JP2013011032A - ガラス用合紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】抄紙機の幅による制限を受けにくく、ガラス基板間に挿入されている状態から容易に除去することができる紙腰の強さを有するガラス用合紙を提供する
【解決手段】有機繊維を原料とし、ガラス基板間に挿入されるガラス用合紙であって、該ガラス用合紙の抄紙方向に対して直交する方向における撓み係数(以下の式に示す)が60以下であって、クレープ加工されていることを要する。撓み係数=100×密度(g/cm3)/{破断弾性率(N/伸び率)×厚み(mm)}
【選択図】図3
【解決手段】有機繊維を原料とし、ガラス基板間に挿入されるガラス用合紙であって、該ガラス用合紙の抄紙方向に対して直交する方向における撓み係数(以下の式に示す)が60以下であって、クレープ加工されていることを要する。撓み係数=100×密度(g/cm3)/{破断弾性率(N/伸び率)×厚み(mm)}
【選択図】図3
Description
本発明は、ガラス基板を積層して保管、運搬する際にガラス基板間に挿入されるガラス用合紙に関する。
液晶パネルディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイに使用されるガラス基板には、各種の大きさのガラスが使用される。これらのガラス基板は薄板状であって所定の長方形サイズ(ディスプレイに加工するためのサイズ)に切断された後、保管または次工程のために運搬されるが、その際に占有面積を少なくし、また運搬時の安定等のためガラス基板を傾斜した状態で立て掛けられて積層し基台に配置されるのが一般的である。また、このとき、ガラス基板の自重による変形や破損を防止すべく長方形サイズであるガラス基板のうち長辺が上下となるように、いわゆるガラス基板を横長の状態にて立て掛けるのが一般的である。
ガラス基板は、他のガラス基板と接触する等により僅かでも損傷、汚染を生じるとディスプレイに組み込んで使用する場合に不具合を生ずるため、極めて高度の表面特性を必要とする。この表面特性を確保し、隣接して積層されているガラス基板同士の接触等といった損傷を防ぐべく、積層するガラス基板同士の間にガラス用合紙を挿入することが行われている。また、このガラス用合紙では紙の表面に凹凸構造を形成し、紙表面に大きな圧力が掛かった場合に緩衝性を向上させるためクレープ化処理を施している(特許文献1参照)。
また、ガラス基板とガラス基板との間に挿入されるガラス用合紙は、ガラス基板の上から一部が突出した状態にてガラス基板間に挿入されることとなる。ガラス用合紙の上部が一部突出する理由は、ガラス用合紙を取り除くときに、この突出した部分を吸引除去装置にて吸着してガラス用合紙を除去するための「つかみ代」として機能させるためである。ここで、ガラス用合紙の上部から一部突出してつかみ代を形成していたとしても、ガラス用合紙のいわゆる紙腰が弱い(倒れやすい)とその突出部分が頭を垂れたような状態で垂れ下がることになって吸引除去装置にうまく吸引されないという問題が生ずる。そこで、ガラス用合紙の紙腰を実用的に使用することができる範囲としてガーレ剛度が0.2mN以上であることが提案されている(特許文献2参照)。
一方、ガラス用合紙は、ガラス基板の大きさに合わせてその大きさ(縦横の長さ)が決定されるが、フラットパネルディスプレイの大型化に伴い、これに用いられるガラス基板もますます大型することとなるため、ひいてはガラス用合紙も大型化することとなる。
これに対して、ガラス用合紙は抄紙機により連続して製造され、その後に必要な大きさに裁断等される。ここで、抄紙機により製造される紙は抄紙方向についてガラス基板との関係においてその長さを無視できるほど長いものであるが、抄紙機は一定の幅を有していることから、製造される紙は抄紙方向に直交する方向については抄紙機の幅という制限を受けることとなる。
すなわち、図1に示すようにガラス基板を横長に立て掛けた場合、ガラス用合紙もこれに対応する大きさに形成しなければならない。なお、この図1(c)から明らかなようにガラス用合紙はガラス基板からその上部が一部突出する大きさにしている。ここで、図1(a)に示すように紙の抄紙方向(矢印)をガラス基板の長辺(図中横方向)に沿って形成すれば、抄紙方向に直交する方向、つまり抄紙機の幅がガラス基板の短辺(図中縦方向)側となり、抄紙機の幅に起因するガラス用合紙の大きさの制限が緩和される。
一方、図1(b)に示すように紙の抄紙方向(矢印)をガラス基板の短辺に沿って形成すれば、抄紙方向に直交する方向、つまり抄紙機の幅がガラス基板の長辺側となる。仮にガラス基板の長辺が抄紙機の幅を越える場合には、このガラス基板に対応する大きさのガラス用合紙を製造することができない等、抄紙機の幅に起因するガラス用合紙の大きさの制限を受けやすくなる。
このことから、大型化するガラス基板に対応するため、抄紙機の幅によって制限を受ける方向(抄紙方向と直交する方向)をガラス基板のうち相対的に短い短辺側(すなわちガラス基板を立て掛けた状態で上下方向となる側)として使用することによって、抄紙機の幅に起因する紙幅の制限を緩和しようとしている。
特許文献1に挙げたクレープ紙は緩衝性に優れるものの、クレープ加工は抄紙方向に沿って行うため、紙の抄紙方向における剛度が低く、すなわち紙腰が弱くなり、所定の紙腰の強さを得るためには図1(a)に示すように抄紙方向をガラス基板の長辺に沿って形成せざるを得ない。このため、クレープ加工を施した紙をガラス用合紙として使用する場合には抄紙方向と直交する方向における紙腰の強さが問題となる。
また、特許文献2では、所定のガーレ剛度を製造するための製造方法や実施例等の裏付けがなく信頼性に乏しい。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、抄紙機の幅による制限を受けにくく、ガラス基板間に挿入されている状態から容易に除去することができる紙腰の強さを有するガラス用合紙を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、抄紙機の幅による制限を受けにくく、ガラス基板間に挿入されている状態から容易に除去することができる紙腰の強さを有するガラス用合紙を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、有機繊維を原料とし、ガラス基板間に挿入されるガラス用合紙であって、該ガラス用合紙の抄紙方向に対して直交する方向における撓み係数(以下に示す)が60以下であって、クレープ加工されているガラス用合紙を要旨とする。撓み係数=100×密度(g/cm3)/{破断弾性率(N/伸び率)×厚み(mm)}
請求項2に係る発明は、ガラス用合紙の紙厚が0.1mm以上であることを要旨とする。
請求項2に係る発明は、ガラス用合紙の紙厚が0.1mm以上であることを要旨とする。
請求項3に係る発明は、ガラス用合紙の坪量が30〜50g/m2であることを要旨とする。
請求項4に係る発明は、傾斜ワイヤ抄紙機によって、スラリー比0.8〜1.7の範囲で抄造されたことを要旨とする。
請求項4に係る発明は、傾斜ワイヤ抄紙機によって、スラリー比0.8〜1.7の範囲で抄造されたことを要旨とする。
本発明によれば、抄紙機の幅による制限を受けにくく、ガラス基板間に挿入されている状態から容易に除去することができる紙腰の強さを有するガラス用合紙を提供することができる。
以下、本発明を具体化したガラス用合紙(以下、単に「合紙」という。)の一実施形態を図2及び図3にしたがって説明する。
本発明の合紙の原料として使用することができるのは有機繊維であり、具体的には天然繊維、再生繊維、半合成繊維及び合成繊維から選ばれた一種または二種以上を混合して使用することができる。なお、合紙の原料として使用する一又は二以上の繊維をまとめて繊維原料という。また、繊維原料には、合紙として適度な保湿性を有するためにこれら有機繊維の中でも特に針葉樹パルプ(以下「NBKP」という。)、広葉樹パルプ(以下「LBKP」という。)等の木材パルプを80質量%以上含むことが好ましい。この木材パルプとしてはNBKPやLBKP以外のパルプや古紙を使用した木材パルプを含めることができる。また、マニラ麻、三椏、楮など植物の葉脈繊維や靱皮繊維、綿花、絹などの天然繊維を使用することができる。
本発明の合紙の原料として使用することができるのは有機繊維であり、具体的には天然繊維、再生繊維、半合成繊維及び合成繊維から選ばれた一種または二種以上を混合して使用することができる。なお、合紙の原料として使用する一又は二以上の繊維をまとめて繊維原料という。また、繊維原料には、合紙として適度な保湿性を有するためにこれら有機繊維の中でも特に針葉樹パルプ(以下「NBKP」という。)、広葉樹パルプ(以下「LBKP」という。)等の木材パルプを80質量%以上含むことが好ましい。この木材パルプとしてはNBKPやLBKP以外のパルプや古紙を使用した木材パルプを含めることができる。また、マニラ麻、三椏、楮など植物の葉脈繊維や靱皮繊維、綿花、絹などの天然繊維を使用することができる。
再生繊維としてはビスコースレーヨン、キュプラ、リヨセル等を使用することができ、半合成繊維としてはアセテート、トリアセテート、プロミックス等を使用することができる。合成繊維としては、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン等を使用することができる。繊維原料には、合紙としてガラス基板に挿入した際にフラットパネルに要求される清浄度に悪影響を及ぼさない範囲で分散剤、紙力増強剤等の添加剤を使用することができる。
本発明の合紙を抄造するための抄紙機としては傾斜ワイヤ抄紙機が好ましい。合紙として用いられる薄紙の製造に用いられる抄紙機としては、大別してスライスから平面状のワイヤに噴出させるいわゆる溜め抄き方式による長網抄紙機と、円筒状のシリンダーに巻き付けたワイヤで紙料液から湿紙をすくい取るいわゆる流し抄き方式の円網抄紙機とその改良型である傾斜ワイヤ型抄紙機がある。このうち前者の長網抄紙機は抄紙速度が速く主として大量生産に使用される。これに対し、後者では抄紙速度は遅いものの薄紙を地合よく抄くことができ少量多品種の特殊紙の生産に適しているため、ガラス用合紙の製造にも適している。また、円網抄紙機で抄造された紙は、抄紙方向(いわゆる縦方向)における引張強度に対してこれに直交する方向(いわゆる横方向)の引張強度が低くなる。このため、円網抄紙機により抄造した合紙は抄紙方向と直交する方向における紙腰が弱い紙となる。この点、傾斜ワイヤ抄紙機は、抄造された紙の縦方向の引張強度と横方向の引張強度との関係を一定の範囲に設定することができるため、合紙の抄造にあっては円網抄紙機よりも傾斜ワイヤ抄紙機が好ましい。
傾斜ワイヤ抄紙機は、紙料を送り込むアプローチパート、傾斜ワイヤ抄紙機から構成されるワイヤパート、作成された湿紙Sを圧搾脱水し搬送するプレスパート、及び湿紙Sを乾燥する乾燥機から構成されるドライパートから構成される。ワイヤパートで作成された湿紙は、プレスパート、ドライパートをそれぞれ経由して紙となり、リールパートにおいて筒状に巻き取られる。このとき紙料液がワイヤパートのワイヤ上に吐出されてワイヤ上に湿紙が形成され、形成された湿紙がワイヤからプレスパートのフェルト上に移送されて搬送され、さらに湿紙は乾燥機のフェルトに抱かれて乾燥ドラム上に搬送される。
つまり、湿紙はワイヤパートのワイヤからプレスパートのフェルトを経てドライパートのフェルトへと移行しながら搬送される。なお、この湿紙の流れにおいてワイヤパートが上流となり、プレスパート、ドライパートの順で下流となる。
図2は本実施形態に係る紙の製造装置のうち、ワイヤパート10を構成する傾斜ワイヤ抄紙機とここで形成された湿紙Sが移行するプレスパート20の一部を示す模式図である。ワイヤパート10を構成する傾斜ワイヤ抄紙機は、複数のワイヤロール11に巻きかけられたワイヤ12を有している。このワイヤ12は一定幅かつ一定長さの無端状の抄網であり、ワイヤ12が巻き掛けられたワイヤロール11の一つが駆動ロールとなっていて図示しない駆動装置によりワイヤ12を図中時計回りに一定速度で回転させる。ワイヤ12には上面側において進行方向に向かって上りとなる傾斜部13が形成されており、この傾斜部13の直下には吸引装置14が配置されている。
またワイヤ12の上流側には原料供給装置15が配置されており、原料供給装置15のヘッドボックス16がワイヤ12の上面を上流側から覆うようにせり出している。ヘッドボックス16の底面にはワイヤ12の傾斜部13に対向して矩形状の開口部17が形成されている。ヘッドボックス16内においてこの開口部17の上側にはポンドレギュレータ18が上下動可能に配置されており、ポンドレギュレータ18の底面19は図2に側面から見た模式図を示すように下流側に向かうほど低く、言い換えればヘッドボックス16の開口部17からポンドレギュレータ18の底面19までの高さが下流側に向かうほど低くなっている。ポンドレギュレータ18は上下動可能であるため、高さ方向に移動させることによって開口部17の開口面積と、従って開口部17からワイヤ12上に供給される紙料液の流速、流量を変化させることができる。
図2にその上流側の一部を示すようにワイヤパート10を構成する傾斜ワイヤ抄紙機の下流側にプレスパート20を構成する搬送装置が配置されている。このプレスパートは搬送フェルト22を備えており、図中反時計回りに回転されている。搬送フェルト22の上流側の一端がフェルトロール21に押圧されてワイヤ12の表面に軽く面接触しており、ワイヤ12上を搬送されてきた湿紙はこの接触部分においてワイヤ12から搬送フェルト22に移行する。なお、図2では説明の便宜上、搬送フェルト22とワイヤ12とを離間させている。プレスパート20の下流には図示しないドライパートが配置されており、ドライパートもまたドライフェルトを備えている。
この傾斜ワイヤ抄紙機を用いて本発明に係る紙を製造するにあたり、以下の条件を満たす必要がある。
傾斜ワイヤ抄紙機を用いて本発明の合紙を製造するためには、T/Y比が0.6〜2.5の範囲に設定することが好ましい。ここで、T/Y比とは、紙の縦引張強度/横引張強度の比である。T/Y比の分子となる縦引張強度とは紙の抄紙方向における引張強度であり、T/Y比の分母となる横引張強度とは紙の抄紙方向と直交する方向における引張強度である。
傾斜ワイヤ抄紙機を用いて本発明の合紙を製造するためには、T/Y比が0.6〜2.5の範囲に設定することが好ましい。ここで、T/Y比とは、紙の縦引張強度/横引張強度の比である。T/Y比の分子となる縦引張強度とは紙の抄紙方向における引張強度であり、T/Y比の分母となる横引張強度とは紙の抄紙方向と直交する方向における引張強度である。
このT/Y比が1を越える場合は、紙の縦方向の引張強度が横方向の引張強度に比して大きいことを意味し、T/Y比が1を下回る場合は紙の縦方向の引張強度が横方向の引張強度に比して小さいことを意味する。一般に、紙は抄紙時の紙料液中の繊維の配向特性等からT/Y比が1を大きく越える性質を有しているが、0.6〜2.5の範囲を外れた紙は縦引張強度と横引張強度とのバランスを欠くものであり合紙全体としての紙腰の強さが得られなくなるため、T/Y比は一定の範囲にあることが好ましい。
また、合紙のT/Y比を0.6〜2.5の範囲とするためには、抄紙時における傾斜ワイヤ抄紙機のスラリー比を0.8〜1.7の範囲に設定することが必要である。ここでスラリー比は、以下の式にて算出される。
スラリー比=紙料液流出線速度(m/min)/ワイヤ12の移動速度(m/min)
紙料液流出線速度(m/min)=紙料液が原料供給装置15の開口部17を通過する量(m3/min)/同開口部17の開口幅(m)/開口部17の基端からポンドレギュレータ18の底面までの鉛直方向の高さL(m)
ワイヤパート10にて既に説明したように、原料供給装置15の開口部17はヘッドボックス16に形成された矩形の開口であるため、その開口幅(図示しない)は一定である。一方、ポンドレギュレータ18は上下動可能のため、開口部17基端(開口の最も上流側)からポンドレギュレータ18の底面19までの鉛直方向の高さは可変である。
紙料液流出線速度(m/min)=紙料液が原料供給装置15の開口部17を通過する量(m3/min)/同開口部17の開口幅(m)/開口部17の基端からポンドレギュレータ18の底面までの鉛直方向の高さL(m)
ワイヤパート10にて既に説明したように、原料供給装置15の開口部17はヘッドボックス16に形成された矩形の開口であるため、その開口幅(図示しない)は一定である。一方、ポンドレギュレータ18は上下動可能のため、開口部17基端(開口の最も上流側)からポンドレギュレータ18の底面19までの鉛直方向の高さは可変である。
傾斜ワイヤ抄紙機を用いて製造した紙にはクレープ化処理を行って、合紙をクレープ加工紙とするのが必要である。クレープ加工の方法には抄紙機のウェットパートにおけるプレスロール上に密着した湿紙をドクターにより剥離してクレープ加工を施すウェットクレープ法と、シリンダー型ドライヤ(ヤンキードライヤ又は多筒型ドライヤ)上で乾燥された紙を剥離するドライクレープとがある。合紙では緩衝性と紙腰とのバランスが良好であり、紙の剥離の際に生ずる汚染や紙粉の混入を防止する意味でもウェットクレープが好ましい。クレープ加工の際のクレープ化率は特に限定されないが、安定して紙にクレープ加工をし、合紙として緩衝性を実現するためには5%から30%の範囲が好ましい。
合紙の坪量は、合紙としての強度、地合等の紙特性、廃棄処理を含めた経済性等を考慮すれば、30〜50g/m2が好ましい。坪量が30g/m2よりも低いと合紙が破れやすくなり、かつ必要な紙腰も出難くなり合紙としての操作性も悪くなる。また、坪量が50g/m2よりも高いと地合不良を起こしやすくまたガラス基板との付着性も十分ではなく、経済性の点でも不利である。
合紙としての厚みは0.1mm以上であることが必要である。紙の厚みが0.1mm未満の場合には紙自体の強度が弱くなって紙腰がなくなり合紙の吸着が困難になる。なお、合紙にカレンダー加工等の高密度化処理を施した場合には密度の上昇に反比例して厚みは少なくなるが、このような加工によって逆に紙腰が弱くなるため、合紙に対して何らかの高密度化処理を行った場合でも所定の紙腰を得るには厚みは0.1mm以上であることが必要となる。
合紙の撓み係数は、抄紙方向と直交する方向についての値が60以下であることが必要である。撓み係数が60を越えると、ガラス基板から突出部分する部分が撓みやすくなって、合紙の除去時に突出部分を吸着することが困難になる。なお、撓み係数は、合紙の密度、紙の厚み及び破断弾性率に基づいて式「撓み係数=100×密度(g/cm3)/{破断弾性率(N/伸び率)×厚み(mm)}」によって算出することができる。
実施例
繊維原料として、NBKP100%を使用し、傾斜ワイヤ式抄紙機にてスラリー比1.00、クレープ率23%、坪量41.4g/m2、紙厚0.148mmのクレープ紙を製造した。クレープはプレスロールでドクターにより剥離したウェットクレープである。
繊維原料として、NBKP100%を使用し、傾斜ワイヤ式抄紙機にてスラリー比1.00、クレープ率23%、坪量41.4g/m2、紙厚0.148mmのクレープ紙を製造した。クレープはプレスロールでドクターにより剥離したウェットクレープである。
実施例2から9、比較例1から4
表1及び表2に示すように、スラリー比、クレープ率、坪量を変更した以外は、実施例1と同様にしてウェットクレープ紙を抄造した。これにより抄造した各実施例、比較例について、以下の特性に関する測定及び算出を行った。
表1及び表2に示すように、スラリー比、クレープ率、坪量を変更した以外は、実施例1と同様にしてウェットクレープ紙を抄造した。これにより抄造した各実施例、比較例について、以下の特性に関する測定及び算出を行った。
紙特性の測定及び算出
これら各実施例及び比較例の合紙について、坪量、厚さ、密度をそれぞれ測定、算出した。このうち、坪量はJISP8124に準拠して測定した。また、厚さはJISP8118に準拠して測定した。密度は測定した坪量と厚さから式「密度=坪量/厚さ/1000」に基づいて算出した。これらの測定結果を表1(実施例)及び表2(比較例)として示す。
これら各実施例及び比較例の合紙について、坪量、厚さ、密度をそれぞれ測定、算出した。このうち、坪量はJISP8124に準拠して測定した。また、厚さはJISP8118に準拠して測定した。密度は測定した坪量と厚さから式「密度=坪量/厚さ/1000」に基づいて算出した。これらの測定結果を表1(実施例)及び表2(比較例)として示す。
また、各実施例及び比較例の合紙について、引張強度(N)、伸び率(%)、破断弾性率(N/%)及び撓み係数をそれぞれ測定、算出した。引張強度および伸び率についてはJISP8113に準拠して測定した。破断弾性率は引張強度(N)/伸び率(%)にて算出した。また、撓み係数は、測定した密度、厚み及び破断弾性率から前記の算出式に基づいて算出した。
なお、引張強度、伸び率、破断弾性率及び撓み係数については、試験に供する各実施例及び比較例の合紙に対して、抄紙方向に沿った方向について測定等を行うとともに、抄紙方向と直交する方向についても測定等を行った。表1及び表2中MDとは抄紙方向に沿う方向について測定した結果であり、CDとはこれに直交する方向について測定した結果である。
吸引試験装置30は、下部が四角錐状をなし上部が鉛直上方向に延びる棒状をなす基台31と、基台31の上部に直交する方向に連結されたクランプ装置32と、このクランプ装置32に基端を挟持された吸引バー33とから構成される(図3(a)、(b))。クランプ装置32は連結軸34とその先端に設置されたクランプ機構35とを備え、連結軸34は基台31に対してその高さ及び軸方向の連結位置を変更することができる。また、吸引バー33は中空円筒状をなし側面には25mmの間隔を空けて4箇所に直径4mmの吸引孔36が形成されている。吸引バー33の基端側には図示しないポンプ等の吸引機器が接続されて、吸引機器の作動により吸引孔36からの吸引が行われる。なお、吸引孔36は基台31の反対側を向いてクランプ装置32に挟持されており、吸引孔36の中心高さを基台31の接地面から175mmの位置に設定した。
支持用治具40は試験片Pを両側から挟んで固定する2枚で一対をなす押さえ板41a,41bとこの押さえ板41a,41bを床面に対して75度の角度αを有して傾斜状態にて支持する傾斜台42とを備えている。両押さえ板41a,41bは積層して立て掛けられたガラス基板を模している。
支持用治具40に使用する試験片Pは、図3(c)に示すように短辺100mmで長辺200mmの長方形に形成した。この試験片Pについては先に説明したように、抄紙機の幅によって制限を受ける側(抄紙方向と直交する方向)をガラス基板のうち相対的に短い短辺側、すなわちガラス基板を立て掛けた状態で上下方向となる側に合わせる必要性から、抄紙方向に直交する方向が長辺となるように作成した。試験片Pを縦長として支持用治具40の押さえ板41a,41bの上部から60mmの長さだけ突出する状態にて押さえ板41a,41bの間に挟み込んだ。このため、試験片のうち上部の長さ60mmの部分はフリーになり押さえ板41a,41bの傾斜方向の角度αを基準としてより倒れた角度βとなる(図3(a))。
この状態で試験片P及び支持用治具40を恒温恒湿条件(摂氏23度、湿度50%)で16時間静置した後に外側の押さえ板41aを外し、試験片P全体が露出した状態として吸引試験装置30(吸引圧0.5kPa)を一定速度で試験片Pおよび押さえ板41bに近づけていく。吸引試験装置30の全ての吸引孔36が試験片Pに吸着するための所定位置に到達すると、吸引試験装置30をそれまでの移動方向と反対方向となる押さえ板41bから離間する方向へと移動させる。吸引試験装置30を一定速度で離間させていき、試験片Pが吸引孔36に吸着されて試験片Pが押さえ板41bから完全に剥がれるか否かを評価した。各実施計及び比較例からそれぞれ10枚の試験片Pを作成し、各試験片Pについて試験を行った。
試験片Pが押さえ板41bから完全に剥がれない場合とは、まずは試験片Pが倒れている(角度βが大きい)ためそもそも吸引孔36に吸着されない場合がある。また、試験片Pが吸引孔36に吸着されるものの試験片Pが倒れたまま起きあがらない状態で吸引孔36に吸着され、吸引試験装置30の離間移動中、試験片Pが押さえ板41bから完全に剥がれる前に吸引孔36から外れる場合がある。
その結果を表1に除去試験として示す。この除去試験のうち、○は10回中10回とも、△は10回中5〜9回、×は10回中5回未満それぞれ試験片Pが押さえ板41bから完全に離れたことを意味する。表1及び表2に示すように試験片Pの撓み係数が一定値以下の場合には紙腰が強く吸引試験装置30に吸着して押さえ板41bから除去することができるが、撓み係数が高い値では紙腰が弱く吸引試験装置30に完全に吸着して押さえ板41bから除去することができなくなる。
P・・・試験片、10・・・傾斜ワイヤ抄紙機
Claims (4)
- 有機繊維を原料とし、ガラス基板間に挿入されるガラス用合紙であって、
該ガラス用合紙の抄紙方向に対して直交する方向における撓み係数(以下の式に示す)が60以下であって、クレープ加工されているガラス用合紙。
撓み係数=100×密度(g/cm3)/{破断弾性率(N/伸び率)×厚み(mm)} - 前記ガラス用合紙の紙厚が0.1mm以上である請求項1に記載のガラス用合紙。
- 前記ガラス用合紙の坪量が30〜50g/m2である請求項1又は2に記載のガラス用合紙。
- 傾斜ワイヤ抄紙機によって、スラリー比0.8〜1.7の範囲で抄造された請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガラス用合紙。
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