JP3805837B2 - 角速度検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のナビゲーションシステムや姿勢制御などに用いられる角速度検出装置に関するものであり、特に、振動型の角速度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、振動体に回転を加えるとコリオリの力によって回転角速度に応じた新たな振動が発生することを利用した振動型角速度検出装置が知られている。このような角速度検出装置の一例として、たとえば、特開平7−55479号公報に記載の回転速度センサがある。この回転速度センサにおいて用いられている振動子は、XY平面において、矩形のフレームの一辺から+Yの向きに2本の励振枝が突出しており、そのフレームの対向する辺から−Yの向きに2本ピックアップ枝が突出した構造を有している。この構造において、励振枝をX方向に励振すると、振動子の回転に伴って発生したコリオリの力によって励振枝がZ方向にも振動し、このZ方向の振動はピックアップ枝に伝達される。ピックアップ枝側では、この伝達されたZ方向の振動を検出し、検出結果から振動子の回転角速度を導く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来の回転速度センサにおいては、励振枝とピックアップ枝のZ方向の振動がフレームの中心部を支点として互いに逆相となる。つまり、励振枝が上向きすなわち+Zの向きに振れたときには、ピックアップ枝が下向きすなわち−Zの向きに振れる。
【0004】
しかしながら、この従来の回転速度センサでは、励振枝とピックアップ枝の振動バランスについて何ら考慮していないため、両枝の支点となるフレームが両枝の振動に応じてZ方向に揺れる。この揺れは、励振枝からピックアップ枝へのZ方向の振動の伝達を妨げ、ピックアップ枝での振動の検出精度を低下させる。特に、2本の励振枝の励振位相が逆相の場合にはフレームにねじれが生じ、検出精度の低下は一層大きなものとなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の角速度検出装置は、このような問題を解決するためになされたものであり、XYZ三次元座標空間において、XY平面上のX方向に延在し角速度を検出すべき被検出体に固定される振動子基体と、この振動子基体から+Yの向きに突出しX方向の第1固有振動数を有する第1振動片と、振動子基体から−Yの向きに突出し第1固有振動数と異なるX方向の第2固有振動数を有する第2振動片とを有する振動子と、第1または第2振動片のいずれかをZ方向またはX方向に励振する励振手段と、第1または第2振動片における励振手段による振動の励振方向とY方向との双方に直交する振動の振幅を検出する検出手段と、検出手段により検出された振幅の大きさからY方向を軸とする回転角速度を演算する角速度演算手段とを備え、第1振動片のZ方向の振動による振動子基体との結合部を支点とした回転慣性力と、第2振動片のZ方向の振動による振動子基体との結合部を支点とした回転慣性力とを略等しくしたものである。
【0006】
ここに、振動片の回転慣性力とは、振動片を微小部分(質点)に分け、各質点における質量と振幅の自乗との積を、振動片と振動子基体との結合点から当該質点までの距離で除した値の総和のことを言う。
【0007】
このように構成すると、X方向の第1固有振動数と第2固有振動数とが異なる値なので、第1振動片と第2振動片との間のX方向の振動伝達はほとんどなされない。そして、振動子を1枚の薄い基板で構成すれば、Z方向の振動のみが互いに逆相で伝達される。すなわち、第1振動片と第2振動片はZ方向の振動については連成する。しかも、第1振動片の回転慣性力と第2振動片の回転慣性力とが略等しいので、両振動片がZ方向において互いに逆相で振動した場合、両振動片のZ方向の振動の支点となっている振動子基体がZ方向に揺動することがない。
【0008】
また、第2振動片が第1振動片よりも細くて長いものであり、第1振動片と前記第2振動片の対が振動子基体に対して2組設けられ、振動子基体は支持棒を介して被検出体に固定されており、この支持棒は2組の振動片対の一方の振動片対と他方の振動片対との間において振動子基体からY方向に延びその先端が被検出体に固定され、2本の第1振動片を互いに逆相で励振させることが望ましい。
【0009】
このように構成すると、X方向の振動を一方の振動片対と他方の振動片対とで互いに相殺し合うため、振動子基体のX方向の揺れもなくなる。
【0010】
さらに、第1振動片のX方向の幅WをZ方向の厚みDの0.7倍以下とすることにより、第1振動片のX方向の振動がZ方向の振動に漏れる量を急激に減少させることができる。Z方向の漏れ振動が少なくなれば、相対的にコリオリの力に基づくZ方向の振動成分が増大し、検出精度が向上する。
【0011】
また、励振の振動方向をX方向に代えてZ方向にする場合には、自励振では第1振動片と第2振動片とが同相でZ方向に連成振動しやすいが、励振手段にたとえばフィードバック機能を設けることにより励振の位相を調節すれば、第1振動片と第2振動片とを互いに逆相でZ方向に振動させることができる。第1振動片と第2振動片とを互いに逆相でZ方向に振動させることができれば、第1振動片のZ方向の振動による振動子基体との結合部を支点とした回転慣性力と、第2振動片のZ方向の振動による振動子基体との結合部を支点とした回転慣性力とを略等しくしてあるので、振動子基体がZ方向に揺動しない。
【0012】
さらに、励振手段による励振の周波数を第1または第2振動片のZ方向の高次の固有振動数と一致させると、Z方向の重心移動が少なくなって振動子基体のZ方向の揺動が一層抑えられ、検出精度が高まる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、本発明の一実施形態における振動子10を示す平面図である。この図において、左右方向をX軸とし右向きを正の向きにとり、上下方向をY軸とし上向きを正の向きにとり、紙面に垂直な方向をZ軸とし表向きを正の向きにとっている。振動子10は、X軸方向に延在する振動子基体11と、振動子基体11から+Yの向きに延びる励振用の第1振動片12および13と、振動子基体11からそれぞれ第1振動片12および13と同軸上で−Yの向きに延びる検出用の第2振動片14および15と、第2振動片14および15の間において振動子基体11から−Yの向きに延びる支持棒16と、支持棒16の端部に設けられた固定板17とが水晶の単結晶基板で一体に構成されている。
【0014】
ここで、水晶の結晶軸について簡単に説明する。天然の水晶は、一般に柱状結晶であり、この柱状結晶の縦方向の中心軸すなわち<0001>結晶軸はZ軸または光軸と規定され、Z軸を通り柱状結晶の各表面に垂直に交わる線はY軸または機械軸と規定される。また、Z軸を通りこの柱状結晶の縦方向の稜線と直交する線はX軸または電気軸と規定される。
【0015】
振動子10に用いられている単結晶基板はZ板と呼ばれる基板であり、Z軸に垂直ないし略垂直な面で切り出された単結晶基板である。したがって、本実施形態においては、結晶方位のZ軸と、図面上の振動子10の配置方向を示す上述したZ軸とは一致している。また、水晶はZ軸に対して三回対称の結晶構造を持つため、水晶のX軸およびY軸は互いに直交するものが3組あり、そのうちの一組と図面上の振動子10の配置方向を示すX軸およびY軸とが一致している。なおこの結晶方位と振動子10の方向関係は、後に述べる他の実施形態でも同様である。また、振動子10に用いられる水晶は、人工水晶であるがその構造は天然の水晶と同じである。
【0016】
第1振動片12および13は互いに同一寸法であり、本実施形態では共に励振用の振動片として用いられる。また、第2振動片14および15も互いに同一寸法であり、共に検出用の振動片として用いられる。第2振動片14および15は、第1振動片12および13に対して細くて長く、そのために、第1振動片12、13のX方向の固有振動数fX1と第2振動片14、15のX方向の固有振動数fX2とが互いに異なっている。Z方向の固有振動数も第1振動片と第2振動片とでは互いに異なっているが、Z方向の振動については、第1振動片と第2振動片とが連成して振動するため連成の固有振動数fZが存在する。X方向の振動については第1振動片と第2振動片との間の振動の伝達率が非常に低いため連成振動はほとんどない。このように、X方向の振動については第1振動片と第2振動片とが連成せず、Z方向の振動については第1振動片と第2振動片とが連成するのは、振動子10全体が非常に薄い水晶基板で一体に形成されており、振動子基体11のY方向の幅が水晶基板の厚みに対して十分に広いという形状に起因している。本実施形態では、第1振動片12、13のX方向の固有振動数fX1と連成の固有振動数fZ との値が非常に近い値になるように調整されている。
【0017】
また、第1振動片12のZ方向の振動による振動子基体11との結合部を支点とした回転慣性力と、第2振動片14のZ方向の振動による振動子基体11との結合部を支点とした回転慣性力とが略等しくなっている。同様に、第1振動片13のZ方向の振動による振動子基体11との結合部を支点とした回転慣性力と、第2振動片15のZ方向の振動による振動子基体11との結合部を支点とした回転慣性力とが略等しくなっている。このように、同一軸上で互いに対になっている第1振動片と第2振動片の回転慣性力が略等しいので、第1振動片と第2振動片が連成して互いに逆相に振動したときに、この振動に基づいて振動子基体11がZ方向に揺動することがない。
【0018】
本発明における振動片の回転慣性力というのは、既に述べたように、振動片を微小部分(質点)に分け、各質点における質量と振幅の自乗との積を、振動片と振動子基体との結合点から当該質点までの距離で除した値の総和のことであり、その詳細をここで説明する。
【0019】
図17に示すような質点M1、M2が支点から距離R1、R2離れて結合され、一定角速度Ωで質点M1、M2が支点を中心にして回転している場合を考える。このとき、支点が動かずに一定回転が持続するためには、両質点M1、M2にそれぞれ働く遠心力F1、F2が支点でバランスしている必要がある。これを式で表すと、質点M1に働く遠心力F1は、
F1=M1R1Ω2 …(1)
質点M2に働く遠心力F2は、
F2=M2R2Ω2 …(2)
となり、F1とF2は符号が反対で等しい値となるから、次式(3)の関係が導かれます。
【0020】
M1R1Ω2=M2R2Ω2 …(3)
ここで、回転の角速度Ωは等しいので式(3)は、
M1R1=M2R2 …(4)
となる。
【0021】
ところが、図17では振動に伴う反りが考慮されていない。図1に示すような実際の振動片の振動は、例えば、図18に示すように変形する。すなわち、振動片の構成材料は弾性体なので剛体とみなすことはできず、図18のように振動に伴う反りが発生する。この反りがあるため、質点M1,M2での角速度Ω1、Ω2に違いが生じる。この図18の質点M1、M2はそれぞれ、図1の第1振動片12及び第2振動片14をそれぞれ微小部分に分けたときの一つの質点に相当する。
【0022】
ここで、各質点M1、M2の振動中点での角速度Ω1、Ω2を各質点の振幅A1、A2を用いて表す。まず、振動方向の変位Z1、Z2は振動数Ω0により、各々次式(5)、(6)となる。
【0023】
Z1=A1sinΩ0t …(5)
Z2=A2sinΩ0t …(6)
したがって、振動の速度R1Ω1、R2Ω2は、式(5)、(6)を微分して、
R1Ω1=A1Ω0cosΩ0t …(7)
R2Ω2=A2Ω0cosΩ0t …(8)
となる。この式(7)、(8)を用いた遠心力F1、F2の釣り合いの式は、
M1R1(A1Ω0cosΩ0t/R1)2
=M2R2(A2Ω0cosΩ0t/R2)2 …(9)
となり、
M1A12/R1=M2A22/R2 …(10)
が導かれる。
【0024】
実際の振動片は質点の集まりであるから、第1及び第2振動片をそれぞれ微小部分に分割したときの各質点の質量Mi、Mjと各質点の振幅Ai、Ajの自乗の積を、支点すなわち両振動片と振動子基体との結合点からの距離Ri、Rjで割ったものの総和が略等しくなるようにする。
したがって、支点が動かない条件は
【0025】
【数1】
Figure 0003805837
となり、本発明では、このことを「回転慣性力が略等しい」と呼んでいる。
【0026】
さて、各振動片にはそれぞれの用途に応じた電極が設けられている。すなわち、第1振動片12および13には励振用の電極が、第2振動片14および15には検出用の電極がそれぞれ設けられている。電極の配置については、図面の微細描写を避けるために、図1(a)では省略されており、これに代えて、図1(b)および(c)を用いて表示されている。図1(b)および(c)は、それぞれ図1(a)におけるB−B断面図およびC−C断面図である。図示のように、第1振動片13には、それぞれ上面、下面および側面の4つの面に電極21〜24が、振動子基体11との結合部から第1振動片13の先端部に向かって、すなわち+Yの向きに、振動片全長の2/3〜3/4程度の長さに延在している。第1振動片12にも同様の電極31〜34(図2参照)が設けられている。一方、第2振動片15には、矩形断面の4つの角部すなわち稜線部をそれぞれが覆うように、4つの電極25〜28が振動子基体11との結合部から第2振動片15の先端部に向かって、すなわち−Yの向きに、振動片全長の2/3〜3/4程度の長さに延在している。なお、第2振動片14にも同様の電極35〜38(図2参照)が設けられている。
【0027】
各電極は、クロムと金の2層構造となっており、振動子10の表面にこれらの金属を蒸着した後に、フォトリソグラフィ技術を用いて適宜分離すると共に所望の形状にパターニングすることにより得られる。また、各電極は固定板17に設けられているボンディングパッド81〜88のいずれかと電気的に接続され、そこからさらに後述する信号処理回路に接続される。振動片上の各電極とボンディングパッドとの間の配線は、図示していないが支持棒16の表面に膜形成技術により設けらている。
【0028】
図2は本実施形態の角速度検出装置に用いられる励振回路50、検出回路60および角速度演算回路70を示すと共に、これらの回路と振動片12〜15に設けられた電極21〜28および31〜38との接続関係を示すブロック図である。また、図3は、第1振動片12および13における逆圧電効果を説明するための図であり、図4は第2振動片14および15における圧電効果を説明するための図である。
【0029】
励振回路50は、電流電圧変換回路51と自動利得制御回路52と駆動回路53とを備えており、検出回路60は、電流電圧変換回路61および62と差動増幅回路63と同期検波回路64とを備えている。
【0030】
駆動回路53は、自動利得制御回路52の出力電圧値に応じた振幅で所定の繰り返し周波数のパルス波を励振信号として出力するとともに、その出力信号と90度位相のずれた信号を同期検波回路64の検波信号として出力する回路であり、その出力端子は端子54を介して第1振動片13の側面の電極22、24と第1振動片12の上下面の電極31、33に共通に接続されている。第1振動片12および13の残りの電極21、23、32、34は、互いに共通に端子55を介して電流電圧変換回路51の入力端子に接続されることにより、駆動回路53が出力するパルス波の中間電位に固定される。
【0031】
図3は、この励振回路50による第1振動片の励振動作を説明するものであり、同図(a)は第1振動片13をZX平面で切った断面図であり、図1(b)と同等の図である。また、図3(b)は第1振動片13の屈曲動作を示した斜視図である。上述したように、電極21と23が共通に端子55に接続され、電極22と24が共通に端子56に接続されているので、駆動回路53の出力パルスがローレベルであると、図3(a)に示すような電圧、すなわち電極22および24には相対的に負の電圧が、電極21および23には正の電圧がそれぞれ各電極に与えられる。駆動回路53の出力パルスがハイレベルであれば、その逆の極性が与えられる。
【0032】
いま、図3(a)のような電圧が印加されている状態を考えると、振動片13の内部には矢印91から94で示したような電界が与えられることになる。一方、水晶の圧電効果はZ軸方向には現れないので、圧電効果に影響を与える有効電界は矢印95および96となる。水晶の結晶は逆圧電効果により、X軸の正の向きに電界が与えられるとY軸方向に伸び、X軸の負の向きに電界が与えらるとY軸方向に縮む。したがって、図3(a)の状態では、振動片13の電極24側が縮み、電極22側が伸びるため、振動片13は電極24を内側にして屈曲する。電極21から24に対する印加電圧の極性が逆転すると、同様の原理により振動片13は電極22を内側にして屈曲する。したがって、振動片13の一端を固定して駆動回路53から所定周波数のパルス信号を電極21、23に印加すると、振動片13は図3(b)に示すようにX方向に振動する。
【0033】
なお、本実施形態では、図2に示すように振動片13の上下の電極21および23と振動片12の左右の電極32および34とを共通に接続し、振動片13の左右の電極22および24と振動片12の上下の電極31および33とを共通に接続しているので、振動片12と13は、X方向に互いに逆相で振動する。
【0034】
第1振動片12と13のX方向の振動情報は、電流電圧変換回路51および自動利得制御回路52を介してフィードバックされる。電流電圧変換回路51は、第1振動片12および13の屈曲に伴う圧電効果によって電極21、23、32、34に発生した電荷の変化量を電圧値に変換する回路である。
【0035】
自動利得制御回路52は、電流電圧変換回路51から出力された電圧信号を入力し、その入力電圧値が大きくなると出力電圧値を小さくし、入力電圧値が小さくなると出力電圧値が大きくなるように動作する。したがって、第1振動片12および13の振動振幅が大きくなれば、電極21、23、32、34に発生する電荷も大きくなり、電流電圧変換回路51の出力電圧も大きくなる。これによって、自動利得制御回路52の出力電圧値は低くなり、駆動回路53の出力パルスの振幅は小さくなる。このように、駆動回路53から出力されるパルス信号の振幅はフィードバック制御され、第1振動片12および13の振動振幅は常に安定する。
【0036】
つぎに、図4に示すような第2振動片のZ方向の振動を検出する検出回路60を説明する。第2振動片15が図4(b)に示すようにZ方向に振動して、+Zの向きに屈曲すると、振動片15の上側の半分がY方向に縮み、下側の半分がY方向に伸びる。水晶の圧電効果により、Y方向に縮むとX方向の誘電分極が生じ、Y方向に伸びると逆向きのX方向の誘電分極が生じる。そして、誘電分極の強さは伸縮の大きさに依存するので上面または下面において強く現れ、中間部に向かうほど弱い。したがって、誘電分極は振動片15の4つの角部に集中して現れ、この誘電分極によって角部に設けられた各電極25〜28には図示のような正または負の電荷が集まる。つまり、電極25と27が同じ極性となり、これらの極性が電極26と28の極性と逆になる。振動片15が下側に振れると、同様の原理に基づいて上述したものと全く逆の極性が現れる。
【0037】
検出回路60は、このようにして発生した振動片15の各電極における電荷の変化量を検出し、第2振動片の振動振幅に応じた信号を出力する。本実施形態では、第1振動片12、13をX方向に互いに逆相で励振し、第1振動片と第2振動片とをZ方向について互いに逆相で振動させるものなので、第2振動片14と15はZ方向に関して互いに逆相で振動する。この第2振動片14、15のZ方向の振動は、第1振動片12、13のX方向励振振動がY方向振動として漏れたものと、振動子10が回転したときに生じるコリオリの力に基づいて発生したものとの合成振動であるが、いずれの成分についても互いに逆相となる。コリオリの力に基づくZ方向振動の発生メカニズムの詳細については後述するが、いずれにしろZ方向に関して互いに逆相の振動が発生するので、図2に示すように第2振動片15の電極25と28に対してこれらと面対称の位置にある第2振動片14の電極36と37が共通に接続され、さらに検出回路60の端子65に接続されている。そして、残りの電極26、27、35、38が共通に検出回路60の端子66に接続されている。
【0038】
電流電圧変換回路61は電極25、28、36、37での電荷の変化量を電圧値に変換する回路であり、電流電圧変換回路62は電極26、27、35、38での電荷の変化量を電圧値に変換する回路である。差動増幅回路63は電流電圧変換回路61および62のそれぞれの出力信号を入力し、両信号の電位差を増幅する回路であり、この出力信号の振幅は第2振動片14および15の振動振幅に対応している。
【0039】
同期検波回路64は差動増幅回路63から出力された交流電圧信号を駆動回路53からの励振信号に対して90度位相のずれたパルス信号を検波信号として用いて同期検波を行った後、積分処理を行うものであり、通常の同期検波回路に積分回路が付加された回路である。X励振の漏れによるZ方向振動は励振と同相であり、コリオリの力によるZ方向の振動は励振に対して90度位相がずれているため、同期検波および積分により、前者は常に零の値となり、後者は全波整流の積分値となる。すなわち、同期検波回路64の出力信号電圧は、第2振動片14および15のコリオリの力によるZ方向の振動振幅を示している。
【0040】
角速度演算回路70は、第2振動片14および15の振動振幅を示す検出回路60の出力信号に基づいて、振動子10のY軸に平行な軸を中心とする回転角速度を後述する角速度とコリオリの力との関係式を基にして算出する回路である。
【0041】
次に、以上のように構成された角速度検出装置の動作を説明する。励振回路50は、第1振動片12、13のX方向の固有振動数fX1(これを第1固有振動数という)に一致した周波数の励振信号を駆動回路53から出力する。これにより第1振動片12、13は逆圧電効果により、X方向に固有振動数fX1で振動する。振動片12と振動片13の位相は上述したように互いに逆相である。
【0042】
この状態で、振動子10がY軸に平行な軸(Y軸を含む)を中心として角速度Ωで回転すると、第1振動片12、13には、F=2mV・Ωで表されるコリオリの力FがZ方向に発生する。ここに、mは振動片の質量、Vは振動速度である。このコリオリの力Fの発生によって、第1振動片12、13はX方向の振動に対して90度位相がずれてZ方向に振動する。つまり、第1振動片12、13はZ方向についても、励振周波数(第1固有振動数)で互いに逆相で振動する。この周波数は、Z方向の第1および第2振動片の連成固有振動数とほぼ一致しているので、第2振動片14、15に効率よく伝達される。
【0043】
一方、第1振動片12、13に与えられるX方向励振が、同相のZ方向の励振として漏れ、この振動も連成により第2振動片14、15に伝達される。振動エネルギは、漏れ振動の方がコリオリの力による振動よりも遥かに大きいため、第2振動片のZ方向の振動は、漏れ振動上に90度位相のずれたコリオリの力による振動が重畳しているものとなる。
【0044】
ここで、Z方向の振動に伴う振動子10の動きを図5および図6を用いて説明する。図5は本実施形態の振動子10の動きを示すものであり、図6は本実施形態の振動子10と比較するために、振動子10に代えて第1振動片と第2振動片の回転慣性力が一致していない振動子10aを想定し、その動きを示すものである。両図において,分図(a)は振動子10または10aを簡略表示した平面図であり、黒塗りで示した振動片12〜15または12a〜15aは振動片が上下左右逆相に振れたときの状態を示しており、梨地で示した4本の振動片は振動していないときの状態を示している。ただし、X方向振動の動作は無視している。なお、ここでの座標系は図1(a)と同じである。分図(b)は振動子10または10aを先端(Y方向)からみた正面図である。
【0045】
図5および図6において、第1振動片12、12aは−Zの向きに振れ、第2振動片14,14aは+Zの向きに振れている。また、第1振動片13,13aは+Zの向きに振れ、第2振動片15,15aは−Zの向きに振れている。このとき、本実施形態の振動子10の場合は、第1振動片12と第2振動片14の回転慣性力が一致しているので、両振動片12および14が振動子基体11との結合部に対して与えるZ方向の力は互いに相殺され、実質的にZ方向には力が加わらない。このことは、第1振動片13、15による右側の振動片対に対してもいえる。したがって、図5(b)に示すように、各振動片12〜15がZ方向に振れても、振動子基体11はZ方向に全く振れない。
【0046】
一方、図6に示す振動子10aでは、第1振動片12aと第2振動片14aの回転慣性力が一致していないため、振動子基体11は回転慣性力の小さな方と同方向に振動する。この例では第1振動片の方を第2振動片よりも回転慣性力を小さくしてあるため、第1振動片12aが−Zの向きに振れたときには、振動子基体11も−Zの向きに振れてしまう。このとき、第1振動片13aおよび第2振動片15aによる右側の振動片対については、左右逆相に振動しているので、振動子基体11は+Zの向きに振れる。このように、振動子基体11の左側は−Zの向きに振れ、右側は+Zの向きに振れるため、振動片の振動に伴って支持棒16を捻るような力が加わる。この捻り運動は振動の漏れを増長し、安定な振動を妨げる。
【0047】
図5を用いて説明したように、本実施形態の振動子10の場合には、このような捻りが生じないため、振動漏れが少なく、安定した振動を維持することができる。このことは、良好な感度の維持、温度変化および経年変化に対する安定性をもたらす。
【0048】
また、本実施形態では振動子基体11をその中央部に連結する支持棒16で支持しているが、上述したように支持棒からの振動漏れが少ないので振動子基体11の支持方法の制約が少なくなり、他の支持方法でも十分に良好な検出感度を得ることができる。たとえば、支持棒16に代えて、振動子基体11から+Xまたは−Xの向きに延びその先端に固定板がある支持棒を用いてもよい。もちろん、+Xと−Xの2つの向きに支持棒を延ばしそれぞれの先端に固定板を設けて2カ所で固定してもよい。その他にも、振動子基体11の中央部から+Yおよび−Yの2つの向きに支持棒を延ばしそれぞれの先端に固定板があるものでもよいし、本発明の従来技術として挙げた特開平7−55479号に記載されたもののように振動子基体がフレーム形状になっておりその内側に固定板を配置し固定板とフレームを支持棒で連結した構成でもよい。さらに、これら様々なバリエーションにおいて支持棒の長さを適宜選択することが可能である。
【0049】
このようにして、第1振動片12、13に発生したZ方向の振動は良好に第2振動片14、15に伝達される。第2振動片14、15のZ方向の振動は、電極25〜28、35〜38に電荷の変化を生成し、これに基づいて検出回路60で第2振動片14、15のコリオリの力によるZ方向の振動振幅が検出される。角速度演算回路70は、検出回路60が出力する第2振動片14、15の振動振幅情報から第1振動片12、13に生じたコリオリの力Fを求め、さらに、上述したF=2mV・Ωの関係に基づいて、振動子10のZ軸に平行な軸を中心とする回転角速度Ωを算出する。
【0050】
次に、第1振動片と第2振動片の回転慣性力が一致した振動子の設計方法を説明する。図7はこの設計方法に基づいて決定された寸法結果を示すものである。まず、第1振動片よりも細くて長い第2振動片のZ方向の固有振動数fnを決める。固有振動数fnは次の式に基づいて決定される。
【0051】
【数2】
Figure 0003805837
【0052】
ここで、Eは水晶の縦弾性係数,rは水晶の密度、λnは1次振動の定数、gは重力加速度、L2は第2振動片の長さ、hは振動片の厚さ(振動子の厚さ)である。
【0053】
水晶の材料定数等から
E=7.99×109Kg/m2
r=2.65×103Kg/m3
λn=1.85
g=9.8
である。
【0054】
いま、h=0.3mmの水晶板を採用し、L2=4.14mmとする。なお、振動片のZ方向の振動は、単一の振動子と考えた場合、実際の厚さの5/6の厚さの振動子として計算すると、計算結果と実際の固有振動数とがよく合致することが経験的にわかっているので、hは0.25mmとする。これらの数値を、上記(12)式に代入すると、fn=12.47KHzとなり、第2振動片は約12.5KHzの固有振動数を持つことになる。ところで、既に延べたように本実施形態ではZ方向の振動について第1振動片と第2振動片とが連成振動する。そして、その連成の固有振動数は、相対的に太くて短い第1振動片の固有振動数よりも細くて長い第2振動片の固有振動数に近い値となる。これは、細くて長い第2振動片の方が太くて短い第1振動片よりも振幅および応力が大きいからであると考えられる。したがって、Z方向に関しては、第1振動片と第2振動片との連成の固有振動数は第2振動片の固有振動数と等しいものと仮定することができる。
【0055】
つぎに、第1振動片のX方向の固有振動数と第2振動片のZ方向の固有振動数(すなわち、連成固有振動数)とを等しくする条件を考える。第1振動片のX方向の幅をW1、長さをL1、Z方向の振動振幅をZ1、第2振動片のX方向の幅をW2、長さをL2、Z方向の振動振幅をZ2、振動子の厚さをhとすると、第1振動片のX方向の固有振動数と第2振動片のZ方向の固有振動数が等しいということと、(12)式とからW1/L12=h/L22 が導き出される。いま、h=0.25、L2=4.14を代入すると
W1=0.01459L12 ・・・(13)
となる。
【0056】
さらに、第1振動片の回転慣性力と第2振動片の回転慣性力とを一致させる条件を考えると、
L12・W1・h・Z1= L22・W2・h・Z2
を満足させればよい。いま、第1振動片と第2振動片のZ方向の振幅の比、すなわちZ1:Z2を4:5とし、W2として0.12mmを選択すると、
L12・W1=4.14・0.12・5/4 ・・・(14)
となる。
【0057】
上記(13)式および(14)式を解くと、W1=0.194、L1=3.64となる。なお、実際には、励振と検出の周波数を合わせるために、FEMにて解析を行い、W1=0.2、L1=3.69とした。図7の寸法図は以上の結果を示すものである。
【0058】
このようにして設計された振動子を作製して、振動実験を行ったところ、第1振動片のX方向の固有振動数と第2振動片のZ方向の固有振動数の差Δfが150Hzで、回転慣性力の合わせ度を表すA/Bの値が0.1より小さい値となった。A/Bは、振動片の先端のZ方向の最大変位量(B)に対する振動片の根本部のZ方向の最大変位量(A)の比を表したものであり、小さいほど回転慣性力の合わせ度が高いといえる。
【0059】
図8はA/B値とZ方向振動のQ値との関係を示す特性図である。縦軸は、A/B=0の理想的な振動子を基準にしたときのZ方向振動のQ値の変化量を百分率で示しており、横軸はA/B値を示している。なお、このときのX方向の固有振動数とZ方向の固有振動数の差Δfは励振周波数の1/100である。この特性図から A/Bの値が大きくなると外部への振動漏れが大きくなり、垂直振動のQ値が低くなることが判る。Q値の低下は、角速度検出装置としての感度を低下させることになる。そこで、回転慣性力合わせをどの程度まで行うか、すなわちA/Bの値をどの程度まで許容するかが問題となる。上述した実施例ではA/Bが0.1であり、図8から判断するとQ値が理想的な振動子のQ値に対して−10%程度の低い値となるが、これを自動車の姿勢制御のためのヨーレイトセンサとして用いたところ、十分に満足のゆく感度を得ることができた。
【0060】
つぎに、励振用振動片である第1振動片12、13におけるX方向振動のZ方向振動への振動漏れについて説明する。振動子10は、水晶のZ板をエッチング加工して作製するものであるが、各振動片の側面にはエッチングの異方性のためにY方向に延びる峰が残ってしまう。X方向振動のZ方向振動への振動漏れが生じるのはこのためである。
【0061】
一方、本実施形態では第1振動片のX方向の固有振動数と第1および第2振動片のZ方向の連成固有振動数とが近い値となるように設計されている。Z方向の連成固有振動数は振動応力の比較的大きい細くて長い第2振動片のZ方向の固有振動数に近い。換言すると第1振動片のZ方向の固有振動数とX方向の固有振動数とは比較的離れている。そのため、第1振動片でのX方向振動とZ方向振動とのカップリングが弱く、X方向の励振振動のZ方向振動への漏れが少ない。この漏れ振動はコリオリの力による振動の検出を考えるとノイズに他ならず、したがって、少なければ少ないほど検出感度を高めることができる。
【0062】
第1振動片12、13のX方向の固有振動数とZ方向の固有振動数の差は、振動片の厚さDと幅Wとの差に起因する。図9は厚さDと幅Wの比W/Dと、X方向に励振したときのZ方向成分の割合H/Cの関係を示すグラフである。このグラフは、厚さ0.3mmの水晶基板に長さが等しく幅Wが異なる複数の振動片を設け、X方向に振動させたときのZ方向振動成分を測定したものである。このグラフから判るように、W/Dを0.7以下にすると急激に振動漏れが減少することが判る。図7に示した実施例では、Wが0.2、Dが0.3であるからW/Dが0.67となり振動漏れが非常に少ないことが判る。
【0063】
つぎに、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の振動子の基本構造は、図1に示す第1実施形態の振動子10と同じである。すなわち、X軸方向に延在する振動子基体と、振動子基体から+Yの向きに延び、相対的に太くて短い2本の第1振動片と、振動子基体からそれぞれ第1振動片と同軸上で−Yの向きに延びる相対的に細くて長い2本の第2振動片と、2本の第2振動片の間において振動子基体から−Yの向きに延びる支持棒と、支持棒の端部に設けられた固定板とが水晶の単結晶基板で一体に構成され、振動子を形成している。そして、第1振動片のZ方向の振動による振動子基体との結合部を支点とした回転慣性力と、第2振動片のZ方向の振動による振動子基体との結合部を支点とした回転慣性力とを略等しくしてある。
【0064】
この第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、細くて長い第2振動片をX方向に励振する点である。コリオリの力により発生したZ方向の振動は、第1実施形態と同様に第2振動片で検出する。すなわち、この振動子では、X方向励振とZ方向振動検出とを同一の振動片で行う。そのため、第1実施形態で説明した励振用電極21〜24、31〜34と同じものが第2振動片の先端側に設けられ、検出用電極25〜27、35〜37と同じものが第2振動片の根本側に設けられている。
【0065】
この実施形態では、第2振動片のX方向の固有振動数と第1および第2振動片のZ方向の連成固有振動数とをほぼ一致させるように設計することになるが、Z方向の連成固有振動数は、第1実施形態で説明したように細くて長い第2振動片のZ方向の固有振動数に近い値である。つまり、第2振動片のX方向固有振動数とZ方向固有振動数とが近い値となっている。したがって、第2振動片内でのカップリング(振動の伝達性)が強く、Z方向の振動エネルギは同一の第2振動片内のX方向振動から伝達されたものであるから、比較的容易なZ方向固有振動数解析によって第1振動片と第2振動片の回転慣性力を一致させることができる。また、この実施形態によれば、励振および検出のいずれにも直接用いられることがない第1振動片をマス調整することにより、Z方向の連成固有振動数を調整することができる。さらに、励振と検出が異なる振動片の場合には、両振動片間での振動の伝達が介在するために伝達の温度特性などの影響を受けやすいが、本実施形態の振動子は、検出用の振動片と励振用の振動片とが同一であるので温度変化等の影響を受けにくく、検出の信頼性が高い。
【0066】
つぎに、具体的な寸法設計の手順を説明する。まず、第2振動片の長さL2と幅W2を決める。ここでは、L2=6mm、W2=0.25mmとする。これを次式(15)に代入して、X方向の固有振動数を計算する。
【0067】
【数3】
Figure 0003805837
【0068】
ここで、Eは水晶の縦弾性係数,rは水晶の密度、λnは1次振動の定数、gは重力加速度であり、水晶の材料定数等からE=7.99×109Kg/m2 、r=2.65×103Kg/m3 、λn=1.85、g=9.8である。これらも合わせて代入すると、fn=5938.7Hzとなる。
【0069】
つぎに、Z方向の振動について考える。この振動子では既に延べたように第2振動片のX方向固有振動数とZ方向固有振動数とを近づけたい。理論的には幅と厚さが等しい振動片、すなわち断面形状が正方形の振動片とすれば、X方向固有振動数とZ方向固有振動数が一致するが、経験的に例えば振動子基体から2本の振動片が突出したような音叉形状のときは、幅の約6/5に厚さを設定すると、X方向固有振動数とZ方向固有振動数とが一致することが判っている。したがって、厚さは0.3mmとなる。
【0070】
これで、第2振動片の形状は決まり、つぎに第1振動片の形状を決める。振動子全体を単一水晶基板で構成するので、厚さは0.3mmに既に決まっており、長さL1と幅W1を決める必要がある。図10は、第1および第2振動片の長さ比L1/L2と幅比W1/W2との関係において、第1振動片と第2振動片との回転慣性力が一致する条件を示したものである。本実施例では細くて長い第2振動片の長さL2を6.0mm、幅W2を0.25mmに設定したので、例えば、太くて短い第1振動片の長さL1を5.5mmにしたとすると長さ比L1/L2は5.5/6=0.917となる。これを図10に当てはめると、回転慣性力が一致するのは幅比W1/W2が2.05であり、W1は0.51mmとなる。図11は、このようにして寸法設計された振動子の寸法表示付きの平面図である。
【0071】
この第2実施形態では、第2振動片をX方向に励振しつつ、同じ第2振動片のZ方向の振動を検出しているが、その変形例として検出電極を第1振動片にそのまま移動して設置することで、第2振動片励振および第1振動片検出の振動子を用いた角速度検出装置を提供することができる。
【0072】
この変形例によれば、第1実施形態と同様に励振用振動片と検出用振動片とが異なるので、励振用、検出用の電極を大きくとることができるという点から効率がよい。また、1本の振動片上の配線数が第2実施形態の基本形と比較すると少ないので、配線しやすく小型化しやすい。しかも、配線のコンデンサ成分等の影響による信号のクロストークを少なくすることができる。さらに、検出用の電極は理想的にはZ方向の振動しか検出しないが、実際にはX方向にも若干の感度があるため、検出と励振が同一の振動子である第2実施形態の基本形と比較すると、X方向の振動が検出用振動子に載っていない本変形例の方が電極感度の点からS/Nが高い。
【0073】
以上の第1実施形態および第2実施形態のいずれにおいても、第1または第2振動片のいずれかをX方向に励振するものであるが、そのX方向振動を振動子基体を挟んだ他方の振動片にはできるだけ伝達しないことが望ましい。かかる観点から振動子の形状について研究を行った結果、振動子基体の中央部にZ方向に貫通する穴を形成すると第1振動片と第2振動片との間のX方向振動の伝達が抑制できることが明らかとなった。一方、Z方向の振動は互いに対向する第1振動片と第2振動片を連成振動させる必要があるため、第1振動片と第2振動片は振動子基体を介在させつつも一体化していることが望ましい。そこで、これを達成するために貫通穴のX方向の幅は2本の第1振動片の内側壁間隔および2本の第2振動片の内側間隔のいずれよりも狭いことが望ましい。貫通穴をこのような寸法にしてその中心を振動子基体の中心と一致させれば、第1振動片と第2振動片が振動子基体を介して略直線的に連続し強い連成が得られる。
【0074】
また、第1および第2実施形態では、図1に示すように、第1振動片12と第2振動片14の長手方向(Y方向)の軸がほぼ一致しており、第1振動片13と第2振動片15の長手方向(Y方向)の軸がほぼ一致しているが、図12に示すように互いに対向する第1振動片と第2振動片の長手方向の軸を平行性を維持したままXY平面上でずらしてもよい。このように構成すると、X方向振動の伝達をさらに強く阻止することができる。図12では、振動子基体の中心から第1振動片のY軸までの距離をA、第2振動片のY軸までの距離をBとすると、A>Bとしたものであるが、逆にA<Bとしても同様にX方向の振動を強く阻止することができる。
【0075】
なお、第1および第2振動片の慣性質量をそれぞれM1およびM2、第1および第2振動片の振幅をP1およびP2とし、振動子の中心軸(Y方向中心軸)で回転しないように振動片の慣性質量を設定して、振動バランスを合わせ、A>Bとすると、第2振動片の振幅をA=Bのときより大きくすることができる。
【0076】
つぎに、本発明の第3実施形態を説明する。振動子の基本構成は図13に示すように第1および第2実施形態と同様であり、振動子基体11から+Yの向きに突出する太くて短い2本の第1振動片12、13と、−Yの向きに突出する細くて長い2本の第2振動片14、15とを有し、第1振動片12、13のZ方向の振動による振動子基体11との結合部を支点とした回転慣性力と、第2振動片14、15のZ方向の振動による振動子基体11との結合部を支点とした回転慣性力とを略等しくしたものである。また、支持棒16と固定台17の配置も基本的には第1および第2実施形態と同じである。
【0077】
第1および第2実施形態との相違点は励振方向であり、第1および第2実施形態では励振は常にX方向であったが、本実施形態では2本の第2振動片を互いに逆相でZ方向に励振するものである。この左右逆相のZ方向励振を単純に行った場合、すなわち単なる自励振を行うと、第1振動片と第2振動片とが連成振動するが、X方向励振のときのZ方向振動とは異なり、対となった第1および第2振動片の位相が同相となるという現象が生じる。本発明は、第1振動片と第2振動片がZ方向について互いに逆相に振動したときの振動子基体のZ方向の揺れを回転慣性力を合わせることで防ぎ、これによってコリオリの力による振動の漏れを防止して検出精度を高めようとするものであるから、第1および第2振動片が同相で振動する場合には、本発明は有効ではない。そこで、本実施形態では、励振手段に位相に関するフィードバック方式を採用して対になった第1振動片と第2振動片とが逆相になるように励振する。
【0078】
この実施形態では第2振動片をZ方向に励振し、この振動を第1振動片へ伝達する。この状態で振動子がY軸に平行な軸を中心として回転すると、コリオリの力によって第1振動片にX方向の振動が発生するこのでこの振幅を検出し、検出結果から回転角速度を演算により求めるものである。
【0079】
図14(a)および(b)はそれぞれ第1および第2振動片に設けられた電極を示す図であり、図15はこれらの電極に接続された励振および検出のための回路を示す図である。
【0080】
図14(b)は第2振動片14、15をZ方向に励振させるための電極を示しており、第1実施形態の検出電極と同様の電極配置となっている。同図において、P+端子101に正の電位、P−端子102に負の電位が印加されると、第2振動片14の上半分には電極110から112に向かう電界が生じ、下半分には電極111から113に向かう電界が生じる。すると、水晶の圧電効果により上半分はY方向に伸び下半分はY方向に縮むため、第2振動片14は−Zの向き(下向き)に屈曲する。一方、第2振動片15には第2振動片14と逆の極性の電圧が印加されるため、+Zの向きに屈曲する。したがって、端子101および102の極性を交互に切り替えると、第2振動片14および15は互いに逆相でZ方向に振動する。
【0081】
図14(a)は第1振動片12および13のZ方向およびX方向の振動を検出するための電極を示しており、各振動片にそれぞれY方向に延在する6本の電極が設けられている。すなわち図示のごとく、各側面にそれぞれ1本ずつ電極121、122、131、132が設けられ、各上面および下面にそれぞれ2本ずつ電極123、125、124、126、133、135、134、136が設けられている。
【0082】
第1振動片のZ方向の屈曲(振動)は、電極123〜126および電極133〜136によって検出する。第1振動片12が+Zの向きに屈曲すると、上側の半分がY方向に縮み、下側の半分がY方向に伸びる。水晶の圧電効果により、Y方向に縮むとX方向の誘電分極が生じ、Y方向に伸びると逆向きのX方向の誘電分極が生じ、その分極は上面および下面に集中する。これにより電極123および124に同極性の電荷が集まり、電極125および126にはそれと反対の極性の電荷が集まる。この電荷量の変化からZ方向の振動を図15に示す信号処理回路により検出する。同様に、第1振動片13のZ方向の振動は電極133〜136の電荷量の変化からZ方向の振動を検出する。
【0083】
第1振動片12および13のX方向の屈曲(振動)は、すべての電極121〜126および電極131〜136によって検出する。X方向に屈曲すると、図3を用いて説明した逆圧電効果の逆のメカニズムによる圧電効果により上下面に同極の電荷が集まり、左右側面の電極にそれとは逆極性の電荷が集まる。この電荷の変化からX方向の振動を図15の回路により検出する。
【0084】
つぎに、図15の励振および検出回路を説明する。励振回路201は、端子101および102に振動子10のZ方向の連成固有振動数にほぼ一致した周波数の励振信号を互いに逆相で印加する。これによって、第2振動片14、15は逆相でZ方向に振動し、その振動はそれぞれ対となった第1振動片12、13に伝達される。第1振動片のZ方向の振動は、端子105と107に同相で現れる電荷の変化(波形220)と端子106と108に同相で現れる電荷の変化(波形221)との差をとることで合成され(波形222)、パルス成形回路202に入力される。
【0085】
パルス成形回路202では、これを矩形パルス223に変換して第1振動片12および13の振動位相情報として励振回路201に入力される。励振回路201では、パルス成形回路202からフィードバックされる矩形パルス223と逆相の位相で駆動信号を出力する。これにより、対となった第1振動片と第2振動片とが互いに逆相で連成振動する。
【0086】
第1振動片がZ方向に振動した状態で、振動子10がY軸に平行な軸に回転すると、その回転角速度Ωに応じた振幅で第1振動片がX方向に振動するので、このX方向振動を検出する。そのために、端子105および106の信号が加算された後に端子103の信号との差が採られ第2振動子12のX方向の振動を示す波形230となる。X方向振動は、実際はほとんどが励振振動の漏れ成分であり、そこに角速度Ωに応じた90度位相のずれたコリオリの力によるX振動が重畳されている。同様に、端子107と108の信号が加算された後に端子104の信号との差が採られ第2振動片13のX方向の振動を示す波形231となる。この波形は波形230と180度位相のずれたものであるから、両波形の差をとることにより、第2振動片12および13の両方のX方向振動を合わせた波形232が得られ、同期検波回路204に入力される。
【0087】
同期検波回路204では、Z方向振動の位相と90度位相のずれたパルス信号224を位相変換回路203から入力し、この信号で入力信号232を同期検波して波形233を得る。入力信号232は、既に述べたように励振の漏れ成分とコリオリの力に基づく成分との合成であり、同期検波回路204の出力信号232はコリオリの力に基づく成分が全波整流されたものである。検出信号232の大部分の成分である励振の漏れ成分と検波用のパルス224とは、位相が90度ずれているので、波形233に示すように鋸歯状の波形となる。この波形233を積分回路205で積分すると、励振の漏れ成分は零となり、コリオリの力によるX成分のみが残る。この信号はオフセット除去回路206でオフセット成分が除去され、増幅回路207で増幅されて端子208から出力される。
【0088】
このようにして端子208に得られるコリオリの力によるX方向の振動振幅を示す信号は、さらに図示を省略した角速度演算回路に与えられ、Y軸に平行な軸を中心とした回転の角速度ΩをF=2mV・Ωの関係に基づいて算出する。
【0089】
つぎに、本実施形態の角速度検出装置に用いられる振動子10の寸法設計方法を説明する。
【0090】
まず、第2振動片14、15のZ方向の固有振動数fnを決める。これは、第1実施形態の説明で用いた(12)式を適用すればよく、ここでは、第2振動片の長さL2を6mmとし、水晶基板の厚さhを0.4mmとする。なお、振動片のZ方向の振動は、単一の振動子と考えた場合、実際の厚さの5/6の厚さの振動子として計算すると計算結果と実際の固有振動数とがよく合致することが経験的にわかっているので、hは0.33mmとする。このL2およびhの値と、水晶の材料定数等から定められるE=7.99×109Kg/m2 、 r=2.65×103Kg/m3 、λn=1.85 、g=9.8とを併せて(12)式に代入すると、fn=7839Hzが得られる。すなわち、第2振動片は、約7.8KHzの固有振動数を持つことになる。
【0091】
第1および第2振動片によるZ方向の連成固有振動数は、第1振動片よりも細くて長いために応力が大きい第2振動片の固有振動数に近い値となる。そこでつぎに、第1振動片のX方向の固有振動数をZ方向の連成固有振動数すなわち、第2振動片のZ方向の固有振動数に近づける。そのためには、
W1/L12=h/L22
を満足させればよい。ここで、W1、L1は、それぞれ第1振動片の幅および長さである。h=0.33、L2=6を代入すると
W1=0.00926L12
となる。ここで、L1をL2よりも小さいという条件の下で任意の長さに設定する。いま、L1=5.8とすると、W1は0.312となる。
【0092】
つぎに、第1および第2振動片の長さ比L1/L2と幅比W1/W2との関係において、第1振動片と第2振動片との回転慣性力が一致する条件を示した図10のグラフを適用して第2振動片の幅W2を求める。L1/L2=5.8/6=0.967であるので、これを図10に示す回転慣性力一致条件のグラフに当てはめると、W1/W2=1.75となる。したがって、W2=0.312/1.75=0.178となる。
【0093】
以上で、第1および第2振動片の長さ、幅、厚さが決定した。まとめると、
W1=0.312、W2=0.178、L1=5.8、L2=6、h=0.33となる。
【0094】
ところで、これらの数値をより精密に算出するために、一般的にはコンピュータによるFEM解析により計算する。この方法によると振動子基体を含めた複雑な形状の振動子においても精度よく計算することができる。L1=5.8、L2=6、h=0.3を条件にして計算したところ、W1=0.316、W2=0.207となった。図13にはFEM解析の結果得られた寸法がmm単位で書き込まれている。
【0095】
本実施形態は振動片をZ方向に励振し、コリオリの力により発生したX方向の振動を検出するものであり、そのために第2振動片をZ方向に励振し、第1振動片のX方向の振動を検出している。しかし、励振および検出の振動片をそれぞれ第2振動片および第1振動片に限定するものではない。つまり、第2振動片をZ方向に励振し、同じ第2振動片のX方向の振動を検出するものでもよく、第1振動片をZ方向に励振し、第2振動片のX方向振動を検出するものでもよい。
【0096】
つぎに、本発明の第4実施形態を図16とともに説明する。図16(a)は振動子10の平面図であり、振動子10の基本構成は第1ないし第3実施形態と同様である。すなわち、振動子基体11から+Yの向きに突出する太くて短い2本の第1振動片12、13と、−Yの向きに突出する細くて長い2本の第2振動片14、15とを有し、第1振動片12、13のZ方向の振動による振動子基体11との結合部を支点とした回転慣性力と、第2振動片14、15のZ方向の振動による振動子基体11との結合部を支点とした以下に記述する高次振動モードでの回転慣性力とを略等しくしたものである。また、支持棒16と固定台17の配置も基本的には第1ないし第3実施形態と同じである。
【0097】
第1ないし第3実施形態との相違点は、第1振動片よりも細くて長い第2振動片を2次振動モードで振動させる点である。この実施形態では、第1振動片12、13をX方向に互いに逆相で励振させる。すると、振動子の回転に伴って発生したコリオリの力により第1振動片にZ方向の振動が生じる。このコリオリの力による第1振動片のZ方向の振動は、対になった第1振動片と第2振動片がZ方向の振動については連成することから、第2振動片へ伝達される。また、第1振動片のZ方向の漏れ振動も第2振動片へ伝達される。励振周波数および振動片寸法は、第2振動片のZ方向の振動が2次の振動モードとなるように定められており、したがって、当然のことながら第2振動片は2次振動モードでZ方向に振動する。第2振動片14と15のZ方向の振動は、第1振動片12および13に対するX方向の励振が互いに逆相であるため、逆相となる。
【0098】
図16(b)は、図16(a)の振動子10をX方向から見た側面図であり、振動片のZ方向の振動の様子を示すものである。同図では左側で対となった第1振動片12および第2振動片14を実線で示し、右側で対となった第1振動片13および第2振動片15を破線で示してあり、第1振動片12が+Zの向きに振れ、第1振動片13が−Zの向きに振れているときの状態を示している。このとき、第2振動片14および15は2次振動モードで振動していることから、第2振動片14は先端が+Zの向きに、中央付近が−Zの向きに振れている。第2振動片15は逆に先端が−Zの向きに、中央付近が+Zの向きに振れている。
【0099】
振動子10の第1振動片12、13に設けるX方向励振用電極は、第1実施形態の励振用電極と同様に配置すればよい。また、第2振動片14、15に設けるZ方向振動の検出用電極は、第1実施形態と同様の電極をY方向においてずらして配置する。すなわち、検出用電極は振動による内部応力が強く現れる位置に設けることが望ましいので、第1実施形態では根本側に設けたが、本実施形態ではそれを中央付近にずらし、2次振動の腹の部分に位置するように設けている。
【0100】
つぎに本実施形態の振動子10の寸法設計方法を説明する。まず、第2振動片のZ方向の2次固有振動数fn2を決める。固有振動数fn2は第1実施形態で用いた(12)式の1次振動定数λnを2次振動定数λn2に置き換えた次の式に基づいて決定される。
【0101】
【数4】
Figure 0003805837
【0102】
ここで、Eは水晶の縦弾性係数,rは水晶の密度、λn2は2次振動の定数、gは重力加速度、L2は第2振動片の長さ、hは振動片の厚さ(振動子の厚さ)である。
【0103】
水晶の材料定数等から
E=7.99×109Kg/m2
r=2.65×103Kg/m3
λn=4.694
g=9.8
である。これらの数値と適当に選択したhおよびL2の数値とを上記(16)式に代入すると、第2振動片のZ方向の2次固有振動数fn2が定まる。
【0104】
つぎに、このZ方向の2次固有振動数fn2と第1振動片のX方向の固有振動数fnとを等しくする条件を考える。第1振動片のX方向の固有振動数fnは、
【0105】
【数5】
Figure 0003805837
で与えられる。ここに、W1およびL1は第1振動片のX方向の幅および長さである。
【0106】
さて、fn2=fnを計算すると、
W1/L12=(λn22/λn2)・h/L22
=6.267h/L22
が得られる。
【0107】
hおよびL2はすでに適当な値が選択されているから、 W1/L12の値は定数となる。
【0108】
最後に、第1振動片の回転慣性力と第2振動片の回転慣性力とを一致させる条件を与えてW1およびL1を決定すればよい。
【0109】
この第4実施形態によれば、1次振動モードの場合(第1実施形態)と比較して、第1振動片と第2振動片の長さ比が大きくなるため、第1振動片と第2振動片のX方向固有振動数の差が大きくなり、両振動片間の振動伝達が一層強く遮断される。そのため、第2振動片は純粋にZ方向だけの振動となり検出精度が高い。
【0110】
また、2次振動の内部応力集中部が振動片中央部となることから、検出電極が振動片中央部となる。中央部への電極形成は根本部への形成と比較して容易である。これは、振動子は基板をエッチング加工して作製するのであるが、結晶方位の関係から振動片の根本部の形状は不安定であるのに対し、中央部は安定であるからである。この第4実施形態では第2振動片の2次振動モードを利用したが、3次以上の高次の振動モードを利用してもよい。第4実施形態は第1振動片をX方向に1次振動モードで励振し、第2振動片のZ方向の2次振動モードでの振動を検出するものであるが、第2振動片をX方向に1次振動モードで励振すると共に、第2振動片のZ方向の振動を2次振動モードとすることもできる。その場合、第2振動片の幅を2段階にして、根本側を先端側よりも広くし、励振用電極を先端側の幅の狭い部分に設け、検出用電極を根本側の幅の広い部分、または第1振動片に設けることが考えられる。振動子をこのような構造にすると、X方向の振動(励振)については、幅の狭い部分のY方向の長さが第2振動片の実質的な長さとなり、Z方向の振動については、第2振動片全体の長さが実質的な長さとなるので、同一振動片でX方向振動を1次振動モード、Z方向振動を2次振動モードとすることができる。
【0111】
この第4実施形態の変形例によれば、幅の比を変えることにより、厚さと横幅の比をある程度自由に選択できる。したがって、エッチング加工の容易な薄い水晶基板を採用できる。
【0112】
上述してきた第1〜第4実施形態は、すべて2本の第1振動片と2本の第2振動片を有する振動子、つまり、振動子基体を挟んでほぼ同軸上に突出した第1振動片と第2振動片の対を2組備えたものである。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第1振動片および第2振動片からなる振動片対が、最低1組あれば振動子としての機能を発揮することができ、第1振動片のZ方向の回転慣性力と第2振動片のZ方向の回転慣性力が一致していれば、振動子基体がZ方向に振動しないという本発明特有の作用を呈する。
【0113】
また、振動子として水晶の単結晶基板が用いられたが、他の圧電材料、たとえば、チタン酸ジルコン酸合金(PZT)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等でも構わない。さらに、振動子をステンレスのような単なる振動子とし、電極に代えて圧電体による励振手段を用いて振動させてもよい。
【0114】
【発明の効果】
以上のように、本発明の角速度検出装置によれば、第1振動片の回転慣性力と第2振動片の回転慣性力とが略等しいので、両振動片がZ方向において互いに逆相で振動した場合、両振動片のZ方向の振動の支点となっている振動子基体がZ方向に揺動することがない。したがって、振動子基体からの振動漏れが少なく、コリオリの力によって生じた振動振幅が減衰しないために、その振動を高感度で検出することができる。すなわち、角速度Ωの検出精度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である角速度検出装置の振動子を示す図。
【図2】第1実施形態の角速度検出装置に用いられる励振回路50、検出回路60および角速度演算回路70を示すと共に、これらの回路と振動片12〜15に設けられた電極21〜28および31〜38との接続関係を示すブロック図。
【図3】第1振動片12および13における逆圧電効果を説明するための図。
【図4】第2振動片14および15における圧電効果を説明するための図。
【図5】本実施形態の振動子10の動きを示す図。
【図6】本実施形態の振動子10と比較するために、振動子10に代えて第1振動片と第2振動片の回転慣性力が一致していない振動子10aを想定し、その動きを示す図。
【図7】本実施形態の振動子の寸法が表記された平面図。
【図8】A/B値とZ方向振動のQ値との関係を示す特性図。
【図9】振動片の厚さDと幅Wの比W/Dと、X方向励振のときのZ方向成分の割合H/Cとの関係を示すグラフ。
【図10】第1および第2振動片の長さ比L1/L2と幅比W1/W2との関係において、第1振動片と第2振動片との回転慣性力が一致する条件を示した特性図。
【図11】本発明の第2実施形態の振動片を示す平面図。
【図12】第1または第2実施形態の振動片の変形例を示す平面図。
【図13】本発明の第3実施形態の振動片を示す平面図。
【図14】第3実施形態の振動片の電極を示す断面図。
【図15】第3実施形態の信号処理回路を示す回路図。
【図16】第4実施形態の振動子を示す図。
【図17】回転慣性力を説明するための原理図。
【図18】回転慣性力を説明するための原理図。
【符号の説明】
10…振動子、11…振動子基体、12、13…第1振動片、14、15…第2振動片、16…支持棒、17…固定板、21〜28、31〜38…電極、50…励振回路、60…検出回路、70…角速度演算回路。

Claims (10)

  1. XYZ三次元座標空間において、XY平面上のX方向に延在し角速度を検出すべき被検出体に固定される振動子基体と、この振動子基体から+Yの向きに突出しX方向の第1固有振動数を有する第1振動片と、前記振動子基体から−Yの向きに突出し前記第1固有振動数と異なるX方向の第2固有振動数を有する第2振動片とを有する振動子と、前記第1または第2振動片のいずれかをZ方向またはX方向に励振する励振手段と、前記第1または第2振動片における前記励振手段による振動の励振方向とY方向との双方に直交する振動の振幅を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振幅の大きさからY方向を軸とする回転角速度を演算する角速度演算手段とを備え、
    前記第1振動片のZ方向の振動による前記振動子基体との結合部を支点とした回転慣性力と、前記第2振動片のZ方向の振動による前記振動子基体との結合部を支点とした回転慣性力とを略等しくしたことを特徴とする角速度検出装置。
  2. 前記第1振動片と前記第2振動片の対が前記振動子基体に対して2組設けられており、前記振動子基体は支持棒を介して前記被検出体に固定されており、この支持棒は前記2組の振動片対の一方の振動片対と他方の振動片対との間において前記振動子基体からY方向に延びその先端が前記被検出体に固定されるものであることを特徴とする請求項1に記載の角速度検出装置。
  3. 前記第2振動片は前記第1振動片よりも細くて長いことを特徴とする請求項2に記載の角速度検出装置。
  4. 前記励振手段は前記第1振動片をX方向に励振させるものであることを特徴とする請求項2に記載の角速度検出装置。
  5. 前記励振手段は前記第1振動片をX方向に互いに逆位相で励振させるものであることを特徴とする請求項3に記載の角速度検出装置。
  6. 前記第1振動片のX方向の幅WはZ方向の厚みDの0.7倍以下であることを特徴とする請求項5に記載の角速度検出装置。
  7. 前記励振手段は前記第1振動片または第2振動片のいずれかをZ方向に励振させるものであり、前記第1振動片のZ方向の振動と前記第2振動片のZ方向の振動とが互いに逆相になるように前記励振の位相を調整するものであることを特徴とする請求項1に記載の角速度検出装置。
  8. 前記対となった前記第1振動片と第2振動片のそれぞれの長手方向の中心軸が互いにずれており、前記振動子基体の前記被検出体に対する固定部を支点とする前記第1振動片の回転慣性力と前記第2振動片の回転慣性力とが略等しいことを特徴とする請求項1に記載の角速度検出装置。
  9. 励振手段による励振周波数を前記第1振動片または第2振動片のいずれかのZ方向の高次振動モードの固有振動数とほぼ一致させたことを特徴とする請求項1に記載の角速度検出装置。
  10. 前記振動子を構成する前記振動子基体と前記第1および第2振動片とが1枚の等厚基板で形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の角速度検出装置。
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