JP2007145963A - 炭素繊維強化複合材料成形用中間体および炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

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正信 小林
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友樹 松浦
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Abstract

【課題】
優れた表面平滑性を有し、引張強度、接着強度および圧縮強度の全ての機械物性に優れた炭素繊維強化複合材料を与える炭素繊維強化複合材料成形用中間体を提供する。
【解決手段】
エポキシ当量が600g/eq以上2300g/eq以下の2官能エポキシ樹脂を含むサイジング剤が付着されてなる、ストランド引張強度が5500MPa以上でかつ引張破断伸度が1.8%以上である炭素繊維と、3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が全樹脂組成物100重量%に対して20重量%以上含まれる樹脂組成物とを構成材料として含む炭素繊維強化複合材料成形用中間体が好適に用いられる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、航空機用構造材料をはじめとして、ゴルフシャフトや釣り竿等のスポーツ用途、およびその他一般産業用途に好適に適用しうる炭素繊維強化複合材料を得るための炭素繊維強化複合材料用中間体に関するものである。
炭素繊維強化複合材料は、優れた力学特性および軽量化等の要求特性を満たすことから、主にゴルフシャフトや釣り竿等のスポーツ用途や航空機用構造材料等に広く用いられてきた。
近年、炭素繊維強化複合材料を、航空機、車両および船舶などの構造材料として適用することが進み、炭素繊維強化複合材料中の繊維長さ方向の引張強度、繊維長さ方向に垂直な方向の引張強度および剪断強度に加えて、繊維長さ方向の圧縮強度を高いレベルで実現させることが要求されている。
これらの課題について、炭素繊維に適用するサイジング剤を用いた方法で、例えば、エポキシ樹脂成分を特定したサイジング剤(特許文献1参照)や、サイジング剤硬化物の動的粘弾性で規定して接着強度を高める方法(特許文献2参照)、またはダイマー酸エポキシ樹脂を適用して引張強度を高める方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、このような従来のサイジング剤では、近年の高強度炭素繊維や高性能マトリックス樹脂と組み合わせた場合に、その効果を発現できない場合がある。
一方、マトリックス樹脂においては、圧縮強度を高める方法として多官能エポキシ樹脂を含む樹脂組成を特定する方法が提案されている(特許文献4および特許文献5参照)。しかしながら、これらの提案では、炭素繊維に適用するサイジング剤を組み合わせた検討がなされておらず、必ずしも本来の炭素繊維強化複合材料物性が発現できていない場合がある。
このように、高強度炭素繊維と高性能マトリックス樹脂の組み合わせでは、本来の炭素繊維強化複材材料物性が十分に発現できていないのが現状であり、更に品位の高い炭素繊維強化複合材料成形用中間体の開発が望まれている。
特開平9−250087号公報 特開2004−169260号公報 特開2004−149721号公報 特開平8−259713号公報 特開2002−363253号公報
本発明の目的は、前記課題を解決し、引張強度、接着強度および圧縮強度の全ての機械物性に優れた炭素繊維強化複合材料を与える炭素繊維強化複合材料成形用中間体および炭素繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炭素繊維強化複合材料成形用中間体は、エポキシ当量が600g/eq以上2300g/eq以下の2官能エポキシ樹脂を含むサイジング剤が付着されてなる、ストランド引張強度が5500MPa以上でかつ引張破断伸度が1.8%以上である炭素繊維と、3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が全樹脂組成物100重量%に対して20重量%以上含まれる樹脂組成物とを構成材料含む炭素繊維強化複合材料成形用中間体である。
本発明の炭素繊維強化複合材料成形用中間体の好ましい態様によれば、前記の炭素繊維は、フィラメント数10,000本以上50,000本以下の繊維束であり、かつその繊維束の扁平度が15以上150以下である。
また、本発明の炭素繊維強化複合材料成形用中間体の好ましい態様によれば、前記のサイジング剤に含まれる2官能エポキシ樹脂は、ビスフェノール型のジグリシジルエーテルであり、前記の樹脂組成物は、芳香族ポリアミンを少なくとも一種類含む硬化剤を含有するものである。
また、本発明の炭素繊維強化複合材料は、前記の炭素繊維強化複合材料成形用中間体が加熱され、硬化されてなる炭素繊維強化複合材料である。
本発明によれば、引張強度、接着強度および圧縮強度の全ての機械物性に優れた複合材料物性を有し、かつ表面平滑性の高い炭素繊維強化複合材料を与える炭素繊維強化複合材料成形用中間体およびその炭素繊維強化複合材料が得られる。
以下、本発明の炭素繊維強化複合材料成形用中間体と炭素繊維強化複合材料について、より詳細に説明する。
本発明の炭素繊維強化複合材料成形用中間体は、エポキシ当量が600以上2300以下の2官能エポキシ樹脂を含むサイジング剤が付着されてなる、ストランド引張強度が5500MPa以上でかつ引張破断伸度が1.8%以上である炭素繊維と、3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が全樹脂組成物100重量%に対して20重量%以上含まれる樹脂組成物とを構成材料として含有するものである。
本発明の前記構成により優れた効果が得られる理由は明確ではないが、下記のように考えられる。すなわち、3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が多く配合された樹脂組成物硬化物は、架橋密度が高いために弾性率が高い一方で破断伸度が低く、得られた炭素繊維強化複合材料は圧縮強度と接着強度が優れているものの、引張強度が十分発現しておらず、特にストランド引張強度が高く引張破壊伸度が1.8%以上の高強度炭素繊維との組み合わせではそれが顕著であった。また、一般的にサイジング剤は、炭素繊維強化複合材料成形中に樹脂組成物中に一部または全て拡散されるが、前記の3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂を多く配合された樹脂組成物においては、サイジング剤の成分である特定範囲のエポキシ当量を有する2官能エポキシ樹脂は一部拡散されずに炭素繊維表面近傍のみ硬化樹脂の架橋密度を低下させることにより、圧縮強度、接着強度および引張強度が同時に高められたものと推定される。
本発明の炭素繊維強化複合材料成形用中間体を構成する炭素繊維の形態や配列については特に限定されず、一方向、織物、不織布、マット、ニット、組み紐、ロービングおよびチョップド等から適宜選択できるが、軽量で耐久性がより高い水準にある繊維強化複合材料を得るためには、強化繊維が一方向、織物およびロービング等の連続繊維の形態のものが好適に用いられる。本発明の炭素繊維強化複合材料成形用中間体は、これら炭素繊維に未硬化のマトリックス樹脂を含浸させて得られる中間体であるが、炭素繊維複合材料の機械強度およびバラツキ等を高いレベルに設計するにはプリプレグが好適である。
本発明で用いられる炭素繊維は、ストランド強度が5500MPa以上でかつ引張破断伸度が1.8%以上の炭素繊維である。好ましくは、ストランド強度が5500MPa以上9000MPa以下でかつ引張破断伸度が1.8%以上2.5%以下の炭素繊維である。より好ましくは、ストランド強度が6000MPa以上8000MPa以下でかつ引張破断伸度が1.9%以上2.3%以下の炭素繊維である。かかる引張破断伸度が1.8%に満たない場合は、後述する3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂と組み合わせた場合、後述する本発明のサイジング剤を用いなくてもストランド強度に対応したコンポジット引張強度が得られる場合がある。また、ストランド強度が5500MPaに満たない場合は、炭素繊維強化複合材料の高いコンポジット引張特性が得られずに構造材料として使用できない場合がある。
ここで、炭素繊維のストランド強度は、JIS R 7601(1986)の樹脂含浸ストランド試験方法に準じて測定した値で表し、炭素繊維の引張弾性率は、JISR 7601(1986)の樹脂含浸ストランド試験方法のA法に準じて測定した値で表した。引張破断伸度は、前述のストランド強度を引張弾性率で除した値で表した。なお、樹脂処方は“ベークライト[BAKELITE]”(登録商標)ERL4221(登録商標、ユーシーシー[UCC]製)/三フッ化ホウ素モノエチルアミン/アセトンの100/3/5重量部の混合物を用いた。
本発明において、炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)系、レーヨン系あるいはピッチ系などの炭素繊維フィラメントが数千から数万本束になった炭素繊維の繊維束であれば特に限定されないが、構造材料として使用する上で、ストランド強度が5500MPa以上の高強度炭素繊維が得られやすいPAN系炭素繊維が好適に用いられる。炭素繊維の総繊度は、好ましくは400〜5000テックスであり、また、炭素繊維の引張弾性率は、好ましくは100〜1000GPaであり、さらに好ましくは200〜600GPaである。
また、本発明で用いられる炭素繊維の繊維束としては、フィラメント数が好ましくは10,000〜50,000本であり、かつその繊維束の扁平度は好ましくは15〜150である。より好ましくはフィラメント数が20,000〜50,000本であり、かつその繊維束の扁平度は20〜100である。フィラメント数が10,000本に満たない場合は、炭素繊維の後述する扁平度を高めずとも、プリプレグなど炭素繊維強化複合材料中間体の表面平滑性を得られ、扁平度が15に満たない場合は、プリプレグなど炭素繊維強化複合材料中間体の表面平滑性が悪化する場合があり、結果的に繊維強化複合材料内の炭素繊維のアライメントが乱れ、引張強度、接着強度および圧縮強度の全ての特性が低下する場合がある。また、扁平度が150を超えると、炭素繊維をボビンからに解舒するとき等に折り曲げ、繊維束折れが起こり、結果的にプリプレグなど炭素繊維強化複合材料中間体の表面平滑性が悪化し、結果的に繊維強化複合材料内の炭素繊維のアライメントが乱れ、引張強度、接着強度および圧縮強度の全ての特性が低下する場合がある。
ここで、炭素繊維の繊維束の扁平度は、ボビン上に巻かれ、パッケージとした状態における炭素繊維の繊維束幅Wに対する繊維束厚みTの比、すなわち、W/Tとして表される。ここで、繊維束厚みTは、炭素繊維をその形態がくずれないようにパッケージから解舒して、スケールをあてて測定した、n数10の平均値である。また、繊維束幅Wは、パッケージの表面に位置する炭素繊維にスケールをあてて測定した、n数10の平均値である。
本発明で用いられる樹脂組成物(マトリックス樹脂組成物)は、少なくとも3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が、全樹脂組成物100重量%に対して20重量%以上を含むものである。
本発明で用いられる3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂は、全樹脂組成物100重量%中に20〜80重量%含まれていることが好ましく、含有量はより好ましくは30〜60重量%である。グリシジルアミン型エポキシ樹脂が20重量%に満たない場合は、炭素繊維との密着性および樹脂弾性率が十分でなく、炭素繊維強化複合材料の接着強度と圧縮強度が低くなる場合がある。また、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を80重量%を超えて含む場合は、硬化樹脂が脆く、硬化樹脂伸度が低くなるため、後述する本発明サイジング剤を適用しても炭素繊維強化複合材料の引張強度が低くなる場合がある。かかる3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノールおよびトリグリシジルアミノクレゾールなどを使用することができる。
前記のテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンとしては、例えば、ELM434(住友化学工業(株)製)、YH434L(東都化成(株)製)、および“エピコート”(登録商標)604(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製)等を使用することができる。トリグリシジルアミノフェノール又はトリグリシジルアミノクレゾールとしては、ELM100(住友化学工業(株)製)、MY0510(チバガイギー社製)、“エピコート”(登録商標)630(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製)等を使用することができる。
本発明で用いられる樹脂組成物には、硬化剤として芳香族ポリアミンが好適に使用される。前記の3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂と同様に、芳香族ポリアミンは硬化樹脂の架橋密度を高め弾性率を高める効果があり、前記の3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂と芳香族ポリアミンの総和が全樹脂組成物100重量%中に30〜90重量%含まれていることが好ましく、50〜70重量%がより好ましい。3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂と芳香族ポリアミンの総和が30重量%に満たない場合は、炭素繊維との密着性および樹脂弾性率が十分でなく、炭素繊維強化複合材料の接着強度と圧縮強度が低くなる場合があり、また、90重量%を超えて含まれる場合は、硬化樹脂が脆く硬化樹脂伸度が低くなり、後述する本発明で規定したサイジング剤を適用しても、炭素繊維強化複合材料の引張強度が低くなる場合がある。
硬化剤としてのかかる芳香族ポリアミンは、樹脂組成物中の全エポキシ樹脂に対する化学量論量の50〜120重量%含まれていることが好ましく、60〜120重量%がより好ましく、さらに好ましくは70〜120重量%含まれているのがよい。芳香族ポリアミン硬化剤が50重量%に満たない場合は、得られる樹脂硬化物の耐熱性が十分でない場合がある。また、芳香族ポリアミン硬化剤が120重量%を超える場合は、得られる樹脂硬化物の靱性が低下する場合がある。
かかる芳香族ポリアミンとしては、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる芳香族ポリアミン類であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)、ビスアニリン、ベンジルジメチルアニリン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−10)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)、DMP−30のトリ−2−エチルヘキシル酸塩等、およびそれらの異性体や誘導体を使用することができる。これらは、単独で用いても、あるいは2種以上の混合物を用いてもよい。
また、本発明で用いられる樹脂組成物には、必要に応じて、芳香族ポリアミン以外の硬化剤や硬化触媒等の添加剤を併用することが可能である。他の硬化剤としては、具体的には、例えば、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂およびポリメルカプタン等を使用することができる。また、硬化触媒としては、例えば、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(DCMU)等の尿素誘導体、イミダゾール誘導体、第三級アミン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようないわゆるルイス酸錯体、スルホニウム塩およびスルホン酸エステル等を使用することができる。これらの硬化剤や硬化触媒をマイクロカプセル化したものは、プリプレグ等の繊維強化複合材料形成用中間体の保存安定性を高めることができる。
樹脂組成物を構成する他の成分としての樹脂としては、他にも、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、2官能以下のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシ)メタン等またはこれらの混合物等が挙げられ、これらを併用することができる。
本発明で用いられるサイジング剤は、少なくともエポキシ当量が600g/eq以上2300g/eq以下の2官能エポキシ樹脂を少なくとも一種類含むものである。
本発明で用いられるサイジング剤に含まれる2官能エポキシ樹脂は、エポキシ当量が600g/eq以上2300g/eq以下のものであり、好ましくは800〜2300g/eqのエポキシ当量のものである。エポキシ当量が600g/eqに満たない場合は、前記のエポキシ樹脂が樹脂組成物中にほぼ全て拡散し、炭素繊維表面近傍の硬化樹脂特性を変性できず、炭素繊維強化複合材料の引張強度が低くなる場合がある。また、エポキシ当量が2300g/eqを超える場合は、樹脂組成物中への拡散が小さくて炭素繊維表面近傍に残存するが、一方でエポキシ当量が小さいため炭素繊維強化複合材料接着強度が低くなる場合がある。かかるエポキシ当量が600g/eq以上2300g/eq以下の2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびビスフェノールS型エポキシ樹脂などのエポキシ当量が600g/eq以上2300g/eq以下の範囲のものを使用することができる。
前記のビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、“エピコート”1004(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製;エポキシ当量875〜975g/eq)、“エピコート”1007(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製;エポキシ当量1750〜2200g/eq)、“エピコート”4004(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製;エポキシ当量880g/eq)等を使用することができる。
前記のエポキシ当量が600g/eq以上2300g/eq以下の2官能エポキシ樹脂は、サイジング剤組成物100重量%に対して、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜80重量%を配合する。かかる配合量が30重量%に満たないと、結果的に炭素繊維強化複合材料の引張強度が低下する場合がある。
サイジング剤の他の成分としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシ)メタン等またはこれらの混合物等が挙げられ、これらを併用することができる。
また、サイジング剤には、必要に応じて、炭素繊維の取り扱い性や、耐擦過性および耐毛羽性を高め、樹脂組成物の含浸性を向上させるため、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミド樹脂等のエポキシ樹脂以外の樹脂、分散剤および界面活性剤等の補助成分を添加することが可能である。
本発明において、サイジング剤の炭素繊維に対する付着量は、炭素繊維の単位重量当たり好ましくは0.3〜5重量%の範囲であり、より好ましくは0.6〜3重量%の範囲である。付着量が0.3重量%に満たないと、サイジング剤全てが樹脂組成物中に全量拡散し、炭素繊維強化複合材料の引張強度が低下する場合や、炭素繊維の高次加工工程で通過する金属ガイドなどによる摩擦に耐えられず毛羽発生し、炭素繊維強化複合材料成形用中間体の表面平滑性などの品位低下してしまう場合がある。一方、付着量が5重量%を超えるとサイジング剤が樹脂組成物への拡散が不十分で、接着強度が低下する場合や、繊維束内の樹脂組成物中への含浸が不足し、得られる炭素繊維強化複合材料内にボイド等が生成する場合がある。
以下に、PAN系炭素繊維を用いる場合を例にとって、本発明の炭素繊維強化複合材料形成用中間体と炭素繊維強化複合材料を製造する方法を詳細に説明する。
炭素繊維の前駆体繊維を得るための紡糸方法としては、湿式、乾式あるいは乾湿式などの紡糸方法を採用することができるが、高強度の炭素繊維が得られやすい湿式紡糸方法あるいは乾湿式紡糸方法が好ましく、特に乾湿式紡糸方法が好ましい。紡糸原液には、ポリアクリロニトリルのホモポリマーあるいは共重合体の溶液あるいは懸濁液などを用いることができる。
この紡糸原液を口金に通して乾湿式紡糸方法により紡糸し、凝固、水洗、シリコーン油剤付与および延伸して前駆体繊維とし、この前駆体繊維を高張力下で耐炎化処理し、さらに粉塵量を制御した雰囲気中で高張力下炭化処理、必要によっては更に黒鉛化処理をすることによって炭素繊維とする。焼成温度1300〜1800℃、単繊維径8μm以下、特に6μm以下がストランド強度5500MPa以上でかつ引張破断伸度が1.8%以上の炭素繊維が得られやすい。得られた炭素繊維は、繊維強化複合材料化される際に組み合わされる(マトリックス)樹脂組成物との接着性を良好なものとするため、必要に応じて電解表面処理などの表面酸化処理がなされる。
このような実質的に撚りのない炭素繊維の繊維束に、サイジング剤を付着させる。炭素繊維にサイジング剤を付着させるためには、サイジング剤が溶媒に溶解または分散したサイジング液を用い、炭素繊維に、そのサイジング液を付与した後、溶媒を乾燥、除去する方法が簡便である。サイジング液に用いる溶媒としては、取り扱い性および安全性の面から、界面活性剤で乳化させた水分散液とすることが最適である。
サイジング液におけるサイジング剤の濃度は、サイジング液の付与方法および付与した後に余剰のサイジング液を絞り取る絞り量の調整等によって適宜調節する必要があるが、通常は0.2重量%〜20重量%の範囲とする。
本発明において、サイジング液を炭素繊維の繊維束に付与する手段としては、ローラーサイジング法、ローラー浸漬法およびスプレー法などを用いることができる。中でも、一束あたりの単繊維数が多い炭素繊維についても、サイジング剤を均一に付与しうるため、ローラー浸漬法が好ましく用いられる。また、サイジング液を付与した後に余剰のサイジング液を絞り取る絞り量を調整することにより、サイジング剤の付着量および繊維束内への均一付与ができる。溶媒を乾燥除去する際の条件は、好ましくは120〜300℃の温度で、10秒〜10分間の範囲が好適であり、より好適には150〜250℃の温度で、30秒〜4分間の範囲である。
また、炭素繊維の繊維束の扁平度の制御方法は特に限定されないが、ローラー上に繊維束を押し当てた状態で60〜150℃の温度で加熱して、繊維束が拡げられた状態で固定する方法が好ましく、特にサイジング液を付与した直後に、加熱したローラー上に押しつけで加熱する方法が好適である。
本発明による炭素繊維強化複合材料成形用中間体は、その繊維重量分率が15〜85重量%、好ましくは35〜75重量%であることが好ましい。繊維重量分率が15重量%未満であると、得られる炭素繊維強化複合材料の重量が過大となり、比強度と比弾性率に優れる炭素繊維強化複合材料の利点が損なわれることがあり、繊維重量分率が85重量%を超えると樹脂の含浸不良が生じ、得られる炭素繊維強化複合材料が、ボイドの多いものとなり易く、その機械強度が大きく低下することがある。
本発明による炭素繊維強化複合材料成形用中間体は、炭素繊維に未硬化のマトリックス樹脂を含浸して得られるプリプレグが好適であり、プリプレグは、マトリックス樹脂を溶媒に溶解して低粘度化し、炭素繊維に含浸させるウェット法と、離型フィルム上にマトリックス樹脂をコーティングし、その上に炭素繊維を引き揃え、加熱 溶解したマトリックス樹脂をロール或いはドクターブレード等で加圧含浸させ、その後放冷するホットメルト法(ドライ法)によって製造することができる。ウェット法は、炭素繊維織物からなるプリプレグに好適に使用することができる。
また、本発明における炭素繊維強化複合材料成形用中間体を得る方法としては、プリプレグを用いて得る方法の他に、ハンドレイアップ、RTM、“SCRIMP”(登録商標)、フィラメントワインディング、プルトルージョンおよびレジンフィルムインフュージョンなどの成形法を目的に応じて選択し採用することができる。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、航空機用構造材料、ゴルフシャフトや釣り竿等のスポーツ用途、およびその他一般産業用途に好適に適用しうる。
以下、本発明の炭素繊維強化複合材料形成用中間体と炭素繊維強化複合材料について、実施例を用いて更に具体的に説明する。実施例中における各種特性の測定法は、次のとおりである。
<サイジング剤付着量>
サイジング剤が付着した約2gの炭素繊維を秤量(W1)した後、50リットル/分の窒素気流中、温度450℃に設定した電気炉(容量120cm)に15分間放置し、サイジング剤を完全に熱分解させる。そして、20リットル/分の乾燥窒素気流中の容器に炭素繊維を移し、15分間冷却した後の炭素繊維を秤量(W2)して、次式によりサイジング剤付着量を求める。
サイジング付着量(重量%)=[W1(g)−W2(g)]/[W1(g)]×100。
<炭素繊維強化複合材料の物性>
[炭素繊維強化複合材料の試験片の作製]
先ず、円周約2.7mの鋼製ドラムに、後述する樹脂成分を表1に示す配合比で調整した樹脂組成物(マトリックス樹脂組成物)を、シリコーン塗布ペーパー上にコーティングした樹脂フィルムを巻き、次にクリールから引き出した、サイジング剤が付着した炭素繊維をトラバースを介して前記樹脂フィルム上に巻き取り、配列して、更にその炭素繊維の上から前記樹脂フィルムを再度かぶせて後、加圧ロールで回転加圧して樹脂組成物を炭素繊維の繊維束内に含浸せしめ、幅300mm、長さ2.7mの一方向プリプレグを作製する。
このとき、炭素繊維間への樹脂含浸を良くするために、鋼製ドラムは50〜60℃の温度に加熱する。鋼製ドラムの回転数とトラバースの送り速度とを調整することによって、繊維目付200±5g/m2 、樹脂量約35重量%のプリプレグを作製する。
このようにして作製したプリプレグを裁断し、6枚および12枚積層し、オートクレーブを用いて加熱硬化(温度200℃、圧力0.6MPa、2時間)させ、硬化板(炭素繊維強化複合材料)を作製する。
[樹脂成分]
下記の樹脂成分を、表1に示した配合比で調整し樹脂組成物とした。
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(住友化学(株)製ELM434;グリシジルアミン型エポキシ樹脂、4官能)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“エピコート”(登録商標)825;グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、2官能)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“エピコート”(登録商標)1001;グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、2官能))
・ポリエーテルスルホン樹脂(住友化学(株)製スミカエクセル5003P)
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)(住友化学工業(株)製“スミキュアS”(登録商標);芳香族ポリアミン))
・ジシアンジアミド(ジャパンエポキシレジン(株)製)
・3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)(保土谷化学(株)製)
[0゜引張強度の測定]
上記の炭素繊維強化複合材料試験片の作製で得られたプリプレグを6枚一方向積層して、加熱硬化後1mm厚の硬化板を作成した。0°引張強度は、JIS−K−7073(1988)に従い測定した。硬化板から、長さ230±0.4mm、幅12.5±0.2mm、厚さ1±0.2mmの一方向0゜引張試験片(I形)を作成した。ゲージ長は125±0.2mmとし、試験片引張試験機のクロスヘッドスピードは1.5mm/分とし、n=5で行った。また測定については、室温乾燥状態(25℃±2℃、相対湿度50%)で行った。
[90゜引張強度の測定]
上記の炭素繊維強化複合材料試験片の作製で得られたプリプレグを12枚一方向積層して、加熱硬化後2mm厚の硬化板を作成した。90°引張強度は、JIS−K−7073(1988)に従い測定した。硬化板から、長さ150±0.4mm、幅20±0.2mm、厚さ2±0.2mmの一方向90゜引張試験片(IV形)を作成した。試験片引張試験機のクロスヘッドスピードは1mm/分とし、n=5で行った。また測定については、室温乾燥状態(25℃±2℃、相対湿度50%)で行った。
[層間剪断強度の測定]
上記の炭素繊維強化複合材料試験片の作製で得られたプリプレグを12枚一方向積層して、加熱硬化後2mm厚の硬化板を作成した。層間剪断強度は、JIS−K−7078(1991)に従い3点曲げ試験で測定した。硬化板から、長さ14±0.4mm、幅10±0.2mm、厚さ2±0.4mmの90゜方向材試験片を作成し、スパン(l)と試験片厚み(d)の比はl/d=5±0.2とし、曲げ試験機のクロスヘッドスピードは1mm/分とし、n=5で行った。また測定については、室温乾燥状態(25℃±2℃、相対湿度50%)で行った。
[0°圧縮強度の測定]
上記の炭素繊維強化複合材料試験片の作製で得られたプリプレグを6枚一方向積層して、加熱硬化後1mm厚の硬化板を作成した。0°圧縮強度は、JIS−K−7076(1991)に従い測定した。硬化板から、長さ80±0.2mm、幅12.5±0.2mm、厚さ1±0.2mmの一方向0゜圧縮試験片を作成した。圧縮試験機のクロスヘッドスピードは1.27mm/分とし、n=6で行った。また測定については、室温乾燥状態(25℃±2℃、相対湿度50%)で行った。
[炭素繊維束の扁平度]
ボビン上に巻かれ、パッケージとした状態における炭素繊維の繊維束幅Wに対する繊維束厚みTの比、すなわち、W/Tとして表した。ここで、繊維束厚みは、炭素繊維をその形態がくずれないようにパッケージから解舒して、高精度レーザー光変位計Z300 オムロン(株)製を使用し、炭素繊維の繊維束のほぼ中央の厚みを測定し、n数10の平均値として求めた。また、繊維束幅は、パッケージの表面に位置する炭素繊維の繊維束にスケールをあてて測定し、n数10の平均値として求めた。
[プリプレグの平滑性]
また、プリプレグの平滑性の指標としては、プリプレグ表面の変位曲線から求められる、単位長さあたりの山の数を用いた。すなわち、表面平滑測定装置を用いて、プリプレグ表面において、強化繊維に対して90°方向の変位曲線を300mmにわたって測定し、高低差(谷と山の差)が5μm以上の凸部分の数を求めた。かかる凸部分の数を測定長で割り返し、単位長さ(100mm)あたりの数に換算したものを山数とした。
ここでプリプレグ表面の変位曲線は、次の方法で測定した。プリプレグ表面の変位を測定する変位測定器としては、接触式の変位センサーを用い、触針を走査することで測定した。本実施例においては、小坂研究所株式会社製SE−3400を用い、カットオフ値8mm、走査スピード2mm/秒で測定した。
(実施例1〜6、比較例1〜2)
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を紡糸し、最高温度1500℃で焼成し、電解表面処理を行い、総フィラメント数24、000本でサイジング剤付与していない炭素繊維の繊維束を得た。この炭素繊維の繊維束特性は、総繊度1200テックス、比重 1.8、ストランド引張強度6000MPa、ストランド引張弾性率297GPaであった。サイジング液は、下記のサイジング剤成分を表1に示す配合比で、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(“EMALEX”(登録商標)1815、日本エマルジョン(株)製:20重量%)で乳化した水分散液(サイジング剤濃度3重量%)を用いた。
ディップ法により前記炭素繊維にサイジング液を含浸させた後、120℃の温度に加熱したローラー上で繊維束を拡幅した後、熱風乾燥機で200℃の温度で、2分間乾燥することにより、サイジング剤付着量0.8±0.2重量%の炭素繊維の繊維束を得た。得られた炭素繊維の繊維束幅は60mm、繊維束厚みは0.12mmで扁平度は50であった。
続いて、円周約2.7mの鋼製ドラム(50〜60℃の温度に加熱)に、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(住友化学(株)製ELM434)32重量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“エピコート”(登録商標)825)32重量%、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(住友化学工業(株)製“スミキュアS”(登録商標))28重量%、ポリエーテルスルホン樹脂(住友化学(株)製スミカエクセル5003P)8%の配合比で調整した樹脂組成物(マトリックス樹脂組成物)を、シリコーン塗布ペーパー上にコーティングした樹脂フィルムを巻き、次にクリールから引き出したサイジング剤が付着した炭素繊維をトラバースを介して前記樹脂フィルム上に巻き取り、配列して、更にその炭素繊維の上から前記樹脂フィルムを再度かぶせて後、加圧ロールで回転加圧して樹脂組成物を炭素繊維の繊維束内に含浸せしめ、鋼製ドラムの回転数とトラバースの送り速度とを調整することによって、繊維目付200±5g/m2 、繊維重量分率が約65重量%のプリプレグ幅300mm、長さ2.7mの一方向プリプレグを得た。
得られたプリプレグの平滑性(山数)は15個/100mm(実施例1)と良好であった。
得られたプリプレグから加熱硬化して硬化板を得、各種評価試験を行った結果を、表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜6は、何れもコンポジット0°引張強度、90°引張強度、層間剪断強度および圧縮強度の全てが高いものであった。しかしながら、比較例1は、0°引張強度が大幅に低下し、比較例2ではコンポジット0°圧縮強度が低下してバランスの悪いものとなった。
[サイジング剤成分]
サイジング液は、下記の成分を表1で示した配合比で調整した。
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“エピコート”(登録商標)828(エポキシ当量184〜194g/eq),1001(エポキシ当量450〜500g/eq),1004(エポキシ当量875〜975g/eq),1007(エポキシ当量1750〜2200g/eq),1009(エポキシ当量2400〜3300g/eq))
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“エピコート”(登録商標)4004(エポキシ当量880g/eq))
・ポリブタジエングリシジルエーテル(ナガセケミテック(株)製R45EPT)(エポキシ当量1570g/eq)
・ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(“EMALEX”(登録商標)1815、日本エマルジョン(株)製
(実施例7〜8、比較例3)
実施例1で得られた炭素繊維と表2に示す配合比で調整した樹脂組成物(マトリックス樹脂組成物)の樹脂フィルムを使用して、プリプレグを得、さらにオートクレーブを用いて加熱硬化(温度200℃、圧力0.6MPa、2時間)して硬化板を得た。
各種評価試験を行った結果を表2に示す。表2に示すように、実施例7と8は、何れもコンポジット0°引張強度、90°引張強度、層間剪断強度、圧縮強度の全てが高いものであった。しかしながら、比較例3は0°圧縮強度が大幅に低下してバランスの悪いものとなった。
(実施例 9、10)
実施例1と同様に炭素繊維にサイジング液を含浸させた後、加熱ローラー上の接触時間と、繊維束の張力を1秒間、1.2kgから、それぞれ1秒、3kg(実施例9)および0.4秒、3kg(実施例10)に変更することで、扁平度20(実施例9)と扁平度5(実施例10)の炭素繊維を得た。得られた炭素繊維と実施例1と同様に調整した樹脂組成物(マトリックス樹脂組成物)の樹脂フィルムを使用して、プリプレグを得た。得られたプリプレグの平滑性(山数)はそれぞれ18(実施例9)および52個/100mm(実施例10)であった。
得られたプリプレグからオートクレーブを用いて加熱硬化(温度200℃、圧力0.6MPa、2時間)して硬化板を得、各種評価試験を行った結果(物性)を、表3に示す。表3に示すように、実施例9と10は、何れもコンポジット0°引張強度、90°引張強度、層間剪断強度、圧縮強度の全てが高いものであった。
(比較例4)
最高温度1800℃で焼成し、比較例1に配合比のサイジング剤を付与したこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。0゜引張強度、90°引張強度、層間剪断強度、圧縮強度は低いものであった。
Figure 2007145963
Figure 2007145963
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本発明の炭素繊維強化複合材料は、繊維長さ方向の引張強度と圧縮強度に優れ、かつ繊維長さ方向に垂直な方向の引張強度および層間剪断強度に優れた複合材料物性を与え、航空機用構造材料、ゴルフシャフトや釣り竿等のスポーツ用途、およびその他一般産業用途に好適である。

Claims (5)

  1. エポキシ当量が600g/eq以上2300g/eq以下の2官能エポキシ樹脂を含むサイジング剤が付着されてなる、ストランド引張強度が5500MPa以上でかつ引張破断伸度が1.8%以上である炭素繊維と、3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が全樹脂組成物100重量%に対して20重量%以上含まれる樹脂組成物とを構成材料として含む炭素繊維強化複合材料成形用中間体。
  2. 炭素繊維が、フィラメント数10,000本以上50,000本以下の繊維束であり、該繊維束の扁平度が15以上150以下である請求項1記載の炭素繊維強化複合材料成形用中間体。
  3. サイジング剤に含まれる2官能エポキシ樹脂が、ビスフェノール型のジグリシジルエーテルである請求項1または2記載の炭素繊維強化複合材料成形用中間体。
  4. 樹脂組成物が、芳香族ポリアミンを少なくとも一種類含む硬化剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料成形用中間体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料用中間体が加熱され、硬化されてなる炭素繊維強化複合材料。
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