JP2004075782A - 自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物及びそれを用いた水性塗料 - Google Patents

自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物及びそれを用いた水性塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】水分散系で十分なポットライフと優れた塗膜物性の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物、及びこれを用いた水性塗料を提供する。
【解決手段】少なくとも下記ポリイソシアネート(A)及び(B)の質量比50/50〜90/10のポリイソシアネート混合物のイソシアネート基をブロック化した自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物、及び水性塗料である。(A):ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)と少なくとも分子中にオキシエチレン結合を合計で30モル%以上含有するポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)とを反応させて得られるポリイソシアネート。
(B):平均官能基数2〜3かつ粘度500mPa・s/25℃以下のアロファネート変性ポリイソシアネート。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、十分なポットライフと塗膜物性が得られる自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物、及びそれを用いた水性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機溶剤を多く含有する塗料、接着剤、コーティング剤等には、人体への悪影響、爆発火災等の安全衛生上の問題、また、大気汚染等の公害問題がある。
そこで、これらの問題点を改善するため、近年水性システムの開発が活発に行われており、従来から水溶性高分子溶液や水性エマルジョンが使用されている。
しかし、水性一液システムでは要求物性を発現できないことが多いので、一般に耐候性及び接着性等の向上のため架橋剤が併用されている。架橋システムには種々の方法があり、架橋剤としては自己乳化型ポリイソシアネートが広く用いられている。このような自己乳化型ポリイソシアネートの例として、特開昭61−291613号公報、特開平5−222150号公報等に記載されているものがあり、これらは親水性界面活性剤をポリイソシアネートに導入したものである。また、特開平10−195172号公報には、親水性界面活性剤と疎水鎖を導入した自己乳化型ポリイソシアネートが記載されている。更に、特開昭57−183753号公報には、有機ポリイソシアネートにポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基を有する化合物を反応させて得られるイソシアネート組成物が開示されている。
【0003】
しかしながら、特開昭61−291613号公報や特開平5−222150号公報等に具体的に記載されている親水性界面活性剤は、アルコキシポリエチレングリコールである。このような自己乳化性ポリイソシアネートを水に分散させると、イソシアネート基と水との反応によってイソシアネート基の減少が起こり、十分なポットライフ(可使時間)が確保できないという問題がある。また、特開平10−195172号公報では、親水性界面活性剤以外に疎水鎖を導入しているため、自己乳化性ポリイソシアネートのイソシアネート含量が小さくなり、例えば塗料用硬化剤として使用した場合、十分な架橋密度を有する塗膜が得られにくい。また、特開昭57−183753号公報では、ポリイソシアネート水分散液の可使時間が不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水分散系で十分なポットライフを有し、かつ、優れた塗膜物性が得られる自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物、及びこれを用いた水性塗料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、特定のポリイソシアネート混合物をブロック剤で封鎖した自己乳化型ブロックポリイソシアネートにより上記課題を解決しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(3)に示されるものである。
【0006】
(1) 少なくとも下記ポリイソシアネート(A)及び(B)を(A)/(B)=50/50〜90/10の質量比で含有するポリイソシアネート混合物のイソシアネート基をブロック剤で封鎖した自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物。
(A):ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)と少なくとも分子中にオキシエチレン結合を合計で30モル%以上含有するポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)とを反応させて得られるブロックポリイソシアネート。
(B):平均官能基数2〜3かつ粘度500mPa・s/25℃以下のアロファネート変性ポリイソシアネート。
【0007】
(2) 前記アロファネート変性ポリイソシアネート(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートとアルコールとをカルボン酸ジルコニウム塩の存在下で反応させて得られるものである、前記(1)の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物。
【0008】
(3) 前記(1)又は(2)の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物を含有すること、を特徴とする水性塗料。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明に用いられるポリイソシアネート(A)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(以後、HDIと略称する。)のイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)と、少なくとも、分子中にオキシエチレン結合を合計で30モル%以上含有するポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)とを反応させて得られるウレタン・イソシアヌレート変性ポリイソシアネートである。
【0010】
イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)は、HDIを変性して分子中にイソシアヌレート基を導入したポリイソシアネートであり、分子中にイソシアネート基とイソシアヌレート基を有する。なお、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)は、分子中に更にウレタン基、ウレア基等を有していてもよい。
【0011】
イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)が出発原料としてHDIを用いているのは、耐候性や、水分散時におけるブロックイソシアネート基と水との反応性を考慮したためである。なお、耐候性等を大幅に損なわない範囲で、HDIの一部を他の有機ポリイソシアネートに置き換えることができる。
【0012】
イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)は公知の方法で得ることができるが、具体的には例えば、以下の方法で製造することができる。
(イ):HDIにイソシアヌレート化触媒を添加してイソシアヌレート化反応を行い、次いで触媒毒添加によりイソシアヌレート化反応を停止させた後、遊離のHDIを除去する。
(ロ):HDIとポリオールとをウレタン化反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを製造し、これにイソシアヌレート化触媒を添加してイソシアヌレート化反応を行い、次いで触媒毒添加によりイソシアヌレート化反応を停止させた後、遊離のHDIを除去する。
【0013】
なお、(ロ)の方法の場合、イソシアネート基末端プレポリマー製造の際のHDIとポリオールとの仕込み比は「イソシアネート基が水酸基に対して過剰となる量」であり、具体的には、イソシアネート基と水酸基とのモル比はイソシアネート基/水酸基=8以上であることが好ましく、10〜50が特に好ましい。
【0014】
ここで、イソシアヌレート化触媒としては公知のものが使用でき、具体的には、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド等のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド、また、酢酸テトラメチルアンモニウム塩、酢酸テトラエチルアンモニウム塩、酢酸テトラブチルアンモニウム塩等の有機弱酸塩、また、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド等のトリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウムハイドロオキサイド、また、酢酸トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム塩、酢酸トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、酢酸トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム塩、酢酸トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等の有機弱酸塩、また、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン、また、酢酸、カプロン酸、カプリン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の金属塩等が挙げられる。
これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
イソシアヌレート化反応を停止させる触媒毒としては、リン酸、塩酸等の無機酸、また、スルホン酸基、スルファミン酸基等を有する有機酸及びこれらのエステル類、また、アシルハライド等が挙げられる。
これらも単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0016】
前記イソシアネート基末端プレポリマーを製造するためのポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の数平均分子量500以下の低分子ポリオール、また、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、又は酸無水物等の1種以上と、前述の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールの1種以上との反応で得られるポリエステルポリオール類やポリエステルアミドポリオール類、また、前述の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールを開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオール類、また、前述の低分子ポリオールと、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との脱アルコール反応、脱フェノール反応等で得られるポリカーボネートポリオール類、また、前述の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及びこれらを共重合したポリエーテルポリオール類、また、前述のポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類を開始剤としたポリエステルエーテルポリオール類、また、水酸基を2個以上有する、ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等のポリオレフィンポリオール類、また、ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロイン等の動植物系ポリオール類、等が挙げられる。
これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明においては低分子ポリオールが好ましく、特に側鎖アルキル基含有低分子ポリオールが好ましい。
【0017】
(ロ)の方法におけるウレタン化反応の条件は、温度:30〜100℃、時間:1〜10時間が好ましく、温度40〜90℃、時間1〜5時間が更に好ましい。この反応の際には、ジブチルチンジラウレート、トリエチレンジアミン等の公知のウレタン化触媒を用いることができる。
【0018】
イソシアヌレート化反応の条件は、触媒添加量:反応系に対して10〜10,000ppm、温度:0〜120℃、時間:1〜20時間が好ましく、触媒添加量:反応系に対して100〜5,000ppm、温度:30〜70℃、時間:2〜15時間が更に好ましい。なお、イソシアヌレート化反応が進みすぎるとゲル化しやすくなるため、目的物が得られなくなる。
【0019】
イソシアヌレート化反応の停止は、触媒毒を添加することにより行う。触媒毒添加量は、イソシアヌレート化触媒に対して0.5〜2当量が好ましく、0.7〜1.5当量が更に好ましい。
【0020】
なお、イソシアヌレート化反応の際に助触媒を併用すると、イソシアヌレート化反応が効率よく進行し合成時間の短縮が図れるので好ましい。この助触媒としては、フェノールや前述のイソシアネート基末端プレポリマーを得るのに用いられるポリオール等が挙げられる。また、ウレタン基も助触媒効果がある。
【0021】
イソシアヌレート化反応やウレタン化反応の際には、必要に応じて有機溶剤を用いることができる。
この有機溶剤としては、n−ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、また、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系有機溶剤、また、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、また、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系有機溶剤、また、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系有機溶剤、また、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤、また、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系有機溶剤、また、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミド等の極性非プロトン溶剤等が挙げられる。
【0022】
遊離のHDIを除去する方法としては、蒸留、再沈、抽出等の公知の方法が挙げられ、蒸留、特に薄膜蒸留が溶剤を用いなくてすむので好ましい。なお、好ましい薄膜蒸留の条件は、圧力:0.1kPa以下、温度:100〜200℃であり、更に好ましくは圧力:0.05kPa以下、温度:120〜180℃である。
【0023】
本発明においては、(ロ)の方法で得られたイソシアヌレート変性ポリイソシアネートが好ましい。これは、系中に存在するウレタン基が助触媒効果を発揮して製造時間の短縮が図れ、かつこのウレタン基が密着性向上に寄与すること、特に側鎖アルキル基含有ポリオールを用いた場合、側鎖導入による塗料の主剤用樹脂との相溶性向上が期待できること等の理由による。
【0024】
このようにして得られるイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)は、イソシアネート含量が10〜30質量%、25℃における粘度が1,000〜5,000mPa・s、更に、イソシアネート含量が15〜25質量%、25℃における粘度が1,500〜3,500mPa・sのものが好ましい。
【0025】
ポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)は、分子中にオキシエチレン結合を合計で30モル%以上含有するものであり、モノオールにエチレンオキサイドを30モル%以上含有するアルキレンオキサイドを付加反応させて製造することができる。オキシアルキレン結合中のオキシエチレン結合含有量が30モル%未満である場合、自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物の水分散性が不十分となりやすい。
【0026】
このモノオールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、シンナミルアルコール等の脂肪族モノオール、また、フェノール、クレゾール等の芳香族モノオール、また、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール等の芳香脂肪族モノオール等が挙げられる。
これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、炭素数1〜10の脂肪族モノオールが好ましい。
【0027】
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドのほか、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
ポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)の数平均分子量は300〜3,000、更に400〜2,000が好ましい。数平均分子量が300未満の場合は、自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物の水分散性が不十分となりやすい。3,000を超える場合は、自己乳化型ポリイソシアネート組成物の粘度が高くなって、作業性が低下しやすい。
【0029】
ポリイソシアネート(A)は、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)と少なくともポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)とをウレタン化反応させることによって得られる。この反応条件としては、前述の(ロ)におけるウレタン化反応の条件が適用できる。
ポリイソシアネート(A)中のポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)含有量は2〜20質量%、更に3〜18質量%が好ましい。
なおこの際に、ポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)の一部を疎水性モノオールに置き換えることができる。疎水性モノオールとしては、前述のポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)を得る際に用いられるモノオール、ヒドロキシカルボン酸やそのエステル、これらの任意の混合物等が挙げられる。
【0030】
このようにして得られるポリイソシアネート(A)のイソシアネート含量は10〜30質量%、25℃における粘度は1,000〜5,000mPa・sであることが好ましく、更に好ましくはイソシアネート含量は15〜25質量%、25℃における粘度は1,500〜3,500mPa・sである。
【0031】
本発明に用いられるポリイソシアネート(B)は、平均官能基数が2〜3かつ25℃における粘度が500mPa・s以下のアロファネート基を含有するポリイソシアネートである。平均官能基数が下限未満の場合は、自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物の架橋効率が低下して、塗膜強度が低下しやすい。上限を超える場合は、ポリイソシアネート(B)の25℃における粘度が500mPa・s以下のものが得られにくい。また、25℃における粘度が上限を超える場合、得られる自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物の粘度が高くなり、作業性が低下しやすい。
【0032】
ポリイソシアネート(B)の製造方法には特に制限はなく、公知の方法で得ることができるが、具体的には例えば、以下の方法で製造することができる。
(ハ):有機ポリイソシアネートとアルコールとを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを製造し、これにアロファネート化触媒を添加してアロファネート化反応を行い、次いで触媒毒添加によりアロファネート化反応を停止させた後、遊離の有機ポリイソシアネートを除去する。
(ニ):有機ポリイソシアネートとアルコールをアロファネート化触媒の存在下で、ウレタン化反応とアロファネート化反応を同時に行い、次いで触媒毒添加によりアロファネート化反応を停止させた後、遊離の有機ポリイソシアネートを除去する。
【0033】
この有機ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、また、テトラメチレンジイソシアネート、HDI、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、また、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
本発明においては、アロファネート変性ポリイソシアネートの粘度が低いものとなりやすいHDIが好ましい。
【0034】
ここでアルコールとは、アルコール性水酸基を含有する化合物をいい、フェノール等のような芳香環に水酸基が直接結合した化合物は含まない。
アルコールとしては、前述のポリイソシアネート(A)の製造に用いられるポリオールやモノオールが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。
本発明においては脂肪族モノオールが好ましく、炭素数1〜10の脂肪族モノオールが特に好ましい。
【0035】
なお、当初の有機ポリイソシアネートとアルコールの仕込み比は、「イソシアネート基が水酸基に対して過剰となる量」であり、イソシアネート基と水酸基のモル比がイソシアネート基/水酸基=8以上が好ましく、10〜50が特に好ましい。
【0036】
アロファネート化触媒は公知のものが使用できるが、カルボン酸ジルコニウム塩を用いると、イソシアネート基の二量化や三量化といった副反応がほとんど起きず、低粘度のアロファネート変性ポリイソシアネートが得られるので好ましい。また、カルボン酸ジルコニウム塩を用いることにより、助触媒等を使用することなく、実質的に着色のないアロファネート変性ポリイソシアネートが比較的容易に得られる。
【0037】
このカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸等の飽和単環カルボン酸、ビシクロ(4.4.0)デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナフテン酸等の上記したカルボン酸の混合物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香族カルボン酸等のモノカルボン酸類、また、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸類等が挙げられる。
これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、炭素数10以下のモノカルボン酸ジルコニウム塩が好ましい。
【0038】
アロファネート化反応に対する触媒毒としては、リン酸、塩酸等の無機酸、また、スルホン酸基、スルファミン酸基等を有する有機酸及びこれらのエステル類、また、アシルハライド等公知のものが挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0039】
前記(ハ)におけるウレタン化反応、アロファネート化反応の条件及び前記(ニ)におけるウレタン化・アロファネート化反応の条件は、反応温度:70〜150℃、更に80〜130℃で行うのが好ましい。反応温度が低すぎる場合は、アロファネート基があまり生成せず、得られるポリイソシアネートの平均官能基数が低下することになる。このようなポリイソシアネートを使用して製造した自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物を塗料用硬化剤として用いると、塗膜物性が不十分となりやすい。反応温度が高すぎる場合は、得られるポリイソシアネートを不必要に加熱することになり、着色する原因になることがある。反応時間は、触媒の種類や添加量、反応温度により異なるが、通常10時間以内が好ましく、特に好ましくは1〜6時間である。
なお、この反応の際、公知のジブチルチンジラウレート、トリエチレンジアミン等のウレタン化触媒を用いることができる。
【0040】
アロファネート化触媒の使用量はその種類により異なるが、有機ポリイソシアネートとアルコールの総和量に対して、0.0005〜1質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%が更に好ましい。触媒使用量が0.0005質量%未満の場合は、実質的に反応が遅くなって長時間を要し、熱履歴による着色が起こる場合がある。一方、触媒使用量が1質量%を超える場合は、反応制御が難しくなり、二量化反応(ウレトジオン化反応)や三量化反応(イソシアヌレート化反応)などの副反応が起きて、粘度が高いものとなりやすい。
【0041】
なお、ウレタン化反応、アロファネート化反応、ウレタン化・アロファネート化反応の際には、必要に応じて有機溶剤を用いることができる。この有機溶剤としては、前述のものが挙げられる。
【0042】
アロファネート化反応後、触媒毒を添加してアロファネート化反応を停止させる。触媒毒の添加時期は、アロファネート化反応の後であれば特に制限はないが、後で遊離の有機ポリイソシアネートを除去するときに薄膜蒸留を行う場合は蒸留時の熱により副反応が起こるのを防止するため、アロファネート化反応後であって薄膜蒸留前に触媒毒の添加を行うのが好ましい。
【0043】
触媒毒の添加量はその種類や触媒の種類により異なるが、触媒の0.5〜2当量となる量が好ましく、0.8〜1.5当量が特に好ましい。触媒毒が少なすぎる場合は、得られるポリイソシアネートの貯蔵安定性が低下しやすい。多すぎる場合は、得られるポリイソシアネートが着色する場合がある。
【0044】
本発明においては、基本的にはアロファネート化反応後の生成物には、遊離の有機ポリイソシアネートが存在することになる。この遊離の有機ポリイソシアネートは、臭気や経時変化の原因となる。そのため、遊離の有機ポリイソシアネートが1質量%以下となるまで未反応の有機ポリイソシアネートを除去するのが好ましい。
遊離の有機ポリイソシアネートを除去する具体的方法としては、蒸留、再沈、抽出等が挙げられ、蒸留、特に薄膜蒸留が溶剤等を用いることなく有機ポリイソシアネートを除去できるので好ましい。また、好ましい薄膜蒸留の条件は、圧力:0.1kPa以下、温度:100〜200℃であり、更に好ましい条件は圧力:0.05kPa以下、温度:120〜180℃である。
【0045】
このようにして得られるアロファネート変性ポリイソシアネートのうち、25℃における粘度が500mPa・s以下、好ましくは300mPa・s以下のものが本発明において使用できる。また、このアロファネート変性ポリイソシアネートのイソシアネート含量は3〜25質量%が好ましく、5〜23質量%が更に好ましい。
【0046】
ポリイソシアネート(B)はそれ単独では水分散性を有さないものであり、ポリイソシアネート(A)は水分散性を有するものである。ポリイソシアネート(A)とポリイソシアネート(B)の混合比は質量比で(A)/(B)=50/50〜90/10であり、好ましくは(A)/(B)=60/40〜90/10であり、特に好ましくは(A)/(B)=70/30〜90/10である。ポリイソシアネート(B)が多すぎる場合は、得られるブロックポリイソシアネートが水に均一に分散しない。
【0047】
本発明に用いられるブロック剤としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール等のフェノール系化合物、また、2−ヒドロキシピリジン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系化合物、また、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系化合物、また、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系化合物、また、アセトアニリド、酢酸アミド等の酸アミド系化合物、また、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系化合物、また、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド系化合物、また、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、また、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素系化合物、また、ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物、また、ジフェニルアニリン、アニリン、カルバゾール、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のアミン系化合物等が挙げられる。
これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、汎用性、製造の簡易さ、作業性の点から、メチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタム又は2−エチルヘキサノールが好ましい。
【0048】
ブロック剤は、遊離のイソシアネート基に対して0.5〜1.5倍モル量使用するのが好ましい。
ポリイソシアネート混合物とブロック剤との反応は、例えば20〜200℃で、必要に応じて、ウレタン工業で公知ないし常用の不活性溶剤、ウレタン化触媒等を使用して行うことができる。
【0049】
このようにして得られる本発明の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物の好ましい有効イソシアネート含量は5〜25質量%であり、特に好ましくは7〜20質量%である。また、好ましい25℃での粘度は200〜5,000mPa・sであり、特に好ましくは500〜4,000mPa・sである。このため、水分散工程が容易になる。
【0050】
本発明の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物には、公知の添加剤、例えば、染料、顔料、無機又は有機充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、触媒、防腐剤、抗菌剤、安定剤、揺変剤、溶剤、難燃剤、加水分解防止剤、潤滑剤、可塑剤、貯蔵安定剤等を添加することができる。
【0051】
本発明の水性塗料は、前述の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物を単独で又は主剤或いは硬化剤として用いたものである。
水性二液型塗料の場合には、主剤に水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンを用い、前述の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物を硬化剤とする。具体的な用途としては、金属、木工、プラスチック、無機材料等の塗料(コーティング剤を含む)が好適である。二液配合することにより、硬化剤中に存在するブロックイソシアネート基による密着性の向上や架橋形成による耐候性の向上等を図ることができる。
【0052】
この水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、水溶性エチレン−酢酸ビニル共重合体、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、水溶性リグニン誘導体、水溶性フッ素樹脂、水溶性シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0053】
前記水性エマルジョンは、いわゆるラテックス、エマルジョンと表現されるもの全てを包含する。具体的には、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリブタジエンラテックス等のゴム系ラテックス、また、ポリアクリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、ポリブタジエンラテックス、あるいはこれらのラテックスをカルボキシル変性したものが挙げられ、また、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタン−アクリルエマルジョン、シリコーン−アクリルエマルジョン、酢酸ビニル−アクリルエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン等が挙げられる。優れた耐候性、耐汚染性を有するフッ素エマルジョンは非架橋のため耐溶剤性に乏しいが、本発明の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物を硬化剤として使用することにより、耐候性等を更に向上できる。
【0054】
本発明に使用される水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンは、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を含有していない場合又は少ししか含有していない場合でも、最終的には自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物は、水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンの中の水と反応してポリウレア化合物となり、硬くて強靭な塗膜となるため、耐候性を向上させることができる。また、イソシアネート基が被着材表面に存在する活性水素基と反応すると、密着性も向上する。しかし、常温においてイソシアネート基と反応しうる活性水素基を多く含有する水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンを使用した場合は、高分子中の活性水素基と本発明の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物中のブロックイソシアネート基が反応し、架橋構造を形成するため、耐候性、耐溶剤性等を更に向上させることができる。ゆえに、水溶性樹脂及び/又は水性エマルジョンは、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を含有するほうがより好ましい。
【0055】
水性二液型塗料の場合、主剤と硬化剤との配合は、そのまま添加する、一旦硬化剤を水分散させる、又はウレタン工業で常用の溶剤に溶解させる等の方法により行うことができる。このうち、硬化剤を水に分散させてから主剤を配合する方法が好ましい。
また、本発明の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物は、主剤用樹脂を併用することなく、水性一液塗料としても使用できる。
【0056】
本発明の水性塗料において、主剤に対する硬化剤の添加量は、固形分質量比で主剤/硬化剤=100/0.5〜100/100、更に100/1〜100/80であることが好ましい。
【0057】
本発明の水性塗料には、必要に応じて水性塗装システムで慣用される添加剤や助剤を使用できる。例えば、顔料、染料、分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱性向上剤、無機及び有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、補強材、触媒等を添加して使用することができる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定して解釈されるものではない。なお、実施例、比較例において、「%」は「質量%」を意味する。
【0059】
〔ポリイソシアネート(A)の製造〕
合成実施例1
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管の付いた容量:100Lの反応器に、HDIを90.0kg、1,3−ブタンジオールを0.72kg仕込み、反応器内を窒素置換して、攪拌しながら反応温度80℃に加温し、2時間反応させた。このときの反応液のイソシアネート含量を測定したところ、48.9%であった。
次に、この中にイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸カリウムを0.02kg、助触媒としてフェノールを0.1kg仕込み、60℃で5時間イソシアヌレート化反応を行った。
この反応液に停止剤としてリン酸を0.013kg加え、80℃で1時間攪拌した後、未反応のHDIを120℃、0.04kPaの条件で薄膜蒸留して除去し、ウレタン・イソシアヌレート変性ポリイソシアネートA−1を得た。
A−1は、淡黄色透明液体でイソシアネート含量=21.3%、25℃における粘度=2,400mPa・s、遊離HDI含有量=0.4%、平均官能基数=3.7、収率=32%であった。また、FT−IR及び13C−NMRから、イソシアネート基、イソシアヌレート基及びウレタン基の存在が確認されたが、ウレトジオン基は確認されなかった。よって、イソシアネート含量から算出されるイソシアヌレート基含量は27.7%である。
次いで、上記と同様な容量:1Lの反応器に、A−1を800g、数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコールを128g仕込み、80℃で4時間反応させて、ウレタン・イソシアヌレート変性ポリイソシアネートAD−1を得た。
AD−1のイソシアネート含量は16.9%、25℃における粘度は2,500mPa・sであった。
【0060】
〔ポリイソシアネート(B)の製造〕
合成実施例2
合成実施例1と同様な容量:100Lの反応器に、HDIを90.0kg、メタノールを10.0kg仕込み、90℃で2時間ウレタン化反応を行った。反応生成物をFT−IRにて分析したところ、水酸基は消失していた。
次に、この中に2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.02kg仕込み、110℃で4時間反応させた。反応生成物をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は消失していた。
次いで、この中に更にリン酸を0.01kg仕込み、50℃で1時間停止反応を行った。停止反応後の反応生成物のイソシアネート含量は31.9%であった。この反応生成物を130℃×0.04kPaで薄膜蒸留して、アロファネート変性ポリイソシアネートB−1を得た。
B−1のイソシアネート含量は20.9%、25℃における粘度は120mPa・s、平均官能基数は2.0、遊離のHDI含有量は0.1%であった。また、B−1をFT−IR及び13C−NMRにて分析したところ、ウレタン基は確認されず、アロファネート基の存在が確認された。また、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基は痕跡程度であった。
結果を表1に示す。
【0061】
合成実施例3及び4
合成実施例2と同様にして、表1に示す原料を用いてアロファネート変性ポリイソシアネートB−2、B−3の製造を行った。
結果をまとめて表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 2004075782
【0063】
表1において、
MeOH  :メタノール
IPA   :iso−プロパノール
2EHOH :2−エチルヘキサノール
HDI   :ヘキサメチレンジイソシアネート
Zr−2EH:2−エチルヘキサン酸ジルコニウム
【0064】
〔自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物の製造〕
合成実施例5
ウレタン・イソシアヌレート変性ポリイソシアネートAD−1 600gとアロファネート変性ポリイソシアネートB−1 400gを均一に混合して、ポリイソシアネート混合物P−1を調製した。
合成実施例1と同様な容量:1Lの反応器に、ポリイソシアネート混合物P−1を575g、メチルエチルケトオキシムを225g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを200g仕込み、80℃で3時間反応させて、自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物BL−1を得た。
BL−1のイソシアネート含量は10.6%、25℃における粘度は1260mPa・sであった。
なお、水への分散性は、自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物/水=1/9(質量比)で仕込み、ホモミキサーを用いて2000rpm×30秒間攪拌して、10分間静置後の外観を目視にて判断した。
判断基準;
○:分散状態を保っている
×:分散せず、沈降している
結果を表2及び3に示す。
【0065】
合成実施例6〜10、合成比較例1及び2
合成実施例5と同様にして、ウレタン・イソシアヌレート変性ポリイソシアネートAD−1と表2に示す原料を用いてポリイソシアネート混合物P−2〜7を調製し、これらとAD−1を用いて自己乳化型ブロックポリイソシアネートBL−2〜8の製造を行った。
この結果と分析、分散性の結果をまとめて表2及び3に示す。
【0066】
【表2】
Figure 2004075782
【0067】
【表3】
Figure 2004075782
【0068】
表3において、
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0069】
〔自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物の評価〕
応用実施例1〜6、応用比較例1
自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物BL−1〜7を用いて、以下の性能試験を行い、評価した。
これらの結果をまとめて表4に示す。
【0070】
[柔軟性試験]
容量:300mlの容器に、下記水性アクリルエマルジョンと自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物を有効NCO/OH(モル比)=1/1となるように仕込み、ホモミキサーで2,000rpm×30秒間攪拌して、水性塗料を調製した。この水性塗料をアルミニウム板にアプリケーターにて、膜厚200μm(wet)で塗布した後、160℃にて30分間硬化させて塗装サンプルを得た。
この塗装サンプルについて、−20℃×1時間+50℃×1時間のサイクルを10回繰り返した後の外観を目視にて観察し、評価した。
評価基準;
○:塗膜に、はがれ、ひび割れ、膨れがなく、かつ著しい変色や光沢低下がない。
×:塗膜に、はがれ、ひび割れ、膨れ、著しい変色や光沢低下が認められる。
【0071】
[水性アクリルエマルジョンの合成]
攪拌機、温度計、窒素シール管、冷却器の付いた容量:2Lの反応器に、イオン交換水を170g、レベノールWZ(アニオン性乳化剤、花王製)を4g、ノイゲンEA−170(ノニオン性乳化剤、第一工業製薬製)を1g仕込み、80℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸メチルが300g、アクリル酸ブチルが180g、アクリル酸が4g、ダイアセトンアクリルアミドが5g、イオン交換水が330g、ノイゲンEA−170が5g、過酸化カリウム(開始剤)が1gからなる混合液を、反応液中の温度を80℃に保ちながら3時間かけて滴下し、その後、80℃で3時間反応させた。反応終了後室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液にてpH8に調整し、固形分49.5%の水性アクリルエマルジョンを得た。
【0072】
[耐候性試験]
前記塗装サンプルを用いて、UV照射75℃×8時間+降雨50℃×4時間のサイクルで500時間後の光沢を測定し、評価した。
評価基準;
○:光沢保持率80%以上
×:光沢保持率80%未満
【0073】
[密着性試験]
前記塗装サンプルを用いて、JIS K5400に規定する碁盤目テープ法により密着性を試験した。
【0074】
【表4】
Figure 2004075782
【0075】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物は、従来の自己乳化型ポリイソシアネートと比較して水分散後のポットライフが長いため、水性塗料の硬化剤として最適である。また、本発明の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物を用いて形成される被膜は柔軟性、耐候性、密着性などの諸物性に優れているので、水性塗料の主剤や、水性の接着剤、シール材、インキ、繊維・ガラスファイバー処理剤、サイジング剤、目止め剤、プライマー、固結剤、アンカーコート剤、各種バインダー等の主剤や硬化剤として使用することもできる。

Claims (3)

  1. 少なくとも下記ポリイソシアネート(A)及び(B)を(A)/(B)=50/50〜90/10の質量比で含有するポリイソシアネート混合物のイソシアネート基をブロック剤で封鎖した自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物。
    (A):ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(A1)と少なくとも分子中にオキシエチレン結合を合計で30モル%以上含有するポリ(オキシアルキレン)グリコールモノアルキルエーテル(A2)とを反応させて得られるポリイソシアネート。
    (B):平均官能基数2〜3かつ粘度500mPa・s/25℃以下のアロファネート変性ポリイソシアネート。
  2. 前記アロファネート変性ポリイソシアネート(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネートとアルコールとをカルボン酸ジルコニウム塩の存在下で反応させて得られるものである、請求項1に記載の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の自己乳化型ブロックポリイソシアネート組成物を含有すること、を特徴とする水性塗料。
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