JP2005248409A - ガラス用合紙及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 このガラス用合紙は、天然パルプを繊維原料とする紙料を抄紙して得られるものであって、1.6〜2.5mmの平均繊維長を有する。天然パルプの平均繊維長は1.6〜2.5mmかつ、天然パルプ中における繊維長0.3mm以下の短繊維は7.0重量%以下である。ガラス用合紙は、カナダ標準ろ水度(CSF)が600〜750mlとなるまで叩解して得られる紙料から抄紙される。このガラス用合紙は、電気・電子機器を構成するガラス基板、特に液晶ディスプレイ用のガラス基板を積層して取り扱われる際に、そのガラス基板とガラス基板との間に挟み込んで使用されるものである。
【選択図】 なし
Description
請求項3に記載の発明のガラス用合紙では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、ジエチルエーテルによる抽出物が0.1重量%以下であることを要旨とする。
請求項6に記載の発明のガラス用合紙では、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明において、液晶ディスプレイ用のガラス基板に挟み込んで使用されることを要旨とする。
本実施形態におけるガラス用合紙は、天然パルプを繊維原料とする紙料を抄紙して得られるものであって、1.6〜2.5mmの平均繊維長を有する。天然パルプの平均繊維長は1.6〜2.5mmかつ、天然パルプ中における繊維長0.3mm以下の短繊維は7.0重量%以下である。ここでいう、繊維長は繊維軸方向における繊維の長さである。ガラス用合紙は、カナダ標準ろ水度(CSF)が600〜750mlとなるまで叩解して得られる紙料から抄紙される。
・ この実施形態のガラス用合紙では、平均繊維長1.6〜2.5mm、かつ繊維長0.3mm以下の短繊維の含有量が7.0重量%以下である天然パルプを使用している。紙料は、その天然パルプをCSFが600〜750mlとなるまで叩解して得られている。ガラス用合紙はその紙料より抄紙され、1.6〜2.5mmの平均繊維長を有している。このように構成した場合、有機性薬品を使用しなくても、所定の強度が付与される。また、短繊維の含有量が7.0重量%以下であるため、紙粉の発生が抑制される。従って、ガラス基板にガラス用合紙を挟み込んだり、そのガラス用合紙をガラス用基板から除去したりする作業時に、紙粉の発生や紙破れを抑制することができる。しかも、抄紙時に有機性薬品を使用する必要がないため、ガラス用合紙の清浄性が確保される。従って、高度の清浄性を付与することが容易であるとともに、良好な作業性を発揮することができる。よって、このガラス用合紙を使用すれば、ガラス基板を備える電気・電子機器の生産性を向上することができ、その生産コスト削減に寄与することができる。
(製造例1)
N−BKP(平均繊維長2.35mm、0.3mm以下の短繊維4.8重量%)を天然パルプとし、この天然パルプ100重量部に対して硫酸バンドを2.5重量部添加した。これをダブルディスクリファイナー(DDR)でCSF650mlになるまで叩解し、紙料を調製した。この紙料を傾斜ワイヤにて、引張強度(T)の引張強度(Y)に対する比率が約2.0になるように調節して抄紙を行った。得られた湿紙を多筒式乾燥機にて、第1筒の湿紙水分が75重量%になるように調整して乾燥することにより、ガラス用合紙を得た。
(製造例2)
製造例1に記載のN−BKP90重量部にL−BKP(平均繊維長0.9mm、0.3mm以下の短繊維4.4重量%)10重量部を加えたものを天然パルプとした。この天然パルプから製造例1と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(製造例3)
製造例1に記載のN−BKP90重量部にマニラ麻パルプ(平均繊維長3.45mm、0.3mm以下の短繊維0.2重量%)を配合したものを天然パルプとした。CSFを660mlまで叩解した以外は、この天然パルプから製造例1と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(製造例4)
N−BKP70重量部にL−BKP30重量部配合したものを天然パルプとした以外は、製造例2と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(製造例5)
N−BKP70重量部にマニラ麻パルプ30重量部を配合したものを天然パルプとした以外は、製造例3と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(製造例6)
抄紙機としての傾斜ワイヤの代わりにドライバッド方式の円網抄紙機(ロトフォーマー、サンディヒル社製)を用いて抄紙した以外は、製造例1と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(製造例7)
抄紙機としての傾斜ワイヤの代わりに長網抄紙機を用いて抄紙した以外は、製造例1と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(比較例1)
製造例1に記載のN−BKP50重量部に製造例2に記載のL−BKP50重量部を配合した天然パルプから製造例1と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(比較例2)
N−BKP50重量部にマニラ麻パルプ50重量部を配合したものを天然パルプとした以外は、製造例3と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(比較例3)
CSFが550mlになるまで叩解した以外は、製造例1と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(比較例4)
N−BKP50重量部に古紙50重量部を配合したものを天然パルプとした以外は製造例2と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(参考例1)
傾斜ワイヤにて、引張強度(T)の引張強度(Y)に対する比率が約4.1になるように調節して抄紙を行う以外は、製造例1と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(参考例2)
多筒式乾燥機の代わりにヤンキー式乾燥機を用い、湿紙の片面をドライヤ面に密着させて乾燥した以外は、製造例1と同様にしてガラス用合紙を製造した。
(物性の測定)
(A)天然パルプの平均繊維長及び0.3mm以下の短繊維含有量
ファイバー・クォリティ・アナライザー(LDA96、Optest Equipment社製)を用いた画像解析法によって測定した。
JIS P 8121に準拠して測定した。
(C)ガラス用合紙の坪量
JIS P 8124に準拠して測定した。
JIS P 8118に準拠して外側マイクロメータ(三豊社製)を用いて測定した。
(E)ベック平滑度
JIS P 3119に準拠してベック平滑度試験機(東洋精機社製)を用いて測定した。
JIS P 8205に準拠してジエチルエーテルによる抽出物の含有量を測定した。
(評価方法)
(評価1)紙ヤケ
液晶ディスプレイに用いられるガラス基板(100mm×200mm)を2枚準備し、ガラス基板の間にガラス用合紙を挟み込んだ。次に、ガラス基板に100gの荷重をかけた状態で、50℃、相対湿度95%の雰囲気下に120時間静置した。その後、ガラス基板からガラス用合紙を取り除き、ガラス用合紙が接触していたガラス面を目視で観察した。くもりや異物の残存がないものを「良好:○」、くもりや異物が残存しているものを「不良:×」とした。
液晶ディスプレイに用いられるガラス基板(1000mm×1000mm)を2枚準備し、ガラス基板の間にガラス用合紙を挟み込んだ。その際、ガラス基板に対するガラス用合紙の沿い易さを評価した。ガラス基板上におけるガラス用合紙の滑りが適度に調整され、ガラス基板へ容易に沿うものを「良好:○」、ガラス基板上におけるガラス用合紙の滑りが過剰又は不足となり、ガラス基板からのずれが発生し易いものを「不良:×」とした。
液晶ディスプレイに用いられるガラス基板(1000mm×1000mm)を2枚準備し、ガラス基板の間にガラス用合紙を挟み込んだ。その際、ガラス用合紙に皺が発生しなかったものを「良好:○」、皺が発生したものを「不良:×」とした。
ガラス用合紙1000m2に存在する結束が2個以下のものを「良好:○」、2個を超えるものを「不良:×」とした。
各例における物性の測定結果を表1、評価結果を表2に示す。
Claims (7)
- 平均繊維長1.6〜2.5mm、かつ繊維長0.3mm以下の短繊維の含有量が7.0重量%以下である天然パルプをカナダ標準ろ水度(CSF)が600〜750mlとなるまで叩解して得られる紙料より抄紙され、1.6〜2.5mmの平均繊維長を有することを特徴とするガラス用合紙。
- 前記天然パルプは、針葉樹晒クラフトパルプを60重量%以上含有する請求項1に記載のガラス用合紙。
- ジエチルエーテルによる抽出物が0.1重量%以下である請求項1又は請求項2に記載のガラス用合紙。
- 縦方向の引張強度(T)及び横方向の引張強度(Y)がいずれも10N以上(15mm幅)以上であり、かつ前記縦方向の引張強度(T)の前記横方向の引張強度(Y)に対する比率(比率=T/Y)が1.0〜3.0の範囲である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガラス用合紙。
- ベック平滑度が表裏ともに20秒以下である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガラス用合紙。
- 液晶ディスプレイ用のガラス基板に挟み込んで使用される請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガラス用合紙。
- 平均繊維長1.6〜2.5mm、かつ繊維長0.3mm以下の短繊維の含有量が7.0重量%以下である天然パルプを、カナダ標準ろ水度(CSF)が600〜750mlとなるまで叩解して紙料を調製した後、前記紙料を抄紙して得られる湿紙を多筒式乾燥機によって乾燥することを特徴とするガラス用合紙の製造方法。
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