JP2008074074A - 帯電防止性能を有する化粧シート - Google Patents

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洋史 増田
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Abstract

【課題】高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層を有する化粧シートであって、ポリオレフィン系樹脂層と隣接層との密着性が良好であり、また、ポリオレフィン系樹脂層を同時溶融押出しにより形成する場合に、押出し特性が良好な化粧シートを提供する。
【解決手段】被着体に積層するための化粧シートであって、(1)前記化粧シートは、2層以上の積層体からなるポリオレフィン系樹脂層4,5を有し、(2)前記ポリオレフィン系樹脂層のうち、最表層以外の層に高分子型帯電防止剤を含有することを特徴とする化粧シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、帯電防止性能を有する化粧シートに関する。
化粧シートは、各種の内装用・外装用建材をはじめとして、各種の家電製品、事務機器、計器類等の装飾、表面保護等のために汎用されている。化粧シートは、一般的には、基材シート上に、装飾層、合成樹脂層、表面保護層等を積層することによって製造されている。従前より合成樹脂層等として塩化ビニル系樹脂が使用されていたが、塩化ビニル系樹脂を用いた化粧シートは燃焼時に塩化水素ガス等の有毒ガスを発生させるため、これに替えてポリオレフィン系樹脂を用いた化粧シートが普及してきている。
ポリオレフィン系樹脂の代用により塩化ビニル系樹脂の問題は解消できるものの、別の問題がある。すなわち、ポリオレフィン系樹脂をはじめとする樹脂類では、静電気を帯びやすい性質がある。このため、このような材料を化粧シートに用いる場合には、1)印刷原反への微細なゴミの付着が起こり、これがインキ抜け等の問題を引き起こす、2)帯電による空中放電が火災の原因となる、3)微細なゴミの付着により2次加工に支障を来す、4)付着した微細なゴミを除去しようとしても、静電気により付着しているためにその除去が容易ではなく、生産性の低下・コスト上昇の要因になる、等の問題が生じる。
そこで、化粧シートに帯電防止剤を添加することが提案されている。例えば、帯電防止剤として4級アンモニウム塩、カーボンブラック、金属系針状結晶等を化粧シートの表面保護層等に適用する方法等がある(例えば、特許文献1など)。
しかしながら、これら従来の帯電防止剤を使用した場合、a)十分な帯電防止効果が得られない、b)たとえ効果が確保できてもその効果の持続性に欠ける、c)効果が得られても帯電防止剤の含有に起因する濁り等により化粧シートの意匠性を損ねる、等の問題のいずれかが生じる。
上記問題に鑑みて、ポリオレフィン系樹脂層に高分子型帯電防止剤を用いることが提案されている(特許文献2)。特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂層を2層以上とし、表層部に高分子型帯電防止剤を含有する化粧シートが記載されている(請求項2、3)。
しかしながら、特許文献2に記載の化粧シートにも更に改善すべき点がある。例えば、高分子型帯電防止剤の種類によっては(特にポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマーを用いる場合)、ポリオレフィン系樹脂層のおもて面に積層される表面保護層の密着安定性が不十分になるという問題がある。また、高分子型帯電防止剤としてポリエーテル−エステル−アミドを使用し、ポリオレフィン系樹脂層を同時溶融押出しにより形成する場合には、押出し機の口金部分に高分子型帯電防止剤が徐々に付着するという問題がある。この問題は、ポリオレフィン系樹脂と帯電防止剤との相溶性が不十分な場合に生じ易く、また、付着した帯電防止剤は口金部分の熱により焼け、いわゆる「帯電防止剤の焼け」が生じるという問題もある。
従って、これらの問題を改善した化粧シートの開発が求められている。
特開2000−351182号公報 特開2005−313596号公報
本発明は、高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂層を有する化粧シートであって、ポリオレフィン系樹脂層と隣接層との密着性が良好な化粧シートを提供することを目的とする。また、ポリオレフィン系樹脂層を同時溶融押出しにより形成する場合に、押出し特性が良好な化粧シートを提供することも目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂層を2層以上の積層体とし、特定の層に高分子型帯電防止剤を含有する場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の化粧シート及びそれを用いた化粧板に関する。
1. 被着体に積層するための化粧シートであって、
(1)前記化粧シートは、2層以上の積層体からなるポリオレフィン系樹脂層を有し、
(2)前記ポリオレフィン系樹脂層のうち、最表層以外の層に高分子型帯電防止剤を含有することを特徴とする化粧シート。
2. 前記高分子型帯電防止剤を含有する層は、更に酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する、上記項1に記載の化粧シート。
3. 前記ポリオレフィン系樹脂層は、最表層を第1層とし、第1層と第2層の2層からなり、前記第2層に高分子型帯電防止剤が含有されている、上記項1又は2に記載の化粧シート。
4. 前記ポリオレフィン系樹脂層は、第1層、第2層、第3層の順となるように更に第3層を有する、上記項3に記載の化粧シート。
5. 前記最表層は、高分子型帯電防止剤を含有しない、上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6. 前記高分子型帯電防止剤は、ポリエーテル−エステル−アミド及びポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマーの少なくとも1種である、上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
7. 前記第2層は、高分子型帯電防止剤を3〜35重量%含有する、上記項3〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8. 前記第2層は、更に紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくとも1種を含む、上記項3〜7のいずれかに記載の化粧シート。
9. 前記光安定剤は、高分子型光安定剤である、上記項8に記載の化粧シート。
10. 前記高分子型光安定剤は、下記式(1)
Figure 2008074074
(但し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体である、上記項9に記載の化粧シート。
11. 前記第2層は、高分子型光安定剤を2〜40重量%含有する、上記項9又は10に記載の化粧シート。
12. 前記ポリオレフィン系樹脂層は、同時溶融押出しにより形成される、上記項1〜11のいずれかに記載の化粧シート。
13. 前記化粧シートは、基材シート上に少なくとも絵柄層、前記ポリオレフィン系樹脂層及び表面保護層が順に積層されている、上記項1〜12に記載の化粧シート。
14. 上記項1〜13のいずれかに記載の化粧シートを被着材に積層してなる化粧板。

以下、本発明の化粧シート及び化粧板について詳細に説明する。
1.化粧シート
本発明の化粧シートは、被着体に積層するための化粧シートであって、
(1)前記化粧シートは、2層以上の積層体からなるポリオレフィン系樹脂層を有し、
(2)前記ポリオレフィン系樹脂層のうち、最表層以外の層に高分子型帯電防止剤を含有することを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、ポリオレフィン系樹脂層を2層以上の積層体により形成し、最表層以外の層に高分子型帯電防止剤を含有するため、ポリオレフィン系樹脂層上に(必要に応じてプライマー層を介して)表面保護層を積層した場合でも、ポリオレフィン系樹脂層と表面保護層との密着安定性が良好である。また、ポリオレフィン系樹脂層を3層とし、中間層(後述の第2層)に高分子型帯電防止剤を含有する場合には、ポリオレフィン系樹脂層を同時溶融押出しにより形成する場合であっても、高分子型帯電防止剤が直接に押出し機の口金に接触しないために、高分子系帯電防止剤が口金部分に付着して焼けが生じるという不都合が回避されている。
(ポリオレフィン系樹脂層)
前記ポリオレフィン系樹脂層は、2層以上の積層体により形成する。例えば、最表層を第1層とし、第1層と第2層の2層からなるポリオレフィン系樹脂層がある。また、更に第3層を設けて、第1層/第2層/第3層の3層からなるポリオレフィン系樹脂層がある。
上記各層の厚さは限定的ではないが、第1層(最表層)は5〜50μm程度が好ましく、8〜40μm程度がより好ましい。第2層は30〜300μm程度が好ましく、50〜240μm程度がより好ましい。第3層は5〜50μm程度が好ましく、8〜40μm程度がより好ましい。
上記積層体の中では、第2層に高分子型帯電防止剤を含有することが好ましい。ここで、第1層及び第3層には、ポリオレフィン系樹脂層と隣接層との密着性を損なわない範囲で、且つ、ポリオレフィン系樹脂層を同時溶融押出しにより形成する場合であっても押出し特性を損なわない範囲で高分子型帯電防止剤を含有し得るが、発明の目的を確実に達成するためには、第2層のみに高分子型帯電防止剤を含有することが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂は特に限定的でなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−エチレンアクリレート共重合体等の公知の樹脂を用いることができる。これらの中でも、ポリプロピレンが好ましい。これらは1種又は2種以上で使用することができる。
ポリオレフィン系樹脂層の中でも、特に高分子型帯電防止剤を含有する層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。ここで、酸変性ポリオレフィン樹脂は、高分子型帯電防止剤とポリオレフィン系樹脂との相溶性を改善する作用があり、これによって化粧シート折り曲げ時における白化現象を抑制することができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、少なくとも一部の末端が酸変性されたポリオレフィン樹脂である。JIS K0070で規定される酸価は、1.0〜100mgKOH/g程度が好ましく、5〜60mgKOH/g程度が好ましい。酸価が1.0mgKOH/g未満である場合には相溶性改善が不十分となるおそれがある。100mgKOH/gを超える場合には、シート成形時の操業性が悪化するおそれがある。
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、「製品名「ユーメックス1010」(三洋化成工業株式会社製)」が好適である。
高分子型帯電防止剤としては、市販品を使用することができる。例えば、ポリアクリル酸エステル系4級アンモニウム塩、ポリスチレン系4級アンモニウム塩、ポリエーテル−エステル−アミド、ポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマー等が挙げられる。
上記の中でも、ポリエーテル−エステル−アミド及びポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマーの少なくとも1種が好ましい。
ポリエーテル−エステル−アミドは、エーテル基含有成分、エステル基含有成分及びアミド基含有成分の3成分からなるポリマーが例示される。例えば、ポリエチレンオキサイド成分及びナイロン12成分を含有するポリエーテルエステルアミドが挙げられる。より具体的には、ポリエチレンオキサイド部−H−[O−CHCH−O−、アジピン酸部−OC(CHCO−及びナイロン12部−[NH(CH11CO]−O−の3部から構成される共重合体が挙げられる。このような高分子型帯電防止剤は市販品を使用することもできる。例えば、製品名「IRGASTAT P 18」、「IRGASTAT P 22」(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。
ポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマーは、ポリオレフィン(a)のブロック
と、体積固有抵抗値が10〜1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有することを特徴とするブロックポリマー(特開2001−278985)を好ましく用いることができる。このような高分子型帯電防止剤は市販品を使用することもできる。
これらの高分子型帯電防止剤の中でも、特に、より高い耐候性が得られるという点ではポリエーテル−エステル−アミドを用いることがより好ましい。すなわち、ポリエーテル−エステル−アミドを用いる場合には、より少ない量の紫外線吸収剤及び/又は光安定剤で所望の耐候性を得ることができる。
高分子型帯電防止剤の含有量は限定的ではないが、例えば、前記第2層に含有する場合には、第2層中3〜35重量%程度含有することが好ましく、具体的には、高分子型帯電防止剤の種類、所望の帯電防止性能等に応じて適宜定めることができる。
ポリオレフィン系樹脂層の形成方法は特に限定されない。例えば、第1層〜第3層の3層からなるポリオレフィン系樹脂層を形成する場合には、各層を押出し法やカレンダー法により製膜後、各層を熱ラミネートによって接着する方法により形成する。また、3層を同時溶融押出しによって同時成膜する方法によっても形成できる。
複数層を同時溶融押出しする場合には、Tダイ押出し機が好ましく、特にマルチマニホールドタイプのTダイ押出し機を好適に使用できる。ここで、押出し時の樹脂(又は樹脂組成物)の溶融温度は限定的ではないが、150〜260℃程度である。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂層を3層とし、第2層(中間層)のみに高分子型帯電防止剤を含有する場合には、3層を同時溶融押出しにより好適に形成できる。第2層に高分子型帯電防止剤を含有し、第1層と第3層に高分子型帯電防止剤を含有しないことで、押出し機の口金に高分子型帯電防止剤が直接に接触しないため、高分子型帯電防止剤が口金部分に付着すること(更には帯電防止剤の焼け)を防止することができる。
ポリオレフィン系樹脂層(特に高分子型帯電防止剤を含有する層)は、更に添加剤等を含有してもよい。例えば、通常のポリオレフィン系樹脂に使用される紫外線吸収剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤)、酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。この中でも特に、さらに紫外線吸収剤(UVA)及び光安定剤(HALS)の少なくとも1種を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えばトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤(特開2001−181413)のほか、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サルチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニル−サリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤;粒径0.2μm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄等の無機系紫外線吸収剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は、紫外線吸収剤の種類等に応じて適宜設定できるが、第2層に0.1〜3重量%程度含まれることが好ましい。
光安定剤(ラジカル捕捉剤)としては、高分子型光安定剤又はそれ以外の光安定剤を使用することができる。
前者の高分子型光安定剤としては、特に下記式(1)
Figure 2008074074
(但し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体(エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体)を好適に用いることができる。例えば、上記式(1)でR、Rがメチル基、Rが水素原子である化合物とエチレンとの共重合体を好適に用いることもできる。
このような高分子型光安定剤を用いることによって、帯電防止性能の低下を伴うことなく、耐候性を高めることができる。その結果、良好な帯電防止性能と優れた耐候性という2つの効果をより確実に達成することができる。
重合体のMI(メルトインデックス)は、0.1〜500g/min、特に0.5〜200g/minのものが望ましい。
前記の共重合体は、公知又は市販のものを使用することができる。
後者の光安定剤としては、例えばビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートのほか、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジル系ラジカル捕捉剤等が挙げられる。
光安定剤の添加量は特に限定されず、一般的には第2層中0.1〜10重量%程度の範囲内において、用いる光安定剤の種類等に応じて適宜設定することができる。特に前記の高分子型光安定剤を用いる場合には、第2層中2〜40重量%程度が望ましい。
(化粧シートの層構成)
化粧シートの層構成は、上記所定のポリオレフィン系樹脂層を有する限り限定されず、公知の化粧シートと同様の構成を採用することができる。例えば、基材シート上に少なくとも絵柄層、前記ポリオレフィン系樹脂層及び表面保護層が順に積層された化粧シートが挙げられる。
各層の形成方法は、特に限定的でなく、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、転写印刷等の印刷;スプレー、ローラー、刷毛等の塗布;シート状物等の成形体を積層等のいずれも採用することができる。これらの方法の中から、各層の特性、原料等に応じて適宜組み合わせて選択すれば良い。
各層の厚みも限定的でなく、最終製品の用途、特性等に応じて適宜決定することができる。通常は0.1〜500μm程度の範囲内とすることができる。
以下、上記の化粧シートを実施形態の一例として、各層の構成について説明する。
基材シート
基材シートは、その表面(おもて面)には絵柄層等が順次積層される。
基材シートとしては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたものが好適である。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。
基材シートは、着色されていても良い。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていても良い。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には50〜250μmが好ましい。
基材シートは、必要に応じて、絵柄層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、裏面プライマー層を形成したりしてもよい。
絵柄層
絵柄層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与するものであり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることが望ましい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等がさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。
より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等を使用できる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂変性又は混合樹脂、その他の樹脂も使用できる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上で使用できる。
絵柄層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層(着色隠蔽層)を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。
上記以外にも、例えば、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法などを用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度である。
接着剤層
接着剤層は、絵柄層とポリオレフィン系樹脂層との間に存在する。接着剤層で使用する接着剤は、絵柄層又は透明性樹脂層を構成する成分等に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂等を含む各種接着剤を使用できる。また、反応硬化タイプのほか、ホットメルトタイプ、電離放射線硬化タイプ、紫外線硬化タイプ等の接着剤でもよい。
なお、本発明では、熱圧着できる接着剤を使用し、熱圧着によって絵柄層と透明性樹脂層とを積層することもできる。
接着剤層は、絵柄層が認識できる限り、透明でも半透明でもよい。
接着剤層は、化粧シートのVOCを低減できる点で水性組成物により形成されることが望ましい。水性組成物としては、水性バインダーを含む組成物を使用できる。水性バインダーは、樹脂水溶液、水性樹脂エマルジョン等のいずれの形態であっても良い。これらに使用される樹脂は、前記の絵柄層の形成に使用される水性組成物の水性バインダーと同じものを使用できる。
なお、本発明では、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。
接着剤層の厚みは、透明性保護層、使用する接着剤の種類等によって異なるが、一般的には0.1〜30μm程度とすれば良い。
ポリオレフィン系樹脂層
この実施形態においては、絵柄層(さらには接着剤層)上にポリオレフィン系樹脂層が形成される。この場合、ポリオレフィン系樹脂層は透明層であることが好ましい。また、絵柄層が視認できる限りは、着色透明層、着色半透明層等であっても良い。
ポリオレフィン系樹脂の構成及び形成方法は、前記のとおりにすれば良い。例えば、図1に示すように、第1層(最表層:押出し樹脂層2)と第2層(押出し樹脂層1)の2層構成とすることもできる。この場合には、第1層に高分子型帯電防止剤を含有しないポリオレフィン系樹脂を用いて、第2層に高分子型帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂を用いて、両者を同時に又は別々に製膜することによってポリオレフィン系樹脂層を形成することができる。
表面保護層
本発明において、表面保護層は、最表面層として設けられている。表面保護層は、透明である限り、着色されていても良い。また、絵柄層が視認できる範囲内であれば半透明であっても良い。表面保護層の形成により、化粧シート表面の傷つきやすさをカバーし、耐擦傷性を向上させることができる。
表面保護層に用いられる材料としては特に限定されないが、本発明では2液硬化型ウレタン系樹脂を使用することが望ましい。2液硬化型ウレタン系樹脂は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを硬化剤とするものであれば特に限定されない。
2液硬化型ウレタン系樹脂に用いるポリオール及びイソシアネートとしては限定的ではないが、ポリオールとしては分子中に2個以上の水酸基を有するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。イソシアネートとしては、水性組成物の項目で説明したポリイソシアネート等が挙げられる。
本発明では、表面保護層は、VOC低減等の効果がより高められるという点で、水性組成物により形成されることが望ましい。水性組成物としては、水性バインダーを含む組成物を使用することができる。上記水性バインダーは、樹脂水溶液、水性樹脂エマルジョン等のいずれの形態であっても良い。これらに使用される樹脂は、前記の絵柄層の形成に使用される水性組成物の水性バインダーと同様のものを使用することができる。
また、本発明では、表面保護層として電離放射線硬化型樹脂を用いることもできる。電離放射線硬化型樹脂を使用する場合には、より優れた耐擦傷性、耐候性等が得られる。
電離放射性硬化型樹脂は、公知のもの又は市販品を使用することができる。具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基をもつプレポリマー、オリゴマー及び単量体の少なくとも1種を含む組成物を用いる。
前記のプレポリマー又はオリゴマーとしては、例えば、ポリエステルメタアクリレート、ポリエーテルメタアクリレート、ポリオールメタアクリレート、メラミンメタアクリレート等のメタアクリレート類、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類等がある。
単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸エトキシメチル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ラウリル等メタアクリル酸エステル類がある。
不飽和酸の置換アミノアルコールエステルとしては、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、メタアクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等がある。
その他、アクリルアミド、メタアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオベンジルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の多官能性物、及び/又は、分子中に2個以上のチオール基をもつポリチオール化合物、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオレート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコール等がある。また、3官能基以上のアクリレート系単量体には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート等がある。
電離放射線硬化型樹脂による表面保護層の形成方法は限定的ではないが、例えば、電離放射線硬化型樹脂を含む組成物(塗料)の塗膜に電離放射線を照射することにより形成できる。電離放射線は、塗料に含まれる電離放射線硬化型樹脂、添加剤である光ラジカル重合開始剤・増感剤に作用してラジカル重合反応を開始できるエネルギーを有するものであればよく、紫外線、X線、γ線等の電磁波が挙げられる。この中でも、塗膜の硬化能力、照射装置の簡便性からは電子線が最も実用性が高い。電子線照射する場合には、例えば、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線照射することにより皮膜を架橋硬化させればよい。なお、表面保護層を電離放射線硬化型樹脂により形成する場合は、予め下地としてプライマー層(特にウレタン系樹脂によるプライマー層)を透明性樹脂層上に設けることが望ましい。
表面保護層の厚みは限定されないが、通常は0.1〜50μm、特に1〜20μmとすることが望ましい。
エンボス加工
表面保護層(化粧シートの最表面)は、エンボス加工されていてもよい。さらには、エンボス加工による凹部にインキを充填するワイピング加工を施し、その表面を2液硬化型ウレタン系樹脂で被覆(オーバーコート処理)するのが好ましい。
エンボス加工は、化粧シートに木目模様等の所望のテクスチァーを付与するために行う。例えば、加熱ドラム上で表面保護層を加熱軟化させた後、さらに赤外線輻射ヒーターで140〜170℃に加熱し、所望の形の凹凸模様を有するエンボス板で加圧・賦形し、冷却固定することによりテクスチャーを付与する。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式エンボス機で行える。
エンボス凹凸模様としては、例えば、木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等が挙げられる。
ワイピング加工は、エンボス凹部にドクターブレードで表面をかきながらインキを充填する加工である。ワイピングインキとしては、通常は2液硬化型のウレタン樹脂をバインダーとするインキを用いることができる。ワイピング加工では、特に木目導管溝凹凸に対して行うことによって、より実際の木目に近い意匠を表現することにより商品価値を高めることができる。
本発明では、表面保護層中に他の成分が含まれていても良い。例えば、溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、光安定剤、ツヤ調整剤、ブロッキング防止剤、滑剤等の添加剤を配合できる。
2.化粧板
本発明の化粧板は、本発明の化粧シートが被着材上に積層されたものである。より具体的には、化粧シートの表面保護層が最表面層となるように当該シートが被着材上に積層されている。
(被着材)
被着材としては限定的ではない。例えば、木質材料、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。本発明化粧シートは、木質材料に好適に適用できる。木質材料としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パティクルボード、中密度繊維板(MDF)等が挙げられる。
(被着材への積層)
化粧シートの被着材への積層は、公知の化粧シートの積層と同様にすることができる。例えば、接着剤を用いて化粧シートを被着材上に貼着することにより積層できる。
使用できる接着剤としては、例えば熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系、ゴム系等のどのタイプの接着剤も使用できる。これは、公知のもの又は市販品を使用できる。
熱可塑性樹脂系接着剤としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、シアノアクリレート、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ニトロセルロース、酢酸セルロース、熱可塑性エポキシ、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー等が例示される。
熱硬化性樹脂系接着剤としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリベンゾチアゾール等が例示される。
ゴム(エラストマー)接着剤としては、天然ゴム、再生ゴム、スフチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロピレンゴム、ブロックコポリマーゴム(SBS,SIS,SEBS等)等が例示される。
本発明の化粧シートは、ポリオレフィン系樹脂層を2層以上の積層体により形成し、最表層以外の層に高分子型帯電防止剤を含有するため、ポリオレフィン系樹脂層上に(必要に応じてプライマー層を介して)表面保護層を積層した場合でも、ポリオレフィン系樹脂層と表面保護層との密着安定性が良好である。また、ポリオレフィン系樹脂層を3層とし、中間層(後述の第2層)に高分子型帯電防止剤を含有する場合には、ポリオレフィン系樹脂層を同時溶融押出しにより形成する場合であっても、高分子型帯電防止剤が直接に押出し機の口金に接触しないために、高分子系帯電防止剤が口金部分に付着して焼けが生じるという不都合が回避されている。
上記化粧シートは、室内用建材、外装用及び準外装用建材の化粧シートとして使用できるほか、家電製品、事務機器、計器類等の化粧シートとしても幅広く利用できる。
本発明の化粧シートの層構成を示す一例である。
符号の説明
1.基材シート
2.装飾層
3.接着剤層
4.ポリオレフィン系樹脂層(第2層)
5.ポリオレフィン系樹脂層(第1層、最表層)
6.裏面プライマー層
7.プライマー層
8.表面保護層
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより一層明確にする。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
着色材(酸化チタン)を10重量%添加することにより着色したポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み80μm)を基材シートとして用意した。その表面(おもて面)及び裏面にコロナ放電処理を施した。この表面(おもて面)に2液硬化型ウレタン系樹脂をバインダーとした着色インキをグラビア印刷し、アクリル系樹脂をバインダーとしたインキで木目柄の絵柄層を形成した。また、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとしたプライマー層をグラビア印刷にて形成し、印刷シートを得た。
次いで、上記印刷シートの絵柄層の上に、2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤層を厚さ15μmで形成した後、その塗膜の上に第1層(10μm)、第2層(60μm)、第3層(10μm)の3層からなるポリオレフィン系樹脂層を積層した。
ここで、上記第2層には、ポリエーテル−エステル−アミド系高分子型帯電防止剤(製品名「IRGASTAT P 18」チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)15重量%、高分子型光安定剤(品番「XJ100H」日本ポリエチレン製)20重量%、酸変性ポリオレフィン樹脂(製品名「ユーメックス1010」三洋化成工業株式会社製)3重量%及び紫外線吸収剤(製品名「UV1164ANK」サンケミカル製)4375重量ppmを含有した。また、第1層及び第3層はポリプロピレン樹脂のみで形成した。
ポリオレフィン系樹脂層は、3層を同時溶融押出しにより接着剤層上に製膜した。押出し機としてはマルチマニホールドタイプのTダイを用いた。押出し時の溶融樹脂の温度は220℃であった。
ポリオレフィン系樹脂層上に表面保護層を形成した。まず、ポリオレフィン系樹脂層の上に、さらにイソシアネート部分がイソホロンジイソシアネートと水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートを用いたアクリル−ウレタンブロック重合体(主剤)と、ヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)とからなる2液硬化型ウレタン系樹脂を塗工し、プライマー層(厚さ2μm)を形成した。
次に、ウレタンアクリレート系の電離放射線硬化型樹脂をグラビアコートにて塗膜を形成した後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して塗膜を架橋硬化させること(EB処理)により、表面保護層(厚さ5μm)を形成した。
比較例1
高分子型帯電防止剤を第2層ではなく第1層に配合した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
比較例2
高分子型帯電防止剤をポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマー系高分子型帯電防止剤(製品名「ペレスタット」三洋化成工業製)とし、第2層ではなく第1層に配合した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
比較例3
高分子型帯電防止剤を配合しない以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
試験例1(押出し特性の評価)
各実施例及び比較例の化粧シートのポリオレフィン系樹脂層を同時溶融押出しによって形成する際の押出し特性を評価した。
特性は、押出し時に口金部分に高分子型帯電防止剤の焼けが生じるか否かで評価した。
焼けが認められないものを○と評価した。焼けが認められるものを×と評価した。結果を下記表1に示す。
試験例2(表面保護層の密着安定性の評価)
密着安定性は、1)常態密着性、2)耐水性、3)耐候性の観点から評価した。評価結果を下記表1に示す。
1)常態密着性
耐セロテープ(登録商標)試験により評価した。
化粧シートの裏面全体に両面テープを貼着し、土台(金属製の平板)に圧着した。化粧シートのおもて面(表面保護層)に粘着テープ(ニチバン製「セロテープ(登録商標)」工業用24mm幅)を貼着し、綿布で擦って十分に密着させた。次に、貼着した粘着テープを剥離角45°で急激に剥離した。粘着テープの貼着と剥離とを10回繰り返した後、肉眼観察により表面保護層の剥離の有無を確認した。
表面保護層の剥離が認められないものを○と評価し、剥離が認められたものを×と評価した。
2)耐水性
耐セロテープ(登録商標)試験により評価した。
常温水(20℃)に168時間浸漬した化粧シートを用いた以外は、上記1)常態密着性の試験方法・評価方法と同じとした。
3)耐候性
耐セロテープ(登録商標)試験により評価した。
耐候性試験装置「アイスーパーUVテスター」(岩崎電気製)で200時間の加速試験を実施した化粧シートを用いた以外は、上記1)常態密着性の試験方法・評価方法と同じとした。
試験例3(帯電防止性能の評価)
デジタル絶縁計(東亜電波工業製)を用いて表面抵抗率を測定することにより評価した。測定結果を下記表1に示す。
Figure 2008074074
表1の結果から明らかなように、本発明の化粧シートは、製造時の押出し特性が良好であり帯電防止剤の焼けは認められなかった。また、表面保護層の密着安定性及び帯電防止性能も高い。他方、第1層にポリエーテル−エステル−アミド系高分子型帯電防止剤を含有する比較例1の化粧シートは、製造時に帯電防止剤の焼けが認められて、押出し性能が不十分であった。第1層にポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマー系高分子型帯電防止剤を含有する比較例2の化粧シートは、表面保護層の密着安定性が不十分であった。なお、実施例1と比較例1、2との帯電防止性能は同等であった。帯電防止剤を含有しない比較例3の化粧シートは、押出し特性及び表面保護層の密着安定性はあるが、帯電防止性能が無い。

Claims (14)

  1. 被着体に積層するための化粧シートであって、
    (1)前記化粧シートは、2層以上の積層体からなるポリオレフィン系樹脂層を有し、
    (2)前記ポリオレフィン系樹脂層のうち、最表層以外の層に高分子型帯電防止剤を含有することを特徴とする化粧シート。
  2. 前記高分子型帯電防止剤を含有する層は、更に酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂層は、最表層を第1層とし、第1層と第2層の2層からなり、前記第2層に高分子型帯電防止剤が含有されている、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂層は、第1層、第2層、第3層の順となるように更に第3層を有する、請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記最表層は、高分子型帯電防止剤を含有しない、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記高分子型帯電防止剤は、ポリエーテル−エステル−アミド及びポリエーテル−ポリオレフィンブロックポリマーの少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 前記第2層は、高分子型帯電防止剤を3〜35重量%含有する、請求項3〜6のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 前記第2層は、更に紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくとも1種を含む、請求項3〜7のいずれかに記載の化粧シート。
  9. 前記光安定剤は、高分子型光安定剤である、請求項8に記載の化粧シート。
  10. 前記高分子型光安定剤は、下記式(1)
    Figure 2008074074
    (但し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    で示される環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体である、請求項9に記載の化粧シート。
  11. 前記第2層は、高分子型光安定剤を2〜40重量%含有する、請求項9又は10に記載の化粧シート。
  12. 前記ポリオレフィン系樹脂層は、同時溶融押出しにより形成される、請求項1〜11のいずれかに記載の化粧シート。
  13. 前記化粧シートは、基材シート上に少なくとも絵柄層、前記ポリオレフィン系樹脂層及び表面保護層が順に積層されている、請求項1〜12に記載の化粧シート。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の化粧シートを被着材に積層してなる化粧板。
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