以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
本発明の光学装置は、照明光源(例えば、図1の蛍光励起用光源28)と、対物レンズ(例えば、図1の対物レンズ24)と、前記照明光源からの照射光を透過させて、標本に前記照射光を照射させるために前記対物レンズに前記照射光を入射させるとともに、前記対物レンズから入射した前記標本からの観察光を反射して、撮像手段(例えば、図1の観察カメラ29)に入射させるハーフミラー(例えば、図1のダイクロイックミラー44)と、前記撮像手段に入射する前記観察光の像の前記撮像手段の受光面内の位置が移動するように、前記観察光の光路を変更するとともに、前記標本上における前記照射光が照射される位置が移動するように、前記照射光の光路を変更する変更手段(例えば、図1の回動ミラー46、図10の移動部283、または図13のステッピングモータ314)とを有し、前記照明光源と前記変更手段と前記対物レンズとを結ぶ照明光学系および前記対物レンズと前記変更手段と前記撮像手段を結ぶ観察光学系を備え、前記照明光学系と前記観察光学系の一部は共通な光学系であることを特徴とする。
なお、本実施の形態では、ハーフミラーは1つであるが、異なる波長の観察光を反射するダイクロイックミラーを同じ光路に設け、異なる撮像手段に導くようにしてもよい。
光学装置には、顕微鏡のステージ上に配置された前記標本に照射される前記照射光を通過させるとともに、通過させる前記照射光の光束の太さを調整する調整手段(例えば、図1の絞り42)をさらに設けることができる。
前記変更手段は、前記対物レンズと前記ハーフミラーとの間に配置され、反射面において前記照射光を反射させて前記対物レンズに入射させるとともに、前記反射面において前記観察光を反射させて前記ハーフミラーに入射させ、前記反射面を回動させることにより前記照射光および前記観察光の光路を変更する(例えば、図1の回動ミラー46)ことができる。
光学装置には、前記対物レンズと、前記ハーフミラーとの間に配置され、前記標本に照射される前記照射光の像の大きさを拡大または縮小させるとともに、前記撮像手段に入射する前記観察光の像の大きさを拡大または縮小させる変倍手段(例えば、図1の変倍光学系45)をさらに設けることができる。
前記変更手段には、前記変倍手段を構成するレンズ、前記ハーフミラー、および前記調整手段を所定の方向に移動させることにより、前記照射光および前記観察光の光路を変更させる(例えば、図10の移動部283)ことができる。
前記変更手段には、前記変倍手段を構成するレンズを、そのレンズの光軸に垂直な方向に移動させることにより、前記照射光および前記観察光の光路を変更する移動手段(例えば、図13のステッピングモータ314)と、前記対物レンズと、前記前記変倍手段との間に配置され、反射面において前記照射光を反射させて前記対物レンズに入射させるとともに、前記反射面において前記観察光を反射させて前記ハーフミラーに入射させ、前記反射面を例えば回動させることにより前記照射光および前記観察光の光路を変更する回動反射手段(例えば、図13の回動ミラー46)とを設けることができる。
本発明では、変更手段に入射する観察光と反射する観察光、および変更手段に入射する照射光と反射する照射光の光路は共通している。
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した顕微鏡の一実施の形態の構成例を示す図である。
顕微鏡11には、ステージ21が設けられており、ステージ21には、観察の対象となる標本22が配置される。また、顕微鏡11には、標本22を明視野観察するための透過照明用光源23が設けられており、透過照明用光源23から射出された照明光は、図示せぬ光学系を介してステージ21の図中、下側から標本22に照射される。標本22に照射された照明光は標本22を透過して、標本22に対向する位置に設けられた対物レンズ24、中間ユニット25を介して接眼レンズ26および観察カメラ27に入射する。
中間ユニット25には、蛍光観察時に標本22に励起光を照射するための蛍光励起用光源28、および標本22の画像を撮像する観察カメラ29が装着されている。また、中間ユニット25は、レンズ41、絞り42、レンズ43、ダイクロイックミラー44、変倍光学系45、および回動ミラー46を備えている。
なお、中間ユニット25は、顕微鏡11に一体的に設けられたものとされてもよいし、顕微鏡11とは異なる装置とされ、顕微鏡11に対して着脱自在とされるようにしてもよい。
蛍光励起用光源28は平行光である励起光を射出して、中間ユニット25のレンズ41に入射させる。レンズ41は、蛍光励起用光源28から入射した励起光を集光して絞り42を介してレンズ43に入射させる。ここで、レンズ41は、励起光が絞り42の開口の位置において結像するように、励起光を集光する。
絞り42は、レンズ41から入射した励起光の一部または全部を通過させて、レンズ43に入射させる。つまり、絞り42は、絞り42に設けられた開口の大きさを、適宜変化させることにより、開口を通過する励起光の光束の太さ(光量)を調整する。この絞り42は、観察カメラ29と共役となる位置に配置され、絞り42の開口の大きさは、観察カメラ29の受光面の大きさと同じ大きさ(より詳細にはほぼ同じ大きさ)とされる。
レンズ43は、レンズ41から入射した励起光を平行光とし、平行光とされた励起光をダイクロイックミラー44に入射させる。ダイクロイックミラー44は、レンズ43から入射した励起光を透過させて、変倍光学系45および回動ミラー46を介して対物レンズ24に入射させる。対物レンズ24は、回動ミラー46から入射した励起光を集光して、励起光を標本22に照射する。なお。励起光の光束の太さは、変倍光学系45において変化し、標本22に照射される励起光の像の大きさが拡大または縮小される。
標本22に励起光が照射されると、標本22は、照射された励起光により蛍光を発現する。標本22から発現した蛍光は、標本22を観察するための観察光となり、対物レンズ24を介して回動ミラー46に入射する。回動ミラー46は、対物レンズ24から入射した観察光(蛍光)の一部を透過させるとともに、入射した観察光の一部を反射して変倍光学系45に入射させる。
回動ミラー46を透過した観察光は、図示せぬ光学系を介して接眼レンズ26および観察カメラ27に入射する。接眼レンズ26は、回動ミラー46から入射した観察光を集光して結像させる。また、観察カメラ27は、回動ミラー46から入射した観察光の像を撮像し、撮像された画像を図示せぬ装置に供給して表示させる。したがって、観察者であるユーザは、接眼レンズ26から標本22を観察することができ、また、図示せぬ装置に表示される画像を見ることで、観察カメラ27により撮像された標本22を観察することができる。
一方、回動ミラー46において反射された観察光は、変倍光学系45を介してダイクロイックミラー44に入射する。なお、観察光の光束の太さは、変倍光学系45において変化する。これにより、観察カメラ29に入射する観察光(蛍光)の像の大きさが拡大または縮小される。
ダイクロイックミラー44は、変倍光学系45から入射した観察光を反射させて観察カメラ29に入射させ、観察カメラ29は、ダイクロイックミラー44から入射した観察光を撮像し、撮像された画像を図示せぬ装置に供給して表示させる。
また、変倍光学系45は、例えば図2に示すように、観察カメラ29の受光面において結像する観察光の像、つまり標本22の像の大きさを縮小するための低倍光学系71と、拡大するための高倍光学系72とから構成される。なお、図2Aは、図1中、上から下方向に変倍光学系45を見た図を示しており、図2Bは、図1中、手前から奥方向に変倍光学系45を見た図を示している。
低倍光学系71は、変倍レンズ81および変倍レンズ82からなり、例えば観察カメラ29に入射する標本22の像の大きさを0.35倍の大きさに変換する。すなわち、低倍光学系71の倍率は0.35倍とされる。また、高倍光学系72は、例えば観察カメラ29に入射する観察光(標本22)の像の大きさを4倍の大きさに変換する。すなわち、高倍光学系72の倍率は4倍とされる。なお、より詳細には、観察カメラ29における観察光の像の倍率は、低倍光学系71または高倍光学系72の倍率と、対物レンズ24の倍率との積により定まる。
また、変倍光学系45は、矢印A11により示される方向、すなわち観察光の光路および対物レンズ24の光軸と垂直な方向に移動される。図2においては、変倍光学系45は、低倍光学系71が回動ミラー46とダイクロイックミラー44との間に配置されるように位置している。また、変倍レンズ81および変倍レンズ82の光軸が、回動ミラー46の反射面の中心と、ダイクロイックミラー44の反射面の中心とを結ぶ直線上に位置するようになされている。
この状態において、回動ミラー46において反射された観察光は、変倍レンズ81により集光されて、変倍レンズ81と変倍レンズ82との間の位置である結像面Sに中間像を形成し、変倍レンズ82に入射する。また、変倍レンズ82に入射した観察光は、変倍レンズ82において視準されて平行光となり、ダイクロイックミラー44に入射する。これにより、ユーザは、観察カメラ29により撮像された画像を見ることで、標本22を低倍率で観察することができる。
また、ユーザにより、顕微鏡11が操作されて倍率の変更が指示されると、変倍光学系45は、高倍光学系72が回動ミラー46とダイクロイックミラー44との間に配置されるように図中、上方向、つまり矢印A11の方向に移動する。このとき、変倍レンズ83および変倍レンズ84の光軸が、回動ミラー46の反射面の中心と、ダイクロイックミラー44の反射面の中心とを結ぶ直線上に位置するようになされる。
この状態において、回動ミラー46において反射された観察光は、変倍レンズ83により集光されて結像面Sに中間像を形成し、変倍レンズ84に入射する。また、変倍レンズ84に入射した観察光は、変倍レンズ84において視準されて平行光となり、ダイクロイックミラー44に入射する。これにより、ユーザは、観察カメラ29により撮像された画像を見ることで、標本22を高倍率で観察することができる。
ところで、回動ミラー46には、図3に示すように、回動制御部101が設けられており、回動ミラー46の反射面は、回動制御部101により回動されるようになされている。回動ミラー46の反射面が回動されていない状態においては、回動ミラー46の反射面の中心が、対物レンズ24の光軸と変倍光学系45の光軸との交点に位置し、反射面とそれらの光軸とが45度の角度をなすように回動ミラー46が配置されている。
また、ダイクロイックミラー44は、その反射面が変倍光学系45および観察カメラ29の光軸に対して45度の角度をなすように配置されており、反射面の中心は、それらの光軸の交点に位置するようになされている。
回動制御部101は、回動ミラー46の反射面の中心を通る直線を軸として、回動ミラー46を回動させる。例えば、反射面の中心を通り、対物レンズ24の光軸および変倍光学系45の光軸に垂直な直線をx軸とする。また、反射面の中心を通り、その反射面に平行でx軸に垂直な直線をy軸とすると、回動制御部101は、x軸またはy軸を軸として回動ミラー46の反射面を回動させる。
回動制御部101により、回動ミラー46の反射面が回動されると、回動ミラー46において反射され、変倍レンズ81により形成される観察光の中間像の位置は、結像面S上において移動する。したがって、変倍レンズ82上における観察光の入射する位置も移動
し、これにより観察カメラ29の受光面上に結像する観察光の像の位置も移動する。ここで、変倍レンズ82に入射した観察光は、ダイクロイックミラー44において反射され、観察カメラ29内に設けられた結像レンズ102に入射する。そして、結像レンズ102に入射した観察光は、結像レンズ102により集光されて、観察カメラ29の受光面上に観察光の像が結像される。
このように、回動ミラー46の反射面を回動させて観察光の光路を変更し、変倍レンズ81により形成される中間像を結像面S上において移動させることは、標本22が配置されたステージ21を、対物レンズ24の光軸と垂直な方向に移動させることと等価である。
したがって、図4に示すように、x軸を軸として回動ミラー46を回動させ、中間像を図中、上下方向に移動させると、観察カメラ29により撮像される画像の視野は、標本22上の図中、左右方向に移動する。また、y軸を軸として回動ミラー46を回動させ、中間像を図中、x軸方向に移動させると、観察カメラ29により撮像される画像の視野は、標本22上の図中、x軸方向に移動する。
例えば、図5に示すように低倍率時の顕微鏡11の視野内において、標本22としての複数の培養細胞が観察される場合、ユーザは、変倍光学系45を移動させ、また適宜、回動ミラー46を回動させて、視野内の任意の培養細胞を高倍率で観察することができる。
なお、図5において、矩形の領域131は、低倍光学系71が観察光の光路上に位置する場合における顕微鏡11の視野、つまり観察カメラ29の視野を示している。また、矩形の領域132−1乃至領域132−5のそれぞれは、高倍光学系72が観察光の光路上に位置する場合における顕微鏡11(観察カメラ29)の視野を示している。すなわち、領域131は、低倍率時の顕微鏡11の視野を示しており、領域132−1乃至領域132−5は、高倍率時の顕微鏡11の視野を示している。
ユーザは、低倍率で標本22としての培養細胞を観察し、視野内に観察の目的に合った培養細胞133を見つけると、変倍光学系45を移動させて倍率を高倍率に切り替え、適宜、回動ミラー46を回動させる。すると、例えば、標本22上の領域132−1が顕微鏡11の視野において観察されるようになる。ユーザは、さらに回動ミラー46を回動させて、標本22上における視野の位置を領域132−2乃至領域132−5等に移動させ、最終的に、注目していた培養細胞133が視野内において観察される領域132−3に視野を移動させる。これにより、図中、右側に示すように、顕微鏡11の視野内において、培養細胞133を観察することができるようになる。
このように、顕微鏡11においては、ステージ21や対物レンズ24を移動させることなく、回動ミラー46を回動させるだけで顕微鏡11の視野を移動させることができる。
また、顕微鏡11において、絞り42は、観察カメラ29の受光面と共役となる位置に配置され、蛍光励起用光源28から射出される励起光の像(中間像)は、絞り42の開口の位置に形成される。したがって、回動ミラー46が回動されると、観察カメラ29(顕微鏡11)の視野が移動するだけでなく、励起光が標本22に照射される領域も移動する。すなわち、例えば、図6に示すように標本22上の励起光が照射される領域は、その中心の位置が、標本22上における観察カメラ29の視野となる領域の中心の位置と同じであり、観察カメラ29の視野となる領域とほぼ同じ大きさの領域とされる。
なお、図6において、円形の領域161は、標本22上の励起光が照射される領域を示しており、矩形の領域162は、低倍率での観察カメラ29の視野とされる領域を示している。また、矩形の領域163は、高倍率での観察カメラ29の視野とされる領域を示している。
ユーザが低倍率で標本22を観察している場合、すなわち観察光の光路上に低倍光学系71が配置されている場合、観察カメラ29の視野内では、領域162が観察される。また、ユーザが低倍率で標本22を観察している場合、蛍光励起用光源28からの励起光は、領域161全体に照射される。このように、顕微鏡11においては、観察カメラ29の視野の領域162と、励起光が照射される領域161とはほぼ同じ領域とされる。
さらに、ユーザが顕微鏡11の倍率を低倍率から高倍率に切り替え、適宜回動ミラー46を回動させると、観察カメラ29の視野は、領域162から領域163に移動する。つまり、観察光の光路上に高倍光学系72が配置されるように顕微鏡11が操作されると、観察カメラ29の視野内では、領域163が観察される。
ここで、従来の顕微鏡においては、蛍光励起用光源からの励起光は、対物レンズ直後の平行光学系、例えば対物レンズと回動ミラーとの間に配置されていたので、観察時の倍率や視野の位置に関わらず、標本上の励起光が照射される範囲は、常に対物レンズの光軸を中心とする範囲であった。したがって、観察カメラ29の視野の中心が標本上の対物レンズの光軸との交点とは異なる位置である場合、励起光の照射される領域と、観察カメラの視野とされる領域とではずれが生じるため、標本に無駄に励起光が照射されてしまっていた。
これに対して、顕微鏡11においては、観察時の倍率や、観察カメラ29の視野の移動によらず、標本22上における励起光の照射される領域の中心と、観察カメラ29の視野とされる領域の中心とは常に同じ位置となるので、標本22に無駄に励起光が照射されてしまうことはない。
例えば、倍率が高倍率に切り替えられて、観察カメラ29の視野が領域163に移動されると、励起光が照射される領域は、図7に示すように、観察カメラ29の視野の領域163とほぼ同じ領域となる。なお、図7において、図6における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
図7では、領域191は、励起光が照射される標本22上の領域を示している。領域191は、視野の領域163を含み、その中心が領域163の中心と同じ位置の円形状の領域とされている。
変倍光学系45の倍率が高倍率に切り替えられると、蛍光励起用光源28から射出した励起光は、レンズ41乃至ダイクロイックミラー44を介して変倍光学系45に入射する。そして、標本22における励起光の照射される領域が、観察カメラ29の視野の領域とほぼ同じ大きさとなるように、変倍光学系45において励起光の光束の太さが変更され、その後、励起光は、観察光の光路を観察光とは逆向きに通って標本22に照射される。すなわち、変倍光学系45から出射した励起光は、回動ミラー46において反射され、対物レンズ24に入射する。そして、励起光は、対物レンズ24により集光されて標本22に照射される。ここで、回動ミラー46が回動されると、観察光の光路とともに励起光の光路が変更される。
顕微鏡11においては、絞り42と観察カメラ29とは共役の関係にあり、絞り42の開口は、観察カメラ29の受光面と同じ大きさとされている。したがって、励起光がダイクロイックミラー44から観察光の光路を逆向きに通って標本22に照射されると、標本22上の励起光が照射される領域は、常に観察カメラ29の視野とほぼ同じ領域となる。なお、ユーザが顕微鏡11を操作して、絞り42の開口の大きさを変更することで、励起光が標本22に照射される領域の大きさを変更することも勿論可能である。
また、レーザ光源を使用する場合は、レーザ光自身が既に絞られた光なので、必ずしも絞り42は必要ではない。
このように、励起光は、常に標本22上における観察カメラ29の視野の領域とほぼ同じ領域に照射される。ここで、ユーザが蛍光観察をする場合、観察カメラ29の視野の領域は、ユーザが注目し、観察しようとしている領域であるので、その領域はユーザが蛍光観察をするために励起光を照射させたい領域、つまりユーザが所望する領域となる。したがって、回動ミラー46と観察カメラ29との間にダイクロイックミラー44を設け、絞り42を観察カメラ29と共役な位置に設けることで、励起光を標本22上におけるユーザの所望する領域だけに照射させることができる。これにより、標本22を長時間、安定して観察することができる。
また、顕微鏡11に反射面が回動する回動ミラー46を設けるようにしたので、対物レンズ24やステージ21を移動させることなく、観察カメラ29の視野を移動させることができる。
さらに、以上において説明した顕微鏡11は、例えば図8に示すように、標本22を蛍光観察するための観察システムに適用することができる。図8に示す観察システムは、顕微鏡11、コンピュータ221、ミラーコントローラ222、および観察モニタ223から構成される。
例えば、ユーザは、コンピュータ221や顕微鏡11、蛍光励起用光源28を必要に応じて操作し、標本22を蛍光観察する。ユーザが蛍光用励起光源28を操作して励起光を射出させると、コンピュータ221は、観察カメラ29を制御して標本22の画像を撮像させるとともに、観察カメラ29により撮像された画像を取得する。そして、コンピュータ221は、取得した画像を観察モニタ223に供給して表示させる。
このようにして、観察モニタ223に、標本22の画像が表示されると、ユーザは、表示された画像を見ながら、観察モニタ223に標本22の所望する位置が表示されるようにコンピュータ221を操作する。コンピュータ221は、ユーザの操作に応じて、ミラーコントローラ222に回動ミラー46の回動を指示し、ミラーコントローラ222は、コンピュータ221の指示に応じて回動制御部101を制御し、回動ミラー46の反射面を回動させる。
これにより、標本22上における観察カメラ29の視野の位置が移動するとともに、その視野の領域とほぼ同じ領域に励起光が照射され、ユーザは、観察モニタ223において、標本22の所望する部分を観察することができる。なお、コンピュータ221がユーザの操作に応じて、顕微鏡11を制御し、変倍光学系45を移動させて倍率を変更させるようにしてもよい。
また、例えば、図9に示すように、観察システムに標本22に対して電気的な刺激を与えるなどの所定の操作を行うマニピュレータ251と、マニピュレータコントローラ252とがさらに設けられるようにしてもよい。なお、図9において、図8における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
図9の観察システムにおいては、ユーザは、観察モニタ223に表示される標本22の画像を見ながらコンピュータ221を操作し、観察カメラ29の視野の位置を移動させる。すると、コンピュータ221は、ミラーコントローラ222に回動ミラー46の回動を指示するとともに、回動ミラー46の回動角度に基づいて、マニピュレータコントローラ252に、マニピュレータ251の動作を指示する。
マニピュレータコントローラ252は、コンピュータ221からの指示に応じてマニピュレータ251の動作を制御する。すなわち、マニピュレータコントローラ252は、マニピュレータ251に設けられた電極針の先端を、標本22上における観察カメラ29の視野の移動先の領域に移動させるとともに、マニピュレータ251に、標本22に対する所定の操作を行わせる。このように、コンピュータ221が観察カメラ29の視野の移動に合わせて、マニピュレータコントローラ252に、マニピュレータ251の動作を指示することで、ユーザは、簡単な操作で標本22を観察することができる。
また、図9に示す観察システムにおいても、標本22上における観察カメラ29の視野の位置が移動すると、励起光も、その視野の領域とほぼ同じ領域に照射されるので、ユーザは、観察モニタ223において標本22の所望する部分を観察することができる。さらに、観察カメラ29の視野の移動に合わせてマニピュレータ251が移動されるので、ユーザが直接マニピュレータ251を移動させる必要もない。
さらに、以上においては、回動ミラー46を回動させて観察カメラ29の視野を移動させると説明したが、中間ユニット25に設けられた他の光学素子を移動させることで、観察カメラ29の視野を移動させるようにしてもよい。
そのような場合、中間ユニット25は、例えば図10に示すように筐体281および筐体282から構成される。なお、図10Aは、図2Aに対応しており、図1中、上から下方向に変倍光学系45を見た図を示している。また、図10Bは、図2Bに対応しており、図1中、手前から奥方向に変倍光学系45を見た図を示している。さらに、図10において、図2における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
図10では、筐体281の内部には、レンズ41、絞り42、レンズ43、ダイクロイックミラー44、変倍レンズ82、および変倍レンズ84が設けられている。また、筐体281の外側には、図示せぬ観察カメラ29および蛍光励起用光源28が装着されているとともに、筐体281を筐体282に対して移動させる移動部283が設けられている。
例えば、対物レンズ24の光軸、および変倍光学系45の光軸に垂直な方向をx方向とし、対物レンズ24の光軸と平行な方向をy方向とすると、移動部283は、筐体281をx方向およびy方向に移動させる。したがって、筐体281が移動すると、筐体281内のレンズ41、絞り42、レンズ43、ダイクロイックミラー44、変倍レンズ82、および変倍レンズ84もx方向およびy方向に移動する。また、筐体281に装着された観察カメラ29および蛍光励起用光源28もx方向およびy方向に移動する。
これに対して、筐体282は移動されず、筐体282には、変倍レンズ81、変倍レンズ83、および固定ミラー284が設けられている。固定ミラー284は、その反射面の中心が、対物レンズ24の光軸と変倍光学系45の光軸との交点に位置し、反射面とそれらの光軸とが45度の角度をなすように配置されている。また、固定ミラー284の反射面は回動しないように固定されている。
また、図10の中間ユニット25においては、移動部283による筐体281の移動とは独立して変倍光学系45がx方向に移動されるようになされている。すなわち、変倍光学系45は、観察光の光路上に低倍光学系71または高倍光学系72が位置するように、筐体281とは別に移動する。
さらに、例えば、図11に示すように、図中、下から上方向に、標本22から発現した蛍光である観察光が対物レンズ24から固定ミラー284に入射すると、固定ミラー284は、観察光を反射して変倍レンズ81に入射させる。固定ミラー284から変倍レンズ81に入射した観察光は、変倍レンズ81において集光されて結像面Sに中間像を形成する。その後、観察光は変倍レンズ82ダイクロイックミラー44、結像レンズ102を介して観察カメラ29の受光面に入射して、観察光の像が結像される。
ここで、例えば観察光の光束のうち、観察光の中間像の中心部分を形成する光束が変倍レンズ82に入射する状態において、移動部283が筐体281をx方向およびy方向に移動させたとする。この場合、筐体281の移動後において、変倍レンズ81から変倍レンズ82には、観察光の光束のうち、結像面S上の観察光の中間像の中心からx方向およびy方向にずれた部分を形成する光束が入射する。
換言すれば、筐体281の移動により、変倍レンズ82およびダイクロイックミラー44が移動するので、観察光の光路が変更され、観察カメラ29の受光面上の観察光の像の位置も移動する。このことは、標本22が配置されたステージ21を、対物レンズ24の光軸と垂直な方向に移動させることと等価である。
したがって、筐体281がx方向に移動されると、観察カメラ29により撮像される画像の視野は、ステージを動かすことなく標本22上のx方向に移動する。また、筐体281がy方向に移動されると、観察カメラ29により撮像される画像の視野は、やはり、ステージを動かすことなく標本22上の左右方向に移動する。
また、蛍光励起用光源28も筐体281とともに移動されるので、蛍光励起用光源28から射出された励起光は、観察カメラ29の視野の移動に合わせて、標本22上における観察カメラ29の視野とほぼ同じ領域に照射される。すなわち、蛍光励起用光源28から射出された励起光は、レンズ41乃至レンズ43を介してダイクロイックミラー44に入射し、ダイクロイックミラー44を透過する。そして、ダイクロイックミラー44を透過した励起光は、その後観察光の光路を観察光とは逆向きに通って標本22に照射される。したがって、筐体281が移動されると励起光の光路が変更され、視野が移動するとともに標本22上における励起光が照射される位置も移動する。
このように、筐体281を移動させて観察カメラ29の視野を移動させる場合においても、励起光を標本22上におけるユーザの所望する視野とほぼ同じ領域だけに照射させることができる。なお、変倍光学系45が移動されて、高倍光学系72が観察光の光路上に配置された場合においても、低倍光学系71における場合と同様に、励起光は標本22上の観察カメラ29の視野とほぼ同じ領域に照射される。
また、観察カメラ29の視野を移動させるために、変倍光学系45を構成する変倍レンズ81または変倍レンズ83を移動させるようにしてもよい。そのような場合、低倍光学系71が観察光の光路上に配置されるときには、変倍レンズ81が移動され、高倍光学系72が観察光の光路上に配置されるときには、変倍レンズ83が移動される。このように、変倍レンズ81または変倍レンズ83を移動させることでも、図11における場合と同様に、観察光および励起光の光路が変更される。
例えば、変倍レンズ81が移動される場合、図12に示すように変倍レンズ81は、変倍光学系45の光軸、および対物レンズ24の光軸に垂直な方向に移動される。なお、図12は、図1の顕微鏡11を上から下方向に見た図である。
図12では、変倍レンズ81が、変倍光学系45の光軸、および対物レンズ24の光軸に垂直な方向、つまり図中、上下方向に移動されると、変倍レンズ81により形成される観察光の中間像は上下方向に移動される。したがって、変倍レンズ81を上下方向に移動させる場合においても、図11における場合と同様に、観察光の光路が変更され、観察カメラ29の視野は標本22上の図中、上下方向に移動する。また、変倍レンズ81が上下方向に移動されると、励起光の光路も変更され、標本22上における励起光が照射される位置も上下方向に移動する。
さらに、変倍レンズ81が上下方向に移動される場合、回動ミラー46は、その反射面の中心を通り、変倍光学系45の光軸、および対物レンズ24の光軸に垂直な直線を軸として回動する。回動ミラー46が回動すると、結像面S上に形成される観察光の中間像は、対物レンズ24の光軸と平行な方向に移動するので、観察カメラ29の視野は、標本22上の図中、左右方向に移動する。また、回動ミラー46の回動により励起光の光路が変更されて、標本22上における励起光が照射される位置も左右方向に移動する。
なお、変倍レンズ81が、上下方向および対物レンズ24の光軸と平行な方向に移動されて、観察カメラ29の視野が標本22上の図中、上下方向および左右方向に移動されるようにしてもよい。
また、変倍レンズ81が、対物レンズ24の光軸と平行な方向に移動されて、観察カメラ29の視野が標本22上の図中、左右方向に移動され、回動ミラー46が回動されて、観察カメラ29の視野が標本22上の上下方向に移動されるようにしてもよい。そのような場合、変倍光学系45の光軸および対物レンズ24の光軸の両方の光軸に垂直な直線と垂直であり、かつ回動ミラー46の反射面の中心を通る直線を軸として回動ミラー46が回動される。
さらに、変倍レンズ81が上下方向に移動される場合、例えば、図13に示すように、変倍レンズ81は、ステッピングモータ314により移動される。
図13では、変倍レンズ81は、レンズホルダ311により固定され、レンズホルダ311は、ガイドレール312上に配置されている。また、ガイドレール312とレンズホルダ311とは図中、下側の端が、ばね313−1およびばね313−2により接続されている。さらに、ばね313−1およびばね313−2の間のレンズホルダ311に隣接する位置には、ステッピングモータ314が配置されている。
例えば、変倍レンズ81が移動されるようにユーザが顕微鏡11を操作すると、ステッピングモータ314は、その中央に設けられた軸315を上下方向に移動させる。例えば、ステッピングモータ314が軸315を図中、上側に移動させると、レンズホルダ311は軸315により上側に押され、ガイドレール312上を上側に移動する。また、例えば、ステッピングモータ314が軸315を下側に移動させると、ばね313−1およびばね313−2が縮むので、レンズホルダ311はばね313−1およびばね313−2により下側に引かれ、ガイドレール312上を下側に移動する。
このようにして、ステッピングモータ314が駆動してレンズホルダ311がガイドレール312上を上下方向に移動すると、レンズホルダ311に固定されている変倍レンズ81も移動することになる。つまり、変倍レンズ81は、ステッピングモータ314により、変倍レンズ81の光軸と垂直な方向に移動される。また、変倍レンズ81が上下方向に移動すると、変倍レンズ81により形成される観察光の中間像は、結像面S上を上下方向に移動する。
さらに、ガイドレール312には、レンズホルダ311の位置を検出するLED(Light Emitting Diode)型位置センサ316が設けられている。LED型位置センサ316には、図示せぬ溝が設けられており、レンズホルダ311の位置が、図中、上側の所定の位置まで移動されると、LED型位置センサ316の溝内に、レンズホルダ311の一部が到達するようになされている。ここで、レンズホルダ311の一部が溝内に到達したときのレンズホルダ311の位置は、例えばこれ以上変倍レンズ81が上側に移動すると、変倍レンズ81が観察光の中間像を結像できなくなってしまうような位置とされる。
LED型位置センサ316により、レンズホルダ311の溝内への到達が検出されると、ステッピングモータ314は、軸315を予め定められたステップ数だけ図中、下側に移動させ、これにより変倍レンズ81も下側に移動される。
なお、以上においては、中間ユニット25に変倍光学系45が設けられると説明したが、変倍光学系45が設けられないようにしてもよい。そのような場合においても、回動ミラー46の回動等により、観察カメラ29の視野は移動され、また蛍光励起用光源28からの励起光も、標本22上における観察カメラ29の視野とほぼ同じ領域に照射される。
また、標本22に照射される光は励起光としてのレーザ光源や水銀ランプ、キセノンランプ等の光に限らず、例えば、光刺激用のレーザや、標本22としての細胞を活性化させる紫外光などとすることができる。そのような場合、蛍光励起用光源28に替えて、標本22に照射されるレーザや紫外光などの光の光源が、中間ユニット25に装着され、その光源から射出された光がレンズ41乃至対物レンズ24を介して標本22に照射される。また、可視光を照射する光源でもよい。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
11 顕微鏡, 22 標本, 24 対物レンズ, 25 中間ユニット, 28 蛍光励起用光源, 29 観察カメラ, 42 絞り, 44 ダイクロイックミラー, 45 変倍光学系, 46 回動ミラー, 71 低倍光学系, 72 高倍光学系, 81 変倍レンズ, 82 変倍レンズ, 83 変倍レンズ, 84 変倍レンズ, 101 回動制御部, 221 コンピュータ, 222 ミラーコントローラ, 281 筐体, 283 移動部, 284 固定ミラー, 315 ステッピングモータ