JP2004146472A - 半導体装置及び半導体装置製造方法 - Google Patents

半導体装置及び半導体装置製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコンゲルマニウム層の上に結晶欠陥を低減した高品質の歪みシリコン層を形成することにより、歪みシリコン層をチャネル領域とするトランジスタの特性を改善できる半導体装置及び半導体装置製造方法を提供する。
【解決手段】シリコン基板1の表面に形成された多孔質シリコン層2と、多孔質シリコン層2の表面に形成された第1単結晶シリコン層3と、第1単結晶シリコン層3に積層された歪み緩和状態の第1シリコンゲルマニウム層5aと、第1シリコンゲルマニウム層5aに積層されてチャネル領域(6ac)となる歪み状態のチャネル用単結晶シリコン層6aとを備えるものとする。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンゲルマニウム層の上に形成された歪み状態の歪みシリコン層を備えた半導体装置及び半導体装置製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置、とりわけCMOSデバイスでは省資源化の要求に伴って低消費電力化が要求されるようになった。CMOSデバイスを構成するMOSトランジスタは、これまで、ゲート構造の微細化、ゲート膜の薄膜化等トランジスタ構造の微細化により駆動能力を確保し、低電圧動作に対応してきた。しかし、トランジスタ構造の微細化には、世代毎に大きな技術革新が必要で、費用投資と併せて、今後ますます開発サイドの負担が大きくなると予想される。
【0003】
このような背景から、MOSトランジスタにおいて、トランジスタ構造の微細化によらず、低電圧での駆動能力を確保する手法として、完全空乏型SOI構造を採用してS値を小さくし、トランジスタの駆動能力を確保する方法(SOIトランジスタデバイス)、ゲルマニウムを利用した歪みシリコンチャネル構造を採用して、トランジスタの駆動能力を向上させる手法が提案されている。
【0004】
しかし、SOIトランジスタデバイスでは、完全空乏型SOI構造を必要とするため、約数10nm程度の薄膜SOI層にトランジスタを形成する必要があり、バルクトランジスタプロセス以上の高精度の加工技術が要求される。また、活性シリコン層が下方を埋め込み酸化膜、廻りを素子分離酸化膜で囲まれるため、ウエルコンタクトが取れず、バルクデバイスの設計資産がそのままでは使用出来ない。
【0005】
他方、歪みシリコンチャネル構造は、シリコン(以下、Si)とは格子定数の異なるゲルマニウム(以下、Ge)を含有した共晶Si(以下、SiGe)の歪みを開放し、いわゆる緩和状態としたSiGe層の上に、引っ張り歪みを持つSi層を形成し、これをトランジスタのチャネルに利用することで、トランジスタの駆動能力を向上させるものである。即ち、引っ張り歪みを有する歪みSi層では、歪み無しSi層に比較して電子の実効的な質量の低下や格子散乱の軽減化によって移動度が向上するもので、この特性を利用してトランジスタの駆動能力を向上させるものである。特性向上という利点から、歪みSi層を、NチャネルMOSトランジスタに適用した技術が多数提案されている。
【0006】
図9は歪みSi層を有する従来例1に係る半導体装置の断面図である。なお、理解の容易性を考慮し、断面を示すハッチングは省略している(その他の図においても同様である)。埋め込み層51aを形成されたSi基板51の上にGeの濃度勾配を有するSiGe層52a、Geを固定濃度としたSiGe層52bを形成し、Si基板51とSiGe層52a、52bの格子不整合により生じる格子歪みを開放し、その上部に格子定数の小さい歪み状態のSi層53を堆積し歪みSiチャネルとして利用するものである。Si層53の上には中間層54、ゲート酸化膜55、ゲート電極56が形成され、ゲート電極56に対応して、ソース領域57、ドレイン領域58、チャネル領域53cが確定される(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
従来例1においては、Si基板51とSiGe層52a、52bとの界面での転位発生を抑制し、格子不整合に起因したSiGe層52a、52bの応力を緩和するため、Geの濃度勾配を持たせたSiGe層52aを使用する。応力緩和のためには緩やかな濃度勾配が必要となり、結果的にμmオーダーに制御することが必要となる(SiGe層52aの膜厚は2μm)。エピタキシャル成長させるSiGe層52a、52bは、単結晶性確保の観点から堆積速度が小さく、通常数nm/分〜数十nm/分程度であり、エピタキシャル成長時の堆積処理に長い時間を必要としウエーハの処理能力が低下するという問題がある。
【0008】
図10は歪みSi層を有する従来例2に係る半導体装置の製造過程を示す断面図である。Si基板61上にSiGe層62を形成する(同図(a)、(b))が、界面には結晶欠陥63が残留している。次に、Si基板61とSiGe層62との界面に酸素、窒素等の第1のイオン注入を行って固相成長防止のストッパー層64を形成する(同図(c))。その後、Ge、Si等の第2のイオン注入を行ってSiGe層62の下方を所定の膜厚だけ非晶質化し、非晶質SiGe層65aを形成する(同図(d))。さらに、アニール処理によって非晶質SiGe層65aを、結晶欠陥を低減した単結晶SiGe層66へ変換する。続いて、SiGe層62の上方をGe、Si等の第3のイオン注入を行い、アニール処理することにより非晶質化し、非晶質SiGe層65bを形成する(同図(e))。さらに、再アニール処理することによって非晶質SiGe層65bを、結晶性の良い単結晶SiGe層66に変換している(同図(f))。その後、単結晶SiGe層66の上に歪み状態の単結晶Si層67を成長させる(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
つまり、従来例2はイオン注入を用いてSiGe層の応力コントロールを行うものである。この方法では、SiGe層62に対して、比較的質量の大きなイオンのイオン注入とアニール処理を複数回繰り返すことで、結晶の非晶質化と再結晶化との状態変換を行っている。したがって、製造過程が煩雑化するのみならず、結晶状態の変換のための非晶質化に起因して、最終的に得られる基板として、結晶欠陥のない十分に高品質の基板を得ることができないという問題がある。
【0010】
薄膜のSiGe層を用いて歪みSi層を形成する従来例3として、(100)面方位のSi平面上に堆積した歪SiGe層への水素のイオン注入とアニール処理によって、歪を開放した緩和状態のSiGe層を形成する技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0011】
従来例3においては、アニール処理後にSi/SiGe界面から基板表面側に向かって発生する貫通転位(Threading   Dislocation)が存在する。この貫通転位は、10×106 〜109 /cm2 程度発生し、トランジスタのゲート酸化膜の電気的特性、拡散層の接合リーク電流の増加をもたらすという問題がある。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−82944号公報
【特許文献2】
特開2001−110725号公報
【非特許文献1】
エイチ・トリンカウス他(H.Trinkaus et al.)、水素注入されたSi(1−x)Ge(x)/Si(100)異種構造に対する歪み緩和機構(Strain  relaxation  mechanism  for  hydrogen−implanted  Si(1−x)Ge(x)/Si  heterostructure)、「アプライド・フィジックス・レターズ(APPLIED  PHYSICS  LETTERS)」、(アメリカ合衆国)、アメリカン・インスチチュート・オブ・フィジックス(AMERICAN  INSTITUTE  OF  PHYSICS )、2000年6月12日、p.3552〜p.3554
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、シリコンゲルマニウム層を用いて歪みシリコン層を形成する場合の従来の方法においては、製造過程の煩雑化、長時間化に伴い生産性が低下すること、結晶欠陥のない高品質の基板を得ることができないこと、歪みシリコン層をチャネル領域とするトランジスタの特性が不十分であること等の問題がある。
【0014】
本発明は、斯かる問題に鑑みてなされたものであり、ウエーハの処理能力を犠牲にすることなく、シリコンゲルマニウム層の上に結晶欠陥を低減した高品質の歪みシリコン層を形成することにより、歪みシリコン層をチャネル領域とするトランジスタの特性を改善できる半導体装置及び半導体装置製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体装置は、シリコンゲルマニウム層の上に形成した歪み状態の単結晶シリコン層をトランジスタのチャネル領域とする半導体装置において、シリコン基板の表面に形成された多孔質シリコン層と、多孔質シリコン層の表面に形成された第1単結晶シリコン層と、第1単結晶シリコン層に積層された歪み緩和状態の第1シリコンゲルマニウム層と、第1シリコンゲルマニウム層に積層されてチャネル領域となる歪み状態のチャネル用単結晶シリコン層と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る半導体装置においては、第1シリコンゲルマニウム層はゲルマニウムの濃度勾配を有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る半導体装置は、シリコンゲルマニウム層の上に形成した歪み状態の単結晶シリコン層をトランジスタのチャネル領域とする半導体装置において、シリコン基板の表面に形成された多孔質シリコン層と、多孔質シリコン層の表面に形成された第1単結晶シリコン層と、第1単結晶シリコン層に積層された歪み緩和状態の第1シリコンゲルマニウム層と、第1シリコンゲルマニウム層に積層された第1緩衝用単結晶シリコン層と、第1緩衝用単結晶シリコン層に積層された歪み緩和状態の第2シリコンゲルマニウム層と、第2シリコンゲルマニウム層に積層された歪み状態のチャネル用単結晶シリコン層と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る半導体装置においては、第1緩衝用単結晶シリコン層及び第2シリコンゲルマニウム層の間に積層された第2緩衝用単結晶シリコン層を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る半導体装置においては、第1単結晶シリコン層及び第1シリコンゲルマニウム層の間に積層された第2単結晶シリコン層を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る半導体装置においては、第1単結晶シリコン層の膜厚又は第1単結晶シリコン層及び第2単結晶シリコン層の積層膜厚は5nm〜190nmであることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る半導体装置においては、第1シリコンゲルマニウム層の膜厚は10nm〜500nmであることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る半導体装置においては、第1シリコンゲルマニウム層又は第2シリコンゲルマニウム層のゲルマニウム濃度は10〜50原子%であることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る半導体装置製造方法は、シリコンゲルマニウム層の上に形成した歪み状態の単結晶シリコン層をチャネル領域とするトランジスタを形成する半導体装置製造方法において、シリコン基板表面に多孔質シリコン層を形成する工程と、水素アニール処理により多孔質シリコンの表面を第1単結晶シリコン層に変換する工程と、第1単結晶シリコン層の上に、第2単結晶シリコン層及び第1シリコンゲルマニウム層を順次エピタキシャル成長させる工程と、第1シリコンゲルマニウム層の上に、チャネル用単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる工程と、イオン注入及びイオン注入後のアニール処理により、第1単結晶シリコン層内、第2単結晶シリコン層内、または多孔質シリコン層内に結晶欠陥を導入する工程と、を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、第1シリコンゲルマニウム層はゲルマニウムの濃度勾配を有して形成されたことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る半導体装置製造方法は、シリコンゲルマニウム層の上に形成した歪み状態の単結晶シリコン層をチャネル領域とするトランジスタを形成する半導体装置製造方法において、シリコン基板表面に多孔質シリコン層を形成する工程と、水素アニール処理により多孔質シリコンの表面を第1単結晶シリコン層に変換する工程と、第1単結晶シリコン層の上に、第2単結晶シリコン層、第1シリコンゲルマニウム層、及び第1緩衝用単結晶シリコン層を順次エピタキシャル成長させる工程と、イオン注入及びイオン注入後のアニール処理により、第1単結晶シリコン層内、第2単結晶シリコン層内、または多孔質シリコン層内に結晶欠陥を導入する工程と、第1緩衝用単結晶シリコン層の上に、第2緩衝用単結晶シリコン層、第2シリコンゲルマニウム層、及びチャネル用単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、第2緩衝用単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる工程を省いたことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、第2シリコンゲルマニウム層は歪み緩和状態の層としてエピタキシャル成長させることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、チャネル用単結晶シリコン層は歪み状態の層としてエピタキシャル成長させることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、第2単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる工程を省いたことを特徴とする。
【0030】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、第1単結晶シリコン層の膜厚又は第1単結晶シリコン層及び第2単結晶シリコン層の積層膜厚を5nm〜190nmとしたことを特徴とする。
【0031】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、第1シリコンゲルマニウム層は臨界膜厚以下の膜厚に形成されることを特徴とする。
【0032】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、第1シリコンゲルマニウム層の膜厚は10nm〜500nmであることを特徴とする。
【0033】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、第1シリコンゲルマニウム層又は第2シリコンゲルマニウム層のゲルマニウム濃度は10〜50原子%であることを特徴とする。
【0034】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、第1シリコンゲルマニウム層又は第2シリコンゲルマニウム層をエピタキシャル成長させる際の成長温度は700℃以下であることを特徴とする。
【0035】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、イオン注入に用いるイオン種は水素又はヘリウムであることを特徴とする。
【0036】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、イオン注入の平均注入飛程は多孔質シリコン層、第1単結晶シリコン層、又は第2単結晶シリコン層のいずれかの層内にあることを特徴とする。
【0037】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、イオン注入は複数回に分けて行われることを特徴とする。
【0038】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、イオン注入におけるイオン注入量は0.3〜3×101 6 /cm2 の範囲から選択された値とすることを特徴とする。
【0039】
本発明に係る半導体装置製造方法においては、イオン注入後のアニール処理における温度は600℃〜950℃の範囲内とすることを特徴とする。
【0040】
本発明にあっては、シリコン基板の表面に多孔質シリコン層を形成し、多孔質シリコン層から多孔質シリコン層の表面に形成した第1単結晶シリコン層及び第2単結晶シリコン層までの領域に結晶欠陥を導入することにより、第1単結晶シリコン層、第2単結晶シリコン層の上部に積層して形成した第1シリコンゲルマニウム層を結晶欠陥の少ない緩和状態にできるので、第1シリコンゲルマニウム層の上部に積層して形成した歪みシリコン層を結晶欠陥の少ない歪みチャネル領域とする半導体装置及び半導体装置製造方法が可能となる。
【0041】
本発明にあっては、シリコン基板の表面に形成された多孔質シリコン層、多孔質シリコン層の表面に第1単結晶シリコン層及び第2単結晶シリコン層を形成し、さらに第1単結晶シリコン層、第2単結晶シリコン層の上部に積層して形成した第1シリコンゲルマニウム層と第2シリコンゲルマニウム層との層間に第1緩衝用単結晶シリコン層、第2緩衝用単結晶シリコン層を堆積することにより、第2シリコンゲルマニウム層を結晶欠陥の少ない緩和状態にできるので、第2シリコンゲルマニウム層の上部に積層して形成した歪みシリコン層を結晶欠陥の少ない歪みチャネル領域とする半導体装置及び半導体装置製造方法が可能となる。
【0042】
本発明にあっては、多孔質シリコン層を形成するという簡単なプロセス変更及び基板構造の変更により、結晶欠陥の少ないシリコンゲルマニウム層を形成でき、その上部に積層して形成した歪みシリコン層を結晶欠陥の少ない歪みチャネル領域とする半導体装置及び半導体装置製造方法が可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
図1乃至図3は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造過程を説明する断面図である。なお、各図における枝番号(a〜f)は図1乃至図3を通して付している。1はシリコン(以下、Si)基板であり、その表面に公知の陽極化成技術で孔部2aを有する多孔質Si層2を形成する。例えば、厚み750μmのSi基板1を用意し、弗化水素酸(HF):純水(H2 O):エタノール(C2 5 OH)を、1:1:1で調整した化成溶液を用いて、電流密度を30mA/cm2 で数十分間処理した場合、膜厚20〜50μm、多孔度30〜50%の多孔質Si層2が得られる(図1(a))。多孔質Si層2の内部構造は、無数に形成された数nm径の微細な孔が蜂の巣状、あるいはスポンジ状に分布している。ここではその微細な孔を孔部2aとして模式的に示したもので形状は垂直とは限らない。
【0044】
多孔質Si層2を堆積したSi基板1を温度1000℃の水素雰囲気で1時間処理することにより、多孔質Si層2の表面近傍のSi原子をマイグレーションさせて、表面に局在する孔を埋めることで、多孔質Si層2の表面部分を第1単結晶Si層3に変換する(図1(b))。第1単結晶Si層3の膜厚は、水素アニール処理時間や多孔質Si層2の多孔度によって異なるが、概して数nm〜1μm程度である。ここでは実施例として第1単結晶Si層3の膜厚は50nmとした。
【0045】
通常用いられるCVD法を利用して、温度600℃〜1100℃で、第1単結晶Si層3の上に第2単結晶Si層4をエピタキシャル成長により堆積形成する(図1(b))。この第1単結晶Si層3と第2単結晶Si層4の積層膜厚は、後工程で堆積する歪み第1SiGe層5を十分緩和するために、5nm〜190nm程度が好ましい。ここでは実施例として第2単結晶Si層4の膜厚は5nmとした。
【0046】
なお、第2単結晶Si層4は、次のような場合には、その形成を省略することができる。例えば、濃度勾配を有する第1SiGe層5のGe濃度が15%原子程度以下と低い場合、又は第1SiGe層5の膜厚が100nm程度以下と薄い場合には、第1SiGe層5の歪みイオン注入エネルギが小さく、第1SiGe層5を効率良く緩和させるには、第1単結晶Si層3の直上に堆積する第2単結晶Si層4はできるだけ薄いか無い方が好ましい。また、後述するイオン注入(図2(d))の注入飛程(Rp)を深くして多孔質Si層2における水素注入により生じる結晶欠陥(領域)から第1SiGe層5までの距離を離してリーク電流低減を図る場合には、結晶欠陥から第1SiGe層5までの距離が大きくなるので、第2単結晶Si層4はできるだけ薄いか無い方が好ましい。
【0047】
上述のCVD法を利用し、第2単結晶Si層4の上に濃度勾配を有する第1SiGe層5、及びチャネル用単結晶Si層6を順次エピタキシャル成長により堆積形成する(図1(c))。一般に、Si(層)上に堆積されたGe(層)は、約4%の格子不整合性を有しており、第1単結晶Si層3、第2単結晶Si層4の上に堆積された第1SiGe層5も、格子不整合性に起因した圧縮応力をもつ。この際、第1SiGe層5は、下地Si(第1単結晶Si層3、第2単結晶Si層4)との格子定数の差異(格子不整合性)に起因して生じる歪み(歪みエネルギ)を内包した歪み状態で堆積することが重要であり、その膜厚は堆積温度とGe濃度から決定される臨界膜厚以下の膜厚で堆積する必要がある。なお、臨界膜厚とは格子定数の異なる原子の積層構造において格子定数の差異に基づく歪み状態を維持できる最大膜厚(逆に表現すれば、歪み(歪みエネルギ)を開放するのに必要な最小膜厚)である。また、第1SiGe層5を歪み状態とする膜厚は、一概には規定できないが製膜条件(堆積温度、Ge濃度、堆積膜厚)を適宜設定して特定できるものであり、堆積温度は制御性等を考慮して700℃以下とすることが好ましい。
【0048】
つまり、臨界膜厚を越える膜厚を堆積した場合には、第1SiGe層5が有する歪み(歪みエネルギ)は堆積中に開放されてしまうため、歪み状態とすることはできない。また、臨界膜厚を越える膜厚を堆積した場合は、第1単結晶Si層3、第2単結晶Si層4と第1SiGe層5の界面で応力開放に起因したミスフィット転位が発生し、第1SiGe層5の表面にクロスハッチ状の転位線が生じる。この場合、直上に堆積するチャネル用単結晶Si層6は、クロスハッチ状の転位線に起因して結晶品質が低下する。これらの観点から、第1SiGe層5は、実効的に10〜500nm程度の膜厚とすることが好ましい。
【0049】
なお、第1SiGe層5におけるGe濃度は、歪み状態の実現容易性等から、10〜50原子%の範囲とすることが好ましい。また、第1SiGe層5におけるGeが濃度勾配を有するように堆積しても良い。つまり、いわゆるBOX型(濃度勾配なし)、GRADED型(濃度勾配あり)のいずれでも良い。Geの濃度勾配を持たせたときの第1SiGe層5の膜厚は10〜500nm、Ge濃度は10から50原子%の範囲内で適宜選択することができる。
【0050】
ここでは実施例として第1SiGe層5を250nm、チャネル用単結晶Si層6を20nmの膜厚で堆積した。第1SiGe層5は、初期(第1単結晶Si層3、第2単結晶Si層4側)のGe濃度が20原子%、最終(チャネル用単結晶Si層6側)のGe濃度が30原子%の濃度勾配を有する膜とした。なお、歪み状態の第1SiGe層5は歪みを内包する状態で堆積され、以降の工程で歪みを開放させる必要上、Geの濃度勾配は、堆積時の初期のGe濃度は10〜20%程度、最終のGe濃度は30〜50%程度が好ましい。
【0051】
次に、第1単結晶Si層3、第2単結晶Si層4、第1SiGe層5、チャネル用単結晶Si層6を介して、多孔質Si層2の表面近傍に水素イオンをイオン注入(矢符H)する。これまでの検討結果からは、注入飛程(Rp)は、第2単結晶Si層4と第1SiGe層5との界面より深いSi基板1側に設定することが有効であることがわかっている。イオン注入され停止した状態の水素イオンを注入水素イオン7として模式的に表す(図2(d))。ここでは実施例として平均注入飛程Rpを多孔質Si層2の層内に持つようにイオン注入エネルギを制御した。
【0052】
注入イオン種としては水素以外にヘリウムが好ましい。これらの元素は原子番号が1または2であり、イオン半径が極めて小さく質量の小さい軽いイオンであることから、イオンが通過する第1SiGe層5の層内ではほとんど核阻止能が働かず、結晶欠陥が導入されることがなく、イオンが停止する注入飛程(Rp)の直前に核阻止能が最大になり、注入飛程(Rp)近傍に微細な結晶欠陥(埋め込み結晶欠陥)が導入される。従って、被イオン注入材(多孔質Si層2、第1単結晶Si層3、第2単結晶Si層4、第1SiGe層5、チャネル用単結晶Si層6)の表面側の第1SiGe層5、チャネル用単結晶Si層6の結晶性を破壊せず、多孔質Si層2、第1単結晶Si層3、第2単結晶Si層4の層内に設定する平均注入飛程Rp近傍に微細な結晶欠陥を導入することが可能となる。また、水素及びヘリウムは、希ガス類であるため、Siデバイスの電気的特性への影響の危惧がない。
【0053】
ここでは実施例として水素イオンをイオン注入エネルギ30keVでイオン注入した。このイオン注入条件では、平均注入飛程Rpは、歪みを内包する第1SiGe層5と第2単結晶Si層4との界面(ミスフィット界面)からSi基板1側へ深さ80nmの位置になる。つまり、水素イオンは5nmの第2単結晶Si層4、50nmの第1単結晶Si層3を通過し、第1単結晶Si層3と多孔質Si層2との界面から深さ25nmの多孔質Si層2の層内で停止する。なお、水素イオンが停止する直前に、被イオン注入材(多孔質Si層2)による核阻止能が最大になり、注入飛程(Rp)より若干浅い領域に点欠陥等の埋め込み結晶欠陥(1次結晶欠陥)が導入される。
【0054】
その後、アルゴン等の不活性雰囲気、又は水素雰囲気の下で、温度800℃で10分間のアニール処理を行い、注入飛程(Rp)近傍に、注入水素イオン7に起因するボイド8を成長させ、さらに結晶欠陥9を発生させる(図2(e))。なお、ボイド8は、イオン注入に起因する結晶欠陥であるSiのダングリングボンドに水素が捕獲され、Si−H結合が形成されることにより成長するものと考えられる。また、結晶欠陥9には、ボイド8に起因する転位線9a及び転位ループ/積層欠陥9b、孔部2aに起因する転位線9c及び転位ループ/積層欠陥9d、第2単結晶Si層4と第1SiGe層5aとのミスフィット界面から新たに成長する貫通転位9e及び転位ループ9f等が含まれる。なお、転位線9a及び転位ループ/積層欠陥9bが第1SiGe層5に渡って延伸することが確認されており、第1SiGe層5に延伸する転位線9a及び転位ループ/積層欠陥9bの増加に伴って、後工程において形成するMOSトランジスタの接合リーク電流が増加することが分かっている。このことから、埋め込み結晶欠陥の位置を第1SiGe層5からSi基板1側に所定の範囲(第1SiGe層5と第2単結晶Si層4との界面からSi基板1側への深さ190nm〜200nm程度まで)に設定することにより、第1SiGe層5まで延伸する結晶欠陥9の低減化を図る必要がある。なお、イオン注入後のアニール処理で形成される埋め込み結晶欠陥(2次結晶欠陥)の位置と、第1SiGe層5における結晶欠陥には相関が認められた。
【0055】
ここで、イオン注入と結晶欠陥(9)の関連についてさらに説明する。イオン注入された水素イオンは、Si結晶(多孔質Si層2、第1単結晶Si層3、第2単結晶Si層4)の結晶格子を構成するSi原子核の廻りの電子雲により徐々にイオン注入エネルギをロス(電子阻止能)する。水素イオンは停止する直前に結晶格子を形成するSi原子核と衝突し(核阻止能)停止する。このとき、水素イオンは核阻止能が最大になる注入飛程(Rp)の直前にSi結晶の結晶格子を破壊(格子損傷)するので、埋め込み結晶欠陥(1次結晶欠陥)が導入される。注入イオンが水素の場合、イオン半径が小さく軽いイオンのため、この格子損傷の程度は小さく、主として格子位置のSiが衝突で吹き飛ばされた格子空孔の点欠陥、またはSi−Siボンドの共有結合が部分的に切断されたSiダングリングボンド等の形態の結晶欠陥になる(1次結晶欠陥)。この状態でアニール処理をすると、1次結晶欠陥の一部は結晶性を回復し、その後に残った結晶欠陥が2次結晶欠陥(ボイド8及び結晶欠陥9)となる。注入水素イオン7は注入直後においては格子間原子としてSi結晶中に分散するがアニール処理により周囲のSiダングリングボンド(1次結晶欠陥)と結合しSi−Hボンドが形成される。注入飛程(Rp)近傍には1次結晶欠陥が多数存在しているため、アニール処理後には多数のSi−H結合をもったSi結晶格子ができる。イオン注入量が多く、Si−H結合の密度大の場合には、向かいあったSi−HとH−Siの水素同士の反発(水素結合の逆を想定)によりボイド8が形成される。なお、イオン注入を行った際のイオン注入量の増減に起因して、埋め込み結晶欠陥の量が増減することが、透過型電子顕微鏡で確認されている。
【0056】
ボイド8の形成はアニール処理の早期の段階で完結し、ボイド8の形成により多孔質Si層2に応力が導入される。歪みを内包する第1SiGe層5には被圧縮応力が作用しているが、ボイド8に起因する応力との相互作用により、互いの応力が開放されるように2次結晶欠陥としての転位線9a及び転位ループ/積層欠陥9bが形成される。つまり、2次結晶欠陥により第1SiGe層5の被圧縮応力(歪みイオン注入エネルギ)は開放され、第1SiGe層5は歪みが緩和された緩和状態の第1SiGe層5aとなる(図2(e))。
【0057】
イオン注入量(水素イオン注入量)と多孔質Si層2の有無の関係(多孔質Si層2の効果)について述べる。埋め込み結晶欠陥(1次結晶欠陥、ひいては2次結晶欠陥)の量を抑制するためには、イオン注入量の低減化が有効であるが、イオン注入量を低減すると、引き続くアニール処理で、第1SiGe層5が十分緩和しない状態を招くため、イオン注入量の範囲は限られる。この範囲は、注入イオン種やイオン注入エネルギ、あるいはアニール処理温度に依存して変動するが、おおよそ、1.0〜3×101 6 /cm程度(101 6 /cmレベルの前半)と考えられる。なお、多孔質Si層2を採用しない場合、歪みを内包する第1SiGe層5を歪みが緩和された緩和状態の第1SiGe層5aに変換するために必要な水素イオン注入量は、概して1.0〜3×101 6 /cm2 程度が必要である(例えば、非特許文献1には、膜厚250nm、Ge濃度15原子%のSiGe層に、水素イオンをイオン注入エネルギ25keV、イオン注入量3×101 6 /cmの条件でイオン注入した例が開示されている。)。また、イオン注入量を101 6 /cmレベルの後半とすると、SOI技術の適用可能な範囲になり、水素イオンによる注入層を分離境界として基板の剥離現象が生じやすくなり本発明への適用はできない。
【0058】
イオン注入量が1.0〜3×101 6 /cmの範囲より多い場合には、巨大な水素ボイド(Blisteringと呼称される)が発生し、注入飛程(Rp)の周辺部分が水膨れ状になる。逆にイオン注入量が1.0〜3×101 6 /cmの範囲より少ない場合には、歪みを内包する第1SiGe層5が中途半端に緩和しクロスハッチ状の貫通転位が第1SiGe層5に発生する。しかし、多孔質Si層2を採用することにより、イオン注入量を、0.3×101 6 /cm2 まで低減することが可能となり、巨大な水素ボイドの発生を確実に防止でき、イオン注入に必要な時間を短縮することができる。
【0059】
上述したようにイオン注入量を低減できる理由は、導入した多孔質Si層2によって直上の第1単結晶Si層3が部分空間的にSi基板1から切り離された状態となっていること、さらには、イオン注入量の低減に伴い注入水素イオン7(ボイド8)に起因する結晶欠陥の量は低減するが、ボイド8に起因しない多孔質Si層2の孔部2aからの応力によって生じる2次結晶欠陥としての転位線9c及び転位ループ/積層欠陥9dの発生が、歪みを内包する第1SiGe層5の緩和を補足し、促進するためと推測される。つまり、イオン注入による2次結晶欠陥の量を低減する一方で、歪みを有する第1SiGe層5を緩和させるために、多孔質Si層2を導入する。多孔質Si層2の導入により、歪みを有する第1SiGe層5の応力を緩和する際の活性化エネルギを相対的に低下せしめ、イオン注入量を低減したイオン注入条件においても、第1SiGe層5を緩和できるようにできる。イオン注入による2次結晶欠陥の量を低減することから、後述するMOSトランジスタの接合リーク電流を低減できる。
【0060】
このように、多孔質Si層2の採用によってイオン注入量の低減化が図れ、イオン注入処理時間の短縮化に加えて歪みが緩和された緩和状態の第1SiGe層5aに延伸する結晶欠陥(転位線9a及び転位ループ/積層欠陥9b)を相対的に低減することができる。また、適用可能なイオン注入量の範囲を従来の1.0〜3×101 6 /cm2 から0.3〜3×101 6 /cm2 まで拡大することにもなり、制御の自由度が大きくなる。
【0061】
上述したとおり、イオン注入領域(ボイド8及びその周辺)の埋め込み結晶欠陥から延伸成長する結晶欠陥(9a〜9d)が第1SiGe層5aの表面まで延伸し、貫通転位9eに成長する虞がある。しかし、第1SiGe層5aに濃度勾配を持たせることにより、第1SiGe層5aの中に延伸しようとする結晶欠陥(転位線)はGeの濃度勾配に応じた格子不整合の応力差異に起因して途中で曲がり転位ループ/積層欠陥9b、9dとなる。また、第2単結晶Si層4と第1SiGe層5aのミスフィット界面から新たに成長しようとする転位ループ9fも同様な理由で延伸しない。したがって、濃度勾配を有する第1SiGe層5a中を貫通する貫通転位9eは、実質上ほとんど存在しない。なお、貫通転位9e、転位ループ9fを図上破線で示すのはほとんど存在しないことを示すためである(実施の形態2においても同様とする)。
【0062】
平均注入飛程Rpが、多孔質Si層2の層内にある場合について説明したが、注入飛程(Rp)は、第2単結晶Si層4と第1SiGe層5との界面よりSi基板1側で、多孔質Si層2の層内までの範囲内になるように設定すればよい。その際、注入飛程(Rp)は、第1SiGe層5と第2単結晶Si層4との界面からSi基板1側への深さ190nm〜200nm程度までの範囲内になるようイオン注入エネルギを設定することにより、第1SiGe層5の歪みが緩和された緩和状態の第1SiGe層5aへの変換を促進できる。
【0063】
実験結果からは、第1SiGe層5と第2単結晶Si層4との界面からSi基板1側への深さ190nm〜200nm程度を越えるイオン注入エネルギを用いた場合には、歪みを内包する第1SiGe層5は中途半端に緩和しクロスハッチ状転位の発生を抑制できないことが確認された。これは、ボイド8と第1単結晶Si層3/第2単結晶Si層4/第1SiGe層5におけるミスフィット界面との距離が離れすぎ、第1SiGe層5に作用する被圧縮応力と、ボイド8に起因した応力との相互作用が低下することで説明できる。
【0064】
また、注入飛程(Rp)が、第1SiGe層5の層内に生じるような低いイオン注入エネルギを用いた場合には、歪みを内包する第1SiGe層5は緩和されるが、イオン注入に起因する結晶欠陥(9)が緩和状態の第1SiGe層5aに多数導入され、接合リーク電流が増加する等のデバイス特性の劣化が問題になる。
【0065】
さらに、アニール処理(緩和アニール処理)温度は600℃〜950℃、好ましくは800℃〜900℃が実用上有効である。600℃以下の温度では、ボイド8の成長が不十分である。また、600℃〜800℃の温度では成長不十分な微小なボイド8が多数観察され、結晶欠陥9(転位線9a及び転位ループ/積層欠陥9b)の発生量が抑制された状態となっていた。逆に950℃以上の温度では、第1SiGe層5aからGeがチャネル用単結晶Si層6aに拡散し、デバイス(後述するMOSトランジスタ)特性の劣化をもたらす。
【0066】
さらに、イオン注入を複数回に分割することも可能である。イオン注入による結晶欠陥は、注入飛程(Rp)の直前の位置に導入される。歪みの応力を有する第1SiGe層5を効率良く緩和させるには、イオン注入による結晶欠陥が第1単結晶Si層3(第2単結晶Si層4)と第1SiGe層5との界面に近いほうが有利である。他方、イオン注入量抑制の観点からは注入飛程(Rp)は多孔質Si層2内にあるほうが有利である。したがって、多孔質Si層2内に注入飛程(Rp)を有するイオン注入エネルギによりイオン注入量を低減したイオン注入をした場合において、結果的に第1SiGe層5の緩和が未だ不十分であったとき、イオン注入量の不足分を第1単結晶Si層3(第2単結晶Si層4)と第1SiGe層5との界面により近い注入飛程(Rp)を有するイオン注入エネルギによるイオン注入を補足することができる。つまり、1回のイオン注入の場合に比較して、2回(複数回)イオン注入の方がイオン注入に起因する結晶欠陥9(一次結晶欠陥)を第1単結晶Si層3(第2単結晶Si層4)と第1SiGe層5との界面から相対的に深い側へ離す(押し出し効果)ことができ、後述するMOSトランジスタの接合リーク電流をさらに低減させることができる。
【0067】
上述の様に作製した基板(図2(e))における第1SiGe層5aの歪み開放の程度をX線回折分析法(XRD)により分析したところ、歪みイオン注入エネルギが90%程度以上開放され、ほぼ無歪み状態のSiGe層に変換されていることが確認できた。このことから、歪みが緩和された緩和状態の第1SiGe層5aに積層したチャネル用単結晶Si層6は、歪み状態を保持する歪みSi層、つまり、チャネル用単結晶Si層6aにすることができる。また、第1SiGe層5における結晶欠陥9を低減することから、チャネル用単結晶Si層6aにおける結晶欠陥を低減でき、後述するMOSトランジスタの特性を改善できる。なお、ノルマルスキー位相差顕微鏡や電子顕微鏡(SEM)での分析で、チャネル用単結晶Si層6の表面においては、ボイド8やミスフィット界面から延伸する貫通転位9eはほぼ無視しうる程度であることが確認できた。
【0068】
第1SiGe層5aの上に形成した歪み状態のチャネル用単結晶Si層6aをチャネル領域6acとして半導体装置としてのMOSトランジスタを作製する(図3(f))。MOSトランジスタの作製プロセスは、一般的なMOSトランジスタの作製プロセスを利用した。素子分離領域10、ゲート絶縁膜11、ゲート電極12、ソース領域13、ドレイン領域14を形成し、ゲート電極12に対応する歪み状態のチャネル用単結晶Si層6aをチャネル領域6acとして利用する。
【0069】
作製したMOSトランジスタ(Nチャネル)を用いてキャリアの移動度を評価したところ、SiGe層を用いない通常のSi基板型のMOSトランジスタ(Nチャネル)に比較して、約80%の電子の移動度向上が確認された。この移動度向上効果は、多孔質Si層2の有無によらず、同様に確認できた。しかし、水素イオン注入量が1.0×101 6 /cmより減少した場合には、多孔質Si層2の有無による相違があった。具体的には、多孔質Si層2層を用いない条件で作製したMOSトランジスタ(Nチャネル)では、水素イオン注入量の低減に伴ってMOSトランジスタ(Nチャネル)の電子の移動度向上率が低下したが、多孔質Si層2を採用したMOSトランジスタ(Nチャネル)では、水素イオン注入量を0.3×101 6 /cm2 に低減するまで、電子の移動度向上率の低下は見られなかった。
【0070】
一方、MOSトランジスタの接合リーク電流は、水素イオン注入量の低減に伴って単純に低下する傾向が確認されることから、注入水素イオン7に起因した結晶欠陥9(転位線9a及び転位ループ/積層欠陥9b)がMOSトランジスタの接合リーク電流の原因であることが示唆される。多孔質Si層2を採用しないMOSトランジスタでは、1.0×101 6 /cmの水素イオン注入量で作製した場合の接合リーク電流は、V=2.5Vでおよそ10μA/cm程度であったが、多孔質Si層2を採用して水素イオン注入量を0.3×101 6 /cmに低減した場合の接合リーク電流は、1μA/cmを下回る電流値が得られており、多孔質Si層2に伴う水素イオン注入量の低減による接合リーク電流の低減効果が得られた。
【0071】
<実施の形態2>
図4乃至図6は本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造過程を説明する断面図である。なお、各図における枝番号(a〜e)は図4乃至図6を通して付している。実施の形態1はSiGe層を1層(1回の成長工程)としたものであるのに対し、実施の形態2はSiGe層を複数層(2回の成長工程)としたものである。実施の形態1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
実施の形態1(図1(a)(b))と同様にして、Si基板1の表面に、孔部2aを有する多孔質Si層2を形成し、多孔質Si層2の表面に第1単結晶Si層3を形成し、さらに第1単結晶Si層3の上に第2単結晶Si層4をエピタキシャル成長により堆積形成する。
【0073】
次に、実施の形態1(図1(c))とほぼ同様にして、第2単結晶Si層4の上に、第1SiGe層25、第1緩衝用単結晶Si層26を順次エピタキシャル成長により堆積形成する(図4(a))。なお、第1SiGe層25は実施の形態1と同様に歪みを内包する歪み状態(臨界膜厚以下の膜厚)となるように形成する。第1SiGe層25の堆積温度は制御性等を考慮して700℃以下とすることが望ましい。また、第1緩衝用単結晶Si層26は第1SiGe層25と同様に歪みを内包する歪み状態となるように形成する。
【0074】
ここでは実施例として第1単結晶Si層3を50nm、第2単結晶Si層4を5nm、第1SiGe層25を150nm、第1緩衝用単結晶Si層26を3〜8nm程度堆積した。第1SiGe層5は、Ge濃度を30原子%と固定したが、実施の形態1の場合と同様に濃度勾配を持たせても良く、後述する第2SiGe層28も含め、いわゆるBOX型(濃度勾配なし)、GRADED型(濃度勾配あり)のいずれとしても良い。第1緩衝用単結晶Si層26を3〜8nm程度と薄く形成するのは、第1緩衝用単結晶Si層26自体に緩和による貫通転位を発生させないために、歪み状態を内包することが必要だからである。また、第2単結晶Si層4は実施の形態1の場合と同様に省略することができる。
【0075】
次に、実施の形態1(図2(d))と同様に水素イオンのイオン注入を行う(図4(b))。ここでは実施例として水素イオンをイオン注入エネルギ19keVでイオン注入した。このイオン注入条件では、平均注入飛程Rpは、歪みを内包する第1SiGe層25と第2単結晶Si層4との界面(ミスフィット界面)からSi基板1側へ深さ70nmの位置になる。つまり、注入水素イオン7は5nmの第2単結晶Si層4、50nmの第1単結晶Si層3を通過し、第1単結晶Si層3と多孔質Si層2との界面から深さ15nmの多孔質Si層2の層内で停止する。なお、注入条件決定の際の考え方(平均注入飛程Rp、つまり注入エネルギの設定範囲、イオン注入の作用効果等)は実施の形態1と同様である。
【0076】
イオン注入後、実施の形態1(図2(e))と同様に、アルゴン等の不活性雰囲気下、あるいは水素雰囲気下で例えば、800℃、10分のアニール処理を行い、イオン注入の注入飛程(Rp)近傍に、2次結晶欠陥を発生させる。つまり、イオン注入された注入水素イオン7に起因するボイド8及び結晶欠陥9(水素ボイド8から成長した転移線9a、貫通転位9e、転移線9aがさらに延伸した貫通転位9g、転移ループ/積層欠陥9f)を発生させる(図5(c))。なお、孔部2aから成長する結晶欠陥(転位線9c、転位ループ/積層欠陥9d)は、実施の形態1と同様であり図示及び説明は省略する。第1SiGe層25aがGeの濃度勾配を待たない場合には、転位線9aは第1SiGe層25aと第2単結晶Si層4とのミスフィット界面で終端(転位線9a)するか、あるいはほとんどの場合、第1SiGe層25aの膜中を成長して貫通転位9e、9gとなる。なお、第1SiGe層25aの膜中でループとなって終端されるような転位ループ/積層欠陥9fは、Geが濃度勾配を待たないことから破線で示すように極めて少ない。貫通転位9e、9gは、多くの場合、第1緩衝用単結晶Si層26と第1SiGe層25aとの界面において、すべり転位が生じることにより終端する。
【0077】
アニール処理により、実施の形態1と同様、水素ボイド8及び孔部2aから第1SiGe層25に作用する被圧縮応力は、2次結晶欠陥(ボイド8及び結晶欠陥9)により開放される。つまり、2次結晶欠陥により第1SiGe層25の被圧縮応力(歪みイオン注入エネルギ)は開放され、第1SiGe層25は歪みが緩和された緩和状態の第1SiGe層25aとなる(図5(c))。
【0078】
次に、第1緩衝用単結晶Si層26の上に、第2緩衝用単結晶Si層27、第2SiGe層28、チャネル用単結晶Si層29を順次エピタキシャル成長により堆積形成する(図5(d))。第1緩衝用単結晶Si層26が歪み状態のときは、第2緩衝用単結晶Si層27も歪みを内包する歪み状態で堆積される。さらに、第2緩衝用単結晶Si層27が歪みを内包する歪み状態であると、続いて堆積される第2SiGe層28を緩和状態で堆積することができる。なお、第2SiGe層28は、第1SiGe層5と同様、堆積温度は制御性等を考慮して700℃以下とすることが好ましい。
【0079】
第1緩衝用単結晶Si層26と第2緩衝用単結晶Si層27との積層構造の膜厚(積層膜厚つまり合計膜厚)が臨界膜厚を越えた場合は、第1緩衝用単結晶Si層26及び第2緩衝用単結晶Si層27は歪み状態が崩れて、緩和する。その結果、第1緩衝用単結晶Si層26及び第2緩衝用単結晶Si層27の膜中にも貫通転位(貫通転位9a、9gが延長した形態のもの)が成長し、第2SiGe層28を十分な緩和状態とすることはできない。
【0080】
したがって、第2SiGe層28の緩和状態を保持するために、第1緩衝用単結晶Si層26及び第2緩衝用単結晶Si層27の堆積は、その積層膜厚が臨界膜厚を越えない条件(堆積温度)のもとで行う必要がある。検討した結果、例えば、510℃の堆積温度では、第1緩衝用単結晶Si層26と第2緩衝用単結晶Si層27の積層膜厚20nmまでは歪み状態が保持されることを確認できた。例えば、第1緩衝用単結晶Si層26を8nm程度堆積した場合には、第2緩衝用単結晶Si層27の膜厚は12nmまでであれば歪み状態を保持できる。
【0081】
第1緩衝用単結晶Si層26と第2緩衝用単結晶Si層27との積層膜厚を臨界膜厚以下にしてこれらの歪み状態を保持することにより、第1SiGe層25aの膜中を延伸する結晶欠陥9(貫通転位9e、9g、転位ループ/積層欠陥9f)がさらに延伸して成長することを抑制、停止できる。つまり、結晶欠陥9が第1緩衝用単結晶Si層26、第2緩衝用単結晶Si層27により停止させられることから、第2SiGe層28は結晶欠陥のない良好な緩和状態のSiGe層となる。また、SiGe層を第1SiGe層25及び第2SiGe層28の2層構造とすることにより、第2SiGe層28においては、臨界膜厚の制約を無くすことができ、Ge濃度を増加させて、さらに電子移動度を向上させることができる。また、後述するMOSトランジスタのソース領域13、ドレイン領域14の接合深さを大きくする必要がある場合には第2SiGe層28の膜厚を大きくすることにより対応でき、MOSトランジスタ構造の設計自由度が大きくなる。ここでは実施例として、第2SiGe層28を400nm程度堆積した。
【0082】
なお、第2緩衝用単結晶Si層27は、その形成を省略することができるが、第1緩衝用単結晶Si層26との積層構造とすることが好ましい。つまり、第2SiGe層28は、第1緩衝用単結晶Si層26の上に直接堆積するより、第1緩衝用単結晶Si層26の上に第2緩衝用単結晶Si層27を堆積してから堆積した方が、結晶欠陥の少ないSiGe層とすることができる。理由は、堆積界面に残存する汚染物質(例えば、炭素、重金属等。特に酸素の場合は影響が大きい。)に対して、Siエピタキシャル成長層は鈍感であるが、SiGeエピタキシャル成長層は敏感であり、Siエピタキシャル成長層を積層構造とすることにより第2緩衝用単結晶Si層27の表面の汚染物質の影響を実質的に低減でき、第2SiGe層28において、汚染物質に起因するヒロックス(Hilocks)等の結晶欠陥の発生を防止できるからである。
【0083】
第2SiGe層28の上に積層されたチャネル用単結晶Si層29は、歪み状態のチャネル領域とするために、歪み状態を保持する歪みSi層として堆積することが必要である。チャネル用単結晶Si層29は、歪み状態を保持するために堆積温度を低くして、膜厚は薄く臨界膜厚以下で形成することが必要である。例えば、チャネル用単結晶Si層29の膜厚としては5〜30nm程度の範囲の膜厚が使用できる。ここでは実施例として、堆積温度500℃、膜厚15nmとした。
【0084】
上述の様に作製した基板(図5(d))における第2SiGe層28は、実施の形態1における第1SiGe層5aと同様に、ほぼ無歪み状態のSiGe層に変換されていることが確認できた。したがって、歪みが緩和された緩和状態の第2SiGe層28に積層したチャネル用単結晶Si層29は、歪み状態を保持することができる。また、第2SiGe層28における結晶欠陥9を低減することから、チャネル用単結晶Si層29における結晶欠陥を低減でき、後述するMOSトランジスタの特性を改善できる。
【0085】
実施の形態1と同様に、第2SiGe層28の上に形成した歪み状態のチャネル用単結晶Si層29をチャネル領域29cとして半導体装置としてのMOSトランジスタを作製する(図6(e))。MOSトランジスタの作製プロセスは、一般的なMOSトランジスタの作製プロセスを利用した。素子分離領域10、ゲート絶縁膜11、ゲート電極12、ソース領域13、ドレイン領域14を形成し、ゲート電極12に対応する歪み状態のチャネル用単結晶Si層29をチャネル領域29cとして利用する。作製したMOSトランジスタ(Nチャネル)の諸特性は、実施の形態1におけるMOSトランジスタ(Nチャネル)の諸特性とほぼ同様であった。なお、実施の形態2においては、上述したように第2SiGe層28の膜厚を厚くできることから、ソース領域13、ドレイン領域14の接合深さを深くでき、接合リーク電流の低減と耐圧の向上を図ることができる。
【0086】
<比較例>
図7、図8は実施の形態2に対する比較例の製造過程を説明する断面図である。なお、各図における枝番号(a〜c)は図7、図8を通して付している。実施の形態2は第1SiGe層25(25a)と第2SiGe層28との間に第1緩衝用単結晶Si層26、第2緩衝用単結晶Si層27を設けたものであるが、比較例は第1緩衝用単結晶Si層26、第2緩衝用単結晶Si層27を設けずに、第1SiGe層25(25a)と第2SiGe層28とを直接積層したものである。実施の形態2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0087】
実施の形態2(図4(a))と同様にして、Si基板1の表面に、多孔質Si層2を形成し、多孔質Si層2の表面に第1単結晶Si層3を形成する。さらに第1単結晶Si層3の上に第2単結晶Si層4を、第2単結晶Si層4の上に第1SiGe層25をエピタキシャル成長により堆積形成する(図7(a))。例えば、第1単結晶Si層3を50nm、第2単結晶Si層4を5nm、第1SiGe層25を150nm堆積した。第1SiGe層25のGe濃度は30原子%とした。
【0088】
次に、実施の形態2(図4(b))と同様に水素イオンのイオン注入をイオン注入エネルギ19keVで行い(図7(a))、さらにアニール処理を行うことにより、第1SiGe層25を、歪み状態から歪みが緩和した緩和状態の第1SiGe層25aにする(図7(b))。なお、イオン注入は第1緩衝用単結晶Si層26を設けずに行った。このときのイオン注入条件では、平均注入飛程Rpは、歪みを内包する第1SiGe層25と第2単結晶Si層4との界面(ミスフィット界面)からSi基板1側へ深さ70nm程度の位置になる。つまり、注入水素イオン7は5nmの第2単結晶Si層4、50nmの第1単結晶Si層3を通過し、第1単結晶Si層3と多孔質Si層2との界面から深さ15nm程度の多孔質Si層2の層内で停止する。
【0089】
イオン注入後、実施の形態2(図5(c))と同様に、アルゴン等の不活性雰囲気下で例えば、800℃、10分のアニール処理を行い、注入飛程(Rp)近傍に、結晶欠陥を発生させる。つまり、イオン注入された注入水素イオン7に起因するボイド8、及び結晶欠陥9(水素ボイド8から成長した転移線9a、貫通転位9e、転移線9aがさらに延伸した貫通転位9g、転位ループ/積層欠陥9f)を発生させる(図7(b))。なお、孔部2aから成長する結晶欠陥(転位線9c、転位ループ/積層欠陥9d)は、実施の形態1と同様であり図示及び説明は省略する。
【0090】
アニール処理により、実施の形態2と同様、水素ボイド8及び孔部2aから第1SiGe層25に作用する被圧縮応力は、2次結晶欠陥(結晶欠陥9)により開放される。つまり、結晶欠陥9により第1SiGe層25の被圧縮応力は開放され、第1SiGe層25は歪みが緩和された緩和状態の第1SiGe層25aとなる(図7(b))。なお、第1SiGe層25aの膜中には結晶欠陥9として貫通転位9e、9g、転位ループ/積層欠陥9fが成長する。
【0091】
次に、第1SiGe層25aの上に、第2SiGe層28、チャネル用単結晶Si層29を順次エピタキシャル成長により堆積形成する(図8(c))。第1SiGe層25aは既に緩和状態となっていることから、第2SiGe層28は膜厚の制約はない。チャネル用単結晶Si層29は歪み状態のチャネル領域とするために、歪み状態を保持する必要があり、臨界膜厚の制約がある。第2SiGe層28を400nm、チャネル用単結晶Si層29を堆積温度500℃で20nm堆積した。第2SiGe層28のGe濃度は30原子%とした。
【0092】
第1SiGe層25(25a)と第2SiGe層28とを直接積層した構造とした場合には、第1SiGe層25aの表面まで延伸した貫通転位9e、9gが起点となり、第2SiGe層28の膜中へ貫通転位9ea、9gaがさらに延伸して成長する(図8(c))。第2SiGe層28には、MOSトランジスタの接合部(ソース領域13、ドレイン領域14)が形成されることから、貫通転位9ea、9gaが接合部に存在すると接合リーク電流が増加する原因となる。
【0093】
【発明の効果】
以上に詳述した如く、本発明に係る半導体装置及び半導体装置製造方法によれば、シリコン基板の表面に多孔質シリコン層を形成し、多孔質シリコン層から多孔質シリコン層の表面に形成した第1単結晶シリコン層及び第2単結晶シリコン層までの領域に結晶欠陥を導入することにより、第1単結晶シリコン層、第2単結晶シリコン層の上部に積層して形成した第1シリコンゲルマニウム層を結晶欠陥の少ない緩和状態にできるので、第1シリコンゲルマニウム層の上部に積層して形成した歪みシリコン層を結晶欠陥の少ない歪みチャネル領域とするMOSトランジスタの電子移動度の向上、さらには接合リーク電流の低減を実現できる。
【0094】
本発明に係る半導体装置及び半導体装置製造方法によれば、シリコン基板の表面に形成された多孔質シリコン層、多孔質シリコン層の表面に第1単結晶シリコン層及び第2単結晶シリコン層を形成し、さらに第1単結晶シリコン層、第2単結晶シリコン層の上部に積層して形成した第1シリコンゲルマニウム層と第2シリコンゲルマニウム層との層間に第1緩衝用単結晶シリコン層、第2緩衝用単結晶シリコン層を堆積することにより、第2シリコンゲルマニウム層を結晶欠陥の少ない緩和状態にできるので、第2シリコンゲルマニウム層の上部に積層して形成した歪みシリコン層を結晶欠陥の少ない歪みチャネル領域とするMOSトランジスタの電子移動度の向上、さらには接合リーク電流の低減を実現できる。
【0095】
本発明に係る半導体装置及び半導体装置製造方法によれば、多孔質シリコン層を形成するという簡単なプロセス変更及び基板構造の変更により、ウエーハの処理能力が低下するという問題もなく、結晶欠陥の少ないシリコンゲルマニウム層を形成でき、その上に積層して形成した歪みシリコン層を結晶欠陥の少ない高品質の歪みチャネル領域とするMOSトランジスタの電子移動度の向上、さらには接合リーク電流の低減を実現できる。また、本発明により実現できるMOSトランジスタは、従来のバルクデバイス(MOSトランジスタ)の設計資産をそのまま使用でき、低電圧動作、高速動作、低消費電力の半導体装置を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造過程を説明する断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造過程を説明する断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造過程を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造過程を説明する断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造過程を説明する断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造過程を説明する断面図である。
【図7】実施の形態2に対する比較例の製造過程を説明する断面図である。
【図8】実施の形態2に対する比較例の製造過程を説明する断面図である。
【図9】歪みSi層を有する従来例1に係る半導体装置の断面図である。
【図10】歪みSi層を有する従来例2に係る半導体装置の製造過程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板(Si基板)
2 多孔質シリコン層(多孔質Si層)
3 第1単結晶シリコン層(第1単結晶Si層)
4 第2単結晶シリコン層(第2単結晶Si層)
5、5a、25、25a 第1シリコンゲルマニウム層(第1SiGe層)
6、6a、29 チャネル用単結晶シリコン層(チャネル用単結晶Si層)
6ac、29c チャネル領域
7 注入水素イオン
8 ボイド
9 結晶欠陥
10 素子分離領域
11 ゲート絶縁膜
12 ゲート電極
13 ソース領域
14 ドレイン領域
26 第1緩衝用単結晶シリコン層(第1緩衝用単結晶Si層)
27 第2緩衝用単結晶シリコン層(第2緩衝用単結晶Si層)
28 第2シリコンゲルマニウム層(第2SiGe層)

Claims (25)

  1. シリコンゲルマニウム層の上に形成した歪み状態の単結晶シリコン層をトランジスタのチャネル領域とする半導体装置において、
    シリコン基板の表面に形成された多孔質シリコン層と、多孔質シリコン層の表面に形成された第1単結晶シリコン層と、第1単結晶シリコン層に積層された歪み緩和状態の第1シリコンゲルマニウム層と、第1シリコンゲルマニウム層に積層されてチャネル領域となる歪み状態のチャネル用単結晶シリコン層と、
    を備えることを特徴とする半導体装置。
  2. 第1シリコンゲルマニウム層はゲルマニウムの濃度勾配を有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  3. シリコンゲルマニウム層の上に形成した歪み状態の単結晶シリコン層をトランジスタのチャネル領域とする半導体装置において、
    シリコン基板の表面に形成された多孔質シリコン層と、多孔質シリコン層の表面に形成された第1単結晶シリコン層と、第1単結晶シリコン層に積層された歪み緩和状態の第1シリコンゲルマニウム層と、第1シリコンゲルマニウム層に積層された第1緩衝用単結晶シリコン層と、第1緩衝用単結晶シリコン層に積層された歪み緩和状態の第2シリコンゲルマニウム層と、第2シリコンゲルマニウム層に積層された歪み状態のチャネル用単結晶シリコン層と、
    を備えることを特徴とする半導体装置。
  4. 第1緩衝用単結晶シリコン層及び第2シリコンゲルマニウム層の間に積層された第2緩衝用単結晶シリコン層を備えることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
  5. 第1単結晶シリコン層及び第1シリコンゲルマニウム層の間に積層された第2単結晶シリコン層を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
  6. 第1単結晶シリコン層の膜厚又は第1単結晶シリコン層及び第2単結晶シリコン層の積層膜厚は5nm〜190nmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
  7. 第1シリコンゲルマニウム層の膜厚は10nm〜500nmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
  8. 第1シリコンゲルマニウム層又は第2シリコンゲルマニウム層のゲルマニウム濃度は10〜50原子%であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置。
  9. シリコンゲルマニウム層の上に形成した歪み状態の単結晶シリコン層をチャネル領域とするトランジスタを形成する半導体装置製造方法において、
    シリコン基板表面に多孔質シリコン層を形成する工程と、水素アニール処理により多孔質シリコンの表面を第1単結晶シリコン層に変換する工程と、第1単結晶シリコン層の上に、第2単結晶シリコン層及び第1シリコンゲルマニウム層を順次エピタキシャル成長させる工程と、第1シリコンゲルマニウム層の上に、チャネル用単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる工程と、イオン注入及びイオン注入後のアニール処理により、第1単結晶シリコン層内、第2単結晶シリコン層内、または多孔質シリコン層内に結晶欠陥を導入する工程と、
    を備えることを特徴とする半導体装置製造方法。
  10. 第1シリコンゲルマニウム層はゲルマニウムの濃度勾配を有して形成されたことを特徴とする請求項9記載の半導体装置製造方法。
  11. シリコンゲルマニウム層の上に形成した歪み状態の単結晶シリコン層をチャネル領域とするトランジスタを形成する半導体装置製造方法において、
    シリコン基板表面に多孔質シリコン層を形成する工程と、水素アニール処理により多孔質シリコンの表面を第1単結晶シリコン層に変換する工程と、第1単結晶シリコン層の上に、第2単結晶シリコン層、第1シリコンゲルマニウム層、及び第1緩衝用単結晶シリコン層を順次エピタキシャル成長させる工程と、イオン注入及びイオン注入後のアニール処理により、第1単結晶シリコン層内、第2単結晶シリコン層内、または多孔質シリコン層内に結晶欠陥を導入する工程と、第1緩衝用単結晶シリコン層の上に、第2緩衝用単結晶シリコン層、第2シリコンゲルマニウム層、及びチャネル用単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる工程と、
    を備えることを特徴とする半導体装置製造方法。
  12. 第2緩衝用単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる工程を省いたことを特徴とする請求項11記載の半導体装置製造方法。
  13. 第2シリコンゲルマニウム層は歪み緩和状態の層としてエピタキシャル成長させることを特徴とする請求項11又は12記載の半導体装置製造方法。
  14. チャネル用単結晶シリコン層は歪み状態の層としてエピタキシャル成長させることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  15. 第2単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる工程を省いたことを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  16. 第1単結晶シリコン層の膜厚又は第1単結晶シリコン層及び第2単結晶シリコン層の積層膜厚を5nm〜190nmとしたことを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  17. 第1シリコンゲルマニウム層は臨界膜厚以下の膜厚に形成されることを特徴とする請求項9乃至16のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  18. 第1シリコンゲルマニウム層の膜厚は10nm〜500nmであることを特徴とする請求項17記載の半導体装置製造方法。
  19. 第1シリコンゲルマニウム層又は第2シリコンゲルマニウム層のゲルマニウム濃度は10〜50原子%であることを特徴とする請求項9乃至18のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  20. 第1シリコンゲルマニウム層又は第2シリコンゲルマニウム層をエピタキシャル成長させる際の成長温度は700℃以下であることを特徴とする請求項9乃至19のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  21. イオン注入に用いるイオン種は水素又はヘリウムであることを特徴とする請求項9乃至20のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  22. イオン注入の平均注入飛程は多孔質シリコン層、第1単結晶シリコン層、又は第2単結晶シリコン層のいずれかの層内にあることを特徴とする請求項9乃至21のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  23. イオン注入は複数回に分けて行われることを特徴とする請求項9乃至22のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  24. イオン注入におけるイオン注入量は0.3〜3×101 6 /cm2 の範囲から選択された値とすることを特徴とする請求項9乃至23のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
  25. イオン注入後のアニール処理における温度は600℃〜950℃の範囲内とすることを特徴とする請求項9乃至24のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
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