JP4600676B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シートに関する。
化粧シートは、木質板等の被着材の表面保護、装飾等を目的とし、被着材の表面に貼着することにより使用される。化粧シートを被着材に貼着して得られる化粧板は、各種建材、家具等に使用されている。
化粧シートの最表面層は、表面強度が高いことが望ましく、従来、最表面層を硬化型樹脂により形成する試みがなされている。例えば、特許文献1には、基材シートの少なくとも一方の面に絵柄層を設けて、表面に電離放射線硬化型樹脂からなる保護層を設けた化粧シートであって、電離放射線硬化型樹脂中に電離放射線反応型の耐候性添加剤を含有することを特徴とする化粧シートが開示されている。そして、硬化型樹脂層は各種プライマー層の上に積層される場合が多い。
従来、このような化粧シートは、例えば、特許文献2に示される通り、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の脂肪族溶剤などを含む溶剤系組成物から形成されている。
上記した芳香族溶剤、脂肪族溶剤等は、いずれも有機性揮発物質(VOC)であり、特にトルエン、キシレン等の芳香族溶剤はPRTR法の指定化学物質及び室内空気中化学物質の指針値策定物質として挙げられている。また、化粧シート製造時における溶剤系塗工剤に含まれるVOCの揮発による作業環境の問題、化粧シート使用時における残存VOCが一般の生活空間に拡散される環境安全性の問題等が指摘されている。そのため、化粧シート中のVOC使用量を低減することが最近の課題となっている。上記プライマー層を水性組成物から形成することは、VOC低減の観点から好ましい。しかしながら、水性組成物から形成する場合には、溶剤系組成物から形成する場合に比して物性が低下し易い。
特開平11−334021号公報 特開平11−198309号公報
本発明は、水性組成物からなるプライマー層に硬化型樹脂層を積層した化粧シートであって、プライマー層の物性が良好な化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の水性組成物から形成されるプライマー層が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シートに関する。
1.硬化型樹脂層を最表面に有する化粧シートであって、
硬化型樹脂層は、アクリル−ウレタン共重合体及びイソシアネートを含む水性組成物からなるプライマー層に積層されており、
前記アクリル−ウレタン共重合体は、少なくとも、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシカルボン酸及びジイソシアネートを反応させることにより得られ、
前記アクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比は、重量比で順に40:60〜60:40である、
化粧シート
2.アクリル−ウレタン共重合体は、酸価が20mgKOH/g以上である、上記項1に記載の化粧シート。
3.イソシアネートは、自己乳化型イソシアネートである、上記項1又は2に記載の化粧シート。
4.自己乳化型イソシアネートは、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートとアロファネート基含有ポリイソシアネートとの混合物である、上記項3に記載の化粧シート。
5.イソシアヌレート変性ポリイソシアネートとアロファネート基含有ポリイソシアネートとの重量比は、順に40:60〜60:40である、上記項4に記載の化粧シート。
6.ポリエステルポリオールは、アジペート系ポリエステルポリオールとフタレート系ポリエステルポリオールとを順に50:50〜70:30の重量比で含有する、上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
7.水性組成物は、アクリル−ウレタン共重合体100重量部に対してイソシアネート20〜60重量部を含有する、上記項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8.硬化型樹脂層は、電離放射線硬化型樹脂層である、上記項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
9.上記項1〜8のいずれかに記載の化粧シートと被着材とを積層してなる化粧板。
10.硬化型樹脂層を積層するためのプライマー層であって、アクリル−ウレタン共重合体及びイソシアネートを含む水性組成物からなり、
前記アクリル−ウレタン共重合体は、少なくとも、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシカルボン酸及びジイソシアネートを反応させることにより得られ、
前記アクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比は、重量比で順に40:60〜60:40である、
プライマー層。
下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。
本発明の化粧シートは、硬化型樹脂層(好ましくは電離放射線硬化型樹脂層)を最表面に有する化粧シートであって、硬化型樹脂層は、アクリル−ウレタン共重合体及びイソシアネートを含む水性組成物からなるプライマー層に積層されていることを特徴とする。
本発明の化粧シートは、上記プライマー層を有することにより、硬化型樹脂層の耐候密着性及び耐溶剤密着性が良好である。また、上記プライマー層は面状態が良好(斑、筋等がない)であり、且つ、リコート性が優れており、プライマー層の形成から時間を経ても、硬化型樹脂層を良好に形成できる。
プライマー層
本発明のプライマー層は、その上に硬化型樹脂層を形成するために設ける。
プライマー層は、アクリル−ウレタン共重合体及びイソシアネートを含む水性組成物から形成される。なお、水性組成物に含まれるイソシアネートを硬化剤と称し、それ以外の成分を主剤と称する。
上記アクリル−ウレタン共重合体としては水性アクリル−ウレタン共重合体を用いる。水性アクリル−ウレタン共重合体は、例えば、共重合体に含まれる遊離カルボン酸を各種中和剤(アルカノールアミン、水酸化ナトリウム等)により中和することにより得られる。
本発明では、アクリル−ウレタン共重合体の酸価は20mgKOH/g以上であることが好ましい。上記酸価は、40mgKOH/g以上がより好ましく、上限は限定的ではないが、60mgKOH/g程度である。上記酸価を20mgKOH/g以上に設定することにより、水性組成物中において微粒子の形態で存在するアクリル−ウレタン共重合体の粒子径を小さくできるため、特に共重合体の再溶解性、水性組成物の安定性を向上させることができる。前記共重合体の粒子径は限定的ではないが、70nm程度以下が好ましく、共重合体の粒子径が50〜60nm程度ならば、共重合体の再溶解性及び水性組成物の安定性は良好である。当該酸価は、JIS K0070−1992に準拠して、該共重合体の固形分1g中に含まれる遊離カルボキシル基を中和するに要するKOHのmg数より求めた値である。
アクリル−ウレタン共重合体の合成方法は限定的ではないが、中和前の酸価を20mgKOH/g以上に設定する観点からは、少なくとも、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ジイソシアネート及びヒドロキシカルボン酸を反応させる合成方法が好ましい。酸価は、ヒドロキシカルボン酸の量により調整可能である。ヒドロキシカルボン酸の量は、当該酸価が好ましくは20mgKOH/g以上となるように調整できる。上記反応により得られるアクリル−ウレタン共重合体は、中和剤により遊離カルボン酸を中和して親水化後、ジアミン等の鎖延長剤により鎖延長してから用いる。
上記一連の反応により、ポリエステルウレタンが生じるとともにアクリルポリオールが分子中に導入されて末端に水酸基を有する水性アクリル−ウレタン共重合体が得られる。
該共重合体におけるアクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比は、重量比で40:60〜60:40程度が好ましい。かかる範囲内であれば、ブロッキング性、リコート性等が良好となるため好ましい。
該共重合体におけるアクリルとしては、末端に水酸基を有する直鎖アクリル酸エステル重合体が用いられる。このような直鎖アクリル酸エステル重合体としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましく、これは耐候性の向上に寄与する。
該共重合体を構成するウレタン成分のポリオールとしては限定的ではないが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらのポリオールの中でも、耐候性、密着性、コストメリットのバランスを重視する場合はポリエステルポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、公知のアジピン酸ポリエステルポリオール、コハク酸ポリエステルポリオール、セバシン酸ポリエステルポリオール等のアジペート系ポリエステルポリオールと、フタル酸ポリエステルポリオール、イソフタル酸ポリエステルポリオール、テレフタル酸ポリエステルポリオール等のフタレート系ポリエステルポリオールとがある。ポリエステルポリオールとしては限定的ではないが、密着性、耐候性の点で、アジペート系ポリエステルポリオールとフタレート系ポリエステルポリオールとを順に、50:50〜70:30の重量比で含有するものが好ましい。
該共重合体を構成するジイソシアネートとしては限定的ではないが、脂環式イソシアネートが好ましく、具体的には、IPDI(イソホロンジイソシアネート)が好ましい。
該共重合体を構成するヒドロキシカルボン酸は、2,2ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸が好ましく用いられる。
水性組成物に含まれるイソシアネートとしては限定的ではなく、公知の脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート等が挙げられる。例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。なお、イソシアネートは上記イソシアネートの付加体又は多量体等であってもよい。その他、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)の如きポリイソシアネートでもよい。
上記の通り、イソシアネートは限定的ではないが、自己乳化型ポリイソシアネートが好適であり、特にイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとアロファネート基含有ポリイソシアネートとの混合物である自己乳化型ポリイソシアネートを好適に使用できる。前記自己乳化型ポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートとアロファネート基含有ポリイソシアネートとの重量比は、順に40:60〜60:40程度が好ましい。
より具体的には、自己乳化型ポリイソシアネートとしては、下記(A)及び(B);
(A):ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)と少なくともモノオールのアルキレンオキサイド(但しエチレンオキサイドを30モル%以上含有する)付加物(A2)とを反応させて得られるポリイソシアネート、
(B):平均官能基数が2〜3、25℃での粘度が500mPa・s以下のアロファネート基含有ポリイソシアネート、
を重量比で(A):(B)=40:60〜60:40の比率で含有する自己乳化型ポリイソシアネートを好適に使用できる。
ポリイソシアネート(A)は、水分散性を有するものであり、水分散させた場合のポットライフは5〜6時間程度である。ただし高粘度であるため、主剤との相溶性があまり良くない。一方ポリイソシアネート(B)はそれ単独では水分散を有さないものであるが、低粘度である為、(A)に(B)を混合することにより、主剤との相溶性が改善されて塗工面状態が向上する。上記(A)と(B)を質量比で40:60〜60:40で混合した自己乳化型ポリイソシアネートは、主剤(特にアクリル−ウレタン共重合体)との相溶性、塗工面状態、ポットライフ等において良好である。
プライマー層を形成するための水性組成物は、樹脂成分が水又は水系溶媒に溶解又は分散されてなる組成物(樹脂溶液又は樹脂エマルジョンを含む。)であれば制限されない。本発明では、水性組成物として樹脂エマルジョン(水性樹脂エマルジョン)が好ましい。
溶媒である水は、例えば、公知の水系塗工剤等に使用されているグレードの工業用水が使用できる。
また、水系溶媒としては、水と有機溶媒とからなる混合溶媒を使用することもできる。有機溶媒としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等の低級アルコールのほか、グリコール類、グリコールエステル類等の水溶性有機溶剤を好適に用いることができる。なお、水溶性有機溶剤は、水性組成物の流動性改良、被塗工体である基材シートへの濡れ性の向上、乾燥性の調整等の目的で使用されるものであり、その目的に応じてその種類、使用量等が決定される。混合溶媒の場合、水及び有機溶媒の割合は一般に水:有機溶媒20:80〜100:0(重量比)の範囲内で適宜調整できる。
水性組成物におけるアクリル−ウレタン共重合体とイソシアネートとの重量比は限定的ではないが、アクリル−ウレタン共重合体100重量部に対して、イソシアネート20〜60重量部程度が好ましい。
水性組成物中のバインダーはアニオン系が好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の官能基に対し中和剤として塩基性物質(アルカリ)を使用するのが好ましい。中和剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール等の有機アミン類;リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物等が挙げられる。この中でも、中和力に優れ、有機溶剤の揮発による環境汚染をより効果的に軽減できる点で、金属水酸化物及びアルカノールアミンの少なくとも1種が好ましい。特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン及びトリイソプロパノールアミンの少なくとも1種が好ましい。
中和剤の使用量は、一般的に前記樹脂成分を十分に中和し得る量(当量)の1〜1.1倍の範囲内で適宜設定すれば良い。かかる範囲内に設定することによって、より確実な中和力とともに、所望の耐水性等を付与することができる。
水性組成物には、さらに耐ブロッキング性、エンボス加工時の耐熱性の向上、アンカー効果による接着力の向上等の少なくとも1つを目的として、必要に応じて体質顔料を添加することができる。
体質顔料としては、公知又は市販のものを使用でき、特に限定はない。例えば、白土、タルク、クレー、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、シリカ、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等の無機系顔料、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機系顔料、あるいはこれらの共重合体からなる有機系顔料が利用できる。これらは、通常は粒子の形態で使用することが望ましい。
また、水性組成物には、化粧シートの耐候性を向上させるために耐候剤を含めてもよい。耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が挙げられる。
化粧シートの具体的構成
本発明の化粧シートは、最表面に硬化型樹脂層を有し、硬化型樹脂層が上記プライマー層に積層されている限り、その層構成は特に限定されない。硬化型樹脂層に含まれる樹脂成分としては、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。
硬化型樹脂の中でも、熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。上記樹脂には、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、又は重合促進剤を添加できる。硬化剤としては、例えば、イソシアネート又は有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル系樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステルには添加できる。電離放射線硬化型樹脂については後記する。
化粧シートの構成としては、例えば、基材シート上に少なくとも絵柄層、透明性樹脂層、プライマー層及び電離放射線硬化型樹脂層(最表面層)を有し、電離放射線硬化型樹脂層がプライマー層に積層されている化粧シートが好適な実施態様として挙げられる。
プライマー層を含む各層の形成方法は限定的でなく、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、転写印刷等の印刷;スプレー、ローラー、刷毛等の塗布;シート状物等の成形体を積層等のいずれも採用することができる。これらの方法の中から、各層の特性、原料等に応じて適宜組み合わせて選択すれば良い。各層は、特に成形体の積層又は水性組成物による塗膜によって形成されていることが望ましい。
各層の厚みも限定的でなく、最終製品の用途、特性等に応じて適宜決定することができる。通常は0.1〜500μm程度の範囲内とすることができる。特に、プライマー層は、一般的には1〜10μm程度とすることが望ましい。
以下、上記の実施形態を代表例として、プライマー層以外の各層について説明する。
≪基材シート≫
基材シートは、その表面(おもて面)には絵柄層等が順次積層される。
基材シートとしては、例えば熱可塑性樹脂により形成されたものを好適に使用することができる。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等を挙げることができる。
基材シートは、着色されていても良い。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていても良い。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般的には50〜250μmとすることが好ましい。
基材シートにおいては、必要に応じて、絵柄層を設けるインキの接着を強固にするために表面(おもて面)にコロナ放電処理を行うこともできる。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にもコロナ放電処理を施すこともできる。
≪基材シートの裏面プライマー層≫
基材シートの裏面には、化粧シートと被着材との密着性を高めるためにプライマー層を形成してもよい。プライマー層の形成材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(特にポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等とイソシアネート化合物との2液硬化型樹脂)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の樹脂類のほか、アルキルチタネート、エチレンイミン等の化合物も使用できる。これらをそのままで又は溶媒に溶解又は分散させた状態で用いて、公知の印刷方法、塗布方法等に従ってプライマー層を形成できる。
≪絵柄層≫
絵柄層は、木目、節目等の天然素材が有する柄又は模様のほか、文字、図形等も表せる。
絵柄層の形成は、好ましくは基剤シートとの密着性に優れたインキを用い、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の公知の印刷方法により好適に実施することができる。
上記インキとしては、着色材及びバインダーを含むインキを一般に使用することができる。インキのバインダーは、基材シートの材質等に応じて公知のもの又は市販品の中から適宜選択すれば良い。本発明では、VOC低減等の効果がより高められるという点で、上記インキとして水性組成物を使用することが望ましい。水性組成物としては、水性バインダーに着色材が配合された組成物を使用することができる。
上記水性バインダーとしては、公知又は市販の樹脂水溶液、水性樹脂エマルジョン等を使用することができる。これら水性バインダーに使用される樹脂としては、前記の親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。
より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂変性ないし混合樹脂、その他の樹脂を使用することもできる。これらの樹脂は、一種又は二種以上で使用できる。
また、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のニトリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系モノマー;それらのアミド系モノマーのN−アルコキシ置換体やN−メチロール置換体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー;等の一種又は二種以上と、カルボキシル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸の一種ないしそれ以上との共重合体からなるアルカリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を使用することもできる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
着色材は特に限定されず、公知の着色材を使用することができる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニンリンブラック等の有機顔料(染料も含む。)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
≪接着剤層≫
接着剤層は絵柄層と透明性樹脂層との間に存在する。接着剤は、公知の接着剤の中から、絵柄層又は透明性樹脂層を構成する成分等に応じて適宜選択できる。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂等の各種接着剤を使用することができる。また、反応硬化タイプのほか、ホットメルトタイプ、電離放射線硬化タイプ、紫外線硬化タイプ等のいずれのタイプの接着剤であっても良い。
接着方法としては、用いる接着剤の種類等に応じて公知の方法に従って実施すれば良い。また、本発明では、熱圧着できる接着剤を使用し、熱圧着によって絵柄層と透明性樹脂層とを積層することもできる。
接着剤層は、VOC低減等の効果が高められる点で、水性組成物により形成されることが望ましい。水性組成物としては、水性バインダーを含む組成物を使用することができる。上記水性バインダーは、樹脂水溶液、水性樹脂エマルジョン等のいずれの形態であっても良い。これらに使用される樹脂は、前記の絵柄層の形成に使用される水性組成物の水性バインダーと同様のものを使用することができる。
なお、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。
接着剤層の厚みは、透明性保護層、使用する接着剤の種類等によって異なるが、一般的には0.1〜30μm程度とすれば良い。
≪透明性樹脂層≫
透明性樹脂層は、透明である限り、着色されていても良い。また、絵柄層が視認できる範囲内で半透明であっても良い。
上記樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。透明性樹脂層は、特に、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。より好ましくは、立体規則性を有するポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、溶融させたポリオレフィン系樹脂を押し出し法により透明性樹脂層を形成することが望ましい。
透明樹脂層には、必要に応じて充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤が含まれていても良い。
透明性樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には10〜150μm程度とすれば良い。
透明性樹脂層は、必要に応じて凹凸模様を付与することができる。例えば、公知のエンボス加工等によって凹凸模様を付与することが可能である。これによって、立体感のある外観を化粧用シートに与えることができる。
≪電離放射線硬化型樹脂層≫
本発明において、電離放射線硬化型樹脂層は、最表面層として設けられている。当該層は透明である限り、着色されていてもよい。また、絵柄層が視認できる範囲内であれば半透明であっても良い。電離放射線硬化型樹脂層の形成により、化粧シート表面の耐擦傷性を向上させることができる。
電離放射性硬化型樹脂は、公知のもの又は市販品を使用することができる。具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基をもつプレポリマー、オリゴマー及び単量体の少なくとも1種を含む組成物を用いる。
前記のプレポリマー又はオリゴマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類がある。例えば、ポリエステルメタアクリレート、ポリエーテルメタアクリレート、ポリオールメタアクリレート、メラミンメタアクリレート等のメタアクリレート類、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類等がある。
単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸エトキシメチル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ラウリル等メタアクリル酸エステル類がある。
不飽和酸の置換アミノアルコールエステルとしては、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、メタアクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等がある。
その他にも、アクリルアミド、メタアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオベンジルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の多官能性物、及び/又は、分子中に2個以上のチオール基をもつポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオレート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコール等がある。また、3官能基以上のアクリレート系単量体には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート等がある。
電離放射線硬化型樹脂の形成方法は限定的ではないが、例えば、電離放射線硬化型樹脂を含む組成物(塗料)の塗膜に電離放射線を照射することにより形成できる。電離放射線は、塗料に含まれる電離放射線硬化型樹脂、添加剤である光ラジカル重合開始剤・増感剤に作用してラジカル重合反応を開始できるエネルギーを有するものであればよく、紫外線、X線、γ線等の電磁波が挙げられる。この中でも、塗膜の硬化能力、照射装置の簡便性からは電子線が最も実用性が高い。電子線照射する場合には、例えば、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線照射することにより皮膜を架橋硬化させればよい。
電離放射線硬化型樹脂層(即ち、化粧シートの最表面)には、好ましくはエンボス加工等により凹凸模様が施される。
エンボス加工は、化粧シートに木材板表面等所望のテクスチァーを付与するために行われる。例えば、加熱ドラム上でアクリル系樹脂を加熱軟化させた後、さらに赤外線輻射ヒーターで160〜180℃に加熱し、所望の形の凹凸模様を設けたエンボス板で加圧、賦形し、冷却固定して形成する。これは、公知の枚葉又は輪転式のエンボス機を使用すれば良い。凹凸模様としては、例えば木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等が挙げられ、これらの中から所望の模様を適宜選択することができる。
本発明では、電離放射線硬化型樹脂層に他の成分が含まれていても良い。例えば、溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、光安定剤、ツヤ調整剤、ブロッキング防止剤、滑剤等の添加剤を配合することもできる。
電離放射線硬化型樹脂層の厚みは限定されないが、通常は0.1〜50μm、特に1〜20μmとすることが望ましい。
化粧板
本発明の化粧板は、本発明の化粧シートが被着材(基材)上に積層されたものである。より具体的には、化粧シートの硬化型樹脂層が最表面層となるように当該シートが基材上に積層されている。
≪基材≫
本発明化粧シートが適用される基材は、限定的でなく、公知の化粧シートと同様のものを用いることができる。例えば、木質材料、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、本発明化粧シートは、木質材に好適に使用することができる。木質材料としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パティクルボード、中密度繊維板(MDF)等が挙げられる。
≪基材への積層≫
化粧シートの基材への積層は、公知の化粧シートの積層と同様にすることができる。例えば、接着剤を用いて化粧シートを基材上に貼着によって好適に積層することが可能である。
使用できる接着剤としては、例えば、熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系、ゴム系等の各種接着剤を使用できる。これは、公知のもの又は市販品を使用することができる。
熱可塑性樹脂系接着剤としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、シアノアクリレート、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ニトロセルロース、酢酸セルロース、熱可塑性エポキシ、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー等が例示される。
熱硬化性樹脂系接着剤としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリベンゾチアゾール等が例示される。
ゴム(エラストマー)接着剤としては、天然ゴム、再生ゴム、スフチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロピレンゴム、ブロックコポリマーゴム(SBS,SIS,SEBS等)等が例示される。
本発明の化粧シートは、上記プライマー層を有することにより、硬化型樹脂層の耐候密着性及び耐溶剤密着性が良好である。また、上記プライマー層は面状態が良好(斑、筋等がない)であり、且つ、リコート性が優れており、プライマー層の形成から時間を経ても、硬化型樹脂層を良好に形成できる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1(化粧シートの形成)
化粧シート(層構成:基材シート/絵柄層/接着剤層/透明性樹脂層/プライマー層/電離放射線硬化型樹脂層)を作製した。
基材シートとして、厚さ60μmの着色ポリプロピレン樹脂層を用意した。透明性樹脂層として、厚さ80μmの透明性ポリプロピレン樹脂層を用意した。
基材シート上に、アクリルウレタン樹脂を含む溶剤系印刷インキを用いて絵柄層を形成した。
次いで、ポリエステルウレタン樹脂を含む溶剤系接着剤を用いて接着剤層(厚さ10μm)を形成した。
次いで、透明性ポリプロピレン樹脂層を積層した。
次いで、後記する水性組成物を用いてプライマー層(厚さ2μm)を形成した。
次いで、2官能ウレタンアクリレートオリゴマー40部、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー10部、シリカ5部及び酢酸エチル45部を含む溶剤系塗工剤を用いて成膜後、電子線照射(175keV及び5Mrad(50kGy)することにより電離放射線硬化型樹脂層(厚さ5μm)を形成した。
上記過程を経て化粧シートを作製した。
≪水性組成物≫
プライマー層を形成するための水性組成物は、アクリル−ウレタン共重合体、水、イソプロピルアルコール(IPA)、シリカ及び紫外線吸収剤(UVA)の混合物を主剤とし、イソシアネートを硬化剤とした。
アクリル−ウレタン共重合体としては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート(IPDI))及びヒドロキシカルボン酸(2,2ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸)の反応により得られるものを用いた。
アクリル−ウレタン共重合体は、トリイソプロパノールアミンで中和して水性化した。
ポリエステルポリオールは、アジピン酸ポリエステルポリオール/イソフタル酸ポリエステルポリオール=50/50(重量部)のものを使用した。
アクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比は50:50(重量比)とした。
ジイソシアネートの量は、アクリルポリオール、ポリステルポリオール及びヒドロキシカルボン酸のOHとNCOとのモル比が1:1となるように調整した。
ヒドロキシカルボン酸の量は、アクリル−ウレタン共重合体の中和前の酸価が42mgKOH/gとなるように調整した。
イソシアネート(硬化剤)としては、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(HDI系ヌレート)/アロファネート基含有ポリイソシアネート(アロファネート系)=50/50(重量比)のポリイソシアネートを用いた。
水/IPAの比は、水/IPA=7/3となるように設定した。
水性組成物は、主剤に硬化剤を添加直後のものと、主剤に硬化剤を添加後3時間経過したものとの2種類を用意した。これは、水性組成物のポットライフを評価するためである。なお、硬化剤添加量はアクリル−ウレタン共重合体100重量部に対して50重量部の割合で添加した。
水性組成物中における上記共重合体の平均粒子径は60.4nmであった。
参考例1
硬化剤の組成としてHDI系ヌレート/アロファネート=70/30(重量比)の比率のものを使用した以外は実施例1と同様にして形成した塗膜をプライマーとして使用した。
参考例2
硬化剤の組成としてHDI系ヌレート/アロファネート=30/70(重量比)の比率のものを使用した以外は実施例1と同様にして形成した塗膜をプライマーとして使用した。
比較例1
アクリル−ウレタン共重合体として、アクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比が50:50(重量比)の溶剤系アクリル−ウレタン共重合体を使用し、硬化剤としてHDI系硬化剤「FG700」(ザ・インクテック製)を使用した以外は、実施例1と同様にして形成した塗膜をプライマーとして使用した。
参考例3
水性アクリル−ウレタン共重合体として、アクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比が70:30(重量比)のものを使用した以外は、実施例1と同様にして形成した塗膜をプライマーとして使用した。
参考例4
水性アクリル−ウレタン共重合体として、アクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比が30:70(重量比)のものを使用した以外は、実施例1と同様にして形成した塗膜をプライマーとして使用した。
参考例5
実施例1と同様にして酸価42mgKOH/gの水性アクリル−ウレタン共重合体を調製後、実施例1と同様にして水性組成物を調製した。水性組成物中の共重合体の平均粒子径は60.4nmであった。なお、水性組成物は、主剤に硬化剤を添加直後のものと、主剤に硬化剤を添加後3時間経過したものと、主剤に硬化剤を添加後5時間経過したものとの3種類を調製した。
参考例6
ヒドロキシカルボン酸の量を調整することにより、水性アクリル−ウレタン共重合体の酸価を15mgKOH/gに設定した以外は、実施例1と同様にして水性アクリル−ウレタン共重合体を調製した。次いで、実施例1と同様にして水性組成物を調製した。水性組成物中の共重合体の平均粒子径は345.6nmであった。なお、水性組成物は、主剤に硬化剤を添加直後のものと、主剤に硬化剤を添加後3時間経過したものと、主剤に硬化剤を添加後5時間経過したものとの3種類を調製した。
参考例7
ヒドロキシカルボン酸の量を調整することにより、水性アクリル−ウレタン共重合体の酸価を19mgKOH/gに設定した以外は、実施例1と同様にして水性アクリル−ウレタン共重合体を調製した。次いで、実施例1と同様にして水性組成物を調製した。水性組成物中の共重合体の平均粒子径は88.1nmであった。なお、水性組成物は、主剤に硬化剤を添加直後のものと、主剤に硬化剤を添加後3時間経過したものと、主剤に硬化剤を添加後5時間経過したものとの3種類を調製した。
試験例1
実施例、参考例1〜4及び比較例で形成した電離放射線硬化型樹脂層の面状態、耐候性及び耐溶剤性を評価した。また、プライマー層のリコート性を評価した。
各評価方法(試験方法)は下記の通りとした。
≪試験方法≫
(1)面状態:目視により電離放射線硬化型樹脂層表面の班、筋の有無を確認した。面状態は、斑、筋のないものを○とし、斑、筋のあるものを×と評価した。
(2)耐候性:化粧シートをアイ・スーパーUVテスター(岩崎電気製)を用いて192時間暴露後、塗膜(電離放射線硬化型樹脂層)をカッターナイフで2mm間隔にカットし、セロテープ(登録商標)により塗膜の剥離試験を行った。暴露条件は 温度63℃ 湿度50%RH 照射強度60mw/m。照射20時間、結露4時間を1サイクルとし8サイクル暴露した。耐候性は、剥離なしを○、塗膜とプライマー層との層間で剥離したものを×と評価した。
(3)耐溶剤性:電離放射線硬化型樹脂層の表面を50回ラビングした(500g荷重)。ラビング後、肉眼観察により、外観に変化がないものを○、外観に白化が認められたものを×と評価した。
(4)リコート性:プライマー用水性組成物を塗工後、60℃、48時間放置後に電離放射線硬化型樹脂層を形成して耐候密着性試験を行った。耐候試験後、セロテープ(登録商標)により繰り返し5回剥離試験を行い、剥離なしを○とし、プライマー層と電離放射線硬化型樹脂層間で剥離したものを×とした。
(5)ポットライフ:硬化剤であるイソシアネートを添加直後の水性組成物と、添加3時間後の水性組成物の2種類でプライマー層を形成して物性を比較した。
試験結果を下記表1に示す。
Figure 0004600676
表1の結果から明らかなように、水性プライマーを使用することにより耐溶剤性及びリコート性が溶剤系に比して向上している。また、イソシアネート硬化剤はHDI系ヌレート/アロファネート=50/50(重量比)にすることにより、面状態、ポットライフのバランスが良くなることが分かる。更に、アクリル−ウレタン共重合体はアクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比を50:50(重量比)とすることにより耐候性、リコート性のバランスが良くなることが分かる。
試験例2
参考例5〜7で調製した水性組成物(いずれも3種類)を、バーコータ♯6を用いてアルミニウム板に塗布直後(塗布量:1.7g/m)、試験溶液(水/IPA=7/3)にアルミニウム板を3分間浸漬した。
3分経過後、アルミニウム板の塗膜が100%溶解しているもの(溶解率100%)を○と評価した。また、70%≦溶解率<100%のものを「○−△」と評価した。また、溶解率<70%のものを△と評価した。
評価結果を下記表2に示す。
Figure 0004600676
表2の結果からは、酸価が20mgKOH/g以上の参考例5の水性組成物は、硬化剤添加時期に関わらず、良好な再溶解性を示すことが分かる。酸価が20mgKOH/g未満の場合には、酸価が小さくなるに従って共重合体の平均粒子径は小さくなり、同時に再溶解性が低下することが分かる。

Claims (10)

  1. 硬化型樹脂層を最表面に有する化粧シートであって、
    硬化型樹脂層は、アクリル−ウレタン共重合体及びイソシアネートを含む水性組成物からなるプライマー層に積層されており、
    前記アクリル−ウレタン共重合体は、少なくとも、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシカルボン酸及びジイソシアネートを反応させることにより得られ、
    前記アクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比は、重量比で順に40:60〜60:40である、
    化粧シート
  2. アクリル−ウレタン共重合体は、酸価が20mgKOH/g以上である、請求項1に記載の化粧シート。
  3. イソシアネートは、自己乳化型イソシアネートである、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 自己乳化型イソシアネートは、イソシアヌレート変性ポリイソシアネートとアロファネート基含有ポリイソシアネートとの混合物である、請求項3に記載の化粧シート。
  5. イソシアヌレート変性ポリイソシアネートとアロファネート基含有ポリイソシアネートとの重量比は、順に40:60〜60:40である、請求項4に記載の化粧シート。
  6. ポリエステルポリオールは、アジペート系ポリエステルポリオールとフタレート系ポリエステルポリオールとを順に50:50〜70:30の重量比で含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 水性組成物は、アクリル−ウレタン共重合体100重量部に対してイソシアネート20〜60重量部を含有する、請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 硬化型樹脂層は、電離放射線硬化型樹脂層である、請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の化粧シートと被着材とを積層してなる化粧板。
  10. 硬化型樹脂層を積層するためのプライマー層であって、アクリル−ウレタン共重合体及びイソシアネートを含む水性組成物からなり、
    前記アクリル−ウレタン共重合体は、少なくとも、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシカルボン酸及びジイソシアネートを反応させることにより得られ、
    前記アクリルポリオールとポリエステルポリオールとの共重合比は、重量比で順に40:60〜60:40である、
    プライマー層
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