JP4526170B2 - 塗装設備 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動二輪車の燃料タンク等に塗装を施す塗装設備に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、自動二輪車の燃料タンクに塗装を施す塗装設備として、例えば実公平４−４８４４号のように、ワークを支持する支持部材を軸回りに回転させながら塗装することにより、塗装面に塗布した塗料がタレて塗膜が不均一になるのを防止するような技術が知られているが、上記技術を含めて、例えば図９に示すように、塗装ブース５１内にワークＷの搬送装置５２を設ける方式は、ワークに吹き付ける塗料が搬送装置５２のコンベア等に付着し、これが剥がれてワークＷに付着すると、塗装不良になる恐れがあるため、例えば特開平６−１３４３６０号のように、ワークを支持する支持ロッドだけを塗装ブース内に臨ませ、支持ロッドを移動させる移動手段をブース外に配置するような技術が提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の塗装のやり方は、ワークを常時移動させながら塗装するようにしているため、塗装品質等を一定以上に高めるのが困難であり、また塗装品質をある程度以上にするためには設備構成が複雑化して大型化するという問題がある。
【０００４】
そこで本発明は、コンパクトな設備構成でありながら塗装品質等を良好に出来る塗装設備の提供を目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、搬送装置によってワークを機能別加工ステーションへ順次送り込みながら塗装から焼付け、乾燥までの一連の作業を行うようにした塗装設備において、搬送装置として、ワークを支持する搬送架台を上流の機能別加工ステーションから下流の機能別加工ステーションに向けてシャトル送りで搬送するシャトル送り機構と、下流の機能別加工ステーションから上流の機能別加工ステーションに向けて搬送架台を自走で循環走行させる自走機構を設けるようにした。
【０００６】
このようにワークをシャトル送りで機能別加工ステーションに順次搬送し、搬送した後、ワークの移動を停止して塗装や焼付け、乾燥等を行うことにより、高品質の塗装等を行うことが出来る。
ここで、機能別加工ステーションとしては、例えば塗装を行う塗装ステーションや、溶剤等を除去するセッティングステーションや、予備加熱するプレヒートステーションや、塗料焼付けを行うＵＶ焼付けステーションや、塗膜を乾燥させるアフターヒートステーション等である。
【０００７】
そしてこれらの一連の作業が終えると、搬送架台からワークを払出した後、搬送架台を自走機構に送り込み、自走させて上流の機能別加工ステーションに戻して循環させれば、全体の設備構成をコンパクトに構成出来る。
ここで、搬送架台を自走で走行させるためには、例えば床に傾斜面を形成する等により安価に構成することが出来る。
【０００８】
また請求項２では、前記搬送架台を、各機能別加工ステーションのブース外を走行する台車と、この台車に支持され且つブース内に延出するワーク支持アームから構成し、このワーク支持アームを、回動機構によってアーム軸回りに回動自在にした。
【０００９】
このようにワーク支持アームを支持する台車をブース外に配設することで、搬送駆動部に塗料が付着し、これが剥がれてワークに付着するような塗装不良を防止することができる。
また、ワーク支持アームを回転させながら塗料を吹き付けることで、塗料のタレを防止して塗膜を均一にすることが出来、塗装品質の一層の向上が図られる。
【００１０】
また請求項３では、機能別加工ステーションの下流側に、ワーク支持アームの回動位置を一定に規制する回動位置決め機構を設けるようにした。
【００１１】
そしてこの回動位置決め機構により、ワーク支持アームの向きを一定にすることにより、例えばワークの取出しや、次のワークのセット作業等を容易に行うことが出来る。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図１は本塗装設備の構成概要を示す平面図、図２は塗装ブース内の概要を示す側面図、図３は塗装設備の具体的構成の平面図、図４は設備構成の正面図、図５は図３のＡ矢視図、図６は塗装ブースと搬送架台の側面図、図７は搬送架台の平面図、図８は搬送架台を背面から見た説明図である。
【００１３】
本発明に係る塗装設備は、例えば自動二輪車の燃料タンクに塗装を施す設備として構成され、塗装品質を高めることが出来るようにされるとともに、設備構成をコンパクト化できるようにされ、機能別加工ステーションに向けてシャトル送りした後、ワークの搬送を停止させて各機能別に加工し、一連の加工が終了すると、ワークを払出して搬送架台を自走させて循環させるようにしている。
【００１４】
すなわち本設備構成の概要は、図１に示すように、機能別加工ステーションとして、直列に配列される塗装ブース１とセッティングブース２とプレヒートブース３とＵＶ焼付けブース４とアフターヒートブース５、６を備えており、塗装ブース１の上流側には供給部Ｘが設けられるとともに、アフターヒートブース６の下流側には取出し部Ｙが設けられ、供給部Ｘと取出し部Ｙの間には、各機能別加工ステーションを通過するシャトル送り搬路７が設けられ、後述する搬送架台１２をシャトル送りするようにしている。そしてこのシャトル送り搬路７に沿って上流側の供給部ＸからワークＷを支持する搬送架台１２をシャトル送りして下流の取出し部Ｙに向けて順次移送し、取出し部Ｙで加工の終えたワークＷを払出した後、手動送り搬路８を介して、搬送架台１２を自走送り搬路９に移送し、上流側に向けて自走させた後、手動送り搬路１０を通して供給部Ｘに循環させるようにしている。
【００１５】
また、この塗装設備には、後述する回動機構２８が設けられており、この回動機構２８によって、各機能別加工ステーションの各ブース１〜６内で、図２に示すように、搬送架台１２の支持アーム１３をアーム軸回りに回転させるようにしており、支持アーム１３の先端に支持するワークＷへの塗装や乾燥等が均一に行われるようにしている。
以下、具体的な構成について、図３乃至図９に基づき説明する。
【００１６】
前記シャトル送り搬路７には、図３に示すようなシャトル送り機構１４が設けられている。
このシャトル送り機構１４は、送りストロークの異なる２種類のエアシリンダユニット１５、１６を備えており、一方側のエアシリンダユニット１５のシリンダロッドには、連結ロッド５１を介して、供給部Ｘの搬送架台１２を塗装ブース１に送り込むための第１プッシャ１７と、塗装ブース１の搬送架台１２をセッティングブース２に送り込むための第２プッシャ１８が連結されている。
【００１７】
また他方側のエアシリンダユニット１６のシリンダロッドには、連結ロッド５２を介して、セッティングブース２の搬送架台１２をプレヒートブース３に送り込むための第３プッシャ２０と、プレヒートブース３の搬送架台１２をＵＶ焼付けブース４に送り込むための第４プッシャ２１と、ＵＶ焼付けブース４の搬送架台１２をアフターヒートブース５に送り込むための第５プッシャ２２と、アフターヒートブース５の搬送架台１２を下流のアフターヒートブース６に送り込むための第６プッシャ２３と、アフターヒートブース６の搬送架台１２を取出し部Ｙに送り込むための第７プッシャ２４が設けられている。
【００１８】
そしてこれら各プッシャ１７〜２４は、エアシリンダユニット１５、１６の作動によってそれぞれ上流側から下流側に向けて１ストローク分前進する際、搬送架台１２を押圧することが出来るようにされるとともに、後退して元の位置に復帰する際、上流側の搬送架台１２に干渉しないで通過出来るようにされ、例えば一方側に向けて起伏自在にされている。
【００１９】
また、シャトル送り搬路７には、搬送架台１２の車輪をガイドする一対のガイドレール２５が設けられているが、各ブース１〜６の位置に対応して、ガイドレール２５の近傍には、搬送架台１２の後退位置を規制するアンチバック２６が左右にそれぞれ一対設けられている。
このアンチバック２６は、搬送架台１２が下流側に向けて移動する際は通過を許容し、搬送架台１２が上流側に向けて移動しようとしてもそれを阻止し得るようにされ、例えば図４に示すように揺動自在なアンチバック２６の一端側が自重により下がるようにされている。
【００２０】
また、一方側のガイドレール２５の外側には、回動機構２８が配設されている。
この回動機構２８は、後述する搬送架台１２の支持アーム１３を軸回りに回転させるための機構であり、図３、図４に示すように、複数の支柱３０により一定の高さで一方側のガイドレール２５の側方に配設される無限軌道状のチェーン３１と、このチェーン３１の走行を駆動するモータ３２を備えており、前記チェーン３１の走行路はガイドレール２５と平行方向に形成されるとともに、上部側のチェーン３１がシャトル送り搬路７の下流側から上流側に向かう方向とされている。
【００２１】
そして、このチェーン３１の上部側に、後述する搬送架台１２のスプロケット４２が噛合自在にされており、搬送架台１２が塗装ブース１に送り込まれるとスプロケット４２が自動的にチェーン３１に噛合して、支持アーム１３が軸周りに回転を始めるとともに、アフターヒートブース６から送り出されると、スプロケット４２がチェーン３１から外れるようにしている。
【００２２】
また、回動機構２８の下流側には、回動位置決め機構３３が設けられている。この回動位置決め機構３３は、支持アーム１３の回動位置を一定に規制するためのものであり、例えばカム機構等により、通過する搬送架台１２の支持アーム１３の向きを一定に規制し、ワークＷが上向きになって取り出し易い姿勢になるようにしている。
【００２３】
取出し部Ｙから手動送り搬路８を介して自走送り搬路９までの構成は、図５に示すとおりである。すなわち、取出し部Ｙと自走送り搬路９には、それぞれ昇降ローラ３４が設けられており、取出し部Ｙでは、シャトル送り機構１４で送り込まれた搬送架台１２を、昇降ローラ３４が上昇して手動送り搬路８の移送ローラ３５と同じ高さまで持ち上げることが出来るようにされ、自走送り搬路９の昇降ローラ３４は、移送ローラ３５と同じ高さで受取った搬送架台１２を下方に降下させて、搬送架台１２の車輪を自走送り搬路９の自走レール３６に載置せしめることが出来るようにされている。
【００２４】
前記自走送り搬路９には、下流側から上流側に向けて自走レール３６が設けられているが、この自走レール３６には、図４に示すような傾斜αが設けられている。そして搬送架台１２が下流側の自走レール３６上に載置されると、自重により上流側に向けて自走するようにしている。
【００２５】
そして上流側の自走送り搬路９と供給部Ｘにも昇降ローラ３４が設けられており、中間部の手動送り搬路１０には移送ローラ３５が設けられ、これらは下流側の構成とほぼ同一である。
【００２６】
前記搬送架台１２は、図６乃至図８に示すように、車輪３８を備えた台車３９と、台車３９の一端側に立設される架台４０と、架台４０の上端部に回転自在に取り付けられる支持アーム１３を備えており、支持アーム１３の先端側は、ワークＷの保持部とされるとともに、基端側はベベルギヤ４６やウォームギヤ４１等を介してスプロケット４２に連結されている。
【００２７】
そしてこのスプロケット４２が前述の回動機構２８のチェーン３１に噛合自在にされており、スプロケット４２の回転がベベルギヤ４６やウォームギヤ４１（図８）等を介して支持アーム１３に伝達されるようにしている。
因みに、このウォームギヤ４１のギヤ比は２０：１程度の大きな減速比に設定されており、一旦設定した支持アーム１３の回転姿勢が容易に変更しないようにされている。
【００２８】
また、支持アーム１３の基端側には、前記回動位置決め機構３３で支持アーム１３の向きを一定にするための位置決めカム４３が設けられている。
【００２９】
そして、図６からも明らかなように、搬送架台１２の台車３９と架台４０は、各ブース１〜６の外部を走行し、支持アーム１３がブース１〜６内部を通過するようにしており、このうち、塗装ブース１については、支持アーム１３が挿通するブース１の開口部ｈをエアシールするため、図６に示すようなエア吹出し部４４が設けられており、開口部ｈをエアシールして塗装ブース１内に異物等が侵入するのを阻止するようにしている。
【００３０】
以上のような塗装設備の作用等について説明する。
供給部Ｘにおいて作業者Ｐが搬送架台１２の支持アーム１３の先端にワークＷを取り付け、塗装ブース１に投入する準備を完了する。
この際、第１プッシャ１７は当該搬送架台１２を塗装ブース１に向けて押圧出来る位置に後退している。
【００３１】
移送準備が完了すると、エアシリンダユニット１５、１６が同期して作動し、供給部Ｘの搬送架台１２が塗装ブース１へ、塗装ブース１の搬送架台１２がセッティングブース２へ、セッティングブース２の搬送架台１２がプレヒートブース３へ送られる等、それぞれのブースに位置する搬送架台１２がそれぞれ下流のブースにシャトル送りされ、塗装ブース１に送り込まれた搬送架台１２のスプロケット４２が回動機構２８の上方のチェーン３１に噛合し、支持アーム１３が軸周りに回転を始める。
因みに、スプロケット４２が噛合する際の上方のチェーン３１の走行方向は、下流側から上流側に向けた方向であるため、下流側に向けて移動中のスプロケット４２に確実に噛合するとともに、噛合した後は、搬送架台１２に対して上流側に押し戻すような力が作用し、アンチバック２６により搬送架台１２を正確に位置決め出来る。
【００３２】
そして塗装ブース１では、図２に示すようにスプレー装置４５等により塗装が行われるが、ブース１内にはチェーン等の走行駆動部がないため、これらに付着した塗料が剥がれて塗装面に付着するような不具合がなく、また、支持アーム１３を挿通させるための開口部ｈには、エア吹出し部４４から吹出されるエアによってエアシールがなされて異物等が侵入しないため、塗装不良の不具合は生じない。
しかもワークＷの搬送を停止させ、軸周りに回転させながら塗装作業が行われるため、塗料のタレを防止して塗膜を均一に出来る等、塗装品質を良好にすることが出来る。
【００３３】
塗装ブース１で塗装が完了すると、搬送架台１２はシャトル送りによりセッティングブース２に送られて溶剤等が飛ばされ、次いで、プレヒートブース３、ＵＶ焼付けブース４、アフターヒートブース５、６に順次送られて、焼付け、乾燥が行われた後、回動位置決め機構３３を経て支持アーム１３の向きが一定に規制された状態で取出し部Ｙに送られる。
【００３４】
そして取出し部ＹでワークＷを取出すが、支持アーム１３の向きの規制によりワークＷの向きは取り出し易い方向に向いているため容易に取り出すことが出来る。
そして昇降ローラ３４を上昇させて移送ローラ３５の高さと同一にし、作業者Ｐが手動により搬送架台１２を自走レール３６側の昇降ローラ３４に移送した後、当該昇降ローラ３４を降下させて搬送架台１２を自走レール３６上に載置する。
【００３５】
すると搬送架台１２は自走レール３６を上流側に向けて自走し、上流側の移送ローラ３５を経て供給部Ｘに戻されるが、この間、支持アーム１３の向きは継続して一定に保持されており、次のワークＷをセットする際、セット作業を容易に行うことが出来る。
【００３６】
以上のような設備構成により、塗装品質を高めることが出来るとともに、コンパクトで安価な設備構成が可能となる。
【００３７】
尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えばワークＷの種類等は任意である。
【００３８】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る塗装設備は、搬送装置によってワークを機能別加工ステーションへ順次送り込むようにした塗装設備において、搬送架台を上流の機能別加工ステーションから下流の機能別加工ステーションに向けてシャトル送りで搬送するようにし、これを自走機構により循環走行させるようにしたため、ワークの移動を停止して塗装や乾燥等を行うことが出来、高品質の塗装等を行うことが出来るとともに、全体の設備構成をコンパクトに且つ安価に構成出来る。
【００３９】
また請求項２のように、搬送架台の台車をブース外を走行させ、ワーク支持アームだけをブース内を走行させることにより、搬送駆動部に塗料が付着し、これが剥がれて塗装不良を起こすような不具合を防止することができ、しかもワークを回転させながら塗料を吹き付けるため、塗装品質の一層の向上が図られる。
そして請求項３のように、機能別加工ステーションの下流側に、ワーク支持アームの回動位置を一定に規制する回動位置決め機構を設ければ、塗装後のワークの払出しや塗装前のワークの取り付け作業等を容易化することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本塗装設備の構成概要を示す平面図
【図２】塗装ブース内の概要を示す側面図
【図３】塗装設備の具体的構成の平面図
【図４】設備構成の正面図
【図５】図３のＡ矢視図
【図６】塗装ブースと搬送架台の側面図
【図７】搬送架台の平面図
【図８】搬送架台の一部を断面にした背面図
【図９】従来の塗装設備の一例図
【符号の説明】
１…塗装ブース、２…セッティングブース、３…プレヒートブース、４…ＵＶ焼付けブース、５…アフターヒートブース、６…アフターヒートブース、７…シャトル送り搬路、９…自走送り搬路、１２…搬送架台、１３…支持アーム、１４…シャトル送り機構、１５…エアシリンダユニット、１６…エアシリンダユニット、２８…回動機構、３１…チェーン、３３…回動位置決め機構、３６…自走レール。

Claims (2)

1. 搬送装置によってワークを機能別加工ステーションへ順次送り込みながら塗装から焼付け、乾燥までの一連の作業を行うようにした塗装設備であって、前記搬送装置は、ワークを支持する搬送架台を上流の機能別加工ステーションから下流の機能別加工ステーションに向けてシャトル送りで搬送するシャトル送り機構と、下流の機能別加工ステーションから上流の機能別加工ステーションに向けて搬送架台を自走で循環走行させる自走機構を備え、前記搬送架台は、各機能別加工ステーションのブース外を走行する台車と、この台車に支持され且つブース内に延出するワーク支持アームを備え、このワーク支持アームは、回動機構によってアーム軸回りに回動自在にされ、前記回動機構は搬送架台の車輪をガイドするガイドレールと平行に走行する無限軌道状のチェーンを備え、このチェーンの上側部が搬送架台のスプロケットに噛合することで、チェーンの走行に伴って前記ワーク支持アームが軸周りに回転することを特徴とする塗装設備。
2. 請求項１に記載の塗装設備において、前記回動機構の下流側には、前記ワーク支持アームの回動位置を一定に規制する回動位置決め機構が設けられることを特徴とする塗装設備。

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