JP5521876B2 - 化粧シート及びこれを用いた金属化粧板 - Google Patents
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Description
しかしながら、その後、環境に対する配慮から非塩化ビニル系樹脂が使用されるようになってきており、非塩化ビニル系の化粧シートとして、厚みが20μm〜80μmである透明熱可塑性樹脂層と着色熱可塑性樹脂基材層からなり、透明熱可塑性樹脂層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂からなる最外層とポリメチルメタアクリレート樹脂からなる内側層を有する化粧シートが提案されている(特許文献2参照)。
このような化粧シートは、通常鋼板等に貼付し、曲げ加工等が施されるが、特許文献2に開示される化粧シートは、低温環境下で折り曲げ加工を行っても、その折り曲げ部位において、白化を防止することができるとされている(特許文献2、段落0010参照)。
このような課題に対して、本発明は、表面の耐擦傷性が高く、耐候性に優れ、かつ層間密着性の高い化粧シート及びこれを用いた金属化粧板を提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、基材上に接着層、透明熱可塑性樹脂層、フッ素樹脂層及び表面保護層をこの順に配してなる化粧シートであって、該表面保護層は、少なくとも硬化性樹脂とフッ素樹脂を含有する樹脂組成物を架橋硬化してなり、該硬化性樹脂が、2液硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくも1種であり、かつ以下の測定方法による表面保護層とフッ素樹脂層の層間剥離強度が1kg/cm以上である化粧シート及びこれを用いた金属化粧板を提供するものである。
(層間剥離強度の測定方法)
化粧シートの表面にセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」24mm幅)を貼り付け、該化粧シートの裏面を粘着力試験装置(「スリップ−ピールテスタSP−102C−3H90型」,インスツルメンターズ社)のキャリッジに固着し、該テープの端を該粘着力試験装置のフォースセンサに付着させて、角度90°、速度30cm/分の条件で基材から剥離し、層間剥離強度を測定した。
本発明の化粧シートにおける基材11としては、通常化粧シートに用いられるものであれば、特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂などからなるものが好ましく挙げられる。
基材の厚さとして、特に制限はないが、耐久性及び汎用性の観点から、通常20〜200μm程度、好ましくは30〜150μmの範囲である。
また、該基材は、基材と他の層との層間密着性や、各種の被着材との接着性の強化などのためのプライマー層や、裏面プライマー層を形成するなどの処理を施してもよい。プライマー層の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。なお、裏面プライマー層に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
本発明の化粧シートにおける接着層12としては、通常化粧シートで用いられる接着剤又はヒートシール剤を用いることができ、その厚さは0.1〜5μm程度である。
接着剤としては、特に制限はなく、エポキシ系、ポリエステル系、ポリウレタン系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル系、アクリル系、セルロース系、ゴム系、ウレタン系などを用いることができる。これらのうち、ポリエステル系、及びウレタン系の一種であるポリカーボネートポリエステルウレタン系が耐候性及び層間密着性の点で好ましい。
また、ヒートシール剤としては、ガラス転移点(Tg)が60℃以上であるものが好ましい。Tgが60℃以上であると、基材と上層との十分な密着性が得られる。また、Tgの上限値にはついては、特に制限はないが、通常150℃以下である。
なお、ヒートシールの条件としては、通常80〜170℃の範囲、好ましくは100〜150℃の範囲、特に好ましくは120〜140℃の範囲である。また、ヒートシールの時間としては、5〜60分程度、好ましくは10〜30分程度である。
本発明の化粧シートは、好ましくは鋼板に貼付して使用されるが、透明熱可塑性樹脂層13は、化粧シートを鋼板に貼付し、曲げ加工した際に、クラックを生じさせないためのものである。また、透明熱可塑性樹脂層を設けることで、本発明の化粧シートに耐候性を付与することができ、紫外線吸収剤や光安定剤などの耐候剤を含有させることにより、さらなる優れた耐候性の付与も可能となる。
本発明では、該透明熱可塑性樹脂層としては、透明性を有していれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン共重合体樹脂、塩化酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA樹脂)、アイオノマー樹脂、オレフィン−αオレフィン共重合体樹脂などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、後述するフッ素樹脂層との接着性の観点から、特に(メタ)アクリル樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA樹脂)が好ましい。
本発明の化粧シートにおけるフッ素樹脂層14は、本発明の化粧シートに、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐汚染性を付与するものであり、フッ素樹脂から構成されるものである。フッ素樹脂としては、既知のものを使用することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレンペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、四フッ化エチレン・エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニルフロライド(PVF)等が使用可能であり、特には折り曲げ白化性、前述の透明熱可塑性樹脂層との密着性の点でポリフッ化ビニリデンが好適である。なお、ポリフッ化ビニリデンのガラス転移点(Tg)は、−39℃である。
フッ素樹脂層は、前記透明熱可塑性樹脂層の厚さに対する比率(フッ素樹脂層の厚さ/透明熱可塑性樹脂層の厚さ)として、折り曲げ時加工時の耐白化性の観点から、0.4〜1.0が好ましい。
本発明の化粧シートにおける表面保護層15は、本発明の化粧シートに耐擦傷性等を付与するものである。該表面保護層15は、フッ素樹脂層14の上に直接又は他の層を介して、フッ素樹脂と硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を塗工し、これを架橋硬化したもので構成される。架橋硬化された硬化性樹脂を含有することで、化粧シートの表面特性を向上させることができ、かつフッ素樹脂を含有することで、フッ素樹脂層との高い層間密着性が得られる。
本発明の化粧シートは、表面保護層とフッ素樹脂層との以下の測定方法による層間剥離強度が1kg/cm以上であることを特徴とし、好ましくは、1.5kg/cm以上である。ここで、層間剥離強度は、化粧シートの表面にセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」24mm幅)を貼り付け、該化粧シートの裏面を粘着力試験装置(「スリップ−ピールテスタSP−102C−3H90型」,インスツルメンターズ社)のキャリッジに固着し、該テープの端を該粘着力試験装置のフォースセンサに付着させて、角度90°、速度30cm/分の条件で基材から剥離し、測定したものである。
これらのうち、表面保護層を形成する樹脂の架橋密度を高め、表面の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させ得るとの観点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましく、また、無溶媒で塗工することができ、取り扱いが容易との観点から、電子線硬化性樹脂がさらに好ましい。
一方、加工性を考慮した場合には、硬化性樹脂として後に詳述する2液硬化性樹脂を用いることが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂の架橋硬化の態様としては特に限定されず、以下のような態様がある。エポキシ樹脂は、アミン、酸触媒、カルボン酸、酸無水物、水酸基、ジシアンジアミド又はケチミンとの反応、フェノール樹脂は、塩基触媒と過剰なアルデヒドとの反応、ユリア樹脂はアルカリ性または酸性下での重縮合反応、不飽和ポリエステル樹脂は無水マレイン酸とジオールとの共縮合反応、メラミン樹脂はメチロールメラミンの加熱重縮合反応、アルキド樹脂は、側鎖などに導入された不飽和基同士の空気酸化による反応、ポリイミド樹脂は、酸または弱アルカリ触媒の存在下での反応、又はイソシアネート化合物との反応(2液型の場合)、シリコーン樹脂は、シラノール基の酸触媒の存在下での縮合反応、水酸基官能性アクリル樹脂は、水酸基と自身が持つアミノ樹脂との反応(1液型の場合)、カルボキシル官能性アクリル樹脂は、アクリル酸またはメタクリル酸などのカルボン酸とエポキシ化合物による反応、アミド官能性共重合体は水酸基との反応または自己縮合反応、ウレタン樹脂は、水酸基を含有するポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂とイソシアネート化合物又はその変性物との反応などにより架橋硬化が促進される。これらの反応を利用した架橋剤または硬化剤が通常用いられる。
ここで、ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシポリオール等、種々のものがあるが、アクリルポリオールが好ましい。このアクリルポリオールとしては、塩化ビニル変性アクリルポリオール、塩化ビニル−酢酸ビニル変性アクリルポリオール、塩素化ポリオレフィン変性アクリルポリオール、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アクリレート−エチルヘキシル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等が挙げられるが、塩化ビニル変性アクリルポリオールが特に好ましい。
本発明における硬化性樹脂組成物には、紫外線吸収剤(UVA)及び/又は光安定剤を含有させることが、本発明の化粧シートに耐候性を付与する点で好ましい。
紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系などが好ましく挙げることができる。なかでも、紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。
本発明で用いられるヒンダードアミン系光安定剤(HALS)としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)などが挙げられる。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
本発明の化粧シートには、装飾性を付与する目的で、所望により、基材11と接着層12の間に絵柄層を設けてもよい(図示せず)。該絵柄層は、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。
また、印刷方法としては、通常の、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷などの輪転印刷、枚葉印刷のいずれをも適用できる。
なお、絵柄層の印刷に用いるインキとしては、特に制限はなく、バインダーに、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、酸化チタン、紺青、カーボンブラック、紅柄などの無機顔料やジスアゾ系顔料、イソインドリノン、ポリアゾ系顔料、キナクリドン、フタロシアニンブルーなどの有機顔料、アルミニウム粉、銅粉、金属蒸着合成樹脂フィルムの微細断裁片、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔などのパール状光沢をもつ顔料などを混合したものが用いられる。
本発明の化粧シートは、各種基板に必要に応じて接着剤を介して貼着して化粧版として使用することができる。被着体となる基板は、特に限定されず、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。本発明の化粧シートは、層間密着性の高いことから、折り曲げ加工した場合に、白化の原因となる微細なクラックが入りにくいため、この特性を活用する観点から、特に金属板を基材にすることが好ましい。
金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。
(評価方法)
(1)耐傷性
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、スチールウールを用いて、300g/cm2の荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○ :外観にほとんど変化なかった
△ :外観に若干の傷つきや艶変化があった
× :外観に傷つきがあり、艶変化があった
(2)耐候性の評価(耐候性試験)
実施例及び比較例で得られた化粧シートを、ダイプラ・ウィンテス株式会社製メタルウェザーにセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度30℃、層内湿度98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)の条件で500時間放置する耐候性試験を行った。該試験後、25℃、50%RHの条件下で2日間保持してから、シート表面のクラックや白化などの外観を下記の基準で評価した。
◎ :外観変化は全くなかった
○ :外観変化はほとんどなかった
△ :外観変化は若干あるが、実用上問題なかった
× :外観変化が著しかった
(3)剥離試験
実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、その表面にニチバン株式会社製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」25mm幅を貼付けて、化粧シート表面と90度の方向に、急激に剥離する操作を1回行った。このときの、基材上に設けた各層が剥離するかどうかを肉眼観察により確認し、下記の基準で評価した。
○ :層の剥離は全くなかった
△ :層の剥離は若干あるが、実用上問題なかった
× :層の剥離が著しかった
(4)層間剥離強度(kg/cm)
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、明細書本文中に記載の方法で、表面保護層とフッ素樹脂層間の層間剥離強度を測定した。
基材11として、着色ポリプロピレン樹脂(厚さ80μm)からなる樹脂シートを準備した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、表面に木目柄をグラビア印刷により形成し、絵柄層16を得た。一方、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとした裏面プライマー層(厚さ2μm)をグラビア印刷により形成した。
次いで、ポリフッ化ビニリデン樹脂とメチルメタクリレート樹脂をTダイで溶融して、押し出し、フッ素樹脂層14と透明熱可塑性樹脂層13からなる積層体(厚さ80μm、以下「積層体A」と称する。)を形成した。次いで、上記絵柄層16の上に2液硬化性ウレタン樹脂からなる塗液を塗工して接着層12(乾燥状態での厚さ15μm)を形成した上に、該積層体Aをドライラミネート法により積層させた。
次に、該積層体A上に下記のプライマー層形成用組成物によりプライマー層(2.5g/m2)を形成し、その上に電離放射線硬化性樹脂組成物(カプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー(3官能,分子量:約1200、表中では「EB」と記載する):100質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、チバ・ジャパン株式会社製):2質量部、反応性官能基を有する光安定剤(商品名「サノールLS−3410」,1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、チバ・ジャパン株式会社製):6質量部、及びフッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン):1質量部を用いて、グラビアコートにて塗膜を形成した。その後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層(5g/m2)を形成させて化粧シートを得た。なお、表面保護層の厚さは5μmであった。
次に、化粧シートの表面を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、化粧シートの表面を柔らかくした。その後、直ちに基材と反対側の表面保護層の表面に対し熱圧によるエンボス加工を行い、木目導管溝模様の凹凸模様を賦形した。
上記評価方法にて評価した結果を第1表に示す。
(プライマー層形成用組成物)
以下の樹脂組成物と硬化剤とを100:5(質量比)の割合で混合して得られる組成物である。
樹脂組成物:
ポリカーボネート系ウレタンアクリレート(ポリカーボネート系ウレタンアクリレートにおけるウレタン成分とアクリル成分の質量比:70/30):100質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン400(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):15質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):5質量部
ヒンダードアミン系光安定剤(「チヌビン123(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):6質量部
硬化剤:
ヘキサンメチレンジイソシアネート
実施例1において、表面保護層として、2液硬化性樹脂(主剤としてアクリルポリオール:100質量部、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン):1質量部、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート:6質量部、表中では「2液」と記載する):0.1質量部、表中では「UV」と記載する)をグラビアコート法により塗工したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、表面保護層として紫外線硬化性樹脂組成物(ウレタンアクリレート系オリゴマー:100質量部、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン):1質量部、光重合開始剤(「イルガキュア184(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):0.1質量部、表中では「UV」と記載する)を用い、また、電子線の照射に代えて、紫外線照射装置(フュージョン社製、Hバルブ)を用いて紫外線200mJ/cm2(照射量測定はフュージョン社製、UV Power MAPにて測定、以下同じ)を照射して表面保護層(膜厚6.5g/m2)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、プライマー層及び表面保護層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物からフッ素樹脂を除いたものとし、メチルメタクリレート樹脂の代わりにポリプロピレン樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
11 基材
12 接着層
13 透明熱可塑性樹脂層
14 フッ素樹脂層
15 表面保護層
Claims (5)
- 基材上に接着層、透明熱可塑性樹脂層、フッ素樹脂層及び表面保護層をこの順に配してなる化粧シートであって、該表面保護層は、少なくとも硬化性樹脂とフッ素樹脂を含有する樹脂組成物を架橋硬化してなり、該硬化性樹脂が、2液硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくも1種であり、かつ以下の測定方法による表面保護層とフッ素樹脂層の層間剥離強度が1kg/cm以上である化粧シート。
(層間剥離強度の測定方法)
化粧シートの表面にセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」24mm幅)を貼り付け、該化粧シートの裏面を粘着力試験装置(「スリップ−ピールテスタSP−102C−3H90型」,インスツルメンターズ社)のキャリッジに固着し、該テープの端を該粘着力試験装置のフォースセンサに付着させて、角度90°、速度30cm/分の条件で基材から剥離し、層間剥離強度を測定した。 - 前記電離放射線硬化性樹脂の平均分子量が1000〜10000である請求項1に記載の化粧シート。
- 前記透明熱可塑性樹脂層が(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン共重合体樹脂、塩化酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA樹脂)、アイオノマー樹脂、オレフィン−αオレフィン共重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種により構成される請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 前記フッ素樹脂層を構成する樹脂及び表面保護層に含まれるフッ素樹脂がポリフッ化ビニリデン樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シートを金属板に貼り付けてなる金属化粧板。
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