JP6439311B2 - ガラス板用合紙の製造方法 - Google Patents
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しかし、最近では、2200×2600mm2や2800×3200mm2等、液晶パネル用のマザーガラス基板は一層大型化が進んでいる。したがって、大型のガラス板用合紙が必要とされているが、該合紙の大型化に伴い、ハンドリング適性の面から従来のガラス板用合紙よりもさらに平滑度、剛度が高いものや耐カール適性が必要とされてきている。
また、ガラス基板の歩留りの観点から、ガラス板用合紙の防汚性に対する要求もより厳しいものとなっている。
そこで、本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、セルロースパルプを主成分としたガラス板用合紙であり、合紙の大型化に対応して平滑度、剛度、耐カール性、防汚性に優れたガラス板用合紙を提供することを目的とする。
(1)パルプ繊維を主成分とする原料を用いて、ワイヤーパートがオントップ型フォーマである抄紙機で抄紙し、オンマシンカレンダーによる平滑化処理して得られるガラス板用合紙であって、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した平滑度が70秒以上であるガラス板用合紙。
(2)前記ガラス板用合紙を表層と裏層に2分割した際の各層間の離解濾水度差が80mlCSF以下である(1)に記載のガラス板用合紙。
(3)前記ガラス板用合紙の表層を再離解して得たパルプ繊維のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52:2000に準じて重さ加重平均繊維長が0.50〜3.00mmであり、表層と裏層を再離解して得たパルプ繊維の重さ加重平均繊維長差が0.20mm以下である(2)に記載のガラス板用合紙。
(4)前記ガラス板用合紙のクラーク剛度(紙の流れ方向)が40cm3/100以上である(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガラス板用合紙。
(5)前記ガラス板用合紙中の樹脂分(ISO−624−1974)が0.1質量%以下である(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガラス板用合紙。
本発明のガラス板用合紙は、フラットパネル・ディスプレイ用のガラス板に最適である。フラットパネル・ディスプレイ用のガラス板は、一般の建築用窓ガラス板や車両用窓ガラス板等とは違って、高精細ディスプレイに使用されることから、ガラス表面に化学的な汚染があってはならず、また、微細な傷等の欠陥も許されない。したがって、ガラス板用合紙に要求される品質は年々厳しくなってきている。
本発明のガラス板用合紙は、パルプ繊維を主成分とする原料を用いて、ワイヤーパートがオントップ型フォーマである抄紙機で抄紙し、オンマシンカレンダーにより平滑化して製造される。
たとえガラス板用合紙の表面に異物が存在したとしても、カレンダー処理により平滑度が70秒以上となるように制御すると、表面の異物が合紙中に押し込まれ、ガラスに対する傷付け低減効果が得られる。また、ガラス板を複数枚積層し、その間に合紙を挿入して保管された場合に、合紙への圧力が分散され、異物によるガラス板の傷付けや樹脂分等による汚染が軽減される効果も有する。
そこで、本発明においてガラス板用合紙はパルプ繊維を主成分とする原料を用いて、ワイヤーパートがオントップ型フォーマである抄紙機を用いることが必要である。
離解パルプの濾水度が200ml未満であると、該ガラス板用合紙は、ガラス板の間から突出した合紙が直立の状態を保ち難くなるため、取り出し装置で合紙を掴むことができないという問題が発生するおそれがある。また、離解パルプの濾水度が650mlを超えると、繊維同士の絡み合いや結合点の数が少なくなり、操業においての断紙が発生し易くなるおそれがある。
内添薬品としては、凝集力の強いポリアクリルアミド系紙力剤を使用することが好ましい。
ここで、合紙を2層に分割する方法としては、粘着テープを合紙に貼り付けて剥がすことによって紙を2層に分割する方法や、紙を湿潤状態にして冷凍剥離させる方法(シートスプリッター:熊谷理機工業社製)等があるが、紙を2層に分割する方法は特に限定されない。
因みに、重さ加重平均繊維長が0.50mm未満であると、ガラス板の間から突出した合紙が直立の状態を保ち難くなるため、取り出し装置で合紙を掴むことができないという問題となるおそれがある。逆に、重さ加重平均繊維長が3.00mmを超えると、繊維の撚れが発生し易くなり、外観不良や断紙となるおそれがある。
また、表層と裏層を再離解して得たパルプ繊維の重さ加重平均繊維長差が0.20mm以下であることが好ましいく、より好ましくは0.15mm以下であり、特に好ましくは0.10mm以下である。
因みに、表層と裏層を再離解して得たパルプ繊維の重さ加重平均繊維長差が0.20mmを超えると、ガラス板用合紙を各種温度・湿度条件で保管した際、カールが発生し易くなり、該合紙のハンドリング性が悪化するおそれがある。
クラーク剛度が40cm3/100未満の場合、ガラス板の間から突出した合紙が直立の状態を保ち難くなるため、取り出し装置で合紙を掴むことができないという問題が発生するおそれがある。
特に、高湿度条件下においては、より高いクラーク剛度が求められる。また、場合によっては紙の流れ方向とは逆の幅方向で使用されることもあるので、紙のクラーク剛度の縦横比は1に近い程好ましい。
前記のように、ガラス板用合紙の離解パルプの濾水度、重さ加重平均繊維長を制御することにより、該合紙の坪量や密度を変えることなく、クラーク剛度等の物性を満足させることができる。
そこで、本発明においては以下のようにして樹脂分等のガラス表面を汚染させる可能性のある物質を極力低減させる。
また、上記パルプの配合率の適正化、蒸解、晒し条件の調整、ピッチコントロール剤の添加、パルプの十分な洗浄等が有効である。
パルプに使用する材は、針葉樹材でも広葉樹材でもよく、また混合して使用してもよい。
実施例1および実施例3は参考例である。
LBKP100部のパルプスラリー中に、絶乾パルプに対して、硫酸アルミニウム0.5%を添加し、定着させた後、ワイヤーパートがオントップ型フォーマである抄紙機で、抄紙濃度0.7%で抄紙し、ついで、温度80℃、線圧130kgf/cmでソフトニップカレンダー処理し、表面の平滑度200秒、裏面の平滑度152秒、坪量65.0g/m2のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側396ml(CSF)、裏側373ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側0.75mm、裏側0.74mm、クラーク剛度は70cm3/100、樹脂分は0.043%であった。
LBKP100部のパルプスラリーを、NBKP45部、LBKP55部のパルプスラリーとした以外は、実施例1と同様にして、表面の平滑度110秒、裏面の平滑度85秒、坪量55.0g/m2のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側507ml(CSF)、裏側488ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側1.77mm、裏側1.77mm、クラーク剛度は65cm3/100、樹脂分は0.021%であった。
オントップ型フォーマの表側の脱水量を増やし、ソフトニップカレンダーの線圧を80kgf/cmとした以外は、実施例1と同様にして、表面の平滑度120秒、裏面の平滑度77秒、坪量50.0g/m2のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側465ml(CSF)、裏側385ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側0.75mm、裏側0.73mm、クラーク剛度は33cm3/100、樹脂分は0.041%であった。
ソフトニップカレンダーの線圧を300kgf/cmとした以外は、実施例1と同様にして、表面の平滑度600秒、裏面の平滑度560秒、坪量65.0g/m2のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側396ml(CSF)、裏側373ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側0.75mm、裏側0.74mm、クラーク剛度は66cm3/100、樹脂分は0.043%であった。
ソフトニップカレンダーの線圧を5kgf/cmとした以外は、実施例1と同様にして、表面の平滑度38秒、裏面の平滑度30秒、坪量65.0g/m2のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側396ml(CSF)、裏側373ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側0.75mm、裏側0.74mm、クラーク剛度は82cm3/100、樹脂分は0.043%であった。
ソフトニップカレンダーの線圧を5kgf/cmとした以外は、実施例2と同様にして、表面の平滑度15秒、裏面の平滑度15秒、坪量55.0g/m2のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側507ml(CSF)、裏側488ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側1.77mm、裏側1.77mm、クラーク剛度は72cm3/100、樹脂分は0.021%であった。
ソフトニップカレンダーの線圧を5kgf/cmとした以外は、実施例3と同様にして、表面の平滑度31秒、裏面の平滑度30秒、坪量55.0g/m2のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側465ml(CSF)、裏側385ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側0.75mm、裏側0.73mm、クラーク剛度は54cm3/100、樹脂分は0.041%であった。
ワイヤーパートが長網式フォーマであること以外は、比較例1と同様にして、表面の平滑度28秒、裏面の平滑度27秒、坪量80.0g/m2のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側458ml(CSF)、裏側366ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側0.78mm、裏側0.70mm、クラーク剛度は79cm3/100、樹脂分は0.044%であった。
パルプスラリーをNBKP90部、LBKP10部とした以外は、比較例4と同様にして、表面の平滑度16秒、裏面の平滑度13秒、坪量85.0g/m2のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側530ml(CSF)、裏側620ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側2.59mm、裏側2.80mm、クラーク剛度は84cm3/100、樹脂分は0.025%であった。
坪量を45.0g/m2とした以外は、比較例1と同様にして、表面の平滑度37秒、裏面の平滑度32秒のガラス板用合紙を得た。得られたガラス板用合紙の離解濾水度は表側396ml(CSF)、裏側373ml(CSF)、重さ加重平均繊維長は表側0.75mm、裏側0.74mm、クラーク剛度は47cm3/100、樹脂分は0.043%であった。
300×300mmのガラスと合紙を交互に各10枚積層させた上に、5kgの荷重をかけ、50℃80%RHの環境で7日間処理し、ガラス洗浄後、ガラスへのキズおよび汚染を評価した。
(ガラスへのキズ)
◎:キズは全く発生しておらず、全く問題ないレベルである。
○:若干のキズは発生しているが、問題ないレベルである。
△:キズがやや多く、問題となることがあるレベルである。
×:キズが多く、問題となるレベルである。
◎:汚染は全く発生しておらず、全く問題ないレベルである。
○:若干の汚染は発生しているが、問題ないレベルである。
△:汚染がやや多く、問題となることがあるレベルである。
×:汚染が多く、問題となるレベルである。
◎:ハンドリング性が非常に良好なレベルである。
○:環境条件によっては、若干ハンドリング性が低下するが問題ないレベルである。
△:環境条件によっては、ハンドリング性が問題となるレベルである。
×:環境条件によらず、ハンドリング性が問題となるレベルである。
Claims (5)
- パルプ繊維を主成分とする原料を用いて、ワイヤーパートがオントップ型フォーマである抄紙機で抄紙し、オンマシンカレンダーがソフトニップカレンダーによる平滑化処理して得られるガラス板用合紙の製造方法において、前記ソフトニップカレンダーにより線圧130〜300kgf/cmで平滑化処理し、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2:2000に準じて測定した平滑度が70秒以上、且つ平滑度の表裏差が25〜40秒であることを特徴とするガラス板用合紙の製造方法。
- 前記ガラス板用合紙を表層と裏層に2分割した際の各層間の離解濾水度差が80mlCSF以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラス板用合紙の製造方法。
- 前記ガラス板用合紙の表層を再離解して得たパルプ繊維のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52:2000に準じて重さ加重平均繊維長が0.50〜3.00mmであり、表層と裏層を再離解して得たパルプ繊維の重さ加重平均繊維長差が0.20mm以下であることを特徴とする請求項2に記載のガラス板用合紙の製造方法。
- 前記ガラス板用合紙のクラーク剛度(紙の流れ方向)が40cm3/100以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス板用合紙の製造方法。
- 前記ガラス板用合紙中の樹脂分(ISO−624−1974)が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス板用合紙の製造方法。
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