JP3336605B2 - 角速度センサ - Google Patents

角速度センサ

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JP3336605B2
JP3336605B2 JP02797297A JP2797297A JP3336605B2 JP 3336605 B2 JP3336605 B2 JP 3336605B2 JP 02797297 A JP02797297 A JP 02797297A JP 2797297 A JP2797297 A JP 2797297A JP 3336605 B2 JP3336605 B2 JP 3336605B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のナビゲー
ションシステムや姿勢制御などに用いられる角速度セン
サに関するものであり、特に、2軸の回転角速度を検出
することができる振動型の角速度センサに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から、振動体に回転を加えるとコリ
オリの力によって回転角速度に応じた新たな振動が発生
することを利用した様々な振動型の角速度センサが知ら
れており、2軸の回転角速度を検出することができるも
のとして、例えば、特開平7−190782号公報に開
示された振動角速度計がある。
【0003】この角速度計は、重りを同一平面において
90度間隔で配置された4本の梁で支持したものであ
る。この重りを梁が配置される平面に対して垂直な方向
に励振させたときに、梁の軸周りに回転運動が起こる
と、励振振動方向および回転軸に垂直な方向にコリオリ
の力に基づく振動が生じるので、これを検知すれば角速
度が判る。また、4本の梁は、互いに直交する2本の軸
上に配置されているので、この2本の軸周りの回転角速
度を検知できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この角速度セ
ンサでは、重りおよび梁を圧電結晶体で一体に構成しよ
うとすると、互いに垂直な3方向の圧電効果を有するこ
とが必須要件となり、現実的にはそれを満足する結晶体
を見出すことは困難である。
【0005】また、コリオリの力による振動は重りの励
振方向に垂直に発生するが、4本の梁は励振方向に垂直
な方向に対して重りをしっかりと固定しており、コリオ
リの力による振動をむしろ発生しにくくしている。その
ため、検出感度が十分に得られない可能性がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の角速度センサは
このような問題点に鑑みてなされたものであり、XYZ
三次元座標空間において、角速度を検出すべき物体に固
定される基部と、この基部から+Yの向きに互いに離れ
て突出した第1振動片および第2振動片と、この第1振
動片および第2振動片にそれぞれ連結片を介して連結す
る重り部とを備える振動子と、この振動子の重り部がY
方向に振動するように第1振動片および第2振動片を励
振する励振手段と、励振された重り部がZ軸を中心とし
て回転したときに発生するコリオリの力に基づくX方向
振動と、励振された重り部がX軸を中心として回転した
ときに発生するコリオリの力に基づくZ方向振動とを検
出する検出手段と、検出手段が検出したX方向振動に基
づいてZ軸を中心とする回転の角速度を演算し、検出手
段が検出したZ方向振動にも基づいてX軸を中心とする
回転の角速度を演算する角速度演算手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0007】第1および第2振動片を例えばX方向に互
いに逆相で励振すると、この2つの振動片に連結片を介
して接続されている重り部はY方向に振動する。したが
って、振動子がZ軸周りに回転するとコリオリの力によ
り重り部はX方向に振動し、振動子がX軸周りに回転す
るとコリオリの力により重り部はZ方向に振動する。一
方、重り部を支持する第1および第2振動片は基部から
+Yの向きに突出しているので、すなわち、基部による
片持ち支持の形となっているので、第1および第2振動
片の先端部はX方向およびZ方向の力に対して揺動可能
となっている。したがって、重り部のX方向およびZ方
向の振動は第1および第2振動片に効率よく伝達され
る。検出手段ではこのX方向またはZ方向の振動を検出
し、角速度演算手段はこの検出手段の検出結果に基づい
て角速度を求めることができる。
【0008】振動子として水晶のZ板を用いた場合に
は、振動片に検出電極を適当に配置することにより、振
動片のX方向またはZ方向の振動を容易に検出すること
ができる。
【0009】振動子は、基部から前記第1振動片と同軸
に−Yの向きに突出した第3振動片と、基部から第2振
動片と同軸に−Yの向きに突出した第4振動片と、第3
振動片および第4振動片にそれぞれ連結片を介して連結
する第2重り部とをさらに有し、励振手段は重り部だけ
でなく第2重り部もY方向に逆相で振動するように第1
〜第4振動片を励振するものであることが望ましい。
【0010】このように構成すると、励振したときの振
動子の重心の移動がなくなり、基部から被検出体への励
振振動の漏れが減少する。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態である
角速度センサの振動子を示す斜視図である。この振動子
1は、図示したXYZ三次元空間座標において、XY平
面に沿って配置されている。振動子1は、X軸方向に延
在する振動子基体(基部)2と、振動子基体2から+Y
の向きに延びる第1振動片5および第2振動片6と、振
動子基体2からそれぞれ第1振動片5および第2振動片
6と同軸に−Yの向きに延びる第3振動片7および第4
振動片8を備える。なお、第1〜第4振動片の寸法は全
て同じである。また、各振動片には、振動片をX方向に
励振するための励振電極と、振動片のX方向振動および
Z方向振動の両方を検出する検出電極とが設けられてい
る。励振電極および検出電極の配置等については後述す
る。
【0012】振動子基体2にはX方向両側に支持棒1
6、17を介して固定板3および4が連結されており、
この固定板3および4が回転角速度を検出したい対象物
に直接または間接的に固定されることにより、この振動
子1が被検出対象物に対して浮いた状態で支持される。
【0013】第1振動片5および第2振動片6の先端に
は連結片10および11を介して重り部12が連結され
ている。連結片10および11は、ほぼ中央で折れ曲が
ったV字形状を有し、その折れ曲がり部はX方向外向き
に突出している。第1および第2振動片5および6と重
り部12とがこのように連結されているので、第1およ
び第2振動片5および6が、音叉のようにX方向に同一
振動数かつ互いに逆相で励振されると、重り部12は励
振振動数と同じ振動数でY方向に振動する。
【0014】同様に、第3振動片7および第4振動片8
の先端にはV字形状の連結片13および14を介して重
り部15が連結されており、第3および第4振動片7お
よび8がX方向に同一振動数かつ互いに逆相で励振され
ると、重り部15は励振振動数と同じ振動数でY方向に
振動する。
【0015】以上のように構成された振動子1は、水晶
の単結晶基板で一体に構成されている。
【0016】ここで、水晶の結晶軸について簡単に説明
する。天然の水晶は、一般に柱状結晶であり、この柱状
結晶の縦方向の中心軸すなわち<0001>結晶軸はZ
軸または光軸と規定され、Z軸を通り柱状結晶の各表面
に垂直に交わる線はY軸または機械軸と規定される。ま
た、Z軸を通りこの柱状結晶の縦方向の稜線と直交する
線はX軸または電気軸と規定される。
【0017】振動子1に用いられている単結晶基板はZ
板と呼ばれる基板であり、Z軸に垂直ないし略垂直な面
で切り出された単結晶基板である。したがって、本実施
形態においては、結晶方位のZ軸と、図面上の振動子1
の配置方向を示す上述したZ軸とは一致している。ま
た、水晶のX軸およびY軸は互いに直交するものが3組
あり、そのうちの一組と図面上の振動子1の配置方向を
示すX軸およびY軸とが一致している。なお、振動子1
には結晶構造が天然の水晶と同じである人工水晶のZ板
が用いられている。
【0018】図2は、第1〜第4振動片5〜8にそれぞ
れ設けられたZ方向の振動を検出する検出電極の配置、
並びに各電極間の結線を示す図である。同図に示す第1
振動片5および第2振動片6は図1のIIa−IIa断
面図であり、第3振動片7および第4振動片8は図1の
IIb−IIb断面図である。第1振動片5には検出電
極21a〜21dが、第2振動片6には検出電極22a
〜22dが、第3振動片7には検出電極23a〜23d
が、第4振動片8には検出電極24a〜24dがそれぞ
れ設けられており、検出電極は全て図示のように振動片
の角部に配置されている。
【0019】検出電極は、各振動片において互いに対向
するもの同士が接続され、それらがさらに出力端子25
または26のいずれかに接続されている。すなわち、検
出電極21a、21b、22a、22b、23a、23
b、24a、24bは出力端子25に接続され、検出電
極21c、21d、22c、22d、23c、23d、
24c、24dは出力端子25に接続されている。
【0020】図3は、第1〜第4振動片5〜8にそれぞ
れ設けられたX方向の振動を検出する検出電極およびX
方向に励振する励振電極の配置、並びに各電極間の結線
を示す図である。同図に示す第1振動片5および第2振
動片6は図1のIIIa−IIIa断面図であり、第3
振動片7および第4振動片8は図1のIIIb−III
b断面図である。第1振動片5には励振電極31a〜3
1cと検出電極31d〜31fが、第2振動片6には励
振電極32a〜32cと検出電極32d〜32fが、第
3振動片7には励振電極33a〜33cと検出電極33
d〜33fが、第4振動片8には励振電極34a〜34
cと検出電極34d〜34fがそれぞれ図示のように設
けられている。すなわち、各振動片の外側の3電極(側
面および上下面)が励振電極であり、内側の3電極(側
面および上下面)が検出電極である。
【0021】励振電極31b、31c、32a、33
b、33c、34aは励振信号の一方入力端子37に接
続され、励振電極31a、32b、32c、33a、3
4b、34cは励振信号の他方の入力端子38に接続さ
れている。また、検出電極31e、31f、32e、3
2f、33d、34dは出力端子35に接続され、検出
電極31d、32d、33e、33f、34e、34f
は出力端子36に接続されている。
【0022】図4は本実施形態の角速度センサに用いら
れる励振回路50、検出回路60および角速度演算回路
70を示す。励振回路50は振動片5〜8に設けられた
励振電極と共に励振手段を構成し、検出回路60は振動
片5〜8に設けられた検出電極と共に検出手段を構成す
る。
【0023】励振回路50は発振回路51からなり、発
振回路51は所定の振幅で所定の繰り返し周波数のパル
ス波を励振信号として出力端子37、38間に出力する
とともに、その出力信号と90度位相のずれた信号を同
期検波回路607、608の検波信号として出力する回
路である。発振回路51で作られた励振信号が図3に示
す入力端子37、38に与えられると、各振動片の励振
電極で囲まれた部分にX方向の電界の変化が生じ、その
部分は水晶の逆圧電効果により励振信号に同期してY方
向に伸び縮みする。
【0024】たとえば、第1振動片5において励振電極
31a〜31cにより囲まれた部分がY方向(図3では
紙面に垂直な方向)に伸び縮みする。一方、その反対側
の部分、すなわち検出電極31d〜31fにより囲まれ
た部分にはY方向に伸縮する力は何ら加わらない。これ
により、振動片内部に歪み応力が発生し、第1振動片5
はX方向に揺動する。同様に、第2振動片6〜8も励振
信号に同期してそれぞれX方向に揺動する。そして、各
励振電極を本実施形態のように結線すると、第1振動片
5と第2振動片6は互いに逆相に、第3振動片7と第4
振動片8は互いに逆相に、さらに、第1振動片5と第3
振動片8は同相に励振される。
【0025】すなわち、第1振動片5が−Xの向きに屈
曲するときは、第2振動片6は+Xの向きに、第3振動
片7は−Xの向きに、第4振動片8は+Xの向きにそれ
ぞれ屈曲し、逆に、第1振動片5が+Xの向きに屈曲す
るときは、第2振動片6は−Xの向きに、第3振動片7
は+Xの向きに、第4振動片8は−Xの向きにそれぞれ
屈曲する。ここで、前者の状態を第1屈曲状態、後者の
状態を第2屈曲状態と呼ぶことにする。
【0026】第1屈曲状態、すなわち、第1振動片5〜
第4振動片8がすべて内側に屈曲した状態では、重り部
12が+Yの向きに、また、重り部15が−Yの向きに
それぞれ押し出される。第2屈曲状態、すなわち、第1
振動片5〜第4振動片8がすべて外側に屈曲した状態で
は、重り部12が−Yの向きに、また、重り部15が+
Yの向きにそれぞれ引き込まれる。したがって、各振動
片の励振電極に励振信号が与えられると、重り部12と
重り部15は互いに逆相でY方向に励振周波数で振動す
る。
【0027】この励振状態で振動子1がX軸周りに角速
度Ωで回転すると、重り部12および15にF=2mV
×Ωで表されるコリオリの力FがZ方向に発生する。こ
こに、mは重り部の質量、Vは重り部の振動速度であ
る。このコリオリの力によって、重り部12および15
は励振周波数で互いに逆相で振動する。すなわち、重り
部12が+Zの向きに振れたとき、重り部15は−Zの
向きに振れる。このZ方向の振動は、連結片10、1
1、13、14を介して第1振動片5〜第4振動片8に
効率よく伝達される。したがって、第1振動片5と第2
振動片6が同相で、第3振動片7と第4振動片8が同相
で、第1振動片5と第3振動片7が逆相で、それぞれZ
方向に振動する。なお、上述したコリオリの力Fの式か
ら導かれることであるが、位相は励振信号と90度ずれ
ている。
【0028】また、振動子1がZ軸周りに角速度Ωで回
転すると、重り部12および15にF=2mV×Ωで表
されるコリオリの力FがX方向に発生し、重り部12お
よび15は互いに逆相で振動する。すなわち、重り部1
2が+Xの向きに振れたとき、重り部15は−Xの向き
に振れる。このX方向の振動も、連結片10、11、1
3、14を介して第1振動片5〜第4振動片8に効率よ
く伝達され、第1振動片5と第2振動片6が同相で、第
3振動片7と第4振動片8が同相で、第1振動片5と第
3振動片7が逆相で、それぞれX方向に振動する。この
振動の位相も、励振信号と90度ずれている。
【0029】このようなコリオリの力に基づく振動片の
X方向振動およびZ方向振動は、その振幅がそれぞれZ
軸周りの角速度およびX軸周りの角速度が大きくなれば
増大するように変化する。したがって、これらの振動振
幅を検出すれば、Z軸周りの角速度およびX軸周りの角
速度を求めることができる。
【0030】そこでつぎに、振動片のコリオリの力に基
づくX方向振動およびZ方向振動の検出動作を図2およ
び図3に示す検出電極および図4に示す検出回路と共に
説明する。
【0031】検出回路60はX方向振動検出用の電流電
圧変換回路601、602、差動増幅回路605、同期
検波回路607、増幅オフセット除去回路609と、Z
方向振動検出用の電流電圧変換回路603、604、差
動増幅回路606、同期検波回路608、増幅オフセッ
ト除去回路610とを備えている。
【0032】まず、Z方向の振動を第1振動片5を例に
して説明する。第1振動片5が振動により+Zの向きに
屈曲すると、振動片5の上側の半分がY方向に縮み、下
側の半分がY方向に伸びる。水晶の圧電効果により、Y
方向に縮むとX方向の誘電分極が生じ、Y方向に伸びる
と逆向きのX方向の誘電分極が生じる。そして、誘電分
極の強さは伸縮の大きさに依存するので上面または下面
において強く現れ、中間部に向かうほど弱い。したがっ
て、誘電分極は振動片5の4つの角部に集中して現れ、
この誘電分極によって角部に設けられた各検出電極21
a〜21dに正または負の電荷が集まる。検出電極21
aと21bが同じ極性となり、検出電極21cと21d
がこれらと逆の極性となる。振動片5が下側に振れる
と、同様の原理に基づいて上述したものと全く逆の極性
が現れる。
【0033】上述したX方向励振を行ったときの、第1
振動片5〜第4振動片8のコリオリの力に基づくZ方向
振動の位相は既に述べたとおり、第1振動片5に対して
第2振動片6は同相、第3振動片7および第4振動片は
逆相となる。図2に示す検出電極間の配線はこの位相関
係を考慮してなされたものであり、Z方向の屈曲に対し
て同一の極性の電荷が集まる電極同士をまとめてそれぞ
れ出力端子25および26に接続している。
【0034】検出回路60のZ方向振動用の回路である
電流電圧変換回路603、604、差動増幅回路60
6、同期検波回路608、増幅オフセット除去回路61
0は、このようにして発生した各振動片の各検出電極に
おけるトータルの電荷の変化量を検出し、振動片の振動
振幅に応じた電圧信号を出力端子612に出力する。
【0035】電流電圧変換回路603、604は励振電
極での電荷の変化量を電圧値に変換する回路であり、オ
ペアンプを用いた一般的な電荷アンプなどが利用でき
る。差動増幅回路606は電流電圧変換回路603およ
び604のそれぞれの出力信号を入力し、両信号の電位
差を増幅する回路であり、この出力信号の振幅は各振動
片5〜8のZ方向の振動振幅に対応している。
【0036】同期検波回路608は差動増幅回路606
から出力された交流電圧信号を発振回路51からの励振
信号に対して90度位相のずれたパルス信号を検波信号
として用いて同期検波を行った後、積分処理を行うもの
であり、通常の同期検波回路に積分回路が付加された回
路である。図5はこのときの同期検波を示す波形図であ
る。
【0037】増幅オフセット除去回路610は振動子の
特性や振動方法等に基づくオフセット成分を除去する回
路であり、必要に応じて設けられる。
【0038】つぎに、X方向の振動の検出について説明
する。X方向については、励振振動とコリオリの力に基
づく検出すべき振動が合成されている。したがって、検
出振動を励振振動から分離する必要があるが、その点に
ついては後述することにして、まず、X方向振動の検出
原理を第1振動片5を例にして説明する。
【0039】第1振動片5が振動により+Xの向きに屈
曲すると、振動片5の+X側の半分がY方向に縮み、−
X側の半分がY方向に伸びる。水晶の圧電効果により、
Y方向に縮むとX方向の誘電分極が生じ、Y方向に伸び
ると逆向きのX方向の誘電分極が生じる。このような誘
電分極の結果、側面の電極31dと上下面の電極31
e、31fとの間に電位差が生じ、正または負の電荷が
集まる。振動片5が−Xの向きに屈曲すると、同様の原
理に基づいて逆の極性が現れる。
【0040】さて、上述したX方向励振を行ったとき
の、第1振動片5〜第4振動片8のコリオリの力に基づ
くX方向振動の位相は既に述べたとおり、第1振動片5
に対して第2振動片6は同相、第3振動片7および第4
振動片8は逆相となる。また、X方向励振振動の位相
は、第1振動片5に対して第2振動片6は逆相、第3振
動片7は同相、第4振動片8は逆相となる。
【0041】図3に示す検出電極間の配線はこの位相関
係を考慮してなされたものであり、コリオリの力に基づ
くX方向の振動について、同一の極性の電荷が集まる電
極同士をまとめてそれぞれ出力端子35および36に接
続している。
【0042】この電極間の接続は、同時に励振振動に基
づいてX方向用検出電極に直接的に生じる電荷を相互に
相殺する構成となっている。たとえば、検出電極33e
と34eに着目すると、コリオリの力に基づくX方向振
動による電荷は同じ極性のものとなり、励振振動による
電荷は互いに異なる極性のものとなる。したがって、両
電極を本実施形態のように接続すれば、コリオリの力に
基づくX方向振動については加算され、励振振動に基づ
くX方向振動は相互に相殺される。他の検出電極もこの
ように接続されているので、全体として出力端子35お
よび36にはコリオリの力に基づくX方向振動のみを示
す信号が現れる。
【0043】このようにして得られたコリオリの力に基
づくX方向振動を示す信号は、検出回路60のZ方向振
動用の回路である電流電圧変換回路601、602、差
動増幅回路605、同期検波回路607、増幅オフセッ
ト除去回路609で、Z方向振動の検出処理と同様に処
理され、振動片のコリオリの力に基づくX方向の振動振
幅に応じた電圧信号が出力端子611に現れる。
【0044】このように検出回路60で処理された振動
片のコリオリの力に基づくX方向振動振幅およびZ方向
振動振幅に応じた電圧信号は、それぞれ出力端子611
および612を介して角速度演算回路70に与えられ
る。
【0045】角速度演算回路70は、出力端子611の
信号からX方向のコリオリの力を求め、前述した角速度
とコリオリの力との関係式とから、振動子1のZ軸周り
の回転角速度Ωzを算出する。また、出力端子612の
信号からZ方向のコリオリの力を求め、角速度とコリオ
リの力との関係式とから、振動子1のX軸周りの回転角
速度Ωxを算出する。
【0046】本実施形態では、振動子1として圧電結晶
材料である水晶のZ板から切り出したものを用いている
が、金属などの非圧電材料からなる振動子を用いてもよ
い。その場合には、励振電極および検出電極に代えて、
例えばPZTを2枚の電極で挟んだ励振用振動板および
振動検出板を用いる。
【0047】図6は本発明の第2の実施形態に適用する
振動子を示す平面図である。この振動子60は、XYZ
三次元空間座標において、X軸方向に延在する振動子基
体(基部)2と、振動子基体2から+Yの向きに延びる
第1振動片5および第2振動片6と、振動子基体2から
それぞれ第1振動片5および第2振動片6と同軸に−Y
の向きに延びる第3振動片7および第4振動片8を備え
る。また、振動子基体2にはX方向両側に支持棒16、
17を介して固定板3および4が連結されている。第1
振動片5および第2振動片6の先端には連結片61およ
び62を介して重り部12が連結され、第3振動片7お
よび第4振動片8の先端には連結片63および64を介
して重り部15が連結されている。連結片61〜64
は、重り部12および15からX方向に延びる励振片6
1a〜64aを備えている。
【0048】このように構成される振動子60は、非圧
電材料たとえばステンレス材で構成されており、連結片
の励振片61a〜64aには励振片をY方向に振動させ
る圧電素子が設けられ、第1〜第4振動片5〜8のそれ
ぞれには、振動片のX方向振動およびZ方向振動を検出
する圧電素子が設けられている。
【0049】この振動子60は、励振片61a〜64a
を振動させて重り部12および15をY方向に励振させ
る。この状態で振動子60がX軸周りに回転すると第1
実施形態と同様に重り部12および15がコリオリの力
によりZ方向に振動し、その振動が振動片5〜8に伝達
され、Z軸周りに回転すると振動片5〜8がX方向に振
動する。したがって、各振動片のZ方向振動とX方向振
動を検出すればX軸周りの角速度およびZ軸周りの角速
度を求めることができる。
【0050】この振動子60を用いた角速度センサによ
れば、励振を連結片で行い、コリオリの力によるX方向
振動およびZ方向振動の検出を振動片で行うため、振動
片の振動には励振振動が含まれておらず、コリオリの力
による振動のみを検出しやすい。
【0051】ただし、この振動子60の場合、振動子自
身を水晶のZ板で構成しても、Y方向の励振とX方向振
動およびZ方向振動の検出とを振動子自身の圧電効果を
利用して行うことはできない。
【0052】なお、上述した第1および第2実施形態の
振動子1および60では、振動片および重り部が振動子
基体を通るX軸を中心として対称に設けられている。こ
れは、このように構成した2つの重り部を互いに逆相に
励振することにより、励振に伴う重心の移動を抑制し、
重心移動に伴う振動漏れを防止するためである。したが
って、逆に、振動漏れを無視できれば、あるいは、振動
漏れを他の方法で抑制できれば、片側の振動片および重
り部だけでもよい。たとえば、振動子1から、第3振動
片7、第4振動片8、連結片13、14、および重り部
15を除去した構造の振動子を用いることもできる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の角速度セ
ンサによれば、互いに直交する2つの回転軸の周りの回
転角速度を、単一の振動子で感度よく検出することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である角速度センサの振動
子を示す斜視図。
【図2】第1〜第4振動片5〜8にそれぞれ設けられた
Z方向の振動を検出する検出電極の配置、並びに各電極
間の結線を示す図。
【図3】第1〜第4振動片5〜8にそれぞれ設けられた
X方向の振動を検出する検出電極およびX方向に励振す
る励振電極の配置、並びに各電極間の結線を示す図。
【図4】本実施形態の角速度センサに用いられる励振回
路50、検出回路60および角速度演算回路70を示す
回路図。
【図5】検出回路60での信号検波処理を説明するため
の図。
【図6】本発明の第2の実施形態に用いる振動子を示す
平面図。
【符号の説明】
1、60…振動子、2…振動子基体、3、4…固定板、
5…第1振動片、6…第2振動片、7…第3振動片、8
…第4振動片、10、11、13、14、61〜64…
連結片、12、15…重り部、50…励振回路、60…
検出回路、70…角速度演算回路。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 XYZ三次元座標空間において、角速度
    を検出すべき物体に固定される基部と、この基部から+
    Yの向きに互いに離れて突出した第1振動片および第2
    振動片と、この第1振動片および第2振動片にそれぞれ
    連結片を介して連結する重り部とを備える振動子と、 前記振動子の重り部がY方向に振動するように前記第1
    振動片および第2振動片を励振する励振手段と、 前記励振された重り部がZ軸を中心として回転したとき
    に発生するコリオリの力に基づくX方向振動と、前記励
    振された重り部がX軸を中心として回転したときに発生
    するコリオリの力に基づくZ方向振動とを検出する検出
    手段と、 前記検出手段が検出したX方向振動に基づいてZ軸を中
    心とする回転の角速度を演算し、前記検出手段が検出し
    たZ方向振動にも基づいてX軸を中心とする回転の角速
    度を演算する角速度演算手段とを備えた角速度センサ。
  2. 【請求項2】 前記振動子は、前記基部から前記第1振
    動片と同軸に−Yの向きに突出した第3振動片と、前記
    基部から前記第2振動片と同軸に−Yの向きに突出した
    第4振動片と、前記第3振動片および第4振動片にそれ
    ぞれ連結片を介して連結する第2重り部とを有し、 前記励振手段は前記重り部および前記第2重り部をY方
    向に互いに逆相に振動するように前記第1〜第4振動片
    を励振するものであることを特徴とする請求項1に記載
    の角速度センサ。
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