JP2002054031A - 炭素繊維及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維及びその製造方法

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JP2002054031A JP2000236646A JP2000236646A JP2002054031A JP 2002054031 A JP2002054031 A JP 2002054031A JP 2000236646 A JP2000236646 A JP 2000236646A JP 2000236646 A JP2000236646 A JP 2000236646A JP 2002054031 A JP2002054031 A JP 2002054031A
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Motoi Mizuhashi
基 水橋
Nobuaki Oki
信昭 沖
Yoji Matsuhisa
要治 松久
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた引張弾性率を備え、得られる複合材料に
高い圧縮強度を発現させる炭素繊維、およびかかる炭素
繊維を安定に製造する方法を提供すること。 【解決手段】引張弾性率が340〜700GPa、引張
強度が3.4〜5.5GPa、引張伸度が0.5〜1.
4%、広角X線回折法により求まる炭素網面の(002)面
の結晶サイズLcが2.5〜3.2nm、前記炭素網面
の(100)面の結晶サイズLaが3〜4.5nm、粉末広
角X線回折法により求まる平均積層数naveが2〜3.
5、かつASTM D695による圧縮強度が1.45
〜2GPaであるアクリル系炭素繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維及びその
製造方法に関する。詳しくは、複合材料の大幅な性能向
上に寄与する高度の圧縮強度を有する炭素繊維、及び該
炭素繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は、比強度や比弾性率が優れる
ため、スポーツレジャー分野や宇宙航空分野を中心とし
て、用途が拡大している。
【0003】ゴルフシャフトや釣り竿等には、特に軽量
化を目的として引張強度が3.4GPa以上、引張弾性
率が340GPa以上の高強度、高弾性率炭素繊維が使
用されることが多いが、かかる用途分野では、炭素繊維
の一層の圧縮強度の向上が望まれている。
【0004】また、炭素繊維を上記した用途の構造材に
適用する場合は、高度の引張弾性率を活かしつつ、構造
材の軽量化を実現するため、構造材の厚みを薄くするこ
とが多いが、この場合、炭素繊維自体の圧縮強度が低下
すると、構造材全体の圧縮強度が低下する傾向が大きく
なる。
【0005】圧縮強度を向上させる技術としては、例え
ば、特開昭63−211326号公報に、アクリル系繊
維の炭化処理に際して、温度を2200℃以上とし、原
料繊維を積極的に延伸して、その配向緩和を抑制しなが
ら、高引張弾性率、高圧縮強度の炭素繊維を得る技術が
開示されているが、炭素繊維の耐炎化、炭化処理等の熱
処理温度が高いために、炭素繊維の結晶サイズが大きく
なり、圧縮強度の向上度合いは依然として不充分であっ
た。
【0006】このように、圧縮強度は一般に熱処理温度
と負の相関関係があり、熱処理温度の上昇に伴い、圧縮
強度は低下する傾向があり、他方、引張弾性率は熱処理
温度と正の相関関係があることから、従来技術によって
は、引張弾性率と圧縮強度が高レベルで両立した炭素繊
維を得るのは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、引張弾性率
に優れる一方、得られる複合材料に高レベルの圧縮強度
を発現させる炭素繊維、およびかかる炭素繊維を安定に
製造する方法を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次の構成を有する。即ち、引張弾性率が3
40〜700GPa、引張強度が3.4〜5.5GP
a、引張伸度が0.5〜1.4%、広角X線回折法によ
り求まる炭素網面の(002)面の結晶サイズLcが2.5
〜3.2nm、前記炭素網面の(100)面の結晶サイズL
aが3〜4.5nm、粉末広角X線回折法により求まる
平均積層数naveが2〜3.5、かつASTM D69
5による圧縮強度が1.45〜2GPaであるアクリル
系炭素繊維である。
【0009】また、上記課題を解決するため、本発明
は、次の構成を有する。即ち、アクリル系前駆体繊維
を、酸化性雰囲気下、温度200〜300℃で耐炎化処
理し、続いて不活性雰囲気下、温度400〜800℃、
昇温速度20〜100℃/分で前炭化処理し、さらに不
活性雰囲気下、温度1800〜2000℃で炭化処理す
る炭素繊維の製造方法であって、前記前炭化処理におけ
るアクリル系繊維の延伸倍率を1.02〜1.15とす
るアクリル系炭素繊維の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者等は、炭素繊維の構造と
圧縮強度との相関性に着目し、鋭意検討した結果、炭素
繊維について、結晶の積層状態を制御することにより、
引張弾性率と圧縮強度を高いレベルで両立しうることを
見出し、本発明に至った。
【0011】本発明の炭素繊維は、その引張弾性率が3
40〜700GPa、好ましくは375〜640GPa
のものである。340GPa未満であると、圧縮強度の
低下は顕在化しないが、適用する用途によっては、引張
弾性率が低下することがあり、700GPaを越えると
炭素網面の結晶サイズLcが拡大し、圧縮強度が低下す
ることがある。
【0012】また、本発明の炭素繊維は、その引張強度
が3.4〜5.5GPa、好ましくは4〜5.5GPa
のものである。3.4GPa未満であると、構造材へ適
用しても軽量化効果が小さくなることがあり、5.5G
Paを越えると、引張弾性率が低下することがある。さ
らに、本発明の炭素繊維は、その引張伸度が0.5〜
1.4%のものである。0.5%未満であると、製造工
程で糸切れが頻発することがあり、1.4%を越えると
優れた弾性率が得られないことがある。
【0013】本発明の炭素繊維は、広角X線回折法によ
り求まる炭素網面の(002)面の結晶サイズLcが2.5
〜3.2nm、炭素網面の(100)面の結晶サイズLaが
3.0〜4.5nmのアクリル系炭素繊維である。
【0014】Lcが2.5nm未満であると引張弾性率
が低下することがあり、Lcが3.2nmを越えると圧
縮強度が低下することがある。また、Laが3.0未満
であると、引張弾性率が低下することがあり、Laが
4.5nmを越えると、圧縮強度が低下することがあ
る。
【0015】また、本発明の炭素繊維は、粉末広角X線
回折法により求まる平均積層数nave(以下、単にnave
と略記)が2.0〜3.5、好ましくは2.5〜3.
5、ASTM D695による圧縮強度が1.4〜2G
Pa、好ましくは1.45〜1.8GPaのものであ
る。naveが2.0未満であると、炭化繊維が構造的に
安定しないことがあり、naveが3.5を越えると、圧
縮強度が著しく低下し、高度の引張弾性率と圧縮強度が
要求される用途に適用できなくなることがある。
【0016】尚、上述したような本発明による炭素繊維
は、例えば、以下に示すような、本発明による炭素繊維
の製造方法によって安定に製造することができる。
【0017】炭素繊維の前駆体である、アクリル系繊維
の原料としては、アクリロニトリル90重量%以上、ア
クリロニトリルと共重合しうる成分が10重量%以下で
構成されるアクリル系共重合体が使用できる。
【0018】前記共重合体としては、アクリル酸、メタ
アクリル酸、イタコン酸、およびそれらのメチルエステ
ル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステ
ル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アリルスルホン
酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びそ
れらのアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくと
も1種が使用できる。
【0019】アクリル系重合体は、乳化重合、塊状重
合、溶液重合等従来公知の重合法により合成される。ま
た、溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、硝酸、ロダンソー
ダ水溶液等が用いられ、紡糸原液が調整される。
【0020】ここで、アクリル系重合体は、得られる炭
素繊維の物性をより高める観点から、その極限粘度
[η]が1以上、好ましくは1.35以上、より好まし
くは1.7以上であるのが良い。ここで極限粘度[η]
の上限値としては、紡糸を安定させる観点から、5以下
とするのが良い。
【0021】本発明において、アクリル系繊維は、前記
した紡糸原液を使用し、湿式紡糸方法や乾湿式紡糸方法
によって紡糸して製造することができる。
【0022】ここで、アクリル系繊維は、0.33〜
1.11dtex、好ましくは0.55〜0.89dtexで
あるのが良い。0.33dtex未満であると、製糸工程
で、繊維から微細な粉塵が発生し、環境、衛生面での問
題が生じることがあり、1.11dtexを越えると、後
の耐炎化工程、前炭化工程、及び炭化工程で、均一な熱
処理が困難となることがある。
【0023】また、アクリル系繊維束は、1、000〜
30、000フィラメント、好ましくは3、000〜2
4、000フィラメントであるのが良い。1、000フ
ィラメント未満であると、糸切れが増すことがあり、3
0、000フィラメントを越えると、耐炎化工程で被処
理繊維束中の蓄熱量が増し、繊維が燃焼することがあ
る。
【0024】次に、上述した方法によって得られたアク
リル系繊維から、耐炎化処理、前炭化処理、炭化処理の
各処理を経て、炭素繊維が製造される。
【0025】耐炎化処理では、アクリル系繊維を、空気
等の酸化性雰囲気下、200〜300℃として処理する
必要があり、好ましくは220〜280℃で処理するの
が良い。200℃未満であると、ニトリル基の閉環反応
が進行しなくなり、耐炎化の程度が不足することがあ
り、300℃を越えると耐炎化が完了する前に繊維が燃
焼することがある。
【0026】また、耐炎化処理時の延伸倍率は、いわゆ
る配向緩和を抑制するために、0.95〜1.1好まし
くは1〜1.1とするのが良い。0.95未満であると
引張弾性率、引張強度が不足することがあり、1.1を
越えると毛羽が増すことがある。
【0027】耐炎化処理では、被処理繊維の比重が1.
25〜1.6g/cm3、好ましくは1.3〜1.5g
/cm3になるまで処理するのが良い。1.25g/c
3未満であると、前炭化処理工程で糸切れが発生する
ことがあり、1.6g/cm3を越えると、得られる炭
素繊維の比重が下がり、引張弾性率が低下することがあ
る。
【0028】耐炎化処理後、前炭化処理する。ここで
は、被処理繊維を、窒素等の不活性雰囲気下、温度40
0〜800℃で処理する必要があり、好ましくは400
〜700℃で処理するのが良い。また、昇温速度は20
〜100℃/分で処理する必要があり、好ましくは40
〜100℃/分で処理するのが良い。
【0029】昇温速度が20℃/分未満であると、熱履
歴を均等化するため、糸速を低くする必要が生じ、これ
により製造コストが上昇することがあり、100℃/分
を越えると糸切れが生じることがある。
【0030】また、前炭化処理時の延伸倍率は1.02
〜1.15とする必要があり、好ましくは1.04〜
1.12とするのが良い。1.02未満であると、得ら
れる炭素繊維において、引張弾性率が低下することがあ
り、1.15を越えると糸切れが生じることがある。
【0031】前炭化処理後、炭化処理する。ここでは、
被処理繊維を、窒素等の不活性雰囲気下、温度1800
〜2000℃で処理する必要があり、好ましくは185
0〜1950℃で処理するのが良い。1800℃未満で
あると、得られる炭素繊維において、引張弾性率が低下
することがあり、2000℃を越えると結晶サイズが大
きくなり、圧縮強度が低下することがある。
【0032】炭化処理時の延伸倍率は0.95〜1.
1、好ましくは0.96〜1.05とするのが良い。
0.95未満であると、得られる炭素繊維において、引
張弾性率が低下することがあり、1.1を越えると糸切
れが生じることがある。
【0033】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明する。各実施例、比較例においては、各物性値
は、以下に示す方法により測定した。 <引張弾性率>測定する炭素繊維に、ユニオンカーバイ
ド(株)製、ベークライト(登録商標)ERL−422
1を1000g(930重量%)、三フッ化ホウ素モノ
エチルアミン(BF3・MEA)を30g(3重量%)
及びアセトンを40g(4重量%)混合したエポキシ樹
脂組成物を含浸させ、次に130℃で、30分間加熱
し、硬化させ、樹脂含浸ストランドとする。JIS R
7601の樹脂含浸ストランド試験法に従い、引張強度
と引張弾性率を求める。 <結晶サイズLc、La、平均積層数nave> A.測定試料の作製 測定する炭素繊維から、長さ4cmの試験片を切り出
し、金型とコロジオン・アルコール溶液を用いて固め、
角柱形状として結晶サイズ用の測定試料とする。
【0034】一方、積層構造の解析用試料は、測定に供
する炭素繊維を凍結粉砕して粉末とし、粉砕後の試料を
アルミ製標準試料枠に収納して作製する。 B.測定装置 (a)広角X線回折法(透過法) 上述した方法により作成した結晶サイズ用の測定試料
を、次の構成、条件で測定する。ここでは、測定装置と
して、(株)理学電機社製、4036A型(管球型)を使
用した場合について示す。 (構成) X線源:CuKα線(Niフィルター使用) 出力 :40kV、20mA ゴニオメータ (株)理学電機社製 スリット:2mmφ−1゜−1゜ 検出器 :シンチレーションカウンター 計数記録装置:(株)理学電機社製 RAD−C型 (測定条件) 2θ/θ :ステップスキャン(赤道線方向、子午線
方向) 測定範囲 :2θ=5〜90゜ サンプリング:0.05゜ 積算時間 :2秒 尚、赤道線方向は繊維径方向、子午線方向は繊維軸方向
に相当する。 (b)広角X線回折法(反射法) 上述した方法により作成した積層構造の解析用の測定試
料を、次の構成、条件で測定する。ここでは、測定装置
として、(株)理学電機社製、RU−200(回転対陰
極型)を使用した場合について示す。 (構成) X線源:CuKα線(湾曲結晶モノクロメータ使用) 出力 :50kV、200mA ゴニオメータ (株)理学電機社製 2155D型 スリット:1゜−0.15mmφ−1゜−0.45mm 検出器 :シンチレーションカウンター 計数記録装置:(株)理学電機社製 RAD−B型 (測定条件) 2θ/θ :ステップスキャン 測定範囲 :2θ=5〜40゜ サンプリング:0.05゜ 積算時間 :2秒 C.結晶サイズLc、Laの測定 上述した透過法により得られた(002)、(100)面のピーク
の半値幅から、次のScherrerの式により求める。ここで
は、(002)面から求めた値がLc、(100)面から求めた値
がLaとなる。
【0035】L(hkl)=Kλ/β0cosθB 但し、 L(hkl):微結晶の(hkl)面に垂直な方向の平
均の大きさ K:1.0、λ:0.15418nm(X線の波長)、 β0:(βE 2−β1 21/2 βE:見かけの半値幅(測定値)、β12:1.046×
10-2rad θB:Braggの回折角 D.平均積層数nave 上述した反射法により得られた回折プロファイルに、各
種光学補正を施した補正プロファイルをフーリエ変換し
得られたパターソン関数の各ピーク面積から積層数分布
f(n)を求め、次式より平均積層数naveを求める。
【0036】nave=Σf(n)/Σ[f(n)/n] <積層板の圧縮強度> A.樹脂組成物の調整 次に示す原料樹脂を混合し、30分間攪拌して樹脂組成
物を得る。 ・ビスフェノールAジグリシジルエーテル樹脂、エピコ
ート1001(油化シェルエポキシ社製、登録商標)、
30重量% ・ビスフェノールAジグリシジルエーテル樹脂、エピコ
ート828(油化シェルエポキシ社製、登録商標)、3
0重量% ・フェノールノボラックポリグリシジルエーテル樹脂、
エピクロン−N740(大日本インキ化学工業社製、登
録商標)、40重量% ・ポリビニルホルマール樹脂、ビニレックスK(チッソ
社製、登録商標)、5重量% ・ジシアンジアミド、DICY7(大日本インキ化学工
業社製、登録商標)、4重量% ・3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレ
ア、DCMU99(保土谷化学社製、硬化剤)、4重量
% 次に、前記樹脂組成物をシリコン塗布ペーパ上に離型紙
にコーティングして得た樹脂フィルムを、円周約2.7
mの、60〜70℃に温調した鋼製ドラムに巻き付け
る。
【0037】この上に、炭素繊維を、クリールから巻き
出し、トラバースを介して配列する。さらにその上か
ら、前記樹脂フィルムで再度覆い、ロールで回転しなが
ら、加圧し樹脂を繊維内に含浸せしめ、幅300mm、
長さ2.7mの一方向プリプレグを作成する。ここで、
プリプレグの繊維目付はドラムの回転数とトラバースの
送り速度を変化させ、190g/m2に調整する。ま
た、プリプレグの樹脂量は約35重量%とする。
【0038】このプリプレグを繊維方向を引き揃えて積
層し、温度130℃、圧力0.3MPaで、2時間硬化
させ、厚さが1mmの積層板を成形する。
【0039】次に、この積層板に、試験片の被破壊部分
以外を補強する板を接着層の厚さが均一となるよう接着
剤等で固着させ、一方向積層板を作製する。
【0040】この積層板から、被破壊部分が中心になる
ように、厚さ約1±0.1mm、幅12.7±0.13
mm、長さ80±0.013mm、ゲージ部の長さ5±
0.13mmの試験片を切り出す。
【0041】この試験片より、ASTM D695に示
される圧縮治具を使用し、歪み速度1.27mm/分の
条件で測定し、繊維体積分率60%に換算して積層板の
圧縮強度を得る。 (実施例1〜5、比較例1〜6)アクリロニトリル9
9.5モル%、イタコン酸0.5モル%からなる極限粘
度[η]が1.80のアクリル共重合体を20重量%含
むジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記)の溶
液を調整し、紡糸原液とした。
【0042】次に、この紡糸原液を60℃に温調し、孔
数3000の口金から、温度60℃、DMSO濃度60
重量%の水溶液からなる凝固浴中に紡出し、フィラメン
ト数3000の凝固糸条とした。
【0043】次いで、凝固糸条を水洗後、90℃の熱水
中で3倍に延伸し、さらに糸条を、アミノ変性シリコ−
ンを含む、油剤濃度が2重量%のシリコ−ン系油剤浴中
を通過させ、油剤を糸条重量に対して0.7重量%付与
した。
【0044】次に、150℃に温調した加熱ロ−ラで乾
燥緻密化し、加圧スチ−ム延伸装置で倍率4で延伸した
後、180℃に温調した加熱ロ−ラで乾燥処理し、単糸
繊度0.81dtex、総繊度2430dtexのアクリル系繊
維を得た。
【0045】このアクリル系繊維を、空気雰囲気中、温
度220〜280℃、倍率1で耐炎化処理し、耐炎化繊
維とした。
【0046】この耐炎化繊維を、窒素雰囲気中、最高雰
囲気温度が800℃の前炭化炉で、温度400〜500
℃での昇温速度を100℃/分とし、延伸倍率を適宜変
更して前炭化処理し、さらに窒素雰囲気中、温度を適宜
変更し、、延伸倍率を0.96として炭化処理して、フ
ィラメント数3000の炭素繊維を得た。
【0047】さらに、得られた炭素繊維に50ク−ロン
/gの電荷を与え、硫酸水溶液中で陽極酸化処理を施
し、水洗し、乾燥した後、エポキシを成分とする表面処
理剤を付与した。
【0048】各実施例、比較例の製造条件、得られた炭
素繊維について、各物性値をそれぞれ表1に示す。 (実施例6、7)実施例1で調整した紡糸原液を45℃
に温調し、孔数3000の口金から、4mmのエア−ギ
ャップを通過させて、DMSO濃度60重量%の水溶液
からなる凝固浴中に紡出し、さらに折返ガイドで方向を
転換し、水切りガイドを通過させながら、凝固浴から引
き取ってフィラメント数3000の凝固繊維とした以外
は実施例1と同様にして、単糸繊度0.81dtex、総繊
度2430dtexのアクリル系繊維を得た。
【0049】この凝固糸条から、実施例1と同様にし
て、耐炎化処理、前炭化処理、炭化処理、表面処理の各
処理工程を経て炭素繊維を得た。
【0050】各実施例、比較例の製造条件、得られた炭
素繊維について、各物性値をそれぞれ表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、引張弾性率に優れる一
方、得られる複合材料に高度の圧縮強度を発現させる炭
素繊維、およびかかる炭素繊維を安定に製造する方法が
提供できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】引張弾性率が340〜700GPa、引張
    強度が3.4〜5.5GPa、引張伸度が0.5〜1.
    4%、広角X線回折法により求まる炭素網面の(002)面
    の結晶サイズLcが2.5〜3.2nm、前記炭素網面
    の(100)面の結晶サイズLaが3〜4.5nm、粉末広
    角X線回折法により求まる平均積層数naveが2〜3.
    5、かつASTM D695による圧縮強度が1.45
    〜2GPaであるアクリル系炭素繊維。
  2. 【請求項2】アクリル系前駆体繊維を、酸化性雰囲気
    下、温度200〜300℃で耐炎化処理し、続いて不活
    性雰囲気下、温度400〜800℃、昇温速度20〜1
    00℃/分で前炭化処理し、さらに不活性雰囲気下、温
    度1800〜2000℃で炭化処理する炭素繊維の製造
    方法であって、前記前炭化処理におけるアクリル系繊維
    の延伸倍率を1.02〜1.15とするアクリル系炭素
    繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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