JP2006077079A - 蛍光体の製造方法及び蛍光体並びにプラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】蛍光体や、プラズマディスプレイパネルの発光強度の向上を図る。
【解決手段】液相法により蛍光体の前駆体を形成する蛍光体の製造方法において、前駆体の形成開始から終了までの間若しくは終了直後に脱塩処理を行い、脱塩処理が施された前駆体に対して、酸素含有雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行い、さらに焼成処理が施された前駆体に対して弱還元性雰囲気中において所定の条件下で再度焼成処理を行う。
【選択図】図1
【解決手段】液相法により蛍光体の前駆体を形成する蛍光体の製造方法において、前駆体の形成開始から終了までの間若しくは終了直後に脱塩処理を行い、脱塩処理が施された前駆体に対して、酸素含有雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行い、さらに焼成処理が施された前駆体に対して弱還元性雰囲気中において所定の条件下で再度焼成処理を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、蛍光体の製造方法及び蛍光体並びにプラズマディスプレイパネルに係り、特に脱塩工程と共に、所定の条件下における複数の加熱工程を具備する蛍光体の製造方法及び蛍光体並びにプラズマディスプレイパネルに関する。
近年、CRT(Cathode Ray Tube)に代替する新たな映像表示方式を利用した表示装置として、液晶パネルを利用した液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)現象を利用したELディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(以下、PDP:Plasma Display Panel)を利用したプラズマディスプレイ等が開発されている。
このうち、プラズマディスプレイは、薄型軽量化、構造の簡素化及び大画面化を図ることが可能であると共に、視覚可能な範囲、いわゆる視野角が、水平及び垂直方向ともそれぞれ160度以上に及ぶため、液晶パネルと比較すると、上下左右の広範囲から鮮明な画像を見ることも可能である。また、ドットマトリックスによる固定画素での映像表示方式であるため、色ズレの発生や、画面の歪みを抑制し、大画面であっても高画質映像を映しだすことも可能である。
これらプラズマディスプレイに用いられるPDPは、電極を備えた2枚のガラス基板と、基板間に設けられた隔壁とによって形成される多数の放電セルが備えられ、これら放電セルの内部には、蛍光体が塗布された蛍光体層が形成されている。このように構成されたPDPは、電極間に電圧を印加して放電セルを選択的に放電させることによって、放電セルの内部に封入された放電ガスに起因する真空紫外線(以下、VUV:Vacuum Ultraviolet)を発生させ、このVUVにより、蛍光体が励起されて可視光を発光するようになっている。
上記した蛍光体の一般的な製造方法として、蛍光体母体を構成する元素を含む化合物と、賦活剤元素を含む化合物とを所定量混合した後に焼成して固体間反応を行う固相法と、蛍光体母体を構成する元素を含む蛍光体原料溶液と、賦活剤元素を含む蛍光体原料溶液とを混合し、得られた蛍光体前駆体沈殿を固液分離してから焼成を行う液相法とがある。
これらの製造方法のうち、固相法においては、固体間反応の結果、反応しない余剰の不純物や、反応によって生ずる副塩等が残留されて、化学量論的に高純度な蛍光体を得ることが困難であるために、得られる蛍光体の収率及び発光効率が低減されてしまうという問題が生じていた。また、固体間反応により、蛍光体粒子の径寸法を小さくすることが難しいために、比表面積を増大させて発光強度の向上を図ることが困難であることから、このような固相法よりも液相法の方が好適に利用されている。
一方、液相法によって得られる蛍光体の粒子は極めて小さく、洗浄又は固液分離等の各処理を行うことが困難であるため、粒子径及び粒子径分布の制御が困難となること、また、前駆体沈澱媒体中に存在する不純物又は副塩等が残留することにより、蛍光体の変色、焼成むら及びスパッタリング若しくはVUVの照射による蛍光体本体の損傷等が発生するという問題が生じている。
そこで、発光強度の向上を図ることが可能な蛍光体及びその製造方法として、液相法による蛍光体の製造方法において、前駆体形成開始から終了までの間に脱塩工程を具備することにより、反応しない余剰の不純物や、反応によって生ずる副塩等を除去する蛍光体の製造方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
また、製造安定性及び発光強度の向上を図ることが可能な蛍光体の製造方法として、液相法による蛍光体の製造方法において、蛍光体の前駆体を酸素雰囲気下で加熱する工程と、加熱後の蛍光体の前駆体を弱還元性雰囲気下で加熱する工程とを具備することにより、焼成前に、蛍光体原料の混合物中に残留している不純物や、副塩等を燃焼させる蛍光体の製造方法が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−171661号公報
特開2003−183643号公報
しかしながら、上記した蛍光体の製造方法では、不純物や、副塩等が十分に除去及び燃焼されないことで、蛍光体の変色や、焼成むら及びスパッタリング若しくはVUVの照射による蛍光体本体の損傷等に対して十分な効果が得られないため、発光強度が低下するという問題が生じている。
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、発光強度の向上を図ることが可能な蛍光体の製造方法及び蛍光体並びにプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る蛍光体の製造方法は、
液相法により蛍光体の前駆体を形成する蛍光体の製造方法において、
前記前駆体の形成開始から終了までの間若しくは終了直後に脱塩処理を行う脱塩工程と、
前記脱塩処理後の前駆体に対して酸素含有雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第1焼成工程と、
前記焼成処理後の前駆体に対して弱還元性雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第2焼成工程とを具備することを特徴とする。
液相法により蛍光体の前駆体を形成する蛍光体の製造方法において、
前記前駆体の形成開始から終了までの間若しくは終了直後に脱塩処理を行う脱塩工程と、
前記脱塩処理後の前駆体に対して酸素含有雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第1焼成工程と、
前記焼成処理後の前駆体に対して弱還元性雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第2焼成工程とを具備することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、液相法により蛍光体の前駆体を形成する蛍光体の製造方法において、前駆体の形成開始から終了までの間若しくは終了直後に脱塩処理を行う脱塩工程と、脱塩処理後の前駆体に対して酸素含有雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第1焼成工程と、焼成処理後の前駆体に対して弱還元性雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第2焼成工程とを具備するので、脱塩処理によって蛍光体原料の混合物中に存在する不純物又は副塩を除去した後、さらに所定の条件下で焼成処理を行うことにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物中に不純物又は副塩が残留している場合であっても、不純物又は副塩を確実に燃焼させることができる。
請求項2に記載の発明に係る蛍光体の製造方法は、前駆体形成終了時の電気伝導度が、0.01〜20mS/cmであることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、前駆体形成終了時の電気伝導度が、0.01〜20mS/cmであるので、前駆体形成終了時の電気伝導度を調整することにより、蛍光体原料の混合物中における不純物及び副塩の量を制御することができる。
請求項3に記載の発明に係る蛍光体の製造方法は、前記第1焼成工程の焼成温度が、1000〜1400℃であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、前記第1焼成工程の焼成温度が、1000〜1400℃であるので、第1焼成工程の焼成温度を調整することにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物に不純物又は副塩等が混合された場合においても、不純物又は副塩等をより確実に燃焼させることができる。
請求項4に記載の発明に係る蛍光体の製造方法は、前記第1焼成工程の焼成時間が、2〜6時間であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、前記第1焼成工程の焼成時間が、2〜6時間であるので、第1焼成工程の焼成時間を調整することにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物に不純物又は副塩等が混合された場合においても、不純物又は副塩等をより確実に燃焼させることができる。
請求項5に記載の発明に係る蛍光体の製造方法は、前記第2焼成工程の焼成温度が、800〜1400℃であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、前記第2焼成工程の焼成温度が、800〜1400℃であるので、第2焼成工程の焼成温度を調整することにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物に不純物又は副塩等が混合された場合においても、不純物又は副塩等をより確実に燃焼させることができる。
請求項6に記載の発明に係る蛍光体の製造方法は、前記第2焼成工程の焼成時間が、2〜6時間であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、前記第2焼成工程の焼成時間が、2〜6時間であるので、第2焼成工程の焼成時間を調整することにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物に不純物又は副塩が混合された場合においても、不純物又は副塩等をより確実に燃焼させることができる。
請求項7に記載の発明に係る蛍光体は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造方法により製造されているので、製造過程において不純物又は副塩等が確実に除去されることにより、化学量論的な純度の向上を図ることができる。
請求項8に記載の発明に係るプラズマディスプレイパネルは、請求項7に記載の蛍光体を用いて製造された放電セルを有することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の蛍光体を用いて製造された放電セルを有するので、放電セルの発光強度の向上を図ることができる。
請求項1に記載の発明によれば、液相法により蛍光体の前駆体を形成する蛍光体の製造方法において、前駆体の形成開始から終了までの間若しくは終了直後に脱塩処理を行う脱塩工程と、脱塩処理後の前駆体に対して酸素含有雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第1焼成工程と、焼成処理後の前駆体に対して弱還元性雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第2焼成工程とを具備するので、脱塩処理によって蛍光体原料の混合物中に存在する不純物又は副塩を除去した後、さらに所定の条件下で加熱することにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物中に不純物又は副塩が残留している場合であっても、不純物又は副塩等を確実に燃焼させることが可能となり、これによって、後続の焼成工程における蛍光体の変色や、焼成むら及びスパッタリング若しくはVUVの照射による蛍光体本体の損傷等を防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、前駆体形成終了時の電気伝導度が、0.01〜20mS/cmであるので、前駆体形成終了時の電気伝導度を調整することにより、蛍光体原料の混合物中における不純物及び副塩の量を制御することが可能となり、これによって、より好ましい効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、前記第1焼成工程の焼成温度が、1000〜1400℃であるので、前記第1焼成工程の焼成温度が、1000〜1400℃であるので、第1焼成工程の焼成温度を調整することにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物に不純物又は副塩が混合された場合においても、不純物又は副塩等をより確実に燃焼させることが可能となり、これによって、より好ましい効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、前記第1焼成工程の焼成時間が、2〜6時間であるので、第1焼成工程の焼成時間を調整することにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物に不純物又は副塩が混合された場合においても、不純物又は副塩等をより確実に燃焼させることが可能となり、これによって、より好ましい効果を得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、前記第2焼成工程の焼成温度が、800〜1400℃であるので、第2焼成工程の焼成温度を調整することにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物に不純物又は副塩が混合された場合においても、不純物又は副塩等をより確実に燃焼させることが可能となり、これによって、より好ましい効果を得ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、前記第2焼成工程の焼成時間が、2〜6時間であるので、第2焼成工程の焼成時間を調整することにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物に不純物又は副塩が混合された場合においても、不純物又は副塩等をより確実に燃焼させることが可能となり、これによって、より好ましい効果を得ることができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造方法により製造されているので、製造過程において不純物又は副塩等が除去されることにより、化学量論的な純度の向上を図ることが可能となり、これによって、蛍光体の発光強度の向上を図ることができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の蛍光体を用いて製造された放電セルを有するので、放電セルの発光強度の向上を図ることが可能となり、これによって、PDPの発光強度の向上を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1から図6を参照しながら、本発明に係る蛍光体の製造方法、蛍光体及びプラズマディスプレイパネルの詳細についてそれぞれ説明する。
まず始めに、本発明に係る蛍光体について説明する。
本発明に係る蛍光体は、表面層付近の組成により発光強度の影響を特に受けやすい真空紫外線励起蛍光体(以下、蛍光体)であって、前駆体形成工程において蛍光体粒子に対して脱塩処理が施された後、酸素雰囲気中において所定の条件下で焼成され、さらに弱還元性雰囲気中において所定の条件下で焼成されており、脱塩処理後に反応しない余剰の不純物や、反応によって生ずる副塩等が残留した場合であっても、不純物又は副塩等が均一かつ確実に燃焼されることによって、不純物又副塩等が除去され、蛍光体が効率的にVUVを受光することにより、発光強度の向上が図られている。より具体的には、脱塩処理が施された蛍光体粒子が、液相法により製造されており、前駆体形成終了時における電気伝導度が、0.01〜20mS/cmであることが好ましい。
まず始めに、本発明に係る蛍光体について説明する。
本発明に係る蛍光体は、表面層付近の組成により発光強度の影響を特に受けやすい真空紫外線励起蛍光体(以下、蛍光体)であって、前駆体形成工程において蛍光体粒子に対して脱塩処理が施された後、酸素雰囲気中において所定の条件下で焼成され、さらに弱還元性雰囲気中において所定の条件下で焼成されており、脱塩処理後に反応しない余剰の不純物や、反応によって生ずる副塩等が残留した場合であっても、不純物又は副塩等が均一かつ確実に燃焼されることによって、不純物又副塩等が除去され、蛍光体が効率的にVUVを受光することにより、発光強度の向上が図られている。より具体的には、脱塩処理が施された蛍光体粒子が、液相法により製造されており、前駆体形成終了時における電気伝導度が、0.01〜20mS/cmであることが好ましい。
なお、本発明に係る蛍光体の前駆体の形成終了時における電気伝導度は、0.01〜10mS/cmであることがより好ましく、0.01〜5mS/cmであることが特に好ましい。0.01mS/cm以下では特に効果が大きくなることがなく、生産性が低くなる。20mS/cm以上では不純物や副塩が充分に除去されていないために、本発明の効果が発現しないからである。
また、電気伝導度の測定方法は、従来公知の方法が適用可能であり、例えば、市販の電気伝導度測定器を使用することができる。
このような本発明に係る蛍光体として使用される無機蛍光体の具体的な化合物例を以下に示す。
[青色発光蛍光体化合物]
(BL−1) :Sr2P2O7:Sn4+
(BL−2) :Sr4Al14O25:Eu2+
(BL−3) :BaMgAl10O17:Eu2+
(BL−4) :SrGa2S4:Ce3+
(BL−5) :CaGa2S4:Ce3+
(BL−6) :(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17:Eu2+
(BL−7) :(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+
(BL−8) :ZnS:Ag
(BL−9) :CaWO4
(BL−10):Y2SiO5:Ce
(BL−11):ZnS:Ag,Ga,Cl
(BL−12):Ca2B5O9Cl:Eu2+
(BL−13):BaMgAl14O23:Eu2+
(BL−14):BaMgAl10O17:Eu2+,Tb3+,Sm2+
(BL−15):BaMgAl14O23:Sm2+
(BL−16):Ba2Mg2Al12O22:Eu2+
(BL−17):Ba2Mg4Al8O18:Eu2+
(BL−18):Ba3Mg5Al18O35:Eu2+
(BL−19):(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al10O17:Eu2+
[青色発光蛍光体化合物]
(BL−1) :Sr2P2O7:Sn4+
(BL−2) :Sr4Al14O25:Eu2+
(BL−3) :BaMgAl10O17:Eu2+
(BL−4) :SrGa2S4:Ce3+
(BL−5) :CaGa2S4:Ce3+
(BL−6) :(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17:Eu2+
(BL−7) :(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+
(BL−8) :ZnS:Ag
(BL−9) :CaWO4
(BL−10):Y2SiO5:Ce
(BL−11):ZnS:Ag,Ga,Cl
(BL−12):Ca2B5O9Cl:Eu2+
(BL−13):BaMgAl14O23:Eu2+
(BL−14):BaMgAl10O17:Eu2+,Tb3+,Sm2+
(BL−15):BaMgAl14O23:Sm2+
(BL−16):Ba2Mg2Al12O22:Eu2+
(BL−17):Ba2Mg4Al8O18:Eu2+
(BL−18):Ba3Mg5Al18O35:Eu2+
(BL−19):(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al10O17:Eu2+
[緑色発光蛍光体化合物]
(GL−1) :(Ba,Mg)Al16O27:Eu2+,Mn2+
(GL−2) :Sr4Al14O25:Eu2+
(GL−3) :(Sr,Ba)Al2Si2O8:Eu2+
(GL−4) :(Ba,Mg)2SiO4:Eu2+
(GL−5) :Y2SiO5:Ce3+,Tb3+
(GL−6) :Sr2P2O7−Sr2B2O5:Eu2+
(GL−7) :(Ba,Ca,Mg)5(PO4)3Cl:Eu2+
(GL−8) :Sr2Si3O8−2SrCl2:Eu2+
(GL−9) :Zr2SiO4,MgAl11O19:Ce3+,Tb3+
(GL−10):Ba2SiO4:Eu2+
(GL−11):ZnS:Cu,Al
(GL−12):(Zn,Cd)S:Cu,Al
(GL−13):ZnS:Cu,Au,Al
(GL−14):Zn2SiO4:Mn2+
(GL−15):ZnS:Ag,Cu
(GL−16):(Zn,Cd)S:Cu
(GL−17):ZnS:Cu
(GL−18):Gd2O2S:Tb
(GL−19):La2O2S:Tb
(GL−20):Y2SiO5:Ce,Tb
(GL−21):Zn2GeO4:Mn
(GL−22):CeMgAl11O19:Tb
(GL−23):SrGa2S4:Eu2+
(GL−24):ZnS:Cu,Co
(GL−25):MgO・nB2O3:Ce,Tb
(GL−26):LaOBr:Tb,Tm
(GL−27):La2O2S:Tb
(GL−28):SrGa2S4:Eu2+,Tb3+,Sm2+
(GL−1) :(Ba,Mg)Al16O27:Eu2+,Mn2+
(GL−2) :Sr4Al14O25:Eu2+
(GL−3) :(Sr,Ba)Al2Si2O8:Eu2+
(GL−4) :(Ba,Mg)2SiO4:Eu2+
(GL−5) :Y2SiO5:Ce3+,Tb3+
(GL−6) :Sr2P2O7−Sr2B2O5:Eu2+
(GL−7) :(Ba,Ca,Mg)5(PO4)3Cl:Eu2+
(GL−8) :Sr2Si3O8−2SrCl2:Eu2+
(GL−9) :Zr2SiO4,MgAl11O19:Ce3+,Tb3+
(GL−10):Ba2SiO4:Eu2+
(GL−11):ZnS:Cu,Al
(GL−12):(Zn,Cd)S:Cu,Al
(GL−13):ZnS:Cu,Au,Al
(GL−14):Zn2SiO4:Mn2+
(GL−15):ZnS:Ag,Cu
(GL−16):(Zn,Cd)S:Cu
(GL−17):ZnS:Cu
(GL−18):Gd2O2S:Tb
(GL−19):La2O2S:Tb
(GL−20):Y2SiO5:Ce,Tb
(GL−21):Zn2GeO4:Mn
(GL−22):CeMgAl11O19:Tb
(GL−23):SrGa2S4:Eu2+
(GL−24):ZnS:Cu,Co
(GL−25):MgO・nB2O3:Ce,Tb
(GL−26):LaOBr:Tb,Tm
(GL−27):La2O2S:Tb
(GL−28):SrGa2S4:Eu2+,Tb3+,Sm2+
[赤色発光蛍光体化合物]
(RL−1) :Y2O2S:Eu3+
(RL−2) :(Ba,Mg)2SiO4:Eu3+
(RL−3) :Ca2Y8(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−4) :LiY9(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−5) :(Ba,Mg)Al16O27:Eu3+
(RL−6) :(Ba,Ca,Mg)5(PO4)3Cl:Eu3+
(RL−7) :YVO4:Eu3+
(RL−8) :YVO4:Eu3+,Bi3+
(RL−9) :CaS:Eu3+
(RL−10):Y2O3:Eu3+
(RL−11):3.5MgO,0.5MgF2GeO2:Mn
(RL−12):YAlO3:Eu3+
(RL−13):YBO3:Eu3+
(RL−14):(Y,Gd)BO3:Eu3+
(RL−1) :Y2O2S:Eu3+
(RL−2) :(Ba,Mg)2SiO4:Eu3+
(RL−3) :Ca2Y8(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−4) :LiY9(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−5) :(Ba,Mg)Al16O27:Eu3+
(RL−6) :(Ba,Ca,Mg)5(PO4)3Cl:Eu3+
(RL−7) :YVO4:Eu3+
(RL−8) :YVO4:Eu3+,Bi3+
(RL−9) :CaS:Eu3+
(RL−10):Y2O3:Eu3+
(RL−11):3.5MgO,0.5MgF2GeO2:Mn
(RL−12):YAlO3:Eu3+
(RL−13):YBO3:Eu3+
(RL−14):(Y,Gd)BO3:Eu3+
なお、本発明に係る蛍光体には、上記(GL−14)Zn2SiO4:Mn2+の適用が好ましい。
次に、上述した蛍光体の製造方法について説明する。
本発明に係る蛍光体の製造方法は、蛍光体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、前駆体形成工程により得られた前駆体を焼成して蛍光体粒子を得る焼成工程と、焼成工程において得られた蛍光体粒子の表面にエッチング処理を施して不純物等を除去する表面処理工程とから構成される。
本発明に係る蛍光体の製造方法は、蛍光体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、前駆体形成工程により得られた前駆体を焼成して蛍光体粒子を得る焼成工程と、焼成工程において得られた蛍光体粒子の表面にエッチング処理を施して不純物等を除去する表面処理工程とから構成される。
まず始めに、前駆体形成工程について説明する。
前駆体形成工程では、液相法により蛍光体の中間生成物である前駆体が合成され、後続の焼成工程において、前駆体が所定の温度で焼成されることにより、蛍光体粒子を得ることができる。
前駆体形成工程では、液相法により蛍光体の中間生成物である前駆体が合成され、後続の焼成工程において、前駆体が所定の温度で焼成されることにより、蛍光体粒子を得ることができる。
液相法とは、液体の存在下又は液中で前駆体を合成する方法のことであり、液相合成法とも呼ばれる。液相法では、蛍光体原料を液相中で反応させるので、蛍光体を構成する元素イオン間での反応が行われ、化学量論的に高純度な蛍光体が得やすい。また、固相間反応と粉砕工程とを繰り返し行いながら蛍光体を製造する固相法と比較して、粉砕工程を行わずに微少な粒径の粒子を得ることが可能であるため、粉砕時にかかる応力による結晶中の格子欠陥を防ぎ、発光効率の低下を防止することができる。
なお、本実施形態における液相法には、冷却晶析を代表とする一般的な晶析法や、ゾルゲル法が用いられるが、特に反応晶析法を好ましく用いることができる。
ゾルゲル法による無機蛍光体の前駆体の製造方法とは、一般的には母体、賦活剤又は共賦活剤として、例えばSi(OCH3)4や、Eu3+(CH3COCHCOCH3)3等の金属アルコキシド、Al(OC4H9)3の2−ブタノール溶液に金属マグネシウムを加えて作るMg[Al(OC4H9)3]2等の金属錯体又はそれらの有機溶媒溶液に金属単体を加えて作るダブルアルコキシド、金属ハロゲン化物、有機酸の金属塩又は金属単体を用いて、これらを必要量混合し、熱的又は化学的に重縮合することによる製造方法を意味する。
反応晶析法による無機蛍光体の前駆体の製造方法とは、晶析現象を利用して、蛍光体の原料となる元素を含む溶液若しくは原料ガスを、液相又は気相中で混合させることによって前駆体を作製する方法のことである。ここで、晶析現象とは、冷却、蒸発、pH調節、濃縮等による物理的若しくは化学的な環境の変化、または化学反応により混合系の状態に変化を生じる場合等に液相中から固相が析出してくる現象のことをいい、反応晶析法においては、このような晶析現象の発生に起因する物理的、化学的操作による製造方法を意味する。
なお、反応晶析法を適用する際の溶媒は、反応原料が溶解すれば何れの溶液も適用可能であるが、過飽和度に対する制御の容易性の観点から、水が好ましい。また、複数の反応原料を用いる場合、原料を添加する順序は、同時であっても異なっていてもよく、活性に応じて適切な順序を適宜選択することが可能である。
さらに、前駆体の形成においては、より微少で粒径分布の狭い蛍光体を製造するために、反応晶析法を含め、2液以上の原料溶液を保護コロイドの存在下で貧溶媒中に液中添加することが好ましい。
本実施形態における反応晶析法には、図1に示すように、具備された複数の流路の形態が、平面視においてY字型となる、いわゆるY字型反応装置1が用いられる。このうち、Y字型反応装置1には、一の蛍光体原料溶液Aが貯留される第1タンク2と、他の蛍光体原料溶液Bが貯留される第2タンク3とが備えられており、第1タンク2及び第2タンク3には、第1流路4及び第2流路5の一端がそれぞれ接続されている。これら第1流路4及び第2流路5の中途部には、各蛍光体原料溶液A,Bを供給するためのポンプP1,P2がそれぞれ設けられている。また、各流路4,5の他端は、接続部Cを介して第3流路6が接続されており、接続部Cにおいて、各流路4,5を介して連続的に供給される蛍光体原料溶液A,Bが衝突及び混合されるようになっている。
第3流路6は、混合後の混合溶液を、第3流路6の吐出口の下方に設置された熟成用容器7に連続的に供給するようになっており、第1流路4及び第2流路5によって供給される各溶液の流速よりも、混合溶液の流速の方が大きくなるようになっている。
熟成用容器7には、内部に貯留される混合溶液を撹拌するための撹拌翼8が具備され、この撹拌翼8は、回転動力源である駆動装置9と接続されている。
Y字型反応装置1に隣接する位置には、混合溶液中の不純物や、副塩等を分離させるための限外濾過装置10が設けられている。この限外濾過装置10には、熟成用容器7に貯留された混合溶液を限外濾過装置10に導入するための吸引管11の一端と、濾過処理された混合溶液を再度熟成用容器7に導入するための排出管12の一端とが接続されており、吸引管11及び排出管12の他端は、熟成用容器7の内部空間における任意の位置に配置されている。
なお、使用される製造装置は、Y字型反応装置1に限定されず、流路の形態のみが相違し、平面視においてT字型となる、いわゆるT字型製造装置であってもよい。
第1、第2及び第3流路4,5,6は、円筒形状に成型されており、各流路4,5,6の径寸法は、約1mmに形成されている。
なお、第3流路6の径寸法及び長さは、本実施形態に限定されず、接続部Cにおける衝突混合によって即時に形成される粒子が、ほぼ安定状態となるまでの時間、いわゆる安定時間を満すことが可能であれば、何れの径寸法及び長さであってもよい。ここで、本実施例における安定時間は、0.001秒以上と設定されている。
また、Y字型反応装置1の内部を移動しながら滞留する時間、いわゆる移動時間は、0.001秒以上が好ましく、0.01秒以上がより好ましく、0.1秒以上が特に好ましい。
さらに、ポンプP1,P2は、従来公知のポンプであれば何れのポンプも適用可能であるが、無脈動ポンプであることが好ましい。
さらに、接続部Cには、動的撹拌機構が具備されていないが、本実施形態に限定されず、目的に応じて、撹拌翼等の動的撹拌機構が具備されていてもよい。
さらに、各蛍光体原料溶液A,Bは、第1流路2及び第2流路3を介して供給されるに当たり、接続部Cの周辺における逆流を防止し、より均一な混合を行わせるために、実質的に乱流であることが好ましい。
また、蛍光体の種類により、反応中の温度、添加速度、攪拌速度、pH等、諸物性を調整することがより好ましく、反応中に超音波を照射してもよい。また、粒径制御のために界面活性剤やポリマーなどを添加してもよい。さらに、原料を添加した後、必要に応じて溶液の濃縮及び熟成、あるいは濃縮若しくは熟成のいずれか一方のみを行ってもよい。
保護コロイドは、微粒子化した前駆体粒子同士の凝集を防ぐために機能するもので、天然、人工を問わず各種高分子化合物を用いることができるが、中でもタンパク質を好ましく使用することができる。
なお、タンパク質としては、例えば、ゼラチン、水溶性タンパク質、水溶性糖タンパク質が挙げられる。具体的には、アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質、遺伝子工学的に合成されたタンパク質等を挙げることができる。
また、ゼラチンとしては、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンを挙げることができ、これらを併用してもよい。さらに、これらのゼラチンの加水分解物、これらのゼラチンの酵素分解物を用いてもよい。
保護コロイドは、単一の組成である必要はなく、各種バインダを混合してもよい。具体的には、例えば、上記したゼラチンと、他の高分子とのグラフトポリマーを用いることができる。
なお、保護コロイドの平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、10,000〜300,000であることがより好ましく、10,000〜30,000であることが特に好ましい。また、保護コロイドは、原料溶液の一つ以上に添加することができ、原料溶液の全てに添加してもよく、保護コロイドを添加する量や、反応液の添加速度により、前駆体の粒径を制御することができる。
また、焼成後の蛍光体粒子の粒径、粒径分布、発光特性等の蛍光体の諸特性は、前駆体の性状に大きく左右されるため、前駆体形成工程において、前駆体の粒径制御を行うことにより、前駆体を十分小さくすることが好ましい。また、前駆体を微粒子化すると、前駆体同士の凝集が起こり易くなるため、保護コロイドを添加することにより前駆体同士の凝集を防いだ上で、前駆体を合成することは極めて有効であり、粒径制御が容易になる。なお、保護コロイドの存在下で反応を行う場合には、前駆体の粒径分布の制御や副塩等の不純物排除に十分配慮することが必要である。
上述した前駆体工程において、前駆体形成開始から終了までの間に、一定時間、脱塩工程が行われる。この脱塩工程は、前駆体から副塩などの不純物を取り除くための工程であり、各種膜分離法、凝集沈降法、電気透析法、イオン交換樹脂を用いた方法、ヌーデル水洗法などが適用可能であるが、限外濾過膜を用いた方法により行われることが好ましい。
なお、脱塩工程の時期は、本実施形態に限定されず、前駆体形成終了直後に行われてもよい。また、原料の反応具合に応じて、複数回行われてもよい。
さらに、脱塩工程後、さらに乾燥工程を行ってもよい。乾燥工程は、脱塩工程後に行われることが好ましく、真空乾燥、気流乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥等の何れの方法も適用可能である。乾燥温度は、特に限定されないが、使用される溶媒が気化する温度付近以上の温度であることが好ましく、乾燥温度が高過ぎると、乾燥と同時に焼成が施されて、後続の焼成処理が行われることなく蛍光体が得られるため、50〜300℃であることがより好ましい。
次に、焼成工程について説明する。
本実施形態で用いられる希土類ホウ酸塩蛍光体、珪酸塩蛍光体及びアルミン酸蛍光体等は、各々の前駆体が焼成工程において焼成処理されることにより得られる。本発明では、この焼成工程が、第1焼成工程と、第2焼成工程とに分かれており、以下、第1及び第2焼成工程の条件についてそれぞれ説明する。
本実施形態で用いられる希土類ホウ酸塩蛍光体、珪酸塩蛍光体及びアルミン酸蛍光体等は、各々の前駆体が焼成工程において焼成処理されることにより得られる。本発明では、この焼成工程が、第1焼成工程と、第2焼成工程とに分かれており、以下、第1及び第2焼成工程の条件についてそれぞれ説明する。
第1焼成工程では、酸素を含有する雰囲気中において、前駆体に対して焼成処理が行われる。なお、この時の雰囲気は、酸素濃度が1〜50%であることが好ましく、10〜30%であることがより好ましい。
また、第1焼成工程における焼成温度は、1000〜1400℃であることが好ましいが、1100〜1300℃であることがより好ましい。さらに、焼成時間は、2〜6時間であることが好ましいが、2〜4時間であることがより好ましい。
一方、第2焼成工程では、弱還元性の雰囲気中において、加熱後の蛍光体に対して焼成処理が行われる。なお、この時の雰囲気は、酸素濃度が100ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましい。
以上のように、第2焼成工程における雰囲気は、酸素濃度が小さい程好ましいが、酸素が存在しない場合においては、水素濃度が0.1〜10%で、残りの成分がすべて窒素である混合ガスが好ましく、水素濃度が0.1〜5%で、残りの成分がすべて窒素である混合ガスがより好ましい。
以上のように、第2焼成工程における雰囲気は、酸素濃度が小さい程好ましいが、酸素が存在しない場合においては、水素濃度が0.1〜10%で、残りの成分がすべて窒素である混合ガスが好ましく、水素濃度が0.1〜5%で、残りの成分がすべて窒素である混合ガスがより好ましい。
さらに、第2焼成工程における焼成温度は、800〜1400℃であることが好ましいが、900〜1200℃であることがより好ましい。さらに、焼成時間は、2〜6時間であることが好ましいが、2〜4時間であることがより好ましい。
焼成装置又は焼成容器には、従来公知の装置又は容器が適用可能であり、箱型炉、坩堝炉、円柱管型、ボート型、ロータリーキルン等の装置が好ましく用いられる。
また、焼成時には、必要に応じて焼結防止剤が添加されてもよい。焼結防止剤を添加する場合は、前駆体形成時にスラリーとして添加されてもよく、粉状の焼結防止剤を乾燥済前駆体と混合させて焼成されてもよい。
焼結防止剤は、特に限定されず、蛍光体の種類や、焼成条件によって適宜選択される。例えば、蛍光体の焼成温度域により、800℃以下での焼成にはTiO2等の金属酸化物が、1000℃以下での焼成にはSiO2が、1700℃以下での焼成にはAl2O3が、それぞれ好ましく使用される。
なお、各焼成工程の後に、必要に応じて還元処理又は酸化処理等が施されてもよい。また、第2焼成工程の後に、冷却処理、表面処理、分散処理等が施されてもよく、分級処理が行われてもよい。
冷却処理は、焼成工程で得られた焼成物を冷却させる処理であり、これら焼成物を焼成装置に充填したまま冷却させることが可能である。また、冷却処理は、特に限定されないが、放置により温度低下させる方法や、冷却機を用いて温度制御しながら強制的に温度低下させる方法等の従来公知の冷却方法から適宜選択することが可能である。
表面処理は、焼成工程で得られた焼成物の表面を吸着又は被覆等させる処理であり、どの時点で表面処理が行われるのかについては、その目的によって異なり、適宜選択することが可能である。例えば、後続の分散処理前における何れかの時点において、Si、Ti、Al、Zr、Zn、In、Snから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物で蛍光体の表面を被覆すると、分散処理時における蛍光体の結晶性の低下を抑制でき、さらに蛍光体の表面欠陥に励起エネルギーが捕獲されることを防止することにより、発光強度の低下を抑制できる。また、分散処理工程後の何れかの時点で有機高分子化合物等により蛍光体の表面を被覆すると、耐候性等の特性が向上し、耐久性に優れた蛍光体を得ることができる。なお、これら表面処理を行う際の被覆層の厚さや、被覆率等は、適宜任意に制御することができる。
分散処理は、焼成工程で得られた焼成物を微粒化させる処理であり、例えば高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、またはボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミルなど媒体メディアを装置内で運動させ、その衝突及び剪断力の両方により微粒化する装置、またはカッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等の装置が用いられる。
このうち、本発明では、特にメディアである媒体を使用する湿式メディア型分散機を使用することが好ましく、連続的に分散処理が可能な連続式湿式メディア型分散機を使用することがより好ましい。また、複数の連続式、湿式メディア型分散機を直列に接続する態様等も適用可能である。
ここで、「連続的に分散処理が可能」とは、少なくとも蛍光体及び分散媒体を、時間当たり一定の量比で途切れることなく分散機に供給しながら分散処理すると同時に、分散機内で製造された分散物を供給に押し出される形で途切れることなく分散機より吐出する形態を意味する。蛍光体の製造方法における分散処理にメディアである媒体を使用する湿式メディア型分散機を用いる場合には、その分散室容器、いわゆるベッセルは、縦型でも横型でも適宜選択することが可能である。
最後に、表面処理工程について説明する。
本発明に係る蛍光体には、電界発光型蛍光体のように、表面の凸部により発光強度を向上させるという役割がないため、蛍光体粒子を蛍光体層に密に充填するという観点及び蛍光体粒子の表面に対して均一にエッチング処理を施すという観点から、粒子表面における凸部が少ない、または凸部がない蛍光体粒子に対してエッチング処理を施すことが好ましく、本実施形態における表面処理は、エッチング処理によって行われる。
本発明に係る蛍光体には、電界発光型蛍光体のように、表面の凸部により発光強度を向上させるという役割がないため、蛍光体粒子を蛍光体層に密に充填するという観点及び蛍光体粒子の表面に対して均一にエッチング処理を施すという観点から、粒子表面における凸部が少ない、または凸部がない蛍光体粒子に対してエッチング処理を施すことが好ましく、本実施形態における表面処理は、エッチング処理によって行われる。
なお、蛍光体粒子の表面の不純物等に応じて適宜選択することが可能であり、例えば、微粒子や、イオンスパッタ等により、表面を削る物理的な方法であってもよいが、エッチング液に蛍光体粒子を浸して表面の不純物等を溶解する等の化学的な方法が効果的である。この際、エッチング液が蛍光体粒子本体を侵食すると発光強度は低くなってしまうため、エッチングは注意深く行う必要がある。
エッチング処理には、上述したY字型反応装置1が適用可能であるが、Y字型反応装置1に限定されず、図2に示すように、一般的な反応装置21であってもよいし、図3に示すように、母液中に2種類の反応溶液を別々のノズルで同時に添加するダブルジェット法を利用したダブルジェット反応装置31であってもよい。
図2に示す反応装置21には、タンク22が備えられており、このタンク22に貯留されたエッチング液が、ポンプP3により、流路23を介して、反応容器24に貯留された蛍光体分散溶液に添加されるようになっている。また、上記したY字型反応装置1と同様に、駆動装置25に接続された撹拌翼26が具備されており、混合後の溶液を撹拌するようになっている。
また、図3に示すダブルジェット反応装置31には、第1タンク32と、第2タンク33とが備えられており、これら第1タンク32及び第2タンク33には、第1流路34及び第2流路35の一端がそれぞれ接続されている。また、第1流路34及び第2流路35の中途部には、ポンプP4,P5がそれぞれ設けられている。
第1流路34及び第2流路35の他端は、反応容器36とそれぞれ連通されており、第1タンク32及び第2タンク33に貯留された溶液が供給されるようになっている。また、反応容器36には、駆動装置37と接続された撹拌翼38が具備されており、混合後の溶液を撹拌するようになっている。
なお、撹拌時間は、酸の添加が終了した後、5分以上2時間未満であることが好ましく、20分以上1時間未満であることがより好ましい。この範囲を外れると、発光強度が低下してしまうからである。
さらに、エッチング液の添加量は、蛍光体1g当たり0.001〜0.005molであることが好ましく、約0.002molであることがより好ましい。
さらに、エッチング液の添加速度は、蛍光体の比表面積1m2当たり1.2×10-16〜7.0×10-15mol/minであることが好ましく、2.0×10-16〜5.0×10-15mol/minであることがより好ましい。
さらに、エッチング液の温度は、20〜60℃であることが好ましく、30〜50℃であることがより好ましい。
さらに、エッチング液の種類は、不純物等に応じて決定され、酸性若しくはアルカリ性であってもよく、水溶液若しくは有機溶剤であってもよい。この際、酸性の水溶液を用いた場合には、効果が顕著に現れるため、特に強酸が用いられることが好ましい。
なお、強酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、過塩素酸等が適用可能であるが、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
強酸は、濃度が高くなるにつれて、溶出する物質の濃度が高くなり、エッチング処理中に除去した物質が粒子表面に再吸着するおそれ生じると共に、除去される蛍光体粒子の表面層の量が増加するため、工業的効率が低下する。また、エッチングの際に濃度局在が起こりやすくなり、粒子間にエッチング処理を均一に施すことが困難となり、発光強度に対する効果は低くなる。
一方、強酸の濃度を薄くすると蛍光体粒子表面の不純物等を除去する量が少なくなり粒子表面に不純物等が残存する結果、発光強度における効果が低減する。
また、蛍光体粒子に対してエッチング処理に必要な強酸の液量が増加することから工業的に取り扱いが困難になる。したがって、強酸の濃度は状況に応じて最も好ましい値に調整することが望ましい。
これら強酸がエッチング液に用いられた場合、そのエッチング液の濃度は、0.001N以上6N未満であることが好ましく、0.001N以上2.5N未満であることがより好ましく、0.001N以上0.25N未満であることが特に好ましい。0.001N以上6N未満の強酸を用いてエッチング処理を施すことにより所望の効果を得ることができ、特に0.001N以上0.25N未満の強酸を用いると、不純物のみを効率的に溶解することができ、溶出する物質の濃度が低く、粒子表面に除去した物質の再吸着が困難になる。また、エッチングの際に、強酸の濃度局在を抑制させることができ、粒子表面を均一にエッチング処理させることができる。
例えば、塩酸を用いてZn2SiO4:Mn2+に対してエッチング処理を施した場合、下記の反応式に従って、Zn2SiO4が塩酸に溶解し、蛍光体粒子の表面層が除去される。
Zn2SiO4+4HCl→2ZnCl2+SiO2+2H2O
Zn2SiO4+4HCl→2ZnCl2+SiO2+2H2O
上記の反応式より、蛍光体の単位モルあたりに反応させる強酸の量を変化させることにより、溶解されるZn2SiO4量、すなわちエッチング処理により除去される量をコントロールすることが可能であることが分かる。例えば、1molの蛍光体粒子の2%を溶解させたい場合、すなわちエッチング処理により除去したい場合、0.08molの塩酸と反応させればよい。
なお、エッチング処理により蛍光体粒子の表面を溶解させて除去する量は、蛍光体粒子の1.5mol%以上20mol%未満であることが好ましい。また、エッチング後は、水洗処理等を行い、エッチング液を除去することが好ましい。
以上より、本発明に係る蛍光体の製造方法は、液相法により蛍光体の前駆体を形成する蛍光体の製造方法において、前駆体の形成開始から終了までの間若しくは終了直後に脱塩処理を行う脱塩工程と、脱塩処理後の前駆体に対して酸素含有雰囲気下において一定温度で焼成処理を行う第1焼成工程と、焼成処理後の前駆体に対して弱還元性雰囲気下において一定温度で焼成処理を行う第2焼成工程とを具備するので、脱塩処理によって蛍光体原料の混合物中に存在する不純物又は副塩を除去した後、さらに所定の条件下で焼成処理を行うことにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物中に不純物又は副塩が残留している場合であっても、不純物又は副塩を確実に燃焼させることが可能となり、これによって、蛍光体の変色や、焼成むら及びスパッタリング若しくはVUVの照射による蛍光体本体の損傷等を防止することができる。
また、本発明に係る蛍光体の製造方法により製造された蛍光体は、製造過程において不純物や、副塩等を除去することにより、化学量論的な純度の向上を図ることが可能となり、これによって、蛍光体の発光強度の向上を図ることができる。
最後に、上述した蛍光体を利用したPDPについて説明する。
一般的に、PDPは、電極の構造及び動作モードから、直流電圧を印加するDC型と、交流電圧を印加するAC型とに大別されるが、本実施形態では、図4に示すようなAC型のPDPを参照しながら、以下詳細について説明する。
一般的に、PDPは、電極の構造及び動作モードから、直流電圧を印加するDC型と、交流電圧を印加するAC型とに大別されるが、本実施形態では、図4に示すようなAC型のPDPを参照しながら、以下詳細について説明する。
本実施形態におけるPDP101は、図4に示すように、平板状に成型された前面板102と、前面板102と略同一形状であって、前面板102の一面と対向する位置に配置された背面板103とを備えて構成されている。これら基板102,103のうち、前面板102は、放電セルから発せられる可視光を透過し、基板上に各種の情報表示を行うようになっており、PDP101の表示画面として機能する。
この前面板102には、ソーダライムガラス、いわゆる青板ガラス等の可視光を透過する材料が好適に用いられ、その厚さ寸法は、1〜8mmの範囲が好ましく、2mmであることがより好ましい。
また、前面板102には、前面板102の背面板103と対向する面に複数の表示電極104が、一定の間隔毎に配置されている。これら表示電極104には、幅広の帯状に形成された透明電極105と、透明電極105と同一形状に形成されたバス電極106とが備えられ、透明電極105の上面に、バス電極106が積層された構造となっている。
表示電極104は、平面視において隔壁112と直交しており、所定の放電ギャップを設けて対向する位置関係に配置された2つで一組となっている。
透明電極105としては、ネサ膜等の透明電極が適用可能であり、そのシート抵抗は、100Ω以下であることが好ましい。また、透明電極5の幅寸法は、10〜200μmの範囲が好ましい。
バス電極106は、抵抗を下げるためのものであり、Cr/Cu/Crのスパッタリング等により形成される。また、バス電極106の幅寸法は、透明電極105よりも小さく形成されており、5〜50μmの範囲が好ましい。
前面板102に配設された表示電極104は、その表面全体が誘電体層107により被覆されている。この誘電体層7は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することが可能であり、厚さ寸法は、20〜30μmの範囲が好ましい。
誘電体層107の上面は、その表面全体が保護層108により被覆されている。この保護層108は、MgO膜が適用可能であり、その厚さ寸法は、0.5〜50μmの範囲が好ましい。
一方、前面板102の一面と対向する位置に配置された背面板103は、前面板102と同様に、ソーダライムガラス、いわゆる青板ガラス等が適用可能であり、その厚さ寸法は、1〜8mmの範囲が好ましく、2mm程度がより好ましい。
この背面板103の前面板102と対向する面には、複数のアドレス電極109が配設されている。これらアドレス電極109は、透明電極105及びバス電極106と同一の形状に形成されており、平面視において、上記した表示電極104と直交するように、一定の間隔毎に設けられている。また、アドレス電極109は、Ag厚膜電極等の金属電極が適用可能であり、その幅寸法は、100〜200μmの範囲が好ましい。
さらに、アドレス電極109は、その表面全体が誘電体層110により被覆されており、この誘電体層110は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することが可能であり、その厚さ寸法は、20〜30μmの範囲が好ましい。
誘電体層110の上面には、背面板3に対して垂直方向に突出した形状の隔壁111が配設されている。これら隔壁111は、長尺に形成されており、アドレス電極109の両側であって、隣接する隔壁111の長手方向が互いに平行となるように配置されている。また、隔壁111により、所定形状に区画された複数の微少放電空間(以下、放電セル112)は、平面視において、ストライプ状に形成されている。
隔壁111は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することが可能であり、その幅寸法は、10〜500μmの範囲が好ましく、100μm程度がより好ましい。また、隔壁111の高さ寸法は、通常10〜100μmの範囲であり、50μm程度が好ましい。
本実施形態における放電セル112は、前面板102及び背面板103が水平に配置されたときに、隔壁111が所定の間隔毎に平行に、すなわちストライプ状に配設されていることから、ストライプ型と呼ばれている。
なお、放電セルの構造は、このようなストライプ型のものに限定されるものではなく、図5に示すように、隔壁113を平面視において格子状に設けた格子型の放電セル114であってもよいし、図6に示すように互いに対象な屈曲した一組の隔壁115によりハニカム状(八角形状)の放電セル116であってもよい。
各放電セル112R,112G,112Bには、本実施例において製造された赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかに発光する蛍光体から構成された蛍光体層117R,117G,117Bのいずれかが一定の順序で設けられている。また、各放電セル112R,112G,112Bの内部中空には、放電ガスが封入されており、平面視において、表示電極104と、アドレス電極109とが交差する点が少なくとも一つ設けられている。さらに、各蛍光体層117R,117G,117Bの厚さ寸法は、特に限定されず、5〜50μmの範囲が好ましい。
各蛍光体層117R,117G,117Bは、隔壁の側面や、底面に形成されている。これら蛍光体層117R,117G,117Bは、まず始めに、上記した蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散させることで蛍光体ペーストが作製される。そして、これら蛍光体ペーストが適度な粘度に調整され、対応する各放電セル112R,112G,112Bに塗布又は充填されて、最後に乾燥又は焼成されることにより形成されている。
なお、蛍光体ペーストの調整は、従来公知の方法により行うことが可能である。また、蛍光体ペーストを放電セル112R,112G,112Bに塗布又は充填する方法としては、スクリーン印刷法、フォトレジストフィルム法、インクジェット法など種々の方法が適用可能である。
上記した構成からなるPDP101は、表示に際して、アドレス電極109と、一組の表示電極104,104のうちいずれか一方の表示電極104との間で選択的にトリガー放電を行わせることにより、表示を行う放電セルが選択される。その後、選択された放電セルの内部において、一組の表示電極104,104の間でサステイン放電を行わせることにより、放電ガスに起因する紫外線を生じさせ、蛍光体層117R,117G,117Bから可視光を生じさせるようになっている。
以上より、本発明に係るPDP1は、上述した蛍光体を用いて製造された放電セル112を有するので、放電セル112の発光強度の向上を図ることが可能となり、これによって、PDP1の発光強度の向上を図ることができる。
次に、本発明に係る蛍光体の製造方法及び蛍光体の実施例について説明する。
[実施例1]
本実施例では、Zn2SiO4:Mn2+を原料に用いた緑色蛍光体の前駆体1を合成し、得られた前駆体1に対して脱塩処理を施すことによって、脱塩処理後の前駆体2,3,4,5を得た。さらに、異なる2種類の条件下で焼成することにより、蛍光体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15を得て、これら蛍光体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15における放電前、放電後及びスパッタリング処理後の相対発光強度に基づいて評価を行った。
[実施例1]
本実施例では、Zn2SiO4:Mn2+を原料に用いた緑色蛍光体の前駆体1を合成し、得られた前駆体1に対して脱塩処理を施すことによって、脱塩処理後の前駆体2,3,4,5を得た。さらに、異なる2種類の条件下で焼成することにより、蛍光体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15を得て、これら蛍光体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15における放電前、放電後及びスパッタリング処理後の相対発光強度に基づいて評価を行った。
まず始めに、前駆体1,2,3,4,5の合成方法について説明する。
二酸化ケイ素45gが含有されたコロイダルシリカ(扶桑化学工業株式会社製:PL−3)と、濃度28%アンモニア水219gと、純水とを混合させ、液量を1500ccに調整したものをA液とした。
また、硝酸亜鉛6水和物(関東化学株式会社製:純度99.0%)424gと、硝酸マンガン6水和物(関東化学株式会社製:純度98.0%)21.5gとを純水に溶解させて、液量を1500ccに調整したものをB液とした。
二酸化ケイ素45gが含有されたコロイダルシリカ(扶桑化学工業株式会社製:PL−3)と、濃度28%アンモニア水219gと、純水とを混合させ、液量を1500ccに調整したものをA液とした。
また、硝酸亜鉛6水和物(関東化学株式会社製:純度99.0%)424gと、硝酸マンガン6水和物(関東化学株式会社製:純度98.0%)21.5gとを純水に溶解させて、液量を1500ccに調整したものをB液とした。
これらA液及びB液を、図1に示すように、Y字型反応装置1の各タンク2,3にそれぞれ貯留させ、40℃の温度で保温させた。そして、A液及びB液は、ポンプP1,P2により、1200cc/minの速度で熟成用容器7に供給され、反応により得られた沈殿物を純水で希釈させた。その後、加圧濾過によって固液分離し、さらに100℃の温度で12時間乾燥させることにより、表1に示す前駆体1を得た。
一方、上記した前駆体形成工程において、反応により得られた沈殿物を純水で希釈させた後、この希釈溶液を限外濾過することにより、前駆体の電気伝導度を30,15,0.3,0.05mS/cmにそれぞれ調整した。その後、加圧濾過によって固液分離し、さらに100℃の温度で12時間乾燥させることにより、表1に示す前駆体2,3,4,5を得た。
得られた前駆体1,2,3,4,5を、水素5%、窒素95%の雰囲気中において、1240℃の温度で、3時間焼成させることにより、蛍光体1,4,7,10,13を得た。ここで、このときの焼成条件を、焼成条件(1)として、表2に示した。
また、得られた前駆体1,2,3,4,5を、酸素20%の雰囲気中において、1240℃で、3時間焼成させることにより、蛍光体2,5,8,11,14を得た。ここで、このときの焼成条件を、焼成条件(2)として、表2に示した。
さらに、得られた前駆体1,2,3,4,5を、酸素20%の雰囲気中において、1240℃で、3時間焼成させた後、さらに水素5%、窒素95%の雰囲気中において、1240℃の温度で、3時間焼成させることにより、蛍光体3,6,9,12,15を得た。ここで、このときの焼成条件を、焼成条件(3)として、表2に示した。
また、得られた前駆体1,2,3,4,5を、酸素20%の雰囲気中において、1240℃で、3時間焼成させることにより、蛍光体2,5,8,11,14を得た。ここで、このときの焼成条件を、焼成条件(2)として、表2に示した。
さらに、得られた前駆体1,2,3,4,5を、酸素20%の雰囲気中において、1240℃で、3時間焼成させた後、さらに水素5%、窒素95%の雰囲気中において、1240℃の温度で、3時間焼成させることにより、蛍光体3,6,9,12,15を得た。ここで、このときの焼成条件を、焼成条件(3)として、表2に示した。
続いて、上記した蛍光体1、2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15に、等量の純水を加え、ポットミルによる解砕及び分散処理を行った。その後、微小粒子及び巨大粒子を除去するために、篩による分級処理が行われ、蛍光体分散溶液が得られた。
そして、分級後の蛍光体分散溶液と、2N塩酸とを、図1に示すY字型反応装置1の各タンク2,3にそれぞれ貯留させ、40℃の温度で保温し、ポンプP1,P2により、蛍光体分散液及び2N塩酸を、熟成用容器7に同時に滴下させた。
滴下終了後、得られた混合溶液を20分間撹拌し、純水よる洗浄処理を行った後、100℃の温度で12時間乾燥させて、一連の蛍光体の製造工程が完了する。
滴下終了後、得られた混合溶液を20分間撹拌し、純水よる洗浄処理を行った後、100℃の温度で12時間乾燥させて、一連の蛍光体の製造工程が完了する。
次に、蛍光体の評価方法について説明する。
蛍光体の評価は、放電前、放電後及びスパッタリング後のそれぞれにおける相対発行強度に基づいて算出される放電維持率と、スパッタリング維持率の2つの指標を用いて行われ、以下詳細についてそれぞれ説明する。
蛍光体の評価は、放電前、放電後及びスパッタリング後のそれぞれにおける相対発行強度に基づいて算出される放電維持率と、スパッタリング維持率の2つの指標を用いて行われ、以下詳細についてそれぞれ説明する。
まず始めに、放電維持率について説明する。
得られた蛍光体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15を、0.1〜1.5Paの真空槽の内部に導入し、エキシマ146nmランプ(ウシオ電機社製)を用いてVUVを照射させた。そして、照射によって得られた緑色光のピーク強度を、検出器(大塚電子株式会社製:MCPD−3000)を用いて測定し、表面処理前の発光強度を100とした時の相対値である相対発光強度を算出した。ここで、このとき算出された相対発光強度を、「放電前の相対発光強度」とし、表1に示した。
得られた蛍光体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15を、0.1〜1.5Paの真空槽の内部に導入し、エキシマ146nmランプ(ウシオ電機社製)を用いてVUVを照射させた。そして、照射によって得られた緑色光のピーク強度を、検出器(大塚電子株式会社製:MCPD−3000)を用いて測定し、表面処理前の発光強度を100とした時の相対値である相対発光強度を算出した。ここで、このとき算出された相対発光強度を、「放電前の相対発光強度」とし、表1に示した。
また、各蛍光体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15を、厚さ0.5mmのMgF2板によって被覆し、ネオンに対してキセノンガスを5%混合したガスで満された放電空間の内部に導入した後、1時間放電させた。そして、上記した方法により、相対発光強度を算出した。ここで、このとき算出された相対発光強度を、「放電後の相対発光強度」とし、表2に示した。
さらに、上記した放電後の相対発光強度を、放電前の相対発光強度で除し、百分率に換算した値を「放電維持率(%)」として、表2に示した。この放電維持率は、数値が高いほど、発光強度の低減が抑制されている、すなわち、蛍光体に含有される不純物や、副塩等が除去されており、数値が低いほど、蛍光体に含有される不純物や、副塩等が除去されていないことになる。
次に、スパッタリング維持率について説明する。
各蛍光体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15を、スパッタリング装置(サンユー電子株式会社製:SC−701)におけるアルゴンガス100%で満された放電空間の内部に導入し、5mAの電流を導通させることで、5分間放電し、スパッタリングを行った。そして、上記した方法により、相対発光強度を算出した。ここで、このとき算出された相対発光強度を、「スパッタリング後の相対発光強度」とし、表2に示した。
各蛍光体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15を、スパッタリング装置(サンユー電子株式会社製:SC−701)におけるアルゴンガス100%で満された放電空間の内部に導入し、5mAの電流を導通させることで、5分間放電し、スパッタリングを行った。そして、上記した方法により、相対発光強度を算出した。ここで、このとき算出された相対発光強度を、「スパッタリング後の相対発光強度」とし、表2に示した。
さらに、上記したスパッタリング後の相対発光強度を、スパッタリング前の相対発光強度、すなわち上記した放電前の相対発光強度で除し、百分率に換算した値を「スパッタリング維持率(%)」として、表2に示した。このスパッタリング維持率は、数値が高いほど、発光強度の低減が抑制されている、すなわち、蛍光体に含有される不純物や、副塩等が除去されており、数値が低いほど、蛍光体に含有される不純物や、副塩等が除去されていないことになる。
その結果、前駆体形成工程において脱塩処理が行われていない蛍光体1,2,3は、焼成条件にかかわらず、放電維持率及びスパッタリング維持率が約65〜75%であった。これに対し、前駆体形成工程おいて脱塩処理が行われた蛍光体4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15のうち、焼成条件(3)の下で焼成された蛍光体6,9,12,15は、放電維持率及びスパッタリング維持率がすべて90%以上であり、焼成条件(1)及び(2)の下で焼成された蛍光体4,5,7,8,10,11,13,14と比較すると、放電後や、スパッタリング後においても発光強度がほとんど低減していないことが判明した。
[実施例2]
実施例1で得られた前駆体4を、第1焼成工程において、酸素20%を含有する雰囲気中、900℃の温度で、1,3,5,9時間それぞれ焼成させた後、第2焼成工程において、水素5%、窒素95%の雰囲気中、1240℃の温度で3時間焼成させ、さらに、実施例1と同様に解砕処理、分散処理、酸処理、乾燥処理を順次行い、蛍光体16,17,18,19を得た。
また、第1焼成工程における焼成温度のみを、1240℃に変更して、蛍光体20,21,22,23を得た。
さらに、第1焼成工程における焼成温度のみを、1300℃に変更して、蛍光体24,25,26,27を得た。
さらに、第1焼成工程における焼成温度のみを、1420℃に変更して、蛍光体28,29,30,31を得た。
実施例1で得られた前駆体4を、第1焼成工程において、酸素20%を含有する雰囲気中、900℃の温度で、1,3,5,9時間それぞれ焼成させた後、第2焼成工程において、水素5%、窒素95%の雰囲気中、1240℃の温度で3時間焼成させ、さらに、実施例1と同様に解砕処理、分散処理、酸処理、乾燥処理を順次行い、蛍光体16,17,18,19を得た。
また、第1焼成工程における焼成温度のみを、1240℃に変更して、蛍光体20,21,22,23を得た。
さらに、第1焼成工程における焼成温度のみを、1300℃に変更して、蛍光体24,25,26,27を得た。
さらに、第1焼成工程における焼成温度のみを、1420℃に変更して、蛍光体28,29,30,31を得た。
得られた各蛍光体16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31について、実施例1と同様の方法により、放電前、放電後及びスパッタリング後における相対発光強度をそれぞれ算出し、放電維持率及びスパッタリング維持率と共に表3に示した。
その結果、第1焼成工程において、同一の焼成温度で、焼成時間のみを変更して焼成した蛍光体同士、例えば、900℃で焼成を行った蛍光体16,17,18,19を比較すると、焼成時間を1時間と、9時間とに設定して焼成した蛍光体16,19よりも、焼成時間を3時間と、5時間とに設定して焼成した蛍光体17,18の方が、相対発光強度、放電維持率及びスパッタリング維持率が高いことが判明した。この傾向は、焼成温度を1240℃、1300℃、1420℃に設定してそれぞれ焼成させた蛍光体においても同様に観察される。なかでも、焼成温度を1240℃と、1300℃とに設定した蛍光体20,21,22,23,24,25,26,27のうち、焼成時間を3時間と、5時間とに設定した蛍光体21,22,25,26は、他の条件で焼成を行った蛍光体と比較して、この傾向が顕著であることが判明した。
[実施例3]
実施例1で得られた前駆体4を、第1焼成工程において、酸素20%を含有する雰囲気中、1240℃の温度で、3時間焼成させた後、第2焼成工程において、水素5%、窒素95%の雰囲気中、700℃の温度で、1,3,5,9時間それぞれ焼成させ、さらに、実施例1と同様に解砕処理、分散処理、酸処理、乾燥処理を順次行い、蛍光体32,33,34,35を得た。
また、第2焼成工程における焼成温度のみを、900℃に変更して、蛍光体36,37,38,39を得た。
さらに、第2焼成工程における焼成温度のみを、1280℃に変更して、蛍光体40,41,42,43を得た。
さらに、第2焼成工程における焼成温度のみを、1420℃に変更して、蛍光体44,45,46,47を得た。
実施例1で得られた前駆体4を、第1焼成工程において、酸素20%を含有する雰囲気中、1240℃の温度で、3時間焼成させた後、第2焼成工程において、水素5%、窒素95%の雰囲気中、700℃の温度で、1,3,5,9時間それぞれ焼成させ、さらに、実施例1と同様に解砕処理、分散処理、酸処理、乾燥処理を順次行い、蛍光体32,33,34,35を得た。
また、第2焼成工程における焼成温度のみを、900℃に変更して、蛍光体36,37,38,39を得た。
さらに、第2焼成工程における焼成温度のみを、1280℃に変更して、蛍光体40,41,42,43を得た。
さらに、第2焼成工程における焼成温度のみを、1420℃に変更して、蛍光体44,45,46,47を得た。
得られた各蛍光体32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47について、実施例1と同様の方法により、放電前、放電後及びスパッタリング後における相対発光強度をそれぞれ算出し、放電維持率及びスパッタリング維持率と共に表4に示した。
その結果、第2焼成工程において、同一の焼成温度で、焼成時間のみを変更して焼成した蛍光体同士、例えば、700℃で焼成を行った蛍光体32,33,34,35を比較すると、焼成時間を1時間と、9時間とに設定して焼成させた蛍光体32,35よりも、焼成時間を3時間と、5時間とに設定して焼成させた蛍光体33,34の方が、相対発光強度、放電維持率及びスパッタリング維持率が高いことが判明した。この傾向は、焼成温度を900℃、1280℃、1420℃に設定してそれぞれ焼成させた蛍光体においても同様に観察される。なかでも、焼成温度を900℃と、1280℃とに設定した蛍光体36,37,38,39,40,41,42,43のうち、焼成時間を3時間と、5時間とに設定した蛍光体37,38,41,42は、他の条件で焼成を行った蛍光体と比較して、この傾向が顕著であることが判明した。
以上より、本発明に係る蛍光体の製造方法及び蛍光体並びにプラズマディスプレイパネルによれば、液相法により蛍光体の前駆体を形成する蛍光体の製造方法において、前駆体の形成開始から終了までの間若しくは終了直後に脱塩処理を行う脱塩工程と、脱塩処理後の前駆体に対して酸素含有雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第1焼成工程と、焼成処理後の前駆体に対して弱還元性雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第2焼成工程とを具備するので、脱塩処理によって蛍光体原料の混合物中に存在する不純物又は副塩等を除去した後、さらに所定の条件下で焼成処理を行うことにより、脱塩処理後の蛍光体原料の混合物中に不純物又は副塩等が残留している場合であっても、不純物又は副塩等を確実に燃焼させることが可能となり、これによって、蛍光体の変色や、焼成むら及びスパッタリング若しくはVUVの照射による蛍光体本体の損傷等を防止して、蛍光体及びプラズマディスプレイパネルの発光強度の向上を図ることができる。
1 Y字型反応装置
11 反応装置
21 ダブルジェット反応装置
101 PDP
11 反応装置
21 ダブルジェット反応装置
101 PDP
Claims (8)
- 液相法により蛍光体の前駆体を形成する蛍光体の製造方法において、
前駆体形成開始から終了までの間若しくは終了直後に脱塩処理を行う脱塩工程と、
前記脱塩処理後の前駆体に対して酸素含有雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第1焼成工程と、
前記焼成処理後の前駆体に対して弱還元性雰囲気中において所定の条件下で焼成処理を行う第2焼成工程とを具備することを特徴とする蛍光体の製造方法。 - 前駆体形成終了時の電気伝導度は、0.01〜20mS/cmであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記第1焼成工程の焼成温度は、1000〜1400℃であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記第1焼成工程の焼成時間は、2〜6時間であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記第2焼成工程の焼成温度は、800〜1400℃であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
- 前記第2焼成工程の焼成時間は、2〜6時間であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
- 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする蛍光体。
- 講求項7に記載の蛍光体を用いて製造された放電セルを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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