JPH0364208B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明の熱間圧延により帯鋼板の表面に発生す
るスケールを除去する熱間圧延鋼板の表面処理方
法に関する。

〔従来技術〕

熱間圧延により帯鋼板の表面に発生したスケー
ルを除去するための従来のスケール除去手段とし
ては次のような方法が知られている。即ち、帯鋼
板を塩酸液中に浸漬しもしくは酸液をスケール表
面にスプレーして除去したり、前記塩酸などの酸
に代え溶融苛性ソーダを用いて同様にスケールを
除去するなどの化学的スケール除去方法、或いは
シヨツトブラスト、液体ホーニング、サンドブラ
スト、更には曲加工等の機械的手段によりスケー
ルを除去する方法などがある。

併しながら、化学的処理により帯鋼板表面のス
ケールを除去する方法に於いては、廃液処理に大
容量の設備が必要であると共に、化学処理過程で
有毒ガスが発生する危険性もある為、これら有毒
ガスを除去する設備も必要となり、設備が大がか
りとなる欠点があつた。又、シヨツトブラスト等
の機械的スケール除去方法に於いては、鉄粉等の
粒子を帯鋼板表面に高速で衝突させる為、帯鋼板
地金へのスケールの食い込み等により脱スケール
後の帯鋼板の表面を害する欠点があると共に、前
記帯鋼板表面に衝突させる鉄粉などの粒子と除去
されたスケール粉塵とが周囲に浮遊或いは飛散し
て、作業環境を悪化させる欠点があつた。更に、
曲加工によるスケール除去方法に於いては、曲加
工後に酸洗或いはブラシ研摩等の補助処理を併用
する必要がある。このため、酸洗については廃液
処理に大容量の設備が必要となる欠点があり、ブ
ラシ研摩に於いてはブラシの摩耗によりブラシの
定期的交換をする際に、設備を停止する必要があ
り稼働率が悪化するという欠点があつた。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、上記の欠点を解消し、帯鋼板
表面を害さず省設備で且つ作業環境を悪化させな
い熱間圧延鋼板の表面処理方法を提供することに
ある。

〔発明の概要〕

本発明は、ロールに巻き付けた帯鋼板の外表面
に弾性体のベルトを押し付けてベルトと帯鋼板間
に圧力を加えると共に、ベルトと帯鋼板とを異な
る速度で駆動させながらベルトと帯鋼板間に研削
材を供給して帯鋼板表面のスケールを除去する方
法を採用することにより、上記目的を達成する。

次に本発明の原理について説明する。第１図は
本発明の熱間圧延鋼板の表面処理方法の原理を示
した説明図である。帯鋼板１がロール２に巻き付
けられてロール２の回転と共に移動する。帯鋼板
１の曲接部外表面にはロール３，４，５により懸
架され無限軌道を移動するベルト６が押し付けら
れている。又、ロール２の上部には研削材８の供
給装置７が配置されており、更に、ロール２の下
部には前記供給装置７から供給されて帯鋼板１と
ベルト６との間を通過した研削材８を回収する回
収装置９が配置されている。

進行する帯鋼板１はロール２とベルト６との間
に進入すると同時に、供給装置７からその表面に
研削材８が散布される。ベルト６は帯鋼板１より
速い速度で移動している為、帯鋼板１の表面とベ
ルト６の間に入つた前記研削材８は、帯鋼表面の
スケールを帯鋼板１がロール２とベルト３の間を
通過するときに除去する。この際、ベルト６はロ
ール３にて支持され、ロール４にて駆動さる。
又、ロール５を移動させることによりベルト６に
適当な張力を与えてベルト６を帯鋼板１側に押し
付け、研削材８を帯鋼板１の表面に押し付けてい
る。更に、帯鋼板１の形状がたとえ入側で波状と
なつていてもロール２に巻き付けられた際に平ら
となり、研削材８がベルト６により均一に帯鋼板
１の表面に押し付けられるようになつている。
尚、帯鋼板１の表面スケールを除去した研削材８
は、回収装置９により回収され、再び供給装置７
から供給されて再循環使用される。

第２図は第１図のａ部詳細図である。進行する
帯鋼板１の表面に生成したスチール10部に散布さ
れた研削材８は、帯鋼板１の速度V₁にてベルト
６との接触部まで移動する。次にベルト６に研削
材８の一部が食い込み、その後研削材８はベルト
６の速度V₂にて移動する。この際、帯鋼１の速
度V₁とベルト６の速度V₂との関係はV₁＜V₂とな
つている為、研削材８によりスケール１０に剪断
力が与えられ、これによりスケール１０は帯鋼板
１の表面より除去される。しかも、帯鋼板１がロ
ール２により曲げられる時に、帯鋼板１に形状不
良が是正されて研削材８が均一に帯鋼板１の表面
に押し付けられるため、スケール１０はむらなく
除去される。尚、ベルト６は研削材８が弾性的に
食い込むような材料、例えばゴム或は皮等で製造
されている。ベルト６は食い込んだ研削材８を保
持し研削材８の回転を防止して、研削材のデイス
ケーリング効果が減殺されないようにしている。

一般に熱間圧延で製造された帯鋼板は、平面上
では波状の形状不良を有する場合がある。この形
状不良を是正しないと研削材が帯鋼板に均一に接
触せずスケール除去にむらが出来てしまう。そこ
で本発明では帯鋼板１をローラ２に巻き付け、且
つ帯鋼板１に張力を付与しながら帯鋼板１をロー
ラ２に沿つて移動させることにより、帯鋼板１の
研削すべき面の波打ちを是正して平らにしてい
る。又、ベルト６と帯鋼板１間に投入される研削
材８がその間で回転してしまうと、帯鋼板１の表
面のスケールをデイスケーリングする（スケール
除去する）効果が皆無となつてしまう。そこで本
発明ではベルト６に研削材８が弾性的に食い込む
ような素材でベルト６を形成し、研削材８のベル
ト６中への食い込みにより研削材８の回転を防止
して研削材８のスケール除去能力を保持してい
る。更に、本発明では、帯鋼板１をローラ２に沿
つて曲げている為、この曲げによつて帯鋼板１に
形状不良が是正され、帯鋼板１の表面に均一に研
削材８が接触するようにして、均一な脱スケール
が行なわれるようにしている。

以上のように本発明は、帯鋼板表面のスケール
を上記の原理にて機械的に除去する方法を提供し
て、化学反応を用いないため、省設備であり、
又、脱スケール部をハウジングで囲めば、粉塵等
の発生を防止して作業環境を良好に保ち、又交換
部品等もない為設備の稼動率も悪化もない。

〔発明の実施例〕

以下本発明の一実施例を図面に従つて説明す
る。第３図は本発明の熱間圧延鋼板の表面処理方
法を適応した脱スケール装置の一実施例を示した
構成図である。ロール２の半分とベルト６の全体
をハウジング１１が覆つている。下部のロール３
はベース１２に固定されている支持部材１３によ
り回転可能に支持されており、上部のロール３は
前記支持部材１３に回動可能に連結されているア
ーム１４に回転可能に支持されている。アーム１
４の先端部はハウジング１１の内側に取り付けら
れているシリンダ１５に連結されている。シリン
ダ１５によりアーム１４を回動させてベルト６と
帯鋼板１の接触面積を変化させることを可能にし
ている。ロール５は、支持部材１６に回動可能に
取り付けられているアーム１７に回動可能に支持
されており、このアーム１７はシリンダ１８に連
結している。従つて、シリンダ１８によりアーム
１７を回動させてロール５を移動させることによ
りベルト６の張力を変化させることが出来る。
又、ロール２はベース１２に固定されている支持
部材１９に回転可能に支持されている。他の構成
は第１図で説明したものと同一である為説明は省
略する。

本装置はデイスケーリング部がハウジング１１
により覆われている為、除去されたスケール等が
ハウジング１１より内部へ漏洩することを防止し
ている。又、上部のロール３をシリンダ１５によ
り移動可能としている為、ベルト６と帯鋼板１の
接触面積を変化させ、最適な脱スケール位置の選
択を可能としている。更に、ロール５をシリンダ
１８により移動可能としている為、ベルト６の張
力を変化させて帯鋼１への押付力を変化可能と
し、最適な脱スケール押付力の選定を可能として
いる。

第４図は本実施例の脱スケール装置を用いて構
成した脱スケール設備例を示した図である。この
例では帯鋼板１を板矯正機２０に対して、帯鋼板
１に曲げ加工或いは曲げ引つ張り加工を与え、そ
の後本実施例に示した２基の脱スケール装置２１
を通すことによつてスケール除去を行つている。
従つて、この例では脱スケール装置２１を通す前
に板矯正機２０により帯鋼板１に曲げ加工をほど
こしてスケールにクラツクを入れて剥離性をよく
した後、本実施例の脱スケール装置２１を通して
スケールを除去するためスケールの除去効率を向
上させている。又、脱スケール装置２１を２基設
けている為、帯鋼板１の両面のスケールを除去す
ることが出来る。

次に本実施例の脱スケール装置を動作させる際
の具体的数値例について説明する。帯鋼板の仕様
は板厚1.6〜６mm、板巾600〜1500mmのものが使用
され、処理速度50〜300ｍ／mmで通板する。これ
に対しベルト６の速度は帯鋼板１の２〜10倍の速
度で移動させる。又、ベルト６の材質はゴム或は
皮状の柔らかい弾性体状のものが使用され、ベル
トの厚みは３〜６mm、ベルト巾は帯鋼板１より広
いものが使用される。

本実施例によれば、帯鋼板１の表面に研削材８
を押し付けてスケール除去を行う機械的方式の
為、廃液処理等の設備を要せず省設備とする効果
がある。又、脱スケール部をハウジング１１で覆
つている為、除去されたスケール等が外部にもれ
ることがなく作業環境を良好に保つことが出来
る。更に、帯鋼板１の表面を研削材８でこすつて
デイスケーリングする為、脱スケール後の帯鋼板
表面を害することがない。

又、本実施例のスケール除去能力は、帯鋼板１
とベルト６の移動速度の差により決定されるもの
である為、帯鋼板１の速度に応じたベルト６の速
度を設定することにより、スケール除去設備に於
ける処理能力の増大に対して、ある程度までは設
備の拡張をすることなく容易に対処することが可
能である。更に、本実施例では研削材８を循環し
て使用する為、スケール除去部には常に新しい切
刀の研削材８を常時供給することが出来る為、従
来のようにブラシ摩耗等による交換の為設備を停
止させる必要がなくなり、設備の稼動率を悪化さ
せることがない。

尚、本発明の他の実施例として、ベルトにより
研削材の押付力を増加させる為に、外部より多数
のローラでベルトを押し付ける構成を採ることも
出来る。又、ベルトの外側に巻き付きこれに大き
な張力を与える別のベルトを設ける二重ベルト方
式等によりベルトの押付力をアツプさせる構成を
とることも出来る。

〔発明の効果〕

以上説明した如く本発明の熱間圧延鋼板の表面
処理方法によれば、ロールに巻き付けた帯鋼板表
面にベルトを押し付け、このベルトと帯鋼板表面
との間に研削材を供給してデイスケーリングする
ことにより、帯鋼板表面を害さず省設備で且つ作
業環境を悪化させない熱間圧延鋼板の表面処理方
法を提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の原理を示す説明図、第２図は
第１図のａ部拡大詳細図、第３図は本発明の熱間
圧延鋼板の表面処理方法を適用した脱スケール装
置の一実施例を示す構成図、第４図は第３図の脱
スケール装置を用いた脱スケール設備例を示した
構成図である。 １……帯鋼、２，３，４，５……ロール、６…
…ベルト、７……供給装置、８……研削材、９…
…回収装置、１０……スケール、１４，１７……
アーム、１５，１８……シリンダ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 被処理物を所定速度で移動させながらその表面
   に研摩用帯材を一定範囲に互つて圧接させ、且つ
   被処理物と研摩用帯材とに速度差を与え、これら
   の摺動面に研削材を挿入した後反入側から描出す
   ることにより、被処理物表面を研削することを特
   徴とする表面処理方法。 ２ ロールに巻き付いて移動する帯鋼板の曲折部
   外表面にベルトを圧接し、且つベルトと帯鋼板と
   を異なる速度で駆動させると共にベルトと帯鋼板
   間に研削材を供給して帯鋼板表面のスケールを除
   去することを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の表面処理方法。 ３ ベルトを帯鋼板より速く移動させることを特
   徴とする特許請求の範囲第２項記載の表面処理方
   法。 ４ ベルトの素材として、ゴムあるいは皮等の弾
   性材を使用することを特徴とする特許請求の範囲
   第２項記載の表面処理方法。 ５ 帯鋼板に曲げ加工あるいは曲げ引つ張り加工
   を与えた後、該帯鋼板を前記ロールとベルト等か
   ら成る脱スケール部に通すことを特徴とする特許
   請求の範囲第２項記載の表面処理方法。