JP3136883B2 - 炭素繊維強化樹脂複合材料およびプリプレグ - Google Patents

炭素繊維強化樹脂複合材料およびプリプレグ

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JP3136883B2 JP06008388A JP838894A JP3136883B2 JP 3136883 B2 JP3136883 B2 JP 3136883B2 JP 06008388 A JP06008388 A JP 06008388A JP 838894 A JP838894 A JP 838894A JP 3136883 B2 JP3136883 B2 JP 3136883B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素繊維強化樹脂複合
材料およびその中間基材であるプリプレグ、特に耐衝撃
性の高い炭素繊維強化樹脂複合材料およびその中間基材
であるプリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維強化樹脂複合材料はスポーツ、
航空宇宙等広く利用されているが、実際の用途において
は静的特性のみでなく衝撃といった動的特性が重要であ
る。従来炭素繊維複合材料の耐衝撃特性と炭素繊維強化
樹脂複合材料を構成する炭素繊維の特性との関係は明確
でなく、耐衝撃性の充分高い炭素繊維強化樹脂複合材料
はなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
問題点を解決すること、すなわち、耐衝撃特性に優れた
炭素繊維強化樹脂複合材料およびその中間基材である炭
素繊維強化樹脂プリプレグを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明の炭素繊維強化樹脂複合材料は以下の構
成を有する。すなわち、比重が1.75以下、引張弾性
率が29tf/mm2以上、引張強度が500kgf/mm2以上、
光電子分光法ESCAにより測定される表面窒素濃度N
/Cおよび表面酸素濃度O/Cが、それぞれ0.02〜
0.2であり、複数のエポキシ基を有する脂肪族化合物
からなるエポキシ系サイジング剤を炭素繊維単位重量当
たり0.01〜5%付与してなり、板端剥離強度が22
kgf/mm2以上の炭素繊維で強化することを特徴とする炭
素繊維強化樹脂複合材料である。
【課題を解決するための手段】
【0005】また、本発明の炭素繊維強化樹脂プリプレ
グは以下の構成を有する。すなわち、比重が1.75以
下、引張弾性率が29tf/mm2以上、引張強度が500kg
f/mm2以上、光電子分光法ESCAにより測定される表
面窒素濃度N/Cおよび表面酸素濃度O/Cが、それぞ
れ0.02〜0.2であり、複数のエポキシ基を有する
脂肪族化合物からなるエポキシ系サイジング剤を炭素繊
維単位重量当たり0.01〜5%付与してなり、板端剥
離強度が22kgf/mm2以上の炭素繊維で強化することを
特徴とする炭素繊維強化樹脂プリプレグである。
【0006】本発明の炭素繊維強化樹脂複合材料および
プリプレグについて詳細に説明する。本発明の炭素繊維
強化樹脂複合材料あるいはプリプレグを構成する炭素繊
維は、比重が1.75以下、ストランド引張試験により
測定される引張弾性率および強度がそれぞれ29tf/mm2
以上および500kgf/mm2以上の炭素繊維に、光電子分
光法ESCAにより測定される表面窒素濃度N/Cおよ
び表面酸素濃度O/Cが、それぞれ0.02〜0.2で
あり、複数のエポキシ基を有する脂肪族化合物からなる
エポキシ系サイジング剤を炭素繊維単位重量当たり0.
01〜5%付与し、かつコンポジット試験により測定さ
れる板端剥離強度(Edge Delamination Strength、以下
EDSと略す)が22kgf/mm2以上とするものである。
【0007】比重が1.75より大きい炭素繊維では軽
量化効果が小さく、好ましくは1.74以下、より好ま
しくは1.73以下がよい。引張弾性率が29 tf/mm2
未満あるいは500kgf/mm2 未満では耐衝撃特性が低い
とともに、所望の特性を発現するために厚肉の複合材料
を作る必要があり軽量化メリットが小さく好ましくな
い。弾性率についてはより好ましくは29.5 tf/mm2
以上、さらに好ましくは30 tf/mm2 以上、引張強度に
ついてはより好ましくは520kgf/mm2 以上、さらに好
ましくは550kgf/mm2 以上が軽量化メリットが大きく
良い。
【0008】またコンポジット試験により測定されるE
DSが22kgf/mm2 未満では衝撃時に層間剥離のために
最大荷重が低くなるため好ましくない。より好ましくは
23kgf/mm2 以上、さらに好ましくは24kgf/mm2 以上
が良い。
【0009】すなわち、本発明に用いる炭素繊維は引張
強度、弾性率、および樹脂との接着の指標であるEDS
が高く、かつ比重が低いという特長を有し、それらの総
合効果として炭素繊維強化樹脂複合材料の衝撃特性が優
れたものとなる。
【0010】本発明に用いる炭素繊維は次のようにして
得ることができるが、これに限定されるものではない。
【0011】本発明炭素繊維としては公知のポリアクリ
ロニトリル(PAN)系、ピッチ系、気相成長炭素繊維
を用いることができるが、高強度糸が得られ易いPAN
系炭素繊維が好ましい。PAN系炭素繊維の場合を例に
とって以下詳細に説明する。
【0012】紡糸法としては湿式、乾式、乾湿式等を採
用できるが高強度糸が得られ易い湿式あるいは乾湿式が
好ましく、特に乾湿式紡糸が好ましい。紡糸原液にはP
ANのホモポリマーあるいは共重合体の溶液あるいは懸
濁液等を用いることができる。凝固、水洗、延伸、油剤
付与されて前駆体原糸とし、さらに耐炎化、炭化、必要
に応じて黒鉛化を行なう。
【0013】炭化あるいは黒鉛化条件としては本発明炭
素繊維を得るためには不活性雰囲気中最高温度は140
0℃以上、好ましくは1600℃以上がよい。焼成温度
が高いほど弾性率は向上するが、引張強度および樹脂と
の接着強度が低下するとともに比重が増加するため最適
化することが好ましく、1400℃以上2200℃以
下、より好ましくは1600℃以上2000℃以下が良
い。また同一焼成温度で引張強度および弾性率を向上さ
せるために延伸を組み合わせることが好ましい。強度お
よび弾性率を向上するためには細繊度の炭素繊維が好ま
しく、炭素繊維の単繊維径で7.5μm以下、好ましく
6.5μm以下、さらに好ましくは5.5μm以下が好
ましい。
【0014】得られた炭素繊維はさらに表面処理および
サイジング処理がなされて炭素繊維となる。電解処理に
用いられる電解質としては、硫酸、硝酸といった酸、水
酸化ナトリウム、炭酸アンモニウム、テトラエチルアン
モニウムヒドロキシドといったアルカリ、およびそれら
の塩の溶液、好ましくは水溶液が使われる。乾湿式紡糸
によって得られた炭素繊維の場合アルカリあるいは塩の
水溶液が好ましい。電解質としては、塩基性アミン類化
合物あるいはアンモニウム塩を存在させることが有効
で、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、
炭酸アンモニウム、アンモニア、トリエチルアミン、シ
クロヘキシルアミン、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニ
ウム等あるいはそれらの混合物などを用いることができ
る。電解液のpHは8以上がより好ましい。pHが8未
満であると、電解酸化により生成した黒鉛酸化物の溶解
が小さく、樹脂との接着が低下する恐れがある。
【0015】電解処理の電気量は、使用する炭素繊維の
弾性率により異なり、高弾性率炭素繊維の場合発達した
表面の黒鉛構造を破壊するエネルギーが必要となるため
に高い通電電気量が必要となる。しかし一度に高電気量
を流すと電圧が高くなり、安全上問題であるとともに、
炭素繊維に欠陥が生じやすくなるという問題がある。従
って、1槽当たりの処理量を低くし処理槽数を多くする
必要がある。具体的には、炭素繊維1gおよび1槽当た
りの電気量が2クーロン/g・槽以上100クーロン/
g・槽以下が好ましく、2クーロン/g・槽以上80ク
ーロン/g・槽以下がより好ましい。2クーロン/g・
槽未満では表層の結晶性の低下が十分に進まず、かつ処
理槽数を多くする必要があり生産性が悪化する。一方、
100クーロン/g・槽を超える場合には炭素繊維基質
の強度低下が大きくなる。また、結晶性の低下を適度な
範囲に維持する観点からは、通電処理の総電気量は2ク
ーロン/g以上1000クーロン/g以下、さらには2
0クーロン/g以上500クーロン/g以下とするのが
好ましい。処理時間については、数秒から10数分が好
ましく、さらには10秒から2分程度が好ましい。
【0016】また、電解処理を行った後、水洗・乾燥す
る工程において、乾燥温度が高すぎると炭素繊維の最表
面に存在する官能基は熱分解により消失し易い。したが
って、できる限り低い温度で乾燥することが望ましく、
具体的には乾燥温度が250℃以下、さらに好ましくは
210℃以下で乾燥することが望ましい。
【0017】表面処理後の炭素繊維は光電子分光法(以
下、ESCA)により測定される表面窒素濃度N/Cお
よび表面酸素濃度O/Cが、それぞれ0.02以上、
0.2以下であることが必要であり、好ましくは0.0
3以上、0.15以下であることが好ましい。すなわち
N/CおよびO/Cが上記範囲外では樹脂との接着が低
下する恐れがある。
【0018】サイジング剤として用いられる化合物は、
エポキシ系サイジング剤が好ましく、特に複数のエポキ
シ基を有する脂肪族化合物がよい。エポキシ基の数は炭
素繊維とマトリックス樹脂との橋渡しを有効に行い、か
つサイジング剤間の反応を抑制するため2〜4個である
のが好ましい。また、サイジング剤の骨格は炭素繊維と
マトリックス樹脂の界面に剛直で立体的に大きな化合物
を介在させないため、分子鎖が直鎖状で柔軟性を有し、
かつ分子量が小さいのが望ましい。具体的にはエポキシ
当量は、80以上1000以下、さらには90以上50
0以下が好ましく、分子量は100以上2000以下、
さらには200以上1000以下が好ましい。化合物で
は、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロ
ールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル類,ポリプロピレングリコールジ
グリシジルエーテル類、ポリエチレンオキサイドジグリ
シジルエーテル類、ポリプロピレンジグリシジルエーテ
ル類などが有効である。
【0019】サイジング剤の付着量としては、炭素繊維
単位重量当たり0.01%以上5%以下とすることが必
要であり、さらには0.1%以上2%以下が好ましい。
0.01%未満では炭素繊維とマトリックス樹脂との橋
渡しが不十分で接着特性の向上効果が小さく、また5%
を超えるとサイジング剤間の反応が多くなるために炭素
繊維/マトリックス樹脂間にサイジング剤の重合物が占
め、コンポジット特性が変化する恐れがあり好ましくな
い。
【0020】サイジング剤に使用する溶媒は、水、メタ
ノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、アセトン等が挙げられるが、取扱いが容
易で防災の観点から水が好ましい。従って水に不溶、若
しくは難溶のエポキシ化合物には乳化剤、界面活性剤等
を添加し水分散性にして用いるのが好ましい。
【0021】サイジング剤付与処理を行った後、乾燥す
る工程における乾燥温度は150℃以上350℃以下が
好ましく、さらには180℃以上250℃が好ましい。
150℃未満であるとサイジング剤の溶媒が完全に除去
できずコンポジットの接着特性に悪い影響を及ぼす恐れ
があり、かつ乾燥時間が長くなり工業上実際的でない。
また350℃以上であるとサイジング剤の硬化が進み、
炭素繊維束が固くなって束の拡がり性が悪化するため
に、良好なコンポジットの成形ができなくなる恐れがあ
る。
【0022】このようにして得られた炭素繊維は、プリ
プレグ法、フィラメントワインド法等の公知の方法によ
り樹脂と組み合わされ、賦型後硬化あるいは熱処理工程
を経て複合材料とされる。
【0023】プリプレグ法の場合、前記した炭素繊維を
一方向、織物、ヤーンあるいはマットなどの形態のもの
に樹脂を含浸し、炭素繊維強化樹脂プリプレグを得た
後、該プリプレグを積層、巻き付けなどの賦型工程を経
て、プレス、オートクレーブあるいはラッピング成形な
どの方法によって加熱成形され炭素繊維強化樹脂複合材
料とされる。
【0024】マトリックス樹脂は特に限定されないが、
サイジング剤化合物がエポキシ基を有しているので親和
性の高いエポキシ樹脂が好ましく、その硬化温度があま
りに高すぎると、炭素繊維に付与したサイジング剤の変
質・分解等が生じ易く、樹脂との接着性が阻害される場
合があるため、硬化温度は250℃以下、さらには20
0℃以下のエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、特公
昭63−60056号公報で開示された180℃硬化の
エポキシ樹脂や、特公平4−80054号公報で開示さ
れた130℃硬化のエポキシ樹脂などが本発明において
は好適に用いられる。ゴム粒子、熱可塑性粒子混合など
により高靭性化した樹脂を用いたり、プリプレグ層間を
熱可塑性樹脂の粒子や繊維などで補強したりすること
は、複合材料の衝撃特性向上にとってより好ましい。
【0025】得られた複合材料の衝撃特性をシャルピー
衝撃試験機で測定するが、全吸収エネルギーのみでな
く、衝撃力曲線から最大荷重および最大荷重までの吸収
エネルギーが求められる計装化シャルピーを用いること
が重要である。炭素繊維複合材料のような脆性材料の場
合、破壊が開始する最大荷重以降の吸収エネルギーは分
断しやすさの指標にはなるものの機能保持という意味で
は最大荷重あるいは最大荷重までの吸収エネルギーがよ
り重要と言える。本発明の炭素繊維強化樹脂複合材料
は、この最大荷重が高く、かつ最大荷重までの吸収エネ
ルギーが高いものである。一方向平板をフラットワイズ
で衝撃破壊した時の最大荷重後の吸収エネルギーを最大
荷重までの吸収エネルギーで割った値、いわゆる延性指
標は0.2〜0.6、好ましくは0.3〜0.5が良
い。延性指標が0.6より大きい場合、剪断により破壊
が開始するために最大荷重が低く、さらに剪断破壊が進
展することによりエネルギーを吸収することになり、最
終破断までの全吸収エネルギーは高くても実用上の機能
保持能力としては低い恐れがある。一方、延性指標が
0.2より小さい場合には非常な脆性破壊となり他の特
性、特に引張強度等が低下する恐れがある。
【0026】本発明の炭素繊維は単独で用いることがで
きるが、他の炭素繊維あるいは他の強化繊維と組み合わ
せて複合材料とすることもでき、用途に応じて最適化す
ることが好ましい。用途としては、ゴルフシャフト、テ
ニスラケット、釣竿等のスポーツ用途および航空宇宙用
途に適用できるが、特に衝撃特性が重要となるゴルフシ
ャフトの場合に有効である。ゴルフシャフトはラッピン
グ法などの従来公知の技術で成形することができるが、
さらにシャフト特性を最大限に発現させるため積層構成
あるいは他の特性を有する炭素繊維あるいは他の強化繊
維との組み合わせを最適化することが好ましい。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。本発明におけるストランド引張弾性率および
強度ならびにEDSは以下の方法により求めた。
【0028】(ストランド引張弾性率および強度)JI
S R−7601の樹脂含浸ストランド試験方法に準じ
て測定した。樹脂処方としては、“BAKELITE”
ERL4221/3フッ化ホウ素モノエチルアミン/ア
セトン=100/3/4部をよく混合して用いた。
【0029】(EDS)樹脂は特公平4−80054号
公報開示の実施例1に従って次のように調整した。すな
わち、油化シェルエポキシ社製エピコート1001を 3.5kg
(35重量部)、油化シェルエポキシ社製エピコート828
を 2.5kg(25重量部)と大日本インキ化学工業社製エピ
クロンN740 を 3.0kg(30重量部)、油化シェルエポキ
シ社製エピコート152 を 1.5kg(15重量部)および電気
化学工業社製デンカホルマール#20を 0.8kg(3 重量
部)とジクロロフェニルジメチルウレア 0.5kg(5 重量
部)を添加し、30分間撹拌して樹脂組成物を得た。これ
を離型紙にコーティングし樹脂フィルムとしたものを用
いた。
【0030】先ず円周約2.7mの鋼製ドラムに炭素繊
維と組み合わせる樹脂をシリコン塗布ペーパー上にコー
ティングした樹脂フィルムを巻き、次に該樹脂フィルム
上にクリールから引き出した炭素繊維をトラバースを介
して巻き取り、配列して、さらにその繊維の上から前記
樹脂フィルムを再度かぶせて後、加圧ロールで回転加圧
して樹脂を繊維内に含浸せしめ、巾300mm、長さ2.
7mの一方向プリプレグを作製する。
【0031】このとき、繊維間への樹脂含浸を良くする
ためにドラムは60〜70℃に加熱し、またプリプレグ
の繊維目付はドラムの回転数とトラバースの送り速度を
調整することによって繊維目付約200 g/m2 、樹脂量
約35重量%のプリプレグを作製した。
【0032】このように作製したプリプレグを裁断、
(+25 /−25 /+25 /−25 /90)s の構成で
積層し、オートクレーブを用いて135℃、3kgf/cm2
下で2時間加熱硬化して、EDS測定用として肉厚約2
mmの硬化板を作製した。
【0033】試験片は巾25.4mm、長さ230mmと
し、測定は通常の引張試験治具を用いて、試験長127
mmに設定し、歪速度1mm/ 分で測定した。剥離強度は試
験片の側面で剥離が開始した時点の荷重より求めた。
【0034】さらに、本例中に記載された炭素繊維の比
重、ESCAにより測定されるO/CおよびN/Cおよ
び計装化シャルピー衝撃エネルギーは次のようにして求
めた。
【0035】(比重)JIS R−7601の浮沈法に
より測定した。
【0036】(O/CおよびN/C)ESCAにより測
定される表面酸素濃度O/Cまたは表面窒素濃度N/C
とは、次の手順に従って求められる値をいう。先ず、溶
媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維束をカットし
てステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電
子脱出角度を90゜とし、X線源としてMgKα1,2
用い、試料チャンバー内を1×10-8Torrの真空度に保
つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、まずC1S
の主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6 eVに合わせ
る。C1Sピーク面積は、 282〜296 eVの範囲で直線のベ
ースラインを引くことにより求める。O1Sピーク面積
は、 528〜540 eVの範囲で直線のベースラインを引くこ
とにより求め、N1Sピーク面積は、 398〜410 eVの範囲
で直線のベースラインを引くことにより求める。ここ
で、表面酸素濃度O/Cは、上記O1Sピーク面積とC1S
ピーク面積の比を、装置固有の感度補正値で割ることに
より算出した原子数比をいうものである。なお、例え
ば、島津製作所(株)製ESCA−750を用いた場合
には上記装置固有の感度補正値は2.85となる。ま
た、ここで、表面酸素濃度N/Cは、上記N1Sピーク面
積とC1Sピーク面積の比を、装置固有の感度補正値で割
ることにより算出した原子数比をいうものである。な
お、例えば、島津製作所(株)製ESCA−750を用
いた場合には上記装置固有の感度補正値は1.7とな
る。
【0037】(計装化シャルピー衝撃エネルギー)前記
した一方向プリプレグを用いて、JIS−K−7077
に従って試験片を作成し、計装化されたシャルピー衝撃
試験機を用いて最大荷重、最大荷重までの吸収エネルギ
ーおよび最大荷重後の吸収エネルギーを測定する。試験
片寸法は厚み6mm、幅10mm、長さ60mmで、ス
パン間距離は40mmを用いた。
【0038】(実施例1)アクリロニトリル(AN)9
9.7モル%とメタクリル酸0.3モル%からなる共重
合体を用いて、乾湿式紡糸方法により単繊維デニール
0.6d,フィラメント数18000のアクリル系繊維
を得た。得られた繊維束を240〜280℃の空気中
で、延伸比1.03で加熱し、耐炎化繊維に転換し、つ
いで窒素雰囲気中300〜500℃の温度領域での昇温
速度を180℃/分とし10%の延伸を行なった後、1
700℃まで焼成した。濃度0.2モル/lの炭酸水素
アンモニウム水溶液を電解液として、1槽当たりの通電
電気量を10クーロン/g・槽とし、8槽繰り返すこと
により該炭素繊維を総電気量80クーロン/gで処理し
た。その際、電解液が黒色に変色した。この電解処理を
施された炭素繊維を続いて水洗し、150℃の加熱空気
中で乾燥した。続いて、グリセロールトリグリシジルエ
ーテルにノニオン系の乳化剤を5%添加したサイジング
剤を、成分が1重量%になるように水で希釈してサイジ
ング剤母液を調整し、浸漬法により炭素繊維にサイジン
グ剤を付与し、180℃で乾燥を行なった。付着量は
0.4%であった。
【0039】このようにして得られた炭素繊維の比重は
1.73、ストランド引張強度および弾性率はそれぞれ
570kgf/mm2 、31 tf/mm2 だった。O/CおよびN
/Cはそれぞれ0.09および0.03だった。またE
DSは25kgf/mm2 であった。
【0040】さらに一方向材のシャルピー衝撃特性を測
定したときの荷重−時間線図を図1に示す。最大荷重が
5.5kNと高く、最大荷重までの吸収エネルギーも6
6kJ/m2 と大きかった。延性指標は0.34だっ
た。この材料を用いてゴルフシャフトを20本作製し、
ヘッドスピード50m/秒、ハイヒールヒットの条件で
ロボット実打試験を行なったところ、100回実打後で
も1本も破損しなかった。
【0041】(比較例1)実施例1と同様に製糸、焼成
して得られた炭素繊維を用いて、 濃度0.1モル/l
の硫酸水溶液を電解液として、通電電気量を10クーロ
ン/gとし、1槽で処理した。この電解処理を施された
炭素繊維を続いて水洗し、150℃の加熱空気中で乾燥
した。
【0042】続いて、油化シェルエポキシ社製エピコー
ト828 にノニオン系の乳化剤を5%添加したサイジング
剤を、成分が1重量%になるように水で希釈してサイジ
ング剤母液を調整し、浸漬法により炭素繊維にサイジン
グ剤を付与し、180℃で乾燥を行なった。付着量は
0.5%であった。
【0043】このようにして得られた炭素繊維の比重は
1.73、ストランド引張強度および弾性率はそれぞれ
560kgf/mm2 、31 tf/mm2 だった。O/CおよびN
/Cはそれぞれ0.12および0.01だった。またE
DSは16kgf/mm2 であった。
【0044】さらに一方向材のシャルピー衝撃特性を測
定したときの荷重−時間線図を図2に示す。最大荷重が
4.3kNと低く、最大荷重までの吸収エネルギーも4
6kJ/m2 と小さかった。延性指標は0.96だっ
た。この材料を用いてゴルフシャフトを20本作製し、
実施例1と同様の方法でロボット実打試験を行なったと
ころ、100回実打後まで破損しなかったのは4本のみ
だった。
【0045】(比較例2)アクリロニトリル(AN)9
9.7モル%とメタクリル酸0.3モル%からなる共重
合体を用いて、湿式紡糸方法により単繊維デニール0.
6d,フィラメント数18000のアクリル系繊維を得
た。得られた繊維束を実施例1と同様の方法で焼成し、
炭素繊維とした。得られた炭素繊維を濃度0.1モル/
lの硫酸水溶液を電解液として、通電電気量を40クー
ロン/gとし、1槽で処理した。この電解処理を施され
た炭素繊維を続いて水洗し、150℃の加熱空気中で乾
燥した。続いて、グリセロールトリグリシジルエーテル
にノニオン系の乳化剤を5%添加したサイジング剤を、
成分が1重量%になるように水で希釈してサイジング剤
母液を調整し、浸漬法により炭素繊維にサイジング剤を
付与し、180℃で乾燥を行なった。付着量は0.4%
であった。
【0046】このようにして得られた炭素繊維の比重は
1.73、ストランド引張強度および弾性率はそれぞれ
450kgf/mm2 、31 tf/mm2 だった。O/CおよびN
/Cはそれぞれ0.16および0.01だった。またE
DSは22kgf/mm2 であった。さらに一方向材のシャル
ピー衝撃特性を測定したときの荷重−時間線図を図3に
示す。最大荷重が4.1kNと低く、最大荷重までの吸
収エネルギーも45kJ/m2 と小さかった。延性指標
は0.17だった。この材料を用いてゴルフシャフトを
20本作製し、実施例1と同様の方法でロボット実打試
験を行なったところ、100回実打後まで破損しなかっ
たのは2本のみだった。
【0047】
【発明の効果】本発明により、ゴルフシャフト、テニス
ラケット、釣竿等のスポーツ用途および航空宇宙用途に
好適な、特に衝撃特性が重要となるゴルフシャフトの場
合に好適な耐衝撃特性に優れた炭素繊維強化樹脂複合材
料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた複合材料の計装化シャルピ
ー衝撃試験における荷重−時間線図を示す。
【図2】比較例1で得られた複合材料の計装化シャルピ
ー衝撃試験における荷重−時間線図を示す。
【図3】比較例2で得られた複合材料の計装化シャルピ
ー衝撃試験における荷重−時間線図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 31:52 (56)参考文献 特開 平5−49717(JP,A) 特開 平4−361619(JP,A) 特開 昭63−221169(JP,A) 特開 昭61−124677(JP,A) 特開 昭62−149968(JP,A) 特開 平2−269867(JP,A) 特開 平1−272867(JP,A) 特開 昭63−135232(JP,A) 特開 平5−42536(JP,A) 特開 平5−170952(JP,A) 特開 平7−70925(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/04 - 5/10 C08J 5/24 B29B 11/16 B29B 15/08 A63B 53/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】比重が1.75以下、引張弾性率が29tf
    /mm2以上、引張強度が500kgf/mm2以上、光電子分光
    法ESCAにより測定される表面窒素濃度N/Cおよび
    表面酸素濃度O/Cが、それぞれ0.02〜0.2であ
    り、複数のエポキシ基を有する脂肪族化合物からなるエ
    ポキシ系サイジング剤を炭素繊維単位重量当たり0.0
    1〜5%付与してなり、板端剥離強度が22kgf/mm2
    上である炭素繊維で強化することを特徴とする炭素繊維
    強化樹脂複合材料。
  2. 【請求項2】炭素繊維強化樹脂複合材料がゴルフシャフ
    トであることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化
    樹脂複合材料。
  3. 【請求項3】比重が1.75以下、引張弾性率が29tf
    /mm2以上、引張強度が500kgf/mm2以上、光電子分光
    法ESCAにより測定される表面窒素濃度N/Cおよび
    表面酸素濃度O/Cが、それぞれ0.02〜0.2であ
    り、複数のエポキシ基を有する脂肪族化合物からなるエ
    ポキシ系サイジング剤を炭素繊維単位重量当たり0.0
    1〜5%付与してなり、板端剥離強度が22kgf/mm2
    上である炭素繊維で強化することを特徴とする炭素繊維
    強化樹脂プリプレグ。
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