以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像方法、及び撮像装置について説明する。以下で例示する撮像方法及び撮像装置は、顕微鏡として用いることができる。
本発明の一態様は、面状の発光面を有する面状発光装置と、受光面を有する光電変換装置と、を有する。発光面と受光面とは、被観察体(観察対象物、試料、検体などを含む)を挟んで、対向して設けられる。また、少なくとも受光面と、発光面と、被観察体とは、外光から遮断されるように、遮光性を有する部材(遮光部材)等で覆われた構成を有する。
面状発光装置は、複数の発光領域がマトリクス状に配列し、当該複数の発光領域により発光面が構成される。面状発光装置は、それぞれの発光領域を個別に駆動させることができる。特に、複数の発光領域を順次発光させる駆動(点順次駆動ともいう)が可能であることが好ましい。
光電変換装置は、受光面で捉えた光を電気信号に変換して出力することができる。光電変換装置は、受光面で捉えた光の光量に対応する光量のデータを出力する機能を有することが好ましい。
撮像方法について説明する。発光面と、受光面との間に被観察体が配置された状態で、まず、発光面の複数の発光領域のうちの1つを発光(点灯)させ、これと同期して受光面で捉えた光量のデータを取得する。続いて、異なる発光領域を発光させ、上記と同様に、光量のデータを取得する。この一連の動作を、観察エリアに設けられる全ての発光領域について行う。そして取得したそれぞれ光量のデータを、対応する発光領域の配列に基づいてマッピングすることにより、観察像を得ることができる。
ここで、発光領域からの光の光路上に被観察体が存在しない場合には、発光領域から受光面に直接光が入射する。一方、発光領域からの光の光路上に被観察体が存在する場合には、被観察体を透過した光が受光面に入射する。なお、被観察体が遮光性である場合には、受光面には光はほとんど入射されない。
このように、本発明の一態様によれば、被観察体の透過像、または輪郭像を観察することができる。
面状発光装置の発光領域は、少なくとも発光状態と非発光状態の2つの状態を取ることができる。また、発光領域は、発光輝度を調整できる構成としてもよい。また、発光領域は、発光状態と非発光状態の間のコントラスト比が高いほど好ましく、特に非発光状態において漏洩してしまう光の輝度が小さいほど好ましい。
一の発光領域には、一以上の発光素子が設けられることが好ましい。発光素子としては、有機EL(Electro Luminescence)素子、無機EL素子、発光ダイオードなどの自発光性の電界発光素子を用いることが好ましい。このような発光素子は、電界を印加しない場合の輝度を限りなく小さくできる。そのため、1つの発光領域を発光させたときに、他の非発光状態の発光領域から漏洩する光の影響を極めて小さくできるため、コントラストの高い観察像を得ることができる。
なお、発光領域に設ける素子としては、上記発光素子に限られず、光の反射率や透過率を制御することにより、発光状態と非発光状態とを制御可能な光学素子を用いることもできる。例えば、液晶素子、またはシャッター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子を用いてもよい。
または、面状発光装置は、光ファイバの発光面(一方の端面)を発光領域として用い、これをマトリクス状に配置した構成してもよい。このとき、面状発光装置は、複数の光ファイバと、当該複数の光ファイバの他方の端面に、光を順次照射する発光装置と、を備える構成とすることができる。
マトリクス状に配置される発光領域は、高密度に配置されているほど、観察像の解像度を高めることができる。例えば、発光領域の配列間隔(配列ピッチともいう)は、0.1μm以上1mm以下、好ましくは0.1μm以上500μm以下、より好ましくは0.1μm以上100μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上50μm以下とすることができる。なお、発光面の精細度は観察対象となる被観察体の大きさ、観察領域の広さ(観察視野)などによって設定することができる。例えば、観察したい領域のサイズ(対角の長さ)に対して、発光領域の配列ピッチを30分の1以下、好ましくは50分の1以下、より好ましくは100分の1以下であって、10000分の1以上とすることができる。
面状発光装置としては、マトリクス状に配列した画素を備える表示パネルを適用してもよい。画素は、上述した発光素子、または光学素子を一以上備える構成とすることができる。また、表示パネルとしては、パッシブマトリクス型の表示パネル、またはアクティブマトリクス型の表示パネルを適用できる。アクティブマトリクス型の表示パネルは、画素に選択トランジスタを有する。特に選択トランジスタとして、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることで、非選択状態におけるリーク電流を極めて小さくできるため、コントラストを向上させることができるため好ましい。
光電変換装置としては、光電効果を利用して受光面で捉えた光子を電気信号に変換することのできる光度測定器(測光器ともいう)を用いることができる。例えばフォトダイオードやフォトレジスタ等を有する光度測定器を用いると、装置の小型化が容易となるため好ましい。光度測定器としては、照度を測定可能な照度計(光度計ともいう)を好適に用いることができる。また、照度計として、分光放射照度計、色彩照度計、演色照度計など、光のスペクトルや色を測定できる照度計を用いてもよい。また、光度測定器として、輝度を測定する輝度計を用いてもよい。また輝度計として、分光放射輝度計や、色彩輝度計などを用いてもよい。
また、受光面と発光面との間に、被観察体を配置するためのステージを有していていてもよい。ステージは透光性を有する部材により構成され、例えばガラスなどを用いると、透光性と耐薬品性に優れ、傷などがつきにくいため好ましい。被観察体と発光面との距離が小さいほど、分解能の高い観察像が得られるため、ステージの厚さを薄くし、発光面に近づける、または接して設けることが好ましい。また、面状発光装置の表面(すなわち発光面)がステージを兼ねる構成とし、当該表面に被観察体を配置してもよい。
以下では、より具体的な例について、図面を参照して説明する。
[撮像装置の構成例1]
図1(A)は、撮像装置10の概略図である。撮像装置10は、面状発光装置11、光電変換装置12、遮光部材13、ステージ14を有する。
面状発光装置11は、マトリクス状に配列した複数の発光領域21を有する。発光領域21は、光電変換装置12側に光を射出することができる。したがって、面状発光装置11の光電変換装置12側の面が、発光面11aに相当する。
光電変換装置12は、受光面12aを有する。光電変換装置12は、受光面12aが発光面11aと対向するように設けられている。
ステージ14は、発光面11aと受光面12aとの間に配置される。図1(A)では、ステージ14上に、被観察体30が配置されている例を示している。ステージ14は、少なくとも発光領域21が射出する光に対して透光性を有する。発光面11aと被観察体30との距離が小さいほど、観察像の分解能を高めることができるため、少なくともステージ14と発光面11aとの距離が、ステージ14と受光面12aとの距離よりも小さくなるように、ステージ14を設けることが好ましい。特に、ステージ14と発光面11a側の面との距離が小さいほど好ましく、例えば10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下とすることができる。またはこれらが接する構成としてもよい。また、ステージ14は薄いほど好ましく、例えば2mm以下、好ましくは1mm以下とすることができる。
なお、面状発光装置11の上面(すなわち発光面11a)がステージ14を兼ねる構成としてもよい。すなわち、ステージ14を設けずに、面状発光装置11の表面に接して被観察体30を配置する構成としてもよい。
遮光部材13は、面状発光装置11、光電変換装置12、及びステージ14を覆うように設けられている。遮光部材13により外光が遮断されるため、光電変換装置12は発光領域21の発光に起因した光のみを受光することが可能となり、外光に起因したノイズが低減された撮像画像を得ることができる。
遮光部材13の内壁は、光を反射しない黒色の部材としてもよいし、光を等方的に拡散する部材とすることもできる。遮光部材13の内壁を黒色とする場合には、図1(A)に示すように、受光面12aと発光面11aとが平行になるように配置することで、発光領域21の位置によらず、受光感度を一定にすることができる。またこのとき、受光面12aの面積を、発光面11aの面積よりも大きくすることがより好ましい。一方、遮光部材13の内壁を、光を等方的に拡散する部材とする場合には、遮光部材13の内壁を積分球として機能させることができるため、受光面12aの位置、向き、及び面積等は限定されず、遮光部材13に囲まれた内部であれば、受光面12aをどこに配置してもよい。
図1(A)では、直接光31と、透過光32を模式的に示している。発光領域21と受光面12aとの間に被観察体30が位置していない場合には、発光領域21から発せられた光は、受光面12aに直接光31として、到達する。一方、これらの間に被観察体30が位置する場合には、被観察体30を透過した透過光32が、受光面12aに到達する。なお、被観察体30が遮光性を有する場合には、発光領域21からの光は被観察体30によって遮光され、受光面12aに到達しない。
受光面12aで受光する光としては、主として上記直接光31または透過光32となるが、それ以外にも、例えば被観察体30による拡散光、被観察体30の内部または表面による反射光、または、これら拡散光及び反射光がステージ14や面状発光装置11の表面で反射する二次反射光などがある。これらの影響により観察画像の鮮明性が低下する場合には、観察画像に対して、バックグラウンドノイズを除去する画像補正を行ってもよい。
[撮像方法例]
続いて、撮像方法の一例について、図1(B1)乃至(B4)、及び図1(C)を用いて説明する。
図1(B1)には、発光面11a上に、円柱状の被観察体30が配置されている様子を模式的に示している。
発光面11aは、X方向にm個、Y方向にn個(m、nはそれぞれ独立に2以上の整数)の、m×n個の発光領域21がマトリクス状に配列されている。ここで、図1(B1)等では各発光領域を区別するため、発光領域21(i,j)(iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)と表記している。
撮像は、発光領域21(i,j)を順次発光させ、その発光と同期して受光面12aにより受光した光の光量のデータ(以下、光量データともいう)を取得することにより、行われる。観察範囲内における全ての発光領域21(i,j)について、光量データの取得が完了した時点で、1枚の撮像画像を得ることができる。
例えば、図1(B1)の発光面11aの最も左上に位置する発光領域21(1,1)を発光させたときの光量データを取得する。続いて、図1(B2)に示すように、隣の発光領域21(2,1)を発光させたときの光量データを取得する。発光領域(1,1)、発光領域(2,1)共に、被観察体30と重なっていないため、主に直接光31が受光される。
図1(B3)は、被観察体30と重なる発光領域21(x,y)を発光させたときの場合を示している。発光領域21(x,y)から発せられた光は、被観察体30を透過し、透過光32として受光される。
また図1(B4)は、発光領域21(1,1)と対角に位置する発光領域21(m,n)を発光させたときの場合を示している。
発光領域21(i,j)を発光させる順番は特に限定されないが、観察範囲内の最も端に位置する列の、端に位置する発光領域(例えば発光領域(1,1))から、順に行うことが好ましい。
このようにして、それぞれ1つの発光領域21に対応するm×n個の光量データを取得することができる。このm×n個の光量データを、発光領域21の配列に基づいてマッピングして可視化することにより、撮像画像を生成することができる。より具体的には、光量データのデータ値を階調値に置き換えることで、2次元の画像データを生成することができる。
図1(C)には、本発明の一態様の撮像方法により得られる撮像画像の一例を示している。撮像画像40は、m×n個の画素データ22(画素データ22(1,1)乃至画素データ22(m,n))を有する。ここで、1つの画素データ22(i,j)は、面状発光装置11が有する1つの発光領域21(i,j)と対応する。
図1(C)では、撮像画像40に重ねて、対応する位置に被観察体30の輪郭を破線で示している。被観察体30と重なる面積が大きい画素ほど暗く(密なハッチングパターンを付す)なるように示している。
撮像画像40において、1つの画素データ22が、1つの発光領域21と対応しているため、撮像画像40を用いて測長することが可能となる。例えば、図1(C)中の矢印で示した範囲の長さは、10個の画素データ22に相当するため、発光領域21の配列間隔の10倍の長さに相当することが容易に分かる。同様に、長さだけでなく面積についても、所定の範囲に存在する画素データ22の数から、容易に算出することができる。
なお、ここでは1つの発光領域21を順に発光させる方法を示したが、複数の発光領域21を同時に発光させてもよい。例えば発光面11aの精細度が、被観察体30のサイズに対して高すぎる場合や、高解像度の観察画像が必要でない場合などでは、隣接する複数の発光領域を同時に発光させる方法としてもよい。このとき、2×2個、3×3個など、X方向及びY方向の画素数を同じくすることで、観察画像が歪んでしまうことを防ぐことができる。
また、静止画像ではなく、動画像を取得したい場合には、上述した一連の動作を繰り返し行うことで、動画像を得ることができる。
また、面状発光装置11が有する全ての発光領域21を順次発光させる必要はなく、観察したい観察範囲内に位置する発光領域21のみを順次発光させ、光量データを取得すればよい。例えば、被観察体30の少なくとも一部を含む範囲の発光領域21のみを発光させることができる。
[撮像装置の構成例2]
以下では、より具体的な撮像装置の構成例について説明する。
図2(A)は、撮像装置10Aのブロック図である。撮像装置10Aは、面状発光装置11、光電変換装置12、遮光部材13、制御部51、タイミング制御部52、A-D変換部53等を有する。
タイミング制御部52は、面状発光装置11と光電変換装置12を同期して駆動させるための駆動信号を生成し、面状発光装置11と光電変換装置12に出力する機能を有する。
A-D変換部53は、光電変換装置12から出力されるアナログ信号を光量データを含むデジタル信号に変換し、制御部51に出力する機能を有する。
制御部51は、タイミング制御部52の動作を制御する機能を有する。また制御部51は、A-D変換部53から入力される複数の光量データを、面状発光装置11が有する発光領域の配列も基づいてマッピングすることにより、撮像画像を生成する機能を有する。制御部51としては、好適にはコンピュータを用いることができる。
また制御部51は、記憶部54を有していてもよい。制御部51は、生成した撮像画像のデータを記憶部54に書き込むこと、及び記憶部54から読み出すことができる。
図2(B)には、表示装置55を備えた撮像装置10Bの構成例を示している。表示装置55は、制御部51から出力された、撮像画像を含む映像データを表示することができる。
ここで、図2(C)に、面状発光装置11の構成例を示している。面状発光装置11は、発光部61、駆動回路62、駆動回路63、複数の画素65、複数の配線66、及び複数の配線67を有する。
駆動回路62及び駆動回路63には、それぞれタイミング制御部52から駆動信号が与えられる。例えば駆動回路62はソース線駆動回路、駆動回路63はゲート線駆動回路として機能する。
複数の配線66は駆動回路62と電気的に接続され、ソース線として機能する。複数の配線67は駆動回路63と電気的に接続され、ゲート線として機能する。画素65は、1つの配線66及び1つの配線67と電気的に接続されている。
このような構成とすることで、画素65を個別に駆動することが可能となる。例えば画素65が発光素子を有する場合には、当該発光素子を順次発光させるように、面状発光装置11を駆動することができる。
[変形例]
以下では、上記とは一部の構成が異なる撮像装置の構成例について説明する。
図3(A)に、撮像装置10aの構成例を示している。撮像装置10aは、主に位置調整機構16を有する点で、上記撮像装置10と相違している。
位置調整機構16は、発光面11aと平行な方向に、面状発光装置11と、ステージ14とを相対的に移動させる機能を有する。
位置調整機構16の上面には面状発光装置11が固定されている。図3(A)では、位置調整機構16が、X方向の位置を調整するためのダイヤル16aと、Y方向の位置を調整するためのダイヤル16bと、を有する。なお、位置調整機構16は、高さ方向の位置を調整する機能を有していてもよい。また、ここではダイヤル16a及びダイヤル16bを有する例を示したが、モータと駆動回路等を備え、電気制御が可能な構成としてもよい。
ここで、位置調整機構16は、面状発光装置11が有する複数の発光領域21の配列間隔よりも小さい位置精度で、面状発光装置11とステージ14の相対位置を制御できることが好ましい。
以下、撮像装置10aを用いた撮像方法の一例について、図3(B1)乃至(B4)、及び図3(C)を用いて説明する。
図3(B1)には、ステージ14と、複数の発光領域21の相対位置を模式的に示している。また、ステージ14上に配置された被観察体30を破線で示している。なお、ここでは明瞭化のため、発光領域21の数をX方向及びY方向共に5つとして明示している。
まず、図3(B1)に示す状態で、上記撮像方法例と同様に一度目の撮像を行う。
続いて、図3(B2)に示すように、位置調整機構16によって、面状発光装置11の発光領域をY方向にずらした状態で、二度目の撮像を行う。ここでは、発光領域21の配列間隔をpとしたとき、その半分の距離(距離p/2)だけずらした状態で撮像を行う。
続いて、図3(B3)に示すように、初期状態(図3(B1)の状態)から、X方向に距離p/2だけずらして三回目の撮像を行う。最後に、図3(B4)に示すように、初期状態からX方向及びY方向にそれぞれp/2だけずらして四回目の撮像を行う。
以上により4つの撮像画像を得ることができる。これら4つの撮像画像は、それぞれ発光領域21の配列間隔pの半分ずつずれた状態における撮像画像となる。したがってこの4つの撮像画像の差分を算出することにより、解像度を2倍に高めた撮像画像を生成することができる。
図3(C)に、ここで例示した撮像方法により得られる撮像画像40aの一例を示している。撮像画像40aは、2m×2n個の画素データ(画素データ22(1,1)乃至画素データ(2m,2n))を有する。すなわち、撮像画像40aは、図1(C)で示した撮像画像40と比較して、撮像範囲はそのままで解像度が2倍に向上した画像である。また、これにより、分解能も2倍となるため、画素データ22の数から算出可能な長さや面積の精度を高めることができる。
以上が変形例についての説明である。
[面状発光装置の構成例]
以下では、撮像装置に用いることのできる面状発光装置の構成例について説明する。ここでは特に、発光素子が適用された画素の構成例について説明する。
〔構成例1〕
図4(A)に、図2(C)で例示した面状発光装置11の画素65に適用可能な画素65aの構成例を示している。
画素65aは、発光素子71を有する。発光素子71は、アノードが配線66と電気的に接続され、カソードが配線67と電気的に接続されている。画素65aがマトリクス状に配置されることで、いわゆるパッシブマトリクス型の発光装置を実現できる。このような構成とすることで、極めて高精細な発光装置を実現できる。
〔構成例2〕
図4(B)に示す画素65bは、発光素子71と、トランジスタ72とを有する。トランジスタ72は、ゲートが配線67と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方が配線66と電気的に接続され、他方が発光素子71のアノードと電気的に接続されている。発光素子71は、カソードが固定電位が与えられる配線と電気的に接続されている。
トランジスタ72は、選択トランジスタとして機能する。画素65bがマトリクス状に配置されることで、いわゆるアクティブマトリクス型の発光装置を実現できる。図4(B)に示す構成とすることで、極めて高精細な発光装置を実現できる。
アクティブマトリクス型の発光装置は、モニタ装置、タブレット端末、スマートフォンなど、多様な電子機器に用いられているため、これを面状発光装置として用いることもできる。例えば撮像装置として、タブレット端末やスマートフォンなどの電子機器を、その表示面が光電変換装置の受光面と対向するように、取り付けられる構成とすることで、より簡便な撮像装置を実現することができる。
〔構成例3〕
図4(C)に示す画素65cは、発光素子71、トランジスタ72、トランジスタ73、及び容量素子74を有する。トランジスタ72は、ゲートが配線67と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方が配線66と電気的に接続され、他方が容量素子74の一方の電極、及びトランジスタ73のゲートと電気的に接続されている。トランジスタ73は、ソースまたはドレインの一方が電源供給線と電気的に接続され、他方が発光素子71のアノードと電気的に接続されている。容量素子74の他方の電極、及び発光素子71のカソードは、それぞれ固定電位が与えられる配線と電気的に接続されている。
トランジスタ72は、選択トランジスタとして機能する。またトランジスタ73は、発光素子71に流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。容量素子74は、保持容量として機能する。画素65cがマトリクス状に配置されることで、いわゆるアクティブマトリクス型の発光装置を実現できる。
なお、図4(D)に示すように、容量素子74を設けない構成とすることもできる。
ここで、図4(B)、(C)、(D)のような、トランジスタを備える画素とする場合には、トランジスタ72及びトランジスタ73の少なくとも一方に、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態(オフ状態)におけるリーク電流(オフ電流)を、シリコンを用いたトランジスタ等に比べて極めて低くできるため、画素の非選択状態において、発光素子71が発光してしまうことによるコントラストの低下を好適に防ぐことができる。
なお、トランジスタ72またはトランジスタ73に、半導体層にシリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、またはアモルファスシリコン)が適用されたトランジスタを用いることもできる。また、2つ以上のトランジスタを有する画素とする場合、酸化物半導体が適用されたトランジスタと、シリコンが適用されたトランジスタが混在する構成としてもよい。
また、図4(B)、(C)、(D)においては、n型のトランジスタを適用した場合の例を示したが、p型のトランジスタを適用してもよい。2つ以上のトランジスタを有する画素とする場合には、n型のトランジスタとp型のトランジスタが混在する構成としてもよい。
なお、画素の構成は上記に限られず、トランジスタ、容量素子、抵抗素子、または配線などを適宜追加することで、機能性が高められた画素としてもよい。
[駆動方法例]
以下では、撮像装置の駆動方法の一例について説明する。
ここでは、図5に示すように、4×4個の画素65がマトリクス状に配置された面状発光装置を例に挙げて説明する。
駆動回路62には、ソース線として機能する4本の配線(配線S1乃至配線S4)が接続され、駆動回路63には、ゲート線として機能する4本の配線(配線G1乃至配線G4)が接続されている。
各画素65は、配線S1乃至配線S4のうちのいずれか1つと、配線G1乃至配線G4のうちのいずれか1つと、電気的に接続されている。画素65には、上記で例示した画素65a乃至画素65d等を適用することができる。
〔駆動方法例1〕
図6(A)は、画素65に、図4(A)で例示した画素65aを適用した場合の駆動方法に係るタイミングチャートである。図5(A)に示すタイミングチャートは、上から配線G1、配線G2、配線G3、配線G4、配線S1、配線S2、配線S3、配線S4、及びサンプリングSAについて、示している。各配線には、高電位と低電位の2種類の電位が与えられる。図6(A)におけるサンプリングSAの幅は、光電変換装置12によって受光した光量のデータのサンプリングする期間に相当する。
まず、期間T1において、配線G1に低電位を、配線G2乃至配線G4に高電位を与え、配線S1乃至配線S4には、順次高電位を与える。配線G1に与える低電位と、配線S1に与える高電位の電位差が、発光素子71を発光させるための電圧に相当する。これにより、期間T1において、配線G1に接続される4つの画素65を発光させることができる。
サンプリングSAは、配線S1乃至配線S4に与えられる信号と同期して行われる。すなわち、1つの画素65が発光している期間に、一度のサンプリングが行われる。
続いて、期間T2において、配線G1に高電位を、配線G2に低電位を与え、上記と同様に配線S1乃至配線S4に、順に高電位を与えることで、配線G2に接続される4つの画素65を順に発光させることができる。また、画素65の発光と同期してサンプリングが行われる。
期間T3、期間T4についても同様に、画素65を順次発光させ、発光と同期してサンプリングを行うことができる。
以上により、全ての画素65について、サンプリングが完了する。
〔駆動方法例2〕
図6(B)は、画素65に、図4(B)乃至(D)で例示した画素65b、画素65c、または画素65dを適用した場合に用いることのできる、駆動方法に係るタイミングチャートである。図6(B)では、配線G1乃至配線G4に与えられる信号が、図6(A)の場合と比較して、高電位と低電位を入れ替えた信号となっている点で相違している。
期間T1において、配線G1に高電位が与えられることで、配線G1に接続される4つの画素65が選択される。この状態で配線S1乃至配線S4に順次高電位が与えられることで、4つの画素が順次発光する。
〔駆動方法例3〕
図7(A)は、画素65に、図4(B)乃至(D)で例示した画素65c、または画素65dを適用した場合に用いることのできる、駆動方法に係るタイミングチャートである。
図7(A)に示す例は、1フレーム期間(すなわち、期間T1乃至期間T4)で1つの画素を発光させる場合の例である。
期間T1において、配線G1と配線S1に高電位を与え、他の配線には低電位を与える。これにより、配線G1と配線S1に接続された画素65が発光する。
また期間T2以降の期間において、配線G1に低電位を与え、配線S1に低電位を与え、配線G2乃至配線G4に順次高電位を与える。このとき、画素65にはデータが保持された状態であるため、画素65は発光した状態が保持される。サンプリングは、期間T1から期間T4にかけて行われる。
これにより、サンプリング期間(露光期間)を長くできるため、より感度の高い撮像画像を得ることができる。
〔駆動方法例4〕
図7(B)は、画素65に、図4(B)乃至(D)で例示した画素65b、画素65c、または画素65dを適用した場合に用いることのできる、駆動方法に係るタイミングチャートである。
図7(B)は、1フレーム期間で、配線S1に接続される4つの画素65を発光させる場合の例である。
ここでは、期間T1乃至期間T4が、それぞれ2つの期間(例えば期間T11、期間T12)に分かれている。
期間T11において、配線G1に高電位が与えられ、配線S1に高電位が与えられることにより、配線G1と配線S1に接続される画素65が発光する。サンプリングSAは、この期間T11に行われる。
続いて、期間T12において、配線G1は高電位が保持され、配線S1に低電位を与える。これにより、画素65は発光しない状態となる。
続いて、期間T21において、配線G1に低電位を与え、配線G2に高電位を与え、配線S1に高電位を与えることで、配線G2と配線S1に接続される画素65を発光させ、サンプリングを行う。その後、期間T2において、配線S1に低電位を与えて画素65の発光を停止する。以降、期間T3、期間T4においても同様に駆動する。
このような方法により、図7(A)と比較して、1つの撮像画像を得る時間を短縮することができる。
以上が、駆動方法例についての説明である。
[駆動回路の構成例]
アクティブマトリクス型の表示パネルの場合、表示する画像に応じて、画素には異なる電位のビデオデータを入力する必要があるため、例えばソース線駆動回路は多階調のビデオデータを生成する機能が必要となる。一方、本発明の一態様の撮像装置に用いる面状発光装置の場合では、画素に与える信号の電位は、必ずしも画素毎に異ならせる必要はないため、ソース線駆動回路の構成を簡略化できる。
図8(A)に、駆動回路62の構成例を示す。駆動回路62は、複数のフリップフロップ回路(以下、FF回路81と呼ぶ)によって構成されたシフトレジスタを有する。駆動回路62には、クロック信号CLKが入力される配線と、パルス信号VSPが与えられる配線が接続される。
1つのFF回路81の出力端子は、隣接するFF回路81の入力端子、及び1つのソース線(配線S1等)に電気的に接続されている。また、FF回路81にはクロック信号CLKが入力される。また、駆動回路62の最も入力側に位置するFF回路81には、パルス信号VSPが入力される。
駆動回路62は、クロック信号CLKに基づいて、配線S1乃至S4等に、FF回路81の出力電位を出力することができる。このような構成とすることで、極めて簡略化された駆動回路62を実現できる。
図8(B)には、さらに複数のセレクタ回路82を有する例を示している。
FF回路81には、パルス信号VSPが入力される。また、1つのセレクタ回路82の入力端子には、電位VHが与えられる配線及び電位VLが与えられる配線が、出力端子には、1つのソース線(配線S1等)が電気的に接続される。セレクタ回路82は、FF回路81からの入力に応じて、ソース線に電位VHまたは電位VLのいずれか一方を出力することができる。
図8(B)に示す駆動回路62は、クロック信号CLKに基づいて、配線S1乃至配線S4等に、順次電位VHを出力できると同時に、他の配線には電位VLを出力することができる。これにより、図8(A)と比較して、FF回路81を低電圧で駆動することができるため、より高速に駆動させることができる。
以上が、駆動回路の構成例についての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像方法及び撮像装置に適用可能な面状発光装置に用いることのできる表示パネルについて説明する。
[構成例]
図9に、表示パネル700の上面図を示す。表示パネル700は、基板745上に設けられた画素部702を有する。また基板745上にはソースドライバ回路部704、一対のゲートドライバ回路部706、配線710等が設けられる。また画素部702には、複数の表示素子が設けられる。
一対のゲートドライバ回路部706は、画素部702を挟んで両側に設けられている。なお、基板745上にゲートドライバ回路部706及びソースドライバ回路部704を設けない構成としてもよい。例えばそれぞれがICチップの形態であってもよく、これを表示パネル700に実装することができる。当該ICチップは、基板745、またはFPC716に実装することができる。
また、基板745には、IC717が実装されている。IC717は、例えばソースドライバ回路としての機能を有する。このとき、表示パネル700におけるソースドライバ回路部704は、保護回路、バッファ回路、デマルチプレクサ回路等の少なくとも一を含む構成とすることができる。
また、基板745の一部に、FPC716(FPC:Flexible printed circuit)が接続されるFPC端子部708が設けられている。FPC716によって、FPC端子部708及び配線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びIC717に各種信号等が供給される。
画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、酸化物半導体を有するトランジスタを適用することが好ましい。また、IC717を構成するトランジスタにも、酸化物半導体を有するトランジスタを適用してもよい。
画素部702に設けられる表示素子には、発光素子等を用いることができる。発光素子としては、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED)、QLED(Quantum-dot LED)、半導体レーザなどの、自発光性の発光素子が挙げられる。
有機EL素子(OLED)としては、被形成面側に光を射出するボトムエミッション型、被形成面側とは反対側に光を射出するトップエミッション型、及び両方に光を射出するデュアルエミッション型などがあり、いずれを用いてもよい。特に、トップエミッション型の発光素子を用いることで開口率を大きくできるため高精細化が容易であり、また発光素子の輝度を高めることができるため好ましい。
発光ダイオード(LED)としては、サイズの大きいものからマクロLED(巨大LEDともいう)、ミニLED、マイクロLEDなどがある。ここで、LEDチップの一辺の寸法が1mmを超えるものをマクロLED、100μmより大きく1mm以下のものをミニLED、100μm以下のものをマイクロLEDと呼ぶ。画素部702に適用するLEDとして、特にミニLEDまたはマイクロLEDを用いることが好ましい。マイクロLEDを用いることで、極めて高精細な表示装置を実現できる。
また、表示素子として、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、半透過型の液晶素子などの液晶素子を用いることもできる。また、シャッター方式または光干渉方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子や、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、または電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いることもできる。
[断面構成例]
以下では、表示素子として有機ELを用いる構成について、図10及び図11を用いて説明する。図10及び図11は、それぞれ図9で示した表示パネル700の、一点鎖線S-Tにおける断面概略図である。
まず、図10及び図11に示す表示パネルの共通する部分について説明する。
図10及び図11には、画素部702と、ゲートドライバ回路部706と、FPC端子部708と、を含む断面を示している。画素部702は、トランジスタ750及び容量素子790を有する。ゲートドライバ回路部706は、トランジスタ752を有する。
トランジスタ750及びトランジスタ752は、チャネルが形成される半導体層に、酸化物半導体を適用したトランジスタである。なお、これに限られず、半導体層に、シリコン(アモルファスシリコン、多結晶シリコン、または単結晶シリコン)や、有機半導体を用いたトランジスタを適用することもできる。
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を著しく低くできる。そのため、このようなトランジスタが適用された画素は、画像信号等の電気信号の保持時間を長くでき、画像信号等の書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくできるため、消費電力を低減することができる。
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示パネルに用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、シリコンウェハ等により形成された駆動回路を適用しない構成も可能であり、表示装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
容量素子790は、トランジスタ750が有する第1のゲート電極と同一の膜を加工して形成される下部電極と、半導体層と同一の金属酸化物膜を加工して形成される上部電極と、を有する。上部電極は、トランジスタ750のソース領域及びドレイン領域と同様に低抵抗化されている。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750の第1のゲート絶縁層として機能する絶縁膜の一部が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造を有する。また、上部電極には、トランジスタ750のソース電極及びドレイン電極と同一の膜を加工して得られる配線が接続されている。
また、トランジスタ750、トランジスタ752、及び容量素子790上には、平坦化膜として機能する絶縁層770が設けられている。
画素部702が有するトランジスタ750と、ゲートドライバ回路部706が有するトランジスタ752とは、異なる構造のトランジスタを用いてもよい。例えば、いずれか一方にトップゲート型のトランジスタを適用し、他方にボトムゲート型のトランジスタを適用した構成としてもよい。なお、上記ソースドライバ回路部704についても、ゲートドライバ回路部706と同様である。
FPC端子部708は、一部が接続電極として機能する配線760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。配線760は、異方性導電膜780を介してFPC716が有する端子と電気的に接続される。ここでは、配線760は、トランジスタ750等のソース電極及びドレイン電極と同じ導電膜で形成されている。
続いて、図10に示す表示パネル700について説明する。
図10に示す表示パネル700は、基板745と、基板740とを有する。基板745及び基板740としては、例えばガラス基板、またはプラスチック基板等の可撓性を有する基板を用いることができる。
トランジスタ750、トランジスタ752、容量素子790等は、基板745上に設けられる。
また表示パネル700は、発光素子782、着色層736、遮光層738等を有する。
発光素子782は、導電層772、EL層786、及び導電層788を有する。導電層772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極と電気的に接続される。導電層772は、絶縁層770上に設けられ、画素電極として機能する。また導電層772の端部を覆って絶縁層730が設けられ、絶縁層730及び導電層772上にEL層786と導電層788が積層して設けられている。
導電層772には、可視光に対して反射性を有する材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銀等を含む材料を用いることができる。また、導電層788には、可視光に対して透光性を有する材料を用いることができる。例えば、インジウム、亜鉛、スズ等を含む酸化物材料を用いるとよい。そのため、発光素子782は、被形成面とは反対側(基板740側)に光を射出する、トップエミッション型の発光素子である。
EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。EL層786は、電流が流れた際に光を呈する発光材料を含む。
発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料、無機化合物(量子ドット材料など)などを用いることができる。量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。
遮光層738と、着色層736は、基板740の一方の面に設けられている。着色層736は、発光素子782と重なる位置に設けられている。また、遮光層738は、画素部702において、発光素子782と重ならない領域に設けられている。また遮光層738は、ゲートドライバ回路部706等にも重ねて設けられていてもよい。
基板740と基板745とは、封止層732によって貼り合されている。
ここでは、発光素子782が有するEL層786として、白色の発光を呈する発光材料が適用されている。発光素子782が発する白色の発光は、着色層736により着色されて外部に射出される。EL層786は、異なる色を呈する画素に亘って設けられる。画素部には、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかを透過する着色層736が設けられた画素をマトリクス状に配置することで、表示パネル700は、フルカラーの表示を行うことができる。
なお、表示パネル700が、フルカラーの表示を行う必要がなく、白色光、または、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の単色光のみの表示でよい場合には、着色層736を設けない構成としてもよい。
また、導電層788として、半透過性、半反射性を有する導電膜を用いてもよい。このとき、導電層772と導電層788との間で微小共振器(マイクロキャビティ)構造を実現し、特定の波長の光を強めて射出する構成とすることができる。またこのとき、導電層772と導電層788との間に光学距離を調整するための光学調整層を配置し、当該光学調整層の厚さを異なる色の画素間で異ならせることで、それぞれの画素から射出される光の色純度を高める構成としてもよい。
なお、EL層786を画素毎に島状または画素列毎に縞状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色層736や、上述した光学調整層を設けない構成としてもよい。
ここで、基板745と基板740とは、それぞれ透湿性の低い基板を用いることが好ましい。このような基板745と基板740との間に、発光素子782やトランジスタ750等が挟持された構成とすることで、これらの劣化が抑制され、信頼性の高い表示パネルを実現できる。
図11に示す表示パネル700Aは、図10で示した基板740に換えて、保護フィルムとして機能する保護層479を有する。
保護層749は、封止層732と貼りあわされている。保護層749としては、ガラス基板や樹脂フィルムなどを用いることができる。また、保護層749として、偏光板(円偏光板を含む)、散乱板などの光学部材等を用いてもよい。または、これらを2つ以上積層した構成を適用してもよい。
また、発光素子782が有するEL層786は、絶縁層730及び導電層772上に島状に設けられている。EL層786を、副画素毎に発光色が異なるように作り分けることで、着色層736を用いずにカラー表示を実現することができる。
また、発光素子782を覆って、保護層741が設けられている。保護層741は発光素子782に水などの不純物が拡散することを防ぐ機能を有する。保護層741は、導電層788側から絶縁層741a、絶縁層741b、及び絶縁層741cがこの順で積層された積層構造を有している。このとき、絶縁層741aと絶縁層741cには、水などの不純物に対してバリア性の高い無機絶縁膜を、絶縁層741bには平坦化膜として機能する有機絶縁膜を、それぞれ用いることが好ましい。また、保護層741は、ゲートドライバ回路部706にも延在して設けられていることが好ましい。
また、封止層732よりも内側において、トランジスタ750やトランジスタ752等を覆う有機絶縁膜が島状に形成されることが好ましい。言い換えると、当該有機絶縁膜の端部が、封止層732の内側、または封止層732の端部と重なる領域に位置することが好ましい。図11では、絶縁層770、絶縁層730、及び絶縁層741bが、島状に加工されている例を示している。例えば封止層732と重なる部分では、絶縁層741c及び絶縁層741aが接して設けられている。このように、トランジスタ750やトランジスタ752を覆う有機絶縁膜の表面が、封止層732よりも外側に露出しない構成とすることで、外部から当該有機絶縁膜を介してトランジスタ750やトランジスタ752に水や水素が拡散することを好適に防ぐことができる。これにより、トランジスタの電気特性の変動が抑えられ、極めて信頼性の高い表示装置を実現できる。
[構成要素について]
以下では、表示装置に適用可能なトランジスタ等の構成要素について説明する。
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
以下では、特に金属酸化物膜をチャネルが形成される半導体層に用いるトランジスタについて説明する。
トランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む金属酸化物などであり、例えば、後述するCAC-OSなどを用いることができる。
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア濃度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
半導体層を構成する金属酸化物がIn-M-Zn系酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
半導体層としては、キャリア濃度の低い金属酸化物膜を用いる。例えば、半導体層は、キャリア濃度が1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上のキャリア濃度の金属酸化物を用いることができる。そのような金属酸化物を、高純度真性または実質的に高純度真性な金属酸化物と呼ぶ。当該酸化物半導体は欠陥準位密度が低く、安定な特性を有する金属酸化物であるといえる。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成の酸化物半導体を用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
半導体層を構成する金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、金属酸化物と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、半導体層を構成する金属酸化物に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(c-axis-aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
また、本発明の一態様で開示されるトランジスタの半導体層には、CAC-OS(Cloud-Aligned Composite oxide semiconductor)を用いてもよい。
なお、本発明の一態様で開示されるトランジスタの半導体層は、上述した非単結晶酸化物半導体またはCAC-OSを好適に用いることができる。また、非単結晶酸化物半導体としては、nc-OSまたはCAAC-OSを好適に用いることができる。
なお、本発明の一態様では、トランジスタの半導体層として、CAC-OSを用いると好ましい。CAC-OSを用いることで、トランジスタに高い電気特性または高い信頼性を付与することができる。
なお、半導体層がCAAC-OSの領域、多結晶酸化物半導体の領域、nc-OSの領域、擬似非晶質酸化物半導体の領域、及び非晶質酸化物半導体の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
<CAC-OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CAC-OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひとつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折測定から、測定領域のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
またCAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域(リング領域)と、該リング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC-OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano-crystal)構造を有することがわかる。
また例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
従って、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは電界効果移動度が高く、且つ駆動能力が高いので、該トランジスタを、駆動回路、代表的にはゲート信号を生成する走査線駆動回路に用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することができる。また、該トランジスタを、表示装置が有する信号線駆動回路(とくに、信号線駆動回路が有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供することができる。
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは低温ポリシリコンを用いたトランジスタのように、レーザ結晶化工程が不要である。これのため、大面積基板を用いた表示装置であっても、製造コストを低減することが可能である。さらに、ウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」)、スーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」)のよう高解像度であり、且つ大型の表示装置において、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタを駆動回路及び表示部に用いることで、短時間での書き込みが可能であり、表示不良を低減することが可能であり好ましい。
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体にシリコンを用いてもよい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
〔導電層〕
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
〔絶縁層〕
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
また、発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑制できる。
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m2・day)]以下、好ましくは1×10-6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×10-7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m2・day)]以下とする。
以上が、構成要素についての説明である。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、極めて高い精細度が実現可能な表示装置の構成例について説明する。以下で例示する表示装置は、本発明の一態様の撮像方法及び撮像装置における、面状発光装置に適用することができる。
図12(A)は、表示装置100の構成例を示す断面図である。表示装置100は、基板101及び基板105を有し、基板101と基板105はシール材112により貼り合わされている。
基板101として、単結晶シリコン基板等の単結晶半導体基板を用いることができる。なお、基板101として単結晶半導体基板以外の半導体基板を用いてもよい。
基板101上にトランジスタ441、及びトランジスタ601が設けられる。トランジスタ441は、駆動回路等に設けられるトランジスタとすることができる。トランジスタ601は、画素に設けられるトランジスタ、ゲートドライバ回路に設けられるトランジスタ、またはソースドライバ回路に設けられるトランジスタとすることができる。
トランジスタ441は、ゲート電極としての機能を有する導電層443と、ゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層445と、基板101の一部とを有する。基板101の一部には、チャネル形成領域を含む半導体領域447、ソース領域又はドレイン領域の一方として機能する低抵抗領域449a、他方として機能する低抵抗領域449bが形成されている。トランジスタ441は、pチャネル型又はnチャネル型のいずれでもよい。
トランジスタ441は、素子分離層403によって他のトランジスタと電気的に分離される。図12(A)では、素子分離層403によってトランジスタ441とトランジスタ601が電気的に分離される場合を示している。素子分離層403は、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法、又はSTI(Shallow Trench Isolation)法等を用いて形成することができる。
ここで、図12(A)に示すトランジスタ441は半導体領域447が凸形状を有する。また、半導体領域447の側面及び上面を、絶縁層445を介して、導電層443が覆うように設けられている。なお、図12(A)では、導電層443が半導体領域447の側面を覆う様子は図示していない。また、導電層443には仕事関数を調整する材料を用いることができる。
トランジスタ441のような半導体領域が凸形状を有するトランジスタは、半導体基板の凸部を利用していることから、フィン型トランジスタと呼ぶことができる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとしての機能を有する絶縁層を有していてもよい。また、図12(A)では基板101の一部を加工して凸部を形成する構成を示しているが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体を形成してもよい。
なお、図12(A)に示すトランジスタ441の構成は一例であり、その構成に限定されず、回路構成又は回路の動作方法等に応じて適切な構成とすればよい。例えば、トランジスタ441は、プレーナ型のトランジスタであってもよい。
トランジスタ601は、トランジスタ441と同様の構成とすることができる。
基板101上には、素子分離層403、並びにトランジスタ441及びトランジスタ601の他、絶縁層405、絶縁層407、絶縁層409、及び絶縁層411が設けられる。絶縁層405中、絶縁層407中、絶縁層409中、及び絶縁層411中に導電層451が埋設されている。ここで、導電層451の上面の高さと、絶縁層411の上面の高さは同程度にできる。
導電層451上、及び絶縁層411上に、絶縁層413及び絶縁層415が設けられる。また、絶縁層413中、及び絶縁層415中に導電層457が埋設されている。導電層457の上面の高さと、絶縁層415の上面の高さは同程度にできる。
導電層457上、及び絶縁層415上に絶縁層417及び絶縁層419が設けられる。また、絶縁層417中、及び絶縁層419中に導電層459が埋設されている。導電層459の上面の高さと、絶縁層419の上面の高さは同程度にできる。
導電層459上、及び絶縁層419上に絶縁層421及び絶縁層214が設けられる。また、絶縁層421中、及び絶縁層214中に導電層453が埋設されている。導電層453の上面の高さと、絶縁層214の上面の高さは同程度にできる。
導電層453上、及び絶縁層214上に絶縁層216が設けられる。絶縁層216中に導電層455が埋設されている。導電層455の上面の高さと、絶縁層216の上面の高さは同程度にできる。
導電層455上、及び絶縁層216上に絶縁層222、絶縁層224、絶縁層254、絶縁層280、絶縁層274、及び絶縁層281が設けられる。絶縁層222中、絶縁層224中、絶縁層254中、絶縁層280中、絶縁層274中、及び絶縁層281中に導電層305が埋設されている。導電層305の上面の高さと、絶縁層281の上面の高さは同程度にできる。
導電層305上、及び絶縁層281上に絶縁層361が設けられる。絶縁層361中に導電層317、及び導電層337が埋設されている。導電層337の上面の高さと、絶縁層361の上面の高さは同程度にできる。
導電層337上、及び絶縁層361上に絶縁層363が設けられる。絶縁層363中に導電層347、導電層353、導電層355、及び導電層357が埋設されている。導電層353、導電層355、及び導電層357の上面の高さと、絶縁層363の上面の高さは同程度にできる。
導電層353上、導電層355上、導電層357上、及び絶縁層363上に接続電極160が設けられる。また、接続電極160と電気的に接続されるように異方性導電層180が設けられ、異方性導電層180と電気的に接続されるようにFPC(Flexible Printed Circuit)116が設けられる。FPC116によって、表示装置100の外部から、表示装置100に各種信号等が供給される。
図12(A)に示すように、トランジスタ441のソース領域又はドレイン領域の他方としての機能を有する低抵抗領域449bは、導電層451、導電層457、導電層459、導電層453、導電層455、導電層305、導電層317、導電層337、導電層347、導電層353、導電層355、導電層357、接続電極160、及び異方性導電層180を介して、FPC116と電気的に接続されている。ここで、図12(A)では接続電極160と導電層347を電気的に接続する機能を有する導電層として、導電層353、導電層355、及び導電層357の3つを示しているが本発明の一態様はこれに限らない。接続電極160と導電層347を電気的に接続する機能を有する導電層を1つとしてもよいし、2つとしてもよいし、4つ以上としてもよい。接続電極160と導電層347を電気的に接続する機能を有する導電層を複数設けることで、接触抵抗を小さくすることができる。
絶縁層214上には、トランジスタ150が設けられる。トランジスタ150は、画素に設けられるトランジスタとすることができる。トランジスタ150は、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることができる。このようなトランジスタは、オフ電流が極めて低いという特徴を有する。よって、画像信号等の保持時間を長くすることができるので、リフレッシュ動作の頻度を少なくできる。よって、表示装置100の消費電力を低減することができる。
絶縁層254中、絶縁層280中、絶縁層274中、及び絶縁層281中に導電層301a、及び導電層301bが埋設されている。導電層301aは、トランジスタ150のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、導電層301bは、トランジスタ150のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。ここで、導電層301a、及び導電層301bの上面の高さと、絶縁層281の上面の高さは同程度にできる。
絶縁層361中に導電層311、導電層313、導電層331、容量素子190、導電層333、及び導電層335が埋設されている。導電層311及び導電層313はトランジスタ150と電気的に接続され、配線としての機能を有する。導電層333及び導電層335は、容量素子190と電気的に接続されている。導電層331、導電層333、及び導電層335の上面の高さと、絶縁層361の上面の高さは同程度にできる。
絶縁層363中に導電層341、導電層343、及び導電層351が埋設されている。導電層351の上面の高さと、絶縁層363の上面の高さは同程度にできる。
絶縁層405、絶縁層407、絶縁層409、絶縁層411、絶縁層413、絶縁層415、絶縁層417、絶縁層419、絶縁層421、絶縁層214、絶縁層280、絶縁層274、絶縁層281、絶縁層361、及び絶縁層363は、層間膜としての機能を有し、それぞれの下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜としての機能を有してもよい。例えば、絶縁層363の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
図12(A)に示すように、容量素子190は下部電極321と、上部電極325と、を有する。また、下部電極321と上部電極325との間には、絶縁層323が設けられる。すなわち、容量素子190は、一対の電極間に誘電体として機能する絶縁層323が挟持された積層型の構造である。なお、図12(A)では絶縁層281上に容量素子190を設ける例を示しているが、絶縁層281と異なる絶縁層上に、容量素子190を設けてもよい。
図12(B)に、トランジスタ150の拡大図を示す。
トランジスタ150は、導電層161、半導体層151、半導体層152、半導体層153、一対の導電層154、絶縁層155、導電層156、導電層157等を有する。
導電層161は第1のゲート電極として機能し、導電層156及び導電層157は、第2のゲート電極として機能する。一対の導電層154は、それぞれソース電極またはドレイン電極として機能する。
半導体層153、絶縁層155、導電層156、及び導電層157は、絶縁層280に設けられた凹部を埋めるように、順に設けられている。
このような構成とすることで、占有面積の極めて小さなトランジスタを実現できる。例えば、チャネル長が100nm以下、80nm以下、60nm以下、さらには40nm以下のトランジスタを実現できる。そのため、極めて高精細な表示装置を実現できる。
図12(A)に示す表示装置100は、発光素子182を有する。発光素子182は、導電層172、EL層186、及び導電層188を有する。EL層186は、有機化合物、又は量子ドット等の無機化合物を有する。また、導電層172は、導電層351、導電層341、導電層331、導電層313、及び導電層301bを介して、トランジスタ150のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。導電層172は絶縁層363上に形成され、画素電極としての機能を有する。
図12(A)に示す表示装置100には、絶縁層363上に絶縁層130が設けられる。ここで、絶縁層130は、導電層172の一部を覆う構成とすることができる。また、発光素子182は透光性の導電層188を有し、トップエミッション型の発光素子である。
発光素子182は、マイクロキャビティ構造を有することができる。これにより、着色層を設けなくても所定の色の光(例えば、RGB)を取り出すことができ、表示装置100はカラー表示を行うことができる。着色層を設けない構成とすることにより、着色層による光の吸収を抑制することができる。これにより、表示装置100は高輝度の画像を表示することができ、また表示装置100の消費電力を低減することができる。なお、EL層186を画素毎に島状又は画素列毎に縞状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においても、着色層を設けない構成とすることができる。
なお、遮光層138は絶縁層130と重なる領域を有するように設けられている。また、遮光層138は、絶縁層134で覆われている。また、発光素子182と絶縁層134の間は封止層132で充填されている。
さらに、構造体178は、絶縁層130とEL層186との間に設けられる。また、構造体178は、絶縁層130と絶縁層134との間に設けられる。
図12(A)では、トランジスタ441及びトランジスタ601を、基板101の内部にチャネル形成領域が形成されるように設け、トランジスタ441及びトランジスタ601の上に積層して、酸化物半導体が適用されたトランジスタを設ける構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。図13に図12(A)の変形例を示す。図13に示す表示装置100は、酸化物半導体が適用されたトランジスタ602及びトランジスタ603の上に積層して、トランジスタ150が設けられている点で、図12(A)に示す構成と異なる。つまり、図13に示す表示装置100は、酸化物半導体が適用されたトランジスタが積層して設けられている。
基板101上には絶縁層613及び絶縁層614が設けられ、絶縁層614上にはトランジスタ602及びトランジスタ603が設けられる。なお、基板101と、絶縁層613と、の間にトランジスタ等が設けられていてもよい。例えば、基板101と、絶縁層613と、の間に、図12(A)で示したトランジスタ441及びトランジスタ601と同様の構成のトランジスタを設けてもよい。
トランジスタ602は駆動回路に設けられるトランジスタとすることができる。トランジスタ603は、ゲートドライバに設けられるトランジスタ、又はソースドライバに設けられるトランジスタとすることができる。
トランジスタ602及びトランジスタ603は、トランジスタ150と同様の構成のトランジスタとすることができる。なお、トランジスタ602及びトランジスタ603を、トランジスタ150と異なる構成のトランジスタとしてもよい。
絶縁層614上には、トランジスタ602及びトランジスタ603の他、絶縁層616、絶縁層622、絶縁層624、絶縁層654、絶縁層680、絶縁層674、及び絶縁層681が設けられる。絶縁層654中、絶縁層680中、絶縁層674中、及び絶縁層681中に導電層461が埋設されている。導電層461の上面の高さと、絶縁層681の上面の高さは同程度にできる。
導電層461上、及び絶縁層681上に絶縁層501が設けられる。絶縁層501中に導電層463が埋設されている。導電層463の上面の高さと、絶縁層501の上面の高さは同程度にできる。
導電層463上、及び絶縁層501上に絶縁層503が設けられる。絶縁層503中に導電層465が埋設されている。導電層465の上面の高さと、絶縁層503の上面の高さは同程度にできる。
導電層465上、及び絶縁層503上に絶縁層505が設けられる。絶縁層505中に導電層467が埋設されている。導電層467の上面の高さと、絶縁層505の上面の高さは同程度にできる。
導電層467上、及び絶縁層505上に絶縁層507が設けられる。絶縁層507中に導電層469が埋設されている。導電層469の上面の高さと、絶縁層507の上面の高さは同程度にできる。
導電層469上、及び絶縁層507上に絶縁層509が設けられる。絶縁層509中に導電層471が埋設されている。導電層471の上面の高さと、絶縁層509の上面の高さは同程度にできる。
導電層471上、及び絶縁層509上に絶縁層421及び絶縁層214が設けられる。絶縁層421中、及び絶縁層214中に導電層453が埋設されている。導電層453の上面の高さと、絶縁層214の上面の高さは同程度にできる。
図13に示すように、トランジスタ602のソース又はドレインの一方は、導電層461、導電層463、導電層465、導電層467、導電層469、導電層471、導電層453、導電層455、導電層305、導電層317、導電層337、導電層347、導電層353、導電層355、導電層357、接続電極160、及び異方性導電層180を介して、FPC116と電気的に接続されている。
絶縁層613、絶縁層614、絶縁層680、絶縁層674、絶縁層681、絶縁層501、絶縁層503、絶縁層505、絶縁層507、及び絶縁層509は、層間膜としての機能を有し、それぞれの下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜としての機能を有してもよい。
表示装置100を図13に示す構成とすることにより、表示装置100を狭額縁化、小型化させつつ、表示装置100が有するトランジスタを全て酸化物半導体が適用されたトランジスタとすることができる。これにより、異なる種類のトランジスタを作製する必要がなくなるため、表示装置100の作製コストを低減することができる。
なお、上記では2つのトランジスタを積層する構成について説明したが、3層以上積層した構成としてもよい。例えば、シリコンが適用されたトランジスタ上に、酸化物半導体が適用されたトランジスタを2つ以上積層した積層構造とすることもできる。
また、上記ではトランジスタを積層する構成について説明したが、これに限られない。要求される画素間隔を実現できる程度に、トランジスタを十分に微細に作製できる場合には、トランジスタを積層することなく、表示装置を構成することで作製コストを低減することができる。例えば、単結晶基板上に上述した酸化物半導体が適用されたトランジスタを設ける構成とすることもできる。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、本発明の一態様の撮像方法を用いて撮像した結果について説明する。
面状発光装置としては、発光素子として、有機EL素子を適用した表示パネルを用いた。また、有機ELパネルは、画素を構成するトランジスタとして酸化物半導体が適用された表示パネルとした。表1に、当該表示パネルの仕様を示す。
また、撮像に用いた光電変換装置としては、輝度計を用いた。輝度計には、トプコンテクノハウス社製、色彩輝度計BM-5ASを用いた。
撮像は、まず暗室内に表示パネルを配置し、表示パネルの表示領域の直上、約70cmの位置に、輝度計を固定した。そして表示パネルの画面に直接、被観察体を置いた状態で、1画素ずつ白色発光させたときの輝度を、繰り返し測定した。ここでは、被観察体として基材が透明な定規を用いた。
その後、得られた複数の輝度のデータの最小値と最大値に基づいて、それぞれのデータに階調値を割り当てることにより、8bit階調の画像データを生成した。
図14に、上記撮像により得られた画像を示す。図14に示す画像は、80×80個の画素データからなる画像である。図14に示すように、高いコントラスト比で鮮明な画像が得られていることが分かる。
また、図14に示す画像から、定規のメモリ間隔の測長を試みたところ、0.987[0.005]mmとなり、高い精度で測長が可能であることが分かった。
続いて、面状発光装置として有機ELパネルを用いた場合と、液晶パネルを用いた場合の比較を行った。
液晶パネルとしては、画素密度が86ppi、画素ピッチが0.295mm×0.295mmである、市販のモニタ装置を用いた。
また、画素ピッチを近づけるため、有機ELパネルについては3×3個の画素毎に撮像を行った。
図15(A1)に、有機ELパネルを用いて撮像した画像を、図15(B1)に、液晶パネルを用いて撮像した画像を示す。それぞれの画像は、画素数が75×75である。いずれの画像においても、定規のメモリや数字が明瞭に撮像できていることが分かる。また、有機ELパネルを用いた方が、液晶パネルを用いた場合に比べて高いコントラストの画像が得られていることが分かる。
図15(A2)には、図15(A1)中の破線で示す、一列の画像データに対応する階調値を示している。また図15(B2)には、図15(B1)中の破線で示す一列の画像データに対応する階調値を示している。図15(A2)、(B2)において、横軸は画素データのアドレスを、縦軸は階調値の最大値を1として規格化した画像データの階調値を示している。
有機ELパネルを用いた場合には、明るい部分と暗い部分とで階調値の差が大きく、高いコントラストが得られている。一方、液晶パネルを用いた場合では、明るい部分と暗い部分との階調値の差が小さく、低いコントラストとなっていることが分かる。
液晶パネルを用いた場合では、発光させない画素からも、バックライトからの光の一部が射出されてしまい、撮像の際にこの光が光電変換装置に入射することで、コントラストの低い画像になってしまう。一方、有機ELパネルが有する有機EL素子は自発光性であるため、発光させない画素は発光しないため、高いコントラストが実現できる。さらに、画素を構成するトランジスタに、オフ状態におけるリーク電流が著しく低い酸化物半導体が適用されているため、隣接画素間のリーク電流が抑えられ、より高いコントラストが実現されている。
なお、ここでは撮像範囲を75×75画素の領域としたが、表示パネルの解像度に相当する撮像範囲にまで拡張することが可能である。
以上のことから、レンズを用いることなく、極めて簡単な構成により、高い分解能と、広い視野を両立した、顕微鏡として用いることのできる撮像装置を実現できることが確認できた。
本実施例では、上記実施例1で用いた表示パネルよりも、極めて高精細な表示パネルを面状発光装置に適用し、撮像した結果について説明する。
本実施例で用いた表示パネルは、精細度(画素密度)が5291ppi、解像度(有効画素数)が1280×720と極めて高精細な表示パネルである。表示エリアのサイズは6.14mm×3.46mmである。発光素子には、上面射出(トップエミッション)型の有機EL素子を用いた。表示パネルの基板には単結晶基板を用い、当該基板に、酸化物半導体を適用したトランジスタと、発光素子とを順に形成した。画素及びゲート線駆動回路を構成するトランジスタには酸化物半導体を適用し、ソース線駆動回路にはICを適用した。
撮像方法は、上記実施例1の記載を援用することができる。ここでは、3×3個の画素毎に、白色発光させた状態で輝度を測定する操作を繰り返し行い、105×105個の画素データからなる画像を得た。
被観察体としては、文字パターンが施された金属薄膜が設けられたガラス基板を用いた。図16(A)に、被観察体の光学顕微鏡像を示している。被観察体の撮像領域には、「TEG2」の文字が施されている。一つの文字のサイズは約300μm×300μmであり、文字部分の線幅は約60μmである。また、図16(A)に示すように、被観察体には文字とは別に、線幅が約5μmの配線パターンも施されている。
図16(B)に、撮像により得られた画像を示す。図16(B)に示す画像は、105×105個の画素データからなる、8bit階調の画像である。図16(B)に示すように、金属薄膜で遮光された部分が暗く、それ以外の部分が明るく表示され、「TEG2」の文字を明瞭に読み取ることができる。また、当該文字の上下に位置する配線パターンも一部撮像できていることがわかる。
続いて、被観察体として、それぞれ異なる文字パターンが施された金属薄膜が設けられた2枚のガラス基板を積層したものを用いて撮像を行った。ガラス基板の厚さは、それぞれ0.7mmである。
図17(A)は、被観察体の模式図を示している。下側に位置するガラス基板の表面には、「TEG2」の文字パターンが施され、上側に位置するガラス基板の表面には「TEG1」の文字パターンが施されている。図17(A)に示すように、2つの文字が重ならないように、2枚のガラス基板を重ねたものを、被観察体として用いた。
図17(B)は、被観察体の光学顕微鏡像を示している。ここでは、下側に位置するガラス基板の表面(すなわち、「TEG2」の文字)にピントが合うようにして撮像した。図17(B)に示すように、光学顕微鏡では被写界深度が浅いため、上側に位置するガラス基板の表面に施された「TEG1」の文字は、ピントが合わずにぼけていることが確認できる。
図17(C)は、本発明の一態様の撮像方法により撮像した画像を示している。図17(C)に示すように、厚さ約0.7mm隔てて配置された2つの文字パターンが明瞭に観察できていることが確認できる。このことから、被観察体の厚さ方向全体に亘って、ピントの合った像を撮像することができることが確認できた。
以上のことから、本発明の一態様の撮像方法において、精細度の高い表示パネルを用いることで、極めて微細な被観察体も撮像することが可能であることが確認できた。さらに、被写界深度が極めて深く、レンズによるピント調整を必要としないため、厚さの厚い被観察体であっても、一度の撮像により、厚さ方向全体に亘ってピントの合った明瞭な像を撮像できることが確認できた。