JP7172388B2 - 化粧材 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、絵柄層及び/又は着色層の上に、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物からなる紫外線吸収剤を含有する表面保護層を積層した化粧シートが開示されている。
一方、有機系の紫外線吸収剤に代えて、無機系の紫外線吸収剤を用いた場合、無機系の紫外線吸収剤は、有機系の紫外線吸収剤と比較して経時劣化し難いため、紫外線吸収性能を長期間にわたって得られるものの、無機系の紫外線吸収剤は、有機系の紫外線吸収剤と比較して紫外線吸収能が低いため、所望の紫外線吸収性能を得るためには、当該無機系の紫外線吸収剤を多量に添加する必要がある。このように、無機系の紫外線吸収剤を化粧材の表面保護層に多量に添加すると、外観が白濁したものとなり易く、基材(プラスチックシート)に施された色彩や模様等の意匠の視認性が損なわれ易いという問題があった。また、例えば表面保護層を架橋性の樹脂により形成した場合、無機系の紫外線吸収剤を多量に添加すると、表面保護層の架橋密度が十分に上がらず、耐候剤がブリードアウトし易くなるため、十分な耐候性を得られないという問題もあった。
前記無機系紫外線吸収剤含有層は、バインダー樹脂を含み、無機系紫外線吸収剤を10~30質量%の含有割合、及び、有機系紫外線吸収剤を15~30質量%の含有割合で含有し、
前記表面保護層は、バインダー樹脂を含み、紫外線吸収剤として有機系紫外線吸収剤のみを0.1~10質量%の含有割合で含有する、ことを特徴とする。
図1に示す化粧材10は、着色基材5の一方の面に、透明樹脂層6、無機系紫外線吸収剤含有層7、表面保護層8が、この順に配置されて積層されたものである。
図1に示す例では、透明樹脂層6、無機系紫外線吸収剤含有層7及び表面保護層8が、その直下の層の全面を被覆するように、形成されている。
これらの基材材料のうち、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材材料として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、基材の片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等の物理的処理、又は化学的表面処理等の易接着処理を行っても良い。
合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アイオノマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合、エチレン-酢酸ビニル共重合、エチレン-ビニルアルコール共重合等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル、ポリエステル樹脂あるいはアクリル樹脂が耐候性、耐水性等の各種物性、印刷適正、成型加工適正、価格の観点から好ましい。
顔料としては、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン(チタン白)、沈降性硫酸バリウムおよびバライト等の白色顔料;カーボンブラック、アゾメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料等の黒色顔料;鉛丹、酸化鉄赤、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド等の赤色顔料;黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、イソインドリノンイエロー、ニッケル-アゾ錯体等の黄色顔料;ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)等の青色顔料;等が挙げられる。
基材層1の厚さが上記範囲内であれば、化粧材として十分な強度を確保することができる。
着色層2は、不透明色で形成された層としてもよく、着色透明色で形成された層としてもよい。着色層が不透明色で形成された層である場合には、当該着色層は隠蔽層として機能する。着色層が着色透明色で形成された層とした場合には、基材層1が有する色彩や模様の色相を調整し、基材層1の表面に意図した色彩を与えることができる。
着色層2の形成に用いられるバインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、塩素化ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂などの中から選ばれる任意のものを、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
着色層2の形成に用いられる着色剤としては、基材中に染料、顔料等の着色剤を添加できる。これらの着色剤の中では、退色を抑制しやすい顔料が好ましい。
顔料としては、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン(チタン白)、沈降性硫酸バリウムおよびバライト等の白色顔料;カーボンブラック、アゾメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料等の黒色顔料;鉛丹、酸化鉄赤、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド等の赤色顔料;黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、イソインドリノンイエロー、ニッケル-アゾ錯体等の黄色顔料;ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)等の青色顔料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
着色層2を形成する場合、着色層2は、厚さ1~20μm程度のいわゆるベタ印刷層として形成することができる。
絵柄層3に形成される模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、皮表面の皮シボ柄、幾何学模様、文字、図形、またこれらを組合わせたものであってもよい。
絵柄層3に形成される模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成されるものであってもよく、模様を構成する個々の色の版を用意して行う多色印刷等によっても形成されるものであってもよい。
絵柄層3の形成に用いる絵柄インキとしては、着色層2の形成に用いるインキと同様のものを用いることができる。着色層2の形成に用いられるインキには、さらに、後述する無機系紫外線吸収剤や、有機系紫外線吸収剤を配合してもよい。
透明樹脂層6は、透明性を有する樹脂製の層であれば特に制限なく用いることができる。
透明樹脂層6として用いられる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂が挙げられ、この中でも加工性の観点からポリオレフィン樹脂が好ましい。また、これらの各樹脂を2種類以上混合して使用してもよく、或いはこれらの各樹脂を用いて形成される層を複数積層してもよい。
透明樹脂層6には、後述する無機系紫外線吸収剤や有機系紫外線吸収剤を含有させることが可能である。透明樹脂層6に無機系紫外線吸収剤や有機系紫外線吸収剤を含有させることにより、透明樹脂層6や、透明樹脂層6よりも着色基材5側に設けられた層の耐候性を高めることができる。なお、ここで透明とは、完全に透明であることだけを意味するものでなく、半透明であることをも包含するものである。
また、透明樹脂層6には、光安定剤、着色剤等の添加剤を含有させることも可能である。
透明樹脂層6の厚さとしては、特に制限はないが、通常20~150μm程度、好ましくは40~120μm、更に好ましくは60~100μmの範囲が好ましい。
また、接着性樹脂層4を向ける場合、その厚さとしては、特に制限はないが、通常0.1~30μm程度、好ましくは1~15μm、更に好ましくは2~10μmの範囲が好ましい。
さらに、前記ウレタン-アクリルブロック共重合体についても、そのウレタン重合体成分におけるイソシアネート成分として、脂肪族イソシアネートや脂環式イソシアネートを有することが、耐候密着性の点で好ましい。
なお、2液硬化型ウレタン樹脂の合成やウレタン-アクリルブロック共重合体の合成に用いるイソシアネート成分としては、脂環式イソシアネートと脂肪族イソシアネートとを併用しても良い。
無機系紫外線吸収剤含有層形成用組成物として、アクリル重合体成分を含む樹脂を用いることで、表面保護層8を形成する樹脂成分として後述する電離放射線硬化性樹脂、具体的にはアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂を用いた場合に、無機系紫外線吸収剤含有層7が、表面保護層8との間で良好な密着性を有するものとすることができる。また、無機系紫外線吸収剤含有層7を形成する樹脂として、2液硬化型樹脂を用いた場合に、当該樹脂がウレタン重合体成分を含むことで、表面保護層8と無機系紫外線吸収剤含有層7との密着性が良好となる。特に、無機系紫外線吸収剤含有層7を形成する樹脂としてウレタン重合体成分を含む樹脂を用いることで、表面保護層形成用組成物として、ウレタンアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂を用いて形成した表面保護層8と無機系紫外線吸収剤含有層7との密着性が良好となる。
なお、前記(B)のポリエステル系ウレタン重合体成分、ポリエーテル系ウレタン重合体成分は、それぞれ単体で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
また、前記(B)のポリエステル系ウレタン重合体成分としては、(1)ポリエステルポリオール成分にジアミン化合物を添加しウレタン骨格の一部をウレア化する、(2)ポリエステルポリオール成分にフェニル基を導入する、(3)アルコール成分をポリカーボネート系としたポリエステルポリオール成分にジアミン化合物を添加しウレタン骨格の一部をウレア化する、などによって作られた重合体等も、用いることが出来る。ウレタン-アクリルブロック共重合体のアクリル重合体成分と、ウレタン重合体成分の比率は、適宜調整すれば良いが、アクリル重合体成分:ウレタン重合体成分の質量比を40:60~60:40の範囲とすることが、密着性能が良好である点で好ましい。
なお、当該無機系紫外線吸収剤含有層形成用組成物は、更に、脂肪族イソシアネートや脂環式イソシアネート等のイソシアネート成分を混合することで、硬化させることができる。
アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸やアルキル基の炭素数が1~6程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、アクリル成分及びウレタン成分の含有量が上記の範囲内であると過度に硬い塗膜となることがなく、十分な加工適性が得られ、折り曲げ加工時に樹脂表面上に白い筋(白化)が生じるといった問題が起こりにくい。
熱可塑性ウレタン樹脂の合成に用いるジイソシアネートとしては、例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフタリンジイソシアネート、n-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、m-或いはp-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が使用される。或いは、これらのジイソシアネートの多量体又は付加体も使用できる。また、これらジイソシアネートは1種単独で使用してもよく、又は2種以上を混合して使用してもよい。
なお、ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子ジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオールや、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等がある。
ここで、縮合ポリエステルジオールの合成に使用されるジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸類;テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類等が、1種単独で、又は2種以上を混合して使用される。また、上記ラクトンには、ε-カプロラクトン等が使用される。
ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘキサブチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられ、これらは1種単独で使用してよもく、又は2種以上を混合して使用してもよい。
重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物中には、上記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。
無機系紫外線吸収剤含有層7に、無機系紫外線吸収剤を3~50質量%の含有割合で含有することで、当該無機系紫外線吸収剤含有層7、及び無機系紫外線吸収剤含有層7よりも着色基材5側に設けられた層の紫外線による劣化を抑制することができ、優れた耐候性を得ることができる。
これにより、着色基材5に含まれる絵柄層3や着色層2の劣化を長期間にわたって抑制することができる。即ち、着色基材5が有する色彩や模様の視認性を長期間にわたって維持することができ、優れた意匠性を維持することができる。また、無機系紫外線吸収剤含有層7の劣化や、当該無機系紫外線吸収剤含有層7よりも着色基材5側の層の劣化を抑制することができるため、長期間にわたって、表面材としての機能を良好な状態で維持することができ、優れた耐候性を得ることができる。
本開示の化粧材は、表面保護層8と着色基材5との間に配置した無機系紫外線吸収剤含有層7に、上記した所定量の範囲で無機系紫外線吸収剤を含有させているため、表面保護層8に無機系紫外線吸収剤を多量に添加しなくても、十分な紫外線吸収性能を得ることができる。このため、表面保護層8における架橋密度の低下や、これに伴う、表面保護層8における耐候剤のブリードアウトの発生を抑制することができ、優れた耐候性を得ることができる。
無機系紫外線吸収剤の含有割合は、意匠性の低下を抑制しつつ、高い耐候性を得る観点から、3~50質量%であることが好ましく、5~45質量%であることがより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。
無機系紫外線吸収剤含有層7に含まれる無機系紫外線吸収剤の平均粒子径は、より好ましくは200nm以下であり、より好ましくは150nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下である。
無機系紫外線吸収剤含有層7に、有機系紫外線吸収剤を補助的に含有させることで、無機系紫外線吸収剤含有層7、及び無機系紫外線吸収剤含有層7よりも着色基材5側に配置された層の紫外線による劣化を、より効果的に抑制することができる。また、無機系紫外線吸収剤含有層7に多量の無機系紫外線吸収剤を含有させなくても、高い紫外線吸収性能を得られるため、無機系紫外線吸収剤含有層7において高い透明性を得ることができる。
また、無機系紫外線吸収剤含有層7に有機系紫外線吸収剤を含有させることにより、例えば透明樹脂層6等の、無機系紫外線吸収剤含有層よりも着色基材5側に配置された層への紫外線の入射量が低減される。このため、これらの層や、当該無機系紫外線吸収剤含有層7自体に含まれる、無機系紫外線吸収剤の紫外線による励起や、これに伴う光触媒反応による樹脂成分の分解反応を抑制することができる。
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、例えば2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3-[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。
また、無機系紫外線吸収剤含有層7に含有させる有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系であってもよい。
当該無機系紫外線吸収剤含有層7に含まれる有機系紫外線吸収剤の含有割合を、30質量%以下とすることで、当該有機系紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制されるため、紫外線吸収性能を長期間にわたって良好に保つことができる。
無機系紫外線吸収剤含有層7に配合する光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2’-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1-オクチルオシキ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキロキシ-2,2,6,6-テトラメ チルピペリジン-4-yl)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3, 5-トリアジンなどが挙げられる。
無機系紫外線吸収剤含有層7を形成する際には、無機系紫外線吸収剤含有層7の形成面に、必要に応じ適宜、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面易接着処理を行っても良い。プライマー層の厚みは、用途等にもよるが、通常、1~10μm程度である。なお、無機系紫外線吸収剤含有層7を、電離放射線硬化型の樹脂により形成する場合、電離放射線硬化性の樹脂組成物の硬化は、後述する表面保護層8の形成において説明するのと同様にして行うことができる。
具体的には、従来電子線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。
具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
表面保護層8の形成に紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、樹脂組成物100質量部に対して、光重合用開始剤を0.1~5質量部程度添加することが望ましい。
光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマー、又はカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等を用いることができる。
また、光増感剤としては、例えばp-ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本開示においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は溶剤の使用量を低減することが可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
表面保護層8に有機系紫外線吸収剤を配合することで、表面保護層8に無機系紫外線吸収剤を多量に含有させなくても、高い紫外線吸収性能を得ることができる。このため、少なくとも表面保護層8自体の、紫外線による劣化を抑制することができ、かつ表面保護層8における白濁や白化現象が抑制され、表面保護層8としての透明性が高く、化粧材として高い意匠性を得ることができる。
また、表面保護層8に、有機系紫外線吸収剤を含有させることで、例えば無機系紫外線吸収剤含有層7等の、着色基材5側の層への紫外線の入射量が低減される。このため、これらの層や、当該表面保護層8自体に含まれる、無機系紫外線吸収剤の紫外線による励起や、これに伴う光触媒反応による樹脂成分の分解反応を抑制することができる。
また、表面保護層8に有機系紫外線吸収剤を含有させることで、例えば絵柄層3等の、表面保護層8よりも着色基材5側に存在する層における柄の退色を抑制することができる。
また、表面保護層8に有機系紫外線吸収剤を含有させることで、例えば基材層1等の、着色基材5側に存在する層の劣化を抑制することができる。
表面保護層8を、電子線硬化性樹脂組成物により形成した場合、当該表面保護層に配合する有機系紫外線吸収剤としては、前述の無機系紫外線吸収剤含有層の説明において述べた、トリアジン系紫外線吸収剤を好適に用いることができる。
表面保護層8に含まれる有機系紫外線吸収剤の含有割合を、8質量%以下とすることで、当該有機系紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制されるため、紫外線吸収性能を長期間にわたって良好に保つことができる。
表面保護層8における、有機系紫外線吸収剤の含有割合は、無機系紫外線吸収剤の光触媒作用を抑制する効果を得つつ、当該吸収剤のブリードアウトを抑制する観点から、0.1質量%以上8質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上6質量%以下がさらに好ましい。
表面保護層8に無機系紫外線吸収剤を含有させることにより、主に表面保護層における耐候性を補助的に補うことができる。例えば、表面保護層8に配合する有機系紫外線吸収剤の量を少ない量に抑えた場合でも、無機系紫外線吸収剤を表面保護層8に補助的に配合することで、表面保護層8や、当該表面保護層8よりも着色基材5側の層における耐候性を補うことができる。但し、表面保護層8における紫外線吸収剤の含有割合は、無機系紫外線吸収剤含有層7における無機系紫外線吸収剤の含有割合よりも少ないことが好ましい。
表面保護層8における白化現象や白濁を抑制し、透明保護層8における透明性を得る点から、無機系紫外線吸収剤の含有割合は、15質量%以下とすることが好ましい。
表面保護層8における無機系紫外線吸収剤の含有割合は、優れた耐候性を有しつつ、高い意匠性を得る観点から、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましい。
表面保護層8における無機系紫外線吸収剤の含有割合は、0.5~10質量%であることがより好ましい。
表面保護層8に配合する光安定剤としては、前述の無機系紫外線吸収剤含有層の説明において述べた、ヒンダードアミン系光安定剤を好適に用いることができる。
表面保護層8には、さらに、重合禁止剤として例えばハイドロキノン、p-ベンゾキノン等、架橋剤として例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等、充填剤として例えば硫酸バリウム、タルク等、着色剤として例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー等、赤外線吸収剤として例えば、ジチオール系金属錯体等を含有させることができる。
本開示においては、このようにして調製された塗工液を、着色基材5上に形成された層の表面に、硬化後の厚さが1~20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2~20μm程度であることが好ましい。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy、好ましくは10~50kGyの範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190~380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することができる。
これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧材との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。これらの処理方法は、前述した基材層1に施すものと同様である。
(評価方法)
(1)意匠性(初期外観)の評価(目視)
得られた化粧材の意匠性(外観)を、目視により下記の基準で評価した。
A : ヘイズ無く、意匠性が十分保持されている
B : ややヘイズがあるが、意匠性は実使用上問題ない
C : ヘイズが高く、意匠性が大きく損なわれている
(2)耐候性促進試験(初期外観からの外観変化の度合い)
アイスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用いブラックパネル温度63℃にて、照度100mW/cm2、20時間照射し、4時間結露で試験した後(以下、S-UV試験という)、1000時間後に目視で観察をして、外観変化の度合いを評価した。
A : 外観変化は確認されなかった
B : 軽微な外観変化が確認された
C : 著しい艶低下、クラック等が確認された
基材としてポリプロピレン樹脂シート(厚さ:60μm)を準備した。該ポリプロピレン樹脂シート表面に、両面コロナ放電処理を施した後、当該基材の一方の面に、2液硬化型アクリル-ウレタン樹脂をバインダーとして含有する印刷インキをグラビア印刷法により塗布して、木目模様の絵柄層(厚さ:3μm)を形成して、着色基材を形成した。
他方の面に2液硬化型ウレタン-硝化綿混合樹脂(硬化剤として、樹脂100質量部に対して、ヘキサメチレンジイソシアネートを5質量部含有)を含む樹脂組成物を塗布して裏面プライマー層(厚さ:3μm)を形成した。
次いで、絵柄層の上に、透明樹脂であるポリウレタン樹脂系接着剤をグラビア印刷法により塗布して接着層(乾燥後の厚さ:3μm)を形成した後、透明樹脂であるポリプロピレン樹脂をTダイ押出機により加熱溶融押出しして、透明樹脂層(厚さ:80μm)を形成した。
次いで、透明樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、下記組成の無機系紫外線吸収剤含有層形成用樹脂組成物100質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)5質量部とを混合した組成物を、グラビア印刷法により透明樹脂層の表面に塗布して、無機系紫外線吸収剤含有層(乾燥後の厚さ:4μm)を形成した。
次に、無機系紫外線吸収剤含有層上に、下記組成の電離放射線硬化性樹脂組成物をロールコート法により塗布して、未硬化樹脂層を形成し、電子線(加圧電圧:175KeV、5Mrad(50kGy))を照射して未硬化樹脂層を架橋硬化させることにより、表面保護層(厚さ:5μm)を形成して、積層シートを得た。その後、積層シートの表面保護層側からエンボス加工を施して、表面保護層側の表面に、最大深さ50μmの凹部を有する木目導管模様を形成し、化粧材を得た。得られた化粧材について、上記の評価方法に基づき評価を行った。
樹脂組成物の組成:
ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体及びアクリルポリオール樹脂の混合物[バインダー];65質量%
酸化亜鉛[無機系紫外線吸収剤];表1に示す量(但し、表1に示す量は、無機系紫外線吸収剤含有層形成用組成物の全量に対する、固形分換算での質量%とする。)。粒径は表1に示す粒径値。
有機系紫外線吸収剤A(ヒドロキシフェニルトリアジン化合物(「TINUVIN479」、BASF社製))、有機系紫外線吸収剤B(ヒドロキシフェニルトリアジン化合物(「TINUVIN400」、BASF社製));
表1に示す量(但し、表1に示す量は、有機系紫外線吸収剤A:有機系紫外線吸収剤B=3:12の質量比で混合した混合物としての量であり、無機系紫外線吸収剤含有層形成用組成物の全量に対する、固形分換算での量とする。)
ヒンダードアミン光安定剤(ビス(1-オクチルオシキ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、「TINUVIN123」、BASF社製);
無機系紫外線吸収剤含有層形成用組成物の全量に対して、3質量%
ウレタンアクリレートオリゴマー(電離放射線硬化性樹脂、重量平均分子量:4,000、官能基数:3);75質量部
酸化亜鉛(粒径20nm)[無機系紫外線吸収剤];表1に示す量(但し、表1に示す量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全量に対する、固形分換算での量とする。)
ヒドロキシフェニルトリアジン化合物(「TINUVIN479」,BASF社製)[有機系紫外線吸収剤];
電離放射線硬化性樹脂組成物の全量に対して、1質量%
ヒンダードアミン光安定剤(ビス(1-オクチルオシキ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、「TINUVIN123」、BASF社製);
電離放射線硬化性樹脂組成物の全量に対して、2.5質量部
無機系紫外線吸収剤含有層形成用組成物に対する無機系紫外線吸収剤の添加量を、表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、化粧材を得た。
電離放射線硬化性樹脂組成物に対する無機系紫外線吸収剤の添加量を、表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、化粧材を得た。
無機系紫外線吸収剤含有層形成用組成物に対する無機系紫外線吸収剤の添加量、及び 電離放射線硬化性樹脂組成物に対する無機系紫外線吸収剤の添加量を、それぞれ表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、化粧材を得た。
電離放射線硬化性樹脂組成物に対する有機系紫外線吸収剤の添加量を、それぞれ表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、化粧材を得た。
無機系紫外線吸収剤含有層形成用組成物に対する無機系紫外線吸収剤の添加量を、表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、化粧材を得た。
無機系紫外線吸収剤含有層形成用組成物に対する無機系紫外線吸収剤の添加量、及び 電離放射線硬化性樹脂組成物に対する無機系紫外線吸収剤の添加量を、それぞれ表1に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、化粧材を得た。
一方比較例1では、無機系紫外線吸収剤含有層における酸化亜鉛の含有量が3質量%未満であったため、耐候性の点で劣るものであった。
また、比較例2では、無機系紫外線吸収剤含有層における酸化亜鉛の含有量が50質量%を超えていたため、高い耐候性を得られたものの、意匠性の点で劣っていた。
また、比較例3では、実施例3と対比すると、実施例3の無機系紫外線吸収剤含有層における酸化亜鉛より多い量の酸化亜鉛を、表面保護層に含有しているにもかかわらず、耐候性の点で劣っており、また、意匠性の点でも劣っていた。
2 着色層
3 絵柄層
4 接着性樹脂層
5 着色基材
6 透明樹脂層
7 無機系紫外線吸収剤含有層
8 表面保護層
10 化粧材
11 接着剤層
12 基板
20 化粧板
Claims (4)
- 着色基材上に表面保護層を有し、前記着色基材と前記表面保護層との間に無機系紫外線吸収剤含有層が配置されている化粧材であって、
前記無機系紫外線吸収剤含有層は、バインダー樹脂を含み、無機系紫外線吸収剤を10~30質量%の含有割合、及び、有機系紫外線吸収剤を15~30質量%の含有割合で含有し、
前記表面保護層は、バインダー樹脂を含み、紫外線吸収剤として有機系紫外線吸収剤のみを0.1~10質量%の含有割合で含有する、ことを特徴とする化粧材。 - 前記無機系紫外線吸収剤含有層に含まれる無機系紫外線吸収剤の平均粒子径が、300nm以下である、請求項1に記載の化粧材。
- 前記表面保護層が、前記バインダー樹脂として電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含む、請求項1又は2に記載の化粧材。
- 前記着色基材は、基材層及び当該基材層の前記無機系紫外線吸収剤含有層と向き合う側に設けられた絵柄模様層を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化粧材。
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