JP2001198782A - 形鋼のカエリ状突起物のオンライン除去装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 形鋼の搬送装置やワイヤブラシ等の回転体の
移動装置を必要とせず、また、形鋼の曲り反りに対して
も形鋼のエッジ部に発生したカエリ状突起物を効率的に
除去することが可能な、形鋼のカエリ状突起物の除去装
置を提供する。 【解決手段】 圧延後の形鋼１のエッジ部に発生したカ
エリ状突起物２を除去するための除去装置であって、仕
上圧延機の出側に搬送ローラ８に対向して上下可動に設
けられ、形鋼の外形に合う溝を有する押さえローラ４
と、押さえローラ４に押し付け力を与える押し付け手段
５と、形鋼１のエッジ部と接触する位置に配置されたブ
ラシロール３とを備えていることを特徴とする形鋼のカ
エリ状突起物のオンライン除去装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、形鋼のエッジ部
に発生したカエリ状突起物を除去するための形鋼のカエ
リ状突起物のオンライン除去装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】山形鋼等の形鋼の製造においては、圧延
中に形鋼のエッジ部の一部がラップして薄く引き延ばさ
れることがある。その結果、図３（ａ）に示すように、
形鋼１のエッジ部Ａに、長手方向に連続したカエリ状の
突起物２が、同図（ｂ）に示すように発生する。この例
は、不等辺山形鋼におけるカエリ状の突起物２を示して
おり、長手方向に連続的または断続的に発生している。

【０００３】このようなカエリ状の突起物は、形状不良
となるばかりでなく、塗装の際、塗料の塗布の妨げとな
る。また、この突起物が薄片の状態の場合は、その上か
ら塗料が塗布できることもあるが、塗装後の使用中に剥
離し、却って塗装不良が検出できなくなることもある。

【０００４】そこで、実開昭６２−１３４６５３号公報
には、このようなカエリ状（バリ状）の突起物に回転し
ながら接触して、これを擦り落して除去するためのバリ
状突起物除去用回転体を用いた形鋼のバリ状突起物除去
装置が提案されている。この技術による装置は、形鋼ま
たは上記の回転体を形鋼の長手方向に移動するための移
動手段と、この回転体の回転駆動手段とを備えており、
形鋼の長手方向全長について、バリ状突起物を自動的に
除去できるようになっていた。回転体としては、回転式
ワイヤブラシ、回転体外周面にサンドペーパを貼り付け
たホイールペーパ、グラインダ用砥石車等が用いられて
いた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、実開昭６２−
１３４６５３号公報記載の技術のように、形鋼または回
転体を形鋼の長手方向に移動する移動手段を備えた従来
技術には次のような問題があった。

【０００６】まず、従来技術では、形鋼あるいはワイヤ
ブラシ等の回転体を、形鋼の長手方向に移動させるため
の移動装置（搬送装置）が必要である。一般に形鋼は、
長さは数１０mで、短いものでも４０mとかなり長尺であ
り、歩留まり低減等の要請からより長尺化してきてお
り、長さ１２０mの物も製造されている。そのため移動
装置による移動距離もこの形鋼の長さは必要であり、レ
ール等の移動装置が大規模なものとなる。

【０００７】形鋼を移動する場合は、回転体の前後（入
側と出側）に形鋼が収容できる長さの搬送テーブルを設
置する必要がある。従って、装置全体の長さは、形鋼の
長さの２倍以上となるため、装置が大型となり、設置場
所も広いスペースが必要になるという問題がある。

【０００８】回転体を移動する場合は、回転体の動力の
供給手段（電力ケーブル）や制御手段を、回転体に追従
して移動できるようにする必要がある。さらに、突起物
が除去されて発生するダストの処理装置も、追従して移
動させることになり、装置全体が大掛かりなものとな
る。形鋼については、ヤード等に固定しておけばよいよ
うに思われるが、その場合は形鋼をクレーン等でヤード
に搬入および搬出することになり、クレーン作業が必要
である。作業の効率化の観点からは、やはり形鋼を搬入
および搬出するための搬送テーブルが必要となる。

【０００９】また、圧延後の形鋼は、曲り等の形状不良
が発生している場合がある。この場合、水平方向の曲り
に対しては、サイドガイド（上記公報ではガイドフレー
ム）等により、形鋼のエッジ部を回転体に接触させるこ
とは一応可能である。しかし、上下方向の曲り（反り）
に対しては、サイドガイド等では形鋼のエッジ部と回転
体との接触状態を保持できないという問題があった。

【００１０】このように、従来技術の除去装置では、設
備が大掛かりとなり、設備費が増大し、設置のための広
いスペースを必要とするという問題があったばかりでな
く、形鋼の上下方向の曲り（反り）に対して、対処でき
ないという問題があった。

【００１１】この発明は、以上のような従来技術の問題
点を解決し、形鋼の搬送装置あるいはワイヤブラシ等の
回転体の移動装置を必要とせず、また、形鋼の曲り反り
に対しても形鋼のエッジ部に発生したカエリ状突起物を
効率的に除去することが可能な、形鋼のカエリ状突起物
の除去装置を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の課題は次の発明に
より解決される。それは、圧延後の形鋼のエッジ部に発
生したカエリ状突起物を除去するための除去装置であっ
て、仕上圧延機の出側に搬送ローラに対向して上下可動
に設けられ、形鋼の外形に合う溝を有する押さえローラ
と、この押さえローラに押し付け力を与える押し付け手
段と、形鋼のエッジ部と接触する位置に配置されたブラ
シロールとを備えていることを特徴とする形鋼のカエリ
状突起物のオンライン除去装置である。

【００１３】この発明は、除去装置を仕上圧延機の出側
に設置する。搬送ローラに対向して押さえローラを設
け、形鋼を搬送ローラに押し付けて、形鋼の反りによる
上下の変動を小さくしている。押さえローラの押し付け
力は、押し付け手段により与える。押し付け力は、形鋼
に圧下を加えない範囲、即ち断面の寸法変化あるいは変
形が発生する力よりは小さい力で、曲げ変形が防止でき
る程度の力とする。

【００１４】押さえローラには、処理対象となる形鋼の
外形に合わせて溝を形成してあるので、形鋼はこの溝に
より長手方向以外の方向への動きが拘束される。これに
より、形鋼が横方向（水平方向）に変動することを防止
すること、即ちセンタリングが可能となり、形鋼のエッ
ジ部にブラシロールを常に接触させることができる。な
お、形鋼のエッジ部をガイドローラにより水平方向から
拘束してもよく、形鋼のエッジ部とブラシロールの接触
状態を、より安定に保持することができる。

【００１５】このようにして、圧延後の形鋼に反りや曲
がり等の変形があっても、形鋼のエッジ部のカエリ状突
起物をブラシロールで擦り取ることができる。その結
果、必ずしも常に良好な形状とは言えない圧延後の形鋼
について、オンラインでカエリ状突起物を除去すること
が可能となる。さらに、除去工程がオンラインで行われ
ることにより、形鋼の搬送装置あるいはブラシロールの
移動装置等、大規模な装置は不要となる。またこれに伴
い、装置の入側と出側の搬送テーブル、あるいは処理中
の形鋼を設置するための広いスペースも不要となる。

【００１６】

【発明の実施の形態】図１は、この発明の装置の概略を
示す正面図である。この図は、形鋼の搬送方向から装置
を見た図であり、形鋼１のエッジ部に、ブラシロール３
が接触している状態を示している。ブラシロール３は、
ベルトを介してモータにより駆動される。ブラシロール
３の位置は、電動スクリュー等の調整手段により、形鋼
１のエッジと接触する位置に調整される。ブラシロール
の材質としては、通常の針金を埋め込んだ物でもよい
が、耐食性や摩耗強度の観点からは、ステンレス製の針
金を用いることが望ましい。

【００１７】形鋼１は、搬送ローラ８に対向して設けら
れた押さえローラ４により、搬送ローラ８との間に挟ま
れている。押さえローラ４には、形鋼１（この図では不
等辺不等厚山形鋼）の外形に合う溝が形成されており、
ここでは、山形鋼の２つの斜面において接触している。
この押さえローラ４は、電動スクリューあるいは油圧シ
リンダ等の押し付け手段５により駆動され、山形鋼の上
部に押し付け力を加えている。このようにして、形鋼１
は図の上下方向に拘束されるとともに、左右方向（横方
向）にも拘束されている。

【００１８】この例では、図１に示すように、横押さえ
ローラ９が設置されている。ブラシロールとは反対側
で、山形鋼のエッジ部と接触する位置に、横押さえロー
ラ９を設置することにより、形鋼の水平方向（進行方向
には垂直）の位置を、より確実に拘束する。

【００１９】特に、山形鋼の不等辺の度合いが大きく、
ブラシロールとは反対側の斜面が寝ている（角度が小さ
い）場合には有効である。角度が小さい斜面において
は、押さえローラによる横方向の拘束力は低下する。そ
のため、横押さえローラ９が無い場合、ブラシロールか
ら受ける反力により、山形鋼は横方向に逃げやすくな
り、形鋼のエッジ部とブラシロールの接触状態を保持で
きなくなる。横押さえローラ９により、ブラシロール３
から反力を受けても、山形鋼１が横方向に逃げることを
防止できる。

【００２０】図２は発明の装置の側面図であり、横方向
から見た図である。ここでは、押さえロール４の入側
に、入側ガイドローラ６を設けている。これにより、押
さえロール４の負荷が分散されるので、押し付け力を強
化することができ、形鋼の上下・左右方向の拘束をより
確実にすることができる。

【００２１】

【実施例】図１に示したように、発明の装置を不等辺不
等厚山形鋼に適用した。圧延後の形鋼の搬送速度は２m/
sであり、これに対して、ブラシロールの回転数は２０
００rpmとした。その結果、形鋼のエッジ部のカエリ状
突起物は完全に除去された。この場合、長さ１０mの形
鋼を５秒で処理できたことになる。

【００２２】以前の手作業で処理していた場合には、形
鋼の搬入・搬出等の前後作業およびハンドリング作業を
含めて約１時間要していたが、作業効率が大幅に改善し
ている。また、従来技術の、形鋼あるいはワイヤブラシ
等の回転体を、形鋼の長手方向に移動させる装置と比べ
ても、形鋼の搬入・搬出等の前後作業の時間に数分間要
しており、やはり作業効率が大幅に改善したと言える。

【００２３】

【発明の効果】この発明は、仕上圧延機の出側に、形鋼
の外形に合う溝を有する押さえローラを設け、形鋼のエ
ッジ部と接触する位置に配置したブラシロールにより、
形鋼のエッジ部のカエリ状突起物を除去している。その
結果、必ずしも常に良好な形状とは言えない圧延後の形
鋼について、オンラインでカエリ状突起物を除去するこ
とが可能となる。また、オンライン化により作業効率が
大幅に改善できるとともに、形鋼の搬送装置あるいはブ
ラシロールの移動装置等、大規模な装置も不要となり、
設備コストが低減可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態を示す正面図である。

【図２】実施の形態を示す側面図である。

【図３】形鋼のエッジ部と発生したカエリ状の突起物を
示す図である。

【符号の説明】

１ 形鋼 ２ カエリ状の突起物 ３ ブラシロール ４ 押さえローラ ５ 押し付け手段 ６ 入側ガイドローラ ８ 搬送ローラ ９ 横押さえローラ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧延後の形鋼のエッジ部に発生したカエ
   リ状突起物を除去するための除去装置であって、仕上圧
   延機の出側に搬送ローラに対向して上下可動に設けら
   れ、形鋼の外形に合う溝を有する押さえローラと、この
   押さえローラに押し付け力を与える押し付け手段と、形
   鋼のエッジ部と接触する位置に配置されたブラシロール
   を備えていることを特徴とする形鋼のカエリ状突起物の
   オンライン除去装置。