JP2007073466A - 色再現性が高められたプラズマディスプレイパネルとその製造方法 - Google Patents

色再現性が高められたプラズマディスプレイパネルとその製造方法 Download PDF

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尚大 岡田
Kazuyoshi Goan
一賀 午菴
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和也 塚田
Hideki Hoshino
秀樹 星野
Naoko Furusawa
直子 古澤
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Abstract

【課題】 より広く鮮やかな色表現が可能なプラズマディスプレイパネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色の発光をする3種の蛍光体を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、当該パネルがこれら3種の蛍光体以外にCIE色度図(xy色度座標)における色域0<x<0.2、0.5<y<0.6の色の発光をし得る蛍光体を有していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【選択図】 なし

Description

本発明は、真空紫外線励起発光素子としての蛍光体を用いたプラズマディスプレイパネル、特に色再現性が高められたプラズマディスプレイパネル及びその製造方法に関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセンス(EL)パネルのようなフラットパネルディスプレイが次世代のディスプレイ装置として注目されている。これら次世代のディスプレイ装置の分野においては、大画面、高解像度への期待が大きく、その中でも特にPDPでは高速表示、画面の大型化及び薄型化が容易である点から、陰極線管(CRT)に代わり得る次世代のディスプレイ装置の主流として研究が盛んに進められている。
PDPは多数の微小放電空間(「放電セル」又は「表示セル」ともいう。)をマトリックス状に配置して構成した表示素子であり、各放電セル内には放電電極が設けられ、各放電セルの内壁には蛍光体が塗布されている。各放電セル内の空間にはHe−Xe、Ne−Xe、Ar等の希ガスが封入されており、放電電極に電圧を印加することにより、放電セル内で希ガスの放電が起こり、プラズマ状態になり、真空紫外線が放射される。この真空紫外線により蛍光体が励起され、可視光を発する。表示素子において信号が入力した位置の放電セルの蛍光体の発光によって画像が表示される。各放電セルに用いられる蛍光体としてそれぞれ、赤(R)、緑(G)、青(B)に発光する蛍光体を用い、これらをマトリックス状に塗り分けることにより、フルカラーの表示を行うことができる。
なお、一般的PDPにおいては、背面板のガラス基板上にアドレス用の電極を形成し、その上に隔壁層を形成する。更に、バインダー樹脂中に蛍光体粒子を分散させた蛍光体ペーストを用いて、スクリーン印刷法等の方法により所望のパターンに塗布した後、バインダー樹脂成分を空気中500℃程度の温度で焼成除去して蛍光体層を形成する。
PDPにおいて信号が入力した位置の放電セル内の希ガスの放電に伴い放出された真空紫外線により3色のRGB蛍光体層を励起し、発光させることにより、3色の蛍光体の色度点とそれらの加色混合で決まる色空間範囲内のカラー表示を行っている。
従来、上記3色はNTSC(National Television Standards Committee)規格によって決められたxy色度点として、レッド(色度座標(0.67、0.33))、グリーン(色度座標(0.21、0.71))、ブルー(色度座標(0.14、0.08))に近づけるため、あるいは、IECのsRGB規格のxy色度点レッド(色度座標(0.64、0.33))、グリーン(色度座標(0.3、0.6))、ブルー(色度座標(0.15、0.06))に近づけるため、蛍光体材料として、レッドは(Y,Gd)BO3:Eu3+(色度座標(0.66、0.335))、グリーンはZn2SiO4:Mn2+(色度座標(0.21、0.72))、ブルーはBaMgAl1017:Eu2+(色度座標(0.08、0.09))などが使用されている。
しかし、NTSC−RGBあるいはsRGBの色域が表現できる色範囲は人間が知覚可能な全ての色空間に比べると非常に狭く、表現できる色再現範囲は限定されている。また3色加色混合では3点を頂点とする3角形の内部しか表現できないため、自ずからその表現範囲が限定される。
したがって、標準光源下でRGB3バンドカメラで撮像されるスタジオ内シーンを再現するなど比較的限定された用途の色表現で、人間の視覚に対してきれいに再現すればよく、正確な再現が不要な用途についてはあまり問題は感じられないが、任意の光源下における撮影環境に対応したり、高濃度の油絵具により再現される絵画、染料・顔料により再現されるフィルムやプリントなど減法混色系で表現されてきた色を確実に再現するなど、自然でより広い色再現を求められる高精細用途のプラズマディスプレイ装置としては対応できない。
このような課題を解決するために、4種類乃至6種類の蛍光体あるいはカラーフィルタを有し、4乃至6原色の加色混合により色再現を行うプラズマディスプレイ装置が提案され、具体的実施の形態として、4種類の蛍光体とカラーフィルタを組み合わせることにより、4色の色座標をそれぞれ、xy色座標(0.66、0.335)を持つレッド色、xy色座標(0.36、0.62)を持つグリーン色、xy色座標(0.05、0.486)を持つシアン−グリーン色、色座標(0.15、0.03)を持つブルー色とし、さらに各々の輝度値Yを最大輝度100に対して、レッド21.9、グリーン60.4、シアン−グリーン14.8、ブルー3.42に設定することが開示されている(特許文献1参照。)。
しかし、当該開示技術によって得られる色域拡大の効果は充分ではなく、より自然なより広い色表現が可能なプラズマディスプレイパネルが要望されている。
特開2003−249174号公報
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より広く鮮やかな色表現が可能なプラズマディスプレイパネル及びその製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
(1)少なくとも赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色の発光をする3種の蛍光体を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、当該パネルがこれら3種の蛍光体以外にCIE色度図(xy色度座標)における色域0<x<0.2、0.5<y<0.6の色の発光をし得る蛍光体を有していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
(2)プラズマディスプレイパネルがNTSC比125%以上の色再現性を有することを特徴とする前記(1)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(3)前記蛍光体の少なくとも1種の蛍光体が蛍光体原料を液相中で反応させる液相合成法により製造されることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(4)前記蛍光体の少なくとも1種の蛍光体の平均粒径が0.01μm以上で1μm以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネル。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルを製造することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
本発明の構成により、より広く鮮やかな色表現が可能なプラズマディスプレイパネル及びその製造方法を提供することができる。
本発明のプラズマディスプレイパネルは,少なくともレッド色(R)、グリーン色(G)及びブルー色(B)の3原色を発光をする3種の蛍光体を有し,かつこれら3種の蛍光体以外にCIE色度図(xy色度座標)における色域0<x<0.2、0.5<y<0.6の色の発光をし得る蛍光体を有していることを特徴とし、また、NTSC比125%以上の色再現性(広色度域)を有することを特徴とする。
ここで、「NTSC」とは、National Television System Committeeの略称である。「NTSC比」とは、このNTSC規格で規定されているXY色度域、即ち、CIE色度図(CIE :Commission Internationale de l’Eclairage:国際照明委員会)での色再現域に対する色再現範囲(色特性と色再現の実現度)を面積比(%)で表したものをいう。
以下、本発明と構成要素等について詳細に説明する。
(蛍光体)
本発明に係る蛍光体はその組成に特に制限は無く、例えば特開昭50−6410号、同61−65226号、同64−22987号、同64−60671号、特開平1−168911号等に記載されている公知の種々の組成を適用することが可能である。具体的には、Y23、Zn2SiO4等に代表される金属酸化物、Ca5(PO43Cl等に代表されるリン酸塩、ZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物、Si、SiO2等を含むケイ素化合物等を蛍光体結晶母体とし、これら母体にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属イオンやAg、Al、Mn、Sb、Zn等の金属イオン又は金属元素を賦活剤または共賦活剤として組み合わせたものが好ましい。
結晶母体の好ましい例を以下に列挙する。
ZnS、SrS、GaS、(Zn,Cd)S、SrGa24、YO3、Y22S、Y23、Y2SiO3、SnO2、Y3Al512、Zn2SiO4、Sr4Al1425、CeMgAl1019、BaAl1219、BaMgAl1017、BaMgAl1423、Ba2Mg2Al1222、Ba2Mg4Al818、Ba3Mg5Al1835、(Ba,Sr,Mg)O・aAl23、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017、Sr227、(La,Ce)PO4、Ca10(PO46(F,Cl)2、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46l2、GdMgB510、(Y,Gd)BO3等が挙げられる。
結晶母体元素及び賦活剤または共賦活剤元素を含む化合物は、特に元素の組成に制限はなく、同族の元素と一部置き換えたものでもよく、紫外領域の励起光を吸収して可視光を発するものであればどのような組み合わせでもよい。特に、無機酸化物蛍光体、または無機ハロゲン化物蛍光体を使用することが好ましい。
以下に本発明において使用することができる蛍光体の具体的な化合物例を示すが、これらの化合物に限定されるものではない。
[赤色発光蛍光体化合物]
RL1 :Y22S:Eu3+
RL2 :(Ba,Mg)2SiO4:Eu3+
RL3 :Ca28(SiO462:Eu3+
RL4 :LiY9(SiO462:Eu3+
RL5 :(Ba,Mg)Al1627:Eu3+
RL6 :(Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu3+
RL7 :YVO4:Eu3+
RL8 :YVO4:Eu3+,Bi3+
RL9 :CaS:Eu3+
RL10:Y23:Eu3+
RL11:3.5MgO,0.5MgF2GeO2:Mn
RL12:YAlO3:Eu3+
RL13:YBO3:Eu3+
RL14:(Y,Gd)BO3:Eu3+
[緑色発光蛍光体化合物]
GL1 :(Ba,Mg)Al1627:Eu2+,Mn2+
GL2 :Sr4Al1425:Eu2+
GL3 :(Sr,Ba)Al2Si28:Eu2+
GL4 :(Ba,Mg)2SiO4:Eu2+
GL5 :Y2SiO5:Ce3+,Tb3+
GL6 :Sr227−Sr225:Eu2+
GL7 :(Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu2+
GL8 :Sr2Si38−2SrCl2:Eu2+
GL9 :Zr2SiO4,MgAl1119:Ce3+,Tb3+
GL10:Ba2SiO4:Eu2+
GL11:ZnS:Cu,Al
GL12:(Zn,Cd)S:Cu,Al
GL13:ZnS:Cu,Au,Al
GL14:Zn2SiO4:Mn
GL15:ZnS:Ag,Cu
GL16:(Zn,Cd)S:Cu
GL17:ZnS:Cu
GL18:Gd22S:Tb
GL19:La22S:Tb
GL20:Y2SiO5:Ce,Tb
GL21:Zn2GeO4:Mn
GL22:CeMgAl1119:Tb
GL23:SrGa24:Eu2+
GL24:ZnS:Cu,Co
GL25:MgO・nB23:Ce,Tb
GL26:LaOBr:Tb,Tm
GL27:La22S:Tb
GL28:SrGa24:Eu2+,Tb3+,Sm2+
[青色発光蛍光体化合物]
BL1 :Sr227:Sn4+
BL2 :Sr4Al1425:Eu2+
BL3 :BaMgAl1017:Eu2+
BL4 :SrGa24:Ce3+
BL5 :CaGa24:Ce3+
BL6 :(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017:Eu2+
BL7 :(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46l2:Eu2+
BL8 :ZnS:Ag
BL9 :CaWO4
BL10:Y2SiO5:Ce
BL11:ZnS:Ag,Ga,Cl
BL12:Ca259Cl:Eu2+
BL13:BaMgAl1423:Eu2+
BL14:BaMgAl1017:Eu2+,Tb3+,Sm2+
BL15:BaMgAl1423:Sm2+
BL16:Ba2Mg2Al1222:Eu2+
BL17:Ba2Mg4Al818:Eu2+
BL18:Ba3Mg5Al1835:Eu2+
BL19:(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017:Eu2+
〔その他:RGB3原色以外の色の発光蛍光体化合物〕
XL1:Sr4Al1425:Eu2+、Dy3+
XL2:Ba2SiO4:Eu2+
XL3:BaMg2Al1627:Eu2+,Mn2+
本発明に係る4種類の蛍光体としては、自然界に存在するあらゆる表面色のCIELAB/CIELUV空間でのデータベースであるPointerGamut(M.R.Pointer、“The gamut of real surfacecolors”,Color Res.and Appl.5,pp.145−155(1980))および分光反射率データベースであるSOCS(JISTR X0012:1998,Standard object colour spectra database for colour reproduction evaluation)で規定されている色域の和集合で規定される色域範囲を最大限に包含可能な4色が選ばれる。
(蛍光体の製造方法)
本発明に係る蛍光体は、一般的には、固相合成法、気相合成法、及び前駆体を液相で作製し焼成を行う液相合成法により得ることができるが、本発明の効果を高く実現するものとして液相合成法が好ましい。液相合成法を用いることでより高い精度で賦活剤、共賦活剤の濃度を均一にコントロールできることに加え、母体成分を含めた均一製が非常に高いことによるものである。
本発明に係る液相合成法(単に、「液相法」ともいう。)とは、蛍光体の原料となる元素を含む化合物を液相中で反応させる方法で、具体的には上記の蛍光体母体を構成する元素を含む溶液と賦活剤元素を含む溶液を共に混合して蛍光体前駆体を合成する方法であり、反応晶析法、共沈法、ゾルゲル法など液相中での反応方法を称して表している。本発明ではこれらの方法を適宜選択して蛍光体を製造することが可能である。
液相合成法では、蛍光体原料を液相中で反応させるので、反応は蛍光体を構成する元素イオン間で行われ、化学量論的に高純度な蛍光体が得やすい。一方、従来の固相合成法では、固相間反応であるために、反応しない余剰の不純物や反応によって生ずる副塩等が残留することが往々にして起こり、化学量論的に高純度な蛍光体を得にくい。したがって、液相合成法により化学量論的に高純度な蛍光体を得ることで、発光効率と収率を高めることができる。
また、固相合成法では、反応時に固体同士を粉砕しながら機械的に攪拌するため、得られた蛍光体は多面体となる場合が多く、粒径分布も広くなりやすい。一方、液相合成法では、元素イオンを液体中で反応させるので、蛍光体の平均粒径や粒子形状、粒径分布、発光特性等をより精密に制御することができ、粒径0.01〜1μmのような小粒径粒子を狭い粒径分布で得ることができる。
次に、本発明の蛍光体の、液相法による一般的製造方法について説明する。
蛍光体は、基本的には、(A)無機蛍光体の構成金属元素を含む溶液を混合して無機蛍光体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、(B)蛍光体前駆体から副塩などの不純物を取り除く脱塩工程、(C)前駆体形成工程の後に当該前駆体形成工程により得られた前駆体を乾燥する乾燥工程と、(D)乾燥工程の後に乾燥済みの前駆体を焼成して蛍光体を形成する蛍光体形成工程と、を含む製造方法により得られる。
なお、ここで、本発明に係る蛍光体の「前駆体」とは、前記製造方法において、混合溶液から析出された結晶であって、高温での焼成処理等を施されていない状態であって、所定の波長の発光性をほとんど示さない状態の結晶をいう。
以下において、蛍光体の製造方法を構成する上記の各工程について説明する。
(A)前駆体形成工程
前駆体形成工程では、上述したように、反応晶析法、共沈法、ゾルゲル法等どのような液相合成法を適用してもよい。例えば、PDPで一般的に使用されている赤色発光蛍光体((Y,Gd)BO3:Eu3+)、青色発光蛍光体(BaMgAl1017:Eu2+)については、後述する保護コロイドの存在下で反応晶析法により蛍光体前駆体を形成すると特に好ましい。このように製造することにより、微粒子でより粒径分布が狭く、発光強度のより高い蛍光体を得ることができる。
また、緑色発光蛍光体(Zn2SiO4:Mn2+)については、シリカを蛍光体母体とし、共沈法により形成すると好ましい。このように製造することにより、微粒子でかつ発光強度に優れ、残光時間の短いものを得ることができる。以下、反応晶析法及び共沈法について説明する。
反応晶析法とは、晶析現象を利用して、蛍光体の原料となる元素を含む溶液を混合することによって蛍光体前駆体を合成する方法をいう。晶析現象とは、冷却、蒸発、pH調節、濃縮等による物理的又は化学的な環境の変化、或は化学反応によって混合系の状態に変化を生じる場合等に液相中から固相が析出してくる現象を指す。
本発明における反応晶析法による蛍光体前駆体の製造方法は、上記の様な晶析現象発生の誘因となりえる物理的、化学的操作による製造方法を意味する。
反応晶析法を適用する際の溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、過飽和度制御のしやすさの観点から水が好ましい。複数の反応原料を用いる場合は、原料の添加順序は同時でも異なってもよく、活性によって適切な順序を適宜組み立てることができる。
共沈法とは、共沈現象を利用して、蛍光体の原料となる元素を含む溶液を混合し、さらに沈殿剤を添加することによって、蛍光体前駆体の母核の周囲に賦活剤となる金属元素等が析出させた状態で、蛍光体前駆体を合成する方法を言う。共沈現象とは、溶液から沈殿を生じさせたとき、その状況では十分な溶解度があり、沈殿しないはずのイオンが沈殿に伴われる現象をいう。蛍光体の製造においては、蛍光体前駆体の母核の周囲に、賦活剤を構成する金属元素などが析出する現象を指す。
上記したように、ケイ酸塩蛍光体からなる緑色蛍光体を得る際には、この共沈法を利用すると好ましい。その場合には、蛍光体前駆体の母核としてシリカ等のケイ素化合物を用い、これに、Zn、Mn等の緑色蛍光体を構成し得る金属元素を含む溶液とを混合し、さらに沈殿剤を含む溶液を加えることにより、ケイ素化合物表面に金属、含む溶液を反応させると好ましい。
シリカとしては、気相法シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ等を好ましく使用することができ、下記溶媒に実質的に不溶であることが好ましい。
共沈法の際に適用する溶媒としては、水またはアルコール類またはそれらの混合物を用いることができる。シリカ等のケイ素化合物を用いる場合には、ケイ素化合物が分散可能な、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらのうち、比較的ケイ素化合物が分散しやすいエタノールが好ましい。
沈殿剤としては、有機酸または水酸化アルカリが好ましい。有機酸としては、−COOH基を有する有機酸が好ましく、例えば、シュウ酸、蟻酸、酢酸、酒石酸等が挙げられる。特に、シュウ酸を用いた場合、Zn、Mn等の陽イオンと反応しやすく、Zn、Mn等の陽イオンがシュウ酸塩として析出しやすいため、より好ましい。また、沈殿剤として、加水分解等によりシュウ酸を生ずるもの、例えばシュウ酸ジメチル等を使用してもよい。
水酸化アルカリとしては、−OH基を有するもの、あるいは水と反応して−OH基を生じたり、加水分解により−OH基を生じたりするものであればいかなるものでもよく、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素等が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属を含まないアンモニアがよい。
上記の反応晶析法及び共沈法を含めて、液相合成法で前駆体を合成する場合には、蛍光体の種類により、反応温度、添加速度や添加位置、攪拌条件、pH等、諸物性値を調整すると好ましい。また、蛍光体前駆体の母核を溶液中に分散させるときや反応中に超音波を照射してもよい。平均粒径制御のために保護コロイドや界面活性剤などを添加することも好ましい。原料を添加し終ったら必要に応じて液を濃縮、及び/または熟成することも好ましい態様の1つである。
添加する保護コロイドの量や超音波照射時間、攪拌条件等を制御し、溶液中の蛍光体前駆体の母核の分散状態を好ましい状態とすることにより、蛍光体前駆体粒子の粒径や凝集状態を制御し、焼成後の蛍光体粒子の平均粒径を所望の大きさにすることができる。
粒径制御に用いる保護コロイドとしては、天然、人工を問わず各種高分子化合物を使用することができるが、特にタンパク質が好ましい。その際、保護コロイドの平均分子量は10,000以上が好ましく、10,000以上300,000以下がより好ましく、10,000以上30,000以下が特に好ましい。
タンパク質としては、例えば、ゼラチン、水溶性タンパク質、水溶性糖タンパク質が上げられる。具体的には、アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質、遺伝子工学的に合成されたタンパク質等がある。中でも、ゼラチンを特に好ましく使用できる。
ゼラチンとしては、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンを挙げることができ、これらを併用してもよい。更に、これらのゼラチンの加水分解物、これらのゼラチンの酵素分解物を用いてもよい。
また、前記保護コロイドは、単一の組成である必要はなく、各種バインダーを混合してもよい。具体的には、例えば、上記ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマーを用いることができる。
保護コロイドは、原料溶液の一つ以上に添加することができる。原料溶液の全てに添加してもよい。保護コロイドの存在下で、蛍光体前駆体を形成することにより、蛍光体前駆体同士が凝集するのを防ぎ、蛍光体前駆体を十分小さくすることができる。それにより、焼成後の蛍光体をより微粒子で、粒径分布が狭く、発光特性を良好にするなど、蛍光体の種々の特性を向上することができる。なお、保護コロイドの存在下で反応を行う場合には、蛍光体前駆体の粒径分布の制御や副塩等の不純物排除に十分配慮することが必要である。
(B)脱塩工程
蛍光体前駆体形成工程にて蛍光体前駆体を合成した後、乾燥工程や焼成工程に先立って脱塩工程を経ることにより、蛍光体前駆体から副塩などの不純物を取り除くことが好ましい。脱塩工程としては、各種膜分離法、凝集沈降法、電気透析法、イオン交換樹脂を用いた方法、ヌーデル水洗法などを適用することができる。
脱塩工程を行うことにより、前駆体脱塩後の電気伝導度が0.01〜20mS/cmの範囲とすることが好ましく、更に好ましくは0.01〜10mS/cmであり、特に好ましくは0.01〜5mS/cmである。
0.01mS/cm未満の電気伝導度にすると生産性が低くなる。また、20mS/cmを超えると副塩や不純物が充分に除去できていない為に粒子の粗大化や粒子径分布が広くなり、発光強度が劣化する。上記の電気伝導度の測定方法はどのような方法を用いることも可能であるが、市販の電気伝導度測定器を使用すればよい。その後、ろ過、蒸発乾固、遠心分離等の方法で前駆体を回収する。
(C)乾燥工程
本発明においては、回収された前駆体について乾燥工程を行う。蛍光体前駆体の乾燥方法は特に限定されるものではなく、真空乾燥、気流乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥等、あらゆる方法を用いることができる。
乾燥温度は限定されないが、使用した溶媒が気化する温度付近以上の温度であることが好ましく、具体的には50〜300℃の範囲であることが好ましい。乾燥温度が高い場合は乾燥と同時に焼成が施されることがあり、後述の焼成工程を行わなくとも蛍光体が得られる場合がある。
(D)焼成工程:蛍光体形成工程
本発明に係る蛍光体は、上記前駆対体形成工程により得た蛍光体前駆体を焼成処理することにより得られる。
焼成工程では、いかなる方法を用いてもよく、焼成温度や時間は適宜調整すればよい。例えば、蛍光体前駆体をアルミナボートに充填し、所定のガス雰囲気中で所定の温度で焼成することで所望の蛍光体を得ることができる。ガス雰囲気として、還元雰囲気下、酸化雰囲気下、又は硫化物存在下、不活性ガス等のどの条件下でも良く、適宜選択することができる。好ましい焼成条件の例としては、大気中で600℃〜1800℃の間で適当な時間焼成することがある。また、800℃程度で焼成を行い有機物を酸化した後に、1100℃で90分大気中で焼成するという方法も有効である。
焼成装置(焼成容器)は現在知られているあらゆる装置を使用することができる。例えば箱型炉、坩堝炉、円柱管型、ボート型、ロータリーキルン等が好ましく用いられる。雰囲気も前駆体組成に合わせて酸化性、還元性、不活性ガス等を用いることができる。
また、焼成時には必要に応じて焼結防止剤を添加してもよい。焼結防止剤を添加する場合には、蛍光体前駆体形成時にスラリーとして添加することができる。粉状のものを乾燥済前駆体と混合して焼成してもよい。焼結防止剤は特に限定されるものではなく、蛍光体の種類、焼成条件によって適宜選択される。例えば、蛍光体の焼成温度域によって800℃以下での焼成にはTiO2等の金属酸化物が使用され、1000℃以下での焼成にはSiO2が、1700℃以下での焼成にはAl23が、それぞれ好ましく使用される。更に、焼成後、必要に応じて還元処理又は酸化処理等を施しても良い。
焼成工程後、冷却工程、表面処理工程、分散工程等の諸工程を施してもよく、分級してもよい。冷却工程では、焼成工程で得られた焼成物を冷却する処理を行う。このとき、該焼成物を前記焼成装置に充填したまま冷却することができる。冷却処理は特に限定されないが、公知の冷却方法より適宜選択することができ、例えば、放置により温度を低下させる方法でも、冷却機を用いて温度制御しながら強制的に温度低下させる等の方法の何れであってもよい。
本発明で製造される蛍光体は、種々の目的で吸着・被覆等の表面処理を施すことができる。どの時点で表面処理を施すかはその目的によって異なり、適宜適切に選択するとその効果がより顕著になる。例えば、後述するように蛍光体ペーストを調製する際に、蛍光体の分散性を良好にするために表面処理を行うと好ましい。
(プラズマディスプレイパネル)
次に、図1を参照して、本発明に係るプラズマディスプレイパネル(PDP)の典型的態様を説明する。なお、PDPには、電極の構造及び動作モードから大別すると、直流電圧を印加するDC型と、交流電圧を印加するAC型のものとがあるが、図1には、AC型PDPの構成概略の一例を示した。
図1に示すPDP1は、電極11、21が設けられた2枚の基板10、20と、これらの基板10、20の間に設けられた隔壁30と、この隔壁30によって所定形状に区画される複数の微少放電空間(以下、放電セルという)31とを有している。図1に示した放電セル31は、いわゆるストライプ型と呼ばれるもので、基板10、20を水平に配置したときに、隔壁30が所定間隔毎に平行に(すなわち、ストライプ状に)設けられたものである。なお、放電セルの構造は、このストライプ型のものに限定されるものではなく、図2に示すように隔壁40を平面視において格子状に設けた格子型の放電セル41であってもよいし、図3に示すように互いに対象な屈曲した一組の隔壁50によりハニカム状(八角形状)の放電セル51を構成してもよい。
各放電セル31R、31G、31Bには赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかに発光する蛍光体から構成された蛍光体層35R、35G、35Bが設けられている。各放電セル31の内側には、放電ガスが封入されており、平面視において前記電極11、21が交差する点が少なくとも一つ設けられている。本発明に係るPDP1は、蛍光体層35R、35G、35Bを本発明に係る蛍光体を用いて製造したものである。
以下、PDP1の各構成要素について説明する。
まず、2枚の基板のうち、表示側に配置される前面板10側の構成について説明する。前面板10は、放電セル31から発せられる可視光を透過し、基板上に各種の情報表示を行うもので、PDP1の表示画面として機能する。
前面板10として、ソーダライムガラス(青板ガラス)等の可視光を透過する材料を好ましく使用できる。前面板10の厚さとしては、1〜8mmの範囲が好ましく、より好ましくは2mmである。
前面板10には、表示電極11、誘電体層12、保護層13等が設けられている。表示電極11は、前面板10の背面板20と対向する面に複数設けられ、規則正しく配置されている。表示電極11は、透明電極11aとバス電極11bとを備え、幅広の帯状に形成された透明電極11a上に、同じく帯状に形成されたバス電極11bが積層された構造となっている。なお、バス電極11bの幅は、透明電極11aよりも狭く形成されている。また、表示電極11は、平面視において前記した隔壁30と直交している。なお、表示電極11は所定の放電ギャップをあけて対向配置された2つで一組となっている。
前記透明電極11aとしては、ネサ膜等の透明電極が使用でき、そのシート抵抗は、100Ω以下であることが好ましい。透明電極7の幅としては、10〜200μmの範囲が好ましい。
前記バス電極11bは、抵抗を下げるためのものであり、Cr/Cu/Crのスパッタリング等により形成できる。バス電極11bの幅としては、5〜50μmの範囲が好ましい。
前記誘電体層12は、前面板10の表示電極11が配された表面全体を覆っている。誘電体層12は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。誘電体層12の厚さとしては、20〜30μmの範囲が好ましい。
上記の誘電体層12の表面は保護層13により全体的に覆われる。保護層13は、MgO膜を使用することができる。保護層13の厚さとしては、0.5〜50μmの範囲が好ましい。
次に、2枚の基板10、20のうち、他方である背面板20側の構成について説明する。背面板20には、アドレス電極21、誘電体層22、隔壁30、蛍光体層35R、35G、35B等が設けられている。
背面板20は、前面板10と同様に、ソーダライムガラス(青板ガラス)等が使用できる。背面板20の厚さとしては、1〜8mmの範囲が好ましく、より好ましくは2mm程度である。
上記のアドレス電極21は、背面板20の、前面板20と対向する面に複数設けられている。アドレス電極21も、透明電極11aやバス電極11bと同様に帯状に形成されている。アドレス電極21は、平面視において、前記表示電極11と直交するように、所定間隔毎に複数設けられる。
アドレス電極21は、Ag厚膜電極等の金属電極を使用することができる。アドレス電極21の幅は、100〜200μmの範囲が好ましい。
なお、表示に際して、アドレス電極21と一組の表示電極11、11のうちいずれか一方の表示電極との間で選択的にトリガー放電を行わせることにより、表示を行う放電セルを選択する。その後、選択された放電セル内において一組の表示電極11、11間でサステイン放電を行わせることにより放電ガスに起因する紫外線を生じさせ、蛍光体層35R、35G、35Bから可視光を生じさせることができる。
前記誘電体層22は、背面板20のアドレス電極21が配された表面全体を覆っている。この誘電体層22は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。誘電体層22の厚さとしては、20〜30μmの範囲が好ましい。
上記の誘電体層22上に、背面板20側から前面板10側に突出するように、前記隔壁30が設けられる。隔壁30は長尺に形成され、アドレス電極21の両側方に設けられ、上記したように平面視においてストライプ状に放電セル31を形成する。
隔壁30は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。隔壁30の幅は、10〜500μmの範囲が好ましく、100μm程度がより好ましい。隔壁30の高さ(厚み)としては、通常、10〜100μmの範囲であり、50μm程度が好ましい。
放電セル31には、上述のように各色に発光する蛍光体層35R、35G、35Bのいずれかが規則正しい順序で設けられている。各蛍光体層35R、35G、35Bの厚さは特に限定されるものではないが、5〜50μmの範囲が好ましい。
蛍光体層35R、35G、35Bの形成に当たっては、上記で製造した蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散し、適度な粘度に調整された蛍光体ペーストを放電セル31に塗布又は充填し、その後乾燥又は焼成(ベーキング)することにより隔壁側面30a及び底面30aに蛍光体が付着した蛍光体層35R、35G、35Bを形成する。
なお、放電セルの静電容量は、0.5〜30μF/m2であり、好ましくは、0.5〜10μF/m2であり、更に好ましくは1〜7μF/m2である。静電容量が0.5μF/m2未満又は30μF/m2より大きくなると、良好な発光が得られず、好ましくない。放電セルの静電容量はキャパシタメータ等により測定することができる。
(蛍光体層の形成方法)
本発明に係る蛍光体層の形成に当たっては、典型的方法においては、上記工程により得られた蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散し、適度な粘度に調整された蛍光体ペーストを調製し、その蛍光体ペーストを放電セル31R、31G、31Bの内面(放電セルの側面及び底面)に、スクリーン印刷法、フォトレジストフィルム法、インクジェット法など種々の方法で塗布又は充填し、そ後の工程において放電セル内の蛍光体ペーストを焼成することにより隔壁側面及び底面に蛍光体層を形成する。
なお、インクジェット法の場合は、インクジェット装置を用いてインクジェットノズルから放電セルの内面(放電セルの側面及び底面)に向けて、断続的に複数回、適度な粘度に調整した蛍光体ペーストを吐出することにより行う。
当該インクジェット法は、隔壁のピッチが狭く、放電セルが微細に形成されている場合であっても、隔壁間に低コストで容易に精度良く均一に蛍光体ペーストを塗布又は充填できる点で優れている。この方法においては、平均粒径が、0.01〜1μmである蛍光体粒子を用いることが好ましい。インクジェット法を適用してもノズルの目づまりや吐出不良、蛍光体粒子の沈殿が抑制され、精度良く均一に薄い蛍光体層を形成することができるからである。
本発明に係る蛍光体層を構成する蛍光体としては、平均粒径が0.01〜7μmである蛍光体を使用することができる。好ましい平均粒径は、0.01μm〜1μmであり、更に好ましくは0.01μm〜0.8μmである。ここで、蛍光体の平均粒径は、電子顕微鏡(例えば、日立製作所(株)製、S−900等)を用いて、蛍光体層中の蛍光体粒子300個の平均粒径を測定した平均値をいう。また、ここでいう粒径とは、蛍光体粒子が立方体あるいは八面体の所謂正常晶の場合には、蛍光体粒子の稜の長さを言う。正常晶でない場合、例えば蛍光体粒子が球状、棒状あるいは平板状粒子の場合には、蛍光体粒子の体積と同等な球を考えた時の直径を言う。
本発明においては、平均粒径が0.01〜1μmの極めて微粒子の蛍光体から蛍光体層を構成した場合、従来の平均粒径が1.3μm〜7μmの蛍光体から蛍光体層を構成する場合と比較すると、同じ厚さの蛍光体層であっても層内に蛍光体を効率よく充填できる。したがって、発光に関与する蛍光体の量が増加し、PDPの輝度を確実に向上することができる。
また、従来の蛍光体層は、放電空間を確保した上で一定の輝度を達成するためには、20〜30μmの厚さにしなければならなかった。しかし、本発明では、上記平均粒径が0.01〜1μmの微粒子蛍光体を用いて蛍光体層を構成することにより、5〜20μmの範囲で薄膜化が可能である。その結果、放電空間を拡大し、蛍光体を発光させる紫外線の発生量を増加することができる。また、上記のように従来と同じ厚さであっても蛍光体層に含まれる蛍光体の量が増加する。このため、蛍光体層を薄膜化しても、製造したPDPを高輝度にすることができる。
さらに、平均粒径が0.01〜1μmの微粒子蛍光体を用いて、特に、インクジェット法により蛍光体層を形成する場合は、従来より用いられている平均粒径が1.3〜7μmの蛍光体と比較して、蛍光体インクと放電セル内面との接触面に生じる空隙を小さくすることができ、蛍光体インクの放電セル内面への付着力の低下を防止することができる。従って、放電セルの側面に付着した蛍光体は自重により放電セルの底面側に移動し、放電セルの底面の蛍光体層の膜厚に対して側面の蛍光体層の膜厚が薄くなるという従来の問題点を解消でき、放電セルの輝度及び視野角を向上できる。
また、蛍光体層を緻密で均一な構成にすることができ、放電セル毎の蛍光体品質のバラツキを防ぐことができる。従って、放電セル毎の発光量が等しくなり、プラズマディスプレイパネル全面で発光量を均一にできる。
また、蛍光体層の表面の凹凸が小さく、表面の平滑性が高くなるので、従来のように蛍光体層からの発光を表面の凹凸により乱反射させて光を損失させない。
したがって、輝度の低下や発光ムラを防ぎ、発光を効率的に表示に用いることができる。
また、例えば、従来より用いられている平均粒径が1.3μm〜7μmの蛍光体から蛍光体層を構成する場合と比較すると、同じ厚さの蛍光体層であっても層内に蛍光体を効率よく充填できる。したがって、発光に関与する蛍光体の量が増加し、PDPの輝度を確実に向上することができる。
また、従来の蛍光体層は、放電空間を確保した上で一定の輝度を達成するためには、20〜30μmの厚さにしなければならなかった。しかし、本発明では、上記微粒子の蛍光体を用いて蛍光体層を構成することにより、5〜20μmの範囲で薄膜化が可能である。
その結果、放電空間を拡大し、蛍光体を発光させる紫外線の発生量を増加することができる。また、上記のように従来と同じ厚さであっても蛍光体層に含まれる蛍光体の量が増加する。このため、蛍光体層を薄膜化しても、製造したPDPを高輝度にすることができる。
本発明において、上記蛍光体層35の厚さは、上記した通り、5〜20μmであることが好ましい、より好ましくは、5〜15μmである。ここでいう層の厚さとは、任意の6点の平均値を指し、例えば、電子顕微鏡(日立製作所(株)製S−900)を用いて、放電セルの底面又は側面から蛍光体層の上面までの距離を測定した値により求めることができる。
なお、インクジェット法による蛍光体層の形成順序については任意に変更可能であり、例えば、まず放電セルの底面に蛍光体層を形成した後、放電セルの側面に蛍光体層を形成する場合には、インクジェットノズルを放電セルの底面側に向け、インクジェットノズルから吐出される蛍光体ペーストが放電セルの底面以外に付着しないようにヘッドの回転角度及び前後方向への移動量を調節しながら、放電セルの底面全域に蛍光体層を形成する。そして、放電セル底面への蛍光体層の形成が終了した後、インクジェットノズルを放電セルの側面のうちいずれかひとつの側面に向け、インクジェットノズルから吐出される蛍光体ペーストが放電セルの他の側面及び底面に付着しないようにヘッドの回転角度及び前後方向への移動量を調節しながらこの側面に蛍光体層を形成する。そして、他の側面に対しても同様の作業を行うことにより放電セル内に蛍光体層を形成することができる。また、例えば、放電セルの底面に蛍光体ペーストを一回あるいは複数回吐出する工程と、放電セルの側面に蛍光体ペーストを一回あるいは複数回吐出する工程とを組み合わせることにより、放電セルの底面と側面の蛍光体層をほぼ同時に形成するものとしてもよい。なお、複数のヘッドを放電セルのピッチ(左右方向の配置間隔)に対応するように移動体に取付け、複数のインクジェットノズルから蛍光体ペーストを同時に噴射する構成としてもよい。この場合、蛍光体層の形成作業の作業性を向上できる。
以上のように、本発明においては、ヘッドを基板に対して相対的に移動させ、放電セル内の所定の位置に対してインクを断続的に複数回吐出する、いわゆるオンデマンド型の吐出方法を採用することができるが、従来、他の吐出方法としていわゆる連続型の吐出方法が知られている。連続型はヘッドを基板に対して相対的に移動させつつ、放電セル内に蛍光体ペーストを連続的に吐出することで、蛍光体ペーストを放電セルの底面から徐々に充填していくものである。連続型の吐出方法は直線状の隔壁から構成されるストライプ型の放電セルに対しては作業時間の短縮などの点から有効である。しかし、ヘッドの進行方向(前後方向)に直交する方向に隔壁が存在する格子型の放電セルや、左右に入り組んだ複雑な隔壁構造となるハニカム型の放電セルの場合、インクジェットノズルが隔壁の上方を通過する際にも蛍光体ペーストが連続して吐出されるおそれがあり、隔壁の上部に蛍光体ペーストが付着するという不具合が生じるおそれがある。
一方、本発明で用いることができるオンデマンド型の吐出方式は、蛍光体ペーストを所定のタイミングで断続的に吐出することから、ストライプ型の放電セルのみならず、格子型及びハニカム型の放電セルに対しても所定の部位に正確に蛍光体ペーストを吐出することができ、隔壁の上部に蛍光体ペーストが付着する不具合を未然に防止できる。また、蛍光体層の厚みを自在に調節できるので、蛍光体層が必要以上の厚みを有することがなくなり、蛍光体ペーストの無駄を最小限度に抑えてコスト削減に寄与できる。さらに、インクジェット方式ではインクジェットノズルと基板及び隔壁とを数mmから数十mmの距離で離すので、ミリメートル単位の反りやうねりが生ずる比較的大面積のカラーPDPの基板に対しても容易に蛍光体層を形成できる。
また、一般的にインクジェット装置をプラズマディスプレイパネルの蛍光体層を形成する装置として用いる場合には、使用されるインクジェットノズルの径は20μm〜100μm程度であり、汎用性の観点から、本発明においてもインクジェットノズルの径は50μm〜100μm程度とするのが好ましい。そして、この程度の径を有するインクジェットノズルからインクを吐出するには、ノズルの目詰まりを防止する観点から、蛍光体の平均粒径は2μmより小さいことが条件となる。ところが、従来より一般的に用いられている固相合成法により蛍光体を製造した場合には、その粒径は1.3〜7μm程度であるためノズルに目詰まりが生じる可能性が高くなってしまう。しかし、本実施の形態において説明した蛍光体の製造方法によれば、蛍光体の平均粒径は0.01μm〜1μmの範囲内となるので、一般的に用いられているインクジェットノズルを本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法に適用した場合でも、ノズルの目詰まりを防止することが可能となる。
以下において、蛍光体ペーストの典型的調製方法等について詳しく説明する。
(蛍光体ペーストの調製)
本発明に係る蛍光体ペーストとは、蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散し、適度な粘度に調整したものである。蛍光体ペースト中の蛍光体の含有量としては30質量%〜60質量%の範囲にするのが好ましい。
蛍光体ペースト中の蛍光体と非揮発成分との割合を変化することによって、蛍光体層中の蛍光体の充填率を制御することができる。なお、ここで言う非揮発成分とは、蛍光体ペーストから蛍光体及び溶剤を除いたその他の成分である。
蛍光体ペーストの調製に際しては、ペースト中の蛍光体粒子の分散性を向上させるために、蛍光体粒子の表面に酸化物、有機高分子化合物、フッ化物を付着あるいはコーティングする等の表面処理を施すと好ましい。これら表面処理を施す際の被覆層の厚さや被覆率等は、適宜任意に制御することができる。
酸化物として、Si、Ti、Al、Zr、Zn、In、Snから選択される少なくとも1種の元素を含むものを挙げることができる。例えば、酸化マグネシウム(MgO)、アルミニウム酸化物(Al23)、酸化珪素(SiO2)、酸化インジウム(InO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y23)が挙げられる。この中で、SiO2は負に帯電する酸化物として知られ、一方、ZnO、Al23、Y23は正に帯電する酸化物として知られており、特にこれらの酸化物を付着あるいはコーティングさせることは有効である。フッ化物としては、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)を挙げることができる。
酸化物やフッ化物で蛍光体の表面を被覆すると、分散処理時における蛍光体の結晶性の低下を抑制でき、さらに蛍光体の表面欠陥に励起エネルギーが捕獲されることを防ぐことにより、発光輝度及び発光強度の低下を抑制できる。
一方、有機高分子化合物等で蛍光体の表面を被覆すると、耐候性等の特性が向上し、耐久性に優れた蛍光体を得ることができる。
次に、蛍光体ペーストを調製する際に、蛍光体と混合するバインダ、溶剤、分散剤等について説明する。
蛍光体粒子を良好に分散させるのに適したバインダとしては、エチルセルロースあるいはポリエチレンオキサイド(エチレンオキサイドのポリマ)が挙げられ、特に、エトキシ基(−OC25)の含有率が49〜54%のエチルセルロースを用いるのが好ましい。また、バインダとして感光性樹脂を用いることも可能である。バインダの含有量としては0.15質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。なお、隔壁30間に塗布される蛍光体ペーストの形状を整えるため、バインダの含有量は、ペースト粘度が高くなり過ぎない範囲内で多めに設定するのが好ましい。
溶剤としては、水酸基(OH基)を有する有機溶剤を混合したものを用いるのが好ましく、その有機溶剤の具体例としては、ターピネオール(C1018O)、ブチルカルビトールアセテート、ペンタンジオール(2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート)、ジペンテン(Dipentene、別名Limonen)、ブチルカルビトール等が挙げられる。これらの有機溶剤を混合した混合溶剤は、上記のバインダを溶解させる溶解性に優れており、蛍光体ペーストの分散性が良好になり好ましい。
蛍光体ペースト中の蛍光体粒子の分散安定性を向上させるために、分散剤として、界面活性剤を添加すると好ましい。蛍光体ペースト中の界面活性剤の含有量としては、分散安定性の向上効果あるいは後述する除電効果等を効果的に得る観点から、0.05質量%〜0.3質量%が好ましい。
界面活性剤の具体例としては、(a)アニオン性界面活性剤、(b)カチオン性界面活性剤、(c)ノニオン性界面活性剤を用いることができ、それぞれ具体的には下記のようなものがある。
(a)アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸、エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸ポリカルボン酸高分子等が挙げられる。
(b)カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
(c)ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
さらに、蛍光体ペーストに除電物質を添加すると好ましい。上記挙げた界面活性剤は、一般的に蛍光体ペーストの帯電を防止する除電作用も有しており、除電物質に該当するものが多い。但し、蛍光体、バインダ、溶剤の種類によって除電作用も異なるので、色々な種類の界面活性剤について試験を行って、結果の良好なものを選択するのが好ましい。
除電物質としては、界面活性剤の他に、導電性の材料からなる微粒子も挙げることができる。導電性微粒子としては、カーボンブラックをはじめとするカーボン微粉末、グラファイトの微粉末、Al、Fe、Mg、Si、Cu、Sn、Agといった金属の微粉末、並びにこれらの金属酸化物からなる微粉末が挙げられる。このような導電性微粒子の添加量は、蛍光体ペーストに対して0.05〜1.0質量%の範囲とするのが好ましい。
蛍光体ペーストに除電物質を添加することによって蛍光体ペーストの帯電により、例えば、パネル中央部のアドレス電極の切れ目における蛍光体層35R、35G、35Bの盛り上がりや、放電セル31R、31G、31B内に塗布される蛍光体ペーストの量や溝への付着状態に若干のばらつきが生じる等の蛍光体層35R、35G、35Bの形成不良を防ぎ、各放電セル31R、31G、31B内毎に均質な蛍光体層35R、35G、35Bを形成することができる。
なお、上記のように除電物質として界面活性剤やカーボン微粉末を用いた場合には、蛍光体ペーストに含まれている溶剤やバインダを除去するベーキング工程において除電物質も蒸発あるいは焼失されるので、焼成後の蛍光体層35R、35G、35B中には除電物質が残存しない。従って、蛍光体層35R、35G、35B中に除電物質が残存することによってPDP1の駆動(発光動作)に支障が生じる可能性も無い。
蛍光体を上記各種混合物に分散する際には、例えば高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、又ボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミルなど媒体メディアを装置内で運動させてその衝突(crush)及び剪断力の両方により微粒化するもの、又はカッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。
これらの中でも、本発明では特に分散媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を使用することが好ましく、連続的に分散処理が可能な連続式湿式メディア型分散機を使用することが更に好ましい。複数の連続式湿式メディア型分散機を直列に接続する態様等も適用できる。ここで言うメディアとは、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、ガラスビーズ等の固体粒子の分散媒体を指す。また、「連続的に分散処理が可能」とは、少なくとも蛍光体及び分散媒体を、時間当たり一定の量比で途切れることなく分散機に供給しながら分散処理すると同時に、前記分散機内で製造された分散物を供給に押し出される形で途切れることなく分散機より吐出する形態を指す。蛍光体の製造方法で分散処理工程として媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を用いる場合、その分散室容器(ベッセル)は縦型でも横型でも適宜選択することが可能である。
湿式メディア分散機のベッセル中のメディアの充填量としては、50容積%〜90容積%の範囲とするのが好ましく、60容積%〜80容積%の範囲とするのが更に好ましい。メディアの充填量が50容積%を下回ると蛍光体の分散が不十分となり、また、90容積%を上回るとベッセル内でのメディアの分布が不均一になって局部的に分散が進行するため好ましくない。湿式メディア分散機を用いる際の周速は特に制限は無いが、3m/s〜20m/sであることが、実用上好ましい。
メディア分散機を用いて分散する場合、蛍光体の分散が非常に良好になり、平均粒径分布の再現性に優れたものを得る観点から、該メディア分散機に印加する単位質量当たりの積算動力を0.1kWh/kg〜10kWh/kgの範囲で適宜調整することが好ましい。
また、蛍光体ペースト調製時には、蛍光体の輝度等の諸特性の劣化を防止する観点から、分散開始から終了までの該分散物温度が70℃を超えないように制御しながら分散処理を施すことが好ましく、50℃を超えないように制御しながら分散処理を施すことが更に好ましい。
また、分散を良好に行うために、分散力の弱い(エネルギー付与の小さい)分散機を用いて粗分散を行う第1の分散工程と、分散力の強い(エネルギー付与が大きい)分散機を用いて固体微粒子分散物を作製する第2の分散工程等、分散時に分散質に付与されるエネルギーが異なる分散工程を少なくとも2回行うとよい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
本実施例では、平均粒径が0.15μmのRGB蛍光体及び本発明に係る所定の色域の蛍光体を製造し、得られた蛍光体をペースト状に調製した。そして、このペーストをインクジェット法により断続的に放電セル内に吐出し、放電セルの底面及び側面に層厚10μmの蛍光体層を形成した。そして、この蛍光体層を用いてPDPを作製し、各種評価を行なった。
〔蛍光体の製造〕
(1)赤色発光R蛍光体:(Y,Gd)BO3:Eu3+(色度x=0.66、y=0.335;平均粒径0.15μm)の製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により赤色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、水1000mlにゼラチン(平均分子量約1万5千)をその濃度が10質量%となるように溶解しA液とした。また、水500mlに硝酸イットリウムのイオン濃度が0.4659mol/L、ガドリニウムのイオン濃度が0.2716mol/L、ユーロピウムのイオン濃度が0.0388mol/Lとなるように、硝酸イットリウム6水和物、硝酸ガドリニウム、硝酸ユーロピウム6水和物を溶解しB液とした。
さらに、水50mlにホウ素のイオン濃度0.7763mol/Lとなるようにホウ酸を溶解しC液とした。
次に、反応容器にA液を入れ温度を60℃に保ち、攪拌翼を用いて攪拌を行った。その状態で同じく60℃に保ったB液、C液をA液の入った反応容器下部ノズルより60ml/minの速度で等速添加を行った。添加後10分間熟成を行い、赤色発光前駆体を得た。その後赤色発光前駆体を濾過、乾燥(105℃、16時間)し、乾燥赤色発光蛍光体前駆体を得た。さらに、乾燥赤色発光蛍光体前駆体を1,200℃酸化条件下で2時間焼成して、平均粒径0.15μmの赤色発光R蛍光体を得た。
(2)緑色発光G蛍光体:Zn2SiO4:Mn2+(色度x=0.36、y=0.62;平均粒径0.15μm)の製造
ケイ素化合物を蛍光体前駆体の母核とし、共沈法により形成した。まず、二酸化ケイ素(日本アエロジル株式会社製AEROSIL200、BET比表面積200m2/g)4.51gを純水297.95gに混合してA液を調製した。このとき、A液を20℃以下に保った超音波分散を15分間行った。次に、硝酸亜鉛6水和物42.39gと硝酸マンガン6水和物2.15gを純水126.84gに溶解してB液を調製した。さらに、アンモニア水(28%)21.90gを純水125.67gに溶解してC液をそれぞれ調製した。
次に、A液を撹拌しながら、ローラーポンプを使ってB液とC液を10ml/minの添加速度でA液表面にダブルジェットで同時添加した。B液、C液の添加終了後、吸引濾過により固液分離を行いながら、エタノールを用いて十分に洗浄を行った。次いで、100℃、12時間乾燥を行い、乾燥済み前駆体を得た。得られた前駆体を窒素100%の雰囲気中で1200℃、3時間焼成して、平均粒径0.15μmの緑色発光G蛍光体を得た。
(3)青色発光B蛍光体:BaMgAl1017:Eu2+(色度x=0.15、y=0.03;平均粒径0.15μm)の製造
上記の赤色発光蛍光体Rと同様に、水1000mlにゼラチン(平均分子量約1万5千)をその濃度が10質量%となるように溶解しA液とした。水500mlにバリウムのイオン濃度が0.090mol/L、マグネシウムのイオン濃度が0.100mol/L、ユウロピウムのイオン濃度が0.010mol/Lとなるように塩化バリウム2水和物、塩化マグネシウム6水和物、塩化ユウロピウムを溶解しB液とした。
水500mlにアルミニウムのイオン濃度が1.000mol/L、となるように塩化アルミニウム6水和物、塩化ユウロピウム6水和物を溶解しC液とした。
上記の様に調製したA液、B液、C液を上記の赤色発光蛍光体Rで示した方法と同様に反応晶析法により青色発光蛍光体前駆体を形成し、1600℃2時間還元雰囲気下で焼成を行い、平均粒径0.15μmの青色発光B蛍光体を得た。
(4)XL1蛍光体:Sr4Al1425:Eu2+、Dy3+(色度x=0.05、y=0.486)の製造
硝酸ストロンチウム、アルミナゾル、硝酸ジスプロシウム、及び硝酸ユウロピウムを原料として用い、上記青色発光B蛍光体の製造方法に準拠した方法によって、平均粒径0.15μmの標記XL1蛍光体を得た。
(5)XL2蛍光体:Ba2SiO4:Eu2+(色度x=0.03、y=0.563)の製造
硝酸バリウム、二酸化珪素、及び硝酸ユウロピウムを原料として用い、緑色発光G蛍光体の製造方法に準拠した方法によって、平均粒径0.15μmの標記XL2蛍光体を得た。
〔蛍光体ペーストの調製〕
(1)赤色発光R蛍光体ペーストの調製
上記の平均粒径0.15μmの赤色発光R蛍光体を用いて、下記の組成で蛍光体懸濁液をそれぞれ調合して赤色発光蛍光体組成物とした。これをスターラーで撹拌した。
赤色発光R蛍光体 45質量%
ターピネオール,ペンタンジオールの1:1混合液 545.5質量%
エチルセルロース(エトキシ基の含有率50%) 0.3質量%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.2質量%
組成物をIKA JAPAN社製ホモジナイザを用いて予備分散を行った。予備分散の条件は以下の通り。
翼径 :20mm
回転数 :8000rpm
予備分散時間:2分
続いて横型連続式メディア分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用いて下記の分散条件により本分散処理を行い、赤色発光R蛍光体ペーストを得た。
ディスク回転数:5,520rpm
ビーズ種 :ジルコニア
ビーズ径 :0.3mm
ビーズ充填率 :70%
流量 :120ml/min
分散時間 :3分間
(2)緑色発光G蛍光体ペーストの調製
上記の赤色発光R蛍光体ペーストの調製において、平均粒径が0.15μmの赤色発光蛍光体Rの代わりに平均粒径が0.15μmの緑色発光G蛍光体を用いたことを除いては、上記の赤色発光R蛍光体ペーストの調製と同様に蛍光体ペーストを調製した。
(3)青色発光B蛍光体ペーストの調製
緑色発光蛍光体ペーストFの調製
上記の赤色発光R蛍光体ペーストの調製において、平均粒径が0.15μmの赤色発光蛍光体Rの代わりに平均粒径が0.15μmの青色発光B蛍光体を用いたことを除いては、上記の赤色発光R蛍光体ペーストの調製と同様に蛍光体ペーストを調製した。
(4)XL1蛍光体のペーストの調製
上記の赤色発光R蛍光体ペーストの調製において、平均粒径が0.15μmの赤色発光蛍光体Rの代わりに平均粒径が0.15μmのXL1蛍光体を用いたことを除いては、上記の赤色発光R蛍光体ペーストの調製と同様に蛍光体ペーストを調製した。
(5)XL2蛍光体のペーストの調製
上記の赤色発光R蛍光体ペーストの調製において、平均粒径が0.15μmの赤色発光蛍光体Rの代わりに平均粒径が0.15μmのXL2蛍光体を用いたことを除いては、上記の赤色発光R蛍光体ペーストの調製と同様に蛍光体ペーストを調製した。
〔PDPの製造〕
図1に示した、ストライプ型のセル構造を持つ、交流面放電型のPDP1を製造した。
まず、前面板10となるガラス基板上に、所定の位置に透明電極11a及びバス電極11bを配置してから、この上に、Cr−Cu−Crをスパッタリングし、フォトエッチングを行うことにより表示電極11を形成する。そして、前面板10上に、前記表示電極11を介して低融点ガラスを印刷し、これを500〜600℃で焼成することにより誘電体層12を形成し、さらにこの上に、MgOを電子ビーム蒸着して保護膜13を形成する。
一方、背面板20となるガラス基板上に、Ag厚膜を印刷し、これを焼成することにより、アドレス電極21を形成する。そして、背面板20上に、ストライプ状の隔壁30を形成する。これは、低融点ガラスをピッチ0.2mmで印刷し、焼成することにより形成する。
さらに、前記隔壁30により仕切られたセル31の内側に面する底面31aと前記隔壁30の側面30aとに、上記で調製した各色に発光する蛍光体ペーストをインクジェット法により吐出する。このとき、下記の3種類のPDP用の背面板を形成した。
即ち、蛍光体の平均粒径が0.15μmであるR,G,B,及びXLの蛍光体ペーストを隣り合うセルに一色ずつ規則正しい順序でインクジェット法により吐出した。この際に、形成する放電セルの底面及び隔壁側面の蛍光体層の厚さに関して共に20μmを目標値とし、ノズルからの一回の吐出による吐出量をセル体積の約1/100となる100plとした。
この際に、形成する放電セルの底面及び側面の蛍光体層の厚さを20μmを目標値とし、ノズルからの一回の吐出による吐出量をセル体積の約1/100となる100plとした。
なお、一つの放電セル31につき、一色の蛍光体ペーストを用いる。その後、蛍光体ペーストを乾燥又は焼成して、ペースト中の有機成分を除去し、放電セル31R、31G、31B等にそれぞれ発光色が異なる蛍光体層35R、35G、35B等を形成した。
そして、前記電極11、21等が配置された前面板10と上記のいずれかの背面板20とを、それぞれの電極配置面が向き合うように位置合わせし、隔壁30により約1mmのギャップを保った状態で、その周辺をシールガラスにより封止する。そして、前記基板10、20間に、放電により紫外線を発生するキセノン(Xe)と主放電ガスのネオン(Ne)とを混合したガスを封入して気密密閉した後、エージングを行った。
上記の方法により作製したPDPは、次の通りである。
PDP1(比較例1):
B蛍光体としてBaMgAl1017:Eu2+(色度x=0.15、y=0.03)
G蛍光体としてZn2SiO4:Mn2+(色度x=0.36、y=0.62)
R蛍光体として(Y,Gd)BO3:Eu3+(色度x=0.66、y=0.335)
の上記3色の蛍光体を用いて作製した。
PDP2(比較例2):
B蛍光体としてBaMgAl1017:Eu2+(色度x=0.15、y=0.03)
G蛍光体としてZn2SiO4:Mn2+(色度x=0.36、y=0.62)
R蛍光体として(Y,Gd)BO3:Eu3+(色度x=0.66、y=0.335)
4色目の蛍光体としてSr4Al1425:Eu2+、Dy3+(色度x=0.05、y=0.486)
の上記4色の蛍光体を用いて作製した。
PDP3(本発明):
B蛍光体としてBaMgAl1017:Eu2+(色度x=0.15、y=0.03)
G蛍光体としてZn2SiO4:Mn2+(色度x=0.36、y=0.62)
R蛍光体として(Y,Gd)BO3:Eu3+(色度x=0.66、y=0.335)
4色目の蛍光体としてBa2SiO4:Eu2+、(色度x=0.03、y=0.563)
の上記4色の蛍光体を用いて作製した。
〔評価〕
(1)NTSC比の評価
上記の各PDPの発光色についてのCIE色度図での色再現域をNTSC規格で規定されている色再現域に対する面積比(%)として表した。
なお、コニカミノルタセンシング株式会社製色彩輝度計CS−100Aを用いて色度及び輝度を測定した。
(2)鮮やかさの評価
鮮やかさを下記の5段階に分け目視評価を行った。
1.劣る、2.やや劣る、3.普通、4.良好、5.極めて良好
(3)輝度の評価
製造したPDPについて、上記色彩輝度計CS−100Aを用いて輝度の測定をした。
なお、比較例1(PDP1)を従来の一般的なPDPに相当するものと位置づけ、当該比較例の白色輝度を基準値100として、この基準値に対する相対値を求め、この相対値により各PDPの輝度を評価した。
評価結果を表1に示す。
Figure 2007073466
表1から明らかなように、本発明のPDP3は、比較例に対し、NTSC比、鮮やかさ、輝度において優れている。
実施例2
実施例1と同様にして、平均粒径1.3μmの赤色発光R蛍光体、平均粒径1.8μmの緑色発光G蛍光体及び平均粒径2.1μmの青色発光蛍光体D(平均粒径2.1μm)、及びBa2SiO4:Eu2+を調製し、次に、それぞれの蛍光体ペーストを調製した。さらに、それぞれの蛍光体ペーストを放電セル31内にスクリーン塗布法により塗布してPDP4を作製した。このPDP4のNTSC比は128%であったが、PDP1に対する相対輝度が70であった。この結果より、平均粒径が1μm以下の蛍光体を用いた方が、本発明の効果がより有効に発現されることが分かる。
本発明に係るプラズマディスプレイパネル(PDP)の一例を示した斜視図。 放電セルの構造の一例を示した要部斜視図。 放電セルの構造の一例を示した要部斜視図。
符号の説明
1 プラズマディスプレイパネル
10 基板
20 基板
30 隔壁
31 放電セル
35R、35G、35B、35XL 蛍光体層
40 隔壁
41 放電セル
50 隔壁
51 放電セル

Claims (5)

  1. 少なくとも赤(R)、緑(G)及び青(B)の3原色の発光をする3種の蛍光体を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、当該パネルがこれら3種の蛍光体以外にCIE色度図(xy色度座標)における色域0<x<0.2、0.5<y<0.6の色の発光をし得る蛍光体を有していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. プラズマディスプレイパネルがNTSC比125%以上の色再現性を有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記蛍光体の少なくとも1種の蛍光体が蛍光体原料を液相中で反応させる液相合成法により製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記蛍光体の少なくとも1種の蛍光体の平均粒径が0.01μm以上で1μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルを製造することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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