JP7152362B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部を有し、
前記トレッド部の踏面に、1本以上のサイプを有し、
前記サイプは、前記踏面側に第1のサイプ部分を有し、サイプ底側に第2のサイプ部分を有し、前記第1のサイプ部分と前記第2のサイプ部分との間に、サイプ幅が前記第1のサイプ部分のサイプ幅及び前記第2のサイプ部分のサイプ幅より大きい拡径部を有し、
前記拡径部の少なくとも底部は、前記踏面を構成するトレッドゴム層と、前記トレッド部のタイヤ径方向最内側のトレッドゴム層との、タイヤ径方向の間に位置する、中間トレッドゴム層に含まれることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤによれば、摩耗進展時において、耐摩耗性を犠牲にすることなく、排水性を向上させることができる。
また、「サイプ」とは、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記踏面における開口幅が、2.5mm以下のものをいう。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
また、「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
この構成によれば、摩耗進展時における耐摩耗性をさらに向上させることができる。
ここで、「損失正接」とは、動的損失弾性率(E´´)と動的貯蔵弾性率(E´)との比(E´´/E´)であり、トレッドゴムの、厚さ:2mm、幅:5mm、長さ:20mmの試験片に、初期荷重:160g重を与え、 初期歪み:1%、振動数:50Hz、温度30℃の条件で測定した値をいう。
この構成によれば、摩耗進展時において、拡径部が出現している間にわたって、耐摩耗性を犠牲にすることなく、排水性を向上させることができる。
前記第2のサイプ部分のタイヤ径方向最内側端は、前記周方向主溝の溝底よりタイヤ径方向外側に位置することが好ましい。
この構成によれば、第2のサイプ部分のサイプ底でのクラックの発生を抑制して、タイヤ耐久性を向上させることができる。
ここで、「周方向主溝」とは、トレッド周方向に延び、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態での、上記トレッド踏面における開口幅が、2mm以上で摩耗インジケータの付されたものをいう。
上記の範囲とすることにより、加硫時のトレッドゴムの流れをより一層抑制して、タイヤの製造性をより一層向上させることができる。
前記キャップゴム層は、外側キャップゴム層、及び、該外側キャップゴム層よりタイヤ径方向内側に位置する内側キャップゴム層を有し、
前記踏面を構成するトレッドゴム層は、前記外側キャップゴム層であり、
前記中間トレッドゴム層は、前記内側キャップゴム層であり、
前記トレッド部のタイヤ径方向最内側のトレッドゴム層は、前記ベースゴム層であることが好ましい。
この構成によれば、トレッド部が、積層ゴム構造を有する場合に、摩耗進展時において、耐摩耗性を犠牲にすることなく、排水性を向上させることができる。
この構成によれば、トレッド部が、積層ゴム構造である場合に、摩耗進展時における耐摩耗性をさらに向上させることができる。
ここで、空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)の内部構造等については、トレッド部を有する従来のものと同様の構造とすることができる。一例としては、該タイヤは、一対のビード部と、該一対のビード部に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部間に配置されたトレッド部とを有するものとすることができる。また、該タイヤは、一対のビード部間をトロイダル状に跨るカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルトと、を有するものとすることができる。
以下、特に断りのない限り、寸法等は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態(本明細書において、「基準状態」という)での寸法等を指す。
なお、図示例では、トレッド幅方向一方側の半部のトレッド端TEに隣接する陸部3aの幅方向溝4と、トレッド幅方向他方側の半部のトレッド端TEに隣接する陸部3dの幅方向溝4とが、トレッド幅方向に投影した際に互いに重なるように、トレッド周方向の位置を揃えて配置されているが、各陸部3間の幅方向溝4は、トレッド幅方向に投影した際に互いに重ならないように、トレッド周方向の位置をずらして配置することもできる。
図示例では、トレッド端TEに隣接する陸部3a、3dの各ブロック5に設けられたサイプ6は、トレッド幅方向に延びる幅方向サイプ6aである。図示例では、幅方向サイプ6aは、トレッド幅方向に沿って延びているが、トレッド幅方向に対して傾斜して延びていても良く、この場合、トレッド幅方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましく、30°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることがより好ましい。
一方で、ブロック5にサイプ6を設ける場合は、トレッド周方向に延びる周方向サイプとすることもできる。その場合、トレッド周方向に沿って延びる周方向サイプとしても良く、あるいは、トレッド周方向に対して傾斜して延びていても良い。周方向サイプが、トレッド周方向に対して傾斜して延びる場合には、トレッド周方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましく、30°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることがより好ましい。
あるいは、ブロック5にサイプ6を設ける場合には、幅方向サイプと周方向サイプとの両方を設けても良い。
図示例では、幅方向サイプ6aは、トレッド幅方向に沿って延びているが、トレッド幅方向に対して傾斜して延びていても良い。また、図示例では、周方向サイプ6bは、トレッド周方向に沿って延びているが、トレッド周方向に対して傾斜して延びていても良く、この場合、トレッド周方向に対して45°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることが好ましく、30°以下の傾斜角度で傾斜して延びていることがより好ましい。
また、図示例では、タイヤ赤道面CLを境界とするトレッド幅方向一方の半部における、トレッド幅方向中央側の陸部3bの幅方向サイプ6aと、タイヤ赤道面CLを境界とするトレッド幅方向他方の半部における、トレッド幅方向中央側の陸部3cの幅方向サイプ6aとが、トレッド幅方向に投影した際に重なるように、トレッド周方向の位相を揃えて配置されているが、トレッド周方向の位相を異ならせて配置しても良い。また、図示例では、タイヤ赤道面CLを境界とするトレッド幅方向一方の半部における、トレッド幅方向中央側の陸部3bの周方向サイプ6bと、タイヤ赤道面CLを境界とするトレッド幅方向他方の半部における、トレッド幅方向中央側の陸部3cの周方向サイプ6bとが、トレッド幅方向に投影した際に重なるように、トレッド周方向の位相を揃えて配置されているが、トレッド周方向の位相を異ならせて配置しても良い。
また、図示例では、トレッド端TEに隣接する陸部3a、3dの幅方向サイプ6aと、トレッド幅方向中央側の陸部3b、3cの幅方向サイプ6a及び周方向サイプ6bとが、トレッド幅方向に投影した際に重ならないように、トレッド周方向の位相をずらして配置されているが、トレッド幅方向に投影した際に少なくとも一部が重なるように配置しても良い。
図2に示すように、本例のサイプ6は、踏面1側に第1のサイプ部分7を有し、サイプ底側に第2のサイプ部分8を有し、第1のサイプ部分7と第2のサイプ部分8との間に、サイプ幅が第1のサイプ部分7のサイプ幅及び第2のサイプ部分8のサイプ幅より大きい拡径部9を有する。
図2に示すように、本例では、第1のサイプ部分7は、サイプの深さ方向に屈曲しながら延びている。一方で、第1のサイプ部分7は、サイプの深さ方向に真っ直ぐ延びるものとすることもできる(なお、上述のように、サイプ6の平面視においては、本例では、延在方向に真っ直ぐ延び、あるいは、屈曲しながら延びることもでき、これらとの組み合わせは任意である)。
ここで、図3は、対比説明のための、比較用のサイプの一例を模式的に示す断面図である。図2、図3に示すように、加硫時においては、溝2により踏面1を構成するトレッドゴム10は、溝2を避けるような形でタイヤ径方向内側に押し出される。図3に示すように、仮に摩耗進展時の排水性を向上させようとして、踏面1側のサイプ部分70及び拡径部90を有するサイプを単に設けようとした場合には、タイヤ径方向最内側には拡幅部90が位置するため、溝を形成する場合と同様に、加硫時に、踏面1を構成するトレッドゴム1が該拡径部90を避けるような形で押し出されてしまい、拡径部90が中間トレッドゴム層120ではなく、踏面1を構成するトレッドゴム層100内に配置されてしまう。
これに対し、図2に示すように、本例では、タイヤ径方向最内側に位置するのは、第2のサイプ部分8であるため、加硫時において、踏面1を構成するトレッドゴム1が押し流されるのを抑制して、拡径部9の少なくとも底部(本例では全部)が、中間トレッドゴム層12に含まれるようにすることができる。
これにより、摩耗進展時に、拡径部9が露出する際には、拡径部9により排水性を向上させることができるが、その際に中間トレッドゴム層12を用いることができる。
図2に示すように、本例では、第2のサイプ部分8は、サイプの深さ方向に真っ直ぐ延びている。一方で、第2のサイプ部分8は、サイプの深さ方向に屈曲して延びるものとすることもできる。なお、上述のように、サイプ6の平面視においては、本例では、延在方向に真っ直ぐ延び、あるいは、屈曲しながら延びることもでき、これらとの組み合わせは任意である。
なお、サイプ6は、平面視において、延在方向に屈曲しながら延び、且つ、第1のサイプ部分7は、サイプの深さ方向に屈曲しながら延び、且つ、第2のサイプ部分8は、サイプの深さ方向に真っ直ぐ延びることが最も好ましい。
ここで、図1に示した例にように、トレッド踏面1に、タイヤ周方向に延びる1本以上の周方向主溝2を有する場合、第2のサイプ部分8のタイヤ径方向最内側端は、周方向主溝2の溝底よりタイヤ径方向外側に位置することが好ましい。これにより、第2のサイプ部分8のサイプ底でのクラックの発生を抑制して、タイヤ耐久性を向上させることができる。
また、本例では、第2のサイプ部分8のサイプ幅は、2.0mm以下であり、且つ、第2のサイプ部分8のサイプ幅に対する第2のサイプ部分8のサイプ深さ方向の延在長さの比は、2以上である。これにより、上述した加硫時のトレッドゴムの流れをより一層抑制して、タイヤの製造性をより一層向上させることができる。
また、本例のように、第1のサイプ部分7のサイプ深さ方向の延在長さは、第2のサイプ部分8のサイプ深さ方向の延在長さより長いことが好ましい。一方で、第1のサイプ部分7のサイプ深さ方向の延在長さは、第2のサイプ部分8のサイプ深さ方向の延在長さより短くすることも、同じとすることもできる。
図2に示すように、本例では、拡径部9は、球状であり、より具体的には球形である。一方で、拡径部9は、球状であって、例えば断面楕円形となるような断面を有するものとすることもでき、あるいは、拡径部9は、例えば断面矩形(正方形、長方形、台形等)となるような断面を有するものとすることもできる。この場合、いずれか1以上の角部が面取りされていても良い。
なお、図2における、トレッドゴム層10、11、12の厚さは、模式的に示されており、その大小関係はいずれの場合もあり得る。
すなわち、本例では、上記踏面1を構成するトレッドゴム層10が外側キャップゴム層である。また、本例では、トレッド部のタイヤ径方向最内側のトレッドゴム層11がベースゴム層である。また、中間トレッドゴム層12が内側キャップゴム層である。
従って、本例では、拡径部9の少なくとも底部(図示例では全部)が、内側キャップゴム層に含まれている。
これにより、トレッド部が、積層ゴム構造を有する場合に、摩耗進展時において、耐摩耗性を犠牲にすることなく、排水性を向上させることができる。
なお、一方で、トレッド部は、積層ゴム構造には限定されない。
2、2a、2b、2c:周方向主溝、
3、3a、3b、3c、3d:陸部、
4:幅方向溝、
5:ブロック、
6:サイプ、
6a:幅方向サイプ、
6b:周方向サイプ、
7:第1のサイプ部分、
8:第2のサイプ部分、
9:拡径部、
10:踏面を構成するトレッドゴム層、
11:トレッド部のタイヤ径方向最内側のトレッドゴム層、
12:中間トレッドゴム層、
CL:タイヤ赤道面、
TE:トレッド端
Claims (7)
- トレッド部を有し、
前記トレッド部の踏面に、1本以上のサイプを有し、
前記サイプは、前記踏面側に第1のサイプ部分を有し、サイプ底側に第2のサイプ部分を有し、前記第1のサイプ部分と前記第2のサイプ部分との間に、サイプ幅が前記第1のサイプ部分のサイプ幅及び前記第2のサイプ部分のサイプ幅より大きい拡径部を有し、
前記拡径部の全体が、前記踏面を構成するトレッドゴム層と、前記トレッド部のタイヤ径方向最内側のトレッドゴム層との、タイヤ径方向の中間に位置する、中間トレッドゴム層に含まれ、
前記中間トレッドゴム層の損失正接tanδ1は、前記トレッド部のタイヤ径方向最内側のトレッドゴム層の損失正接tanδ2より大きいことを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記第1のサイプ部分のサイプ深さ方向の延在長さは、前記第2のサイプ部分のサイプ深さ方向の延在長さより長い、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド踏面に、タイヤ周方向に延びる1本以上の周方向主溝を有し、
前記第2のサイプ部分のタイヤ径方向最内側端は、前記周方向主溝の溝底よりタイヤ径方向外側に位置する、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記第2のサイプ部分のサイプ幅は、2.0mm以下であり、且つ、前記第2のサイプ部分のサイプ幅に対する前記第2のサイプ部分のサイプ深さ方向の延在長さの比は、2以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド部は、キャップゴム層、及び、該キャップゴム層よりタイヤ径方向内側に位置するベースゴム層を有し、
前記キャップゴム層は、外側キャップゴム層、及び、該外側キャップゴム層よりタイヤ径方向内側に位置する内側キャップゴム層を有し、
前記踏面を構成するトレッドゴム層は、前記外側キャップゴム層であり、
前記中間トレッドゴム層は、前記内側キャップゴム層であり、
前記トレッド部のタイヤ径方向最内側のトレッドゴム層は、前記ベースゴム層である、請求項1~4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記内側キャップゴム層の損失正接tanδCiは、前記ベースゴム層の損失正接tanδBより大きい、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第2のサイプ部分の全部が、前記中間トレッドゴム層に含まれる、請求項1~6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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