JP2003536362A - 振動を絶縁して電動モータを保持する装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、第１ケーシング部分（１０）と第２ケーシング部分（５４）を備え、前記第１ケーシング部分（１０）が、電動モータ（２０）の少なくとも１つの磁極リング（２２）と複数の磁石（２４）とを包囲しておりかつ前記電動モータ（２０）のモータ軸（１８）を挿通させる少なくとも１つの開口（１４，１６）を有しており、前記第２ケーシング部分（５４）が、例えば自動車用−暖房装置及び／又はエアコンディショナの支持エレメントに前記電動モータ（２０）を固定するためのモータフランジとして構成されておりかつ前記第１ケーシング部分（１０）を前記モータ軸（１８）の軸方向で少なくとも部分的に包囲している形式の、振動を絶縁して電動モータ（２０）、特に送風機用電動モータを保持する装置に関する。本発明の提案するところは、第１ケーシング部分（１０）の外周壁（２６）に、半径方向に延びる複数の扁平なプラスチックスポーク（２８）が設けられており、該プラスチックスポークが、第２ケーシング部分（５４）の、半径方向及び軸方向に延びる対応したレセス（５７）内に係合しており、かつ、前記プラスチックスポークの半径方向外端部（３２）の領域に、前記の第２ケーシング部分（５４）に固定するための結合手段（３６）を有している点にある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 技術分野： 本発明は、特許請求の範囲の独立請求項に発明の上位概念として規定したよう
に、第１ケーシング部分と第２ケーシング部分を備え、前記第１ケーシング部分
が、電動モータの少なくとも１つの磁極リングと複数の磁石とを包囲しておりか
つ前記電動モータのモータ軸を挿通させる少なくとも１つの開口を有しており、
前記第２ケーシング部分が、例えば自動車用−暖房装置及び／又はエアコンディ
ショナの支持エレメントに前記電動モータを固定するためのモータフランジとし
て構成されておりかつ前記第１ケーシング部分を前記モータ軸の軸方向で少なく
とも部分的に包囲している形式の、振動を絶縁して電動モータ、特に送風機用電
動モータを保持する装置に関する。

【０００２】 背景技術： 例えば車両で使用される暖房装置及びエアコンディショナ用の送風機モータは
、例えば送風機ユニットのモータの固体伝導音が車体に、ひいては車両の内室へ
伝達するのを減少させるために、概ね車両に対して振動技術的に減結合されてい
る。

【０００３】 このようなモータのための慣用の固定法によれば、モータ全体がプラスチック
製ケーシング又は金属製ケーシング内に嵌め込まれ、該ケーシングには、エアコ
ンディショナと結合するためのフランジが設けられている。通常は、適当に成形
されたゴムエレメントの形でゴムが、モータとモータケーシングとの間に又はフ
ランジ内に嵌め込まれ、これによってエアコンディショナ又は車体の励振が減衰
され、かつ車両内室のドライバ又は同乗者を煩わす騒音が抑制される。

【０００４】 直流モータの主振動源は整流にある。この整流は、モータの運転中に電機子の
銅巻線が電流を誘導する場合に発生する。電機子軸の各回転中に電流は各方向に
モータの現存巻線を通って導かれる。巻線内を導かれる電流は、永久磁石磁界の
影響を受けて、トルクインパルスとして伝送される反動を発生する。二乗された
巻線数は、回転数率を考慮すれば、整流周波数、ひいてはモータから伝達する単
位時間当りのトルクインパルス数を生じる。

【０００５】 従って整流は、トルクインパルスのばらつき、もしくはトルクインパルスの変
化に相応して、ねじり振動を、暖房もしくはエアコンディショナ用送風装置へ伝
達する。ゴムもしくは適当なゴム製の減結合エレメントがフランジとモータケー
シングとの間に嵌め込まれる場合、暖房もしくはエアコンディショナ用送風装置
へのねじり振動インパルスの伝達を小さくすることが保証される。ゴムは、暖房
装置及びエアコンディショナにおける増強振動もしくは増強振動の侵入を阻止し
、ひいては構成部品間の部分的な機械的減結合を生ぜしめる機械的なフィルタで
ある。

【０００６】 実際の使用において、前記の振動インパルスを減衰するために、ケーシングフ
ランジとモータケーシングとの間、もしくはモータとモータケーシングとの間に
ゴムエレメントもしくはゴム製減結合エレメントを使用する実施形態が若干公知
になっている。

【０００７】 例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第４３ ３４ １２４号明細書には、電動
モータ取付け装置に、特に低振動効果、ひいては騒音減衰効果を得させるために
、前記電動モータ取付け装置の内壁と、該内壁に対面したモータケーシングの外
壁との間に少なくとも１つの弾性的な減衰エレメントを配置して、前記の電動モ
ータ取付け装置とモータケーシングとの相互に向き合った壁に前記減衰エレメン
トを支持することが開示されている。

【０００８】 前挙のドイツ連邦共和国特許出願公開第４３ ３４ １２４号明細書に記載の装
置の有利な１実施形態において適当なゴムエレメントとして成形された、この弾
性的な減衰エレメントは、組付けが煩雑で材料費が嵩み、このような装置のコス
トを必要以上に高めることになる。特にゴムエレメントもしくはゴム製の減衰エ
レメントは、産業生産の組立製造ラインにとって１つの問題点となる。それとい
うのは該組立製造ラインは、サイクル時間のかかる操作プロセスによってしか、
相応の装置に組込むことができないからである。

【０００９】 米国特許第４，０６３，０６０号明細書に基づいて公知になっている電動モー
タ用の保持装置では、３つの捩れフレキシブルな板ばね状の鋼製保持腕が設けら
れており、該鋼製保持腕は、等しい周角度だけ相互にずらされて電動モータと取
付けケーシングとの間に放射状に張られており、かつ前記の各鋼製保持腕の一端
が、弾性的なクッションを介して、取付けケーシングに固定結合された入口カラ
ーに接合されている。

【００１０】 前掲の米国特許第４，０６３，０６０号明細書の電動モータが同一平面におい
て三点懸架され、かつ捩れ方向での鋼製保持腕のばね定数が小さいことによって
、この電動モータの振動及び傾倒運動は比較的大であり、弾性的なエレメント、
特に弾性的なクッションに剪断応力を惹起し、該剪断応力は急速な材料疲労及び
破損の要因と成る。従ってこの公知の保持装置の耐用寿命は著しく局限されてお
り、かつ、弾性的なエレメントが、走行路の衝撃によって外部から電動モータに
惹起される振動も吸収せねばならないような自動車において使用するには不充分
である。

【００１１】 発明の開示： 振動を絶縁して電動モータを保持する本発明の装置の構成手段は、独立請求項
の特徴部に記載したように、第１ケーシング部分の外周壁に、半径方向に延びる
複数の扁平なプラスチックスポークが設けられており、該プラスチックスポーク
が、第２ケーシング部分の、半径方向及び軸方向に延びる対応したレセス内に係
合しており、かつ、前記プラスチックスポークの半径方向外端部の領域に、前記
の第２ケーシング部分に固定するための結合手段を有している点にある。この構
成手段を有する本発明の装置は、従来技術に対比して、振動を絶縁するエレメン
トがプラスチックスポークであり、該プラスチックスポークが第１に、電動モー
タを車両内に固定するためのモータフランジとして同時に役立つ第２ケーシング
部分から電動モータを振動技術的に減結合するという利点を有している。第２に
本発明の振動を絶縁するプラスチックスポークは、両ケーシング部分（つまりモ
ータホルダーとモータフランジと）を互いに結合する役目を付加的に果たしてい
る。

【００１２】 本発明のプラスチックスポークはその機能の点から見れば、電動モータの有害
なトルクインパルスを暖房装置・エアコンディショナの送風装置から減結合する
機械的なフィルタを形成することになるので、該送風装置への振動伝達が少なく
、かつ騒音レベルも低下される。この構成によって得られる利点は、発生振動を
減衰するためにゴム又はゴム製エレメントを使用する必要なしに、プラスチック
スポークがばねエレメントとして作用することである。

【００１３】 本発明の装置の有利な実施形態は、従属請求項に記載した構成手段に基づいて
明らかである。

【００１４】 本発明の装置の有利な実施形態では両ケーシング部はプラスチックから成って
いる。該実施形態によって、電動モータを保持する装置の重量を著しく削減する
ことが可能になる。特に両ケーシング部は射出成形法で製造されるので、付加的
な構成要素および支持エレメントをケーシングに簡単に構成することが可能であ
る。このようにして例えばモータ軸用軸受を射出成形時に直接埋込むことも可能
であり、或いはブラシ保持器又は対応したチョークコイルをモータホルダーに直
接一体成形することも可能である。またモータケーシングを直接プラスチックで
形成することも可能である。

【００１５】 従って減結合エレメントを含めて本発明の装置全体をほぼ同一の材料から製造
することが可能であり、その結果、このようなモータ保持装置の製造プロセスが
著しく単純化される。

【００１６】 簡単に実現することのできる特に有利な実施形態は、振動を絶縁するプラスチ
ックスポークが、装置の第１ケーシング部分に直接射出成形され、従ってこの第
１ケーシング部分と一体成形されている場合に得られる。従って付加的な結合手
段を設ける必要や、異種材料同士間の、問題を孕んだ移り目に苦慮する必要も無
くなる。

【００１７】 プラスチックスポークを扁平面状に形成した場合には、プラスチックスポーク
の優れた振動絶縁作用が得られる。例えば、電動モータからの半径方向距離の増
大に伴ってスポーク面の軸方向拡がり（寸法）が小さくなるように形成した台形
状のプラスチックスポークは、著しく優れた減衰特性を示す。

【００１８】 本発明による振動絶縁性のモータホルダーの振動減衰効果は、個別的には例え
ばプラスチックスポークの本数及び正確な形状付与によって、並びにプラスチッ
クスポークの肉厚、高さ、半径方向長並びに台形円錐率によって変化させること
ができ、かつ種々のモータ型式の要件及び使用目的に適合することができる。例
えばプラスチックスポークの最適な本数は３〜６本のオーダー範囲にある。それ
というのはこの本数のプラスチックスポークは、例えば電動モータの磁極リング
及び磁石を内部に固定した第１ケーシング部分の全周にわたって均等に配分され
ることになるからである。

【００１９】 プラスチックスポークがその横方向で、つまりモータ軸の軸方向で、軟性に構
成された場合には、捩り方向のトルクインパルス、振動衝撃の減結合を著しく改
善することが可能になり、従って暖房装置及びエアコンディショナへの、もしく
は車両車体への前記トルクインパルスの侵入が阻止される。その場合プラスチッ
クスポークの横方向曲げ剛さは、電動モータが低周波数の回転数で回転する場合
に、捩り方向のトルクインパルスが前記プラスチックスポークによって、モータ
フランジ、その他の関連部品に対して減結合されるように選ばれる。

【００２０】 プラスチックスポークが、電動モータから離反した方の各半径方向端部に付加
的な減衰エレメントを有し、該減衰エレメントが、前記プラスチックスポークの
半径方向に対して実質的に直角に位置している場合には、本発明の装置の更なる
有利な実施形態が得られる。

【００２１】 プラスチックスポーク端部のこの第２の減衰エレメントを相応に構成すること
によって、スポークエレメントの総減衰特性にプラスの影響を及ぼすことが可能
である。

【００２２】 半径方向のスポーク主方向に対して直角に位置する前記の比較的小さな減衰エ
レメントもしくはばねエレメントは、比較的高い周波数での励振を付加的に減衰
させるように働く。本発明のモータケーシングのフィルタ作用は、このようにし
て不都合な振動の比較的広い周波数帯域に拡張される。前記ばねエレメントを同
じくプラスチックで形成する場合には、該ばねエレメントは、半径方向スポーク
エレメント及び第１ケーシング部分と一緒に直接成形されるので、材料のミック
スが避けられ、従って製造プロセスが著しく単純化されることになる。

【００２３】 前記の付加的な減衰エレメントの減衰特性、ひいては本発明の装置全体の減衰
特性が、正確なサイズと正確な形状を介して最適化される。前記第２の減衰エレ
メントが、プラスチックスポークの、電動モータから離反した方の半径方向端部
の少なくとも軸方向全長にわたって延びている場合には、前記の第２の減衰エレ
メントの有利な成形が得られるので、両減衰エレメントの均等な移り目が得られ
る。

【００２４】 このようにして同じく有利な実施形態によれば、付加的な各減衰エレメントは
、第２ケーシング部分寄りの軸方向端部に、１本もしくは複数本のピンを有する
ことが可能になり、該ピンは、第２ケーシング部分のレセス内に対応成形された
凹み内に係合することになる。このピンは第２ケーシング部分内に固定され、か
つ両ケーシング部分の結合を安定化することになるが、この固定結合にも拘わら
ず両ケーシング部分は両構成部品（両ケーシング部分）の振動技術上の所期の減
結合を保証する。付加的な減衰エレメントのピンは、例えば超音波によって第２
ケーシング部分にリベット締結することができ、この超音波法は単純にして確実
な固定法である。勿論また、例えば接着、摩擦圧接又は溶着のような、当業者に
公知のその他全ての結合態様も考えられる。

【００２５】 結合強度を更に高めるために、本発明の装置の有利な実施形態では、第１ケー
シング部分のプラスチックスポークを受容するため第２ケーシング部分内に設け
られたレセスが軸方向で、つまりモータ軸の方向で円錐形に先細になっており、
しかも前記レセスの幅が、第１ケーシング部分からの距離が増大する方向に縮小
するように設計されている。このようにしてプラスチックスポークは、第２ケー
シング部分寄りの側で第２ケーシング部分のレセス内に緊締されることになる。
これによって両ケーシング部分間の支承面が大きくなり、ひいては本発明の装置
の機械的な安定性が高められる。

【００２６】 プラスチックスポークの半径方向端部に位置する減衰エレメントがゴムエレメ
ントによって囲まれる場合には、本発明の装置の振動減衰特性の更なる改善が得
られる。前記ゴムエレメントは、第１ケーシング部分のプラスチックスポークの
減衰エレメントと、第２ケーシング部分に対応配設されたレセスの壁との間に位
置しているのが有利である。

【００２７】 本発明の装置のその他の利点は、図面並びに図面の詳細な説明に基づいて推考
することができる。

【００２８】 図面には本発明の装置の実施例が図示されている。明細書の詳細な説明、図面
及び特許請求の範囲には、多数の特徴的な構成手段がコンビネーションした形で
含まれている。当業者は、これらの特徴的な構成手段を個別に選択したり、また
更にコンビネーションした形で適宜採択することができる。

【００２９】 発明を実施するための最良の形態： 次に図面に基づいて本発明の実施例を詳説する。

【００３０】 図１には、本発明の装置１２の第１ケーシング部分１０が概略的に図示されて
いる。図１に示した実施例による第１ケーシング部分１０はほぼ円筒形の形状を
有し、かつ軸方向の両端部にそれぞれ１つの開口１４，１６を有しており、該開
口を通して装置ケーシングから電動モータ２０のモータ軸１８を導くことが可能
である。前記の開口１４，１６は、第１ケーシング部分１０の材料とは異なった
材料から成ることもできる適当なカバーによって閉鎖することが可能である。該
カバーは例えば、電動モータに所属するブラシ保持器部分或いはモータ軸用の軸
受又はその他のモータ構成部分を収容することができる。

【００３１】 第１ケーシング部分１０内には、装置１２の電動モータ２０の１つの磁極リン
グ２２並びに２つの永久磁石セグメント２４が装嵌されている。図１に図示した
２セグメント形永久磁石２４以外に、本発明の装置１２では多極磁石を勿論使用
することができる。

【００３２】 この第１ケーシング部分１０の外周壁２６には、複数本のスポーク２８（本実
施例では４本のスポーク）が装着されており、該スポークは第１ケーシング部分
の外周壁２６の表面から半径方向外向きに延びている。該スポーク２８は扁平面
状に成形されており、つまりスポーク２８の肉厚３０は、スポーク２８の半径方
向長及び軸方向長よりも著しく小さい。該スポーク２８の扁平面状の形状は、有
利な仕方で第１ケーシング部分１０の捩り振動の減結合を可能にする。それとい
うのはスポーク２８の適当な変形（トーション）が可能だからである。

【００３３】 スポークの肉厚３０の典型的な寸法は１ｍｍのオーダーにあり、これに対して
スポークの半径方向長は１オーダー分だけ高く、典型的には１〜５ｃｍのオーダ
ー範囲内にある。

【００３４】 より良く変形可能にし、ひいては振動減衰作用を一層良好にするためにプラス
チックから成るスポーク２８は、本実施例では第１ケーシング部分１０と一体的
に固定結合されており、かつその横方向拡がりでは、つまりモータ軸線の方向で
は軟質に形成されている。プラスチックスポーク２８の曲げ剛さは、モータ型式
及び適用分野に応じて、電動モータ２０が最低回転数で回転する場合に、モータ
の捩りトルクインパルスをプラスチックスポーク２８によって減衰しかつ減結合
するように選ばれる。プラスチックスポーク２８の本数は、本発明の装置１２の
諸実施例において変化することができ、図１に開示した本数に限定されるもので
はない。

【００３５】 プラスチックスポーク２８は、第１ケーシング部分１０から離反した方の半径
方向端部３２に、該プラスチックスポーク２８の半径方向に対して直角に配置さ
れた付加的な減衰エレメント３４を有している。プラスチックスポーク２８が機
械的フィルタを形成するだけでなく、前記の減衰エレメント３４は、例えば本発
明の装置を内蔵している車両車体から電動モータ２０の振動を減結合するところ
の第２の機械的フィルタを形成している。

【００３６】 プラスチックスポークが、主として捩り減結合するための機械的なばねエレメ
ントであるのに対して、プラスチックスポーク２８の半径方向端部３２に設けた
付加的な減衰エレメント３４は、発生するモータ振動の半径方向の減結合も可能
にする。減衰エレメント３４は、プラスチックスポーク２８と一体に構成するこ
とができ、或いは当業者に周知のその他の手段を介してプラスチックスポーク２
８と結合されていてもよい。減衰エレメント３４とプラスチックスポーク２８と
の特別の結合及び該プラスチックスポーク２８と本発明の装置１２の第１ケーシ
ング部分１０との特別の結合によって、本発明の装置１２がその格別の機能とし
て働く機械的フィルタの減衰特性が最適化される。

【００３７】 減衰エレメント３４の下面側には、プラスチックスポーク２８、ひいては第１
ケーシング部分１０を第２ケーシング部分５４（図５参照）と固定結合すること
のできる結合手段３６が位置している。

【００３８】 図２にはプラスチックスポーク２８が、その半径方向端部３２に装着された減
衰エレメント３４と共に、図１のＡ−Ａ断面線に沿った断面図で示されている。

【００３９】 やはり図２では、本発明の装置１２のモータ軸１８の回転軸線に相当する中心
軸線３８が示されている。

【００４０】 図２においても符号２４は、第１ケーシング部分１０内に配置された永久磁石
を表わし、また符号２２は装置１２の電動モータ２０の磁極リングを表わしてい
る。プラスチックスポーク２８の重要なパラメータと見做されねばならないもの
は、プラスチックスポーク２８の高さ４０（つまりモータ軸線方向の拡がり）、
プラスチックスポーク２８の半径方向長４２、プラスチックスポーク２８の肉厚
３０及びプラスチックスポーク２８の円錐率（つまり第１ケーシング部分１０の
外周壁２６からの半径方向距離の増大に伴って漸減するスポーク２８の高さ４０
）である。

【００４１】 前記パラメータ及びその他の若干のパラメータを介して、プラスチックスポー
ク２８の減衰特性は、特殊な適用上の要求に適合することができる。

【００４２】 図３には、本発明によるプラスチックスポーク２８の択一的な実施形態が斜視
図で示されている。図示のプラスチックスポーク２８は、第１ケーシング部分１
０と一体に成形されており、かつ、第１ケーシング部分１０の外周壁２６からの
半径方向距離が増大するに伴って高さ（つまり軸方向拡がり）が漸減する実質的
に台形状の形態を有している。

【００４３】 プラスチックスポーク２８の半径方向端部３２には、付加的な減衰エレメント
３４が、プラスチックスポーク２８の半径方向に対して実質的に垂直に、やはり
一体的に該プラスチックスポークと結合されている。減衰エレメント３４の材料
は、本発明の装置１２のフィルタ機能の減衰定数の適合を得るために、プラスチ
ックスポークの材料とは異なることができる。

【００４４】 この減衰エレメント３４は、第２ケーシング部分に対面した方の端部（図３で
見て下端部）に結合ピン４４を有し、該結合ピンは、別のケーシング部分に対す
る結合手段として役立つ。

【００４５】 第１ケーシング部分１０を本発明の装置１２の第２ケーシング部分に固定する
ための結合ピン４４は、また択一的にプラスチックスポーク２８の下面側４６に
直接形成されていてもよい。それというのはプラスチックスポーク２８の減衰エ
レメント３４は、随意選択可能な付加的な減衰要素であり、本発明のその他の実
施例ではその活用を断念することも可能だからである。

【００４６】 図４には、プラスチックスポーク２８の半径方向端部３２に付加的な減衰エレ
メント３４を備えた本発明のプラスチックスポーク２８の別の実施例が図示され
ている。図４に示した減衰エレメント３４は、第１ケーシング部分１０の周方向
で見てやや外向きに湾曲されているが、プラスチックスポーク２８の半径方向に
対して実質的に垂直に配置されている。本実施例のプラスチックスポーク２８、
もしくはその半径方向端部３２並びに該半径方向端部に接続する減衰エレメント
３４は、共通の付加的なゴムエレメント４８によって囲まれている。該ゴムエレ
メント４８はその下側５０に開口５２を有しており、第２ケーシング部分と固定
するために前記開口５２を通してプラスチックスポーク２８の各結合ピン４４を
通挿することが可能である。付加的な減衰性のゴムエレメント４８はその都度、
第１ケーシング部分１０のプラスチックスポーク２８と、該プラスチックスポー
ク２８を受容する第２ケーシング部分のレセス壁との間に位置することになる。

【００４７】 このようなゴムエレメント４８は、電動モータ２０の振動を減結合する第３の
フィルタに相当し、該フィルタはその作用の点で、プラスチックスポーク２８が
その半径方向端部３２に設けた減衰エレメント３４と共に形成する機械的な振動
フィルタに対して平行に配置されている。

【００４８】 図５の概略的な図面では、所属のプラスチックスポーク２８を備えた第１ケー
シング部分１０を、本発明の装置１２の第２ケーシング部分５４内に装嵌する方
式が示されている。この第２ケーシング部分５４は、モータフランジの形状に形
成されており、かつ、前記モータフランジ、ひいては本発明の装置１２全体を、
例えば車両暖房装置又はエアコンディショナの支持エレメントに固着させる装着
機構５６を保持している。

【００４９】 第１ケーシング部分１０のプラスチックスポーク２８はその場合、本発明の装
置１２の第２ケーシング部分５４のレセス５７内に位置させられる。プラスチッ
クスポーク２８の減衰エレメント３４の下面側に設けたピン状の結合手段３６を
介して、第１ケーシング部分１０は第２ケーシング部分５４と固定結合されてい
る。

【００５０】 図６には、本発明の装置１２の第１ケーシング部分１０の第２の実施例が斜視
図で示されている。斜視図の目線方向は、収容する第２ケーシング部分の方向か
ら選ばれている。本実施例では第１ケーシング部分１０は３本のプラスチックス
ポーク２８を保有しており、該プラスチックスポークの、ケーシングから離反し
た方の半径方向端部３２に、図３に図示した減衰エレメントに類似した減衰エレ
メント３４が装着されている。同じく図６から認識できるように、ブラスチック
スポーク２８の減衰エレメント３４の各下端部に、それぞれ１本の結合ピン４４
が設けられている。

【００５１】 図６に図示した本発明の装置１２の実施例の第１ケーシング部分１０内には、
磁極リング２２と２つの永久磁石セグメント２４が設けられている。同じく第１
ケーシング部分１０を通して認識できるように第１ケーシング部分１０のケーシ
ングカバー５８が設けられており、該ケーシングカバーは本実施例では第１ケー
シング部分と一体に結合されている。ケーシングカバー５８は中心開口６０を有
しており、該中心開口内には、装置１２の電動モータ２０のモータ軸１８用の軸
受６２が組込まれている。ケーシングカバー５８内に穿設されたその他の開口６
４は、モータ構成要素を通すため、並びに電動モータ２０を冷却するために役立
てられる。

【００５２】 図７には、明確を期すために図６に示した実施例が別の方向から見た斜視図で
示されている。明らかに判るように、第１ケーシング部分１０の外周壁２６に装
着された３本のプラスチックスポーク２８は、各半径方向端部３２に設けられた
付加的な減衰エレメント３４と、この第１ケーシング部分１０を別のケーシング
部分に固定するための結合ピン４４を備えている。本実施例でやはり一体に形成
されたケーシングカバー５８はその外面側に、本発明の装置１２の電動モータ２
０の構成要素のための種々の固定エレメント６６を有している。図７では例えば
電動モータ２０に給電するための２つのチョークコイル６８だけが図示されてい
るにすぎない。

【００５３】 本発明の装置１２の実施例を示した図７から同じく明確に認識できるように、
中心開口６０内には、電動モータのモータ軸１８を保持するための軸受６２が組
込まれている。

【００５４】 この第１ケーシング部分１０は、電動モータ１８を挿入する場合、モータフラ
ンジとしても役立つ第２ケーシング部分５４内へ押込まれるので、第２ケーシン
グ部分５４は第１ケーシング部分１０を半径方向で完全に包囲し、かつ軸方向で
は局部的にオーバーラップする。

【００５５】 本発明の装置１２のこの実施例の両ケーシング部分の構成形式が、図８の分解
図に例示されている。図８は、本発明の装置１２の１実施例の主要構成部分の概
観図である。モータフランジとして役立つ第２ケーシング部分５４と、ブラシ保
持器兼軸受カバーユニットとして構成された第１ケーシング部分１０との間には
、装置１２の電動モータ２０の主要構成部分が図示されている。第１ケーシング
部分１０は、電動モータ２０の１つの磁極リング２２及び２つの永久磁石セグメ
ント２４を支持している。同じく図８には、電機子７０と整流子７２とを固着し
たモータ軸１８が図示されている。所要の電気接続は、概観図のゆえに図示を省
かれているが、自ずから明らかである。電動モータ２０のモータ軸１８は、第２
ケーシング部分５４における第１軸受７４を介して、かつ（図７でも例示したよ
うに）第１ケーシング部分１０における対応した軸受７６を介して案内される。

【００５６】 モータ軸１８は、第１ケーシング部分１０を超えて突出し、かつばね皿７８及
びスラストワッシャ８０を介して送風機ファン８２と結合される。

【００５７】 図９には、組立済みの第１と第２のケーシング部分１０，５４が図示されてい
るが、但し図示例では電動モータがケーシング内に装嵌されていない。第１ケー
シング部分１０は、第２ケーシング部分５４の中央レセス８４内に嵌合しており
、その場合その軸方向終端位置では第２ケーシング部分５４によって部分的に囲
まれる。前記の中央レセス８４の直径は、装置１２の第１ケーシング部分１０が
この中央レセス８４内でなお可動であるように選ばれている。第１ケーシング部
分１０の外周壁２６におけるプラスチックスポーク２８は、第２ケーシング部分
５４の対応したレセス５７内へ整合する。第２ケーシング部分５４の前記レセス
５７は軸方向に、つまりモータ軸の方向に円錐形に先細になっているので、第１
ケーシング部分１０が嵌め込まれると、プラスチックスポーク２６の下面側４６
、つまり第２ケーシング部分５４に向いた方の端部が、レセス５７内へ緊締され
る。

【００５８】 第２ケーシング部分５４はモータフランジとして構成されており、かつ、図９
では図示を省かれているが適当な固定エレメントを介して、支持エレメント、例
えば車両車体に結合することができる。図９に示した実施例では第２ケーシング
部分５４に、本発明の装置１２の電動モータ２０の制御素子用レセス８８が設け
られている。

【００５９】 本発明の装置は、本明細書中において説明した実施例に限定されるものではな
い。

【００６０】 要するに本発明の装置は、送風機用電動モータで使用するために適しているだ
けでなく、あらゆる種類の電動モータ及び電気機械のためにも使用することがで
きる。

【００６１】 また実施例で図示した２セグメント形の永久磁石以外の電動モータを本発明の
装置で使用することも勿論可能である。

【００６２】 またプラスチックスポークと本発明の装置の第１ケーシング部分との結合、並
びに該プラスチックスポークの半径方向端部における減衰エレメントと該プラス
チックスポークとの結合は、当業者に公知の別の形式で実現することもできる。

【００６３】 本発明のプラスチックスポークの形状は、本発明の保護範囲を逸脱しない限り
、本実施例で示した実施形態から異なることができる。

【００６４】 特に本発明の装置のためには、半径方向端部に付加的な減衰エレメントを有し
ていないプラスチックスポークも当然考えられる。

【００６５】 またプラスチックスポークと本発明の装置の別のケーシング部分との結合手段
は、本明細書で説明した結合ピンの使用に限定されるものではない。この部位に
おいて別の結合可能性を使用できるのは勿論のことである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１実施例による本発明の装置の第１ケーシング部分の概略平面図である。

【図２】 図１のＡ−Ａ断面線に沿った断面図である。

【図３】 １本のプラスチックスポークの１実施例の斜視図である。

【図４】 プラスチックスポークの半径方向端部に装着された付加的なゴムエレメントを
備えたプラスチックスポークの１実施例の斜視図である。

【図５】 第１実施例による本発明の装置の、第２ケーシング部分内に挿入された第１ケ
ーシング部分の概略平面図である。

【図６】 本発明の装置の第１ケーシング部分の択一的な第２実施例の斜視図である。

【図７】 図６に示した本発明の装置の第１ケーシング部分の第２実施例の斜視図である
。

【図８】 本発明の装置の１実施例の分解斜視図である。

【図９】 第２実施例による本発明の装置の相互に差し込まれた第１ケーシング部分と第
２ケーシング部分の斜視図である。

【符号の説明】

１０ 第１ケーシング部分、 １２ 装置、 １４，１６ 開口、 １
８ モータ軸、 ２０ 電動モータ、 ２２ 磁極リング、 ２４ 永
久磁石セグメント、 ２６ 外周壁、 ２８ プラスチックスポーク、 ３
０ スポークの肉厚、 ３２ 半径方向端部、 ３４ 付加的な減衰エレ
メント、 ３６ 結合手段、 ３８ 中心軸線、 ４０ スポークの高さ
、 ４２ スポークの半径方向長、 ４４ 結合ピン、 ４６ 下面側、
４８ ゴムエレメント、 ５０ 下側、 ５２ 開口、 ５４ 第２
ケーシング部分、 ５６ 装着機構、 ５７ レセス、 ５８ ケーシン
グカバー、 ６０ 中心開口、 ６２ 軸受、 ６４ 開口、 ６６
固定エレメント、 ６８ チョークコイル、 ７０ 電機子、 ７２ 整
流子、 ７４ 第１軸受、 ７６ 軸受、 ７８ ばね皿、 ８０ ス
ラストワッシャ、 ８２ 送風機ファン、 ８４ 中央レセス、 ８８
制御素子用レセス

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＯＡ(ＢＦ ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ， ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，Ｇ Ｍ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ， ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ， ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，Ｃ Ｈ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ， ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，Ｋ Ｚ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ， ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，Ｓ Ｌ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ Ｆターム(参考） 3J048 AA01 AD05 BA01 BA02 BD01 EA07 5H605 AA04 AA08 BB05 BB09 CC03 DD24 EA08 EA09 FF06 FF08 【要約の続き】 ックスポークの半径方向外端部（３２）の領域に、前記 の第２ケーシング部分（５４）に固定するための結合手 段（３６）を有している点にある。

Claims (13)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１ケーシング部分（１０）と第２ケーシング部分（５４）
   を備え、前記第１ケーシング部分（１０）が、電動モータ（２０）の少なくとも
   １つの磁極リング（２２）と複数の磁石（２４）とを包囲しておりかつ前記電動
   モータ（２０）のモータ軸（１８）を挿通させる少なくとも１つの開口（１４，
   １６）を有しており、前記第２ケーシング部分（５４）が、例えば自動車用−暖
   房装置及び／又はエアコンディショナの支持エレメントに前記電動モータ（２０
   ）を固定するためのモータフランジとして構成されておりかつ前記第１ケーシン
   グ部分（１０）を前記モータ軸（１８）の軸方向で少なくとも部分的に包囲して
   いる形式の、振動を絶縁して電動モータ（２０）、特に送風機用電動モータを保
   持する装置において、第１ケーシング部分（１０）の外周壁（２６）に、半径方
   向に延びる複数の扁平なプラスチックスポーク（２８）が設けられており、該プ
   ラスチックスポークが、第２ケーシング部分（５４）の、半径方向及び軸方向に
   延びる対応したレセス（５７）内に係合しており、かつ、前記プラスチックスポ
   ークの半径方向外端部（３２）の領域に、前記の第２ケーシング部分（５４）に
   固定するための結合手段（３６）を有していることを特徴とする、振動を絶縁し
   て電動モータを保持する装置。
2. 【請求項２】 第１ケーシング部分（１０）と第２ケーシング部分（５４）
   がプラスチックから成っている、請求項１記載の装置。
3. 【請求項３】 プラスチックスポーク（２８）が第１ケーシング部分（１０
   ）と一体的に形成されている、請求項２記載の装置。
4. 【請求項４】 プラスチックスポーク（２８）が、電動モータ（２０）から
   の半径方向距離の増大に伴って前記プラスチックスポーク（２８）の軸方向寸法
   が小さくなるように、実質的に台形状に成形されている、請求項１から３までの
   いずれか１項記載の装置。
5. 【請求項５】 プラスチックスポーク（２８）がその横方向で、つまりモー
   タ軸（１８）の軸方向で軟性であるので、電動モータ（２０）の捩り方向のトル
   クインパルスが減衰されて第２ケーシング部分（５４）から減結合されている、
   請求項１から４までのいずれか１項記載の装置。
6. 【請求項６】 第１ケーシング部分（１０）に設けられたプラスチックスポ
   ーク（２８）の本数が少なくとも３本であり、殊に３〜６本の範囲内にある、請
   求項１から５までのいずれか１項記載の装置。
7. 【請求項７】 プラスチックスポーク（２８）が、電動モータ（２０）から
   離反した方の各半径方向端部（３２）に付加的な減衰エレメント（３４）を有し
   、該減衰エレメントが、前記プラスチックスポーク（２８）の半径方向に対して
   実質的に直角に位置している、請求項１から６までのいずれか１項記載の装置。
8. 【請求項８】 プラスチックスポーク（２８）の半径方向端部に設けた付加
   的な減衰エレメント（３４）が、同じくプラスチックから成っており、かつ前記
   プラスチックスポーク（２８）と一体的に成形されている、請求項７記載の装置
   。
9. 【請求項９】 付加的な減衰エレメント（３４）が、プラスチックスポーク
   （２８）の、電動モータから離反した方の半径方向端部（３２）の少なくとも軸
   方向全長にわたって延びている、請求項８記載の装置。
10. 【請求項１０】 付加的な各減衰エレメント（３４）が、第２ケーシング部
    分（５４）寄りの軸方向端部に、軸方向に延びる少なくとも１つの結合手段（３
    ６）、特に少なくとも１本の結合ピン（４４）を有しており、該結合ピンが、第
    ２ケーシング部分（５４）のレセス（５７）内に対応成形された凹み内に係合し
    ている、請求項７から９までのいずれか１項記載の装置。
11. 【請求項１１】 付加的な減衰エレメント（３４）の軸方向の結合手段（３
    ６）、特に結合ピン（４４）が第２ケーシング部分（５４）と固定結合、特にリ
    ベット締結されている、請求項１０記載の装置。
12. 【請求項１２】 付加的な減衰エレメント（３４）が少なくとも部分的にゴ
    ムエレメント（４８）によって囲まれており、該ゴムエレメントが、第１ケーシ
    ング部分（１０）のプラスチックスポーク（２８）の減衰エレメント（３４）と
    、第２ケーシング部分（５４）に対応配設されたレセス（５７）の壁との間に位
    置している、請求項７から１１までのいずれか１項記載の装置。
13. 【請求項１３】 第１ケーシング部分（１０）のプラスチックスポーク（２
    ８）を受容するための第２ケーシング部分（５４）のレセス（５７）が軸方向で
    円錐形に先細になっているので、第１と第２のケーシング部分（１０，５４）を
    軸方向で組合せた後に前記プラスチックスポーク（２８）が、所属のレセス（５
    ７）内へ部分的に緊締されている、請求項１から１２までのいずれか１項記載の
    装置。