JP2008094298A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】振動減衰制御において発生させるアクチュエータ力である振動減衰成分と、車体姿勢制御において発生させるアクチュエータ力である姿勢制御成分との和である両成分和に基づいて、アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御するものとされたシステムを、姿勢制御成分を制限値以下に制限する制御を実行可能に構成する。本システムによれば、発生可能なアクチュエータ力に限界がある中で、姿勢制御成分を制限することによって、振動減衰制御において発生させるべきアクチュエータ力を確保することが可能であり、そのことにより、充分な減衰力を発生させて、車両の乗り心地等の悪化を抑えることが可能である。
【選択図】図5
Description
そのサスペンションスプリングと並列的に配設されるとともに、電動モータを有し、その電動モータが発生させる力に依拠して、ばね上部とばね下部とに対してそれらを接近・離間させる方向の力であるアクチュエータ力を作用させる電磁式のアクチュエータと、
そのアクチュエータを制御する制御装置であって、(a)アクチュエータ力を少なくともばね上振動を減衰させるための振動減衰力として発生させる振動減衰制御と、(b)アクチュエータ力を、車体のロールとピッチとの少なくとも一方を抑制するための車体姿勢制御力として作用させる車体姿勢制御とを同時に実行可能とされた制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
その制御装置が、(A)前記振動減衰制御において発生させるアクチュエータ力である振動減衰成分と、(B)前記車体姿勢制御において発生させるアクチュエータ力である姿勢制御成分との和である両成分和に基づいて、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御するものとされ、かつ、前記姿勢制御成分をそれの制限値である姿勢制御成分制限値以下に制限する姿勢制御成分制限部を有する車両用サスペンションシステム。
当該車両用サスペンションシステムが、前記電動モータの動作位置を検出するための
動作位置センサと、実際に前記電動モータを流れる電流量である実通電電流量を測定する通電電流センサとを備え、
前記姿勢制御成分制限部が、実供給電流量を、前記動作位置センサの検出結果に基づいて推定された前記電動モータの発電電流量と、前記通電電流センサによって測定された実通電電流量とに基づいて推定するように構成された(9)項または(10)項に記載の車両用サスペンションシステム。
当該車両用サスペンションシステムが、ばね上ばね下間距離を測定するばね上ばね下間距離センサを備え、
前記姿勢制御成分制限部が、実際に前記電動モータを流れる電流量である実通電電流量を前記両成分和に基づいて推定するとともに、実供給電流量を、推定された実通電電流量と、前記ばね上ばね下間距離センサの検出結果に基づいて推定された前記電動モータの発電電流量とに基づいて推定するように構成された(9)項または(10)項に記載の車両用サスペンションシステム。
前記電動モータと電源との間に配設され、前記両成分和に基づく前記制御装置からの指令に従って前記電動モータを流れる電流量である通電電流量を制御しつつ、その電動モータを駆動する駆動回路を備えた(1)項ないし(19)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
ばね上部とばね下部との一方に設けられた雄ねじ部と、その雄ねじ部と螺合するとともにばね上部とばね下部との他方に設けられた雌ねじ部とを有し、それら雄ねじ部と雌ねじ部とが、ばね上部とばね下部との接近・離間に伴って相対回転する構造とされ、かつ、前記電動モータが発生させる力が、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とを相対回転させる力となる構造とされた(1)項ないし(21)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
それぞれが前記サスペンションスプリングである複数のサスペンションスプリングと、それぞれが前記アクチユエータである複数の電磁式のアクチュエータとを備え、
前記制御装置が、前記複数のアクチュエータを制御するものとされるとともに、前記姿勢制御成分制限部が、前記複数のアクチュエータのうちの1つのものに対して、それの前記姿勢制御成分を制限する場合に、前記複数のアクチュエータの他の1以上のものに対して、その1以上のものの前記姿勢制御成分を制限するように構成された(1)項ないし(23)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
i)サスペンションシステムの構成
図1に、第1実施例の車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪12の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置を備えており、それらサスペンション装置の各々は、サスペンションスプリングとショックアブソーバとが一体化されたスプリング・アブソーバAssy20を有している。車輪12,スプリング・アブソーバAssy20は総称であり、4つの車輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
図3に示すように、各アクチュエータ26のモータ54は、コイルがスター結線(Y結線)された3相ブラシレスDCモータであり、上述したようにドライバECU144によって制御駆動される。そのドライバECU144のインバータ146は、図3に示すような一般的なものであり、high側(高電位側),low側(低電位側)のそれぞれに対応し、かつ、モータ54の3つの相であるU相,V相,W相のそれぞれに対応する6つのスイッチング素子HUS,HVS,HWS,LUS,LVS,LWSを備えている。また、ドライバECU144には、モータ54に設けられた、モータ54の回転角を検出する動作位置センサとしてのレゾルバ[θ]184と,実際にモータ54を流れる電流量である実通電電流量を測定する通電電流センサ[I]186とが接続されている。ドライバECU144は、そのレゾルバ184によりモータ回転角(電気角)を判断し、そのモータ回転角に基づいてスイッチング素子を開閉作動させる。ドライバECU144は、いわゆる正弦波駆動によってモータ54を駆動するのであり、モータ54の3つの相の各々に流れる電流量が、それぞれが正弦波状に変化し、その位相差が電気角で120°ずつ異なるように、インバータ146が制御される。そして、ドライバECU144は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によってモータ54に通電するようにされており、パルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することで、モータ54の通電電流量を変更して、モータ54が発生させる回転トルクの大きさを変更する。詳しくは、デューティ比が大きくされることで、通電電流量が大きくされて、モータ54の発生する回転トルクは大きくなり、逆に、デューティ比が小さくされることで、通電電流量が小さくされて、モータ54の発生する回転トルクは小さくなる。
本サスペンションシステム10では、4つのスプリング・アブソーバAssy20の各々を独立して制御することが可能となっている。それらスプリング・アブソーバAssy20の各々において、アクチュエータ26のアクチュエータ力が独立して制御されて、車体および車輪12の振動、つまり、ばね上振動およびばね下振動を減衰するための制御(以下、「振動減衰制御」という場合がある)が実行される。また、車体のロールを抑制するための制御(以下、「ロール抑制制御」という場合がある),車体のピッチを抑制するための制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)、つまり、それらを併せた制御として、車体の姿勢制御が実行される。上記振動減衰制御,車体姿勢制御は、各制御ごとのアクチュエータ力の成分である振動減衰成分,姿勢制御成分を合計して目標アクチュエータ力が決定され、アクチュエータ26がその目標アクチュエータ力を発生させるように制御されることで、同時に実行される。なお、以下の説明において、アクチュエータ力およびそれの成分は、ばね上部とばね下部とを離間させる方向(リバウンド方向)の力に対応するものが正の値,ばね上部とばね下部とを接近させる方向(バウンド方向)の力に対応するものが負の値となるものとして扱うこととする。
振動減衰制御では、車体および車輪12の振動を減衰するためにその振動の速度に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させるべく、アクチュエータ力の振動減衰成分FVが決定される。具体的には、車体のマウント部24に設けられた縦加速度センサ176によって検出される縦加速度から計算される車体のマウント部24の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね上速度VUと、ロアアーム22に設けられた縦加速度センサ178によって検出される縦加速度から計算される車輪12の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね下速度VLとに基づいて、次式に従って、振動減衰成分FVが演算される。
FV=CU・VU−CL・VL
ここで、CUは、車体のマウント部24の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインであり、CLは、車輪12の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインである。つまり、CU,CLは、いわゆるばね上,ばね下絶対振動に対する減衰係数と考えることができる。なお、振動減衰成分FVは、他の手法で決定することも可能である。例えば、ばね上ばね下相対速度に基づく減衰力を発生させる制御を実行すべく、ばね上部とばね下部との相対速度の指標値として、モータ54に設けられている回転角センサ184の検出値から得られたモータ54の回転速度ωに基づき、次式に従って決定することも可能である。
FV=C・ω(C:減衰係数)
車体姿勢制御は、車両の旋回に起因する車体のロールと、車両の加減速に起因する車体のピッチとを抑制する制御である。より詳しく言えば、車両の旋回に起因して車体に作用するロールモーメントに応じたアクチュエータ力を発生させるためのロール抑制制御と、車両の加減速に起因して車体に作用するピッチモーメントに応じたアクチュエータ力を発生させるためのピッチ抑制制御とを併せた制御である。つまり、アクチュエータ力の姿勢制御成分FSは、ロール抑制成分FRとピッチ抑制成分FPとの和である。
FS=FR+FP
以下に、ロール抑制制御,ピッチ抑制制御の各々を、ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPの決定方法を中心に説明する。
車両の旋回時においては、その旋回に起因するロールモーメントによって、旋回内輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、旋回外輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ロール抑制制御では、その旋回内輪側の離間および旋回外輪側の接近を抑制すべく、旋回内輪側のアクチュエータ26にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ26にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操舵角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ174によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制成分FRが、次式に従って決定される。
FR=K3・Gy* (K3:ゲイン)
車体の制動時等に発生する車体のノーズダイブに対しては、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが接近させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが離間させられる。また、車体の加速時等に発生する車体のスクワットに対しては、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ピッチ抑制制御では、それらの場合の接近・離間距離を抑制すべく、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標する前後加速度として、前後加速度センサ172によって実測された実前後加速度Gxが採用され、その実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制成分FPが、次式に従って決定される。
FP=K4・Gx (K4:ゲイン)
なお、ピッチ抑制制御は、スロットルセンサ180によって検出されるスロットルの開度、あるいは、ブレーキ圧センサ182によって検出されるマスタシリンダ圧が、設定された閾値を超えることをトリガとして実行される。
アクチュエータ26の制御は、それが発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力に基づいて行われる。詳しく言えば、上述のようにして、アクチュエータ力の振動減衰成分FV,姿勢制御成分FSが決定されると、それらに基づき、次式に従って目標となるアクチュエータ力F*が決定される。
F*=FV+FS
その決定された目標アクチュエータ力F*に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がドライバECU144に送信される。ドライバECU144は、その適切なデューティ比の下、インバータ146を制御して、目標アクチュエータ力を発生させるようにモータ54を駆動する。ちなみに、詳しい説明は省略するが、ドライバECU144においては、サスペンションECU140からの指令値に応じた目標となる通電電流量と、モータ54に設けられた通電電流センサ186によって検出された実通電電流量との差が0となるように、モータ54を流れる通電電流量のフィードバック制御が行われるようになっている。
上記のような制御が実行されている場合において、例えば、起伏のある左カーブの道路を走行する際には、各車輪12に対応するアクチュエータ26は、車両の振動を減衰させるとともに車体のロールを抑制するために、アクチュエータ力を発生させる。そのような場合には、振動減衰成分FVおよび姿勢制御成分FSの両成分が大きくなり、発生させるべきアクチュエータ力F*が、アクチュエータ26が発生可能な限界値を超えてしまう虞がある。図5は、上記のような場合において、右前輪12FRに対応するアクチュエータ26FRにおける振動減衰成分FV,姿勢制御成分FS,両成分和である目標アクチュエータ力F*の発生の様子を示した図である。図5(c)に実線で示すように、発生させるべきアクチュエータ力が不足することになる。そこで、本サスペンションシステム10では、車体姿勢制御に比較して振動減衰制御を優先させるように、換言すれば、振動減衰制御にアクチュエータ力不足による影響を与えないように、姿勢制御成分FSを制限値以下に制限する制御である姿勢制御成分制限制御を実行することが可能とされている。
FSlimit=Flimit−FVmax
次いで、先に決定された姿勢制御成分FSが、その姿勢制御成分制限値FSlimitを超えている場合には、姿勢制御成分FSは、姿勢制御成分制限値FSlimitとされるのである。また、その姿勢制御成分FSと振動減衰成分FVとを足し合わせて、目標アクチュエータ力F*とするのであるが、その目標アクチュエータ力F*は、モータ54に過大な負荷が掛かることのないように、目標アクチュエータ力制限値Flimit以下に制限される。
上述のようなアクチュエータ26の制御は、図7にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが、イグニッションスイッチ160がON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec〜数十msec)をおいてサスペンションECU140により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、アクチュエータ制御プログラムは、4つの車輪12にそれぞれ設けられたスプリング・アブソーバAssy20のアクチュエータ26の各々に対して実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのアクチュエータ26に対しての本プログラムによる処理について説明する。
上述したサスペンションECU140の機能を、模式的に示した機能ブロック図が、図8である。上記機能に基づけば、サスペンションECU140は、エアスプリング28によって車高変更を行う車高変更制御部200と、アクチュエータ26に発生させるアクチュエータ力の振動減衰成分FVを決定する振動減衰制御部202と、車体に作用するロールモーメントとピッチモーメントとを抑制するために車体の姿勢制御を行う車体姿勢制御部204と、姿勢制御成分制限制御を実行する姿勢制御成分制限部206と、振動減衰成分と姿勢制御成分との和である両成分和を制限値以下に制限する成分和制限部208とを含んで構成されるものとなっている。車体姿勢制御部204は、ロール抑制成分FRを決定するロール抑制制御部210と、ピッチ抑制成分FPを決定するピッチ抑制制御部212とを備えている。ちなみに、本サスペンションシステム10のサスペンションECU140においては、アクチュエータ制御プログラムのS5〜S7,S9の処理を実行する部分を含んで姿勢制御成分制限部206が構成され、アクチュエータ制御プログラムのS10,S11の処理を実行する部分を含んで成分和制限部208が構成されている。
第2実施例の車両用サスペンションシステムは、そのハード構成が第1実施例のシステムと同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第1実施例のシステムと同じ機能の構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するものとする。本実施例のシステムは、第1実施例のシステムとはサスペンションECUによる制御が異なるものであるため、本実施例のサスペンションECUによる制御ついて、以下に説明する。
第3実施例の車両用サスペンションシステムも、そのハード構成が第1実施例のシステムと同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第1実施例のシステムと同じ機能の構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するものとする。本実施例のシステムは、第1実施例のシステムとはサスペンションECUによる制御が異なるものであるため、本実施例のサスペンションECUによる制御ついて、以下に説明する。
振動減衰制御では、車体および車輪12の振動を減衰するためにその振動の速度に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させるべく、通電電流量の振動減衰成分iVが決定される。具体的には、車体のマウント部24に設けられた縦加速度センサ176によって検出され計算されるばね上速度VUと、ロアアーム22に設けられた縦加速度センサ178によって検出され計算されるばね下速度VLとに基づいて、次式に従って、振動減衰成分iVが演算される。
iV=KV・(CU・VU−CL・VL) (KV:ゲイン)
車体姿勢制御は、第1実施例と同様に決定された、車両の旋回に起因して作用する車体のロールモーメントに応じたアクチュエータ力であるロール抑制成分FRと、車両の加減速に起因して作用する車体のピッチモーメントに応じたアクチュエータ力であるピッチ抑制成分FPとに基づいて、次式に従って通電電流量の姿勢制御成分iSが決定される。
iS=KS・(FR+FP) (KS:ゲイン)
上述のようにして、目標通電電流量の振動減衰成分iV,姿勢制御成分iSが決定されると、それらに基づき、次式に従って目標となる通電電流量i*が決定される。
i*=iS+iV
そして、決定された目標通電電流量i*に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がドライバECU144に送信される。ドライバECU144は、その適切なデューティ比の下、インバータ146を制御して、目標通電電流量i*に応じたモータ力を発生させるようにモータ54を駆動する。そのようなモータ54の駆動により、アクチュエータ26は、目標通電電流量i*に応じたアクチュエータ力を発生させることになる。
車体姿勢制御においては、ばね上部とばね下部との間の距離の変化量は小さく、その変化速度も小さい。つまり、モータ54には起電力はほとんど発生しないと考えることができるため、姿勢制御成分だけの場合における通電電流量は、バッテリ150からのモータ54へ供給される供給電流量に等しいと考えることができる。本実施例のシステムにおいては、姿勢制御成分制限制御が、通電電流量の成分である姿勢制御成分iSを制限値以下に制限するように構成されているため、姿勢制御成分制限値は、供給電流量に基づいて設定されていると考えることができる。
iG=KT・VSt/(R・L)
ここで、KTはトルク定数、Rはモータ54の内部抵抗値、Lはねじロッド50のリードである。したがって、実供給電流量は、次式に従って演算されるのである。
iSU=i*−iG
iSU=ir−KT・ω/R
本実施例におけるアクチュエータ26の制御は、図12にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが実行されることによって行われる。まず、アクチュエータ制御プログラムでは、S41〜S44において、通電電流量の振動減衰成分iVと姿勢制御成分iSが決定される。次いで、S45において、図13に示す姿勢制御成分制限値決定サブルーチンが実行され、姿勢制御成分制限値iSlimitが決定される。
Claims (9)
- ばね上部とばね下部との間に配設されるサスペンションスプリングと、
そのサスペンションスプリングと並列的に配設されるとともに、電動モータを有し、その電動モータが発生させる力に依拠して、ばね上部とばね下部とに対してそれらを接近・離間させる方向の力であるアクチュエータ力を作用させる電磁式のアクチュエータと、
そのアクチュエータを制御する制御装置であって、(a)アクチュエータ力を少なくともばね上振動を減衰させるための振動減衰力として発生させる振動減衰制御と、(b)アクチュエータ力を、車体のロールとピッチとの少なくとも一方を抑制するための車体姿勢制御力として作用させる車体姿勢制御とを同時に実行可能とされた制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
その制御装置が、(A)前記振動減衰制御において発生させるアクチュエータ力である振動減衰成分と、(B)前記車体姿勢制御において発生させるアクチュエータ力である姿勢制御成分との和である両成分和に基づいて、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御するものとされ、かつ、前記姿勢制御成分をそれの制限値である姿勢制御成分制限値以下に制限する姿勢制御成分制限部を有する車両用サスペンションシステム。 - 前記姿勢制御成分制限値が、前記電動モータを流れる電流量である通電電流量に基づいて設定されている請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記姿勢制御成分制限値が、電源から前記電動モータへ供給される電流量である供給電流量に基づいて設定されている請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記姿勢制御成分制限部が、前記姿勢制御成分制限値を変更可能に構成された請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記姿勢制御成分制限部が、前記姿勢制御成分制限値を、発生させるべき振動減衰成分に基づいて変更するように構成された請求項4に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記姿勢制御成分制限部が、前記姿勢制御成分制限値を、ばね上振動の激しさの程度に基づいて変更するように構成された請求項4または請求項5に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記姿勢制御成分制限部が、前記姿勢制御成分制限値を、電源から前記電動モータへ供給される実際の電流量である実供給電流量に基づいて変更するように構成された請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記アクチュエータが、前記電動モータの動作位置がばね上部とばね下部との間の距離であるばね上ばね下間距離に応じた位置となる構造とされ、
当該車両用サスペンションシステムが、ばね上ばね下間距離を測定するばね上ばね下間距離センサを備え、
前記姿勢制御成分制限部が、実際に前記電動モータを流れる電流量である実通電電流量を前記両成分和に基づいて推定するとともに、実供給電流量を、推定された実通電量と、前記ばね上ばね下間距離センサの検出結果に基づいて推定された前記電動モータの発電電流量とに基づいて推定するように構成された請求項7に記載の車両用サスペンションシステム。 - 当該車両用サスペンションシステムが、
それぞれが前記サスペンションスプリングである複数のサスペンションスプリングと、それぞれが前記アクチユエータである複数の電磁式のアクチュエータとを備え、
前記制御装置が、前記複数のアクチュエータを制御するものとされるとともに、前記姿勢制御成分制限部が、前記複数のアクチュエータのうちの1つのものに対して、それの前記姿勢制御成分を制限する場合に、前記複数のアクチュエータの他の1以上のものに対して、その1以上のものの前記姿勢制御成分を制限するように構成された請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
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