JP2008162333A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents

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Kazuo Ogawa
一男 小川
Hirobumi Inoue
博文 井上
Takahiro Kondo
卓宏 近藤
Yoshihiro Suda
義大 須田
Yasuhiro Kawamoto
康裕 川元
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University of Tokyo NUC
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Abstract

【課題】バネ上部とバネ下部との相対移動に対して抵抗力および推進力を発生させる電磁式のショックアブソーバを備えたサスペンションシステムの実用性を向上させる。
【解決手段】アブソーバの力を、バネ上部の振動を減衰するための力とバネ下部の振動を減衰するための力とを含み、それらを別個に制御することを可能とし、それらの各々の力の決定においてそれらの各々に対応して設定される制御ゲインCs,Cgを変更することで、アブソーバの制御状態を、それら制御ゲインCs,Cgが特定の値に設定された複数の特定制御状態S1,S2,S3の間で変更可能に構成する。したがって、車両が現在置かれている状況を種々の観点から判断し、車両が現在置かれている状況に適切に対処可能なアブソーバ力を発生できるような制御状態を、容易に実現させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、バネ上部とバネ下部との相対移動に対して抵抗力および推進力を発生させる電磁式のショックアブソーバを含んで構成されるサスペンションシステムに関する。
近年では、車両用サスペンションシステムとして、電磁モータの力に依拠してバネ上部とバネ下部との相対移動に対する抵抗力および推進力を発生させる電磁式のショックアブソーバ(以下、単に「アブソーバ」という場合がある)を含んで構成されるいわゆる電磁式サスペンションシステムが検討されており、例えば、下記特許文献に記載のサスペンションシステムが存在する。この電磁式サスペンションシステムは、いわゆるスカイフック理論に基づくサスペンション特性を容易に実現できる等の利点から、高性能なサスペンションシステムとして期待されている。
特開2003−104025号公報
上記特許文献に記載の電磁式サスペンションシステムは、消費電力の低減を目的として、車速が設定値以上である場合に、その車速と設定値との差分に応じて減衰力を低下させるようにされている。また、車速が設定値以上であっても車体の姿勢変化が比較的大きくなることが推定される場合には、アブソーバに発生させる減衰力を低下させる量を小さくする、あるいは、低下させないようにされている。ところが、上記特許文献に記載のシステムでは、アブソーバに発生させる減衰力が、バネ上部とバネ下部との相対動作(ストローク動作)の速度,それらの相対変位に基づいて決定され、また、その減衰力の変更が、単に、消費電力の低減を目的として行われ、車両の走行速度,車体の姿勢変化といった限定的な状況にのみ依拠して実行されており、電磁サスペンションシステムの実用性の点においては、決して充分とは言い難い。減衰力の決定の基準、減衰力の変更の目的,依拠状況等のいずれかを、上記特許文献に記載のものとは異ならせる、あるいは、さらに別のものを追加する等によって、電磁式のアブソーバを備えたサスペンションシステムの実用性を向上させ得ると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、電磁式のアブソーバを備えたサスペンションシステムの実用性を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用サスペンションシステムは、電磁式のアブソーバに、バネ上速度依拠成分とバネ下速度依拠成分とを含む力を発生させることが可能に構成され、それらバネ上速度依拠成分とバネ下速度依拠成分と各々の決定においてそれらの各々に対応して設定される制御ゲインを変更することで、アブソーバの制御状態を、それら制御ゲインが特定の値に設定された複数の特定制御状態の間で変更することを特徴とする。
本発明のサスペンションシステムでは、アブソーバの減衰力を、バネ上部の振動を減衰するための力とバネ下部の振動を減衰するための力とを含み、それらを別個に制御することが可能とされている。そして、そのことを前提として、アブソーバの制御状態を複数の特定制御状態の間で変更することによって、その減衰力を変更可能に構成されている。したがって、車両が現在置かれている状況に適切に対応可能な制御状態を実現させることができることから、本発明の車両用サスペンションシステムは、実用性の高いシステムとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の項において、(1)項ないし(14)項の各々が、請求項1ないし請求項14の各々に相当する
(1)バネ上部とバネ下部との間に配設されたサスペンションスプリングと、
そのサスペンションスプリングと並設され、電磁モータを有してその電磁モータの力に依拠してバネ上部とバネ下部との相対移動に対する抵抗力および推進力を発生させる電磁式のショックアブソーバと、
そのショックアブソーバの発生させる力であるアブソーバ力が、バネ上速度とバネ上速度に対応する制御ゲインであるバネ上速度対応ゲインとに基づいて決定されるバネ上速度依拠成分と、バネ下速度とバネ下速度に対応する制御ゲインであるバネ下速度対応ゲインとに基づいて決定されるバネ下速度依拠成分とを含む力となるように、前記ショックアブソーバを制御する制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、
前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを変更することで、前記ショックアブソーバの制御状態を、それらバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインが特定の値に設定された複数の特定制御状態の間で変更する制御状態変更部を有することを特徴とする車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、電磁式のアブソーバに対して、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づく制御と擬似的なグランドフック理論に基づく制御との両者を複合した制御を実行可能とされ、そのアブソーバの制御状態を、複数の特定制御状態の間で変更可能に構成されたことを特徴とする。本項の態様は、バネ上部の振動を減衰するためのアブソーバ力とバネ下部の振動を減衰するためのアブソーバ力とを別個に制御することが可能なため、種々の振動に適切に対処可能である。また、本項の態様は、そのことを前提として、アブソーバの制御状態を変更するようにされており、例えば、特定制御状態の設定の自由度を高くすることができることから、採り得る制御状態のバリエーションを豊富化することが可能である。その結果、車両が現在置かれている状況を種々の観点から判断し、車両が現在置かれている状況に適切に対処可能なアブソーバ力を発生できるような制御状態を、容易に実現させることができるのである。
本項の態様において「制御状態が複数の特定制御状態の間で変更される」とは、具体的に言えば、制御状態を、バネ上速度対応ゲイン(以下、単に「バネ上ゲイン」という場合がある)についての座標軸とバネ下速度対応ゲイン(以下、単に「バネ下ゲイン」という場合がある)についての座標軸とによって定義される座標平面上の点として規定した場合において、特定制御状態が2つ設定されている場合には、それら2つの制御状態の各々を表す点を結ぶ線上において制御状態が変更され、特定制御状態が3つ以上設定されている場合には、それら3つ以上の制御状態の各々を表す点を結んだ線によって囲まれる領域内において制御状態が変更されることを意味する。なお、本項にいう「特定制御状態」は、特に限定されず、例えば、減衰力の変更の目的等に応じて、車両における何らかの性能を重視して定めた種々の制御状態を広く採用可能である。
本項の態様における「サスペンションスプリング」には、例えば、コイルスプリングや、エアスプリングのような流体スプリング等、種々のスプリングを採用することが可能である。本項の態様における「電磁式のショックアブソーバ」は、それの具体的な構造が限定されるものではなく、また、機能に関しても特に限定されない。例えば、車両に発生している振動を減衰させる機能に加え、車両の旋回,加減速等に起因する車体のロール,ピッチ等の抑制を目的として、車体の姿勢を制御する機能を発揮させるようにしてもよい。アクチュエータの動力源である「電磁モータ」も、その形式等は特に限定されず、DCブラシレスモータを始めとして種々の形式のモータを採用可能であり、また、動作に関して言えば、回転モータであっても、リニアモータであってもよい。また、本項の態様のサスペンションシステムには、モータを駆動させるための「駆動回路」を備え、その駆動回路の作動を制御することでアブソーバを制御する構造のものを採用可能である。なお、その駆動回路として、例えば、いわゆるインバータを採用することができる。このインバータは、例えば、スイッチング素子の作動によってモータを駆動する構造のものであればよく、PWM(Pulse Width Modulation)制御を実行可能な構造のものを採用することが望ましい。
(2)前記複数の特定制御状態の少なくとも1つが、(a)車両の乗り心地が良好であることを重視して定められた乗り心地重視状態と、(b)車輪の接地性が良好であることを重視して定められた接地性重視状態と、(c)車両の乗り心地と車輪の接地性とを含む車両の総合性能を重視して定められた総合性能重視状態と、(d)前記電磁モータの発電電力量が大きくなることを重視して定められた発電量重視状態と、(e)前記電磁モータが専ら発電状態となる発電専用状態とから選ばれるいずれかとされた(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、特定制御状態を、具体的に限定した態様である。本項にいう「乗り心地重視状態」は、例えば、バネ下振動のバネ上部への伝達特性が比較的低い制御状態と考えることが可能である。詳しく言えば、バネ上共振周波数付近の振動つまり比較的低い周波数域(例えば、0.5〜2Hz程度)の振動伝達が充分に抑制されることを前提とし、さらに、バネ上共振周波数とバネ下共振周波数との中間の周波数域(例えば、5Hz〜7Hz程度)の振動伝達をも充分に抑制可能な制御状態とすることが望ましい。このことに鑑みれば、例えば、バネ上ゲインが比較的大きな値に、かつ、バネ下ゲインが比較的小さな値に設定された制御状態であることが望ましい。また、「接地性重視状態」は、例えば、車輪の静荷重からの荷重変動分である接地荷重変動が小さい制御状態と考えることが可能である。詳しく言えば、例えば、バネ下共振周波数付近の振動つまり比較的高い周波数域(例えば、8Hz〜12Hz程度)におけるバネ下部の振動を充分に抑制することが望ましい。なお、この接地性重視状態においても、可及的に車両の乗り心地を良好にすべく、少なくともバネ上共振周波数域の振動伝達を充分に抑制することが望ましい。このような観点からすれば、接地性重視状態は、バネ上ゲインとバネ下ゲインとの両者が比較的大きな値に設定された制御状態であることが望ましい。「総合性能重視状態」は、例えば、上述した車両の乗り心地と接地性とのバランスが比較的良好な制御状態と考えることが可能であり、上記「乗り心地重視状態」と「接地性重視状態」との中間的な制御状態と考えることができる。
一方、「発電量重視状態」は、例えば、バネ上部とバネ下部との相対動作を大きくすることが可能な制御状態と考えることができ、具体的には例えば、バネ上ゲインとバネ下ゲインとの両者が比較的小さな値に設定された制御状態とすることが望ましい。また、「発電専用状態」は、例えば、バネ上ゲインとバネ下ゲインとが同じ値とされ、かつ、電磁モータの通電端子間を短絡させた状態においてアブソーバが呈する減衰係数(いわゆる短絡制動状態における減衰係数)より小さい減衰係数が得られるように設定された制御状態と考えることができる。つまり、発電専用状態は、バネ上部とバネ下部との相対動作の速度に応じた抵抗力を発生させることを前提とし、電磁モータに電源から電力を供給する制動状態(いわゆる逆転制動状態)とならないように設定された制御状態と考えることができる。なお、電磁モータの発電電力量を可及的に大きくするため、バネ上ゲインとバネ下ゲインとが上記短絡時における減衰係数の1/2の大きさの減衰係数が得られるような値に設定されることが望ましい。
ちなみに、上記乗り心地重視状態,接地性重視状態および総合性能重視状態は、いずれも、何らかの振動の抑制に対して有効な制御状態であることから、それらは、それらの上位概念として定義される「制振制御状態」の一態様と考えることができる。逆に、上記発電量重視状態および発電専用状態は、消費電力の小さなあるいは電力消費のない制御状態であることから、それらは、それらの上位概念として定義される「省電力制御状態」の一態様と考えることができる。なお、システムの省電力化を考慮すれば、前述した駆動回路および電源等は、電磁モータによって発電された電力を回生可能な構造とされることが望ましい。モータの発電電力を回生可能に構成されたシステムの場合、アブソーバの制御状態を上記発電量重視状態,発電専用状態とすれば、回生される電力も大きくなり、システムのより一層の省電力化に寄与することとなる。
(3)前記制御状態変更部が、車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態,前記電磁モータと接続されている電源の充電状態のいずれかに関する1以上の指標に基づいて前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、ショックアブソーバの制御状態を変更するための指標を、具体的に限定した態様である。本項にいう「車両が走行する路面の状態」は、道路がうねり路,砂利道等であることや路面の粗さ等を意味し、それに関する指標としては、例えば、車輪に入力される振動の周波数の高さ,振幅の大きさ等を採用可能である。「車両に発生している振動の状態」は、車両に発生している振動の激しさの程度等を意味する。それに関する指標としては、例えば、バネ上部,バネ下部の加速度や速度、バネ上部とバネ下部との相対速度、バネ上振動,バネ下振動,相対振動の振幅,接地荷重変動等を採用可能である。ちなみに、車輪に発生している振動の激しさの程度は、振動の状態を意味するだけでなく、路面の粗さ等を推定可能であるため、上記路面の状態をも意味する。つまり、車輪に発生している振動の激しさの程度に関する指標としての、バネ下部の加速度,速度,振幅や、接地荷重変動等は、路面の状態と振動の状態との両者に関する指標と考えることが可能である。「電源の充電状態」に関する指標としては、例えば、充電量,残存電気エネルギー量,充電容量を基準とした残存エネルギ量の割合等を採用可能である。これらの指標は、車両が現在置かれている状況を示す指標として好適である。
なお、現時点での上記の指標の値に基づいてアブソーバの制御状態を変更してもよく、現時点から遡った設定時間内の指標の値に基づいてアブソーバの制御状態を変更してもよい。後者の現時点から遡った設定時間内の指標の値としては、指標の値の変化の程度等の既に公知の手段によって求められた値を採用可能であり、具体的には、現時点から遡った設定時間内における指標値の最大値,平均値,実効値(RMS値,2乗の平均値の平方根)等を採用可能である。
(4)前記制御状態変更部が、前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを、前記複数の特定制御状態の各々について設定されているバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値に対しての前記1以上の指標に基づく重み付けによって決定することで、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである(3)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、バネ上ゲインおよびバネ下ゲインの決定方法に限定を加えた態様であり、本項の態様では、指標の値に応じて重み付けが変更されることで、バネ上ゲインおよびバネ下ゲインが変更されてアブソーバの制御状態が変更される。本項の態様によれば、バネ上ゲインおよびバネ下ゲインを、連続的に変化させることが容易に可能である。なお、本項の態様は、その重み付けによって、バネ上ゲインおよびバネ下ゲインが線形的に変化させられる態様であってもよく、後に詳しく説明するように非線形的に変化させられる態様であってもよい。また、特定制御状態が3つ以上設定されて、複数の前記指標が設定されている場合には、その数に応じた複数の重み付けによってバネ上ゲインおよびバネ下ゲインが決定される態様を採用可能である。
(5)前記制御状態変更部が、前記ショックアブソーバの制御状態を、車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態,前記電磁モータと接続されている電源の充電状態のいずれかに関する指標に基づいて、それぞれが前記特定制御状態である第1特定制御状態と第2特定制御状態との間で変更するものである(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
(6)前記制御状態変更部が、前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを、前記第1特定制御状態と前記第2特定制御状態との各々について設定されているバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値に対しての前記指標に基づく重み付けによって決定することで、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである(5)項に記載の車両用サスペンションシステム。
上記2つの項に記載の態様は、特定制御状態が2つ設定されたものに限定した態様である。これらの態様においては、制御状態を変更するための指標は、2つの特定制御状態に応じて、前述の路面の状態,振動の状態,電源の充電状態に関する指標のうちから適切なものを採用すればよい。
(7)前記制御状態変更部が、前記指標の変化に対して決定される前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインが非線形的に変化するような規則に従った重み付けによって、前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを決定するものである(6)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、指標の変化に対するバネ上ゲインおよびバネ下ゲインの変化の勾配を、指標の値に応じて変化させる態様である。本項の態様によれば、指標に基づいたショックアブソーバの制御状態の変更の設定に関して、自由度の高いシステムが実現する。
(8)前記重み付けが、前記指標の値が大きくなる程、前記指標の変化に対する前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインの変化の勾配が大きくなるあるいは小さくなるような規則に従うものとされた(7)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、バネ上ゲイン,バネ下ゲインの各々が、バネ上ゲインについての座標軸と指標の値についての座標軸によって定義される座標平面上,バネ下ゲインについての座標軸と指標の値についての座標軸によって定義される座標平面上の各々において示される場合に、それらバネ上ゲイン,バネ下ゲインを、それらの座標平面上において、上に凸、あるいは、下に凸な線上において変更させる態様である。本項の態様によれば、上記の変化の勾配が大きくされた範囲内で指標の値が変化する場合には、制御状態が比較的大きく変更されることになる。
(9)前記重み付けが、前記指標の値が増加する状況下と減少する状況下との一方において、前記指標の値が大きくなる程前記勾配が大きくなるような規則に従い、前記指標の値が増加する状況下と減少する状況下との他方において、前記指標の値が大きくなる程前記勾配が小さくなるような規則に従うものとされた(8)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、上述した座標平面上で考えれば、バネ上ゲインおよびバネ下ゲインの各々が、指標値の増加時に上に凸で、かつ、減少時に下に凸な線上において変更される態様、あるいは、指標値の増加時に下に凸で、かつ、減少時に上に凸な線上において変更される態様である。別の言い方をすれば、本項の態様は、指標の値と、バネ上ゲインおよびバネ下ゲインとの関係に、ヒステリシス特性を付加した態様である。なお、本項の態様では、例えば、現時点から遡った設定時間内の指標の値の変化から、指標の値が増加する状況にあるか、減少する状況にあるかを判断してもよい。
(10)前記第1特定制御状態が、車両の乗り心地が良好であることを重視して定められた乗り心地重視状態とされるとともに、前記第2特定制御状態が、車輪の接地性が良好であることを重視して定められた接地性重視状態とされ、
前記制御状態変更部が、前記指標としての車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態のいずれかに関する指標に基づいて、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである(5)項ないし(9)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、2つの特定制御状態と、制御状態を変更する指標とを特定のものに限定した一態様である。先に述べたように、車両の乗り心地を可及的に良好に保つこと、車輪の接地性を可及的に良好に保つこととは、実際の制御において相反することになるが、本項の態様によれば、制御状態を、路面の状態,振動の状態に応じて、乗り心地重視状態と接地性重視状態の間で変更可能であるため、車両が置かれている状況に応じて、適切な制御状態を実現させることが可能である。
路面の状態が悪い道路、例えば、荒れた路面を有する道路を走行している場合や、車両に発生している振動が大きい場合には、車両の操縦性,安定性を確保するために、接地性を重視した制御が実行されることが望ましい。そのことを考慮した場合には、本項に記載の態様は、例えば、路面の状態が悪い程、あるいは、車両に発生している振動が大きい程、ショックアブソーバの制御状態を、乗り心地重視状態から接地性重視状態へ近づけるように変更する態様を採用することが可能である。なお、その変更について、先に述べた制御ゲインを非線形的に変化させるといった態様を採用してもよい。具体的には、重み付けが、路面の状態が悪い程、あるいは、車両に発生している振動が大きい程、その変化に対するバネ上ゲインおよびバネ下ゲインの変化の勾配が小さくなるような規則に従うものとされた態様を採用することが可能である。この態様によれば、路面の状態が少しでも悪くなった場合、あるいは、車両にある程度の振動が発生する場合において、制御状態が、乗り心地重視状態から接地性重視状態側に大きくシフトされ、車両の操縦性,安定性をより効果的に確保することができる。
(11)前記第1特定制御状態が、(a)車両の乗り心地が良好であることを重視して定められた乗り心地重視状態と、(b)車輪の接地性が良好であることを重視して定められた接地性重視状態と、(c)車両の乗り心地と車両の接地性とを含む車両の総合性能を重視して定められた総合性能重視状態とから選ばれるいずれかとされるとともに、前記第2特定制御状態が、(d)前記電磁モータの発電電力量が大きくなることを重視して定められた発電量重視状態と、(e)前記電磁モータが専ら発電状態となる発電専用状態とのいずれかとされ、
前記制御状態変更部が、前記指標としての前記電磁モータと接続されている電源の充電状態に関する指標に基づいて、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである(5)項ないし(9)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、2つの特定制御状態と、制御状態を変更する指標とを特定のものに限定した一態様である。先に説明したように、(a)乗り心地重視状態,(b)接地性重視状態,(c)総合性能重視状態は、制振制御状態であり、また、(d)発電量重視状態,(e)発電専用状態は、省電力制御状態である。したがって、本項の態様は、制振制御状態と省電力制御状態との間で制御状態を変更する態様である。制振制御状態と省電力制御状態とは、例えば目的において相反する制御状態ではあるが、本項の態様によれば、電源の充電状態に応じて、それら相反する制御状態の間の適切な制御状態を実現させることが可能である。
詳しく言えば、電源の充電状態が低い場合には、省電力制御状態である上記第2特定制御状態とされることが望ましいため、本項に記載の態様は、例えば、電源の充電状態が高い程、ショックアブソーバの制御状態を、省電力制御状態から制振制御状態へ近づけるように変更する態様を採用することが望ましい。なお、この態様に、先に述べた制御ゲインを非線形的に変化させる態様を組み合わせることも可能である。具体的には、例えば、重み付けが、充電状態が高い程、その変化に対するバネ上ゲインおよびバネ下ゲインの変化の勾配が大きくなるような規則に従うものとされた態様を採用することが可能である。この態様では、充電状態が高い状態であっても低くなりつつある場合には、制御状態が制振制御状態から省電力制御状態側へ大きくシフトされ、充電状態が低い状態において高くなりつつある場合であっても、制御状態が省電力制御状態から制振制御状態側へ少しづつしかシフトされないことになる。また、充電状態が高くなりつつある状況と、充電状態が低くなりつつある状況とで、重み付けの規則を変更することも可能である。例えば、重み付けが、充電状態が高くなりつつある状況下において、その充電状態が高いほど前記変化勾配が小さくなるような規則に従い、充電状態が低くなりつつある状況下において、充電状態が低くなるほど前記変化勾配が小さくなるような規則に従うものとされた態様を採用することが可能である。この態様によれば、充電状態が高い状態において低くなりつつある場合には、制御状態が省電力制御状態側へ大きくシフトされ、逆に、充電状態が低い状態において高くなりつつある場合には、制御状態が制振制御状態側へ大きくシフトされることになる。
(12)前記制御状態変更部が、前記ショックアブソーバの制御状態を、車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態,前記電磁モータと接続されている電源の充電状態のいずれかに関する2つの指標に基づいて、それぞれが前記特定制御状態である第1特定制御状態,第2特定制御状態,第3特定制御状態との間で変更するものである(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
(13)前記制御状態変更部が、前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを、前記第1特定制御状態と前記第2特定制御状態との各々について設定されているバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値に対しての前記2つの指標の一方に基づく第1の重み付けによって決定されるバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値と、前記第3特定制御状態について設定されているバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値とに対しての前記2つの指標の他方に基づく第2の重み付けによって決定することで、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである(12)項に記載の車両用サスペンションシステム。
上記2つの項に記載の態様は、特定制御状態が3つ設定されたものに限定した態様であり、本項の態様によれば、制御状態の変更の範囲が広く、車両が置かれている種々の状況に応じて、より適切なアブソーバ力を発生させることが可能となる。なお、後者の態様においては、先に述べた制御ゲインを非線形的に変化させる態様を組み合わせることも可能である。
(14)前記第1特定制御状態と前記第2特定制御状態との一方が、車両の乗り心地が良好であることを重視して定められた乗り心地重視状態と、他方が、車輪の接地性が良好であることを重視して定められた接地性重視状態とされるとともに、前記第3特定制御状態が、前記電磁モータの発電電力量が大きくなることを重視して定められた発電量重視状態と前記電磁モータが専ら発電状態となる発電専用状態との一方とされ、
前記制御状態変更部が、前記2つの指標の一方としての車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態のいずれかに関する指標に基づく前記第1の重み付けと、前記2つの指標の他方としての前記電磁モータと接続されている電源の充電状態に関する指標に基づく前記第2の重み付けとによって、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである(13)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、3つの特定制御状態と、それらの間で制御状態を変更するための2つの指標を特定のものに限定した一態様であり、前述した(10)項および(11)項に記載の態様を合わせたような態様である。つまり、本項の態様は、それら(10)項および(11)項の態様の技術的特徴を有し、それらの態様によって得られる効果が得られることになる。なお、本項の態様においても、前述の制御ゲインを非線形的に変化させる態様を組み合わせることが可能である。
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
(A)第1実施例
≪サスペンションシステムの構成≫
図1に、請求可能発明の第1実施例である車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪12の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置を備えており、それらサスペンション装置の各々は、サスペンションスプリングとショックアブソーバとが一体化されたスプリング・アブソーバAssy20を有している。車輪12,スプリング・アブソーバAssy20は総称であり、4つの車輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
スプリング・アブソーバAssy20は、図2に示すように、車輪12を保持してバネ下部の一部分を構成するサスペンションロアアーム22と、車体に設けられてバネ上部の一部分を構成するマウント部24との間に、それらを連結するようにして配設された電磁式アブソーバであるアクチュエータ26と、それと並列的に設けられたサスペンションスプリングとしてのエアスプリング28とを備えている。
アクチュエータ26は、アウタチューブ30と、そのアウタチューブ30に嵌入してアウタチューブ30の上端部から上方に突出するインナチューブ32とを含んで構成されている。アウタチューブ30は、それの下端部に設けられた取付部材34を介してロアアーム22に連結され、一方、インナチューブ32は、それの上端部に形成されたフランジ部36においてマウント部24に連結されている。アウタチューブ30には、その内壁面にアクチュエータ26の軸線の延びる方向(以下、「軸線方向」という場合がある)に延びるようにして1対のガイド溝38が設けられるとともに、それらのガイド溝38の各々には、インナチューブ32の下端部に付設された1対のキー40の各々が嵌まるようにされており、それらガイド溝38およびキー40によって、アウタチューブ30とインナチューブ32とが、相対回転不能、軸線方向に相対移動可能とされている。ちなみに、アウタチューブ30の上端部には、シール42が付設されており、後に説明する圧力室44からのエアの漏れが防止されている。
また、アクチュエータ26は、ねじ溝が形成された雄ねじ部としてのねじロッド50と、ベアリングボールを保持してそのねじロッド50と螺合する雌ねじ部としてのナット52とを含んで構成されたボールねじ機構と、動力源としての電磁モータ54(以下、単に「モータ54」という場合がある)とを備えている。モータ54はモータケース56に固定して収容されるとともに、そのモータケース56の鍔部がマウント部24の上面側に固定されており、モータケース56の鍔部にインナチューブ32のフランジ部36が固定されていることで、インナチューブ32は、モータケース56を介してマウント部24に連結されている。モータ54の回転軸であるモータ軸58は、ねじロッド50の上端部と一体的に接続されている。つまり、ねじロッド50は、モータ軸58を延長する状態でインナチューブ32内に配設され、モータ54によって回転させられる。一方、ナット52は、ねじロッド50と螺合させられた状態で、アウタチューブ30の内底部に付設されたナット支持筒60の上端部に固定支持されている。
エアスプリング28は、マウント部24に固定されたハウジング70と、アクチュエータ26のアウタチューブ30に固定されたエアピストン72と、それらを接続するダイヤフラム74とを備えている。ハウジング70は、概して有蓋円筒状をなし、蓋部76に形成された穴にアクチュエータ26のインナチューブ32を貫通させた状態で、蓋部76の上面側においてマウント部24の下面側に固定されている。エアピストン72は、概して円筒状をなし、アウタチューブ30を嵌入させた状態で、アウタチューブ30の上部に固定されている。それらハウジング70とエアピストン72とは、ダイヤフラム74によって気密性を保ったまま接続されており、それらハウジング70とエアピストン72とダイヤフラム74とによって圧力室44が形成されている。その圧力室44には、流体としての圧縮エアが封入されている。このような構造から、エアスプリング28は、その圧縮エアの圧力によって、ロアアーム22とマウント部24、つまり、車輪12と車体とを相互に弾性的に支持しているのである。
上述のような構造から、バネ上部とバネ下部とが接近・離間する場合、アウタチューブ30とインナチューブ32とは、軸線方向に相対移動が可能とされている。その相対移動に伴って、ねじロッド50とナット52とが軸線方向に相対移動するとともに、ねじロッド50がナット52に対して回転する。モータ54は、ねじロッド50に回転トルクを付与可能とされ、この回転トルクによって、バネ上部とバネ下部との相対動作(ストローク動作)に対して、そのストローク動作を阻止する抵抗力を発生させることが可能とされている。この抵抗力をバネ上部とバネ下部とのストローク動作に対する減衰力として作用させることで、アクチュエータ26は、いわゆるアブソーバ(「ダンパ」と呼ぶこともできる)として機能するものとなっている。言い換えれば、アクチュエータ26は、自身が発生させる軸線方向の力であるアクチュエータ力によって、ストローク動作に対して減衰力を付与する機能を有しているのである。また、アクチュエータ26は、アクチュエータ力を、ストローク動作に対する推進力つまり駆動力として作用させる機能をも有している。この機能により、バネ上絶対速度に比例する減衰力を作用させるスカイフックダンパ理論に基づく制御を実行することが可能とされている。さらに、アクチュエータ26は、アクチュエータ力によって上下方向におけるバネ上部とバネ下部との距離(以下、「バネ上バネ下間距離」という場合がある)を積極的に変更し、また、バネ上バネ下間距離を所定の距離に維持する機能をも有している。この機能によって、旋回時の車体のロール,加速・減速時の車体のピッチ等を効果的に抑制すること、車両の車高を調整すること等が可能とされているのである。
サスペンションシステム10は、各スプリング・アブソーバAssy20が有するエアスプリング28に対して流体としてのエア(空気)を流入・流出させるための流体流入・流出装置、詳しく言えば、エアスプリング28の圧力室44に接続されて、その圧力室44にエアを供給し、圧力室44からエアを排出するエア給排装置80を備えている。詳しい説明は省略するが、本サスペンションシステム10は、エア給排装置80によって、各エアスプリング28の圧力室44内のエア量を調整することが可能とされており、エア量の調整によって、各エアスプリング28のバネ長を変更し、各車輪12についてのバネ上バネ下間距離を変化させることが可能とされている。具体的に言えば、圧力室44のエア量を増加させてバネ上バネ下間距離を増大させ、エア量を減少させてバネ上バネ下間距離を減少させることが可能とされている。
本サスペンションシステム10は、サスペンション電子制御ユニット(ECU)140によって、スプリング・アブソーバAssy20の作動、つまり、アクチュエータ26およびエアスプリング28の制御が行われる。詳しくは、アクチュエータ26のモータ54およびエア給排装置80の作動の制御が行われる。ECU140は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたコントローラ142と、エア給排装置80の駆動回路としてのドライバ144と、各アクチュエータ26が有するモータ54に対応する駆動回路としてのインバータ146とを有している。そのドライバ144およびインバータ146は、コンバータ148を介してバッテリ150に接続されており、エア給排装置80が有する各制御弁,ポンプモータ等、および、各アクチュエータ26のモータ54には、そのコンバータ148とバッテリ150とを含んで構成される電源から電力が供給される。なお、モータ54は定電圧駆動されることから、モータ54への供給電力量は、供給電流量を変更することによって変更される。
車両には、イグニッションスイッチ[I/G]160,車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ[v]162,各車輪12についてのバネ上バネ下間距離を検出する4つのストロークセンサ[St]164,車高変更指示のために運転者によって操作される車高変更スイッチ[HSw]166,ステアリングホイールの操作角を検出するための操作角センサ[δ]170,車体に実際に発生する前後加速度である実前後加速度を検出する前後加速度センサ[Gx]172,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ[Gy]174,各車輪12に対応する車体の各マウント部24の縦加速度(上下加速度)を検出する4つのバネ上縦加速度センサ[Gzs]176,各車輪12の縦加速度を検出する4つのバネ下縦加速度センサ[Gzg]178,アクセルスロットルの開度を検出するスロットルセンサ[Sr]180,ブレーキのマスタシリンダ圧を検出するブレーキ圧センサ[Br]182,電源の充電状態に関する指標としてのバッテリ150の充電量を検出するための充電量センサ[E]184等が設けられており、それらはコントローラ142に接続されている。ECU140は、それらのスイッチ,センサからの信号に基づいて、スプリング・アブソーバAssy20の作動の制御を行うものとされている。ちなみに、[ ]の文字は、上記スイッチ,センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。また、コントローラ142のコンピュータが備えるROMには、後に説明するところのアクチュエータ26の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
≪インバータの構成≫
図3に示すように、各アクチュエータ26のモータ54は、コイルがスター結線(Y結線)された3相ブラシレスDCモータであり、上述したようにインバータ146によって制御駆動される。そのインバータ146は、図に示すような一般的なものであり、high側(高電位側),low側(低電位側)のそれぞれに対応し、かつ、モータ54の3つの相であるU相,V相,W相のそれぞれに対応する6つのスイッチング素子HUS,HVS,HWS,LUS,LVS,LWSを備えている。また、インバータ146が有するスイッチング素子コントローラ190には、モータ54に設けられてモータ54の回転角を検出するレゾルバ[θ]192と,インバータ146内に実際にモータ54を流れる電流量である実通電電流量を測定する通電電流センサ[I]194とが接続されている。そのスイッチング素子コントローラ190は、レゾルバ192によりモータ回転角(電気角)を判断し、そのモータ回転角に基づいてスイッチング素子を開閉作動させる。インバータ146は、いわゆる正弦波駆動によってモータ54を駆動するのであり、モータ54の3つの相の各々に流れる電流量が、それぞれが正弦波状に変化し、その位相差が電気角で120°ずつ異なるように、インバータ146が制御される。そして、インバータ146は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によってモータ54に通電するようにされており、パルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することで、モータ54を流れる電流量(通電電流量)を変更して、モータ54が発生させる回転トルクの大きさを変更する。詳しくは、デューティ比が大きくされることで、通電電流量が大きくされて、モータ54の発生する回転トルクは大きくされ、逆に、デューティ比が小さくされることで、通電電流量が小さくされて、モータ54の発生する回転トルクは小さくされる。
モータ54が発生する回転トルクの方向は、モータ54が実際に回転している方向と同じ方向である場合もあり、また、逆の場合もある。モータ54が発生する回転トルクの方向とモータ54の回転方向が逆となる場合、つまり、アクチュエータ26が、アクチュエータ力をストローク動作に対する抵抗力として作用させている場合には、モータ54の発生させる力は、必ずしも、電源から供給される電力(電流)に依存したものとはならない。詳しく言えば、モータ54が外部からの力によって回転させられることで、そのモータ54は発電状態となり、モータ54は、その時に生じた起電力に依存したモータ力を発生させる場合、つまり、アクチュエータ26が起電力に依存したアクチュエータ力を発生させる場合もある。
アクチュエータ26が起電力に依存したアクチュエータ力を発生させる場合に、インバータ146は、起電力よって発電された電力を電源に回生可能な構造とされている。また、モータ54が発生する回転トルクとモータ54の回転方向が逆となる場合においては、前述したスイッチング素子のPWM制御は、起電力によってモータ54の各コイルに流れる電流量を制御するものとなっており、デューティ比を変更することで、モータ54が発生する回転トルクの大きさが変更されることになる。すなわち、インバータ146は、電源からの供給電流であるか、あるいは、起電力によって生じる発電電流であるかに拘わらず、モータ54のコイルを流れる電流、つまり、モータ54の通電電流を制御して、モータ力を制御する構造とされているのである。
≪サスペンションシステムの基本的な制御≫
本サスペンションシステム10では、4つのスプリング・アブソーバAssy20の各々を独立して制御することが可能となっている。それらスプリング・アブソーバAssy20の各々において、アクチュエータ26のアクチュエータ力が独立して制御されて、車体および車輪12の振動、つまり、バネ上振動およびバネ下振動を減衰するための制御(以下、「振動減衰制御」という場合がある)が実行される。また、車両の旋回に起因する車体のロールを抑制するための制御(以下、「ロール抑制制御」という場合がある),車両の加減速に起因する車体のピッチを抑制するための制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)が実行される。上記振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御は、各制御ごとのアクチュエータ力の成分である振動減衰成分,ロール抑制成分,ピッチ抑制成分を合計して目標アクチュエータ力が決定され、アクチュエータ26がその目標アクチュエータ力を発生させるように制御されることで、総合的に実行される。なお、以下の説明において、アクチュエータ力およびそれの成分は、バネ上部とバネ下部とを離間させる方向(リバウンド方向)の力に対応するものが正の値,バネ上部とバネ下部とを接近させる方向(バウンド方向)の力に対応するものが負の値となるものとして扱うこととする。
なお、本サスペンションシステム10では、エアスプリング28によって、路面の起伏が大きい道路の走行への対処等を目的として運転者の意思に基づいて車両の車高を変更する制御(以下、「車高変更制御」という場合がある)も実行される。その車高変更制御について簡単に説明する。車高変更制御は、運転者の意図に基づく車高変更スイッチ166の操作によって実現すべき設定車高である目標設定車高が変更された場合において、実行される。その目標設定車高の各々に応じて、各車輪12についての目標となるバネ上バネ下間距離が設定されており、ストロークセンサ164の検出値に基づいて、それぞれの車輪12についてのバネ上バネ下間距離が目標距離になるように、エア給排装置80の作動が制御され、各車輪12のバネ上バネ下間距離が目標設定車高に応じた距離に変更されるのである。さらに、この車高変更制御では、例えば、乗員数の変化,荷物の積載量の変化等による車高の変動に対処することを目的とした、いわゆるオートレベリングと呼ばれる制御も行われる。
i)振動減衰制御
振動減衰制御では、車体および車輪12の振動を減衰するためにその振動の速度に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させるべく、アクチュエータ力の振動減衰成分FVが決定される。つまり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御と、擬似的なグランドフック理論に基づいた制御との両者を行う制御である。具体的には、車体のマウント部24に設けられたバネ上縦加速度センサ176によって検出されるバネ上縦加速度から計算される車体のマウント部24の上下方向の動作速度、いわゆる、バネ上速度Vsと、ロアアーム22に設けられたバネ下縦加速度センサ178によって検出されるバネ下縦加速度から計算される車輪12の上下方向の動作速度、いわゆる、バネ下速度Vgとに基づいて、次式に従って、振動減衰成分FVが演算される。
V=Cs・Vs−Cg・Vg
ここで、Csは、車体のマウント部24の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるための制御ゲインであるバネ上速度対応ゲインであり、Cgは、車輪12の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるための制御ゲインであるバネ下速度対応ゲインである。なお、本サスペンションシステム10においては、後に詳しく説明するように、それらバネ上ゲインCsおよびバネ下ゲインCgを状況に応じて変更するように構成されている。
ii)ロール抑制制御
車両の旋回時においては、その旋回に起因するロールモーメントによって、旋回内輪側のバネ上部とバネ下部とが離間させられるとともに、旋回外輪側のバネ上部とバネ下部とが接近させられる。ロール抑制制御では、その旋回内輪側の離間および旋回外輪側の接近を抑制すべく、旋回内輪側のアクチュエータ26にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ26にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操舵角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ174によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制力成分FRが、次式に従って決定される。
R=K3・Gy* (K3:ゲイン)
iii)ピッチ抑制制御
車体の制動時等、減速時に発生する車体のノーズダイブに対しては、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のバネ上部とバネ下部とが接近させられるとともに、後輪側のバネ上部とバネ下部とが離間させられる。また、車体の加速時に発生する車体のスクワットに対しては、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のバネ上部とバネ下部とが離間させられるとともに、後輪側のバネ上部とバネ下部とが接近させられる。ピッチ抑制制御では、それらの場合の接近・離間距離を抑制すべく、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標する前後加速度として、前後加速度センサ172によって実測された実前後加速度Gxが採用され、その実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制力成分FPが、次式に従って決定される。
P=K4・Gx (K4:ゲイン)
なお、ピッチ抑制制御は、スロットルセンサ180によって検出されるスロットルの開度、あるいは、ブレーキ圧センサ182によって検出されるマスタシリンダ圧が、設定された閾値を超えることをトリガとして実行される。
iv)目標アクチュエータ力とモータの作動制御
アクチュエータ26の制御は、それが発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力に基づいて行われる。詳しく言えば、上述のようにして、アクチュエータ力の振動減衰成分FV,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定されると、それらに基づき、次式に従って目標となるアクチュエータ力F*が決定される。
*=FV+FR+FP
そして、上述のように決定された目標アクチュエータ力F*に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ146に送信される。インバータ146は、その適切なデューティ比の下、目標アクチュエータ力を発生させるようにモータ54を駆動する。
≪振動減衰制御における制御状態の変更≫
先に述べたように、本サスペンションシステム10では、それらバネ上ゲインCsおよびバネ下ゲインCgを状況に応じて変更するように構成され、そのことによって、アクチュエータ26の振動減衰制御における制御状態を変更するようにされている。本システムの振動減衰制御においては、バネ上ゲインCsとバネ下ゲインCgとが特定の値に設定された制御状態である特定制御状態が3つ定められており、それら3つの特定制御状態の間で制御状態が変更される。図4は、制御状態を、バネ上ゲインCsとバネ下ゲインCgとを座標軸とした座標平面上の点として規定した図である。以下の説明においては、制御状態を、S=(Cs,Cg)と表すこととする。
特定制御状態のうち第1特定制御状態は、車両の乗り心地が良好であることを重視して定められた乗り心地重視状態S1=(Cs1,Cg1)である。この乗り心地重視状態は、換言すれば、バネ上共振周波数域の振動と、それとバネ下共振周波数域との中間の周波数域の振動との両者のバネ下部からバネ上部への伝達を抑制することを目的とする制御状態であり、図4から解るように、バネ上ゲインCs1が比較的大きな値で、かつ、バネ下ゲインCg1が比較的小さな値に設定されている。また、第2特定制御状態は、車輪の接地性が良好であることを重視して定められた接地性重視状態S2=(Cs2,Cg2)である。この接地性重視状態は、バネ上共振周波数域の振動のバネ下部からバネ上部への伝達を抑制しつつ、バネ下共振周波数域のバネ下振動を抑制することを目的とする制御状態であり、図4から解るように、バネ上ゲインCs2とバネ下ゲインCg2との両者が比較的大きな値に設定されている。さらに、第3特定制御状態は、モータ54の発電電力量が大きくなること、つまり、バッテリ150に回生される電力量が大きくなることを重視して定められた発電量重視状態S3=(Cs3,Cg3)である。この発電量重視状態は、バネ上部とバネ下部との相対動作を大きくすることを目的とする制御状態であり、図4から解るように、バネ上ゲインCs3とバネ下ゲインCg3との両者が比較的小さな値に設定されている。
本システム10では、それら3つの特定制御状態の各々を表す点を結んだ線によって囲まれる領域内において、制御状態が変更される。詳しく言えば、車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態に関する指標と、バッテリ150の充電状態に関する指標とに基づいて、車両が現在置かれている状況が判断され、それの判断に応じて、制御状態が変更される。
さらに具体的に言えば、本システム10では、まず、第1特定制御状態と第2特定制御状態との間の制御状態におけるバネ上ゲインおよびバネ下ゲインの値、つまり、S1とS2を結ぶ線上の点S1-2が、それらの特定制御状態の各々について設定されているバネ上ゲインおよびバネ下ゲインの値に対しての第1の重み付け係数αによって、次式に従って決定される。
1-2=(1−α)・S1+α・S2
第1重み付け係数αを決定するための指標としては、車輪の静荷重からの荷重変動分である接地荷重変動fが採用され、現時点から遡った設定時間内における接地荷重変動の実効値fRMS(RMS値,2乗の平均値の平方根)を算出して、その接地荷重変動の実効値fRMSに基づいて、第1重み付け係数αが決定される。その接地荷重変動は、車輪に発生している振動の激しさの程度を表すとともに、路面の粗さを推定することも可能であるため、車両が走行する路面の状態、および、車両に発生している振動の状態の両者に関する指標として扱っている。ちなみに、その接地荷重変動fは、2つの縦加速度センサ176,178によって検出されたバネ上加速度Gzs,バネ下加速度Gzgに基づいて、次式に従って算出される。
f=MU・Gzs+ML・Gzg
ここで、MU,MLは、それぞれ、バネ上重量,バネ下重量である。なお、フィルタ処理等によって、特定周波数域(例えば、バネ下共振周波数域)の接地荷重変動を算出し、その特定周波数域の接地荷重変動に基づいて、第1重み付け係数αが決定されてもよい。
図5は、接地荷重変動の実効値fRMSと第1重み付け係数αとの関係を示す図である。例えば、路面が粗い道路である場合,車輪に入力される振動の程度が激しい場合には、接地荷重変動の実効値fRMSが大きくなる。そのような場合には、車両の操縦性,安定性を確保するために、接地性が良好であることが望ましい。そのことを考慮して、本システム10においては、図5に示すように、接地荷重変動の実効値fRMSが大きくなるほど、第1重み付け係数αを1に近い値とすることで、制御状態S1-2が、乗り心地重視状態から接地性重視状態に近い状態とされることになる。また、第1重み付け係数αは、接地荷重変動の実効値fRMSに対して、非線形的に、詳しくは、上に凸な曲線上において変更される。そのため、車両が走行する路面が悪くなり始めた場合や車両に振動が発生し始めた場合、つまり、接地荷重変動が大きくなり始めた場合において、制御状態が、乗り心地重視状態から接地性重視状態側に大きくシフトされ、車両の操縦性,安定性が充分に確保されることになる。
次いで、上記の制御状態S1-2と第3特定制御状態との間の制御状態、つまり、制御状態を変更する制御の目標となる制御状態S*におけるバネ上ゲインおよびバネ下ゲインの値が、それらの制御状態S1-2,S3の各々について設定されているバネ上ゲインおよびバネ下ゲインの値に対しての第2の重み付け係数βによって、次式に従って決定される。
*=(1−β)・S3+β・S1-2
第2重み付け係数βは、バッテリ150の充電状態に関する指標に基づいて決定される。具体的には、その指標として、充電量センサ184により検出されたバッテリ150の充電量Eが採用され、現時点から遡った設定時間内における充電量の平均値を算出して、その値に基づいて第2重み付け係数βが決定される。
図6は、充電量の平均値Eと第2重み付け係数βとの関係を示す図である。電源の充電量が少ない場合には、バッテリ150に回生される電力量が大きいことが望ましいため、本システム10においては、充電量Eが少ないほど、第2重み付け係数βを0に近い値とすることで、制御状態S*が、乗り心地重視状態および接地性重視状態より発電量重視状態に近い制御状態とされるのである。また、第2重み付け係数βは、充電量Eに対して、非線形的に、詳しくは、下に凸な曲線上において変更される。そのため、充電量Eが減少している状況下では、充電量Eが高い状態であっても、制御状態が発電量重視状態側にシフトされ、アクチュエータ26の消費エネルギが効果的に抑制されるのである。
以上のようにして目標となる制御状態S*が決定されるため、その制御状態S*は、路面の状態,振動の状態,バッテリ150の充電状態を考慮した適切な制御状態となる。つまり、本システム10においては、その目標制御状態S*におけるバネ上ゲインおよびバネ下ゲインの値が、路面の状態,振動の状態に関する指標に基づく第1重み付けαと、バッテリ150の充電状態に関する指標に基づく第2重み付けβとによって、次式に従って決定され、そのことによって、アクチュエータの26の振動減衰制御における制御状態S*が、車両が現在置かれている状況に応じた適切な制御状態とされるのである。
*=(1−β)・S3+β・{(1−α)・S1+α・S2
=(1−α)・β・S1+α・β・S2+(1−β)・S3
≪アクチュエータの制御フロー≫
上述のようなアクチュエータ26の制御は、図7にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが、イグニッションスイッチ160がON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec〜数十msec)をおいてコントローラ142により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、アクチュエータ制御プログラムは、4つの車輪12にそれぞれ設けられたスプリング・アブソーバAssy20のアクチュエータ26の各々に対して実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのアクチュエータ26に対しての本プログラムによる処理について説明する。
本プログラムにおいては、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す、他のステップも同様である)において、2つの縦加速度センサ176,178によって検出されたバネ上加速度Gzs,バネ下加速度Gzgに基づいて、接地荷重変動の実効値fRMSが演算される。続くS2において、その接地荷重変動実効値fRMSに応じて、第1重み付け係数αが決定される。具体的には、サスペンションECU140のROMには、図5に示す接地荷重変動実効値fRMSをパラメータとする第1重み付け係数αのマップデータが格納されており、そのマップデータを参照して第1重み付け係数αが決定される。また、S3において、充電量センサ184による検出結果から、設定時間内におけるバッテリ150の充電量Eの平均値が演算され、S4において、その充電量Eの平均値に基づく第2重み付け係数βが、図6に示したマップデータを参照して決定される。そして、S5において、それら2つの重み付け係数α,βに基づいて、適切な制御状態としての目標制御状態S*が次式に従って決定される。つまり、目標制御状態S*におけるバネ上ゲインCsおよびバネ下ゲインCgが、次式に従って決定されるのである。
*=(1−α)・β・S1+α・β・S2+(1−β)・S3
次いで、S6において、上記のように決定されたバネ上ゲインCsおよびバネ下ゲインCgに基づいて、振動減衰成分FVが決定される。また、S7〜S9において、先に説明したような手法で、ロール抑制成分FRと、ピッチ抑制成分FPとが決定され、それら3つの成分を足し合わせて、目標アクチュエータ力F*が決定される。以上のように決定されたモータ54の目標アクチュエータ力F*に基づいてデューティ比が決定され、そのデューティ比に応じた制御信号が、インバータ146に送信される。以上の一連の処理の後、アクチュエータ制御プログラムの1回の実行が終了する。
上述したサスペンションECU140の機能に基づけば、サスペンションECU140は、バネ上ゲインおよびバネ下ゲインを変更することで、アクチュエータ26の振動減衰制御における制御状態を、3つの特定制御状態の間で変更する制御状態変更部を含んで構成されるものとなっている。その制御状態変更部は、本サスペンションシステム10のサスペンションECU140において、アクチュエータ制御プログラムのS1〜S5の処理を実行する部分を含んで構成されている。
≪変形例≫
i)第1変形例
上記実施例のサスペンションにシステム10においては、特定制御状態が3つ設定されていたが、本変形例のシステムのように、2つの特定制御状態を設定し、それらの間で変更可能に構成することもできる。本システムにおける2つの特定制御状態は、上記実施例に記載した乗り心地重視状態および接地性重視状態の2つである。つまり、本変形例においては、図4に示したS1とS2とを結んだ線上において、制御状態が変更され、目標制御状態S*は、次式に従って決定される。
*=(1−α)・S1+α・S2
本変形例のシステムにおいてはアクチュエータ26の制御は、図7のアクチュエータ制御プログラムに代わって実行されるところの図8にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが実行されることによって行われる。まず、S11,12において、重み付け係数αが決定される。重み付け係数αを決定するための指標は、上記実施例においては、接地荷重変動が採用されていたが、本変形例においては、バネ下速度Vgが採用される。つまり、重み付け係数αは、現時点から遡った設定時間内におけるバネ下速度の実効値VgRMSを算出して、そのバネ下速度実効値VgRMSに基づいて決定される。なお、そのバネ下速度Vgも、接地荷重変動と同様に、車両が走行する路面の状態、および、車両に発生している振動の状態の両者に関する指標として扱われている。図9は、バネ下速度実効値VgRMSと重み付け係数αとの関係を示す図である。本システムでは、このようにして決定された重み付け係数αに基づいて、目標制御状態S*におけるバネ上ゲインCsおよびバネ下ゲインCgが上記の式
*=(1−α)・S1+α・S2
に従って決定されるのである。なお、バネ下速度実効値VgRMSと重み付け係数αとの関係は、図5に示した接地荷重変動実効値fRMSと重み付け係数αとの関係と同様であるため、バネ下速度が高くなる状況に移行し始めた場合、つまり、車両が走行する路面が悪くなり始めた場合や車両に振動が発生し始めた場合に、制御状態が、乗り心地重視状態S1から接地性重視状態S2側に比較的大きくシフトされ、車両の操縦性,安定性が効果的に確保されることになる。
ii)第2変形例
本変形例は、上記第1変形例と同様に、2つの特定制御状態が設定され、それらの間で変更可能に構成されている。2つの特定制御状態は、上記実施例に記載した乗り心地重視状態および発電量重視状態の2つである。つまり、本変形例においては、図4に示したS1とS3とを結んだ線上において、制御状態が変更されるのであり、目標制御状態S*は、次式に従って決定されるのである。
*=(1−β)・S3+β・S1
ちなみに、上記乗り心地重視状態に代えて、接地性重視状態を採用してもよく、また、乗り心地重視状態と接地性重視状態との中間的な制御状態(図4に示したS1とS2とを結んだ線上の点で表される制御状態)、つまり、乗り心地と接地性とを含む車両の総合性能を重視して定められた総合性能重視状態としてもよい。
本変形例においてはアクチュエータ26の制御は、図7のアクチュエータ制御プログラムに代わって実行されるところの図10にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが実行されることによって行われる。まず、S21〜23において、重み付け係数βが決定される。重み付け係数βは、上記実施例の第2重み付け係数と同様に、充電量の平均値Eに基づいて決定され、その決定された重み付け係数βに基づいて、適切な制御状態である目標制御状態S*におけるバネ上ゲインCsおよびバネ下ゲインCgが上記の式
*=(1−β)・S3+β・S1
に従って決定される。
ただし、本変形例のシステムにおいては、充電量の平均値Eと第2重み付け係数βとの関係が、図6に示したものに代え、図11に示すような関係とされている。つまり、本変形例のシステムでは、この図に示すように、重み付け係数βは、現時点から遡った設定時間内において、充電量Eが増加しているか、減少しているかが判断され、増加していると判断された場合には上に凸な曲線上において変更され、減少している場合には下に凸な曲線上において変更される。したがって、本システムでは、充電量Eが増加傾向にある場合には、充電量Eが少ない状態であっても、制御状態が発電量重視状態S3から乗り心地重視状態S1側へ比較的大きくシフトされ、逆に、充電量Eが減少傾向にある場合には、充電量Eが多い状態であっても、制御状態が乗り心地重視状態S1から発電量重視状態S3側へ比較的大きくシフトされることになる。
(B)第2実施例
第2実施例の車両用サスペンションシステムは、そのハード構成が第1実施例のシステムと同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第1実施例のシステムと同じ機能の構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するものとする。本実施例のシステムは、第1実施例のシステムとはECU140による制御、詳しくは、ECU140による振動減衰制御が、第1実施例のシステムとは相違する。具体的には、第1実施例のシステムは、3つの特定制御状態が設定されていたが、本実施例のシステムにおいては、2つの特定制御状態が設定されて、その間で変更可能とされている。以下に、振動減衰制御における振動減衰成分の決定方法について詳しく説明する。
本実施例のシステムにおいて設定されている2つの特定制御状態のうち第1特定制御状態は、車両の乗り心地と車輪の接地性とのバランスが比較的良好な制御状態であり、乗り心地と接地性とを含む車両の総合性能を重視して定められた総合性能重視状態である。この総合性能重視状態は、バネ上ゲインCs1およびバネ下ゲインCg1が、その乗り心地と接地性とのバランスを考慮した値に設定された制御である。つまり、総合性能重視状態における振動減衰成分は、次式に従って決定される。
V=Cs1・Vs−Cg1・Vg
もう1つの特定制御状態である第2特定制御状態は、モータ54が専ら発電状態となる発電専用状態である。この発電専用状態は、バネ上部とバネ下部との相対動作の速度(ストローク速度)に応じた抵抗力を発生させる制御状態であり、バネ上ゲインとバネ下ゲインとが、同じ値で、かつ、モータ54の通電端子間を短絡させた場合における減衰係数より小さい値に設定された制御状態である。詳しくは、発電専用状態におけるバネ上ゲインCs2およびバネ下ゲインCg2は、短絡時において得られる減衰係数Cの1/2の大きさとされており、その状態における振動減衰成分は、次式に従って決定される。
V=(C/2)・(Vs−Vg)
なお、発電専用状態においては、バネ上ゲインCs2およびバネ下ゲインCg2が同じ値に設定されているため、バネ上部とバネ下部との振動がどのような向きであったとしても、それらの相対動作に対してしか減衰力が発生させられないことになる。また、設定されている減衰係数の値が、短絡時の減衰係数Cの1/2の大きさであるため、相対動作の速度、つまり、ストローク速度に対しての発電電力量は、どのような速度であっても最大となる。
本変形例のシステムでは、上記2つの特定制御状態の間で制御状態が変更されるのであり、詳しく言えば、目標制御状態において発生させるべき振動減衰成分は、それらの特定制御状態の振動減衰成分に対しての係数γによる重み付けによって、つまり、次式に従って決定される。
V=γ・(Cs1・Vs−Cg1・Vg)+(1−γ)・(C/2)・(Vs−Vg)
この重み付け係数γは、車両に発生している振動の状態,バッテリ150の充電状態に関する指標に基づいて変更される。具体的には、路面の状態および振動の状態の両者に関する指標として、バネ下速度Vgが採用され、現時点から遡った設定時間内におけるバネ下速度の実効値VgRMSを算出して、そのバネ下速度実効値VgRMSに基づいて、重み付け係数γが決定される。図12は、バネ下速度実効値VgRMSと重み付け係数γとの関係を示す図である。車輪に入力される振動の程度が激しい場合には、その振動を抑制するために総合性能重視状態とされることが望ましいため、本実施例においては、バネ下速度実効値VgRMSが大きいほど、重み付け係数γを1に近い値とすることで、制御状態が、発電専用状態より総合性能重視状態に近い制御状態とされるのである。
また、その重み付け係数γは、バッテリ150の充電状態に関する指標としてのバッテリ150の充電量Eに応じて、次式に従って補正されるようになっている。
γ=k・γ
図13は、充電量Eと補正係数kとの関係を示す図である。バッテリ150の充電量Eが少ない場合には、バッテリ150に回生される電力量が大きいことが望ましいため、本実施例においては、充電量Eが少なくなるほど、補正係数kを小さい値とするのである。つまり、本実施例においては、バネ下速度実効値が大きくても、充電量Eが小さい場合には、図9に一点鎖線で示すように、充電量Eが大きい場合に比較して、重み付け係数γが小さくされて、発電専用状態に近い制御状態とされるのである。
本実施例のシステムは、第1実施例と同様に、ECU140が、バネ上ゲインおよびバネ下ゲインを変更することで、アクチュエータ26の振動減衰制御における制御状態を、特定制御状態の間で変更する制御状態変更部を含んで構成されるものとなっている。そのため、本実施例のシステムは、アクチュエータの26の振動減衰制御における制御状態を、車両が現在置かれている状況に応じた適切な制御状態に変更することが可能とされているのである。
第1実施例の車両用サスペンションシステムの全体構成を示す模式図である。 図1に示すスプリング・アブソーバAssyを示す正面断面図である。 図2のアクチュエータが備える電磁モータの制御を行う駆動回路等の回路図である。 図1に示すサスペンション電子制御ユニットにおける振動減衰制御の制御状態を、バネ上速度対応ゲインとバネ下速度対応ゲインとを座標軸とした座標平面上の点として規定した図である。 振動減衰制御の制御状態を変更する制御に用いられる第1重み付け係数と、接地荷重変動の実効値との関係を示す図である。 振動減衰制御の制御状態を変更する制御に用いられる第2重み付け係数と、充電量との関係を示す図である。 図1に示すサスペンション電子制御ユニットによって実行されるアクチュエータ制御プログラムを表すフローチャートである。 第1変形例のサスペンションシステムのサスペンション電子制御ユニットによって実行されるアクチュエータ制御プログラムを表すフローチャートである。 振動減衰制御の制御状態を変更する制御に用いられる重み付け係数と、バネ下速度の実効値との関係を示す図である。 第2変形例のサスペンションシステムのサスペンション電子制御ユニットによって実行されるアクチュエータ制御プログラムを表すフローチャートである。 振動減衰制御の制御状態を変更する制御に用いられる重み付け係数と、充電量との関係を示す図である。 第2実施例の車両用サスペンションシステムにおける振動減衰制御の制御状態を変更する制御に用いられる重み付け係数と、バネ下速度の実効値との関係を示す図である。 図12に示す重み付け係数と、それを補正するための補正係数との関係を示す図である。
符号の説明
10:車両用サスペンションシステム 20:スプリング・アブソーバAssy 22:ロアアーム(バネ下部) 24:マウント部(バネ上部) 26:アクチュエータ 28:エアスプリング 50:ねじロッド(雄ねじ部) 52:ナット(雌ねじ部) 54:電磁モータ 80:エア給排装置 140:サスペンション電子制御ユニット(制御装置) 146:インバータ(駆動回路) 148:コンバータ 150:バッテリ 162:車速センサ 164:ストロークセンサ 170:操作角センサ 172:前後加速度センサ 174:横加速度センサ 176:縦加速度センサ(バネ上) 178:縦加速度センサ(バネ下) 184充電量センサ

Claims (14)

  1. バネ上部とバネ下部との間に配設されたサスペンションスプリングと、
    そのサスペンションスプリングと並設され、電磁モータを有してその電磁モータの力に依拠してバネ上部とバネ下部との相対移動に対する抵抗力および推進力を発生させる電磁式のショックアブソーバと、
    そのショックアブソーバの発生させる力であるアブソーバ力が、バネ上速度とバネ上速度に対応する制御ゲインであるバネ上速度対応ゲインとに基づいて決定されるバネ上速度依拠成分と、バネ下速度とバネ下速度に対応する制御ゲインであるバネ下速度対応ゲインとに基づいて決定されるバネ下速度依拠成分とを含む力となるように、前記ショックアブソーバを制御する制御装置と
    を備えた車両用サスペンションシステムであって、
    前記制御装置が、
    前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを変更することで、前記ショックアブソーバの制御状態を、それらバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインが特定の値に設定された複数の特定制御状態の間で変更する制御状態変更部を有することを特徴とする車両用サスペンションシステム。
  2. 前記複数の特定制御状態の少なくとも1つが、(a)車両の乗り心地が良好であることを重視して定められた乗り心地重視状態と、(b)車輪の接地性が良好であることを重視して定められた接地性重視状態と、(c)車両の乗り心地と車輪の接地性とを含む車両の総合性能を重視して定められた総合性能重視状態と、(d)前記電磁モータの発電電力量が大きくなることを重視して定められた発電量重視状態と、(e)前記電磁モータが専ら発電状態となる発電専用状態とから選ばれるいずれかとされた請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
  3. 前記制御状態変更部が、車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態,前記電磁モータと接続されている電源の充電状態のいずれかに関する1以上の指標に基づいて前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
  4. 前記制御状態変更部が、前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを、前記複数の特定制御状態の各々について設定されているバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値に対しての前記1以上の指標に基づく重み付けによって決定することで、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである請求項3に記載の車両用サスペンションシステム。
  5. 前記制御状態変更部が、前記ショックアブソーバの制御状態を、車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態,前記電磁モータと接続されている電源の充電状態のいずれかに関する指標に基づいて、それぞれが前記特定制御状態である第1特定制御状態と第2特定制御状態との間で変更するものである請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
  6. 前記制御状態変更部が、前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを、前記第1特定制御状態と前記第2特定制御状態との各々について設定されているバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値に対しての前記指標に基づく重み付けによって決定することで、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである請求項5に記載の車両用サスペンションシステム。
  7. 前記制御状態変更部が、前記指標の変化に対して決定される前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインが非線形的に変化するような規則に従った重み付けによって、前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを決定するものである請求項6に記載の車両用サスペンションシステム。
  8. 前記重み付けが、前記指標の値が大きくなる程、前記指標の変化に対する前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインの変化の勾配が大きくなるあるいは小さくなるような規則に従うものとされた請求項7に記載の車両用サスペンションシステム。
  9. 前記重み付けが、前記指標の値が増加する状況下と減少する状況下との一方において、前記指標の値が大きくなる程前記勾配が大きくなるような規則に従い、前記指標の値が増加する状況下と減少する状況下との他方において、前記指標の値が大きくなる程前記勾配が小さくなるような規則に従うものとされた請求項8に記載の車両用サスペンションシステム。
  10. 前記第1特定制御状態が、車両の乗り心地が良好であることを重視して定められた乗り心地重視状態とされるとともに、前記第2特定制御状態が、車輪の接地性が良好であることを重視して定められた接地性重視状態とされ、
    前記制御状態変更部が、前記指標としての車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態のいずれかに関する指標に基づいて、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである請求項5ないし請求項9のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
  11. 前記第1特定制御状態が、(a)車両の乗り心地が良好であることを重視して定められた乗り心地重視状態と、(b)車輪の接地性が良好であることを重視して定められた接地性重視状態と、(c)車両の乗り心地と車両の接地性とを含む車両の総合性能を重視して定められた総合性能重視状態とから選ばれるいずれかとされるとともに、前記第2特定制御状態が、(d)前記電磁モータの発電電力量が大きくなることを重視して定められた発電量重視状態と、(e)前記電磁モータが専ら発電状態となる発電専用状態とのいずれかとされ、
    前記制御状態変更部が、前記指標としての前記電磁モータと接続されている電源の充電状態に関する指標に基づいて、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである請求項5ないし請求項9のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
  12. 前記制御状態変更部が、前記ショックアブソーバの制御状態を、車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態,前記電磁モータと接続されている電源の充電状態のいずれかに関する2つの指標に基づいて、それぞれが前記特定制御状態である第1特定制御状態,第2特定制御状態,第3特定制御状態との間で変更するものである請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
  13. 前記制御状態変更部が、前記バネ上速度対応ゲインおよび前記バネ下速度対応ゲインを、前記第1特定制御状態と前記第2特定制御状態との各々について設定されているバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値に対しての前記2つの指標の一方に基づく第1の重み付けによって決定されるバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値と、前記第3特定制御状態について設定されているバネ上速度対応ゲインおよびバネ下速度対応ゲインの値とに対しての前記2つの指標の他方に基づく第2の重み付けによって決定することで、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである請求項12に記載の車両用サスペンションシステム。
  14. 前記第1特定制御状態と前記第2特定制御状態との一方が、車両の乗り心地が良好であることを重視して定められた乗り心地重視状態と、他方が、車輪の接地性が良好であることを重視して定められた接地性重視状態とされるとともに、前記第3特定制御状態が、前記電磁モータの発電電力量が大きくなることを重視して定められた発電量重視状態と前記電磁モータが専ら発電状態となる発電専用状態との一方とされ、
    前記制御状態変更部が、前記2つの指標の一方としての車両が走行する路面の状態,車両に発生している振動の状態のいずれかに関する指標に基づく前記第1の重み付けと、前記2つの指標の他方としての前記電磁モータと接続されている電源の充電状態に関する指標に基づく前記第2の重み付けとによって、前記ショックアブソーバの制御状態を変更するものである請求項13に記載の車両用サスペンションシステム。
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