JP2006265327A - 蛍光体、蛍光体の製造方法およびプラズマティスプレイパネル - Google Patents

蛍光体、蛍光体の製造方法およびプラズマティスプレイパネル Download PDF

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Abstract

【課題】 発光強度が向上し、スパッタリングやUV照射によりダメージを受けにくい蛍光体、およびその製造方法並びに該蛍光体を用いたプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
【解決手段】 蛍光体の前駆体を液相法により形成する前駆体形成工程と、前記前駆体を焼成して蛍光体を形成する焼成工程とを有する蛍光体の製造方法において、前記前駆体形成工程の後、前記焼成工程の前に、不活性ガス雰囲気下において前記前駆体を固液分離する工程、および/または不活性ガス雰囲気下で前記前駆体を乾燥する工程を有することを特徴とする蛍光体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は蛍光体、および蛍光体の製造方法、該蛍光体用い製造されたプラズマディスプレイパネルに関する。
蛍光体の製造方法としては、蛍光体母体を構成する元素を含む化合物と賦活剤元素を含む化合物を所定量混合し、焼成して固体間反応を行う固相法と、蛍光体母体を構成する元素を含む溶液と賦活剤元素を含む溶液を混合して溶液中で蛍光体の前駆体の沈澱を生成させ、この前駆体を固液分離してから焼成する液相法がある。
蛍光体の収率と発光効率を高めるには、その蛍光体の組成をできるだけ化学量論的な組成に近づける必要がある。固相法では純粋に化学量論的な組成を有する蛍光体を製造することは難しく、固体間反応の結果、反応しない余剰の不純物や反応によって生ずる副塩等が残留し、化学量論的に高純度な蛍光体を得ることが難しい。このような不純物が十分に燃焼できない影響により発光強度の低下、蛍光体の変色、焼成ムラ等のデメリットがあり、焼成ロットによる発光強度の変動も大きい。
組成的に均一で高純度な微粒子蛍光体を得るには、固相法よりも液相法の方が適している。液相法により蛍光体を製造する場合は、まず、蛍光体の前駆体である沈澱を生成させ、これを焼成して蛍光体とするが、粒子径分布や発光特性などの蛍光体の特性は前駆体の性状に大きく左右される。そのため、前駆体の粒子径分布の制御や不純物排除に配慮することが必要である。
液相法で得た蛍光体は、それでも前駆体沈澱媒体中に存在する多くの不純物が混入するという問題があり、この不純物の影響により、発光強度の低下、焼成ムラ、スパッタリングやUV照射による蛍光体ダメージを受けやすい等のデメリットがある。
例えば、特許文献1には、蛍光体前駆体をウェットケーキ状態で遠心分離または加圧濾過による脱塩、脱水方法を規定する等の方法が記載されている。
また、特許文献2にも、液相法により形成した蛍光体の脱塩、特に固液分離や、乾燥について記載がある。
また、特許文献3には球状希土類酸化物の製造方法、噴霧乾燥の条件等が規定され粒子径分布の制御や不純物排除に配慮した方法が記載されている。
前記の如く、不純物を排除するために、前駆体沈殿の製造工程中に脱塩工程を含む様々な対策が知られているが、特に、蛍光体の固液分離時、また乾燥時のガス雰囲気等に関する記載はなく、上記課題に対して、必ずしも十分な改良法は得られていない。
特開2004−27152号公報 特開2003−171661号公報 特開平9−71415号公報
本発明は前記した課題に鑑みてなされたものであり、発光強度が向上し、スパッタリングやUV照射によりダメージを受けにくい蛍光体、およびその製造方法並びに該蛍光体を用いたプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
本発明の上記課題は以下の手段により達成される。
(請求項1)
蛍光体の前駆体を液相法により形成する前駆体形成工程と、前記前駆体を焼成して蛍光体を形成する焼成工程とを有する蛍光体の製造方法において、前記前駆体形成工程の後、前記焼成工程の前に、不活性ガス雰囲気下において前記前駆体を固液分離する工程、および/または不活性ガス雰囲気下で前記前駆体を乾燥する工程を有することを特徴とする蛍光体の製造方法。
(請求項2)
前記前駆体形成工程ののち、直ちに不活性ガス雰囲気下での加圧濾過により固液分離を行うことを特徴とする請求項1記載の蛍光体の製造方法。
(請求項3)
前記前駆体形成工程ののち、直ちに不活性ガス雰囲気下での遠心分離により固液分離を行うことを特徴とする請求項1記載の蛍光体の製造方法。
(請求項4)
前記固液分離後に、前記前駆体を更に不活性ガス雰囲気下で乾燥したのち、焼成することを特徴とする請求項2または3に記載の蛍光体の製造方法。
(請求項5)
請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法により製造されたことを特徴とする蛍光体。
(請求項6)
請求項5に記載の蛍光体を用い製造された放電セルを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
本発明により蛍光体の発光強度の向上およびダメージを受けにくい蛍光体並びに発光輝度が高く、長寿命のプラズマディスプレイパネルがえられる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されない。
本発明に係る真空紫外線励起蛍光体の製造方法は、請求項1に記載のように、蛍光体の前駆体を形成する前駆体形成工程、前記駆体形成工程により得られた前駆体を焼成して蛍光体粒子を得る焼成工程を有する。
本発明の製造方法の特徴の一つは、前記蛍光体前駆体を液相法により調製することであり、もう一つは、前駆体調製後に、不活性ガス雰囲気下で固液分離、即ち蛍光体前駆体の分離を行う、また、前記固液分離された前駆体を不活性ガス雰囲気下で乾燥した後、蛍光体前駆体の焼成を行い蛍光体を得ることにある。
先ず、本発明に係る蛍光体の製造方法により製造される真空紫外線励起蛍光体について説明する。
本発明の方法により製造される蛍光体の組成としては、例えば特開昭50−6410号、同61−65226号、同64−22987号、同64−60671号、特開平1−168911号等に記載されている蛍光体等が挙げられる。その結晶母体としては、Y22S、Zn2SiO4、Ca5(PO43Cl等に代表される金属酸化物、ZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物に、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを賦活剤または共賦活剤として組み合わせたものが好ましい。
結晶母体の好ましい例を以下に列挙すると、ZnS、SrS、GaS、(Zn,Cd)S、SrGa24、YO3、Y22S、Y23、Y2SiO3、SnO2、Y3Al512、Zn2SiO4、Sr4Al1425、CeMgAl1019、BaAl1219、BaMgAl1017、BaMgAl1423、Ba2Mg2Al1222、Ba2Mg4Al818、Ba3Mg5Al1835、(Ba,Sr,Mg)O・aAl23、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017、Sr227、(La,Ce)PO4、Ca10(PO46(F,Cl)2、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46l2、GdMgB510、(Y,Gd)BO3等が挙げられる。
結晶母体及び賦活剤または共賦活剤は、特に元素の組成に制限はなく、同族の元素と一部置き換えたものでも使用可能で、紫外から青色領域を吸収して可視光を発するものであればどのような組み合わせでも使用可能である。しかし、特には無機酸化物蛍光体、または無機ハロゲン化物蛍光体を使用することが好ましい。
以下に本発明に使用される蛍光体の具体的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
[青色発光蛍光体化合物]
(BL−1) :Sr227:Sn4+
(BL−2) :Sr4Al1425:Eu2+
(BL−3) :BaMgAl1017:Eu2+
(BL−4) :SrGa24:Ce3+
(BL−5) :CaGa24:Ce3+
(BL−6) :(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017:Eu2+
(BL−7) :(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu2+
(BL−8) :ZnS:Ag
(BL−9) :CaWO4
(BL−10):Y2SiO5:Ce
(BL−11):ZnS:Ag,Ga,Cl
(BL−12):Ca259Cl:Eu2+
(BL−13):BaMgAl1423:Eu2+
(BL−14):BaMgAl1017:Eu2+,Tb3+,Sm2+
(BL−15):BaMgAl1423:Sm2+
(BL−16):Ba2Mg2Al1222:Eu2+
(BL−17):Ba2Mg4Al818:Eu2+
(BL−18):Ba3Mg5Al1835:Eu2+
(BL−19):(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017:Eu2+
[緑色発光蛍光体化合物]
(GL−1) :(Ba,Mg)Al1627:Eu2+,Mn2+
(GL−2) :Sr4Al1425:Eu2+
(GL−3) :(Sr,Ba)Al2Si28:Eu2+
(GL−4) :(Ba,Mg)2SiO4:Eu2+
(GL−5) :Y2SiO5:Ce3+,Tb3+
(GL−6) :Sr227−Sr225:Eu2+
(GL−7) :(Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu2+
(GL−8) :Sr2Si38−2SrCl2:Eu2+
(GL−9) :Zr2SiO4,MgAl1119:Ce3+,Tb3+
(GL−10):Ba2SiO4:Eu2+
(GL−11):ZnS:Cu,Al
(GL−12):(Zn,Cd)S:Cu,Al
(GL−13):ZnS:Cu,Au,Al
(GL−14):Zn2SiO4:Mn2+
(GL−15):ZnS:Ag,Cu
(GL−16):(Zn,Cd)S:Cu
(GL−17):ZnS:Cu
(GL−18):Gd22S:Tb
(GL−19):La22S:Tb
(GL−20):Y2SiO5:Ce,Tb
(GL−21):Zn2GeO4:Mn
(GL−22):CeMgAl1119:Tb
(GL−23):SrGa24:Eu2+
(GL−24):ZnS:Cu,Co
(GL−25):MgO・nB23:Ce,Tb
(GL−26):LaOBr:Tb,Tm
(GL−27):La22S:Tb
(GL−28):SrGa24:Eu2+,Tb3+,Sm2+
[赤色発光蛍光体化合物]
(RL−1) :Y22S:Eu3+
(RL−2) :(Ba,Mg)2SiO4:Eu3+
(RL−3) :Ca28(SiO462:Eu3+
(RL−4) :LiY9(SiO4)6O2:Eu3+
(RL−5) :(Ba,Mg)Al1627:Eu3+
(RL−6) :(Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu3+
(RL−7) :YVO4:Eu3+
(RL−8) :YVO4:Eu3+,Bi3+
(RL−9) :CaS:Eu3+
(RL−10):Y23:Eu3+
(RL−11):3.5MgO,0.5MgF2GeO2:Mn
(RL−12):YAlO3:Eu3+
(RL−13):YBO3:Eu3+
(RL−14):(Y,Gd)BO3:Eu3+
特に、本発明に係る蛍光体としては、上記(GL−14)Zn2SiO4:Mn2+が好ましい。
本発明に係わる蛍光体の製造方法における前駆体形成工程について説明する。
(前駆体形成工程)
本発明に係る前駆体形成工程においては、いかなる方法を使用してもよいが、液相法(「液相合成法」ともいう。)により前駆体を合成することが本発明においては特に好ましい。前駆体とは、蛍光体の中間生成物であり、後述するように、焼成工程においてこの前駆体を所定の温度で焼成して蛍光体粒子を得ることができる。
液相法とは、液体の存在下または液中で前駆体を作製(合成)する方法である。液相法では、蛍光体原料を液相中で反応させるので、蛍光体を構成する元素イオン間での反応が行われ、化学量論的に高純度な蛍光体が得やすい。また、固相間反応と粉砕工程とを繰り返し行いながら蛍光体を製造する固相法と比して、粉砕工程を行わずとも微少な粒径の粒子を得ることができ、粉砕時にかかる応力による結晶中の格子欠陥を防ぎ、発光効率の低下を防止することができる。
なお、本実施形態における液相法には、冷却晶析を代表とする一般的な晶析法や、ゾルゲル法が用いられるが、特に反応晶析法を好ましく用いることができる。
先ず、液相法による蛍光体前駆体の調製について説明する。
ゾルゲル法による蛍光体前駆体の製造方法とは、一般的には母体、賦活剤又は共賦活剤に用いる元素(金属)を、例えば、Si(OCH34やEu3+(CH3COCHCOCH33等の金属アルコキシドや金属錯体又はそれらの有機溶媒溶液に金属単体を加えて作るダブルアルコキシド(例えば、Al(OC493の2−ブタノール溶液に金属マグネシウムを加えて作るMg[Al(OC4932等)、金属ハロゲン化物、有機酸の金属塩を、金属単体として必要量混合し、熱的又は化学的に重縮合することによる製造方法を意味する。
晶析法による無機蛍光体の前駆体の製造方法とは、晶析現象を利用して、蛍光体の原料となる元素を含む溶液若しくは原料ガスを、液相又は気相中で混合させることによって前駆体を作製する方法のことである。ここで、晶析現象とは、冷却、蒸発、pH調節、濃縮等による物理的若しくは化学的な環境の変化、または化学反応により混合系の状態に変化を生じる場合等に気相中から固相が析出してくる現象のことをいい、(反応)晶析法においては、このような晶析現象の発生に起因する物理的、化学的操作による製造方法を意味する。
なお、晶析法を適用する際の溶媒は、反応原料が溶解すれば何れの溶液も適用可能であるが、過飽和度に対する制御の容易性の観点から、水が好ましい。また、複数の反応原料を用いる場合、原料を添加する順序は、同時であっても異なっていてもよく、活性に応じて適切な順序を適宜選択することが可能である。
さらに、前駆体の形成においては、より微小で粒径範囲の狭い蛍光体を製造するために、晶析法を含め、2液以上の原料溶液を保護コロイドの存在下で貧溶媒中に液中添加することが好ましい。また、蛍光体の種類により、反応中の温度、添加速度、攪拌速度、pH等、諸物性を調整することがより好ましく、反応中に超音波を照射してもよい。粒径制御のために界面活性剤やポリマーなどを添加してもよい。原料を添加し終ったら必要に応じて液を濃縮及び/または熟成することも好ましい態様の1つである。
保護コロイドは、微粒子化した前駆体粒子同士の凝集を防ぐために機能するもので、天然、人工を問わず各種高分子化合物を用いることができるが、中でもタンパク質を好ましく使用することができる。
タンパク質としては、例えば、ゼラチン、水溶性タンパク質、水溶性糖タンパク質が挙げられる。具体的には、アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質、遺伝子工学的に合成されたタンパク質等を挙げることができる。
また、ゼラチンとしては、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンを挙げることができ、これらを併用してもよい。さらに、これらのゼラチンの加水分解物、これらのゼラチンの酵素分解物を用いてもよい。
保護コロイドは、単一の組成である必要はなく、各種バインダーを混合してもよい。具体的には、例えば、上記ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマーを用いることができる。
なお、保護コロイドの平均分子量は10,000以上が好ましく、10,000〜300,000がより好ましく、10,000〜30,000が特に好ましい。また、保護コロイドは、原料溶液の一つ以上に添加することができ、原料溶液の全てに添加してもよく、保護コロイドを添加する量や、反応液の添加速度により、前駆体の粒径を制御することができる。
また、焼成後の蛍光体粒子の粒径、粒径分布、発光特性等の蛍光体の諸特性は、前駆体の性状に大きく左右されるため、前駆体形成工程において、前駆体の粒径制御を行うことにより、前駆体を十分小さくすることが好ましい。また、前駆体を微粒子化すると、前駆体同士の凝集が起こりやすくなるため、保護コロイドを添加することにより前駆体同士の凝集を防いだ上で、前駆体を合成することは極めて有効であり、粒径制御が容易になる。なお、保護コロイドの存在下で反応を行う場合には、前駆体の粒径分布の制御や副塩等の不純物排除に十分配慮することが必要である。
上述した前駆体形成工程にて、上記のように、適宜、粒径制御等を行って、前駆体を合成した後、本発明においては、不活性ガス雰囲気下で加圧濾過、遠心分離等の方法で前駆体を固液分離、回収し、その後に好ましくは更に洗浄、脱塩処理工程を行う。
ここにおいて不活性ガス雰囲気下とは、酸素濃度100ppm、より好ましくは10ppm以下の雰囲気であり、例えば前記酸素濃度以下の窒素、また、ヘリウム、アルゴン等の希ガス等で満たされた雰囲気がある。安価なことから窒素が好ましい。
脱塩処理工程は前駆体から副塩などの不純物を取り除くための工程であり、各種膜分離法、凝集沈降法、電気透析法、イオン交換樹脂を用いた方法、ヌーデル水洗法、限外濾過膜を用いた方法などを適用することができる。
なお、脱塩工程の時期は、前駆体形成終了直後に行われてもよい。また、原料の反応具合に応じて、複数回行われてもよい。
(焼成工程)
次に、焼成工程について説明する。希土類ホウ酸塩蛍光体、珪酸塩蛍光体及びアルミン酸蛍光体等の本発明に係る蛍光体は、各々の前駆体を焼成処理することにより得られる。ここで、焼成処理の条件(焼成条件)について説明する。
焼成工程では、いかなる方法を用いてもよく、焼成温度や時間は本発明の範囲内で適宜調整すればよい。例えば、前駆体をアルミナボートに充填し、所定のガス雰囲気中で所定の温度で焼成することで所望の蛍光体を得ることができる。
焼成装置(焼成容器)は現在知られているあらゆる装置を使用することができる。例えば箱型炉、坩堝炉、円柱管型、ボート型、ロータリーキルン等が好ましく用いられる。
また、焼成時には必要に応じて焼結防止剤を添加してもよい。添加する必要のない場合は勿論添加しなくてもよい。焼結防止剤を添加する場合は、前駆体形成時にスラリーとして添加してもよく、また、粉状の焼結防止剤を乾燥済前駆体と混合して焼成してもよい。
焼結防止剤は特に限定されるものではなく、蛍光体の種類、焼成条件によって適宜選択される。例えば、蛍光体の焼成温度域によって800℃以下での焼成にはTiO2等の金属酸化物が、1000℃以下での焼成にはSiO2が、1700℃以下での焼成にはAl23が、それぞれ好ましく使用される。従って、本発明においては、Al23を使用することが好ましい。
さらに、必要に応じて焼成処理の後に還元処理または酸化処理等を施しても良い。
また、焼成工程後、冷却処理、表面処理、分散処理等を施してもよく、分級してもよい。
冷却処理は、焼成工程で得られた焼成物を冷却する処理であり、該焼成物を前記焼成装置に充填したまま冷却することが可能である。
冷却処理は特に限定されないが、公知の冷却方法より適宜選択することができ、例えば、放置により温度低下させる方法でも、冷却機を用いて温度制御しながら強制的に温度低下させる等の方法の何れであってもよい。
本発明に係わる蛍光体は、前記液相法によって蛍光体前駆体を形成した後、前記焼成工程により、賦活され蛍光体となるが、本発明においては、液相法により蛍光体前駆体の形成工程終了後に、不活性ガス雰囲気下で固液分離、および/または、固液分離後に不活性ガス雰囲気下で乾燥する工程を設けるものである。
例えば、液相法により蛍光体前駆体を形成した後、晶析した蛍光体を母液から分離する固液分離工程を不活性ガス雰囲気下で行う。
固液分離工程、または前記乾燥工程のいずれかを不活性ガス雰囲気下で行うことで本発明の効果は得られるが、両工程とも不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
不活性ガス雰囲気としては、酸素濃度が100ppm以下、であることであり、より好ましくは酸素濃度が10ppm以下である。不活性ガスとしては、化学的に不活性な窒素ガス或いは希ガス等を用いるが、窒素ガスが安価で好ましく、また液化窒素を用いると、酸素濃度1〜100ppmの窒素ガスが安価に入手可能である。
本発明において、これら不活性ガス雰囲気下で固液分離を行う方法としては、加圧濾過あるいは遠心分離を用いることができる。
本発明に用いられる加圧濾過方式は、濾布などの濾材と、濾材を含む濾板と、濾材を加圧するための圧搾部材から主に構成されるもので、該濾板と濾板の間に保持された該濾材と濾材の間隙に晶析した目的の蛍光体前駆体を母液と共に注入し、該圧搾部材により、該濾材を圧搾することにより前駆体をプレスすることで脱水する方式である。この様な機構により脱水する装置であればその他に特に限定はなく、あらゆる脱水装置を好ましく適用できるが、本発明においては前記の不活性ガスの雰囲気下で固液分離できる構造のものを使用する。
加圧濾過方式の固液分離工程に用いる装置としては、例えば、図1又は図2に示した装置が好ましく用いられる。
図1は本発明に用いられる簡易型プレス方式による固液分離装置の概略断面図である。図1において、スラリー供給口14よりバルブ11を介して蛍光体前駆体のスラリーが、濾布16、17及び濾板18、19の間に供給され、エアー投入口5から圧力計6、三方弁7、8を介してエアーシリンダー9に空気が送られ、蛍光体前駆体のスラリーを圧搾し、濾液排出口15よりバルブ12を介して濾液が排出され脱水処理が行われる。また、洗浄水供給口13よりバルブ10を介して洗浄水を供給し、蛍光体前駆体の脱塩処理が行われる。
図2は、フィルタープレス方式による固液分離各工程を示す概略図である。同図中、(i)の原液供給では、2枚の濾板21に挟まれた濾布22の間にスラリー状の蛍光体前駆体を供給しながら、副生して溶解している副塩を含む水分を濾液排出口23より濾液として分離する。スラリー供給後、(ii)の1次脱水で更に、ダイヤフラム24に加圧水供給口25より加圧水を送り込み、濾布を圧搾して溶解している副塩の一部を濾液として分離する。水分が除去されて蛍光体前駆体ケーキの表面にクラックが発生する前に、引き続き、(iii)の脱塩で洗浄水供給口26より、洗浄水を供給して蛍光体前駆体ケーキの洗浄を行い、溶解している副塩の除去を行いながら、濾液の伝導度がある目的の値になるまで脱塩を行う。脱塩終了後、洗浄水の供給を終了し、必要であれば加圧水の圧力を調整し、再びダイヤフラム24に加圧水を送り込み、濾布を圧搾して、更に(iv)の2次脱水を行い余分な水分を除去する。
本発明に用いられる加圧脱水方式で蛍光体の前駆体を脱水する場合、脱水効率を向上させるために、加圧する圧力は0.5MPa以上であることがより好ましく、1MPa以上であることが更に好ましい。
また、本発明に用いられる遠心分離方式の固液分離工程に用いる装置としては、例えば、図3又は図4に示した装置が好ましく用いられる。遠心分離方式とは、蛍光体前駆体を母液と共に円柱状容器に注入し、該容器を高速で回転させることにより固液分離する装置であれば、その他、特に限定はなく、あらゆる装置を好ましく適用できる。遠心分離方式の装置には、前記容器の壁面に水を放出する複数の穴を有する有孔壁タイプと、壁面に穴を有さず容器の上部から水を放出する無孔壁タイプがある。本発明においては、該容器内を不活性ガスの雰囲気にして使用する。
図3は、本発明に用いられる遠心分離方式による固液分離工程に用いる装置の概略断面図である。1は遠心分離装置の缶体であり、その中に濾過面を有するバスケット2があり、このバスケット2はモータにより高速に回転する。3はスラリー供給用ホッパーであり、形成されたスラリー状の蛍光体の前駆体を供給する。4は洗浄水供給用ノズルである。
図4は、遠心分離方式による固液分離(脱塩及び脱水)の各工程を示す概略工程図である。同図中、(i)の原液供給では、高速で回転するバスケット2にスラリー供給用ホッパー3から形成されたスラリー状の蛍光体前駆体を供給しながら、副生して溶解している副塩を含む水分を濾液として分離する。スラリー供給終了後、(ii)の1次脱水で更に、溶解している副塩の一部を濾液として分離する。水分が除去されてバスケット内面の蛍光体前駆体ケーキの表面にクラックが発生する前に、引き続き、(iii)の脱塩で4の洗浄水供給用ノズルより、洗浄水を供給して、蛍光体前駆体ケーキの洗浄を行い、溶解している副塩の除去を行いながら、濾液の伝導度がある目的の値になるまで脱塩を行う。脱塩終了後、洗浄水の供給を終了し、必要であればバスケットの回転数を調整し、更に(iv)の2次脱水を行い余分な水分を除去する。
本発明に用いられる遠心分離方式で蛍光体前駆体の固液分離工程を行う場合、脱塩及び脱水効率を向上させるために、下記関係式(1)で定義される遠心力Gが500以上であることがより好ましく、800以上であることが更に好ましい。
関係式(1)
G=1.119×10-5×r×N2
ここで、関係式(1)中、rはバスケットの半径〔cm〕を、Nはバスケットの回転速度〔rpm〕を表す。
本発明においては、固液分離工程において脱水、脱塩を行った後、さらに前記同様に不活性ガス雰囲気下(酸素濃度が100ppm以下である雰囲気下)で乾燥工程を行うと好ましい。乾燥工程は、洗浄後又は脱塩後に行うと好ましく、真空乾燥、気流乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥等、あらゆる方法で行うことができる。乾燥温度は特に限定されないが、使用した溶媒が気化する温度付近以上の温度であることが好ましく、乾燥温度が高過ぎると、乾燥と同時に焼成が施されて、後続の焼成処理が行われることなく蛍光体が得られてしまうため、具体的には50〜300℃の範囲であることがより好ましい。より好ましくは100〜200℃の範囲である。
(表面処理)
本発明の製造方法により製造される蛍光体は、種々の目的で吸着・被覆等の表面処理を施すことができる。どの時点で表面処理を施すかはその目的によって異なり、適宜適切に選択するとその効果がより顕著になる。例えば、分散処理工程前の何れかの時点でSi、Ti、Al、Zr、Zn、In、Snから選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物で蛍光体の表面を被覆すると、分散処理時における蛍光体の結晶性の低下を抑制でき、さらに蛍光体の表面欠陥に励起エネルギーが捕獲されることを防ぐことにより、発光強度の低下を抑制できる。また、分散処理工程後の何れかの時点で有機高分子化合物等により蛍光体の表面を被覆すると、耐候性等の特性が向上し、耐久性に優れた蛍光体を得ることができる。これら表面処理を施す際の被覆層の厚さや被覆率等は、適宜任意に制御することができる。
(分散処理)
次に、分散処理工程について説明する。本発明では、焼成工程において得られる蛍光体粒子に対して下記のような分散処理を施すことが好ましい。
分散処理方法としては、例えば、高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、また、ボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミルなど媒体メディアを装置内で運動させてその衝突(crush)及び剪断力の両方により微粒化するもの、またはカッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
これらの中でも、本発明では特に媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を使用することが好ましく、連続的に分散処理が可能な連続式湿式メディア型分散機を使用することがさらに好ましい。複数の連続式湿式メディア型分散機を直列に接続する態様等も適用できる。ここで言う「連続的に分散処理が可能」とは、少なくとも蛍光体及び分散媒体を、時間当たり一定の量比で途切れることなく分散機に供給しながら分散処理すると同時に、前記分散機内で製造された分散物を供給に押し出される形で途切れることなく分散機より吐出する形態を指す。蛍光体の製造方法で分散処理工程として媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を用いる場合、その分散室容器(ベッセル)は縦型でも横型でも適宜選択することが可能である。
(エッチング処理)
次にエッチングによる表面処理工程について説明する。
本発明に係る蛍光体には、電界発光型蛍光体のように、表面の凸部により発光強度を向上させるという役割がないため、蛍光体粒子を蛍光体層に密に充填するという観点及び蛍光体粒子に表面に対して均一にエッチング処理を施すという観点から、粒子表面における凸部が少ない、または凸部がない蛍光体粒子に対してエッチング処理を施すことが好ましい。
なお、蛍光体粒子の表面の不純物に応じて適宜選択することが可能であり、例えば、微粒子や、イオンスパッタ等により、表面を削る物理的な方法であってもよいが、エッチング液に蛍光体粒子を浸して表面の不純物等を溶解する等の化学的な方法が効果的である。この際、エッチング液が蛍光体粒子本体を侵食すると発光強度は低くなってしまうため、エッチングは注意深く行う必要がある。
エッチング液の種類は、不純物等に応じて決定され、酸性若しくはアルカリ性であってもよく、水溶液若しくは有機溶剤であってもよい。この際、酸性の水溶液を用いた場合には、効果が顕著に現れるため、特に強酸が用いられることが好ましい。なお、強酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、過塩素酸等が適用可能であるが、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
また、エッチング後は、水洗処理等を行い、エッチング液を除去することが好ましい。
(プラズマディスプレイパネル)
次に、上述した蛍光体を利用したPDPについて説明する。
一般的に、PDPは、電極の構造及び動作モードから、直流電圧を印加するDC型と、交流電圧を印加するAC型とに大別されるが、本実施形態では、図1に示すようなAC型のPDPを参照しながら、以下詳細について説明する。
本実施形態におけるPDP100は、図5に示すように、平板状に成型された前面板110と、前面板110と略同一形状であって、前面板110の一面と対向する位置に配置された背面板120とを備えて構成されている。これら基板110、120のうち、前面板110は、放電セルから発せられる可視光を透過し、基板上に各種の情報表示を行うようになっており、PDP100の表示画面として機能する。
この前面板110には、ソーダライムガラス、いわゆる青板ガラス等の可視光を透過する材料が好適に用いられ、その厚さ寸法は、1〜8mmの範囲が好ましく、2mmであることがより好ましい。
また、前面板110には、前面板110の背面板120と対向する面に複数の表示電極111が、一定の間隔毎に配置されている。これら表示電極111には、幅広の帯状に形成された透明電極111aと、透明電極111aと同一形状に形成されたパス電極111bとが備えられ、透明電極111aの上面にパス電極111bが積層された構造となっている。
表示電極111は、平面視において隔壁31と直交しており、所定の放電ギャップを設けて対向する位置関係に配置された2つで一組になっている。
透明電極111aとしては、ネサ膜等の透明電極が適用可能であり、そのシート抵抗は、100Ω以下であることが好ましい。また、透明電極111aの幅寸法は、10〜200μmの範囲が好ましい。
パス電極111bは、抵抗を下げるためのものであり、Cr/Cu/Crのスパッタリング等により形成される。またパス電極111bの幅寸法は、透明電極111aよりも小さく形成されており、5〜50μmの範囲が好ましい。
前面板110に配設された表示電極111は、その表面全体が誘電体層112により被覆されている。この誘電体層112は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することが可能であり、厚さ寸法は、20〜30μmの範囲が好ましい。
誘電体層112の上面は、その表面全体が保護層113により被覆されている。この保護層113は、MgO膜が適用可能であり、その厚さ寸法は0.5〜50μmの範囲が好ましい。
一方、前面板110の一面と対向する位置に配置された背面板120は、前面板110と同様に、ソーダライムガラス、いわゆる青板ガラス等が適用可能であり、その厚さ寸法は、1〜8mmの範囲が好ましく、2mm程度がより好ましい。
この背面板120の前面板110と対向する面には、複数のアドレス電極121が配設されている。これらアドレス電極121は、透明電極111a及びパス電極111bと同一の形状に形成されており、平面視において、上記した表示電極111と直交するように、一定の間隔毎に設けられている。また、アドレス電極121は、Ag厚膜電極等の金属電極が適用可能であり、その幅寸法は、100〜200μmの範囲が好ましい。
さらに、アドレス電極121は、その表面全体が誘電体層122により被覆されており、この誘電体層122は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することが可能であり、その厚さ寸法は、20〜30μmの範囲が好ましい。
誘電体層122の上面には、背面板120に対して垂直方向に突出した形状の隔壁30が配設されている。これら隔壁30は、長尺に形成されており、アドレス電極121の両側であって、隣接する隔壁30の長手方向が互いに平行となるように配置されている。また、隔壁30により、所定形状に区画された複数の微少放電空間(以下、放電セル31)は、平面視において、ストライプ状に形成されている。
隔壁30は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することが可能であり、その幅寸法は、10〜500μmの範囲が好ましく、100μm程度がより好ましい。また、隔壁30の高さ寸法は、通常10〜100μmの範囲であり、50μm程度が好ましい。
本実施形態における放電セル31は、前面板110及び背面板120が水平に配置されたときに、隔壁30が所定の間隔毎に平行に、すなわちストライプ状に配置されていることから、ストライプ型を呼ばれている。
なお、放電セルの構造は、このようなストライプ型のものに限定されるものではなく、平面視において格子状に設けた格子型の放電セルであってもよいし、互いに対象な屈曲した一組の隔壁によりハニカム状(八角形状)の放電セルであってもよい。
各放電セル31R、31G、31Bには、本発明において製造された赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかに発光する蛍光体から構成された蛍光体層35R、35G、35Bのいずれかが一定の順序で設けられている。また、各放電セル31R、31G、31Bの内部中空には、放電ガスが封入されており、平面視において、表示電極111と、アドレス電極121とが交差する点が少なくとも一つ設けられている。さらに、各蛍光体層35R、35G、35Bの厚さ寸法は、特に限定されず、5〜50μmの範囲が好ましい。
各蛍光体層35R、35G、35Bは、隔壁の側面や、底面に形成されている。これら蛍光体層35R、35G、35Bは、まず始めに、上記した蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散させることで蛍光体ペーストが作製される。そして、これら蛍光体ペーストが適度な粘度に調整され、対応する各放電セル31R、31G、31Bに塗布又は充填されて、最後に乾燥又は焼成されることにより形成されている。
上記した構成からなるPDP100は、表示に際して、アドレス電極121と、一組の表示電極111、111のうちいずれか一方の表示電極111との間で選択的にトリガー放電を行わせることにより、表示を行う放電セルが選択される。その後、選択された放電セルの内部において、一組の表示電極111、111の間でサステイン放電を行わせることにより、放電ガスに起因する紫外線を生じさせ、蛍光体層35R、35G、35Bから可視光を生じさせるようになっている。
以上より、本発明に係るPDP100は、上述した蛍光体を用いて製造された放電セル31を有するので、放電セル31の発光強度の向上を図ることが可能となり、これによって、PDP100の発光強度の向上を図ることができる。
蛍光体層35R、35G、35B等の形成に用いる蛍光体ペーストの製造は従来公知の方法により行うことが可能である。上記で製造した蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散するが、蛍光体ペースト中の蛍光体の含有量としては30質量%〜60質量%の範囲にするのが好ましい。
蛍光体粒子を良好に分散させるのに適したバインダとしては、エチルセルロースあるいはポリエチレンオキサイド(エチレンオキサイドのポリマー)が挙げられ、特に、エトキシ基(−OC25)の含有率が49〜54%のエチルセルロースを用いるのが好ましい。また、バインダとして感光性樹脂を用いることも可能である。バインダの含有量としては0.15質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。なお、隔壁30間に塗布される蛍光体ペーストの形状を整えるため、バインダの含有量は、ペースト粘度が高くなり過ぎない範囲内で多めに設定するのが好ましい。
溶剤としては、水酸基(OH基)を有する有機溶剤を混合したものを用いるのが好ましく、その有機溶剤の具体例としては、ターピネオール(C1018O)、ブチルカルビトールアセテート、ペンタンジオール(2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート)、ジペンテン(Dipentene、別名Limonen)、ブチルカルビトール等が挙げられる。
蛍光体ペースト中の蛍光体粒子の分散安定性を向上させるための分散剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を添加すると好ましい。蛍光体ペースト中の界面活性剤の含有量としては、分散安定性の向上効果あるいは後述する除電効果等を効果的に得る観点から、0.05質量%〜0.3質量%が好ましい。
また、蛍光体ペーストに除電物質を添加すると好ましい。上記挙げた界面活性剤は、一般的に蛍光体ペーストの帯電を防止する除電作用も有しているものが多い。但し、蛍光体、バインダ、溶剤の種類によって除電作用も異なるので、色々な種類の界面活性剤について試験を行って、結果の良好なものを選択するのが好ましい。除電物質としては、界面活性剤の他に、カーボンブラックをはじめとするカーボン微粉末、グラファイトの微粉末、Al、Fe、Mg、Si、Cu、Sn、Agといった金属の微粉末等導電性の材料からなる微粒子も挙げることができる。このような導電性微粒子の添加量は、蛍光体ペーストに対して0.05〜1.0質量%の範囲とするのが好ましい。
なお、上記のように除電物質として界面活性剤やカーボン微粉末を用いた場合には、蛍光体ペーストに含まれている溶剤やバインダを除去する蛍光体焼成工程において除電物質も蒸発あるいは焼失されるので、焼成後の蛍光体層中には除電物質が残存しない。従って、蛍光体層中に除電物質が残存することによってPDPの駆動(発光動作)に支障が生じる可能性もない。
蛍光体を上記各種混合物に分散する際には、例えば高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミルなど媒体メディアを装置内で運動させてその衝突(crush)及び剪断力の両方により微粒化するもの、又はカッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。
上記のように調製した蛍光体ペーストを放電セル31に塗布又は充填する際には、スクリーン印刷法、フォトレジストフィルム法、インクジェット法など種々の方法で行うことができる。
特に、インクジェット法は、隔壁30のピッチが狭く、放電セル31が微細に形成されている場合であっても、隔壁30間に低コストで容易に精度良く均一に蛍光体ペーストを塗布又は充填できるので好ましい。
本発明の蛍光体は発光輝度が向上し、UV照射や、スパッタリング等によりダメージを受けにくいため、長寿命のプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
(液相法による緑色蛍光体の合成)
蛍光体組成式:Zn2SiO4:Mn2+
二酸化ケイ素45gを含むコロイダルシリカ(扶桑化学工業株式会社製 PL−3)とアンモニア水(28%)219gを純水に混合して液量を1500mlに調整したものをA液とした。同時に、硝酸亜鉛6水和物(関東化学株式会社製、純度99.0%)424gと硝酸マンガン6水和物(関東化学株式会社製、純度98.0%)21.5gを純水に溶解して液量を1500mlとしたものをB液とした。
A液とB液を40℃に保温した後、ローラーポンプを使って1200ml/minの添加速度で図6に示すY字形反応装置に供給した。
反応により得られた沈殿物を含む水分散体を、特開2004−27152の図7に示すような簡易型加圧濾過装置を用いて脱塩及び脱水を行った。まず、スラリー供給口14から前記分散体を簡易型加圧濾過装置内に供給した。供給終了後、エアー投入口5から加圧エアーを圧力計0.5MPaとして供給することで脱水を行った。ケーキ表面にクラックが発生する前に圧を解放し、引き続き洗浄水供給口26より洗浄水を供給し、再度加圧エアーを供給してケーキ洗浄を行った。同様の操作を繰り返し、濾液の電気伝導度が20mS/cmに達するまで洗浄し、その後、引き続き脱水を行い、脱水済み前駆体1を得た。
簡易型加圧濾過装置に供給する加圧エアーの代わりに窒素ガス(酸素含有率100ppm以下、液化窒素を用いた)を供給する以外は、脱水済み前駆体1と全く同じ操作を行うことで、脱水済み前駆体2を得た。
また、反応により得られた沈殿物を含む水分散体を、遠心分離装置を用いても、脱塩及び脱水を行った。遠心分離装置の遠心力Gの値を300として、スラリー供給用ホッパーより前駆体の凝集体スラリーを供給した。供給終了後、30秒間脱水を行い、引き続き洗浄水供給用ノズルより洗浄水を供給してケーキ洗浄を開始した。濾液の電気伝導度をモニターし、伝導度が20mS/cm以下になったところで洗浄水の供給を止め、脱塩を終了した。その後、1分以内に遠心力Gの値を600として脱水を行ない、脱水済み前駆体3を得た。
遠心分離装置の容器内を窒素ガス(同上、液化窒素を用いた)で満たす以外は、脱水済み前駆体3と全く同じ操作を行うことで、脱水済み前駆体4を得た。
得られた脱水済み前駆体1〜4を、箱型乾燥炉を用いて105℃で、含水率が0.5%になるまで乾燥を(空気中で)行い、それぞれ乾燥済み前駆体1−1、2−1、3−1、4−1を得た。
また、箱型乾燥炉内を窒素ガス(同上、液化窒素を用い発生させた)で置換した後、同様に105℃、含水率が0.5%になるまで窒素ガス雰囲気下で乾燥を行い、乾燥済み前駆体1−2、2−2、3−2、4−2を得た。
次に得られた乾燥済み前駆体を焼成炉内を窒素(同上、液化窒素を用い発生させた)100%の雰囲気に置換した後、1200℃で3時間焼成することにより緑色蛍光体を得た。
続いて、得られた蛍光体1−1、1−2、2−1、2−2、3−1、3−2、4−1、4−2に、それぞれ等量の純水を加え、ポットミルによる解砕及び分散処理を行った。その後、微小粒子及び巨大粒子を除去するために、篩による分級処理が行われ、蛍光体分散溶液が得られた。
そして、分級後の蛍光体分散溶液を40℃に保温しながら、蛍光体1g当たり0.002モルの塩酸を添加して20分間攪拌し、純水による洗浄処理を行った後、100℃の温度で12時間乾燥させて、一連の蛍光体の製造工程が完了し、蛍光体粉末1−1、1−2、2−1、2−2、3−1、3−2、4−1、4−2が得られた。
蛍光体の評価方法について説明する。
相対発光強度は、それぞれの蛍光体粉末に対して0.1〜1.5Paの真空槽内でエキシマ146nmランプ(ウシオ電機社製)を用いて真空紫外線を照射し、得られた緑色光を検出器(MCPD−3000:大塚電子株式会社製)を用いて測定し、1−1の発光強度を100とした時の相対値である相対発光強度を算出し、「相対発光強度」として、表1に示した。
蛍光体の残光時間はPTI−3000(大塚電子株式会社製)を用いて1/10残光時間を測定し、表1に示した。
それぞれの蛍光体粉末を、スパッタリング装置(サンユー電子株式会社製:SC−701)におけるネオンを主体にキセノンガスを5%混合したガスで満たした放電空間の内部に導入し、1mAの電流を導通させることで、15分間放電し、スパッタリングを行った。上記した方法により、相対発光強度を算出し、「スパッタリング後の相対発光強度」とした。さらに、上記した「スパッタリング後の相対発光強度」を最初に測定した「相対発光強度」で除し、百分率に換算した値を「スパッタリング維持率(%)」として、表1に示した。このスパッタリング維持率は、数値が高いほど、発光強度の低減が抑制されている、すなわち、蛍光体がVUVやイオン、電子によるダメージを受けにくいことになり、プラズマディスプレイパネル内での蛍光体寿命が長くなる。
Figure 2006265327
本発明に係わる蛍光体は、発光強度が高く、また、スパッタリング維持率も高く、寿命のが長い蛍光体であった。また、残光時間も低下しており好ましい。
簡易プレス方式による固液分離装置の概略断面図。 フィルタープレス方式による固液分離の各工程を示す概略図。 遠心分離方式による固液分離工程に用いる装置の概略断面図。 遠心分離方式による固液分離の各工程を示す概略工程図。 本発明に係るプラズマパネルディスプレイの一例を示した概略構成図。 実施例2で用いたY字形反応装置の概略構成図。 凝集体スラリーの簡易型加圧濾過装置。
符号の説明
1 缶体
2 バスケット
3 スラリー供給用ホッパー
4 洗浄水供給用ノズル
5 エアー投入口
6 圧力計
7,8 三方弁
9 エアーシリンダー
10、11、12 バルブ
13 洗浄水供給口
14 スラリー供給口
15 濾液排出口
16,17 濾布
18,19、21 濾板
22 濾布
23 濾液排出口
24 ダイヤフラム
25 加圧水供給口
26 洗浄水供給口
100 PDP
110 前面板
120 背面板
30 隔壁
31 放電セル
35G、35B、35R 蛍光体層

Claims (6)

  1. 蛍光体の前駆体を液相法により形成する前駆体形成工程と、前記前駆体を焼成して蛍光体を形成する焼成工程とを有する蛍光体の製造方法において、前記前駆体形成工程の後、前記焼成工程の前に、不活性ガス雰囲気下において前記前駆体を固液分離する工程、および/または不活性ガス雰囲気下で前記前駆体を乾燥する工程を有することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  2. 前記前駆体形成工程ののち、直ちに不活性ガス雰囲気下での加圧濾過により固液分離を行うことを特徴とする請求項1記載の蛍光体の製造方法。
  3. 前記前駆体形成工程ののち、直ちに不活性ガス雰囲気下での遠心分離により固液分離を行うことを特徴とする請求項1記載の蛍光体の製造方法。
  4. 前記固液分離後に、前記前駆体を更に不活性ガス雰囲気下で乾燥したのち、焼成することを特徴とする請求項2または3に記載の蛍光体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法により製造されたことを特徴とする蛍光体。
  6. 請求項5に記載の蛍光体を用い製造された放電セルを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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