明 細 書 深度脱硫触媒、 その製造方法及びそれを用いた脱硫方法 技術分野
本発明は、 灯油相当鉱油の深度脱硫触媒、 その製造方法及びその触媒を用いた深度脱 硫方法に関する。 特に水蒸気改質反応に共する灯油相当鉱油の前処理行程としての深度 脱硫に使用できる深度脱硫触媒、 その製造方法及びその触媒を用いた深度脱硫方法に関 する。 背景技術
水素製造方法には、 古くは水の電気分解が知られ、 最近では軽質炭化水素の部分酸化、 オートサ一マルリフォーミング (ATR) 等の方法が提案されているが、 小型水素製造装置 や、 燃料電池システムに対し、 取り扱い性が優れ、 比較的安価な水素製造方法として、 水蒸気改質法が適している。
一般に水蒸気改質触媒は硫黄化合物によつて被毒されやすいため、 原料炭化水素はあ らかじめ脱硫 (前処理) する事が必要である。 従って、 これまでは、 硫黄分の含有量が 少ない、 もしくは脱硫が容易なナフサより軽質な炭化水素が主として用いられてきた。 しかしながら、 ナフサ等の炭化水素は一般に広く流通しておらず、 小型水素製造設備や 燃料電池システムの水素発生設備を所有する小口需要家にとっては流通面での問題を有 している。 また、 揮発性に富むなどの取り扱い性に問題があると言われている。
最近、 環境保全の観点から、 クリーンなエネルギーに対する期待が高くなり、 流通性、 取り扱い性、 経済性に優れた原燃料からの水素製造技術が待たれている。 水蒸気改質触 媒は容易に被毒されるため数百 ppb 以下に脱硫することが求められるが、 灯油相当の鉱 油には芳香族系の硫黄化合物、 いわゆる難脱硫性化合物を含むため深度脱硫を行うこと は極めて難しい。 とりわけ、 小型の水素製造設備や燃料電池システムにおいては、 装置
の小型化が不可欠であるため、 水素精製ユニットを無くす場合もあり得る。 従って、 脱 硫の際に用いる水素の中に二酸化炭素等が含まれるケースも想定した触媒設計が必要に なる。 二酸化炭素が存在した場合には、 脱硫反応の他に、 これらのメタン化反応が進行 するため反応熱によつて温度制御が困難になるなどの問題が生ずる可能性が高くなる恐 れが高くなる。
また、 脱硫率を高めた運転条件で従来の触媒を使用して、 灯油相当の鉱油を数百 ppb レベルに脱硫できた場合でも、 灯油の変質 (黄変等) の可能性、 触媒の粉化、 下流側へ の硫化水素溢出、 反応圧が高い事等の問題を有しており、 機器構成の簡略化、 長期間安 定運転を視野に入れた、 さらに高性能な脱硫触媒開発が望まれているのが現状である。 発明の開示
本発明は、 比較的低圧条件下で、 炭酸ガスを含有する水素を用いてもメタン化反応を 抑制し、 灯油相当鉱油を変質を起こさずに 0. 1 wt. ppm (=100 wt. ppb) 以下に深度脱硫で き、 かつ長期間安定運転のできる活性及び強度を有する深度脱硫触媒、 その製造方法並 びにそれを用いた深度脱硫方法を提供することを目的とする。
本発明は、 ニッケル及び酸化ニッケルのニッケル成分、 酸化亜鉛及び酸化アルミユウ ムからなり、 ニッケル成分の酸化ニッケル換算含有量と、 酸化亜鉛含有量及び酸化アル ミニゥム含有量の合計量に対し、 ニッケル成分の含有量が酸化ニッケル換算で 5〜25 重 量。 /0、 酸化亜鉛の含有量が 30〜70 重量%であり、 360でで水素還元後、 常圧、 40tでの 一酸化窒素吸着量が標準状態換算で 4. 0 ml/g以上であり、 比表面積が 10〜300 m2/gであ ることを特徴とする灯油相当鉱油の深度脱硫触媒に関する。
また、 本発明は、 水素存在下、 温度が 200〜400 、 圧力が 1〜20 kg/cm2 (9. 80 X 10— 2〜 1. 96 MPa) の範囲内で活性化処理して得られることを特徴とする上記深度脱硫触媒に関 する。
さらに、 本発明は、 水溶性ニッケル金属塩および水溶性亜鉛金属塩の各水溶液又は混 合水溶液に、 塩基性物質を混合して沈澱物を別個もしくは同時に生成させ、 この沈殿物
と酸化アルミニウムもしくは酸化アルミニウム前駆体を混合、 成型および焼成すること により得られることを特徴とする上記の深度脱硫触媒の製造方法に関する。
さらに、 本発明は、 上記の深度脱硫触媒の存在下、 灯油相当鉱油と水素を温度が 200〜 400 、 圧力力 1〜20 kg/cm2 (9. 80 X 10 2〜 1. 96 MPa)、 LHSV (liquid hourly space veloci ty) が 0. 1〜5の条件で、 接触させることを特徴とする深度脱硫方法に関する。 発明を実施するための最良の形態
以下に、 本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、 上記目的を達成するために、 鋭意検討を重ねた結果、 水溶性ニッケル 金属塩および水溶性亜鉛金属塩を原料とし、 塩基溶液中にて沈殿させる行程、 酸化アル ミニゥムもしくは酸化アルミニウム前駆体を混合する工程および焼成工程を経て得られ る、 特定量のニッケルまたは酸化ニッケル、 酸化亜鉛、 酸化アルミニウムを含有し、 360tで水素還元後、 常圧、 40°Cでの一酸化窒素吸着量が特定量であり、 特定範囲の比表 面積を有する触媒を用いることにより、 灯油相当鉱油を硫黄分を 0. 1 ppm 以下まで深度 脱硫できることを見出し、 本発明を完成するに至った。 触媒組成:
本発明の深度脱硫触媒は二ッゲルおよび酸化二ッケルの二ッケル成分と、 酸化亜鉛お よび酸化アルミニウムの 3成分から構成される。
ニッケル成分の含有量は、 ニッケル成分の酸化ニッケル換算含有量と、 酸化亜鉛含有 量及び酸化アルミニウム含有量の合計量に対し、 酸化ニッケル換算で 5〜25 重量%の範 囲であり、 5〜20 重量%の範囲が好ましく、 10〜: 18 重量。 /。の範囲が特に好ましい。 ニッ ケル成分は、 灯油相当鉱油 (以下 「灯油」 と略記) に含まれる硫黄化合物と水素を反応 させ硫化水素に変換させる役割を果たすもので、 5 重量%以上で好ましい脱硫性能が得ら れ、 また 25 重量%以下でニッケル成分の分散性が上昇し、 触媒性能が充分発揮される。 二ッケル成分中の二ッケルと酸化二ッゲルの存在比は特に限定されなレ、。
酸化亜鉛の含有量は、 二ッケル成分の酸化二ッケル換算含有量と、 酸化亜鉛含有量及 び酸ィ匕アルミニウム含有量の合計量に対し、 30〜70重量。 /。の範囲であり、 40〜70重量% の範囲が好ましく、 50〜70 重量。 /0の範囲が特に好ましい。 酸化亜鉛は、 ニッケルの酸化 状態を程良く維持しかつ、 発生する硫化水素を捕捉する役割を持っている。 従って、 30 重量%以上でこれらの性能が充分発揮でき、 メタン化が抑制され、 硫化水素の溢出が充 分抑制される。 また、 70重量%以下とすることにより、 ニッケル成分および後述のアル ミニゥム成分が適度な量で存在し、 充分な触媒性能が発揮される。
酸化アルミニウムは、 比表面積を高め、 触媒 (活性点) と灯油および水素との接触を 円滑にする (触媒有効係数の向上) 作用と、 強度を維持する作用を持つ。 酸化アルミ二 ゥムの含有量は、 ニッケル成分の酸化ニッケル換算含有量と、 酸化亜鉛含有量及び酸化 アルミニウム含有量の合計量に対し、 5〜65 重量%の範囲が好ましく、 10〜65 重量%の 範囲がより好ましく、 20〜50 重量%の範囲が最も好ましい。 5 重量。 /0以上とすることに より、 充分な強度や触^ Γ効係数が得られ、 65 重量%以下とすることにより、 ニッケル 成分や酸化亜鉛が適度な量で存在し、 充分な触媒性能が発揮される。
また、 本発明の深度脱硫触媒では、 触媒 50〜500 mg に水素を通気しながら 360 で 2 時間水素還元した触媒の 40 における一酸化窒素吸着量が標準状態換算 (standard temperature and pressure : stp) で 4 ml/g 以上であり、 4. 0〜7· 0 ml/g 力好ましく、 5. 0〜6. 7 ml/g が特に好ましい。 4 ml/g 以上とすることにより、 充分な脱硫活性を得る ことができる。 一酸化窒素吸着量は脱硫触媒の活性点量を示すものと考えて良い。 触媒 作用状態が金属状態 (metall ic state) であるならば、 一酸化炭素をプロ一ブ (prove molecule) に選択するのが理にかなつているが、 本発明の触媒のように、 酸化状態の特 定が困難なものについては、 比較的酸化状態の高い活性点に対しても吸着能を有する一 酸化窒素をプローブに選択する方が、 より実際的である (たとえば、 鈴木、 吉澤ら、 日 本エネルギー学会誌、 74卷、 806頁、 1995年)。
比表面積は、 10〜300 m7g の範囲であり、 30〜250 m7g の範囲がより好ましく、 40〜 200 mVgの範囲が最も好ましい。 本願の比表面積は、 BET法により測定され、 BET比表面 (Braunauer-Eramett-Tai lor speci fic surface area) として表される„ 触媒の調製方法:
触媒調製方法は含浸法、 沈殿法、 共沈法、 混練法など各種方法を採用できるが、 本触 媒の性能を充分発揮しやすい方法として沈殿法や共沈法が最も好ましい。
好適な触媒の調製方法としては、 水溶性ニッケル金属塩および水溶性亜鉛金属塩の各 水溶液又は混合水溶液に、 塩基性物質を混合して沈澱物を別個もしくは同時に生成させ、 この沈殿物と酸化アルミニウムもしくは酸化アルミニウム前駆体を混合、 成型および焼 成することにより得られることを特徴とする上記の深度脱硫触媒の製造方法が挙げられ る。
好適な触媒の調製方法の態様としては、 たとえば水溶性亜鉛塩、 水溶性ニッケル塩の 混合水溶液を調製し、 これに塩基性物質としてアルカリ性水を滴下し、 得られた沈殿物 を充分均一に混合し、 これに酸ィ匕アルミニゥムまたは酸化アルミ二ゥム前駆体を混合し、 成型および焼成する方法がある。
また、 水溶性亜鉛塩と水溶性ニッケル塩の各水溶液にそれぞれ塩基性物質としてアル カリ性水を滴下し、 得られた沈殿物を、 充分均一に混合し、 これに酸化アルミニウムま たは酸化アルミニウム前駆体を混合し、 成型および焼成すればよい。
なお、 ニッケル沈殿物、 亜鉛沈殿物と同等な組成物が入手可能であればそれらと酸化 アルミニウムまたは酸化アルミニゥム前駆体を充分混合し、 成型および堍成することに よっても同等の性能が得られる。
水溶性ニッケル塩としては、 硝酸ニッケル、 塩化ニッケル、 酢酸ニッケルなど、 入手 容易なものを使用すればよい。 水溶性亜鉛塩としては、 硝酸亜鉛、 硼酸亜鉛、 塩化亜鉛、 酢酸亜鉛等の無機亜铅や、 有機亜船を適宜使用できる。 酸化アルミニウムとしては、 —アルミナが最も好ましく、 比表面積は 100〜350 m7gが好ましく、 150〜300 mVgがよ
り好ましく、 180〜250 m7g が最も好適である。 粒子サイズは 100 mesh の篩を通過する ものが好ましく、 150 mesh の篩を通過するものがより好ましく、 180〜200 mesh の篩を 通過するものが最も取り扱いやすい。
酸化アルミニウム前駆体は、 焼成することにより酸化アルミニウムになるものであれ ばよく、 具体例としては、 例えば、 水酸化アルミニウム、 アルミニウムイソプロポキシ ドなどが挙げられる。 なお、 アルミニウムイソプロボキシドは、 エチレングリコール等 の溶媒に溶解し、 酸もしくは塩基を触媒として、 加水分解および重縮合させ、 さらに焼 成することにより、 酸化アルミニウムにすることができる (アルコキシド法)。
酸化アルミニウム前駆体としては、 水酸化アルミニウムを好ましく使用できる。 粒子 サイズは 100 meshの篩を通過するものが好ましく、 150 meshの篩を通過するものがより 好ましく、 180〜200 meshの篩を通過するものが最も取り扱いやすい。
成型方法は押し出し成型 (extruding) , 打錠成型、 プレス成形など公知の方法を好ま しく選択できる。 形状は円柱状、 ラシヒ リング状、 中空状、 球状など反応器や操作条件 に相応しい形状を選択することが可能である。 打錠成型時に、 バインダーとしての有機 物、 無機化合物を添加することが可能である。
塩基性物質としては、 アルカリ金属、 アルカリ土類金属などの塩化物、 硫酸塩、 炭酸 塩など、 アンモニア、 有機ァミンなどが挙げられ、 炭酸アンモニゥム、 炭酸ナトリウム、 炭酸カルシウムなどの塩基性炭酸塩や、 アンモニアなどが好ましく、 炭酸アンモユウム およびアンモニアがより好ましく、 炭酸アンモニゥムおよびアンモニアの併用が特に好 ましい。 炭酸アンモニゥムおよびアンモユアを併用する場合、 それらの使用割合は、 1 : 9〜9: 1の範囲が好ましく、 2: 8〜8: 2の範囲が特に好ましい。
塩基性物質は、 水溶性二ッケル金属塩および水溶性亜鉛金属塩の各水溶液又は混合水 溶液にそのまま添加してもよいし、 塩基性物質を水溶液にして添加してもよいが、 塩基 性物質を水溶液にして添加することが好ましい。
沈殿物は、 酸化アルミニウム又は酸化アルミニウム前駆体と混合する前に、 乾燥した ほうが好ましい。 乾燥方法は、 特に制限なく、 種々の乾燥方法が適用できる。 乾燥温度 も特に制限ないが、 80〜140°Cの範囲が好ましい。 乾燥時間は 1〜24時間が好ましい。 焼成温度は、 320〜520tが好ましく、 320〜400 がより好ましく 350〜400 が最も好 ましい。 焼成温度を 320T:以上とすることにより、 充分な強度が得られ、 焼成温度を 520 以下とすることにより焼結 (sintering) 等の悪影響が少なくなる。 焼成時間は、 特に制限ないが、 通常 0. 1〜24時間であればよい。 脱硫方法:
本発明の触媒は、 固定床 (fixed bed) 反応器に充填し、 温度 ZOO Ot 好ましくは 220〜350¾:、 最も好ましくは S^ SSOt LHSV 0. 1〜5 vol/vol h—】、 好ましくは 0. 5〜4 vol/vol h~ より好ましくは 0. 5〜3 vol/vol h— 圧力 卜 20 kgん m2 (9. 80 X 10— 2〜1. 96 MPa)、 好ましくは 1〜15 kg/cm2 (9. 80 X 10— 2〜1. 47 MPa)、 より好ましくは 1〜10 kg/cm2 (9. 80 Χ 1Ο— 2〜9· 80 Χ 10— 1 MPa) である。 水素/灯油の標準状態換算値での容積比は 30〜 300、 好ましくは 40〜200、 最も好ましくは 50〜 150である。
上述の条件で灯油を脱硫することにより、 変質を伴わず 0. 1 ppm以下に深度脱硫でき る。
なお、 水素には炭酸ガスを含有していても灯油相当鉱油を脱硫することができる。 炭 酸ガスの許容濃度は 30 vol%以下であり、 25 vol%以下がより好ましく、 15 vol%以下 がさらに好ましい。 炭酸ガス含有量をこの範囲にすることにより、 相対的に水素分圧が 低下することがなく高い脱硫率が得られる。
実際に本発明の触媒及び脱硫方法によって得られる深脱灯油は無色透明である。
反応温度を 200で以上とすることにより、 所望の脱硫性能が得られる。 また反応温度を 400T;以下とすることにより、 灯油の変質、 副生成物の生成を抑えるすることができる。
LHSV の下限は特に限定されないが、 0. 1 vol/vol h—1以上とすることにより、 時間あたり の脱硫効率が高くなり経済的な点から好ましく、 5 vol/vol h—1以下とすることにより、
高い脱硫性能が得られる。 圧力に関しては、 上限は特に限定されないが、 建設、 製造コ ストなどから 20 kg/cm2 (1. 96 MPa) が実質的な上限である。 また 1 kg/ cm2 (9. 80 X 10— 2 MPa) 以上とすることにより水素分圧が低くなることがなく、 所望の脱硫性能が発揮でき る。 水素/灯油容積比を 30 以上とすることにより、 時間あたりの通油量が制限されるこ とがなく、 300以下とすることにより水素が充分に反応し、 機器が小型化することができ る。
本発明の触媒は、 水素雰囲気下に置かれれば、 所定性能を示すが、 脱硫処理に先だつ て還元処理を行うことがより望ましい。 あらかじめ還元処理を行うことで、 脱硫反応の 初期から安定した触媒活性を得ることができる。 還元処理を行うことにより、 活性が定 常域に達するまで時間を短縮することができ好ましい。 活性化処理 (水素還元処理) 条 件としては、 温度 200〜400 、 好ましくは 300〜400 、 最も好ましくは 330〜380 であ る。 200で以上とすることにより充分な活性化が行われ、 380で以下とすることにより、 tt媒の焼結や還元超過によるメタン化の誘発が少なくなり好ましい。 圧力は 1〜20 kg/cm2 (9. 80 X 10— 2〜 1. 96 MPa) , 好ましくは 1〜15 kg/cm2 (9. 80 X 10—2〜1. 47 MPa)、 最 も好ましくは 1〜10 kg/cm2 (9. 80 X 10— 2〜9. 80 X 10— 1 MPa) である。 通常は、 脱硫時と同 じ圧力で行えば問題ない。 水素通気量は特に限定されず、 GHSV (gas hourly space velocity) で 100〜9000 vol/vol 1の範囲で適宜行えばよい。 還元時間は触媒量、 反応 器の形などにより一概には決まらないが、 1〜24時間である。
本発明の触媒より深度脱硫できる灯油相当鉱油は、 灯油に相当する鉱油であれば特に 制限ないが、 灯油相当鉱油の性状としては、 引火点は 40ΐ:以下が好ましく、 蒸留性状は 95%留出温度が 270 以下が好ましく、 硫黄分は 0. 008重量%以下が好ましく、 芳香族分 は 20 vol%以下が好ましい。 本発明を実施例により、 さらに詳細に述べ、 具体的に説明するが、 本発明の範囲は実 施例によって限定されるものではない。
実施例を示す前に、 物性等の機器分析手法をまとめて示す。
一酸化窒素吸着量の測定:
一酸化窒素吸着量の測定には大倉理研社製自動ガス吸着装置 (R6015型) を用いた。 試 料 50〜500 mg を精枰し、 これを石英製もしくは硼珪酸ガラス (通称パイレックスガラ ス) 製の U字型試料管に入れ、 高純度ヘリウムを通気させて空気をパージした後、 水素 を通気させながら室温から 360 まで、 約 1時間かけて昇温させた。 360 に到達後 2時 間水素気流下で保持し、 その後再び高純度ヘリウムガスを通気しながら、 40 まで 1 時 間〜 2 時間かけて冷却した。 同温度で高純度一酸化窒素 (高千穂化学製、 Research Grade) の一定量 (0. 1 ml) を試料上に通気させ、 未吸着の一酸化窒素量を熱伝導度型検 出器 (Thermal Conduct i vi ty Detector : TCD) で定量し、 40 °Cの吸着量を標準状態 (STP) 換算して算出した。 触媒の比表面積測定:
BET比表面積の測定には、 ベルジャパン社製表面積測定装置 (Belsorp 28SA) を用いた。 試料 500〜1000 mgを精秤し、 これを石英製の試料管に充填し、 10 -1〜 ΚΓ3 nnHg台に減圧 しながら室温から 300でまで 1時間かけて昇温し、 減圧下、 同温度で 2時間保持して脱気 処理を行った。 その後、 減圧しながら室温まで降温させ、 高純度ヘリウムガスで置換し、 脱気後の試料重量を精枰した。 この後、 液化窒素温度 (-196 ) で窒素吸着を行い、 比 表面積を測定した。 硫黄分測定:
製品中の硫黄分測定はラネーニッケル法 (検出下限値 0. 1 wt. ppm) により、 下流側へ の硫化水素の溢出しの有無の確認には、 北川式検知管によった (下限値 0. 1 wt. Ppm)。
実施例 1
硝酸ニッケル 6水和物 5. 8 gと齚酸亜鉛 2水和物 24. 3 gを 1200 mlのイオン交換水に 溶解させ、 この溶液に 10 %の炭酸アンモ-ゥムと 15 wt%アンモニア水を加えて、 亜 鉛およびニッケル化合物の沈殿を得た。 この沈殿物を濾過および水洗後、 120 で 12 時 間乾燥させた。 得られた沈殿物に γ —アルミナ粉末 19. 5 g を添カ卩し、 充分混練後、 押出 成型器で外形 1. 6 ηιιη φの柱状に成型し、 510tで 24時間焼成して酸化ニッケル 5 wt%、 酸化亜鉛 30 wt%、 酸化アルミニウム 65 wt。/。の触媒 A を得た。 触媒 Λの比表面積は 248 mVg, 40°Cでの一酸化窒素吸着量 (STP) 4. 0 m l/g だった。 触媒 Λ 10g を精枰し、 温度 400で、 圧力 1 kg/cm2 (9. 80 X 10—2 MPa) で 3時間水素還元し、 これに引続き、 温度 400で、 圧力 1 kg/cm2 (9. 80 X 10—2 MPa)、 LHSV 0. 1 vol/vol h 1で市販白灯油 (コスモ石油製、 JIS 1 号灯油、 硫黄分 50 wt. ppm) を通油した。 なお水素/灯油比 (vol/vol at STP) は 300 とした。 なお、 脱硫時には炭酸ガス 15 vol%を含む水素を用いた。 反応 500時間後 の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 1 wt. ppm以下、 また深度脱硫灯油は無色透明であった。 脱硫反応中に下流側への硫化水素の溢出は認められず、 また、 メタンの発生は殆ど無か つた。 反応終了後に触媒を取り出した結果ひび割れは認められなかった。 実施例 2
酢酸二ッケル 4水和物 10. 0 gと硝酸亜鉛 6水和物 43. 9 gを 1200 mlのイオン交換水 に溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させ た。 得られた沈殿物に γ—アルミナ粉末 15 g を添加し、 充分混練後、 押出成型器で外形 1. 6 瞧 φの柱状に成型し、 400°Cで 24 時間焼成して酸化ニッケル 10 wt%、 酸化亜鉛 40 wt%、 酸化アルミニウム 50 wt%の触媒 Bを得た。 触媒 Bの比表面積は 225 m2/g、 40¾:で の一酸化窒素吸着量 (STP) 4. 8 ml/g だった。 触媒 B 10 g を精秤し、 温度 380 、 圧力 10 kg/cm2 (9. 80 X 10"1 MPa) で 3 時間水素還元し、 これに引続き、 温度 350。C、 圧力 10 kg/cm2 (9. 80 X 10— 1 MPa)、 LHSV 0. 5 vol/vol h—1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯 油比 (vol/vol at STP) は 200 とした。 なお、 脱硫時には炭酸ガス 20 vol %を含む水素
を用いた。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 1 wt. ppm以下、 また深度脱 硫灯油は無色透明であった。 脱硫反応中に下流側への硫化水素の溢出は認められず、 ま た、 メタンの発生は殆ど無かった。 反応終了後に触媒を取り出した結果ひび割れは認め られな力 = "つた。 実施例 3
硝酸ニッケル 6水和物 17. 5 gと硝酸亜鉛 6水和物 65. 8 gを 1200 mlのィオン交換水 に溶解させ、 実施例 1 と同様に 鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させ た。 得られた沈殿物に水酸ィヒアルミニウム粉末 1 1. 5 g を添加し、 充分混練後、 押出成型 器で外形 1. 6 φの柱状に成型し、 370°Cで 24時間焼成して酸化ニッケル 15 wt%、 酸 化亜鉛 60 wt%、 酸化アルミニウム 25 wt%の触媒 C を得た。 触媒 C の比表面積は 188 m2/g、 40°Cでの一酸化窒素吸着量 (STP) 5. 8 ral/g だった。 触媒 C 10 g を精秤し、 温度 360°C、 圧力 8 kg/cm2 (7. 84 X 10— 1 MPa) で 3時間水素還元し、 これに引続き、 温度 330 、 圧力 8 kg/cm2 (7. 84 X 10— 1 MPa)、 LHSV 2 vol/vol h—1で市販白灯油を通油した。 なお水素 /灯油比 (vol/vol at STP) は 150 とした。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄 分 0. 1 wt. ppm以下、 また深度脱硫灯油は無色透明であった。 脱硫反応中に下流側への硫 化水素の溢出は認められず、 反応終了後に触媒を取り出した結果ひび割れは認められな かった。 実施例 4
硝酸ニッケル 6水和物 21. 0 g と硝酸亜船 6水和物 18. 0 gを 1200 mlのイオン交換水 に溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させ た。 得られた沈殿物に アルミニウム粉末 6. 6 g を添加し、 充分混練後、 押出成型器 で外形 1. 6 Γηπι φの柱状に成型し、 330 で 24 時間焼成して酸ィ匕ニッケル 18 vrt%、 酸化 亜船 60 wt%、 酸ィ匕アルミニウム 22 wt%の触媒 Dを得た。 触媒 Dの比表面積は 183 m2/g、 40T:での一酸化窒素吸着量 (STP) 6. 3 ml/gだった。 触媒!) 10 gを精秤し、 温度 360 、
圧力 8 kg/cm2 (7. 84 X 10— 1 MPa)で 3時間水素還元し、 これに引続き、 温度 330 、 圧力 8 kg/cm2 (7. 84 X 10— 1 MPa)、 LHSV 2. 5 vol /vol h—1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯 油比 (vol/vol at STP) は 100 とした。 なお、 脱硫時には炭酸ガス 25 vol%を含む水素 を用いた。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 1 wt. ppm以下、 また深度脱 硫灯油は無色透明であった。 脱硫反応中に下流側への硫化水素の溢出は認められず、 ま た、 メタンの発生は殆ど無かった。 反応終了後に触媒を取り出した結果ひび割れは認め られなかった。 実施例 5
酢酸二ッケル 4水和物 15. 0 gと硝酸亜鉛 6水和物 54. 8 gを 1200 ml のイオン交換水 に溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させ た。 得られた沈殿物に水酸化アルミニウム粉末 16. 1 を添カ卩し、 充分混練後、 押出成型 器で外形 1. 6 ram ψの柱状に成型し、 350^:で 24時間焼成して酸化ニッケル 15 vrt%、 酸 化亜鉛 50 wt%、 酸化アルミニウム 35 wt%の触媒 E を得た。 触媒 E の比表面積は 203 m2/g、 40tでの一酸化窒素吸着量 (STP) 6. 1 ml/g だった。 触媒 E 10 g を精秤し、 温度 330¾:、 圧力 15 kg/cm2 (1. 47 MPa) で 3時間水素還元し、 これに引続き、 温度 240°C、 圧 力 kg/cm2 (1. 47 MPa) , LHSV 3. 0 vol/vol h—1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯 油比 (vol/vol at STP) は 100 とした。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 1 wt. ppm 以下、 また深度脱硫灯油は無色透明であった。 脱硫反応中に下流側への硫化 水素の溢出は認められず、 反応終了後に触媒を取り出した結果ひび割れは認められなか つた。 実施例 6
齚酸ニッケル 4水和物 20. 0 g と酢酸亜鉛 2水和物 56. 6 gを 1200 ml のイオン交換水 に溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させ た。 得られた沈殿物に水酸化アルミニウム粉末 4. 6 g を添加し、 充分混練後、 押出成型
器で外形 1. 6 mm φの柱状に成型し、 400 で 24時間焼成して酸化ニッケル 20 wt%、 酸 化亜鉛 70 wt%、 酸化アルミニウム 10 wt%の触媒 F を得た。 触媒 F の比表面積は 165 m2/g、 40°Cでの一酸化窒素吸着量 (STP) 6. 7 ml/g だった。 触媒 F 10 g を精秤し、 温度 300¾:, 圧力 20 kg/cm2 (1. 96 MPa) で 3時間水素還元し、 これに引続き、 温度 220 、 圧 力 20 kg/cm2 (1. 96 MPa)、 LHSV 4. 0 vol/vol h 1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯 油比 (vol/vol at STP) は 40 とした。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 1 wt. ppm以下、 また深度脱硫灯油は無色透明であった。 脱硫反応中に下流側への硫化 水素の溢出は認められず、 反応終了後に触媒を取り出した結果ひび割れは認められなか つた。 実施例 7
齚酸ニッケル 4水和物 24. 9 gと酢酸亜鉑 2水和物 56. 6 gを 1200 mlのイオン交換水 に溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させ た。 得られた沈殿物に γ—アルミナ粉末 1. 5 g を添加し、 充分混練後、 押出成型器で外 形 1. 6 mm φの柱状に成型し、 400でで 24時間焼成して酸化ニッケル 25 wt%、 酸化亜鉑 70 wt%、 酸化アルミニウム 5 wt%の触媒 Gを得た。 触媒 Gの比表面積は 158 m2/g、 40¾: での一酸化窒素吸着量 (STP) 6. 9 ml/g だった。 触媒 G 10 g を精秤し、 温度 200 、 圧 力 20 kg/cm2 (1. 96 MPa) で 3 時間水素還元し、 これに引続き、 温度 200 、 圧力 20 kg/cm2 ( 1. 96 MPa) , LHSV 5. 0 vol/vol h—'で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯油比 (vol/vol at STP) は 50 とした。 反応 500 時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 1 wt. ppm以下、 また深度脱硫灯油は無色透明であった。 脱硫反応中に下流側への硫化水素 の溢出は認められず、 反応終了後に触媒を取り出した結果ひび割れは認められなかった。
表 1
宝 例 1
風乂
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脱硫条件
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比表面積 (m2/g) 2 8 225 188 183 203 165 158
NO吸着量 (m]/g (stp) at 4Q"C 4.8 5.8 6.3 6. 1 6.7 6.9
反応後の触媒のヮ レ なし なし なし なし なし なし なし
脱硫後の灯油性状
硫黄分 (wt. ppm) 0. I以ド 0.1以下 ο· 1以卜- 0. 1以ド 0. 1以下 0. 1以ド o. l以 - 硫化水素の溢出 なし なし なし なし なし なし なし
深度脱硫灯油の 色 無 透 W 無色透明 無色透 W 無色透 W 無色透明 無色透明 無色透明
比較例 1
硝酸二ッケル 6水和物 3. 5 gと酢酸亜铅 2水和物 56. 6 gを 1200 mlのィオン交換水に 溶解させ、 実施例 1 と同様に、 10 wt%の炭酸アンモニゥムと 15 wt%アンモニア水を加 えて、 亜鈴およびニッケル化合物の沈殿を得た。 この沈殿物を濾過および水洗後、 120 で 12時間乾燥させた。 得られた沈殿物に γ—ァノレミナ粉末 8. 1 gを添加し、 充分混練後、 押出成型器で外形 1. 6 mm φの柱状に成型し、 510 で 24 時間焼成して酸化ニッケル 3 wt%. 酸化亜鉑 70 wt%、 酸化アルミニウム 27 wt%の触媒 aを得た。 触媒 aの比表面積 は 191 m2/g、 40 での一酸化窒素吸着量 (STP) 3. 3 ml/gだった。 触媒 a 10 gを精秤し、 温度 400°C、 圧力 1 kg/cm2 (9. 80 X 10-2 MPa) で 3時間水素還元し、 これに引続き、 温度 400°C、 圧力 1 kgん m2 (9. 80 X 10— 2 MPa) , LHSV 0. 1 vol/vol h—1で市販白灯油 (コスモ石 油製、 硫黄分 50 wt. ppm) を通油した。 なお水素/灯油比 (vol/vol at STP) は 300 とし た。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 8 wt. ppm, また深度脱硫灯油は無 色透明であった。 脱硫反応中に下流側への硫化水素の溢出は認められず、 反応終了後に 触媒を取り出した結果ひび割れは認められなかった。 比較例 2
酢酸ニッケル 4水和物 20 g と硝酸亜鉛 6水和物 87. 7 gを 1200 ml のイオン交換水に 溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させた。 これを充分混練後、 押出成型器で外形 1. 6咖 φの柱状に成型し、 400でで 24 時間焼成し て酸化ニッケル 20 wt%、 酸化亜鉛 80 %の触媒 b を得た。 触媒 b の比表面積は 10 m2/g、 40ででの一酸化窒素吸着量 (STP) 3. 8 ml/g だった。 触媒 b 10 g を精秤し、 温度 圧力 10 kg/cm2 (9. 80 X 10'1 MPa) で 3 時間水素還元し、 これに引続き、 温度 350 、 圧力 10 kg/cm2 (9, 80 X 10— 1 MPa)、 LHSV 0. 5 vol/vol h—1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯油比 (vol/vol at STP) は 200 とした。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状 は、 硫黄分 0. 2 wt. ppm以下、 また深度脱硫灯油は無色透明であった。 脱硫反応中に下流
側への硫化水素の溢出は認められず、 反応終了後に触媒を取り出した結果、 ひび割れと 若干の粉化が認められた。 比較例 3
硝酸二ッケル 6水和物 17.5 gと硝酸亜鉛 6水和物 27.4 gを 1200 ml のィオン交換水 に溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させ た。 得られた沈殿物に水酸ィ匕アルミニウム粉末 27.5 g を添加し、 充分混練後、 押出成型 器で外形 1.6 ίηιπφの柱状に成型し、 370 で 24 時間焼成して酸化ニッケル 15 wt%、 酸 化亜鉛 25 wt%, 酸化アルミニウム 60 wt%の触媒 cを得た。 触媒 c の比表面積は 240mVg、 40°Cでの一酸化窒素吸着量 (STP) 4.5 ml/gだった。 触媒 c 10 gを精秤し、 温 度 360°C、 圧力 8 kg/cm2 (7.84X101 MPa) で 3 時間水素還元し、 これに引続き、 温度 330で、 圧力 8 kg/cm2 (7.84X101 MPa)、 LHSV 2.0 vol/vol h 1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯油比 (vol/vol at STP) は 150 とした。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状 は、 硫黄分 0.1 wt.ppm以下、 また深度脱硫灯油は無色透明であった。 し力ゝし、 脱硫反応 中に下流側への硫化水素の溢出が認められた。 反応終了後に触媒を取り出した結果、 ひ び割れは認められなかった。 比較例 4
硝酸二ッゲル 6水和物 40.9 g と醉酸亜鉛 2水和 40.5 gを 1200 ml のイオン交換水に 溶解させ、 実施例 1と同様に亜铅およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させた。 得られた沈殿物に水酸化アルミニウム粉末 27.5 g を添加し、 充分混練後、 押出成型器で 外形 1.6 mm φの柱状に成型し、 370 で 24時間焼成して酸化ニッケル 35 %、 酸化亜 鉛 50 %、 酸化アルミニウム 15 wt%の触媒 d得た。 触媒 d の比表面積は 173 m2/g、 40 での一酸化窒素吸着量 (STP) 3.7 ml/gだった。 触媒 d 10 gを精秤し、 温度 330で、 圧力 15 kg/cm2 (1.47 MPa) で 3 時間水素還元し、 これに引続き、 温度 240 、 圧力 15 kg/cm2 (1.47 MPa), LHSV 3.0 vol/vol h1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯油比
(vol/vol at STP) は 100 とした。 反応 500 時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 2 t. ppm, また深度脱硫灯油は無色透明であった。 また、 脱硫反応中に下流側への硫化水 素の溢出は認められなかった。 反応終了後に触媒を取り出した結果、 ひび割れは認めら れなかった。 比較例 5
酢酸ニッケル 4水和物 5. 0 gと硝酸亜鉛 6水和物 21. 9 gを 1200 mlのイオン交換水に 溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鈴およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させた。 得られた沈殿物に γ —アルミナ粉末 22. 5 g を添加し、 充分混練後、 押出成型器で外形 1. 6 mm φの柱状に成型し、 400tで 24 時間焼成して酸化ニッケル 5 wt%、 酸化亜鉛 20 wt%、 酸化アルミニウム 75 wt%の触媒 e得た。 触媒 eの比表面積は 263 m2/g、 40 での 一酸化窒素吸着量 (STP) 5. 0 ml/gだった。 触媒 e 10 gを精秤し、 温度 300T:、 圧力 20 kg/cm2 (1. 96 MPa) で 3 時間水素還元し、 これに引続き、 温度 220 、 圧力 20 kg/cm2 (1. 96 MPa) , LHSV 4. 0 vol/vol IT1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯油比 (vol/vol at STP) は 50とした。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 1 wt. ppm以下、 また深度脱硫灯油は無色透明であった。 しかし、 脱硫反応中に下流側への硫化水素の溢 出が認められた。 反応終了後に触媒を取り出した結果、 ひび割れは認められなかった。 比較例 6
硝酸二ッケル 6水和物 17. 5 gと硝酸亜船 6水和物 27. 4 gを 1200 mlのィオン交換水 に溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させ た。 得られた沈殿物に γ—アルミナ粉末 18. 0 g を添加し、 充分混練後、 押出成型器で外 形 1. 6 mm φの柱状に成型し、 370でで 24時間焼成して酸化ニッケル 15 wt% , 酸化亜船 25 wt%、 酸化アルミニウム 60 wt。/。の触媒 f 得た。 触媒 f の比表面積は 240 m2/g、 40 での一酸化窒素吸着量 (STP) 5. 8 ml/gだった。 触媒 f 10 g を精秤し、 温度 360 、 圧 力 20 kg/cm2 (1. 96 MPa) で 3 時間水素還元し、 これに引続き、 温度 480<:、 圧力 8
kg/cm2 (7. 84 X 10 1 MPa)、 LHSV 2. 0 vol/vol h—1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯 油比 (vol/vol at STP) は 150 とした。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 1 wt. ppm 以下、 また深度脱硫灯油は黄変した。 脱硫反応中に下流側への硫化水素の溢 出が認められなかった。 反応終了後に触媒を取り出した結果、 ひび割れは認められなか つた。 比較例 7
齚酸-ッケル 4水和物 15. 0 gと硝酸亜鉛 6水和物 27. 4 gを 1200 mlのィオン交換水 に溶解させ、 実施例 1 と同様に亜鉛およびニッケル化合物の沈殿を得たあと、 乾燥させ た。 得られた沈殿物に水酸化アルミニウム粉末 27. 5 g を添加し、 充分混練後、 押出成型 器で外形 1. 6 画 φの柱状に成型し、 370T:で 24時間焼成して酸化ニッケル 15 wt%、 酸 化亜鉛 25 wt%、 酸化アルミニゥム 60 wt%の触媒 g得た。 触媒 gの比表面積は 240 m2/g、 40 での一酸化窒素吸着量 (STP) 5. 8 tnl/gだった。 触媒 g 10 gを精枰し、 温度 360 、 圧力 20 kg/cm2 (1. 96 MPa) で 3 時間水素還元し、 これに引続き、 温度 150で、 圧力 8 kg/cm2 (7. 84 10"1 MPa)、 LHSV 2. 0 vol/vol h 1で市販白灯油を通油した。 なお水素/灯 油比 (vol/vol at STP) は 150 とした。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0. 6 wt. ppm, 深度脱硫灯油は無色透明だった。 脱硫反応中に下流側への硫化水素の溢出 が認められなかった。 反応終了後に触媒を取り出した結果、 ひび割れは認められなかつ た。 比較例 8
醉酸ニッケル 4水和物 20 gを 1200 mlのイオン交換水に溶解させ、 実施例 1 と同様に ニッケル化合物の沈殿を得た後、 乾燥させた。 得られた沈殿物に酸化アルミニウム粉末 24 g を添加し、 これを充分混練後、 押出成型器で外形 1. 6 ιηη φの柱状に成型し、 400で で 24時間焼成して酸化ニッケル 20 wt%、 酸ィ匕アルミニウム 80 vt%の触媒 h得た。 触 媒 hの比表面積は 270 m7g、 40¾:での一酸化窒素吸着量 (STP) 5. 9 ml/gだった。 触媒 h
10 gを精枰し、 温度 380 、 圧力 10 kg/cm2 (9.80X10—' MPa) で 3時間水素還元し、 こ れに引続き、 温度 350 、 圧力 10 kg/cm2 (9.80X10—' MPa)、 LHSV 0.5 vol/vol h— 1で市 販白灯油を通油した。 なお水素/灯油比 (vol/vol at STP) は 200 とした。 脱硫時には炭 酸ガス 25 vol%を含む水素を用いた。 反応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 0.9 wt. ppm, 深度脱硫灯油は無色透明だった。 脱硫反応中に下流側への硫化水素の溢出 が認められた。 また、 メタンの発生も認められた。 反応終了後に触媒を取り出した結果、 ひび割れは認められなかつた。
表 2
比較例 1 2 3 4 5 6 7 8 触媒組成
酸化ュッケル換算量 (wt%) 3 20 15 35 5 15 15 20
酸化亜鉛 (wt%) 70 80 25 50 20 25 25 0
酸化アルミニウム (wt%) 27 0 60 15 75 60 60 80
触媒の刖処理
還元温度 (¾:) 400 380 360 330 300 360 360 380
圧力 (kg/cm2) 1 10 8 15 20 20 20 10
(圧力 (MPa)) (9.80X102) (9.80 10"') (7.8 10 ') (1.47) (1.96) (1.96) (1.96) (9.80X10—り 脱硫条件
温度 (t) 400 350 330 240 220 480 150 350
Ιί力 (kg/cm2) 1 10 8 15 20 8 8 10
(圧力 (MPa)) (9.80X 102) (9.80 10 ') (7.8 X10 ') (1.47) (1.96) (7.84X10 ') (7.84X10 ') (9.80X10 ')
LHSV (vol/vol h ') 0.1 0.5 2 3 4 2 2 0.5
水素/灯油 (vol/vol) 300 200 150 100 50 150 150 200
炭酸ガス含有量 (vol%) 25 25
メタン化の有無 なし あり
触媒物性
比表面積 (mz/g) 】91 10 240 173 263 240 240 270
NO吸着量 (ml/g (stp) at 40t 3.3 3.8 4.5 3.7 5 5.8 5.8 5.8
反応後の触媒のヮレ なし あり なし なし なし なし なし なし
脱硫後の灯油性状
硫黄分 (wt. ppm) 0.8 0.2 0.1以下 0.2 0.1以下 0.1以下 0.6 0.9
硫化水素の溢出 なし なし あり なし あり なし なし あり
深度脱硫灯油の呈色 無色透明 無色透明 無色透明 無色透明 無色透明 無色透明 無色透明
O 01/15804
参考例 1
市販脱硫触媒 10 mlを温度 360 、 圧力 8 kg/cm2 (7. 84 X 10— 1 MPa) で 3時間水素還元 し、 これに引き続き、 温度 330 、 圧力 8 kg/cm2 (7. 84 X 10"1 MPa)、 LHSV 2. 0 vol/vol h 1で市販白灯油を通油した。 この時の水素/灯油比 (vol/vol at STP) は 150とした。 反 応 500時間後の深度脱硫灯油性状は、 硫黄分 1 wt. Ppm、 深度脱硫灯油は黄変した。 また 脱硫反応中に下流側への硫化水素の溢出が認められた。 表 3
ニッケル成分は灯油に含まれる硫黄化合物を水素と反応 (水素化反応) させ硫化水素 に変換させる役割を持つ。 従って比較例 1 に示すように酸化ニッケル換算含有量が規定 値以下の場合には、 N0吸着量も少なく、 触媒の活性が不充分であるために製品中の硫黄 分は 0. 8 wt. ppmまでしか脱硫できなかった。 逆に、 比較例 4に示すように、 酸化ニッケ ル換算含有量が多すぎる場合 (35 wt%) の N0吸着量は 3. 7 ml/gと少なく、 ニッケル成 分が多く含まれていても触媒活性に関与する割合が低い、 すなわち分散性が低下してい
ることを示している。 その結果、 製品中の硫黄分は 0. 2 wt. ppm にとどまった。 このよう にニッケル成分は酸化ニッケル換算で 5〜25 重量%の範囲が好ましい。 水素化活性だけ の観点からすれば分散性を損ねない範囲で、 ニッケル成分の含有量は高いほど好ましい ことになるが、 本発明では水素化活性、 硫化水素溢出抑制に優れる触媒の提供が目的で ある。 また、 実用触媒には粉化防止対策は不可避であるため、 他成分の効果を勘案し、 酸化ニッケル換算含有量は 5~20重量%がより好ましく、 10〜18 重量%の範囲が最も好 適であると考えられる。
酸化亜鉛にはニッケル成分 (活性点) 上で、 灯油中の硫黄化合物と水素が反応 (水素 化反応) して生じた硫化水素を吸収させる効果がある。 これと同時にニッケル成分の酸 化状態を制御する効果を有する。 従って、 酸化亜铅成分が少ない場合 (比較例 3) では、 下流側に硫化水素が溢出する。 通常下流側には水蒸気改質器等が設置されるが、 硫化水 素の溢出によって水蒸気改質触媒が被毒される可能性が高まり、 水素製造設備などの装 置全体に不具合が生じる。 また、 酸化亜鉛を全く含まない系に炭酸ガス含有水素ガスを 用いた場合には、 比較例 8 に示すように、 メタン化が起こりやすくなる。 メタン化は金 属状態のニッケル (in) 上で進行し易いためで、 酸化亜鉛を含有させることでニッケル 成分の酸化状態を程良く保っていることが分かる。
酸化アルミニウムには、 比表面積を高め反応物質 (灯油と水素) の接触確率を高める とともに、 強度を維持させる効果がある。 従って酸化アルミニウムを添加しない場合 (比較例 2) では比表面積が低すぎるために、 製品中の硫黄分は 0. 2 wt. ppmに留まった。 また、 反応に供した触媒にはひび割れは認められ、 長期に渡って使用することは出来な いことが分かる。
これらの結果が示すように、 ニッケル成分、 酸化亜鉛成分および酸化アルミニウム各 成分の持つ効果をバランス良く発揮させることが重要である。
このように、 本発明による触媒を用いることで、 灯油相当鉱油を安定して深度脱硫す ることができる。
産業上の利用可能性
本発明の深度脱硫触媒は、 比較的低圧条件下で、 炭酸ガスを含有する水素を用いても メタン化反応を抑制し、 灯油相当鉱油を変質を起こさずに 0. 1 wt. ppm以下に深度脱硫で き、 かつ長期間安定運転のできる活性及び強度を有する。