で行うことが可能である。
上記の顕微鏡装置500においては、透過観察時に透過光供給部130により測定対象物Sに透過光が照射される。このとき、測定対象物Sを透過する透過光が受光部120により受光され、受光信号が出力される。その受光信号に基づいて透過画像データが生成される。
使用者は操作部250を用いて図11のフィルタ選択ボタン434を操作することにより、外部筐体101の外部から測定部100による観察方法をセクショニング観察または通常観察と透過観察とに切り替えることができる。この場合においても、部品の交換作業および交換時間が不要である。また、この場合、測定対象物Sの観察方法が多様化する。
(11)他の実施の形態
(11−a)上記の実施の形態では、パターン付与部110の内部筐体10内に光変調素子112が設けられ、内部筐体10に形成された出射開口10aに投光レンズ12が取り付けられる。また、内部筐体10に形成された入射開口10bに導光部品支持ケース11が取り付けられる。導光部品支持ケース11内には、2つのミラー113が設けられる。これに限らず、内部筐体10内には、光変調素子112に加えて、他の光学部材が設けられてもよい。また、導光部品支持ケース11内には、2つのミラー113に加えてまたは2つのミラー113に代えて、他の光学部材が設けられてもよい。
図16は、他の実施の形態に係るパターン付与部110の第1の構成例を示す縦断面図である。図16の例では、内部筐体10内に図3の光変調素子112に加えて光学部材114が設けられる。光学部材114は、例えばコレクタレンズ、リレーレンズ、絞り、ミラー、測定光の強度を調整するための光変調素子および遮光フィルタのうち少なくとも1つを含む。また、図16の例では、導光部品支持ケース11内に図3のミラー113に代えて光学部材115が設けられる。光学部材115は、例えばコレクタレンズ、リレーレンズ、絞り、測定光の強度を調整するための光変調素子および遮光フィルタのうち少なくとも1つを含む。
本例においても、光変調素子112が内部筐体10内に設けられているので、上記の実施の形態における効果と同様の効果を得ることができる。
(11−b)上記の実施の形態では、測定光源321を含む投光部320が測定部100とは分離して設けられる。これに限らず、測定光源321がパターン付与部110の内部筐体10内に設けられてもよい。図17は、他の実施の形態に係るパターン付与部110の第2の構成例を示す縦断面図である。
図17の例では、内部筐体10内に図3の光変調素子112とともに光学部材114,115が設けられる。本例の光学部材114,115は、例えばコレクタレンズ、リレーレンズ、絞り、ミラー、測定光の強度を調整するための光変調素子および遮光フィルタのうち少なくとも1つを含む。
本例においても、光変調素子112が内部筐体10内に設けられているので、上記の実施の形態における効果と同様の効果を得ることができる。さらに、本例では、測定光源321から発生される光が投光レンズ12に直接入射しないように、測定光源321が内部筐体10内に収容される。そのため、セクショニング観察時および通常観察時に、測定光源321から発生される不要な光が測定対象物Sおよび受光部120に入射することが防止される。その結果、信頼性の高い複数種類の蛍光観察を行うことが可能である。
(11−c)上記の実施の形態では、測定光源321を含む投光部320が測定部100とは分離して設けられる。これに限らず、測定光源321がパターン付与部110の導光部品支持ケース11内に設けられてもよい。図18は、他の実施の形態に係るパターン付与部110の第3の構成例を示す縦断面図である。
図18の例では、内部筐体10内に図3の光変調素子112とともに光学部材114が設けられる。また、導光部品支持ケース11内に図3のミラー113に代えて光学部材115および測定光源321が設けられる。本例の光学部材114,115は、例えばコレクタレンズ、リレーレンズ、絞り、ミラー、測定光の強度を調整するための光変調素子および遮光フィルタのうち少なくとも1つを含む。
本例においても、光変調素子112が内部筐体10内に設けられているので、上記の実施の形態における効果と同様の効果を得ることができる。さらに、本例では、測定光源321から発生される光が投光レンズ12に直接入射しないように、測定光源321が導光部品支持ケース11内に収容される。そのため、セクショニング観察時および通常観察時に、測定光源321から発生される不要な光が測定対象物Sおよび受光部120に入射することが防止される。その結果、信頼性の高い複数種類の蛍光観察を行うことが可能である。
(11−d)上記の実施の形態では、パターン付与部110において、セクショニング観察時に用いられるパターン測定光と、通常観察時に用いられる均一な測定光とが、共通の光路を通ってフィルタユニット150に出射される。これに限らず、パターン付与部110においては、パターン測定光の光路と均一な測定光の光路とが個別に設けられてもよい。図19は、他の実施の形態に係るパターン付与部110の第4の構成例を示す縦断面図である。
図19の例では、内部筐体10内に図3の光変調素子112とともにミラー116a,116b,116c、ミラー駆動部117a,117b、および光学部材118a,118b,118c,118dが設けられる。さらに、内部筐体10内に測定光源321が設けられる。
ミラー116a,116b,116cは全反射ミラーである。ミラー駆動部117a,117bは、図19に矢印mで示すように、ミラー116a,116bをそれぞれ移動させることにより、測定光源321から発生される測定光の光路を第1の光路LL1と第2の光路LL2とに切り替える。各光学部材118a〜118dは、例えばコレクタレンズ、リレーレンズ、絞り、ミラー、測定光の強度を調整するための光変調素子および遮光フィルタのうち少なくとも1つを含む。
本例では、光変調素子112、ミラー116bおよび光学部材118a,118bにより第1の光路LL1が形成される。第1の光路LL1においては、測定光源321から発生される測定光がまず光学部材118aを通して光変調素子112に入射する。光変調素子112は測定光を反射することによりパターン測定光を生成する。生成されたパターン測定光は、光学部材118bを通してミラー116bに向かう。また、そのパターン測定光は、ミラー116bにより反射され、投光レンズ12に向かう。第1の光路LL1は、セクショニング観察時に用いられる。
一方、本例では、ミラー116a,116cおよび光学部材118c,118dにより第2の光路LL2が形成される。第2の光路LL2においては、測定光源321から発生される測定光がまずミラー116aにより反射される。反射された測定光は、光学部材118cを通してミラー116cに向かう。また、その測定光は、ミラー116cにより再び反射され、光学部材118dを通して投光レンズ12に向かう。第2の光路LL2では、測定光にパターンが付与されない。それにより、均一な測定光がフィルタユニット150に向かって出射される。第2の光路LL2は、通常観察時に用いられる。
図19の例では、反射型の光変調素子112に代えて全反射ミラーを用いてもよい。この場合、光学部材118a,118bのうちのいずれか一方が、透過型の光変調素子を有する。それにより、透過型の光変調素子によりパターン測定光が生成される。
また、図19の例では、ミラー116a,116bのうち一方がハーフミラーであってもよく、そのハーフミラーが内部筐体10に固定されてもよい。この場合、内部筐体10内に複数のミラー駆動部を設ける必要がなくなる。
(11−e)図20は、他の実施の形態に係るパターン付与部110の第5の構成例を示す縦断面図である。第5の構成例は、図19の第4の構成例に対して以下の点が異なる。
図20に示すように、本例では、ミラー116a,116bがハーフミラーであり、内部筐体10に固定される。そのため、内部筐体10内に図19のミラー駆動部117a,117bが設けられない。
一方、第1の光路LL1にシャッタshaおよびシャッタ駆動部119aが設けられ、第2の光路LL2にシャッタshbおよびシャッタ駆動部119bが設けられる。シャッタ駆動部119a,119bは、図20に矢印nで示すように、シャッタsha,shbをそれぞれ移動させることにより、セクショニング観察時に、第1の光路LL1を通る測定光を投光レンズ12へ導き、第2の光路LL2を通る測定光を遮光する。また、通常観察時に、第2の光路LL2を通る測定光を投光レンズ12へ導き、第1の光路LL1を通る測定光を遮光する。それにより、測定対象物Sに照射される測定光が切り替えられる。
(11−f)図21は、他の実施の形態に係るパターン付与部110の第6の構成例を示す縦断面図である。第6の構成例は、図20の第5の構成例に対して以下の点が異なる。
本例の内部筐体10内には、第1の光路LL1を通る測定光を発生する測定光源321aと、第2の光路LL2を通る測定光を発生する測定光源321bとが個別に設けられる。それにより、図20のミラー116aが不要となる。本例では、測定光源321a,321bにより光源装置が構成される。
(11−g)上記の実施の形態では、レンズユニット160において、複数の対物レンズ161から観察に用いる一の対物レンズ161が選択される。レンズターレット162が回転することにより、選択された対物レンズ161が観察軸OA上に位置決めされる。これに限らず、レンズユニット160には、複数の対物レンズ161、レンズターレット162およびレンズターレット駆動部164に代えてズームレンズおよびその駆動装置が設けられてもよい。この場合、例えば使用者が図4の操作部250を操作して倍率を指定する。それにより、指定された倍率になるように制御基板170がズームレンズの倍率を調整する。
(11−h)上記の実施の形態では、焦点距離調整駆動部165は対物レンズ161をZ方向に移動させることにより、測定対象物Sと対物レンズ161との間の距離を調整する。これに限らず、焦点距離調整駆動部165は、ステージ140をZ方向に移動させることにより、測定対象物Sと対物レンズ161との間の距離を調整してもよい。
(11−i)上記の実施の形態では、複数の対物レンズ161が切り替えられることにより、測定対象物Sを互いに異なる複数の倍率で観察することが可能である。これに限らず、測定部100には、1つの対物レンズ161のみが設けられてもよい。この場合、対物レンズ161は、測定部100に着脱可能に構成されてもよい。それにより、測定部100の小型化および構成の単純化が実現される。
同様に、上記の実施の形態では、複数のフィルタキューブ151が切り替えられることにより、測定対象物Sを互いに異なる波長領域の測定光により蛍光観察することが可能である。これに限らず、測定部100には、1つのフィルタキューブ151のみが設けられてもよい。この場合、フィルタキューブ151は、測定部100に着脱可能に構成されてもよい。それにより、測定部100の小型化および構成の単純化が実現される。
(11−j)上記の実施の形態では、投光レンズ12は内部筐体10に形成された出射開口10aを塞ぐように設けられる。これに限らず、投光レンズ12は内部筐体10の内側に設けられてもよいし、内部筐体10の外側に設けられてもよい。これらの場合、内部筐体10の出射開口10aが投光レンズ12により閉塞されない。そこで、出射開口10aに測定光を透過する透光部材を設けてもよい。それにより、出射開口10aから内部筐体10の内部に塵埃が進入することがより防止される。
(12)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記の実施の形態においては、測定対象物Sが対象物の例であり、ステージ140がステージの例であり、パターンを有するパターン測定光が第1の測定光の例であり、セクショニング観察が第1の観察モードの例であり、パターンを有しない均一な測定光が第2の測定光の例であり、通常観察が第2の観察モードの例であり、操作部250が操作装置の例であり、測定光源321,321a,321bが光源装置の例であり、光変調素子112が光変調素子の例であり、測定光源321,321a,321bを除くパターン付与部110の構成要素、フィルタユニット150およびレンズユニット160が測定光照射装置の例である。
また、受光部120が受光部の例であり、画像データ生成部211が画像データ生成部の例であり、パターン生成部212がパターン生成部の例であり、制御基板170および制御部213が制御部の例であり、外部筐体101が第1の筐体の例であり、内部筐体10が第2の筐体の例であり、顕微鏡装置500が顕微鏡装置の例である。
また、透過観察が第3の観察モードの例であり、透過光が第3の測定光の例であり、透過光源131が第3の測定光光源の例であり、透過光供給部130の揺動部130Bが第3の測定光光学系の例であり、ステージ駆動装置141が撮像視野位置移動部の例であり、観察軸OAが観察軸の例であり、レンズユニット160が集光光学系の例であり、対物レンズ161が対物レンズの例であり、焦点距離調整機構163、レンズ支持板163p、および焦点距離調整駆動部165が焦点位置移動部の例であり、レンズターレット162およびレンズターレット駆動部164が第1の切り替え装置の例である。
また、フィルタユニット150がフィルタ光学系の例であり、フィルタキューブ151がフィルタ部材の例であり、フィルタターレット152およびフィルタターレット駆動部153が第2の切り替え装置の例であり、前部開口OP2が開口の例であり、前面蓋103が蓋部材の例であり、前面蓋検出器S2が開閉検出器の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。